説明

動く発光素子装置および発光素子装置の製造方法

【課題】本発明の一実施形態は、発光素子の位置を動かすことによって、既存の発光素子が用いられる多様な分野において差別された光源を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る動く発光素子装置は、発光素子と、前記発光素子に固定され、コイルが取り巻かれた胴部と、前記胴部の少なくとも一面において、前記コイルと選定された距離に離隔して前記コイルに磁気力を提供する磁石とを備え、前記胴部は、前記コイルに電圧が印加されれば選定された方向に動く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、舞台照明、ムードなどのように光源を動かしつつ特定の効果を与えることのできる多様な分野に用いられるように、動く発光素子装置および前記発光素子装置の製造方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
近年、各国は産業成長モデルとして低炭素・緑色成長のモデルを採択する傾向にある。
【0003】
このような世界的な傾向に足合わせて照明分野においても変化が予想される。
【0004】
照明分野において全世界の電気エネルギのおよそ19%が照明用で消耗されている状況で、従来の照明用装置を高効率照明装置に交換する場合、およそ70〜80%の電気消耗量を減らすことができると予想されている。
【0005】
このような理由により、エネルギ消費を減らして炭素排出量を減らすことのできる発光素子(LED:Light Emitting Diode)が脚光を浴びる傾向である。
【0006】
初めて発光素子が照明に利用され始めた時は、単に光を出す光源としてしか思われなかったが、現在は照明の多様な分野で応用されている。
【0007】
発光素子は、効率よく照度および色温度を制御することができ、白熱灯や蛍光灯に比べて相対的に高い光変換の効率を提供し、相対的に長い寿命を期待できる長点などによって、その使用範囲は広く拡張されるのであろう。
【0008】
最近では、GaAs、GaN、AlGaInPなどの化合物半導体の材料を用いる発光素子が開発されて多様な色の発光源を実現することができる。
【0009】
発光素子が結合された多様な構造体は、室内外の照明装置、自動車ヘッドライド、自動車の室内灯、LCD(Liquid Crystal Display)のバックライトユニット(back light unit)など、多様な分野において拡大されていると同時に、環境にやさしい製品であることから大衆化される傾向である。
【0010】
既存方式は、放熱効果を与えるためにL/F(Lead Frame)の長さを長くして発光素子の輝度を安定化させる方式に設計され、印刷配線回路基板(PCB:Printed Circuit Board)にハンダ付けが上手に行われるよう設計されているが、これは体積を増加させて作業性を落としてしまう短所がある。
【0011】
このような既存方式の設計は、L/Fの一枚に発光素子の数を減らして材料費の比重を増加させてしまう問題も発生させることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明における一実施形態の目的は、発光素子の位置を動かすことによって、既存の発光素子が用いられる多様な分野において差別された光源を提供することにある。
【0013】
本発明の一実施形態の目的は、固定された発光素子を動かすことによって、プロジェクター、舞台照明、ムードなどのように光源を動かしつつ、特定の効果を与えることのできる箇所に使用可能にすることにある。
【0014】
本発明の一実施形態の目的は、外部のメタル面を介して内部の熱を早く放出し、外部のEMI(Electro Magnetic Interference)を効率よく遮蔽することにある。
【0015】
本発明の一実施形態の目的は、発光素子にメタル面を取り囲む方式で設計することによって、従来のヒートシンク(heat sink)を代替して発光素子の体積を著しく減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態に係る発光素子装置は、発光素子と、前記発光素子に固定され、コイルが取り巻かれた胴部と、前記胴部の少なくとも一面において、前記コイルと選定された距離に離隔して前記コイルに磁気力を提供する磁石とを備え、前記胴部は、前記コイルに電圧が印加されれば選定された方向に動いてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は、発光素子を形成するステップと、コイルが取り巻かれた胴部を形成し、前記発光素子に固定するステップと、前記胴部の少なくとも一面において、前記コイルと選定された距離に離隔して前記コイルに磁気力を提供する磁石を形成するステップとを含み、前記胴部は、前記コイルに電圧が印加されれば、選定された方向に動いてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、発光素子の位置を動かすことによって、既存の発光素子が用いられる多様な分野において差別された光源を提供することができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、固定された発光素子を動かすことによって、プロジェクター、舞台照明、ムードなどのように光源を動かしつつ、特定の効果を与えることのできるところに使用可能である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、外部のメタル面を介して内部の熱を早く放出し、外部のEMIを効率よく遮蔽することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、発光素子にメタル面を取り囲む方式で設計することによって、従来のヒートシンクを代替して発光素子の体積を著しく減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の一実施形態に係る発光素子装置の断面を説明する図である。
【図1B】本発明の一実施形態に係る発光素子装置の断面を説明する図である。
【図2】図1に示す一実施形態に係る発光素子装置の立体面を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るメタル面が適用された発光素子装置の立体面を説明する図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法を説明する図である。
【図4B】本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る好適な実施形態を添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
本発明の説明において、関連する公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。そして、本明細書において用いられる用語(terminology)は本発明の好適な実施形態を適切に表すために用いられた用語であって、これはユーザ、運用者の意図または本発明が属する分野における慣例などによって変わることがある。したがって、本用語に対する定義は、本明細書の全般にわたる内容に基づいて下されなければならないであろう。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の断面を説明する図である。
【0026】
まず、図1Aに示すように、本発明の一実施形態に係る発光素子装置100は、基板110、発光素子チップ120、樹脂モールディング130、胴部140、コイル150、および磁石160を含んでもよい。
【0027】
発光素子チップ120は基板110上に実装してもよいが、このとき、ワイヤーボンディング方式またはフリップチップ方式などで実装してもよい。樹脂モールディング130は、発光素子チップ120を保護することができ、凸レンズなどの形状に形成されてもよい。
【0028】
本発明の一実施形態に係る基板110は、セラミック、印刷回路基板(PCB、Printed Circuit Board)、FR4、およびメタルなどの材料を含んでもよい。
【0029】
胴部140は基板に固定されてもよい。このとき、胴部140は、伝導率の高い素材に形成されたコイル150が巻かれて形成してもよい。
【0030】
磁石160は、胴部140の少なくとも一面でコイル150と選定された距離に離隔して形成されてもよい。
【0031】
このとき、磁石160はコイル150に磁気力を提供することができる。
【0032】
すなわち、磁石160に形成される磁気力とコイル150に形成される力は、フレミングの左手の法則によって胴部140に運動エネルギを伝達してもよい。
【0033】
フレミングの左手の法則によれば、導線内の電気エネルギは磁場内で運動エネルギの形態に転換されることがあるが、コイル150は導線の役割を、磁石160は磁場の機能を行ってもよい。
【0034】
すなわち、電気エネルギを用いて回転運動を行う電動機またはモータなどの原理が応用され、胴部140に運動エネルギを提供することができる。
【0035】
したがって、電圧差によってコイル150に発生する電流に起因して、胴部140に固定された基板110に運動エネルギが伝達されてもよく、基板110に実装された発光素子チップ120が運動エネルギによって動くことがある。
【0036】
図1Aに示す実施形態と類似に、本発明の一実施形態に係る発光素子装置100は、図1Bに示すように、発光素子パッケージ170が胴部140に直接固定された形態に実現されてもよい。
【0037】
本発明の一実施形態に係る発光素子パッケージ170は、発光素子チップ、樹脂モールディング、反射板などを含んでもよい。
【0038】
図1に示す発光素子装置100は、図2に基づいて具体的に説明する。
【0039】
図2は、図1に示す一実施形態に係る発光素子装置の立体面を説明する図である。
【0040】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る発光素子装置200は、基板210、発光素子チップ220、樹脂モールディング230、胴部240、コイル250、および磁石260を備えてもよい。
【0041】
他の例として、本発明の一実施形態に係る発光素子装置200は、図1Bに示すように、胴部240に発光素子パッケージが接合される形態に実現してもよい。
【0042】
図2に示すように、胴部240は円柱状に形成してもよい。
【0043】
すなわち、本発明の一実施形態に係る胴部240は、運動エネルギによって上下に動けるよう円柱状に形成してもよい。
【0044】
本明細書において、胴部240が円柱状に形成されるものと説明するが、多様な形態に変形されることは自明である。
【0045】
コイル250は、円柱状の胴部240の外側面を螺旋状に取り囲むように形成してもよい。
【0046】
また、コイル250は、印加される陽極および陰極電圧を発光素子チップ220に伝達してもよい。
【0047】
図3は、本発明の一実施形態に係るメタル面が適用された発光素子装置の立体面を説明する図である。
【0048】
本発明の一実施形態に係る発光素子装置は、磁石の外側面にメタル面330にシールド処理してもよい。
【0049】
メタル面330にシールドされた本発明の一実施形態に係る発光素子装置は、胴部310と該胴部310に固定された発光素子320が運動エネルギによって上下に動くことがある。
【0050】
本発明の一実施形態に係るメタル面330は、発光素子320で発生する熱を外部に放出したり、外部で発生するEMI(Electro Magnetic Interference)を遮蔽してもよい。
【0051】
+、−電圧は、L/F340によってコイルに伝達されてもよい。また、コイルに伝達される電圧は、発光素子320の駆動電圧に用いられてもよい。
【0052】
図4〜図6は、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法を説明する図である。
【0053】
まず、図4に示すように、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は発光素子を形成してもよい。
【0054】
具体的に、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は、図4Aに示すように発光素子チップ420を形成し、形成された発光素子チップ420を基板410に実装して発光素子を形成してもよい。
【0055】
また、図4Bに示すように、発光素子パッケージ450を形成することによって発光素子を形成してもよい。発光素子パッケージ450は、L/Fを外部に突出する必要がなく、胴部440とハンダ付けされた胴部440と螺旋状に結合されたコイルからの電圧が伝達されてもよい。
【0056】
本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は、形成された発光素子を胴部440に固定させてもよい。
【0057】
以下は、図4Aに基づいて本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法を具体的に説明するが、図4Bにも応用されることは自明である。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、胴部440の動きが基板420に伝達されることができる、いかなる形態の固定も適用可能である。
【0059】
このとき、発光素子チップは、樹脂モールディング430によって保護されることができる。
【0060】
本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は、フリップチップボンディング方式およびワイヤーボンディング方式のうち少なくとも1つの方式で基板に形成された発光素子チップを実装してもよい。
【0061】
図5に示すように、次に、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は、基板510、発光素子チップ520、および樹脂モールディング530が固定された胴部540に螺旋状にコイル550を形成してもよい。
【0062】
螺旋状に形成されるコイル550には、+、−電圧が印加されて電流が流れる。
【0063】
図6に示すように、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は、発光素子チップ620が固定された胴部610の少なくとも一面において、コイルに磁気力を提供する磁石を形成してもよい。このとき、磁石はコイルと選定された距離に離隔して形成してもよい。
【0064】
すなわち、磁石およびコイルの作用によって、コイルと固定された胴部610が動くときに抵抗を減らすよう、磁石と胴部610のコイルは選定された距離に離隔して形成してもよい。
【0065】
また、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法は、外部のメタル面630を形成してもよい。外部のメタル面630は内部の熱を早く放出し、外部のEMIを効率よく遮蔽することができる。
【0066】
また、コイルに伝達される電圧は、外部メタル面630の一側に形成されたL/F640を介して伝達されてもよい。
【0067】
結局、胴部610はコイルに電圧が印加されれば、選定された方向に動くことができる。
【0068】
本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法によって形成された発光素子装置によれば、発光素子の位置を動かすことによって、既存の発光素子が用いられる多様な分野において差別された光源を提供することができる。
【0069】
のみならず、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法によって形成された発光素子装置によれば、固定された発光素子装置を動かすことによって、プロジェクター、舞台照明、ムードなどのように光源を動かしつつ、特定の効果を与えることができるところに使用可能である。
【0070】
また、本発明の一実施形態に係る発光素子装置の製造方法によって形成された発光素子装置によれば、外部のメタル面を介して内部の熱を早く放出し、外部のEMIを効率よく遮蔽することができ、発光素子装置にメタル面を取り囲む方式で設計することによって、従来におけるヒートシンクを代替して発光素子装置の体積を著しく減らすことができる。
【符号の説明】
【0071】
100 発光素子装置
110 基板
120 発光素子チップ
130 樹脂モールディング
140 胴部
150 コイル
160 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子に固定され、コイルが取り巻かれた胴部と、
前記胴部の少なくとも一面において、前記コイルと選定された距離に離隔して前記コイルに磁気力を提供する磁石と
を備え、
前記胴部は、前記コイルに電圧が印加されれば選定された方向に動くことを特徴とする発光素子装置。
【請求項2】
前記発光素子は、発光素子パッケージであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子装置。
【請求項3】
前記発光素子は、
発光素子チップと、
前記発光素子チップを実装する基板と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光素子装置。
【請求項4】
前記基板はセラミック、印刷回路基板、FR4、およびメタルのうち少なくとも1つに形成されることを特徴とする請求項3に記載の発光素子装置。
【請求項5】
前記発光素子チップは、フリップチップボンディング方式およびワイヤーボンディング方式のうち少なくとも1つの方式で前記基板に実装されることを特徴とする請求項3または4に記載の発光素子装置。
【請求項6】
前記胴部は円柱状に形成され、前記磁石は前記円柱状の外側面を取り囲む形態に形成されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の発光素子装置。
【請求項7】
前記コイルは、印加される陽極および陰極電圧を前記発光素子に伝達することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の発光素子装置。
【請求項8】
前記磁石の外側面に形成されるメタル面をさらに備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の発光素子装置。
【請求項9】
前記メタル面は、前記発光素子で発生する熱を外部に放出することを特徴とする請求項8に記載の発光素子装置。
【請求項10】
前記メタル面は、外部で発生するEMIを遮蔽することを特徴とする請求項8または9に記載の発光素子装置。
【請求項11】
発光素子を形成するステップと、
コイルが取り巻かれた胴部を形成し、前記発光素子に固定するステップと、
前記胴部の少なくとも一面において、前記コイルと選定された距離に離隔して前記コイルに磁気力を提供する磁石を形成するステップと、を含み、
前記胴部は、前記コイルに電圧が印加されれば、選定された方向に動くことを特徴とする発光素子装置の製造方法。
【請求項12】
前記発光素子を形成するステップは、発光素子パッケージを形成するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の発光素子装置の製造方法。
【請求項13】
前記発光素子を形成するステップは、
発光素子チップを形成するステップと、
前記形成された発光素子チップを基板に実装するステップと、を含み、
前記発光素子に固定するステップは、
前記形成された胴部と前記基板を固定するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の発光素子装置の製造方法。
【請求項14】
前記発光素子チップを基板に実装するステップは、フリップチップボンディング方式およびワイヤーボンディング方式のうち少なくとも1つの方式で前記発光素子チップを実装するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の発光素子装置の製造方法。
【請求項15】
前記磁石の外側面にメタル面を形成するステップをさらに含み、
前記メタル面は、前記発光素子で発生する熱を外部に放出したり、外部で発生するEMIを遮蔽することを特徴とする請求項11から14の何れか1項に記載の発光素子装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134488(P2012−134488A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273417(P2011−273417)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(511292806)サムソン エルイーディー カンパニーリミテッド. (10)
【Fターム(参考)】