説明

動作環境に用いられる計装構成部品

【課題】特定の構成部品または構成部品コーティングの実際の状態に関する正確な情報を提供する。
【解決手段】構成部品は、基体と、基体に接続され、燃焼タービン10の運転中にケーシング内における構成部品の状態を検知するためのセンサ50と、基体に取り付けられ、センサ50と通じ、センサ50からのデータ信号を終端位置53に送るためのコネクタ52を備えることが可能である。構成部品には、コネクタ52と通じ、ケーシング外部にデータ信号を無線送信するための無線遠隔測定装置54を含むことが可能である。ケーシング外部にトランシーバ56を配置して、データ信号を受信し、処理モジュールに送信して、構成部品または構成部品に堆積されたコーティングの状態に関する情報を作成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体に本明細書において詳細に援用されている2004年6月21日に出願された米国仮特許出願第60/581,662号の特典を主張する、2005年5月5日に提出された係属中の米国特許出願第11/122,566号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、一般に動作環境のモニタリングに関し、特に、動作環境内におけるガスタービンエンジンのような個別部品の状態に関連したデータを伝送するために使用可能な構成部品に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンは、発電所における発電機の駆動または船舶または航空機の推進といったさまざまな用途に用いられている。最新のガスタービンエンジンにおける入口温度は、より効率の高いエンジンの要求に応じて上昇し続けている。ガスタービンエンジン内に存在する腐食性高温環境に耐えるため、超合金材料が開発された。しかしながら、超合金材料であっても、何らかの形の冷却および/または断熱を施さずに現在の発電用ガスタービンエンジンの高温燃焼ガスに対する長期曝露に耐えることはできない。
【0004】
ガスタービンエンジンのさまざまな高温ガス経路構成部品を保護するために、遮熱コーティングが広く利用されている。こうしたコーティングの信頼性は機械の総合的な信頼性にとって重要である。こうしたコーティングの設計限界は主として実験データによって決まる。しかしながら、実際のガスタービン環境の応力および温度にさらされた場合の遮熱コーティングの反応を検証することは、コーティングの限界をより正確に理解する上において不可欠である。こうした現実の動作環境に関するデータ取得は、とりわけタービンの動翼のようなエンジンの動作中に動く構成部品の場合には極めて困難である。
【0005】
発電用のガスタービンまたは商業用および軍事用の航空機エンジンといった最新タービンエンジンは極めて複雑化しているにもかかわらず、設計者およびオペレータには、動作中のタービンエンジン構成部品の内部状況に関する情報がほとんどない。これは、クリティカルなエンジン構成部品に関して信頼できる情報を収集するために従来のセンサを利用できないようにした過酷な動作条件のせいである。
【0006】
多くの現行タービンには、排気ガス経路温度測定、火炎検出、および、基本的タービン動作条件といった限定された機能が可能なセンサが装備されている。電力会社などのタービンオペレータはこの情報に基づいて受動モードでエンジンを運転しているが、受動モードの場合、保守のスケジュールは同様のエンジンの前歴に基づいて立てられる。エンジン復元および日常保守は、個々の構成部品の残余寿命または利用済み寿命に関する予備知識なしで実施される。特定の構成部品の情報の欠如は、初期故障の検出を極めて困難にし、結果として、突然の部品故障のために壊滅的なエンジン故障を生じる場合が多い。この結果、非効率的な利用、不必要な停止時間、および、膨大な運転コストの増大を生じることになる。
【0007】
現在、ガスタービン産業のアプローチは、ガス経路温度の測定に依存するものであるが、これは、あるクラスのエンジンの経験および履歴に基づく特定の構成部品の問題にかかわることになる。このアプローチは、極めて主観的であり、あるエンジンに関する既に深刻な状況を判断することしかできない。このアプローチでは、差し迫った損傷を指摘したり、あるいは、構成部品の劣化または故障によるエンジンの損傷につながる、また、そうした損傷を生じさせる事象の経過を洞察したりすることができない。
【0008】
蒸気タービン内の動翼または静翼といった構成部品の計装には、一般に、はずみ車に、翼形羽根まで続くリード線を配置することが含まれる。リード線は、一般にエポキシによってまとめて保持される。これらのリード線には、構成部品内からタービンケーシングまで経路指定される。構成部品の圧力境界を突破して、熱電対のようなセンサを導入することが可能であり、熱電対を所定位置に保持するため、ろう付け部に埋め戻される。各熱電対センサ毎に、構成部品から出ているリード線が診断ユニットに戻し接続される。このようにしてタービンの複数構成部品を計装すると、温度という単一動作条件を監視するためだけの広範囲なリード線ネットワークが構築される。この技術を用いる計装構成部品はコストが高く、単一タービン内に多数の構成部品を計装する障害になる。さらに、リード線およびデータ転送の質が悪い場合が多く、結果として修理コストが高くつき、データ解析が損なわれる可能性がある。
【0009】
タービンのガス経路における温度測定に熱電対を利用しても、ガス経路内に温度変化が生じたことだけしかオペレータにフィードバックしないので、不都合を生じる可能性がある。それによって温度変化の生じた原因が示されることはない。測定された温度変化に基づいて動翼または静翼に関する問題を診断するためには、測定された温度差と静翼の穴といった特定の問題との間に履歴的相関がなければならない。この相関は、妥当な確信度範囲内まで導き出すのが困難であり、多大の時間を要し、タービンの動作条件を考慮してエンジン毎に実施することが必要とされる。温度差を測定する場合、不可能ではなくても、何が問題かあるいはどこに問題があるかを予測するのは困難である。従って、実施すべき修理、交換、または、他の保守の範囲を決定するには、一般にはタービンを運転停止して、検査しなければならない。
【0010】
いかなる用途においても、燃焼タービンは、その通常運転の一部として定期的にさまざまな保守手順を施される。ガスタービンの診断監視システムには、一般に、傾向診断に用いられる関連する傾向および故障データを収集する性能監視装置が含まれている。傾向診断分析において、総合的なガスタービン性能および/または状態を表わしたいくつかのプロセスデータ(排気ガス温度、燃料流量、ロータ回転数等のような)がガスタービンに関するパラメータベースラインと比較される。生傾向データとパラメータベースラインとのいかなる相違も、保守を必要とする現在または今後の状態を表わしている可能性がある。こうした診断監視システムは、特定の構成部品の状態の予測または推定が可能なだけであって、特定の構成部品自体の実際の状態からデータを収集したり、あるいは、その実際の状態を分析したりすることはない。
【0011】
これに関して、ガスタービンに関する構成部品の故障を予測し、保守のスケジュールを立てる従来の方法は、完全に正確または最適というわけではなかった。予知保全に用いられる従来の「デューティサイクル」は、実際の動作条件、とりわけ設計外動作を考慮していない。ガスタービンの特定の構成部品の実際の寿命は、ガスタービンおよびガスタービン内の特定の構成部品の実際の使用法に大いに左右される。
【0012】
例えば、タービン内における温度および応力の上昇や侵食性環境条件のために、タービン内の構成部品に標準設計のデューティサイクルによる予測を超える過度の摩耗が生じる可能性がある。工業用ガスタービンが直面することの多い設計外動作条件は、標準デューティサイクルによって考慮されていない。ガスタービン内における構成部品の実際の寿命は、設計デューティサイクルによる予測より大幅に短くなる可能性がある。代わりに、実際のガスタービンが設計デューティサイクルにおいて考慮されるよりも望ましい条件にさらされる場合、実際の構成部品の寿命は、設計デューティサイクルに基づく保守スケジュールによる予測よりも大幅に長く持続する可能性がある。いずれにせよ、予防保守を予測するための標準設計のデューティサイクルモデルでは、ガスタービン構成部品が被る実際の摩耗や損傷が確実に指摘されることはない。
【0013】
保守および構成部品の交換を予測するための公知の技術では、熟練した技術者に依存して、燃焼タービンの動作に関するデータ収集または解釈が行われる。こうした技術は、そのデータ解釈が技術者によって異なることになりやすい。技術者は、運転記録および/またはガスタービンから収集されたデータを手動で評価することが可能である。技術者は、例えば始動および停止回数およびパワー設定を評価して、ガスタービンがどれだけのデューティサイクルを経験したかとか、その頻度、期間、および、他の要因について割り出すことが可能である。さらに、ガスタービンのデータ記録が、過度の温度または応力といった異常条件の存在を示す場合には、技術者は「保守係数」を適用して、これらの設計外動作条件の厳しさを定量化することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これらの技術では、特定の構成部品または構成部品コーティングの実際の状態に関する正確な情報が提供されず、その結果、不必要な修理、交換、または、保守が実施されて、運転コストが大幅に増大する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を利用することが可能な典型的な燃焼タービンおよび燃焼タービンから構成部品のデータを収集して分析するための典型的な監視および制御システムの断面図である。
【図2】本発明の典型的な実施形態を装備した典型的な燃焼タービン静翼の斜視図である。
【図3】図2の静翼の概略図である。
【図4】図1の圧縮機の略断面図である。
【図5】図1の燃焼タービン内で利用することが可能な構成部品の典型的な実施形態に関する部分斜視図である。
【図6A】図5の構成部品の典型的な実施形態の概略図である。
【図6B】図5の構成部品の典型的な実施形態の概略図である。
【図6C】図5の構成部品の典型的な実施形態の概略図である。
【図7】熱流束センサの典型的な実施形態を示す図である。
【図8】歪みゲージの典型的な実施形態および或る長さを有する亀裂を例示した図である。
【図9】歪みゲージの典型的な実施形態および図8とは異なる長さを有する亀裂を例示した図である。
【図10】基体材料の上に堆積された遮熱コーティング材料の層内に埋め込まれたセンサを有する構成部品の部分斜視図である。
【図11】複数のセンサが構成部品の表面下の異なる深さに埋め込まれた構成部品の部分断面図である。
【図12】図11の構成部品の製造方法におけるステップを例示したプロセス図である。
【図13】典型的なセンサおよび無線遠隔測定装置を備えた構成部品の典型的な実施形態に関する概略図である。
【図14】典型的なコーティング系およびセンサを堆積された構成部品の部分断面図である。
【図15】歪みゲージセンサの典型的な構造の平面図である。
【図16】典型的なエレクトロセラミックチップの略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、当業者には明らかな発電に用いられるガスタービンのような典型的な燃焼タービン10が例示されている。本発明の実施形態は、当業者には明らかなように、燃焼タービン10または他の多くの動作環境およびさまざまな目的に利用することが可能である。例えば、それらの実施形態は、航空機のエンジンに用いて、ボイラ、熱交換器、および、排気筒の温度および熱流束を監視し、断熱性能および劣化を求め、パイプの汚損を求め、振動構成部品の調子を評価することが可能である。本発明の実施形態は、自動車産業で用いて、燃焼室の状態を監視し、クランク軸、カム、変速機、差動装置のような構成部品を回転させ、ヘビーデューティ車両のサスペンションおよびフレームの完全性を確認することが可能である。本発明の実施形態は、可搬式のタンクや、砂漠、湿潤、および/または、高温の状況で動作する他の機器の歪みおよび熱流束の測定に利用することも可能である。
【0017】
図1を参照すると、燃焼タービンエンジン10には、圧縮機12、少なくとも1つの燃焼器14(切り欠いて示されている)、および、タービン16が含まれている。圧縮機12、燃焼器14、および、タービン16は、ガスまたは燃焼タービンエンジンと総称される場合もある。タービン16には、回転中心軸20に固定された複数の動翼18が含まれている。動翼18の間には複数の静翼22が配置されており、静翼22は動翼18に空気を導くように設計および構成されている。動翼18および静翼22は、一般にニッケルコバルトから製造され、イットリアで安定化されたジルコニアのような遮熱コーティング26で被覆することが可能である。同様に、圧縮機12にはそれぞれの静翼23の間に配置された複数の動翼19が含まれている。
【0018】
使用時、圧縮機12に空気が吸い込まれ、圧縮されて、燃焼器14に送られる。燃焼器14は空気と燃料を混合して、点火することによって、作動ガスを生じさせる。この作動ガスは一般に約1300℃を超えている。このガスはタービン16内を通って膨張し、静翼22に導かれて動翼18を横切る。ガスは、タービン16の通過時に動翼18および軸20を回転させ、その結果、軸20によって有効な機械的作用が伝達される。燃焼タービン10には、動翼18および静翼22に例えば蒸気または圧縮空気といった冷却材を供給するように設計および構成された冷却システム(不図示)を含むことも可能である。
【0019】
動翼18および静翼22が動作する環境は、とりわけ過酷であって、高動作温度および腐食性大気にさらされるので、動翼18および静翼22の深刻な損傷を生じる可能性がある。この可能性は、遮熱コーティング26が剥離するとかあるいはさもなければ劣化する場合にはとりわけ高い。本発明の実施形態は、燃焼タービン10の運転中に構成部品の状態を表わすデータを伝送するように構成できるので有利である。動翼18,19、静翼22,23、および、コーティング26は、例えば、運転中における各構成部品のそれぞれの状態を確認し、予知保全スケジュールを立てるために直接監視することが可能な構成部品の特定データを伝送するように構成することが可能である。
【0020】
図1には、本発明の各種態様に従って利用可能な典型的な監視および制御システム30の概略図が例示されている。システム30には、アンテナ32、受信器33、プロセッサまたはCPU34、データベース36、および、ディスプレイ38を含むことが可能である。プロセッサ34、データベース36、および、ディスプレイ38は、従来の構成部品であってよく、アンテナ32および受信器33は、本発明の各種実施形態の機能である性能仕様を備えるものとする。例えば、アンテナ32および受信器33は、さらに詳細に後述するように燃焼タービン10全体のさまざまな位置に配置された複数の送信器から送られてくる無線遠隔測定データを受信するように選択することが可能である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内における複数の構成部品のそれぞれのコーティング内に複数のセンサを埋め込むことが可能になる。代替実施形態によれば、とりわけ、構成部品が遮熱コーティングを必要としない領域、例えば圧縮機12内に収容されている構成部品上に、センサの表面取付けまたは堆積を行うことが可能になる。典型的なセンサ実施形態を利用して、構成部品の物理特性、性能特性、または、動作特性、および/または、構成部品のコーティングの性質並びに燃焼タービンエンジン10の動作パラメータに関するデータをシステム30に伝達することが可能である。
【0022】
例えば、典型的なセンサを利用して、2つの構成部品間における摩耗を検出するか、構成部品のコーティングを横切る熱流束を測定するか、コーティングの剥離を検出するか、構成部品のある領域全体にわたる歪みを測定するか、あるいは、構成部品またはコーティング内における亀裂の形成を検出することが可能である。当業者には、本発明の態様に従って測定および/または検出することが可能な構成部品または構成部品コーティングの他の性質および/または特性が明らかになるであろう。
【0023】
本発明の態様によれば、タービン16の動翼18または静翼22の遮熱コーティング26のような遮熱コーティング内にさまざまなセンサ構造を埋め込むことが可能になるのは明らかであろう。参考までに本明細書において詳細に援用されている米国特許第6,838,157号明細書には、本発明の態様に従ってセンサを堆積させるのに利用可能な動翼18および静翼22といったガスタービン構成部品の計装方法のさまざまな実施形態が記載されている。この特許明細書には、遮熱コーティングに溝を形成し、コーティング内にセンサを形成し、コーティングの溝にバックフィル材料を設けるさまざまな方法が開示されている。それらの方法および構成部品の実施形態を利用して、本明細書に開示のような高性能の構成部品を形成することが可能である。
【0024】
参考までに本明細書において詳細に援用されている米国特許第6,576,861号明細書には、本発明の態様によるセンサおよび送信器とのセンサコネクタの実施形態を設置するために利用可能な方法および装置が開示されている。これに関して、その特許明細書に開示されている方法および装置は、マスクの利用を必要とせずに、約100ミクロン〜500ミクロンの微細センサおよび/またはコネクタ特徴のパターン形成に利用することが可能である。導電材料、抵抗材料、誘電体材料、絶縁材料、および、他の用途特有の材料を利用した構成要素を堆積させることによって、多層電気回路およびセンサの形成が可能になる。他の方法を利用して、本発明の態様による多層電気回路およびセンサを堆積させることができるのは明らかである。例えば、溶射、蒸着、レーザ焼結、および、低温で吹き付けられる材料の硬化堆積を利用することもでき、さらに、当業者によって認められている他の適切な技術を利用することも可能である。
【0025】
本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内の多くの場所に複数のセンサ50を配置して、構成部品特有の状態またはコーティング特有の状態の監視、並びに、燃焼タービン10の動作または性能に関連した他のデータの収集を行うことが可能になる。例えば、図1に例示のように、タービン16の1つ又は複数の動翼18のそれぞれの遮熱コーティング26内に1つ又は複数のセンサ50を埋め込むことが可能である。構成部品特有のデータおよび/またはコーティング特有のデータを収集すべきタービン16と共に、他の構成部品遮熱コーティング内にセンサ50を埋め込むことができるのも明らかである。
【0026】
図2には、圧縮機12から取り外した1対の静翼23が例示されているが、一方の静翼23には、静翼23の状態を検出するためにセンサ50が取り付けられるかまたは結合されている。トランシーバ56にデータ信号を無線送信するように構成された送信器54にセンサ50からのデータ信号を送るための手段としてコネクタ52を設けることが可能である。コネクタ52は、センサ50から表面取付け送信器54に信号を伝えるための1つまたは複数の電気リード線とすることが可能である。代替実施形態では、特定の用途に応じて、センサ50から送信器54にデータ信号を送るための手段としてさまざまなタイプのコネクタ52を利用することが可能になる。例えば、単一波長または可変波長の光を用いて信号を送るために、1つまたは複数の光ファイバコネクタを利用することが可能である。
【0027】
本発明の実施形態によれば、送信器54は、燃焼タービン10のケーシング内におけるそれらの位置に応じてマルチチャネルとし、さまざまな仕様にすることが可能になる。送信器54は、約80℃〜120℃の動作温度にさらされる圧縮機12の初段内で機能するように構成することが可能である。送信器54は、約120℃を超える動作温度および250℃を超える温度にさえさらされる圧縮機12の後段および/またはタービン16の任意の段内で機能し、酸化攻撃に耐えるように構成することも可能である。耐熱性電子材料を用いて、温度が約120℃を超える領域内で動作する送信器54を製作することが可能である。
【0028】
図3には、センサ50が結合されており、センサ50を送信器54に接続するためのコネクタ52を備えている圧縮機静翼23の略平面図が例示されている。送信器54に電力供給するのに適したサイズのバッテリのような電源51を設けることが可能である。代替実施形態では、送信器54を静翼23から遠隔位置に設けて、外部電源から電力供給することが可能である。送信器54は、信号をセンサ50からコネクタ52を介して受信して、引き続きトランシーバ56に無線で送信するすることが可能である。トランシーバ56は、ハブ58または図1に示す典型的な位置のような、圧縮機12の外部表面に取り付けることが可能である。トランシーバ56は、送信器54からのRF信号のような無線データ送信を受信するのに十分であるように送信器54に近い範囲内であれば、さまざまな位置に取り付けることが可能である。トランシーバ56は、圧縮機の静翼23の状態を監視するための信号処理が可能なシステム30のアンテナ32に対してRF信号を送ることが可能である。
【0029】
図2および3を参照すると、静翼23の表面にセンサ50を直接製作することによって、1つ又は複数のセンサ50を1つ又は複数の圧縮機静翼23に結合することが可能である。コネクタ52は静翼23の表面に直接堆積(deposit)させることが可能である。代替実施形態の場合、堆積されるセンサ50およびコネクタ52を収容するサイズの溝または凹部を静翼23の表面内に形成することが可能である。センサ50およびコネクタ52は、凹部内に配置して、静翼23表面のセンサ50およびコネクタ52を覆うような適切な材料のコーティングを堆積させることによって保護することが可能である。
【0030】
他の代替実施形態には、静翼23の表面にコーティングを堆積させ、コーティング内に溝を形成して、その溝内にセンサ50およびコネクタ52を配置することが可能なものもある。センサ50およびコネクタ52の上に保護コーティングを堆積させることが可能である。コネクタ52は、コネクタ52の遠位端53が送信器54への接続のために露出するように、センサ50から静翼23の周縁のような終端位置まで延ばすことが可能である。センサ50およびコネクタ52を静翼23に配置して、静翼23の空気力学特性に対する悪影響を最小限に抑えることが可能である。
【0031】
1つ又は複数のタービンまたは圧縮機動翼18,19に、例えば歪みゲージまたは熱電対のような1つ又は複数のセンサ50を堆積(deposit)させることが可能である。図4には、圧縮機12に関する実施形態の1つが例示されている。コネクタ52を配置して、動翼18,19に接続された1つ又は複数の送信器54に各センサ50を接続することが可能である。典型的な実施形態によれば、それぞれのコネクタ52を介して複数のセンサ50と単一の送信器54とを接続することが可能になる。例えば、複数の動翼18,19のそれぞれにセンサ50を配置することが可能である。コネクタ52を配置して、各センサ50から単一の送信器54に信号を送ることが可能である。
【0032】
動翼18,19の根元部に近接して、送信器54および回転アンテナ55を取り付けることが可能である。コネクタ52にセンサ50から動翼18の根元部の後部までの経路を設定して、センサ50を回転アンテナ55に接続することが可能であり、アンテナ55はさらにコネクタ52aを介して送信器54に接続することが可能である。それぞれの動翼18,19の根元部の後部において、タービンまたは圧縮機の静翼22,23に固定アンテナ57を取り付けることが可能である。固定アンテナ57からのリード線57aに圧縮機12またはタービン16から出るように経路を設定して、システム30に信号を送信することが可能である。図4に示すような典型的な実施形態の場合、当業者には明らかなように、圧縮機12の動作中に誘導によって電力を発生させることが可能である。この構成の場合、送信器54は回転アンテナ55を介して固定アンテナ57にデータを送ることが可能であり、電力は固定アンテナ57から送信器54に供給することが可能である。
【0033】
例えば溶射堆積(spray deposition)によって、圧縮機12内においてディスクに取り付けられた動翼19の列内の各圧縮機動翼19に1つ又は複数のセンサ50を取り付けることが可能である。それぞれのコネクタ52によって、列内の各動翼19の根元部に近接して取り付けられたそれぞれの送信器54に各センサ50を接続することが可能である。回転アンテナ55は、各動翼19の根元部に近接したディスクを包囲し、それぞれのコネクタ52aを介して各送信器54に接続することが可能である。1つ又は複数の固定アンテナ57は、圧縮機動翼19の列の後部において圧縮機静翼23に取り付けるか、または、信号を送信および受信するのに十分なように回転アンテナ55に近接して圧縮機のハブのような別の位置に取り付けることが可能である。固定アンテナ57は、やはり動翼19の列を包囲することが可能である。タービン16内の動翼18の列も同様に構成することが可能である。
【0034】
図5には、タービン16の、遮熱コーティング26を堆積させた静翼22のような構成部品の部分図が例示されている。センサ50およびコネクタ52は、遮熱コーティング26の上面の下に埋め込むことが可能である。コネクタ52は、送信器54との接続のため、静翼22の周縁59近くのような終端位置において露出した遠位端53を備えることが可能である。ある実施形態では、送信器54を静翼22に対して表面取付けすることもでき、あるいは、周縁59の近くでコーティング26内に埋め込むことも可能である。代替実施形態によれば、当業者には明らかなように、例えば静翼22が接続されるプラットホーム(不図示)または冷却流チャネルといった他の場所に送信器54を配置することが可能になる。
【0035】
図6Aには、典型的なセンサ50が結合され、このセンサ50を送信器54に接続するコネクタ52を備えた動翼18の略平面図が例示されている。送信器54には、燃焼タービン10の運転中にタービン16内に生じる誘導によって電力を供給することが可能である。図6A、6B、6Cには、送信器54がさまざまな場所に配置されたタービン動翼18の典型的な実施形態が例示されている。図6A、6Bの場合、送信器54は動翼18に取り付けることが可能であり、図6Cに例示のように、動翼18から遠隔の場所に送信器54を配置することも可能である。
【0036】
例えば、複数の動翼18が取り付けられたディスク(不図示)内のような、動翼18から遠隔の位置に送信器54を配置することが可能である。これに関して、送信器54は高温ガス経路外のより低温の場所に保持することが可能であり、これによって送信器の耐用寿命を延ばすことが可能になる。動翼18から遠隔の場所に送信器54を配置すると、バッテリまたは誘導を利用せずに外部電源を利用して送信器54に電力供給することが可能になる。センサ50に電源を取り付けて、センサに付加機能性を提供することも可能である。この付加機能性には、センサ50からの出力に応答したフィードバックの結果としての機械的作動を含むことが可能である。こうした統合システムは、リアルタイムのギャップ制御のためのリングセグメントのような構成部品に適用可能である。
【0037】
図3〜図6A、6B、6Cに例示されている、内蔵センサ50およびコネクタ52を備えるように構成された圧縮機静翼23およびタービン動翼18の典型的な実施形態は、現場技術者による燃焼タービン10への取付けに備えて予め製造しておくことができるので有利である。本発明の実施形態によれば、終端位置においてコネクタ52の遠位端53を露出させることが可能である。この終端位置は、構成部品の周縁に近接した位置または他の位置とすることが可能である。これによって、送信器54の位置に関係なく現場技術者が送信器54にコネクタ52を迅速かつ容易に接続することが可能になる。
【0038】
燃焼タービン10の構成部品として、センサ50およびコネクタ52が予め取り付けられた静翼23および/または動翼18を用意しておくのは、一般に燃焼タービン10内に多数のワイヤ配列を経路指定することが必要であり、現場でこうした構成部品を取り付ける従来の技術に比べて大いに有利である。センサ50およびコネクタ52が予め取り付けられた構成部品を設けると、燃焼タービン10の運転中に特定の構成部品の状態を監視することが可能になる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、センサ50を広範囲の機能を果たすように構成することが可能になる。例えば、センサ50は、単一の構成部品または2つの構成部品間の摩耗を検出するか、構成部品のコーティングを横切る熱流速を測定するか、コーティングの剥離を検出するか、構成部品のある領域にわたる歪みを測定するか、または、構成部品またはコーティング内の亀裂形成を検出するように構成することが可能である。参考までに本明細書において詳細に援用されている出願番号11/018,816の米国特許出願明細書には、一般に本発明の実施形態に従って構成することが可能な構成部品の摩耗の監視にかかわるシステムの実施形態が開示されている。
【0040】
摩耗センサ50は、動翼18の先端のような、構成部品の接触面に埋め込まれる電気回路として構成することが可能であり、摩耗を表示するための監視システム30によってこの回路を監視することが可能である。摩耗限度位置または構成部品の表面からの指定の深さに回路を配置することによって、表面の状態を継続して監視することが可能になり、システム30はオペレータに対して保守要求の早期警告を与えることが可能になる。
【0041】
センサ50は、摩耗検出を行うように構成し、本発明の態様に従って単独でまたは送信手段54と組み合わせて燃焼タービン10内で利用される構成部品内に予め製作しておくことが可能である。これに関して、摩耗検出のために取り出された信号は、コネクタ52を介して送信器54に伝達することが可能であり、送信器54は、信号を無線遠隔測定法によってトランシーバ56に、続いてシステム30に送ることが可能である。
【0042】
本発明の実施形態によれば、監視および制御システム30は構成部品の摩耗に関する履歴データを収集して、記憶し、構成部品の摩耗と摩耗の発生に関与した燃焼タービン10の運転条件とを相関させることが可能になる。これは、例えば、タービン16内のさまざまな構成部品がさらされる負荷条件および振動数を表わす連続データストリームを供給するように構成された圧電装置および/または他のセンサ50を配置して、タービン16の状態について継続的に情報を送らせることで実施可能になる。このデータは、構成部品の摩耗を表わしたデータと相関させて、予知保全または他の是正措置に利用することが可能である。
【0043】
図7には、イットリウムで安定化したジルコニウムとすることが可能な遮熱コーティング(TBC)60のような遮熱コーティングを横切る熱流束を測定するための典型的な熱流束センサ61として構成することが可能なセンサ50のもう1つの典型的な実施形態が例示されている。公知の技術を利用して、基体64上にボンディングコート62を堆積させ、このボンディングコート62上に遮熱コーティング60が堆積させることが可能である。基体64は、タービン16に用いるのに適した超合金のような各種構成材とすることが可能であり、ある実施形態では動翼18であってもよい。熱流束を利用して、基体64の表面温度を達成することが可能であり、遮熱コーティング60の上面が受ける表面温度に基体64の表面をさらす必要がなくなる。
【0044】
熱電対66は、この熱電対が内部に堆積される遮熱コーティング60のような材料の熱膨張係数とほぼ一致する熱膨張係数を有する材料を含むことが可能である。実施形態の1つでは、遮熱コーティング60内にK型熱電対66のような複数の温度センサを埋め込んで、図7に示すように、熱電対66が互いに垂直方向に位置するようにすることが可能である。実施形態の1つでは、熱電対66にNiCr/NiAl熱電対接合部を含むことが可能である。代替実施形態によれば、タービン16内におけるような高温用途のためにPtおよびPt−Rhといった他の材料で熱電対66を製作することが可能である。
【0045】
熱流束センサ61は、所望のS/N比を実現するためさまざまな形状寸法をなすように形成することが可能である。各熱電対66は、約25ミクロンの厚さにすることが可能であるが、この厚さは用途によって変わる可能性がある。遮熱コーティング60の厚さは熱電対66の数倍にすることができるので、熱電対66によって遮熱コーティング60の形状または性能が大幅に変わることにはならない。本発明の実施形態によれば、堆積後のレーザ微細加工を施して、所望の接合密度を実現することが可能である。
【0046】
熱は遮熱コーティング60に垂直方向に流入し、遮熱コーティング60から垂直方向に流出するので、各熱電対66は異なる温度測定値を記録する。温度差を測定し、遮熱コーティング60の厚さおよび熱伝導率を知ることによって、熱流束を求めることが可能になる。各熱電対66によって得られたそれぞれの温度測定値を監視および制御システム30に無線で送信できるように、熱電対66を本明細書に記載の送信手段52に接続することが可能である。
【0047】
図8および9には、基体70のような問題場所内における歪みまたは亀裂の検出および/または測定を行うように構成された典型的なセンサ68として構成することが可能なセンサ50の典型的な実施形態が例示されている。例えば、基体70が、動翼18の表面領域の問題場所ということもあれば、遮熱コーティング60またはボンディングコート62内またはその表面における他の場所が問題となることもある。このように構成されたセンサ68を燃焼タービン10全体にわたる多くの場所で利用することができるのは明らかである。図8および9に描かれたセンサは、歪み出力を生じる抵抗変化の利用を表わしている。歪みゲージの他の実施形態は、局所歪み値を決定する容量変動を取り入れることも可能である。
【0048】
これに関して、動翼18,19および静翼22,23のような必要不可欠な工学的構成部品は、何らかの形の機械的および/または熱機械的繰返し負荷をほぼ例外なく受ける。本発明の態様によれば、構成部品に作用する歪みの間欠的または継続的な現場測定および亀裂検出によって構成部品の耐用寿命を推定することが可能になる。これは、燃焼タービン10内のさまざまな場所に埋め込み型歪みゲージおよび亀裂センサ68を配置することによって実現可能である。歪みゲージ68として構成されたセンサ50は、燃焼タービン10の圧縮機12内といったより低温の用途での使用に合わせてNiCr材料を用いて形成することが可能である。
【0049】
センサ68は、亀裂が生じることが分かっているかまたは生じそうな場所または箇所に配置することによって亀裂センサとして用いることが可能である。亀裂センサゲージ68は、ゲージ68のパラメータを適切に選択することによって、サイズ、亀裂伝播、および、亀裂範囲について最適化することが可能である。こうしたパラメータには、ゲージ68の設置面積、フィンガ72の間隔、および、予測される亀裂伝播方向に対するフィンガ72の配向を含むことが可能である。基体70に亀裂が生じると、この亀裂は、歪みゲージの応答が大きく急激に変化するので、公知の信号処理技術を用いてセンサ68の出力の急激な信号変化を継続的に監視することによって検出可能である。信号の変化を表わすデータは、送信手段54を介してトランシーバ56に伝達し、続いて、無線遠隔測定法によって監視および制御システム30に送ることが可能である。
【0050】
歪みゲージセンサ68は、圧縮機動翼19の表面に結合または堆積させて、動翼19の曲げ応力によってセンサ68からの出力信号が変化するように配置することが可能である。リード線とすることが可能なコネクタ52は、圧縮機12の内部の回転カラーに配置された送信器54までの経路を指定される。送信器54は、オンボードブリッジを実現して、センサ68に調整電圧を供給することが可能である。センサ68からの出力信号が変化すると、送信器54からのRF信号は比例して変化する。RF信号はトランシーバ56に送信することが可能であり、トランシーバ56はRF信号を受信すると、センサ68によって検出された歪みに比例した電圧信号に変換する。RF信号はシステム30に送信することが可能である。典型的な送信器54は、約30Hz〜約30KHzの歪みの変化を捕捉することが可能である。
【0051】
本発明の実施形態によれば、亀裂センサ68を利用して、燃焼タービン10の運転中における亀裂の拡大を監視し、亀裂センサ68によって亀裂が検出されるまで、構成部品の動作パラメータを変えることによって設計モデルを検証することが可能になる。設計モデルは、同じ動作パラメータについて計算されて、亀裂の拡大および形成がうまく予測されるか否かが確認され、然るべく修正を施される。
【0052】
監視および制御システム30は、例えば動翼18のような燃焼タービン10内のクリティカルな場所にある複数の構成部品から歪みおよび亀裂測定結果を表わすデータを収集し、記憶することが可能である。こうしたデータを長期間にわって分析することによって、各構成部品の歪み履歴を作成することが可能になる。構成部品の歪み履歴には、歪みの大きさおよび配向や、繰返し負荷下における過負荷の発生を含むことが可能である。疲労損傷の評価報告を作成して、予知保全に利用することが可能である。
【0053】
本発明の実施形態によれば、複数のセンサ50を構成部品に表面取付けするか、または、それぞれの構成部品の遮熱コーティング内に埋め込むことによって、燃焼タービン10全体に複数のセンサ50を配置し、特の構成部品の状態データを収集して、無線遠隔測定法を用いて監視および制御システム30に送信することが可能である。このアプローチは、燃焼タービン10の運転中に、交換、修理、および、保守の意思決定過程が特定の構成部品の状態に基づくようにすることが可能になるので好都合である。
【0054】
これに関して、特定の構成部品の状態データは、アンテナ32および受信器33によって受信し、CPU34によってデータベース36に記憶することが可能である。本発明の実施形態によれば、特定の構成部品の状態データを収集し、ディスプレイ38を介してオペレータにリアルタイムで提示することが可能になる。これによって、オペレータは、1つまたは複数の特定の構成部品の状態に応答して、燃焼タービン10の動作に関する決定を瞬時に実施することが可能になる。
【0055】
各構成部品に関する履歴データを集めて、分析し、その構成部品に関して修理、交換、または、保守の決定を行うことが可能である。燃焼タービン12の動作状態および特定の構成部品を監視することが可能であり、1つまたは複数の構成部品に修理または交換が必要であることを表わしたまたはガスタービンの動作に関して是正措置を施すべきであることを表わした状態の集合を特定することが可能である。これらの態様によって予知保全スケジュールを大きく改善することが可能になる。
【0056】
図10は、1つの表面116上に堆積された遮熱コーティング層114のような遮熱コーティングを設けた基体材料112から形成されている構成部品110の部分斜視図である。構成部品110は、例えば図1のガスタービンエンジン10、または、断熱材料の層によってベース材料を外部環境から保護しなければならない任意の他の機械の一部とすることが可能である。実施形態の1つにおいて、構成部品110は、ムライト、炭化珪素、または、ジルコニウムをベースにしたセラミックのような酸化物セラミックスまたは非酸化物セラミックスのTBC14によって超合金基体材料112を被覆され、エンジン10の高温ガス流路内に配置されたタービン動翼18のような翼形部材であってよい。
【0057】
構成部品110は、代わりに、環境バリアコーティング(EBC)または遮熱コーティング(TBC)を設けたセラミック基複合材(CMC)基体から製作することが可能である。コーティング114の完全性は構成部品110全体の完全性にとって重大であるため、コーティング114の性能に直接影響する動作パラメータ情報を得るのが有用である。こうした情報は、TBC114の露出表面118の下にセンサ50のようなセンサを埋め込むことによって得られる。図10にはセンサは見えないが、表面118の下にあり番号120で大まかに表示された検知位置に配置することが可能である。
【0058】
センサは、温度、歪み、亀裂の開始、化学変化、振動、圧力、または、問題となる他のパラメータを表わす信号を供給するものとする。これらのセンサ自体、多層化して、電極と機能体との組合せを収容することが可能である。表面118の下に配置することが可能な導体122によって、センサの発生した信号を検知位置120から終端位置へ送ることが可能であり、終端位置は、信号を構成部品110から好都合にも送り出すことができる接続位置124であってよい。導体122は、同様に、センサ50のようなセンサから送信器54に信号を送り、無線測定法によってシステム30への送信が行われるようにする働きが可能である。センサおよび導体122は、絶縁材料126によって周囲環境から絶縁することが可能である。
【0059】
図11は、基体材料132が超高温環境に用いられる遮熱コーティング材料134の層のような遮熱コーティングによって被覆されているもう1つの構成部品130の部分断面図である。TBCコーティング技術において周知のように、TBC材料134を塗布する前にMCrAlY材料のようなボンディングコート136を基体132に堆積させて、基体132に対するコーティング134の付着性を向上させることが可能である。
【0060】
構成部品130は、外部環境にさらされたTBC材料134の表面138の下の複数の深さに埋め込まれたセンサ50のような複数のセンサを備えていてもよい。第1のセンサ140は比較的浅い溝142に配置される。溝142は、TBC材料134へのセンサ140の接地を阻止するため、酸化アルミニウムのような電気絶縁コーティング144で覆うことが可能である。センサ140は、例えば、バイメタル熱電対接合によって形成された熱電対または本明細書に記載の他のセンサのような当該技術において公知の任意の形態をとることが可能である。センサ140の表面位置は、温度または化学パラメータのような外部環境に関連したパラメータの感知に役立つ可能性があることを示唆している。
【0061】
図12には、図11の構成部品130の製造中に利用可能なプロセス150のステップが例示されている。ステップ152では、基体132に遮熱コーティング材料134の層を堆積させることが可能である。ステップ152の後、埋め込み計装なしで利用できるように、構成部品はその通常の動作形状で完成される。従って、当業者には明らかなように、プロセス150は、新たに製作される構成部品に適用することも、あるいは、逆に在庫のまたは使用されてきた既存の構成部品に適合させることも可能である。
【0062】
ステップ154では、構成部品130の表面138に溝142を形成することが可能である。溝142は、所定の幅および深さを備えたほぼ矩形の断面の溝142をレーザ刻印するといったように、任意の公知方法によって任意の所望の形状に形成することが可能である。こうしたレーザ刻印法の変数には、スポットサイズ、パワーレベル、エネルギ密度、パルス周波数、および、走査速度が含まれる。これらの変数が合わさって、溝の幅、深さ、材料除去率、および、製造コストに影響する。溝142は、その全長に沿って一定の断面サイズおよび形状を備える場合もあれば、領域毎にサイズおよび/または形状が異なる場合もある。
【0063】
例えば、図10の構成部品110の場合、センサと導体122とは形状寸法が異なる可能性があるので、検知位置120に形成される溝の寸法は、検知位置120から接続位置124まで延びる溝と異なる場合もある。溝142は、表面に対して傾斜する、すなわち、その全長に沿って深さが変化する場合もあるが、用途によっては、このために構成部品内の機械的完全性が向上する可能性がある。
【0064】
ステップ154では、溝142が形成され、ステップ156では、センサ140とTBC材料134の間に電気絶縁を施すため、溝142の表面に絶縁コーティング144を設けることが可能である。絶縁コーティング144は、化学蒸着(CVD;chemical vapor deposition)のような任意の公知方法によって所望の電気絶縁レベルを実現するのに十分な厚さまで堆積させることが可能である。ステップ154における溝142の形成およびステップ156におけるその絶縁が済むと、ステップ158では、溝142に適合する1つまたは複数の材料を堆積させて、センサ140を形成することが可能である。所望の材料特性をもたらす任意の公知材料の堆積プロセスを利用することが可能である。このような堆積プロセスは、急速プロトタイピング、薄膜および厚膜堆積、および、溶射の分野において一般的であり、例えば、化学蒸着、プラズマ溶射、マイクロプラズマ溶射、コールドスプレー、電気メッキ、電気泳動堆積、HVOF、スパッタリング、CCVD、ソルゲル法、および、選択的レーザ溶融が含まれる。所望の材料のペーストおよびテープを付けるといった、一般に多層厚膜コンデンサの製作に用いられるプロセスを利用することも可能である。
【0065】
材料の堆積後、入熱を利用して材料を焼結させることによって、センサの機械的完全性が向上する。これは、火炎、プラズマ、および、炉内焼きなましを利用した加熱、または、局所的レーザエネルギ照射によって実施可能である。選択的レーザ溶融(SLM)の場合、所定の化学的性質を備えた粉末材料を溝内に付着させて、レーザビームのエネルギで溶融させ、図11のセンサ140および図10の相互接続導体122のそれぞれの部分を形成することが可能である。例えば、熱電対を形成するには、溝142のある部分に白金粉末を付着させ、SLM法によって凝固させることが可能である。溝の長さに沿ってまたは第2の垂直層として、溝142の第2の部分に白金ロジウム粉末を付着させて、SLM法で凝固させ、白金材料と接触して、熱電対接合が形成されるようにすることが可能である。
【0066】
溝142の形状寸法はセンサ140の形状寸法に直接影響する可能性がある。従って、それぞれの溝142の寸法を制御してセンサ140または相互接続導体122の動作パラメータに影響を与えることが可能である。例えば、溝内に形成される導線の抵抗は溝の幅によって影響される。ステップ154のレーザ刻印法を精密に制御して、所望の溝寸法形状を実現することが可能である。溶射によって平面に導体を付着させるためのいくつかの方法では、センサおよび導線に必要とされる可能性のある微細な特徴を形成することができない。こうした方法では、後続の材料アブレーション法に依存して、所望の形状寸法を実現することが可能になる。溝142によって特徴の幅が制御されるので、図12のプロセス150ではこうしたトリミングステップは不要である。
【0067】
図11には、溝142に比べて表面138からさらに下方である第2の深さに達するようにTBC134に形成された第2の溝160も例示されている。表面138の下方の複数の深さに複数の溝142,160を形成して、構成部品130内の2つ以上の深さにセンサ50のようなセンサを配置することによって、得られる動作パラメータデータがさらに増えるようにすることが可能になる。図11の実施形態の場合、溝160内には絶縁層166によって隔てられ垂直方向に積層した2つの導電層162,164が含まれている。導電層162,164は、センサの2つの部分、すなわち、センサを接続位置に接続するための2つの導線を形成することが可能である。図12に例示のように、任意の所望の堆積技術を利用して、まず、ステップ158において導電層162を堆積させ、次に、ステップ168において絶縁層166を堆積させることによって、2つの導電層162,164を形成することが可能である。
【0068】
さらにステップ158、168を繰り返して、導電層164および絶縁層174の堆積が行われる。これらの層の幅は溝160の幅によって制御され、これらの層の厚さは、堆積時に所定の性能特性を達成するように制御することが可能である。例えば、絶縁材料166の厚さは、2つの導電層162,164間のインピーダンスに影響する。従って、導電層164は、ステップ172において断熱材料170のような断熱材料で溝160にバックフィルを施すことによって外部環境から切り離される。断熱材料170は、TBC材料134と同じ材料とすることも、あるいは、所望の特性を備える異なる材料とすることも可能である。断熱材料170は、CVD、溶射、選択的レーザ溶融、または、選択的レーザ焼結を含む任意の公知の堆積法によって堆積させることが可能である。選択的レーザ溶融および選択的レーザ焼結法は、L.Lu.J.Y.H.Fuh、および、Y.S.Wong著、「Laser−Induced Materials and Processes For Rapid Prototyping」、Kluwer Academic Publishers、第6および7章に例示のように当該技術において知られている。
【0069】
適合する深さにそれぞれの溝180,182を形成することによって、構成部品130内の予め選択された深さに追加センサ176,178を堆積させることが可能である。ステップ172において、溝180,182に表面138の高さまで断熱材料170でバックフィルすることが可能である。表面138が翼形の一部を形成することが必要である場合には、ステップ184において、表面138の平坦化を実施することが可能である。溝を所望の深さに形成することによって、TBC材料層134内、ボンディングコート材料層136内、基体材料132内、または、これらの層の任意の2つの間における界面の深さにセンサを埋め込むことが可能である。
【0070】
このようにして、構成部品のある深さまたは遮熱コーティングの深さにおける実際の動作パラメータデータを作成することが可能である。こうしたデータは、設計仮定を確認し、コンピュータ化モデルを更新するのに役立つ可能性があり、TBCコーティングの損傷または劣化の指標として役立つ可能性もある。例えば、TBC材料134の下に埋め込まれたセンサ178は、TBC材料層134の亀裂または剥離の際に大幅な温度上昇を示す信号を発生することが可能である。あるいはまた、構成部品が期間を延して引き続き使用されることになる場合、埋め込みセンサ176によってバナジウム、ナトリウム、または、硫黄付着物を検出することによって、TBCコーティング134の剥離および破損を生じる状態を知らせることが可能である。この方法によれば、完全に組み立てられて、コーティングを施された部分の任意の位置にセンサを配置するのが容易になる。構成部品表面の電気化学センサは、周囲環境に存在する腐食性生成物の性質および影響を判断する上で重要な役割を果たすことが可能である。
【0071】
本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内の動翼18,19および/または静翼22,23のような構成部品は、構成部品の表面に適合するように堆積された用途特有のセンサ50、および/または、燃焼タービン10内に堆積した遮熱コーティングまたは他のコーティング内に埋め込まれた用途特有のセンサ50を備えることが可能になる。例えば、図13には、埋込みまたは表面取付けセンサ204を無線遠隔測定装置206に接続するために堆積されたコネクタ202のような耐熱性リード線を備える、タービン16の列1からの動翼とすることが可能な典型的な動翼200が示されている。本発明のさまざまな実施形態が、燃焼器12またはタービン16内における任意の列の動翼18,19および/または静翼22,23に用いるように設計することができるのは明らかである。
【0072】
センサ204は、動作温度が1100℃を超える可能性のある燃焼タービン16の高温ガス経路セクションに用いるのに適した新規のセラミック材料を用いて堆積(deposit)させることが可能である。無線遠隔測定装置206は、動作温度が一般に約250℃を超え、約700℃未満である動翼200の根元部208の近くのような、遠隔測定構成部品が比較的低い温度にさらされる場所に取り付けることが可能である。動翼200および根元部208はまとめて基体と称することが可能である。
【0073】
データ送信に用いることが可能な半導体のようなシリコンベースの電子半導体は、その動作温度の制約のためにその用途が制限される可能性がある。シリコンおよびシリコンオンインシュレータ(SOI)電子チップテクノロジの温度および性能特性によって、約200℃未満の動作環境への適用が制限される可能性がある。本発明の態様によれば、こうした電子システムは、一般に動作温度約100〜150℃の圧縮機12内に無線遠隔測定のために配置することが可能になる。無線遠隔測定センサシステムの実施形態は、圧縮機12の後続段およびタービン16に存在するより高温の領域内で動作するように構成することが可能である。これらの領域は、動作温度が圧縮機セクションの後続部分で約150〜250℃、タービンセクションにおいて250〜700℃になる可能性がある。これらのより高温の領域内で動作可能な温度および電気特性を備える材料を用いて、センサ50,204、コネクタ52,202を堆積(deposit)させ、無線遠隔測定装置206を製作することが可能である。
【0074】
図13を参照すると、タービン16の動翼200が1つ又は複数の耐熱性センサ204、それぞれの相互接続線202、および、1つ又は複数の無線遠隔測定装置206を備えることによって、タービン16内の構成部品および/またはコーティングのさまざまな動作パラメータまたは状態を表わすリアルタイムの性能データを収集することが可能になる。典型的なタービン動翼200は、動翼の表面への堆積および/または遮熱コーティング26のような堆積した遮熱コーティング内への埋め込みを施された少なくとも1つのセンサ204を備えることが可能である。少なくとも1つの無線遠隔測定装置206は動翼200の根元部208に近接して固定することが可能である。
【0075】
センサ204および耐熱相互接続線またはコネクタ202は、プラズマ溶射、EB PVD、CVD、パルスレーザ堆積法、ミニプラズマ、直接描画、ミニHVOF、コールドスプレー、または、溶液プラズマ溶射といった公知の堆積プロセス(deposition process)を用いて堆積(deposit)させることが可能である。一般に、燃焼タービン10の固定構成部品と回転構成部品の両方において、構成部品の表面温度および熱流測定と共に、動圧測定、動的および静的歪み測定、および、動的加速測定を実施するのが望ましい。従って、埋め込みセンサ204は、歪みゲージ、熱電対、熱流束センサ、圧力変換器、マイクロ加速計、並びに、他の所望のセンサとして構成することが可能である。
【0076】
薄膜埋め込みセンサ204を利用する利点は、同じ堆積プロセスを利用してリード線またはコネクタ202の堆積および経路設定を同時に実施できる点にある。これに関して、リード線またはコネクタ202通路を任意の所望の経路の上に堆積させ、1つ又は複数のセンサ204を無線遠隔測定装置206に接続することが可能である。本発明の実施形態によれば、コネクタ202は、センサ204と同じ材料または用途特有の電気および温度特性を備えた他の導電材料とすることが可能になる。
【0077】
無線遠隔測定装置206は、動翼根元部208の外部に固定するか、または、動翼根元部の外部モールド線があまり変わらないように埋め込むことが可能である。これによって、センサ204、コネクタ202、および、装置206を備えたタービン動翼200を、それらを備えていないタービン動翼と同じようにタービン16のロータディスクに装着することが可能になる。これに関して、動翼200および/またはそれに堆積した遮熱コーティングのさまざまな動作パラメータまたは状態を表わすデータを無線で抽出して、監視および制御システム30に送るのに必要な全ての構成部品を備える計装動翼200を製造することが可能である。
【0078】
図1に示すトランシーバ56のように、受信アンテナは無線遠隔測定装置206からの信号を受信可能な任意の場所に配置することが可能である。本発明の実施形態は、さもなければ、計測器にとってリアルタイムの動作パラメータデータを受信するのが困難かまたは不可能な燃焼タービン10の動翼18,19,200といった回転構成部品の計装にとりわけ有用である。
【0079】
公知の金属熱電対および歪みゲージの長期安定性、感度、および、応答性は、厳しい温度環境のためタービン16の高温ガス経路セクションに用いる場合には十分に性能を発揮しない。本発明の実施形態によれば、例えば約1100℃を超える高温におけるその高い安定性、頑健性、および、電気特性のため、こうした環境に耐熱性セラミックベース材料を利用することが可能になる。センサ50、204用のセラミックベース材料の選択は、所望の動作温度における能動的センサ素子の化学的および電気的安定性に基づいて行うことが可能である。材料選択は、熱電対の熱起電力および歪みゲージのゲージ率といった高温における材料特性の大きさに基づいて実施することも可能である。
【0080】
センサ50、204は、タービン16内のような燃焼タービン10のより高温のセクションにおける温度および/または熱流束の測定に用いられるセラミックベース熱電対として形成することが可能である。こうしたセンサ用途および遮熱コーティング内の埋め込みセンサのような他のより高温での用途のための典型的な3クラスの材料は、炭化物、珪化物、および、酸化物である。炭化物および珪化物は、高耐熱特性および所望の電気特性を示し、熱起電力をもたらすために利用可能である。約1100℃を超えるような高温の場合、空気中で不動態化膜を形成するので、珪化物材料を酸化性雰囲気中における熱電対および熱流束センサとして用いることが可能である。炭化物材料は、不活性および還元性環境内における熱電対および熱流束センサとして用いることが可能である。典型的な珪化物材料には、TiSi2、CrSi2、TaSi2、および、MoSi2がある。典型的な炭化物材料には、WC、TaC、HfC、TiC、および、ZrCがある。用途特有のセンサに代替珪化物および炭化物材料を用いることも可能である。
【0081】
酸化物材料は、酸化環境において安定しており、耐酸化性があり、センサ50、204として安定した頑健性の熱電対が得られるように、さまざまな電荷担体濃度に製作することが可能である。図14には、熱成長酸化物(TGO)層212に堆積した薄膜インジウム錫酸化物(ITO)とすることが可能な典型的な酸化物熱電対センサ210が示されている。実施形態の1つでは、センサ210をTGO層212に堆積させて、タービン16内の典型的な動翼200または静翼22のような超合金構成部品とすることが可能な基体216に堆積したボンディングコート層214からセンサを電気的に絶縁することが可能である。代替実施形態によれば、センサ210が必要に応じて周囲の材料から電気的に絶縁される場合、構成部品の表面または遮熱コーティング218内のさまざまな深さのようなさまざまな位置にセンサ210を堆積させることが可能になる。
【0082】
センサ50,204は、動翼18,19,200、静翼22,23といったタービン構成部品、および、それらに堆積した遮熱コーティングの不安定性、構造完全性、および、他の状態を監視するために用いられる歪みゲージとして構成することが可能である。図15には、ITO歪みゲージ210の典型的な構成が例示されているが、特定用途に従ってゲージ210のさまざまな実施形態を適応させることができるのは明らかである。
【0083】
無線遠隔測定装置206は、圧縮機12およびタービン16内のような燃焼タービン10内のさまざまな場所に配置されたセンサ50、204と電力およびデータの授受を行うために用いることが可能である。受動的または電池式無線検知は、タービン16のより高温の環境内で用いるのは不可能であるが、圧縮機12内で用いることは可能である。熱電対列が電力に関してゼーベック効果を生じる熱起電力、火炎の放射エネルギを利用して電力を発生する熱光起電力、または、ダイオードが熱を電力に変換する熱電子エネルギといったタービン16内の能動電源を用いることが可能である。回転送信器を利用した実施形態は、固定コイルによってあるいは熱または振動エネルギから電力を誘導することが可能である。
【0084】
図16は、無線遠隔測定装置206の典型的な実施形態の概略図である。燃焼機12またはタービン16内において、用途特有の材料から無線遠隔測定装置206のさまざまな実施形態を製作することが可能である。1100℃を超えるタービン16の高温ガス経路内の構成部品に利用することに関して、装置206の実施形態は、より低温の領域に配置するかまたは取り付けるが、それでも構成部品と一体であるようにすることが可能である。装置206は、約250℃を超える動作環境において利用される温度および電気特性を備える材料から形成することが可能である。装置206は、一体化アンテナおよび/または電源を備えるかまたは備えない、エンボス加工されるか、表面実装されるか、または、他の方法で堆積された抵抗器、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、変換器、変調器、発振器、送信器、増幅器、および、ダイオードといった複数の電子構成部品を含むセラミックベースの耐熱回路基板または集積チップとして形成することが可能である。
【0085】
図16には、相互接続線228を介して互いに電気的に接続されたエレクトロセラミック基板またはチップ209、電子回路220、演算増幅器222、変調器224、および、RF発振器/送信器226を含むことが可能であり、タービン16におけるより高温の用途に用いられる装置206の実施形態が例示されている。図16の実施形態は、典型的な実施形態として提示されており、用途特有の性能仕様および動作環境に応じて装置206の他の実施形態が検討されるのは明らかである。
【0086】
装置206の実施形態によれば、エレクトロセラミック基板またはチップ209に電源230と送受信アンテナ232とを製作することが可能になる。代替実施形態によれば、図6A、6B、および、6Cに示す送信器54のような送信器をタービン16内に個別に取り付け、コネクタ52を介して装置206と電気的に接続することが可能になる。
【0087】
図16に言及すると、本明細書で用いられる用語「エレクトロセラミックス」は、高温環境で用いるのに適した電気的、化学的、および、熱的特性を備えるセラミックおよび他の材料を表わしている。タービン16のより高温の環境で用いられる無線遠隔測定装置206の製作に利用可能なエレクトロセラミック材料の例には、SiC、AlN、GaN、並びに、炭化物および窒化物のような当該技術において公知の他の材料がある。この態様において、エレクトロセラミックチップ209は、エレクトロセラミック材料から製作することが可能であり、電子回路220、増幅器222、変調器224、RF発振器/送信器226、相互接続線228、電源230、および、アンテナ232は、例えば約250℃を超えるタービン16内での利用に適した電気および温度特性を備えるエレクトロセラミックまたは金属材料からあるいはエレクトロセラミック材料と金属材料の組合せから製作することが可能である。例えば、相互接続線228にはAu、Ag、または、Pdを利用することが可能である。電子回路220は、能動および/または受動電子構成部品を形成することが可能である。
【0088】
遠隔測定装置206は、燃焼機12またはタービン16内の埃または他の粒子から保護するため、タービン16のより高温での動作に合せたセラミック材料またはフェノール樹脂内に装置を入れることによって隔離することが可能である。動作環境に応じて、他の適切な収容材料を利用することが可能である。
【0089】
本明細書では本発明の望ましい実施形態ついて示し、解説してきたが、こうした実施形態が例証のためだけに提示されたものであるのは明らかであろう。当業者には、本明細書から逸脱することなく、多くの改変、変更、および、代替実施形態が思い浮かぶであろう。従って、本発明は付属の請求項の精神および範囲による制限だけしか受けないように意図されている。
【符号の説明】
【0090】
10 燃焼タービン
12 圧縮機
14 燃焼器
16 タービン
18 動翼
19 動翼
22 静翼
23 静翼
26 遮熱コーティング
30 監視および制御システム
32 アンテナ
33 受信器
34 プロセッサ
36 データベース
38 ディスプレイ
50 センサ
52 コネクタ
54 送信器
55 回転アンテナ
56 トランシーバ
57 固定アンテナ
60 遮熱コーティング
61 熱流束センサ
62 ボンディングコート
64 基体
66 熱電対
68 センサ
70 基体
110 構成部品
112 基体材料
114 遮熱コーティング
130 構成部品
132 基体材料
134 遮熱コーティング材料
140 センサ
142 溝
144 絶縁コーティング
160 溝
162 導電層
164 導電層
166 絶縁層
170 断熱材料
174 絶縁層
176 センサ
178 センサ
180 溝
182 溝
200 動翼
202 コネクタ
204 センサ
206 無線遠隔測定装置
209 エレクトロセラミック基板
210 センサ
220 電子回路
222 増幅器
224 変調器
226 RF発振器/送信器
228 相互接続
230 電源
232 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機とタービンとを含む燃焼タービンエンジンに用いられる計装構成部品であって、
基体と、
前記計装構成部品の状態を感知するために前記基体に結合するように堆積された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサからデータ信号を受信して、前記データ信号を受信装置に無線で送信するように構成された複数の電子構成部品を納めたエレクトロセラミックチップを含み、前記基体に接続された無線遠隔測定装置と、
前記少なくとも1つのセンサを前記無線遠隔測定装置に電気的に接続して、前記少なくとも1つのセンサから前記無線遠隔測定装置に前記データ信号を伝達するコネクタと
が含まれている計装構成部品。
【請求項2】
さらに、
前記基体の少なくとも一部の上に堆積されたボンディングコートと、
前記ボンディングコートの上面部分を形成する熱成長酸化物層と、
前記熱成長酸化物層上に堆積された前記少なくとも1つのセンサと、
前記熱成長酸化物層の少なくとも一部の上に堆積された遮熱コーティングと
が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の計装構成部品。
【請求項3】
さらに、酸化物、炭化物、および、珪化物のグループから選択された少なくとも1つの材料を含む前記少なくとも1つのセンサが含まれることを特徴とする請求項2に記載の計装構成部品。
【請求項4】
さらに、前記熱成長酸化物層上に堆積され、歪みゲージセンサおよび熱流束センサのグループから選択されたセンサを形成するインジウム錫酸化物材料を含む前記少なくとも1つのセンサが含まれることを特徴とする請求項2に記載の計装構成部品。
【請求項5】
前記基体は、タービン動翼と、前記タービン動翼の根元部に接続された無線遠隔測定装置とを含むことを特徴とする請求項1に記載の計装構成部品。
【請求項6】
さらに、
少なくとも約250℃の温度で動作可能な前記無線遠隔測定装置と、
電子回路を形成するエレクトロセラミック材料を含む前記複数の電子構成部品と
が含まれることを特徴とする請求項5に記載の計装構成部品。
【請求項7】
さらに、SiC、AlN、および、GaNのグループから選択された前記エレクトロセラミック材料が含まれることを特徴とする請求項6に記載の計装構成部品。
【請求項8】
さらに、
前記基体の少なくとも一部の上に堆積されたボンディングコートと、
前記ボンディングコートの上面部分を形成する熱成長酸化物層と、
前記熱成長酸化物層上に堆積された前記少なくとも1つのセンサと、
前記熱成長酸化物層の少なくとも一部の上に堆積された遮熱コーティングと、
前記複数の電子構成部品を形成するエレクトロセラミック材料と金属材料との組合せを含む前記無線遠隔測定装置と
が含まれている請求項5に記載の計装構成部品。
【請求項9】
さらに、前記複数の電子構成部品を形成するエレクトロセラミック材料と金属材料との組合せを含む前記無線遠隔測定装置が含まれることを特徴とする請求項1に記載の計装構成部品。
【請求項10】
さらに、
前記基体の表面上に堆積された前記少なくとも1つのセンサと、
前記基体の根元部に接続された前記無線遠隔測定装置と
が含まれることを特徴とする請求項1に記載の計装構成部品。
【請求項11】
さらに、前記基体上に堆積された遮熱コーティング内に埋め込まれたセラミックベースの熱電対材料を含む前記少なくとも1つのセンサが含まれることを特徴とする請求項1に記載の計装構成部品。
【請求項12】
さらに、発振器、増幅器、および、アンテナを含む前記複数の電子構成部品が含まれることを特徴とする請求項1に記載の計装構成部品。
【請求項13】
燃焼タービンエンジンのケーシング内で用いられる計装構成部品であって、
根元部分を備える基体と、
前記基体に結合するように堆積された検知材料と、
前記根元部分に接続された無線遠隔測定装置と、
前記検知材料を前記無線遠隔測定装置に電気的に接続するコネクタと
が含まれている計装構成部品。
【請求項14】
さらに、
前記基体の表面上に堆積されたボンディングコートと、
前記ボンディングコートに形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に堆積されてセンサを形成する前記検知材料と、
前記センサ上に堆積された遮熱コーティングと
が含まれることを特徴とする請求項13に記載の構成部品。
【請求項15】
さらに、エレクトロセラミックチップ上に堆積され、前記コネクタを通じてデータ信号を受信しこのデータ信号を受信装置に無線で送信するように構成された少なくとも1つの電子回路を形成するエレクトロセラミック材料を含む前記無線遠隔測定装置が含まれることを特徴とする請求項13に記載の構成部品。
【請求項16】
さらに、
前記根元部分に固定された送信器と、
前記根元部分に固定されたアンテナと、
前記送信器および前記アンテナを被覆するセラミック材料と
が含まれることを特徴とする請求項14に記載の構成部品。
【請求項17】
ケーシングを備える圧縮機と、
ハブおよび複数の圧縮機動翼を含み、前記複数の圧縮機動翼が、前記ハブに前記複数の圧縮機動翼を結合する圧縮機動翼根元部をそれぞれ有する圧縮機動翼アセンブリと、
前記複数の圧縮機動翼のうちの1つの圧縮機動翼の表面上に堆積された第1の検知材料と、
前記第1の検知材料と通じ、前記第1の検知材料からの第1のデータ信号を終端点に送るコネクタと、
前記ハブに固定され、前記第1の検知材料から前記第1のデータ信号を受信する第1の無線遠隔測定装置と、
前記第1の無線遠隔測定装置を被覆するセラミック材料と、
前記圧縮機ケーシングの外部にあって、前記第1の無線遠隔測定装置から無線で送られてくるデータ信号を受信するためのトランシーバと、
燃焼器と、
ケーシングを備えるタービンと
が含まれている燃焼タービンエンジン。
【請求項18】
さらに、電子回路、アンテナ、および、送信器を形成する半導体材料を含む前記無線遠隔測定装置が含まれることを特徴とする請求項17に記載の燃焼タービンエンジン。
【請求項19】
さらに、
ハブおよび複数のタービン動翼を含み、前記複数のタービン動翼が、前記ハブに前記複数のタービン動翼を結合する動翼根元部をそれぞれ有するタービン動翼アセンブリと、
炭化物、珪化物、および、酸化物のグループから選択された材料を含み、前記タービン動翼アセンブリ上に堆積された第2の検知材料と、
前記第2の検知材料と通じ、前記第2の検知材料からの第2のデータ信号を少なくとも1つのタービン動翼に近い終端点に送るコネクタと、
前記少なくとも1つのタービン動翼根元部に固定された第2の無線遠隔測定装置と、
前記タービンケーシングの外部にあって、前記無線で送られてくるデータ信号を受信するトランシーバと
が含まれることを特徴とする請求項17に記載の燃焼タービンエンジン。
【請求項20】
さらに、エレクトロセラミックチップ上に堆積され、前記第2のデータ信号を受信しこの第2のデータ信号を前記トランシーバに無線で送るように構成された少なくとも1つの電子回路を形成するエレクトロセラミック材料を含む無線遠隔測定装置が含まれ、前記エレクトロセラミック材料は、SiC、AlN、および、GaNのグループから選択されることを特徴とする請求項19に記載の燃焼タービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−520961(P2010−520961A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528226(P2009−528226)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/016576
【国際公開番号】WO2008/091289
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(599078705)シーメンス エナジー インコーポレイテッド (57)
【Fターム(参考)】