説明

加工廃液処理装置

【課題】イオン交換樹脂ボンベを交換した際に、イオン交換樹脂ボンベに溜まった空気を加工装置側に送ることなく排出することができる加工廃液処理装置を提供する。
【解決手段】廃液収容タンクと、加工廃液を濾過して清水に精製する廃液濾過手段と、廃液濾過手段によって精製された清水を貯水する清水貯水タンクと、清水を純水に精製するイオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂ボンベを含む純水生成手段と、純水生成手段によって精製された純水を上記加工装置に供給する加工液供給手段とを具備する加工廃液処理装置であって、純水生成手段のイオン交換樹脂ボンベと加工液供給手段とを結ぶ純水送出管と清水貯水タンクとを空気排出管によって接続し、空気排出管に開閉弁を配設するとともにイオン交換樹脂ボンベと加工液供給手段とを結ぶ純水送出管における空気排出管との接続部より加工液供給手段側に開閉弁が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する切削装置等の加工装置に付設され、加工時に供給される加工液の廃液を処理する加工廃液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれる切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削ブレードを備えた切削手段と、切削ブレードに加工水を供給する加工水供給手段を具備し、該加工水供給手段によって切削水を回転する切削ブレードに供給することにより切削ブレードを冷却するとともに、切削ブレードによる被加工物の切削部に加工水を供給しつつ切削作業を実施する。
【0004】
上述したように切削時に供給された加工液にはシリコンや窒化ガリウム系化合物半導体を切削することによって発生する切削屑が混入される。この半導体素材からなる切削屑が混入された加工廃液は環境を汚染することから、加工廃液処理装置を用いて切削屑を除去した後に、再利用したりまたは廃棄している。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
上記加工廃液処理装置は、加工装置の加工の際に供給された加工液が加工によって生成された加工廃液を収容する廃液収容タンクと、該廃液収容タンクに収容された加工廃液を送給するポンプと、該ポンプによって送給された加工廃液を濾過して清水に精製する廃液濾過手段と、該廃液濾過手段によって精製された清水を貯水する清水貯水タンクと、該清水貯水タンクに貯水された清水を送給する清水送給ポンプと、該清水送給ポンプによって送給された清水を純水に精製するイオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂ボンベを含む純水生成手段と、該純水生成手段によって精製された純水を上記加工装置の加工液供給手段に循環せしめるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−190128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記加工廃液処理装置における清水を純水に精製するイオン交換樹脂は清水を所定量処理すると寿命に達し交換する必要がある。この交換はイオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂ボンベを交換することになるが、寿命に達したイオン交換樹脂ボンベを新たなイオン交換樹脂ボンベと交換した際に、イオン交換樹脂ボンベが清水によって満たされるまでイオン交換樹脂ボンベ内の空気が加工装置に排出され、このため、加工装置側の純水供給パイプに溜まっている純水が排出されてしまい不経済であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その技術課題は、イオン交換樹脂ボンベを交換した際に、イオン交換樹脂ボンベに溜まった空気を加工装置側に送ることなく排出することができる加工廃液処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術課題を解決するため、本発明によれば、加工装置の加工の際に加工液供給手段によって供給された加工液が加工によって生成された加工廃液を収容する廃液収容タンクと、該廃液収容タンクに収容された加工廃液を送給するポンプと、該ポンプによって送給された加工廃液を濾過して清水に精製する廃液濾過手段と、該廃液濾過手段によって精製された清水を貯水する清水貯水タンクと、該清水貯水タンクに貯水された清水を送給する清水送給ポンプと、該清水送給ポンプによって送給された清水を純水に精製するイオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂ボンベを含む純水生成手段と、該純水生成手段によって精製された純水を該加工装置に供給する加工液供給手段と、を具備する加工廃液処理装置において、
該純水生成手段の該イオン交換樹脂ボンベと該加工液供給手段とを結ぶ純水送出管と該清水貯水タンクとを空気排出管によって接続し、該空気排出管に開閉弁を配設するとともに該イオン交換樹脂ボンベと該加工液供給手段とを結ぶ純水送出管における該空気排出管との接続部より該加工液供給手段側に開閉弁を配設した、
ことを特徴とする加工廃液処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明による加工廃液処理装置においては、純水生成手段のイオン交換樹脂ボンベと加工液供給手段とを結ぶ純水送出管と清水貯水タンクとを空気排出管によって接続し、該空気排出管に開閉弁を配設するとともに純水送出管における空気排出管との接続部より加工液供給手段側に開閉弁を配設したので、寿命に達したイオン交換樹脂ボンベを新たなイオン交換樹脂ボンベに交換した際には、純水送出管における空気排出管との接続部より加工液供給手段側に配設された開閉弁を閉路し空気排出管に配設された開閉弁を開路せしめ、新たなイオン交換樹脂ボンベに清水を導入することにより、イオン交換樹脂ボンベに存在した空気を空気排出管を介して清水貯水タンクに排出することができる。従って、イオン交換樹脂ボンベに存在した空気が加工装置側に送られることがないため、加工装置側の純水供給パイプに溜まっている純水が排出されるという問題を解消することができる。また、イオン交換樹脂ボンベに存在した空気を完全に排出した後、イオン交換樹脂によって清水が純水に精製され加工装置に供給されるので、不純物となる空気がいつまでも滞留して純水の精製に時間を要することがなく、早期に安定した純水を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従って構成された加工廃液処理装置を加工装置としての切削装置に隣接して配設した状態を示す斜視図。
【図2】本発明に従って構成された加工廃液処理装置の構成要素を加工廃液の流れに従って示す説明図。
【図3】図2に示す装置ハウジングを構成する各壁を透視し装置ハウジング内に加工廃液処理装置の構成要素を配置した状態を示す斜視図。
【図4】図2に示す加工廃液処理装置を構成するイオン交換樹脂ボンベの断面図。
【図5】本発明に従って構成された加工廃液処理装置に装備される制御手段の構成ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された加工廃液処理装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1には加工装置としての切削装置に隣接して配設された本発明による加工廃液処理装置の斜視図が示されている。
加工装置としての切削装置2は、略直方体状の装置ハウジング20を具備している。この装置ハウジング20内には、被加工物を保持するチャックテーブル21が切削送り方向である矢印Xで示す方向に移動可能に配設されている。チャックテーブル21は、上面である保持面上に被加工物を図示しない吸引手段を作動することによって吸引保持するようになっている。また、チャックテーブル21は、図示しない回転機構によって回転可能に構成されている。なお、チャックテーブル21には、被加工物として後述するウエーハをダイシングテープを介して支持する環状のフレームを固定するためのクランプ211が配設されている。このように構成されたチャックテーブル21は、図示しない切削送り手段によって、矢印Xで示す切削送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0014】
図1に示す切削装置2は、切削手段としてのスピンドルユニット22を具備している。スピンドルユニット22は、図示しない割り出し送り手段によって図1において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない切り込み送り手段によって図1において矢印Zで示す切り込み送り方向に移動せしめられるようになっている。このスピンドルユニット22は、図示しない移動基台に装着され割り出し方向である矢印Yで示す方向および切り込み方向である矢印Zで示す方向に移動調整されるスピンドルハウジング221と、該スピンドルハウジング221に回転自在に支持された回転スピンドル222と、該回転スピンドル222の前端部に装着された切削ブレード223とを具備している。スピンドルハウジング221の前端部には、切削ブレード223の上半部を覆うブレードカバー224が取り付けられており、このブレードカバー224に上記切削ブレード223に向けて加工液を噴射する加工液供給ノズル225が配設されている。なお、加工液供給ノズル225は、図示しない加工液供給手段に接続されている。
【0015】
図1に示す切削装置2は、上記チャックテーブル21上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記切削ブレード223によって切削すべき領域を検出するための撮像手段23を具備している。この撮像手段23は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっている。また、上記装置ハウジング20におけるカセット載置領域24aには、被加工物を収容するカセットを載置するカセット載置テーブル24が配設されている。このカセット載置テーブル24は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成されている。カセット載置テーブル24上には、被加工物としての半導体ウエーハWを収容するカセット25が載置される。カセット25に収容される半導体ウエーハWは、表面に格子状のストリートが形成されており、この格子状のストリートによって区画された複数の矩形領域にIC、LSI等のデバイスが形成されている。このように形成された半導体ウエーハWは、環状の支持フレームFに装着されたダイシングテープTの表面に裏面が貼着された状態でカセット25に収容される。
【0016】
また、図示の実施形態における切削装置2は、カセット載置テーブル24上に載置されたカセット25に収容されている半導体ウエーハW(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)を仮置きテーブル26に搬出する搬出・搬入手段27と、仮置きテーブル26に搬出された半導体ウエーハWを上記チャックテーブル21上に搬送する第1の搬送手段28と、チャックテーブル21上で切削加工された半導体ウエーハWを洗浄する洗浄手段29と、チャックテーブル21上で切削加工された半導体ウエーハWを洗浄手段29へ搬送する第2の搬送手段290を具備している。
【0017】
図1に示す切削装置2は以上のように構成されており、以下その作用について簡単に説明する。
カセット載置テーブル24上に載置されたカセット25の所定位置に収容されている半導体ウエーハW(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)は、図示しない昇降手段によってカセット載置テーブル24が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、搬出・搬入手段27が進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハWを仮置きテーブル26上に搬出する。仮置きテーブル26に搬出された半導体ウエーハWは、第1の搬送手段28の旋回動作によって上記チャックテーブル21上に搬送される。チャックテーブル21上に半導体ウエーハWが載置されたならば、図示しない吸引手段が作動して半導体ウエーハWをチャックテーブル21上に吸引保持する。また、半導体ウエーハWをダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFは、上記クランプ211によって固定される。このようにして半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル21は、撮像手段23の直下まで移動せしめられる。チャックテーブル21が撮像手段23の直下に位置付けられると、撮像手段23によって半導体ウエーハWに形成されているストリートが検出され、スピンドルユニット22を割り出し方向である矢印Y方向に移動調節してストリートと切削ブレード223との精密位置合わせ作業が行われる。
【0018】
その後、切削ブレード223を矢印Zで示す方向に所定量切り込み送りし所定の方向に回転させつつ、半導体ウエーハWを吸引保持したチャックテーブル21を切削送り方向である矢印Xで示す方向(切削ブレード223の回転軸と直交する方向)に所定の切削送り速度で移動することにより、チャックテーブル21上に保持された半導体ウエーハWは切削ブレード223により所定のストリートに沿って切断される(切削工程)。この切削工程においては、図示しない加工液供給手段を作動して加工液供給ノズル225から加工液が切削ブレード223による加工部に向けて噴射される。このようにして、半導体ウエーハWを所定のストリートに沿って切断したら、チャックテーブル21を矢印Yで示す方向にストリートの間隔だけ割り出し送りし、上記切削工程を実施する。そして、半導体ウエーハWの所定方向に延在するストリートの全てに沿って切削工程を実施したならば、チャックテーブル21を90度回転させて、半導体ウエーハWの所定方向と直交する方向に延在するストリートに沿って切削工程を実行することにより、半導体ウエーハWに格子状に形成された全てのストリートが切削されて個々のチップに分割される。なお、分割されたチップは、ダイシングテープTの作用によってバラバラにはならず、環状のフレームFに支持されてウエーハの状態が維持されている。
【0019】
上述したように半導体ウエーハWのストリートに沿って切削工程が終了したら、半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル21は最初に半導体ウエーハWを吸引保持した位置に戻される。そして、半導体ウエーハWの吸引保持を解除する。次に、半導体ウエーハWは第2の搬送手段290によって洗浄手段29に搬送される。洗浄手段29に搬送された半導体ウエーハWは、ここで洗浄され乾燥される。このようにして洗浄・乾燥された半導体ウエーハWは、第1の搬送手段28によって仮置きテーブル26に搬送される。そして、半導体ウエーハWは、搬出・搬入手段27によってカセット25の所定位置に収納される。
【0020】
上述した切削工程において、図示しない加工液供給手段によって加工液供給ノズル225から切削ブレード223による加工部に噴射された加工液は、切削ブレード223および加工部を冷却した後に加工廃液として回収され、切削装置2に隣接して配設された加工廃液処理装置10によって純水に精製されて再利用される。なお、加工廃液処理装置10は、複数の切削装置2と接続し、複数の切削装置2で発生する加工廃液を回収して純水に精製して再度複数の切削装置2に供給するようにすることができる。この加工廃液処理装置10について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0021】
図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、装置ハウジング100を具備しており、この装置ハウジング100内に加工廃液処理装置の構成要素が配設されている。装置ハウジング100内に配設される加工廃液処理装置の構成要素について、図2を参照して説明する。
【0022】
図2には、本発明に従って構成された加工廃液処理装置の構成要素が加工廃液の流れに従って示されている。図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、上記切削装置2における加工時に加工液供給ノズル225から切削ブレード223による加工部に供給された加工液が加工によって生成された加工廃液を収容する廃液タンク3と、該廃液タンク3に収容された加工廃液を送給する廃液送給ポンプ30を具備している。廃液タンク3は、上記切削装置2に装備される加工廃液送出手段に配管31によって接続される。従って、廃液タンク3には切削装置2に装備される加工廃液送出手段から送られる加工廃液が配管31を介して導入される。この廃液タンク3の上壁に加工廃液を送給する廃液送給ポンプ30が配設されている。
【0023】
上記廃液送給ポンプ30によって送給される加工廃液は、フレキシブルホースからなる加工廃液送出管32を介して廃液濾過手段4に送られる。廃液濾過手段4は、清水受けパン41と、該清水受けパン41上に配置される第1のフィルター42aおよび第2のフィルター42bを具備している。この第1のフィルター42aおよび第2のフィルター42bは、清水受けパン41上に着脱可能に配置される。なお、上記廃液送給ポンプ30と第1のフィルター42aおよび第2のフィルター42bとを接続する加工廃液送出管32には電磁開閉弁43aおよび電磁開閉弁43bが配設されている。電磁開閉弁43aが附勢(ON)して開路すると廃液送給ポンプ30によって送給された加工廃液が第1のフィルター42aに導入され、電磁開閉弁43bが附勢(ON)して開路すると廃液送給ポンプ30によって送給された加工廃液が第2のフィルター42bに導入されるようになっている。第1のフィルター42aおよび第2のフィルター42bに導入された加工廃液は、第1のフィルター42aおよび第2のフィルター42bによって濾過され加工廃液に混入している切削屑が捕捉されて清水に精製され清水受けパン41に流出する。この清水受けパン41はフレキシブルホースからなる第1の清水送出管44によって清水貯水タンク5に接続されており、従って清水受けパン41に流出した清水はフレキシブルホースからなる第1の清水送出管44を介して清水貯水タンク5に送られ貯留される。
【0024】
上記加工廃液送出管32には、廃液濾過手段4の第1のフィルター42aおよび第2のフィルター42bに送給される加工廃液の圧力を検出する圧力検出手段33が配設されており、この圧力検出手段33は検出信号を後述する制御手段に送る。例えば、上記電磁開閉弁43aを附勢(ON)して加工廃液を第1のフィルター42aによって濾過している状態において、圧力検出手段33からの検出信号が所定圧力値以上に達したならば、後述する制御手段は第1のフィルター42aに加工屑が堆積してフィルターとしての機能が失われたと判断し、電磁開閉弁43aを除勢(OFF)して、電磁開閉弁43bを附勢(ON)する。そして、後述する制御手段は、第1のフィルター42aから第2のフィルター42bに切り換えたことを後述する操作盤に設けられた表示手段に表示する。このように表示手段に表示されたメッセージに基いてオペレータは第1のフィルター42aが寿命に達したことを感知し、フィルターを交換することができる。また、上記電磁開閉弁43bを附勢(ON)して加工廃液を第2のフィルター42bによって濾過している状態において、圧力検出手段33からの検出信号が所定圧力値以上に達したならば、後述する制御手段は第2のフィルター42bに加工屑が堆積してフィルターとしての機能が失われたと判断し、電磁開閉弁43bを除勢(OFF)して、電磁開閉弁43aを附勢(ON)する。そして、後述する制御手段は、第2のフィルター42bから第1のフィルター42aに切り換えたことを後述する操作盤に設けられた表示手段に表示する。
【0025】
上記廃液濾過手段4からフレキシブルホースからなる第1の清水送出管44を介して送られ清水貯水タンク5に貯留された清水は、清水送給ポンプ50によって送給されフレキシブルホースからなる第2の清水送出管51を介して純水生成手段6に送られる。図示の実施形態における純水生成手段6は、支持台61と、該支持台61に立設された仕切り板611と、支持台61における仕切り板611の後側に配置された紫外線照射手段62と、支持台61における仕切り板611の前側に配置されたイオン交換樹脂を収容した第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bと、支持台61における仕切り板611の後側に配置された精密フィルター64を具備している。この第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bと精密フィルター64は、支持台61上に着脱可能に配置される。上記清水送給ポンプ50によって送給されフレキシブルホースからなる第2の清水送出管51を介して送られた清水は、紫外線照射手段62に導入され、ここで紫外線(UV)が照射されることによって殺菌される。紫外線照射手段62において殺菌処理された清水は、第3の清水送出管65を介して第1のイオン交換樹脂ボンベ63aまたは第2のイオン交換樹脂ボンベ63bに導入される。
【0026】
ここで、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bについて、図4を参照して説明する。
図4に示す第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bは、ボンベ631と、該ボンベ631内に収容されたイオン交換樹脂632と、ボンベ631の上部からイオン交換樹脂632を挿通して配設された清水供給パイプ633を具備している。清水供給パイプ633は、上端に清水供給口633aを備え、ボンベ631から突出して配設されている。また、清水供給パイプ633の下端には、フィルター634が配設されている。ボンベ631の上端部には純水送出口631aが設けられており、この純水送出口631aはボンベ631の上端部に配設されたフィルター635を通してボンベ631に連通している。このように構成された第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bは、清水供給口633aが第3の清水送出管65に接続され、純水送出口631aが第1の純水送出管67に接続されている。なお、第3の清水送出管65には電磁開閉弁66aおよび電磁開閉弁66bが配設されている。電磁開閉弁66aが附勢(ON)して開路すると殺菌処理された清水が第1のイオン交換樹脂ボンベ63aに導入され、電磁開閉弁66bが附勢(ON)して開路すると殺菌処理された清水が第2のイオン交換樹脂ボンベ63bに導入されるようになっている。
【0027】
第1のイオン交換樹脂ボンベ63aまたは第2のイオン交換樹脂ボンベ63bに導入された清水は、イオンが交換されて純水に精製される。このようにして清水がイオン交換されて精製された純水には、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bに収容されたイオン交換樹脂の樹脂屑等の微細な物質が混入されている場合がある。このため、図示の実施形態においては上述したように第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bによって清水がイオン交換されて精製された純水を第1の純水送出管67を介して精密フィルター64に導入し、この精密フィルター64によって純水に混入されているイオン交換樹脂の樹脂屑等の微細な物質を捕捉する。
【0028】
なお、上記第1の純水送出管67には、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bから精密フィルター64に送給される純水の圧力を検出する圧力検出手段68が配設されており、この圧力検出手段68は検出信号を後述する制御手段に送る。例えば、圧力検出手段68からの検出信号が所定圧力値以上に達したならば、後述する制御手段は精密フィルター64に樹脂屑等の微細な物質が堆積してフィルターとしての機能が失われたと判断し、後述する操作盤に設けられた表示手段に表示する。このように表示手段に表示されたメッセージに基いてオペレータは精密フィルター64が寿命に達したことを感知し、フィルターを交換することができる。
【0029】
また、上記第1の純水送出管67には、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aまたは第2のイオン交換樹脂ボンベ63bから精密フィルター64に送給される純水の比抵抗を検出するための比抵抗計69が配設されており、この比抵抗計69は検出信号を後述する制御手段に送る。後述する制御手段は、上記電磁開閉弁66aを附勢(ON)して清水を第1のイオン交換樹脂ボンベ63aによって純水に精製している状態において、比抵抗計69からの検出信号が所定値(例えば10MΩ・cm)以下に達したならば、後述する制御手段は第1のイオン交換樹脂ボンベ63aによる純水精製能力が低下したと判断し、電磁開閉弁66aを除勢(OFF)して、電磁開閉弁66bを附勢(ON)する。そして、後述する制御手段は、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aから第2のイオン交換樹脂ボンベ63bに切り換えたことを後述する操作盤に設けられた表示手段に表示する。このように表示手段に表示されたメッセージに基いてオペレータは第1のイオン交換樹脂ボンベ63aが寿命に達したことを感知し、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aを交換することができる。また、上記電磁開閉弁66bを附勢(ON)して第2のイオン交換樹脂ボンベ63bによって清水を純水に精製している状態において、比抵抗計69からの検出信号が所定値(例えば10MΩ・cm)以下に達したならば、後述する制御手段は第2のイオン交換樹脂ボンベ63bによる純水精製能力が低下したと判断し、電磁開閉弁66bを除勢(OFF)して、電磁開閉弁66aを附勢(ON)する。そして、後述する制御手段は、第2のイオン交換樹脂ボンベ63bから第1のイオン交換樹脂ボンベ63aに切り換えたことを後述する操作盤に設けられた表示手段に表示する。
【0030】
図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、上記第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bを交換した際に、イオン交換樹脂ボンベ内に溜まっている空気を排出するための空気排出手段7を具備している。この空気排出手段7は、上記第1の純水送出管67と清水貯水タンク5とを連通する空気排出管71と、該空気排出管71に配設された電磁開閉弁72を具備している。電磁開閉弁72は、除勢(OFF)している状態では閉路しており、附勢(ON)すると開路するように構成されている。また、図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、上記空気排出手段7に関連して第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bのそれぞれ純水送出口631aに接続する第1の純水送出管67には電磁開閉弁73aおよび電磁開閉弁73bが配設されている。電磁開閉弁73aおよび電磁開閉弁73bは、除勢(OFF)している状態では閉路しており、附勢(ON)すると開路するように構成されている。更に、図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、上記空気排出手段7に関連して第1の純水送出管67における空気排出管71との接続部より精密フィルター64側に配設された電磁開閉弁74を具備している。電磁開閉弁74は、除勢(OFF)している状態では閉路しており、附勢(ON)すると開路するように構成されている。
【0031】
上記純水生成手段6によって精製された純水は、フレキシブルホースからなる第2の純水送出管60を介して純水温度調整手段8に送られる。純水温度調整手段8に送られた純水は、ここで所定温度(例えば23℃)に調整され配管80を介して上記切削装置2に装備される加工液供給手段に循環せしめられる。
【0032】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、上記清水貯水タンク5に貯留された清水の水位を検出する清水水位検出手段52を具備している。この清水水位検出手段52は、検出信号を後述する制御手段に送る。また、図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、上記清水貯水タンク5に水を補給する水補給手段55を具備している。この水補給手段55は、上記清水水位検出手段52から送られる検出信号を入力した後述する制御手段によって制御され、配管56を介して清水貯水タンク5に水を補給する。なお、水補給手段55によって清水貯水タンク5に補給する水は市水でよい。
【0033】
上述した廃液タンク3、廃液濾過手段4、純水生成手段6、純水温度調整手段8および各配管等は、図1および図3に示す装置ハウジング100内に配置される。なお、図3には装置ハウジング100を構成する後述する各壁を透視し装置ハウジング100内に上記廃液タンク3、廃液濾過手段4、純水生成手段6、純水温度調整手段8および各配管等が配置された状態が示されている。図示の実施形態における装置ハウジング100は、直方体状の収容室を形成する枠体110と、該枠体110に装着される底壁121と上壁122と左側壁123と右側壁124と後壁125および枠体110の前側に装着され枠体110の前側に形成される前側開口101を開閉する開閉扉126とからなっている。
【0034】
このように構成された装置ハウジング100の底壁121上には、上記廃液タンク3と清水貯水タンク5および純水生成手段6が配置される。廃液タンク3は装置ハウジング100の底壁121における後壁125側に配置され、清水貯水タンク5は廃液タンク3に隣接して底壁121の中央部に配置され、純水生成手段6は清水貯水タンク5に隣接して底壁121における前側開口101側(開閉扉126側)に配置される。
【0035】
上記純水生成手段6は、図示の実施形態においては装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出し可能に配置されている。即ち、装置ハウジング100を構成する左側壁123と右側壁124の内面下端部には、互いに対向して配設され底壁121の上面と平行に前後方向に延びる一対のガイドレール130、130が配設されている。この一対のガイドレール130、130上に純水生成手段6の支持台61を載置することにより、純水生成手段6は一対のガイドレール130、130に沿って装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出し可能に支持される。従って、純水生成手段6を一対のガイドレール130、130に沿って装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出すことにより、純水生成手段6を構成する支持台61に配置された第1のイオン交換樹脂ボンベ63aおよび第2のイオン交換樹脂ボンベ63bと精密フィルター64の交換を容易に実施することができる。
【0036】
図示の実施形態における加工廃液処理装置10においては、装置ハウジング100内における上記純水生成手段6および清水貯水タンク5の上側に上記廃液濾過手段4が装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出し可能に配置されている。即ち、装置ハウジング100を構成する左側壁123と右側壁124の内面中間部には、互いに対向して配設され上記底壁121の上面と平行(一対のガイドレール130、130と平行)に前後方向に延びる一対のガイドレール140、140が配設されている。この一対のガイドレール140、140上に廃液濾過手段4の清水受けパン41を載置することにより、廃液濾過手段4は一対のガイドレール140、140に沿って装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出し可能に支持される。なお、廃液濾過手段4の引き出し操作を容易にするために、廃液濾過手段4を構成する清水受けパン41の前端には下方に突出する把手411が設けられている。従って、廃液濾過手段4を一対のガイドレール140、140に沿って装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出すことにより、廃液濾過手段4を構成する清水受けパン41に着脱可能に配置された第1のフィルター42aおよび第2のフィルター42bの交換を容易に実施することができる。このように廃液濾過手段4が引き出し可能に配置されているために、廃液濾過手段4の清水受けパン41と上記清水貯水タンク5とを接続する配管はフレキシブルホースからなる第1の清水送出管44によって接続されている。
【0037】
上述したように廃液濾過手段4の清水受けパン41と上記清水貯水タンク5とをフレキシブルホースからなる第1の清水送出管44によって接続することに関連して、装置ハウジング100における廃液濾過手段4の後壁125側にはフレキシブルホースからなる第1の清水送出管44を支持するホース支持板150が配設されている。このホース支持板150は、後壁125側に向けて高くなるように傾斜するとともに右側壁124側に向けて高くなるように傾斜する形状に構成されており、フレキシブルホースからなる第1の清水送出管44が自重により下方に湾曲するのを防止し、フレキシブルホースからなる第1の清水送出管44を清水受けパン41側が常に高い位置に位置付けられるように維持する。従って、清水受けパン41に流出した清水は、自重によりフレキシブルホースからなる第1の清水送出管44を通して清水貯水タンク5に流入することができる。
【0038】
図示の実施形態における加工廃液処理装置10においては、装置ハウジング100内における上記ホース支持板150の上側に上記純水温度調整手段8が配置される。即ち、装置ハウジング100を構成する左側壁123と右側壁124に装着された図示しない支持部材上に純水温度調整手段8が載置され、適宜の固定手段によって固定される。
【0039】
図示の実施形態における加工廃液処理装置10は、上記各構成手段の作動を制御する制御手段9と、該制御手段9に廃液処理開始情報等の処理情報を入力したり表示するための操作盤90を具備している。この制御手段9と操作盤90は、図示の実施形態においては一体的に構成されている。このように構成された制御手段9および操作盤90は、装置ハウジング100における廃液濾過手段4の上側に配置される。即ち、装置ハウジング100を構成する左側壁123と右側壁124に装着された図示しない支持部材上に制御手段9と、該制御手段9および操作盤90が載置され、適宜の固定手段によって固定される。このとき、操作盤90が装置ハウジング100の前側(開閉扉126側に配置されている側)に位置付けられる。なお、操作盤90には処理情報等を入力する入力手段91と、制御手段9による処理情報を表示する表示手段92等が配設されている。
【0040】
ここで、上記制御手段9について、図5を参照して説明する。
図5に示す制御手段9はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)901と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)902と、読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)903と、入力インターフェース904および出力インターフェース905とを備えている。制御手段9の入力インターフェース904には、上記圧力検出手段33、清水水位検出手段52、圧力検出手段68、比抵抗計69、入力手段91等からの検出信号および入力信号が入力される。そして、制御手段9の出力インターフェース905からは、上記廃液送給ポンプ30、電磁開閉弁43a、電磁開閉弁43b、清水送給ポンプ50、水補給手段55、電磁開閉弁66a、電磁開閉弁66b、電磁開閉弁72、電磁開閉弁73a、電磁開閉弁73b、電磁開閉弁74、表示手段92等に制御信号を出力する。
【0041】
図示の実施形態における加工廃液処理装置は以上のように構成されており、オペレータが入力手段91から廃液処理開始情報を入力すると、制御手段9は上記各構成手段を制御して上述したように廃液処理作業を実行する。そして、上述した廃液処理作業を実行している際に制御手段9は、上述したように圧力検出手段33からの検出信号に基いて廃液濾過手段4の電磁開閉弁43aを除勢(OFF)して電磁開閉弁43bを附勢(ON)した場合または電磁開閉弁43bを除勢(OFF)して電磁開閉弁43aを附勢(ON)した場合には、第1のフィルター42aから第2のフィルター42bまたは第2のフィルター42bから第1のフィルター42aに切り換えたことを操作盤90の表示手段92に表示する。このように表示手段92に表示されたメッセージに基いてオペレータは、第1のフィルター42aまたは第2のフィルター42bが寿命に達したことを感知し、装置ハウジング100の開閉扉126を開け、廃液濾過手段4を一対のガイドレール140、140に沿って装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出す。このとき、オペレータは廃液濾過手段4を構成する清水受けパン41に設けられた把手411を把持して引き出す。そして、オペレータは、表示手段92に表示されたメッセージに従って第1のフィルター42aまたは第2のフィルター42bを交換する。
【0042】
また、上述した廃液処理作業を実行している際に制御手段9は、上記圧力検出手段68からの検出信号が所定圧力値以上に達したならば、精密フィルター64の機能が失われたと判断し、操作盤90の表示手段92に表示する。このように表示手段に表示されたメッセージに基いてオペレータは、精密フィルター64が寿命に達したことを感知し、装置ハウジング100の開閉扉126を開け、純水生成手段6を一対のガイドレール130、130に沿って装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出す。このとき、オペレータは純水生成手段6を構成する支持台61に立設された仕切り板611に設けられた把手612を把持して引き出す。そして、オペレータは、表示手段92に表示されたメッセージに従って精密フィルター64を交換する。
【0043】
更に、上述した廃液処理作業を実行している際に制御手段9は、上記比抵抗計69からの検出信号が所定値(例えば10MΩ・cm)以下に達し、純水生成手段6の電磁開閉弁66aを除勢(OFF)して電磁開閉弁66bを附勢(ON)した場合または電磁開閉弁66bを除勢(OFF)して電磁開閉弁66aを附勢(ON)した場合には、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aから第2のイオン交換樹脂ボンベ63bまたは第2のイオン交換樹脂ボンベ63bから第1のイオン交換樹脂ボンベ63aに切り換えたことを操作盤90の表示手段92に表示する。このように表示手段92に表示されたメッセージに基いてオペレータは、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aまたは第2のイオン交換樹脂ボンベ63bが寿命に達したことを感知し、装置ハウジング100の開閉扉126を開け、純水生成手段6を一対のガイドレール130、130に沿って装置ハウジング100の前側開口101を通して引き出す。このとき、オペレータは上述したように純水生成手段6を構成する支持台61に立設された仕切り板611に設けられた把手612を把持して引き出す。そして、オペレータは、表示手段92に表示されたメッセージに従って第1のイオン交換樹脂ボンベ63aまたは第2のイオン交換樹脂ボンベ63bを交換する。
【0044】
上述したように寿命に達したイオン交換樹脂ボンベを新たなイオン交換樹脂ボンベに交換すると、新たなイオン交換樹脂ボンベには空気が存在するので、イオン交換樹脂ボンベが清水によって満たされるまでイオン交換樹脂ボンベ内の空気が加工装置に排出され、このため、加工装置側の純水供給パイプに溜まっている純水が排出されてしまい不経済であるという問題がある。従って、イオン交換樹脂ボンベに存在する空気を加工装置側に送ることなく排出することが望ましい。そこで、図示の実施形態における加工廃液処理装置10においては、交換したイオン交換樹脂ボンベに切り換えて清水を純水に精製する際には、イオン交換樹脂ボンベに存在する空気を排出する作業を実施する(空気排出工程)。以下、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aを交換した場合の空気排出工程について説明する。
【0045】
交換した第1のイオン交換樹脂ボンベ63aの空気排出工程を実施するには、制御手段9は電磁開閉弁74を除勢(OFF)するとともに空気排出手段7の空気排出管71に配設された電磁開閉弁72を附勢(ON)して開路する。そして、制御手段9は電磁開閉弁66bを除勢(OFF)して電磁開閉弁66aを附勢(ON)するとともに、電磁開閉弁73bを除勢(OFF)して電磁開閉弁73aを附勢(ON)する。この結果、清水送給ポンプ50によって送給された清水が第2の清水送出管51、紫外線照射手段62、第3の清水送出管65を介して第1のイオン交換樹脂ボンベ63aに導入される。このようにして清水が第1のイオン交換樹脂ボンベ63aに導入することによって、第1のイオン交換樹脂ボンベ63a内に存在していた空気が純水送出口631aから第1の純水送出管67に排出され、電磁開閉弁72を通り、空気排出管71を介して清水貯水タンク5に排出される。以上のようにして、空気排出工程を数十秒間作動することにより、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aに存在した空気を清水貯水タンク5を通して排出することができる。
【0046】
以上のようにして、第1のイオン交換樹脂ボンベ63aに存在した空気を排出したならば、制御手段9は、空気排出手段7の電磁開閉弁72を除勢(OFF)して閉路するとともに、電磁開閉弁74を附勢(ON)して開路する。この結果、交換したイオン交換樹脂ボンベに切り換えて清水を純水に精製する状態となる。このように、本発明による加工廃液処理装置10は、新たなイオン交換樹脂ボンベに交換した際には、上述した空気排出工程を実施してイオン交換樹脂ボンベに存在した空気を清水貯水タンク5を通して排出するので、空気が加工装置側に送られることがないため、加工装置側の純水供給パイプに溜まっている純水が排出されるという問題を解消することができる。また、イオン交換樹脂ボンベに存在した空気を完全に排出した後、イオン交換樹脂によって清水が純水に精製され加工装置に供給されるので、不純物となる空気がいつまでも滞留して純水の精製に時間を要することがなく、早期に安定した純水を作り出すことができる。
【符号の説明】
【0047】
2:切削装置
21:チャックテーブル
22:スピンドルユニット
221:スピンドルハウジング
222:回転スピンドル
223:切削ブレード
225:加工液供給ノズル
3:廃液タンク
30:廃液送給ポンプ
4:廃液濾過手段
41:清水受けパン
42a:第1のフィルター
42b:第2のフィルター
43a、43b:電磁開閉弁
5:清水貯水タンク
50:清水送給ポンプ
52:清水水位検出手段
55:水補給手段
6:純水生成手段
61:支持台
62:紫外線照射手段
63a:第1のイオン交換樹脂ボンベ
63b:第2のイオン交換樹脂ボンベ
64:精密フィルター
66a、66b:電磁開閉弁
7:空気排出手段
71:空気排出管
72:電磁開閉弁
9:制御手段
10:加工廃液処理装置
100:装置ハウジング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置の加工の際に加工液供給手段によって供給された加工液が加工によって生成された加工廃液を収容する廃液収容タンクと、該廃液収容タンクに収容された加工廃液を送給するポンプと、該ポンプによって送給された加工廃液を濾過して清水に精製する廃液濾過手段と、該廃液濾過手段によって精製された清水を貯水する清水貯水タンクと、該清水貯水タンクに貯水された清水を送給する清水送給ポンプと、該清水送給ポンプによって送給された清水を純水に精製するイオン交換樹脂を収容したイオン交換樹脂ボンベを含む純水生成手段と、該純水生成手段によって精製された純水を該加工装置に供給する加工液供給手段と、を具備する加工廃液処理装置において、
該純水生成手段の該イオン交換樹脂ボンベと該加工液供給手段とを結ぶ純水送出管と該清水貯水タンクとを空気排出管によって接続し、該空気排出管に開閉弁を配設するとともに該イオン交換樹脂ボンベと該加工液供給手段とを結ぶ純水送出管における該空気排出管との接続部より該加工液供給手段側に開閉弁を配設した、
ことを特徴とする加工廃液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−218134(P2012−218134A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89752(P2011−89752)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】