説明

包装装置

【課題】包装装置全体の資材使用量を削減しつつ、落下外力に対する保護機能を確保することのできる包装装置を得る。
【解決手段】外側板9、内側板8、上板10、及びこれらに外接する折り返し部16、17、18とを有し、前記折り返し部16、17、18が壁構造を形成することにより、包装装置100Aの角部を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、略矩形枠体の一端側に枠外周に張り出す張出構造を有する、換気扇等の被包装物を包装するための包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、胴部の一端側に枠外周に張り出すフランジを有し、このフランジを抱き込むように化粧グリルが装着された換気扇等の機器の包装装置においては、「緩衝材質からなる板状体からなり、その底板の対向する辺からそれぞれ起立し内部に収納空間を形成する中央部側板と、それぞれの中央部側板の両側で、この中央部側板よりもより内側からこの中央部側板の高さとほぼ同じ高さに起立した外側部側板と、この中央部側板と外側部側板とのそれぞれの上縁に共通の上板をそれぞれ有し、この上板上に換気扇の一部を載置するようにした換気扇の包装装置において、上記上板の外側の端辺にこの上板の内側にくびれて少なくとも指の挿入しうる大きさの複数の凹部を設け、この凹部を形成する輪郭のうち少なくとも一部が、上記外側部側板の内側辺の延長線上に連なるよう直線で構成した」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実公平8−2156号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の包装装置では、緩衝保護機能が高く、外箱とともに換気扇を包装することで換気扇を良好な緩衝保護状態に保つことができる。緩衝保護機能は、製造工場から出荷されてから客先到着までの間に生じる輸送車の振動や荷役作業での落下などによる外力から被包装物である換気扇を保護する機能であり、より高い保護機能を確保するため、包装装置や外箱の素材となる段ボール等にも剛性のある素材を選定して使用していた。
【0005】
しかしながら、包装に要求される環境は厳しさを増してきており、過剰包装の削減、廃却しやすさ、リサイクル性の高さなどが強く要請され、包装の軽量化や簡易化を進める必要がある。同時に、輸送中に生じる外力からの被包装物保護に対する要求も高く、輸送中に受ける外力のうち、被包装物への影響の大きい落下外力による被包装物破損に対する保護性を向上させる必要もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、包装装置全体の資材使用量を削減しつつ、落下外力に対する保護機能を確保することのできる包装装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る包装装置においては、剛性のある板状紙材によって構成され、略矩形枠体の一端側に枠外周に張り出す張出構造を有する被包装物を包装する包装装置であって、底板と、前記底板の対向する辺からそれぞれ起立し内部に収納空間を形成する外側板と、それぞれの外側板の対面方向内側からこの外側板の高さとほぼ同じ高さに起立した内側板と、前記外側板と内側板のそれぞれの上縁にまたがる共通の上板と、前記底板と前記外側板と前記上板に外接する当接片部とを有し、前記当接片部は、前記底板と前記外側板と前記上板とに連なって壁構造を形成するとともに、底面と側面とによって形成される角部を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明においては、当接片部により壁構造を設けることにより、包装装置の角部を構成した。このため、角方向のざくつ抗力を向上させることができ、被包装物の保護機能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る包装装置とこれに包装される被包装物、及び外箱との関係を示す分解斜視図、図2は包装装置を展開した状態を示す平面図、図3は包装装置の斜視図、図4は被包装物を包装した状態を示す一部断面による側面透視図である。なお、図4は、図3の矢印X1の方向から見た図である。
【0010】
図1に示すように、被包装物300は、略矩形枠体を有する胴部300bの一端側に、枠外周に張り出す張出構造部300aを有するものであり、図では模式化して表現している。本実施の形態1においては、段ボール紙等の剛性のある紙材から成る直方体の外箱200に、同じく段ボール紙等から成る包装装置100Aを収納し、この包装装置100Aに被包装物300を収納支持し、被包装物300の上に保護板201を乗せてから外箱200のフラップを閉じることにより、包装が行われる。
【0011】
図2に示すように、包装装置100Aは、一枚のシート1Aから構成され、シート1Aを折り曲げまたは切り起こして形成されている。
シート1Aには、実線で示す切断線2、13、19が形成されている。切断線2と切断線13とは、略同じ長さである。また、一点鎖線と破線で示す折線が形成されており、このうち一点鎖線の折線3、5、14はそれぞれ谷折り部、破線の折線4、6、12、15はそれぞれ山折り部となっている。
【0012】
包装装置100Aを組み立てる際には、破線の折線12に沿って山折りし、次いで一点鎖線の折線3、5、14に沿って谷折りし、さらに破線の折線4、6、15に沿って山折りする。このように組み立てることで、図3に示すように、底板7から起立する外側板9及び内側板8と、外側板9と内側板8とにまたがって形成された共通の上板10と、底板7、外側板9、上板10の外端部に連接される折返し部底板16、折返し部側板17、折返し部上板18(折返し部底板16、折返し部側板17、折返し部上板18が、本発明の当接片部に該当する)と、舌片11とが形成される。なお、折線5に沿って谷折りするときには、舌片11が底板7と同一平面を構成するよう、舌片11を押さえながら折る。
【0013】
図3において、外側板9と内側板8とは略同じ高さであり、上板10は略水平に形成されている。被包装物300を包装する際には、外側板9と内側板8とにより形成される空間に胴部300bが嵌め込まれ、上板10の上面に張出構造部300aが当接するように収納される。したがって、被包装物300を安定的に支持することができる。
【0014】
また、折線12に沿った折り曲げにより、折返し部底板16、折返し部側板17、折返し部上板18がそれぞれ形成されており、底板7、外側板9、上板10に対して部分的に二重壁構造を構成している。また、折返し部底板16、折返し部側板17、折返し部上板18により形成される壁構造は、包装装置100Aの角部を構成している。
【0015】
また、舌片11は、底板7と同一平面を構成するように形成されており、片側の辺につき2つずつ設けられている。舌片11と折返し部側板17とは、その外側端部同士が当接する位置に設けられている。
【0016】
以上のように構成した包装装置において、被包装物300を包装する手順について、図1〜図4を参照しながら説明する。なお、図4は、図3をX1方向から見たときの一部断面による側面透視図である。図4においては、被包装物300の外形形状を網掛けで、外箱200の切断面を平行斜線で示している。また、包装装置100Aは図3のX1方向から見た図を示している。
【0017】
図4において、まず外箱200の内フラップ200aと外フラップ200bを閉じて外箱200の底面を形成し粘着テープ等で底面を固定する。そして、外箱200の天面を開放した状態で、前述の通り組み立てた包装装置100Aを外箱200内に収納する。このとき、上板10の外周端及び舌片11の先端部は、外箱200の内側面に略当接しており、さらに、内側板8、折返し部側板17の外側端も外箱200の内側面に略当接している。したがって、外箱200の内側面の四面ともに包装装置100Aが当接しており、包装装置100Aが外箱200内で揺動するのを防ぐことができるようになっている。
【0018】
次に、被包装物300を包装装置100Aに収納する。被包装物300の胴部300bを、外側板9と内側板8で形成される収納空間に嵌め込み、張出構造部300aの下面を上板10に当接させて収納する。外側板9の内側表面は、胴部300bの外表面と沿接しているとともに、内側板8の収納空間内部方向の外端も、胴部300bの外表面と沿接している。したがって、包装装置100Aの収納空間内で、被包装物300を保持することができる。また、張出構造部300aの外周端と上板10の外周端との間には、適度な空間が形成されている。したがって、外界からの衝撃をこの空間によって吸収でき、被包装物300への衝撃伝播を緩和させることができる。
【0019】
次いで、被包装物300の上面を段ボール紙等による保護板201で覆い、外箱200の天面の内フラップ200cと外フラップ200dを閉じて封緘して包装完了状態となる。
【0020】
以上のように、本実施の形態1の包装装置によれば、外側板9と内側板8によって胴部300bの収納空間を設け、また、上板10によって張出構造部300aの載置構造を設けたので、被包装物300を安定的に支持することができる。また、折返し部側板17が張出構造部300aを下から支持するため、上板10の姿勢の維持が強化され、被包装物300の保持力がさらに向上する。
【0021】
また、折返し部底板16と折返し部側板17で形成されるL形壁構造によって角部を構成し、これを外箱200の内壁に当接させたので、外箱200の角部のざくつ抗力を増加させることができる。したがって、外箱200の角部のざくつ変形を抑制して被包装物との空間距離の維持に効果を発揮し、被包装物の変形不具合を防止することができる。このため、被包装物の質量が大きいものまで適用が拡大できる。このように被包装物の保護性能を向上させることができるため、素材となる段ボール紙等を軽量化して使用量削減を図っても、保護性能を維持することができる。
【0022】
また、折返し部側板17の外端と舌片11の外側端とが当接するようにして設けたので、折返し部底板16、17により形成されるL形壁構造の落下外力に対するざくつ変形抗力を向上させることができる。
【0023】
また、包装装置100Aは、平板状のシートから折り曲げまたは切り起こして形成したので、段ボール業者などから材料を輸送する際の輸送効率が良く、また、工場などで使用する際においても保管スペースを節約することができる。
【0024】
なお、底板7と折返し部底板16との当接部、外側板9と折返し部側板17との当接部、上板10と折返し部上板18との当接部については、接着等により固着してもよい。このようにすることで、各当接部の重合一体化が強固になり、ざくつ抗力を一層向上させることができる。
【0025】
また、上記説明では、舌片11を片側につき2つずつ設ける例について説明したが、舌片11の数は1つまたは3つ以上であってもよい。その際、片側につき舌片11を1つずつ設けた場合には、その外端部が折返し部側板17と接するように設ける。また、舌片11を片側につき3つ以上ずつ設けた場合には、最も外側に位置する2つの舌片11の外端部が折返し部側板17と接するように設ける。このようにすることで、折返し部底板16、17により形成されるL形壁構造の落下外力に対するざくつ変形抗力を向上させることができる。
【0026】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、一枚のシートを用いて折返し部底板16、17を設けることにより角部に壁構造を設けた場合の例について説明したが、本実施の形態2では、別部材を用いて角部に壁構造を設ける場合の例について説明する。
【0027】
図5は、包装装置を展開した状態を示す平面図、図6は包装装置の斜視図である。本実施の形態2では、上記実施の形態1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
図5において、本実施の形態2に係る包装装置は、(a)に示すシート1Bと、(b)に示す貼付板20とを貼り合わせることによって構成される。なお、シート1Bは左右対称の構成のため、図5(a)では右側のみ符号を付し、左側の符号を省略している。また、図5(b)では、二点鎖線にて、シート1Bを仮想的に示している。
【0028】
図5(a)は、一枚のシート1Bから構成され、実線で示す切断線2、19が形成されている。また、一点鎖線と破線で示す折線が形成されており、このうち一点鎖線の折線3、5はそれぞれ谷折り部、破線の折線4、6はそれぞれ山折り部となっている。
また、図5(b)は、略長方形の段ボール紙等の剛性のある紙材から成る2枚の貼付板20を示す。貼付板20は、一点鎖線で示す谷折りの折線21が形成されている。また、貼付板20は、接着剤等により図5(a)と固着するための接合部22(図5(b)網掛け部分)を有している。
【0029】
包装装置100Bを組み立てる際には、シート1Bの一点鎖線の折線3、5に沿って谷折りし、破線の折線4、6に沿って山折りすることで、図6に示すように、底板7から起立する外側板9及び内側板8と、外側板9と内側板8に共通の上板10と、舌片11とが形成される。また、折線5に沿って谷折りするときに、舌片11は底板7と同一平面を構成するよう、舌片11を押さえながら折る。
【0030】
また、貼付板20は、一点鎖線の折線21に沿って谷折りし、貼付板20の長辺の一端を底板7と内側板8の外端で構成される直線端面に合わせ、シート1Bの折線5と貼付板20の折線21とが重合するようにして、接合部22によりシート1Bに接合し、接合部22により接着剤等を用いて固着する。
【0031】
図6に、組み立て後の包装装置100Bを示す。図6において、底板7の下面には貼付板底部20aが、外側板9の外側には貼付板側部20bが設けられており、底板7、外側板9に対して部分的に二重壁構造を構成している。また、貼付板側部20bの起立高さは、外側板9の起立高さの約半分となるようにして構成されている。また、貼付板底部20aと貼付板側部20bとで構成されるL型壁構造は、包装装置100Bの角部を構成している。
【0032】
また、舌片11は、底板7と同一平面を構成するように形成されており、片側の辺につき2つずつ設けられている。舌片11と貼付板20とは、その外側端部同士が当接する位置に設けられている。
【0033】
以上のようにして組み立てた包装装置100Bを用いて包装する場合には、包装装置100Bを外箱200に収納し、被包装物300を包装する。包装方法については、前述の実施の形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0034】
以上のように、本実施の形態2によれば、包装装置100Bにシート1Bとは別部材による貼付板20を設けたので、シート1Bと貼付板20とで異なる剛性の素材を使用することができる。したがって、角部の強度を特に強化したい場合には、貼付板20の素材のみ特に剛性を増した素材を用いることができ、最小使用量で落下外力によるざくつ抗力の向上を図ることができる。
【0035】
また、接着剤等により接合する接合部22を設けたため、底板7と貼付板底部20a、及び外側板9と貼付板側部20bそれぞれの重合一体化を強固にすることができる。このため、角方向姿勢での落下外力によるざくつ抗力を、一層向上させることができる。このように被包装物の保護性能を向上させることができるため、素材となる段ボール紙等を軽量化して使用量削減を図っても、保護性能を維持することができる。
【0036】
また、包装装置100Bは、いずれも平板状のシート1B及び貼付板20により構成するので、組み立て前における段ボール業者などからの輸送効率が良く、また、工場などで使用する際の保管スペースも節約することができる。
【0037】
実施の形態3.
本実施の形態3では、前記実施の形態2と同様に別部材を用いて壁構造を設ける別の実施形態について説明する。
【0038】
図7は、包装装置を展開した状態を示す平面図、図8は包装装置の斜視図である。本実施の形態3では、上記実施の形態2と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
図7において、本実施の形態3に係る包装装置は、(a)に示すシート1Cと、(b)に示す貼付板30とを貼り合わせることによって構成される。なお、シート1Cは左右対称の構成のため、図7(a)では右側のみ符号を付し、左側の符号を省略するとともに、上記実施の形態2で示した図5(a)と同一部品であるので、詳細な説明を省略する。また、図7(b)では、二点鎖線にて、シート1Cに相当する位置を仮想的に示している。
【0039】
図6(b)は、略長方形の段ボール紙等の剛性のある紙材から成る貼付板30である。貼付板30は、その長辺の長さが底板7の奥行き方向の長さと略同一であり、実線で示す切断線31が形成され、一点鎖線で示す谷折りの折線32が形成されている。また、貼付板30は、接着剤等により図6(a)と固着するための接合部33(図7(b)網掛け部分)を有している。
【0040】
包装装置100Cを組み立てる際には、前述の実施の形態2で示したのと同様に、シート1Cを組み立てる。
貼付板30は、一点鎖線の折線32に沿って谷折りし、折線32と、シート1Cの折線5とが調合するようにして、接合部33によりシート1Cに接着剤等を用いて接合する。
【0041】
図8に、組み立て後の包装装置100Cを示す。図8において、底板7の下面及び外側板9の外側には、貼付板底部30a及び貼付板側部30bが設けられており、底板7、外側板9に対してL型の二重壁構造を構成している。
【0042】
また、舌片11は、底板7と同一平面を構成するように延出して形成されており、片側の辺につき2つずつ設けられている。また、貼付板30が舌片11の外側に接合されて、二重構成となっている。
【0043】
以上のようにして組み立てた包装装置100Cを用いて包装する場合には、包装装置100Cを外箱200に収納し、被包装物300を包装する。包装方法については、前述の実施の形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0044】
以上のように、本実施の形態3によれば、包装装置100Cにシート1Cとは別部材による貼付板30を設けたので、シート1Cと貼付板30とで異なる剛性の素材を使用することができる。したがって、角部の強度を特に強化したい場合には、貼付板30の素材のみ特に剛性を増した素材を用いることができ、最小使用量で落下外力によるざくつ抗力の向上を図ることができる。
【0045】
また、接着剤等により接合する接合部33を設けたため、底板7と貼付板底部30a、外側板9と貼付板側部30b、及び舌片11と貼付板底部30aとのそれぞれの重合一体化を強固にすることができる。このため、角方向姿勢での落下外力によるざくつ抗力を、一層向上させることができる。
また、舌片11と貼付板30とを接合することにより、当該部位が二重構成となるため、外箱200の内壁面との空間保持力が増して、輸送中の荷扱い等による外力が加わっても被包装物300の胴部300bの支持を確実に維持することができる。また、舌片11の外側端は、貼付板側部30bの外側端とが当接するので、貼付板底部30aと貼付板側部30bにより形成されるL型壁構造の落下外力に対するざくつ変形抗力を向上させることができる。
このように被包装物の保護性能を向上させることができるため、素材となる段ボール紙等を軽量化して使用量削減を図っても、保護性能を維持することができる。
【0046】
また、包装装置100Cは、平板状のシートから折り曲げまたは切り起こして形成したので、段ボール業者などから材料を輸送する際の輸送効率が良く、また、工場などで使用する際においても保管スペースを節約することができる。
【0047】
実施の形態4.
前記実施の形態1では、折返し部底板16、17により角部に壁構造を設けた場合の例について説明したが、本実施の形態4では、外側板9により角部に壁構造を設ける場合の例について説明する。
【0048】
図9は、この発明の実施の形態4に係る包装装置を展開した状態を示す平面図、図10は包装装置の斜視図、図11は包装装置に被包装物を包装した状態を示す一部断面による側面透視図である。図11は、図10の矢印X2の方向から見た図である。なお、図9に示すシート1Dは左右対称の構成のため、右側のみ符号を付し、左側の符号を省略している。また、実施の形態1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
図9に示すように、包装装置100Dは、略長方形の両側の短辺に舌片形状を形成するようにして打ち抜いた一枚のシート1Dから構成され、シート1Dを折り曲げまたは切り起こして形成されている。
シート1Dには、実線で示す切断線41、19が形成されている。また、一点鎖線と破線で示す折線が形成されており、このうち一点鎖線の折線5、40、42、47はそれぞれ谷折り部、破線の折線6、43はそれぞれ山折り部となっている。
【0050】
包装装置100Dを組み立てる際には、一点鎖線の折線40に沿って谷折りし、次いで折線42、5、47に沿って谷折りし、さらに折線43、6に沿って山折りすることで、図10に示すように、底板7から起立する外側板9と及び内側板45と、外側板9に折線6を介して連接される上板10と、上板10に折線47を介して連接される補助上板48とが形成される。底板7と外側板9と上板10は略同一幅であり、それぞれの端部は略一直線に連なる辺を形成している。また、折線5に沿って谷折りするときには、舌片11が底板7と同一平面を構成するよう、舌片11を押さえながら折る。
【0051】
図10において、外側板9と内側板45とは略同じ高さであり、上板10は略水平に形成されている。また、折返し部上板46が上板10の上面に当接して平面を構成している。上板10の上面には、折線47を介して補助上板48が当接重合されており、折返し部上板46の上面と補助上板48の上面とが同一平面を成すようにして構成されている。
【0052】
また、舌片11は、底板7と同一平面を構成するように形成されており、片側の辺につき2つずつ設けられる。
【0053】
以上のように構成した包装装置において、本実施の形態4に係る包装装置の包装手順について、図9〜11を参照しながら説明する。なお、図11は、図10をX2方向から見たときの一部断面による側面透視図である。図11においては、被包装物300の外形形状を網掛けで、外箱200の切断面を平行斜線で、包装装置100Dの断面部分を間隔の細い平行車線で示している。
【0054】
図11において、まず外箱200の内フラップ200aと外フラップ200bを閉じて外箱200の底面を形成し粘着テープ等で底面を固定する。そして、外箱200の天面を開放した状態で、前述の通り組み立てた包装装置100Dを外箱200内に収納する。このとき、上板10の外周端、外側板9(図11には図示せず)及び内側板45の外周端は、外箱200の内側面に当接している。また、舌片11(図11には図示せず)の先端部も、外箱200の内側面に略当接している。したがって、外箱200の内側面の四面ともに包装装置100Dが当接しており、包装装置100Dが外箱200内で揺動するのを防ぐことができるようになっている。
【0055】
次に、被包装物300を包装装置100Dに収納する。被包装物300の胴部300bを、外側板9と内側板45で形成される収納空間に嵌め込み、張出構造部300aの下面を折返し部上板46及び補助上板48とで構成される天面に当接させて収納する。外側板9の内側表面と、内側板8の内側端は、それぞれ胴部300bの外表面と沿接している。また、折返し部底板44により底板7との間に段差が形成されており、この段差の低い部分に胴部300bの下面が嵌合するように収納されている。したがって、折返し部底板44により胴部300bの位置を固定することができ、胴部300bが揺動するのを防ぐことができるようになっている。また、張出構造部300aの外周端と、折返し部上板46と補助上板48とで形成される天面部の外周端との間には、適度な空間が形成されている。したがって、外界からの衝撃をこの空間によって吸収でき、被包装物300への衝撃伝播を緩和させることができる。
【0056】
次いで、被包装物300の上面を段ボール紙等による保護板201で覆い、外箱200の天面の内フラップ200cと外フラップ200dを閉じて封緘して包装完了状態となる。
【0057】
なお、シート1Dを製造する際においては、折返し部底板44と底板7の当接面、折返し部上板46と上板10の当接面、上板10と補助上板48の当接面は、それぞれ接着等により固着しておいてもよい。
【0058】
以上のように、本実施の形態4の包装装置によれば、外側板9と内側板45によって胴部300bの収納空間を設け、また、上板10の上面に重合する折返し部上板46と補助上板48によって張出構造部300aの載置構造を設けたので、被包装物300を安定的に支持することができる。
【0059】
また、折返し部底板44の端面が被包装物300の胴部300bの下面に当接するので、被包装物300を支持する力が向上し、落下外力などによる被包装物の移動を抑制することができる。したがって、運搬時などにおける被包装物300の揺動による損傷を防ぐことができる。
【0060】
また、外側板9の側面端部を外箱200の内壁に当接させたので、外箱200の角部のざくつ抗力を増加させることができる。したがって、外箱200の角部のざくつ変形を抑制することができるとともに、前述の折返し部底板44による被包装物の支持力との相乗効果により、被包装物との空間距離の維持に効果を発揮し、被包装物の変形不具合を防止することができる。このように被包装物の保護性能を向上させることができるため、素材となる段ボール紙等を軽量化して使用量削減を図っても、保護性能を維持することができる。
【0061】
また、包装装置100Dは、平板状のシートから折り曲げまたは切り起こして形成したので、組み立て前における段ボール業者などからの輸送効率がよく、また、工場などで使用する際の保管スペースも節約することができる。
【0062】
また、折返し部底板44と底板7の当接面、折返し部上板46と上板10の当接面、上板10と補助上板48の当接面を接着剤等で固着しておくことで、包装装置100Dの剛性増加の効果を得ることができる。また、輸送中の外力による包装装置100Dの破れ不具合が抑制され、被包装物300の保護性能を維持することができる。さらに、折返し部上板46と補助上板48については予め接着剤等で固着しておくことで、包装装置100Dの組立作業が簡単になり、作業効率を向上させることができる。
【0063】
なお、この発明に係る包装装置は、胴部の一端側の外周に張り出す張出構造を有する被包装物を包装する際の包装装置として、様々な物品の包装に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施の形態1による包装装置とこれに収納される被包装物との関係を示す分解斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1による包装装置の展開平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による包装装置の組立状態の斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1による包装装置に被包装物を包装した状態を示す一部断面による側面透視図である。
【図5】この発明の実施の形態2による包装装置の展開平面図である。
【図6】この発明の実施の形態2による包装装置の組立状態の斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態3による包装装置の展開平面図である。
【図8】この発明の実施の形態3による包装装置の組立状態の斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態4による包装装置の展開平面図である。
【図10】この発明の実施の形態4による包装装置の組立状態の斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態4による包装装置に被包装物を包装した状態を示す一部断面による側面透視図である。
【符号の説明】
【0065】
100A、100B、100C、100D 包装装置、201 保護板、200 外箱、200a、200c 内フラップ、200b、200d 外フラップ、300 被包装物、300a 張出構造部、300b 胴部、1A、1B、1C、1D シート、2 切断線、3〜6 折線、7 底板、8 内側板、9 外側板、10 上板、11 舌片、12〜15 折線、16 折返し部底板、17 折返し部側板、18 折返し部上板、19 切断線、20 貼付板、20a 貼付板底部、20b 貼付板側部、21 折線、22 接合部、30 貼付板、30a 貼付板底部、30b 貼付板側部、31 切れ目、32 折線、33 接合部、40、42、43、47 折線、41 折返し部切断線、44 折返し部底板、45 折返し部側板、46 折返し部上板、48 補助上板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性のある板状紙材によって構成され、略矩形枠体の一端側に枠外周に張り出す張出構造を有する被包装物を包装する包装装置であって、
底板と、
前記底板の対向する辺からそれぞれ起立し内部に収納空間を形成する外側板と、
それぞれの外側板の対面方向内側からこの外側板の高さとほぼ同じ高さに起立した内側板と、
前記外側板と内側板のそれぞれの上縁にまたがる共通の上板と、
前記底板と前記外側板と前記上板に外接する当接片部とを有し、
前記当接片部は、前記底板と前記外側板と前記上板とに連なって壁構造を形成するとともに、底面と側面とによって形成される角部を構成した
ことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記底板から延出する1つまたは複数の舌片を前記外側板から切り起こして形成し、
前記舌片のうち両側端に位置する舌片は、その外側端部と前記当接片部の外側端部とが当接するように設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記当接片部と、前記底板、前記外側板、若しくは前記上板とが当接する面は固着されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の包装装置。
【請求項4】
前記包装装置は、一枚の板状紙材を折り曲げまたは切り起こして形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の包装装置。
【請求項5】
剛性のある板状紙材によって構成され、略矩形枠体の一端側に枠外周に張り出す張出構造を有する被包装物を包装する包装装置であって、
底板と、
前記底板の対向する辺からそれぞれ起立し内部に収納空間を形成する外側板と、
それぞれの外側板の対面方向内側からこの外側板の高さとほぼ同じ高さに起立した内側板と、
前記外側板と内側板とのそれぞれの上縁にまたがる上板とを備え、
前記底板と、前記外側板と、前記内側板と、前記上板は、一枚の板状紙材を折り曲げまたは切り起こして形成され、
更に、前記一枚の板状紙材とは別部材から成る略長方形の貼付板を有し、
前記貼付板は、対向する前記外側面と前記底板とに連なって外接して壁構造を形成するとともに、底面と側面とによって形成される角部を構成した
ことを特徴とする包装装置。
【請求項6】
前記底板から延出する1つまたは複数の舌片を前記外側板から切り起こして形成し、
前記舌片のうち両側端に位置する舌片は、その外側端部と前記当接片部の外側端部とが当接するように設けられている
ことを特徴とする請求項5記載の包装装置。
【請求項7】
剛性のある板状紙材によって構成され、略矩形枠体の一端側に枠外周に張り出す張出構造を有する被包装物を包装する包装装置であって、
底板と、
前記底板の対向する辺からそれぞれ起立し内部に収納空間を形成する外側板と、
それぞれの外側板の対面方向内側からこの外側板の高さとほぼ同じ高さに起立した内側板と、
前記外側板と内側板とのそれぞれの上縁にまたがる上板とを備え、
前記底板と、前記外側板と、前記内側板と、前記上板は、一枚の板状紙材を折り曲げまたは切り起こして形成され、
更に、前記一枚の板状紙材とは別部材から成る略長方形の貼付板を有し、
前記貼付板は、前記外側板と前記底板とに連なってL型壁構造を形成するとともに、底面と側面とによって形成される角部を構成した
ことを特徴とする包装装置。
【請求項8】
前記底板から延出する1つまたは複数の舌片を、前記貼付部材と前記外側板とを重合して切り起こして形成した
ことを特徴とする請求項7記載の包装装置。
【請求項9】
剛性のある板状紙材によって構成され、略矩形枠体の一端側に枠外周に張り出す張出構造を有する被包装物を包装する包装装置であって、
底板と、
前記底板の対向する辺からそれぞれ起立し内部に収納空間を形成する外側板と、
それぞれの外側板の対面方向内側からこの外側板の高さとほぼ同じ高さに起立した内側板と、
前記外側板の上端から外側に屈曲して設けた第一の上板と、
前記内側板の上端と前記第一の上板とにまたがる第二の上板と、
前記底板を内側に折り曲げて形成されるとともにその端部が前記被包装物の略矩形枠体の外面に当接する折り返し部とを有する
ことを特徴とする包装装置。
【請求項10】
前記底板から延出する1つまたは複数の舌片を、前記外側板から切り起こして形成した
ことを特徴とする請求項9記載の包装装置。
【請求項11】
前記第一の上板の上面に補助上板を連接し、天面の高さが前記第二の上板と平らになるようにした
ことを特徴とする請求項9または請求項10記載の包装装置。
【請求項12】
前記包装装置は、一枚の板状紙材を折り曲げまたは切り起こして形成されている
ことを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれかに記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−220871(P2009−220871A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69131(P2008−69131)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】