説明

動力伝達装置

【課題】車両の重量の増加に伴ってクラッチに加わる負荷が増大するのを抑制し得る動力伝達装置を提供する。
【解決手段】本発明は、エンジンの回転に伴って回転する駆動プーリと、駆動プーリと駆動ベルト41を介して接続される従動プーリ42と、を有する無段階変速装置35と、従動プーリ42と回転一体に設けられる第1入力回転部60と、従動プーリ42にクラッチ36を介して接続される第2入力回転部57と、クラッチ36の接続状態に応じて回転伝達率を変化させながら、第1入力回転部60及び第2入力回転部57の回転を駆動輪12側へ伝達する出力回転部59と、を有する遊星変速装置37と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの動力を駆動輪へ伝達するための動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車等の車両においては、エンジンの動力を駆動輪(自動二輪車の場合、通常は後輪)へ伝達するための動力伝達装置が設けられている。例えば、運転者シートの前下方に平坦な足置きが設けられた所謂スクータ型自動二輪車の場合、無段階変速装置と遠心クラッチを組み合わせた動力伝達装置をエンジンと一体に形成する構成が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
上記した無段階変速装置は、通常、前後方向に並べて配置された駆動プーリと従動プーリとの間に無端状のVベルトを巻き掛ける構成となっており、エンジンのクランク軸の回転数に応じて駆動プーリの可動部分がクランク軸の軸方向に移動することで、変速比を無段階に変化させるようになっている。
【0004】
また、上記した遠心クラッチは、通常、従動プーリとともに従動軸上に回転可能に配置される。そして、従動プーリが一定の回転数以上で回転すると、遠心クラッチが接続状態となって従動プーリの回転が従動軸へ伝達され、この従動軸の回転が、中間軸によって減速された後に駆動輪へ伝達されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−237284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の動力伝達装置では、車両の大型化(特に駆動輪の大型化)に伴って車両の重量が増加した場合に、遠心クラッチに加わる負荷が増大し、遠心クラッチが早期に摩耗する虞が有った。そして、このように遠心クラッチが早期に摩耗すると、遠心クラッチの交換頻度が高くなり、メンテナンス作業の煩雑化等を招く虞が有った。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、車両の重量の増加に伴ってクラッチに加わる負荷が増大するのを抑制し得る動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エンジンの動力を駆動輪へ伝達するための動力伝達装置であって、前記エンジンの回転に伴って回転する駆動プーリと、該駆動プーリと駆動ベルトを介して接続される従動プーリと、を有する無段階変速装置と、前記従動プーリと回転一体に設けられる第1入力回転部と、前記従動プーリにクラッチを介して接続される第2入力回転部と、前記クラッチの接続状態に応じて回転伝達率を変化させながら、前記第1入力回転部及び前記第2入力回転部の回転を前記駆動輪側へ伝達する出力回転部と、を有する遊星変速装置と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このようにクラッチと遊星変速装置を併用することで、従来はクラッチのみにかかっていた負荷を、クラッチと遊星変速装置に分散させることが可能となる。これに伴って、クラッチに加わる負荷を低減させることが可能となり、たとえ車両の重量が増加した場合でも、クラッチの摩耗を抑制し、クラッチの長寿命化を図ることが可能となる。そのため、クラッチの交換頻度を低下させて、メンテナンス作業の煩雑化等の不具合を防止することが可能となる。
【0010】
前記クラッチは、前記従動プーリを挟んで前記遊星変速装置とは反対側に配置される遠心クラッチであって、該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、該外輪歯車を前記第1入力回転部とし、前記太陽歯車を前記第2入力回転部とし、前記遊星キャリアを前記出力回転部としても良い。
【0011】
このような構成は、遠心クラッチとして乾式クラッチを採用する場合に好適である。また、このような構成を採用することにより、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを遊星キャリアから後輪側に伝達することが可能となる。これに伴って、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることが可能となり、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0012】
前記クラッチは、前記従動プーリを挟んで前記遊星変速装置とは反対側に配置される遠心クラッチであって、該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、前記遊星キャリアを前記第1入力回転部とし、前記太陽歯車を前記第2入力回転部とし、前記外輪歯車を前記出力回転部としても良い。
【0013】
このような構成は、遠心クラッチとして乾式クラッチを採用する場合に好適である。また、このような構成を採用することにより、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを外輪歯車から後輪側に伝達することが可能となる。これに伴って、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることが可能となり、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0014】
前記クラッチは、前記従動プーリと前記遊星変速装置の間に配置される遠心クラッチであって、該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、前記太陽歯車を前記第1入力回転部とし、前記外輪歯車を前記第2入力回転部とし、前記遊星キャリアを前記出力回転部としても良い。
【0015】
このような構成は、遠心クラッチとして湿式クラッチを採用する場合に好適である。また、このような構成を採用することにより、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを遊星キャリアから後輪側に伝達することが可能となる。これに伴って、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることが可能となり、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0016】
前記クラッチは、前記従動プーリと前記遊星変速装置の間に配置される遠心クラッチであって、該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、前記太陽歯車を前記第1入力回転部とし、前記遊星キャリアを前記第2入力回転部とし、前記外輪歯車を前記出力回転部としても良い。
【0017】
このような構成は、遠心クラッチとして湿式クラッチを採用する場合に好適である。また、このような構成を採用することにより、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを外輪歯車から後輪側に伝達することが可能となる。これに伴って、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることが可能となり、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0018】
前記クラッチは、前記太陽歯車と回転一体に設けられるクラッチシューと、該クラッチシューの外周に配置され、前記遊星キャリアと回転一体に設けられるクラッチハウジングと、を備え、該クラッチハウジングの回転を停止させる制動装置が設けられていても良い。
【0019】
このような構成を採用することにより、クラッチハウジング及び遊星キャリアの回転を制動装置によって一体的に停止させることが可能となり、この回転停止に伴って、クラッチハウジング及び遊星キャリアの回転時とは逆方向のトルクを外輪歯車に発生させることが可能となる。そのため、動力伝達装置を車両の前進用と後退用に併用することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車両の重量の増加に伴ってクラッチに加わる負荷が増大するのを抑制し得る動力伝達装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る自動二輪車を示す左側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る自動二輪車において、パワーユニットを示す左側面図である。
【図3】図2のA―A断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る自動二輪車の遊星変速装置において、(a)は、外輪歯車と太陽歯車が逆方向に回転している状態を示す模式図であり、(b)は、外輪歯車と太陽歯車が差動回転している状態を示す模式図であり、(c)は、外輪歯車と太陽歯車が同期回転している状態を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る自動二輪車の動力伝達装置において、(a)は、遠心クラッチが切断された状態を示す模式図であり、(b)は、遠心クラッチが接続された状態を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る自動二輪車の動力伝達装置を示す模式図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る自動二輪車の動力伝達装置を示す模式図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る自動二輪車の動力伝達装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。以下の第1〜第4の実施形態では、本発明を小型のスクータ型自動二輪車1(以下、「自動二輪車1」と略称する。)に適用した場合について説明する。
【0023】
<第1の実施形態>
まず、自動二輪車1の全体の構成について説明する。以下、上下、左右、前後の方向は、自動二輪車1に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、各図において適宜示される矢印Frは、車両の前方を示している。
【0024】
図1に示されるように、自動二輪車1には、車体の骨組を構成するアンダーボーン型の車体フレーム2が設けられている。車体フレーム2は、その前部上端に配置されるヘッドパイプ3と、ヘッドパイプ3から後下方に向かって延設されるダウンチューブ4と、ダウンチューブ4の後端から後上方に向かって延設されるシートレール5と、を備えている。
【0025】
ヘッドパイプ3には、フロントフォーク6がハンドルバー7と共に回転可能に支持されている。フロントフォーク6の下端には前輪8が軸支され、前輪8の上方を覆うようにしてフロントフェンダ9が設けられている。
【0026】
ダウンチューブ4の後下部には、ピボット軸10回りに、パワーユニット11の前端部が上下方向揺動可能に支持されており、パワーユニット11の後端部には後輪12が軸支されている。パワーユニット11の詳細については後述する。ヘッドパイプ3とダウンチューブ4の周囲は、前方からフロントカバー13により覆われるとともに後方からレッグシールド14により覆われている。
【0027】
シートレール5は、フレームカバー15によって覆われており、フレームカバー15とレッグシールド14の間には、運転者が乗車時に足を載置するための低床状のフットボード16が設けられている。フレームカバー15の後端部には、後輪12の上方を覆うようにしてリヤフェンダ17が設けられ、リヤフェンダ17の前上方には運転者シート18が設けられている。
【0028】
次に、パワーユニット11について説明する。
【0029】
図2に示されるように、パワーユニット11は、エンジン19と、エンジン19の後方に設けられてベルトケース20に覆われる動力伝達装置21と、を備えている。
【0030】
エンジン19は、例えばSOHC式の空冷単気筒型であり、クランクケース22と、クランクケース22から前方(正確には、前方に向かって僅かに上方に傾斜する方向)に向かって突出するシリンダアセンブリ23と、を備えている。図3に示されるように、シリンダアセンブリ23は、クランクケース22から前方に突出するシリンダ24と、シリンダ24の前方に設けられるシリンダヘッド25と、シリンダヘッド25の前面を被覆するヘッドカバー26と、を備えている。
【0031】
クランクケース22内には、クランク軸27が車幅方向(左右方向)に沿って軸支されている。クランク軸27は、シリンダ24内に往復動可能に収納されたピストン28とコンロッド30を介して接続されており、ピストン28の往復動がコンロッド30を介してクランク軸27の回転に変換されるように構成されている。
【0032】
クランク軸27の右端部には冷却ファン31が取り付けられ、この冷却ファン31を覆うようにしてファンカバー32が配置されている。そして、クランク軸27の回転に伴って冷却ファン31が回転し、外部から導入された空気がシリンダ24及びシリンダヘッド25内を冷却するように構成されている。
【0033】
シリンダ24とシリンダヘッド25の間には、燃焼室33が形成されている。燃焼室33は、シリンダヘッド25の上面に開口された吸気ポート(図示せず)と連通している。吸気ポートには、エアクリーナ34(図1参照)及び燃料噴射装置(図示せず)が接続されており、エアクリーナ34から導入された空気と燃料噴射装置から噴射された燃料が混合された後、吸気ポートを介して燃焼室33に導入されるように構成されている。
【0034】
燃焼室33は、シリンダヘッド25の下面に開口された排気ポート(図示せず)と連通している。排気ポートには排気管(図示せず)が接続されており、燃焼室33からの排気が、排気ポート及び排気管を介して車体の後方に排出されるように構成されている。
【0035】
動力伝達装置21は、エンジン19の後部の左方から後左方にかけて設けられた無段階変速装置35と、無段階変速装置35の後部の左方に設けられた遠心クラッチ36と、無段階変速装置35の後部の右方に設けられた遊星変速装置37と、遊星変速装置37の後方に設けられた減速装置38と、を備えている。
【0036】
無段階変速装置35は、駆動プーリ40と、駆動プーリ40と駆動ベルトとしての無端状のVベルト41を介して接続される従動プーリ42と、を備えている。
【0037】
駆動プーリ40は、クランク軸27の左端部に配置されている。駆動プーリ40は、クランク軸27に固定された固定フェイス43と、固定フェイス43の右側に配置され、クランク軸27の軸方向(左右方向)に沿ってスライド可能な可動フェイス44と、を備えている。可動フェイス44には、ウェイトローラ45が取り付けられている。
【0038】
従動プーリ42は、駆動プーリ40の後方に設けられている。従動プーリ42は、クランク軸27の後方に車幅方向に沿って軸支された従動軸46の左側部に配置されている。従動プーリ42は、従動軸46の外周に回転可能に取り付けられたスリーブ47に固定された固定フェイス48と、固定フェイス48の左側に配置され、従動軸46の軸方向(左右方向)に沿ってスライド可能な可動フェイス50と、を備えている。
【0039】
遠心クラッチ36は、例えば乾式のクラッチである。図4に最も良く示されるように、遠心クラッチ36は、従動軸46の左端部に配置されており、従動プーリ42を挟んで遊星変速装置37とは反対側に配置されている。遠心クラッチ36は、スリーブ47の左端部に固定されたベースプレート51と、ベースプレート51に固定されたクラッチシュー52と、クラッチシュー52の外周を覆うようにして設けられたクラッチハウジング53と、を備えている。
【0040】
ベースプレート51と従動プーリ42の可動フェイス50の間にはコイルスプリング54が介装されており、このコイルスプリング54によって、従動プーリ42の可動フェイス50が従動プーリ42の固定フェイス48側に付勢されている。クラッチハウジング53は、従動軸46の左端部に固定された固定部55と、この固定部55から右方に向かって突出するフランジ部56と、を備えており、フランジ部56の内周部がクラッチシュー52の外周部と対向している。
【0041】
遊星変速装置37は、従動軸46の右側部に配置されており、減速装置38とともにミッションカバー49内に液密状態で収納されており、オイルに浸されている。遊星変速装置37は、従動軸46の右側部に固定された第2入力回転部としての太陽歯車57と、太陽歯車57と噛合する複数個(例えば7個。図5参照。)の遊星歯車58と、遊星歯車58を支持する出力回転部としての遊星キャリア59と、遊星歯車58と噛合する第1入力回転部としての外輪歯車60と、を備えている。
【0042】
太陽歯車57は、スリーブ47、遠心クラッチ36及び従動軸46を介して、従動プーリ42と接続されている。遊星キャリア59は、太陽歯車57及び遊星歯車58の右方に配置されており、一対の軸受け61を介して従動軸46の外周に回転可能に支持されている。遊星キャリア59の右側部には、接続ギア63が設けられている。外輪歯車60は、太陽歯車57及び遊星歯車58の左方から遊星歯車58の外周に亘って設けられており、軸受け62を介して従動軸46の外周に回転可能に支持されている。外輪歯車60の左端部はスリーブ47の右端部に固定されている。
【0043】
減速装置38は、従動軸46の後方に車幅方向に沿って軸支された中間軸64と、中間軸64に固定されて遊星キャリア59の接続ギア63と噛合する第1中間ギア65と、中間軸64に設けられた第2中間ギア66と、中間軸64の後方に車幅方向に沿って軸支された出力軸67に取り付けられ、第2中間ギア66と噛合する出力ギア68と、を備えている。そして、この減速装置38を介して、遊星キャリア59の回転が、出力軸67に取り付けられた後輪12に伝達されるように構成されている。
【0044】
上記の如く構成されたものにおいて、無段階変速装置35の作用について説明する。
【0045】
エンジン19のクランク軸27の回転数が上昇してウェイトローラ45にかかる遠心力が増大すると、これに伴ってウェイトローラ45が駆動プーリ40の可動フェイス44を固定フェイス43側に押圧して移動させ、駆動プーリ40におけるVベルト41の巻き掛け半径が大きくなる。一方、従動プーリ42の可動フェイス50がコイルスプリング54の付勢力に抗して従動プーリ42の固定フェイス48から離間する方向に移動し、従動プーリ42におけるVベルト41の巻き掛け半径が小さくなる。
【0046】
このようにして、駆動プーリ40及び従動プーリ42におけるVベルト41の巻き掛け半径が無段階に調節され、これに伴って、エンジン19の回転が無段階に変速されて従動プーリ42に伝達される。
【0047】
上記の如く構成されたものにおいて、遠心クラッチ36及び遊星変速装置37の作用について説明する。
【0048】
上記のようにして、エンジン19の回転が従動プーリ42に伝達されると、従動プーリ42、スリーブ47、ベースプレート51、クラッチシュー52及び外輪歯車60が一体に回転する。このように外輪歯車60が回転すると、図5(a)に示されるように、遊星歯車58が外輪歯車60と同一方向に自転し、これに伴って、太陽歯車57が外輪歯車60及び遊星歯車58とは逆方向に回転する。
【0049】
エンジン19の回転数が一定数に達するまでは、図6(a)に示されるように、遠心クラッチ36のクラッチシュー52がクラッチハウジング53から離間しており、遠心クラッチ36が切断されている。そのため、スリーブ47、遠心クラッチ36及び従動軸46を介して従動プーリ42の回転が太陽歯車57に伝達されることは無い。これに伴って、遊星歯車58は、太陽歯車57の周りを公転せず、自転のみを行うため、遊星キャリア59が外輪歯車60及び太陽歯車57の回転を後輪12側に伝達することもなく、自動二輪車1は停止している。即ち、回転伝達率(<出力回転部(本実施形態では遊星キャリア59)の回転数>/<従動プーリ42の回転数>)は0である。以下、この状態を「アイドリング状態」と称する。
【0050】
なお、このアイドリング状態においても、スリーブ47、外輪歯車60、遊星歯車58、太陽歯車57及び従動軸46を介して、従動プーリ42の回転がクラッチハウジング53に伝達されており、クラッチハウジング53が回転している。
【0051】
このアイドリング状態から、車両の発進のためにエンジン19の回転数を上昇させると、従動プーリ42、スリーブ47、ベースプレート51、クラッチシュー52及び外輪歯車60の回転数も上昇し、クラッチシュー52にかかる遠心力が高まる。これに伴って、図6(b)に示されるように、クラッチシュー52がクラッチハウジング53に対する接触を開始し、遠心クラッチ36が切断状態から滑り状態に移行する。これにより、スリーブ47、遠心クラッチ36及び従動軸46を介して従動プーリ42の回転が太陽歯車57に減速されて伝達される。
【0052】
このように、太陽歯車57に従動プーリ42の回転が減速されて伝達されると、図5(b)に示されるように、外輪歯車60の回転方向と同一方向のトルクが太陽歯車57にかかる。換言すれば、遠心クラッチ36の切断時に太陽歯車57にかかっていたトルクとは逆方向のトルクが太陽歯車57にかかる。これに伴って、遊星歯車58は、自転を継続しつつ、外輪歯車60と太陽歯車57の差動回転に応じた回転数(外輪歯車60の回転数よりも小さな回転数)で、太陽歯車57の周りを外輪歯車60と同一方向に公転し始める。これに伴って、遊星キャリア59が回転を開始し、この遊星キャリア59の回転が、減速装置38によって減速された後に出力軸67に伝達され、出力軸67に取り付けられた後輪12が回転する。この時、回転伝達率は、0よりも大きく1よりも小さくなる。以下、この状態を、「差動回転状態」と称する。
【0053】
この差動回転状態から、車両の定常走行のためにエンジン19の回転数を更に上昇させると、従動プーリ42、スリーブ47、ベースプレート51、クラッチシュー52及び外輪歯車60の回転数も更に上昇し、クラッチシュー52にかかる遠心力が更に高まる。これに伴って、クラッチシュー52がクラッチハウジング53に相対回転不能に接触し、遠心クラッチ36が滑り状態からロック状態に移行する。これにより、スリーブ47、遠心クラッチ36及び従動軸46を介して、従動プーリ42の回転が太陽歯車57に減速されずに伝達される。
【0054】
このように、従動プーリ42の回転が太陽歯車57に減速されずに伝達されると、太陽歯車57の回転数が外輪歯車60の回転数と同一になる。つまり、外輪歯車60と太陽歯車57が同期回転する。これに伴って、図5(c)に示されるように、遊星歯車58の自転が停止するとともに、遊星歯車58が、外輪歯車60と同一の回転数で、太陽歯車57の周りを外輪歯車60と同一方向に公転する。これに伴って、遊星キャリア59が従動プーリ42と同一の回転数で回転し、この遊星キャリア59の回転が、減速装置38によって減速された後に出力軸67に伝達され、出力軸67に取り付けられた後輪12が差動回転状態よりも高速で回転する。この時、回転伝達率は、1となる。以下、この状態を、「同期回転状態」と称する。
【0055】
以上のように、本実施形態においては、遠心クラッチ36と遊星変速装置37を併用しており、従来は遠心クラッチ36のみにかかっていた負荷を、遠心クラッチ36と遊星変速装置37に分散させることが可能となる。これに伴って、遠心クラッチ36に加わる負荷を低減させることが可能となり、たとえ車輪の大型化等に伴って自動二輪車1の重量が増加した場合でも、遠心クラッチ36の摩耗を抑制し、遠心クラッチ36の長寿命化を図ることが可能となる。そのため、遠心クラッチ36の交換頻度を低下させて、メンテナンス作業の煩雑化等の不具合を防止することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態においては、遠心クラッチ36の接続状態に応じて回転伝達率を変化させることで、アイドリング状態と差動回転状態と同期回転状態を自動的に切り換えることを可能としている。そのため、例えば、遠心クラッチ36と変速用クラッチやワンウェイクラッチを併用することで上記した切換を実現する場合と比較して、部品点数を削減して、製造コストの低廉化と信頼性及び生産性の向上を図ることが可能となる。
【0057】
また、乾式の遠心クラッチ36が従動プーリ42を挟んで遊星変速装置37とは反対側に配置されており、このようなレイアウトは、本実施形態のように乾式の遠心クラッチ36をミッションカバー49の外部に配置する場合に好適である。
【0058】
また、本実施形態では、外輪歯車60を第1入力回転部とし、太陽歯車57を第2入力回転部とし、遊星キャリア59を出力回転部としている。このような構成を採用することにより、差動回転状態における回転伝達率を同期回転状態における回転伝達率よりも小さくすることが可能となり、これに伴って、差動回転状態におけるトルクを同期回転状態におけるトルクよりも大きくすることが可能となる。そのため、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを遊星キャリア59から後輪12側に伝達することが可能となり、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることができ、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態では上記のように、アイドリング状態においてもクラッチハウジング53を常に回転させておくことが可能となるため、アイドリング状態でクラッチハウジング53の回転を停止させる場合と比較して、クラッチハウジング53の冷却性能を高めることが可能となる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と構成が同様の部分については、説明を適宜省略する。
【0061】
図7に示されるように、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、乾式の遠心クラッチ36が従動プーリ42を挟んで遊星変速装置37とは反対側に配置されている。このようなレイアウトは、遊星変速装置37及び減速装置38を液密状態で収納するミッションカバー49の外部に乾式の遠心クラッチ3を配置する場合に好適である。
【0062】
第2の実施形態では、遊星キャリア59は、スリーブ47を介して従動プーリ42に固定されており、遊星キャリア59と従動プーリ42が回転一体となっている。即ち、遊星キャリア59を第1入力回転部としている。太陽歯車57は、スリーブ47、遠心クラッチ36及び従動軸46を介して従動プーリ42と接続されている。即ち、太陽歯車57を第2入力回転部としている。外輪歯車60には接続ギア63が設けられており、この接続ギア63に減速装置38の第1中間ギア65が噛合している。即ち、外輪歯車60を出力回転部としている。
【0063】
このような構成を採用することにより、差動回転状態における回転伝達率(<出力回転部(本実施形態では外輪歯車60)の回転数>/<従動プーリ42の回転数>)を同期回転状態における回転伝達率よりも小さくすることが可能となり、これに伴って、差動回転状態におけるトルクを同期回転状態におけるトルクよりも大きくすることが可能となる。そのため、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを外輪歯車60から後輪12側に伝達することが可能となり、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることができ、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0064】
また、上記した構成によれば、アイドリング状態におけるクラッチシュー52とクラッチハウジング53の回転方向を同一方向とすることが可能となり、これに伴って、遠心クラッチ36の接続に伴う衝撃を緩和することが可能となる。
【0065】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と構成が同様の部分については、説明を適宜省略する。
【0066】
図8に示されるように、第3の実施形態では、湿式の遠心クラッチ36を従動プーリ42と遊星変速装置37の間に配置している。なお、従動プーリ42を挟んで遠心クラッチ36及び遊星変速装置37とは反対側にはバネ受け70が設けられ、このバネ受け70と従動プーリ42の可動フェイス44の間に介装されたコイルスプリング54により、従動プーリ42の可動フェイス44が従動プーリ42の固定フェイス43側に付勢されている。このようなレイアウトは、遊星変速装置37及び減速装置38を液密状態で収納するミッションカバー49の内部に湿式の遠心クラッチ36を配置する場合に好適である。
【0067】
第3の実施形態では、従動プーリ42、クラッチシュー52及び太陽歯車57が従動軸46に固定されており、太陽歯車57と従動プーリ42が回転一体となっている。即ち、太陽歯車57を第1入力回転部としている。外輪歯車60は、遠心クラッチ36のクラッチハウジング53と一体に形成されており、従動軸46及び遠心クラッチ36を介して従動プーリ42と接続されている。即ち、外輪歯車60を第2入力回転部としている。遊星キャリア59には接続ギア63が設けられており、この接続ギア63に減速装置38の第1中間ギア65が噛合している。即ち、遊星キャリア59を出力回転部としている。
【0068】
このような構成を採用することにより、差動回転状態における回転伝達率(<出力回転部(本実施形態では遊星キャリア59)の回転数>/<従動プーリ42の回転数>)を同期回転状態における回転伝達率よりも小さくすることが可能となり、これに伴って、差動回転状態におけるトルクを同期回転状態におけるトルクよりも大きくすることが可能となる。そのため、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを遊星キャリア59から後輪12側に伝達することが可能となり、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることができ、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0069】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態又は第3の実施形態と構成が同様の部分については、説明を適宜省略する。
【0070】
図9に示されるように、第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に、湿式の遠心クラッチ36を従動プーリ42と遊星変速装置37の間に配置している。このようなレイアウトは、遊星変速装置37及び減速装置38を液密状態で収納するミッションカバー49の内部に湿式の遠心クラッチ36を配置する場合に好適である。
【0071】
第4の実施形態では、従動プーリ42、クラッチシュー52及び太陽歯車57が従動軸46に固定されており、太陽歯車57と従動プーリ42が回転一体となっている。即ち、太陽歯車57を第1入力回転部としている。遊星キャリア59は、遠心クラッチ36のクラッチハウジング53と回転一体に設けられており、従動軸46及び遠心クラッチ36を介して従動プーリ42と接続されている。即ち、遊星キャリア59を第2入力回転部としている。外輪歯車60には接続ギア63が設けられており、この接続ギア63に減速装置38の第1中間ギア65が噛合している。即ち、外輪歯車60を出力回転部としている。
【0072】
このような構成を採用することにより、差動回転状態における回転伝達率(<出力回転部(本実施形態では外輪歯車60)の回転数>/<従動プーリ42の回転数>)を同期回転状態における回転伝達率よりも小さくすることが可能となり、これに伴って、差動回転状態におけるトルクを同期回転状態におけるトルクよりも大きくすることが可能となる。そのため、車両の発進時に車両の定常走行時よりも大きなトルクを外輪歯車60から後輪12側に伝達することが可能となり、車両の発進と定常走行にそれぞれ適したトルクを得ることができ、燃費と加速性能の両方を向上させることができる。
【0073】
また、上記した構成によれば、アイドリング状態におけるクラッチシュー52とクラッチハウジング53の回転方向を同一方向とすることが可能となり、これに伴って、遠心クラッチ36の接続に伴う衝撃を緩和することが可能となる。
【0074】
第4の実施形態では、クラッチハウジング53の一側にフランジ状のブレーキディスク71が突設されている。クラッチハウジング53の近傍には制動装置72が設けられ、制動装置72には、ブレーキディスク71を両側から挟むようにして一対のブレーキパッド73が設けられている。そして、例えばハンドルバー7の近傍に配置されたバックスイッチ(図示せず)が押下されると、これに伴って制動装置72が作動してブレーキパッド73がブレーキディスク71に接触し、クラッチハウジング53の回転が停止するように構成されている。
【0075】
このような構成において、遠心クラッチ36が非接続状態で、制動装置72を作動させてブレーキパッド73をブレーキディスク71に接触させると、クラッチハウジング53及び遊星キャリア59の回転が停止し、遊星歯車58の公転が抑制される。これに伴って、外輪歯車60に、制動装置72の非作動時とは逆方向のトルクが発生し、接続ギア63が逆方向に回転する。これに伴って、後輪12を逆回転させて自動二輪車1を後退させることが可能となる。このように、第4の実施形態の構成によれば、動力伝達装置21を自動二輪車1の前進用と後退用に併用することが可能となる。
【0076】
以上、第1〜第4実施形態で示した通り、本願発明は、適宜レイアウトを変更することで、乾式の遠心クラッチ36、湿式の遠心クラッチ36のいずれについても採用可能である。
【0077】
第1〜第4の実施形態では、単気筒型のエンジン19に本発明を適用する場合について説明したが、並列2気筒型、並列4気筒型、V型等の他の異なるタイプのエンジンに、本発明を適用しても良い。第1〜第4実施形態では、空冷式のエンジン19に本発明を適用する場合について説明したが、水冷式等の他の異なるタイプのエンジンに本発明を適用しても良い。第1〜第4実施形態では、SOHC式のエンジン19に本発明を適用する場合について説明したが、DOHC式等の他の異なるタイプのエンジンに本発明を適用しても良い。
【0078】
第1〜第4の実施形態では、スクータ型の自動二輪車1のエンジン19に本発明の構成を適用したが、他の異なる実施形態では、オンロード型、オフロード等の自動二輪車のエンジンに本発明の構成を適用しても良い。また、ATV(不整地走行車両)、自動車(四輪車)、雪上車等のエンジンに、本発明の構成を適用しても良い。つまり、本発明は、車両用エンジン全般に適用することが可能である。
【0079】
第1〜第4の実施形態では、エンジン19の回転数に応じて接続と非接続とが切り替わる遠心クラッチ36を備えた動力伝達装置21に本発明を適用したが、他の異なる実施形態では、運転者のクラッチレバー操作に応じて接続状態が切り替わる単板式又は多板式の板状クラッチを備えた動力伝達装置21に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0080】
12 後輪(駆動輪)
19 エンジン
21 動力伝達装置
35 無段階変速装置
36 遠心クラッチ
37 遊星変速装置
40 駆動プーリ
41 Vベルト(駆動ベルト)
42 従動プーリ
52 クラッチシュー
53 クラッチハウジング
57 太陽歯車
58 遊星歯車
59 遊星キャリア
60 外輪歯車
72 制動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力を駆動輪へ伝達するための動力伝達装置であって、
前記エンジンの回転に伴って回転する駆動プーリと、該駆動プーリと駆動ベルトを介して接続される従動プーリと、を有する無段階変速装置と、
前記従動プーリと回転一体に設けられる第1入力回転部と、前記従動プーリにクラッチを介して接続される第2入力回転部と、前記クラッチの接続状態に応じて回転伝達率を変化させながら、前記第1入力回転部及び前記第2入力回転部の回転を前記駆動輪側へ伝達する出力回転部と、を有する遊星変速装置と、を備えていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
前記クラッチは、前記従動プーリを挟んで前記遊星変速装置とは反対側に配置される遠心クラッチであって、
該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、
該外輪歯車を前記第1入力回転部とし、
前記太陽歯車を前記第2入力回転部とし、
前記遊星キャリアを前記出力回転部とすることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記クラッチは、前記従動プーリを挟んで前記遊星変速装置とは反対側に配置される遠心クラッチであって、
該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、
前記遊星キャリアを前記第1入力回転部とし、
前記太陽歯車を前記第2入力回転部とし、
前記外輪歯車を前記出力回転部とすることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記クラッチは、前記従動プーリと前記遊星変速装置の間に配置される遠心クラッチであって、
該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、
前記太陽歯車を前記第1入力回転部とし、
前記外輪歯車を前記第2入力回転部とし、
前記遊星キャリアを前記出力回転部とすることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記クラッチは、前記従動プーリと前記遊星変速装置の間に配置される遠心クラッチであって、
該遊星変速装置は、太陽歯車と、該太陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車を支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛合する外輪歯車と、を備え、
前記太陽歯車を前記第1入力回転部とし、
前記遊星キャリアを前記第2入力回転部とし、
前記外輪歯車を前記出力回転部とすることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記クラッチは、前記太陽歯車と回転一体に設けられるクラッチシューと、該クラッチシューの外周に配置され、前記遊星キャリアと回転一体に設けられるクラッチハウジングと、を備え、
該クラッチハウジングの回転を停止させる制動装置が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−24290(P2013−24290A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157981(P2011−157981)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】