説明

加温性で無刺激性の潤滑剤抗真菌ゲル組成物

【課題】真菌性および細菌性の感染症を治療する、実質的に無水で加温性の無毒性で無刺激性の潤滑性組成の提供。
【解決手段】約80重量%乃至約98重量%の少なくとも2種類の多価アルコールと、ゲル化剤と、抗真菌性イミダゾールと、pH調節剤としての有機酸とを含有する組成物。多価アルコールとしては、好ましくはプロピレン・グリコールやポリエチレン・グリコールがあげられ、ゲル化剤としては、好ましくはヒドロキシプロピルセルロースがあげられ、pH調節剤としては好ましくは乳酸があげられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の内容の開示】
【0001】
本特許出願は米国特許出願第10/137,509号および同時係属の米国特許出願第
号(代理人整理番号第PPC834CIP号)の一部継続出願であり、これらは本明細書に参考文献として含まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は透明で、実質的に無水の、ゲル組成物に関連しており、これらの組成物は特定のアゾールの抗真菌性化合物を溶解してこれらを一定の可溶な形態で配給できる。現在、全ての市場において入手可能なアゾール含有の抗真菌薬および抗菌薬の配合物において、ミコナゾール、テルコナゾール、イトラコナゾール、クロトリマゾールおよびその他の不溶性の形態で存在しているアゾール等のような抗真菌性の物質は微細化した結晶としてクリーム、坐薬または軟膏等の種々の基材中に分散している。一般に、薬剤は一定の溶液の形態で配給される場合にはるかに効果が高い。しかしながら、アゾールの種々の化合物は、仮に有ったとしても、これらの化合物を配給するために現在において用いられている種々の半固形または固形の投薬形態において使用している従来の溶媒中において溶解性がほとんど無い。
【0003】
発明の背景
多くの女性は、それぞれの生涯において少なくとも一度は、膣の真菌感染に罹る。これらの感染症が生じることにおいて多様な理由が存在している。例えば、種々の抗生物質の広範囲な使用はカンジダ・アルビカンスの過剰増殖を助長する。この外陰膣炎(陰門膣カンジダ症またはVVC)として知られている状況は通常において膣内または口内のいずれかに適用されるアゾールの抗真菌剤により治療される。しかしながら、これらの患者はそれぞれの膣感染症が店頭販売(OTC)の種々の抗真菌性の製品により治療可能な一定の真菌性の感染症であると誤って見なされる場合が多い。すなわち、これらの患者は実際には一定の真菌性の感染症ではなく、一定の細菌性の感染症に罹っている可能性がある。さらに、OTCの抗真菌性の製品はこれらの細菌性の感染症(「細菌性膣炎(bacterial vaginosis)」としても知られている)、すなわち、VVCよりもさらに一般的である一定の慢性的な状況に対して有効ではない。臨床的に、細菌性膣炎は膣内の乳酸杆菌属における一定の共同性の減少による多数の嫌気性生物の増加により生じる多発性微生物型の膣感染症である。一方、OTCの抗真菌性の製品の無差別な使用は上記のような細菌性の種々の感染症をおおい隠す付加的な危険性を引き起こす可能性がある。
【0004】
安定な状況下において、上記の正常な膣内において支配的な生物である乳酸杆菌属は膣内のグリコーゲンから過酸化水素および乳酸を生成して膣内を酸性に維持することにより種々の嫌気性菌およびその他の細菌を抑制している。それゆえ、種々の真菌性または細菌性の感染症の治療のために膣内に適用することを目的としている種々の製品および組成物が乳酸杆菌属の母集団に悪影響を及ぼさないこと、およびこれらの製品および組成物が一定の健康な酸性の膣内のpH値を維持することを可能にすることが極めて重要である。
【0005】
膣炎および細菌性膣炎の発生が互い違いになっているが、細菌性の感染症を治療するために現在において利用可能であるわずかな数の製品だけが存在している。例えば、メトロゲル−バギナル(MetroGel-Vaginal)(登録商標)(メトロニダゾール)およびクレオシン(Cleosin)(登録商標)(クリンダマイシン)が細菌性の膣炎を治療するために処方により利用可能である。しかしながら、細菌性の膣炎に罹っている患者の約15%乃至30%が一定の治療後のVVC感染症を発展させていることが分かっている。
【0006】
従って、原因となる種々の生物を殺してVVCおよび細菌性の膣炎の両方を治療することにより真菌類または細菌のいずれかにより生じている膣内の感染症を治療する一定の製品が強く要望されている。
【0007】
VVCおよび細菌性の膣炎に対する既知の治療方法は一般に新規な種々の抗真菌性および抗菌性の化学物質、および既存の種々の化合物の利用可能性を高める浸透性向上用の配合物に関連している。
【0008】
例えば、PCT国際公開第WO99/63968A1号はポリソルベートおよび/またはポリオキシエチレン硬質化ヒマシ油による種々の水性の製剤および可逆的に熱ゲル化性の水性の製剤による低溶解性の種々の抗菌剤および抗真菌剤の高められた溶解性に関連している。また、PCT国際公開第WO99/43343A1号および米国特許第6,093,391号は一定のゲル化剤としてプルロニックP85を利用しているアゾールの抗真菌薬を含むペプチド基材の薬剤およびその他の治療剤の高められた活性を記載している。また、英国特許第2,327,344号は種々の傷、潰瘍およびやけどの治療のための銀スレート片との組み合わせにおける配合物中のアゾールの抗真菌性/抗菌性の誘導体を記載している。また、英国特許第2,187,956号および米国特許第4,803,066号は種々のやけど、潰瘍、皮膚および粘膜の病巣および感染症を治療するために一定のアゾール化合物との組み合わせにおける一定の抗菌性の銀化合物の混合物を用いている一定の局所的な薬剤組成物を記載している。また、フランス共和国特許第2,805,745号は一定の有機溶媒およびホルマリンを伴う溶液中に一定のセルロース系の皮膜形成剤を含有している抗真菌性および防腐性のネイル・ワニス組成物を記載している。また、PCT国際公開第WO99/18791号は遊離酸または塩の形態での一定のアミノ酸の使用を記載しており、この場合に、2種類以上のアミノ酸分子におけるそれぞれの窒素原子が一定の抗真菌性の化合物および/または一定の抗菌性の化合物としての一定の炭化水素置換している炭化水素基により連結している。
【0009】
ミコナゾール、テルコナゾール、イトラコナゾール、クロトリマゾール等のようなアゾールの抗真菌性の製品を可溶化するためのこれまでの方法は別の種々の有機溶媒との組み合わせにおけるエチル・アルコール等のような種々の有機溶媒の使用を含んでいた。しかしながら、種々のアルコールを基材とする組成物は種々の粘膜に対して刺激性であり、膣または口内への適用を目的としている種々の製剤において使用できない。
【0010】
それゆえ、VVCおよび細菌性の膣炎の両方に対処できると共に、膣内の乳酸杆菌属の母集団の生存および維持を選択的に可能にする一定の有効で効率的な製品に対する要望が依然として存在している。
【0011】
本発明の一例の目的は種々の不溶性またはわずかに可溶性のアゾール化合物の効力を高めてこれらの活性の範囲を広げるためにこれらのアゾール化合物を可溶化するための一定の手段を提供することである。また、真菌性および細菌性の感染症の両方を治療するために有効になる新規な組成物を開発することも本発明の目的である。
【0012】
発明の概要
本発明の組成物および方法は透明なゲル組成物に関連しており、この組成物において、種々のアゾール化合物が一定の完全に可溶性の状態で混合されている。本発明の組成物および方法は種々のアゾール誘導体、特に、種々のイミダゾールおよびトリアゾールの抗真菌性の誘導体に対応する溶媒として種々の多価アルコールを含有している。また、本発明の組成物は好ましくは一定のゲル化剤、さらに好ましくは一定のセルロース系のゲル化剤を含有している。好ましくは、この本発明の組成物において有用なセルロース系のゲル化用の誘導体は種々のヒドロコロイドである。なお、従来のセルロースを基材とするゲル化剤は水溶性であるだけであり、種々の有機溶媒との組み合わせにおいて用いられる場合にゲルを形成しない。
【0013】
さらに、種々の患者に対して種々の抗菌性の物質を配給することにおける本発明の組成物の使用に対して、当該本発明の組成物がこれらが適用される組織を加温するように作用してその組織を潤滑にするために役立つ点においてさらに付加的な利点が存在している。また、本発明の組成物は無毒性および無刺激性であり、皮膚または粘膜に対して接触するように設計されている個人用の潤滑剤として使用できる加温性の潤滑剤組成物としても使用可能である。水と接触すると、この本発明のゲル状およびゼリー状の組成物は温度が高まり、温かさを発生する。このことはこれらの組成物が適用される組織において一定の鎮静効果を有する。さらに、このことは従来の個人用の潤滑剤が使用時に伝えている冷温の感覚または知覚を実質的に排除する。
【0014】
本発明の組成物は優れた潤滑特性を有している。すなわち、本発明のゲルおよびゼリー状の組成物は市場において現在入手可能な同等の水性の潤滑剤製品よりも高い潤滑性を有している。さらに、本発明の組成物、特に、本発明のゼリー状の組成物はそれぞれの潤滑性が水による希釈時に高まることにおいて新規である。一方、これまでに知られている市場において入手可能な水性の組成物は水による希釈時に潤滑性が低下する。このことは本発明の組成物が湿っている膣または口内の粘膜に対して接触して使用することができ、その内部における水分に対する曝露時に潤滑性が高くなると言う点において特に有利である。
【0015】
無水の種々の組成物は皮膚および種々の粘膜に対して通常的に刺激性であると知覚されるが、本発明のゲルおよびゼリー状の組成物は予想外に無刺激性である。
【0016】
また、本発明の組成物は皮膚または種々の粘膜、好ましくは膣または口内の粘膜に対して適用できる。さらに、本発明の組成物は好ましくは実質的に無水であり、好ましくは少なくとも1種類の多価アルコールを含有している。
【0017】
本発明者は本発明の組成物に含まれている種々の多価アルコールが水または人間の体内の水分に接触する時にこれらが周囲の水の分子と反応して一定の温度の上昇を生じるか温かさを発生するので、上記の組成物が適用される組織において一定の鎮静効果が得られると理論づけている。
【0018】
予想外に、さらに、種々の組成物中における多価アルコールが粘膜に対して刺激性であると言う一般的な概念に反して、このような多価アルコールを含有している本発明の組成物は無刺激性であることが分かっている。本発明者は本発明の組成物および方法において有用である種々のヒドロコロイドがこれらが水と接触する時に膨潤して一定の潤滑性の被覆用のゲルを生じると理論づけている。この被膜は本発明の組成物における別の無水の種々の要素による刺激作用を物理的に遮断する。さらに、本発明の組成物において有用である種々の多価アルコールがそれぞれ保湿剤および湿潤化剤であるので、上記のヒドロコロイドが膨潤して粘膜組織の上に薄い膜を形成する時に、これらの膜がその組織の表面上にこれらの湿潤化剤を保持する。従って、本発明の組成物は閉経および老化を含む種々の要因により生じる膣内の乾燥および口内の乾燥等のような種々の乾燥の状況ならびに種々の疾患の状況を解消する。
【0019】
従って、本発明の組成物は皮膚および種々の粘膜に対して極めて穏やかである。また、本発明の組成物は口内の粘膜に適用される場合に鎮静作用を有しており、口およびのどの軽症の刺激を軽減するように機能できる。
【0020】
また、本発明の組成物における種々の多価アルコールの組み合わせ物は種々の抗真菌薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、鎮静薬、抗炎症性ステロイド、避妊薬、局所麻酔薬、ホルモン等を含むがこれらに限定されない他の場合において不溶性の種々の薬物を可溶化するための一定のビヒクルとして使用することも可能である。
【0021】
好ましくは、本発明の組成物は一定の酸性のpH値に維持されている。一定の酸性のpH値は健康な膣および口内の微生物叢の維持、特に、膣領域内における乳酸杆球菌の維持に極めて役立つ。従来の酸または緩衝液は種々の無水の組成物中において不溶性であることが知られている。好ましくは、本発明の組成物は一定の酸性のpH値を維持するためにその中において可溶性である一定の有機酸を含有している。さらに好ましくは、この有機酸は乳酸である。この乳酸は本発明の無水の組成物中において可溶性であるだけでなく、人間の組織内において発生する一定の天然の酸であり、本発明の組成物における使用において極めて安全である。このような有機酸は本発明の組成物が適用される種々の組織のpH値を低下することにおいて補助できる一定の酸性の物質として特に有用である。このことは粘膜の自然な酸性の環境を維持することに役立ち、適当な微生物叢の増殖を助長する。
【0022】
本発明の組成物はまた一定の断熱性の物質も含むことができ、この物質は本発明の組成物が皮膚または粘膜に供給された後にその組成物内の熱を維持することにより温度の増加を保つように機能する。さらに好ましくは、蜂蜜が一定の断熱性の物質として利用できる。
【0023】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の組成物は実質的に無水であり、好ましくは約20%よりも少ない水を含有しており、さらに好ましくは約5%よりも少ない水を含有しており、最も好ましくは約3%よりも少ない水を含有している。
【0024】
好ましくは、本発明の組成物は少なくとも1種類の多価アルコール、さらに好ましくは2種類の多価アルコールを含有している。好ましくは、本発明の組成物における多価アルコールの内の少なくとも1種類は一定のポリアルキレン・グリコールまたは以下の群、すなわち、グリセリン、プロピレン・グリコール、ブチレン・グリコール、ヘキサレン・グリコールまたは種々の分子量のポリエチレン・グリコール等および/またはこれらの組み合わせから選択される別の多価アルコールである。さらに好ましくは、本発明の組成物は一定のポリエチレン・グリコールを含有しており、最も好ましくはこのポリエチレン・グリコールは以下の群、すなわち、ポリエチレン・グリコール400またはポリエチレン・グリコール300から選択できる。さらに、本発明の組成物は当該組成物の約80重量%乃至約98重量%の一定の量で上記の多価アルコールを含有している必要がある。
【0025】
また、好ましくは、本発明の組成物は1種類以上の水溶性のセルロース誘導型の皮膜形成性の種々のポリマー、ゴム、キトサン等も含有している必要がある。好ましくは、このようなセルロース誘導型のポリマーはヒドロキシアルキルセルロースの種々のポリマーである。さらに好ましくは、このヒドロキシアルキルセルロース・ポリマーは以下の群、すなわち、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース等から選択される。最も好ましくは、上記のヒドロキシアルキルセルロース・ポリマーはデラウエア州、ウィルミントンのヘルクレス・インコーポレイテッド社(Hercules Incorporated)から市場において入手可能であるクルセル(Klucel)(登録商標)等のようなヒドロキシプロピルセルロースである。上記のセルロース誘導型のポリマーの大部分は水溶性であり、ヒドロキシプロピルセルロースを除く種々の無水の溶媒において不溶性であり、このヒドロキシプロピルセルロースは本発明の組成物における無水の多価アルコールの部分において完全に可溶性である。好ましくは、本発明の組成物は注ぎ流し可能な種々のゲルを形成するために約0.15重量%乃至約0.6重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含有しており、チキソトロープ性の種々のゼリーを形成するために約1%乃至約4%のヒドロキシプロピルセルロースを含有している。
【0026】
本発明のゲル組成物は最も好ましくは種々のイミダゾールおよびトリアゾールの抗真菌性の化合物を完全に溶解して透明な種々のチキソトロープ性のゲルを形成するためにプロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール300または400またはグリセリン等のような種々の多価アルコールとの組み合わせにおいてヒドロキシプロピルセルロースを含有している。
【0027】
上記の化合物を可溶化することはそれぞれの効力を高めるだけでなく、それぞれの活性の範囲を広げることにもなる。予想外に、可溶性の形態の上記抗真菌性の化合物はそれぞれの抗真菌性の活性に加えて抗菌性の活性を示すことが分かっている。一方、一定の不溶性の状態におけるこれらの治療剤は種々の真菌類または細菌の細胞壁を容易に且つ直接的に浸透できないので、それぞれの利用可能性が制限されてそれぞれの動作モードが限定される。しかしながら、これらの化合物が可溶性になると、これらは種々の真菌類および細菌の細胞壁の中に浸透できるようになる。このことは種々の生物に対するそれぞれの効力を高めるので、一定の比較的に低い濃度または投与量の化合物が一定の感染症を治療するために必要とされる。さらに、上記の治療剤はこの状態において同時に2種類以上の生物により生じる感染症を治療することができるようになる。このことは女性がその原因となる生物がどのような種類であってもそれぞれの感染症を治療するために1種類の製剤を使用することが可能になるので、膣の種々の感染症の治療を比較的に簡単に且つ比較的に実用的にする。
【0028】
本発明の組成物の別の予想外の利点は本発明の組成物における乳酸の存在が一定の健康な酸性の膣内のpH値を維持し、それゆえ、一定の健康な乳酸杆菌属の母集団を維持するために役立つことである。また、本発明の組成物は真菌類および望ましくない種々の細菌の細胞と戦うと共に適当な膣内の微生物叢の母集団を維持すると言う点において予想外に選択的である。
【0029】
本発明の組成物は好ましくは一定の断熱性の物質も含有している。さらに好ましくは、この断熱性の物質は蜂蜜またはイソプロピル・アルコールおよびミリスチン酸またはパルミチン酸等のような飽和した高分子量の種々の脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルにする必要がある。さらに、この断熱性の物質は上記組成物の約1重量%乃至約5重量%の一定の量で本発明の組成物中において存在している必要がある。
【0030】
本発明の組成物は予想外に自己保存性であり、一定の保存剤を必要としなくてもよい。しかしながら、微生物の増殖に対して一定の付加的な保証を与えるために一定の保存剤を加えることも可能である。このような保存剤は以下の物質、すなわち、メチルパラベン、安息香酸、ソルビン酸、没食子酸、プロピルパラベン等の内の1種類以上を含むがこれらに限定されない当該技術分野における熟練者において知られている種々の保存剤から選択できる。さらに、この保存剤は本発明の組成物の約0.01重量%乃至約0.75重量%の一定の量で本発明の組成物の中に存在できる。
【0031】
本発明の組成物は好ましくは一定のエステルを含むこともできる。さらに好ましくは、このエステルは一定の脂肪酸エステルである。最も好ましくは、このエステルはステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル等を含むことができるがこれらに限定されない。なお、最も好ましくはこのエステルはミリスチン酸イソプロピルである。
【0032】
本発明の組成物は1種類以上の水溶性のセルロース誘導型ポリマー、ゴム、キトサン等を含有できる。上記のようなポリマーは本発明の組成物の粘度および生体付着性を賦与する。好ましくは、上記のようなセルロース誘導型のポリマーはヒドロキシアルキルセルロースの種々のポリマーである。さらに好ましくは、このヒドロキシアルキルセルロース・ポリマーはヒドロキシプロピルセルロースまたはデラウエア州、ウィルミントンのヘルクレス・インコーポレイテッド社(Hercules Incorporated)から市場において入手可能なクルセル(Klucel)(登録商標)である。
【0033】
本発明の組成物において使用する上記の多価アルコールは加温性および熱発生性の物質として有用であると理論付けられている。また、蜂蜜は一定の断熱性の物質として機能して、上記の組成物が過度に冷温にならないように保護する。また、上記エステルは好ましくは一定の脂肪酸エステルであり、一定の軟化剤および潤滑剤として機能する。また、上記セルロース・ポリマーは一定の粘度増加剤として有用である。本発明の組成物はこれらが使用者の種々の組織、特に口内および膣の粘膜を、一定の冷温の感覚を伝えることなく、潤滑にして加温および鎮静することにおいて特異的である。さらに、これらの組成物は滑らかで潤滑性である。
【0034】
本発明の組成物はその特定の目的用途に応じて一定の液体、半固体、または固体にすることができる。また、本発明の組成物は種々のシロップ状の液体のゲル、注ぎ流し可能なゲルまたは濃厚なゼリーとして配合できる。好ましくは、これらの粘度はゲルの場合に約1,000cps乃至約7,000cps、また、ゼリーの場合に約60,000cps乃至約500,000cpsの範囲にする必要がある。また、本発明の組成物は軟質または硬質の種々のゼラチン・カプセル、坐薬に配合することができ、種々の布地またはポリマーに含浸することも可能である。
【0035】
本発明の組成物は一定の温かさの感覚を伝える個人用の潤滑剤として使用できる。この本発明の組成物により発生される温かさの感覚はこれらの組成物が供給される皮膚または種々の粘膜を鎮静することである。また、本発明の組成物は一定の甘くて快い味覚も有しており、この味覚はこれらの組成物が口内において用いられる場合に特に有益的である。
【0036】
本発明の組成物はまた種々の個人用の湿潤化剤としても使用することができ、これらは膣または口内の粘膜に供給される場合に一定の温かさの感覚を伝える。また、本発明の組成物は一定の温かさの感覚を伝えて膣の乾燥または乾燥した口内の状態を軽減する種々の湿潤化剤として使用できる。
【0037】
本発明の組成物はまた種々のホルモン、抗微生物薬、抗菌薬、抗生物質、非ステロイド系の抗炎症剤、殺精子薬、免疫拡張薬(immunodilators)、麻酔薬、植物抽出物、ビタミン、コルチコステロイドまたは抗真菌剤等を含むがこれらに限定されない薬物またはその他の治療剤を種々の生体膜に配給するための一定のビヒクルとして使用できる。
【0038】
上記の抗真菌剤は好ましくはミコナゾール、エコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、イトラコナゾール、ブタコナゾール、クロトリマゾール、チオコナゾール、フルコナゾールおよびケトコナゾール、ベリコナゾール、フェンチコナゾール、セルタコナゾール、ポサコナゾール、ビフォナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、エルビオール、ボルコナゾール、イソコナゾール、フルトリマゾール、チオコナゾールおよびこれらの薬剤として許容可能な塩類等を含むがこれらに限定されない種々のアゾールまたはイミダゾールである。また、別の抗真菌剤は一定のアリルアミンまたはテルナフィン、ナフチフィン、アモロルフィン、ブテナフィン、シクロピロクス、グリセオフルビン、ウンデシクレン酸(undecyclenic acid)、ハロプロジン、トルナフテート、ナイスタチン、ヨウ素、リロピロクス、ベイ(BAY)108888、プルプロマイシンおよびこれらの薬剤として許容可能な塩類を含むがこれらに限定されない別の化学的な系統群からの1種類を含むことができる。さらに、本発明の組成物における使用に特に適している物質は不溶性またはわずかに可溶性の種々のアゾール化合物であり、これらは本発明の方法に関連して投与時に抗真菌性および抗菌性の両方の活性を示すことができる。
【0039】
本発明の別の実施形態は1種類以上の抗生物質を含有している陰門膣またはその他の粘膜の用途のための組成物である。この抗生物質はメトロニダゾール、クリンダマイシン、チニダゾール、オルニダゾール、セクニダゾール、レファキシミン、トロスペクトマイシン、プルプロマイシン、およびこれらの薬剤として許容可能な塩類等を含むがこれらに限定されない群から選択できる。
【0040】
本発明の組成物の別の実施形態は1種類以上の抗ウイルス剤を含有している陰門膣またはその他の粘膜の用途のための組成物である。この抗ウイルス剤は好ましくは種々の免疫調節薬、さらに好ましくはイミキモド(imiquimod)、その種々の誘導体、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロン・アルファ、レチコロス(reticolos)、シドフォビル、ノノキシノール−9およびこれらの薬剤として許容可能な塩類等を含むことができるがこれらに限定されない。
【0041】
本発明の組成物のさらに別の実施形態は1種類以上の殺精子薬を含有している組成物である。これらの殺精子薬は好ましくはノノキシノール−9、オクトキシノール−9、ドデカエチレングリコール・モノラウレート、ラウレス10S、メトキシポリオキシエチレングリコール550ラウレート等を含むことができるがこれらに限定されない。
【0042】
本発明の組成物のさらに別の実施形態は種々の抗菌剤を含有している組成物である。これらの抗菌剤は好ましくはクロロヘキシジン・グルコネート、ポリスチレン・スルホン酸ナトリウム、セルロール硫酸ナトリウム、マイクロメートルおよびマイクロメートル以下の大きさの銀粒子、種々の銀の塩類およびその他の当業界において知られている抗菌性の物質を含むことができるがこれらに限定されない。
【0043】
本発明の組成物のさらに別の実施形態は種々の局所麻酔薬を含有できる組成物である。これらの局所麻酔薬は好ましくはベンゾカイン、リドカイン、ジブカイン、ベンジル・アルコール、樟脳、レゾルシノール、メントールおよび塩酸ジフェニルヒドラミン等を含むことができるがこれらに限定されない。
【0044】
本発明の組成物はまたアロエ、アメリカマンサク、カミルレ、水素添加ダイズ油およびコロイド状オートミール、ビタミンA、DまたはE等のような種々のビタミンおよびヒドロコルチゾン・アセテート等のような種々のコルチコステロイド等の種々の植物抽出物も含むことができる。
【0045】
本発明の組成物および方法の別の実施形態は膣萎縮症を伴う女性等のようなエストロゲンの補充を必要としている女性におけるエストロゲン分泌の減少を治療するために1種類以上のホルモンを含有している陰門膣の用途のための種々の組成物を含む。これらのホルモンは好ましくはエストラジオール、エストラジオール・ベンゾエート、エストラジオール・シピオネート、エストラジオール・ジプロピオネート、エストラジオール・エナンテート、抱合卵胞ホルモン、エストリオール、エストロン、硫酸エストロン、エチニル・エストラジオール、エストロフレート、キネストロールおよびメストラノールから成る群から選択されるエストロゲンを含むことができるがこれらに限定されない。
【0046】
本発明の組成物および方法の別の実施形態において、これらの組成物はこれらが供給される領域の温度を高めることによりその領域への血流を増加するために役立つことができるのでこれらの組成物自体により女性の性機能障害を治療するために有用になる可能性がある。あるいは、上記の組成物は女性の性機能障害(女性の性的覚醒障害、低活性性の性的欲求障害、オルガズム障害等のような女性の性的機能障害の種々の異なる態様を含む)を治療するために当該技術分野における熟練者において知られている薬剤ならびに性交不快症および/または膣痙、またはバルボジニアを治療して性交時の痛みを軽減するための薬剤を含むことができる。このような薬剤はエストロゲン、プロスタグランジン、テストステロン、カルシウム・チャネル遮断薬、コリン作用調節因子、アルファ−アドレナリン作用性レセプタ・アンタゴニスト、ベータ−アドレナリン作用性レセプタ・アゴニスト、CAMP依存性タンパク質キナーゼ活性化因子、超酸化物スカベンジャー、カリウム・チャネル活性化因子、エストロゲン様化合物、テストステロン様化合物、ベンゾジアゼピン、アドレナリン作用性神経抑制因子、HMG−CoAレダクターゼ抑制因子、平滑筋弛緩薬、アデノシン・レセプタ調節因子およびアデニル・シクラーゼ活性化因子等のような種々のホルモンを含む。さらに、上記の薬剤は種々のホスホジエステラーゼ−5抑制因子等も含む。
【0047】
本発明の組成物および方法の別の実施形態は月経困難症または月経痙攣症を治療するために1種類以上の鎮痛薬および/または非ステロイド系の抗炎症剤を含有している陰門膣の用途のための種々の組成物を含む。これらの鎮痛薬および非ステロイド系の抗炎症剤は好ましくはアスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、フェニルブタゾン、ブロムフェナク、フェナメート、スリンダク、ナブメトン、ケトロラク、およびナプロキセン等を含むことができるがこれらに限定されない。
【0048】
本発明組成物および方法のさらに別の実施形態は口内および陰門膣またはその他の粘膜における用途のための組成物を含み、この実施形態はその組成物の中における種々の多価アルコールおよび粘膜における水分の相互作用およびその後に放出される熱によりこれらの組成物および粘膜組織の温度を高めることによりその粘膜の中に供給されている組成物からの種々の活性物質の吸収を促進する一定の方法に関連している。
【0049】
本発明の組成物のさらに別の実施形態は陰門膣の用途のための組成物を含み、膣内の加温または加熱により月経困難症を予防および/または治療するための種々の組成物および方法に関連している。好ましくは、これらの組成物は膣内の領域を好ましくは約37℃乃至約42℃、さらに好ましくは約38℃乃至約41℃の一定の温度に加熱する。このような方法において使用するための本発明の組成物は月経困難症の治療のための種々の鎮痛薬および非ステロイド系の抗炎症剤等のような種々の活性物質を随意的に含有できる。本発明の組成物は一定のアプリケータにより膣の中に直接的に投与することができ、あるいは、膣内において適用するためのタンポン等のような膣用の装置の中に含浸できる。
【0050】
本発明の組成物は一定のタンポンの被膜として製造するか、吸収性のタンポン材料の全体に分散するか、一定のタンポンの芯として内部に封入することができる。上記の月経困難症を予防および/または治療するための加温用タンポンのための本発明の組成物は好ましくはカルボワックス・セントリー・PEG300NF(CARBOWAX SENTRY PEG 300 NF)、カルボワックス・セントリー・PEG400NF、カルボワックス・セントリー・PEG600NF、カルボワックス・セントリー・PEG900NF、カルボワックス・セントリー・PEG1000NF、カルボワックス・セントリー・PEG1450NF、カルボワックス・セントリー・PEG3500NF、カルボワックス・セントリー・PEG4000NF、カルボワックス・セントリー・PEG4600NF、およびカルボワックス・セントリー・PEG8000NFを商品名としてザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社(The Dow Chemical Company)(ミッドランド、ミシガン州)により製造されている種々の分子量のポリエチレン・グリコールの一定の混合物を含む。さらに、上記の月経困難症の予防および治療のための本発明の組成物は1種類以上の水溶性のセルロース誘導型のポリマーおよびゴムを含有することができ、これらのポリマーおよびゴムはグリセリン、プロピレン・グリコールおよびポリエチレン・グリコール等のような種々の多価アルコールの周囲にゲルを形成することにより、これらの多価アルコールの溶解を抑えて、溶媒和の熱の放出を長期化し、その上昇温度を好ましい温度範囲内に調整する。
【0051】
本発明の組成物は手によるか一定のスワブ材によるか当該技術分野における通常の熟練者において知られている任意の方法で口内または膣内の粘膜組織に適用できる。
【0052】
本発明はまた、実施例1において説明されているエピダーム(EpiDerm)(商標)スキン・モデル・アッセイを用いて、皮膚または粘膜の細胞に適用される種々の組成物等のような特定の種々の供給源により生じる刺激の相対的な量を決定および比較する一定の方法にも関連している。以下の実施例1は本発明の方法の使用例を示している。
【0053】
実施例1:種々の潤滑剤の刺激を試験するためのエピダーム(EpiDerm)(商標)スキン・モデル・アッセイ
エピダーム(EpiDerm)(商標)スキン・モデル・アッセイとして指定されている方法は標的細胞として人間の皮膚からの上皮細胞を使用し、マットテック・コーポレーション社(MatTek Corporation)から市場において入手可能である。このアッセイはベリッジ,M.V.(Berridge, M. V.)他,(1996年),ザ・バイオケミカル・アンド・セルラー・ベイシス・オブ・セル・プロリファレーション・アッセイズ・ザット・ユース・テトラゾリウム・ソルツ(The Biochemical and Cellular Basis of Cell Proliferation Assays That Use Tetrazolium Salts),バイオケミカ(Biochemica),4巻,p.14−19において記載されている。それぞれの試験材料は上皮細胞の培養表面に直接的に供給される。また、この試験は種々の試験材料の毒性を決定するためにこれまでに用いられていない。この試験材料の毒性は相対的な組織の生存可能性対時間に基づいて評価されている。実際の組織の生存可能性は対照および試験物品の処理した培養物中におけるMTTのNAD(P)H−依存性ミクロソーム酵素の減少により決定されている。このアッセイにおいて用いた陰性の対照は脱イオン水であり、陽性の対照はトリトンX−100である。曝露したそれぞれの細胞培養物を4,8,16および24時間にわたりそれぞれインキュベートしてMTTの減少についてアッセイした。これらのデータが相対的な生存率(相対的なMTTの減少率)対曝露時間の形態で図1乃至図4において以下に示されている。また、このアッセイにおける相対的な刺激が24時間の一定期間にわたる表皮細胞の生存率により表現されている。この結果、比較的に高い相対的な生存率を有する製品は毒性が比較的に低く、刺激性が低いが、比較的に低い生存率を有する製品は毒性または刺激性が比較的に高い。さらに、本発明の4種類の組成物の生存率は81.3%乃至90.3%の範囲であり、これらの本発明の組成物が本質的に無刺激性であることを示している。
【0054】
図1乃至図4は表皮モデルのバイオアッセイの結果をそれぞれまとめている。これらのデータは生存可能な細胞の割合(%)対4時間乃至24時間の範囲における曝露時間としてプロットされている。図1および図2は本発明の2種類の組成物である組成物1および組成物2の結果をそれぞれ示している。図3は市場において一定の確立されている個人用の潤滑剤であるK−Y(K-Y)(登録商標)リキッドの結果を示している。このK−Y(K-Y)(登録商標)リキッドは動物および人間の試験および長期間の人間の使用経験において安全で無刺激性であるとして確立されている。このK−Y(K-Y)(登録商標)リキッドの結果は24時間の曝露後において100.3%の生存可能な細胞を示している(図3)。
【0055】
本発明の実施例1(図1)および本発明の実施例2(図2)はそれぞれ91.1%および96.9%の生存可能な細胞を示している。また、図4は当業界において知られている一定の加温用の組成物の結果を示している。この製品はシナモン、チョウジノキ、ジンジャー・クローブおよびオレンジ等の一定の加温の感覚のための植物抽出物を使用している。この結果はこの製品に対する曝露の24時間後において37.6%だけの生存可能な細胞を示している。このことはこのような組成物が皮膚および種々の粘膜に対して刺激性になることを示している。一方、それぞれ91.1%および96.9%の生存可能な細胞を伴う本発明の組成物1および2は実際に無刺激性である。また、陽性の対照(トリトンX−100)は8時間の間隔において22.4%だけの生存可能な細胞を有していた。
【0056】
実施例2:温かさの発生
本発明の組成物は無水であり、1種類以上の多価アルコールを含有している。水と混合すると、これらの本発明の組成物において用いられている多価アルコールがこれらの組成物が供給される組織において一定の鎮静作用を有する一定の温度上昇を生じる。実際の使用において、本発明の組成物は膣または口内の粘膜の水分に対して相互作用することにより、温度を高めるか温かさの感覚を生じる。
【0057】
以下の表1においてまとめられている上記の「温かさの発生(generation of warmth)」のデータは本発明の組成物1および組成物1における成分のそれぞれの20mlを20mlの水と混同することにより得られている。これらの製品の温度および水の温度が水をその製品に対して加えるまえにそれぞれ記録されている。さらに、水の添加後に、その混合物が2分間にわたり混合されて、その実際の温度が記録されている。グリセリン、プロピレン・グリコールおよび蜂蜜は組成物1の成分である。表1から、水と混合されるとその混合物の温度がグリセリンの場合に9.0°F、プロピレン・グリコールの場合に13.5°F、ポリエチレン・グリコール400の場合に17.0°Fおよび本発明の実施例1の組成物の場合に12.5°Fだけそれぞれ上昇することが明らかである。さらに、組成物1におけるそれぞれの個々の成分の温度における上昇および%(重量/重量)の量に基づくこの組成物について計算した温度上昇は10.875°Fであった。また、この組成物1の場合の実際の記録されている温度上昇は12.5°Fであるので、予測された温度よりも1.625°Fだけ高く、このことはそれぞれの成分の組み合わせにより生じている予想外の温度上昇が存在していることを示している。
【0058】
【表1】

【0059】
計算された温度の上昇:それぞれの組成物による予測される温度の上昇を決定するために、その組成物におけるそれぞれの成分の割合をその成分の単独により発生する温度上昇と掛け合わせることによりその温度上昇に対する予測される寄与を得ている。さらに、これらの値を一緒に加えてその合計の予測される温度上昇を計算している。その後、これらの値をそれぞれの組成物により生じた実際の温度上昇と比較している。例えば、上記の表中の「K−Yウォーム(K-Y Warm)(登録商標)」組成物により生じる計算された温度上昇が以下のように求められて実際の温度上昇と比較されることによりその組成物の温かさの予想外に高い発生が決定されている。
プロピレン・グリコール(13.5の50%)=6.75
グリセリン(9.0の45%) =4.05
蜂蜜(1.5の5%) =0.075
合計 10.875
差:12.5−10.875=1.625
【0060】
実施例3:温かさの発生における含水量の影響
水分または水との接触時において、その溶液の熱が本発明の組成物の加温作用の原因になる。一方、水との偶発的な混合または過剰な水分に対する長期間の曝露により上記製品の加温能力に悪影響が及ぶ可能性があると言う問題が存在している。この実施例に従って、水は以下の表2において概説されているように約1%乃至約10%で変化しながら本発明の組成物に添加されている。それぞれの内容物は完全に混合されて、それぞれのサンプルは24時間にわたり室温において放置された後に、温かさの発生が以下のパラグラフにおいて概説されているように決定されている。これらの結果は温度における上昇が加えられた水の量に応じて比例的に減少しているが、約10%の水の添加において8.5°Fの温度上昇が依然として存在していることを示している。この実施例における結果が以下の表2において記載されている。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例4:人間の使用における温かさの知覚
246人の被験者により人間の使用の調査を行なった。この調査により得られたデータが以下の表3においてまとめられている。それぞれの被験者は本発明の組成物を使用するように要求されている。さらに、彼らは製品を使用している間に、以下のような、温かさの知覚に関する3種類の質問により尋ねられている。
1.接触時に温かいですか?
2.温かく感じますか?
3.冷たく感じなかったですか?
【0063】
さらに、それぞれの被験者は優れている、極めて良い、良い、まずまずである、不十分である、としてそれぞれの応答を記録するように要求されている。この内の肯定的な応答が以下の表3においてまとめられている。
【0064】
【表3】

【0065】
上記の表3において記載されているように、被験者の81.64%が上記の製品が「接触時に温かい」と言う肯定的な応答を記録しており、85.78%の被験者が上記の製品が「温かく感じる」と感じており、94.53%の被験者が上記の製品が「冷たく感じない」と記録している。
【0066】
実施例5:潤滑性の比較
アーマド(Ahmad)他は本明細書に参考文献として含まれる米国特許第6,139,848号において当業界において知られている種々の個人用の潤滑剤の潤滑性を試験するための一定の方法を記載している。この記載されている試験方法において、種々の販売されている個人用の潤滑剤の潤滑性が300秒(5分)の一定期間にわたり決定されている。この特許において開示されている潤滑性は上記のK−Yリキッド(K-Y Liquid)(登録商標)が一定の比較的に高い潤滑性を有していて、種々の競合製品よりも300秒の試験期間の間において比較的に長く持続していることを示している。この米国特許第6,139,848号において記載されている潤滑性のデータはその実験における「押し出し(push)」の段階において一定の負(−)の徴候が見られ、「引き込み(pull)」の段階において一定の正(+)の徴候が見られる。さらに、本発明の組成物が上記米国特許第6,129,848号において記載されている潤滑性の試験により試験されている。しかしながら、この試験の持続時間は16分(960秒)まで有効に延長されて、そのデータは負(−)の徴候を排除するために「曲線に適合する(curve-fit)」ように処理されている。この本発明の組成物1についての潤滑性のデータは図5において上記K−Yリキッド(K-Y Liquid)(登録商標)についてのデータに比較されている。この結果、このデータは本発明の組成物1がK−Yリキッド(K-Y Liquid)(登録商標)に比して一定の高い潤滑性を有していること、およびこの組成物1が16分(960秒)の一定の延長された期間にわたり高い潤滑性を維持していて、それゆえ、比較的に長く持続していることを示している。
【0067】
実施例6:溶液の熱
本発明の組成物の加温効果は、種々の発熱性の反応に対応する状況を形成することとは異なり、溶液の熱の発生により生じていると考えられる。発熱性の反応は2種類の化学薬品の間における一定の化学反応による熱の変化において生じて、制御できない。このような発熱性の化学反応は新しい種々の製品または化学的な物品を生じる可能性があるが、これらの一部は人間の種々の組織に対して適さない可能性がある。これに対して、一定の溶液が形成される時に、非類似および類似の種々の分子の引力の間の差により一定のエネルギーの変化が生じる。具体的に言えば、混合されているそれぞれの成分の分子の間において種々の結合が破壊されて、新しい結合がその製品の混合物または溶液において隣接している種々の分子の間に形成される。この機構は種々の反応物質から種々の生成物を形成するためにその構成原子の化学的な再配列が全く存在しないので一定の発熱反応とは異なっている。以下の実験から分かるように、最大の熱の発生または最高の温度上昇は18.8°Fであり、このことが上記の組成物を極めて穏やかに安全にしている。
【0068】
例えば、膣の種々の流体内(「X H2 O」)における本発明の組成物(組成物A)の場合の溶解の過程は以下の物理的な式により表現できる。

組成物A(1)+H2 O(1)→組成物A(X H2 O)

この表示の「組成物15(X H2 O)」はこの生成物がX(モル)のH2 O中における1(モル)の組成物15の一定の溶液であることを表現している。従って、本発明による一定の組成物である組成物15を一定の個人用の潤滑剤として用いることは自然に生じている膣の種々の流体の既存の量を変化しない。すなわち、この組成物は単にこれらの流体と一定の溶液を形成しているだけである。
【0069】
本発明の組成物の使用による熱の発生からの可能な最高の温度上昇は熱力学的な種々の原理により測定できる。例えば、本発明の組成物が水と接触して一定の溶液を形成する時にこれらの組成物により放出される熱を特徴付けるために示差熱量測定(DSC)が用いられている。この試験において、特定の組成物の一定の薄い膜が水の一定の薄い膜に供給される時に放出されるエネルギーが測定されている。一定の典型的な試験の結果が図6において示されている。この発熱の(すなわち、負の)ピークの領域が本発明の組成物および水の一定の溶液の形成中において放出される合計のエネルギーを表している。以下の表4は上記の一連の実験において放出されたエネルギーをまとめている。
【0070】
【表4】

【0071】
上記DSCにより測定されたエネルギー放出は膣組織の表面において見られると考えられる最大のエネルギーを示している。このことは上記DSCにより測定される溶液の形成中における水の薄い膜の中への熱の流れ(エネルギーの流れ)が膣組織の表面における流体中において考えられる熱の流れ(エネルギーの流れ)と同等であるからである。それゆえ、熱力学を用いてこの最高の可能な温度上昇を以下のように計算することができる。

max =Cpm・ΔTmax (式1)

この場合に、Qmax は組成物15および水の接触中(溶液の形成中)において放出される最大のエネルギーを表し、Cpmは組成物15および水の溶液の熱容量を表し、ΔTmax は最高の温度上昇を表している。従って、上記式1を変形することにより、本発明者は放出された最大のエネルギーおよび組成物15の溶液の熱容量の既知のまたは測定されている各値に基づいて以下のように最大の温度上昇であるΔTmax を計算することができる。

ΔTmax =Qmax /Cpm (式2)
【0072】
一定の正規分布を採用することにより、上記表4におけるそれぞれの実験結果を以下のようなQmax の最大値についての一定の最悪の場合の推定値に到達するために使用できる。

max ={平均の実験のエネルギー放出+3×(実験のエネルギー放出の標準偏差)}/(組成物15の平均の量)
={(340.405mJ)+(3)(67.045mJ)}/(22.89mg)
=(541.539mJ/22.89mg) (式3)
(この式をその上限値が正規分布における99.73%の上側の信頼性限界値を表しているとして使用する。)
【0073】
pmの場合に、組成物15における比較的に小さな値のCp および水におけるCp の値がその最小値に対応する一定の最悪の推定値を得るために使用できる。

p (組成物15)=0.54cal/(g−℃)
p (組成物15)=1.00cal/(g−℃)であるので、
pm(最悪の場合の最小値)=0.54cal/(g−℃)になる。 (式4)
【0074】
それゆえ、上記組成物15における熱の発生による可能な最低温度の上昇値の一定の最悪の場合の推定値は上記の式2,3および4を組み合わせて用いることにより以下のように得ることができる。

ΔTmax =Qmax /Cpm
=((541.539mJ)/(22.89mg))/(0.54cal/(g−℃)×0.23901cal/J
=10.5℃または=18.8°F
【0075】
従って、上記組成物15の使用時における最大の熱の放出は、せいぜい、約10.5℃または18.8°Fであり、熱における比較的に小さな上昇になり、本発明の組成物により生じる温度上昇が使用者にとって安全で快適であることを示している。
【0076】
温かさの発生
組成物10,11および12を以下の手順に従って試験して水との混合時においてこれらの組成物が温かさを発生する程度を決定した。それぞれのデータは20mlのそれぞれの組成物を20mlの水に混合することにより得られている。上記組成物の温度および水の温度が水を組成物に加える前に記録されている。さらに、水の添加後にその内容物を2分間にわたり混合した後に、その実際の温度が記録されている。これらの結果が以下の表において記載されている。
【0077】
【表5】

【0078】
本発明者は上記の組成物10,11および12における温度の上昇をそれぞれ計算した。
組成物10
プロピレン・グリコール(13.5の38%)=5.13
ポリエチレン・グリコール400(17.0の61.5%)=10.45
合計:15.58°F
組成物11
この組成物11においては上記の計算された温度の上昇は15.58°Fである。
組成物12
この組成物12においては上記の計算された温度の上昇は15.15°Fである。
【0079】
上記3種類の全ての組成物における計算された温度は実際の温度の上昇に極めて近い。
【0080】
実施例8:潤滑性の比較
上記実施例3において記載されている種々の個人用の潤滑剤の潤滑性を試験および比較するための方法を用いて、本発明の組成物の潤滑性を決定した。以下はこれらの結果のまとめである。
【0081】
本発明のそれぞれのゲル組成物はアーマド(Ahmad)他による米国特許第6,139,848号において記載されている種々の水性のゲル組成物と同程度に潤滑性である。図7において、市場において入手可能なKY(KY)(登録商標)ゼリーの潤滑性がその市場において入手可能な形態および水による1:1の希釈物の両方においてそれぞれ測定されている。この希釈において、上記の潤滑性は実質的に増加しなかった。
【0082】
本発明のゼリー組成物は当業界において知られている人工の種々の水性のゼリーの状態に比べた場合に潤滑性が高い。本発明の組成物14が初期的に作成された状態および水による1:1の希釈物において潤滑性について測定されている。予想外に、その潤滑性は希釈時において実質的に(約4倍に)上昇している。これらのデータが図8において示されている。従って、本発明のゼリー組成物は潤滑性が比較的に高くなり、あるいは、それぞれの組成物を1:1の比率で水により希釈した場合にそれぞれの潤滑性が高まっている。図9はそれぞれの初期的な形態におけるKY(KY)(登録商標)ゼリーおよび組成物14の潤滑性の比較を示している。また、図10は本発明の2種類の加温用のゲル組成物、すなわち、組成物13および14の潤滑性を示しており、それぞれの高い潤滑性が示されている。さらに、図11はKY* ウルトラゲルおよび希釈した組成物14を示している。
【0083】
実施例9:本発明の組成物
本発明の以下の組成物を以下のようにそれぞれ作成した。先ず、プロピレン・グリコールおよびグリセリンを混合した。その後、一定の保存剤および断熱性の物質を上記と同一の容器内において上記の混合物に加えた。その後、この混合物を約35℃乃至約45℃に加熱して上記の保存剤を完全に溶解した。次に、この混合物を冷却した。さらに、一定の滑らかなゲルまたはゼリーが得られるまで約60℃乃至約70℃の一定温度で一定の高速度ミキサーの中においてプロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールおよびヒドロキシプロピルセルロースを混合することによりそれぞれのゲル状およびゼリー状の組成物を作成した。さらに、この結果として得られたゲルまたはゼリーを約45℃乃至約55℃の一定温度に冷却して、乳酸を加えた。この素材を約15分間にわたり、あるいは、乳酸が溶解するまで継続して混合した。その後、この素材を室温まで冷却した。
【0084】
組成物1:
プロピレン・グリコール 50.00%
グリセリン 45.00%
蜂蜜 5.00%
【0085】
組成物2:
プロピレン・グリコール 50.00%
グリセリン 20.00%
ミリスチン酸イソプロピル 27.00%
ポリソルベート60 3.00%
【0086】
組成物3:
プロピレン・グリコール 95.00%
蜂蜜 5.00%
【0087】
組成物4:
プロピレン・グリコール 50.00%
グリセリン 20.00%
ミリスチン酸イソプロピル 29.50%
クルセルHF 0.50%
【0088】
組成物5:
プロピレン・グリコール 99.50%
クルセルHF 0.50%
【0089】
組成物6:
プロピレン・グリコール 49.80%
グリセリン 45.00%
蜂蜜 5.00%
保存剤 0.20%
【0090】
組成物7:
硝酸ミコナゾール 2.00%
プロピレン・グリコール 49.80%
グリセリン 43.00%
蜂蜜 5.00%
保存剤 0.20%
【0091】
組成物8:
フルコナゾール 2.00%
プロピレン・グリコール 49.80%
グリセリン 43.00%
蜂蜜 5.00%
保存剤 0.20%
【0092】
組成物9:
メトロニダゾール 3.00%
プロピレン・グリコール 49.80%
グリセリン 42.00%
蜂蜜 5.00%
保存剤 0.20%
【0093】
組成物10(ゲル):
プロピレン・グリコール 38.00%
ポリエチレン・グリコール400 61.05%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.75%
【0094】
組成物11(ゼリー):
プロピレン・グリコール 37.00%
ポリエチレン・グリコール400 61.05%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.75%
【0095】
組成物12(ゲル):
プロピレン・グリコール 48.00%
ポリエチレン・グリコール400 51.30%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.50%
【0096】
組成物13(ゼリー):
プロピレン・グリコール 48.55%
ポリエチレン・グリコール400 50.00%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.25%
【0097】
組成物14(ゼリー):
プロピレン・グリコール 98.55%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.25%
【0098】
組成物15(ゼリー):
ポリエチレン・グリコール400 98.55%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.25%
【0099】
組成物16(ゲル):
ポリエチレン・グリコール400 99.50%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.30%
【0100】
組成物17(ゲル):
プロピレン・グリコール 74.50%
グリセリン 25.00%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.30%
【0101】
組成物18(ゲル):
プロピレン・グリコール 74.50%
ポリエチレン・グリコール400 25.00%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.30%
【0102】
組成物19(ゲル):
プロピレン・グリコール 69.50%
ポリエチレン・グリコール400 15.00%
グリセリン 15.00%
乳酸 2.00%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.30%
【0103】
組成物20(ゼリー):
プロピレン・グリコール 73.55%
ポリエチレン・グリコール400 25.00%
乳酸 0.20%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.25%
【0104】
組成物21:
プロピレン・グリコール 47.80%
ポリエチレン・グリコール400 48.00%
ヒドロキシプロピルセルロース(クルセルHF) 2.00%
乳酸 0.20%
硝酸ミコナゾール 2.00%
【0105】
組成物22:
プロピレン・グリコール 35.00%
ポリエチレン・グリコール400 60.80%
ヒドロキシプロピルセルロース(クルセルHF) 2.00%
乳酸 0.20%
硝酸ミコナゾール 2.00%
【0106】
組成物23:
プロピレン・グリコール 48.80%
ポリエチレン・グリコール400 48.00%
ヒドロキシプロピルセルロース(クルセルHF) 2.00%
硝酸ミコナゾール 2.00%
【0107】
組成物24:
プロピレン・グリコール 47.80%
ポリエチレン・グリコール400 46.00%
ヒドロキシプロピルセルロース(クルセルHF) 1.00%
ポリビニルピロリドン(K29−32) 3.00%
乳酸 0.20%
硝酸ミコナゾール 2.00%
【0108】
組成物25:
プロピレン・グリコール 48.80%
ポリエチレン・グリコール400 48.00%
ヒドロキシプロピルセルロース(クルセルHF) 2.00%
イトラコナゾール 2.00%
【0109】
実施例10:抗菌性および抗真菌性の活性についての生体外における試験
生体外におけるタイム−キル(Time-Kill)調査を用いて本発明の組成物の抗菌性および抗真菌性の活性を試験した。細菌性の膣内感染症(BV)を引き起こすことが知られている膣内の嫌気性菌の一定のバッテリー、すなわち、陰門膣カンジダ症(VVC)の原因となるカンジダ・アルビカンスおよび乳酸杆菌属の菌株を用いてこれらの試験生物を抑制および殺菌するために必要な接触時間の長さを決定した。この試験の結果が以下の表6においてまとめられている。これらの結果は本発明の組成物1,2および3が0時間以内に、あるいは、ほとんど瞬間的にBVを生じる細菌およびカンジダ・アルビカンスを殺すことを示している。
【0110】
予想外に、本発明の組成物は24時間後においても増殖し続けていた乳酸杆菌属に全く悪影響を及ぼしていなかった。これらの結果は上記組成物のゲルが真菌性および細菌性の両方の膣内感染症を治療するために有効になることを示している。
【0111】
【表6】

なお、本願の実施態様は以下のとおりである。
(1)少なくとも1種類の多価アルコール、一定のゲル化剤および一定の抗真菌性アゾール化合物を含有している無水の抗真菌性ゲル組成物。
(2)前記抗真菌性の化合物が一定のイミダゾール化合物を含む実施態様(1)に記載の組成物。
(3)前記イミダゾール化合物がエコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、イトラコナゾール、ブタコナゾール、クロトリマゾール、チオコナゾール、フルコナゾールおよびケトコナゾール、ベリコナゾール、フェンチコナゾール、セルタコナゾール、ポサコナゾール、ビフォコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、エルビオール、ボルコナゾール、イソコナゾール、フルトリマゾール、チオコナゾールおよびこれらの薬剤として許容可能な塩類から成る群から選択される実施態様(2)に記載の組成物。
(4)前記組成物がさらに一定のpH調節剤を含有している実施態様(1)に記載の組成物。
(5)前記多価アルコールがグリセリン、アルキレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールおよびこれらの一定の混合物から成る群から選択される実施態様(1)に記載の組成物。
(6)前記ゲル化剤がヒドロキシプロピルセルロースである実施態様(1)に記載の組成物。
(7)前記pH調節剤が一定の有機酸である実施態様(4)に記載の組成物。
(8)前記有機酸が一定のアルファヒドロキシ酸である実施態様(7)に記載の組成物。
(9)前記アルファヒドロキシ酸が乳酸である実施態様(8)に記載の組成物。
(10)前記ポリエチレン・グリコールがポリエチレン・グリコール300、ポリエチレン・グリコール400およびこれらの一定の混合物から成る群から選択される実施態様(5)に記載の組成物。
(11)前記組成物が約75重量%乃至約99重量%の多価アルコール、約0.1重量%乃至約4重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約0.1重量%乃至約1重量%の乳酸、および約0.25重量%乃至約20重量%の一定の抗真菌剤を含有している実施態様(1)に記載の組成物。
(12)前記組成物が一定の澄んだ透明なゲルである実施態様(1)に記載の組成物。
(13)陰門膣カンジダ症の治療を必要としている一定の患者に実施態様(1)に記載の一定の組成物を投与する処理を含む陰門膣カンジダ症を治療する方法。
(14)細菌性膣炎の治療を必要としている一定の患者に実施態様(1)に記載の一定の組成物を投与する処理を含む細菌性膣炎を治療する方法。
(15)陰門膣カンジダ症および細菌性膣炎の両方を伴う一定の患者に実施態様(1)に記載の一定の組成物を投与する処理を含む陰門膣カンジダ症および細菌性膣炎の両方を伴う一定の患者を治療する方法。
(16)前記組成物が膣内のpH値を約2乃至約5の一定の酸性のpH値に調節する実施態様(7)に記載の組成物。
(17)口内の真菌性および細菌性の感染症を伴う一定の患者に実施態様(1)に記載の一定の組成物を投与する処理を含む口内の真菌性および細菌性の感染症を伴う一定の患者を治療する方法。
(18)爪の真菌性および細菌性の感染症を伴う一定の患者に実施態様(1)に記載の一定の組成物を投与する処理を含む爪の真菌性および細菌性の感染症を伴う一定の患者を治療する方法。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】実施例1の組成物を使用している生活可能な表皮細胞の存在率(%)対曝露時間を示しているグラフである。
【図2】実施例2の組成物を使用している生活可能な表皮細胞の存在率(%)対曝露時間を示しているグラフである。
【図3】一定の最高技術水準の無刺激性の製品(K−Yリキッド(K-Y Liquid)(登録商標))を使用している生活可能な表皮細胞の存在率(%)対曝露時間を示しているグラフである。
【図4】一定の最高技術水準の加温性の製品(プロセンシュアル(Prosensual)(登録商標))を使用している生活可能な表皮細胞の存在率(%)対曝露時間を示しているグラフである。
【図5】実施例1の組成物および市場における3種類の最先端の個人用潤滑剤の潤滑性対時間(秒)を比較しているグラフである。
【図6】本発明の組成物が水に接触して一定の溶液を形成する時のこれらの組成物により放出される熱を特徴付けるために用いた一定の典型的な示差熱量測定(DSC)の結果を示しているグラフである。この試験において、特定の組成物の一定の薄い膜を水の一定の薄い膜に供給した場合に放出されるエネルギーが測定されている。
【図7】市場において入手可能なKY(KY)(登録商標)ゼリーのその市場において入手可能な形態および水による1:1の希釈物の両方において測定した潤滑性のグラフを示している。
【図8】本発明の組成物14の初期的に作成された状態および水による1:1の希釈物における潤滑性に関する潤滑性のグラフである。
【図9】KY(KY)(登録商標)ゼリーおよび組成物14のそれぞれの初期的な形態における潤滑性の比較のグラフである。
【図10】本発明の2種類の加温性のゲル組成物である組成物13および14の潤滑性を示しているグラフであり、それぞれの高い潤滑性を示している。
【図11】KY(KY)* ウルトラゲルおよび希釈した組成物14の潤滑性を示しているグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水の抗真菌性ゲル組成物において、
約80重量%乃至約98重量%の少なくとも2種類の多価アルコールと、ゲル化剤と、抗真菌性イミダゾールと、pH調節剤としての有機酸とを含有する抗真菌性ゲル組成物。
【請求項2】
前記抗真菌性化合物が、エコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、イトラコナゾール、ブタコナゾール、クロトリマゾール、チオコナゾール、フルコナゾールおよびケトコナゾール、ベリコナゾール、フェンチコナゾール、セルタコナゾール、ポサコナゾール、ビフォナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、エルビオール、ベルコナゾール、イソコナゾール、フルトリマゾール、チオコナゾールおよびこれらの薬剤として許容可能な塩から成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記多価アルコールが、グリセリン、アルキレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ゲル化剤がヒドロキシプロピルセルロースである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機酸がアルファヒドロキシ酸である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルファヒドロキシ酸が乳酸である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリエチレン・グリコールが、ポリエチレン・グリコール300、ポリエチレン・グリコール400およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約75重量%乃至約99重量%の多価アルコールと、約0.1重量%乃至約1重量%の乳酸と、約0.25重量%乃至約20重量%の抗真菌剤とを含有している請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が澄んだ透明なゲルである請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が膣内のpH値を約2乃至約5の酸性のpH値に調節する請求項1に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−46737(P2011−46737A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248334(P2010−248334)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2004−500835(P2004−500835)の分割
【原出願日】平成15年5月1日(2003.5.1)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】