説明

加工基板ならびに窒化物半導体レーザ装置およびその製造方法

【課題】窒化物半導体レーザ装置の製造においてクラックの発生を防止することができる加工基板ならびに窒化物半導体レーザ装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本加工基板11は、一主面60を有する窒化物半導体層を含む基板10の主面60に、窒化物半導体層の[1−100]方向に沿って形成されている1つ以上の溝から構成される掘り込み領域61と、掘り込み領域61以外の主平面領域62とを有し、掘り込み領域61の両側面と主平面領域62との境界線65は、[1−100]方向に対して、時計回りに55°以上65°以下の傾き角を有する方向に伸びる第1方向の複数の辺A1と、時計回りに115°以上125°以下の傾き角を有する方向に伸びる第2方向の複数の辺A2とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体レーザ装置の製造に用いられる加工基板、その加工基板を含む窒化物半導体レーザ装置、およびその加工基板を用いた窒化物半導体レーザ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体レーザ装置の分野において、青紫色(たとえば405nm)の波長領域で発光し得る窒化物半導体レーザ装置が実用化され、高密度光ディスク装置などに搭載されている。一方、青色から緑色といった波長領域で発光し得る窒化物半導体レーザ装置の開発が進められ、半導体レーザ装置を用いた表示装置や環境負荷の少ない照明装置などへの応用が期待されている。
【0003】
かかる窒化物半導体レーザ装置においては、たとえば、窒化物半導体基板上に組成の異なる複数の窒化物半導体層が積層されているため、窒化物半導体層の組成の違いによる窒化物熱膨張係数や格子定数の違いなどから、窒化物半導体結晶中に歪が生じ、クラックが発生する問題がある。
【0004】
かかる問題に対して、たとえば、特開2005−322786号公報(特許文献1)には、窒化物半導体基板の主面に凹状の掘り込み領域を周期的に形成した加工基板を形成し、その加工基板のその主面上に発光層を含む複数の窒化物半導体層を、クラックが生じさせることなく積層させる方法が記載されている。
【0005】
図9は、特開2005−322786号公報に記載されている加工基板の概略平面図である。ここで、加工基板とは、窒化物半導体基板の一主面に凹状の掘り込み領域が形成された基板をいう。図9を参照して、加工基板11は、C面を主面とする窒化物半導体基板の一主面60に一般的なフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、[1−100]方向に沿って形成された溝から構成される掘り込み領域61と、掘り込まれていない主平面領域62と、が周期的に形成されている。
【0006】
すなわち、特開2005−322786号公報の窒化物半導体素子は、上記加工基板10の主面60上に、たとえば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、n型窒化物半導体層、多重量子井戸活性層、p型窒化物半導体層が順に積層された窒化物半導層積層体が形成されている。
【0007】
ここで、特開2005−322786号公報には、上記窒化物半導体層積層体を形成する過程において、掘り込み領域61内の埋め込み具合を一定以下とすることにより、窒化物半導体積層部に発生するクラックの低減と平坦性の向上をさせる方法が記載されている。
【特許文献1】特開2005−322786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2005−322786号公報の記載のように、溝状の掘り込み領域が形成された加工基板上に窒化物半導体層積層体を形成すると、主平面領域内では窒化物半導体積層体中の原子が十分なマイグレーションをもって平坦に成長するが、溝付近では原子の十分なマイグレーションが得られないため、溝の端から主平面領域に向かっておおよそ30μmの距離で固着し、窒化物半導体層積層体の厚さが意図する厚さより厚くなるエッジグロースと呼ぶ現象が生じる。
【0009】
このエッジグロースが生じた領域(エッジグロース発生領域)は、歪が内在しやすい。このため、エッジグロース発生領域を基点として、窒化物半導体層積層体の内部にクラックが生じやすいことがわかった。
【0010】
上記のクラックは、従来の窒化物半導体レーザ装置の製造において、従来の加工基板に窒化物半導体層積層体を形成した従来の窒化物半導体ウエハを水銀ランプで励起したときの発光の状態から観察することができる。図10に、従来の窒化物半導体ウエハ95を水銀ランプで励起したときの発光の様子を示す。図10を参照して、主平面領域62において、筋状に非発光となっているクラック69が確認された。しかしながら、結晶成長後の窒化物半導体ウエハの状態で光学顕微鏡を用いて、透過像および反射像で観察してもクラックの発生は確認することは出来なかった。このように、窒化物半導体ウエハにより励起したときに確認されたクラックは、活性層付近に生じた微細なクラックであると考えられ、活性層上にp型窒化物半導体層を積層することで埋め込まれ、平坦となってしまうため、光学顕微鏡では確認できないと考えられる。
【0011】
上記のクラック69は、溝状の掘り込み領域61の形成された[1−100]方向に対して時計回りに約30°および約150°の方向に向かって発生していた。これは、六方晶系の結晶である窒化物半導体の壁開しやすい方向である[11−20]方向と結晶何学的に等価な方向と一致している。しかしながら、掘り込み領域61が形成されている[1−100]方向に対して、垂直方向の[11−20]方向に向かって発生しているクラックは殆ど確認できなかった。これは、少なくとも、クラックの発生しやすい[11−20]方向に対して、垂直方向に交わる溝が形成されている加工基板11を用いることによって、窒化物半導体層積層体に生じる歪の影響を緩和し、クラックの発生を抑制していると考えられる。
【0012】
窒化物半導体レーザ装置において、直接発光に寄与する活性層に転位やクラックといった欠陥の存在は、電流リークや窒化物半導体レーザ装置の劣化の起因となる。このため、上記クラックの発生が抑制された窒化物半導体レーザの開発が求められている。
【0013】
上記状況に鑑みて、本発明は、窒化物半導体レーザ装置の製造において上記クラックの発生を防止することができる加工基板ならびに窒化物半導体レーザ装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、一主面を有する窒化物半導体層を含む基板の主面に、窒化物半導体層の[1−100]方向に沿って形成されている1つ以上の溝から構成される掘り込み領域と、掘り込み領域以外の主平面領域とを有し、掘り込み領域の両側面と主平面領域との境界線は、[1−100]方向に対して、時計回りに55°以上65°以下の傾き角を有する方向に伸びる複数の第1方向の辺と、時計回りに115°以上125°以下の傾き角を有する方向に伸びる複数の第2方向の辺と、を含む加工基板である。
【0015】
本発明にかかる加工基板は、第1の方向の複数の辺と第2の方向の複数の辺との複数の交点および交点の近傍の形状を円弧状とすることができる。また、境界線は、[1−100]方向に対して−5°以上5°以下の傾き角を有する方向に伸びる第3方向の複数の辺をさらに含むことができる。ここで、第3の方向の複数の辺と第1の方向の複数の辺および第2の方向の複数の辺との複数の交点および交点の近傍の形状を円弧状とすることができる。
【0016】
また、本発明にかかる加工基板は、掘り込み領域の中心線から一方の境界線の最も遠い点までの距離と、中心線から他方の境界線の最も遠い点までの距離との和を15μm以上とし、掘り込み領域の中心線から一方の境界線の最も近い点までの距離と、中心線から他方の境界線の最も近い点までの距離との和を3μm以上とすることができる。また、掘り込み領域の中心線から一つの境界線の最も遠い点までの距離と、中心線からその一つの境界線の最も近い点までの距離との差を3μm以上50μm以下とすることができる。
【0017】
また、本発明は、上記の加工基板と、その加工基板上に形成されている窒化物半導体層積層体とを含む窒化物半導体レーザ装置である。
【0018】
また、本発明は、上記の加工基板を用いた窒化物半導体レーザ装置の製造方法であって、上記加工基板を準備する工程と、その加工基板の主面上に掘り込み領域を埋め込まないように複数の窒化物半導体層を積層させて窒化物半導体層積層体を形成する工程と、を備える窒化物半導体レーザ装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、主面に形成されている1つ以上の溝から構成される掘り込み領域と掘り込み領域以外の主平面領域とを有する加工基板において、掘り込み領域の両側面と主平面領域との境界線が、クラックの発生しやすい方向に対して85°以上95°以下の角で交わる複数の辺を含むことにより、主平面領域上に形成される窒化物半導体層積層体におけるクラックの発生を防止できる。したがって、かかる加工基板を用いることにより、クラックの発生が極めて少ない窒化物半導体レーザ装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施形態1)
本発明にかかる加工基板の一実施形態は、図1〜図4を参照して、一主面60を有する窒化物半導体層を含む基板10の主面60に、窒化物半導体層の[1−100]方向に沿って形成されている1つ以上の溝66から構成される掘り込み領域61と掘り込み領域以外の主平面領域62とを有し、掘り込み領域61の両側面と主平面領域62との境界線は、[1−100]方向に対して、時計回りに55°以上65°以下の傾き角を有する方向に伸びる第1方向の複数の辺A1と、時計回りに115°以上125°以下の傾き角を有する方向に伸びる第2方向の複数の辺A2と、を含む加工基板11である。
【0021】
本実施形態によれば、掘り込み領域61の両側面と主平面領域62との境界線65が、クラックの発生しやすい方向(具体的には、図10に示されるように[1−100]方向に対して時計回りに約30°および約150°の方向)に対して85°以上95°以下の角度で交わる複数の辺A1およびA2を含むことにより、主平面領域62上に形成される窒化物半導体層積層体におけるクラックの発生を防止できる。ここで、図1〜図4より明らかなように、[1−100]方向と、[11−20]方向および[0001]方向は互いに直交している。
【0022】
本実施形態の加工基板11は、一主面60を有する窒化物半導体層を含むものであれば特に制限はなく、基板全体が窒化物半導体層である窒化物半導体基板であっても、異種基板上に一主面を有する窒化物半導体層を含む基板であってよい。
【0023】
ここで、窒化物半導体とは、窒化物を主成分として含み六方晶系の結晶構造を有する半導体、具体的には、AlxGayIn1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)などをいう。なお、本願において、窒化物半導体には、六方晶系の結晶構造が維持される限り、半導体を構成するN原子の約20%以下がAs、PおよびSbの少なくともいずれかの原子に置換されているものを含む。また、窒化物半導体中にSi、O、Cl、S、C、Ge、Zn、Cd、MgおよびBeの少なくともいずれかの原子がドーピングされてもよい。n型窒化物半導体としては、上記ドーピング原子のうちでも、Si、O、およびClが特に好ましい。また、異種基板とは、上記窒化物半導体以外の化学組成を含む基板をいい、たとえば、サファイア基板、SiC基板、Si基板またはGaAs基板などが挙げられる。
【0024】
本実施形態の加工基板11は、図1〜図4を参照して、主面60に、窒化物半導体層の[1−100]方向に沿って形成されている1つ以上の溝66から構成される掘り込み領域61と掘り込み領域以外の主平面領域62とを有する。すなわち、掘り込み領域61は、図2に示すように1つの溝66で構成されていても、図3に示すように複数の溝で構成されていてもよい。掘り込み領域が複数の溝で構成される場合、n本(nは2以上の整数)の溝66と隣り合う溝の間のn−1本の溝間平面67によって構成されていてもよい。
【0025】
また、主面60における掘り込み領域61のピッチPは、隣り合う掘り込み領域61の間の主平面領域62上に、少なくとも1本以上のリッジストライプなどの電流狭窄構造が形成できて、窒化物半導体レーザ装置として特性が得られる幅であれば特に制限はないが、かかる観点から100μm以上800μm以下が好ましく、200μm以上400μm以下がより好ましい。
【0026】
また、掘り込み領域61の深さDは、特に制限はないが、1.5μm以上20μm以下が望ましい。ここで、掘り込み領域61が複数の溝のより構成されていてこれらの溝の深さが異なる場合は、最も浅い溝の深さが1.5μm以上であり、最も深い溝の深さが20μm以下であることが好ましい。深さDが1.5μm未満である場合には、加工基板11の主面60に複数の窒化物半導体層を積層させて窒化物半導体層積層体を形成する際に埋め込み領域61の埋め込みが具合が進行し、クラックの発生を抑制することができなくなるためである。また、深さDが20μmを超える場合、窒化物半導体ウエハから窒化物半導体レーザ装置に加工する工程において、たとえば、ウエハにレジストを均等に塗布しにくいことや、窒化物半導体ウエハを薄くするための研削および研磨工程などでウエハが割れてしまうなどの不都合が生じやすくなるためである。ここで、窒化物半導体ウエハとは、加工基板の主面上に窒化物半導体層積層体が形成された後であってチップに分割される前の状態のウエハをいう。
【0027】
また、加工基板が異種基板上に一主面を有する窒化物半導体層を含む基板の場合には、掘り込み領域61の深さDは、窒化物半導体層の厚さに比べて、大きくても同じであっても小さくてもよい。ただし、主平面領域62上に形成される窒化物半導体層積層体の結晶性を高める観点からは、掘り込み領域61の溝66の底面も窒化物半導体層内であること、すなわち、掘り込み領域61の深さDは、窒化物半導体層の厚さよりも小さいことが好ましい。
【0028】
また、1つ以上の溝66から構成される掘り込み領域61における溝66の横断面形状は、順メサ形状、逆メサ形状、矩形状のいずれであってもよい。
【0029】
本実施形態の加工基板11は、図1および図4を参照して、掘り込み領域61の両側面と主平面領域62との境界線は、[1−100]方向に対して、時計回りに55°以上65°以下の傾き角を有する方向に伸びる複数の第1方向の辺A1と、時計回りに115°以上125°以下の傾き角を有する方向に伸びる複数の第2方向の辺A2と、を含む。すなわち、本実施形態の加工基板11の掘り込み領域61の境界線65は、図4に示すように、複数の第1方向の辺A1と複数の第2方向の辺A2とを含むため、波状の形状となる。加工基板11の掘り込み領域61の境界線65が複数の第1方向の辺A1と複数の第2方向の辺A2とを含むことにより、上記クラックの発生を防止することができる。
【0030】
また、上記クラックの発生をよりよく防止する観点から、上記境界線65は、[1−100]方向に対して−5°以上5°以下の傾き角を有する方向に伸びる複数の第3方向の辺A3をさらに含むことが好ましい。
【0031】
窒化物半導体は、基本的に六方晶系の結晶であるため、[11−20]方向に沿って壁開性がある。このため、図6を参照して、上記加工基板11上に複数の窒化物半導体層を積層させて窒化物半導体層積層体12を形成すると、窒化物半導体層積層体12内部の歪の影響などを受けて[11−20]方向およびその方向と結晶幾何学的に等価な方向に向かってクラックが発生しやすい。
【0032】
ここで、図4を参照して、[11−20]方向が、(0001)面上で[1−100]方向を時計回りに90°回転させた方向であることから、[11−20]方向およびその方向と結晶幾何学的に等価な方向には、(0001)面上において[1−100]方向に対して時計回りに約30°、約90°(この方向が[11−20]方向に相当する。)および約150°の傾き角を有する方向が含まれる。
【0033】
[11−20]方向およびその方向と結晶幾何学的に等価な方向に向かって伸びるクラックの発生を防止するために、本発明者らは、これらの方向に対してほぼ垂直に(たとえば85°以上95°以下の角度で)交わる辺を含む境界線を有する掘り込み領域61を形成した加工基板11上に窒化物半導体層積層体を形成することにより、窒化物半導体層積層体中に発生する歪を緩和することが有効であることを見出した。
【0034】
すなわち、本発明者らは、図4を参照して、クラックの発生しやすいN1方向([1−100]方向に対して時計回りに約150°の傾き角を有する方向)、N2方向([1−100]方向に対して時計回りに約30°の傾き角を有する方向)およびN3方向([1−100]方向に対して時計回りに約90°の傾き角を有する方向)に対して、それぞれほぼ垂直に(たとえば、85°以上95°以下の角で)交わる第1方向の複数の辺A1([1−100]方向に対して時計回りに55°以上65°以下の傾き角を有する複数の辺)、第2方向の複数の辺A2([1−100]方向に対して時計回りに115°以上125°以下の傾き角を有する複数の辺)」および第3方向の複数の辺A3([1−100]方向に対して−5°以上5°以下の傾き角を有する複数の辺)を含む境界線65を有する掘り込み領域が形成された加工基板を準備し、その加工基板11の主面60上に窒化物半導体層積層体12を形成することにより、窒化物半導体層積層体12中に発生する歪が緩和され、クラックの発生が抑制されることを見出した。
【0035】
したがって、境界線65に含まれる第1方向の複数の辺A1によりN1方向に伸びるクラックの発生を防止し、第2方向の複数の辺A2によりN2方向に伸びるクラックの発生を防止し、第3方向の複数の辺A3によりN3方向に伸びるクラックの発生を防止することができる。このような意味で、辺A1、A2およびA3をクラック防止辺とも呼ぶ。
【0036】
また、境界線65において、第1方向の複数の辺A1と第2方向の複数の辺A2との複数の交点およびそれらの交点の近傍86a、第3方向の複数の辺A3と第1方向の辺A1との複数の交点およびそれらの交点の近傍86c、ならびに第3方向の複数の辺A3と第2の方向の複数の辺A2との複数の交点およびそれらの交点の近傍86bの形状が円弧状であることが好ましい。かかる交点およびそれらの交点の近傍86が角状である場合は、角の頂点がクラックの起点となりやすいからである。
【0037】
また、図4を参照して、本実施形態の加工基板11において、掘り込み領域61の中心線64から一方の境界線65aの最も遠い点65afまでの距離と、中心線64から他方の境界線65zの最も遠い点65zfまでの距離との和(以下、中心線から2つの遠点までの距離の和L1ともいう。)は、15μm以上であることが好ましい。かかる中心線から2つの遠点までの距離の和L1が15μm未満の場合は、加工基板11上に窒化物半導体層積層体を形成する際に、掘り込み領域61が埋め込まれやすく、掘り込み領域61の埋め込みが一定以上進行してしまうと、クラックの発生を防止する効果が得られなくなるためである。
【0038】
また、掘り込み領域61の中心線64から一つの境界線65aの最も遠い点65afまでの距離と、中心線64から上記の一つの境界線65aの最も近い点65anまでの距離との差(以下、遠点と近点との距離の差L2ともいう。)は、3μm以上50μm以下であることが好ましい。遠点と近点との距離の差L2が2μm未満の場合は、掘り込み領域61のクラック防止辺A1,A2,A3の交点および交点の近傍86から掘り込み領域61が埋め込まれ始め、交点および交点の近傍86の形状(好ましくは円弧状)が崩れてしまうため、クラックの発生を防止することが困難となる。また、遠点と近点との距離の差L2が50μmを超えると、主平面領域62上に形成される窒化物半導体層積層体12の最上層の主面の平坦性が低下する。かかる観点から、遠点と近点との距離の差L2は、30μm以下が望ましい。
【0039】
また、掘り込み領域61の中心線64から一方の境界線65aの最も近い点65anまでの距離と、中心線64から他方の境界線65zの最も近い点65znまでの距離との和(以下、中心線から2つの近点までの距離の和L3)は3μm以上であることが好ましい。中心線から2つの近点までの距離の和L3が3μm以上の場合は、窒化物半導体層積層体を形成する際に、掘り込み領域61が埋め込まれやすく、掘り込み領域61の埋め込みが一定以上進行してしまうと、クラックの発生を防止する効果が得られなくなるためである。
【0040】
なお、加工基板11の主面60の掘り込み領域61が複数の溝66により構成されている場合は、それらの溝66の間の溝間平面67とそれらの溝66の側面との溝間境界線63は、直線状であってもよく、境界線65と同様の形状であってもよい。
【0041】
本実施形態の加工基板を製造する方法には、特に制限はないが、たとえば以下の方法によって製造することができる。図1を参照して、加工基板11の製造には、(0001)面(C面)を主面とするn型GaN基板(基板10)を用いることができる。まず、n型GaN基板(基板10)の主面60上に、マスク層としてSiO2層、SiNx層などを蒸着する。本実施形態においては、n型GaN基板の主面上にSiO2層をする。マスク層は、以下のリソグラフィ技術およびエッチング技術に適用できるものであれば、上記SiO2層、SiNx層に限定されるものではない。また、蒸着方法は、電子ビーム蒸着法、スパッタ蒸着法などを用いることができる。また、マスク層の形成は蒸着法に限定されるものではなく、プラズマCVD(化学気相堆積)法などでも構わない。
【0042】
次に、このSiO2層上に、レジスト材を塗布し通常のリソグラフィ技術を用いて、[1−100]方向に沿って波状の開口部をもつレジストパターンを形成する。次にICP(Inductively Coupled Plasma)などによるRIE(Reactive Ion Etching)技術を用い、レジストパターンの開口部のSiO2膜をn型GaN基板に到達するまでエッチングする。
【0043】
次に、n型GaN基板上に残ったレジストを除去し、エッチングされずに残ったSiO2層をマスクとして用い、n型GaN基板(基板10)をエッチングすることで、溝66で構成される掘り込み領域61を形成する。その後、HF(フッ酸)などのエッチャントを用いて、残っているSiO2層を除去し、[1−100]方向に沿って延在する掘り込み領域61が形成された加工基板11が得られる(図1を参照)。なお、本実施形態では、n型GaN基板に掘り込み領域61の形成にRIE技術を用いているが、この方法に限定されるものではなく、ウエットエッチング技術などを用いてもよい。
【0044】
また、本実施形態の加工基板11は、上述のようにn型GaN基板の主面60に、直接、掘り込み領域61を形成しているが、n型GaN基板もしくは異種基板の主面上に、GaN、GapIn1-pN(0≦p≦1)、AlqGa1-qN(0≦q≦1)、AlsGatIn1-s-tN(0≦s、0≦t、s+t≦1)などの窒化物半導体の層を成長させた後に掘り込み領域61を形成してもよい。
【0045】
(実施形態2)
本発明にかかる窒化物半導体レーザ装置の一実施形態は、図5〜図7を参照して、実施形態1の加工基板11と、加工基板11上に形成されている窒化物半導体層積層体12とを含む。本実施形態の窒化物半導体レーザ装置は、実施形態1の加工基板11上に窒化物半導体層積層体12が形成されているため、加工基板11の主平面領域62上の窒化物半導体層積層体中のクラックの発生が抑制されている。このため、図5に示す加工基板11上に窒化物半導体層積層体12が形成されている窒化物半導体ウエハを水銀ランプで励起した発光パターンを蛍光顕微鏡で観察すると、図10のような筋上の非発光部分(これがクラックに相当する)はほとんど見られない。
【0046】
本実施形態の窒化物半導体レーザ装置は、加工基板11の主面60上に窒化物半導体層積層体12が形成されている。ここで、図6を参照して、窒化物半導体層積層体12は、たとえば、加工基板11側から順に、厚さ0.2μmのn型GaN下地層121、厚さ2μmのn型Al0.06Ga0.94Nクラッド層122、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層123、厚さ100nmの量子井戸活性層124、厚さ0.02μmのアンドープのGaN中間層125、厚さ0.02μmのp型Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層126、厚さ0.6μmのp型Al0.06Ga0.94Nクラッド層127、厚さ0.1μmのp型GaNコンタクト層128で構成されている。さらに、図7を参照して、この窒化物半導体層積層体12の上部には、[1−100]方向に沿ってレーザ光導波路であるリッジストライプ16が形成されている。このリッジストライプ16は、p型Al0.06Ga0.94Nクラッド層127およびp型GaNコンタクト層128で構成されている。
【0047】
ここで、図5および図7を参照して、加工基板11の境界線65から主平面領域内におおよそ30μmの領域では、窒化物半導体層積層体12中の原子が溝66へ流れ込みにくく、原子のマイグレーションが十分に得られないため、窒化物半導体層積層体の厚さが他の領域に比べて0.5μm〜1μm程度厚くなっている。かかる領域をエッジグロース発生領域62eと呼ぶ。このエッジグロース発生領域62eにおいては、窒化物半導体層積層体12の化学組成および厚さの制御が困難であり、また表面が平坦でない。このため、エッジグロース発生領域62e内にリッジストライプ16が形成されると、リッジストライプ16の形状が一定とはならず、信頼性の高い窒化物半導体レーザ装置が得られない。
【0048】
したがって、リッジストライプ16が形成される位置は、加工基板11の境界線65から30μm以上離れた主平面領域62内の領域上、すなわち主平面領域62からエッジグロース発生領域62eを除いた領域上であることが好ましい。すなわち、主平面領域62内のリッジストライプ形成領域62sと境界線65との最短距離L4が30μm以上であることが好ましい。
【0049】
このリッジストライプ16の頂部が露出するように、誘電体膜13が形成されている。また、リッジストライプ16および誘電体膜13を被覆するようにp側電極14が形成されている。また、加工基板11の裏主面(掘り込み領域が形成されていない主面をいう。)上にn側電極15が形成されている。
【0050】
リッジストライプ16が伸びる共振器方向([1−100]方向:図7および図8を参照))に対して垂直な両面((1−100)面)に共振器端面が形成されている。このとき、共振器長は、たとえば600μmである。この2つの共振器端面に、たとえば反射率70%のSiO2およびTiO2からなる誘電体膜を交互に蒸着された誘電体多層反射膜が形成されている。なお、2つの共振器端面のうち、1つの共振器面はレーザ出射面であり、このレーザ出射面に形成される誘電体多層反射膜の反射率はたとえば5%である。また、他方の共振器端面はレーザ反射面であり、このレーザ反射面に形成される誘電体多層反射膜の反射率はたとえば95%である。なお、反射率については、これらに限定されない。また、誘電体膜材料としては、SiO2/TiO2に限定されるものではなく、たとえば、SiO2/Al23などを用いても構わない。
【0051】
(実施形態3)
本発明にかかる窒化物半導体レーザ装置の製造方法の一実施形態は、図5〜図7を参照して、実施形態1の加工基板を用いた窒化物半導体レーザ装置の製造方法であって、加工基板11を準備する工程と、加工基板11の主面60上に、掘り込み領域61を埋め込まないように、複数の窒化物半導体層を積層させて窒化物半導体層積層体12を形成する工程とを備える。
【0052】
本実施形態の窒化物半導体レーザ装置の製造方法は、図5を参照して、実施形態1の加工基板11を準備する工程を備える。この加工基板11を準備する工程においては、図1〜図4を参照して、たとえば実施形態1に示したようにして、一主面60を有する窒化物半導体層を含む基板10の主面60に、窒化物半導体層の[1−100]方向に沿って1つ以上の溝66を形成することにより、かかる溝66から構成される掘り込み領域61と、掘り込み領域以外の主平面領域62とを有する実施形態1の加工基板11が得られる。
【0053】
本実施形態の窒化物半導体レーザ装置の製造方法は、図5を参照して、加工基板11の主面60上に、掘り込み領域61を埋め込まないように、複数の窒化物半導体層を積層させて窒化物半導体層積層体12を形成する工程を備える。加工基板11上に窒化物半導体層積層体12を形成することにより、加工基板11の主平面領域62上の窒化物半導体層積層体12中にクラックが発生するのを防止することができる。
【0054】
ここで、窒化物半導体レーザ装置の製造において窒化物半導体層積層体12の形成方法は、特に制限はないが、たとえば、図5および図6を参照して、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法を用いて、加工基板11の主面60上に、厚さ0.2μmのn型GaN下地層121、厚さ2μmのn型Al0.06Ga0.94Nクラッド層122、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層123、厚さ100nmの量子井戸活性層124、厚さ0.02μmのアンドープのGaN中間層105、厚さ0.02μmのp型Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層126、厚さ0.6μmのp型Al0.06Ga0.94Nクラッド層127、および厚さ0.1μmのp型GaNコンタクト層128を順次積層する。
【0055】
このようにして、図5に示すように、加工基板11の主面60上に窒化物半導体層積層体12が形成された窒化物半導体ウエハ50が形成される。かかる窒化物半導体ウエハを水銀ランプで励起した発光パターンを蛍光顕微鏡で観察すると、図10のような筋上の非発光部分(これがクラックに相当する)はほとんど見られなかった。
【0056】
次に、以下のようにして、窒化物半導体ウエハ50から窒化物半導体レーザ装置70が製造される。
【0057】
窒化物半導体ウエハ50の加工基板11の主平面領域62上の窒化物半導体層積層体12の上部に、[1−100]方向に沿ってレーザ光導波路であるリッジストライプ16を形成する。具体的には、p型Al0.06Ga0.94Nクラッド層107とp型GaNコンタクト層108の一部とをメソエッチングして、p型Al0.06Ga0.94Nクラッド層107およびp型GaNコンタクト層108で構成され[1−100]方向に伸びるリッジストライプ16を形成する。
【0058】
ここで、図5および図7を参照して、加工基板11の境界線65から主平面領域内におおよそ30μmの領域は、窒化物半導体層積層体12中の原子が溝66へ流れ込みにくく、原子のマイグレーションが十分に得られないため、窒化物半導体層積層体の厚さが他の領域に比べて0.5μm〜1μm程度厚くなるエッジグロース発生領域62eである。このエッジグロース発生領域62eにおいては、窒化物半導体層積層体12の化学組成および厚さの制御が困難であり、また表面が平坦でない。このため、エッジグロース発生領域62e内にリッジストライプ16を形成しても、リッジストライプ16の形状が一定とはならず、信頼性の高い窒化物半導体レーザ装置が得られない。
【0059】
したがって、リッジストライプ16を形成する位置は、加工基板11の境界線65から30μm以上離れた主平面領域62内の領域上、すなわち主平面領域62からエッジグロース発生領域62eを除いた領域上であることが好ましい。すなわち、主平面領域62内のリッジストライプ形成領域62sと境界線65との最短距離L4が30μm以上であることが好ましい。
【0060】
次に、図7を参照して、このリッジストライプ16の頂部が露出するように、誘電体膜13を形成する。次に、リッジストライプ16および誘電体膜13を被覆するようにp側電極14を形成する。また、加工基板11の裏主面(掘り込み領域が形成されていない主面をいう。)上にn側電極15を形成する。
【0061】
このようにして得られた窒化物半導体レーザウエハを、リッジストライプ16が伸びる共振器方向([1−100]方向:図7および図8を参照))に対して垂直な面である(1−100)面で劈開を実施し、2つの共振器端面を形成する。このとき、共振器長はたとえば600μmとする。この共振器端面を形成する工程によって、図8に示すような窒化物半導体レーザバーが製造される。この工程で行われる劈開は、ウエハの裏面にダイヤモンドペンなどによって罫書き線(スクライブライン)が生成された後、ウエハに適宜力が加えられることで、実施される。また、ウエハの一部、たとえば、ウエハのエッジ部分にのみダイヤモンドペンによって罫書きが成された後、これを起点に劈開してもよい。また、エッチングによって共振器端面を形成してもよい。
【0062】
次に、窒化物半導体レーザバーの共振器端面の両面に、反射率70%のSiO2およびTiO2からなる誘電体膜を交互に蒸着し、誘電体多層反射膜を形成する。なお、形成された二つの共振器端面のうち、一つの共振器面はレーザ出射面とし、このレーザ出射面に形成される誘電体多層反射膜の反射率をたとえば5%とする。また、他方の共振器端面はレーザ反射面とし、このレーザ反射面に形成される誘電体多層反射膜の反射率をたとえば95%とする。なお、反射率については、これらに限定されるものではない。また、誘電体膜材料としては、SiO2/TiO2に限定されるものではなく、たとえば、SiO2/Al23などを用いても構わない。
【0063】
窒化物半導体レーザバーをリッジストライプ16に平行な方向([1−100]方向)に沿って分割することで、個々にチップ化された窒化物半導体レーザ装置が得られる。このとき、バーのn側電極15が形成された面を上にして、ステージ上に得られたバーを置き、光学顕微鏡を用いて、キズ入れ位置をアライメントし、バーの裏面にダイヤモンドカッタなどで罫書き線21を入れる。そして、バーに適宜力を加え、罫書き線21に沿ってバーを分割することで、チップ化された窒化物半導体レーザ装置が得られる。本方法はスクライビング法と言われるものである。
【0064】
ここで、罫書き線21の位置は、上述のように掘り込み領域61の中央付近に作製されたが、チップ化された窒化物半導体レーザ装置に掘り込み領域61が含まれないように掘り込み領域61を外した位置に罫書き線22を形成して、チップ分割を行ってもかまわない。
【0065】
チップ分割工程は、上記のスクライビング法以外に、たとえば、ワイヤーソーもしくは薄板ブレードを用いてキズ入れまたは切断を行うダイシング法、エキシマレーザなどのレーザ光の照射加熱とその後の急冷により照射部に生じさせたクラックをスクライブラインとするレーザスクライブ法、高エネルギー密度のレーザ光を照射し蒸発させることで溝入れ加工を行うレーザアブレーション法などを用いても構わない。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の窒化物半導体レーザ装置は、光ディスク装置のピックアップや、蛍光体と組み合わせた照明装置、レーザ光を用いた表示装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明にかかる加工基板の一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】図1のII方向における概略断面図である。
【図3】本発明にかかる加工基板の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図4】図1のIV部分の拡大図である。
【図5】本発明における窒化物半導体ウエハの一実施形態を示す概略断面図である。
【図6】図5のVI部分の拡大図である。
【図7】本発明にかかる窒化物半導体装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明における窒化物半導体レーザバーの一実施形態を示す概略平面図である。
【図9】従来の加工基板の例を示す概略平面図である。
【図10】従来の窒化物半導体ウエハを水銀ランプで励起したときの発光の様子を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 基板、11,91 加工基板、12 窒化物半導体層積層体、13 誘電体膜、14 p側電極、15 n側電極、16 リッジストライプ、21,22 罫書き線、50,95 窒化物半導体ウエハ、60 主面、61 掘り込み領域、62 主平面領域、62e エッジグロース発生領域、62s リッジストライプ形成領域、63 溝間境界線、64 中心線、65,65a,65b 境界線、65af,65zf 最も遠い点、65an,65zn 最も近い点、66 溝、67 溝間平面、69 クラック、70 窒化物半導体レーザ装置、80 半導体レーザバー、86,86a,86b,86c 交点および交点の近傍、121 n型GaN下地層、122 n型Al0.06Ga0.94Nクラッド層、123 n型GaN光ガイド層、124 量子井戸活性層、125 アンドープのGaN中間層、126 p型Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層、127 p型Al0.06Ga0.94Nクラッド層、128 p型GaNコンタクト層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面を有する窒化物半導体層を含む基板の前記主面に、前記窒化物半導体層の[1−100]方向に沿って形成されている1つ以上の溝から構成される掘り込み領域と、前記掘り込み領域以外の主平面領域と、を有し、
前記掘り込み領域の両側面と前記主平面領域との境界線は、前記[1−100]方向に対して、時計回りに55°以上65°以下の傾き角を有する方向に伸びる第1方向の複数の辺と、時計回りに115°以上125°以下の傾き角を有する方向に伸びる第2方向の複数の辺と、を含む加工基板。
【請求項2】
前記第1の方向の複数の辺と前記第2の方向の複数の辺との複数の交点および前記交点の近傍の形状が、円弧状である請求項1に記載の加工基板。
【請求項3】
前記境界線は、前記[1−100]方向に対して−5°以上5°以下の傾き角を有する方向に伸びる第3方向の複数の辺をさらに含む請求項1に記載の加工基板。
【請求項4】
前記第3の方向の複数の辺と前記第1の方向の複数の辺および第2の方向の複数の辺との複数の交点および前記交点の近傍の形状が円弧状である請求項3に記載の加工基板。
【請求項5】
前記掘り込み領域の中心線から一方の前記境界線の最も遠い点までの距離と、前記中心線から他方の前記境界線の最も遠い点までの距離との和が15μm以上であり、
前記掘り込み領域の中心線から一方の前記境界線の最も近い点までの距離と、前記中心線から他方の前記境界線の最も近い点までの距離との和が3μm以上である請求項1から請求項3までのいずれかに記載の加工基板。
【請求項6】
前記掘り込み領域の中心線から一つの前記境界線の最も遠い点までの距離と、前記中心線から前記一つの前記境界線の最も近い点までの距離との差が3μm以上50μm以下である請求項1から請求項4までのいずれかに記載の加工基板。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかの加工基板と、前記加工基板上に形成されている窒化物半導体層積層体とを含む窒化物半導体レーザ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6までのいずれかの加工基板を用いた窒化物半導体レーザ装置の製造方法であって、
前記加工基板を準備する工程と、
前記加工基板の前記主面上に、前記掘り込み領域を埋め込まないように、複数の窒化物半導体層を積層させて窒化物半導体層積層体を形成する工程と、を備える窒化物半導体レーザ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−170519(P2009−170519A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4576(P2008−4576)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】