説明

包装用容器

【課題】複数の商品が包装用容器内にまとめて収容された場合、商品を受け取った側が、商品を贈る側の意図する順番で商品を容易に取り出すことを可能とした技術を提供する。
【解決手段】底面部の周縁を折曲して立設した側壁部上端の一部に連設された第一のフラップを折曲することにより第一の蓋体7を形成する。この第一の蓋体によって覆われる空間を第一の商品収容区域10とする。一方、側壁部の上端の他の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対設け、これら切込みの間の側壁部の上端に連設した第二のフラップとし、切込みの間の側壁部を商品収容領域に向かって折曲することにより第二の蓋体8を形成する。この第二の蓋体によって覆われる空間を第二の商品収容区域20とする。さらに、第二の蓋体の閉蓋状態において側壁部の一部に、第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部30を形成し、その両側をガイド部50とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収容する包装用容器に係り、詳しくは、プレゼントとして複数の商品を収納可能とし、包装用容器から商品を取り出す際に、プレゼントを贈る側が意図する順番となるように、商品の取り出し順序が定められるようにした包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
誕生日やクリスマス、結婚記念日、父の日、母の日、敬老の日、卒業、入学といった様々な記念日や祝日、慶事において、プレゼントを贈ることが日常的に行われている。
また、近年ではプレゼントとして一つだけではなく、相手をさらに喜ばせようと考えて複数の商品を贈ることも行われている。複数の商品の組み合わせとしては様々あり、たとえば、貴金属、洋服、化粧品、食器、タオル、本、文具、菓子といった商品を適宜組み合わせたり、もしくはこれらの商品と、花束やフラワーアレンジメント、プリザーブドフラワーといった花を組み合わせたりしている。
【0003】
ところが、複数の商品をプレゼントとして贈る場合、商品は個々に包装されることから、プレゼントを贈る側においては、まとめての持ち運びや発送に煩わしさを覚えることがある。他方、プレゼントを受け取る側においては、プレゼントの包装を個々に解くのに手間や時間を要し、煩わしさを覚えることがある。この場合、包装を解くことだけを考慮して簡易包装とすると、持ち運びや発送等の途中で包装が破損等してしまう虞が多分にあると共に、見栄えにおいてプレゼントとしての商品価値を下げてしまう印象を与えてしまい望ましくない。
【0004】
また、商品が個々に包装されたものであると、包装の数によってプレゼントとして贈る商品の数が容易にわかってしまうことから、複数の商品を贈って相手をさらに喜ばせたい、ビックリさせたい、といったプレゼントを贈る側の気持ちを酌む配慮に欠けたものとなっている。
【0005】
さらに、商品が個々に包装されたものであると、その商品の開封に順序が定めらないことから、プレゼントを贈る側において商品の開封順序に意図がある場合、予めプレゼントを受け取る側にそのことを伝えておかないと、意図する順番に商品が開封されず、プレゼントを贈る側にとってもプレゼントを受け取る側にとっても、商品の開封順序によってもたらされる感激が軽減してしまうものとなる。
【0006】
そこで、複数の商品の収容を可能とした包装用容器について、幾つか提案されている。
たとえば、包装用容器内に商品を上下に段に収容する場合において、上段の商品と下段の商品の間に介在する部材(水平板)と、上段の商品を固定する部材(仕切板)とを一体に有するものとし、これら部材を包装用容器と別個に用意する必要のないものとした技術が提案されている(特許文献1を参照)。
また、一枚の段ボールから、直方体の各面がそれぞれ二重壁構造を備えた梱包箱が折り上がるようにした技術も提案されている(特許文献2を参照)。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術は何れも、緩衝状態で商品を収容することを目的とするものであって、商品の取り出し順序を定めるように考慮したものではない。
ゆえに、現在では、持ち運びが煩わしくならないように複数の商品を一つの容器に包装し、かつ、包装を解く手間や時間を簡易にし、さらに、商品の取り出しに順序が定められるようにした包装用容器は何ら提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−23713号公報
【特許文献2】特許第3065552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、複数の商品が包装用容器内にまとめて収容された場合、商品を受け取った側が商品を取り出す際に、商品を贈る側の意図する順番で商品を容易に取り出すことを可能とした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る包装用容器は、複数の商品を収容することが可能な商品収容領域を備える包装用容器であって、底面部の周縁より立設した側壁部によって形成された筒状空間を商品収容領域とし、前記側壁部の上端の一部に、前記商品収容領域を覆う第一の蓋体を設けると共に、この第一の蓋体によって覆われる空間を第一の商品収容区域とし、一方、前記側壁部の上端の他の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対形成し、これら切込みの間及びその上端に、前記商品収容領域に向かって曲折可能な第二の蓋体を設け、この第二の蓋体によって覆われる空間を第二の商品収容区域とすると共に、前記第二の蓋体の閉蓋状態において前記側壁部の一部に、前記第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部を形成し、前記第一の蓋体を開蓋して前記第一の商品収容区域内に収容された商品を取り出した後、前記第二の蓋体が開蓋可能となるようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る包装用容器は、複数の商品を収容することが可能な商品収容両域を備えた、シート体を折り曲げることにより組立てる包装用容器であって、底面部の周縁を折り曲げて立設した側壁部によって形成された筒状空間を商品収容領域とし、前記側壁部の上端の一部から連続して延びる第一のフラップを折り曲げることにより第一の蓋体を形成すると共に、この第一の蓋体によって覆われる空間を第一の商品収容区域とし、一方、前記側壁部の上端の他の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対設け、これら切込みの間の前記側壁部の上端から連続して延びる第二のフラップと共に、前記切込みの間の前記側壁部を前記商品収容領域に向かって折り曲げることにより第二の蓋体を形成し、この第二の蓋体によって覆われる空間を第二の商品収容区域とすると共に、前記第二の蓋体の閉蓋状態において前記側壁部の一部に前記第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部を形成し、前記第一の蓋体を開蓋して前記第一の商品収容区域内に収容された商品を取り出した後、前記第二の蓋体が開蓋可能となるようにしたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に係る包装用容器は、複数の商品を収容することが可能な商品収容領域を備えた、シート体を折り曲げることにより組立てる包装用容器であって、前記シート体は、その略中央に配された底面部と、この底面部の周縁部にそれぞれ配された第一乃至第四の各側壁部と、第一の側壁部において前記底面部と対向する位置の縁部に配された第一のフラップと、第一の側壁部において前記第二の側壁部側の縁部に配された第二の側壁連結片と、第一の側壁部において前記第四の側壁部側の縁部に配された第四の側壁連結片と、前記底面部を介して前記第一の側壁部と対向する位置に配された第三の側壁部において前記底面部と対向する位置の縁部に配された第二のフラップと、第三の側壁部において前記第二の側壁部側の縁部に配された第二の側壁連結片と、第三の側壁部において前記第四の側壁部側の縁部に配された第四の側壁連結片と、を備え、前記第一のフラップは、折り曲げて商品収容領域の上面及び前面を覆う上面被覆部及び正面被覆部とから構成され、正面被覆部は、対向する位置の縁部に第一の蓋体固定片をそれぞれ有し、前記第二のフラップは、商品収容領域に向かって折り曲げた際、前記底面部との間に商品を収容するための空間を形成する脚部を、前記第三の側壁部と接する縁部を除く残りの縁部に有し、前記第二の側壁部は、前記第一の側壁部側の第二の側壁連結片、及び前記第三の側壁部側の第二の側壁連結片を内包するように挟み込む、二つ折り可能な内側側壁及び外側側壁とから構成され、前記第四の側壁部は、前記第一の側壁部側の第四の側壁連結片、及び前記第三の側壁部側の第四の側壁連結片を内包するように挟み込む、二つ折り可能な内側側壁及び外側側壁とから構成され、前記底面部の周縁を折り曲げて立設した前記第一乃至第四の各側壁部によって形成された筒状空間を商品収容領域とし、前記第一の側壁部の上端から連続して延びる前記第一のフラップを折り曲げることにより第一の蓋体を形成すると共に、この第一の蓋体によって覆われる空間を第一の商品収容区域とし、一方、前記第三の側壁部の上端の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対設け、これら切込みの間の前記第三の側壁部の上端から連続して延びる前記第二のフラップと共に、前記切込みの間の前記第三の側壁部を前記第一の商品収容区域に向かって折り曲げることにより第二の蓋体を形成し、この第二の蓋体によって覆われる空間を第二の商品収容区域とすると共に、前記第二の蓋体の閉蓋状態において前記第三の側壁部の一部に前記第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部を形成し、前記第一の蓋体を開蓋して前記第一の商品収容区域内に収容された商品を取り出した後、前記第二の蓋体が開蓋可能となるようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係る包装用容器は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の包装用容器において、第二の蓋体は、第二の商品収容区域に収容された商品を僅かに露呈させる切欠部を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係る包装用容器は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の包装用容器において、第二の蓋体は、切開可能な切れ目線を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に係る包装用容器は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の包装用容器において、第二の蓋体は、メッセージ表示部を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7に係る包装用容器は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の包装用容器において、第一の商品収容区域は、第二の蓋体を介して第二の商品収容区域上に積み重ねることが可能な1又は2以上のトレイ状収容体を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8に係る包装用容器は、請求項7に記載の包装用容器において、トレイ状収容体は、背面に、起立状態で保持することが可能な商品陳列部材を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項9に係る包装用容器は、請求項7又は8に記載の包装用容器において、トレイ状収容体は、前記開口部は、その間隔が前記第一の商品収容区域に収容されるトレイ状収容体の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項10に係る包装用容器は、請求項1乃至9の何れか1項に記載の包装用容器において、前記第一の蓋体の開蓋を抑制する帯封が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の包装用容器は、第一の商品収容区域を覆う第一の蓋体と、第二の商品収容区域を覆う第二の蓋体とを備え、第二の蓋体は、第一の蓋体を開蓋することで露呈する第一の商品収容区域内に収容されている商品を取り出さなければ開蓋することができないものとなっている。ゆえに、複数の商品が包装用容器内に上下に重ねてまとめて収容された場合、商品収容領域内に収容された商品の取り出しに順序が定められたものとなり、商品を受け取った側が、商品を贈る側の意図する順番で商品を取り出すようにすることできる。
【0021】
すなわち、第二の蓋体が第一の商品収容区域と第二の商品収容区域と区画する遮蔽扉となることで、商品収容領域の底部側が二重底構造となり、この二重底区域内に第二の商品を収容することができる。これにより、商品を贈る側が、商品の取り出し順序にこだわらない商品(通常商品)を第一の商品収容区域に収容し、商品を受け取る側に最後に取り出してもらうことを意図する商品(メイン商品)を第二の商品収容区域に収容することで、第一の商品収容区域に収容された通常商品は、第一の蓋体を開けることで取り出し可能となるが、第二の商品収容区域内に収容されたメイン商品を取り出すためには、第一の商品収容区域に収容された通常商品を取り出した後、さらに、遮蔽扉となっている第二の蓋体を開けなければならず、商品を贈る側贈る側が意図する順番となるように、商品の取り出し順序が定められたものとすることできる。
【0022】
したがって、単に複数の商品をまとめて収容するだけでなく、贈る側の意図に合わせて商品の取り出し順序が定められるようにすることができ、商品を受け取る側は、一旦商品を受け取ることで感動を覚えた後、さらに、商品を贈る側がこだわった予期せぬ新たな商品を受け取ることで、より一層深い感動を覚えるものとすることができる。
【0023】
また、本発明の包装用容器は、側壁部に切込みを形成し曲折することで第二の蓋体を設けたものであるので、側壁部に、第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部が設けられたものとなっている。ゆえに、商品の取り出し口が包装用容器上面だけでなく側面の一部を含めたより広いものとなり、第一の商品収容区域及び第二の商品収容区域に収容された商品の取り出しが容易に行えるものとなる。しかも、この開口部によって、第一の商品収容区域に収容された商品を見栄え良く、かつ、見易くすることができると共に、第二の商品収容区域に隠すように収容された商品の存在に、商品を受け取った側が容易に気付き易いようにすることができる。
【0024】
すなわち、包装用容器内に複数の商品を上下に重ねて収容する場合、包装用容器全体の蓋体と、商品収容領域内の蓋体といった、単に二つの蓋体を設けるようにしただけでは、商品収容領域の深さが大きいものとなってしまい、商品収容領域内への商品の収容や、商品収容領域内からの商品の取り出し、商品収容領域内に収容された商品の確認等がし難いものとなる。
【0025】
しかしながら、本発明の包装用容器は、側壁部の一部に開口部が設けられているので、上面開口部と側壁部の開口部の双方を介して商品を扱うことや、商品を視認することができる。ゆえに、商品収容領域内への商品の収容や、商品収容領域内からの商品の取り出し、商品収容区域内に収容された商品の確認等がし易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る包装用容器を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る包装用容器を組み立てるためのシート体の一例を示す展開平面図である。
【図3】本発明に係る包装用容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【図4】本発明に係る包装用容器における第二の蓋体を閉蓋した状態を示す正面図である。
【図5】本発明に係る包装用容器における第一の蓋体を閉蓋する状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る包装用容器を展示する状態の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る包装用容器における第二の蓋体を説明する平面図である。
【図8】本発明に係る包装用容器における第一の商品収容区域に、(A)トレイ状収容体を収容する前の状態、(B)トレイ状収容体を収容した後の状態をそれぞれ示す正面図である。
【図9】本発明に係る包装用容器に収容するトレイ状収容体に設けられた商品陳列部材の構造の一例を示すトレイ本体の背面図である。
【図10】本発明に係る包装用容器に収容するトレイ状収容体を用いて商品を展示する状態を示す側面図である。
【図11】本発明に係る包装用容器における第二の蓋体の他の例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る包装用容器の実施の形態の一例について、図面に基づき説明する。
本実施の形態においては、本発明の理解を容易にするため、底面が四角形であり、この底面部の周縁より立設した側壁部によって形成された筒状空間を商品収容領域として備え、この商品収容領域内に複数の商品を収容するようにした包装用容器について説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0028】
<第1の実施の形態>
図1に示すように、本実施の形態における包装用容器1は、複数の商品を上下に重ねて収容することが可能な商品収容領域を有する包装用容器であって、第一の蓋体7と、第一の商品収容区域10と、第二の蓋体8と、第二の商品収容区域20とを少なくとも備える。また、本発明の包装用容器1は、側壁部の一部に開口部30を有する。
【0029】
第一の蓋体7は、底面部2の周縁より立設した4つの側壁部3,4,5,6により囲まれて形成された筒状空間を商品収容領域とし、この商品収容領域の全体を覆うように側壁部の上端の一部に設けられたものである。
また、本実施の形態において、第一の蓋体7は、図中の点線に沿って倒伏したときに、商品収容領域の上面部分を覆う上面被覆部7−1と、商品収容領域の正面部分を覆う正面被覆部7−2とから構成され、上面被覆部7−1と正面被覆部7−2とは互いに連設され、境界部分より曲折可能なものとなっている。
【0030】
図1において、商品収容領域は、背面(後面)部である第一の側壁部3、左側面部である第二の側壁部4、正面(前面)部である第三の側壁部5、右側面部である第四の側壁部6により囲まれたものとして示され、第一の蓋体7は、第一の側壁部3の上端に連設されたものとして示されている。また、第一の蓋体7は、上面被覆部7−1が第一の側壁部3の上端に連設されたものとして示されている。
【0031】
第一の商品収容区域10は、第一の蓋体7によって覆われる空間であって、商品収容領域の一部を構成するものである。この第一の商品収容区域10内には、取り出し順序にこだわらない商品、言い換えれば、最後に取り出してもらうことを意図しない商品を収容する。この第一の商品収容区域10は、一つだけの商品に限らず、複数の商品を収納するものとしても良い。
【0032】
第二の蓋体8は、商品収容領域の一部を覆うものであって、第一の商品収容区域10と第二の商品収容区域20とを区分けするものとなっている。また、第二の蓋体8は、側壁部の上端の他の一部に設けられたものであって、この上端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対(二本)形成し、これら切込みの間の側面部領域を含めて商品収容領域に向かって曲折可能に設けられている。
【0033】
図1において、第二の蓋体8は、第一の蓋体7が設けられた第一の側壁部3と対向する側の第三の側壁部5に連設され、この第三の側壁部5の上部における幅方向中央の広域を含めて商品収容領域に向かって曲折した状態として示されている。
【0034】
第二の商品収容区域20は、第二の蓋体8によって覆われる空間であって、第一の商品収容区域10を除く商品収容領域の一部を構成するものである。この第二の商品収容区域20内には、取り出し順序にこだわる商品を収容する。この第二の商品収容区域20は、複数の商品を収納するものとしても良いが、最後に取り出してもらうことを意図する商品を一つだけ収納することが望ましい。
【0035】
開口部30は、第二の蓋体8の閉蓋状態において第三の側壁部5の一部に形成された、第一の商品収容区域10の側面を露呈させる切欠き領域である。すなわち、開口部30は、第三の側壁部5に形成された一対の切込みを介して、第二の蓋体8が商品収容領域に向かって曲折することで第三の側壁部5に形成される、一対の切込み間に設けられた切欠き領域をいう。
【0036】
また、第三の側壁部5の一部に開口部30が形成されることで、第三の側壁部5における開口部30の両側部分にガイド部50,50が形成されたものとなっている。
このガイド部50は、第二の蓋体8として商品収容領域の内側に向かって曲折されない第三の側壁部5の起立部分である。ゆえに、後述するように、第一の商品収容区域10内に商品を体裁良く収容するためのトレイ状収容体11を備えるものとした場合、ガイド部50は、第一の商品収容区域10内へのトレイ状収容体11の収容に対するガイド枠として機能する。ゆえに、開口部30は、その間隔が第一の商品収容区域に収容される商品(トレイ状収容体11)の幅よりも狭いものとなっている。
【0037】
したがって、ガイド部50は、第一の蓋体7を完全に開蓋せずに、第一の商品収容区域10内に収容された商品(トレイ状収容体11)が正面部から抜き出されることを制御すると共に、第一の商品収容区域10内に収容された商品(トレイ状収容体11)が正面部から無闇に落下することを防止することができる。
【0038】
以上のように本発明の包装用容器1は、図1において、第一の商品収容区域10は、商品収容領域内の上方(上段)に設けられ、第二の商品収容区域20は、商品収容領域内の下方(下段)に設けられたものとして示され、これらの区域を区分けする第二の蓋体8は、第二の商品収容区域20を覆うと共に、第一の商品収容区域10における底面部として機能するものとなっている。
【0039】
そして、このような本発明の包装用容器1は、プレゼントを贈る者が、最後に取り出してもらうことを意図する取り出し順序にこだわる商品として、たとえば、貴金属や洋服、ワイン、本を下方の第二の商品収容区域20内に収容し、第二の蓋体8を閉蓋した後、この第二の蓋体8の上方に設けられた第一の商品収容区域10内に、取り出し順序にこだわらない商品として、たとえば、タオルやフラワーアレンジメントもしくはプリザーブドフラワーといった花を収容し、第一の蓋体7を閉蓋してプレゼントとして相手に渡すことになる。
【0040】
ゆえに、本発明では、プレゼントを受け取った者は、第一の蓋体7を開蓋して第一の商品収容区域10内に収容された商品を取り出した後、第二の蓋体8の存在に気付き、この第二の蓋体8を開蓋することで、第二の商品収容区域20内に収容された商品を取り出すことが可能なものとなっている。言い換えれば、第一の蓋体7を開蓋して第一の商品収容区域10内に収容された商品を取り出さなければ、第二の蓋体8を開蓋することができず、第二の商品収容区域20内に収容された商品を取り出すことができない、商品の取り出し順序が定められたものとなっている。
【0041】
これにより、プレゼントを受け取った者に対し、商品を見て取り出す毎に複数の感動を与えることができると共に、プレゼントを贈る者が拘った商品を最後に取り出すことで、特別な感動と相乗的な喜びを与えることができる。すなわち、プレゼントを受け取った者は、商品を取り出す順番に基づいて、プレゼントを贈る者の意図を明確に感じ取ることができる。
【0042】
また、本発明の包装用容器1は、一枚のシート体を折り曲げることにより組立てるものとすることができる。
すなわち、シート体の略中央に配された底面部2の周縁を折り曲げて側壁部3,4,5,6をそれぞれ立設し、この側壁部3,4,5,6によって形成された筒状空間を商品収容領域とする。次いで、第一の側壁部3の上端から連続して延びる第一のフラップを、商品収容領域に向けて折り曲げることにより第一の蓋体7を形成すると共に、この第一の蓋体7によって覆われる空間を第一の商品収容区域10とする。
【0043】
他方、第三の側壁部5の上端に、この上端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対(二本)設ける。次いで、第三の側壁部5の上端から連続して延びるように設けられた第二のフラップ、及びこれら切込みの間の第三の側壁部5を商品収容領域に向けて折り曲げることにより第二の蓋体8を形成すると共に、この第二の蓋体8によって覆われる空間を第二の商品収容区域20とする。
さらに、第二の蓋体8を閉蓋状態とすることで第三の側壁部5の一部に形成される、第一の商品収容区域10の側面を露呈させるようにした切欠き領域を開口部30とする。
【0044】
このような包装用容器1を組み立てるシート体としては、たとえば図2に示すことができる。図中において、一点鎖線で示す部分は谷折り部である。したがって、以下に述べる折り曲げは、何れも谷折りすることを意味するものである。
【0045】
図2に示すシート体Sは、その略中央に底面部2が配されたものとなっている。
この底面部2の周縁の各辺部に連続して、第一の側壁部3、第二の側壁部4、第三の側壁部5、第四の側壁部6がそれぞれ配されたものとなっている。また、底面部2は、第二の側壁部側縁部に、第二の側壁部支持用の孔部21が設けられていると共に、第四の側壁部側縁部に、第四の側壁部支持用の孔部22が設けられている
【0046】
第一の側壁部3は、連設する底面部2との境界辺縁部に対向する位置の辺縁部に連続して、第一の蓋体となる第一のフラップ7が配されたものとなっている。この第一のフラップ7は、折り曲げて商品収容領域の上面を覆う上面被覆部7−1と、折り曲げて商品収容領域の正面を覆う正面被覆部7−2とから構成されている。また、正面被覆部7−2は、連設する上面被覆部7−1との境界辺縁部にそれぞれ隣接する、互いに対向する位置の各辺縁部に第一の蓋体固定片71,72をそれぞれ有している。
したがって、第一の側壁部3と、上面被覆部7−1と、正面被覆部7−2と、第一の蓋体固定片71,72とは、連続して配されたものとなっている。
【0047】
また、第一の側壁部3は、連設する底面部2及び上面被覆部7−1との境界辺縁部にそれぞれ隣接する、互いに対向する位置の各辺縁部に連続してそれぞれ、第二の側壁連結片31、第四の側壁連結片32が配されたものとなっている。すなわち、第二の側壁部4側の辺縁部に連続して第二の側壁連結片31が配され、第四の側壁部6側の辺縁部に連続して第四の側壁連結片32が配されたものとなっている。
【0048】
第二の側壁連結片31は、二つ折り可能な二つの片31−1,31−2から構成されている。また、第四の側壁連結片32も、二つ折り可能な二つの片32−1,32−2から構成されたものとなっている。第二の側壁連結片31及び第四の側壁連結片32は、このように二つ折りすることで、開蓋した第一の蓋体7を第一の側壁部3を介して支持するように強度を保つことができるものとなっている。
【0049】
また、第二の側壁連結片31及び第四の側壁連結片32は、それぞれ二つ折りすることで、第二の側壁部4及び第四の側壁部6において、後述する第一の蓋体固定間隙部54,56を形成するためのスペーサとして機能するものとなっている。
【0050】
第二の側壁部4は、互いに連続する外側側壁4−1及び内側側壁4−2とから構成され、これを二つ折りしたときに、第一の側壁部3側の第二の側壁連結片31、及び第三の側壁部5側の後述する第二の側壁連結片51を内包するように挟み込むものとなっている。この外側側壁4−1と内側側壁4−2とを合わせるように二つ折りすると、その間に、上述した第一の蓋体固定間隙部54が形成されるものとなっている。
【0051】
内側側壁4−2は、連続する外側側壁4−1との境界辺縁部と対向する側の辺縁部に底面係止片41を備える。すなわち、第二の側壁部4は、外側側壁4−1と内側側壁4−2とを合わせるように二つ折りした後、底面係止片41を、底面部2に設けられた第二の側壁部支持用の孔部21へ挿入することで、この二つ折り状態を保持することができるものとなっている。
【0052】
第三の側壁部5は、連設する底面部2との境界辺縁部に対向する位置の辺縁部に連続して、第二の蓋体となる第二のフラップ8が配されたものとなっている。すなわち、第二のフラップ8は、底面部2を挟んで第一の側壁部3の縁部に配された第一のフラップ7と対向する位置に配されたものとなっている。このように第二の蓋体(第二のフラップ)8が、第一の蓋体(第一のフラップ)7と対向する側壁部の縁部に設けられることで、第一の蓋体7を開けたときに第一の商品収容区域10が見易いものとなる位置に、開口部30とガイド部50,50を形成することができる。また、一枚のシート体で作製する場合、無駄なスペースを要することなく効率良く設計することができる。
【0053】
この第二のフラップ8は、第三の側壁部5の縁部の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込み9を一対形成し、これら切込み9,9の間において第三の側壁部5から連続して設けられたものとなっている。そして、第二のフラップ8は、第三の側壁部5の一部と共に、第二の蓋体として商品収容領域の内側に向かって曲折するものとなっている。
【0054】
図2において、切込み9は、第三の側壁部5の端縁から底面に向かに従って、他方の切込み9との距離が近づくように略S字状(もしくは略Z字状)に形成されたものとして示されている。
【0055】
また、第二のフラップ8は、第三の側壁部5と接する辺縁部を除く残りの辺縁部に、脚部81,82,83を備える。この三つの脚部81,82,83と第二の蓋体8とは、連続して配されたものとなっている。これらの脚部81,82,83は、第二の蓋体8を商品収容領域に向かって折り曲げた際、底面部2に向かって折り曲げられ、第二の蓋体8と底面部2との間に商品を収容するための空間として第二の商品収容区域20を形成する。
【0056】
第二の蓋体8は、連設する中央脚部83との境界辺縁部の近傍に、第三の側壁部5側に向かって開く略コ字状をした切込み89を有し、この切込み89によって形成された開蓋口形成片84を有する。開蓋口形成片84は、切込み89に沿って切り離して折り曲げることで、第二の蓋体8を開蓋操作するときに指を挿入して係止することを可能とする開蓋操作口85を形成する。
【0057】
また、第三の側壁部5は、連設する底面部2との境界辺縁部に隣接する、互いに対向する位置の各辺縁部に連続してそれぞれ、第二の側壁連結片51、第四の側壁連結片52が配されたものとなっている。すなわち、第二の側壁部4側の辺縁部に連続して第二の側壁連結片51が配され、第四の側壁部6側の辺縁部に連続して第四の側壁連結片52が配されたものとなっている。
【0058】
第四の側壁部6は、互いに連続する外側側壁6−1及び内側側壁6−2とから構成され、これを二つ折りしたときに、第二の側壁部4と同様に、第一の側壁部3側の第四の側壁連結片32、及び第三の側壁部5側の後述する第四の側壁連結片52を内包するように挟み込むものとなっている。この外側側壁6−1と内側側壁6−2とを合わせるように二つ折りすると、その間に、上述した第一の蓋体固定間隙部56が形成されるものとなっている。
【0059】
内側側壁6−2は、連続する外側側壁6−1との境界辺縁部と対向する側の辺縁部に底面係止片61を備える。すなわち、第四の側壁部6は、外側側壁6−1と内側側壁6−2とを合わせるように二つ折りした後、底面係止片61を、底面部2に設けられた第四の側壁部支持用の孔部22へ挿入することで、この二つ折り状態を保持することができるものとなっている。
【0060】
このように構成されたシート体Sは、接着剤を用いることなく折り曲げるだけで簡単に組み立てることができる。また、一旦組み立てた後の解体や、再組み立てを容易に行うことができる。
また、シート体Sは、板紙や段ボール紙等の紙製であっても、プラスチック製であっても良く、所望の設計にしたがって打ち抜くことで作製することができる。シート体が紙製であると、表面への印刷や、使用後の廃棄処分が容易に行えるものとなる。一方、シート体がプラスチック製であると、意識的にわざと中味を見せるようにした透明度の高い包装用容器とすることができる。
【0061】
次に、以上のような構造を有するシート体Sを用いて、本発明の包装用容器を組み立てる手順を説明する。
まず、底面部2の周囲を取り囲むように形成された折曲線に沿ってシート体Sを折り曲げ、第一の側壁部3、第二の側壁部4、第三の側壁部5、第四の側壁部6をそれぞれ立設する。
【0062】
次いで、図3において点線で示すように、第二の側壁部4の外側側壁4−1と内側側壁4−2とを合わせるように二つ折りする。この第二の側壁部4の二つ折りは、第一の側壁部3側の(二つ折り状態とした)第二の側壁連結片31と、第三の側壁部5側の第二の側壁連結片51を内包するように挟み込むように行い、その後、第二の側壁部4の底面係止片41を、底面部2に設けられた第二の側壁部支持用の孔部21へ挿入する。このとき、外側側壁4−1と内側側壁4−2の間に隙間が形成され、第三の側壁部側に、第一の蓋体固定間隙部54が形成されたものとなっている。
【0063】
一方、第四の側壁部6もまた、図3において点線で示すように、第二の側壁部4と同様に外側側壁6−1と内側側壁6−2とを合わせるように二つ折りし、第一の側壁部3側の(二つ折り状態とした)第四の側壁連結片32と、第三の側壁部5側の第四の側壁連結片52とを内包するように挟み込む。その後、第四の側壁部6の底面係止片61を、底面部2に設けられた第二の側壁部支持用の孔部22へ挿入する。このとき、外側側壁6−1と内側側壁6−2の間に隙間が形成され、第三の側壁部側に、第一の蓋体固定間隙部56が形成されたものとなっている。
【0064】
引き続き、図4に示すように、第二の蓋体8を商品収容領域の内側に向かって曲折し、閉蓋状態とすることで、第二の蓋体8によって覆われた第二の商品収容区域20を形成する。また、第二の蓋体8を閉蓋状態とすることで、第三の側壁部5の一部に、第一の商品収容区域10の側面を露呈させる切欠き領域として、開口部30が形成されたものとなる。
【0065】
そして、図5に示すように、第一の商品収容区域10を覆うように第一の蓋体7(上面被覆部7−1、正面被覆部7−2)を折り曲げた後、第一の蓋体固定片71を第一の蓋体固定間隙部54に、他方、第一の蓋体固定片72を第一の蓋体固定間隙部56にそれぞれ挿入することで、包装用容器1を組み立てるものとする。
【0066】
以上のようにして組み立てられた包装用容器1は、底面部2や第一の側壁部3、第一の蓋体7(上面被覆部7−1、正面被覆部7−2)等の外側(表面)に、表示欄Tが設けられたものとすることができる。
この表示欄Tには、たとえば、本の表題のような文字を表示することができる。このような表示が施された包装用容器1は、図6に示すように縦向きに立てて、本棚やサイドボード等に収納し展示することで、外観上見栄えの良い、辞典や辞書のような書籍型の置物として用いることができる。
【0067】
図6において、第一の側壁部3の外側に設けられた表示欄Tには、太さの異なる線を組み合わせた二重線が間隔を有して上下にそれぞれ描かれ、この二重線の間に、「ABC」なる文字の表示が書籍の題号のように予め施され、他方、第一の蓋体7の上面被覆部7−1の外側には、二重線で描かれた楕円と、その中に、「ABC」なる文字の表示が書籍の題号のように予め施されたものが示されている。
【0068】
また、図示しないが、この表示欄Tには、印刷等の表示を予め施さず、プレゼントを贈る者もしくはプレゼントを受け取る者が自ら所望の表示を施すようにしたものとしても良い。具体的には、たとえば、「2011年母の日 お母さんいつもありがとうね。○○」なる表示や、「2011年卒業おめでとう! 父から○○へ贈るお勧め本」なる表示を、表示欄Tに施すものとしても良い。
このような表示を施すことで、プレゼントを受け取った後の空の包装用容器1が、この時贈ったプレゼントの写真や、この時撮った記念写真、手紙等を収容しておく、その人だけの大事な宝箱とすることができる。
【0069】
また、本実施の形態においては、第一の蓋体7の開蓋を抑制するように、その外側表面を覆う帯封90が設けられたものとすることができる。この帯封90は、開蓋口となる第一の蓋体7と底面部2との境界部分だけを覆うものであっても良いし、包装用容器1の周囲を全体的に巻回するものであっても良い。また、この帯封90の表面をメッセージ欄として、プレゼントを贈る者がプレゼントを受け取る者に対して自由にメッセージを記載することができるようにしても良い。
【0070】
図6において、帯封90は、底面部2、第一の側壁部3、第一の蓋体7(及び第三の側壁部5)の外側を覆うように巻回されたものとして示されている。
【0071】
(旧[0037])
また、本実施の形態においては、第二の蓋体8はその外側に、開蓋前に認識できるメッセージ表示部Mを備えるものとしても良い。このメッセージ表示部Mは、第二の蓋体8の外面(第一の商品収容区域10)側に一体的に設けるものとしても良いが、これに限定されず、第二の蓋体8の外側にメッセージカードを載置したり、貼付したりするスペースを予め設けるものであっても良い。
図7において、メッセージ表示部Mは、点線で囲まれた領域として示されている。
このようにメッセージ表示部Mを設けることで、第二の商品収容区域に収容された商品に関連した贈る側のメッセージを確実に伝えることができる。
【0072】
また、本実施の形態においては、図7に示すように、第二の蓋体8が、第二の商品収容区域20に収容された商品を僅かに露呈させる切欠部80を備えるものとしても良い。すなわち、第二の商品収容区域20の上面を覆うように設けられた第二の蓋体8に対して、第二の商品収容区域20に収容された商品の存在を気付き易くする工夫を施すものである。
【0073】
図7において、切欠部80は、第三の側壁部5に設けたガイド部50の形状・大きさに相当するものとして示され、切り欠かれる領域が無駄なく効率良く形成される設計となっている。なお、図中の符号85は、第二の蓋体8を開蓋するときに指を挿入して操作する開蓋操作口である。
【0074】
このような切欠部80を第二の蓋体8に設けることで、第二の商品収容区域20に収容された商品の存在に気付いたときに、プレゼントを受け取る側に驚きと、新たな感動を与えることができると共に、先に受け取った第一の商品収容区域10に収容された商品と併せて相乗的に喜びを与えることができる。
【0075】
また、本実施の形態においては、図8に示すように、第一の商品収容区域10が、第二の蓋体8を介して第二の商品収容区域20上に積み重ねることが可能な1又は2以上のトレイ状収容体11を備えるものとしても良い。このトレイ状収容体11は、贈り物の数に応じて通常商品を収容するトレイ状収容体の数を適宜調整することができる。
【0076】
図8(A)において、二つのトレイ状収容体11A,11Bを第一の商品収容区域10内に収容する前の状態が示され、図8(B)において、第二の蓋体8の上にトレイ状収容体11Bを載置した後、このトレイ状収容体11Bの上にトレイ状収容体11Aを載置することで、第一の商品収容区域10内に複数(二つ)のトレイ状収容体11を収容した後の状態が示されている。
【0077】
このようなトレイ状収容体を備えるものとすることで、第一の商品収容区域10内に商品を体裁良く収容すると共に、複数の商品を効率良く綺麗に積み重ねて収容することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態においては、図9及び10に示すように、トレイ状収容体11が、トレイ本体12の背面に、起立状態で保持することが可能な商品陳列部材を備えるものとしても良い。この商品陳列部材は、水平状態となっている商品面が斜めになり、トレイ状収容体11内に収容された商品を見栄え良く配置することができるものであれば構造は特に限定されない。
【0079】
図9及び10において商品陳列部材は、トレイ本体12の背面に設けられた一対(二つ)の脚部13,13と、支持片14とによって構成されたものとして示されている。
脚部13は、トレイ本体12の背面に対して略直交状態となるように起立する部材である。支持片14は、トレイ本体12の背面に対して起立すると共に、脚部13と直交する向きに設けられ、この脚部13を係止することで脚部13が背面に沿って倒伏しないように支持する部材である。
【0080】
このような脚部13と支持片14は、図9において一点鎖線で示すように、まず、二つの脚部13が互いに近接するように、トレイ本体12の背面に沿ってそれぞれ折り、トレイ本体12の背面に対して略垂直状態となるように並列に起立させる(図中Iを参照)。
次いで、支持片14が水平状態となるように倒す(折る)ことで、脚部13の内側縁部に支持片14が係止し、脚部13の起立状態が保持されるように組み立てるものとする(図中IIを参照)。
【0081】
このように商品陳列部材をトレイ本体12の背面に備えるものとすることで、図10に示すように、商品の販売時には、トレイ状収容体内に商品を収容した状態で商品面が斜めになって外部から見易くなるように陳列し、一方、商品の購入後は、商品を飾るようにトレイ状収容体内に商品を収容した状態で配置することができる。
【0082】
<第2の実施の形態>
また、本発明では、第二の蓋体を開け易いものとすることができる。
なお、以下に述べる他の各実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0083】
図11に示すように、本実施の形態における第二の蓋体18は、上述した第1の実施の形態における第二の蓋体8とは、第二の商品収容区域20内に収容された商品を取り出すときに用いる開封用の切込みを有する点で異なる。
すなわち、本実施の形態における第二の蓋体18は、切開可能な切れ目線87,88を備える。この切開可能な切れ目線87,88とは、切り裂きが容易な、いわゆる、ミシン目状の切込みのことをいう。
【0084】
図11において、切れ目線87は、第一の側壁部3と第三の側壁部5とを結ぶように、第二の蓋体18の中央部に並行して二本設けられ、切れ目線88は、第三の側壁部5に沿うように、第二の蓋体18の基端部側に設けられたものとして示されている。
【0085】
このような切れ目線87,88を第二の蓋体18に設けることで、まず、開封摘み部86をつまんで切れ目線87に沿って切り裂き、次いで、切り裂いた部分から切れ目線88に沿って切り裂くものとする。ゆえに、切れ目線87,88を利用して第二の蓋体18自体を破るように開封すれば、第二の蓋体18を持ち上げるように開蓋しなくても、第二の商品収容区域20内に収容された商品を容易に取り出すことができる。
【0086】
なお、上記実施の形態では、底面の形状が四角形をした包装用容器を例示して説明したが、本発明を適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。したがって、底面の形状が四角形以外の多角形状をした包装用容器や、底面の形状が円形(楕円形を含む)をした包装用容器であっても良い。
【符号の説明】
【0087】
M メッセージ表示部、S シート体、T 表示欄、1 包装用容器、2 底面部、3 第一の側壁部、4 第二の側壁部、4−1 内側側壁、4−2 外側側壁、5 第三の側壁部、6 第四の側壁部、6−1 内側側壁、6−2 外側側壁、7 第一の蓋体、7−1 上面被覆部、7−2 正面被覆部、8,18 第二の蓋体、9 切込み、10 第一の商品収容区域、11 トレイ状収容体、12 トレイ本体、13 脚部、14 支持片、20 第二の商品収容区域、30 開口部、31 第二の側壁連結片、32 第四の側壁連結片、50 ガイド部、51 第二の側壁連結片、52 第四の側壁連結片、54,56 第一の蓋体固定間隙部、71,72 第一の蓋体固定片、80 切欠部、81,82,83 脚片、84 開蓋口形成片、85 開蓋操作口、86 開封摘み部、87,88 開封ミシン目、89 切込み、90 帯封。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品を収容することが可能な商品収容領域を備える包装用容器であって、
底面部の周縁より立設した側壁部によって形成された筒状空間を商品収容領域とし、前記側壁部の上端の一部に、前記商品収容領域を覆う第一の蓋体を設けると共に、この第一の蓋体によって覆われる空間を第一の商品収容区域とし、
一方、前記側壁部の上端の他の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対形成し、これら切込みの間及びその上端に、前記商品収容領域に向かって曲折可能な第二の蓋体を設け、この第二の蓋体によって覆われる空間を第二の商品収容区域とすると共に、前記第二の蓋体の閉蓋状態において前記側壁部の一部に、前記第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部を形成し、
前記第一の蓋体を開蓋して前記第一の商品収容区域内に収容された商品を取り出した後、前記第二の蓋体が開蓋可能となるようにしたことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
複数の商品を収容することが可能な商品収容領域を備えた、シート体を折り曲げることにより組立てる包装用容器であって、
底面部の周縁を折り曲げて立設した側壁部によって形成された筒状空間を商品収容領域とし、前記側壁部の上端の一部から連続して延びる第一のフラップを折り曲げることにより第一の蓋体を形成すると共に、この第一の蓋体によって覆われる空間を第一の商品収容区域とし、
一方、前記側壁部の上端の他の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対設け、これら切込みの間の前記側壁部の上端から連続して延びる第二のフラップと共に、前記切込みの間の前記側壁部を前記商品収容領域に向かって折り曲げることにより第二の蓋体を形成し、この第二の蓋体によって覆われる空間を第二の商品収容区域とすると共に、前記第二の蓋体の閉蓋状態において前記側壁部の一部に前記第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部を形成し、
前記第一の蓋体を開蓋して前記第一の商品収容区域内に収容された商品を取り出した後、前記第二の蓋体が開蓋可能となるようにしたことを特徴とする包装用容器。
【請求項3】
複数の商品を収容することが可能な商品収容領域を備えた、シート体を折り曲げることにより組立てる包装用容器であって、
前記シート体は、
その略中央に配された底面部と、この底面部の周縁部にそれぞれ配された第一乃至第四の各側壁部と、第一の側壁部において前記底面部と対向する位置の縁部に配された第一のフラップと、第一の側壁部において前記第二の側壁部側の縁部に配された第二の側壁連結片と、第一の側壁部において前記第四の側壁部側の縁部に配された第四の側壁連結片と、前記底面部を介して前記第一の側壁部と対向する位置に配された第三の側壁部において前記底面部と対向する位置の縁部に配された第二のフラップと、第三の側壁部において前記第二の側壁部側の縁部に配された第二の側壁連結片と、第三の側壁部において前記第四の側壁部側の縁部に配された第四の側壁連結片と、を備え、
前記第一のフラップは、折り曲げて商品収容領域の上面及び前面を覆う上面被覆部及び正面被覆部とから構成され、正面被覆部は、対向する位置の縁部に第一の蓋体固定片をそれぞれ有し、
前記第二のフラップは、商品収容領域に向かって折り曲げた際、前記底面部との間に商品を収容するための空間を形成する脚部を、前記第三の側壁部と接する縁部を除く残りの縁部に有し、
前記第二の側壁部は、前記第一の側壁部側の第二の側壁連結片、及び前記第三の側壁部側の第二の側壁連結片を内包するように挟み込む、二つ折り可能な内側側壁及び外側側壁とから構成され、
前記第四の側壁部は、前記第一の側壁部側の第四の側壁連結片、及び前記第三の側壁部側の第四の側壁連結片を内包するように挟み込む、二つ折り可能な内側側壁及び外側側壁とから構成され、
前記底面部の周縁を折り曲げて立設した前記第一乃至第四の各側壁部によって形成された筒状空間を商品収容領域とし、前記第一の側壁部の上端から連続して延びる前記第一のフラップを折り曲げることにより第一の蓋体を形成すると共に、この第一の蓋体によって覆われる空間を第一の商品収容区域とし、
一方、前記第三の側壁部の上端の一部に、この端縁から底面に向かって途中まで伸びる切込みを一対設け、これら切込みの間の前記第三の側壁部の上端から連続して延びる前記第二のフラップと共に、前記切込みの間の前記第三の側壁部を前記第一の商品収容区域に向かって折り曲げることにより第二の蓋体を形成し、この第二の蓋体によって覆われる空間を第二の商品収容区域とすると共に、前記第二の蓋体の閉蓋状態において前記第三の側壁部の一部に前記第一の商品収容区域の側面を露呈させる開口部を形成し、
前記第一の蓋体を開蓋して前記第一の商品収容区域内に収容された商品を取り出した後、前記第二の蓋体が開蓋可能となるようにしたことを特徴とする包装用容器。
【請求項4】
第二の蓋体は、第二の商品収容区域に収容された商品を僅かに露呈させる切欠部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の包装用容器。
【請求項5】
第二の蓋体は、切開可能な切れ目線を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の包装用容器。
【請求項6】
第二の蓋体は、メッセージ表示部を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の包装用容器。
【請求項7】
第一の商品収容区域は、第二の蓋体を介して第二の商品収容区域上に積み重ねることが可能な1又は2以上のトレイ状収容体を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の包装用容器。
【請求項8】
トレイ状収容体は、背面に、起立状態で保持することが可能な商品陳列部材を備えることを特徴とする請求項7に記載の包装用容器。
【請求項9】
前記開口部は、その間隔が前記第一の商品収容区域に収容されるトレイ状収容体の幅よりも狭いことを特徴とする請求項7又は8に記載の包装用容器。
【請求項10】
前記第一の蓋体の開蓋を抑制する帯封が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−18492(P2013−18492A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150546(P2011−150546)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(594002842)株式会社シモジマ (4)
【Fターム(参考)】