説明

動き検出回路及び輝度信号色信号分離回路

【課題】3次元YC分離回路のための動き検出において、必要なメモリの容量を削減しつつ、検出性能を下げないようにする。
動き検出を実現する。
【解決手段】複合カラーテレビジョン信号(VS0)ならびにその遅延信号(VS1)の差分(11)を演算し、該差分から低域成分及び色副搬送波周波数付近の周波数成分を抽出し(12、13)、これらを合成して動き検出信号を生成する(15)。複合カラーテレビジョン信号(VS0)及びその遅延信号(VS1,VS1)から、各画素の信号に動きが少ないほど又は検出された色副搬送波周波数付近の輝度信号で構成される斜め縞成分が大きいほど大きい高域輝度成分を抽出し(14)、抽出された高域輝度成分が大きいときに、動き検出信号を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動き検出回路及び該動き検出回路を備えた適応型3次元輝度信号色信号分離回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動き検出回路は大容量のメモリを必要としていた。例えば、NTSC方式の3次元YC分離回路においては2フレーム分のメモリを必要とし、PAL方式の3次元YC分離回路においては4フレーム分のメモリを用いたものが一般的である。システムのコストを下げるため、必要なメモリの規模を削減することが望まれる。
【0003】
メモリ規模を削減した従来技術の例として、入力されたNTSC複合映像信号を1フレーム遅延させるための第1のフレームメモリと、第1のフレームメモリの出力信号をさらに1フレーム遅延させるための第2のフレームメモリとを備え、第2のフレームメモリへの書き込みに当たり、第1のフレームメモリの出力信号のうち、R−Y信号とB−Y信号をライン毎に交互に書き込むことによって、第2のフレームメモリの容量を半減させたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、複合映像信号のライン間の差分と所定の閾値の比較からクロマ相関を検出し、1フレーム期間遅延した信号のライン間の差分と所定の閾値の比較からクロマ相関を検出し、それらの差分を演算し、動き検出信号とする一方、フレーム間の差分が所定の閾値より小さいときは、強制的に動き検出信号をゼロにするものであり、このような構成を用いることにより、1フレーム分のメモリで3次元YC分離を行うことを可能にした技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平5−276537号公報(第5頁、第1図)
【特許文献2】特開平9−46726号公報(第14頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1に記載の技術では、上記の説明から分かるように、また特にその第1図に示されるように、合わせて1.5フレーム分のメモリを必要とする。
一方、特許文献2に記載の技術では、メモリの容量は1フレーム分で良いが、クロマ相関により、動き検出を行っているため、検出性能が低いと言う問題があった。
【0006】
本発明は、3次元YC分離回路を実現するにあたって必要な大容量のメモリを削減しつつ、検出性能を下げない動き検出を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
複合カラーテレビジョン信号ならびに上記複合カラーテレビジョン信号を所定のフレーム期間だけ遅延した遅延信号を入力とし、上記複合カラーテレビジョン信号と上記遅延信号の差分を演算し、該差分を表す差分信号を出力する差分演算回路と、
上記差分演算回路から出力される差分信号から、色副搬送波周波数以下の低域成分を抽出する低域通過フィルタと、
上記差分演算回路から出力される差分信号から色副搬送波周波数付近の周波数成分を抽出する帯域通過フィルタと、
上記複合カラーテレビジョン信号と上記遅延信号とを入力とし、高域輝度成分を抽出する高域輝度成分抽出回路と、
上記低域通過フィルタの出力信号と上記帯域通過フィルタの出力信号を合成して動き検出信号を出力する動き検出信号生成回路とを備え、
上記動き検出信号生成回路は、上記高域輝度成分抽出回路で抽出された高域輝度成分に基づき、上記動き検出信号の大きさを変える
ことを特徴とする動き検出回路を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の動き検出回路によれば、高域輝度成分を抽出し、高域輝度成分に基づいて、動き検出結果を出力するようにしたので、NTSC方式おいては1フレーム分のメモリ、PAL方式においては2フレーム分というように、通常用いる半分の容量のメモリで動き検出を行うことができ、しかも、クロスカラーやドット妨害の少ない検出をおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の動き検出回路10を示すブロック図である。図示の動き検出回路10は、NTSC複合カラーテレビジョン信号の動きを検出するものであり、差分演算回路11と、低域通過フィルタ(LPF)12と、帯域通過フィルタ(BPF)13と、高域輝度成分抽出回路14と、動き検出信号生成回路15とを有する。
【0010】
差分演算回路11は、複合カラーテレビジョン信号VS0と、複合カラーテレビジョン信号を1フレーム期間遅延した信号(1フレーム遅延信号)VS1とを入力とし、複合カラーテレビジョン信号(「0フレーム遅延信号」と呼ぶこともある)VS0と1フレーム遅延信号VS1の差分を演算する。LPF12は、差分演算回路11から出力される差分信号から低域成分(色副搬送波周波数よりも低い周波数領域の成分)を抽出する。BPF13は、差分演算回路11から出力される差分信号から色副搬送波周波数成分を抽出する。
高域輝度成分抽出回路14は、複合カラーテレビジョン信号VS0と遅延信号VS1を入力とし、高域輝度成分を抽出する。
動き検出信号生成回路15は、LPF12の出力信号とBPF13の出力信号を受け、かつ高域輝度成分抽出回路14の出力に基づいて、動き検出信号MFを生成し、出力する。
【0011】
図2は図1の動き検出回路10における高域輝度成分抽出回路14の一例を示すブロック図である。高域輝度成分抽出回路14は、フレーム間静止判定回路40と、色副搬送波周波数成分検出回路50と、合成回路55とを有する。
フレーム間静止判定回路40は、差分演算回路41と、絶対値回路42と、判定回路43と、孤立点除去回路44とを有する。
色副搬送波周波数成分検出回路50は、水平・垂直帯域通過フィルタ51と、絶対値回路52と、水平拡大回路53とを有する。
合成回路55は、フレーム静止判定回路40の出力信号と色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号を合成する。
【0012】
実施の形態1における動き検出回路10においては、上記複合カラーテレビジョン信号VS0及び1フレーム遅延信号VS1が入力され、差分演算回路11および高域輝度成分抽出回路14に入力される。差分演算回路11の出力は、LPF12と、BPF13に入力される。LPF12の出力信号とBPF13の出力信号は、動き成分として動き検出信号生成回路15に入力され、動き検出信号生成回路15では、LPF12の出力信号VLとBPF13の出力信号VBを入力とし、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYがある閾値HYt以下であり、その2つの入力信号(LPF12の出力及びBPF13の出力)VL及びVBの値α及びβのどちらかが0より大きい(α>0又はβ>0)場合、その出力信号MFが0より大きい値(γ>0)を持つよう合成し、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが上記の閾値HYtより大きい値を持つ場合には、その出力信号MFの値を、上記の2つの入力信号VL、VBの値を上記のようにして合成することで得られる値(γ)よりも小さい値(δ<γ)、例えば1より小さい係数krを掛けることにより得られる値(δ=kr×γ)、または0とする。
【0013】
動き検出信号生成回路15は、例えば、図3に示すように、LPF12の出力信号VLと、BPF13の出力信号VBのうちの大きい方(MAX(VL,VB))を選択して出力する最大値回路16と、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYを所定の閾値HYtと比較して、比較の結果に応じた係数kaを出力する比較回路17と、最大値回路16の出力に、比較回路17からの係数kaを掛ける乗算器18とを有する。
高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが閾値HYt以下のときは、比較回路17から出力される係数kaは「1」であり、乗算器18の出力は、最大値回路16の出力に等しい。
高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが閾値HYtよりも大きいときは、比較回路17から出力される係数kaは「1」より小さい値krであり、乗算器18の出力は、最大値回路11の出力に係数krを掛けた値となる。係数krを「0」にすれば、乗算器18の出力が「0」になる。このように比較回路17と乗算器18とで、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYに応じて最大値回路16の出力を変更する手段が構成されている。
高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが1ビットの信号である場合には、該信号HYが「0」のときには、比較回路17から出力される係数kaを「1」とし、該信号HYが「1」のときには、比較回路17から出力される係数kaを1より小さい値krとする。krを「0」としても良い。
【0014】
動き検出信号生成回路15の出力信号MFは、動き検出回路10の出力信号として出力される。
【0015】
高域輝度成分抽出回路14には、複合カラーテレビジョン信号VS0及び1フレーム期間遅延した信号VS1が入力され、これらの入力信号VS0および1フレーム遅延信号VS1は、フレーム間静止判定回路40と、色副搬送波周波数成分検出回路50に入力される。
【0016】
フレーム間静止判定回路40では、差分演算回路41において、2入力信号の差分値を算出し、該差分値を絶対値回路42に出力する。絶対値回路42では、入力信号(差分演算回路41の出力)を絶対値化する。差分演算回路41と絶対値回路42とで、2入力信号の差分値の絶対値を算出する差分絶対値演算回路46が構成されている。
【0017】
差分絶対値演算回路46の出力(絶対値回路42の出力信号)DZは、判定回路43に供給される。判定回路43では、差分絶対値演算回路46の出力信号DZが所定の閾値DZtより小さいときに、比較的大きいレベル(判定回路43の出力信号JGが取り得る値の範囲の中で大きい値、例えば所定の閾値よりも大きい値)となり、絶対値演算手段46の出力信号DZが上記の閾値以上であれば、比較的小さいレベル(判定回路43の出力信号JGが取り得る値の範囲の中で小さい値、例えば上記の閾値よりも小さい値)となる信号JGを出力する。
【0018】
孤立点除去回路44は、判定回路43の出力中の孤立点を除去する。例えば、孤立点除去回路44は、判定回路43から出力される各画素の信号(注目画素の信号)JGが比較的大きなレベルの信号であっても、当該注目画素の水平方向における前及び後の画素の信号が比較的小さいレベルの信号であるときは、当該注目画素の信号を、上記比較的小さいレベルに変更する。
孤立点除去回路44の出力信号SFは、フレーム間静止判定回路40の出力信号として合成回路55に出力される。
【0019】
色副搬送波周波数成分検出回路50では、水平・垂直帯域通過フィルタ51において入力信号を水平方向ならびに垂直方向にフィルタ処理を行ない、絶対値回路52に出力する。
絶対値回路52では、信号を絶対値化し、水平拡大回路53に出力する。
【0020】
水平拡大回路53は、絶対値回路52の出力を水平方向に拡大する。例えば、水平拡大回路53は、絶対値回路52の出力信号(注目画素の信号)EZが比較的小さなレベルの信号であっても、その水平方向における前または後の画素の信号が比較的大きいレベルの信号であるときは、当該出力信号(注目画素の信号)を、比較的大きいレベルとする。
水平拡大回路53の出力信号CSは、色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号として合成回路55に出力される。
【0021】
合成回路55は、フレーム間静止判定回路40の出力信号SFと、色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号CSとを入力信号として、上記2つの入力信号のどちらか一方でも比較的大きい値(フレーム間静止判定回路40の出力信号SF又は色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号CSが取り得る値の範囲の中で大きい値、例えば所定の閾値よりも大きい値)を取る場合に、その出力信号を比較的大きい値(合成回路55の出力信号HYが取り得る値の範囲の中で大きい値、例えば所定の閾値よりも大きい値)とする。
【0022】
合成回路55は、例えば、フレーム間静止判定回路40の出力信号SFと、色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号CSとを入力として、そのうちの大きい方(MAX(SF,CS))を選択して出力する最大値回路で構成される。フレーム間静止判定回路40の出力信号SFと、色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号CSが1ビットの信号である場合には、上記の最大値回路は論理和回路で構成される。
【0023】
上記のように、図1の動き検出回路はNTSC方式に対応したものであり、差分演算回路11においては1フレーム差の入力信号の差分を取った出力信号は、LPF12により低域成分を抽出することで輝度信号の動き成分として扱うことができる。一方、通常のNTSC方式動き検出回路においては、2フレーム差の入力信号の差分を取ることで、輝度信号動き成分を補足する色信号動き成分を得ることができるが、図1に示すようにメモリを削減した動き検出回路においては2フレーム遅延した入力信号を得ることができないため、その代わりとなるよう、1フレーム差分信号に対し、BPF13により色色副搬送波周波数成分を抽出することで色信号の動き成分を得ている。
【0024】
ただし、2フレーム差分信号の代わりに、1フレーム差分信号からBPF13により色副搬送波周波数成分を抽出する構成の場合には、色副搬送波周波数付近の輝度信号、つまり斜め縞の信号が入力信号にある場合、動き信号として誤検出してしまう。これを防止するため、高域輝度成分抽出回路14が色副搬送波周波数付近の輝度信号を検出した場合に動き検出信号生成回路15に対し、動き検出信号MFを小さくするよう制御している。
【0025】
判定回路43では、フレーム間差分信号の絶対値が、ある閾値DZt以下の場合に、比較的大きいレベルの信号を出力する。また、孤立点除去回路44では、各画素が前後の画素に対し1点のみ大きいレベルの信号となる場合に、その前後の画素と同程度の比較的小さいレベルの信号に変更して出力するものである。例えば前の画素と同じレベル、又は後の画素と同じレベル、或いは前の画素及び後の画素のうちの大きい方と同じレベルに変更する。これにより、フレーム間静止判定回路40の出力は、静止輝度信号が入力された場合には、比較的大きいレベルの信号を出力し、静止色信号が入力された場合には、フレーム間差分信号の絶対値が比較的大きくなることから、比較的小さいレベルの信号を出力する。
【0026】
色副搬送波周波数成分検出回路50では、水平・垂直帯域通過フィルタ51において入力信号を水平方向ならびに垂直方向にフィルタ処理を行なうことで、斜め縞となるような輝度信号を含む色副搬送波周波数成分を抽出し、絶対値回路52で絶対値化している。
従って、色副搬送波周波数成分検出回路50は、色副搬送波周波数成分が検出されたときに、比較的大きなレベルの信号を出力する。
従って、フレーム間静止判定回路40と色副搬送波周波数成分検出回路50により、静止輝度信号が入力された場合或いは斜め縞となるような輝度信号が入力された場合に、高域輝度成分抽出回路14の出力は比較的大きいレベル(高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが取り得る値の範囲の中で大きい値、例えば所定の閾値よりも大きい値)の信号となる。
高域輝度信号成分抽出回路14の出力信号が1ビット(2値)の信号である場合、「大きいレベル」は“1”であり、「小さいレベル」は“0”である。
【0027】
例えば、高域輝度成分抽出回路14の出力ビット数が1ビットの場合は、静止輝度信号が入力されたと判定された場合、又は斜め縞となるような輝度信号が入力された場合に“1”を出力し、その場合(“1”が出力された場合)、動き検出信号生成回路15の出力である動き信号MFは、LPF12及びBPF13の出力が比較的大きいレベルであっても、小さいレベルの信号、あるいは“0”レベルの信号とされる。
また、高域輝度成分抽出回路14の出力ビット数が複数ビットの場合は、静止輝度信号が入力されたと判定されたとき、又は斜め縞となるような輝度信号が入力されたと判定されたときに、高域輝度成分抽出回路14が、フレーム間静止判定回路40の出力信号及び/又は色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号SF、CSの大きさに応じた大きい値(信号SF、CSが大きいほど大きい値)の信号を出力し、その場合、動き検出信号生成回路15の出力である動き信号MFは、LPF12及びBPF13の出力が大きいレベルであっても、高域輝度成分抽出回路14の出力HYに応じて(高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが大きいほど)、段階的により小さいレベルの信号とされる。
【0028】
以下、判定回路43、孤立点除去回路44、水平拡大回路53、合成回路55の動作につき場合を分けてより詳しく説明する。
フレーム間静止判定回路40の判定回路43は、上記のように、絶対値回路42の出力信号DZがある閾値DZtより小さいときに、比較的大きいレベルとなり、絶対値回路42の出力信号DZが上記の閾値DZt以上であれば、比較的小さいレベルとなる信号を出力する。
【0029】
判定回路43が3値以上の信号、例えば2ビット(4値)の信号を出力するものである場合の各画素の入力信号の値と出力信号の値の関係は、例えば図4に示す通りであり、入力信号(絶対値回路42の出力)DZが所定の閾値DZt以上では、判定回路43の出力JGは、“0”であり、入力信号(絶対値回路42の出力)が上記の閾値DZtより小さい範囲では、判定回路43の出力信号JGは、絶対値回路42の出力DZの、上記の閾値DZtからの隔たりに応じた大きさを持つ(絶対値回路42の出力DZと閾値DZtとの差が大きいほど大きい値を持つ)。
判定回路43が2値の信号、即ち1ビットの信号を出力するものである場合の各画素の入力信号の値と出力信号の値の関係は、例えば図5に示す通りであり、入力信号(絶対値回路42の出力)DZが所定の閾値DZt以上では、判定回路43の出力JGは、“0”であり、入力信号(絶対値回路42の出力)DZが上記の閾値DZtより小さいときは、判定回路43の出力信号JGは、“1”である。
【0030】
判定回路43が3値以上の信号、例えば2ビット(4値)の信号を出力するものである場合の、孤立点除去回路44の入力信号JGの列と出力信号SFの列の関係は、例えば図6(a)及び(b)に示す通りである。同図及び後述の図7〜図9において、縦方向に延びた点線は各画素の信号と次の画素の信号との区切りを示す。判定回路43から出力される各画素(注目画素)の信号JGの出力)JGが閾値JGtよりも大きく、その周囲の画素の信号(判定回路43の出力)JGがすべて閾値JGt以下の場合には、注目画素を周りの画素(例えば前の画素または後の画素)と同じ値とする。図6(a)及び(b)では、前の画素及び後の画素がともに閾値以下のときには、前の画素及び後の画素のうちの最も大きいものと同じ値にしている。そのようにする代わりに、前の画素と同じ値にしても良く、後の画素と同じにしても良い。また、上記閾値JGtと同じ値にすることとして良い。
判定回路43が2値の信号、即ち1ビットの信号を出力するものである場合の、孤立点除去回路44の入力信号JGの列と出力信号SFの列の関係は、例えば図7(a)及び(b)に示す通りであり、判定回路43から出力される各画素(注目画素)の信号DZが“1”で、その周囲の画素の信号(判定回路43の出力)DZがすべて“0”の場合には、注目画素の信号を“0”とする。
【0031】
絶対値回路52の出力信号が3値以上の信号、例えば2ビット(4値)の信号である場合の、水平拡大回路53の入力信号の列と出力信号の列の関係は、例えば図8(a)及び(b)に示す通りであり、絶対値回路52から出力される各画素(注目画素)の信号EZが閾値EZtよりも小さく、その周囲の画素の信号(絶対値回路52の出力)EZのいずれかが閾値EZt以上である場合には、その周囲の画素(例えば前の画素または後の画素)の値を注目画素の値とする。図8(a)及び(b)では、前の画素及び後の画素の値がともに閾値EZt以上のときには、前の画素及び後の画素のうちの最も小さいものと同じ値にすることとしている。そのようにする代わりに、前の画素と同じ値にしても良く、後の画素と同じ値にしても良い。また、上記の閾値EZtと同じ値にすることとしても良い。
絶対値回路52の出力信号が2値の信号、即ち1ビットの信号を出力するものである場合の、水平拡大回路53の入力信号の列と出力信号の列の関係は、例えば図9(a)及び(b)に示す通りであり、絶対値回路52から出力される各画素(注目画素)の信号EZが“0”で、その周囲の画素の信号(絶対値回路52の出力)EZのいずれかが“1”の場合には、注目画素の信号を“1”とする。
【0032】
合成回路55は、上記のように、フレーム間静止判定回路40の出力信号SFと、色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号CSとを入力信号として、上記2つの入力信号のどちらか一方でも比較的大きい値を取る場合に、その出力信号HYを比較的大きい値とする。
【0033】
動き検出信号生成回路15は、上記のように、LPF12の出力信号VLとBPF13の出力信号VBを入力とし、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYがある閾値HYt以下で、かつその2つの入力信号VL、VBの値α、βのどちらかが0より大きい(α>0又はβ>0)場合、その出力信号MFが0より大きい値(γ>0)を持つよう合成し、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが上記の閾値HYtより大きい値を持つ場合には、その出力信号MFの値を、上記の2つの入力信号VL、VBを上記のようにして合成した結果よりも小さい値(δ<γ)、または0とする。
【0034】
動き検出信号生成回路15の出力MFは動き検出信号として用いられる。
このような動作により、高域輝度成分抽出回路14が色副搬送波周波数付近の輝度信号を検出した場合に動き検出信号MFを小さくすることで、色副搬送波周波数付近の輝度信号、つまり斜め縞の信号が入力信号に含まれる場合、動き信号として誤検出してしまうのを防止している。
【0035】
なお、図3の最大値回路16の入力側に、信号VL、VHにそれぞれ異なる係数ka、kbを掛ける係数乗算器を挿入し、最大値回路で係数乗算器の出力ka×VL、kb×VBのうちの大きい方(MAX((ka×VL),(kb×VB))を求めるようにしても良い。
また、最大値回路16の代わりに加算回路を用いても良い。この場合にも入力側に係数乗算器を設けても良い。
さらに、比較回路17を設けずに、乗算器18の代わりに減算回路を設け、最大値回路16(又は加算回路)の出力から、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYに応じた値を減算するようにしても良い。このような構成においても、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYが1ビットの信号である場合には、該信号HYが「0」のときには、減算回路における減算を行わず(「0」を減算し)、該信号HYが「1」のときには、減算回路において、所定の値を減算することとしても良い。このような構成の場合においては、上記減算回路が、高域輝度成分抽出回路14の出力信号HYに応じて最大値回路16(又は加算回路)の出力を変更する手段が構成されている。
【0036】
また、上記のように、合成回路55を最大値回路のみで構成する代わりに、最大値回路の入力側に、フレーム間静止判定回路40の出力信号SFに係数kdを掛ける係数乗算器と、色副搬送波周波数成分検出回路50の出力信号CSに係数keを掛ける係数乗算器とを挿入し、これらの係数乗算器の出力(kd×SF、ke×CS)のうちの最大値を最大値回路で求めるようにしても良い。
また最大値回路の代わりに加算回路を設けても良い。この場合にも入力側に係数乗算器を挿入しても良い。
【0037】
実施の形態2.
図10はこの発明の実施の形態2の輝度信号色信号分離回路を示すブロック図である。
図示の輝度信号色信号分離回路は、NTSC複合カラーテレビジョン信号VS0の輝度信号と色信号を分離するものであり、1フレーム遅延回路3と、2次元色信号抽出回路(2Dフィルタ)2と、動き検出回路10と、差分演算回路4と、選択手段5と、差分演算回路6とを有する。
【0038】
輝度信号色信号分離回路に入力された複合カラーテレビジョン信号VS0は、1フレーム遅延回路3と、2Dフィルタ2と、動き検出回路10と、差分演算回路6とに入力される。
1フレーム遅延回路3は、複合カラーテレビジョン信号VS0を1フレーム期間遅延させて出力するものであり、例えば1フレーム分の容量を持つメモリで構成される。1フレーム遅延回路3の出力信号は、差分演算回路4と動き検出回路10に入力される。
【0039】
2Dフィルタ2は、同じフィールド内の画素信号同士の演算に基づき色信号を抽出する。
2Dフィルタ2の出力信号は、選択手段5に入力される。差分演算回路4は、複合カラーテレビジョン信号から1フレーム遅延信号を減算することにより、色信号を抽出するものであり、1フレーム遅延回路3と差分演算回路4とで3次元色信号抽出回路7が構成されている。差分演算回路4の出力信号は、選択手段5に入力される。差分演算回路6により、輝度信号抽出回路が構成されている。
【0040】
動き検出回路10としては、図1に示される実施の形態1の動き検出回路が用いられており、1フレーム遅延回路3の出力が上記した1フレーム遅延信号VS1として動き検出回路10に入力される。
動き検出回路10から出力される、動き検出結果を示す信号MFは選択手段5に送られる。選択手段5は、動き検出回路10から出力される動き検出結果を示す信号MFに基づいて2Dフィルタ2の出力又は差分演算回路4の出力のいずれかを選択して出力する。具体的には、動き検出結果を示す信号MFが所定の閾値よりも大きいとき(動きが大きいこと、即ち動画であることを示すとき)には、差分演算回路4の出力を選択し、動き検出結果を示す信号MFが小さいとき(動きが小さいこと、即ち静止画であることを示すとき)には、2Dフィルタ2の出力を選択する。
選択手段5の出力信号は、輝度信号色信号分離回路の色(C)信号出力として出力される一方、差分演算回路6に入力される。差分演算回路6において、複合カラーテレビジョン信号VS0から選択手段5の出力を減算することで得られる出力信号は、輝度信号色信号分離回路の輝度(Y)信号出力として出力される。
【0041】
実施の形態2の輝度信号色信号分離回路内の動き検出回路10は、実施の形態1と同様に動作する。NTSC方式においては、搬送色信号の位相が同位相となる2フレーム差信号を得て動き検出をするため、通常1フレーム遅延回路を2個必要とし、1フレーム遅延回路を輝度信号色信号分離回路に対し1個の構成とすると、高域輝度成分を色の動きとして誤検出してしまうが、本実施の形態では、高域輝度成分抽出回路14により動き検出の誤検出を防止することで、正確な輝度信号色信号分離を行うことができる。
【0042】
実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3の動き検出回路を示す。図示の動き検出回路は、図1の動き検出回路と同様であるが、複合カラーテレビジョン信号VS0と、該複合カラーテレビジョン信号を2フレーム期間遅延させた信号(2フレーム遅延信号)VS2とを入力とする点で異なる。
【0043】
図11の高域輝度成分抽出回路14は、例えば図12に示されるように構成されている。図12に示される高域輝度成分抽出回路14は、図2に示されるものと概して同じであるが、差分演算回路41が、複合カラーテレビジョン信号VS0及び2フレーム遅延信号VS2の差分を求める点で異なる。
【0044】
PAL方式においては、搬送色信号の位相が同位相となる4フレーム差信号を得て動き検出をするので、NTSC方式においては、1フレーム遅延信号VS1を用いるところを、代わりに2フレーム遅延信号VS2を用いる。
【0045】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4の輝度信号色信号分離回路を示すブロック図である。
図示の度信号色信号分離回路は、PAL複合カラーテレビジョン信号の輝度信号と色信号とを分離するためのものであり、図10に示すものと概して同じであるが、2Dフィルタ2、1フレーム遅延回路3及び動き検出回路10の代わりに、2Dフィルタ2A、2フレーム遅延回路3A及び動き検出回路10aが設けられ、差分演算回路4及び動き検出回路10に、1フレーム遅延信号VS1の代わりに、2フレーム遅延信号VS2が供給される点で異なる。2フレーム遅延手段3Aと差分演算回路4とで実施の形態4の3次元色信号抽出回路7が構成されている。
動き検出回路10としては、図11に示される実施の形態3の動き検出回路が用いられており、2フレーム遅延回路3Aの出力が上記した2フレーム遅延信号VS2として動き検出回路10aに入力される。
【0046】
PAL方式においては、搬送色信号の位相が同位相となる4フレーム差信号を得て動き検出をするため、通常2フレーム遅延回路を2個必要とし、2フレーム遅延回路(3A)を輝度信号色信号分離回路に対し1個の構成とすると、高域輝度成分を色の動きとして誤検出してしまうが、本実施の形態では、高域輝度成分抽出回路14により動き検出の誤検出を防止することで、正確な輝度信号色信号分離を行うことができる。
【0047】
実施の形態5.
図14は、この発明の実施の形態5の動き検出回路を示すブロック図である。
図示の動き検出回路は、図11に示す動き検出回路と概して同じであるが、図11の高域輝度成分抽出回路14の代わりに、高域輝度成分抽出回路14Aが設けられ、この高域輝度成分抽出回路14Aに、複合カラーテレビジョン信号VS0及び2フレーム遅延信号VS2のみならず、1フレーム遅延信号VS1も入力される。
図15は、図14の高域輝度成分抽出回路14Aの一例を示す図である。図示の高域輝度成分抽出回路14Aは、概して図12の高域輝度成分抽出回路14と同じであるが、差分演算回路41、絶対値回路42、判定回路43の代わりに、差分演算部61、絶対値化部62、判定回路63が設けられている点で異なる。
【0048】
図16は図15の高域輝度成分抽出回路14Aにおけるフレーム間静止判定回路40Aの一例を示すブロック図である。フレーム間静止判定回路40Aは、差分演算部61と、絶対値化部62と、判定回路63と、孤立点除去回路44とを有する。
差分演算部61は、第1の差分演算回路61aと、第2の差分演算回路61bと、第3の差分演算回路61cとを有し、絶対値化部62は、第1の絶対値回路62aと、第2の絶対値回路62bと、第3の絶対値回路62cとを有し、判定回路63は、最大値回路64と比較回路65とを有する。
【0049】
第1の差分演算回路61aは、複合カラーテレビジョン信号(0フレーム遅延信号)VS0と1フレーム遅延信号VS1の差分値を求めて出力し、第2の差分演算回路61bは、0フレーム遅延信号VS0と2フレーム遅延信号VS2の差分値を求めて出力し、第3の差分演算回路61cは、1フレーム遅延信号VS1と2フレーム遅延信号VS2の差分値を求めて出力する。
【0050】
第1の絶対値回路62aは、第1の差分演算回路61aの出力を絶対値化し、第2の絶対値回路62bは、第2の差分演算回路61bの出力を絶対値化し、第3の絶対値回路62cは、第3の差分演算回路61cの出力を絶対値化する。
【0051】
第1の差分演算回路61aと第1の絶対値回路62aとで、複合カラーテレビジョン信号VS0と1フレーム遅延信号VS1の差分値の絶対値を算出する第1の差分絶対値演算回路が構成され、第2の差分演算回路61bと第2の絶対値回路62bとで、複合カラーテレビジョン信号VS0と2フレーム遅延信号VS2の差分値の絶対値を算出する第2の差分絶対値演算回路が構成され、第3の差分演算回路61cと第3の絶対値回路62cとで、1フレーム遅延信号VS1と2フレーム遅延信号VS2の差分値の絶対値を算出する第3の差分絶対値演算回路が構成されている。
【0052】
最大値回路64は、絶対値化回路62a〜62cの出力の内の最大のものを選択して出力する。
比較回路65は、最大値回路64の出力信号MXが所定の閾値MXtより小さいときに、比較的大きいレベル(比較回路65の出力信号JGが取り得る値の範囲の中で大きい値、例えば所定の閾値よりも大きい値)となり、最大値回路64の出力信号MXが上記の閾値以上であれば、比較的小さいレベル(比較回路65の出力信号JGが取り得る値の範囲の中で小さい値、例えば所定の閾値よりも小さい値)となる信号JGを出力する。
【0053】
比較回路65の各画素の入力信号MXと出力信号JGの関係は、例えば判定回路43について図4及び図5を参照して説明したのと同様である。但し、信号DZ及び閾値DZtを、信号MX及び閾値MXtに置き換えて考えるべきである。
【0054】
図16のフレーム間静止判定回路40Aにおいては、例えば実施の形態1におけるフレーム間静止判定回路40(図2)に対し、差分演算回路61aと差分演算回路61bと差分演算回路61cを3個有することにより、3種のフレーム差信号を出力し、絶対値回路62aと絶対値回路62bと絶対値回路62cを3個有することにより、¥3種の絶対値信号を出力し、最大値回路64と比較回路65とを有する判定回路63に入力するようにしたものである。これによりフレーム間静止判定に用いるフレーム差信号の絶対値が多くなったため、より正確な静止判定ができる。
【0055】
実施の形態6.
図17はこの発明の実施の形態6の輝度信号色信号分離回路を示すブロック図である。図示の度信号色信号分離回路は、PAL複合カラーテレビジョン信号の輝度信号と色信号とを分離するためのものであり、図13に示すものと概して同じであるが、2フレーム遅延回路3Aの代わりに、第1及び第2の1フレーム遅延回路31および32が設けられ、動き検出回路10として、図14に示される動き検出回路が設けられ、複合カラーテレビジョン信号VS0及び2フレーム遅延信号VS2のみならず1フレーム遅延信号VS1も動き検出回路10の高域輝度成分抽出回路14Aに供給されている。
図17に示される動き検出回路10内の高域輝度成分抽出回路14Aは、例えば図15及び図16を参照して説明されたものが用いられている。
【0056】
実施の形態5について述べたように、図16のフレーム間静止判定回路40Aにおいては、例えば実施の形態1におけるフレーム間静止判定回路40(図2)に対し、差分演算回路61aと差分演算回路61bと差分演算回路61cを3個有することにより、3種のフレーム差信号を出力し、絶対値回路62aと絶対値回路62bと絶対値回路62cを3個有することにより、3種の絶対値信号を出力し、判定回路43あるいは判定回路63に入力するようにしたものである。これによりフレーム間静止判定に用いるフレーム差信号の絶対値が多くなったため、より正確な静止判定ができ、従って、輝度信号と色信号の分離を適確に行うことができる。
【0057】
実施の形態7.
図18は実施の形態7の輝度信号色信号分離回路の動き検出回路で用いられる高域輝度成分抽出回路14Bを示すブロック図である。図示の高域輝度成分抽出回路14Bは、概して図15の高域輝度成分抽出回路14Aと同じであるが、絶対値化部62と判定回路63の間に孤立点除去部47が挿入されている点で異なる。
図19は図18の高域輝度成分抽出回路14Bにおけるフレーム間静止判定回路40Bの一例を詳細に示すブロック図である。
図示のフレーム間静止判定回路40Bは、概して図16のフレーム間静止判定回路40Aと同じであるが、図18で述べた通り、絶対値化部62と判定回路63の間に孤立点除去部47が挿入されている点で異なり、孤立点除去部47が、孤立点除去回路47a〜47cを有する点で異なる。
孤立点除去回路47a〜47cはそれぞれ、絶対値回路62a〜62cの出力中の孤立点を除去する。
例えば、孤立点除去回路47aは、絶対値回路62aの出力信号(注目画素の信号)が大きなレベルの信号であっても、その水平方向における前及び後の画素の信号が小さいレベルの信号であるときは、当該出力信号(注目画素の信号)を、小さなレベルとするものである。
【0058】
孤立点除去回路47aの入力信号DZaの列と出力信号KJaの列の関係は、例えば、孤立点除去回路44について図6及び図7を参照して説明したのと同様である。但し、信号JG、SF、及び閾値JGtを、それぞれ信号DZa、KJa、及び閾値DZatに置き換えて考えるべきである。
孤立点除去回路47b、及び孤立点除去回路47cは、それぞれ絶対値回路62b及び62cの出力DZb及びDZcに対し、閾値DZatと同様の閾値DZbt及びDZctを用いて孤立点除去回路47aと同様の処理を行う。
【0059】
図18及び図19の高域輝度成分抽出回路14Bにおいては、例えば実施の形態6における高域輝度成分抽出回路14A(図15)に対し、判定回路43の出力に対し孤立点の除去を行うのみならず、絶対値化部62の出力に対しも孤立点の除去を行うようにしたものである。入力信号にノイズが混入している場合には、ノイズ成分をフレーム間差信号として誤検出し、本来の静止信号を静止と判定しにくくなるが、上記構成のように孤立点の除去を判定回路の前にも配することで、ノイズ成分をフレーム間差信号として誤検出せずに、より正確な静止判定を行うことができる。
【0060】
実施の形態3、実施の形態5、及び実施の形態7の動き検出回路にも、実施の形態1について説明したのと同様の変形、例えば図3を参照して説明したのと同様の変形を加えることができる。
【0061】
上記実施の形態においては、動き検出回路10からの出力信号に基づき、2次元色信号抽出回路2からの出力信号と3次元色信号抽出回路からの出力信号の一方を選択して出力する選択手段を用いているが、動き検出回路からの出力信号を多ビット化し、多ビット化された動き検出信号に基づき、2次元色信号抽出回路からの出力信号と3次元色信号抽出回路からの出力信号の混合比を決め出力するような混合手段を有する構成としても良い。上記の実施の形態で用いられている選択手段は、混合手段の一種であり、混合比を1:0としたものであると考えることができ、特許請求の範囲における「混合手段」はそのように解釈されるべきである。
【0062】
実施の形態8.
また、上記実施の形態においては、2次元色信号抽出回路からの出力信号(色信号)と3次元色信号抽出回路7からの出力信号(色信号)の一方を選択して、選択された色信号を複合カラーテレビジョン信号から差し引くことで輝度信号を抽出しているが、2次元色信号抽出回路3からの出力信号(色信号)と3次元色信号抽出回路7からの出力信号(色信号)のそれぞれを複合カラーテレビジョン信号から差し引くことで、それぞれの輝度信号を抽出し、色信号と輝度信号のそれぞれについて、動き検出回路10からの動き検出信号に基づき、2次元処理の結果得られる信号と3次元処理の結果得られる信号を混合して出力する構成としても良い。この考えにより図10の実施の形態を変形した場合の構成(実施の形態8)を図20に示す。
【0063】
図20に示す輝度信号色信号分離回路は、概して図10の輝度信号色信号分離回路と同じであるが、差分演算回路6の代わりに、差分演算回路6a及び6bが設けられ、選択手段5の代わりに混合回路5a及び5bが設けられ、動き検出回路10から出力される動き検出信号MFが、混合手段5y及び5cに供給される。
差分演算回路6aは、2Dフィルタ2から出力される色信号Caを、複合カラーテレビジョン信号VS0から減算して、輝度信号Yaを出力する。差分演算回路6bは、3次元色信号抽出回路7から出力される色信号Cbを、複合カラーテレビジョン信号VS0から減算して、輝度信号Ybを出力する。
混合手段5yは、動き検出回路10からの動き検出信号MFに基づいて、輝度信号Ya又はYbを混合して出力する。混合手段5cは、動き検出回路10からの動き検出信号MFに基づいて、色信号Ca又はCbを混合して出力する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施の形態1の動き検出回路を示すブロック図である。
【図2】図1の動き検出回路で用いられる高域輝度信号検出回路14の一例を示すブロック図である。
【図3】図1の動き検出回路で用いられる動き検出信号生成回路15の一例を示すブロック図である。
【図4】図2の判定回路43が4値の信号を出力するものである場合の各画素の入力信号の値と出力信号の値の関係を示すグラフである。
【図5】図2の判定回路43が2値の信号を出力するものである場合の各画素の入力信号の値と出力信号の値の関係を示すグラフである。
【図6】(a)及び(b)は、図2の判定回路43が4値の信号を出力するものである場合の、孤立点除去回路44の入力信号JGの列と出力信号SFの列の関係を示す図である。
【図7】(a)及び(b)は、図2の判定回路43が2値の信号を出力するものである場合の、孤立点除去回路44の入力信号JGの列と出力信号SFの列の関係を示す図である。
【図8】(a)及び(b)は、図2の絶対値回路52の出力信号が4値の信号である場合の、水平拡大回路53の入力信号の列と出力信号の列の関係を示す図である。
【図9】(a)及び(b)は、図2の絶対値回路52の出力信号が2値の信号である場合の、水平拡大回路53の入力信号の列と出力信号の列の関係を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態2の輝度信号色信号分離回路を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態3の動き検出回路を示すブロック図である。
【図12】図11の動き検出回路で用いられる高域輝度成分抽出回路14の一例を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態4の輝度信号色信号分離回路を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態5の動き検出回路を示すブロック図である。
【図15】図14の高域輝度成分抽出回路14Aの一例を示す図である。
【図16】図15の高域輝度成分抽出回路14Aにおけるフレーム間静止判定回路40Aの一例を示すブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態6の輝度信号色信号分離回路を示すブロック図である。
【図18】実施の形態7の輝度信号色信号分離回路の動き検出回路で用いられる高域輝度成分抽出回路14Bを示すブロック図である。
【図19】図18の高域輝度成分抽出回路14Bにおけるフレーム間静止判定回路40Bの一例を詳細に示すブロック図である。
【図20】この発明の実施の形態8の輝度信号色信号分離回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
2、2A 2次元色抽出回路(2Dフィルタ)、 3、3A 1フレーム遅延回路、 4 差分演算回路、 5 選択手段、 5a、5b 混合手段、 6、6c、6y 差分演算回路、 7 3次元色抽出回路、 10 動き検出回路、 11 差分演算回路、 12 低域通過フィルタ(LPF)、 13 帯域通過フィルタ(BPF)、 14 高域輝度成分抽出回路、 15 動き検出信号生成回路、 31、32 1フレーム遅延回路、 40、40A、40B フレーム間静止判定回路、 41 差分演算回路、 42 絶対値回路、 43 判定回路、 44 孤立点除去回路、 46 差分絶対値演算回路、 47 孤立点除去部、 47a、47b、47c 孤立点除去回路、 50 色副搬送波周波数成分検出回路、 51 水平・垂直帯域通過フィルタ、 52 絶対値回路、 53 水平拡大回路、 55 合成回路、 61 差分演算部、 61a、61b、61c 差分演算回路、 62 絶対値化部、 62a、62b、62c 絶対値回路、 63 判定回路、 64 最大値回路、 65 比較回路。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合カラーテレビジョン信号ならびに上記複合カラーテレビジョン信号を所定のフレーム期間だけ遅延した遅延信号を入力とし、上記複合カラーテレビジョン信号と上記遅延信号の差分を演算し、該差分を表す差分信号を出力する差分演算回路と、
上記差分演算回路から出力される差分信号から、色副搬送波周波数以下の低域成分を抽出する低域通過フィルタと、
上記差分演算回路から出力される差分信号から色副搬送波周波数付近の周波数成分を抽出する帯域通過フィルタと、
上記複合カラーテレビジョン信号と上記遅延信号とを入力とし、高域輝度成分を抽出する高域輝度成分抽出回路と、
上記低域通過フィルタの出力信号と上記帯域通過フィルタの出力信号を合成して動き検出信号を出力する動き検出信号生成回路とを備え、
上記動き検出信号生成回路は、上記高域輝度成分抽出回路で抽出された高域輝度成分に基づき、上記動き検出信号の大きさを変える
ことを特徴とする動き検出回路。
【請求項2】
上記高域輝度成分抽出回路は、各画素の信号に動きが少ないほど又は検出された色副搬送波周波数付近の輝度信号で構成される斜め縞成分が大きいほど大きい信号を出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の動き検出回路。
【請求項3】
上記高域輝度成分抽出回路が、
フレーム間の輝度信号の静止を検出するフレーム静止判定回路と、
上記色副搬送波周波数付近の輝度信号で構成される斜め縞成分を検出する色副搬送波周波数成分検出回路と、
上記フレーム静止判定回路の出力信号と上記色副搬送波周波数成分検出回路の出力信号を合成する合成回路とを備え、
上記合成回路は、上記フレーム静止判定回路の出力信号と上記色副搬送波周波数成分検出回路の出力信号を合成して上記動き検出信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の動き検出回路。
【請求項4】
上記合成回路は、上記フレーム静止判定回路の出力信号と上記色副搬送波周波数成分検出回路の出力信号のいずれかが比較的大きい値の信号であるときに、上記動き検出信号を比較的大きい値にすることを特徴とする請求項3に記載の動き検出回路。
【請求項5】
上記合成回路は、上記フレーム間静止判定回路の出力と、上記色副搬送波周波数成分検出回路の出力のうちの最大値を選択して出力することを特徴とする請求項3に記載の動き検出回路。
【請求項6】
上記合成回路は、上記フレーム間静止判定回路の出力と、上記色副搬送波周波数成分検出回路の出力を加算して出力することを特徴とする請求項3に記載の動き検出回路。
【請求項7】
上記動き検出信号出力回路は、上記低域通過フィルタの出力と、上記帯域通過フィルタの出力とを入力とし、上記高域輝度成分抽出手段の出力信号が所定の閾値以下で、上記2つの入力信号の値どちらかが0より大きい場合、その出力信号が0より大きい値を持つよう合成し、上記高域輝度成分抽出手段の出力信号が上記の閾値より大きい値を持つ場合には、その出力信号の値を、上記の2つの入力信号を上記のようにして合成することで得られる値よりも小さい値、または0とすることを特徴とする請求項1に記載の動き検出回路。
【請求項8】
上記動き検出信号生成回路は、
上記高域輝度成分抽出手段の出力信号が上記の閾値以下で、上記低域通過フィルタの出力信号の値及び上記帯域通過フィルタの出力信号の値のどちらかが0より大きい場合、上記値のうちの大きい方と同じ値を持つ信号を出力し、
上記高域輝度成分抽出手段の出力信号が上記の閾値より大きい値を持ち、上記低域通過フィルタの出力信号の値及び上記帯域通過フィルタの出力信号の値のどちらかが0より大きい場合、上記値のうちの大きい方と同じ値よりも小さい値を持ち、または値が0である信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の動き検出回路。
【請求項9】
上記動き検出信号出力回路は、上記低域通過フィルタの出力と、上記帯域通過フィルタの出力のうちの大きい方を選択して出力する最大値回路と、
上記最大値回路の出力を上記高域輝度成分抽出手段の出力信号に応じて変更する手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の動き検出回路。
【請求項10】
上記動き検出信号出力回路は、上記低域通過フィルタの出力と、上記帯域通過フィルタの出力を加算する加算回路と、
上記加算回路の出力を、上記高域輝度成分抽出手段の出力信号に応じて変更する手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の動き検出回路。
【請求項11】
上記フレーム静止判定回路が、
各画素について、複合カラーテレビジョン信号と上記遅延信号の差分値の絶対値を求める差分絶対値演算手段と、
各画素について、上記差分絶対値演算手段で求められる差分値の絶対値が比較的大きいときに比較的小さな値となる信号を出力する判定手段と、
上記判定手段の出力中の孤立点を除去する孤立点除去手段と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の動き検出回路。
【請求項12】
上記色副搬送波周波数成分検出回路が、
上記複合カラーテレビジョン信号に対して水平方向ならびに垂直方向にフィルタ処理を行なうことで色副搬送波周波数成分を抽出する水平・垂直帯域通過フィルタと、
上記水平・垂直帯域通過フィルタの出力の絶対値を求める絶対値化手段と、
上記絶対値化手段の出力を水平方向に拡大する水平拡大手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載の動き検出回路。
【請求項13】
上記遅延信号が2フレーム期間遅延した信号であり、
上記高域輝度成分抽出回路が、上記遅延信号として、上記2フレーム期間遅延した信号に加えて1フレーム期間遅延した信号をも入力として、上記複合カラーテレビジョン信号、上記1フレーム期間遅延した信号、及び上記2フレーム期間遅延した信号に基づいて上記高域輝度成分を抽出し、
上記差分絶対値演算手段が、
上記複合カラーテレビジョン信号と上記1フレーム期間遅延した信号の差分値の絶対値を求める第1の差分絶対値演算回路と、
上記複合カラーテレビジョン信号と上記2フレーム期間遅延した信号の差分値の絶対値を求める第2の差分絶対値演算回路と、
上記1フレーム期間遅延した信号と上記2フレーム期間遅延した信号の差分値の絶対値を求める第3の差分絶対値演算回路とを備え、
上記判定手段が、
上記第1の差分絶対値演算回路の出力と、上記第2の差分絶対値演算回路の出力と、上記第3の差分絶対値演算回路の出力のうちの最大値を求める最大値回路と、
各画素について、上記最大値回路の出力が比較的大きいときに比較的小さな値となる信号を出力する比較回路とを備える
ことを特徴とする請求項11に記載の動き検出回路。
【請求項14】
上記遅延信号が2フレーム期間遅延した信号であり、
上記高域輝度成分抽出回路が、上記遅延信号として、上記2フレーム期間遅延した信号に加えて1フレーム期間遅延した信号をも入力として、上記複合カラーテレビジョン信号、上記1フレーム期間遅延した信号、及び上記2フレーム期間遅延した信号に基づいて上記高域輝度成分を抽出し、
上記差分絶対値演算手段が、
上記複合カラーテレビジョン信号と上記1フレーム期間遅延した信号の差分値の絶対値を求める第1の差分絶対値演算回路と、
上記複合カラーテレビジョン信号と上記2フレーム期間遅延した信号の差分値の絶対値を求める第2の差分絶対値演算回路と、
上記1フレーム期間遅延した信号と上記2フレーム期間遅延した信号の差分値の絶対値を求める第3の差分絶対値演算回路とを備え、
上記第1の差分絶対値演算回路の出力中の孤立点を除去する第1の孤立点除去回路と、
上記第2の差分絶対値演算回路の出力中の孤立点を除去する第2の孤立点除去回路と、
上記第3の差分絶対値演算回路の出力中の孤立点を除去する第3の孤立点除去回路と、
上記判定手段が、
上記第1の孤立点除去回路の出力と、上記第2の孤立点除去回路の出力と、上記第3の孤立点除去回路の出力のうちの最大値を求める最大値回路と、
各画素について、上記最大値回路の出力が比較的大きいときに比較的小さな値となる信号を出力する比較回路とを備える
ことを特徴とする請求項11に記載の動き検出回路。
【請求項15】
上記判定回路は、上記差分絶対値演算手段の出力信号が所定の閾値より小さいときに、比較的大きい値となり、上記差分絶対値演算手段の出力信号が上記の閾値以上であれば、比較的小さい値となる信号を出力する
ことを特徴とする請求項11に記載の動き検出回路。
【請求項16】
上記判定回路は、3値以上の信号を出力するものであり、
上記差分絶対値演算手段の出力が所定の閾値以上では、その出力が“0”であり、上記差分絶対値演算手段の出力が上記の閾値より小さい範囲では、その出力が、上記差分絶対値演算手段の出力と上記の閾値との差に応じた大きさを持つ
ことを特徴とする請求項15に記載の動き検出回路。
【請求項17】
請求項1に記載の動き検出回路と、
上記複合カラーテレビジョン信号を入力し、上記複合カラーテレビジョン信号を上記所定のフレーム期間だけ遅延して出力する遅延回路と、
フィールド内の信号で第1の色信号を抽出する2次元色信号抽出回路と、
フレーム相関を利用して第2の色信号を抽出する3次元色信号抽出回路と、
上記動き検出回路から出力される動き検出信号に基づき、上記2次元色信号抽出回路から出力される色信号と上記3次元色信号抽出回路から出力される色信号とを混合して第3の色信号を出力する混合手段と、
上記複合カラーテレビジョン信号と、上記第1及び第2色信号又は上記第3の色信号とに基づいて輝度信号を抽出する輝度信号抽出回路とを備え、
上記動き検出回路が、上記遅延回路の出力を上記所定のフレーム期間だけ遅延した遅延信号として受けることを特徴とする
輝度信号色信号分離回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−158991(P2007−158991A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354438(P2005−354438)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】