説明

加湿エレメント及び加湿エレメントの製造方法

【課題】下部位置にあるカーボン凝結体微細気孔からの効率的な給水とともに、放散する水蒸気が上部位置を成す大きな気孔内で加温されて拡散するのを効率的に行うことができるとともに、迅速で微細な気化量の調整を可能とする加湿エレメントを提供する。
【解決手段】この発明に係る加湿エレメントは、誘電加熱を可能とする小さな粒度の黒鉛から成るカーボン凝結体と、大きな粒度の黒鉛から成るカーボン凝結体の界面が錐状の凹凸を形成して積層し、下部位置に微細な気孔を備えたカーボンの凝結体を配され、前記気孔内に親水性を発現する物質である薄膜が被覆された構造体をなすものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁誘導加熱によって発熱する加湿エレメントに関する。更に詳しくは、カーボンの粉粒を焼結した成形品から成り、該成形品の給水と水蒸気の放散を容易する構造の加湿エレメントに関する。また、その加湿エレメントの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住環境の加湿に用いる加湿器は、親水性の薄板を縦列して表面積を拡大した加湿エレメントを用いて前記薄板の表面に保持した水分の気化効率を向上させたものを用いて所望の加湿能力を確保している。その他に、加湿の際に加熱して水分の気化促進を図る気孔を備えたものがある。これら加湿エレメントは、高い親水性によって保水を促して毛細管現象によって内部に水分拡散を促すために基材に微細な気孔を具備して、水分の放散機能の効率を確保している。
【0003】
例えば、加湿器の気化フィルターにフィルター基材の表面に焼結処理した粒子を担持して空隙を形成したり、焼結したセラミックス多孔質体の如きフィルター自体に空隙を持たせ、さらに、空隙内に親水性物質を塗布したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、アルミナペーパにアルミナゾルを含浸させた後に成形・焼結を行うことによって得られた無機多孔質素材を加湿エレメントにするものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
これらの加湿器に用いられる加湿エレメントは、回転する円板の一部が水没して表面に保持した水の薄膜を気化させるのに対し、多孔質体に保持させた水分を気散させることによって加湿を行う。
【0006】
しかし、加湿の効率向上を達成するために加湿エレメント表面に水分を保持した状態で水分を気化させる方法において、気化熱による水温低下に伴う効率低下を来たす。これを抑制するために、吸水性の繊維素材と磁性材料から成る加湿フィルターユニットに近接した位置に電磁誘導コイルを配して加熱するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、加湿フィルターの外周面に電磁誘導コイルを配設することから加熱面を小さくせざるを得ないうえ、前記電磁誘導コイルが高湿度雰囲気に保持されるので、安全に対する信頼性確保が困難な構造を余儀なくされていた。これに対し、金属多孔体の片面に水路を形成して内部に貯水し、多孔体を風路として反対面に空気を透過させることにより、前記多孔体の内部に保持した水により加湿する燃料電池のガス加湿器が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
また、無機質繊維層を上部に設け、当接する三次元網目構造の多孔質板状体である焼結SiC多孔体が水面下になるように水受けを設け、前記焼結SiC多孔体を過熱した状態で空気が貫通するときに加湿する機構を備えた空気加湿器の加湿エレメントが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−198685号公報
【特許文献2】特開平08−021644号公報
【特許文献3】特開2007−085692号公報
【特許文献4】特開2005−032473号公報
【特許文献5】実開平05−094634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、加湿を行う場合、加湿エレメントに給水するために保持して蒸発に供さない水への加熱も必要であることから、加湿開始するまでに要する時間が不用意に長くなるほか、湿度の調整や保持が困難となる。反面、過度に少ない水分供給量は、加湿エレメントに保持した水分の急速な気化蒸散に伴って給水不足のほか、水中に溶け込んでいるカルシウムやマグネシウムなどの塩化物濃度が上昇してスケールとして多孔質体内に残留するので、水分保持量の低下と加湿性能の劣化を来す。
【0011】
また、水分供給量が過剰である場合には、多孔質が備える気孔内に過度な水分量を保持して加湿エレメントの気孔内からあふれて表面にも滞留するので、蒸発面積が著しく縮減する。その結果、水分気化に要する加熱効率の悪化とともに、加湿性能の低下を招くことになる。
【0012】
また、水分の放出が不十分で繰り返しの使用を余儀なくされる場合などには、侵入した雑菌が水の加温に伴う繁殖を促進するとともに、基材への給水停止時や乾燥処理時における菌糸の飛散を招く可能性があった。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、下部位置にあるカーボン凝結体微細気孔からの効率的な給水とともに、放散する水蒸気が上部位置を成す大きな気孔内で加温されて拡散するのを効率的に行うことができるとともに、迅速で微細な気化量の調整を可能とする加湿エレメントを提供する。また、その加湿エレメントの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る加湿エレメントは、誘電加熱を可能とする小さな粒度の黒鉛から成るカーボン凝結体と、大きな粒度の黒鉛から成るカーボン凝結体の界面が錐状の凹凸を形成して積層し、下部位置に微細な気孔を備えたカーボンの凝結体を配され、前記気孔内に親水性を発現する物質である薄膜が被覆された構造体をなすものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る加湿エレメントは、加湿エレメントが異なる大きさの気孔を備えた凝結体の界面が錐状の凹凸を配列した態様を成すので、水蒸気放散を容易にして急速な加熱に伴う給水不足に至っても、高さ方向での温度分布を形成したことに伴って水蒸気発生量の急速な減衰を回避できた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1を示す図で、加湿エレメントのカーボン凝結体が備える気孔の態様を示す模式部分断面図。
【図2】実施の形態1を示す図で、水槽内における加湿エレメントの配設状態を示す模式断面図。
【図3】実施の形態1を示す図で、水蒸気の放散量を、加熱開始5分後から15分後における水の減少重量で評価した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
本実施の形態は、誘電加熱が可能なカーボン凝結体成形品で、水分を含浸して保持する機能を備えた多孔質板(加湿エレメント)とその製造方法に関するものである。
【0018】
誘電加熱が可能な多孔質成形品は、小粒径黒鉛と炭素を高濃度に含有する熱硬化性樹脂のフェノール樹脂などとを複素化した成形材料を下方位置に配し、大粒径黒鉛と炭素を高濃度に含有する熱硬化性樹脂のフェノール樹脂などと複合化した成形材料を上方位置に配して、圧縮成形などの加熱・加圧によって得た成形品を、無酸素の高温雰囲気で焼成処理した凝結体である。
【0019】
下方位置では、多孔質成形品が水没して毛細管現象を得て吸水する機能を発現し、上方位置では、水蒸気の放散を円滑に行う機能を備える。
【0020】
本実施の形態は、特に、両黒鉛(小粒径黒鉛、大粒径黒鉛)を配設した界面の形状に新規性を付与するもので、保有する気孔内部に保持した水分のみが加熱されて放散するうえで、効率的に放散を促すため成形品内部の構造に関する。
【0021】
黒鉛粒子と炭素を多く含む熱硬化性樹脂のフェノール樹脂から成る成形材料を、任意形状の金型内で低圧負荷の加熱によって得た複合体の多孔質成形品を、高温の無酸素雰囲気下で焼成処理してカーボン凝結体を得る。カーボン凝結体が備える気孔の含有率と大きさは、黒鉛粒子の大きさとフェノール樹脂の混合比率で決定され、水分の侵入拡散と保持、水蒸気飛散の容易性に関わる適正な気孔の大きさを選択する。
【0022】
また、ホタテ貝やホッキ貝などの貝殻の粉砕物と、黒鉛粒子およびフェノール樹脂との混合物を成形材料として用いて得た成形材料を、800℃で焼成したカーボン凝結体を使用することにより、抗菌効果を備える。
【0023】
さらに、任意の太さを備えて焼成処理の条件下で炭化を来さずに分解生成物が飛散して消滅しやすい有機質の繊維、例えば、パルプなどの天然繊維、アクリルなどの合成繊維を混合し、焼成処理後の痕跡として連通する気孔を容易に生成できた。
【0024】
上記性状を備えたカーボン凝結体は、界面活性剤などによる薄膜形成やシラザンなどのシランカップリング剤を加水分解処理してシロキサンを形成するなど、薬剤溶液に浸漬して含浸後、乾燥または加熱処理をするなどして親水性の薄膜を気孔内に形成し、水分の含浸を容易にする態様を付与した。
【0025】
加湿器は、多孔質のカーボン凝結体近傍にコイルを配設して誘電加熱を可能とする構造を備えて自己発熱し、前記カーボン凝結体の気孔内に保持する水分を蒸気として放出する。このとき、加湿エレメントを水槽内に配設して、その下部を水没させて気孔内に水分の含浸させたのち、水槽の底部に設けた誘電コイルによる電磁誘導加熱を可能として、気孔内の水分気化による大気の加湿機能を付与するものである。
【0026】
具体的には、本実施の形態は、高周波磁場発生装置である誘導加熱コイルが発生する渦電流がカーボン凝結体を発熱させるように構成し、前記凝結体の下部位置に備える微細気孔の毛細管現象による効率的な給水を行うとともに、上部位置にある比較的大きな空隙内で水蒸気を再加熱する機構を備えた加湿器の加湿エレメントである。
【0027】
上記加湿エレメントの基材は、黒鉛粉粒の表面にフェノール樹脂を塗布した成形材料が金型内で加熱加圧することによって得た成形品を無酸素雰囲気下で焼成処理したカーボン凝結体で、下部位置に粒度分布の広い小さな黒鉛粉粒を配して毛細管現象による給水を行うとともに、上部位置には粒度分布の狭い大きな黒鉛粉粒を配して水蒸気の気散をし易くするように形成したものである。
【0028】
上述した、異なる黒鉛粉粒の積層は、水没させた加湿エレメントの下部から給水して微細気孔内に保持した水分の加熱に係る蒸散効率を向上させるために、誘電加熱による温度上昇が底部からの距離に応じて水蒸気発生量を変えることによって、給水不足に陥ることが無いように微細気孔を備えた凝結体を錐状に形成した。つまり、錐の底面近傍は激しい気化による給水不足の反面、頂部では温度が低いことから気化が緩慢になり水分を保持し易い。給水不足の状態では頂部への熱伝達量が増して温度が上昇するので、水蒸気の発生量が急速に減衰するのを回避できる。また、水蒸気の放散向上には粒度分布の広い小さな黒鉛粉粒から成る下部凝結体が錐状の凹凸を配列し、気化に供する面積を拡大させた。
【0029】
さらに、任意の太さを備えてフェノール樹脂の分解温度より低い温度で分解飛散する低炭素含有率の繊維物質、例えば、パルプなどの天然繊維やアクリルなどの合成繊維などを混合して、下部位置に微細気孔を形成するために粒度分布の広い小さな黒鉛粉粒に混合して用いた。
【0030】
また、成形品を無酸素雰囲気下で焼成処理したカーボン凝結体は疎水性が強く、水中に没しても気泡を保持して水の浸透を阻む態様を成すため、透水を促す親水性確保が必須である、本発明は、持続的効果を確保するため、シラザンをキシレン、ミネラルターペン、高沸点芳香族系溶媒の何れかに溶解した希薄溶液またはカルボニル基を備えた変性ポリビニルアルコールとヒドラジド系架橋剤を含む溶液に含浸後、カーボン凝結体を400〜450℃での加熱乾燥処理をして耐水性を確保した薄膜を固定化した。
【0031】
本実施の形態の加湿エレメントは、微細気孔を備えて毛細管による給水に供する下部位置が、内部に保持した水分が誘電発熱によって水蒸気を効率的に放散すること、上部位置を成す毛細管現象を伴わない大きい気孔が水蒸気の拡散と外気への放出を効率的に行うこと、を目的に構成されて成る。本実施の形態は、これらの気孔を備えた、異なる凝結体の界面の形状を複数のコーンを配列した如くの形状に形成した。
【0032】
また、加湿エレメントの上面には,大気の乾燥した空気を通過させ、ベンチュリ効果によって気孔内が減圧を成すことによって、水蒸気の放出と加湿エレメントの下部位置からの水分供給を円滑に行うことができる。
【0033】
本実施の形態の加湿エレメントは、下部位置にあるカーボン凝結体微細気孔からの効率的な給水とともに、放散する水蒸気が上部位置を成す大きな気孔内で加温されて拡散するのを効率的に行うことができる。また、微細な気孔内に含む微少な水を効率的に加熱して気化するので、迅速で微細な気化量の調整を可能とする特徴が付与される。
【0034】
下部位置の微細な気孔は、硬水の使用や水の追加供給に伴って発生するスケールなどの析出物や汚れの侵入を抑止して気孔を閉塞することなく、容易に排除できる、という特徴を付与した。
【0035】
一方、貝殻粉砕物を混合して焼成処理したカーボン凝結体を使用した場合には、加湿用水分が抗菌性を備えて衛生的な加湿の態様を確保することが出来る。
【0036】
具体的には、本実施の形態によれば、加湿エレメントの水没した下部位置にある小さい空隙が効率的に上部位置まで毛細管現象によって給水して過度な量を保持せず、上部位置の大きな気孔が貯水しないので水の蒸散に誘電加熱の過度な熱量を付与せず、任意の水蒸気発生量が確保できる。また、加湿エレメントは異なる大きさの気孔を備えた凝結体の界面が錐状の凹凸を配列した態様を成すので、水蒸気放散を容易にして急速な加熱に伴う給水不足に至っても、高さ方向での温度分布を形成したことに伴って水蒸気発生量の急速な減衰を回避できた。
【0037】
さらに、気孔内部に形成したシロキサンまたは水に不溶化した変性ポリビニルアルコールによって気孔を塞ぐことなしに形成した薄膜を保持して親水性を具備したので、気孔内への透水が容易となって気化に供する給水を円滑に行うことができる。
【0038】
また、加湿エレメントの水没部分に微細な気孔を具備したので、使用する水の硬度が高い場合や洗浄すること無しで繰り返しの水補給に伴ってカルシウムやマグネシウムイオン濃度が上昇して、一時硬水を成す炭酸水素塩の脱炭酸に伴うスケール(水垢)が析出してカーボン凝結体の外壁面に備える気孔に侵入して封止する、という不具合の発生防止に有効である。また、スケールの侵入を阻害するとともに、表面のみに付着したスケールについては、これを容易に排除できた。
【0039】
また、有機質の繊維を成形材料に混合したので、カーボンの凝結体を得る焼成段階で分解して飛散した痕跡である連続した気孔を形成するので、下部位置に形成する微細気孔の大きさや気孔含有率を変化させることが可能となり、加湿エレメントへの給水能力を任意に設定することが出来る。
【0040】
図1は実施の形態1を示す図で、加湿エレメントのカーボン凝結体が備える気孔の態様を示す模式部分断面図である。本実施の形態による加湿エレメント6のカーボン凝結体が備える気孔の態様を、図1のを用いて詳述する。加湿エレメント6を成すカーボン凝結体は、黒鉛粒子同士が無酸素雰囲気で焼成したフェノール樹脂のカーボンで保持され、粒子間に形成した空隙が確保できる。加湿エレメント6の上部位置には1〜3mmの大粒径の黒鉛粒子で形成され、粒子同士が当接して0.1〜1mm程度の空隙を気孔3aとして形成する。下部位置には300μm以下の小粒径の黒鉛粒子を充填して成り、50μm以下の微細な空隙である気孔3bを保持して成る。
【0041】
加湿エレメント6は、図2に示す如く下部が水没状態で加湿器20の水槽7内に配設、水8の供給が微細な気孔3bの毛細管現象によって上部位置まで供給され、気孔3a内を充填して保持される。加湿器20には吸排気ダクト9(通風ダクト)が、加湿エレメント6の上部に設けた露出部の上方に配され、吸排気ダクト9に任意速度で室内の乾燥空気10を通過させて、水蒸気を含んで排出される空気11として加湿器20から放出する構造を成している。
【0042】
加湿エレメント6の上部位置において、露出面に配した気孔3aにはベンチュリ効果(Venturi effect)による負圧が発生、気孔3a内を減圧状態として水蒸気の排出を促す作用を生み出し、加湿エレメント6の下部位置では水の浸透が更に促進される。このとき、上部位置は狭い粒度分布の大きな粒子を配し、粒子間に備えた大きな空隙から水蒸気が容易に排出する態様を成す。このため、下部位置から気化した水蒸気が、種々細菌を拡散する媒体となる湯気を含まずに加湿できる効果を生む。
【0043】
ベンチュリ効果(Venturi effect)は、流体の流れを絞ることによって流速を増加させて、低速部にくらべて低い圧力が発生する「流れに沿って成り立つエネルギー保存の法則」である。本件原理で流体に水蒸気や空気を利用するものは一般にエジェクター (ejector) と呼ばれ、管内に噴射された空気はその内部に霧吹きの原理で低圧を作り出し、水を吸い込む作用を生む。
【0044】
さらに、加湿エレメント6には、黒鉛の粒子とフェノール樹脂を混合する際にホタテ貝の貝殻を300μm以下の粉砕微粒子として混合した成形材料を用いて得た成形品を無酸素雰囲気下で焼成処理を行う。焼成貝殻の主成分であるカルシウムは、生石灰(CaO)に比較して反応性が低く発熱量も小さいうえ、アルカリ効果が長期間持続する、という特徴を有する。つまり、高いPH値(水素イオン指数)を示す強アルカリ性により、選択的な腐敗や老化を促進させる嫌気性菌に長時間抗菌効果が得られる、という特徴を備えることができる。
【0045】
アルカリ効果について説明する。貝殻焼成カルシウムは、生石灰(CaO)に比較して反応性が低く発熱量も小さい。またアルカリ効果は生石灰に比較して長期間持続する。このアルカリ性質による殺菌効果は大変強く、強アルカリ成分が細胞壁を通過し、細胞質を加水分解することにより殺菌効果が現れる。腐敗菌等のバクテリアを殺菌するとともに、酸化還元電位を下げるために物質の酸化(腐敗)を抑制する。すなわち、強アルカリ性を示すという事は、PH値(水素イオン指数)が高くなり選択的な物の腐敗や老化を促進させる嫌気性菌の殺菌の長時間抗菌効果が期待できる。ホタテ貝殻セラミックス溶液の抗菌効果は、NaOH溶液やKOH溶液中で見られるような溶菌反応ではなく、同溶液に含まれるCa2+が細胞のタンパク質画分に結合することによる凝集反応によるものであると結論した。
【0046】
なお、天然貝殻の主要形成物質である炭酸カルシウムにはシックハウス症候群の原因であるホルムアルデヒドの吸着効果がある他、VOC(揮発性有機化合物)や農薬(サプロール乳剤やフタール酸エステル類他)やメルカプタン、メタンガスにも効果がある。本実施例では、貝殻にホタテを用いたが、これに代えて、ホッキ貝 牡蠣の貝殻を用いても、同様の効果を付与することができる。
【0047】
VOC(揮発性有機化合物)は、常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称のことである。具体例としてはトルエン、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなどを指し、環境へ放出されると、公害などの健康被害を引き起こす。
【0048】
得られた加湿エレメント6は、主構成物のカーボン凝結体が強い撥水性を呈するため、含水を円滑に行うように気孔3a,3b内に親水性を付与する薄膜を形成した。ここで用いるパーヒドロポリシラザンは、Si−H、N−H、Si−N結合のみから構成される完全無機なポリマーであって、OH基を持つ物質と反応し加水分解するのを防止するためにキシレンに溶解させた希薄な有機溶媒溶液を塗布液として用いる。
【0049】
親水剤であるパーヒドロポリシラザンは、Si−H、N−H、Si−N結合のみから構成される完全無機なポリマーである。OH(水酸基)を持つ物質と反応し加水分解されるため、水やアルコール系溶媒のほか、ケトンやエステル類など水を溶解する溶媒も好ましくない。従って、現在用いられている溶媒は主にキシレン、ミネラルターペン、高沸点芳香族系溶媒などで、基材とのマッチングや用途、目的、施工環境等により最適な溶媒を選択することが好ましい。
【0050】
ここでは、少なくとも、下部位置にある微細な気孔3b内に含浸させて薄膜を形成した後、これを高湿度高温雰囲気で焼成することによって水分や酸素と反応し、450℃程度で緻密な高純度シリカ(アモルファスSiO)の薄膜を形成、高い親水性を得た。
【0051】
次に、上述した加湿エレメント6の蒸気放散の機構を、図2の模式断面図を用いて説明する。図2は実施の形態1を示す図で、水槽内における加湿エレメントの配設状態を示す模式断面図である。図2に示した如く、加湿器20は、底面に誘電コイル12を近接させて配するとともに、水位を一定に保持する機構を備えた水槽7内に、下部が水没した状態で加湿エレメント6が載置されている。
【0052】
加湿エレメント6には、水没に供する下部位置を形成する微細で広い粒度分布の黒鉛を上面が錐状の凹凸が形成されて成るので、誘電コイル12と近接した凹部下方位置の発熱量が高くなって水蒸気の放散が活発である反面、凸部分に保持した水分は比較的、緩やかに水蒸気の放散を行い、水分が残存し易くなる。水槽7に保持した水量が減少して毛細管現象による給水量減少に伴って加湿エレメント6全体の温度が上昇し、水蒸気の放散量は凸部位置に多く残存する水分を消費して、水蒸気発生量の安定化を図る傾向を呈するようになる。
【0053】
水槽7内の任意位置まで水没して給水した状態の多孔質体であるカーボン凝結体が、下部に設けた誘電コイル12によって発熱をするので、加湿エレメント6内部に保持した少量の水を気化させる熱量のみを付与し、水槽7内に保持した多くの水を沸騰させる必要がないので、極めて高い効率で加湿機能を達成することが可能である。
【0054】
また、加湿エレメント6の下部位置は、繰り返し使用に伴う水中のカルシウムやマグネシウムイオンの濃度上昇に応じて、一時硬水を成す炭酸水素塩の脱炭酸によるスケール(水垢)がカーボン凝結体外壁の微細な気孔3bの封止を防止するのに有効で、表面に付着したスケールは、これを払拭するのみで容易に排除できる態様を備える。
【0055】
一時硬水について、説明する。硬水は含有するイオンによって一時硬水と永久硬水の二種類に分けることができる。前者は石灰岩地形を流れる河川水、地下水などで、炭酸カルシウムを多く含み、煮沸することにより軟化することができる。一時硬水を煮沸すると炭酸カルシウムを沈降させることができる。
Ca(HCO→CaCO+HO+CO
また、軟水化剤の投入でカルシウム塩を沈殿させることもできる。
Ca(HCO+NaCO→CaCO+2NaHCO
後者はカルシウムやマグネシウムの硫酸塩・塩化物が溶け込んでいるもので、煮沸しても軟化されない。以前は飲用できない水であったが、現在はイオン交換樹脂で容易に軟化できる。
【0056】
次に、加湿エレメント6の製造方法を、以下に詳述する。使用する黒鉛粒子は、粒径が300μm以下の小粒品及び粒径が1〜3mmの大粒品であって、前者は42メッシュのふるいを通過したものを用い、後者は5.5メッシュのふるいを通過して16メッシュのふるい上に残留するものを用いた。
【0057】
黒鉛の小粒品は、第四級アンモニウム塩型カチオン活性剤を界面活性剤として用い、これを溶解した水を加温しながら任意温度にて黒鉛粒子が均一分散するように撹拌しながらフェノールを添加して均一分散させたのちにホルムアルデヒドを添加し、乳濁液が透明に変化するまでの任意時間、反応を継続する。フェノール樹脂は、黒鉛粒子を核とする界面活性剤によるミセル構造を得て反応が進行し、前記黒鉛粒子の外面に樹脂膜を保持して複素化するコンポジット1を形成する。コンポジット1は、濾過による収集と水洗による清浄化の後、減圧下で乾燥処理を行うことによって複素化の態様を成す成形原料を用いる。
【0058】
一方、黒鉛の大粒品は、フェノールとホルムアルデヒドの各誘導体および硬化剤の混合物をエタノールなどの低級アルコール類を溶媒とする希釈物を散布しながら混練して表面に均一塗布し、これを乾燥させて溶媒を除去したコンパウンド2を成形材料として用いた。該手段は、大粒経の黒鉛が界面活性剤のミセル構造を形成してコンポジットを効率的に得ることができないため、水中での黒鉛粒子表面にフェノール樹脂未硬化物が反応生成物を保持できないことによる。
【0059】
なお、ここで用いた第四級アンモニウム塩型カチオン活性剤は、アルキルトリメチル型とアルキルジメチルベンジル型カチオン活性剤が好ましく、アルキル部分も高純度のラウリル、パルミチル、ステアリルおよびベヘニルなどの、C数が10〜20程度のものが有効である。界面活性剤は保護コロイド性を有して、溶液には高分子電解質挙動を示してアニオン性水溶性樹脂とイオンコンプレックスを形成するので、溶液中に分散した樹脂が過度に大きくない、例えば、本実施例で用いたカーボン粉粒と同程度の300μm以下の粒子であれば、球状を成すようにして均一な塗膜を形成する作用を備えて流動性に優れるので、好ましい。
【0060】
これに、ホタテ貝の貝殻粉砕物についても同粒径のものが得られるようにふるいを用いて選別したものを黒鉛に対して5wt%を成形材料に添加、混合したものを成形材料とした。以上の態様を得た各成形材料は、黒鉛の表面全体をフェノール樹脂未硬化物とホタテ貝殻の粉砕物を混合した状態を成しているので、フェノール樹脂未硬化物が結合材として介在して黒鉛粒子にホタテ貝殻の粉砕物を保持して成る。
【0061】
次に、上述した成形材料を160℃に加温した金型内に、黒鉛の小粒品を用いた成形材料を投入して錐状の凹凸を形成する。このとき、成形材料に、形成する凹凸の反転形状面を備えた木型を揺すりながら押し付けるようにすれば、所望の形状を容易に確保できる。形成する凹凸の高さは、水の毛細管現象による給水能力に依存して決定されるのが好ましい。成形品の加圧負荷に応じて決定される気孔3a,3bの大きさに依存するが、成形時の加圧力を高くしたときに得られる小さい気孔3bのものは毛細管現象での高い位置まで給水できる反面、給水量が少なくなる。また、過度に大きい気孔3aのものは給水能力に劣るうえに保水量も減少することを考慮して、好適な形状と高さを設定して蒸気発生量を得ることが好ましい。
【0062】
次に、黒鉛が大粒の成形材料を載置して0.1MPaの低圧で加圧し、任意時間の保持によって結合材が硬化して成形品を得た。このとき、黒鉛の粉粒同士が十分に接合して実用上の扱いに耐える強度と好適な気孔形状を確保するうえで、黒鉛小粒品を用いた成形材料は25wt%、大粒径品では35wt%のフェノール樹脂を保持し、凹凸の高さは、10〜25mm程度が好ましい。
【0063】
次に、上記成形品を無酸素状態の高温炉で焼成処理を行う。焼成は、室温から250℃まではフェノール樹脂の硬化速度を勘案して成形収縮を来さない0.3〜2℃/min、フェノール樹脂が分解を開始する250℃〜400℃までを0.5〜5℃/hrの緩やかな昇温を行う。400℃以上の領域は、ホタテ貝の貝殻における脱炭酸やフェノール樹脂の急激な分解による生成物による炭化物の亀裂やフクレが発生しない0.5℃/min、の昇温速度で行うことが望ましい。
【0064】
ホタテ貝殻の脱炭酸による抗菌作用発現とフェノール樹脂の炭化による誘電発熱が可能な態様確保の両立を図るため、焼成の最高温度は、750℃以上、850℃以下の無酸素雰囲気下での焼成が好ましい。750℃以下で焼成を行った場合は誘電発熱を来すための電気伝導度が得られない反面、850℃以上の焼成ではホタテ貝殻の脱炭酸による抗菌作用が減衰する可能性がある、ことによる。
【0065】
ホタテ貝殻粉の焼成処理による除菌剤、抗菌剤としての効果(細菌増殖抑制効果)について説明する。貝殻の成分が変化して生成する酸化カルシウムと貝殻の主成分である炭酸カルシウムなどの酸化物によって得られる。これらの成分によって大腸菌(各種細菌;黄色ブドウ状球菌など)がダメージを受けて増殖が抑えられ一部は減菌される。これらの菌に対する「損傷・増殖阻害活性」は焼成貝殻粉中に一時的に発生する活性酸素種(O−)による酸化作用の発現には、600〜850℃、好ましくは750〜800℃の焼成温度で処理するのが好ましい。
【0066】
上述のカーボン凝結体の成形品は、内部への水の浸透を円滑に行うため、気孔内部に親水処理を行う。親水性を発現する物質の保持は、前記凝結体が備える気孔壁面が備える微細気孔内への含浸によるアンカー効果を活用が好ましい。撥水性のカーボン凝結体の気孔内に親水性を付与するため、パーヒドロポリシラザンをキシレンに溶解させた希薄な溶液を塗布液として用いて浸漬後に気孔内に残存する過剰な塗布液を排除、450℃程度の高温で焼成することにより、水分や酸素と反応して緻密な高純度シリカ(アモルファスSiO、アモルファスシロキサン化合物)膜を得た。
【0067】
このとき、脱水素、酸化触媒であるPd化合物の極微量を添加すれば、シリカへの転化(セラミック化)温度を250℃程度にまで低減することが可能となる。
【0068】
つまり、カーボン凝結体の微細な気孔内の親水性付与は、前記凝結体が備える空隙やフェノールの分解生成物が飛散した微細な気孔内に親水性を発現する物質を塗布し、この前記気孔へのアンカー効果によって薄膜を保持することが、使用中の塗膜剥離を抑止して密着性を確保するうえで、有効である。
【0069】
次に、上述した製造方法を用いて、小粒径の黒鉛のみから成る水没部分が25mm、錐状の凹凸高さが20mm、大粒径の黒鉛を積層して50mmの全高で80mm角のブロック形状を成す加湿エレメント6を、水槽7内で30mmの深さに水没させ、上部に吸排気ダクト9を配設した図2の態様を成す加湿エレメント6が水槽7を介して誘電コイル12上に載置するように配設し、150Wの通電量を維持した状態で加温したときの水蒸気放散量を比較した。
【0070】
水蒸気の放散量は、加熱開始5分後から15分後における水の減少重量で評価し、その結果を図3に示す。
【0071】
評価した試料は、比較例1〜比較例4、実施例1、実施例2の六種類である。図3に示すように、水の減少重量の最も多かった実施例1(165g)を基準に他を比較する。
【0072】
実施例2は、吸排気ダクト9を使用していない点のみが実施例1と異なる。吸排気ダクト9を使用しないため、水の減少重量が実施例1の165gに対して、110gに減少している。この結果からも、吸排気ダクト9の効果は明白である。
【0073】
比較例1は、加湿エレメント6の黒鉛構成のみが、実施例1と異なる。実施例1の加湿エレメント6の黒鉛構成が錘状凹凸を界面形状とする積層構造体(#4)であるのに対して、比較例1の黒鉛構成が小粒径のみの構造体(#1)である。それにより、水の減少重量が実施例1の165gに対して、30gに減少している。
【0074】
比較例2は、加湿エレメント6の黒鉛構成のみが、実施例1と異なる。実施例1の加湿エレメント6の黒鉛構成が錘状凹凸を界面形状とする積層構造体(#4)であるのに対して、比較例2の黒鉛構成が大粒径のみの構造体(#2)である。それにより、水の減少重量が実施例1の165gに対して、25gに減少している。
【0075】
比較例3は、加湿エレメント6の黒鉛構成のみが、実施例1と異なる。実施例1の加湿エレメント6の黒鉛構成が錘状凹凸を界面形状とする積層構造体(#4)であるのに対して、比較例3の黒鉛構成が小粒径と大粒径の積層構造体(#3)である。それにより、水の減少重量が実施例1の165gに対して、40gに減少している。
【0076】
比較例4は、親水性付与をしていない点のみが、実施例1と異なる。それにより、水の減少重量が実施例1の165gに対して、15gに減少している。
【0077】
以上の結果から、本実施の形態に基づく小粒径と大粒径の黒鉛が錐状凹凸の界面積層構造を成したカーボン凝結体で内部に備える気孔3a,3bに親水性処理を施した加湿エレメント6が、前記条件を逸脱した比較例(比較例1〜4)に比べて、水蒸気の放散が有意に多く、優れた加湿性能を有していることを確認した。
【0078】
なお、本実施の形態では、親水性を付与するために高純度シリカ(アモルファスSiO)を用いたが、これに代えて非水溶性のPVA(ポリビニルアルコール)を用いても同様の効果が得られる。例えば、日本酢ビポバール(株)のDポリマーは、反応性の高いカルボニル基を有してヒドラジド系架橋剤(アジピン酸ジヒドラジド)と高い反応性を備え、場合によってアミン類とも反応するので、アルコールなどに溶解したそれら混合物の希薄溶液を含浸後、乾燥させることによって、熱水にも不溶の親水性薄膜を気孔内に形成することができる。
【0079】
PVA(ポリビニルアルコール)は、日本酢ビポバール(株)のDポリマーで代表され、水酸基・酢酸基以外の変性基として、反応性の高い“カルボニル基”を有してヒドラジド基やアミノ基と反応性があり、特にヒドラジド系架橋剤(アジピン酸ジヒドラジド)とは反応性が高く、熱水にも溶解しない塗膜・皮膜を形成でき、また、透明性の高いゲルを作製できる。
【0080】
また、黒鉛の結合材として半硬化状態のフェノール樹脂を用いたが、これに代えて、石油または石炭のタールおよびピッチを混合したものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 コンポジット、2 コンパウンド、3a 気孔、3b 気孔、6 加湿エレメント、7 水槽、8 水、9 吸排気ダクト、10 室内の乾燥空気、11 水蒸気を含んで排出される空気、12 誘電コイル、20 加湿器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電加熱を可能とする小さな粒度の黒鉛から成るカーボン凝結体と、大きな粒度の黒鉛から成るカーボン凝結体の界面が錐状の凹凸を形成して積層し、下部位置に微細な気孔を備えたカーボン凝結体が配され、前記気孔内に親水性を発現する物質である薄膜が被覆された構造体をなすことを特徴とする加湿エレメント。
【請求項2】
前記カーボンの凝結体が、貝殻粉砕物の焼成生成物を含有して成ることを特徴とする請求項1に記載の加湿エレメント。
【請求項3】
前記親水性を発現する物質が、アモルファスシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の加湿エレメント。
【請求項4】
前記親水性を発現する物質が、ポリビニルアルコールにカルボニル基を付加したものとヒドラジド系架橋剤との反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載の加湿エレメント。
【請求項5】
異なる粒度の黒鉛と高炭素含有率の熱溶融物質との混合物が主体の成形材料が、水没に供する下部位置を形成する微細で広い粒度分布の黒鉛が上面を錐状の凹凸を形成して金型内に載置され、上部位置を形成する大きい粒子で狭い粒度分布の黒鉛を積層後、これを低負荷圧下で加熱して得た成形品を、無酸素状態の高温で有機物を焼成して得たカーボン凝結体に、黒鉛粒子が当接して形成する空隙内に親水性を発現する物質の薄膜を保持させたことを特徴とする加湿エレメントの製造方法。
【請求項6】
前記成形材料が、任意の太さを備えて高炭素含有率の熱溶融物質よりも低い焼成温度で分解飛散する低炭素含有率の繊維状物質を、下部位置を形成する微細で広い粒度分布の黒鉛が主体の成形材料と混合したことを特徴とする請求項5に記載の加湿エレメントの製造方法。
【請求項7】
前記低炭素含有率の繊維状物質が、パルプなどの天然繊維、およびアクリルなどの合成繊維であることを特徴とする請求項6に記載の加湿エレメントの製造方法。
【請求項8】
カーボンの凝結体が、貝殻粉砕物を混合した成形材料である混合物から成る成形品を含んで成り、750℃以上、850℃以下の無酸素雰囲気下の高温で焼成して得ることを特徴とする請求項5に記載の加湿エレメントの製造方法
【請求項9】
前記親水性を発現する物質が、シラザンをキシレン、ミネラルターペン、高沸点芳香族系溶媒の何れかを含む溶媒に溶解した希薄溶液に含浸した後、400〜450℃の高温で加熱処理したことによって得たことを特徴とする請求項5に記載の加湿エレメントの製造方法。
【請求項10】
前記親水性を発現する物質が、カルボニル基を含む変性ポリビニルアルコールとヒドラジド系架橋剤とを含む溶液に含浸した後、過剰な前記溶液を排除したカーボン凝結体を高温で加熱乾燥処理したことによって得たことを特徴とする請求項5に記載の加湿エレメントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−7844(P2012−7844A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145543(P2010−145543)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【特許番号】特許第4804582号(P4804582)
【特許公報発行日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】