説明

包装方法

【課題】特に嵩比重の大きい粉体をコンパクトな包装機により高速で精度よく袋詰めすることができる包装方法を提供すること。
【解決手段】多数のグリップ対gを設けた1つの回転テーブル4を複数の工程毎に間欠移動させ、各グリップ対に支持される包装袋aに所定量の粉体を充填するロータリー式包装機を使用し、粗充填工程にて粉体を粗充填した後に振動手段により包装袋を振動させることにより当該包装袋内の粉体を小嵩化し、計量工程にて内容量の計測を行い、ついで、補正充填工程にて計量手段による計測データに基づいて正規の内容量に対する不足分の粉体を補正充填し、さらに、計量手段による数回毎の計測データに基づいて粗充填量に対する補正量を演算して当該補正量に対応する補正値を粗充填工程の制御部にフィードバックし、次回からの粗充填を補正により変更された量目にて施すことを繰り返して行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉等の粉体又は種子や餌等の粒体をロータリー式包装機により高速度で自動的に袋詰めを行なう包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特公平6−29043号公報には、ロータリー式包装機を用いたグロス計量包装方法が開示されている。その包装方法は、同一の速度で間欠回動する充填テーブルとシールテーブルの2つの回転テーブルを平面状に併設し、一方の充填テーブルにおいてグリッパーで把持した状態で包装袋へ大出し投入を施し、スタンプ後に定量検出器で包装袋を把持すると共にグリッパーの把持作用を解放した状態で小出し投入を施し、ついで包装袋を再びグリッパーで把持してスタンプを行なった後、他方のシールテーブルのシール爪で包装袋の開口上縁部を把持してから充填テーブル側のグリッパーを開放して包装袋を充填テーブル側からシールテーブル側に受け渡し、ついで包装袋の開口縁をヒートシールして機外へ放出するようにされている。
【0003】
上記包装方法には被包装材料が何であるのか明らかにされていないが、仮に被包装材が粉体、特に小麦粉の場合には、包装袋内に大出し投入された小麦粉を上からスタンプで押圧すれば、小麦粉が小嵩になるどころか周囲に舞い上がってしまうという不都合がある。
また、定量検出器で計量しつつ正規の内容量に達するまで小出し投入を行う構成であるので小出し投入時の充填時間が多くなり、包装の高速化が難しいと思われる。なお、この種ロータリー式包装機における包装能力は、毎分20袋程度である。
【0004】
上記包装方法を実施するための包装機は、8個の工程に対応する(8等配の)充填テーブルとシールテーブルの2つの回転テーブルを平面状に併設した構成とされているので、包装機が平面的に大きくなっていた。また、包装袋を充填テーブルからシールテーブルに受け渡す構成とされているので、シールテーブルに渡された包装袋が傾いた状態で把持され、包装袋の高さにバラツキが生じやすく、袋口のシール不良の要因ともなっていた。
【0005】
粉体又は粒体を包装容器や包装袋に充填するための充填装置については、電動モータ装置の駆動により円筒管内に配置されたスクリューを回転させることにより粉体又は粒体を円筒管の出口から送り出すように設けられたオーガー装置が使用されている。例えば、特開平11−348903号には、減圧又は真空引きされる筒状のフィルター内にスクリューを収め、ホッパーから供給される粉粒体に含まれる空気を脱気してから粉粒体を出口から送り出す構造が開示されている。
【特許文献1】特公平6−29043号公報
【特許文献2】特開平11−348903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、粉体又は粒体、特に嵩比重の大きい粉体をコンパクトな包装機により高速で精度よく袋詰めすることができる包装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、多数のグリップ対を放射方向に設けた1つの回転テーブルを複数の工程毎に間欠移動させ、各グリップ対により袋口を上にして吊り下げ状に支持される包装袋に所定量の被包装物を充填し、袋口のシールを施してから包装袋を排出するように構成されたロータリー式包装機を使用し、
粗充填工程にて第1充填手段により被包装物たる粉体又は粒体を粗充填した後に振動手段により包装袋を振動させることにより当該包装袋内の粉体又は粒体を小嵩化し、計量工程にて計量手段により包装袋の袋口部分を挟持して前記グリップ対による挟持作用を解放した状態で内容量の計測を行い、ついで、補正充填工程にて前記計量手段による計測データに基づいて正規の内容量に対する不足分の粉体又は粒体を第2充填手段により補正充填を施し、その補正充填が施された包装袋に振動を付与させて粉体又は粒体を小嵩化してから袋口のシールを施して包装袋を機外に放出するようになし、さらに、前記計量手段による数回毎の計測データに基づいて粗充填量に対する補正量を演算して当該補正量に対応する補正値を第1充填手段の制御部にフィードバックし、次回からの粗充填を補正により変更された量目にて施すことを繰り返して行なうようにしたことを特徴とする。
【0008】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の包装方法において、前記第1充填手段及び第2充填手段が、サーボモータの駆動によりケーシング内に配置されたスクリューを回転させることにより粉体又は粒体を当該ケーシングの出口から前記包装袋内へ送り出すように設けられたオーガー装置であり、少なくとも第1充填手段について脱気機能を有するオーガー装置としたことを特徴とするものである。
【0009】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の包装方法において、前記包装機の後段に設置されるオートチェッカーによって袋詰めされた製品の重量を計測し、そのオートチェッカーによる数回毎の計測データに基づいて前記補正充填量に対する補正量を演算して当該補正量に対応する補正値を前記第2充填手段の制御部にフィードバックし、次回からの補正充填を補正により変更された量目にて施すことを繰り返して行なうようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の発明)
この包装方法は、1つの回転テーブルを備えたロータリー式包装機を使用し、粗充填量に対する補正値を第1充填手段の制御部にフィードバックし、次回からの粗充填を補正により変更された量目により施す構成としているので、粉体又は粒体、特に嵩比重の大きい粉体を高速(毎分約30〜50袋)で精度よく充填することができる。加えて、包装機がコンパクトであるため、設置スペースが少なくて済む。
【0011】
(請求項2の発明)
この包装方法は、サーボモータによりスクリューを回転させて粉体又は粒体を包装袋内へ送り出すように構成されたオーガー装置の採用により、内容量のバラツキの少ない品質の良い包装を行うことができる。
【0012】
(請求項3の発明)
この包装方法は、包装機の後段に設置されるオートチェッカーにより補正充填量に対する補正値を第2充填手段の制御部にフィードバックし、次回からの補正充填を補正により変更された量目により施すようにしているので、高精度にて充填作業を行なうことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明方法を適用したロータリー式包装機の正面図、図2は同、平面図、図3は同、側面図、図4は本発明方法による包装作業の流れを示す説明図、図5は本発明方法による充填作業のタイミングチャートである。
【0014】
本発明包装方法を適用したロータリー式包装機1を図1〜図3に示す。この包装機1は、機台2に立設されたポスト3に、16個のグリップ対gが放射方向に等角度間隔に配置された1つの回転テーブル4を回転可能に設け、その回転テーブル4を16箇所の工程毎に間欠移動自在に設けている。この実施形態例の包装方法では、粉体又は粒体として「小麦粉」を対象とし、グリップ対gにより吊り下げ状に支持されるスタンド袋(自立袋)aに、粗充填(約580グラム)と補正充填(約20グラム)を施して正規の容量(600グラム)とする包装充填を行う。
【0015】
上記包装機1の主な工程は、給袋装置30によりスタンド袋aを各グリップ対gに一枚ずつ供給する給袋工程(1)、スタンド袋の底部分を開く袋底開き工程(4)、スタンド袋の袋口を大きく開く開口工程(5)、第1充填手段たる脱気機能を有するオーガー装置35により小麦粉の粗充填を施す粗充填工程(6)、スタンド袋の底部を振動させて内部の小麦粉の嵩を小さくする底振動工程(7)〜(9)、粗充填された小麦粉の内容量を計量手段40により計測する計量工程(10)、第2充填手段たる脱気機能を有しないオーガー装置50により補正充填を施す補正充填工程(11)、袋口内面に付着する小麦粉をエアーで吹き飛ばし、底振動を施す工程(12)、スタンド袋内に残留するエアーを排除するエアー抜き工程(13)、シール装置55により袋口のヒートシールを施すトップシール工程(14)、ヒートシール部分の冷却を施す冷却シール工程(15)、製品を機外に放出する系外排出工程(16)である。
【0016】
なお、前記オーガー装置とは、サーボモータによりケーシング内に収められたスクリューを回転させて粉体又は粒体を包装袋内へ送り出すようにした公知の構造のものをいう。
【0017】
つぎに、本発明包装方法における包装作業の流れを図4の図面に基づいて説明する。
(1)粗充填工程(6)において、オーガー装置35によって約580gの小麦粉が粗充填された後に、底振動工程(7)〜(9)において、振動手段(図示せず)によりスタンド袋aを振動させて当該包装袋内の小麦粉を沈ませて小嵩化する。
(2)計量工程(10)において、計量手段40のクランプによりスタンド袋aの袋口b部分が挟持され、かつ、グリップ対gによる挟持作用を解放した状態にて内容量の計測が行なわれる。ついで、スタンド袋aが再びグリップ対gにより支持される。
(3)補正充填工程(11)において、計量手段40による計測データに基づいて正規の内容量に対する不足分の約20gの小麦粉がオーガー装置50により補正充填を施される。(4)吹き飛ばし・底振動工程(12)において、袋口内面に付着する小麦粉をエアーで吹き飛ばすと共に包装袋に振動を付与させることにより小麦粉を小嵩化する。
(5)トップシール工程(14)において、シール装置55により袋口のシールが施される。
(6)冷却シール工程(15)にてヒートシール部分の冷却を施してから、系外排出工程(16)にて製品a´を機外に放出する。
【0018】
上記粗充填量に対する補正量については、図5のタイミングチャートに示すように、計量手段40による数回毎の計測データに基づいて包装機の制御部60において演算し、補正量に対応する補正値である傾向パルス数をオーガー装置35の制御部にフィードバックしてサーボモータの回転数を制御し、次回からの粗充填を補正により変更された量目にて施すことを繰り返して行なうように制御される。上記補正充填については、計量手段40による1回毎の計測データにより補正値である補正充填パルス数をオーガー装置50の制御部にフィードバックしてサーボモータの回転数を制御することにより行われる。
【0019】
また、包装機1の後段にオートチェッカー70を設置すれば、さらに高精度の包装充填を行なうことが可能である(請求項3の発明に対応)。
この場合には、オートチェッカー70によって袋詰めされた製品a´の重量を計測し、オートチェッカー70による数回毎の計測データに基づいて補正充填量に対する補正量を演算して当該補正量に対応する傾向パルス数をオーガー装置50の制御部にフィードバックしてサーボモータの回転数を制御し、次回からの補正充填を補正により変更された量目にて施すことを繰り返して行なうように制御される。
【0020】
この実施形態例における包装方法では、毎分30〜50袋の袋詰めを行うことができ、正規の内容量600グラムに対する充填精度については平均1グラム以下である。
【0021】
以上に述べた通り、この包装方法は、1つの回転テーブルを備えたロータリー式包装機を使用し、粗充填量に対する補正値をオーガー装置の制御部にフィードバックし、次回からの粗充填を補正により変更された量目により施すようにしているので、特に嵩比重の大きい小麦粉等の粉体を高速で精度よく袋詰めすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明方法を適用したロータリー式包装機の正面図
【図2】同、平面図
【図3】同、側面図
【図4】本発明方法による包装作業の流れを示す説明図
【図5】本発明方法による充填作業のタイミングチャート
【符号の説明】
【0023】
1・・・ロータリー式包装機
4・・・回転テーブル
g・・・グリップ対
a・・・スタンド袋(包装袋)
b・・・袋口
35・・・オーガー装置(第1充填手段)
40・・・計量手段
50・・・オーガー装置(第2充填手段)
70・・・オートチェッカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のグリップ対を放射方向に設けた1つの回転テーブルを複数の工程毎に間欠移動させ、各グリップ対により袋口を上にして吊り下げ状に支持される包装袋に所定量の被包装物を充填し、袋口のシールを施してから包装袋を排出するように構成されたロータリー式包装機を使用し、
粗充填工程にて第1充填手段により被包装物たる粉体又は粒体を粗充填した後に振動手段により包装袋を振動させることにより当該包装袋内の粉体又は粒体を小嵩化し、計量工程にて計量手段により包装袋の袋口部分を挟持して前記グリップ対による挟持作用を解放した状態で内容量の計測を行い、ついで、補正充填工程にて前記計量手段による計測データに基づいて正規の内容量に対する不足分の粉体又は粒体を第2充填手段により補正充填を施し、その補正充填が施された包装袋に振動を付与させて粉体又は粒体を小嵩化してから袋口のシールを施して包装袋を機外に放出するようになし、さらに、前記計量手段による数回毎の計測データに基づいて粗充填量に対する補正量を演算して当該補正量に対応する補正値を第1充填手段の制御部にフィードバックし、次回からの粗充填を補正により変更された量目にて施すことを繰り返して行なうようにしたことを特徴とする包装方法。
【請求項2】
前記第1充填手段及び第2充填手段が、サーボモータの駆動によりケーシング内に配置されたスクリューを回転させることにより粉体又は粒体を当該ケーシングの出口から前記包装袋内へ送り出すように設けられたオーガー装置であり、少なくとも第1充填手段について脱気機能を有するオーガー装置としたことを特徴とする請求項1に記載の包装方法。
【請求項3】
前記包装機の後段に設置されるオートチェッカーによって袋詰めされた製品の重量を計測し、そのオートチェッカーによる数回毎の計測データに基づいて前記補正充填量に対する補正量を演算して当該補正量に対応する補正値を前記第2充填手段の制御部にフィードバックし、次回からの補正充填を補正された量目にて施すことを繰り返して行なうようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−239190(P2008−239190A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80974(P2007−80974)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000108281)ゼネラルパッカー株式会社 (65)
【Fターム(参考)】