説明

加熱調理用紙袋

【課題】 筒状紙袋の両端開口部から食品を挿入して両端開口部を閉鎖した状態で加熱調理し、加熱調理後に筒状紙袋の胴張部に加熱調理済みの食品の取り出し開口を形成する型式の加熱調理用紙袋を提供する。
【解決手段】 片面耐油紙を耐油処理面を内側にして扁平筒状に折り畳み、一方の扁平胴部中央部において相対する両折り畳み先端部をシール用接着テープで覆って閉鎖して形成されている胴ばり部を有する両端開口の平型筒体であって、該胴ばり部は、非接着状態で相対している片面耐油紙の両折り畳み部の先端部を、その長手方向全長に亘って非接着性面で覆って配置されている細幅帯状のインナーテープを挟んで易引き裂き性のシール用接着テープにより接着閉鎖されている食品取出開口部形成用胴ばり部であり、平型筒体の両端開口は加熱調理用食品挿入口で食品挿入後に閉鎖される開口部であることを特徴とする加熱調理用紙袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ、オーブン、ホットプレート、フライパン等を利用して食品を加熱調理するために使用される加熱調理用紙袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肉類、魚類、野菜類等の食品を電子レンジ、オーブン、ホットプレート、フライパン、鍋、蒸し器等の調理機具で簡単に加熱調理することができる紙袋が使用されている。中でも、片面又は両面が剥離性を有するシリコーン塗工紙の一部にシール部を設け、シール部を含むシリコーン塗工紙の面にシリコーン粘着剤を塗工して他の構成部分と袋状に貼り合わせたオーブンバッグやレンジパックは、耐熱性があり、水分が適度に蒸散し、食品表面が水っぽくならないこと、食品の離型性が良いこと等の利点があることが知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
また、シリコーン塗工した紙を折り畳んで両端縁部を重ね合わせ、複数の折り部を作ることにより筒形の袋を作成し、両端開口部から食材を挿入した後、両端の開口部をそれぞれ二重折りして閉塞部を形成し、袋ごと家庭用加熱機具で加熱すると水分の調節された好ましい料理を得ることができることが知られている(特許文献3)。
【0004】
さらに、ガゼット型のマイクロ波オーブン用密封紙袋として、紙袋の第一後ろシール表面の紙の内層を接着剤をもって第二後ろシール表面に接着し、紙袋の一方の頂端を後ろパネルを横切って折返し、これらを頂端シールと共に互いに接着させ、他の頂端を折り曲げる構造の紙袋がトウモロコシを加熱してポップコーンを製造する紙袋として知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5―319461号公報
【特許文献2】特開平7―112757号公報
【特許文献3】特開平11―105942号公報
【特許文献4】特開昭63―317464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜4の発明は、いずれも調理中の問題を解決するための筒状胴部のシール性改善に関する発明であるが、いずれの紙袋も、接着部分を引き剥がしたり、複数の折り部を解きほぐして食品を取出す際に内容物が飛散したり、こぼれが発生する場合があるという問題があった。また、開封後、そのまま紙袋に調理済み食品を収容した状態で食卓に出した場合、開封口が荒れていて料理の見映えを悪くするという問題があった。
【0007】
本発明は、筒状紙袋の両端開口部から食品を挿入して両端開口部を閉鎖した状態で加熱調理し、加熱調理後に筒状紙袋の胴ばり部に加熱調理済みの食品の取り出し開口を形成する型式の加熱調理用紙袋を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、食品を収容した後の扁平状紙袋の一方の胴部面に形成されている胴ばり部に、加熱調理後に美麗な開口縁を有する調理済み食品の取り出し開口部を簡単かつ衛生的な開封操作で形成することができる胴ばり部を有している、耐油性の加熱調理用紙袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、加熱調理用紙袋に調理用食品を収容して加熱調理した後の紙袋に、簡単かつ衛生的な操作で食品取出し用開口部を形成することができると共に、開封された開口部の端縁がシャープな直線状で、加熱調理済み食品を収容したままで食卓に出しても調理済み食品の見映えを損なうことがない加熱調理用紙袋についての開発研究を重ねた結果、片面耐油紙を扁平筒状に折り畳み、一方の扁平面に開封可能なシール部を形成できるシール用接着テープを用いて閉鎖されている胴ばり部を有する平型筒状紙袋を形成することにより目的とする機能を備えた加熱調理用紙袋を提供できることの知見を得て、以下の発明を完成するに至った。
【0009】
(1)片面耐油紙を耐油処理面を内側にして扁平筒状に折り畳み、一方の扁平胴部中央部において相対する両折り畳み先端部をシール用接着テープで覆って接着閉鎖して形成されている胴ばり部を有する両端開口の平型筒体であって、該胴ばり部は、非接着状態で相対している片面耐油紙の両折り畳み部の先端部を、その長手方向全長に亘って非接着性面で覆って配置されている細幅帯状のインナーテープを間に挟んで易引き裂き性のシール用接着テープを平型筒体の胴部に接着して閉鎖されている食品取出開口部形成用胴ばり部であり、平型筒体の両端開口部は加熱調理用食品挿入口で食品挿入後に閉鎖される開口部であることを特徴とする加熱調理用紙袋。
【0010】
(2)前記胴ばり部において、非接着状態で相対している片面耐油紙シートの両折り畳み部の先端部は、互いの先端部同士が重なり合った状態で相対していることを特徴とする(1)項記載の加熱調理用紙袋。
(3)前記胴ばり部において、非接着状態で相対している片面耐油紙シートの両折り畳み部の先端部は、両先端部の端縁を突き合わせた状態で相対していることを特徴とする(1)項記載の加熱調理用紙袋。
(4)前記胴ばり部において、非接着状態で相対している片面耐油紙シートの両折り畳み部の先端部は、両先端部の端縁同士が離間した状態で相対していることを特徴とする(1)項記載の加熱調理用紙袋。
【0011】
(5)前記インナーテープは、前記折り畳み先端部の端縁を覆う側の面が非接着性で且つ耐油性の面であり、シール用接着テープ側の面がシール用接着テープとの接着面であることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
(6)前記インナーテープは、ポリオレフィンのエクストルージョンラミネート層又はホットメルト接着剤塗布層を介してシール用接着テープの接着剤層と接着していることを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
(7)前記インナーテープは、前記シール用接着テープより高強度の基材よりなるテープであることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【0012】
(8)前記胴ばり部は、平型筒体の両端開口端部に引き裂き開始部が形成されていることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
(9)前記引き裂き開始部は、前記胴ばり部の端縁から中央部方向にかかる所定長さの領域を、前記シール用接着テープと平型筒体の胴部とが非接着状態存在する領域とすることによって形成されている摘み部からなることを特徴とする(8)項記載の加熱調理用紙袋。
【0013】
(10)前記引き裂き開始部は、平型筒体の両端開口端部において、前記胴ばり部に配置されているインナーテープの両側縁に沿って、シール用接着テープの端縁から長手方向に2本の短い切込線を設けることによって形成されている摘み部からなることを特徴とする(8)項記載の加熱調理用紙袋。
【0014】
(11)前記引き裂き開始部は、平型筒体の両端開口端部において、前記胴ばり部に配置されているインナーテープの端部を開口端部の端縁外に延出させた摘み部からなることを特徴とする(8)項に記載の加熱調理用紙袋。
【0015】
(12)前記引き裂き開始部は、平型筒体の両端開口端部において、前記胴ばり部に配置されているインナーテープの端部を該インナーテープの幅にカットされて該インナーテープに貼着されているシール用接着テープ部分と共に開口端部の端縁外に延出させた摘み部からなるとすることを特徴とする(8)項記載の加熱調理用紙袋。
(13)前記引き裂き開始部は、前記摘み部が前記胴ばり部端縁から胴部中央方向に一定長さで予め引き裂かれて形成されている引き裂き片からなることを特徴とする(8)項〜(12)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【0016】
(14)前記シール用接着テープは、紙基材の片面に接着剤層としてポリオレフィン樹脂のエクストルージョンラミネート層又はホットメルト接着剤層を有する熱接着性接着テープであることを特徴とする(1)項〜(13)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
(15)前記片面耐油紙は、片面にシリコーン塗工した高密度紙によって形成されていることを特徴とする(1)項〜(14)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【0017】
(16)前記平型筒体は、長手方向両側部にひだ部を有するひだ付筒体である(1)項〜(15)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
(17)前記平型筒体がひだなし筒体である(1)項〜(15)のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【0018】
(18)前記平型筒体の両端開口部の一方が、非接着性手段により開封可能に閉鎖されていることを特徴とする(1)項〜(17)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
(19)前記平型筒体の両端開口部の一方が、永久閉鎖手段により閉鎖されていることを特徴とする(1)項〜(18)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【0019】
(20)前記(1)項〜(19)項のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋の開口部より加熱調理用食品を紙袋内に収容する工程、
該加熱調理用食品収容紙袋の開口部をその開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程、
該両端閉鎖した加熱調理用食品収容紙袋を加熱調理器具で加熱する収容食品の加熱処理工程、
該加熱処理工程からの加熱調理済食品収容紙袋の胴ばり部におけるシール用接着テープによるシール部を前記インナーテープと一体に長手方向に細幅帯状に引き裂きながら剥がして胴ばり部を開封することにより加熱調理済食品取り出し口を形成する工程、
を順次実施することを特徴とする、加熱調理用食品の加熱調理方法。
【0020】
(21)前記加熱調理用食品収容紙袋の両端開口部をその開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程は、胴ばり部における前記引き裂き開始部を予め前記開口端縁から前記胴部中央方向に一定長さで引き裂いて形成されている細幅帯状の引き裂き片の先端部が前記閉鎖端部から胴部中央方向にはみだした状態で前記閉鎖端部を再開封可能に固定する工程であり、前記加熱調理済食品取り出し口を形成する工程が、前記閉鎖端部から胴部中央方向にはみだした状態の細幅帯状先端部を摘み部として前記胴ばり部を引き剥がす工程であることを特徴とする (20)項に記載の加熱調理用食品の加熱調理方法。
(22)前記加熱調理用食品収容紙袋の両端開口部をその開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程は、紙袋の開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きした閉鎖端部の幅方向両端部を三角形状に折り曲げてその先端部を該閉鎖端部と紙袋の胴面の間に差し込んで固定する工程よりなることを特徴とする(20)項又は(21)項に記載の加熱調理用食品の加熱調理方法。
(23)前記加熱調理用食品収容紙袋の両端部をその開口端を巻き込んで紙筒中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程は、前記紙袋の両端開口部を巻き込んで紙筒中央方向に複数回巻きした閉鎖端部を着脱自在な耐熱性クリップで挟み込み固定する工程であることを特徴とする(20)項〜(22)項のいずれか1項に記載の加熱調理用食品の加熱調理方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の加熱調理用紙袋は、内面が耐油性処理面である高密度耐油紙により形成されているので、加熱調理対象食品由来の水分や油脂分による紙袋の強度低下がなく、加熱調理後の食品の離型性に優れていること、紙袋が紙基材であるため加熱調理時に発生する蒸気やガスに対する適度の透過性があること、加熱調理後の紙袋の胴ばり部におけるシール用接着テープによるシール部をシャープな食品取出し開口が形成されるように簡単な操作で開封できること等の特性を備えているので、加熱調理済食品を他の食器類に移し変えることなく、そのまま開封紙袋に収容した状態で、型崩れのない見映えのよい開封口を有する加熱調理料理収容容器として食卓に並べることを可能とする。
また、素材が紙基材であるため、業務用として使用する場合は、回収してRPF(ReFuse Paper&Plastic Fuel:固形燃料)として最終的にはボイラーの燃料原料として利用する等により、環境にやさしい処理をすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の加熱調理用紙袋用のひだ付紙袋を作成する場合の基材シートの折り方を示す図である。
【図2】図1の折り目線に従って基材シートを折り畳み作成したひだ付紙袋の斜視図である。
【図3】片面耐油紙シートを折り畳んで作成したひだ付紙袋の断面と胴ばり部における折り畳み先端部が非接着状態に重なり合っている場合の胴ばり部のシール構造を示す図である。
【図4】ひだ付紙袋の胴ばり部の開封手段が開封用紐である場合の胴ばり部のシール構造を示す図である。
【図5】ひだ付紙袋の胴ばり部における紙袋の折り畳み先端部の端縁同士が突合せ状態である場合の胴ばり部のシール構造を示す図である。
【図6】ひだ付紙袋の胴ばり部における紙袋の折り畳み先端部の端縁同士が離間している場合の胴ばり部のシール構造を示す図である。
【図7】本発明の加熱調理用紙袋がひだなし紙袋である場合を示す図である。
【図8】本発明の加熱調理用紙袋の胴ばり部を開封した状態の斜視図である。
【図9】ひだ付紙袋の内部に食品を収容し、紙袋の両端開口部を閉鎖した状態の一例を示す斜視図である。
【図10】ひだ付紙袋の内部に食品を収容し、紙袋の両端開口部を閉鎖した状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の加熱調理用紙袋を説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の加熱調理用紙袋1は、まず、片面耐油紙5の耐油処理層6を内側として谷折り(破線)、山折り(一点破線)を繰り返すことにより、折り畳み部の先端部7,8が重なり部分となっている平型筒体1’を作成する。作成された筒体1’の折り畳み先端部7,8は、図2に示すように一方の扁平面(上面)において重なり合っている。次いで、該重なり合っている折り畳み部の先端部7の端縁7’と,先端部8の端縁8’のうち、外側に重なっている折り畳み部の先端部8の端縁8’を細幅帯状のインナーテープ4で長手方向に覆い、そのインナーテープ全体を覆って、紙袋胴面にシール用接着テープ3を貼付して図2に示されるような積層構造を有する紙袋胴面閉鎖部としての胴ばり部2を形成する。
【0024】
図3の断面図は、平型筒体1’の両折り畳み部の先端部7,8のうちの外側先端部8の端縁8’を覆って胴ばり部2を引き裂き開封する手段となるインナーテープ4とシール用接着テープ3を貼付する場合の胴ばり部(2)の積層構造を示す。
紙基材15の片面に耐油処理層6を有する片面耐油紙5を折り畳んでひだ付の両端開口の平型筒体1’を形成し、内側の折り畳み部の先端部7に、外側の折り畳み部の先端部8が重なり合っている部分を覆って、熱溶融性接着剤層9を有するシール用接着テープ3とシール用接着テープ3より細幅のインナーテープ4を重ね、折り畳み部の先端部のうちの外側の折り畳み部の先端部8の端縁8’がインナーテープ4の中央部に一致するように位置決めした後、シール用接着テープ3の上部から加圧加熱手段(図示せず)により、シール用接着テープ3に熱と圧力を加え、シール用接着テープ3をひだ付の平型筒体1’の胴面とインナーテープ4の上面とに接着させて胴面閉鎖部としての胴ばり部(2)を形成する。
上記のように形成される胴ばり部(2)では、インナーテープ4と平型筒体1’の面は折り畳み部の先端部7と8の面と接着されていないので、シール用接着テープ3の部分が引き裂かれてインナーテープ4と共に除かれると、折り畳み部の先端部7,8が露出して端縁7’、8’を開口縁とする食品の取り出し開口が形成される。
【0025】
図4は、開封手段が紐10である場合の参考例を示している。開封用の紐10は、片面耐油紙の折り畳み部の先端部の重なり部分の外側に位置する先端部8の端縁8’に正確に沿って、平型筒体1’とシール用接着テープ3の間に配置される。このように形成されている胴ばり部(2)では、紐を引っ張ってシール用接着テープ3を引き裂くと、折り畳み部の先端部8の端縁8’が開放されて重なり合っている先端部7と8の端縁7’と8’の間を開くことができ、収容食品の取り出し開口を形成することができる。
開封用の紐11は、加熱調理により強度が低下しない材質のものであれば特に制限はなく、太さ1〜3.5mmの程度の綿糸、調理用タコ糸等が使用できる。
【0026】
図5は、折り畳み部の先端部7の端縁7’,と先端部8の端縁8’とを突合せ状態に配置し、両端縁7’,8’の突合せ部がインナーテープ4の幅方向中心部に位置するようにインナーテープ4を配置してシール用テープ3で接着閉鎖して形成する場合の胴ばり部(2)の積層構造を示している。このように形成される胴ばり部2では、インナーテープ4とひだ付筒体1’の胴体面は接着されていないので、シール用接着テープ3とインナーテープ4によるシール部分が引き裂かれて除かれると、折り畳み部の先端部7,8の両端縁7’、8’が開いて収容食品の取り出し開口が形成される。
このような胴ばり部(2)の積層構造の場合、インナーテープ4の内側面は収容されている食品中の水分や油分と接触することとなるし、加熱処理時に発生する蒸気に曝されることとなるので耐水性、耐油性である必要がある。また、外側面はシール用テープ3との接着性を増すための接着剤層を設けたものであることが望ましい。
【0027】
図6は、折り畳み部7,8の両先端縁7’,8’を僅かに離間している状態に配置し、両端縁7’,8’の離間部がインナーテープ4の中心部となるように位置決めしてシール用接着テープ3で接着する場合の胴ばり部2の積層構造を示している。このように形成される胴ばり部(2)では、インナーテープ4とひだ付筒体1’の胴面は接着されていないので、シール用接着テープ3とインナーテープ4によって形成されているシール部が帯状に引き裂かれて除かれると、折り畳み部の先端部7,8の離間部が開放されて収容食品の取り出し開口が形成される。
このような胴ばり部(2)の積層構造の場合も、インナーテープ4の内側面(折りたたみ先端部側の面)は食品中の水分や油分と接触することとなるし、加熱処理時に発生する蒸気に曝されることとなるので耐水性、耐油性である必要がある。また、外側面はシール用テープ3との接着性を増すための接着剤層を設けたものであることが望ましい。
【0028】
図7は、図3の断面図に示すように、平型筒体1’の折り畳み部の先端部7,8のうちの外側先端部8の端縁8’を覆って胴貼部2を引き裂き開封する手段となるインナーテープ4を挟んでシール用接着テープ3を胴面に接着する場合の胴貼部(2)の積層構造を示しており、ここでは、インナーテープ4のシール用接着テープの接着剤層側の面に接着剤層9を設けて、インナーテープとシール用接着テープ3との接着一体化を確実なものとしている。このようにシール用接着テープ3とインナーナーテープ4とを強固に接着させておくことにより、胴貼部2のシール部を帯状に引き裂き除去する際にインナーテープ4の両側縁に沿ってシャープな引き裂き端縁を形成しつつ引き裂くことが可能となる。
【0029】
図8は、本発明の加熱調理用紙袋を加熱処理した後、胴ばり部を帯状引き裂き片14を形成するように摘み部16を利用して引き裂き開封して開封口11を形成し、収容食品12を取り出し可能とした状態を示す図である。
図9は、両端開口紙袋に食品を収容し、両端開口部を開口を巻き込んで胴部中央方向に複数回折り畳んだ折り畳み部を、板紙のような厚手の矩形シート部材の中央部にコ字状の切り込み部を形成したクリップ17の該切込部で挟み込み固定した折り畳み閉鎖部13を有する加熱調理用食品収容紙袋の状態を示している。図9に示すように、胴ばり部の端縁部の摘み部16部分は折り畳み閉鎖部13内に巻き込まれないように紙袋中央方向に引き出された状態に配置されるように折り畳み閉鎖部が形成されている。
このようにつまみ部16を折り畳み閉鎖部13外に引き出した状態に配置して引き裂き開始部を形成すると、紙袋の折り畳み閉鎖部近傍における胴ばり部の前記引き裂き開始部の基端部(根元部)において、胴ばり部に僅かな隙間が生じるか又は紙袋内圧の上昇によって容易に開口する箇所が形成されるので、加熱調理時の内部の蒸気逃し機能が付与されることとなり、好ましい態様である。
【0030】
図10は、図9のように形成した折り畳み部を一方の端部に他方の端部との係止具を有する帯状クリップ17で固定した状態の折り畳み閉鎖部13を有する加熱調理用食品収容紙袋の状態を示している。この例においても先端部に摘み部を有する引き裂き開始部は折り畳み閉鎖部13外に引き出されているが、この引き出されている引き裂き開始部は、シール用接着テープが紙袋胴面に接着されていない部分によって形成されるか、一旦接着されている部分が摘み部16を利用して、図示の状態まで引き裂いて形成されていてもよい。
【0031】
本発明の加熱調理用紙袋は、長方形又は正方形の片面耐油紙の耐油処理面を内側にして、収容食品の量に応じて、幅が5〜50cm、長さが5〜50cm、ひだ部(マチ)の幅が0〜25cmの大きさに平型筒状に折り畳み、両折り畳み部の相対する先端部を一方の胴部の幅方向中央部に位置させ、該両折り畳み部の相対する先端部をインナーテープで長手方向に覆い、そのインナーテープ全体をさらに覆ってシール用接着テープ3を筒体胴面に接着して胴部を閉鎖した胴ばり部を有している。
【0032】
前記胴ばり部における両折り畳み部の先端部同士が重なり合うような配置状態の場合の重なり合う部分の幅は、加熱調理時に発生する蒸気の漏れを効果的に防止する機能を付与できることから5〜50mmの幅が適当である。加熱調理する食品量が多い場合の紙袋はひだ付型が好ましく、この場合のインナーテープの幅は5〜50mmで、インナーテープが幅方向中央部に位置するように覆って紙袋の胴面に貼着されるシール用接着テープの幅は10〜70mmであることが好ましい。また、加熱調理する食品量が少ない場合には、同程度の幅と長さを持ったひだなし型紙袋に折り畳むこともできる。ひだなし型紙袋に使用するインナーテープ及びシール用接着テープはひだ付袋に使用するものと同じ程度で良い。
【0033】
両折り畳み部の先端部の端縁7’、8’を図5のように突き合せ配置とする場合や、図6のように離間配置とする場合のインナーテープ4及びシール用接着テープ3の幅は重なり部のある場合と同じとすることができるが、重なり配置の場合よりも5mm程度広くすることが好ましい。
両折り畳み部の先端同士が離間している場合は、インナーテープの幅は離間幅より5mm以上広くする必要があり、シール用接着テープはさらにインナーテープより10mm以上広くする必要がある。
【0034】
インナーテープの長さは、シール用接着テープと同等以上であれば問題ないが、長さ方向端部の一方又は両方がシール用接着テープより長く突き出た状態であると、シール用接着テープを引き裂く際の摘み部とすることができ、引き裂き操作が行い易いという利点がある。インナーテープとシール用接着テープが同じ長さの場合でも、胴ばり部のインナーテープの両側縁に沿って接着テープの端縁から長手方向に2本の平行する短い切り込みを予め形成して引き裂き開始時の摘み部とすると胴ばり部の開封をスムーズに行うことができる。また、長手方向端部において、予めインナーテープとシール用接着テープは接着させるが、平型紙袋の胴部表面には接着させていない部分を開口端部から胴部中央方向に5〜50mm程度の長さで形成しておくと、引き裂き時の摘み部とすることができるとともに、加熱調理時の蒸気抜き穴として機能させることができる。
【0035】
本発明の加熱調理用紙袋で使用される紙基材は、晒・未晒クラフト紙、純白ロール紙の他、上質紙等を使用してもよいが、少なくとも片面に、水溶性樹脂又は水溶性樹脂と無機顔料を含む塗工層を5〜20g/m塗工したものや、5〜40μmの厚さのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートした耐熱性面を形成したものが使用できる。
また、上記紙基材の片面にシリコーン樹脂を含む耐油層を0.5〜10g/m、好ましくは1.0〜5.0g/m塗工した片面耐油紙を使用することもできる。さらに、パルプの叩解度をカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)で100ml以下になるまで粘状叩解したパルプを使用して抄紙したグラシン紙、セミグラシン紙等の高密度紙の片面にシリコーン樹脂を含む耐油性層を0.1〜10g/m、好ましくは0.5〜5.0g/mの塗工量で形成したものを使用することができる。
【0036】
紙袋基材の厚さは、調理する食品の重さ、量によって適宜選択することができるが、一般的には20〜100μmのものが望ましい。中でも、30〜50μm程度のグラシン紙の片面にシリコーン樹脂耐油層を設けたものは適度の通気性もあり、食品の食感を損なうことがない紙袋を形成できるので好ましい。また、50〜70μmのロール紙の片面にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートした後シリコーン樹脂耐油層を設けたものは、紙袋の強度があり、比較的重い食品の調理や長時間液体を保存する紙袋を形成する場合に好ましい。
【0037】
シリコーン樹脂としては、付加型ビニル基を含有するポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合して、白金触媒の存在下で反応させるもの、また、縮合型末端にシラノール基を有するポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジュンシロキサンを配合して、有機錫アシレート触媒の存在下で縮合反応させるもの、あるいは、シリコーンレジンと呼ばれる3〜4官能型シラノールを用い、縮合により三次元網目構造を生成したものを用いることができる。また、これらのシリコーン塗料を有機溶剤で希釈し、あるいは、水系エマルジョン,無溶剤型の塗工液として、グラビア塗工,ロール塗工,エアナイフ塗工,メイヤーバ塗工等の方法で紙の片面に塗工したものを使用することができる。
【0038】
本発明に使用されるシール用接着テープは、引き裂き可能なテープの片面に接着剤層を設けた接着テープであり、加熱調理時に蒸気により内部から圧力がかかっても紙袋のシール性が破壊されないだけの接着強度を有し、調理後、開封する際に容易に引き裂くことができるという要求を満たす範囲の材質のテープを用いて製造される。
【0039】
接着剤層は、シール用接着テープと筒体胴部との接着性を高め、加熱調理時に蒸気により内部から圧力がかかっても剥離しないだけの接着強度を有している必要がある。
シール用接着テープの接着剤層は、開封手段となるインナーテープとの接着性も良好であることが好ましい。シール用接着テープとインナーテープとの接着性が悪いと、胴ばり部の開封時にシール用接着テープを引き裂いた際にシー用接着テープの引き裂き端縁部がギザギザである荒れた開口端縁が形成されることとなり、加熱調理食品を収容した容器としての美観性に劣るものとなり、調理済み食品を収容したままの容器として食卓に並べることが躊躇われるものとなることがある。
【0040】
シール用接着テープとしては、例えば、ポリエチレン樹脂を5〜40μmの厚さにラミネートしたポリラミ紙や紙シートの片面に、その全面に亘って、あるいは筋条にホットメルト接着剤を塗布したものが使用できる。ホットメルト接着剤は、100℃程度でも接着性の低下が少ないものを適宜選択して使用することができる。また、加熱調理用食品に悪影響を与えることのない範囲で水溶性接着剤、水分散性の接着剤も使用可能である。
【0041】
インナーテープは、加熱調理時に蒸気により内部から圧力がかかっても紙袋のシール性が破壊されないように補強する機能をも有するので、シール用接着テープより強度の高い紙又は耐熱性のある延伸されたプラスチックテープ等を使用することが好ましい。インナーテープの下側面(紙袋胴ばり部の折り畳み部の先端部に接触する面)は、折り畳み部の先端部が重なり合っている場合は非接着性面である限り、必ずしも耐油処理面である必要はないが、折り畳み先端部の配置状態が突合せ状態及び離間状態である場合は、加熱調理時にインナーテープ面が収容食品からの蒸気や油脂分と接触することとなるので前述したように耐油性かつ非接着性である必要がある。
【0042】
前述したように、インナーテープのシール用接着テープ側の面は、折り畳み部の先端部の配置状態がいずれの場合でもシール用テープとの接着性が良好であることがシャープな引き裂き端縁を有する開封口を形成するために好ましい。例えば、片面耐油紙原紙又は片面耐油紙をそのまま使用しても良いし、反対面にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂層をラミネートしたものや、接着剤層を設けたものとすることも望ましい態様である。
【0043】
本発明の加熱調理用紙袋を使用する場合、両端開口の紙袋の一方又は両方の開口部から食品を入れた後、両端開口を閉鎖した状態で加熱調理器に入れて加熱調理される。紙袋の両端開口部の閉鎖手段としては、加熱調理時の発生蒸気や商品の膨張等により加熱調理時に開封されてしまうことがない閉鎖手段であれば特に制限はない。
たとえば、両端開口部を折り込むように開口端部を紙袋中央方向に複数回折り畳んだ状態で耐熱性クリップ等により折り畳み部を固定することや、該折り畳み部の幅方向両端部を斜め方向に三角形に折り曲げて形成される三角片を折り畳み部と紙袋の扁平面との間に差し込んで折り畳み部を固定する等の手段を採用することができる。また、耐熱性固定手段として、分割していない割り箸等で折り曲げ部分を挟んで固定する手段も簡便であり有効である。
【0044】
調理用食品を収容した状態で両端開口部が閉鎖された紙袋は、加熱器具による加熱処理に供される。そして、調理終了後、折り畳まれた開口端部の一方から胴ばり部の端部を摘まんで引張り、シール用接着テープを長手方向に引き裂いて開封される。開封は胴ばり部においてシャープな引き裂き端縁を形成しつつスムーズに行うことができるので、内部の食品が開封時に袋外に飛び出すことがないし、こぼれることもない。また、開封した開口部は再度折り畳み閉鎖することができるし、胴ばり部の開口縁も直線的であるので、美麗な食品取出し開口部有しているので、そのまま加熱調理食品盛り付け食器とすることができる。
【0045】
紙袋の開口端部を閉鎖する場合、上記の様に折り畳み部を形成するに先立って、開口端の胴ばり部端部からシール用接着テープ部分を紙袋中央方向に引き裂いて、開口部を折り畳み閉鎖した後の折り畳み部外に該引き裂き部分が飛び出している状態としておくと、加熱調理後に該引き裂き端部を摘み部として胴ばり部を簡単かつ衛生的に綺麗に開封することができるので、開封後の紙袋をそのまま加熱調理済食品を盛り付けた食器として食卓に並べることができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例にしたがって本発明の加熱調理用紙袋を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によってなんら限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
市販のグラシン紙〔米坪39.7g/m、厚さ36.8μm、王子特殊紙(株)製、商品名「クリスラップ」〕の片面に信越化学工業株式会社製のシリコーン主剤〔商品名「KS−778E」〕と硬化剤〔商品名「PL−56」〕を100:1の質量割合で混合し、トルエンで濃度が8質量%になるように希釈して塗布液を調製し、該塗布液を乾燥質量1.0g/mとなるように塗布して405mm×400mmの方形の片面耐油紙を作成した。
作成した片面耐油紙を折り畳んで、巾が145mm、両側ひだ部(マチ)の巾がそれぞれ25mm、一方の胴面の中央部に形成されている折り畳み先端部の重なり部分が15mmである平型筒体を作成した。
【0048】
片艶紙〔米坪19.5g/m、厚さ27μm、王子特殊紙(株)製、商品名「HSBT用紙」〕の艶面に厚さ16μmのポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン株式会社製 「ノバテックLC607K」)をエクストルージョンラミネート(Tダイ押出し機)でラミネートし、50mm×400mmのサイズのシール用接着テープとした。純白ロール紙〔米坪41.4g/m、厚さ57μm、王子特殊紙(株)製、商品名「白夜」〕艶面に厚さ23μmのポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン株式会社製 「ノバテックLC607K」)をエクストルージョンラミネート(Tダイ押出し機)でラミネートし、25mm×400mmのサイズのインナーテープとした。インナーテープのラミネート面をシール用接着テープのラミネート面と合わせ、インナーテープの中央がシール用テープの中央に位置するように調整した。また、インナーテープの幅方向中央部が前記平型筒体胴部に重なり状態で配置されている折り畳み部の先端部の外側に重なっている先端部の端縁に一致するように調整し、シール用接着テープの上部から、210℃に加熱したヒートシーラー〔西部(ニシベ)機械:機械名「センタープレス機」〕でシール用接着テープと胴部を接着閉鎖して胴ばり部を形成し、両端開口の平型筒体からなる紙袋を製造した。
【0049】
紙袋の一方の開口部から、加熱調理用食品を入れ、紙袋の両端部を開口を巻き込んでそれぞれ2cm程度ずつ2回巻きして折り畳み、さらに折り畳み部分の幅方向端部を三角状に折り畳んで該折り畳み部分を固定し、加熱調理用食品収容紙袋を完成させた。
次いで、加熱調理用食品収容紙袋を電子レンジで3分間加熱した。加熱終了後、片方の折り畳み固定部を巻き戻して開口部を開放し、開口部の胴ばり部端縁において互いに接着一体化されているインナーテープと接着テープの端部を摘んでシール部を上方に引き上げるように引っ張ることにより、胴ばり部を帯状に引き裂いて開封した。開封はスムーズに行えたので食品が飛び散ることもなく、開封部の引き裂き端縁もシャープであり、帯状の幅広の開口部に露出した紙袋の折り畳み先端部の端縁を左右に押し拡げて食品の取り出し開口を簡単に形成することができ、そのまま加熱調理済食品収容容器として食卓に出すことができた。
【0050】
<参考例1>
実施例1の加熱調理用紙袋において、開封手段としてインナーテープの替わりに、片面耐油紙の重なり配置されている折り畳み先端部の外側に重なっている折り畳み先端部の端縁に正確に沿うようにタコ糸を配置した状態で重なり配置されている折り畳み先端部をシール用接着テープで接着閉鎖して胴ばり部を形成した以外は、実施例1と同様にして加熱調理用紙袋を作成した。
加熱調理後の紙袋の胴ばり部をタコ糸で引き裂いて開封して形成された胴ばり部開口の引き裂き端縁は、シャープで美麗であったが、引き裂き開口部が線状であるため、まず引き裂き開口縁を左右に引き拡げ、次いで、内部の重なり合っている折り畳み先端部の上側に位置する折り畳み先端部を先ず引き上げ、さらに内部に位置する他方の折り畳み先端部を引き拡げて収容食品を取り出す、という煩雑な食品取出し開口部形成操作が必要であった。
【0051】
<実施例2>
実施例1の加熱調理用紙袋において、折り畳み部の先端部を突合せ状態とし、インナーテープとして、シール用接着シート側の艶面に厚さ23μmのポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン株式会社製 「ノバテックLC607K」)をエクストルージョンラミネート(Tダイ押出し機)でラミネートした後、折り畳み先端部側の面に信越化学工業株式会社製のシリコーン主剤〔商品名「KS−778E」〕と硬化剤〔商品名「PL−56」〕を100:1の質量割合で混合し、トルエンで濃度が8質量%になるように希釈して塗布液を調製し、該塗布液を乾燥質量1.0g/mとなるように塗布して耐油層を形成したインナーテープを使用する以外は、実施例1と同様にして加熱調理用紙袋を作成した。
加熱調理後の紙袋の胴ばり部を実施例1と同様にして開封した結果、開封はスムーズに行えたので食品が飛び散ることもなく、開封部の引き裂き端縁もシャープで美観性があり、帯状の幅広の開口部に共に配置されている折り畳み先端部の突合せ配置されている端縁を食品の取り出し開口とした加熱調理済食品収容容器としてそのまま食卓に出すことができた。
【0052】
<実施例3>
実施例1において、折り畳み先端部間が2mm離間している胴ばり部を形成した以外は実施例1と同様にして加熱調理用紙袋を作成した。
加熱調理後の紙袋の胴ばり部を実施例1と同様にして開封した結果、開封はスムーズに行うことができて調理済み食品が飛び散ることもなく、開封部の引き裂き端縁もシャープで美麗であり、帯状の幅広の開口部を形成している折り畳み先端部の離間している端縁を食品の取り出し開口縁とした加熱調理済食品収容容器としてそのまま食卓に出すことができた。
【0053】
<実施例4>
市販の純白ロール紙〔米坪41.4g/m、厚さ57μm、王子特殊紙(株)製、商品名「白夜」〕のシール用接着シート側の艶面に厚さ23μmのポリプロピレン樹脂(日本ポリエチレン株式会社製 「ノバテックFL02A」)をエクストルージョンラミネート(Tダイ押出し機)でラミネートした後、反対面に、信越化学工業株式会社製のシリコーン主剤〔商品名「KS−778E」〕と硬化剤〔商品名「PL−56」〕を100:1の質量割合で混合し、トルエンで濃度が8質量%になるように希釈して塗布液を調製し、該塗布液を乾燥質量1.0g/mとなるように塗布して405mm×400mmの方形の片面耐油紙を作成した。
作成した片面耐油紙を折り畳んで、巾が145mm、両側ひだ部(マチ)の幅がそれぞれ25mm、折り畳み部の先端部の重なり部分が15mmである胴部を形成し、実施例1と同様のシール用接着テープとインナーテープにより折り畳み部の重なり部を接着閉鎖して胴ばり部を形成した以外は、実施例1と同様にして加熱調理用紙袋を作成した。
加熱調理後の紙袋の胴ばり部を実施例1と同様にして開封した結果、開封はスムーズに行えたので食品が飛び散ることもなく、開封部の引き裂き端縁もシャープで美観性があり、帯状の幅広の開口部に共に配置されている折り畳み先端部の突合せ配置されている端縁を食品の取り出し開口とした加熱調理済食品収容容器としてそのまま食卓に出すことができた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の加熱調理用紙袋は、加熱調理対象食品由来の水分や油脂分による強度低下がなく、加熱調理時に発生する蒸気やガスに対する適度の透過性がある両端開口の平型紙袋であり、両端開口部の閉鎖手段に特に制限はなく、加熱調理対象食品の形状や性情に対応した開口閉鎖部を任意に形成できるので、一般家庭での加熱調理食品用として手軽に利用可能である。また、加熱調理後の開封手段も形成される食品取り出し口に手や指が触れることのない開封手段であり、加熱調理済食品を他の食器に移し変えることなく開封したそのままの状態で加熱調理済食品収容食器として食卓に並べることができるので衛生的であり、食卓から片付ける際にもそのまま焼却ゴミとして廃棄できることから、病院食や介護用デリバティブ食品等の分野での利用に適しており、家庭用調理器具以外の利用分野の拡大も期待できるものである。
【符号の説明】
【0055】
1:加熱調理用紙袋
1’:平型筒体
2:胴ばり部
3:シール用接着テープ
4:インナーテープ
5:片面耐油紙
6:耐油層
7,8:折り畳み部の先端部
7’,8’:先端部の端縁
9:接着剤層
10:開封用の紐
11:開口部
12:収容食品
13:折り畳み部
14:帯状引き裂き片
15:紙基材
16:摘み部
17:クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面耐油紙を耐油処理面を内側にして扁平筒状に折り畳み、一方の扁平胴部中央部において相対する両折り畳み先端部をシール用接着テープで覆って接着閉鎖して形成されている胴ばり部を有する両端開口の平型筒体であって、該胴ばり部は、非接着状態で相対している片面耐油紙の両折り畳み部の先端部を、その長手方向全長に亘って非接着性面で覆って配置されている細幅帯状のインナーテープを間に挟んで易引き裂き性のシール用接着テープを平型筒体の胴部に接着して閉鎖されている食品取出開口部形成用胴ばり部であり、平型筒体の両端開口部は加熱調理用食品挿入口で食品挿入後に閉鎖される開口部であることを特徴とする加熱調理用紙袋。
【請求項2】
前記胴ばり部において、非接着状態で相対している片面耐油紙シートの両折り畳み部の先端部は、互いの先端部同士が重なり合った状態で相対していることを特徴とする請求項1記載の加熱調理用紙袋。
【請求項3】
前記胴ばり部において、非接着状態で相対している片面耐油紙シートの両折り畳み部の先端部は、両先端部の端縁を突き合わせた状態で相対していることを特徴とする請求項1記載の加熱調理用紙袋。
【請求項4】
前記胴ばり部において、非接着状態で相対している片面耐油紙シートの両折り畳み部の先端部は、両先端部の端縁同士が離間した状態で相対していることを特徴とする請求項1記載の加熱調理用紙袋。
【請求項5】
前記インナーテープは、前記折り畳み先端部の端縁を覆う側の面が非接着性で且つ耐油性の面であり、シール用接着テープ側の面がシール用接着テープとの接着面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項6】
前記インナーテープは、ポリオレフィンのエクストルージョンラミネート層又はホットメルト接着剤塗布層を介してシール用接着テープの接着剤層と接着していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項7】
前記胴ばり部は、平型筒体の両端開口端部に引き裂き開始部が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項8】
前記引き裂き開始部は、前記胴ばり部の端縁から中央部方向にかかる所定長さの領域を、前記シール用接着テープと平型筒体の胴部とが非接着状態存在する領域とすることによって形成されている摘み部からなることを特徴とする請求項7記載の加熱調理用紙袋。
【請求項9】
前記引き裂き開始部は、平型筒体の両端開口端部において、前記胴ばり部に配置されているインナーテープの両側縁に沿って、シール用接着テープの端縁から長手方向に2本の短い切込線を設けることによって形成されている摘み部からなることを特徴とする請求項7記載の加熱調理用紙袋。
【請求項10】
前記引き裂き開始部は、平型筒体の両端開口端部において、前記胴ばり部に配置されているインナーテープの端部を開口端部の端縁外に延出させた摘み部からなることを特徴とする請求項7記載の加熱調理用紙袋。
【請求項11】
前記引き裂き開始部は、平型筒体の両端開口端部において、前記胴ばり部に配置されているインナーテープの端部を、該インナーテープの幅にカットされてインナーテープに貼着されているシール用接着テープ部分と共に開口端部の端縁外に延出させた摘み部からなるとすることを特徴とする請求項7記載の加熱調理用紙袋。
【請求項12】
前記引き裂き開始部は、前記摘み部が前記胴ばり部端縁から胴部中央方向に一定長さで予め引き裂かれて形成されている引き裂き片からなることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項13】
前記シール用接着テープは、紙基材の片面に接着剤層としてポリオレフィン樹脂のエクストルージョンラミネート層又はホットメルト接着剤層を有する熱接着用接着テープであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項14】
前記片面耐油紙は、片面にシリコーン塗工した高密度紙によって形成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項15】
前記平型筒体は、長手方向両側部にひだ部を有するひだ付筒体である請求項1〜14のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項16】
前記平型筒体がひだなし筒体である請求項1〜14いずれか1項に記載の加熱調理用紙袋。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の加熱調理用紙袋の開口部より加熱調理用食品を紙袋内に収容する工程、
該加熱調理用食品収容紙袋の開口部をその開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程、
該両端閉鎖した加熱調理用食品収容紙袋を加熱調理器具で加熱する加熱処理工程、
該加熱処理工程からの加熱調理済食品収容紙袋の胴ばり部におけるシール用接着テープによるシール部を前記インナーテープと一体で長手方向に細幅帯状に引き裂きながら剥がして胴ばり部を開封することにより加熱調理済食品取り出し口を形成する工程、
を順次実施することを特徴とする、加熱調理用食品の加熱調理方法。
【請求項18】
前記加熱調理用食品収容紙袋の両端開口部をその開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程は、前記胴ばり部における前記引き裂き開始部を予め前記開口端縁から前記胴部中央方向に一定長さで引き裂いて形成されている細幅帯状の引き裂き片の先端部が前記閉鎖端部から胴部中央方向にはみだした状態で前記閉鎖端部を再開封可能に固定する工程であることを特徴とする請求項17記載の加熱調理用食品の加熱調理方法。
【請求項19】
前記加熱調理用食品収容紙袋の両端開口部をその開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程は、紙袋の開口端を巻き込んで紙袋中央方向に複数巻きした閉鎖端部の幅方向両端部を三角形状に折り曲げてその先端部を該閉鎖端部と紙袋の胴部面の間に差し込んで固定する工程よりなることを特徴とする請求項17又は18に記載の加熱調理用食品の加熱調理方法。
【請求項20】
前記加熱調理用食品収容紙袋の両端部をその開口端を巻き込んで紙筒中央方向に複数巻きして閉鎖端部を形成し、該閉鎖端部を再開封可能に固定する工程は、前記紙袋の両端開口部を巻き込んで紙筒中央方向に複数回巻きした閉鎖端部を着脱自在な耐熱性クリップで挟み込み固定する工程であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の加熱調理用食品の加熱調理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−254368(P2010−254368A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109627(P2009−109627)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000191320)王子特殊紙株式会社 (79)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】