説明

動物へのNDGA化合物を包含するカテコールブタンの注射のための製剤

本発明は疾患の治療のための組成物、キット及び方法を提供し、組成物は可溶化剤又は賦形剤を包含してよい製薬上許容しうる担体と共に少なくとも1つのカテコールブタン、例えばNDGA化合物及び誘導体を含有し、組成物は動物への注射に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物へのNDGA化合物を包含するカテコールブタンの注射のための製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、共に2005年1月27日出願の米国仮特許出願第60/647,495号及び第60/647,648号の利益を請求し、これらの出願は参照により全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、また、本出願と同時に出願され、そして「NDGA化合物を包含するカテコールブタンの送達のための経口用製剤」と題された代理人事件番号682714−9WOとして識別される国際特許出願にも関連し、その開示内容はこれにより参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願は疾患、例えば、癌、乾癬又は他の増殖性又は炎症性の疾患、代謝性疾患、例えば糖尿病又は神経疾患、例えば神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、卒中、筋萎縮性側索硬化症及びパーキンソン病の治療のための、ヒトのような動物にカテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体、例えばテトラ−O−メチルNDGAの投与のための、注射用製剤を包含する組成物、及び、方法に関する。
【0004】
ノルジヒドログアヤレチック酸(「NDGA」)は特定の実験動物において治療用途に関して試験されている。例えばJordan等は、米国特許第5,008,294号において第0日目にマウス内に皮下移植したヒト乳癌MX−1に対するNDGAの作用を記載している(実施例2)。腫瘍を発生したマウスに種々の用量のNDGAを第1日目に単回腫瘍内注射において注射している。この実施例におけるNDGAのための可溶化溶媒は開示されていない。別の実施例において、4mLのDMSO(即ちジメチルスルホキシド)及び6mLの蒸留水中の、10−2MのNDGAの保存溶液を細胞に対するインビトロ試験の為に使用している(実施例5)。
【0005】
フアング(Huang)等は米国特許6,214,874に記載の通り、NDGAの特定の誘導体(即ちNDGA誘導体)の治療用途を試験している。1つの実験においては、NDGA誘導体をDMSOに溶解している(実施例5)。
【0006】
ヒトへの投与のためのDMSOの使用は問題視されている。更に又、DMSOの使用は望ましくない副作用、例えば沈静、頭痛、嘔気、眠気、眼の熱傷感又は痛み、および感知可能な呼気悪臭を伴っている。(例えばブロビン,アール・ディ(Brobyn,R.D.)“The human toxicology of dimethyl sulfoxide”,Am.N.Y. Acad.Sci.243:497-506,January 27,1975参照)。国際公開04/112696号としての2004年12月29日公開のPCT/US2004/016117に記載の通りカテコールブタン、例えばNDGA又はNDGA誘導体(総称して「NDGA化合物」)がヒト及び他の動物のための治療薬として有用であるとすれば、そのようなカテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体、例えばMNを可溶化するためのDMSOを含有する製剤ではない新しい製剤を開発することが高度に望ましいことである。更に又、そのような製剤が安全であるのみならず、安定であり、動物に投与した場合に最小限の副作用を有していれば望ましいことである。ヒト及び他の動物においてインビボで所望の標的組織にこれらの化合物の有効量を分布できるような上記化合物のための製剤を開発することもまた望ましいことである。本発明はこれらの所望の利益を提供するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の1つの目的は、本明細書に記載したカテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体の可溶化のための1つ以上の新しい製剤を提供することであり、ここでそのような製剤はDMSOを含有せず、動物への注射に適するものである。
【0008】
本発明の別の1つの目的は、ヒトを含む動物に投与した場合に、安全でより少ない有害副作用を有する上記した製剤を提供することである。
【0009】
本発明の別の1つの目的は、商業的に合理的な期間、安定性を有する上記した1つ以上としての製剤を提供することである。
【0010】
動物に非経口(parenterally)投与できる上記のもの1つ以上としての製剤を提供することが本発明の目的の別の1つである。
【0011】
本発明の別の1つの目的は、動物への投与において、循環中において、商業的に合理的な半減期を有する上記した1つ以上としての製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した1つ以上の本発明の目的によれば、以下に例示される本発明の実施形態が提供される。
【0013】
活性な薬学的成分及び製薬上許容しうる担体を含む動物への経口投与のための組成物であって、活性な薬学的成分がカテコールブタンを含み、そして担体が(a)水溶性有機溶媒、ただし水溶性有機溶媒がプロピレングリコールである場合は、プロピレングリコールは白色ワセリン非存在下、キサンタンガム(xanthan gum:xantham gum xanthum gumとしても知られる)非存在下、及び、グリセリン又はグリシンの少なくとも1つの非存在下のものであり、水溶性有機溶媒がポリエチレングリコールである場合は、ポリエチレングリコールはアスコルビン酸又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)の非存在下に存在し、そして、ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である場合は、ポリエチレングリコール400はポリエチレングリコール8000の非存在下に存在するもの;(b)シクロデキストリン;(c)イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、ただし界面活性剤が非イオン性界面活性剤の場合は非イオン性界面活性剤がキサンタンガムの非存在下に存在するもの;(d)変性セルロース;(e)ヒマシ油以外の水不溶性脂質、及び担体(a)〜(e)の何れかの組合せ、からなる群から選択される可溶化剤及び賦形剤の少なくとも1つを含む、組成物。
【0014】
本発明は又、(a)本発明の組成物を提供すること、及び(b)前記組成物を対象に注射することにより前記組成物を投与することを含む対象における疾患の治療方法であって、前記組成物が前期活性な薬学的成分の有効量を含む方法も包含する。
【0015】
更に、本発明は、本発明の組成物及びその使用のための説明書を含む疾患の治療のためのキットを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面の簡単な説明
上記した要旨並びに以下に記載する本発明の詳細な説明は添付する図面と組み合わせて読むことにより良好に理解される。本発明の説明の目的のためには、現時点で好ましい実施形態を図面において示す。しかしながら、本発明は示した実施形態に限定されない。
【0017】
図面は以下の通りである。
【0018】
図1は、図1A及び図1Bを含み、MN処置の後にC−33A細胞ライン及びHeLa細胞ラインについて実施した細胞増殖試験の結果である。図1Aは、MN処置の非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比をグラフで示したものであり、ここでMNはDMSO製剤中0μM〜80μMの範囲の量で提供された。図1BはMN処置非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比をグラフで示したものであり、ここでMNは、HP−β−CD/PEG製剤(以下「CPE」製剤と称する)中0μM〜80μMの範囲の量で提供した。
【0019】
図2は、図2A及び図2Bを含み、そしてDMSO(図2A)製剤中又はHP−β−CD/PEG製剤中(図2B)におけるMNの種々の濃度の非存在下又は存在下におけるC−33A細胞及びHeLa細胞に関する死細胞の比率に基づいた細胞死の測定をグラフで示したものである。MN濃度は0μM〜80μMの範囲とした。
【0020】
図3は、図3A及び図3Bを含み、30%(w/v)ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(以下「HP−β−CD」と称する)及び25%(v/v)PEG 300を包含する製剤中のMN、のイヌへの単回IV投与後の第1日目中の経時的なイヌ血清中濃度の作用をグラフで示したものである。図3Aは非対数目盛、図3Bは対数目盛を用いて濃度を示している。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は増殖性疾患、例えば癌及び乾癬、高血圧、肥満、I型及びII型糖尿病、中枢神経系の疾患又は神経変性疾患、例えば疼痛、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、認知症、卒中及び炎症性疾患、前悪性新生物形成又は形成異常、感染症、例えばウイルス感染症、非限定的に例えばヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)、ヒトT細胞白血病ウイルス(「HTLV」)、ヒトパピローマウイルス(「HPV」)、単純ヘルペスウイルス(「HSV」)、B型肝炎ウイルス(「HBV」)、エプスタイン・バーウイルス(「EBV」)、水痘帯状疱疹、アデノウイルス、パルボウイルス、ヤコブクロイツフェルトウイルス(「JCウイルス」)等によるものを包含する疾患の治療のための新規な組成物、キット及び方法を提供する。
【0022】
本発明は、特定の製薬上許容しうる可溶化剤中に溶解したNDGA誘導体、例えばMNのようなNDGA化合物を包含するカテコールブタンを含有する新規な組成物を提供するものであり、ここで、他の希釈剤、賦形剤等(「担体」と総称する)と共に疾患の治療の為のヒトのような対象への注射の為に適切である製剤を構成する。このような製剤は注射、例えば静脈内注射に適している。適当な製薬上許容しうる担体は、(a)DMSO以外の水溶性有機溶媒、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、例えばPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸、プロピレングリコール(「PG」)、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、エタノール、ベンジルアルコール又はジメチルアセトアミド;(b)シクロデキストリン又は修飾シクロデキストリン、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(「HP−β−CD」)又はスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン(「SBE−β−CD」);(c)イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸(ポリソルベートとしても知られている)、例えばTween(登録商標:以下、省略するが「Tween」は登録商標である。) 20又はTween 80として市販されているポリソルベート20及びポリソルベート80、d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸(「TPGS」)、グリセロールモノオレイン酸(グリセリルモノオレイン酸としても知られている)、エステル化脂肪酸又はCremophor(登録商標:以下、省略するが「Cremophor」は登録商標である。)ELとして市販されているモル比35:1におけるエチレンオキシドとヒマシ油との間の反応生成物;(d)修飾セルロース、例えばエチルセルロース(「EC」)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、メチルセルロース(「MC」)又はカルボキシメチルセルロース(「CMC」);及び(e)水不溶性脂質、例えばワックス、油又は脂肪乳剤、例えばIntralipid(登録商標:以下、省略するが「Intralipid」は登録商標である。)から選択される少なくとも1つを包含する。好ましくはPGを使用する場合は、これは白色ワセリンの非存在下、キサンタンガムの非存在下、及びグリセリン又はグリシンの少なくとも1つの非存在下において使用する。好ましくは、PEGを使用する場合は、これはアスコルビン酸又はBHTの非存在下に使用し;非イオン性界面活性剤を使用する場合は、それはキサンタンガムの非存在下に使用し;そして、油が、ヒマシ油以外の油である。
【0023】
本発明の一実施形態において、本明細書に記載した化合物を、PEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸(「PEG化合物」)に溶解する。好ましくは、PEG 400を使用する場合は、それはPEG 8000の非存在下に存在する。別の実施形態においては、本明細書に記載した化合物を、修飾シクロデキストリン、例えば、HP−β−CDに溶解する。別の実施形態においては、本発明の化合物は、1つ以上のPEG化合物及びHP−β−CDを含有する複合製剤中に可溶化及び希釈する。別の実施形態においては、複合製剤中のPEG化合物は、修飾セルロースと置き換えるか、これと組み合わせることができる。適当な修飾セルロースは、例えば、EC又はHPMCを包含する。本明細書の目的のために、本発明の化合物の可溶化は室温において、又は加熱下で実施できる。特に、有用なのは、可溶化の過程において熱を適用する場合に、冷却後にも溶液中に本化合物を維持するような可溶化剤である。
【0024】
更に別の実施形態においては、本明細書に記載したカテコールブタン又はNDGA化合物を、EC又はHPMCのような修飾されたセルロース中に可溶化する。ECは使用前にエタノール((「EtOH」)中に希釈できる。
【0025】
本発明は、また、本発明の化合物のための可溶化剤としての水不溶性脂質を提供する。水不溶性脂質は、例えば油並びに混合脂肪乳剤組成物、例えば製造元の推奨により使用されるIntralipid(Pharmacia&Upjohn、現Pfizer)を包含する。例えば、成人の用量は脂肪2g/kg体重/日を超えないように推奨される(Intralipid 10%、20%及び30%で、それぞれ20mL、10mL及び6.7mL/kg)。Intralipid 10%は、1000mL中に、精製ダイズ油100g、精製卵リン脂質12g、無水グリセロール22g、注射用水で全量1000mLとする、を含有するとされている。pHは水酸化ナトリウムを用いて概ねpH8に調整する。Intralipid 20%は、1000mL中に、精製ダイズ油200g、精製卵リン脂質12g、無水グリセロール22g、注射用水で全量1000Lとする、を含有する。pHは水酸化ナトリウムを用いて概ねpH8に調整する。Intralipid 30%は、1000mL中に、精製ダイズ油300g、精製卵リン脂質12g、無水グリセロール16.7g、注射用水で全量1000mLとする、を含有する。pHは水酸化ナトリウムを用いて概ねpH7.5に調節する。Intralipid製品は、25℃未満の制御された室温で保存し、凍結してはならない。
【0026】
別の実施形態においては、本発明は、単独、又は他の油或いは何れかのPEG化合物及びTween 20又はTween 80と組み合わせたコーン油、ゴマ油、ペパーミント油、ダイズ油、ミネラルオイル、グリセロールを提供する。
【0027】
本発明は、可溶化剤としてプロピレングリコール及び上記の何れかの組合せのような物質を包含する。
【0028】
更に、本発明は本製剤の送達に適合する静脈内(「IV」)挿管材(cubing)のような動物への組成物の注射又は注入のために適する物質を包含する。適当な挿管材は重合体、例えばポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)単独又はフルオロエラストマー、例えばCHEM−Sure(Barnant Company)と組み合わせたもの、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)、Teflon(登録商標:以下、省略するが「Teflon」は登録商標である。)及び白金硬化シリコーン(小型)(Cole-Parmer)等から作成されたものを包含する。
【0029】
本発明は、以下の定義を参考にしながら更に良好に理解できるものであり、これらは本明細書の他の部分で定義される他の用語と共に使用される。
【0030】
濃度、又は用量に言及する際に本明細書において使用される「約」という用語は、±10%〜20%までの特定の数を意味する。
【0031】
用語「活性な薬学的成分」、「API」又は「化合物」への言及は、本明細書においては、本明細書に記載する医薬組成物中に存在する式Iのカテコールブタン、又は、NDGA化合物、例えばNDGA誘導体の1つ以上を意味する。
【0032】
「アルキレンジオキシ」という用語は、本明細書においては、メチレン又は置換されたメチレンジオキシ又はエチレン又は置換されたエチレンジオキシを指す。
【0033】
式I又は式IIにおける−R基の1つに言及する場合の「未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩」とは、本明細書においては、アミノ酸残基又は置換されたアミノ酸残基を意味し、非限定的に、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリン、チロキシン、3−メチルヒスチジン、ε−N−メチルリジン、ε−N,N,N−トリメチルリジン、アミノアジピン酸、γ−カルボキシグルタミン酸、ホスホセリン、ホスホスレオニン、ホスホチロシン、N−メチルアルギニン、N−アセチルリジン及びN,N−ジメチル置換アミノ酸又は上記した何れかの塩、例えば塩化物塩を包含する。
【0034】
本発明において使用するために適する「緩衝液」とは当該分野で知られた従来の何れかの緩衝液であり、例えばトリス、リン酸塩、イミダゾール及び炭酸水素塩を包含する。
【0035】
「担体」とは、本明細書においては、非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、溶媒(vehicle)、賦形剤(excipient)、可溶化剤、カプセル化物質又は何れかの従来の型の製剤用補助剤を指し、活性な薬学的成分以外の組成物の成分の全てを包含する。担体は追加的な物質、例えば水和剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を含有してよい。他の物質、例えば抗酸化剤、湿潤剤、粘度安定剤及び同様の物質を必要に応じて添加してよい。
【0036】
「カテコールブタン」とは本明細書においては、下記式Iの化合物を意味する。
【0037】
【化1】

ここで、式中、R及びRは各々独立して−H、低級アルキル、低級アシル、アルキレンを示すか;又は−RO及び−ROは各々独立して未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示し;R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は各々独立して−H又は低級アルキルを示し;そしてR、R及びRは各々独立して−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示すか、又は何れかの2つの隣接する基は一緒になってアルキレンジオキシであってよい。
【0038】
「シクロデキストリン」とは、本明細書においては未修飾シクロデキストリン又は修飾シクロデキストリンを意味し、そして非限定的に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及びそれに修飾が加えられた何れかの修飾シクロデキストリン、例えばHP−β−CD又はSBE−β−CDを包含する。シクロデキストリンは、典型的には6(α−シクロデキストリン)、7(β−シクロデキストリン)、8(γ−シクロデキストリン)個の糖、糖当たり3つまでの置換を有し、従って0〜24の一次的置換が可能である(一次的置換とはシクロデキストリン環に直接連結している置換として定義される)。本発明において使用される修飾された、又は未修飾シクロデキストリンは、適切な量及び位置の一次的置換又は他の修飾の何れかを有してよい。
【0039】
NDGAの「誘導体」とは、本明細書においては「NDGA誘導体」を意味する(後述)。
【0040】
用語「疾患」は、本明細書においては本発明の組成物の適用が治療効果をもたらす全ての疾患、状態、感染、症候群又は障害を包含する。そのような「疾患」は、非限定的に例えば、癌、乾癬及び他の増殖性疾患、炎症性障害、例えば、関節リューマチ、骨関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、高血圧、肥満、糖尿病、疼痛、卒中及び/又は他の神経学的障害又は神経変性の疾患又は状態、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)及び前悪性の状態、例えば上皮内新生物形成又は形成異常、及び感染性疾患を包含する。
【0041】
「GN」又は「テトラ−N,N−ジメチルグリシニルNDGA」又は「テトラジメチルグリシニルNDGA」とは、本明細書においては、固体形態又は溶液の何れかにおける、R14、R15、R16及びR17が各々独立して−O(C=O)CHN(CH又は−O(C=O)CH(CH・Clを示し;そしてR18及びR19が各々−CHを示すような式IIのNDGA誘導体である。
【0042】
「低級アシル」とは、本明細書においては、C−Cアシル、好ましくはC−Cアシルを意味する。
【0043】
「低級アルキル」とは、本明細書においては、C−Cアルキル、好ましくはC−Cアルキルを意味する。
【0044】
「MN」又は「テトラ−O−メチルNDGA」とは、本明細書においては、R14、R15、R16及びR17が各々独立して−OCHを示し、そしてR18及びR19が各々−CHを示すような式IIのNDGA誘導体である。
【0045】
「修飾セルロース」とは、本明細書においては、セルロース分子への1つ以上の修飾を含むセルロース、例えばEC、HPMC、CMC及びMCを意味する。
【0046】
「NDGA」とは本明細書においてはノルジヒドログアヤレチック酸を意味し、そして下記式を有する。
【0047】
【化2】

【0048】
「NDGA化合物」とは、本明細書においては単一の、又は総称的にNDGA、及び/又はNDGA誘導体の何れかの1つ以上を意味する。
【0049】
「NDGA誘導体」とは、本明細書においては下記式(II)を有するNDGAの誘導体を意味する。
【0050】
【化3】

ここで、式中、R14、R15、R16及びR17は、各々独立して−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又は未置換又は置換されたアミノ酸残基又は製薬上許容しうるその塩を示し;そしてR18及びR19は、各々独立して−H又は低級アルキルを示し、ここでR14、R15、R16及びR17は、同時に−OHではない。即ち、用語は、NDGAのメチル化誘導体、例えばテトラ−O−メチルNDGA(MN)、トリ−O−メチルNDGA(MN)、ジ−O−メチルNDGA(MN)及びモノ−O−メチルNDGA(MN)、を包含する。或いは、NDGA誘導体は、NDGAのヒドロキシル又はメチル基の水素の1つ以上が置換されている化合物、例えば、R14、R15、R16及びR17が、各々独立して低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸又は置換されたアミノ酸又はその塩を示し;そしてR18及びR19が、各々独立して−H又はアルキル、例えば低級アルキルを示すものであってよい。用語は、例えば、R14、R15、R16及びR17が、各々独立して−OCH又は−O(C=O)CH又は二置換アミノ酸残基、例えばN,N−ジメチル置換アミノ酸残基、例えば−O(C=O)CHN(CH又は−O(C=O)CH(CH・Clを示し;そしてR18及びR19が、各々独立して−H又は低級アルキル、例えば−CH又は−CHCHを示す化合物を包含する。
【0051】
本明細書においては、「パーセント」、「パーセンテージ」又は符号「%」とは、組成物中に存在する担体の量に基づいた組成物中の示された成分の比率を意味し、何れかの特定の成分に関して示されるとおり重量/重量(w/w)、重量/容量(w/v)又は容量/容量(v/v)によるものであり、これらは全て組成物中に存在する担体の量に基づいている。即ち、複数のタイプの担体は、示される通り100%までの量で存在してよく、これはAPIの存在を排除するものではなく、その量は%として、又は、組成物中に存在する特定のmg数、又は存在する特定のmg/mL数として示してよく、ここで%、mg/mLは組成物中に存在する総担体量に基づいている。特定のタイプの担体が組み合わせて存在することにより担体を100%としてよい。
【0052】
「製薬上許容しうる担体」とは本明細書においては、使用される用量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、そして製剤中の他の成分と適合性を有する。例えば本発明のカテコールブタン、NDGA化合物又はNDGA誘導体を含有する製剤に対する担体は、好ましくは、酸化剤及びこれらに悪影響を与えることがわかっている他の化合物を包含しない。製薬上許容しうる担体は可溶化剤を含む。適当な製薬上許容しうる担体は、非限定的に、水、ブドウ糖、グリセロール、食塩水、エタノール、緩衝液、Cremaphor(登録商標:以下、省略するが「Cremaphor」は登録商標である。)EL、リン酸緩衝食塩水、PEG 300、PEG 400、修飾シクロデキストリン及びこれらの組合せ等の、全て上記したものを包含する。
【0053】
「製薬上許容しうる賦形剤」という用語は溶媒、アジュバント又は希釈剤又は他の補助的物質、例えば当該分野における従来品を包含し、これらはパブリックに容易に入手でき、そして使用する用量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、そして製剤中の他の成分と適合性を有する。例えば製薬上許容しうる補助的物質は、pH調整剤及び緩衝剤、浸透圧調整剤、安定化剤、湿潤剤等を包含する。
【0054】
用語「可溶化剤」は、本明細書においてはカテコールブタン又はNDGA、例えばNDGA誘導体1つ以上が溶解する組成物を意味する。可溶化剤は、また担体又は製薬上許容しうる担体であってよい。
【0055】
用語「対象」、「宿主」及び「患者」は、本発明の組成物により治療される動物、非限定的に例えば、サル、ヒト、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類牧畜動物、哺乳類競技用動物、及び哺乳類愛玩動物、を指すために本明細書においては互換的に使用される。
【0056】
本明細書の投与に関してカテコールブタン又はNDGA化合物又は誘導体に言及する場合の「実質的に精製された」化合物は、カテコールブタン、NDGA化合物又はNDGA誘導体ではない物質(以下「非−NDGA物質」)を実質的に含有しないものである。実質的に含有しないとは、非NDGA物質を少なくとも約50%含有しない、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも約90%、そしてなおより好ましくは少なくとも約95%非NDGA物質を含有しないことを意味する。
【0057】
本明細書においては、用語「治療」、「治療する」は、所望の薬理学的及び/又は生理学的作用を得ることを指す。作用は、状態又は疾患又はその症状を完全又は部分的に防止する意味において予防的であってよく、及び/又は、状態又は疾患及び/又は状態又は疾患に寄与する有害作用の部分的又は完全な治癒の意味において治療的であってよい。対象の「治療」とは例えば哺乳類、特にヒトにおける状態又は疾患の何れかの治療を包含し、そして(a)状態又は疾患に罹患しやすいがそれを有するとはまだ診断されていない対象において状態又は疾患が発生することを防止すること;(b)状態又は疾患が発生又は進行することを抑制すること、例えばその発生を停止させること;及び(c)状態又は疾患を緩解(relieving)、緩和(alleviating)又は軽減(ameliorating)すること、例えば、状態又は疾患の退行(regression)又は鎮静(remission)を誘発することを包含する。
【0058】
本発明を更に説明する前に、本発明は記載した特定の実施形態に限定されず、それ自体当然ながら変動してよいものとする。本明細書において使用した用語類は特定の実施形態を説明する目的のみのためであり限定する意図がないことは、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるためである。
【0059】
ある範囲の値が提示される場合は、その範囲の上限と下限の間の各介在値は、特段の記載がない限り、加減の単位の10分の1まで、そして、その記載された範囲内の何れかの他の記載された又は介在する数値が本発明に包含されるものとする。これらのより小さい範囲の上限及び下限はより小さい範囲内に独立して包含されてよく、そしてまた本発明内に包含され、記載された範囲内の何れかの特定的に除外された範囲の対象となる。記載された範囲が限度の一方又は両方を包含する場合は、これらの包含される限度の何れか又は両方を排除する範囲もまた本発明に包含される。
【0060】
本明細書においては、特段の記載が無い限り、単数型の標記は複数形の対象も包含する。即ち、例えば「ある化合物」とはそのような化合物の複数を包含し、そして「NDGA化合物」に言及する場合は、1つ以上のNDGA化合物、例えばNDGA誘導体および当該分野で知られた同等物への言及を包含する。
【0061】
本明細書において記載した全ての公開物、例えば特許、特許出願及び雑誌記事は、参照により全体が本明細書に組み込まれるそれらに引用されている参考文献を含めて、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0062】
本明細書において考察する公開物は本出願の出願日より前のその開示に関してのみ提示する。本明細書に記載した如何なるものも、本発明が以前の発明によりそのような公開物に先行する資格を有さないことを受け入れるものではない。更に又、提示した公開物の日付は個々に確認する必要がある実際の公開日とは異なる場合がある。本出願のテキスト内で記載した参考文献の引用は請求項の前の文献目録においてより完全に特定されている。
【0063】
以下に記載する本発明は例示のためのみに提示するものであり、本発明を如何様にも制限するものとは解釈すべきでない。
【0064】
カテコールブタンの調製
【0065】
本発明のカテコールブタンは当該分野で知られた何れかの方法により造できる。例えばそのような化合物は米国特許第5,008,294号に記載されているように調製できる。
【0066】
NDGA誘導体の調製
【0067】
NDGAは市販品製造元、例えばAlexis Biochemicals Corp., San Diego, CA, USA(カタログ番号LKT-N5669)又はA.G. Scientific, Inc., San Diego, CA, USA(カタログ番号N1071)又はCayman Chemical Company, Ann Arbor, MI, USA(カタログ番号70300)から購入してよい。
【0068】
NDGA誘導体及びその製剤は、当該分野における何れかの従来法により製造してよい。例えば、NDGA誘導体は米国特許第5,008,294号;米国特許第6,291,524号;フー,ジェイ・アール(Hwu, J.R.)他(1998年);又はマクドナルド,アール・ダブリュ(McDonald, R.W.)他(2001年)に記載の通り製造できる。
【0069】
本発明の1つの実施形態において、NDGA誘導体、テトラ−O−メチルNDGA、別名メソ−1,4−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−2,3−ジメチルブタン、又はMNは、以下の通り製造され、即ち反応フラスコ中のメタノール中にNDGA及び水酸化カリウムを含有する溶液を製造する。次に、ジメチルスルフェートを反応フラスコに添加し、反応を進行させる。反応は最終的には水で急冷(quench)することにより生成物を沈殿させる。沈殿物を濾過により単離し、真空オーブン中で乾燥する。次に化合物を塩化メチレン及びトルエンの溶液中に溶解し、その後アルミナ カラムを通して精製する。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、固体をイソプロパノール中に再懸濁し、濾過により精製する。濾滓を真空オーブン中で乾燥する。得られたテトラ−O−メチルNDGA(MN)は、イソプロパノール中濾滓を還流、及び、濾過による結晶の再単離により結晶化させる。
【0070】
本発明の一部の実施形態においては、本発明の特定のNDGA誘導体、例えばGN、別名メソ−1,4−ビス[3,4−(ジメチルアミノアセトキシ)フェニル]−(2R,3S)−ジメチルブタン又はテトラ−ジメチルグリシニルNDGA、又はその塩酸塩及びアミノ酸置換基を有する同様の化合物もまた、従来法、例えば米国特許第6,417,234号に記載に従って製造できる。
【0071】
治療用組成物の調製
【0072】
本発明は、活性な薬学的成分(「API」)としてのカテコールブタン、例えばNDGA誘導体、及び、製薬上許容しうる担体又は賦形剤を含む医薬組成物を包含する組成物を提供する。典型的には、本発明の組成物は活性な薬学的成分又はAPI、即ちカテコールブタン、例えば本明細書に記載するNDGA化合物及びNDGA誘導体を約0.1%〜約99%(less than about 0.1% up to about 99%)を含有し;場合により本発明は約2%〜約90%のAPIを含有する。
【0073】
本発明は更に、カテコールブタン、例えば、NDGA誘導体、例えばMNが、約1mg/mL〜約200mg/mL、又は約10mg/mL〜約175mg/mL、又は約20mg/mL〜約150mg/mL、又は約30mg/mL〜約125mg/mL、又は約40mg/mL〜約100mg/mL、又は約50mg/mL〜約75mg/mLの濃度で存在するような組成物を提供する。1つの実施形態において、NDGA化合物は、本明細書に記載した組成物中、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL又は約200mg/mLの濃度で存在する。
【0074】
代替として表現すれば、本発明の組成物の別の実施形態は約0.1mg未満〜約200mg以上(less than about 0.1mg to about 200mg or more)のAPI、例えば、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約75mg、約100mg又は約200mgのAPIを含有してよい。
【0075】
製薬上許容しうる担体又は賦形剤は、APIが溶解する可溶化剤の1つ以上を含有してよい。製薬上許容しうる担体又は賦形剤は追加的に希釈剤を含有してよい。
【0076】
一実施形態において、本発明は、DMSO以外の水溶性有機溶媒を1つ以上を含有する可溶化剤を提供する。好ましい水溶性有機溶媒に属するものは、エタノール、ベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド、PVP、PG及びPEG化合物、例えばPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸、である。本発明の組成物中のPEG化合物は、約5%〜約100%、又は約5%〜約60%、又は約10%〜約90%、又は約20%〜約80%、又は約30%〜約70%、又は約40%〜約60%の量で存在し、全ての濃度は容量/容量(v/v)の比率で示す。PGは、約2.5%〜約100%(v/v)の濃度で存在してよい。
【0077】
本発明の組成物中のPEG化合物の濃度は、同様に存在している他の可溶化剤又は希釈剤又は賦形剤に依存して変動する。例えば、本発明のPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸は、約5%、約10%、約12.5%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の濃度であることができ、これらの濃度は全て容量/容量(v/v)の比率で示す。
【0078】
本発明は、また、修飾シクロデキストリンを含むシクロデキストリン中の、カテコールブタン又はNDGA化合物の組成物を提供する。本明細書に記載するシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンであってよく、そして、修飾シクロデキストリンは、例えば、HP−β−CD及びSBE−β−CDを包含してよい。1つの実施形態において、本発明の組成物は、修飾シクロデキストリンを約5%〜約80%、又は約10%〜約70%、又は約20%〜約60%、又は約30%〜約50%の濃度で含有し、これらの濃度全ては重量/容量(w/v)の比率で示す。
【0079】
更に別の実施形態においては、修飾シクロデキストリン、例えばHP−β−CDは、組成物中に、約12.5%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%又は約75%の濃度で存在し、これらの濃度全ては、重量/容量(w/v)の比率で示す。
【0080】
単独又は他のものと共に本発明の組成物中で使用してよい別の製薬上許容しうる担体又は賦形剤としては、イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、例えばCremophor EL、非イオン性界面活性剤であるポリソルベート、例えばTween 20又はTween 80として市販されているポリソルベート20及びポリソルベート80、両親媒性界面活性剤であるTSGS等が挙げられる。適当な界面活性剤の別の例は、非限定的に、グリセロールモノオレイン酸及びエステル化脂肪酸、例えば典型的には植物油のエステル転移で製造されるもの、Gattefosse Corp., Paramus,NJ,USAよりLabrafil(登録商標:以下、省略するが「Labrafil」は登録商標である。)、Labrasol(登録商標:以下、省略するが「Labrasol」は登録商標である。)及びGelucire(登録商標:以下、省略するが「Gelucire」は登録商標である。)のような幾つかの種類及び等級において入手できるものを包含する。界面活性剤は何れかの所望の有効量において、例えば、約1%(v/v)〜約100%(v/v)、好ましくは約9%(v/v)〜約80%(v/v)、より好ましくは約10%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度として存在できる。特定の例として、非イオン性界面活性剤の好ましい濃度は、約9%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度におけるTween 20、および約33%(v/v)〜約100%(v/v)のTween 80である。界面活性剤の全比率は、容量比率(v/v)である。
【0081】
単独又は他のものと共に本発明の組成物中で使用してよい別の製薬上許容しうる担体又は賦形剤は、修飾セルロース、例えば、EC、HPMC、MC及びCMCである。修飾セルロースは、何れかの望ましい有効量、例えば、約0.1%〜約25%、又は約0.5%〜約7.5%、又は約1.0%〜約5%の濃度において存在できる。特定の例においては、ECは、約5%〜約20%の濃度で存在してよく;HPMCは、約0.5%〜約1%の濃度で存在してよく;MCは、約1%〜約3%の濃度で存在してよく;そして、CMCは、約1%〜約4%の濃度で存在してよい。修飾セルロースの比率は、容量当たりの重量(w/v)である。
【0082】
本発明の組成物中で、単独又は他のものと共に使用してよい他の製薬上許容しうる担体又は賦形剤は、水不溶性脂質、例えば油、又は混合脂肪乳剤である。油の例として、コーン油、ゴマ油、ペパーミント油、ダイズ油、ミネラルオイル及びグリセロール等を包含する。混合脂肪乳剤組成物は、例えば、上述の通りIntralipid乳液等が入手可能である。
【0083】
水不溶性担体は、水溶性担体、例えばPEG化合物及び界面活性剤、例えば、Tween 20又はTween 80の、何れか1つ以上と組み合わせて使用してよい。
【0084】
水不溶性脂質担体は、何れかの所望の有効量において、例えば約10%(v/v)〜約100%(v/v)、又は約15%(v/v)〜約85%(v/v)、又は約25%(v/v)〜約75%(v/v)の濃度で存在できる。油は、約9%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度で存在してよい。混合脂質乳剤は、約10%(w/v)〜約30%(w/v)、そして、好ましくは、約20%(w/v)の濃度で存在してよい。
【0085】
種々の担体成分の組合せを、上述の通りAPIと共に使用してよい。現時点で好ましいそのような実施形態の非限定的な例は、25%(w/v)PEG 300、30%(w/v)HP−β−CD、担体の平衡である動物への注射用に適した水(「WFI」、即ち製薬業界においてみとめられた等級の水を示すもの)における10mg/mLのMNの組成物である。この好適な実施形態においては、HP−β−CDは6〜8程度(degree)の置換を有するが、他の実施形態における他の置換も上述の通り本発明の範囲に包含される。
【0086】
本明細書に記載したカテコールブタンが、溶解し、そして溶液中に残存する限り、本明細書に記載した可溶化剤又は希釈剤の1つ以上を組成物に添加することによりそのような処置を必要とする対象へのそれの送達を最適化してよい。
【0087】
別の実施形態においては、本発明は注射に適する食塩水又は水である希釈剤を提供する。本発明の1つの態様において、医薬組成物の浸透圧が高い場合には、注射に適する水を希釈剤として使用する。
【0088】
本発明における使用に適する製薬上許容しうる担体又は賦形剤は、種々の公開物に記載されている。有用な担体又は賦形剤の例は、例えばジェンナロ,エイ・アール(Gennaro, A.R.)(2003年);アンセル,ヒチ・シー(Ansel, H.C.)他(2004年);ロウ,アール・シー(Rowe, R.C.)他(2003年);及びガーグ,エス(Garg, S.)他(2001年)に記載されている。
【0089】
液体形態の組成物は緩衝液を包含してよく、これは、カテコールブタン又はNDGA化合物、例えばNDGA誘導体の所望の用途に従って選択され、そして意図する用途に対して適切な他の物質も包含してよい。適切な緩衝液は当業者が容易に選択できるものであり、その広範な種類は当該分野で知られており、意図する用途に適している。
【0090】
治療方法
【0091】
カテコールブタン、例えばNDGA化合物を含有する組成物はそのようなカテコールブタン又はNDGA化合物が使用できる何れかの数の疾患における処置を必要とする対象において、治療薬として、又は、そのような治療の為に使用できる。
【0092】
本発明は、疾患、例えば増殖性疾患、例えば良性及び悪性の癌、乾癬及び前悪性の状態及び新生物形成、例えば上皮内新生物形成又は形成異常の処置のための方法及び組成物を提供する。本発明は、また、糖尿病、例えばI型及びII型糖尿病、肥満及びそのようなものから生じる合併症、例えば心臓血管疾患、卒中及び高血圧の処置を提供する。本発明は、更に炎症性疾患、例えば関節リューマチ、骨関節炎、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び他の免疫系関連の疾患の処置を提供する。更に、また、本発明は、神経学的疾患、例えば、中枢神経系の疾患および神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、認知症、筋萎縮性側索硬化症及びパーキンソン病の処置を提供する。更に別の実施形態において、本発明は感染症、例えば、転写又は複製のためにSp1結合を必要とするウイルスを包含するウイルス感染症、の処置を提供する。Sp1結合を必要とするこのようなウイルスの例は、HIV、HTLV、HPV、HSV、HBV、EBV、水痘帯状疱疹ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス及びJCウイルスを包含する。
【0093】
ヒト及び非ヒト動物を包含する種々の動物宿主が、対象となる方法に従って治療可能である。一般的に、そのような宿主は「哺乳類(mammals又はmammalian)」であり、これらの用語は哺乳類に分類される生物、例えば肉食動物目(例えばイヌ及びネコ)、げっ歯類(例えばモルモット及びラット)、及び他の哺乳類、例えばウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ブタ及び霊長類(例えばヒト、チンパンジー及びサル)を指すために広範に使用される。多くの実施形態において、宿主はヒトである。動物モデルは、ヒトの疾患の処置のためのモデルを提供するなどの実験調査の為に有利である。更に又、本発明は獣医科の医療にも適用される。
【0094】
製剤、用量及び投与経路
【0095】
本発明の1つの実施形態において、本発明の組成物の有効量を宿主に投与し、ここで「有効量」とは、所望の結果を得るために十分な用量を意味する。一部の実施形態においては、例えば所望の結果は、少なくとも、新生物形成又は形成異常の進行の抑制である。
【0096】
投与すべき適切な用量は、治療すべき対象、例えば対象の全身健康状態、対象の年齢、疾患の疾患又は状態、対象の体重、腫瘍の大きさ等に応じたものである。一般的に、約0.1mg〜約500mg以下(about 0.1mg to about 500mg or less)を小児に投与し、約0.1mg〜約5グラム以下(about 0.1mg to about 5g or less)を成人に投与してよい。典型的な用量は、対象のkg体重当たり活性な薬学的成分を約10mgから、対象のkg体重当たり活性な薬学的成分を約600mgの広い範囲内に含まれる。活性剤は、単回の、又はより典型的には複数回投与において投与できる。所定の薬剤に対する好ましい用量は種々の手段により当業者が容易に決定できる。他の有効な用量は、用量応答曲線を調製する日常的試行により当業者により容易に決定される。薬剤の量は当然ながら使用する特定の薬剤に応じて変動する。
【0097】
活性剤の投与の頻度は用量の場合と同様に年齢、体重、疾患の状況、健康状態及び患者の応答性に基づいて看護者により決定される。即ち薬剤は一回以上、毎日、毎週、毎月又は慣習的に決定されたように適宜投与してよい。薬剤は間欠的に、例えば数日、数週又は数ヶ月の期間にわたり投与し、その後は一定時間、例えば3又は6ヶ月が経過するまで再投与せず、そしてその後は再度、数日、数週又は数ヶ月の期間にわたり投与してよい。
【0098】
薬学的剤形においては、活性剤は単独又は他の薬学的活性剤又は治療薬、例えば他の小分子、抗体又はタンパク質治療薬との適切な付随並びに組合せにおいて投与してよい。以下の方法及び賦形剤は例示に過ぎず、限定的なものではない。
【0099】
更に又、所望により担体又は賦形剤は、補助的物質、例えばpH調整剤及び緩衝剤、浸透圧調整剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤を少量含有してよい。このような剤形を調製する実際の方法は既知であるか、又は当業者の知る通りである。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing Co. Rawlins, EA,(1997年)を参照できる。投与すべき組成物又は製剤は何れの場合においても治療すべき対象において所望の状態を達成するために適切なある量のAPIを含有する。
【0100】
注射又は静脈内投与用の単位剤型(unit dosage form)は、滅菌水、規定濃度(normal)の生理食塩水又は他の製薬上許容しうる担体中の溶液として組成物中にAPIを含んでよい。
【0101】
本明細書において「単位剤型」という用語は、ヒト及び動物の対象に対する単位用量(unitary dosage)として適する物理的に個別の単位を指し、各単位は、製薬上許容しうる希釈剤、担体又は溶媒(vehicle)と共に、所望の作用をもたらすのに十分な量として計算された所定量の本発明のAPIを含有する。本発明の新規単位剤型に関する仕様は、使用する特定の化合物及び達成すべき作用及び宿主における各化合物に関わる薬物動力学に応じて変動する。
【0102】
活性剤の複数又は単位用量(multiple or unit doses)を伴ったキットは本発明に包含される。そのようなキットにおいては、カテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体を含有する組成物の複数又は単位用量を保持する容器に加えて、目的の病理学的状態を処置する場合の薬剤の使用及びそれに伴う利益を説明した説明書を伴った情報提供用パッケージインサートが包含される。場合により本発明の組成物の投与のためのアプリケーターを各キットに包含させる。
【0103】
本注射用組成物は非経口的、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、皮下及び小胞内(intravesicularly)において、治療すべき疾患に対して適切に、そして当該分野で従来通りに、投与することができる。本発明の組成物は注射により投与することを意図しているが、それらは他の経路、例えば局所、鼻腔内、吸入又は移植投与により投与することが適当である場合もある。
【実施例】
【0104】
以下に記載する実施例は本質的に例示的なものであり、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0105】
実施例1.HP−β−CD及び/又はPEG 300中にMNを含有する製剤。
【0106】
本実施例においては、MNはPCT/US2004/016117に記載の通り調製し、そして、可溶化剤中に可溶化した。得られた溶液は場合により賦形剤及び/又は希釈剤と混合した。可溶化剤及び賦形剤は、互換的に、或いは相互に組み合わせて使用してよい。使用した1つの可溶化剤又は賦形剤はResearch Diagnostics, Inc.より入手可能なエンドトキシン制御のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(「HP−β−CD」)(カタログ番号RDI-82004HPB、ロット番号H3N188P)(Flanders, NJ, USA)であった。使用した別の可溶化剤又は賦形剤はSpectrum Chemicals, Inc.より入手したPEG 300(カタログ番号P0108、ロット番号TB1228)(Gardena, CA, USA)であった。
【0107】
本発明の1つの実施形態においては、HP−β−CD及びPEG 300は単一の製剤中に存在する。この製剤を製造するためには、MNを先ずPEG 300に溶解してPEG 300中MN溶液(「MN/PEG 300」)を形成した。MN/PEG 300溶液を次に予め製造しておいたHP−β−CD溶液に添加してPEG 300及びHP−β−CD中のMN溶液(以後「CPE」製剤と称する)を形成した。
【0108】
HP−β−CD溶液を調製する際には、体積膨張を考慮しなければならない。例えば40%(w/v)HP−β−CD溶液については、0.7mL/gの体積膨張(即ち添加HP−β−CDグラム当たり水0.7mLが置換される)を考慮しなければならない。
【0109】
可溶化剤及び/又は賦形剤として使用するための40%HP−β−CDの100mL溶液の調製に際して、攪拌棒の入ったガラスビーカー中にWFI65mLを投入した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約40グラムのHP−β−CDを攪拌中のWFIにゆっくり添加し、その際、スパーテルを用いてビーカーの中央部にHP−β−CDを対向させることによりHP−β−CDの結晶がビーカー壁面に固着するのを防止した。HP−β−CD溶液を約24時間、又は、HP−β−CDが完全に溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。得られた溶液は約93mLであった。この溶液に、約7mLのWFIを添加して100mLとし、約40%HP−β−CDの最終溶液を調製した。最終溶液を約1時間攪拌し、遮光下に室温で保存した。修飾シクロデキストリン溶液を調製するこの方法をスケールアップ又はダウンすることにより所望の容量又は濃度を得てよい。他の濃度又は他の修飾シクロデキストリン溶液は、例えばHP−β−CDを、上述の方法において適切な濃度となるように調節された他の修飾シクロデキストリンと置き換えることにより、同様に調製してよい。
【0110】
40%HP−β−CD中、約10mg/mLの濃度のMNの溶液10mlを以下の通り調製した。約10mlの40%HP−β−CD溶液を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約10mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部における40%HP−β−CDにゆっくり添加した。MN/HP−β−CD混合物を2時間、又は全てのMNが均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/40%HP−β−CD混合物は場合により80℃で約30分間(又は、より大容量の溶液が所望の場合は、より長時間、例えば、MN/40%HP−β−CD混合物100mlに対して、80℃にて1時間)又は必要に応じて、より長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/40%HP−β−CD混合物又は溶液を観察した。最終MN/HP−β−CD溶液は、遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリン溶液中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより同様に調製してよい。表1に示す結果は7日間より長期間にわたり40%HP−β−CD製剤中1mg/mL及び10mg/mLの濃度において冷却した後にもMNが溶液であり続けたことを明らかにしている。
【0111】
PEG 300中、約25mg/mLの濃度のMNの溶液100mlを以下の通り調製した。約100mlのPEG 300を、攪拌棒を含むガラスビーカーに添加した。ガラスビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。ビーカー壁面にMNが固着するのを防止するためにスパーテルを用いてビーカーの中央部におけるPEG 300に約2.5gのMNをゆっくり添加した。MN/PEG 300混合物を24時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/PEG 300混合物は、場合により60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、MN/PEG 300混合物の500mlについては60℃で1時間)又は、必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうか、MN/PEG 300混合物又は溶液を観察した。全てのMNが溶解していることが観察された後、得られたMN/PEG 300溶液を即座に、又は、48時間の有効期限の前、又は結晶又は他の沈殿物が形成する前に使用した。結晶が形成した場合は、全てのMNが溶液中に再溶解するまで、MN/PEG 300溶液を、再度60℃で1時間、高温磁気プレート上で攪拌しながら加熱した。最終MN/PEG 300溶液は遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のPEG中にMNを含有する製剤は、例えば上述の方法におけるPEG 300をPEG 400又はPEG 400モノラウリン酸と置き換えることにより同様に調製してよい。
【0112】
50%PEG 300(v/v)、20%HP−β−CD(w/v)及び12.5mgのMNを含有する製剤の100mLの保存液(stock solution)は、磁気プレート上の攪拌棒の入ったガラスビーカーに予め調製しておいた40%HP−β−CD溶液(上述の通り調製)50mlを添加し、攪拌棒を中速で攪拌し、予め調製しておいた50mLのMN/PEG 300溶液(上述の通り調製)をゆっくり、例えば約10mL/分の速度で、添加することにより調製した。MN/PEG 300は、それがビーカー壁面に固着するのを防止するため、そして、完全な溶解を確実に行うためにビーカーの中央にピペットを使用して添加した。HP−β−CD溶液へのMN/PEG 300の添加は、最初は白色溶液の状態であったが、連続攪拌により最終的には透明となった。この操作法は適宜スケールアップ又はダウンすることにより、MN/PEG 300及びHP−β−CDの所望の容量及び濃度としてよい。保存液は、0.22μmのPVDF膜、例えばMilliporeより入手可能な予備滅菌された真空駆動型使い捨てボトルトップフィルターメンブレン(カタログ番号SCGV T05 RE)(Billerica, MA, USA)を用いて濾過滅菌した。濾過処置は真空力により駆動し、濾液を予め滅菌した250mL容量のガラスビンに収集した。次にビンを密封し、遮光下に室温で保存した。HP−β−CD中の、MN/PEG 400又はMN/PEG 400モノラウリン酸の保存液は、上述の方法においてPEG 300をPEG 400又はPEG 400モノラウリン酸と置き換えることにより同様に調製できる。
【0113】
上述の態様において調製したMN/PEG 300/HP−β−CD、MN/PEG 400/HP−β−CD又はMN/PEG 400モノラウリン酸/HP−β−CDの保存液はインビトロで使用する前、又は、動物への投与の為に希釈することができる。希釈が必要な場合は、保存液は好ましくは食塩水の代わりにWFIで希釈し、例えば、浸透圧を低く維持する。WFI中の保存液の1:1希釈物100mLを調製するために、約50mLの保存液をガラスバイアルに添加した。約50mLのWFIをバイアル中の50mLの保存液に添加し、希釈された溶液を形成した。ガラスバイアルを閉じ、バイアルを数回振とう反転させることにより希釈された溶液を十分混合した。希釈された溶液を0.22μmのPVDF膜、例えばMilliporeより入手可能な予備滅菌された真空駆動型使い捨てボトルトップフィルターメンブレン(カタログ番号SCGV T05 RE)(Billerica, MA, USA)を用いて濾過滅菌した。濾過処置は真空強制により駆動し、濾液を予め滅菌した250mL容量ガラスビンに収集した。次にビンを密封し、遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることにより必要な容量又は希釈度、例えば1:2又は1:4の希釈度としてよい。
【0114】
50%PEG 300及び20%HP−β−CDを含有するプラセボ対照として使用するのに適する製剤は以下のように調製できる。プラセボ又は対照製剤の100mL溶液を調製するために、磁気プレート上の攪拌棒の入ったガラスビーカーに40%HP−β−CD約50mLを添加する。磁気プレートは中速でHP−β−CD溶液を攪拌するように設定する。約50mLのPEG 300を、ビーカーの壁面にPEG 300が固着しないようにビーカーの中央部にピペットを用いて、ガラスビーカー内の50mLのHP−β−CDにゆっくり添加する。混合物を約1時間、又は完全に混合するまで攪拌する。このプラセボ製剤を真空力により駆動される0.22μmのPVDFメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。濾液を予め滅菌した250mL容量ガラスビンに収集する。ガラスビンを密封し、遮光下に室温で保存した。この処方を必要に応じてスケールアップ又はダウンすることにより所望の濃度及び容量としてよい。更にまた、PEG 300は所望によりPEG 400又はPEG 400モノラウリン酸と置き換えてもよい。
【0115】
HP−β−CD及び/又はPEG 300、PEG 400を含有する製剤中、及び、上記又は同様の方法に従って調製したHP−β−CD及びプロピレングリコール(「PG」)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)又はTween 80を含有する製剤中のMNの溶解性の結果並びに得られた製剤の特性を表1〜5に示し、表中、Nは「No」、Yは「Yes」を示す。
【0116】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0117】
全製剤が4℃で24時間及び5000rpmで5分間の遠心分離に耐容性を示し、目視可能な沈殿物は形成しなかった。50%PEG 300、20%HP−β−CD、12.5mg/mLMNの保存液を含有する製剤は少なくとも4ヶ月、4℃に耐容性を示した。1:1又は1:2希釈度で調製した同じ保存液希釈物もまた少なくとも4ヶ月、4℃に耐容性を示した。
【0118】
【表2】

【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
同様に、MNはエタノール、PVP(ポリビニルピロリドン)、プロピレングリコール又はグリセロールを包含する水溶性有機溶媒のような他の可溶化剤中に可溶化してもよい。
【0123】
実施例2.培養物中の腫瘍細胞の増殖及び細胞死に対するDMSO中又は複合PEG 300/HP−β−CD製剤中のMNの作用
【0124】
10%(w/v)HP−β−CD及び25%(v/v)PEG 300中のMN(以下「CPE製剤」と称する)、30%(w/v)HP−β−CD及び25%(v/v)PEG 300中のMN(以下、「CPE25/30製剤」と称する)、及び、27%(w/v)HP−β−CD及び33%(v/v)PEG 300中のMN(以下、「CPE33/27製剤」と称する)の2種の腫瘍細胞ライン、即ちHPV−18陽性ヒト子宮頸癌細胞ラインHeLa及びHPV陰性ヒト子宮頸癌細胞ラインC−33Aにおける細胞死及び増殖に対する作用を試験した。両方の腫瘍細胞ラインを、漸増量のMN:0μM、20μM、40μM、60μM及び80μMで、DMSO又はCPE製剤と共に72時間処置した。各製剤は総量1%の増殖培地(10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、1×非必須アミノ酸溶液及び1000IU/mLペニシリン/1000μg/mLストレプトマイシン溶液を添加したL−グルタミン含有最小必須培地)に添加した。対照細胞を同じ条件下に増殖させ、未処置のまま放置した。処置又は未処置の72時間後、各試料中の細胞の総数及び生細胞の数をトリパンブルー色素排除法により計数した。各試料の細胞増殖速度及び死細胞の比率を分析した。この実験の結果を図1、図2及び表6〜12に示す。
【0125】
図1は、C−33A細胞及びHeLa細胞の処置について、DMSO製剤又はCPE製剤の何れかにおけるMNの漸増濃度に対してプロットした処置細胞数/未処置細胞数の比をグラフで示したものである。図2は、2種の癌細胞ライン、即ち培養物中のC−33A及びHeLa細胞の処置について、DMSO製剤又はCPE製剤の何れかにおけるMNの漸増濃度に対してプロットした死細胞の比率をグラフで示したものである。
【0126】
結果は、未処置対照と比較した場合に、試験した腫瘍細胞ラインの両方に対して、死細胞の%で測定した場合、MN非存在下のDMSO単独が顕著な抗増殖作用及びある程度の毒性作用を有していることを示している。これとは対照的に、未処置対照と比較した場合に2種の腫瘍細胞ラインに対してCPE製剤単独は抗増殖作用及び極めて僅かな毒性作用を有している。
【0127】
細胞増殖速度は、同製剤における非MN処置の対照(すなわち0μg/mLまたはMNの0μg)と比較した場合に、DMSO製剤又はCPE製剤の何れかにおけるMNの処置後、両方の細胞ラインにおいて低減していた。実際、抗増殖作用はCPE製剤中ではMNの用量依存性であるように思われた。CPE製剤においては、例えば、約20μM又は7.2μg/mLのMNが両方の腫瘍細胞タイプに対して細胞増殖の約50%抑制をもたらすのに十分であることがわかった。CPE製剤中のMNの濃度を更に増大させると、両方の細胞タイプに対して抗増殖作用が更に増大した。
【0128】
一般的に、DMSO製剤又はCPE製剤のいずれかにおけるより高用量のMNは、C−33A細胞及びHeLa細胞の両方に対して細胞死のより高い比率を誘導した。しかしながら、DMSO製剤中のMNはCPE製剤中のMNの相当する濃度よりも細胞に対してより高毒性であった。DMSO製剤中で試験したMNの最高濃度(80μM又は28.7μg/mL)は、細胞集団の約40%において細胞死を促進したが、CPE製剤中のMNの同濃度は、本実験においては細胞集団の僅か約20%のみにおいて細胞死を促進した。
【0129】
これらの結果は両方の細胞ラインにおいて再現性があるとわかった。本試験のデータはCPE製剤中のMNはDMSO製剤中のMNと同様に細胞の増殖を停止させる能力を有している一方、DMSO製剤よりも低い細胞毒性を誘発することを示している。
【0130】
経時的なCPE製剤の有効性を試験するために連続した時点からデータを収集した。データによれば、2〜8℃で保存した12ヶ月の期間の後、CEP製剤は新規製造時と同様に有効であることを示していた。細胞の生存率はCPE製剤を保存した12ヶ月にわたって同様に留まった。細胞死及び増殖速度は同じ範囲内に留まった。
【0131】
元のCPE製剤を新規CPE25/30製剤と比較するためにデータを収集した。経時的な製剤の有効性を試験するため、並びに、新しい製剤が過古いものと比較してどの程度良好に機能するかを試験するために、0及び3ヶ月において試験を実施した。データはCPE25/30製剤は元のCPE製剤と同様に腫瘍細胞の増殖の抑制において有効であることを示している。細胞生存率は、CPE製剤又はCPE25/30製剤の何れかを用いて薬剤の種々の濃度で処置したHeLa細胞の間で同様であった。細胞死及び増殖は経時的に見た場合でさえも同じ範囲内に留まった。
【0132】
HeLa細胞に対してゼロ時点において、元のCPE製剤をCPE33/27製剤と比較しながら情報を収集した。データは、CPE33/27がHeLa細胞に対し、細胞生存率、死細胞の比率及び増殖速度において、ある程度の影響を有していることを示していた。
【0133】
【表6】

【0134】
【表7】

【0135】
【表8】

【0136】
【表9】

【0137】
【表10】

【0138】
【表11】

【0139】
【表12】

【0140】
実施例3.MNの複数のロットを使用して同じ結果を得ることができる。
【0141】
種々のロットの薬剤の有効性を示すためにMNの種々のロットを試験した。HeLa細胞を漸増量のMN:0μM、20μM、40μM、60μM及び80μMで、CPE製剤と共に72時間処置した。各製剤は総量1%の増殖培地(10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、1×非必須アミノ酸溶液及び1000IU/mLペニシリン/1000μg/mLストレプトマイシン溶液を添加したL−グルタミン含有最小必須培地)に添加した。対照細胞を同じ条件下で増殖させ、未処置のまま放置した。処置又は未処置の72時間後、各試料中の細胞の総数及び生細胞の数をトリパンブルー色素排除法により計数した。各試料中の細胞増殖速度及び死細胞の比率を分析した。この実験の結果を表13及び14に示す。これらの結果は使用したMNのロットに関わらず、薬剤の有効性が同様に留まっていることを示している。
【0142】
【表13】

【0143】
【表14】

【0144】
実施例4.静脈内注入毒性試験
【0145】
本試験の目的は、Convince Research Products(Cumberland,Virginia,USA)より供給された雄性及び雌性のビーグル犬への静脈内注射により投与した場合のテトラ−O−メチルNDGA(MN)の最大耐容用量を測定することであった。初回投与時、約6〜9ヶ月齢の雄1匹及び雌1匹の計2匹のビーグル犬に20%(w/v)HP−β−CD及び50%PEG 300を含有するシクロデキストリン溶媒を試験日(「SD」)第1日目に、その後、シクロデキストリン溶媒中で調製したMN(即ち被験品)の漸増濃度を投与した。予め処方した(preformed)シクロデキストリン溶媒及び被験品は室温で保存した。希釈剤として使用した滅菌水は、Baxter Health Care Corp.(Deerfield, Michigan, USA)又はAbbott Laboratories(North Chicago, Illinois, USA)より入手し、室温で保存した。
【0146】
被験品、シクロデキストリン溶媒及び希釈剤は、製剤目的のための100%純度とみなした。投薬用製剤(dose formation)は、被験品又はシクロデキストリン溶媒の適切な量を、滅菌シリンジを用いてガラス容器に添加することにより、各投薬日に調製した。各用量につき、等量の滅菌水をMN製剤又はシクロデキストリン溶媒に添加することにより、50:50(v/v)希釈物を形成した。200mg/kg用量に対しては、希釈は必要としなかった。全製剤は、穏やかに反転することにより混合し、適切な溶液が形成されるようにした。製剤は薬物適用カセット(medication cassette)に搭載し、必要時まで室温で保存した。
【0147】
Nは、SD3に25mg/kg、SD5に50mg/kg、そしてSD8に100mg/kgを投与した。雌のみが全量100mg/kg用量を投与され、それは注入ラインにおける沈殿により生じた機械的不具合のためであり、雄イヌは意図した用量の約72mg/kg(即ち72%)を投与された。2匹の別のビーグル犬に200mg/kgを投与したが、機械的困難が生じ、雄には意図した量の約180mg/kg(90%)が投与され、雌に投与した量は測定されなかった。
【0148】
SD13において、12.5mg/mLの製剤の粘度に関連すると考えられるポンプの機械的故障により投薬が完了できなかった。未使用の製剤は褐色ガラスバイアルに移し、室温で保存した後、SD15に滅菌水で50:50(v/v)希釈することにより再調製した。次に、6.25mg/mL希釈液を薬物適用カセットに搭載した。
【0149】
使用動物は、初回投薬の前に少なくとも7日間実験室の条件に順化させ、担当獣医師による検疫を通過させた。その間、各動物は耳部入墨及び各ケージラベルに記録した一次的番号により識別した。動物は従来通り、そして、USDA動物福祉法(USDA Animal Welfare Act)、実験動物の人道的管理と使用に関するPHS指針(PHS Policy on Humane Care and Use of Laboratory Animals)及び実験動物の利用及び管理に関する米国動物実験関連省庁連絡委員会原則(US Interagency Research Animal Committee Principles for the Utilization and Care of Research Animals)に従って管理した。
【0150】
飼料及び飲料水は、特段の記載が無い限り任意に摂取させた。食餌又は水中には、試験の目的の達成を妨害すると考えられる濃度では、汚染物質は存在していなかった。投薬中及び理化学的検査時には、動物に、愛玩行動、掻毟行動及び話し掛けのような積極的な人的関わりを与えた。頸静脈カテーテル処置のため、イヌは手術後にケージ外で運動をさせることは無かった。ゴム製コング玩具又はナイロン製玩具をケージ内に入れた。
【0151】
無菌的外科的手法を用いて、動物の頸静脈に留置カテーテルを挿管し、鎮痛剤及び抗生物質を手術当日に予防的に、そして抗生物質及び/又は鎮痛剤を手術後8日間、投与した。試験の概要は表15、16及び17に示す。
【0152】
【表15】

【0153】
【表16】

【0154】
【表17】

【0155】
用量1、2及び3は偶発事象を伴うことなく送達された。SD8において、100mg/kgの投薬中に、シリンジのポンプが早期に停止し、意図した123.2mL用量のうち僅か88.6mLのみが雄イヌ(No.10529)に送達された。ポンプは必要に応じて手動で再開したが、全用量を投与されたのは雌イヌ(No.10530)のみであった。
【0156】
SD15において、希釈した被験品製剤を、及び8時間の目標注入持続時間で、200mg/kg用量をイヌNo.10567及びNo.10568に投与しようと試みた。投薬7時間45分後、雄イヌ用ポンプが停止した。従って、雄イヌ(No.10567)には、意図した320mL用量のうち僅か289mLのみが投与された。投薬2時間12分後、注入針が雌イヌ(No.10568)の注入ラインから脱落していたことが判明し、投薬を中止した。雌イヌに静脈内送達されたMNの量は測定されなかった。
【0157】
各静脈内注入終了後、滅菌食塩水1mLを緩徐な大量瞬時注射として投与することにより、被験物質を注入ラインから動物内に注入した後、ヘパリン食塩水溶液を注射して注入ラインを充填することにより開存性を維持した。動物を観察した。ケージサイドの観察では、死亡、瀕死性、全身状態及び毒性の兆候が観察された。臨床観察では、皮膚及び体毛の特性の評価、手術部位、眼及び粘膜、呼吸、循環、自律神経及び中枢神経系、及び、身体運動性および挙動様式を観察した。血液を採取し、2.5mL容の血清分離用試験管にいれ、血清中MN濃度分析に付した。試験管は数回反転させ、氷水上に保存し、約3000rpmにより約10分間4℃で遠心分離した。血清を微量遠心管に移し、−75±10℃で保存した。
【0158】
試料は、ドライアイス上でGeneLogicのAnalytical Chemistry Laboratory(Gaithersburg, Maryland, USA)に発送して被験品分析に付した。イヌ血清少量、少なくとも0.5mLをアセトニトリルで処理し、濾過し、そして濾液を、タンデム型質量分析検出を伴ったHPLCカラムに注入(LC−MS/MS)する方法が含まれた。分析対象は内標準としてトリアゾラムを用いた外標準曲線を用いて定量した。
【0159】
雄性イヌNo.10529及び雌性イヌNo.10530をそれぞれSD9及び17に試験から除外し、安楽死させて失血させた。雄性イヌ10567及び雌性イヌNo.10568は、SD17に安楽死させ、失血させた。全動物とも、Nembutal(登録商標)の静脈内注射により安楽死させた。
【0160】
全てのイヌは、死亡時後、可能な限り早期に剖検に付した。身体外表面、手術部位、全ての開口部、頭部、胸部及び腹部の体腔部とその内容物の観察を含む肉眼的剖検を実施した。骨髄スメアは、大腿骨髄から調製した。スライドを風乾し、メタノール中に固定し、後日評価するために保存した。組織は、10%中性緩衝ホルマリン(「NBF」)中に保存した。更に、血管アクセスポート(「VAP」)に連結した注入ラインを収集し、両端で結び、NBF中に保存した。腎臓、肺、膀胱及び何れかの肉眼的病変部を包埋し、切片化し、染色し、そして認定病理専門獣医が検査した。検査した組織中には被験品に関連する病理学的所見は存在しなかった。
【0161】
結果として、MNの投与は死亡率に影響しなかった。明らかな投与関連の臨床観察事項又は体重への影響はなかった。被験品関連の肉眼的病理所見又は顕微鏡的変化は観察されなかった。MNの血清中濃度は、注入期の直後に最高であり、そして、MN濃度は全ての測定時点において雄イヌよりも雌イヌで高値であった。MNは注入期間後16時間にもなお検出可能であり、検出量は投与量の増大に従って増大した。
【0162】
結論として、投与関連の有害作用は約200mg/kgの用量まで観察されなかった。
【0163】
実施例5.追加の静脈内注入毒性試験
【0164】
A.ビーグル犬におけるMN(CPE)の7日間静脈内注入毒性試験
【0165】
本試験は、ビーグル犬において連続7日間の単回静脈内注入として投与した場合の30%HP−β−CD及び25%PEG中に製剤されたMNの毒性薬物動態プロファイルを評価するために実施した。本試験は、イヌにおけるMNのこの特定の製剤の第1の試験を構成し、毒性を評価し、希釈された製剤(10mg/m対5mg/mL)の耐容性を比較するために実施した。
【0166】
合計12匹のビーグル犬(雄8匹/雌4匹)に54分(群2)又は108分(群1、3及び4)の静脈内注入を介して、MNを投薬した。全動物に対し、連続7日間にわたり、一日1回の7投薬を行った。
【0167】
以下のパラメーター、即ち臨床観察項目及び体重を評価した。被験品の分析は試験第1日目及び7日目に実施し、血液試料(目標容量2.0mL)は以下の時点において適切な容器に各動物から採取した。
【0168】
【表18】

【0169】
肉眼的剖検は、群1及び3の動物に対して実施し、全ての注射部位を組織学的検討の為に処理した。詳細な臨床観察によれば、以下の所見、即ち一過性の可逆的な後肢の協調性不良が群2、3及び4において観察された。これらの観察事項の大部分は、群3及び4で観察された。変色した尿が群1及び3で生じた。この所見は溶媒群で観察されたため、溶媒関連と考えられる。3例の前肢領域の腫脹は、群1、2及び3で観察され、第3日に開始し、第4日に終了した。所見は、同じ投薬領域(橈側皮静脈)における複数回の針の挿入に起因する刺激を示すと思われる。速い呼吸の単一の観察事例は、群3の雌について単発的に偶発したものとして観察され、再度観察されることは無かった。最後に、下痢、嘔吐、粘液様糞便及び軟便が散発的に観察された。これらの観察事例はビーグル犬で一般的であり、ストレス誘導性であり、被験品関連ではないと考えられた。
【0170】
血清分析によれば、最低ピーク被験品濃度(名目上18759ng/mL)が、45mg/kg(5mg/mL)を投与した群4の動物において観察された。より高いピーク濃度(名目33420ng/mL)は、45mg/kg(10mg/mL)を投与した群2の動物で観察された。予測された通り、最高濃度(名目46704ng/mL)は、90mg/kg(10mg/mL)を投与した群3の動物で観察された。全群について最大濃度時間は、注入終了時であった(群2では0.9時間、群3及び4では1.8時間)。溶媒を投与した群1の動物の何れかの試料においても被験品は観察されなかった。1回投与後の濃度曲線を図3A(非対数目盛)及び図3B(対数目盛)に示す。
【0171】
肉眼的剖検を、群1及び3の動物に対して実施した。注射部位を採取して組織学的検討の為に処理した。組織学的検討によれば、対照の注射部位は、処置動物のものよりも影響が少ないように観察され、対照と比較して、処置動物の注射部位はより肥厚化し、変色していた。このことは、被験品は溶媒よりも刺激性が強いことを示唆している。剖検に付した動物にその他の肉眼的所見は観察されなかった。
【0172】
B.28日間回復期間を設けたビーグル犬におけるMN(CPE)の14日間反復静脈内注入毒性試験
【0173】
雄性及び雌性のビーグル犬に、14日間の静脈内注入を介してCPE(50%PEG 300中の20%HP−β−CD中における12.5mg/mL)を投与し、28日間回復期間を設けて、何れかの処置関連毒性の可逆性を調べた。最初は、32匹(雌雄各16匹)を無作為に4群(群1及び4は雌雄各5匹、群2及び3は雌雄各3匹)のうちの1つに割付け、50%PEG 300中の20%HP−β−CD(プラセボ)又は被験品(CPE)を22.5、45又は90mg/kgの用量で投与した。全動物に、静脈内注入により合計14回の一日当たりの用量を投与した。投薬後、群当たり雌雄各3匹のイヌをSD16に安楽死させ、群1及び4の残りの雌雄各2匹を28日間の回復期間を通して維持した。
【0174】
試験中に評価したパラメーターは死亡、臨床観察事項、体重及び体重変化、摂餌量、眼科的、心臓学的、臨床病理、臓器重量及び巨視的な及び微視的な病理の項目を包含した。
【0175】
CPE投与は死亡率には影響せず、全動物とも予定終了時まで生存した。体重、体重変化又は摂餌量には影響は無かった。投与関連の眼科的作用は、観察されなかった。可逆的なCNS活性(運動失調)の一過性の兆候が、2回90mg/kgにおける1匹に観察された。全ての他の臨床観察事例は投与に無関係の単発的発生と考えられた。
【0176】
心臓学的には、被験品関連の作用は観察されなかった。投与前及びSD13において、プラセボ投与の雄1匹が、心室性期外拍動を示し、SD1において、45mg/kgCPEを投与した雌1匹が心室に伝導しない1心房性の拍動を示したが、これらの所見の何れも投与関連とはみなされなかった。
【0177】
臨床病理パラメーターには、被験品関連作用は観察されなかった。有意に低値の絶対網状赤血球数が、SD15に22.5mg/kgCPE投与の雄において観察されたが、変化は最小限であり、投与前の数値と同様であり、生物学的または毒性学的に有意とはみなされなかった。
【0178】
SD16において、22.5及び45mg/kgのCPEを投与した雄の絶対脾臓重量における統計学的有意差は、対照群(プラセボ)における動物個体変動に関連するものであった。相対臓器重量には有意差は無かった。
【0179】
SD16の剖検において全動物の注入部位で観察された病変部は、静脈内注入処置の二次的なものと考えられ、投与関連ではなかった。注入部位の赤色化が45mg/kgCPE群の雌1匹で観察され、微視的には多病巣性、軽度、内膜の血管肥厚化、平滑筋細胞の多病巣性、軽度の血管過形成、及び、多病巣性、軽度、亜急性、皮下の周囲血管炎と相関付けられ、投薬技法により誘発された刺激を示していた。プラセボ及び90mg/kgCPE群の一部の雄性及び雌性の動物は、広汎性の軽度〜中等度の脾臓のうっ血を示しており、安楽死状態に起因するものであった。SD16、42及び43の剖検時に観察された他の全ての巨視的及び微視的な所見は偶発的と考えられ、投与関連性ではなかった。
【0180】
結論として、ビーグル犬では最大90mg/kg用量においてCPEの静脈内注入の14日間後に投与関連の有害作用は観察されなかった。
【0181】
C.ビーグル犬におけるIV用量変動試験
【0182】
20%のHP−β−CD/50%PEG 300中のMN(12.5mg/mL)を雄イヌ1匹にIV注入により投与した(10mL/kg/時)。注入ライン内の圧力増大及びシリンジからの被験製剤の漏出が起こった。投薬により唾液分泌、散瞳、赤色化尿、重度の運動失調、振戦及び痙攣が起こった。観察事例が重度であると考えられたため、動物は瀕死とみなされ、安楽死が予定された。安楽死の前に、イヌは回復しているように見えた。:全ての以前に観察された臨床観察事例は重症度が顕著に低下した。
【0183】
同一の投薬を、5mL/kg/時の注入速度で雌イヌ1匹に対して試みたが、非協調/不均衡性の運動及び頻尿が投薬後に生じた。イヌは投薬1時間及び15分以内で回復し、継続的又は追加的な有害臨床兆候は示さなかった。
【0184】
別の雄及び雌に、150mg/kg次いで125mg/kgで投薬した。重度の運動失調、眼振、赤色尿又は糞、頻尿、投薬中の啼鳴、呼吸困難、嘔吐及び/又は唾液分泌が、これらの用量レベルで生じた。両方の動物とも投薬1時間内に回復し、その後は追加的な重要な臨床兆候は観察されなかった。
【0185】
200、150及び125mg/kgで観察された偶発的な臨床、ケージサイド、投薬後、又は予定外の観察事例は、最小限〜軽度の鼻及び/又は耳の紅潮、排泄の変化(軟質及び/又は粘液性の糞)及び透明な鼻分泌物及び赤色膣分泌物の各1例を包含していた。これらの所見は頻繁に生じ、投与とは無関係の一般的な臨床検査上の所見と考えられた。125mg/kg投与の雌のSD43における、投薬中のパドリング挙動の1例が生じたが、それは投薬用スリングの使用に起因するものであり、やはり投与とは無関係とみなされた。
【0186】
2匹の余分(未処置)のイヌを試験計画に追加し、13日間隔での12回の総投薬につき、5mL/kg/時の注入速度で75mg/kg/日を投与した。唯一観察された投薬後の観察事例は、SD7における雌の赤茶色尿の単回の観察であり、この事象の有意性は不明である。臨床観察事例には、雄の軟便及び雌の泡のような白色吐瀉物が包含されたが、これらの所見は頻繁又は単発的な偶発例であり、投与とは無関係とみなされた。脆弱化四肢の投薬後観察事例がSD2において雄で観察され、スリング拘束材の使用に起因していた。両方のイヌは何れかの観察臨床兆候からも投薬1時間以内に回復した。MN投与は体重に影響せず、肉眼的病変部は剖検時には観察されなかった。その他の投与関連観察事例はなかった。
【0187】
D.スプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットにおける8日間IV注入毒性試験
【0188】
PEG 300中の10%HP−β−CD中におけるMN(6.25mg/mL)の漸増用量、0、100、150又は200mg/mLを、8mL/kg/時で雄性及び雌性のスプラーグドーリーラット(雌雄各3匹)に、4日毎に一回IV注入により投与した。最初の4回の注入後、試験を延長して、最大14日までの4時間の毎日の注入も行った。MNに関連する顕著な死亡例は生じなかった。雄性ラット1匹が溶媒投与中に第1日目投薬時に死亡し、雌性ラット1匹が試験第5日目において被験物質100mg/kgの注入終了時に死亡していた。一匹が被験品を投与されておらず(溶媒のみ)、また、もう一方のラットでは単発例であり他のラットは200mg/kg/日の投薬で複数日間生存していたことから、これらの死亡は被験品関連とはみなされなかった。
【0189】
発生した臨床及び剖検の観察事例は、注入口と注入ラインに対し二次的なものであった。これらの観察事例は、頚部又は腋窩における浮腫及び後肢の限定された使用を包含していた。試験の連続毎日投薬期間は、雄1匹及び雌1匹のラットにおいて振戦が生じた。又、雄1匹及び雌1匹のラットで眼瞼下垂及び活動亢進が生じた。これらのみが、被験品200mg/kg/日投薬に関連していた臨床観察事例であった。
【0190】
試験期間を通じて、雌雄ラット共に体重増加した。最高体重増加は、溶媒投与後に生じた。摂餌量値は溶媒と被験品の投与後で同様であった。
【0191】
本試験で評価したラットの限定数に基づいて、最大連続8日間までの溶媒又は200mg/kg/日もの高用量における被験品の投与は、ラットによる耐容性を示し、毎日投与後に一部有害臨床観察事例を誘発していた。発生した大部分の臨床観察事例及び全ての剖検所見は、ラットへの投薬の為に使用した注入口と注入ラインに関連しているとみなされた。屠殺時において、全ての注入ラインは頸静脈の外部に移動及び/又はもはや開存しておらず、塊状物(おそらくは被験品)が注入口/ラインの位置に存在していた。
【0192】
実施例6.修飾セルロース中におけるMNの溶解性
【0193】
可溶化剤及び/又は賦形剤として使用するための50%HP−β−CD(w/v)及び0.5%ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(「HPMC」)(w/v)の10mLの溶液の調製に際して、攪拌棒の入ったガラスビーカー中に5.9mLの動物への注射に適した水(WFI)を投入した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。5グラムのHP−β−CDを攪拌中のWFIにゆっくり添加し、その際、スパーテルを用いてビーカーの中央部にHP−β−CDを指向させた。HP−β−CD溶液を約24時間、又は、HP−β−CDが完全に溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。得られた溶液は約9.4mLであった。この溶液に約0.6mLのWFIを添加して10mLとし、50%HP−β−CD溶液(w/v)を調製した。50ミリグラムのHPMCを50%HP−β−CD溶液に添加し、約1時間、又はHPMCが溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。最終溶液を約1時間攪拌し、次に遮光下に室温で保存した。修飾セルロースを含有する修飾シクロデキストリンを調製するこの方法をスケールアップ又はダウンすることによりHP−β−CD/HPMC溶液の所望の容量又は濃度を得てよい。他の修飾シクロデキストリン/修飾セルロース溶液は、例えば上述の方法において、HP−β−CDを他の修飾シクロデキストリンと、又は、HPMCを他の修飾セルロースと置き換えることにより、同様に調製してよい。
【0194】
50%HP−β−CD/0.5%HPMC中約10mg/mLで濃度の10mLのMN溶液を以下の通り調製した。約10mLの50%HP−β−CD/0.5%HPMC溶液を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約100mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部における50%HP−β−CD/0.5%HPMCにゆっくり添加した。MN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物を24時間、又は全てのMNが均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物は約90℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、500mLのMN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物については90℃にて1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうか、MN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物を観察した。最終MN50%HP−β−CD/0.5%HPMC溶液は遮光下に室温で保存した。MNは90℃で加熱した場合には1mg/mL及び10mg/mLの濃度でこの50%HP−β−CD/0.5%HPMC製剤中で溶解しており、冷却後も溶液として留まり、室温における安定性は7日間より長期間であった。MNはこの同じ製剤中50mg/mL濃度においては90℃でさえも溶解しなかった。
【0195】
上述の方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリン/セルロース溶液中にMNを含有する製剤は、例えば上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより、又はHPMCを他の修飾セルロースと置き換えることにより同様に調製してよい。
【0196】
可溶化剤及び/又は賦形剤として使用するためのエタノール(w/v)中5%エチルセルロース(「EC」)の10mLの溶液の調製に際して、攪拌棒の入ったガラスビーカー中に10mLの100%エチルアルコール(「EtOH」)を投入し、円形Tefron(登録商標:以下、省略するが「Tefron」は登録商標である。)カバーにより被覆した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。500ミリグラムのECを攪拌中のエタノールにゆっくり添加し、その際、スパーテルを用いてビーカーの中央部にECを指向させることにより、EC粉末がビーカー壁面に固着するのを防止した。EC溶液を約2時間、又は、ECが完全に溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。最終溶液は遮光下に室温で保存した。
【0197】
修飾セルロース溶液を調製するこの方法をスケールアップ又はダウンすることにより所望の容量又は濃度を得てよい。他の修飾セルロース溶液は、例えば上記した方法において、ECを他の修飾セルロースと置き換えることにより、同様に調製してよい。
【0198】
5%EC(w/v)中の約20mg/mL(w/v)の濃度のMNの溶液(「EC製剤」)10mLを以下の通り調製した。上述の通り調製した約10mLの5%EC溶液を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定し、円形Tefronカバーで被覆した。約200mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部における5%EC製剤にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが固着するのを防止した。MN/EC混合物を2時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/EC混合物は約60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば500mLのMN/EC混合物については60℃にて1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/EC混合物又は溶液を観察した。最終MN/EC溶液は遮光下に室温で保存した。
【0199】
上述の方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして加熱温度はMNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。他の修飾セルロース、例えばHPMC、MC及びCMCの溶液中にMNを含有する製剤も同様に調製してよい。修飾セルロース中のMNの溶解性の結果を表19に示す。
【0200】
結果によれば、熱を適用することなくEC製剤中において1mg/mLでMNが可溶であり、室温で3日間を超えて安定であったことを示している。MNは40℃において10mg/mLの濃度で可溶であり、そして冷却後も溶液状態に留まり、この溶液は3日間を超えて室温で安定であった。MNは60℃において20mg/mLの濃度でEC製剤中に可溶であり、そして冷却後も溶液状態に留まり、この溶液は3日間を超えて室温で安定であった。30mg/mL濃度のMNは60℃でEC製剤中において可溶であったが、冷却により溶液状態に留まることはできなかった。50mg/mL又は100mg/mLレベルのようなより高濃度のMNは90℃でEC製剤中において可溶であったが、冷却により溶液状態に留まることはできなかった。
【0201】
【表19】

【0202】
実施例7.水不溶性脂質及び水溶性有機溶媒中のMNの溶解性
【0203】
ゴマ油中約50mg/mLの濃度のMNの10mLの溶液を以下の通り調製した。約10mLのゴマ油を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約500mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部におけるゴマ油にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが着するのを防止した。MN/ゴマ油混合物を約2時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/ゴマ油混合物は約60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、500mLのMN/ゴマ油混合物については60℃で1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/ゴマ油混合物又は溶液を観察した。結晶が形成した場合は、全てのMNが溶解して溶液に戻るまで、MN/ゴマ油溶液を高温磁気プレート上で攪拌しながら再度60℃で1時間加熱した。最終MN/ゴマ油溶液は遮光下に室温で保存した。
【0204】
上述の方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして加熱温度はMNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。他の水不溶性脂質中にMNを含有する製剤は、例えば、上述した方法においてゴマ油をコーン油、オリーブ油、ダイズ油、ペパーミント油又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより同様に調製してよい。結果を表19に示す。
【0205】
表20は、例えば、MNが1mg/mL〜100mg/mLまでの濃度範囲における60℃でのコーン油中で可溶であり、そして、100mg/mLのレベルを除き、MNは冷却後に溶液状態に留まり、溶液は、1及び10mg/mL濃度において3日間を超えて安定であり、20、40及び50mg/mLのレベルにおいて3日間未満、そして60mg/mLのレベルでは1日間未満、安定であることを示している。更に、MNは、30mg/mLのレベルでは60℃においてオリーブ油中で可溶であったが、冷却後は溶液状態に留まることはできなかった。
【0206】
ゴマ油中において、MNは10mg/mLのレベルでは室温で、そして20mg/mL、30mg/mL及び50mg/mLの濃度では60℃で可溶であり、冷却後も溶液状態に留まった。10mg/mL及び20mg/mL溶液は室温で3日間を超えて安定であり、30mg/mL溶液は室温で3日間未満安定であり、そして50mg/mL溶液は室温で1日間未満安定であった。
【0207】
85%ゴマ油及び15%Tween 20中、約60mg/mLの濃度の10mLのMNの溶液を以下の通り調製した。約8.5mLのゴマ油を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約1.5mLのTween 20をビーカーの中央部にゆっくり添加した。約600mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部におけるゴマ油/Tween 20混合物にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが付着するのを防止した。MN/ゴマ油/Tween 20混合物は、約2時間、或いはすべてのMNが溶解、または均一に懸濁し、塊状物がなくなるまで、撹拌した。MN/ゴマ油/Tween 20混合物は60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、500mLのMN/ゴマ油/Tween 20混合物については60℃で1時間)又は、必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/ゴマ油/Tween 20混合物を観察した。最終MN/ゴマ油/Tween 20溶液は遮光下に室温で保存した。保存中結晶が形成した場合は、MN/ゴマ油/Tween 20溶液は、全てのMNが溶解して溶液に戻るまで、高温磁気プレート上で攪拌しながら再度60℃に加熱できる。
【0208】
この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして加熱温度はMNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、水溶性有機溶媒と組み合わされた他の水不溶性脂質中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるゴマ油又はTween 20をコーン油、オリーブ油、ダイズ油、ペパーミント油、Tween 80、コハク酸d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000「(TPGS)」、レシチン、PEG 300、PEG 400、PEG 400モノラウリン酸、グリセロール、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、ポリエチレングリコール(「PG」)又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより同様に調製してよい。水不溶性脂質中のMNの溶解性の結果を表20に示す。
【0209】
表20は、例えば、60mg/mLのMNは、55℃において85%ゴマ油及び15%Tween 20を含有する製剤中で可溶であり、そして、40mg/mLのMNは45℃の同じ製剤中で可溶であったが、MNは冷却時にはこれらの製剤中では溶液状態に留まらなかった。一方、29mg/mLのMNは、60℃において89%ゴマ油及び11%Tween 20を含有する僅かに異なる製剤中で可溶であり、冷却時も溶液状態に留まり、そして7日間超室温で安定であった。
【0210】
食塩水中約2.9mg/mLの濃度のMNの乳剤1mLを以下の通り調製した。約0.9mlの0.9%食塩溶液を1.5mL容のポリプロピレン試験管に入れた。89%のゴマ油及、11%のTween 20中において29mg/mLの濃度で約0.1mlのMN溶液をポリプロピレン試験管に添加した。食塩水中のMN/ゴマ油/Tween 20溶液又は混合物を1分間激しく回転混合した。60%最大プローブ振幅の振幅に調節したミクロチッププローブを用いて5分間MN/ゴマ油/Tween 20溶液を超音波処理することにより乳剤を調製した。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/ゴマ油/Tween 20乳剤を観察した。最終MN/ゴマ油/Tween 20乳剤は室温で遮光下に室温で保存した。
【0211】
この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他の界面活性剤と組み合わせた他の脂質又は水溶性有機溶媒中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるゴマ油又はTween 20を、コーン油、オリーブ油、ダイズ油、ペパーミント油、Tween 80、TPGS、レシチン、PG、PEG 300、PEG 400、PEG 400モノラウリン酸、グリセロール、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより、同様に作成してよい。
【0212】
【表20−1】

【表20−2】

【表20−3】

【0213】
表21は、水溶性有機溶媒EtOH、PG、PEG 300、PEG 400、PEG 400モノラウリン酸、グリセロール、PVP及びこれらの特定の組合せ中における、MNの溶解性に関して得られた結果を示す。
【0214】
【表21】

【0215】
実施例8.非イオン性界面活性剤中のMNの溶解性
【0216】
Tween 20中、約60mg/mLの濃度のMNの10mLの溶液を以下の通り調製した。約10mLのTween 20を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約600mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部におけるTween 20にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが固着するのを防止した。MN/Tween 20混合物を2時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/Tween 20混合物は約60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば500mLのMN/Tween 20混合物については60℃1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/Tween 20混合物又は溶液を観察した。最終MN/Tween 20溶液は遮光下に室温で保存した。保存中に結晶が形成した場合は、全てのMNが溶解して溶液に戻るまで、MN/Tween 20溶液を高温磁気プレート上で攪拌しながら再度60℃にて約1時間加熱した。
【0217】
この方法をスケールアップ又はダウンすることにより、MNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして、加熱温度は、MNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。他の非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤又は両親媒性界面活性剤中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるTween 20をTween 80又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより同様に調製してよい。Tween 20、Tween 80及びTween 20とPEG 400との組合せにおけるMNの溶解性の結果を表22に示す。
【0218】
表22は、MNが室温において1mg/mLの濃度でTween 20及びTween 80に可溶であることを示している。Tween 20溶液中のMN(以下、「MN/Tween 20」称する)は7日間を超えて室温で安定であり、Tween 80溶液中のMN(以下、「MN/Tween 80」と称する)は観察3日間を超えて安定であった。より高濃度のMNも、50℃でTween 20又はTween 80に可溶であった。更に又、MNはTween 20中で60mg/mLまで、及び、Tween 80中で50mg/mLまでの濃度において冷却後も溶液状態に留まったが、Tween 20中での80mg/mL及び100mg/mLのレベルでは冷却時に不溶性となった。10mg/mL及び20mg/mLのMN/Tween 20溶液は7日間を超えて室温で安定であると観察された。40mg/mL及び80mg/mLのMN/Tween 20溶液は3日間未満室温で安定であると観察された。MN/Tween 80溶液については、10mg/mL溶液は3日間を超えて室温で安定であるように観察されたが、50mg/mL溶液は1日間未満の室温で安定であった。
【0219】
結果は又、MNは50%Tween 20と50%PEG 400の組合せにおいては65℃での加熱時に試験したMNの60mg/mL濃度まで安定であったことを示している。MNは冷却によっても、これらの製剤中で溶液状態に留まり、溶液は3日間を超えて室温で安定であった。
【0220】
表23は、μg/mLにおけるMNの濃度及びμM量におけるその相当する濃度を示す。
【0221】
【表22】

【0222】
【表23】

【0223】
実施例9.HP−β−CD中にMNを含有する凍結乾燥製剤
【0224】
HP−β−CD中の、約185mg/g(w/w)の濃度の120mgのMN凍結乾燥粉末を以下の通り調製した。等モル量のHP−β−CD及びMNを使用してHP−β−CDとMNの間の複合体形成比率を増大させた。約98mgのHP−β−CD及び約22.2mgのMNを、1.5mL容量のポリプロピレン試験管中で混合した。約0.2mLのWFIを、HP−β−CD/MN粉末混合物の入ったポリプロピレン試験管内の混合物に添加し、1分間、回転混合することにより水中のHP−β−CD/MNの懸濁液を形成した。HP−β−CD/MN懸濁液を24時間−20℃で凍結した。次に、HP−β−CD/MN懸濁液を60℃にて約2時間、真空下に、1400rpmで遠心分離し、懸濁液から水を全て除去した。HP−β−CD/MN複合体の乾燥粉末は約120mgの重量であった。このHP−β−CD/MN粉末複合体を次に水又は他の可溶化剤に溶解又は再懸濁した。最終MN/HP−β−CD粉末複合体を遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリンにMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより同様に調製してよい。表1に示す結果は、約81.5%のHP−β−CD及び18.5%のMNからなるHP−β−CD/MN懸濁液の凍結乾燥後にHP−β−CD/MNの粉末複合体が得られたことを示している。
【0225】
HP−β−CD/HPMC中、約150mg/g(w/w)の濃度のMNの凍結乾燥粉末400mgを以下の通り調製した。上述の通り調製した、約1mLの50%HP−β−CD/0.5%HPMC溶液を、1.5mL容量のポリプロピレン試験管に添加した。約60mgのMNを、HP−β−CD/HPMC懸濁液の入ったポリプロピレン試験管に添加し、1分間回転混合することによりHP−β−CD/HPMC/MN懸濁液を調製した。HP−β−CD/HPMC/MN懸濁液を、24時間−20℃で凍結した。次にHP−β−CD/HPMC/MN懸濁液を約5時間60℃の真空下に1400rpmで遠心分離し、懸濁液から水を全て除去した。HP−β−CD/HPMC/MN複合体の乾燥粉末は約400mgの重量であった。このHP−β−CD/HPMC/MN粉末複合体を、次に水又は他の可溶化剤に溶解又は再懸濁した。最終MN/HP−β−CD/HPMC粉末複合体を遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることにより、MNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリン/セルロース溶液中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより、又は、HPMCを他の修飾セルロースと置き換えることにより、同様に調製してよい。表19に示す結果は、約84%のHP−β−CD、1%のHPMC及び15%のMNからなるHP−β−CD/HPMC/MN懸濁液の凍結乾燥後にHP−β−CD/HPMC/MNの粉末複合体が得られたことを示している。
【0226】
実施例10.MNの送達のためのIV管材の試験
【0227】
本実験において、適合性及びMNの静脈内送達の最適化について種々の管材を試験した。適合性に関する試験は、目視による検査及びHPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析に基づいた。
【0228】
目視による検査は、以下の通り行った。試験すべき製剤(「製剤材料」)約5mLを長さ約20cmの管材に通した。製剤材料を室温(25℃)で約24時間管材内部に保持した。次に、製剤材料を、数回(例えば、約5回)管材を循環させ、そしてビーカー又は採取試験管内に収集した。製剤材料は沈殿又は粒子が存在しないか慎重に検査し、その際例えばビーカー又は採取試験管を白色の背景、次いで暗色の背景に対向させて保持した。
【0229】
HPLC分析を用いた適合性の試験は、試験すべき管材、時間の長さ及び管材の目的に応じて方法が変動した。本試験では異なる管材を通過する循環の前後における溶液中のMNの量を測定した。
【0230】
適合性を測定するための閾値は、90%試験純度、即ち、管材との相互作用の後、及び試験の終了の後に、溶液中にMNの約90%が残存していた場合に材料は適合性とみなした。90%閾値未満の何れの量も不適合な管材とみなした。結果は表24に示す。
【0231】
本試験はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)及びフルオロエラストマー(Barnant Company, Barrington, IL, USA)、ポリプロピレン(Cole-Parmer, Vernon Hills, IL, USA)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)(Saint-Gobain, Mickleton, NJ, USA)、PTFE(Cole-Parmer)、ポリエチレン(Intramedic, Becton Dickinson, Sparks, MD, USA)及び白金硬化シリコーン(小型)(Cole-Parmer)が、全て本明細書に記載した製剤中のMNの送達に適合していることを示している。
【0232】
【表24】

【0233】
実施例11.医薬組成物の膀胱内投与
【0234】
上記した医薬組成物の1つ以上を例えば6週間毎週800mgの用量において例えば膀胱のインサイチュの癌治療の為に、膀胱内に投与することができる。組成物はAPI、例えばNDGA化合物、例えばMNを含有する。API、例えばMNは、5mLバイアル当たり200mgで組成物中に存在し、そして、2℃〜−8℃(36°F〜46°F)で冷蔵庫内に保存される。組成物の対象への投与の前に、バイアルを冷蔵庫から取り出し、加熱することなく室温に戻す。組成物は、0.9%規定濃度食塩水注射用(Normal Saline Injection)USP 55mLに800mg(20mL)を添加することにより希釈してよい。膀胱の洗浄はAPIの膀胱内投与(上述の通り希釈した場合には総容量75mL)により実施し、APIを2時間貯留させ、次に排出(void out)する。適切な適合性のある管材を上述の通り使用する。
【0235】
医師又は患者は、膀胱が傷害、炎症又は穿孔を有する場合には、粘膜の一体性の消失により全身吸収が起こる場合があるため、APIを含有する組成物を投与しないように指導される。重度の過敏性膀胱症状を有する患者においては、APIが導入及び貯留の時間中に過敏性膀胱の症状を誘発する場合があるため、化合物を慎重に使用しなければならない。患者は、24時間は尿が赤又はピンクの色を帯びる場合があることを通知される。
【0236】
実施例12.健康男性被験者8人における14C−標識MNのヒト第0相3元クロスオーバーマイクロドース薬物動態試験
【0237】
本試験は摂食及び絶食条件下における単回経口投薬又は単回静脈内投薬(表25においてそれぞれ用法A−C)の何れかとしての治療量未満の用量としてヒトに投与された場合のMNの吸収量を評価するために設計された。試験は健康男性被験者の目標集団における3期クロスオーバー試験設計とし、投薬の間の少なくとも7日間の最小期間により各々が分離された約35時間よりなる3つの試験期間で構成されていた。各試験期間の過程の間、薬物動態用の血液試料を投薬後の特定の時点において採取し、尿は所定の時間間隔で採取した。被験者は投薬後24時間において試験の特定の処置を完了した後に、退院させた。
【0238】
本試験においてMNは100μgの量でヒトに投与した。MNは14C(100μg当たり3.3kBq)で僅かに標識し、健康ボランティアに投与した。MNの各経口用量はサイズ0のゼラチンカプセル中、0.1mgの14C標識したMN及び376.8mgのグリセロールモノオレイン酸からなるものとした。MNの単回静脈内注入は瞬時大量注入法の為に1mLに水で希釈した0.1mg/mLの14C標識したMN、30%(w/v)HP−β−CD及び25%(v/v)PEGからなるものとした。各被験者から血液及び尿を採取した後、試料は14C含有量について加速器質量分析装置(AMS)を用いて分析することによりTmaxにおけるMNの最高濃度(Cmax)、試験の採血時点まで(AUC0−t)及び全て(AUC0−∞)におけるMNの全ての吸収を表す全曲線下面積(AUC)、各試料の終末相半減期(T1/2)、及び、MNのIV投薬と比較した場合のMNの経口投与の相対的及び全ての生体利用能(Frel及びF)を求めた。14Cに関する薬物動態パラメーターの平均±SD値を表25に示す。MNのベースライン水準は投薬間の期間後に対象に残存するMNに関して補正することにより、何れかの後の投薬に対してMNの水準が誇張されないようにした。
【0239】
【表25】

【0240】
経口用量に関しては、総14Cに関するCmax値は高脂肪朝食後の14C標識MN100μg経口投与後(Cmax=5.94±1.33pmol/L)のほうが一夜絶食後の経口投与後(Cmax=9.29±1.40pmol/L)よりも低値であった。Tmaxは絶食よりも摂食においてより遅延した。摂食投与被験者においては、Tmax、即ちCmaxの時間は高度に変動性であり、投薬後1.5〜24時間の範囲であり、そして絶食被験者においては、Tmaxは一般的に投薬後1時間に起こっていた(範囲0.50〜2.00時間)。AUC0−t値は絶食被験者よりも摂食投与被験者において一般的に低値であった。
【0241】
静脈内投薬後には、最高濃度(Cmax=10.31±1.77pmol/L)が10被験者中8例において初回サンプリング時(投薬後0.08時間)に予測どおり観察された。2被験者においては、Tmaxは投薬後0.17時間であった。総14C血漿中濃度に関するAUC0−t値は、摂食投与被験者における単回経口投薬後のほうが静脈内投薬後よりも僅かに低値であった。逆に、相当するAUC0−t値は絶食被験者における単回経口投薬後のほうが静脈内投与後よりも僅かに高値であった。
【0242】
試験製剤は経口及び静脈内投与の両方において十分耐容性が示された。重篤又は重度な有害事象は観察されず、そして何れの対象も試験投与に関連する有害事象による中断はなかった。生命徴候又はECGにおいて臨床上有意な変化は観察されなかった。
【0243】
本試験に関する結論において、MNの見かけの吸収は摂食及び絶食状態において経口投与後に極めて高値であった。摂食の存在下においては、吸収の速度及び程度は絶食状態と比較して低値であり、Cmax時の時間は、摂食時の投与において延長された。これらの結論は14C標識MNの経口投与用量が吸収前に分解されないという推定に基づいて行われている。
【0244】
実施例13.水溶性有機溶媒中のMNの溶解性に関する追加試験
【0245】
表26に示した水溶性有機溶媒の組合せ中のMNの溶解性を48時間評価した。室温での2、24及び48時間のインキュベーション後、逆相HPLC(「RP−HPLC」)により試料を分析することによりMNの溶解性を定量した。MN試料を調製するために、アセトンに溶解した200μLの100mg/mLのMNを1.5mLのポリプロピレンマイクロ試験管に投入した。試料が完全に乾燥するまで48時間溶媒を室温で蒸発させた。
【0246】
水混和性の有機溶媒の製剤を15mLのポリプロピレン遠心管中に調製した。各製剤10mLを調整した。各溶媒は25℃におけるその対応する密度を用いた重量に基づいて添加した。短時間混合後、各製剤を0.45μm界面活性剤非含有酢酸セルロース(「SFCA」)フィルターを介して濾過し、新しい15mL試験管内に回収した。製剤は使用時まで室温で保存した。
【0247】
各製剤の組合せ(表26、Benz=ベンジルアルコール;Crem=Cremophor EL;DMA=ジメチルアセトアミド;T80=Tween 80)400μLをマイクロ試験管に添加し、50mg/MLMNの最高溶解性とした。MN溶解性は室温での2、24および48時間インキュベーション時にRP−HPLCにより評価した。各時点において、試料を13000rpmで2分間遠心分離することにより存在する固体のMNをペレット化した。表26に示す通り、試験した製剤条件の半分超が10mg/ML超の濃度までMNを可溶化することができた。2及び48時間におけるグリセロール中のMNの溶解性は検出不可能であった。
【0248】
【表26】

【0249】
実施例14.水性溶液中のMNの溶解性
【0250】
ヒドロキシプロピルHP−β−CD又はスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン(SE−β−CD)(Captisol(登録商標:以下、省略するが「Captisol」は登録商標である。)、CyDex, Inc., Lenexa, KS, USA)の何れかを含有する水溶液中のMNの溶解の溶解性を実施例14における上述した室温において最大48時間評価した。10検体のHP−β−CD及びSE−β−CDの50%溶液を容積に対する重量基準(weight to volume basis)で調製した。試料中で使用するMNは、実施例14に記載する通り調製した。1.0g〜5.0gの各化合物を、分析用天秤(OHAUS Analytical Plus Balance)上の10mLのメスフラスコに計量投入した。各試料を注射用水(WFI)で10mLに定容(q.s.)した。40℃で1時間インキュベートした後、調製物を0.45μmのSFCAフィルターで濾過して新しい15mL試験管に採取した。調製物は使用時まで室温で保存した。
【0251】
表27に示す通り、WFI、0.9%の食塩水、5%のブドウ糖(DSW)中のMNの溶解性は、本試験の過程を通して、RP−HPLCの定量限界未満であった。HP−β−CD及びCaptisolの濃度及び時間の関数として増大したMN溶解性が注目される。
【0252】
【表27】

【0253】
水混和性溶媒を用いた20種超の製剤条件は、10mg/mLを超える(greater than 10mg/mL)濃度にまでMNを可溶化することができた。WFI、0.9%食塩水、D5W中のMNの溶解性は、RP−HPLC法の検出限界未満であった。MNの溶解性はHP−β−CD及びCaptisolの濃度及び時間の関数として増大する。
【0254】
実施例15.ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン中におけるMNの溶解性
【0255】
HP−β−CDの種々の濃度におけるMNの水溶解性をHiguchi及びConnors(1965年)により報告された方法により評価した。つまり、MNを正確に計量し、その水溶性を超過した量において添加し、48時間漸増濃度(0〜350mmol/L)のHP−β−CDの水溶液と共に室温で穏やかに回転(〜12rpm)させた。次にMN/HP−β−CD溶液を0.45μmSFCAフィルターで濾過し、RP−HPLCにより分析した。
【0256】
大部分の薬剤/シクロデキストリン複合体は包接複合体であると考えられたが、シクロデキストリンは、非包接複合体及びミセル様構造を介して薬剤を溶解できる複合体凝集塊を形成することも知られている。位相−溶解性のプロファイルは、包接複合体の形成を確認するものではなく、シクロデキストリンの漸増濃度が薬剤の溶解性にどのように影響するかを説明するのみであった。MN/HP−β−CD複合体の形成は、非直線的であったが、化学量論的な(並びに安定性定数の)厳密な測定は、本実施例の実験では検討しなかったものの、NMR又は電位差測定のような他の手段により測定可能である。
【0257】
実施例16.HP−β−CD/PEG 300緩衝溶液中におけるMNの溶解性
【0258】
15mM緩衝溶液中における10mg/mLのMN(75:25の、40%のHP−β−CD:40mg/mLのMN PEG 300の比で調製)の安定性を60℃でのインキュベートの後に評価した。
【0259】
HP−β−CDの緩衝40%溶液を、容積に対する重量基準で調製した。試料中で使用するMNは実施例14に記載する通り調製した。2.0gのHP−β−CDを、分析用天秤(OHAUS Analytical Plus Balance)上の5mLのメスフラスコに計量投入した。100mMの緩衝溶液の1mLを、各フラスコに添加した。各試料を、WFIで5mLに定容した。40℃で1時間インキュベートした後、調製物を、0.45μmのSFCAフィルターで濾過して新しい15mLの試験管に採取した。調製物は使用時まで室温で保存した。
【0260】
750μLの40%HP−β−CD緩衝溶液を、1.5mLのポリプロピレン マイクロチューブに投入した。250μLの40mg/mLのMN PEG 300を、各マイクロチューブに添加することにより、MNの10mg/mLの溶解性を可能とした。試料チューブを穏やかに反転させた後、各溶液のpHをOrion、420A型pHメーター(Model 420A pH meter)を用いて測定した。最初のアリコットを、RP−HPLC分析用に採取した。次に、被験試料を、Precision 60℃ インキュベーター内に投入した。MN安定性は、RP−HPLCで評価した。各時点において、試料を13000rpmで2分間遠心分離することにより、固体MNをペレット化した。
【0261】
表28に示す通り、種々のMN溶液の濃度の僅かな低下が、60℃での14日インキュベーション後に観察された。RP−HPLCデータは、MNの濃度の低下の程度に相応する試料不純物の増大を明らかにしなかった。しかしながら、pH依存性の変化が、MN不純物で観察されたが、これらの不純物は総ピーク面積の0.1%未満を構成するのみであった。インキュベーション期間中の見かけの試料のpHの変化が観察された場合でもそれは僅かであった(表28)。
【0262】
【表28】

【0263】
Nの回収量の損失によって示される、見かけの試料pH又は緩衝液とは無関係の均一な安定性低下が60℃での14日インキュベーション後に観察された。
【0264】
実施例17.11〜14mg/mLのPEG 300/HP−β−CD溶液中におけるMNの安定性
【0265】
製造仕様書を裏付けるために、本試験では、種々のMNの標的濃度におけるPEG 300/HP−β−CDの組み合わせの24時間室温安定性を調べた。MN保存液の保存液試料を、以下の通り60℃で33〜56mg/mLの薬剤濃度において、100%PEG 300中に調製した。
【0266】
60℃で少なくとも2時間インキュベートした後、MN大量(bulk)製剤を、実施例14及び17に記載の手順を用いてPEG 300中に、33、44、48、52、55及び56mg/mL(w/w)の濃度に可溶化した。44mg/mL超(above 44 mg/mL)のMNの完全な可溶化のためには激しく回転混合することが必要であった。MN保存液を0.45μmのSFCAフィルターを通して濾過し、調製30分以内に使用した。別個に、40%(w/v)HP−β−CDの溶液を滅菌WFI中で調整し、濾過した。40%HP−β−CD保存液及びMN/PEG 300保存液の組合せを、1.5mLのポリプロピレンマイクロチューブ内で混合した。MNの安定性は、室温での2及び24時間のインキュベート時にRP−HPLCにより評価した。
【0267】
N保存液の必要量を40%HP−β−CDに添加することにより表29に示す薬剤及び賦形剤の最終濃度とした。試料を室温で穏やかに(〜12rpm)回転させた。インキュベートの2及び24時間時に、試料を13000rpmで2分間遠心分離し、50μLのアプリコットをRP−HPLC分析用に取り除いた。標的MN又は製剤とは関係なく、24時間インキュベーション後は溶解性における変化が観察された場合でもそれは僅かであった(表29)。
【0268】
【表29】

【0269】
25%のPEG 300及び30%のHP−β−CDの最終濃度に製剤された11〜14mg/mLのMNを含有する被験試料は、室温で24時間のインキュベーション後、安定であった。
【0270】
実施例18.40mg/mLのMN/PEG 300の安定性
【0271】
100%のPEG 300に溶解した40mg/mLのMNの安定性を、30℃、45℃及び60℃における24時間までのインキュベーションで評価した。PEG 300中の40mg/mLのMNの保存液は、実施例18に記載の手順に従って60℃で調製した。その後、アプリコットを取り除いて適温でインキュベートした。インキュベーションの全過程中、450rpmで試料を回転させた。全体を通じて目視観察及びRP−HPLCデータの収集を行った。表30に示す通り、30℃で6時間のインキュベーション後、40mg/mLのMN/PEG 300製剤において微小な結晶が観察され、24時間後にはより顕著となった。結晶の形成には、可溶性MNの消失が伴っていた(表31)。45℃及び60℃でインキュベートした40mg/mLのMN/PEG 300の試料は、目視観察及びRP−HPLC分析で試験したところ24時間インキュベートベーション後に安定であった(表30及び31)。何れのインキュベーション温度においても不純物ピークの量又はタイプで変化は観察されなかった。
【0272】
【表30】

【0273】
【表31】

【0274】
30℃で6時間のインキュベーション後、40mg/mLのMN/PEG 300製剤において微小結晶が観察された。24時間後、より多くの結晶が観察され、そして、RP−HPLC分析により測定した場合に、>5%の可溶性MNが消失していた。
【0275】
45℃及び60℃でインキュベートした40mg/mLのMN/PEG 300試料は目視観察及びRP−HPLCにより評価した場合、24時間のインキュベーション後に安定であった。
【0276】
上記した実施形態はその広範な発明上の概念から逸脱することなく変更できることは当業者の知る通りである。従って、本発明は開示した特定の実施形態に限定されず、添付する請求項により定義される本発明の精神及び範囲内の変更を包含することを意図している。
【0277】
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【図面の簡単な説明】
【0278】
【図1A】MN処置の後にC−33A細胞ライン及びHeLa細胞ラインについて実施した細胞増殖試験の結果を示し、MN処置の非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比を示すグラフであり、ここでMNはDMSO製剤中0μM〜80μMの範囲の量で提供された。
【図1B】MN処置の後にC−33A細胞ライン及びHeLa細胞ラインについて実施した細胞増殖試験の結果を示し、MN処置非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比を示すグラフであり、ここでMNは、HP−β−CD/PEG製剤(「CPE」製剤)中0μM〜80μMの範囲の量で提供した。
【図2A】DMSO製剤中におけるMNの種々の濃度の非存在下又は存在下におけるC−33A細胞及びHeLa細胞に関する死細胞の比率に基づいた細胞死の測定を示すグラフであり、MN濃度は0μM〜80μMの範囲とした。
【図2B】HP−β−CD/PEG製剤中におけるMNの種々の濃度の非存在下又は存在下におけるC−33A細胞及びHeLa細胞に関する死細胞の比率に基づいた細胞死の測定を示すグラフであり、MN濃度は0μM〜80μMの範囲とした。
【図3A】30%(w/v)ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(以下「HP−β−CD」と称する)及び25%(v/v)PEG 300を包含する製剤中のMN、のイヌへの単回IV投与後の第1日目中の経時的なイヌ血清中濃度の作用を示すグラフであり、非対数目盛を用いて濃度を示す。
【図3B】30%(w/v)ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(以下「HP−β−CD」と称する)及び25%(v/v)PEG 300を包含する製剤中のMN、のイヌへの単回IV投与後の第1日目中の経時的なイヌ血清中濃度の作用を示すグラフであり、対数目盛を用いて濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性な薬学的成分及び製薬上許容しうる担体を含む動物への経口投与のための組成物であって、活性な薬学的成分がカテコールブタンを含み、そして担体が(a)水溶性有機溶媒、ただし水溶性有機溶媒がプロピレングリコールである場合は、プロピレングリコールは白色ワセリン非存在下、キサンタンガム非存在下、及び、グリセリン又はグリシンの少なくとも1つの非存在下のものであり、水溶性有機溶媒がポリエチレングリコールである場合は、ポリエチレングリコールはアスコルビン酸又はブチル化ヒドロキシトルエンの非存在下に存在し、そして、ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である場合は、ポリエチレングリコール400はポリエチレングリコール8000の非存在下に存在するもの;(b)シクロデキストリン;(c)イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、ただし界面活性剤が非イオン性界面活性剤の場合は非イオン性界面活性剤がキサンタンガムの非存在下に存在するもの;(d)変性セルロース;(e)ヒマシ油以外の水不溶性脂質、及び担体(a)〜(e)の何れかの組合せ、からなる群から選択される可溶化剤及び賦形剤の少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項2】
動物に静脈内注射される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約0.1mg〜約200mgの前記活性な薬学的成分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約75mg、約100mg又は約200mgの前記活性な薬学的薬剤を含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性な薬学的成分が、約1mg/mL〜約200mg/mLの濃度で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記カテコールブタンが、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約12.5mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL又は約175mg/mLの濃度で存在する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記水溶性有機溶媒が、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、エチルアルコール、ベンジルアルコール及びジメチルアセトアミドからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記担体が、ポリエチレングリコールを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールが、約5%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度で存在する請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 300である請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記PEG 300が、約10%(v/v)、約20%(v/v)、約30%(v/v)、約40%(v/v)又は約50%(v/v)の濃度で存在する請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 400である請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記PEG 400が、約10%(v/v)、約20%(v/v)、約30%(v/v)、約40%(v/v)又は約50%(v/v)の濃度で存在する請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 400モノラウリン酸である請求項8に記載の組成物。
【請求項16】
前記PEG 400モノラウリン酸が、約20%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で存在する請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記担体が、未修飾シクロデキストリン又は修飾シクロデキストリンを含む請求項1又は8に記載の組成物。
【請求項18】
前記修飾シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンからなる群から選択される請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記修飾シクロデキストリンが、約5%(w/v)〜約80%(w/v)の濃度で存在する請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記修飾シクロデキストリンが、約15%(w/v)、約20%(w/v)、約25%(w/v)、約30%(w/v)、約35%(w/v)、約40%(w/v)又は約50%(w/v)の濃度で存在する請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記担体が、プロピレングリコールを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記担体が、グリセロールを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記担体が、ポリソルベート、コハク酸d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000、エチレンオキシドとヒマシ油の35:1モル比の反応生成物からなる群から選択される界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群から選択される請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記界面活性剤が、約5%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度で存在する請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記担体が、修飾されたセルロースを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記修飾されたセルロースが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記修飾されたセルロースが、約0.1%(w/v)〜約10%(w/v)の濃度で存在する請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記担体が、水不溶性脂質を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記水不溶性脂質が、脂肪乳液を含む請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記脂肪乳液が、約10%(w/v)〜約30%(w/v)の濃度で存在する請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記脂肪乳液が、約20%(w/v)の濃度で存在する請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記水不溶性脂質が、油である請求項29に記載の組成物。
【請求項34】
前記油が、コーン油、オリーブ油、ペパーミント油、ダイズ油、ゴマ油、ミネラルオイル及びグリセロールからなる群から選択される少なくとも1つの油である請求項28に記載の組成物。
【請求項35】
前記水不溶性脂質が、エステル化脂肪酸である請求項29に記載の組成物。
【請求項36】
前記カテコールブタンが、下記式(I):
【化1】

[式中、R及びRは、各々独立して−H、低級アルキル、低級アシル、アルキレンを示すか;又は、−RO及び−ROは各々独立して未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示し;R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、各々独立して−H又は低級アルキルを示し;そしてR、R及びRは、各々独立して−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示すか、又は何れかの2つの隣接する基は共にアルキレンジオキシであってよい]、
に示す構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
前記カテコールブタンが、NDGA化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
前記NDGA化合物が、下記式(II):
【化2】

[式中、R14、R15、R16及びR17は、各々独立して−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ又は未置換又は置換されたアミノ酸残基又は製薬上許容しうるその塩を示し;そして、R18及びR19は、各々独立して−H又は低級アルキルを示す]、
に示す構造を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して低級アルコキシを示す請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して−OCHを示す請求項38記載の組成物。
【請求項41】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して低級アシルオキシを示す請求項38に記載の組成物。
【請求項42】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して−O(C=O)CHを示す請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基を示す請求項38に記載の組成物。
【請求項44】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立してN,N−ジメチル置換アミノ酸残基を示す請求項38に記載の組成物。
【請求項45】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基の塩を示す請求項38に記載の組成物。
【請求項46】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基の塩化物塩を示す請求項38に記載の組成物。
【請求項47】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基又はその塩を示し、そして、置換されたアミノ酸残基又は塩が、−O(C=O)CHN(CH又は−O(C=O)CH(CH・Clである請求項38に記載の組成物。
【請求項48】
前記R18及びR19が、各々独立して低級アルキルを示す請求項38に記載の組成物。
【請求項49】
前記R18及びR19が、各々独立して−CHを示す請求項38に記載の組成物。
【請求項50】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々同時に−OHでない請求項38に記載の組成物。
【請求項51】
前記NDGA化合物がNDGAのメチル化誘導体である請求項37に記載の組成物。
【請求項52】
前記NDGA化合物が、テトラ−O−メチルNDGA(MN)、トリ−O−メチルNDGA(MN)、ジ−O−メチルNDGA(MN)及びモノ−O−メチルNDGA(MN)からなる群から選択される請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記活性な薬学的成分が、テトラ−O−メチルNDGAである請求項1に記載の組成物。
【請求項54】
室温又は4℃において、1日より長く安定である請求項1に記載の組成物。
【請求項55】
室温又は4℃において、3日より長く安定である請求項1に記載の組成物。
【請求項56】
室温又は4℃において、7日より長く安定である請求項1記載の組成物。
【請求項57】
(a)請求項1に記載の組成物を準備すること、及び(b)前記組成物を対象に注射することにより組成物を投与することを含む前記対象における疾患の治療方法であって、前記組成物が活性な薬学的成分の有効量を含む、方法。
【請求項58】
前記組成物を非経口投与する請求項57に記載の方法。
【請求項59】
静脈内、動脈内、及び腹腔内からなる群から選択される経路により前記組成物を投与する請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物を静脈内投与する請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記疾患が、増殖性疾患である請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記増殖性疾患が、癌である請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記増殖性疾患が、乾癬である請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患が、高血圧である請求項57に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患が、肥満である請求項57に記載の方法。
【請求項66】
前記疾患が、糖尿病である請求項57に記載の方法。
【請求項67】
前記疾患が、中枢神経系疾患及び神経変性疾患からなる群から選択される請求項57に記載の方法。
【請求項68】
前記疾患が、疼痛である請求項57に記載の方法。
【請求項69】
前記疾患が、アルツハイマー病、認知症、筋萎縮性側索硬化症、及びパーキンソン病なる群から選択される請求項57に記載の方法。
【請求項70】
前記疾患が、卒中である請求項57に記載の方法。
【請求項71】
前記疾患が、炎症性疾患である請求項57に記載の方法。
【請求項72】
前記炎症性疾患が、慢性関節リューマチ、骨関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患及び多発性硬化症からなる群から選択される請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記疾患が、前悪性新生物形成、及び形成異常からなる群から選択される請求項57に記載の方法。
【請求項74】
前記疾患が、上皮内新生物形成である請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患が、感染症である請求項57に記載の方法。
【請求項76】
前記感染症が、ウイルス感染症である請求項57に記載の方法。
【請求項77】
前記ウイルスが、HIV、HTLV、HPV、HSV、HBV、EBV、水痘帯状疱疹ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス又はJCウイルスからなる群から選択される請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記組成物を、前記対象のkg体重当たりの前記活性な薬学的成分を約10mgから、前記対象のkg体重当たりの前記活性な薬学的成分を約600mgの用量で投与する請求項57に記載の方法。
【請求項79】
前記組成物を週当たり一回以上投与する請求項57に記載の方法。
【請求項80】
前記組成物を月当たり一回以上投与する請求項57に記載の方法。
【請求項81】
請求項1に記載の組成物及びその使用のための説明書を含む疾患の治療のためのキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−528611(P2008−528611A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553235(P2007−553235)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/002807
【国際公開番号】WO2006/081364
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(505431064)エリモス・ファーマスーティカルズ・エルエルシー (6)
【住所又は居所原語表記】930 MAIN CAMPUS DRIVE, SUITE 100, RALEIGH, NORTH CAROLINA 27606, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】