説明

加熱調理器

【課題】受皿に水がある場合とない場合の双方において調理を行うことができる加熱調理器を提供すること。
【解決手段】調理中に検知される受け皿上の水の有無に応じて、調理終了前に庫内の残留油を焼き切るための工程の火力を制御することで、水有の場合は調理終了前に庫内の残留油を自動で焼き切ることができ、水無の場合は下方加熱手段の温度が所定温度a(油が滴下しても発火しない温度)以上にならない所定出力以下に制御することにより、調理物からでる油分が下方加熱手段に滴下しても油分が発火することを抑制することとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭で使用するグリル装置を有する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、グリル装置のグリル庫内に収容する調理物を載置する焼網と、調理物から滴下する油などを受ける受皿と調理物を加熱する熱源とグリル装置の開口を開閉する扉などから構成され、グリル庫内の発火を防止するため受皿に水を入れ使用し、調理中に受皿の水がなくなった場合には加熱出力を低下させて庫内温度が高くなりすぎないよう制御を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来の加熱調理器のブロック図を示すものである。
【0004】
図8に示すように、グリル装置101は前面を開口したグリル庫102を有し、グリル庫102内部に調理物103を上方より加熱する上方加熱手段104と、下方より加熱する下方加熱手段105が取り付けられている。
【0005】
受皿106は下方加熱手段105の下方に配置され、グリル庫102の開口を覆う扉107の開閉と連動してグリル庫102内に着脱される。調理物を載置するための焼網108は受皿106に設置され、調理物103の載置面を下方加熱手段105の上方に配置し、受皿106と共にグリル庫102内に対し着脱される。
【0006】
操作部109は加熱調理器の前面に設けられ、調理法及び調理物を選択するための選択スイッチ、加熱スタート/ストップを行う切入スイッチ、及び表示手段からなる。グリル庫102内の温度を検知する庫内温度検出手段110により庫内温度を検出し、庫内温度が所定温度になったときに上方加熱手段104、下方加熱手段105の通電を制御手段111により制御する。
【0007】
記憶手段113は調理法及び調理物の種類に対応する加熱出力パターンを記憶し、操作部109により選択された調理法および調理物に応じた加熱出力パターンを制御手段111へ伝達する。計時手段114は時間を計時するものであり、制御手段111は選択された加熱出力パターンと計時手段114の計時結果に応じて上方加熱手段104及び下方加熱手段105の出力を制御する。
【0008】
温度検知手段112は下方加熱手段105と受皿106の間に設置され、この温度検出手段112の温度上昇勾配により受皿106の水有無を判別し、受皿に水がないと判断した場合には加熱を停止または加熱出力を低下させる。
【特許文献1】特開2001−74250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の構成では、水有を前提に調理を開始するものであり、調理開始後、途中で水がなくなった場合などに加熱出力を低下または停止させることにより発火・発煙を抑えることができるが、加熱初期から水が無い場合には調理を継続することができないという課題を有していた。
【0010】
また、水有のみの使用できる加熱調理器において、調理終了直前に下方加熱手段の出力
を高め、調理物から滴下し下方加熱手段に付着した油を焼き切ることで、次回調理時の発煙を抑える工夫を行っていたが、水有無を検知し水有水無共に調理を行うことができる加熱調理器において、水無調理時に同じ制御を行うと下方加熱手段上にて調理物より滴下した油が発火し、調理物へ着火する恐れがあるという課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、受皿に水がある場合とない場合の双方において調理を行うことができると共に、水有の場合は調理終了前に下方加熱手段の出力を高め残留油を焼き切り、水無の場合は調理終了後に庫内の残留油を焼き切るためのお手入れモードを推奨することで、安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、外郭を構成する本体と、本体内に設けた魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、前記グリル装置のグリル庫内に収容する前記調理物を載置するための焼網と、前記調理物から滴下する油や水分を受ける受皿と、グリル庫内の空気をグリル装置外に排出するための排気ダクトと、前記排気ダクトとグリル庫の間に配置され排気中の煙を除去する除煙フィルターと、前記焼網と前記受皿の間に設置され前記調理物を下方より加熱する下方加熱手段と、前記焼網の上方に設置され調理物を上方より加熱する上方加熱手段と、前記受皿の下方に設置され前記受皿の温度を検知する受皿温度検知手段と、前記グリル庫内の温度を検知する庫内温度検知手段と、前記上方加熱手段、下方加熱手段の出力を制御する加熱制御手段と、受皿に水があるかないかを判別する水有無検知手段と、水の有無に応じた調理シーケンスを記憶する記憶手段と、前記水有無検知手段の検知結果が水有の場合は調理終了前に前記下方加熱手段の出力を高火力により制御し、前記水有無検知手段の検知結果が水無の場合は下方加熱手段の出力を所定出力以下で制御するものである。
【0013】
これによって、調理中に検知される受け皿上の水の有無に応じて、調理終了前に庫内の残留油を焼き切るための工程の火力を制御することで、水有の場合は調理終了前に庫内の残留油を自動で焼き切ることができ、水無の場合は下方加熱手段の温度が所定温度(油が滴下しても発火しない温度)以上にならない所定出力以下に制御することにより、調理物からでる油分が下方加熱手段に滴下しても油分が発火することを抑制することができ、水無にて調理を行った使用者で次回調理開始時の煙が気になる方には庫内の残留油を焼き切るためのお手入れモードを実行してもらうことで、安全に調理を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加熱調理器は、受皿の水の有無に応じて下方加熱手段の加熱出力を制御することで水の有無に関わらず発火・発煙することなく加熱調理を行うことができ、受け皿の水の有無に関わらず次回調理時の煙を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、外郭を構成する本体と、本体内に設けた魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、前記グリル装置のグリル庫内に収容する前記調理物を載置するための焼網と、前記調理物から滴下する油や水分を受ける受皿と、グリル庫内の空気をグリル装置外に排出するための排気ダクトと、前記排気ダクトとグリル庫の間に配置され排気中の煙を除去する除煙フィルターと、前記焼網と前記受皿の間に設置され前記調理物を下方より加熱する下方加熱手段と、前記焼網の上方に設置され調理物を上方より加熱する上方加熱手段と、前記受皿の下方に設置され前記受皿の温度を検知する受皿温度検知手段と、前記グリル庫内の温度を検知する庫内温度検知手段と、前記上方加熱手段、下方加熱手段の出力を制御する加熱制御手段と、受皿に水があるかないかを判別する水有無検知手段と、水の有無に応じた調理シーケンスを記憶する記憶手段と、前記水有無検知手段の検知結果が水
有の場合は調理終了前に前記下方加熱手段の出力を高火力により制御し、前記水有無検知手段の検知結果が水無の場合は下方加熱手段の出力を所定出力以下で制御することにより、調理中に検知される受け皿上の水の有無に応じて、調理終了前に庫内の残留油を焼き切るための工程の火力を制御することで、水有の場合は調理終了前に庫内の残留油を自動で焼き切ることができ、水無の場合は下方加熱手段の温度が所定温度a(油が滴下しても発火しない温度)以上にならない所定出力以下に制御することにより、調理物からでる油分が下方加熱手段に滴下しても油分が発火することを抑制することができる。水無にて調理を行った使用者で次回調理開始時の煙が気になる方には庫内の残留油を焼き切るためのお手入れモードを実行してもらうことで、安全に調理を行うことができるグリル装置を備えた加熱調理器を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明の加熱調理器を、調理終了後にグリル庫内に残った残留油を焼き切るためのお手入れモードを備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合は、調理終了から所定時間1経過後前記お手入れモードへ移行し、お手入れモードを自動的に開始することにより、水無により調理をおこなわれた場合に、使用者が調理物を取り出した後自動的にお手入れモードへ移行し庫内の残留油を焼き切ることになり、次回調理時の煙量を抑制することができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第2の発明の加熱調理器を、調理物に応じた調理メニューを備え、含有油が少ない調理物を調理するメニューの場合は水有無検知手段の検知結果が水無の場合でもお手入れモードへ移行しないよう制御することによりで、庫内へ油が残留しない調理を行った際には庫内の残留油がないため焼き切る作業をおこなうことなく、不必要なエネルギーを消費することがなくなる。
【0018】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の加熱調理器を調理メニューやモードを表示する表示手段を備え、調理中に水有無検知手段により水有無が判別されると、前記表示手段に判別結果を表示するよう制御することにより、使用者が意図せず水無にて調理を行った場合や、調理開始時の水の量が不十分であり、途中で水がなくなり水無にて調理が行われたことを使用者に知らせることができ、次回調理時の煙が気になる場合は庫内の残留油を焼き切ることを促すことができる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1または第4の発明の加熱調理器を調理メニュー及びお手入れモードを選択するメニュー選択手段と、選択されたメニューを開始する切入SWを備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合は、調理終了後お手入れ選択モードへ移行し、前記切入SWを押し下することでお手入れモードへ移行し、お手入れを開始するよう制御することにより、お手入れ開始のタイミングを使用者に委ねることにより、調理物を取り出す前にお手入れを開始してしまうことや調理物を取り出す最中に扉が開けられた状態でお手入れを開始してしまうことを防ぐことができ、調理終了後に切入SWを押すだけでお手入れモードを実行できる状態とすることができ、お手入れモードを選択する操作が必要なくなるため使用者の煩わしさを低減することができる。
【0020】
第6の発明は、特に、第5の発明の加熱調理器を調理物に応じた調理メニューを備え、含有油が少ない調理物を調理するメニューの場合は水有無検知手段の検知結果が水無の場合でもお手入れ選択モードへ移行しないよう制御することにより、庫内へ油が残留しない調理を行った際には庫内の残留油がないため焼き切る作業はおこなわないので、不必要なエネルギーを消費することがなくなる。
【0021】
第7の発明は、特に、第1または4〜6のいずれか1つの発明の加熱調理器を切入SWの周辺に発光手段を備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合はお手入れ選択モードへ移行し、お手入れ選択モード中に前記発光手段を点滅させるよう制御することにより、
お手入れ選択モード中に次に操作するキーを強調することができ、使用者が操作に迷うことが少なくなる。
【0022】
第8の発明は、特に、第1または4〜7のいずれか1つの発明の加熱調理器を音による報知手段を備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合は、調理終了後お手入れ選択モードへ移行し、その旨を音により報知するよう制御することにより、表示部のみでお手入れを促すだけでなく音声により報知をおこなうことで、「水無調理のため庫内の残留油が残っており、次回調理時の煙を低減するためにお手入れを行ってください」といった旨の報知を行なうことで、使用者にお手入れを促すことができる。
【0023】
第9の発明は、特に、第1または4〜8のいずれか1つの発明の加熱調理器を調理終了後お手入れ選択モードへ移行し、お手入れ選択モードへ移行してから所定時間2経過してもお手入れを開始されなかった場合はお手入れ選択モードを解除するよう制御することにより、使用者がお手入れの必要がないと判断し、且つ次の調理を行う際に一旦お手入れ選択モードを解除する煩わしさを解消することができる。
【0024】
第10の発明は、特に、第1または4〜9のいずれか1つの発明の加熱調理器を水無調理後にお手入れ選択モードへ移行する設定を解除することができるよう構成することにより、調理開始時の煙が気にならない使用者には水無調理後に毎回お手入れ選択モードへ移行する煩わしさを解消することができる。
【0025】
第11の発明は、特に、第1〜10のいずれかに1つの発明の加熱調理器を水無調理後にお手入れモードが開始されると、受皿の有り無しを検知し受皿が有る場合は上方加熱手段と下方加熱手段の出力をOFFし、その旨を報知するよう制御することにより、水無調理終了後に受皿(調理物)がグリル庫内に残っている状態で誤ってお手入れモードを開始した場合に調理物が焦げてしまったり、発煙・発火の危険性が増すが、お手入れモードを終了し、受皿を取り出す必要があることを報知することで、調理物の過加熱及び発煙・発火を抑制することができる。
【0026】
第12の発明は、第1〜11のいずれか1つの発明の加熱調理器をグリル庫を開け閉めする扉と、前記扉の開閉を検知する開閉検知手段を備え、水無調理後にお手入れ選択モードへ移行後、扉が開けられないままお手入れモードが開始された場合はお手入れモードへ移行せずに、調理物を取り出すことを報知することにより、扉が開けられずにお手入れモードを開始された場合は調理物が庫内に残されたままであると判断し、調理物を取り出す必要があることを報知することで、調理物の過加熱及び発煙・発火を抑制することができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のブロック図を示すものである。
【0029】
図1において、グリル装置1は前面を開口したグリル庫2を有し、グリル庫2内部に調理物3を上方より加熱する上方加熱手段4と、下方より加熱する下方加熱手段5が取り付けられている。上方加熱手段4、および下方加熱手段5はシーズヒーターにより構成され商用電源電圧を印加されると発熱し、調理物3を加熱調理することができる。
【0030】
また、本実施の形態では上方加熱手段4を800W、下方加熱手段5を1000Wのヒ
ーターとする。
【0031】
なお、本実施の形態では上方加熱手段4、および下方加熱手段5をシーズヒーターにより構成するとしたが、ハロゲンヒーターや、他の熱源を使用してもよい。
【0032】
また、本実施の形態では上方加熱手段4、下方加熱手段5のワットをそれぞれ800W、1000Wとしたが、ヒーターのワットは庫内の広さおよびヒーター形状に応じて変更する必要があり、これに限られるものではない。
【0033】
受皿6は下方加熱手段5の下方に配置され、グリル庫2の開口を覆う扉7の開閉と連動してグリル庫2内に着脱される。調理物を載置するための焼網8は受皿6に設置され、調理物3の載置面を下方加熱手段5の上方に配置し、受皿6と共にグリル庫2内に対し着脱される。
【0034】
グリル庫2内の空気をグリル庫2外へ排出するための排気ダクト9はグリル庫2天板の中央からグリル装置奥の上方へ配置される。排気中の煙を除去する除煙フィルター10はグリル庫2天板の中央に配置される。本実施の形態では除煙フィルター10を白金触媒とする。除煙フィルター10の除煙性能は自身の温度が高いほど性能が上がるため除煙フィルター10の下方に配置される上方加熱手段4のヒーターパターンを除煙フィルター10の温度を上昇させることができるパターンとする。
【0035】
グリル庫2内の温度を検知する庫内温度検出手段11はサーミスタにより構成され庫内温度を検出することができる。また、受皿6の温度を検知する受皿温度検知手段12はサーミスタにより構成されグリル庫の下面を介して受皿6の温度を検知することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では庫内温度検知手段11、および受皿温度検知手段12をサーミスタにより構成するとしたが、白金センサや赤外線センサなどの温度検知素子を使用してもよい。
【0037】
加熱制御手段13は商用電源とヒーター間に接続されたリレーにより構成し、制御手段14の信号により上方加熱手段4、および下方加熱手段5をオン・オフする。なお、本実施の形態では加熱制御手段13をリレーにより構成するとしたが、トライアックやサイリスタといった半導体スイッチを使用してもよい。
【0038】
制御手段14はマイコンにより構成し、庫内温度検知手段11や受皿温度検知手段12により温度を検知し、操作部15により使用者が選択した動作モードに応じて加熱制御手段13を介して上方、下方加熱手段のオン・オフを制御する。
【0039】
記憶手段16は各種動作モード、調理シーケンスを記憶している。動作モードには水有無に応じて一定ワットを出力し続ける手動モードと、庫内の温度を一定に保つ温調モード、ならびに食材に応じた加熱パターン(一定ワット出力を一定時間保つ制御と庫内温度を一定に保つ温調を一定時間保つ制御の組み合わせ)により調理を行うオート調理モードを備え、操作部15により使用者が選択したモードに応じて加熱制御手段13を制御し調理を行う。
【0040】
制御手段14は計時手段17により計時された時間を用い一定周期(本実施の形態では16秒とする)内のオン・オフ比率を変更することで上方、下方加熱手段の出力を制御する。たとえば、上方加熱手段4のオン時の出力を800Wとしたとき、平均電力を400Wに制御するためには8秒間オンし、残りの8秒間をオフする制御を行う。
【0041】
水有無検知手段18は加熱開始から所定時間内の受皿温度検知手段12の温度変化値により水有無を検知する第1の水有無検知手段(図示せず)と、受皿温度検知手段の検知温度が所定温度b以上であれば水無と検知する第2の水有無検知手段(図示せず)を備えている。
【0042】
第1の水有無検知手段は所定時間a(本実施の形態では180秒とする)から所定時間b(本実施の形態では270秒とする)の間の受皿温度検知手段12の温度上昇値を算出し、前記温度上昇値が所定値(本実施の形態では10Kとする)以上であれば受皿6内に水が無いと判別し、前記温度上昇値が所定値未満であれば受皿6に水が有ると判別する。
【0043】
なお、本実施の形態では第1の水有無検知手段を所定時間aから所定時間bの間の受皿温度検知手段12の温度上昇値を基に水有無を検知するとしたが、受皿温度検知手段の検知温度が所定温度c(本実施の形態では50℃とする)から所定温度d(本実施の形態では60℃とする)まで上昇するのにかかる時間を基に水有無を検知し、所定時間c(本実施の形態では90秒とする)より短ければ水有、所定時間c以上であれば水無と検知する構成としても良い。
【0044】
第2の水有無検知手段は第1の水有無検知手段により水有無が検知された後動作し、受皿温度検知手段の検知温度が所定温度b(本実施の形態では100℃とする)以上であれば水無と検知する。
【0045】
また、受皿温度検知手段の検知温度が所定温度e(本実施の形態では90℃とする)以下、且つ庫内温度検知手段と受皿温度検知手段の検知温度差が所定温度差(本実施の形態では100Kとする)以上を検知すると水有と検知する。
【0046】
また、第2の水有無検知手段は、一旦水有/水無のいずれかを検知すると所定時間d(本実施の形態では60秒とする)の間は現在の水有無の検知結果を採用し、水有/水無の移行を行わないものとする。
【0047】
各動作モードは水有用の加熱パターンと水無用の加熱パターンを有し、水有無検知手段18の検知結果に応じて制御手段14は加熱パターンを変更することができる。水有無検知手段18により受皿6に水が無いと検知されると、制御手段14は下方加熱手段5の温度を所定温度a(本実施の形態では500℃とする)以下に保つように平均出力を所定出力1(本実施の形態では450Wとする)以下に制御する。平均出力の所定出力1はグリル庫の体積、下方加熱手段5の表面積、グリル庫内の温度などから決まる。
【0048】
下方加熱手段5の温度が500℃以上にならないように制御することにより、調理物からでる油分が下方加熱手段5に滴下しても油分が発火することを抑制することができ、調理中に受皿にたまった油への引火を抑制することができ、受皿に水がないときにも発火の危険性を抑制し調理を行うことができる。
【0049】
報知手段21はブザーにより構成し、ON/OFFの周期及び回数を変化させることで各種報知を行う。なお、本実施の形態では報知手段21をブザーにより構成するとしたが、音声ICとスピーカーにより音声により報知を行う構成としても良い。
【0050】
次に、図2を用いて操作部15の説明を行う。
【0051】
図2は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の操作部15を表す図である。
【0052】
図2において、(a)は液晶表示部15aの表示画素を全点灯した図である。15bは
ポインタでありメニューSW15cを押す毎に生・姿焼、切り身、浸け焼き、鶏肉、グラタン、焼きなす、温度調節、お手入れと移動し、メニューを選択することができる。
【0053】
図2(b)はメニューSW15cが押され、生・姿焼が選択された図である。メニューSW15cによりメニューを選択し切/入SW15dを押すことで、選択されたメニューの調理を開始することができる。また、アップ/ダウンSWである15e、15fにより設定火力を選択することができ、焼加減を選択することができる。調理中に再度切/入SW15dを押すことで加熱を停止することができる。
【0054】
メニューSW15cにより温度調節を選択したときにはアップ/ダウンSWである15e、15fにより温度を選択することができる。
【0055】
図2(c)は初期モードであり、この状態で切/入SW15dを押すことで、手動モードにて加熱を開始することができる。加熱開始後アップ/ダウンSWである15e、15fにより、強、中、弱の火力を選択することができる。また、初期モードにてメニューSW15cを押すことで図2(b)にて説明したメニュー選択モードへ移行する。
【0056】
次に、図2(d)、図3を用いて水有無検知手段18の動作および調理終了前の焼き切り工程について説明する。
【0057】
図3は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の庫内と受皿の温度と下方加熱手段の出力グラフである。
【0058】
図3において、(a)は受皿6に水がない場合の生・姿焼モードの庫内温度検知手段11の検知温度θと受皿温度検知手段12の検知温度φと、下方加熱手段5の平均出力をプロットしたグラフである。図3の(b)は受皿に水がある場合の生・姿焼モードの庫内温度検知手段11と受皿温度検知手段12の検知温度と、下方加熱手段5の平均出力をプロットしたグラフである。
【0059】
制御手段14は使用者によりメニューSW15cにより、生・姿焼モードが選択され、操作部15の切/入SW15dが押されると加熱を開始する。制御手段14は加熱制御手段13により加熱を開始する前に庫内温度検知手段11および受皿温度検知手段12の温度を検知し、所定温度f(本実施の形態では70℃とする)以下であれば下方加熱手段5の出力を1000Wにて加熱を開始する。
【0060】
切/入SW15dにより加熱が開始されると、まず高火力工程にて動作を行う。水有無検知手段18(第1の水有無検知手段)は加熱開始から所定時間at1(180秒)時点の受皿温度検知手段12の温度Φ1と所定時間bt2(270秒)時点の温度Φ2の差△φを計算し、閾値a10K以上であれば水無、未満であれば水有と判別する。水有無検知手段18の検知結果に応じて液晶表示部15aの右上に水有/水無のいずれかを点灯させる。図2(d)は生・姿焼モードを実行中に水有無検知手段18により水無と判別された際の操作・表示部の図である。
【0061】
なお、本実施の形態では所定温度fを70℃としたが、加熱開始後t1秒からt2秒間に得られる温度上昇値△φにより水有と水無を判別することができる温度であればこれに限られるものではない。
【0062】
所定時間at1は受皿温度検知手段12の温度が上昇を始めるポイントであり、本実施の形態では加熱開始後180秒とする。これは下方加熱手段5と受皿6、受皿温度検知手段12の位置関係、下方加熱手段5の形状、受皿6の材質や厚みなどにより変化し、18
0秒に限られるものではない。
【0063】
高火力工程中に第1の水有無検知手段により水有/無を検知すると共に負荷量検知手段により調理物の負荷量を判別する。負荷量検知手段は庫内温度検知手段11の検知温度がΘ1(本実施の形態では80℃とする)からΘ2(本実施の形態では150℃とする)まで上昇するのにかかる時間T1を基に負荷量を検知する。一定火力により調理を行っている間に負荷量を検知するため安定して負荷量を検知することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では負荷量検知手段を一定温度域の上昇にかかる時間により検知するとしたが、一定時間の温度上昇値により検知するものとしても良い。
【0065】
負荷量検知手段により負荷量が検知されると、あらかじめ記憶手段16に記憶されている(メニュー,設定火力,負荷量,水有/無)に応じた低火力工程の火力及び時間を選択し、調理を行う。これにより、例えば生・姿焼メニューの場合秋刀魚の尾数によらず同じ仕上がりで調理を行うことができる。
【0066】
第1の水有無検知と負荷量検知終了後、庫内温度検知手段11の検知温度θが(メニュー,設定火力,負荷量,水有/無)に応じた所定温度gΘ3以上となると高火力工程から低火力工程へ工程移行する。本実施の形態では(生・姿焼,中火力,負荷量小,水無)の場合160℃とし、(生・姿焼,中火力,負荷量小,水有)の場合180℃とする。
【0067】
所定温度gを(メニュー,設定火力,負荷量,水有/無)により変更することにより、各設定に応じた高火力により調理を行う時間を得ることができ、(メニュー,設定火力,負荷量,水有/無)に応じて仕上がりを一定に保つことができる。
【0068】
第1の水有無検知手段により水無と検知し、t3時間にθがΘ3以上となり低火力工程へ移行した際に、所定時間2t4−t3(本実施の形態では2分とする)の間下方加熱手段5の出力をOFFし、下方加熱手段の温度が所定温度a(本実施の形態では500℃とする)以下になるまで冷却期間を設ける。
【0069】
その後、平均出力ワットを450Wへ落とし、下方加熱手段5の温度が500℃を超えないように制御する。
【0070】
なお、本実施の形態では所定出力1を450Wとしたが、下方加熱手段5の表面温度が500℃になる温度に設定できればこれに限られるものではない。また、所定時間2を2分としたが、下方加熱手段5の表面温度が500℃以下になる時間であればこれに限られるものではない。
【0071】
なお、下方加熱手段5の表面温度の設定値である500℃は、調理物から滴下される油が下方加熱手段5に落ち発火する温度として設定しており、調理物を載置する焼網と下方加熱手段5の位置関係により変化する。所定出力1の設定値は下方加熱手段5の表面積、形状、ワット密度により設定される。
【0072】
第1の水有無検知手段により水有と検知し、t3時間にθがθ3以上となり低火力工程へ移行した場合、下方加熱手段5の平均出力をあらかじめ記憶手段に記憶されている(生・姿焼,中火力,負荷量小,水有)条件の火力(本実施の形態では700Wとする)により加熱を行う。
【0073】
水有にて調理が進行し、調理終了前(t5時間)になると焼き切り工程へ移行し、下方加熱手段5の出力を高火力にて制御する。これにより、水有調理時には調理物からでる庫
内の残留油を焼き切ることができるため次回調理時の煙の排出を抑制することができる。本実施の形態では焼き切り工程時間を1分とする。水無にて調理が進行した場合は焼き切り工程に移行することなく調理を終了する。
【0074】
なお、本実施の形態において、焼き切り工程時間を1分としたが残留油を焼き切ることができ、且つ調理物が焦げない範囲であればこれに限らない。
【0075】
次に、図4、図5を用いてお手入れモードの動作について説明する。
【0076】
図4は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のお手入れモード動作時の操作部を表す図である。
【0077】
図4において、(a)はお手入れモードを選択した状態でありこの状態をお手入れ選択モードとする。お手入れ選択モード中はポインタ15bを0.5秒ON0.5秒OFFにて点滅させる。図4(b)はお手入れ選択モードから切/入SW15dが押されお手入れモードが開始された状態であり、残り時間を表示させる。
【0078】
図5は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のお手入れモード動作時の庫内と受皿の温度と出力グラフである。
【0079】
図5はお手入れモードの庫内温度検知手段11の検知温度θと受皿温度検知手段12の検知温度φと、下方加熱手段5の出力をプロットしたグラフである。
【0080】
お手入れモードはグリル庫2から受皿6及び焼網8を取り外した状態にて行うものとし、受皿6の有り無しを検知する受皿検知手段により受皿有りを検知するとその旨を報知し、お手入れモードを終了する。
【0081】
切/入SW15dによりお手入れモードが開始されると、まず高火力工程にて動作を行う。高火力工程中は上方加熱手段4及び下方加熱手段5の出力をONにする。受皿検知手段は加熱開始から所定時間et6(60秒)時点の受皿温度検知手段12の温度Φ3と所定時間ft7(90秒)時点の温度Φ4の差△φを計算し、閾値b10K以上であれば受皿無し、未満であれば受皿有りと判別する。
【0082】
なお、本実施の形態では閾値bを10Kとしたが、加熱開始後t6秒からt7秒の間に得られる温度上昇値△φにより受皿有/無を判別することができる温度であればこれに限られるものではない。
【0083】
受皿有りと検知されると図4(c)に示すように液晶表示部15aにエラーコード“U25”を表示し、ブザーを10回0.2秒ON0.2秒OFFすることで、受皿有りにてお手入れを開始されたことを報知する。
【0084】
なお、本実施の形態ではエラーコードを“U25”とし、ブザー報知を10回0.2秒ON0.2秒OFFするとしたが、受皿有りにてお手入れを開始されたことが分かればこれに限られるものではない。
【0085】
高火力工程中に庫内温度検知手段11がΘ4を検知すると温調工程へ移行し、t8からt9の間庫内温度検知手段11の検知温度がΘ4以上となると上方加熱手段4及び下方加熱手段5の出力をOFFし、Θ4未満となるとONさせる。
【0086】
これにより、所定時間g(t9−t8)グリル庫2内の温度を一定以上に保つことでグ
リル庫2内に残った残留油を焼き切ることができる。本実施の形態では所定時間gを10分とする。
【0087】
なお、本実施の形態では所定時間gを10分としたが、グリル庫2内の残留油を焼き切り、且つグリル装置1及び周辺の部品の温度が許容値内に収まればこれに限られるものではない。
【0088】
温調工程が所定時間g経過すると冷却工程へ移行し、上方加熱手段4及び下方加熱手段5の出力をOFFし、グリル庫2内及びグリル装置1の温度が所定温度h(本実施の形態では70℃)以下になるまで冷却を行う。
【0089】
なお、本実施の形態では冷却工程を所定温度hになるまで行うとしたが、次回調理時に使用者が扉を開ける際に火傷しない温度になっていればこれに限られるものではない。また、上記条件を満たせば温度による制御ではなく一定時間制御としても良い。
【0090】
なお、本実施の形態ではお手入れモードの工程を図5に示すものとしたが、グリル庫2内の残留油を焼き切ることができればこれに限られるものではない。
【0091】
次に、オート調理開始後、水有無検知手段18により水無が検知され調理終了した場合の動作について説明する。
【0092】
オート調理終了前に水無が検知されるとオート調理終了後所定時間1(本実施の形態では3分とする)経過後、自動的にお手入れモードを開始する。
【0093】
但し、オート調理メニューである生・姿焼、切り身、浸け焼き、鶏肉、グラタン、焼なすの内、調理中に調理物からでる油が少ないグラタン、焼なすについては自動的にお手入れモードへ移行しない。
【0094】
なお、本実施の形態では自動的にお手入れモードへ移行する所定時間1を3分としたが、使用者が調理物を取り出すまでの時間により決められるものでありこれに限られるものではない。
【0095】
お手入れモードへ自動的に移行した際に、ブザーにより0.3秒ON0.3秒OFFを2回繰り返し、1秒OFF後、再度0.3秒ON0.3秒OFFを2回繰り返す報知を行うことで、自動的にお手入れモードへ移行したことを報知する。
【0096】
なお、本実施の形態ではブザーによりお手入れモードが自動的に開始されたことを報知するとしたが、音声により「水無し調理を行い、次回調理開始時の煙量低減のためお手入れモードを開始しました」という旨の報知を行う構成としても良い。
【0097】
以上のように、本実施の形態において調理中の水有/水無判別結果に応じて、調理終了前に焼き切り工程を行うか、調理終了後お手入れモードを自動的に実行することにより、調理後のグリル庫2内の残留油を焼き切る事ができるため、次回調理開始時の煙量を低減することができ、安全かつクリーンに調理を行うことができる。
【0098】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における動作について説明する。なお、実施の形態1と同じ構成物・動作については説明を省略する。
【0099】
図6は、本発明の第2の実施の形態における加熱調理器のお手入れ選択モード尾指お手
入れモード動作時の操作部を表す図である。
【0100】
図6において、(a)はお手入れ選択モードの状態を表し、切/入LED15gはお手入れ選択モード中に0.5秒ON、0.5秒OFFを繰り返す。これにより、使用者はお手入れを開始するキーが切/入SW15dであることを認識しやすくなる。
【0101】
図6(b)は切/入SW15dが押されお手入れモードが開始された状態の操作部15の図であり、お手入れモード開始後は切/入LED15gを消灯する。
【0102】
オート調理終了前に水無が検知されるとオート調理終了後、自動的にお手入れ選択モードへ移行する。但し、オート調理メニューである生・姿焼、切り身、浸け焼き、鶏肉、グラタン、焼きなすの内、調理中に調理物からでる油が少ないグラタン、焼なすについては自動的にお手入れ選択モードへ移行しない。
【0103】
お手入れ選択モードへ移行するとブザーにより0.3秒ON0.3秒OFFを2回繰り返し、1秒OFF後、再度0.3秒ON0.3秒OFFを2回繰り返す報知を行い、使用者にお手入れ選択モードへ移行したことを報知する。
【0104】
なお、本実施の形態ではブザーによりお手入れ選択モードへ移行したことを報知するとしたが、音声により「水無し調理を行い、次回調理開始時の煙量低減のためお手入れをおこなってください」という旨の報知を行う構成としても良い。
【0105】
水無し調理終了後、お手入れ選択モードへ移行し、所定時間2(本実施の形態では3分とする)経過してもお手入れモードを開始されなかった場合はお手入れ選択モードを解除し、図2(c)にて説明した初期モードへ移行する。
【0106】
次に、お手入れ選択モードへの自動移行を解除する動作について説明する。記憶手段16は不揮発性メモリを備え、水無し調理後にお手入れ選択モードへ自動移行するかどうかのフラグ(お手入れ自動フラグ)を備える。
【0107】
製品出荷時にはお手入れ自動フラグを“1”に設定しておく。加熱調理器への商用電源供給を切/入できる電源SWを備え、メニューSW15cとダウンSW15fと切/入SW15dを同時に押しながら電源SWを入れるとお手入れ自動フラグ設定モードへ移行する。
【0108】
図7は、本発明の第2の実施の形態における加熱調理器のお手入れ自動フラグ設定モード動作時の操作部を表す図である。
【0109】
図7において、(a)はお手入れ自動フラグ設定モードへ移行した際の操作部の図であり、生姿、焼なす、浸け焼き、お手入れを表示し、お手入れ前方のポインタによりお手入れ自動フラグを表す。図7(a)はお手入れ自動フラグが“1”を表し、水無し調理後にお手入れ選択モードへ自動的に移行する設定である。
【0110】
お手入れ自動フラグ設定モードにてメニューSW15cを押すことで、お手入れ自動フラグを“0”に設定し、液晶表示部15aの表示を図7(b)のようにお手入れ前方のポインタを消灯させる。
【0111】
メニューSW15cによりお手入れ自動フラグを設定し、切/入SWを押すことで不揮発性メモリのお手入れ自動フラグを上書きし、初期モードへ移行する。これにより、調理開始時の煙が気にならない使用者においては毎回水無し調理後にお手入れ選択モードへ移
行される煩わしさを解消することができる。
【0112】
以上のように、本実施の形態において調理中の水有/水無判別結果に応じて、調理終了前に焼き切り工程を行うか、調理終了後お手入れ選択モードへ自動的に移行することで水無し調理後にお手入れモードを実行することを促すことができ、調理後のグリル庫2内の残留油を焼き切る事ができるため、次回調理開始時の煙量を低減することができ、安全かつクリーンに調理を行うことができる。
【0113】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3における動作について説明する。なお、実施の形態1と同じ構成物・動作については説明を省略する。
【0114】
グリル庫2を開け閉めする扉7に磁石(図示せず)と、前記磁石に正対するグリル庫2に磁気によりON/OFFするリードSW(図示せず)と、前記リードSWの出力がONの場合扉が閉められていると検知し、OFFの場合扉が開けられていると検知する開閉検知手段を備え、開閉検知手段により水無し調理終了後お手入れを開始されるまでの間に扉の開閉が検知されなかった場合はお手入れモードを開始せずに、ブザーにより0.5秒ON、0.5秒OFFを5回繰り返し報知することで、調理物が取り出されていないためお手入れを開始できない旨を使用者に伝える。
【0115】
なお、本実施の形態では開閉検知手段をリードSWにより構成するとしたが、扉の開閉が検知できればこれに限られるものではない。
【0116】
また、調理終了からお手入れ開始までに扉の開閉がないことをブザーにより報知するとしたが、音声により「調理物を取り出してからお手入れを開始してください」といった旨を報知する構成としても良い。
【0117】
以上のように、調理終了後お手入れ選択モードへ移行し、調理物を取り出す前に使用者が誤ってお手入れを実行したとしても、調理物を取り出すことを報知することができ、安全に調理後のグリル庫2内の残留油を焼き切る事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、受皿の水有無にかかわらず発火を抑制し加熱調理を行うことができ、次回調理時の煙量を低減することができるため、グリル装置を備えるその他の加熱調理器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における加熱調理器の操作部を表す図
【図3】本発明の実施の形態1における加熱調理器の庫内と受皿の温度と下方加熱手段の出力グラフ
【図4】本発明の実施の形態1における加熱調理器のお手入れモード動作時の操作部を表す図
【図5】本発明の実施の形態1における加熱調理器のお手入れモード動作時の庫内と受皿の温度と出力グラフ
【図6】本発明の実施の形態2における加熱調理器のお手入れ選択モードおよびお手入れモード動作時の操作部を表す図
【図7】本発明の実施の形態2における加熱調理器のお手入れ自動フラグ設定モード動作時の操作部を表す図
【図8】従来の加熱調理器のブロック図
【符号の説明】
【0120】
1 グリル装置
2 グリル庫
4 上方加熱手段
5 下方加熱手段
6 受皿
8 焼網
9 排気ダクト
10 除煙フィルター
11 庫内温度検知手段
12 受皿温度検知手段
13 加熱制御手段
14 制御手段
15 操作部
16 記憶手段
17 計時手段
18 水有無検知手段
21 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を構成する本体と、本体内に設けた魚などの調理物を加熱調理するグリル装置と、前記グリル装置のグリル庫内に収容する前記調理物を載置するための焼網と、前記調理物から滴下する油や水分を受ける受皿と、前記グリル庫内の空気をグリル装置外に排出するための排気ダクトと、前記排気ダクトと前記グリル庫の間に配置され排気中の煙を除去する除煙フィルターと、前記焼網と前記受皿の間に設置され前記調理物を下方より加熱する下方加熱手段と、前記焼網の上方に設置された調理物を上方より加熱する上方加熱手段と、前記受皿の下方に設置され前記受皿の温度を検知する受皿温度検知手段と、前記グリル庫内の温度を検知する庫内温度検知手段と、前記上方加熱手段、前記下方加熱手段の出力を制御する加熱制御手段と、前記受皿に水があるかないかを判別する水有無検知手段と、水の有無に応じた調理シーケンスを記憶する記憶手段と、前記水有無検知手段の検知結果が水有の場合は調理終了前に前記下方加熱手段の出力を高火力により制御し、前記水有無検知手段の検知結果が水無の場合は前記下方加熱手段の出力を所定出力以下で制御する加熱調理器。
【請求項2】
調理終了後にグリル庫内に残った残留油を焼き切るためのお手入れモードを備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合は、調理終了から所定時間1経過後前記お手入れモードへ移行し、お手入れモードを自動的に開始する請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
調理物に応じた調理メニューを備え、含有油が少ない調理物を調理するメニューの場合は水有無検知手段の検知結果が水無の場合でもお手入れモードへ移行しない請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
調理メニューやモードを表示する表示手段を備え、調理中に水有無検知手段により水有無が判別されると、前記表示手段に判別結果を表示する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
調理メニュー及びお手入れモードを選択するメニュー選択手段と、選択されたメニューを開始する切入SWを備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合は、調理終了後お手入れ選択モードへ移行し、前記切入SWを押し下することでお手入れモードへ移行し、お手入れを開始する請求項1または4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
調理物に応じた調理メニューを備え、含有油が少ない調理物を調理するメニューの場合は水有無検知手段の検知結果が水無の場合でもお手入れ選択モードへ移行しない請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
切入SWの周辺に発光手段を備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合はお手入れ選択モードへ移行し、お手入れ選択モード中に前記発光手段を点滅させる請求項1または4〜6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
音声による報知手段を備え、水有無検知手段の検知結果が水無の場合は、調理終了後お手入れ選択モードへ移行し、その旨を音声により報知する請求項1または4〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
水有無検知手段の検知結果が水無の場合は、調理終了後お手入れ選択モードへ移行し、前記お手入れ選択モードへ移行してから所定時間2経過してもお手入れを開始されなかった場合は前記お手入れ選択モードを解除する請求項1または4〜8のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
水無調理後にお手入れ選択モードへ移行する設定を解除することができる請求項1または4〜9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
水無調理後にお手入れモードが開始されると、受皿の有り無しを検知し受皿が有る場合は上方加熱手段と下方加熱手段の出力をOFFし、その旨を報知する請求項1〜10のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項12】
グリル庫を開け閉めする扉と、前記扉の開閉を検知する開閉検知手段を備え、水無調理後にお手入れ選択モードへ移行後、扉が開けられないままお手入れモードが開始された場合はお手入れモードへ移行せずに、調理物を取り出すことを報知する請求項1〜11のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−297391(P2009−297391A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157747(P2008−157747)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】