説明

加熱調理器の加熱装置

【課題】加熱部に流れる電流を長期間通遮電することができて、部品交換の頻度が小さい加熱装置を提供すること。
【解決手段】マグネトロン10に電流を流すラインに、二つの加熱制御用電磁リレー2,3を直列に接続する。このようにして、一方の加熱制御用電磁リレー2,3が短絡したとしても、マイコン31が、他方の加熱制御用電磁リレー2,3をオンオフ制御することによって、マグネトロン10に流れる電流をオンオフ制御できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器の加熱装置に関し、例えば、業務用の用途、例えば、使用頻度が高い外食産業等で使用される加熱調理器等の加熱制御を行うのに使用されれば特に好適な加熱調理器の加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器の加熱装置としては、加熱部に電流を流すラインに加熱制御用の電磁リレーを一つ接続し、この加熱制御用の電磁リレーをオンオフ制御して、加熱部の駆動または非駆動を制御しているものがある。
【0003】
ここで、この加熱装置を、家庭用の加熱装置と比較して使用の頻度が極端に多い外食産業等で業務用として使用した場合、加熱制御用の電磁リレーの使用頻度が頻繁であることに基づいて、上記加熱制御用の電磁リレーが短期間で電気的寿命に達して電気的に接続した状態で溶着し、加熱装置が使用できなくなるという問題がある。したがって、電磁リレーの電気的寿命による部品の交換を頻繁に行わなければならないという問題がある。
【0004】
ここで、従来、負荷への電流の通遮電を行うリレースイッチの寿命を長くできる制御装置としては、特開2002−116819号公報に記載されているものがある。
【0005】
この制御装置は、二つのリレースイッチを並列に接続して、二つの負荷の通遮電を、二つのリレースイッチに均等に割り振るようにしている。このようにして、各負荷の通遮電を、その各負荷の専用のリレースイッチで行う場合と比較して、二つの負荷の通遮電回数の差に起因して、一方のリレースイッチが、他方のリレースイッチよりも速く寿命に達しないようにして、制御装置の寿命を長くするようにしている。
【0006】
しかしながら、この制御装置でも、リレースイッチの寿命を大きく延ばすことができないという問題がある。また、従来、一つの加熱部の通遮電を行う加熱調理器の加熱装置において、加熱制御用の電磁リレーの電気的寿命に起因する部品交換の頻度を効率的に減らす方策が存在しないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−116819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、加熱装置として、一つの加熱部に流れる電流を通遮電するのに、その加熱部に電流を流すラインに二つの加熱制御用の電磁リレーを並列に接続して、その加熱部の通遮電を並列に接続した加熱制御用の電磁リレーで交互に行って、加熱装置の寿命を略二倍にする装置(この装置は、本願の出願時において公知でない)を考えた。
【0009】
しかし、この場合でも、一方の加熱制御用の電磁リレーが溶着した時点で、電流の遮断を行うことができなくなって、他の加熱制御用の電磁リレーをその寿命まで使用できなくて、加熱装置の寿命を大幅に長くできないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、従来の加熱装置と比較して、加熱部に流す電流を長期間通遮電することができて、部品交換の頻度が小さい加熱調理器の加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器の加熱装置は、
加熱部と、
上記加熱部の駆動を制御する第1および第2加熱制御用電磁リレーと、
上記第1および第2加熱制御用リレーを制御する加熱制御部と
を備え、
上記第1加熱制御用電磁リレーのスイッチ部と、上記第2加熱制御用電磁リレーのスイッチ部とを、直列に接続すると共に、上記加熱部と電源との間に接続して、上記第1スイッチ部および上記第2スイッチ部の一方が、短絡しても、他方をオンオフして、上記加熱部の駆動を制御できるようにしたことを特徴としている。
【0012】
ここで、上記「短絡」とは、加熱制御用電磁リレーの切片が接点に接続したままの状態(常時接続した状態)になることをいう。上記短絡には、溶着、すなわち、加熱制御用電磁リレーの切片および接点の少なくとも一方が溶けて、上記切片が上記接点に常時接続される状態になることが、含まれる。また、上記短絡には、加熱制御用電磁リレーのスプリングが破損等して、切片が接点に常時接続したままの状態になることが、含まれる。
【0013】
従来、当業者の間では、故障した部品をそのまま使用するという技術的思想は、一切なく、実際、故障した部品を使用しつづけることはなかった。したがって、短絡してその機能を失った加熱制御用電磁リレーをラインの一部として使い続けるという技術的思想は、なかった。しかしながら、本発明者は、短絡して機能を失った加熱制御用電磁リレーを、ラインの一部として使用しても、悪影響が一切ないことを試験等により見出したばかりでなく、短絡した加熱制御用電磁リレーを、ラインの一部として使用すると以下に示す格別かつ顕著な作用効果が得られることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明によれば、電流を加熱部に流すラインに第1および第2加熱制御用電磁リレーを直列に接続し、短絡した加熱制御用電磁リレーを、ラインの一部として使用するようにしているから、全ての加熱制御用電磁リレーが短絡するまで、加熱装置の寿命が尽きることがないようにすることができて、加熱装置の寿命を大幅に長くすることができる。したがって、部品交換の頻度を小さくすることができると共に、全ての加熱制御用電磁リレーを寿命が尽きるまで使用できるから、資源を有効利用できると共に、部品の廃棄までの期間を長くできて、環境保全に寄与することができる。
【0015】
また、一実施形態では、
上記加熱制御部は、上記第1加熱制御用リレーと上記第2加熱制御用リレーとを交互に、一方をオン状態にし、他方をオンオフ制御することを特徴としている。
【0016】
上記実施形態によれば、加熱制御用電磁リレーが一つしかない場合と比較して、加熱装置の寿命を略2倍にすることができる。
【0017】
また、一実施形態では、
上記加熱制御部は、
上記第1加熱制御用電磁リレーを、予め定められた回数あるいは予め定められた時間の間オンオフ制御すると共に、上記第2加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第1制御と、
上記第2加熱制御用電磁リレーを、予め定められた回数あるいは予め定められた時間の間オンオフ制御すると共に、上記第1加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第2制御と
を交互に行う。
【0018】
上記実施形態によれば、第1制御から第2制御への移行時と、第2制御から第1制御への移行時とを、各加熱制御用電磁リレーのオンオフ制御の回数または予め定められた時間に基づいて決定できるから、加熱装置の仕様や用途に基づいて適宜最も相応しい上記移行時を、適切かつ容易に決定できる。
【0019】
尚、上記実施形態の発明では、例えば、初めの第1および第2制御の回数または期間を同一に設定し、二回目の第1および第2制御の回数または期間を同一かつ初めの第1および第2制御の回数または期間よりも短い回数かつ期間に設定するようにしても良い。または、第1加熱制御用電磁リレーと第2加熱制御用電磁リレーとで交互に電流を通遮電するようにしても良い。このようにすると、加熱部を制御する加熱装置の寿命を効率的に長くすることができる。
【0020】
また、一実施形態では、
上記第1加熱制御用電磁リレーをオフする信号を出力する一方、上記第2加熱制御用電磁リレーをオンする信号を出力して、上記加熱部に電流が流された場合に、上記第1加熱制御用電磁リレーの短絡を検出する一方、上記第1加熱制御用電磁リレーをオンする信号を出力する一方、上記第2加熱制御用電磁リレーをオフする信号を出力して、上記加熱部に電流が流された場合に、上記第2加熱制御用電磁リレーの短絡を検出する短絡検出部を有する。
【0021】
上記実施形態によれば、第1加熱制御用電磁リレーの短絡を正確に検出できると共に、第2加熱制御用電磁リレーの短絡を正確に検出できるから、一方の加熱制御用電磁リレーの短絡を検出した後、加熱制御部に、他方の加熱制御用電磁リレーのオンオフ制御のみをさせることができて、一方の加熱制御用電磁リレーの短絡を検出した後の加熱制御部の制御を単純なものにすることができる。
【0022】
また、一実施形態では、
上記加熱制御部は、上記第1加熱制御用電磁リレーを、予め定められた10万回以上の回数オンオフ制御すると共に、上記第2加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第1制御を行う一方、
上記第1制御を行った後は、上記第1加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御すると共に、上記第2加熱制御用電磁リレーをオンオフ制御する。
【0023】
上記実施形態によれば、第1加熱制御用電磁リレーのオンオフ制御から、第2加熱制御用電磁リレーのオンオフ制御への移行が、一回のみであるから、加熱制御部における制御を単純なものにすることができる。
【0024】
尚、上記予め定められた10万回以上の回数としては、22万回以下の回数であると好ましく、20万回以下の回数であると更に好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の加熱調理器の加熱装置によれば、第1および第2加熱制御用電磁リレーが共に短絡するまで、加熱部に流す電流を長期間に亘って通遮電することができる。また、全ての電磁リレーを寿命が尽きるまで使用できるから、部品交換の頻度を少なくすることができて、資源を有効利用できる。また、部品の廃棄までの期間を長くできて、環境保全に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態の加熱調理器の加熱装置を示す図である。
【図2】マイコンによるマグネトロンの加熱制御を説明するためのフローチャートである。
【図3】ステップS4を説明するフローチャートであり、マイコンによる第1加熱制御用電磁リレーの短絡の有無を検出する制御を説明するフローチャートである。
【図4】ステップS6を説明するフローチャートであり、マイコンによる第2加熱制御用電磁リレーの短絡の有無を検出する制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の加熱調理器の加熱装置の一実施形態を示す回路図である。
【0029】
この加熱装置は、電子レンジに内蔵されている。この加熱装置は、制御ユニット1と、第1加熱制御用リレー2と、第2加熱制御用リレー3と、高圧トランス5とを備える。上記高圧トランス5によって入力電圧を所定の電圧に変換した後、その変換された電圧を加熱部としてのマグネトロン10に印加するようになっている。
【0030】
図1に示すように、交流電源11と、高圧トランス5の一次側の第1端子とを接続しているライン20に、メインヒューズ12、マグネトロン温度ヒューズ13、プライマリーインターロックスイッチ14、第1加熱制御用リレー2および第2加熱制御用リレー3を、直列に接続している。
【0031】
上記メインヒューズ12は、異常電流によって動作するようになっており、部品の絶縁不良があった場合や、短絡が発生した場合に、正常な構成部品を保護するようになっている。また、上記マグネトロン温度ヒューズ13は、マグネトロン10が異常温度になったときに動作するようになっている。このようにして、マグネトロンの冷却異常や庫内連続無負荷運転が持続しないようにしている。
【0032】
また、上記高圧トランス5の一次側の第2端子と、交流電源11とを接続するライン21に、セカンダリーインターロックスイッチ16を接続している。また、上記プライマリーインターロックスイッチ14と第1加熱制御用リレー2とを接続するラインと、セカンダリーインターロックスイッチ16と交流電源11とを接続するラインとの間には、オーブンランプ31と、アンテナモータ32と、ファンモータ33とが並列に接続されている。
【0033】
また、上記第2加熱制御用リレー3と高圧トランス5の上記第1端子とを接続するラインと、高圧トランス5の上記第2端子とセカンダリーインターロックスイッチ16を接続するラインとの間には、モニタースイッチ18が接続されている。
【0034】
上記プライマリーインターロックスイッチ14およびセカンダリーインターロックスイッチ16を接離することにより、マグネトロンの駆動と、オーブンランプ31、アンテナモータ32およびファンモータ33との駆動とを連動させるようになっている。尚、図1において、参照番号64は、プライマリーインターロックスイッチ14の開閉を行うドライバと電磁コイルとからなるコイルユニット63を示している。
【0035】
上記制御ユニット1は、制御用トランス30と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)31とを有する。上記制御用トランス30の一次側の第1端子は、マグネトロン温度ヒューズ13とプライマリーインターロックスイッチ14とを接続するラインに接続される一方、制御用トランス30の一次側の第2端子は、セカンダリーインターロックスイッチ16と高圧トランス5の上記第2端子とを接続するラインに接続されている。上記制御用トランス30で、交流電源の電圧を適切に変換して、その適切に変換された電圧を、マイコン31に入力している。上記マイコン31とマイコン31に信号を入出力する入出力回路とは、制御部を構成している。
【0036】
上記マイコン31は、操作部40からの信号によって、第1加熱制御用リレー2のスイッチ部52のオンオフおよび第2加熱制御用リレー3のスイッチ部53のオンオフを制御するようになっている。詳しくは、上記マイコン31は、ドライバと電磁コイルとからなるコイルユニット62のドライバに信号を出力することにより、電磁コイルに流す電流を通遮電することにより、スイッチ部52の切片を移動させて、スイッチ部52の切片をスイッチ部52の接点に接離させて、第1加熱制御用リレー2のスイッチ部52のオンオフ制御を行っている。また、上記マイコン31は、ドライバと電磁コイルとからなるコイルユニット63のドライバに信号を出力することにより、電磁コイルに流す電流を通遮電することにより、スイッチ部53の切片を移動させて、スイッチ部53の切片をスイッチ部53の接点に接離させて、第2加熱制御用リレー3のスイッチ部53のオンオフ制御を行っている。上記マイコン31および上記入出力回路からなる制御部は、加熱制御部を兼ねている。
【0037】
図2は、上記マイコン31によるマグネトロン10の加熱制御を説明するためのフローチャートである。
【0038】
上記加熱制御がスタートすると、まず、図2のステップS1で、マイコン31が、第1制御を選択して、第2リレー3をオン状態に維持する一方、第1リレー2をオンオフ制御して、マグネトロン10に流す電流を通遮電する。
【0039】
次に、図2のステップS2で、第1リレー2のオンオフ制御が20万回に達したか否かを判断する。この判断は、マイコン31に内蔵されている図示しないカウンタで行う。このステップS2で、第1リレー2のオンオフ制御が20万回に達したと判断すると(詳しくは、第1リレー2をオンにした回数が20万回に達したと判断すると)、ステップS3の第2制御に移行する。
【0040】
一方、このステップS2で、第1リレー2のオンオフ制御が20万回に達していないと判断すると、S4の第1リレー2の短絡の判定に移行する。尚、ここで、加熱制御用電磁リレーの短絡とは、加熱制御用電磁リレーの切片が接点に接続したままの状態(常時接続した状態)になることをいう。上記短絡には、溶着、すなわち、加熱制御用電磁リレーの切片および接点の少なくとも一方が溶けて、上記切片が上記接点に常時接続される状態になることが、含まれる。また、上記短絡には、加熱制御用電磁リレーのスプリングが破損等して、切片が接点に常時接続したままの状態になることが、含まれる。
【0041】
図3は、ステップS4を説明するフローチャートであり、マイコン31による第1リレー2の短絡の有無を検出する制御を説明するフローチャートである。
【0042】
第1リレー2の短絡の有無を検出する制御がスタートすると、先ず、図3のS51で、マイコン31が、第1リレー2をオフにする一方、第2リレー3をオンにする制御を行う。そして、次の図3のステップS52で、マグネトロン10へ電流が流れたか否かを検出する。この検出は、例えば、図1に54で示す電流センサを、マグネトロン10に電流を流すラインの何処かに設けて、その電流センサ54で行って、その検出信号をマイコン31で受けることによって行うことができる。また、他の方法としては、加熱調理器の加熱庫内に設置されている温度センサで、温度上昇を検出することによっても検出することができる。上記マイコン31のステップS4および電流センサは、短絡検出部の一部を構成している。
【0043】
この図3のステップS52でマグネトロン10へ電流が流れたと判断すると、図3のステップS53で第1リレー2の短絡を判断する。一方、上記図3のステップS52でマグネトロン10へ電流が流れなかったと判断すると、図3のステップS54で第1リレー2の非短絡を判断する。
【0044】
再度、図2を参照して、図2のステップS4で、第1リレー2が短絡したと判断すると図2のステップS3に進む。一方、図2のステップS4で、第1リレー2が非短絡であると判断すると、再度図2のステップS2を行う。
【0045】
次に、ステップS3で、マイコン31が、第2制御を選択して、第1リレー2をオン状態に維持する一方、第2リレー3をオンオフ制御して、マグネトロン10に流す電流を通遮電する。
【0046】
次に、図2のステップS5で、第2リレー3のオンオフ制御が20万回に達したか否かを判断する。この判断は、マイコン31に内蔵されている上記カウンタで行う。このステップS5で、第3リレー3のオンオフ制御が20万回に達したと判断すると(詳しくは、第2リレー3をオンにした回数が20万回に達したと判断すると)、再度ステップS1を行う。
【0047】
一方、このステップS5で、第2リレー3のオンオフ制御が20万回に達していないと判断すると、ステップS6の第2リレー3の短絡の判定に移行する。このステップS6は、短絡検出部の一部を構成する。
【0048】
図4は、ステップS6を説明するフローチャートであり、マイコン31による第2リレー3の短絡の有無を検出する制御を説明するフローチャートである。
【0049】
第2リレー3の短絡の有無を検出する制御がスタートすると、先ず、図4のS61で、マイコン31が、第2リレー3をオフにする一方、第1リレー2をオンにする制御を行う。そして、次の図4のステップS62で、マグネトロン10へ電流が流れたか否かを検出する。この検出は、第1リレー2の短絡の有無で説明した上述の方法で行う。
【0050】
この図4のステップS62でマグネトロン10へ電流が流れたと判断すると、図4のステップS63で第2リレー3の短絡を判断する。一方、上記図4のステップS62でマグネトロン10へ電流が流れなかったと判断すると、図4のステップS64で第1リレー2の非短絡を判断する。
【0051】
再度、図2を参照して、ステップS6で、第2リレー3の非短絡を判断すると、再度ステップS5を行う。一方、ステップS6で、第2リレー3の短絡を判断すると、ステップS7で、第1リレー2の短絡の有無を判断する。ステップS7で、第1リレー2の非短絡を判断すると、再度ステップS1を行う。一方、ステップS7で、第1リレー2の短絡を判断すると、ステップS8で、部品の取り換えを報知して、マイコン31による加熱制御がエンドになる。
【0052】
尚、詳述しないが、この電子レンジは、図示しない回転アンテナを有し、上記アンテナモータ32は、その回転アンテナを駆動する役割を担っている。上記マグネトロン10で発生したマイクロ波は、図示しない導波管によって電子レンジの図示しない加熱室の下部中央に導かれ、アンテナモータ32によって駆動される上記回転アンテナによって上記加熱室内の上方に向かって放射されて被加熱物を加熱するようになっている。上記マイコン31は、アンテナモータ32を制御するようになっている。
【0053】
また、上記マイコン31は、電子レンジの電装部品等の冷却用のファンを駆動するファンモータ33の駆動を制御すると共に、電子レンジによる被加熱物の加熱時にオーブンランプ31を点灯させるようになっている。また、上記マイコン31は、ドア検知スイッチ34がオンになったことを検知して、電子レンジのドアが閉まっていることを認識するようになっている。
【0054】
上記実施形態の加熱調理器の加熱装置によれば、電流をマグネトロン19に流すラインに第1および第2加熱制御用電磁リレー2,3を直列に接続し、短絡した加熱制御用電磁リレーを、ラインの一部として使用できるようにしているから、全ての加熱制御用電磁リレー2,3が短絡するまで、加熱装置の寿命が尽きることがないようにすることができて、加熱装置の寿命を大幅に長くすることができる。したがって、部品交換の頻度を小さくすることができると共に、第1,第2加熱制御用電磁リレー2,3の全ての寿命が尽きるまで使用できるから、資源を有効利用できると共に、部品の廃棄までの期間を長くできて、環境保全に寄与することができる。
【0055】
また、特に、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置によれば、電流をマグネトロン19に流すラインに第1,第2加熱制御用電磁リレー2,3を直列に接続しているから、電流をマグネトロンに流すラインに一つの加熱制御用電磁リレーを接続している構成と比較して、加熱装置の寿命を略2倍にすることができる。
【0056】
尚、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置では、電流をマグネトロン10に流すラインに第1,第2の二つの加熱制御用電磁リレー2,3を直列に接続したが、この発明では、電流を加熱部に流すラインに三以上の加熱制御用電磁リレーを直列に接続しても良い。
【0057】
また、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置では、加熱部が、マグネトロン10であったが、この発明では、加熱部は、ヒータや過熱蒸気発生装置や誘導加熱装置等、マグネトロン以外で加熱を行える装置であっても良い。
【0058】
また、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置では、第1加熱制御用電磁リレー2のスイッチ部52と、加熱部(この実施形態では、マグネトロン10)との間に、第2加熱制御用電磁リレー3のスイッチ部53を接続したが、この発明では、第2加熱制御用電磁リレーのスイッチ部と、加熱部との間に、第1加熱制御用電磁リレーのスイッチ部を接続しても良い。
【0059】
また、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置では、原則、第1加熱制御用電磁リレー2のオンオフ制御の回数が、20万回に到達したか否かで、第1制御から第2制御に移行するか否かを、判断したが、この判断の基準になる回数は、20万回でなくても良く、例えば、15万回、17万回、19万回、21万回、23万回等でも良い。この判断の基準になる回数は、電磁リレーの電気的寿命、機械的寿命を考慮して10万回以上25万回以下であると好ましく、特に、18万回以上、21万回以下であると更に好ましい。
【0060】
また、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置では、原則、第2加熱制御用電磁リレー3をオン状態にした上で、第1加熱制御用電磁リレー2のオンオフ制御を20万回行い、その後、第1加熱制御用電磁リレー2をオン状態にした上で、第2加熱制御用電磁リレー3のオンオフ制御を20万回行うようにした。しかしながら、この発明では、第1加熱制御用電磁リレー2のオンオフ制御と、第2加熱制御用電磁リレー3のオンオフ制御とを、交互に、例えば、複数回オンオフする毎に交互にオンオフ制御を交代し、著しい場合には、1回オンオフする毎にオンオフ制御を交代しても良い。
【0061】
詳しくは、上記マイコン31は、第1加熱制御用電磁リレー2のスイッチ部52および第2加熱制御用電磁リレー3のスイッチ部53をオン状態にして、電流をマグネトロン10へ流した後、第1加熱制御用電磁リレー2のスイッチ部52をオフ状態にする一方、第2加熱制御用電磁リレー3のスイッチ部53をオン状態にして、電流がマグネトロン10に流れることを遮断し、続いて、第1加熱制御用電磁リレー2のスイッチ部52および第2加熱制御用電磁リレー3のスイッチ部53をオン状態にして、電流がマグネトロン10へ流れるようにし、その後、第1加熱制御用電磁リレー2をオン状態にする一方、第2加熱制御用電磁リレー3をオフ状態にして、電流がマグネトロン10へ流れることを遮断する。そして、この一連の動作を、加熱制御用電磁リレーの交換まで、多数回繰り返す。上記マイコン31は、第1加熱制御用電磁リレー2で通遮電を行った回数を記録する記録部(図示せず)を有し、第1加熱制御用電磁リレー2で通遮電を行った回数が20万回に達すると、電子レンジのモニタに部品交換を示すサインを表示する。
【0062】
ユーザが、上記交換のサインに従わず、部品交換を示すサインが表示された後も、操作部40からマイコン30に信号を送って、この電子レンジを使用し続けて、第1加熱制御用電磁リレー2および第2加熱制御用電磁リレー3のどちらか一方が短絡を起こしたとする。そうすると、マイコン31は、短絡検出部からの信号によって、短絡した加熱リレーを判断して、その後は、短絡していない加熱リレーで、通遮電を行う。このようにして、電流がマグネトロン10へ流れることを通遮電しても良い。
【0063】
また、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置では、第1制御および第2制御において、一方の加熱制御用電磁リレー2,3を、予め定められた回数オンオフ制御すると共に、他方の加熱制御用電磁リレー2,3をオン状態に制御したが、この発明では、第1制御および第2制御において、一方の加熱制御用電磁リレーを、所定の時間(例えば、半年、1年間、1年半、2年等)オンオフ制御すると共に、他方の加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御しても良い。
【0064】
また、この発明では、第1加熱制御用電磁リレーを、予め定められた回数あるいは予め定められた時間の間オンオフ制御すると共に、第2加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第1制御と、第2加熱制御用電磁リレーを、予め定められた回数あるいは予め定められた時間の間オンオフ制御すると共に、第1加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第2制御とを交互に行うようにしても良い。
【0065】
また、この発明では、短絡検出部を有していなくても良く、例えば、所定回数、一方の加熱制御用電磁リレーのオンオフ制御で、加熱部への電流の通遮電を行った後、自動的に、他方の加熱制御用電磁リレーのオンオフ制御で、加熱部への電流の通遮電を行うようにしても良い。
【0066】
また、上記変形例の加熱装置では、交換時期を一の加熱リレーが20万回使用したときに表示するようになっていたが、この発明では、電磁リレーの交換時期を表示する場合に、一の加熱リレーが20万回以外の回数使用されたときに交換時期を表示するようにしても良いことは、言うまでもない。
【0067】
また、上記実施形態の加熱調理器の加熱装置は、電子レンジに内蔵されていたが、この発明の加熱装置は、ヒータ、誘導加熱器、蒸気調理器等、電子レンジ以外の加熱調理器に内蔵されても良いことは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 制御ユニット
2 第1加熱制御用電磁リレー
3 第2加熱制御用電磁リレー
5 高圧トランス
10 マグネトロン
31 マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、
上記加熱部の駆動を制御する第1および第2加熱制御用電磁リレーと、
上記第1および第2加熱制御用リレーを制御する加熱制御部と
を備え、
上記第1加熱制御用電磁リレーのスイッチ部と、上記第2加熱制御用電磁リレーのスイッチ部とを、直列に接続すると共に、上記加熱部と電源との間に接続して、上記第1スイッチ部および上記第2スイッチ部の一方が、短絡しても、他方をオンオフして、上記加熱部の駆動を制御できるようにしたことを特徴とする加熱調理器の加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器の加熱装置において、
上記加熱制御部は、上記第1加熱制御用リレーと上記第2加熱制御用リレーとを交互に、一方をオン状態にし、他方をオンオフ制御することを特徴とする加熱調理器の加熱装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器の加熱装置において
上記加熱制御部は、
上記第1加熱制御用電磁リレーを、予め定められた回数あるいは予め定められた時間の間オンオフ制御すると共に、上記第2加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第1制御と、
上記第2加熱制御用電磁リレーを、予め定められた回数あるいは予め定められた時間の間オンオフ制御すると共に、上記第1加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第2制御と
を交互に行うことを特徴とする加熱調理器の加熱装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載の加熱装置において、
上記第1加熱制御用電磁リレーをオフする信号を出力する一方、上記第2加熱制御用電磁リレーをオンする信号を出力して、上記加熱部に電流が流された場合に、上記第1加熱制御用電磁リレーの短絡を検出する一方、上記第1加熱制御用電磁リレーをオンする信号を出力する一方、上記第2加熱制御用電磁リレーをオフする信号を出力して、上記加熱部に電流が流された場合に、上記第2加熱制御用電磁リレーの短絡を検出する短絡検出部を有することを特徴とする加熱調理器の加熱装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の加熱調理器の加熱装置において、
上記加熱制御部は、上記第1加熱制御用電磁リレーを、予め定められた10万回以上の回数オンオフ制御すると共に、上記第2加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御する第1制御を行う一方、
上記第1制御を行った後は、上記第1加熱制御用電磁リレーをオン状態に制御すると共に、上記第2加熱制御用電磁リレーをオンオフ制御することを特徴とする加熱調理器の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−128968(P2012−128968A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277116(P2010−277116)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】