説明

包装用箱

【課題】上フラップと下フラップとを接着手段を用いず連結するとともに、箱端部側に異物が入り込む隙間を生じさせないようにし、不正開封を防止し液漏れを生じさせない。
【解決手段】上フラップ12により下フラップ8と二つ折りフラップを箱内方側への押し込みし、二つ折りフラップの中折れ側とは反対側の端部同士が密に接してなる折り部集合部27を形成し、下フラップ8の上辺の端部と二つ折りフラップの上辺の中折れ側とは反対側の端部とが集合して端部集合部を形成し、上フラップ12の折り元部分の両側辺が、端部集合部に密に接してこの端部集合部を覆った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装用箱、特に調理済み食品を収容した状態で電子レンジによって食品を加熱できるようにした紙製の包装用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から調理済みのフライドポテトやチキンナゲットなどのように電子レンジにて加熱調理するだけで食することができるようにした食品が多く流通している。そして、これらの食品を包装用箱に収容した状態で冷凍食品として提供し、その包装用箱に前記食品を収容したまま電子レンジにて加熱調理できるようにした製品があり、スーパーマーケットなどでの冷蔵ショーケースに並べた販売形態とすることが多い。
このように冷凍食品を収容する紙製の包装用箱は一般的な紙箱と同様に一枚のブランクを組み起こしてなる箱が採用されている。この箱は、上面板と背面板と底面板と正面板とが折り部を介して連接されて箱胴体とし、その箱胴体の両端部を閉鎖するためのフラップが箱胴体端部側の辺に折り部を介して連接されていて、例えば、正面板と背面板との箱胴体端部側に連接の内フラップを折り、底面板の箱胴体端部側に連接の下フラップを折り起こして前記内フラップに重ね、さらに上面板の箱胴体端部側に連接の上フラップを折り倒して前記下フラップに重ね、その上フラップと下フラップとを接着剤を介して貼り合わせるようにしていた。
【0003】
また、上記包装用箱では上フラップと下フラップとを接着剤を用いて貼り合わせているが、冷凍商品の製造ラインの合理化などを図る上で接着工程を省き、接着剤を用いることなく閉鎖できるものも要望されている。
このような要望に応じる紙製箱としては、特許文献1に示されているように箱胴体の端部に位置する下フラップの折り元部分にスリットを設けるとともに、上フラップに係止片を突出するようにして設け、下フラップに上フラップを重ねるときに前記係止片をスリットに差し込み、差し込んだ係止片の端部をスリットの端部に抜き差し可能に係止させることで上フラップを下フラップに固定した構造のものが従来から存在している。また、特許文献2に示されているように、上フラップの中央部分に、下フラップの上部に位置する係止片が差し入れることのできる長孔を設け、この上フラップに側フラップを重ね、さらにこの側フラップに重ねて押さえ込みながら下フラップの係止片を長孔に差し入れて抜き差し可能にして係止させるものが提案されている。
【特許文献1】公開実用昭和61−053313号
【特許文献2】特開実用昭和61−161212号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冷凍食品は、冷蔵ショーケースに並べて顧客が自由に商品を手で取ることができるようにした販売形態であるため、つぎの不都合がある。即ち、接着剤を用いずに上フラップや下フラップの一方のフラップに係止片を設け、他方のフラップに前記係止片を差し入れて係止させて箱胴体の両端部を閉鎖する通常の紙箱を、冷凍食品を収容する容器として用いると、係止片をスリットや長孔から引き抜き、そして再び係止片を差し戻すなどのいたずらや不正な開封を防止できないという問題がある。
【0005】
正規の開封手順以外での係止片の引き抜きを困難にして開封痕跡が残るようにした構造を有する紙箱としては、例えば特開2005−008262号公報に示されているように、係止片を二つ折りして折り返し部分を箱内面に係止させる工夫が提案されている。しかしながら、この技術は、箱の開閉蓋に対する不正開封を防止するものであるため、単に箱胴体の端部を閉鎖する構造部分にこの構成を採用すると、正規の商品購入者が誤って箱胴体の端部を開いてしまう可能性がある。
このような理由から接着工程を省く合理化が実施できないのが現状となっている。
【0006】
一方、箱に収容する食品が、調理済みのフライドポテトやチキンナゲットなどで固形の食品で電子レンジ加熱時に液体や流動物とならない食品であっても、その電子レンジ加熱調理時に調味液、肉汁、油などが食品から生じて底面板上に溜まり易い。そして、上述したような底面板の四方の辺それぞれに独立して面板やフラップが折り上げられる構造では底面板のコーナーに小さな孔(隙間)ができており、この孔から箱外に調味液などが流れ出る可能性があり、これを防ぐ必要がある。
そのため、上記紙製の包装用箱は、ブランクの形態において底面板の四辺それぞれに折り部を介して箱四方の側面となる面材を連接するとともに、隣り合う面材の端部の間に亘る二つ折りフラップを折り部を介して連接していて、折り込みフラップそれぞれを面材の内面側に重なるように折り込みながら底面板四方の面材を折り上げた構造とし、これによって底面板のコーナーに外部に直接通じる小さな孔が生じないようにしている。
【0007】
しかしながら、上述したように底面板の四辺に箱四方の側面となる面材を連接し、さらに隣り合う面材の間に亘って折り込みフラップを連接し、その折り込みフラップを、対向する一組の面材それぞれの内面に重ねるように折り込んだ場合、以下の問題がある。この点を図1に基づいて説明する。
図中1は上記電子レンジ加熱調理用として調理済みの食品(図示せず)を収容した紙製の包装用箱である。この包装用箱1では上面板2と背面板3と底面板4と正面板5とが折り部6を介して連接され、また、上面板2においてこの上面板2と背面板3の間の前記折り部6とは反対側の辺に折り部6を介して糊代板7が連接され、この糊代板7を正面板5の上部側の外面に接合して箱胴体を形成している。
【0008】
箱胴体の両端部それぞれはつぎの面材によって閉鎖されている。底面板4の箱胴体端部側の辺それぞれに折り部6を介して下フラップ8が連接されて、この下フラップ8が折り起こされている。背面板3の箱胴体端部側の辺と前記下フラップ8の背面板3側の辺との間、また、正面板5の箱胴体端部側の辺と下フラップ8の正面板5側の辺との間に亘って折り部6を介して折り込みフラップ9が連接されている。この折り込みフラップ9は、背面板3側と正面板5側に位置する内フラップ部10と下フラップ8側に位置する小片フラップ部11とが、底面板4の隅部から45度の角度で延びる折り部6を介して連接してなるものであり、前記内フラップ部10にあっては背面板3や正面板5側の折り部全長に亘って連続し、前記小片フラップ部11にあっては下フラップ8の折り元側の辺のみに連続する小さい面材としている。そして、下フラップ8の折り起こしに伴なって、折り込みフラップ9が内フラップ部10と小片フラップ部11の間の折り部6で中折れして下フラップ8の内面側に折り重ねられている。なお、図1においては説明を容易にするため、箱胴体端部を開いた状態で示している。
【0009】
上面板2の箱胴体端部側の辺それぞれに折り部6を介して上フラップ12が連接されて、この上フラップ12が折り倒されて下フラップ8に重ねることで、箱胴体の両方の端部が閉鎖される。図示したこの例では上フラップ12を下フラップ8に重ね合わせて止める手段として接着剤を用いる。
【0010】
このように包装用箱1の箱胴体の両方の端部を閉鎖するときに上記折り込みフラップ9を折り畳むようにして折り込んでいるため、底面板4の四隅には小さい孔が生じることはない。
しかしながら、折り起こした下フラップ8と折り倒された上フラップ12とのそれぞれには元の展開状態に戻ろうとする抗力が生じていて、上フラップ12を下フラップ8に重ね合わせて確実に貼り合わせた後においても、図2に示すように下フラップ8と上フラップ12とが共に撓んで下フラップ8と上記内フラップ部10との間が離れて、箱の四隅に箱高さ方向に亘って隙間Aが開いてしまうという不都合があり、開いた隙間から微小の虫が箱内に混入する可能性を無くすことができないものであった。
【0011】
この点、接着剤の貼り合わせをせずに上フラップを下フラップに対してきつく係合させて上フラップと下フラップとを強固に連結させるようにすれば、上フラップと下フラップとの撓みが多少改善される可能性がある。
しかし、折り込みフラップの小片フラップ部が小さいものであるため、下フラップと折り込みフラップの内フラップ部との隙間を埋めることができない。仮に前記小片フラップ部を内フラップ部と同じ高さ寸法のものにして、下フラップと折り込みフラップの内フラップ部との隙間を埋めようとすると、折り込まれている折り込みフラップの上辺の部分において面材の重なり枚数が多くなって厚さが増し、上フラップの折り元部分と下フラップの上辺との間に孔状の隙間が生じるという問題が発生する。
【0012】
そこで本発明は上記事情に鑑み、上記上フラップと下フラップとを接着手段を用いず連結する製函の箱であって、箱端部側に微小虫が入り込む隙間を生じさせないようにすることを課題とし、不正開封を防止し液漏れを生じさせない包装用箱を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、上面板と背面板と底面板と正面板とが折り部を介して連接され、前記上面板の折り部とは反対側の辺に折り部を介して連接された糊代板を正面板の外面に接合して箱胴体を形成し、前記底面板の箱胴体端部側の辺それぞれに折り部を介して下フラップが連接されて、この下フラップが折り起こされているとともに、前記背面板と正面板との箱胴体端部側の辺それぞれと前記下フラップの端部側の辺との間に折り部を介して二つ折りフラップが連接され、この二つ折りフラップを中折りして下フラップの内面側に折り重ねられ、前記上面板の箱胴体端部側の辺それぞれに折り部を介して上フラップが連接されて、この上フラップが折り倒されて前記下フラップに重ねられて箱胴体の両方の端部が閉鎖されている包装用箱において、前記二つ折りフラップそれぞれは、該二つ折りフラップの中心位置にある折り部を介して連接している下フラップ側の三角面板と箱内方側の三角面板との二つの三角面板からなり、前記二つ折りフラップの箱内方側の三角面板の上辺と下フラップ側の三角面板の上辺と下フラップの上辺とが、上フラップの折り部側に対応位置し、前記二つ折りフラップの少なくとも下フラップ側の三角面板それぞれの箱高さ寸法を下フラップの箱高さ寸法より大寸にして、下フラップ側の三角面板それぞれの上辺が、上面板と上フラップとの間の折り部に折り部端縁から折り部長さ方向に沿って付勢状態で当接し、前記上フラップは、この上フラップの折り部側に、この折り部長さを幅にして箱高さ方向下方に延設されて両側辺が下フラップと二つ折りフラップとの間の折り部に沿って直線状に垂下している幅広部を有するとともに、上フラップの下部に、下フラップに設けたスリットに差し入れる係止片を有し、前記係止片には、両端に折り部を介して係止片内面に折り重ね可能にして爪部が連接されていて、係止片内面に爪部を折り重ねた係止片が前記スリットに挿入され、係止片内面から箱内方側に爪部が展開してスリット長さより幅広とされた係止片が前記スリットに抜き取り不能に係止し、前記係止片のスリットに対する前記係止と前記下フラップ側三角面板の上辺の折り部に対する前記当接とで上フラップが箱上下方向に緊張され、緊張した上フラップによる下フラップと二つ折りフラップとの箱内方側への押し込みにより、二つ折りフラップの中折れ側とは反対側の端部同士が密に接してなる折り部集合部が形成され、かつ下フラップの上辺の端部と二つ折りフラップの上辺の中折れ側とは反対側の端部とが集合して端部集合部が形成され、前記幅広部の両側辺が、前記端部集合部に密に接して覆っていることを特徴とする包装用箱であり、この包装用箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0014】
そして本発明において、上記箱胴体は微小虫の侵入が不能に閉じられていることが良好である。
【0015】
また、本発明において、上記下フラップのスリットは、該下フラップの中央に位置していることが良好である。
【0016】
また、本発明において、上記下フラップのスリットには、該スリットの上辺部を分割する縦のスリットが連続し、係止片内面に爪部を折り重ねた係止片の挿入したときに前記スリットの上辺部が箱内方に向けて撓み変形可能に設けられていることが良好である。
【0017】
また、本発明において、上記糊代板から上面板にかけて、板材を貫通しない切取部で仕切られた蓋部を有し、該蓋部の糊代板領域部分が正面板に剥離可能に貼り合わされていて、前記蓋部の糊代板領域部分から引き起こしによる切取部の切断で蓋部が開く構成とすることが良好である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、二つ折りフラップの下フラップ側の三角面板が上フラップの折り部に当接し、かつ下フラップに上フラップが係止して、上フラップを緊張状態にし、その緊張により上フラップが下フラップと二つ折りフラップとを箱内部側に押し付けて、二つ折りフラップの端部相互を密に接しさせて集合させているので、箱胴体の端部側に箱高さ方向に亘る隙間が生じない。
また、上フラップの折り元側である幅広部が、下フラップ上辺の端部と二つ折りフラップの上辺の中折れ側とは反対側の端部とが集合した端部集合部に密に接して覆っているので、上フラップの折り元の端部側にも小さな孔状の隙間は発生しない。そのため、外部からの異物の侵入を防止できる。
さらに、上フラップを下フラップに対して係止させているので、上フラップと下フラップとの連結を接着装置などを用いることなく手操作で行なえる。
【0019】
そして、請求項2の発明によれば、箱胴体が微小虫の侵入が不能に閉じられているので、内部に収容した食品を衛生的に維持することができる。
【0020】
また、請求項3の発明によれば、係止片の差し入れに際しスリットの位置が分かり易くなる。
【0021】
請求項4の発明によれば、係止片内面に爪部を折り重ねた係止片がスリットに対して簡単に差し入れることができ、手操作での製函が簡単になる。よって、箱胴体端部の閉鎖がより確実になる。
【0022】
請求項5の発明によれば、加熱調理をした後に簡単に開封することができる。また、糊代板と正面板とに亘って蓋部が設けられていて、箱胴体端部の構造に影響を与えることない広い蓋部を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
つぎに本発明を図3から図8に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、図1と図2に示す従来の例を構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。
本発明の包装用箱1においては、図3から図5で示すように、背面板3の箱胴体端部側の辺と下フラップ8の端部側の辺(下フラップの折り元部分の長手方向で対向する辺で、背面板側の辺)との間、また、正面板5の箱胴体端部側の辺と下フラップ8の端部側の辺(同じく下フラップの折り元部分の長手方向で対向する辺で、正面板側の辺)との間に折り部6を介して二つ折りフラップ13を連接している。この二つ折りフラップ13は、箱の内方側に折り込めるように底面板4の隅から該二つ折りフラップ13の中央を通る中心に折り部6が位置し、この中央の折り部6を介して連接している二つの三角面板14、15からなるものであり、背面板3に連接している二つ折りフラップ13では、下フラップ8側の三角面板14と、箱内方の面板であって背面板3に連接する三角面板15とからなり、正面板5に連接している二つ折りフラップ13では、下フラップ8側の三角面板14と箱内方の面板であって正面板5に連接する三角面板15とからなる。
【0024】
底面板4の四辺の折り部6に連接されている背面板3、正面板5、下フラップ8での箱高さ方向での寸法は同一である。これに対して前記二つ折りフラップ13において下フラップ8側の三角面板14それぞれの箱高さ方向での寸法H1が下フラップの箱高さ方向での寸法H2より大寸にしている。即ち、下フラップ8側の三角面板14は箱胴体端部開口の箱高さ方向での内寸より大寸とされていて、この大寸とすることで下フラップ側の三角面板14それぞれの上辺に亘って突き当て辺16が設けられている。
また、ブランクで示すように、正面板5側の二つ折りフラップ13においては、その正面板5に連続する三角面板15についても箱高さ方向の寸法がH1としていて、この正面板5側の三角面板15の上辺に亘っても突き当て辺16が設けられている。
【0025】
上述したように二つ折りフラップ13での下フラップ8側の三角面板14を下フラップ8より大寸(箱胴体端部開口の箱高さ方向での内寸より大寸)にして設けられていることから、上辺の突き当て辺16が、上面板2と上フラップ12との間の折り部6(箱胴体端部での上縁部分)にその折り部6の折り部端縁から折り部長さ方向に沿って付勢状態で当接している(図6、図7)。なお、下フラップ8の箱高さ方向の寸法H2との差は約0.5mm程度であり、当接しても箱胴体端部の形状を変形させない範囲で大寸としている。
本発明の包装用箱1では、従来の例と同じように背面板3、正面板5、下フラップ8が折り起こされ、上記二つ折りフラップ13も下フラップ8の内面側に重なるようにして箱内方に折り込まれている。この折り込みの状態において、上フラップ12の折り元側の上記折り部6に付勢状態にして当接する突き当て辺16に対して下フラップ8の上辺17は箱高さ方向において下位の位置になり、突き当て辺16と位置が下位の前記下フラップ8の上辺17とで、微小段差にして上フラップ12の折り元側の折り部6の曲がり方向に傾斜した傾斜部18が形成されている(図7)。そのため、前記傾斜部18は上フラップ12の折り元に対応位置していて、後述するように上フラップ12の折り元の部分が前記傾斜部18を強く押して傾斜部18と上フラップ12との間に孔状の隙間も生じさせないようにしている。
なお、突き当て辺16自体は微小ながら変形するものであり、突き当て辺16が二つの三角面板の上辺それぞれに形成されている正面板側の二つ折りフラップ13と、下フラップ側のみの三角面板の上辺に形成されている背面板側の二つ折りフラップ13のいずれにおいても、各三角面板の上辺が上フラップ12の折り元側の部分に密に接している。そのため、前記背面板側の二つ折りフラップ13の箱内方側の三角面板15の上辺には突き当て辺が形成されていないが、この三角面板の上辺も上フラップの折り元部分に密に接していて、孔状の隙間を生じさせていない。
【0026】
上記上フラップ12は折り部6の端部それぞれの位置から側辺が中心側に向くように傾斜しているものではなく、上フラップ12の上記折り元に、折り部長さを幅にして箱高さ方向下方に延設された幅広部19を有している。
そして、このように折り元の部分を一定幅にして箱高さ方向下方に向けて延設してなる幅広部19の両側辺は、下フラップ8と二つ折りフラップ13との間の折り部6に沿って直線状に垂下し、下フラップ8と二つ折りフラップ13との間の前記折り部6の上部側である上記傾斜部18の端部、および箱内方側の三角面板15の上辺の中折れ側の端部とは反対側の端部を覆う押さえ面部20を有している。
即ち、上フラップ12の幅一定の折り元の部分は、下フラップ8の上辺と二つ折りフラップ13の下フラップ側三角面板14の上辺(傾斜部18)、及び箱内方側の三角面板15の上辺を覆っていることから、折り元の両端部それぞれの押さえ面部20は傾斜部18の端部と箱内方側の三角面板15の上辺の前記端部と確実に覆っている。
また、上フラップ12の下部には、下フラップ8の中央に設けた後述のスリット21に差し入れる係止片22が設けられていて、上フラップ12を下フラップ8に係合させている。このように中央にスリット21があるため、係止片22の差し入れに際しそのスリット21自体が見付け易い。
【0027】
上記係止片22には、箱高さ方向に直交する方向で相対する両端に折り部6を介して係止片内面に折り重ね可能にして爪部23が連接されている。そして、係止片22は、係止片内面に前記爪部23を折り重ねて上記スリット21に挿入されるものであり、係止片内面から箱胴体内側に爪部23が展開してスリット長さより幅広とされた係止片22がスリット21に抜き取り不能に係止している。
係止片22が係止するスリット21は下フラップ8の幅方向に線状にした切り込みからなるものであり、両端部が箱高さ方向での上方に向けて湾曲した線部として形成されている。スリット21の端部が上方に湾曲しているので、このスリット21を間にして分けられた上辺部24と下辺部25との内、上辺部24にたわみ性が付与されている。
さらに、前記上辺部24は、スリット21に連続して上辺部24を分割する縦のスリット26が連続し、上述したように係止片内面に爪部23を折り重ねた係止片22の挿入したときに分割された左右の上辺部24それぞれが独立して箱内方に向けて撓み変形可能に設けられていて、爪部23を折り畳んで厚みを増した係止片22が挿入し易く設けられている。
【0028】
上述したように二つ折りフラップ13の下フラップ8側の三角面板14の上辺に亘って位置する突き当て辺16が上フラップ12の折り元側の折り部6に付勢状態で当接し、また、上フラップ12の下部にある係止片22がスリット21に係止することで、この上フラップ12が箱上下方向に緊張するように設けられている。そして、箱上下方向で緊張している上フラップ12には引っ張り力に抗する抗力によって箱内方に向けて押す力が生じており、下フラップ8とこの下フラップ8の内面側で折り込まれている二つ折りフラップ13とを箱内方に向けて押し付けるようになり、この押し付けによって二つ折りフラップ13の二つの三角面板14、15は密に接し、二つ折りフラップ13の中折れ側とは反対側となる折り部6同士が密に接して折り部集合部27を形成していて、下フラップ8の端部と背面板3の端部の間や下フラップ8の端部と正面板5の端部の間も隙間なく閉じている(図8)。よって、それらの間からの微小虫の侵入を防止する。
【0029】
また、緊張する上フラップ12において折り元の幅広部19は、箱高さ方向下方に向けて引っ張られる状態となっており、上述したように幅広部19が傾斜部18および箱内方側三角面板15の上辺と密に接触してこれらを覆っている。この幅広部19の密な接触に加えて、上述したように上フラップ12によって下フラップ8と二つ折りフラップ13の箱内方へ押し込みを行なっているため、前記傾斜部18の端部(下フラップ8の上辺の端部と三角面部14の上辺の端部)と箱内方側の三角面板15の上辺の端部とを一点に集合させてなる端部集合部28を形成し、これを押さえ面部20で密にして覆っている(図8)。
このため、端部集合部28には小さな孔も生じておらず、この端部集合部28からの微小虫の侵入を防止できる。また、下フラップ8の上辺がその全長に亘って上フラップ12の幅広部19に密に接しているため、前記上フラップ12と下フラップ8とは密に密着して箱胴体端部を密封状態としており、両フラップの間に微小虫が入らず箱内部の侵入を確実に防止している。
【0030】
箱胴体端部それぞれが上記構成によって閉鎖されている包装用箱1においては開封して箱内部に収容した食品を取り出せるように蓋部29を備えている。上記糊代板7とこれに連接している上面板2との大半の部分をこの蓋部29としているものであって、図示されているように上面板2と背面板3との間の折り部6に一端が位置している切取部30が、上面板2の上フラップ12側の折り部6に寄った位置それぞれを通るように延ばされ、さらに上面板2と糊代板7との間の折り部6に対して斜めにそれぞれの切取部30が交差するように延び、糊代板7の下端に達するようにして配置されていて、この切取部30の間を蓋部29としている。
切取部30は上面板2及び糊代板7の板材を貫通しない深さで穿設されたミシン目や板材上面と内面とで位置ずらしした半切れ線などから形成されている。
蓋部29での糊代板領域部分31については正面板5に対して剥離性ワックスなどを介して貼り合わされており、この糊代板領域部分31を正面板5から剥ぎ起こしながら糊代板7での切取部30を切断し、さらに剥ぎ起こした糊代板領域部分31を上方に引き上げながら上面板2での切取部30を切断することで開封され、収容している食品を取り出すことできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来例を箱胴体端部を開いた状態で示す説明図である。
【図2】従来例において箱胴体端部に隙間が生じた状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る包装用箱の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の一例をを箱胴体端部を開いた状態で示す説明図である。
【図5】本発明の一例をブランクの展開状態で示す説明図である。
【図6】一例における閉じた箱胴体端部を上フラップの一部分を切り欠いて示す説明図である。
【図7】一例における閉じた箱胴体端部を断面で示す説明図である。
【図8】一例における上フラップの端部周りを示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1…包装用箱
2…上面板
3…背面板
4…底面板
5…正面板
6…折り部
7…糊代板
8…下フラップ
9…折り込みフラップ
12…上フラップ
13…二つ折りフラップ
14,15…三角面板
16…突き当て辺
18…傾斜部
19…幅広部
20…押さえ面部
21…スリット
22…係止片
23…爪部
24…スリットの上辺部
26…縦のスリット
27…折り部集合部
28…端部集合部
29…蓋部
30…切取部
A…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面板と背面板と底面板と正面板とが折り部を介して連接され、前記上面板の折り部とは反対側の辺に折り部を介して連接された糊代板を正面板の外面に接合して箱胴体を形成し、
前記底面板の箱胴体端部側の辺それぞれに折り部を介して下フラップが連接されて、この下フラップが折り起こされているとともに、前記背面板と正面板との箱胴体端部側の辺それぞれと前記下フラップの端部側の辺との間に折り部を介して二つ折りフラップが連接され、この二つ折りフラップを中折りして下フラップの内面側に折り重ねられ、前記上面板の箱胴体端部側の辺それぞれに折り部を介して上フラップが連接されて、この上フラップが折り倒されて前記下フラップに重ねられて箱胴体の両方の端部が閉鎖されている包装用箱において、
前記二つ折りフラップそれぞれは、該二つ折りフラップの中心位置にある折り部を介して連接している下フラップ側の三角面板と箱内方側の三角面板との二つの三角面板からなり、
前記二つ折りフラップの箱内方側の三角面板の上辺と下フラップ側の三角面板の上辺と下フラップの上辺とが、上フラップの折り部側に対応位置し、
前記二つ折りフラップの少なくとも下フラップ側の三角面板それぞれの箱高さ寸法を下フラップの箱高さ寸法より大寸にして、下フラップ側の三角面板それぞれの上辺が、上面板と上フラップとの間の折り部に折り部端縁から折り部長さ方向に沿って付勢状態で当接し、
前記上フラップは、この上フラップの折り部側に、この折り部長さを幅にして箱高さ方向下方に延設されて両側辺が下フラップと二つ折りフラップとの間の折り部に沿って直線状に垂下している幅広部を有するとともに、上フラップの下部に、下フラップに設けたスリットに差し入れる係止片を有し、
前記係止片には、両端に折り部を介して係止片内面に折り重ね可能にして爪部が連接されていて、係止片内面に爪部を折り重ねた係止片が前記スリットに挿入され、係止片内面から箱内方側に爪部が展開してスリット長さより幅広とされた係止片が前記スリットに抜き取り不能に係止し、
前記係止片のスリットに対する前記係止と前記下フラップ側三角面板の上辺の折り部に対する前記当接とで上フラップが箱上下方向に緊張され、緊張した上フラップによる下フラップと二つ折りフラップとの箱内方側への押し込みにより、二つ折りフラップの中折れ側とは反対側の端部同士が密に接してなる折り部集合部が形成され、かつ下フラップの上辺の端部と二つ折りフラップの上辺の中折れ側とは反対側の端部とが集合して端部集合部が形成され、
前記幅広部の両側辺が、前記端部集合部に密に接して覆っていることを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
上記箱胴体は微小虫の侵入が不能に閉じられている請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
上記下フラップのスリットは、該下フラップの中央に位置している請求項1または2に記載の包装用箱。
【請求項4】
上記下フラップのスリットには、該スリットの上辺部を分割する縦のスリットが連続し、係止片内面に爪部を折り重ねた係止片の挿入したときに前記スリットの上辺部が箱内方に向けて撓み変形可能に設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の包装用箱。
【請求項5】
上記糊代板から上面板にかけて、板材を貫通しない切取部で仕切られた蓋部を有し、該蓋部の糊代板領域部分が正面板に剥離可能に貼り合わされていて、前記蓋部の糊代板領域部分から引き起こしによる切取部の切断で蓋部が開く構成とした請求項1から4の何れか一項に記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−29458(P2009−29458A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194675(P2007−194675)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(591087264)イオン株式会社 (4)
【出願人】(592077165)アイク株式会社 (1)
【Fターム(参考)】