説明

包装容器の製造法、注出口栓及び包装容器

【課題】開封時の開封作業が簡易な注出口栓、包装容器及び包装容器の製造法を提供する。
【解決手段】注出口栓は、ウェブ状積層包装材料から成形された包装容器の注出孔42に設けられ、インジェクション成形による注出筒5及び基部6を有するスパウト10と、破断可能な封止壁9と、スパウトを覆うキャップ11とからなる。キャップが着脱自在に注出筒に嵌入され、キャップが封止壁9を破断するように溶着した底壁25と、キャップ11を引き上げるプルリング27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などを充填する包装容器の製造法、注出口栓及び包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースや牛乳などの液体食品などを充填したいくつかの容器においては、前もって折り目線が付されたウェブ状包装積層材料をチューブ状に成形し、チューブの縦線方向に縦シールし、チューブ状包装材料内に食品を充填し、所定間隔毎に横断方向の横シールにより密封し、横シール帯域中間で切断して枕状予備成形体を得、折り目線に沿って折り畳むことにより最終形状の容器を得る。
【0003】
包装容器は、種々の注出口栓を有する。破断可能なように封止された包装容器の注出孔に設けられるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵された開封手段、例えば、開封刃及びプルリングなどとからなる注出口栓及びその液体用包装容器である。(特許文献1及び2参照)
図4に示すよ包装容器の例では、容器14の頂壁3の注出孔42(図4(A))に溶着されたスパウト(図示せず)を覆うキャップ11(図4(B))が装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-86021号公報
【特許文献2】特開平08-183555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の包装容器の再封性注出口栓では、使用開始時にキャップを取り外し、封止部を開封して封止部を取り除き、注出孔を開け、注出後にキャップで再封する必要がある。キャップを取り外したにもかかわらず再び開封動作を繰返さなくてはならないのは、消費者にとって煩雑と感じることがある。
【0006】
本発明は、上記の必要性、切望に応えるものであり、開封時の開封作業が簡易な注出口栓、包装容器及び包装容器の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決する本発明の包装容器を製造する方法は、所定の折り目線を有するウェブ状積層包装材料が準備し、ウェブ状積層包装材料を所定間隔ごとに穿孔して注出孔を形成し、容器内側に対応する注出孔内側を覆うように所定のキャビティを有する第1金型を配設し、容器外側に対応する注出孔外側を覆うように、所定のキャビティを有する第2金型を配設し、キャビティ・ゲートから溶融樹脂をキャビティに射出して注出口栓の注出筒、スパウト及び封止壁を成形し、ウェブ状積層包装材料をチューブ状に成形し、包装材料の両縁部を重ねてオーバーラップを形成し、オーバーラップで縦線方向に縦シールして縦シール帯域を形成し、チューブ状包装材料内に内容物を充填し、所定間隔毎に包装材料を横断方向に押圧し、横シールにより密封されて横シール帯域を形成し、横シール帯域で切断して枕状予備成形体を得、折り目線に沿って折り畳んで包装容器を得、スパウトを覆うようにキャップを配設して溶着し、包装容器を製造する方法であって、
注出口栓が、包装容器の注出孔に設けられる注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、スパウトを封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁とを有し、
スパウトを覆うキャップが、キャップが着脱自在に注出筒に嵌入され、キャップが封止壁の上面と下面で接し且つ封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入されたキャップを引き上げるプルリングとを備えることを特徴とするものである。
【0008】
この発明の好ましい態様において、キャップの底壁が壁上下を貫通する通気孔を有し、キャップの溶着工程において、キャップを注出筒に嵌入した後、通気孔を介して底壁と封止壁との間を排気して密着しヒートシールする。
【0009】
この発明の好ましい態様において、底壁及び/又は封止壁の溶着面に導電性層を有し、キャップの溶着工程において、キャップを注出筒に嵌入した後、底壁と封止壁との間を密着して誘導加熱よってヒートシールする。
【0010】
この発明の好ましい態様において、第1金型のキャビティの内壁にバリアフィルムを配置し、少なくとも封止壁の内面にバリア層を形成する。
【0011】
この発明の注出口栓は、包装容器の注出孔に設けられた注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、スパウトを封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁と、スパウトを覆うキャップとからなる注出口栓であって、
キャップが着脱自在に注出筒に嵌入され、キャップの下面が封止壁の上面と接し且つ封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入されたキャップを引き上げるプルリングとを備える
ことを特徴とする。
【0012】
この発明の好ましい態様において、キャップが、底壁と、注出筒の内面と嵌合する側壁と、注出筒の上端を覆う天面と、注出筒の外面を覆う外壁とからなり、外壁が、プルリングでキャップを引き上げる側と反対側で少なくとも設けられる。
【0013】
この発明の好ましい態様において、外壁が、注出筒の外面の全体を覆い、プルリングでキャップを引き上げる側では、引き上げの開封時に破断容易に設けられる。
【0014】
この発明の包装容器は、折り目線を有するウェブ状積層包装材料がチューブ状に成形され、包装材料の両縁部が重ねられてオーバーラップが形成され、オーバーラップで縦線方向に縦シールされて縦シール帯域が形成され、チューブ状包装材料内に内容物が充填され、所定間隔毎に包装材料が横断方向に押圧され、横シールにより密封されて横シール帯域が形成され、横シール帯域中間で切断されて枕状予備成形体が得られ、折り目線に沿って折り畳むことにより形成されるものであって、
包装容器の注出孔に設けられた注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、スパウトを封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁と、スパウトを覆うキャップとからなる注出口栓であって、
キャップが着脱自在に注出筒に嵌入され、キャップが封止壁の上面と下面で接し且つ封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入されたキャップを引き上げるプルリングとを備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明によれば、以下の有利な作用を奏し顕著な効果が得られる。
本発明の包装容器を製造する方法では、所定の折り目線を有するウェブ状積層包装材料が準備し、ウェブ状積層包装材料を所定間隔ごとに穿孔して連続的に注出孔を形成する。
ウェブ状であるので、簡易に効率的に、注出孔を連続的に形成することができる。
【0016】
容器内側に対応する注出孔内側を覆うように所定のキャビティを有する第1金型を配設し、容器外側に対応する注出孔外側を覆うように、所定のキャビティを有する第2金型を配設し、キャビティ・ゲートから溶融樹脂をキャビティに射出して注出口栓の注出筒、スパウト及び封止壁を成形する。
ウェブ状積層包装材料の注出孔を第1金型と第2金型とで挟み、注出筒、スパウト及び封止壁に相当するキャビティを形成する。このキャビティに溶融樹脂を射出して、注出口栓をインサート成形するので、高速に包装材料に注出口栓を一気に成形し溶着することができる。
【0017】
ウェブ状積層包装材料をチューブ状に成形し、包装材料の両縁部を重ねてオーバーラップを形成し、オーバーラップで縦線方向に縦シールして縦シール帯域を形成し、チューブ状包装材料に形成する。
次いで、ジュースや牛乳などの液体食品(内容物)を充填し、所定間隔毎に包装材料を横断方向に押圧し、横シールにより密封されて横シール帯域を形成し、横シール帯域で切断して枕状予備成形体を得、折り目線に沿って折り畳んで包装容器を得る。
【0018】
得られた包装充填容器に、そのスパウトを覆うようにキャップを配設して溶着する。
容器への成形、液体食品の包装充填の後に、スパウトに取り付けるので、キャップの形状、材質、構造に自由度が高い利点がある。
【0019】
注出口栓が、包装容器の注出孔に設けられる注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、スパウトを封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁とを有する。
注出孔と連通することができる注出筒によって、注出孔を介して、ジュースや牛乳などの液体食品(内容物)をスムーズに注ぎ出すことができる。
基部は、インジェクション成形により、注出孔外周辺の容器壁と一体的に接合するので、気密を保ち、注出口栓全体を安全に容器に固定することができる。
封止壁は、注出筒底部にあってスパウトを未使用時に封止し、弱め線、脆化ラインなどによって開封時に破断可能である。
【0020】
スパウトを覆うキャップが、キャップが着脱自在に注出筒に嵌入され、キャップが封止壁の上面と下面で接し且つ封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入されたキャップを引き上げるプルリングとを備える。
キャップがスパウトを覆うと共に、キャップが着脱自在に注出筒に嵌入されるので、流通過程や店頭でも衛生的にスパウトを保護する。また、着脱自在であることから、再封性を保証する。しかも、注出筒内部に嵌入されることから、スペースを省略することができ、容器をコンパクトに、容器からの出口栓全体の出っ張りを小さくしてスリムに、することができる。
キャップの底壁が、封止壁の上面と底壁の下面で接し、その接触面で破断用に溶着する。この底壁とプルリングとが協動して、嵌入されたキャップを開封時にプルリングで引き上げると、キャップの底壁と共に、溶着した封止壁も引き上げられる。
【0021】
この発明の好ましい態様においては、キャップの底壁が壁上下を貫通する通気孔を有し、キャップの溶着工程において、キャップを注出筒に嵌入した後、通気孔を介して底壁と封止壁との間を排気して密着しヒートシールする。
キャップの溶着工程において、キャップを注出筒に嵌入し、キャップを減圧下に曝すことによって、通気孔を介して底壁と封止壁との間の空気が排気され、底壁と封止壁とが密着する。この密着状態で容易に両者をヒートシールすることができる。
【0022】
この発明の好ましい態様においては、底壁及び/又は封止壁の溶着面に導電性層を有し、キャップの溶着工程において、キャップを注出筒に嵌入した後、底壁と封止壁との間を密着して誘導加熱よってヒートシールする。
キャップの溶着工程において、加熱は、キャップ側から加熱エネルギーを付与する必要がある。キャップの材質が熱可塑性材料であることから、溶着面に導電性層を形成することで、的確に誘導加熱よってヒートシールすることができる。
導電性層の形成は、磁性体を含む熱可塑性樹脂(ポリエチレンなど)を使って2段成型して、また、溶着面にポリエチレン(PE)/アルミ層(Al)/PEのリング状の導電性フイルムをインサート成型して、形成することができる。
【0023】
この発明の好ましい態様においては、第1金型のキャビティの内壁にバリアフィルムを配置し、少なくとも封止壁の内面にバリア層を形成する。
容器内容物を外部から保護す酸素バリア性を、容器に付与することができる。
【0024】
この発明の注出口栓は、包装容器の注出孔に設けられた注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、スパウトを封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁と、スパウトを覆うキャップとからなる注出口栓である。
注出孔と連通することができる注出筒によって、注出孔を介して、ジュースや牛乳などの液体食品(内容物)をスムーズに注ぎ出すことができる。
基部は、インジェクション成形により、注出孔外周辺の容器壁と一体的に接合するので、気密を保ち、注出口栓全体を安全に容器に固定することができる。
封止壁は、注出筒底部にあってスパウトを未使用時に封止し、弱め線、脆化ラインなどによって開封時に破断可能である。
キャップがスパウトを覆うと共に、キャップが着脱自在に注出筒に嵌入されるので、流通過程や店頭でも衛生的にスパウトを保護する。また、着脱自在であることから、再封性を保証する。しかも、注出筒内部に嵌入されることから、スペースを省略することができ、容器をコンパクトに、容器からの出口栓全体の出っ張りを小さくしてスリムに、することができる。
キャップの底壁が、封止壁の上面と底壁の下面で接し、その接触面で破断用に溶着する。この底壁とプルリングとが協動して、嵌入されたキャップを開封時にプルリングで引き上げると、キャップの底壁と共に、溶着した封止壁も引き上げられることができる。
【0025】
この発明の好ましい態様においては、キャップが、底壁と、注出筒の内面と嵌合する側壁と、注出筒の上端を覆う天面と、注出筒の外面を覆う外壁とからなり、外壁が、プルリングでキャップを引き上げる側と反対側で少なくとも設けられる。
側壁は、注出筒の内面と着脱自在に嵌合してキャップの再封性を確保する。天面と外壁とは、注出筒を覆い衛生性を確保する。
注出筒の外面を覆う外壁が、プルリングでキャップを引き上げる側と反対側で設けられるので、プルリングでキャップを引き上げる際に、反対側外壁が引き上げ回転運動の支点となり、コントロールされた運動を確保することができる。
【0026】
この発明の好ましい態様においては、外壁が、注出筒の外面の全体を覆い、プルリングでキャップを引き上げる側では、引き上げの開封時に破断容易に設けられる。
上述のように、反対側外壁が引き上げ回転運動の支点となり、コントロールされた運動を確保する。他方、この態様における、プルリングでキャップを引き上げる側外壁は、引き上げの開封時に破断容易に設けられるので、プルリングでキャップを引き上げる操作の妨害とならず、タンパーエビデンスとして機能することができる。
【0027】
この発明の包装容器は、ウェブ状包装材料から得られ充填されたものであって、
注出口栓は、包装容器の注出孔に設けられた注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、スパウトを封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁と、スパウトを覆うキャップとからなる。
キャップが着脱自在に注出筒に嵌入され、キャップが封止壁の上面と下面で接し且つ封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入されたキャップを引き上げるプルリングとを備える。
【0028】
注出筒によって、注出孔を介して液体食品をスムーズに注ぎ出すことができる。
基部は、容器壁と一体的に接合するので、気密を保ち、注出口栓を容器に固定することができる。
封止壁は、スパウトを未使用時に封止し、開封時に破断可能である。
キャップが流通過程や店頭でも衛生的にスパウトを保護する。また、着脱自在であることから再封性を保証する。注出筒内部に嵌入されることから、スペースを省略し、容器をコンパクトに、出っ張りを小さくしてスリムにすることができる。
キャップの底壁が、封止壁と溶着する底壁とプルリングとが協動して、開封時にプルリングで引き上げると、キャップの底壁と共に溶着した封止壁も引き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、この発明による注出口栓の一実施例の製造工程を示すの部分断面図である。
【図2】図2は、この発明による注出口栓の一実施例のキャップ部分の側面図である。
【図3】図3は、この発明による包装容器を製造する包装充填装置例の概略斜視図である。
【図4】図4は、注出口栓がない包装容器例(A)及び、従来の包装容器例(B)の斜視図である。
【図5】図5は、この発明による注出口栓の一実施例のキャップ部分の平面図である。
【図6】図6は、この発明による注出口栓の一実施例の開封されたスパウト部分平面図である。
【図7】図7は、この発明による注出口栓の一実施例において、開封動作を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図3に示される包装充填装置によって、包装容器の一例を製造する。この装置例では、ウェブ状(帯状)の包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に収容される。包装積層材料1は、紙基材、及び該紙基材の両面にポリエチレン樹脂が積層された可撓性の積層体から成り、紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔などのバリア層が形成され、包装容器14の表面に相当する部分にあらかじめ外装用の印刷が施される。
【0031】
繰り出された包装積層材料1は、搬送手段としての送り装置によって連続的に搬送され、ベンディングローラ、ダンパローラ等を経てウェブ状包装積層材料1は、パンチング装置40によって所定間隔ごとに穿孔され注出孔が形成される。
引き続き、注出口栓のスパウト部分形成用インジェクション成形装置41によって注出孔の注出口栓のスパウト部分が形成されてる。図1(A)に、包装積層材料1に形成された注出孔42の断面図を示す。
【0032】
インジェクション成形装置41による注出口栓の例の射出成形を示す断面図である図1(B)を参照して、この発明による実施例の注出口栓のスパウトの射出成形の工程を説明する。
【0033】
この例のスパウト部分形成用インジェクション成形装置例41では、注出口栓のスパウト部分が形成される。
この装置では、容器内側に対応する注出孔内側を覆うように、所定のキャビティを有し、好ましくは、内壁にガスバリアフィルムを載置した第1金型15を配設し、容器外側に対応する注出孔外側を覆うように、所定のキャビティを有する第2金型16を配設する。キャビティ・ゲート17から溶融樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなど)をキャビティに射出して注出口栓の注出筒5及びスパウト10を成形し、好ましくは、ガスバリアフィルムと一体化する。
図1(C)に、包装材料1の注出孔42に設けられた注出筒5及び、注出筒5と一体化して注出孔外周辺の器壁と接合する基部6を有するスパウト10と、スパウト10を封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁9との断面図を示す。
封止壁9の外周に脆化線8が形成され、破断可能となる。
【0034】
続いて、図3に示すように、シーリングテープ貼着装置3に送られ、シーリングテープ貼着装置によって包装積層材料1の一方の縁部に沿ってシーリングテープが貼着される。
帯状包装積層材料1の縁部にシーリングテープを接合する際、帯状包装積層材料とシーリングテープとを挟んで、一方側に、プレッシャローラを配設して圧し、他方に、プレッシャローラによる圧力を受け、それに対向し、押さえ支持するようにカウンタローラを配設する。
包装積層材料が搬送されるに伴って、プレッシャローラ及びカウンタローラが包装積層材料及びシーリングテープを挟んだ状態で押圧されて回転させ、縦シール部の合せ面がシールされ接着される。
【0035】
包装積層材料1は、殺菌槽4に送られ、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。包装積層材料1は、エアナイフに送られ、エアナイフによって乾燥させられた後、無菌室(図示せず)に送られる。そして、包装積層材料1は、成形リング7によって徐々に変形させられてチューブ状(筒状)の形状にされる。包装積層材料1は、縦シール装置20によって縦方向にシールされ、充填パイプ(図示せず)を介して供給された流動性食品が包装積層材料1内に充填される。
【0036】
チューブ状に成形された包装積層材料の両縁部同士を、縦シール装置20によってシーリングテープと共に押し当てて縦シールする際、帯状包装積層材料の一の縁部と他方の縁部とを挟んで、一方側に、プレッシャローラを回転自在に配設して圧し、他方に、プレッシャローラによる圧力を受け、それに対向し、押さえ支持するようにカウンタローラを回転自在に配設し、縦シール部の合せ面がシールされ接着される。
【0037】
チューブ状包装積層材料は、ローラによって案内され、横シール装置(図示せず)に送られ、挟まれて横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料は、ナイフなどで切断されて枕状予備成形体21が形成される。
枕状予備成形体21は、最終成形装置(図示せず)によって最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
図4(A)に、注出孔42に注出口栓がない包装容器例の外観斜視図を示す。図4(B)に、従来の包装容器例の斜視図を示す。この例において、包装容器14の頂壁3に注出口栓(図示せず)が形成され、キャップ11で覆われている
図1(D)に注出口栓のスパウト10の断面を示す。この態様では、容器14の内部に液体食品12が充填されている。
【0038】
図1に示す例では、最終成形装置の製造ライン下流側にキャップ装着装置(図示せず)を備える。
得られた包装充填容器に、そのスパウトを覆うようにキャップを配設して溶着する様子を、図1(E)及び(F)に示す。この態様では、包装容器14の頂壁のスパウト10の注出筒5内に上方(容器外側)から、キャップ装着装置によってキャップ11が嵌入されて装着される。
【0039】
この例においては、キャップ11の底壁の溶着面に導電性層13を有し、キャップの溶着工程において、キャップ11をスパウト10の注出筒5に嵌入した後、底壁と封止壁との間を密着して誘導加熱よってヒートシールし、溶着面13を形成する。
【0040】
この例においては、キャップ11の底壁25が壁上下を貫通する通気孔26を有し、キャップの溶着工程において、キャップ11を注出筒5に嵌入した後、通気孔26を介して底壁25と封止壁9との間を排気して密着しヒートシールする。
キャップの溶着工程において、キャップ11を減圧下に曝すことによって、通気孔26を介して底壁と封止壁との間の空気が排気され、底壁25と封止壁9とが密着する。この密着状態でヒートシールする。
【0041】
好ましい態様においては、第1金型15のキャビティの内壁にバリアフィルムを配置し、少なくとも封止壁の内面にバリア層を形成することができる。
容器内容物を外部から保護す酸素バリア性を、容器に付与することができる。
この実施例によるフィルムには、ガスバリア性を有する材料が用いられ、それらが積層された材料であってもよい。ガスバリア性を有する材料には、酸素などのガス、芳香などに関して遮断性を有するバリア性包装材料であって、アルミニウムなどの金属箔、エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロンなどのポリアミド(PA)、ケイ素酸化物(SiOx)などを蒸着したプラスチックフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)などがある。
【0042】
この例の注出口栓は、図1(F)に示すように、包装容器14の注出孔42に設けられた注出筒5及び、注出筒5と一体化して注出孔外周辺の容器壁と接合する基部6を有するスパウト10と、スパウトを封止するように注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁9と、スパウト10を覆うキャップ11とからなる。
注出孔42と連通することができる注出筒5によって、注出孔42を介して、ジュースや牛乳などの液体食品をスムーズに注ぎ出すことができる。
基部6は、インジェクション成形により、注出孔42外周辺の容器壁と一体的に接合し、気密を保ち、注出口栓全体を安全に容器14に固定する。
封止壁9は、注出筒底部にあってスパウト10を未使用時に封止し、脆化ライン8によって開封時に破断可能にする。
キャップ11がスパウト10を覆うと共に、キャップ11が着脱自在に、突条24と溝23とによる嵌合によって、注出筒5に嵌入されるので、流通過程や店頭でも衛生的にスパウトを保護する。また、着脱自在であることから、再封することができる。
キャップの底壁25が、封止壁9の上面と底壁25の下面で接し、その接触面で破断可能に溶着する。この底壁25とプルリング27とが協動して、嵌入されたキャップ11を開封時にプルリング27で引き上げると、キャップ11の底壁25と共に、溶着した封止壁9も引き上げられる。
【0043】
この態様においては、キャップが、底壁と、注出筒の内面と嵌合する側壁28と、注出筒の上端を覆う天面29と、注出筒の外面を覆う外壁30とからなり、外壁30が、プルリング27でキャップ11を引き上げる側と反対側で設けられる。
側壁28は、注出筒5の内面と着脱自在に嵌合してキャップの再封性を確保する。天面29と外壁30とは、注出筒を覆い衛生性を確保する。
注出筒の外面を覆う外壁30が、プルリング27でキャップ11を引き上げる側と反対側で設けられるので、プルリングでキャップを引き上げる際に、反対側外壁が引き上げ回転運動の支点となり、コントロールされた運動を確保する。
【0044】
この好ましい態様においては、外壁30が、注出筒5の外面の全体を覆い、プルリング27でキャップ11を引き上げる側では、引き上げの開封時に破断容易に設けられる。
この場合、反対側外壁30が引き上げ回転運動の支点となり、コントロールされた運動を確保する。他方、プルリングでキャップを引き上げる側外壁30aは、引き上げの開封時に破断容易に設けられるので、プルリング27でキャップ11を引き上げる操作の妨害とならず、タンパーエビデンスとして機能する。
【0045】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装充填する注出口栓付き液体用包装容器の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・ 包装材料
5 ・・ 注出筒
6 ・・ 基部
8 ・・ 脆化線
9 ・・ 封止壁
10 ・・ スパウト
11 ・・ キャップ
12 ・・ 液体食品
13 ・・ 導電層(溶着層)
14 ・・ 容器
15 ・・ 第1金型
16 ・・ 第2金型
17 ・・ ゲート
23 ・・ 溝
24 ・・ 突条
25 ・・ 底壁
26 ・・ 通気孔
27 ・・ プルリング
29 ・・ 天面
30 ・・ 外壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の折り目線を有するウェブ状積層包装材料が準備し、
ウェブ状積層包装材料を所定間隔ごとに穿孔して注出孔を形成し、
容器内側に対応する注出孔内側を覆うように所定のキャビティを有する第1金型を配設し、容器外側に対応する注出孔外側を覆うように、所定のキャビティを有する第2金型を配設し、
キャビティ・ゲートから溶融樹脂を該キャビティに射出して注出口栓の注出筒、スパウト及び封止壁を成形し、
ウェブ状積層包装材料をチューブ状に成形し、該包装材料の両縁部を重ねてオーバーラップを形成し、
該オーバーラップで縦線方向に縦シールして縦シール帯域を形成し、
該チューブ状包装材料内に内容物を充填し、
所定間隔毎に該包装材料を横断方向に押圧し、横シールにより密封されて横シール帯域を形成し、
横シール帯域で切断して枕状予備成形体を得、
該折り目線に沿って折り畳んで包装容器を得、
該スパウトを覆うようにキャップを配設して溶着し、包装容器を製造する方法であって、
該注出口栓が、包装容器の注出孔に設けられる該注出筒及び、該注出筒と一体化して該注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有する該スパウトと、該スパウトを封止するように該注出筒底部の設けられた破断可能な該封止壁とを有し、
該スパウトを覆うキャップが、該キャップが着脱自在に該注出筒に嵌入され、該キャップが該封止壁の上面と下面で接し且つ該封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入された該キャップを引き上げるプルリングとを備える
ことを特徴とする包装容器の製造法。
【請求項2】
該キャップの該底壁が壁上下を貫通する通気孔を有し、該キャップの溶着工程において、該キャップを該注出筒に嵌入した後、該通気孔を介して該底壁と該封止壁との間を排気して密着しヒートシールする、請求項1記載の包装容器の製造法。
【請求項3】
該底壁及び/又は該封止壁の溶着面に導電性層を有し、該キャップの溶着工程において、該キャップを該注出筒に嵌入した後、該底壁と該封止壁との間を密着して誘導加熱よってヒートシールする、請求項1記載の包装容器の製造法。
【請求項4】
該第1金型のキャビティの内壁にバリアフィルムを配置し、少なくとも該封止壁の内面にバリア層を形成する、請求項1記載の包装容器の製造法。
【請求項5】
包装容器の注出孔に設けられた注出筒及び、該注出筒と一体化して該注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、該スパウトを封止するように該注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁と、該スパウトを覆うキャップとからなる注出口栓であって、
該キャップが着脱自在に該注出筒に嵌入され、該キャップの下面が該封止壁の上面と接し且つ該封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入された該キャップを引き上げるプルリングとを備える
ことを特徴とする注出口栓。
【請求項6】
該キャップが、該底壁と、該注出筒の内面と嵌合する側壁と、該注出筒の上端を覆う天面と、該注出筒の外面を覆う外壁とからなり、該外壁が、該プルリングで該キャップを引き上げる側と反対側で少なくとも設けられる、請求項5記載の注出口栓。
【請求項7】
該外壁が、該注出筒の外面の全体を覆い、該プルリングで該キャップを引き上げる側では、引き上げの開封時に破断容易に設けられる、請求項5記載の注出口栓。
【請求項8】
折り目線を有するウェブ状積層包装材料がチューブ状に成形され、該包装材料の両縁部が重ねられてオーバーラップが形成され、該オーバーラップで縦線方向に縦シールされて縦シール帯域が形成され、該チューブ状包装材料内に内容物が充填され、所定間隔毎に該包装材料が横断方向に押圧され、横シールにより密封されて横シール帯域が形成され、横シール帯域中間で切断されて枕状予備成形体が得られ、該折り目線に沿って折り畳むことにより形成される包装容器であって、
包装容器の注出孔に設けられた注出筒及び、該注出筒と一体化して該注出孔外周辺の容器壁と接合する基部を有するスパウトと、該スパウトを封止するように該注出筒底部の設けられた破断可能な封止壁と、該スパウトを覆うキャップとからなる注出口栓であって、
該キャップが着脱自在に該注出筒に嵌入され、該キャップが該封止壁の上面と下面で接し且つ該封止壁を破断するように溶着した底壁と、嵌入された該キャップを引き上げるプルリングとを備える
ことを特徴とする包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−116381(P2011−116381A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272989(P2009−272989)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】