説明

包装容器

【課題】多量の内容物を注出したり、内容物を注入口の小さい容器に確実に注入したりすることができるようにする。
【解決手段】所定の箇所に注出口52が形成された容器本体10と、本体部34、並びに本体部34に対して開放状態及び閉鎖状態に置かれる蓋(ふた)部分35を備え、前記注出口52を包囲して容器本体10に貼(ちょう)着されたキャップ部22と、筒状体から成り、前記キャップ部22の蓋部分35に対して着脱自在に配設され、キャップ部22から抜け落ちるのを防止するための係止部を備えた注ぎ口部23とを有する。蓋部分35を開放状態に置き、注出口52を介して多量の内容物を注出することができる。また、注ぎ口部23を蓋部分35に取り付けることによって、内容物を注入口の小さい容器に確実に注入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物として、例えば、液体食品を収容する包装容器においては、包装容器の本体、すなわち、容器本体の所定の箇所に注出口が形成され、該注出口にプルタブが貼(ちょう)着されるようになっている。
【0003】
図2は従来の包装容器の斜視図である。
【0004】
図において、10は容器本体、12は該容器本体10の頂壁、19は前記容器本体10の後壁、20は前記容器本体10の側壁であり、前記頂壁12の所定の位置にはパンチホールから成る図示されない注出口が形成され、該注出口がプルタブ15によって覆われる。この場合、飲用者は、前記容器本体10からプルタブ15を引き剥(は)がし、注出口を開口させ、該注出口に唇を当て、液体食品を直接飲用することができる。
【0005】
ところが、この種の包装容器においては、プルタブ15を引き剥がすと、注出口が開口されたままになるので、該注出口を介して異物が容器本体10内に進入することがあり、すべての液体食品を飲用することができない場合には、容器本体10内が不衛生になってしまう。
【0006】
そこで、注出口を繰り返し開閉することができるように樹脂製のキャップを備えた包装容器が提供されている。
【0007】
図3は従来の他の包装容器の斜視図である。
【0008】
図において、10は容器本体、12は頂壁、19は後壁、20は側壁であり、前記頂壁12の所定の位置にはパンチホールから成る図示されない注出口が形成され、該注出口がプルタブ15によって覆われる。
【0009】
また、前記注出口を包囲してキャップ部16が配設される。該キャップ部16は、前記注出口に対応させて形成された開口を備えた本体部17、及び該本体部17に対してヒンジを介して揺動自在に支持され、前記注出口を開閉するための蓋(ふた)部分18から成る。
【0010】
そして、飲用者は、前記蓋部分18を回動させて開放状態に置き、前記プルタブ15を引き剥がして注出口を開放させ、液体食品を注出することができる。この場合、注出口が開口され、すべての液体食品を飲用することができない場合でも、キャップ部16によって注出口を閉鎖することができるので、容器本体10内が不衛生になることがない。また、図2に示される包装容器10と比べて注出口の面積が大きいので、多量の液体食品を注出することができる。
【特許文献1】特許第3561526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の包装容器10においては、注出された液体食品を、所定の容器に注入しようとしたときに、容器の注入口が小さい場合には、注出された液体食品を確実に容器に注入することができない。
【0012】
本発明は、前記従来の包装容器の問題点を解決して、多量の内容物を注出したり、内容物を注入口の小さい容器に確実に注入したりすることができる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明の包装容器においては、所定の箇所に注出口が形成された容器本体と、本体部、並びに該本体部に対して開放状態及び閉鎖状態に置かれる蓋部分を備え、前記注出口を包囲して容器本体に貼着されたキャップ部と、筒状体から成り、前記キャップ部の蓋部分に対して着脱自在に配設され、キャップ部から抜け落ちるのを防止するための係止部を備えた注ぎ口部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、包装容器においては、所定の箇所に注出口が形成された容器本体と、本体部、並びに該本体部に対して開放状態及び閉鎖状態に置かれる蓋部分を備え、前記注出口を包囲して容器本体に貼着されたキャップ部と、筒状体から成り、前記キャップ部の蓋部分に対して着脱自在に配設され、キャップ部から抜け落ちるのを防止するための係止部を備えた注ぎ口部とを有する。
【0015】
この場合、蓋部分を開放状態に置き、注出口を介して多量の内容物を注出することができる。また、注ぎ口部を蓋部分に取り付けることによって、内容物を注入口の小さい容器に確実に注入することができる。さらに、例えば、内容物がドレッシング、ソース等である場合には、容器本体を傾けて、直接、内容物を注出することができる。また、内容物がスポーツドリンク等のように、ストローを使用することができない場合には、容器本体を逆さにして、直接、内容物を飲用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるキャップユニットの構成要素を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における注ぎ口の取付状態を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における蓋部材の閉鎖状態を示す図である。
【0018】
図において、11は包装容器、10は断面が四角形の形状を有し、内容物としての液体食品を収容する容器本体、21は該容器本体10の頂壁12のキャップ取付位置に取り付けられた樹脂製のキャップユニットである。
【0019】
前記容器本体10は、ウェブ状に形成されるか、又は裁断されてブランクスにされた包材を、所定の方法で折り畳み、所定の箇所をシールすることによって形成される。前記包材は、例えば、包装容器10を形成したときの外方から内方にかけて順に形成された、外側層、紙基材、接着層、バリヤ層、接着層及び内側層から成る。そして、通常、前記外側層、接着層及び内側層は、ローデンシティポリエチレン、エチレン共重合体等の樹脂によって形成されるが、前記外側層及び内側層をポリエチレンによって形成するのが好ましい。前記バリヤ層はアルミ箔(はく)等によって形成され、前記外側層の外側表面、又は紙基材の外側表面には必要に応じて所定の印刷が施される。
【0020】
また、前記キャップユニット21は、キャップ部22、該キャップ部22に対して着脱自在に配設された注ぎ口部(スパウト)23等を備え、前記キャップ部22は、本体部34、及び該本体部34に対してヒンジ36を介して揺動自在に支持され、開放状態及び閉鎖状態に置かれる蓋部分35から成る。前記注ぎ口部23は、例えば、ストローのような、両端に開口m1、m2が形成された筒状体から成り、軸方向の中央において径方向に突出させて形成された環状のフランジ部24、該フランジ部24より一方側に延び、軸方向に対して傾斜させて鋭角のエッジeg1が形成された内側部25、及び前記フランジ部24より他方側に延び、軸方向に対して直角の方向にエッジeg2が形成された外側部26を備える。また、前記内側部25におけるフランジ部24の近傍に、貫通孔28が貫通させて形成される。なお、前記ヒンジ36は薄肉部によって形成される。
【0021】
前記本体部34は、容器本体10の前壁13の近傍において、前記頂壁12と前壁13とが接する稜(りょう)線部p1と平行に延びる前縁部41、該前縁部41と平行に、かつ、ヒンジ36に沿って延びる後縁部43、及び前記前縁部41と後縁部43とを左右で連結する一対の側縁部44を備えた矩(く)形の形状を有する環状体から成り、内側に、前記前縁部41、後縁部43及び各側縁部44によって包囲された開口45が形成される。また、前記蓋部分35は、矩形の形状を有する平板部46、及び該平板部46の周縁から外方に向けて突出させて形成されたフランジ部47を備え、該フランジ部47における前記前縁部41と対応する部分には、取手49が形成される。
【0022】
そして、前記頂壁12における開口45と対応する部分には、容器本体10を構成する包材51にパンチホールを形成することによって注出口52が形成され、該注出口52が封止部材としての、かつ、破断部としてのアウタタブ53によって覆われ、封止される。また、前記注出口52を包囲して前記キャップ部22が頂壁12に貼着される。なお、アウタタブ53を引き剥がすのを容易にするために、アウタタブ53の一端側、本実施の形態においては、後縁部43側に摘(つま)み部54が形成される。
【0023】
ところで、前述されたように、前記注ぎ口部23はキャップ部22に対して着脱自在に配設される。したがって、初期状態において、注ぎ口部23をキャップ部22に取り付けることなく、蓋部分35を閉鎖状態又は開放状態に置くことができる。
【0024】
そして、包装容器11から多量の液体食品を注出しようとする場合、前記取手49に指を掛けて蓋部分35を回動させ、図1に示されるように、開放状態に置き、前記摘み部54を摘んでアウタタブ53を引き剥がして注出口52を開放させると、容器本体10が開封される。したがって、包装容器11を持ち、傾けることによって、容器本体10内に収容された液体食品を注出口52を介して注出することができる。この場合、注出口52の面積が大きいので、多量の液体食品を注出することができる。その後、蓋部分35を、揺動させることによって、閉鎖状態に置いたり開放状態に置いたりすることができる。
【0025】
また、包装容器11から注出された液体食品を、例えば、しょう油、ソース等の容器の口、すなわち、注入口の小さい容器に注入しようとする場合、図4に示されるように、注ぎ口部23をキャップ部22に取り付けることができる。この場合、注ぎ口部23は、蓋部分35を開放状態に置いたままで、蓋部分35の裏側から着脱自在に取り付けられる。
【0026】
そのために、後縁部43における注ぎ口部23の取付位置に、円形、十字形等の各種の形状を有し、例えば、薄肉部から成るキャップ破断部が形成される。そして、前記注ぎ口部23を把持し、外側部26のエッジeg2を前記キャップ破断部に押し付け、破断させることによって、注ぎ口部23を蓋部分35に取り付けることができる。このとき、フランジ部24が後縁部43の裏面に当接した状態に置かれる。なお、前記キャップ破断部を破断させ、該破断に伴って形成された貫通孔h1を外側部26が貫通させられる。
【0027】
このようにして、注ぎ口部23が蓋部分35に取り付けられた状態で、図5に示されるように、蓋部分35を閉鎖状態に置くと、内側部25のエッジeg1によって、アウタタブ53が破断されて挿入穴h2が形成され、内側部25が容器本体10内に挿入される。なお、蓋部分35を閉鎖状態に置いたとき、本体部34と蓋部分35とはスナップ止めされているので、取手49を把持し、外力を蓋部分35に加えない限り、蓋部分35は開放状態には置かれない。また、本体部34と蓋部分35とは周方向の全体においてシールされ、密封される。
【0028】
したがって、包装容器11を傾け、外側部26側の開口m2を下方に向けると、容器本体10内の液体食品は、内側部25側の開口m1及び貫通孔28を介して注ぎ口部23内に進入し、外側部26側の開口m2から容器本体10外に排出される。
【0029】
このように、本実施の形態においては、注ぎ口部23を介して液体食品を注出することができる。そして、外側部26側の開口m2の面積が小さいので、注出された液体食品を注入口が小さい容器に確実に注入することができる。また、ドレッシング、ソース等の液体食品の場合、容器本体10を傾けて、直接、液体食品を注出することができる。さらに、スポーツドリンク等のように、ストローを使用することができない場合には、容器本体10を逆さにして、直接、液体食品を飲用することもできる。
【0030】
また、内側部25におけるフランジ部24の近傍に貫通孔28が形成されるので、内側部25側が長い注ぎ口部23を使用しても、液体食品を最後まで注出することができる。そして、貫通孔28が空気穴として機能するので、液体食品を円滑に注出することができる。
【0031】
さらに、フランジ部24は、蓋部分35の内側に配設されるので、注ぎ口部23が蓋部分35から抜け落ちるのを防止するための抜止めの係止部として機能する。
【0032】
したがって、液体食品を注出するに当たり、包装容器11を傾け、外側部26側の開口m2を下方に向けても、注ぎ口部23が蓋部分35から抜け落ちることがない。また、キャップ部22及び注ぎ口部23の各樹脂は、一方が他方より柔らかい材料が使用される。したがって、外側部26と貫通孔h1との間のシール性を高くすることができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0034】
図6は本発明の第2の実施の形態におけるキャップユニットの構成要素を示す図、図7は本発明の第2の実施の形態における注ぎ口部の他の例を示す図、図8は本発明の第2の実施の形態における貫通孔の他の例を示す図である。
【0035】
この場合、注ぎ口部23は、蓋部分35を閉鎖状態に置いたままで、蓋部分35の表側から着脱自在に取り付けられる。そのために、平板部46のほぼ中央に貫通孔61が形成され、該貫通孔61にあらかじめ封止部材としての薄いテープ62が貼着される。また、内側部25におけるフランジ部24と隣接する箇所にねじ64が形成される。そして、貫通孔61の内径より内側部25の外径がわずかに大きくされる。この場合、ねじ64は、注ぎ口部23が蓋部分35から抜け落ちるのを防止するための抜止めの係止部として機能する。
【0036】
したがって、前記テープ62を剥がし、内側部25を貫通孔61内に挿入し、注ぎ口部23を回転させながら下方に移動させることによって注ぎ口部23をねじ込み式で蓋部分35に取り付けることができる。このとき、内側部25のエッジeg1によって、封止部材としての、かつ、破断部としてのアウタタブ53が破断されて挿入穴が形成され、内側部25が容器本体10内に挿入される。
【0037】
この場合、あらかじめ貫通孔61が形成されているので、注ぎ口部23を蓋部分35に取り付けるための作業を簡素化することができる。
【0038】
なお、注ぎ口部23が蓋部分35から抜け落ちるのを防止するための抜止めの係止部として、図7に示されるように、内側部25と外側部26との間に、くびれ部66を形成することができる。
【0039】
また、注ぎ口部23のデザインの自由度を高くすることができ、平板部46に形成される貫通孔61を、図8に示されるように楕(だ)円形の形状にすることができる。その場合、蓋部分35に対して注ぎ口部23を傾けて取り付けることができる。
【0040】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャップユニットの構成要素を示す図である。
【図2】従来の包装容器の斜視図である。
【図3】従来の他の包装容器の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における注ぎ口の取付状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における蓋部材の閉鎖状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるキャップユニットの構成要素を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における注ぎ口部の他の例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における貫通孔の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 容器本体
11 包装容器
22 キャップ部
23 注ぎ口部
24 フランジ部
34 本体部
35 蓋部分
52 注出口
53 アウタタブ
62 テープ
64 ねじ
66 くびれ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)所定の箇所に注出口が形成された容器本体と、
(b)本体部、並びに該本体部に対して開放状態及び閉鎖状態に置かれる蓋部分を備え、前記注出口を包囲して容器本体に貼着されたキャップ部と、
(c)筒状体から成り、前記キャップ部の蓋部分に対して着脱自在に配設され、キャップ部から抜け落ちるのを防止するための係止部を備えた注ぎ口部とを有することを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記注出口は封止部材によって封止される請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記蓋部分は本体部に対して揺動自在に支持される請求項1に記載の包装容器。
【請求項4】
前記注ぎ口部はキャップ部の裏側から着脱自在に取り付けられる請求項1に記載の包装容器。
【請求項5】
前記注ぎ口部はキャップ部の表側から着脱自在に取り付けられる請求項1に記載の包装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−133018(P2008−133018A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321363(P2006−321363)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】