説明

動力伝達装置及びその加工方法

【課題】潤滑性を向上させることを可能とする。
【解決手段】分配ケース5へテーパー・ローラー・ベアリングにより回転自在に支持された後輪側出力軸にピニオン・ギヤ47が備えられ、分配ケース5のテーパー・ローラー・ベアリングに隣接する第2の収容部33内に回転自在に支持されたリング・ギヤがピニオン・ギヤに噛み合い、リング・ギヤ及びピニオン・ギヤ47の噛合回転により分配ケース5内の第2の収容部33側に収容された潤滑油が掻き上げられてテーパー・ローラー・ベアリングの潤滑を行うトランスファ装置であって、第2の収容部33とテーパー・ローラー・ベアリング上部側との間に、分配ケース5内壁面を切り欠いて形成した潤滑油ガイド部105を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のトランスファ装置等に供される動力伝達装置及びその加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力伝達装置の構造として、特許文献1に記載のような4輪駆動車の動力分配ユニットがある。
【0003】
この動力分配ユニットは、フロント・デファレンシャルへの入力を後輪側へ配分出力するものであり、動力分配ケースに筒状の差動出力軸と副軸と分配動力出力軸とが回転自在に支持されている。副軸に対して分配動力出力軸は直交配置され、差動出力軸に対して副軸は平行に配置されている。
【0004】
差動出力軸と副軸間は、平行噛合ギヤである動力分配ドライブ・ギヤ及び動力分配ドリブン・ギヤの噛み合いにより駆動力伝達が行われ、副軸及び分配動力出力軸間は、直交噛合ギヤである方向転換ドライブ・ギヤ及び方向転換ドリブン・ギヤの噛み合いにより駆動力伝達が行われる。
【0005】
従って、動力分配ユニットにより後輪側への駆動力配分を行い、4輪駆動走行ができる。
【0006】
かかる構造において、前記分配動力出力軸は、一対のテーパー・ローラー・ベアリングにより動力分配ケースに回転自在に支持され、分配動力出力軸後端部側と動力分配ケースの後端部側との間にオイル・シールが設けられている。
【0007】
そして、前記方向転換ドライブ・ギヤ及び方向転換ドリブン・ギヤの噛合回転時に、方向転換ドライブ・ギヤが掻き上げた潤滑油が分配動力出力軸側に供給され、テーパー・ローラー・ベアリング、オイル・シールの潤滑が行われる。
【0008】
しかし、方向転換ドリブン・ギヤが支持される動力分配ケースの部分は、ピニオン・ギヤである方向転換ドリブン・ギヤを一対のテーパー・ローラー・ベアリングにより支持する軸受スリーブであり、リング・ギヤである方向転換ドライブ・ギヤが支持される動力分配ケースの部分に対して開口が小さく、方向転換ドライブ・ギヤで掻き上げられた潤滑油が分配動力出力軸の一対のテーパー・ローラー・ベアリング側へ移動し難く、十分な潤滑の障害となっている。
【0009】
【特許文献1】特開昭62−59130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、ピニオン・ギヤを設けた出力軸を支持する軸受側に、ピニオン・ギヤに噛み合うリング・ギヤの回転で掻き上げられる潤滑油が移動し難く、十分な潤滑の障害となっている点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、潤滑性を向上させるため、ケースへ軸受により回転自在に支持された出力軸にピニオン・ギヤが備えられ、前記ケースの前記軸受に隣接するリング・ギヤ収容部内に回転自在に支持されたリング・ギヤが前記ピニオン・ギヤに噛み合い、前記リング・ギヤ及びピニオン・ギヤの噛合回転により前記ケース内の前記リング・ギヤ収容部側に収容された潤滑油が掻き上げられて前記軸受の潤滑を行う動力伝達装置であって、前記リング・ギヤ収容部と前記軸受上部側との間に、前記ケース内壁面を切り欠いて形成した潤滑油ガイド部を設け、前記潤滑油ガイド部は、前記軸受側から前記リング・ギヤの上部側へ傾斜指向していることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の動力伝達装置では、ケースへ軸受により回転自在に支持された出力軸にピニオン・ギヤが備えられ、前記ケースの前記軸受に隣接するリング・ギヤ収容部内に回転自在に支持されたリング・ギヤが前記ピニオン・ギヤに噛み合い、前記リング・ギヤ及びピニオン・ギヤの噛合回転により前記ケース内の前記リング・ギヤ収容部側に収容された潤滑油が掻き上げられて前記軸受の潤滑を行う動力伝達装置であって、前記リング・ギヤ収容部と前記軸受上部側との間に、前記ケース内壁面を切り欠いて形成した潤滑油ガイド部を設け、前記潤滑油ガイド部は、前記軸受側から前記リング・ギヤの上部側へ傾斜指向している。
【0013】
このため、リング・ギヤが回転して掻き上げられた潤滑油が遠心力で飛散するとき、潤滑油の飛散方向に沿って潤滑油ガイド部が指向する傾向となり、潤滑油を潤滑油ガイド部により出力軸を支持する軸受側へ円滑にガイドすることができる。
【0014】
したがって、ケースのリング・ギヤ収容部に対して出力軸が支持される部分側内へ潤滑油を導きやすく、出力軸を支持する軸受等の潤滑性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
潤滑性を向上させるという目的を、ケース内壁面を切り欠いて形成した潤滑油ガイド部を、軸受側からリング・ギヤの上部側へ傾斜指向させることにより実現した。
【実施例1】
【0016】
[動力伝達装置]
図1は、トランスファ装置の軸を主体とした横断面図、図2は、ケース・カバーを取り外したケース本体側の側面図である。
【0017】
図1,図2のように、動力伝達装置としてのトランスファ装置1は、前輪側の一方の回転軸である車軸中間軸3の外周に配置される。トランスファ装置1のケースである分配ケース5は、固定側であるトランス・ミッション側のベル・ハウジングに取り付けられる。このトランスファ装置1は、連結中空軸7、伝達中間軸9、及び後輪側出力軸11の3軸構造となっている。連結中空軸7、伝達中間軸9、後輪側出力軸11は、この順に順次鉛直方向低位に配置されている。
【0018】
分配ケース5は、連結中空軸7及び伝達中間軸9を回転自在に支持する第1のケース部分13と後輪側出力軸11を回転自在に支持する第2のケース部分15とからなっている。第1のケース部分13は、ケース本体17及びケース・カバー19からなっている。
【0019】
ケース本体17に合わせ面21が設けられ、この合わせ面21に本体側締結部23が連結中空軸7及び伝達中間軸9の軸心を囲むように複数設けられている。ケース・カバー19にも対応する合わせ面25及びカバー側締結部27が形成されている。ケース・カバー19の合わせ面25がケース本体17の合わせ面21に突き合わされて締結部23,27がボルト29などにより締結され、ケース本体17に対するケース・カバー19の固定が行われている。これら合わせ面21,25は、連結中空軸7及び伝達中間軸9に直行する方向に沿って形成されている。
【0020】
前記第1のケース部分13は、第1,第2の収容部31,33を形成するものであり、ケース本体17の外側には、上下の取付ブラケット部35,37が形成されている。この取付ブラケット部35,37には、ケース側取付締結部39が形成されている。
【0021】
取付ブラケット部35,37は、トランス・ミッション側のベル・ハウジングの取付部に突き合わされ、ケース側取付締結部39が静止側であるベル・ハウジングの締結部にボルトなどにより締結されることでトランスファ装置1の分配ケース5がベル・ハウジングに取り付けられる。
【0022】
第1の収容部31は、連結中空軸7及び第1の平行噛合ギヤであるヘリカル・ギヤ41を収容する。第2の収容部33は、伝達中間軸9、第2の平行噛合ギヤであるヘリカル・ギヤ43、及び第1,第2の直交噛合ギヤであるリング・ギヤ45,ピニオン・ギヤ47を収容する。
【0023】
第1の収容部31では、ヘリカル・ギヤ41の軸方向一側において軸受支持部49及びシール支持部51がケース本体17に設けられ、ヘリカル・ギヤ41の軸方向他側において軸受支持部53及びシール支持部55がケース・カバー19に設けられている。
【0024】
軸受支持部49,53に、前記ヘリカル・ギヤ41を一体に設けた連結中空軸7が、ボール・ベアリング57,59により回転自在に支持されている。
【0025】
第1の収容部31のシール支持部51及びシール支持部55内周には、シールとしてオイル・シール61,63が取り付けられている。オイル・シール61,63は、連結中空軸7外周に密接し、相対摺動可能となっている。
【0026】
連結中空軸7の一端側内周に形成された結合用のスプライン部65は、第1の収容部31の一端の開口67において、フロント・デファレンシャル装置のデフ・ケース側にスプライン係合される。
【0027】
前記第2の収容部33は、伝達中間軸9の一端側においてケース本体17に閉じ壁部69有し、伝達中間軸9の他端側においてケース・カバー19に閉じ壁部71を有している。
【0028】
閉じ壁部69には、軸受支持部73が段付き状に形成され、閉じ壁部71には、軸受支持部75が段付き状に形成されている。
【0029】
なお、ケース・カバー19には、潤滑油注入用の注入口20が設けられ、フィラー・プラグ22で閉じられている。
【0030】
前記伝達中間軸9の一端側には、前記リング・ギヤ45がスプライン係合され、他端側には、前記ヘリカル・ギヤ43が一体に形成されている。この伝達中間軸9は、リング・ギヤ45のボス部45aと伝達中間軸9の他端とがテーパー・ローラー・ベアリング77,79により回転自在に支持されている。
【0031】
なお、第1のケース部分13のケース本体17には、ピニオン・ギヤ47より鉛直方向上位位置に仮想線で示す潤滑油ガイド部105が設けられており、この潤滑油ガイド部105は、仮想線で示す軸線109に沿って回転する切削工具によって形成されるが、その形状や形成方法の詳細については後述する。
【0032】
前記第2のケース部分15は、前記後輪側出力軸11を支持するものであり、軸受スリーブで構成されている。
【0033】
第2のケース部分15は、一端部81が第1のケース部分13の第2の収容部33の開口83内周に嵌合して組み付け結合され、ボルトにより締結固定されている。
【0034】
一端部81外周には、オー・リング85が取り付けられ、開口83内周に密接している。
【0035】
この第2のケース部分15には、軸受支持部87,89及びシール支持部91が設けられている。
【0036】
軸受支持部87,89には、テーパー・ローラー・ベアリング93,95を介して前記後輪側出力軸11が回転自在に支持されている。テーパー・ローラー・ベアリング95は、後輪側出力軸11にスプライン嵌合する結合部材97を介してナット99により軸方向に締結されプリ・ロードが付与されている。テーパー・ローラー・ベアリング93,95のインナーレース間には、スプリング・スリーブ101が介設され、テーパー・ローラー・ベアリング93のインナーレースは後輪側出力軸11と一体のピニオン・ギヤ47に当接している。
【0037】
シール支持部91には、オイル・シール103が取り付けられ、このオイル・シール103が結合部材97に密接し、相対摺動可能となっている。結合部材97には、ダスト・カバー105が取り付けられ、オイル・シール103及びシール支持部91外周を覆っている。
[潤滑油ガイド部]
図3は、軸受支持部と潤滑ガイド部との高さ位置を示す概念図、図4は、軸受支持部と第2の収容部と潤滑ガイド部との関係を示す斜視図、図5は、潤滑ガイド部の加工を示す断面図である。
【0038】
図3、図4のように、リング・ギヤ収容部である前記第2の収容部33と前記軸受であるテーパー・ローラー・ベアリング93上部側との間に、潤滑油ガイド部105が設けられている。
【0039】
潤滑油ガイド部105は、前記ケースである分配ケース5のケース本体17内壁面を切り欠いて形成されている。この潤滑油ガイド部105は、図5で示す仮想円筒面107の一部を成す曲面形状に形成されている。
【0040】
この仮想円筒面107は、潤滑油ガイド部105を切削工具の回転により形成するとき、切削工具の外縁の回転軌跡により形成されるものである。この潤滑油ガイド部105の曲面形状を含む仮想円筒面107の軸線109が、前記テーパー・ローラー・ベアリング93側から前記リング・ギヤ45の上部側へ傾斜指向している。
【0041】
さらに、第2のケース部分15の内周面には、ピニオン・ギヤ47の軸線方向に潤滑油ガイド溝111が形成されており、一端部81から流入した潤滑油は、一対のベアリング93,95の軸方向対向空間に流入して導入される。このガイド溝111は、潤滑油ガイド部105より鉛直方向下方に位置し、ピニオン・ギヤ47の軸線位置と鉛直方向同位に位置している。また、潤滑油がイド溝111の端部には、第2のケース部分15の一端部81側からピニオン・ギヤ47の背面に向けて突出形成した潤滑油受止部108が下位の縁側で連繋形成されており、潤滑油ガイド部105によって指向流動する潤滑油をガイド溝111に向けて導入させている。
【0042】
この潤滑油ガイド部105の上端105aは、テーパー・ローラー・ベアリング93の上端に対応する軸受支持部87内周面の上端に対してHだけ高く設定され、テーパー・ローラー・ベアリング93以上に位置している。
【0043】
前記のように、第2のケース部分15内周には、左右側面部に一端部81からシール支持部91側に掛けて軸方向の潤滑油ガイド溝111,113が形成されている。
[トルク伝達]
エンジンからトランス・ミッションを介してフロント・デファレンシャル装置に伝達された駆動力は、一方で左右サイド・ギヤから車軸中間軸3側へ出力され、他方でデフ・ケースから連結中空軸7へ伝達される。
【0044】
連結中空軸7からは、ヘリカル・ギヤ41,43の噛み合いを介して伝動中間軸9へ駆動力伝達が行われる。
【0045】
伝動中間軸9からは、リング・ギヤ45及びピニオン・ギヤ47の噛み合いにより後輪側出力軸11へ駆動力伝達が行われ、後輪側出力軸11からプロペラ・シャフトへ出力される。
【0046】
従って、リヤ・デファレンシャル装置から左右後輪側へ駆動力が伝達され、4輪駆動状態で走行することができる。
[潤滑]
潤滑油は、分配ケース5内において伝達中間軸9の回転中心下方でヘリカル・ギヤ43の歯部が浸る高さ付近まで収容されている。
【0047】
前記動力伝達時に、リング・ギヤ45が回転すると潤滑油がリング・ギヤ45によって掻き上げられ、飛散する潤滑油の飛散方向に潤滑油ガイド部105の曲面形状が指向する傾向となり、テーパー・ローラー・ベアリング93側に潤滑油を潤滑油ガイド部105により円滑にガイドすることができる。
【0048】
図4に矢印114で示したように、潤滑油ガイド部105の曲面形状で案内された潤滑油は、潤滑油受止部108から潤滑油ガイド溝111,113を通り、テーパー・ローラー・ベアリング95やオイル・シール103側へも供給さる。
【0049】
したがって、テーパー・ローラー・ベアリング93,95、オイル・シール103の潤滑性を向上させることができる。
[実施例1の効果]
本発明実施例1のトランスファ装置1では、分配ケース5へテーパー・ローラー・ベアリング93,95により回転自在に支持された後輪側出力軸11にピニオン・ギヤ47が備えられ、前記分配ケース5の前記テーパー・ローラー・ベアリング93に隣接する第2の収容部33内に回転自在に支持されたリング・ギヤ45が前記ピニオン・ギヤ47に噛み合い、前記リング・ギヤ45及びピニオン・ギヤ47の噛合回転により前記分配ケース5内の前記第2の収容部33側に収容された潤滑油が掻き上げられて前記テーパー・ローラー・ベアリング93,95の潤滑を行うトランスファ装置1であって、前記第2の収容部33と前記テーパー・ローラー・ベアリング93上部側との間に、前記分配ケース5内壁面を切り欠いて形成した潤滑油ガイド部105を設けた。
【0050】
前記潤滑油ガイド部105は、仮想円筒面107の一部を成す曲面形状に形成され、前記曲面形状を含む仮想円筒面107の軸線109が、前記テーパー・ローラー・ベアリング93側から前記リング・ギヤ45の上部側へ傾斜指向している。
【0051】
このため、リング・ギヤ45が回転して掻き上げられた潤滑油が遠心力で飛散するとき、リング・ギヤ45によって掻き上げられ、飛散する潤滑油の飛散方向に潤滑油ガイド部105の曲面形状が指向する傾向となり、後輪側出力軸11を支持するテーパー・ローラー・ベアリング93,95側に潤滑油を潤滑油ガイド部105により円滑にガイドすることができる。
【0052】
したがって、分配ケース5の第2の収容部33に対して後輪側出力軸11が支持される部分側内である第2のケース部分15内へ潤滑油を導きやすく、後輪側出力軸11を支持するテーパー・ローラー・ベアリング93,95、さらにはオイル・シール103の潤滑性を向上させることができる。
【0053】
前記潤滑油ガイド部105の上端は、前記テーパー・ローラー・ベアリング93以上に位置する。
【0054】
このため、リング・ギヤ45によって掻き上げられ、主にその上部から斜め下方へ向かって飛散する潤滑油を的確に受け取り、テーパー・ローラー・ベアリング93側へ導くことができる。
【0055】
前記潤滑油ガイド部105は、切削工具の回転により加工する。
【0056】
このため、仮想円筒面107の軸線109の傾斜を容易に形成することができる。
[その他]
潤滑油ガイド部は、飛散する潤滑油を案内できる形状であれば曲面形状に限られるものではなく、第1のケース部分に切欠形成される凹形状であればよい。また、そのガイド部は切削加工に限らず例えば射抜き形成されても良い。さらに、そのガイド部の形成長さは、リング・ギヤの回転方向に沿うように所定長さを十分に確保させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】トランスファ装置の軸を主体とした横断面図である。(実施例1)
【図2】ケース・カバーを取り外したケース本体側の側面図である。(実施例1)
【図3】軸受け支持部と潤滑ガイド部との高さ位置を示す概念図である。(実施例1)
【図4】軸受け支持部と第2の収容部と潤滑ガイド部との関係を示す斜視図である。(実施例1)
【図5】潤滑ガイド部の加工を示す断面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0058】
1 トランスファ装置

5 分配ケース(ケース)
11 後輪側出力軸(出力軸)
33 第2の収容部(リング・ギヤ収容部)
45 リング・ギヤ
47 ピニオン・ギヤ
93,95 テーパー・ローラー・ベアリング(軸受)
105 潤滑油ガイド部
107 仮想円筒面
109 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースへ軸受により回転自在に支持された出力軸にピニオン・ギヤが備えられ、
前記ケースの前記軸受に隣接するリング・ギヤ収容部内に回転自在に支持されたリング・ギヤが前記ピニオン・ギヤに噛み合い、
前記リング・ギヤ及びピニオン・ギヤの噛合回転により前記ケース内の前記リング・ギヤ収容部側に収容された潤滑油が掻き上げられて前記軸受の潤滑を行う動力伝達装置であって、
前記リング・ギヤ収容部と前記軸受上部側との間に、前記ケース内壁面を切り欠いて形成した潤滑油ガイド部を設け、
前記潤滑油ガイド部は、前記軸受側から前記リング・ギヤの上部側へ傾斜指向している、
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の動力伝達装置であって、
前記ケースは、前記リング・ギヤ収容部を形成したケース本体と前記軸受を軸受支持部に支持して一端部が前記ケース本体の開口に結合された軸受スリーブとからなり、
前記潤滑油ガイド部は、前記ケース本体に形成された、
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の動力伝達装置であって、
前記潤滑油ガイド部の上端は、前記軸受以上に位置する、
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の動力伝達装置であって、
前記潤滑油ガイド部は、切削工具の回転により加工する、
ことを特徴とする動力伝達装置の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−53902(P2010−53902A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217203(P2008−217203)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000225050)GKN ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 (409)
【Fターム(参考)】