説明

加熱調理器

【課題】どのような種類の調理容器が用いられても、自動調理により炊飯が可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】本発明の加熱調理器1は、加熱部13と、加熱部13における加熱開始時点からの時間を測定する時間測定部51と、炊飯時間を決定する炊飯時間決定部52と、時間測定部51により測定された時間が、前記炊飯時間に達したときに加熱部13による加熱を停止させる加熱停止部53とを備える。炊飯時間決定部52は、調理容器3に溜められた所定量の水が沸騰するのに要する沸騰時間を記憶する記憶部55と、この記憶部55により記憶された沸騰時間に基づいて前記炊飯時間を算出する炊飯時間演算部56とを有している。前記沸騰時間は、使用者が、所定量の水が貯められた調理容器3を加熱部13にて加熱することで当該水を沸騰させ、この沸騰した時点の時間測定部51による測定時間を記憶させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関し、特に、自動炊飯機能が付加された加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、調理容器によって炊飯を行なうに際し、炊飯のための火力制御や時間制御などを自動で行なう加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に示された加熱調理器は、バーナの中央に調理容器の底面の温度を測定する温度センサを有しており、この温度センサにより測定された調理容器の温度値の挙動から、当該調理容器の種類を判別する。そして判別した調理容器に応じた制御を行い、調理容器底面の温度と当該調理容器の内容物の温度とが略一致することを前提に、調理容器底面の温度を測定しながら、自動調理により炊飯を行なうようになっている。
【0003】
このためこの特許文献1に示される加熱調理器には、容器内外で温度差の小さい調理容器、すなわち、熱伝導率が高く熱容量が小さい金属製の調理容器を使用する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−211096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、加熱調理器を用いて炊飯を行なう場合、土鍋等の熱容量の大きい調理容器を使用することでおいしく米が炊けると言われている。ところが、土鍋等のように熱容量が大きく、熱伝導率が低い調理容器は、その形状や厚みや大きさ等によって、沸騰に要する時間(沸騰時間)や、容器内外の温度差などに違いが大きい。つまり、調理容器の底面の温度を測定し、内容物の温度を見ながら炊飯の自動制御を行なう特許文献1の加熱調理器では、熱容量が大きく、熱伝導率の低い調理容器を用いて、炊飯制御を自動で行なうことができなかった。
【0006】
ここで、熱容量が大きく、熱伝導率の低い調理容器であっても、加熱調理器に設けられた温度センサによって内容物の温度を測定できるようにした次のような調理容器が存在する。この調理容器は、調理容器の温度センサに当接する部分のみがくり抜かれ、このくり抜かれた部分に熱伝導性の高い金属板が嵌め込まれたものである。
【0007】
しかしながら、このような調理容器は、金属板とその他の部分とで熱膨張率が異なるため、加熱した場合に金属板周縁部分に隙間が生じるおそれがあり、漏水の可能性があった。また、そもそもこのような特殊な加工がされた鍋を用意する必要があり、ユーザーにとって好ましくない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、どのような種類の調理容器が用いられても、自動調理により炊飯が可能な加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の加熱調理器は以下のように構成される。
【0010】
本発明の加熱調理器1は、加熱部13と、加熱部13における加熱開始時点からの時間を測定する時間測定部51と、炊飯時間を決定する炊飯時間決定部52と、時間測定部51により測定された時間が、炊飯時間決定部52により決定された炊飯時間に達したときに加熱部13による加熱を停止させる加熱停止部53とを備え、前記炊飯時間決定部52は、調理容器3に溜められた所定量の水が沸騰するのに要する沸騰時間を記憶する記憶部55と、この記憶部55により記憶された沸騰時間に基づいて前記炊飯時間を算出する炊飯時間演算部56とを有し、前記記憶部55により記憶された沸騰時間は、使用者が、所定量の水が貯められた調理容器3を加熱部13にて加熱することで当該水を沸騰させ、この沸騰した時点の時間測定部51による測定時間を記憶させたものであることを特徴とする。
【0011】
このように本発明の加熱調理器1は、使用者が予め沸騰時間を記憶させ、この沸騰時間に基づいて炊飯時間を算出し、その炊飯時間に基づいて自動で炊飯するものであるため、調理容器3の温度値に依存せずに自動炊飯することができる。すなわち、仮に、容器外面とその内容物とで温度差が生じてしまうような調理容器3を用いて炊飯する場合であっても、自動調理により炊飯を行なうことができる。
【0012】
また、前記炊飯時間演算部56は、前記記憶部55により記憶された沸騰時間に所定の時間を加算して前記炊飯時間を算出するものであることが好ましい。
【0013】
このように本発明の加熱調理器1は、炊飯時間演算部56が、沸騰時間に所定の時間を加算して炊飯時間を算出するものであるため、より簡単に炊飯時間が算出できる。
【0014】
また、本発明の加熱調理器1は、前記加熱部13による加熱を、複数の加熱量による加熱に段階的に変更する加熱制御部54をさらに備え、前記炊飯時間決定部52は、前記炊飯時間演算部56により算出された前記炊飯時間から各加熱量に対する加熱時間を算出する加熱時間演算部57をさらに有していることが好ましい。
【0015】
このように本発明の加熱調理器1は、複数の加熱量による加熱に段階的に変化させて加熱するため、炊き上がり後の米をふっくらとした良好な仕上がりとすることができる。
【0016】
また、本発明の加熱調理器1は、炊飯に使用される米量が入力される米量入力部60をさらに備え、前記炊飯時間演算部56は、前記記憶部55により記憶された沸騰時間に基づいて、予め定められた基準米量に対する基準炊飯時間を算出すると共に、米量入力部60により入力された米量が基準米量よりも多い場合は、増加量に応じた所定時間を基準炊飯時間に加算し、米量入力部60により入力された米量が基準米量よりも少ない場合は、減少量に応じた所定時間を基準炊飯時間から減算して前記炊飯時間を算出するものであることが好ましい。
【0017】
このように本発明の加熱調理器1は、米量に応じて炊飯時間を算出するものであるため、炊飯する米量が、基準米量に対して多くても少なくても、自動調理により炊飯することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の加熱調理器によれば、どのような種類の調理容器を用いても、自動調理により炊飯することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の指定鍋炊飯制御部の構成図である。
【図2】本実施形態の指定鍋炊飯モードを説明するためのフローチャートである。
【図3】本実施形態の加熱調理器を説明するための概略図である。
【図4】本実施形態の火力パターンを示す図であり、(a)(b)はおこげ制御時の火力パターンを示し(c)は普通制御時の火力パターンを示す。
【図5】本実施形態の通常炊飯制御部の構成図である。
【図6】本実施形態の通常炊飯モードを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施形態の加熱調理器1は、図3に示されるように、こんろ10により主体が構成されている。この加熱調理器1は、ガスバーナ14への点火・消火を行なわせる点消火ボタン11と、各種調理メニューに応じた制御を行なわせる調理入力部12とを有している。調理入力部12は、図1に示されるように、通常炊飯モードを指令する炊飯ボタン19、指定した調理容器3での炊飯を行なう指定鍋炊飯モードを指令する指定鍋炊飯モードボタン18、一旦設定した指令を取り消すための取消ボタン(図示せず)などを有している。また、指定鍋炊飯モードボタン18は、炊飯に使用される米の量を入力・設定する米量入力部60を兼ねており、その米量の設定は、指定鍋炊飯モード指令時の初期設定である「3合」(基準米量)に設定され、その後当該ボタンを押すたびに、「3合」→「4合」→「1合」→「2合」→「3合」・・・といったように繰り返される。
【0022】
この指定鍋炊飯モードボタン18は、基準時間測定モードに切り替えるための基準時間測定モードボタン17も兼ねている。基準時間測定モードは、指定鍋炊飯モードにおいて自動調理を行なうためプリセットを行なうモードであり、指定鍋炊飯モードボタン18を3秒以上長押しすることでこの基準時間測定モードが開始される。
【0023】
さらに調理入力部12は、おこげ設定ボタン61を有しており、このおこげ設定ボタン61を押すことで炊き上がり時におこげを生じさせるおこげ制御(以下、おこげ制御に対し、おこげ設定ボタン61が押されない通常の制御を普通制御という)を実行させることができる。
【0024】
加熱調理器1は、その上面に加熱部13として円環状のガスバーナ14が設けられており、このガスバーナ14を囲むように五徳15が配設されている。ガスバーナ14は、その火力(加熱量)が、大火・中火・小火の3段階に調節可能である。このガスバーナ14の中央には、サーミスタにより構成された温度センサ16(温度検出手段)が立設されており、この温度センサ16は、五徳15に載置された調理容器3の底面に弾性的に当接して、当該調理容器3の温度を検出する。この温度センサ16は、検出した温度検出信号を制御装置4に送るようになっている。また加熱調理器1は、加熱停止後に御飯が蒸らし状態にあることを表示するための発光ダイオードよりなる発光素子(図示せず)を備えている。
【0025】
制御装置4は、調理入力部12によって指令された調理モードに応じて、元栓20とこんろ10との間のガス供給路に接続された電磁弁からなるガス制御弁21を制御し、ガスバーナ14の火力制御やON/OFF制御を行なう。例えば、通常炊飯モードのとき、制御装置4は、温度センサ16が炊き上がり温度を検知すると、ガスバーナ14による加熱を停止させる停止信号を発し、ガス制御弁21を駆動させて、燃焼ガスの供給路を閉塞する。制御装置4は、図1に示されるように、指定鍋炊飯モードが選択された場合にその制御を行なう指定鍋炊飯制御部5と、通常炊飯モードが選択された場合にその制御を行なう通常炊飯制御部7とを有している。
【0026】
指定鍋炊飯制御部5は、加熱部13における加熱開始時点からの加熱時間を測定する時間測定部51と、炊飯に要する加熱時間であって常温の水が溜められた調理容器3を加熱部13により加熱し始めてからの加熱に必要な時間(以下、炊飯時間という)を決定する炊飯時間決定部52と、時間測定部51により測定された時間が炊飯時間に達したときにガス制御弁21を閉塞させる加熱停止部53とを備えている。また指定鍋炊飯制御部5は、複数の加熱量による加熱に段階的に変更させるようガス制御弁21を制御する加熱制御部54をさらに備えている。
【0027】
時間測定部51は、具体的には点消火ボタン11を押した時点からの時間経過を測定する。時間測定部51は、指定鍋炊飯モードが選択されているときには、検知した経過時間の時間情報を加熱停止部53と加熱制御部54に送る。また、基準時間測定モードが選択されているときには、点火してから再び点消火ボタン11を押して消火した時点までの時間情報を炊飯時間決定部52の記憶部55に送るようになっている。なお本実施形態の加熱調理器1において、時間測定部51は、加熱時間を次のように算出している。使用者が点消火ボタン11を押すと、時間測定部51は、点消火ボタン11が発する加熱開始の信号を受け取り、その時の時刻を記憶する。そして時間測定部51は、加熱中の現時点あるいは再度点消火ボタン11を押した時点の時刻から、前述の記憶された加熱開始時の時刻を減算し、加熱時間を得る。
【0028】
炊飯時間決定部52は、基準時間測定モード時に時間測定部51により測定された加熱時間を記憶する記憶部55と、炊飯時間を算出する炊飯時間演算部56と、複数の加熱量(本実施形態の指定鍋炊飯モードでは小火と中火)による加熱の時間をそれぞれ算出する加熱時間演算部57とを有している。
【0029】
記憶部55は、メモリにより構成されており、使用者の指定する調理容器3に溜められた所定量(例えば600ml)の水が沸騰するのに要する時間(以下、沸騰時間という)の時間情報が格納される。記憶部55は、一旦記憶された沸騰時間の情報を保持するが、再度、基準時間測定モードが選択され、当該モード中に時間測定部51により加熱時間が測定されると、その沸騰時間が上書きされ、新たに測定した沸騰時間を記憶する。
【0030】
炊飯時間演算部56は、記憶部55により記憶された沸騰時間に基づいて炊飯時間を算出する。本実施形態の炊飯時間演算部56は、指定鍋炊飯モードが選択されると、記憶部55に格納された沸騰時間情報を取得し、その沸騰時間に所定の時間(本実施形態においては10分)を加算することで、予め定められた基準米量「3合」に対する基準炊飯時間を算出する。そして米量入力部60により米量が入力されると、炊飯時間演算部56は、基準炊飯時間に対して、その米量に応じた所定時間を加減して炊飯時間を算出する。
【0031】
具体的に炊飯時間演算部56は、表1に示されるように、入力された米量から基準米量を差し引いた値がプラスの値であれば、その差に対応付けられた所定時間値を基準炊飯時間に加算して、炊飯時間を算出する。米量入力部60により入力された米量から基準米量を差し引いた値がマイナスの値であれば、その差に対応付けられた所定時間値を基準炊飯時間から減算して、炊飯時間を算出する。なお、米量入力部60により入力された米量から基準米量を差し引いた値がゼロであれば、「基準炊飯時間」=「炊飯時間」となる。
【0032】
本実施形態の加熱調理器1では、米量入力部60により入力された米量と基準米量「3合」との差が「1合」であれば、これに対応付けられた所定時間は「3分」に設定されており、同様に「2合」の差に対して所定時間は「6分」に設定される。
【0033】
この炊飯時間演算部56により算出された炊飯時間の情報は、加熱停止部53と加熱時間演算部57に送信される。
【0034】
加熱時間演算部57は、加熱制御部54によりガスバーナ14の火力(加熱量)を小火と中火の2段階に段階的に変化させるに当たり、小火と中火によるそれぞれの加熱時間を算出して決定し、その加熱時間情報を加熱制御部54に送る。加熱時間演算部57は、炊飯時間演算部56から受け取った炊飯時間に、所定の割合を乗算して各加熱時間を算出する。本実施形態の加熱調理器1において、中火の加熱時間は、表1に示されるように、炊飯時間に70%を掛けて算出された値であり、小火の加熱時間は、炊飯時間に30%を掛けて算出された値となっている。
【0035】
ここで、おこげ設定ボタン61が押されたおこげ制御の場合には、その小火と中火との割合が、普通制御とは異なる割合で演算される。つまり、加熱時間演算部57は、おこげ設定ボタン61が押されおこげ制御実行の信号を受け取ると、中火の加熱時間が、炊飯時間に80%を掛けて算出された値となり、小火の加熱時間が、炊飯時間に20%を掛けて算出された値となる。このように中火による加熱時間を長くすることにより、「おこげ」を発生させることができる。
【0036】
本実施形態における加熱時間演算部57による加熱時間の算出式を次の表1に示す。また表2に、基準炊飯時間を仮に20分として算出した各加熱時間を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
加熱制御部54は、加熱部13による加熱を複数の加熱量による加熱に段階的に変更するものであり、本実施形態の加熱調理器1では、ガス制御弁21を制御して、加熱部13に小火と中火の2つの加熱量による加熱を行なわせる。加熱制御部54は、加熱時間演算部57により算出された加熱時間情報と、時間測定部51からの加熱時間の情報とを受け取ると、両者を比較し、時間測定部51により測定された加熱時間が加熱時間演算部57により算出された中火の加熱時間に達すると、ガス制御弁21を駆動させ、加熱部13の加熱量を中火から小火に変更させる。
【0040】
加熱停止部53は、時間測定部51により測定された時間が、炊飯時間決定部52により決定された炊飯時間に達したときにガス制御弁21を閉塞させる。加熱停止部53は、炊飯時間演算部56により算出された炊飯時間の情報と、時間測定部51により測定された加熱時間の情報とを受け取ると、両者を比較し、時間測定部51により測定された加熱時間が炊飯時間に達した時点で、ガス制御弁21を閉塞駆動させ、加熱部13を消火させる。なお加熱停止部53は、時間測定部51により測定された時間が炊飯時間に達すると所定の蒸らし時間(例えば15分)だけ上記発光素子を点灯させる。
【0041】
次に、指定鍋炊飯モードの操作について説明する。
【0042】
指定鍋炊飯モードは、例えば、耐火性を有する粘土で作られた土鍋を使用したり、鉄やアルミニウムなどの金属に釉薬が焼き付けられた琺瑯鍋を使用したりして炊飯する場合に、主に設定される。なお、金属製の鍋を用いる場合にも、指定炊飯モードを選択して自動調理することが可能であるが、後述する通常炊飯モードを選択して自動調理するようにしてもよい。
【0043】
使用者は、まず、プリセットの設定を行なうため、指定鍋炊飯モードボタン18を3秒以上長押しして、基準時間測定モードに設定する。使用者は、所望の調理容器3に常温の水を約600ml入れ、この調理容器3を五徳15の上に載置する。この状態で、点消火ボタン11を押し、点火させる。すると点消火ボタン11は、制御装置4における指定鍋炊飯制御部5の時間測定部51に加熱開始の信号を送り、それを受け取った時間測定部51は加熱時間の測定を開始する。ここで、基準時間測定モードが設定された状態で点消火ボタン11が押されると、加熱部13は、中火で点火するようになっている。
【0044】
なお、調理容器3に土鍋を使用する場合、鍋裏が乾いた状態で火にかける必要がある。鍋裏が濡れていると、ヒビや割れ発生の原因となるからである。
【0045】
次いで、使用者は、調理容器3内の水が沸騰したことを目視で確認し、その時点で再度点消火ボタン11を押して、消火する。すると時間測定部51は、この再度点消火ボタン11を押した時点までの経過した時間(すなわち沸騰時間)を記憶部55に送り、記憶部55はその沸騰時間の情報を記憶する。
【0046】
なお本実施形態の加熱調理器1において、使用者は、このプリセット設定を行わずに、指定鍋炊飯モードを実行することも可能である。すなわち本実施形態の加熱調理器1は、基準炊飯時間を所定の規定値(本実施形態では20分)として設定し、その後の自動調理を実行することになる。
【0047】
このように使用者は、基準時間測定モードにて設定を終えると、この設定に基づいて次回から指定鍋炊飯モードによる自動調理ができる。
【0048】
使用者は、指定鍋炊飯モードボタン18を押して、指定鍋炊飯モードを選択する。そして調理容器3内に、常温の水と米とを所定の量だけ入れ(以下、米720ml(4合)に水800mlを調理容器3に入れた場合を例示する。なお、このときの基準時間測定モードにより設定された上記沸騰時間は10分とする)、この調理容器3を五徳15上に載置する。次いで、米量入力部60により米量を入力する。この米量の入力を行なうには、指定鍋炊飯モード時に指定鍋炊飯モードボタン18を再度押す。指定鍋炊飯モードボタン18を再度押すと、表示部に表示された米量が「3合」から「4合」に変化し、これにより米量が入力される。この後、使用者は、点消火ボタン11を押し、調理容器3の加熱を開始させる(炊飯を開始させる)。これにより、加熱調理器1は、指定鍋炊飯モードによる自動調理を開始する。
【0049】
以下、図2に示す指定鍋炊飯モードのフローチャートに基づいて説明する。使用者により点消火ボタン11が押されると、制御装置4の指定鍋炊飯制御部5の炊飯時間演算部56は、記憶部55より沸騰時間を取得し、この沸騰時間に基づいて基準炊飯時間を算出する(S1)。なお本実施例においては、基準炊飯時間は、10分(沸騰時間)+10分(所定時間)=20分(基準炊飯時間)となっている。本実施例では、おこげ設定ボタン61は押されておらず(S2)、米量は4合に選択されている(S3)ので、普通制御の演算が実行される(S4)。さらに炊飯時間演算部56は、基準炊飯時間に対し、米量の増加量に対応付けられた所定時間を加算して炊飯時間を算出する。なお本実施例において炊飯時間は、20分(基準炊飯時間)+3分(増加量に対する時間)=23分(炊飯時間)となっている。そして炊飯時間演算部56は、この炊飯時間の情報を加熱時間演算部57に送る。
【0050】
加熱時間演算部57は、各熱量の加熱時間を算出し、この情報を加熱制御部54に送る。なお、本実施例において各加熱時間は、23分(炊飯時間)×70%(所定割合)=16.1分(中火時間),23分(炊飯時間)×30%(所定割合)=6.9分(小火時間)である(上記表2参照)。そしてこの時間に基づいて、ガス制御弁21を制御し、加熱部13により加熱を行なわせる。
【0051】
加熱部13による加熱が炊飯時間を経過すると、加熱停止部53は加熱部13による加熱を停止させる(S5)。そして、制御装置4は、図示しない発光素子を15分間点灯させる。使用者はこの発光素子が点灯している間、調理容器3をそのまま15分放置し蒸らしを行なう(S6)。その後、制御装置4は、発光素子を消灯すると共にブザーなどによる終了の報知を行なう(S7)。
【0052】
一方、指定鍋炊飯モードが設定された時に、おこげ設定ボタン61が押された場合、おこげ制御による加熱時間演算部57の演算がなされる(S2→S8→S9)。この場合の各熱量に対するそれぞれの加熱時間は、中火が、23分(炊飯時間)×80%(所定割合)=18.4分(中火時間),小火が、23分(炊飯時間)×20%(所定割合)=4.6分(小火時間)となっている(上記表2参照)。この後この時間に基づいて、ガス制御弁21を制御し加熱部13による加熱を行い、蒸らし工程を経て、終了の報知を行なう(S5→S6→S7)。
【0053】
このような指定鍋炊飯モードは、使用者が予め沸騰時間を記憶させ、この沸騰時間に基づいて炊飯時間を算出し、その炊飯時間に基づいて自動炊飯するものであるため、調理容器3の温度値に依存せずに自動炊飯することができる。すなわち、仮に、容器外面とその内容物とで温度差が生じてしまうような調理容器3を用いて炊飯する場合であっても、自動調理により炊飯を行なうことができる。
【0054】
ところで本実施形態の炊飯時間演算部56は、記憶部55により記憶された沸騰時間に所定の時間を加算して基準炊飯時間を算出するものであるが、ここで用いられる算出方法としては、例えば沸騰時間に所定の係数(例えば係数=2)を乗算して基準炊飯時間を算出するものであってもよい。しかし、本実施形態の炊飯時間演算部56のように、沸騰時間に所定の時間を加算して基準炊飯時間を算出する算出方法は、土鍋等のように沸騰時間が極端に長い調理容器3であっても適切な炊飯時間を算出することができるため、係数を乗算することにより算出するものに比べて好ましいといえる。
【0055】
また、本実施形態の加熱調理器1は、中火から小火へと段階的に加熱量を変化させて炊飯するため、炊き上がり後の米をふっくらとした良好な仕上がりとすることができる。
【0056】
さらに本実施形態の加熱調理器1は、米量入力部60が設けられており、米量に応じて炊飯時間を算出するものであるため、炊飯する米量が、基準米量に対して多くても少なくても、自動調理により炊飯することができる。
【0057】
なお本実施形態の加熱調理器1は、基準時間測定モードによりプリセット設定がなされていない場合、規定値(本実施形態では20分)を仮の基準炊飯時間とし、その後の処理を実行するようになっているが、その際、加熱調理器1の表示部に「鍋に600mlの水を入れて沸騰させて下さい」と表示させ、使用者に対して沸騰時間を測定するよう促すようにしてもよい。
【0058】
ところで、おこげ設定ボタン61によりおこげ制御を実行する際、図4(b)のグラフに示されるように、中火による加熱時間のうち、その一部の時間を、弱火による加熱の後に行なうようにしてもよい。つまり加熱時間演算部57により算出される中火の加熱時間は、中火による加熱の合計の時間であればよく、このようにしても上記実施形態と同様におこげを発生させることができる。なお、図4中(a)のグラフは、指定鍋炊飯モードにおけるおこげ制御の火力パターンを示し、(c)のグラフは、指定鍋炊飯モードにおける普通制御の火力パターンを示したものである。
【0059】
なお指定鍋炊飯モードにおいて、温度センサ16により検出された温度検出信号は、制御装置4に送られるが、制御装置4は、ハイカット温度(実施例では150℃)に達したと判断するとガスバーナ14を消火させる。つまり、指定鍋炊飯モードにおいて温度センサ16は、安全機能としての役割を果たす。
【0060】
また、上記いずれのモードや制御においても、中火と小火の加熱時間の割合や火力パターン、炊飯時間などは本実施形態のものに限定されず、適宜変更可能である。
【0061】
また本実施形態の加熱調理器1は、炊飯時間演算部56が、入力された米量から基準米量を差し引いて、増加量又は減少量に対応付けられた数値を加減することで算出するものであったが、その算出過程としては、米量入力部60の入力値に直接時間値を対応付け(例えば「1合」に対して「−6分」、「4合」に対して「+3分」といったように対応付けて)、その数値を基準炊飯時間に加算し、炊飯時間を算出するものであってもよい。
【0062】
以上、本実施形態の加熱調理器1における指定鍋炊飯制御部5について説明した。以下、通常炊飯制御部7について説明する。
【0063】
この通常炊飯制御部7は、通常炊飯モードによる自動調理の炊飯制御を行なう部分である。この通常炊飯モードは、金属鍋のような熱伝導率が高く、熱容量が小さい調理容器3が用いられ、土鍋などといった熱伝導率が低く、熱容量が大きい調理容器3は使用することができない。
【0064】
通常炊飯制御部7は、図5に示されるように、温度センサ16による検出温度が炊き上がり温度まで上昇すると停止信号を発生する判定制御手段71と、調理容器3により炊飯する際にガスバーナ14の火力(加熱量)を段階的に変化させる加熱制御手段75と、温度センサ16による検出温度が100℃を超えると沸騰検出信号を出力する沸騰状態検出手段72と、温度センサ16による検出温度の変動幅が規定範囲内になると平衡状態であると判断する平衡状態検出手段73と、温度センサ16による検出温度に基づいて炊き上がり温度などを設定する温度設定手段74とを備えている。判定制御手段71は、温度センサ16による検出温度が炊き上がり温度まで上昇すると所定の蒸らし時間だけ上記発光素子を点灯させるようになっている。
【0065】
ところで通常炊飯制御部7は、自動調理により炊飯する際、指定鍋炊飯制御部5と同様に、御飯をおいしく炊き上げるため、ガスバーナ14の火力を2段階(中火、小火)で変化させるようになっており、まずガスバーナ14の火力を中火として加熱を開始させる。
【0066】
また、沸騰状態検出手段72は、加熱が開始された時点から温度センサ16による検出温度が100℃を越えたことを検出すると、沸騰検出信号を加熱制御手段75へ送信する。
【0067】
加熱制御手段75は、沸騰検出信号を受け取ると、ガスバーナ14の火力が小火に切り換わるようにガス制御弁21を制御するとともに、加熱開始時点から沸騰検出信号を受け取るまでの時間(以下、上昇時間という)を求め、上昇時間に応じてガスバーナ14の火力を小火で維持させる時間(以下、小火維持時間という)を設定する(例えば、上昇時間が100秒未満の場合は小火維持時間を8分、上昇時間が100秒以上200秒未満の場合は7分、上昇時間が200秒以上300秒未満の場合は6分、・・・)。また、加熱制御手段75は、上記小火維持時間が経過すると、ガスバーナ14の火力を中火に切り換える(加熱量の1回目の増加)ようにガス制御弁21を制御する。
【0068】
平衡状態検出手段73は、温度センサ16による検出温度の変動幅が規定範囲内になると平衡状態であると判断し、平衡状態検出信号を発生する。要するに平衡状態検出手段73は、ガスバーナ14による加熱量と調理容器3(あるいはその内容物)からの放熱量とがほぼ平衡した状態(平衡状態)を検出する。
【0069】
温度設定手段74は、加熱制御手段75による加熱量の1回目の増加後の一定期間内に平衡状態検出手段73により平衡状態が検出された場合は、当該平衡状態が検出された時の検出温度に基づいて第1の炊き上がり温度を設定する。一方、平衡状態が検出されない場合は、加熱制御手段75による加熱量の1回目の増加直後の温度センサ16による検出温度を所定温度と比較し、当該検出温度が所定温度以上であれば上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に基づいて第2の炊き上がり温度を設定し、所定温度未満であれば上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に基づいて第2の炊き上がり温度よりも高い第3の炊き上がり温度を設定する。また、温度設定手段74は、炊き上がり温度を設定する前段階として、当該炊き上がり温度と当該炊き上がり温度を設定する基準となる温度との間に切換温度を設定し、加熱制御手段75は、温度センサ16による検出温度が切換温度まで上昇したことが判定制御手段71により検出されると、ガスバーナ14の火力を中火から小火に切り換えるようにガス制御弁21を制御し、所定時間経過後にガスバーナ14の火力を小火から中火に切り換えるようにガス制御弁21を制御する。
【0070】
ここで、温度設定手段74は、炊飯の開始後に炊き上がり温度の初期値T0(安全を見て比較的高い温度:例えば200℃)を設定するようになっており、上記所定温度として112℃(沸騰検出の基準となる100℃よりも高い温度)が設定されている。第1の炊き上がり温度としては平衡状態が検出された時の検出温度に一定温度(例えば25℃)を加算した温度が設定され、第2の炊き上がり温度としては上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に一定温度(例えば35℃)を加算した温度を設定し、第3の炊き上がり温度としては上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に一定温度(例えば45℃)を加算した温度を設定する。本実施形態では、上記所定温度を112℃に設定してあるので、平衡状態の検出の有無に関わらず第1ないし第3の炊き上がり温度が160℃未満になるように設定される。また、切換温度は、加熱量の1回目の増加後の一定期間内に平衡状態検出手段73により平衡状態が検出された場合は、平衡状態が検出された時の検出温度に15℃を加算した温度に設定される。一方、平衡状態が検出されない場合は、温度センサ16による検出温度を上記所定温度と比較し、当該検出温度が上記所定温度以上であれば上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に25℃を加算した温度に設定され、上記所定温度未満であれば上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に35℃を加算した温度に設定される。
【0071】
また、判定制御手段71では、温度設定手段74で設定された炊き上がり温度と温度センサ16による検出温度とを比較し、温度センサ16による検出温度が炊き上がり温度まで上昇するとガスバーナ14を消火するように停止信号を発する。
【0072】
一方、ガス制御弁21は、判定制御手段71から停止信号を受けると、ガスバーナ14による加熱を停止させる。ここで温度設定手段74は、ガスバーナ14による加熱を開始した時点では安全を見て適度の炊き上がり温度よりもやや高い温度が炊き上がり温度の初期値T0(例えば200℃)として設定されている。
【0073】
以下、通常炊飯モードにおける動作を図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0074】
加熱開始のための操作により、加熱制御手段75からガスバーナ14の火力が中火となるようにガス制御弁21が制御されて加熱が開始される(S1)と、温度設定手段74にて炊き上がり温度として初期値T0が設定される(S2)。その後、沸騰状態検出手段72にて温度センサ16による検出温度が判別温度(例えば100℃)を越えたことを検出すると(S3)、沸騰状態検出手段72にて沸騰検出信号が発生する。加熱制御手段75は、該沸騰検出信号を受けると、ガスバーナ14の火力が小火に切り換わるようにガス制御弁21を制御する(S4)とともに、加熱開始時点から沸騰検出信号を受け取るまでの時間(以下、上昇時間という)を求めて該上昇時間に応じて小火維持時間を設定する(S5)。
【0075】
その後、加熱制御手段75は、小火維持時間が経過すると(S6)、ガスバーナ14の火力を中火に切り換えるようにガス制御弁21を制御し(S7)、温度設定手段74を動作させるためのタイミング信号を出力する。すると、温度設定手段74では、平衡状態検出手段73の動作を開始させ(S21)、平衡状態検出手段73により平衡状態が検出された場合には当該平衡状態が検出された時の検出温度(以下、平衡検出温度という)に基づいて第1の炊き上がり温度(平衡検出温度+25℃)を設定するとともに、第1の切換温度(平衡検出温度+15℃)を設定する。そして、判定制御手段71は、温度設定手段74により設定された第1の切換温度(平衡検出温度+15℃)まで温度センサ16による検出温度が上昇すると(S22)、加熱制御手段75によりガスバーナ14の火力を小火に切り換えさせ小火を2分間継続させ(S23)、該2分が経過すると火力を中火に切り換えさせる(S24)。その後、判定制御手段71は、温度設定手段74により設定された第1の炊き上がり温度(平衡検出温度+25℃)まで温度センサ16による検出温度が上昇すると(S25)、10秒後にガス制御弁21を制御してガスバーナ14による加熱を停止させ(S26)、上述の発光素子を10分間点灯させ(S27)、発光素子を消灯するとともにブザーなどによる終了の報知を行う(S28)。
【0076】
一方、S21において平衡状態検出手段73により平衡が検出されない場合は、判定制御手段71は、S7直後の温度センサ16による検出温度(以下、検出温度1という)を上記所定温度(112℃)と比較する(S31)。S31において、検出温度1が上記所定温度以上であれば、検出温度1に基づいて第2の炊き上がり温度(検出温度1+35℃)を設定するとともに、第2の切換温度(検出温度1+25℃)を設定する。そして、判定制御手段71は、温度設定手段74により設定された第2の切換温度(検出温度1+25℃)まで温度センサ16による検出温度が上昇すると(S32)、加熱制御手段75によりガスバーナ14の火力を小火に切り換えさせ小火を2分間継続させ(S33)、該2分が経過すると火力を中火に切り換えさせる(S34)。その後、判定制御手段71は、温度設定手段74により設定された第2の炊き上がり温度(検出温度1+35℃)まで温度センサ16による検出温度が上昇すると(S35)、10秒後にガス制御弁21を制御してガスバーナ14による加熱を停止させ(S36)、上述の発光素子を10分間点灯させ(S37)、発光素子を消灯するとともにブザーなどによる終了の報知を行う(S28)。
【0077】
また、判定制御手段71は、S31において、検出温度1が上記所定温度(112℃)未満であれば、検出温度1に基づいて第3の炊き上がり温度(検出温度1+45℃)を設定するとともに、第3の切換温度(検出温度1+35℃)を設定する。そして、判定制御手段71は、温度設定手段74により設定された第3の切換温度(検出温度1+35℃)まで温度センサ16による検出温度が上昇すると(S42)、加熱制御手段75によりガスバーナ14の火力を小火に切り換えさせ小火を2分間継続させ(S43)、該2分が経過すると火力を中火に切り換えさせる(S44)。その後、判定制御手段71は、温度設定手段74により設定された第3の炊き上がり温度(検出温度1+45℃)まで温度センサ16による検出温度が上昇すると(S45)、10秒後にガス制御弁21を制御してガスバーナ14による加熱を停止させ(S46)、上述の発光素子を10分間点灯させ(S47)、発光素子を消灯するとともにブザーなどによる終了の報知を行う(S28)。
【0078】
なお、誤って調理容器3に調理物(水や米)を入れずに空炊きしてしまった場合には、温度センサ16による検出温度が炊き上がり温度の初期値T0(200℃)に達したときにガスバーナ14が消火される。
【0079】
要するに、本実施形態の加熱調理器1は、通常炊飯モードにおいて、平衡状態が検出された場合には温度センサ16による検出温度が平衡状態の検出された時の検出温度に基づいて設定された第1の炊き上がり温度に達すると加熱が終了し、また、平衡状態が検出されない場合は、加熱制御手段75による加熱量の1回目の増加直後の温度センサ16による検出温度を所定温度と比較し、当該検出温度が所定温度以上であれば上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に基づいて設定された第2の炊き上がり温度に達すると加熱が終了し、所定温度未満であれば上記加熱量の1回目の増加直後の検出温度に基づいて設定された第2の炊き上がり温度よりも高い第3の炊き上がり温度に達すると加熱が終了する。このように本実施形態では、平衡状態の検出の有無に関わらず温度センサ16による検出温度に基づいて炊き上がり温度が設定されるから、御飯の焦げ付きを少なくすることが可能になり、しかも、平衡状態が検出されない場合であっても調理容器3の焦げ付きを少なくすることができ、且つ適度の炊飯時間を確保することが可能となり、おいしい御飯を炊くことができる。
【0080】
また、本実施形態の通常炊飯制御部7は、加熱制御手段75により加熱量を2段階で切り換えるので、加熱制御手段75の構成を簡単化することが可能になる。また、調理容器3により炊飯する際において加熱停止後に御飯が蒸らし状態にあることを表示するための発光素子を備え、判定制御手段71は、温度センサ16による検出温度が炊き上がり温度まで上昇すると所定の蒸らし時間だけ上記発光素子を点灯させるので、加熱停止から所定の蒸らし時間が経過するまでの間、御飯が蒸らし状態にあることを視認することができる。
【0081】
なお制御装置4は、マイクロコンピュータにより構成されており、温度センサ16の温度検出信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器が設けられている。また、加熱部には、ガスバーナ14のほか電気ヒータや電磁調理器などが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 加熱調理器
10 こんろ
11 点消火ボタン
12 調理入力部
13 加熱部
14 ガスバーナ
15 五徳
16 温度センサ
17 基準時間測定モードボタン
18 指定鍋炊飯モードボタン
19 炊飯ボタン
20 元栓
21 ガス制御弁
3 調理容器
4 制御装置
5 指定鍋炊飯制御部
51 時間測定部
52 炊飯時間決定部
53 加熱停止部
54 加熱制御部
55 記憶部
56 炊飯時間演算部
57 加熱時間演算部
60 米量入力部
61 おこげ設定ボタン
7 通常炊飯制御部
71 判定制御手段
72 沸騰状態検出手段
73 平衡状態検出手段
74 温度設定手段
75 加熱制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、
加熱部における加熱開始時点からの時間を測定する時間測定部と、
炊飯時間を決定する炊飯時間決定部と、
時間測定部により測定された時間が、炊飯時間決定部により決定された炊飯時間に達したときに加熱部による加熱を停止させる加熱停止部と
を備え、
前記炊飯時間決定部は、
調理容器に溜められた所定量の水が沸騰するのに要する沸騰時間を記憶する記憶部と、
この記憶部により記憶された沸騰時間に基づいて前記炊飯時間を算出する炊飯時間演算部と
を有し、
前記記憶部により記憶された沸騰時間は、
使用者が、所定量の水が貯められた調理容器を加熱部にて加熱することで当該水を沸騰させ、この沸騰した時点の時間測定部による測定時間を記憶させたものである
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記炊飯時間演算部は、前記記憶部により記憶された沸騰時間に所定の時間を加算して前記炊飯時間を算出するものである、
請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱部による加熱を、複数の加熱量による加熱に段階的に変更する加熱制御部をさらに備え、
前記炊飯時間決定部は、前記炊飯時間演算部により算出された前記炊飯時間から各加熱量に対する加熱時間を算出する加熱時間演算部をさらに有している、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項4】
炊飯に使用される米量が入力される米量入力部をさらに備え、
前記炊飯時間演算部は、前記記憶部により記憶された沸騰時間に基づいて、予め定められた基準米量に対する基準炊飯時間を算出すると共に、
米量入力部により入力された米量が基準米量よりも多い場合は、増加量に応じた所定時間を基準炊飯時間に加算し、
米量入力部により入力された米量が基準米量よりも少ない場合は、減少量に応じた所定時間を基準炊飯時間から減算して前記炊飯時間を算出するものである、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加熱調理器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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