説明

包装箱

【課題】小型の商品と長尺物とを効率よく収納して確実に保護することができ、商品イメージを高められるようにする。
【解決手段】底壁1から起立する側壁2の上端に保持材5を連設し、この保持材5に、幅方向の中折線11を入れ、保持材5の中折線11に臨む部分を先端側へ切り抜いて、商品挿入口12を形成し、保持材5の中折線11より基端側を載置板13とすると共に、先端側を抑制板14とし、載置板13を側壁2との境界から斜め下方へ折り曲げ、抑制板14を中折線11に沿って上方へ折り返し、載置板13に載せて商品挿入口12に挿入した商品D,Dを、抑制板14により上方から抑えて保持するようにし、保持材5の下方にもポスターP等の収納空間を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク媒体等の小型商品を、ポスター等の長尺物と同梱するのに適した包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、インターネットを介して注文された音楽、映画、ゲーム等を記録するCD、DVD等のディスク媒体は、顧客に配送する際、下記特許文献1に記載されたように、ディスク媒体のパッケージが嵌合する保持材を備えた包装箱に収納される。この包装箱は、単一のディスク媒体にのみ対応する大きさ及び形状となっている。
【0003】
また、図9に示すように、ディスク媒体のパッケージである商品Dと共に、キャンペーン等で付録するポスターPを配送する際には、長面及び幅面の側壁51,52の下端及び上端にフラップ53,54を連設した段ボール製の細長い包装箱を使用する。
【0004】
この包装箱により商品D及びポスターPを包装するには、各一対の側壁51,52を角筒状にして周壁を形成した後、底面のフラップ54及び53を順次内側へ折り曲げ、フラップ53の突合部に封緘テープを貼り付ける。
【0005】
そして、商品Dを保護するため、気泡緩衝シートSで包み込んで箱内に収納し、これを箱内で動かないように粘着テープで箱の内面に固定し、その上に円筒状に巻いたポスターPを収納した後、天面のフラップ54及び53を順次内側へ折り曲げ、フラップ53の突合部に封緘テープを貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−41528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図9に示す包装箱で包装すると、箱の内部に無駄な空間が大きく生じ、天面のフラップが落ち込んでポスターが潰れたり、封緘テープが長手方向の中央部分で剥がれたりして、商品イメージが損なわれるおそれがあった。
【0008】
そこで、この発明は、小型の商品と長尺物とを効率よく収納して確実に保護することができ、商品イメージを高められるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明に係る包装箱では、底壁から起立する側壁の上端に保持材を連設し、この保持材に、幅方向の中折線を入れ、保持材の中折線に臨む部分を先端側へ切り抜いて、商品挿入口を形成し、保持材の中折線より基端側を載置板とすると共に、先端側を抑制板とし、載置板を側壁との境界から斜め下方へ折り曲げ、抑制板を中折線に沿って上方へ折り返し、載置板に載せて商品挿入口に挿入した商品を、抑制板により上方から抑えて保持するようにし、保持材の下方にも収納空間を確保したのである。
【0010】
また、前記保持材に、中折線より先端側に位置して中折線に並行する先折線を入れ、抑制板の先折線より先端側を切替板部とし、切替板部から商品挿入口に向けて側止片を突設し、切替板部を先折線に沿って折り曲げた状態では、側止片が逃がされて商品挿入口が広幅状態となり、切替板部を折り曲げない状態では、側止片で規制されて商品挿入口が狭幅状態となるようにしたのである。
【0011】
さらに、前記保持材に、商品挿入口を横に並べて複数設けると共に、抑制板の切替板部を、商品挿入口に対応して、切目を介し複数設けたのである。
【0012】
また、前記保持材に、載置板から抑制板への切込により、抑制板の折り返しに伴い、載置板から商品挿入口の下方へ突出する支持片を設けたのである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る包装箱では、緩衝シート等の包装材料を別途使用することなく、ディスク媒体等の商品を確実に保持して緩衝することができ、保持材の下方にポスター等の長尺物を収納できるので、箱内空間を効率よく使用して、外形寸法をコンパクトなものとすることができ、包装の質感も向上し、商品イメージを高めることができる。
【0014】
また、保持材の切替板部を折り曲げるか否か選択することにより、寸法の異なる商品をそれぞれ確実に保持できる。
【0015】
また、商品挿入口及び切替板部を複数設けることにより、寸法の異なる商品を混在させて包装することもできる。
【0016】
さらに、載置板から商品挿入口の下方へ突出する支持片を設けると、商品挿入口に挿入した商品の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクを示す図
【図2】同上の包装時の開蓋状態を示す斜視図
【図3】同上の包装時の閉蓋状態を示す斜視図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図3のV−V線に沿った断面図
【図6】同上の保持材の跳上状態を示す斜視図
【図7】この発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す図
【図8】同上の包装時の開蓋状態を示す斜視図
【図9】従来の包装箱の包装時の開蓋状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、この発明の第1実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
【0019】
この包装箱は、図1に示す段ボール製のブランクから形成される。このブランクでは、底壁1の前後端にそれぞれ側壁2,3が連設され、底壁1の両側端に端板4が連設されている。側壁2,3の先端には、それぞれ保持材5及び蓋6が連設されている。
【0020】
側壁2,3の両側端には、折曲片7が連設され、端板4の先端には蓋受片8が連設されている。各折曲片7の下側には噛合切込7aが形成され、側壁3から延びる折曲片7の上側には、係合突起7bが設けられている。蓋受片8には、端板4との境界に沿って係合穴8aが設けられている。
【0021】
保持材5には、幅方向に延びる押罫と切目から成る中折線11が入れられ、保持材5の中折線11に臨む部分を先端側へ切り抜いて、商品挿入口12が横に並べて2個形成されている。保持材5の中折線11より基端側は、載置板13とされ、中折線11より先端側は、抑制板14とされている。
【0022】
また、保持材5には、中折線11より先端側に位置して中折線11に並行し、押罫と切目から成る先折線15が入れられ、抑制板14の先折線15より先端側は、切替板部16とされ、切替板部16から商品挿入口に向けて側止片17が突設されている。切替板部16は、商品挿入口12に対応して、切目を介し2個設けられている。
【0023】
さらに、保持材5には、商品挿入口12から先端側へ切り込むことにより、商品挿入口に連通する指入部18が形成されると共に、載置板13から突出する支持片19が形成されている。
【0024】
蓋6には、側壁3から延びる蓋板20の前端に蓋前板21が連設され、蓋板20の両側端に蓋側板22が連設されている。蓋前板21の先端には、頂板23及び重合板24が順次連設され、蓋側板22の前端には抱持片25が、抱持片25の内側には蓋重片26がそれぞれ連設されている。
【0025】
重合板24の先端縁には、両側部に係合突起24aが設けられ、中央部に解体用の指掛凹部24bが設けられている。蓋重片26には、抱持片25との境界に沿って係合穴26aが設けられている。
【0026】
上記のようなブランクを組み立てて、図2乃至図5に示すように、DVDのパッケージである商品Dと、これより小さいCDのパッケージである商品Dと、円筒状に巻いたポスターPとを包装する際には、底壁1から側壁2,3を起立させ、折曲片7の噛合切込7a同士を噛み合わせて、側壁2,3の起立状態を維持する。
【0027】
また、蓋板20から蓋側板22を起立させ、抱持片25を内側へ折り曲げつつ、蓋重片26を蓋板20に重ね、蓋前板21を起立させ、頂板23及び重合板24を内側へ折り込んで、蓋前板21と重合板24との間に抱持片25を挟み、係合突起24aを係合穴26aに係合させて、蓋6を保形する。
【0028】
次に、ポスターPを底壁1に置き、載置板13を側壁2との境界から斜め下方へ折り曲げ、保持材5の下方に形成された収納空間にポスターPを収納する。
【0029】
そして、抑制板14を中折線11に沿って上方へ折り返し、一方の切替板部16を先折線15に沿って折り返すことにより、側止片17を逃がして、広幅状態となった商品挿入口12に商品Dを挿入し、他方の切替板部16は折り曲げることなく、側止片17で規制されて狭幅状態となった商品挿入口12に商品Dを挿入する。
【0030】
このとき、商品D,Dは、載置板13及び支持片19により下方から支持され、抑制板14により上方から抑えられて、箱内で飛び上がらないように保持されると共に、商品挿入口12の側縁又は側止片17により、側方への移動も阻止される。
【0031】
その後、底壁1から端板4を起立させ、蓋受片8を内側へ折り曲げ、係合突起7bを係合穴8aに係合させて、端板4の起立状態を維持し、図3乃至図5に示すように、蓋6を閉じると、包装が完了する。
【0032】
一方、この包装箱から内容物を取り出す際には、図2に示すように、蓋6を開き、指入部18に指を入れて、商品D,Dを上方へ押すことにより、商品挿入口12から容易に取り出すことができる。そして、図6に示すように、保持材5を跳ね上げると、ポスターPを取り出すことができる。
【0033】
上記のような包装箱では、緩衝シート等の包装材料を別途使用することなく、ディスク媒体の商品D,Dを確実に保持して緩衝することができ、保持材5の下方に長尺のポスターPを収納できるので、箱内空間を効率よく使用して、外形寸法をコンパクトなものとすることができ、包装の質感も向上し、商品イメージを高めることができる。
【0034】
また、保持材5の切替板部16を折り曲げるか否か選択することにより、寸法の異なる商品D,Dをそれぞれ確実に保持できる。
【0035】
また、商品挿入口12及び切替板部16を複数設けたので、寸法の異なる商品D,Dを混在させて包装することができる。もちろん、切替板部16の折曲状態を揃えることにより、商品D,Dのいずれかを複数包装することもできる。
【0036】
さらに、従来の包装箱のように、ブランクが横長にならないので、材料の段ボールを効率的に使用して、段ボールの使用量を削減することができる。
【0037】
次に、この発明の第2実施形態を図7乃至図8に基づいて説明する。
【0038】
この包装箱の上記第1実施形態との相違点は、蓋受片8に代えて、端板4の上端に順次連設した頂板9及び重合板10を内側へ巻き込むように折り曲げ、端板4と重合板10の間に折曲片7を挟み込み、重合板10の先端の係合突起10aを、底壁1の係合穴1aに係合させることにより、端板4の起立状態を維持することにある。
【0039】
このように、端板4と重合板10とで折曲片7を挟み込む額縁構造とすると、組立状態での剛性が向上するほか、蓋6を開いても、端板4が外側へ倒れることがない。
【0040】
なお、上記各実施形態では、商品Dの商品挿入口12への挿入に際し、一方の切替板部16を側壁2の方向へ折り返すことにより、側止片17を逃がして、商品挿入口12を広幅状態としているが、この切替板部16を側壁3の方向へ折り曲げて、側止片17を逃がし、商品挿入口12を広幅状態として、商品Dを商品挿入口12へ挿入してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 底壁
1a 係合穴
2,3 側壁
4 端板
5 保持材
6 蓋
7 折曲片
7a 噛合切込
7b 係合突起
8 蓋受片
8a 係合穴
9 頂板
10 重合板
10a 係合突起
11 中折線
12 商品挿入口
13 載置板
14 抑制板
15 先折線
16 切替板部
17 側止片
18 指入部
19 支持片
20 蓋板
21 蓋前板
22 蓋側板
23 頂板
24 重合板
24a 係合突起
24b 指掛凹部
25 抱持片
26 蓋重片
26a 係合穴
,D 商品
P ポスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(1)から起立する側壁(2)の上端に保持材(5)を連設し、この保持材(5)に、幅方向の中折線(11)を入れ、保持材(5)の中折線(11)に臨む部分を先端側へ切り抜いて、商品挿入口(12)を形成し、保持材(5)の中折線(11)より基端側を載置板(13)とすると共に、先端側を抑制板(14)とし、載置板(13)を側壁(2)との境界から斜め下方へ折り曲げ、抑制板(14)を中折線(11)に沿って上方へ折り返し、載置板(13)に載せて商品挿入口(12)に挿入した商品を、抑制板(14)により上方から抑えて保持するようにし、保持材(5)の下方にも収納空間を確保した包装箱。
【請求項2】
前記保持材(5)に、中折線(11)より先端側に位置して中折線(11)に並行する先折線(15)を入れ、抑制板(14)の先折線(15)より先端側を切替板部(16)とし、切替板部(16)から商品挿入口(12)に向けて側止片(17)を突設し、切替板部(16)を先折線(15)に沿って折り曲げた状態では、側止片(17)が逃がされて商品挿入口(12)が広幅状態となり、切替板部(16)を折り曲げない状態では、側止片(17)で規制されて商品挿入口(12)が狭幅状態となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記保持材(5)に、商品挿入口(12)を横に並べて複数設けると共に、抑制板(14)の切替板部(16)を、商品挿入口(12)に対応して、切目を介し複数設けたことを特徴とする請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記保持材(5)に、載置板(13)から抑制板(14)への切込により、抑制板(14)の折り返しに伴い、載置板(13)から商品挿入口(12)の下方へ突出する支持片(19)を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−25965(P2011−25965A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174171(P2009−174171)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】