説明

包装食品およびその調理方法

【課題】 電子レンジを用いてスープ入り食品を容易に加熱調理することを可能とする。
【解決手段】 スープ入り食品として加熱状態にある液体で調理される固形食品11と、それを収納する本体容器20と、本体容器20の上部に開口した上部開口部22を覆う蓋30とを有し、前記蓋30が本体容器20の上端縁23に支持された状態で固形食品11を液体12と共にマイクロ波によって加熱調理する包装食品10であって、蓋30には、マイクロ波による調理時に、固形食品11の上面11aに当接させて液体12からの固形食品11の浮上を抑制するための凹部30aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジにて容易に調理ができる包装食品およびその調理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ラーメン、うどん、そばなどのスープ入り食品(本発明において、スープとは、中に固形食品を入れて供される液体であり、汁、つゆ等と称されるものを含む。)を簡便に調理して食することが可能な包装食品が知られている。この種の包装食品に用いられる麺としては、フライ麺あるいはノンフライ麺の即席麺が多用されており、熱湯を注いで所定の時間放置することにより調理可能としたものは周知である。
【0003】
また、近年は冷凍麺を使用した包装食品も知られている。電子レンジで解凍可能な冷凍食品としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載の冷凍食品の場合、容器内で固形食品と調味液との間を中蓋で仕切り、別々に加熱、解凍するようにしている。電子レンジで解凍することなく加熱調理するものとして、特許文献2に記載の即席めん類食品の場合、焼きそば用として、調味用ソースとの混合液を即席麺にふりかけた後、落とし蓋を容器に固定し、電子レンジにより調理するようにしている。同様に、特許文献3に記載のカップ麺容器の場合、外側容器に入れた麺の上に大きなヘッドスペースを確保するため、内側容器を反転させて外側容器の上から蓋のように被せて加熱するようにしている。
【特許文献1】特開平6−125755号公報
【特許文献2】特開2002−142698号公報
【特許文献3】特開2003−070637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍麺の場合は麺に水分が含まれているので、加熱調理は専ら解凍と温度の適正化のためであり、特許文献1のように麺をスープと接触しないようにして加熱することも可能である。しかしながら、含水率の低い乾燥麺である即席麺の場合、水分が少ない状態ではマイクロ波の吸収率が低く、電子レンジによる加熱は不可能である。また、良好な食感を得るためには、加熱手段を問わず、十分に水分を吸収させて麺を適度に膨潤させる必要がある。
【0005】
即席麺を熱湯で調理する方法は周知であるが、あらかじめ熱湯を用意する必要があり、不便である。これに対して、特許文献2や3に記載されるように、水あるいは湯を注いで電子レンジで加熱した場合には、水や湯等の液体は熱湯に比べて麺に吸収されにくいので、短時間の加熱では十分な調理が難しい。特許文献2では、例えば、調味液が殆ど吸収されて、可求的に僅かしか残らないことが好ましい焼きそばについて好適な容器を提供するが、特に、スープ入り食品の場合は、必要な液体の量が、焼きそば等に比べて格段に多くなり、液体が沸騰するまでに時間が掛かる。また、必要な液体の量が多くなると即席麺が液体の上に浮いた状態になる。即席麺が液体の上に浮いた状態になると、吸水不足により仕上がりが硬く脆くなる部分が残り、良好な食感が得られない。そして、即席麺が液体の上に浮いた状態になると加熱調理により発生する蒸気や泡が即席麺を持ち上げ、さらに吸水不足の部分が発生しやすくなる。とはいえ加熱時間を長くすると、加熱時間の加減が難しく、沸騰によって生じた泡が容器から吹きこぼれて、電子レンジ内を汚したり、部分的に麺が過度に吸水して延びた状態になって良好な食感が損なわれるおそれがある。この内、吹きこぼれ防止については、従来から、ヘッドスペースを確保することで対処しており、例えば、特許文献3は、大きなヘッドスペースを確保する容器を提案する。しかし、この容器においては即席麺が液体の上に浮いた状態になることや、即席麺が液体の上に浮いた状態になると加熱調理により発生する泡が即席麺を持ち上げ、吸水不足の部分が発生し、良好な食感が損なわれることについては、考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電子レンジを用いてスープ入り食品を容易に、食感が損なわれることなく加熱調理することが可能な包装食品およびその調理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、スープ入り食品として加熱状態にある液体で調理される固形食品と、該固形食品を収納する本体容器と、前記本体容器の上部に開口した上部開口部を覆う蓋と、を有し、前記蓋が前記本体容器に支持された状態で前記固形食品を液体と共にマイクロ波によって加熱調理する包装食品であって、前記蓋は、マイクロ波による調理時に、前記固形食品の上面に当接させて液体からの前記固形食品の浮上を抑制するための凹部が設けられていることを特徴とする包装食品を提供する。
前記蓋の凹部の周壁は、前記蓋の外周縁部より下向きに傾斜した傾斜面となっており、前記蓋の凹部の当接面より高い位置において前記傾斜面と前記本体容器の側壁部との間に消泡のための隙間が確保されていることが好ましい。
前記蓋の外周縁部は、前記本体容器の上端縁より外側に張り出すと共に、下向きに湾曲または屈曲していることが好ましい。
前記本体容器の下部の内面側に突起が内向きに突設されていることが好ましい。
前記蓋に蒸気抜きを設けることも可能である。
前記固形食品は、麺を乾燥してなる即席麺を採用することもできる。
【0008】
また本発明は、上述の包装食品の調理方法であって、固形食品が収納された本体容器に液体を注ぎ、前記蓋を前記本体容器に支持させ、前記蓋の凹部の当接面を前記固形食品の上面に当接させて前記固形食品を液体からの浮上を抑制した状態で、マイクロ波によって加熱調理することを特徴とする包装食品の調理方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装食品によれば、蓋は、マイクロ波による調理時に、前記固形食品の上面に当接させて液体からの固形食品の浮上を抑制するための凹部が設けられているので、程良く吸水して食感の優れたスープ入り食品をマイクロ波を用いて容易に調理することができる。
蓋の凹部の周壁は、前記蓋の外周縁部より下向きに傾斜した傾斜面となっており、前記蓋の凹部の当接面より高い位置において前記傾斜面と前記本体容器の側壁部との間に消泡のための隙間が確保されている場合、沸騰によって生じた泡が容器から吹きこぼれることを抑制することができる。
蓋の外周縁部が、前記本体容器の上端縁より外側に張り出すと共に、下向きに湾曲または屈曲している場合、沸騰によって生じた泡が容器から吹きこぼれたとしても、受け皿やターンテーブル等に落とすことができ、電子レンジ内の汚れを抑制できる。
本体容器の下部の内面側に突起が内向きに突設されている場合、蒸気の生成を誘発して沸騰が促進されるので、本体容器内の液体が撹拌されると共に、過加熱による突沸を抑制することができる。
前記蓋に蒸気抜きを設けた場合、この蒸気抜きを通して蒸気を外に逃がすことができるので、沸騰によって生じた泡が容器から吹きこぼれることを抑制することができる。
固形食品として、麺を乾燥してなる即席麺を採用した場合、程良く吸水して食感の優れたスープ入り麺食品を容易に調理することができる。
本発明の調理方法によれば、本発明の包装食品による効果を有するとともに、加熱調理の前に加熱した液体を用意する手間が不要になるので、一層手軽に調理が可能になり、利便性の高い調理方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1(a)は本発明の包装食品の一形態例を示す断面図であり、図1(b)はその調理方法を説明する図面である。図2は、本形態例の包装食品の分解図である。
【0011】
図1に示すように、本形態例の包装食品10は、スープ入り食品として加熱した液体中で調理される固形食品11と、固形食品11が底部21に収納された本体容器20と、本体容器20の上部に開口した上部開口部22を覆う蓋としての中蓋30と、中蓋30の上に形成された添付品収納空間14を覆う上蓋15と、添付品収納空間14に収納された第1および第2の添付品16、17とを備える。
【0012】
同図に示す固形食品11は、麺を乾燥してなる即席麺である。本発明において即席麺とは、熱湯中に所定の時間浸漬して放置させておくか、または浸漬して加熱するだけで調理可能となるように加工された麺類をいい、その種類はラーメン、うどん、そばなど特に限定されるものではなく、また、フライ麺、ノンフライ麺のいずれでもよい。本発明において、即席麺以外の固形食品としては、切り餅などが挙げられる。切り餅は、雑煮、汁粉、善哉などにおいて単独の固形食品として使用することもでき、あるいは餅ラーメンや餅うどん等における具として即席麺と一緒に加熱調理することもできる。包装食品10の内容量は、例えば1人前、1.5人前(大盛りサイズ)、0.5人前(おやつサイズ)などが挙げられ、特に限定されない。調理時間は、適宜設定可能であるが、調理の簡便性のため、例えば1〜10分間程度が好ましく、より好ましくは、2〜5分間程度である。
【0013】
添付品は本発明において必須の構成ではないが、必要に応じて添付することが好ましく、添付品を添付する場合であっても、添付品の種類や個数は特に限定されない。添付品の一例として、第1の添付品16は液状濃縮スープ、ストレートタイプのめんつゆや粉末スープ等のスープの素、第2の添付品17は刻み葱やチャーシュウ、メンマなどの加薬を例示することができる。上蓋15は、添付品収納空間14を塞ぐように中蓋30の上面に貼着されている。なお、上蓋15を蓋30に貼着する代わりに、シュリンクフィルムで本体容器20と蓋30とを包み込んで一体的に包装しても良い。
【0014】
本体容器20は、図示した形態では底部21と側壁部24が半球状に連続している丼型(ボウル型)であるが、特にこれに限定されるものではなく、液体や固形食品の量に応じて底部21が平面状であり側壁部24が底部21から上部開口部22に向けて拡大する方向に傾斜したカップ型、底部21が平面状であり側壁部24が底部21に略垂直なトレイ型、底部21が矩形平面状のものなど、種々の形態が採用可能である。本体容器20を構成する材質としては、従来この分野の容器に用いられる材質であれば特に限定されるものではなくが、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックなどを例示することができる。
【0015】
本体容器20の側壁部24の上端縁23は、蓋30を支持できればよいものであるが、図示したように、直接、口を着けてスープを飲めるように端部を丸めた(「トップカール」ともいう。)を形成することが好ましい。また、上端縁23は、必要に応じて中蓋30や上蓋15をヒートシール可能とするために、平坦部を設けたりフランジ状にしたりしてもよい。なお、スープはスプーンやれんげ(ちりれんげ)で飲むようにしても良い。添付品収納空間14には、スプーン、フォーク、ナプキン、お手拭き、爪楊枝など、あるいはこれらを小袋に包装したものを添付することもできる。
【0016】
本体容器20の下部の内面側には、突起25を内向きに突設することが好ましい。この突起25により、蒸気の生成を誘発して沸騰が促進されるので、本体容器20内の液体が撹拌されると共に、過加熱による突沸を抑制することができる。突起25の位置は、調理の際に液体12の中に沈む位置であれば、底部21から上向きに突設しても、側壁部24から横向きに突設してもよい。突起25の寸法は、沸騰を促進する効果を発揮するためにはなるべく小さい突起が好ましく、例えば直径1〜3mm程度である。本体容器20を真空成形または圧空成形で形成する場合には、本体容器20となる合成樹脂シートの外面が当接する金型に突起を設けて、合成樹脂シートを内側に窪ませることにより、突起25を突設することができる。突起25の個数は特に限定されるものではなく、1個または複数個とすることができる。
【0017】
中蓋30は、電子レンジによる調理時に固形食品11の上面11aに当接させる当接面31と、当接面31の周囲に形成された周壁32とからなる凹部30aを備え、さらに、周壁32の周囲に形成された外周縁部33を有する。中蓋30を構成する材質としては、従来この分野の容器に用いられる材質であれば特に限定されるものではなくが、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックなどを例示することができる。
【0018】
凹部30aの周壁32は、中蓋30の外周縁部33より中蓋30の中央部に向かって下向きに傾斜した傾斜面32とされており、傾斜面32の下端部に連続した当接面31は、本体容器20の上端縁23より低い位置に設けられている。中蓋30の傾斜面32の水平に対する傾斜角度は例えば40〜50度の範囲とすることができる。また、本体容器20の上端縁23よりやや下方の側壁部24は、中蓋30の当接面31より高い位置において、水平に対する傾斜角度が例えば70〜90度の範囲であり、傾斜面32の傾斜角度より大きい。これにより、図1(b)に示すように、中蓋30の凹部30aの当接面31より高い位置において、中蓋30の傾斜面32と本体容器20の側壁部24との間に隙間13が確保され、この隙間13により、液体12の沸騰によって沸き立つ泡を受容して液体が容器から吹き出すことを抑制することができる。
【0019】
中蓋30は、凹部30aの周壁32の外側に、本体容器20の上端縁23に当接する部分である外周縁部33を有する。中蓋30を本体容器20の上に載置するときには、凹部30aを本体容器20の上部開口部22から内部に進入させ、凹部30aの周囲の外周縁部33を本体容器20の上端縁23の上に当接させることにより、上部開口部22を覆うように載置される。外周縁部33は、必要に応じて本体容器20の上端縁23とヒートシール可能に構成してもよい。
【0020】
さらに中蓋30の外周縁部33は、本体容器20の上端縁23より水平に張り出している。これにより、液体12の沸騰によって生じた泡が上端縁23と外周縁部33との間から外に吹きこぼれたとしても、外側に張り出した外周縁部33により、上向きに飛散しようとする泡や液を遮断して、放出の方向を下方へと変更させることができる。外周縁部33の形状としては、端部まで水平に延ばしてもよいが、好ましくは、外周縁部33の端部34を下向きに湾曲または屈曲させた形状とすることにより、泡を確実に受け皿やターンテーブル等に落とすことができ、電子レンジ内の汚れを抑制できる。外周縁部33には、本体容器20に中蓋30を着脱可能に固定するため、本体容器20の上端縁23のトップカールと係合する構造(例えば、90度より鋭角に屈曲させたり、本体容器20の上端縁23と嵌合する下向きや横向きに開いた溝を形成するなど)を設けると、電子レンジ内の汚れを防止する効果および固形食品11の浮上を抑制する効果が向上し、より好ましい。
【0021】
次に、本形態例の包装食品10の調理方法について説明する。
まず、上蓋15を剥がして添付品16、17を取り出し、また中蓋30を開けて本体容器20に液体12を注ぎ、固形食品11を液体12に浸漬させる。ここで注ぐ液体12としては、特に沸騰した液体を用いる必要はない。本発明における液体は、非加熱の液体が好ましく、例えば水道水や液体スープなどが挙げられる。こうした非加熱の液体の温度は気温にもよるが、一般には夏であれば30℃前後、冬では10℃以下である。もちろん、給湯器や電気保温ポット等によりぬるま湯または温湯などの湯(例えば60〜90℃)が手軽に得られる場合にはこれらの湯を用いることで、調理時間を短縮することもできる。しかし、非加熱の液体、例えば、ストレートタイプのめんつゆや入手が容易な水道水を注ぐことにより、予め加熱された液体を用意する場合に比べて手軽に調理が可能となる。また、電子レンジで加熱する時間が予め想定された時間と近くなり、適切な調理を行いやすい。
【0022】
中蓋30を本体容器20の上端縁23に載置し、固形食品11を液体12と共に電子レンジに入れて加熱する。マイクロ波によって液体12が励振され、沸騰することにより、固形食品11を加熱調理することができる。本形態例の包装食品10の場合、本体容器20の上端縁23より低い位置に中蓋30の凹部30aの当接面31が設けられ、この当接面31を固形食品11の上面11aに当接させた状態とすることにより、調理時に固形食品11の浮き上がりを抑制することができる。固形食品11の上部にも液体12が浸るので程良く吸水して食感の優れたスープ入り食品を容易に調理することができる。加熱調理時または加熱調理後に添付品16、17を好みにより混ぜ合わせて食することができる。
【0023】
スープ入り食品のスープは、種々の方法で調製することができる。加熱調理用の液体12として水や湯を用いた場合には、液状濃縮スープや粉末スープ等のスープの素を添付品として添付し、加熱調理後に液体12と混ぜ合わせることでスープを調製することができる。また、粉末スープ等のスープの素を固形食品11に配合、あるいは固形食品11の表面に付着させておき、該スープの素が加熱調理中に液体12中に溶け出してスープが得られるように構成することもできる。ストレートタイプのめんつゆを加熱調理用の液体12とした場合には、濃度を調整することなく、そのままスープとすることができる。添付品として濃縮スープや粉末スープを添付し、これを水や湯に溶かしたものを加熱調理用の液体12として容器に注いでから加熱調理することもできる。
【0024】
中蓋30の中央部が凹部30aになっていて固形食品11が液体12からの浮き上がりを抑制できるので、容器内に注ぐ液体12の量を比較的少なくすることができる。液体12の量を少なめにしても固形食品11が液体12中に浸るように本体容器20を構成することにより、沸騰までの時間を短くできる。また、固形食品11が液体12からの泡による持ち上がりを抑制できる。これらにより、沸騰によって生じた泡が容器から吹きこぼれる量を減らすことができ、調理時間を短縮できる等の効果が得られる上、スープの量を控えめにして塩分の摂取量を抑制することができる。液体12が突沸することなく、円滑に沸騰することにより、液体12の対流や適度の気泡の発生によって麺がほぐれて、ばらけやすくなり、即席麺の中心部までよく吸水できるので、食感の良好な麺を得ることができる。
【0025】
次に、本発明の包装食品および調理方法の改変例について図3を参照して説明する。
図3(a)は本発明の包装食品の改変例を示す断面図であり、図3(b)はその調理方法を説明する図面である。
図3に示す包装食品10Aでは、蒸気抜き35となる開口が中蓋30Aの凹部30aの当接面31に設けられている。蒸気抜き35としては、隙間が開口する限りどのような形状でもよく、具体例としては孔、スリット、切欠などが挙げられる。中蓋30Aに蒸気抜き35を設けることにより、電子レンジの加熱が強くて、蒸気の発生が多い場合であっても、固形食品11が持ち上がることなく蒸気が抜け、固形食品11の吸水が促進される。蒸気抜き孔35の径は、例えば直径2〜5mmである。
【0026】
当接面31の上側には、蒸気抜き35を覆って当接面31との間に蒸気抜き空間36を形成するフィルム37が貼着されていることが好ましい。フィルム37は、耐水性および耐油性を有するプラスチックフィルムが用いられ、具体例としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムが例示できる。フィルム37の周縁37aを当接面31の上面に貼着する方法は、ヒートシール、超音波シール、ホットメルト接着剤などを適用することができる。前記フィルム37の貼着に際しては、フィルム37の周縁37aの全周を貼着してもよいし、一部のみ貼着してもよい。また、フィルム37にも、さらに、蒸気抜きの孔やスリットを設けてもよい。
【0027】
図3に示す包装食品10Aは、図1に示す包装食品10と同様にして電子レンジにより加熱調理することが可能である。蒸気抜き35は、外周縁部33に設けることも可能であるが、中蓋30Aの凹部30aの中(当接面31および/または周壁32)に開口することにより、蒸気抜き35から抜けた泡や液体を凹部30aの上側に受容して、容器から吹きこぼれることを抑制することができるため、好ましい。
【0028】
加えて、蒸気抜き35を覆うフィルム37を中蓋30Aに設けた場合、蒸気抜き35から抜けた泡や蒸気を該フィルム37で受容して、中蓋30Aの凹部30aの当接面31とフィルム37との間に形成される蒸気抜き空間36で吸収することができるので、泡が容器から吹きこぼれることを抑制する効果に優れ、好ましい。また、蒸気抜き35から抜ける蒸気の量を調整して、容器内の蒸気圧の低下を抑制することができる。
【0029】
以上、本発明を好適な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、中蓋の凹部の上側は仕切などで区切られて、種々の添付品を収納するスペースとしてもよい。また、凹部は複数に分かれていてもよい。さらに、中蓋は本体容器の上部開口部を覆う限り、本体容器の中に入り込む、いわゆる落とし蓋であってもよい。この場合、本体容器の側壁部の内面に、落とし蓋の縁と係合する凸部や凹部、あるいは、連続する凸条や溝を設けることが好ましい。そして、中蓋に設けられる蒸気抜きは、隙間が開口する限りどのような形状でもかまわない。例えば、スリットでもよい。蒸気抜きとして孔を用いる場合、傾斜面(周壁)に設けられてもよい。傾斜面に設けられた孔は外周縁部にまで延設されて切り欠き状になっていてもよい。特に中蓋が落とし蓋である場合、蒸気抜き孔が傾斜面に切り欠き状に複数設けられていると、蒸気が効率よく抜けて好ましい。あるいは、中蓋の外周縁部を波形に変形させ、本体容器の上端縁や側壁部との間に開口する隙間を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、電子レンジを用いてマイクロ波により手軽に調理可能なラーメン、うどん、そばなどのスープ入り食品に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明の包装食品の一形態例を示す断面図であり、(b)はその調理方法を説明する図面である。
【図2】図1に示す包装食品の分解図である。
【図3】(a)は本発明の包装食品の改変例を示す断面図であり、(b)はその調理方法を説明する図面である。
【符号の説明】
【0032】
10、10A…包装食品、11…固形食品(即席麺)、11a…固形食品の上面、12…液体、13…隙間、20…本体容器、21…底部、22…上部開口部、23…上端縁(トップカール)、24…側壁部、25…突起、30、30A…蓋(中蓋)、30a…凹部、31…当接面、32…傾斜面(周壁)、33…外周縁部、35…蒸気抜き。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スープ入り食品として加熱状態にある液体で調理される固形食品と、該固形食品を収納する本体容器と、前記本体容器の上部に開口した上部開口部を覆う蓋と、を有し、前記蓋が前記本体容器に支持された状態で前記固形食品を液体と共にマイクロ波によって加熱調理する包装食品であって、
前記蓋は、マイクロ波による調理時に、前記固形食品の上面に当接させて液体からの前記固形食品の浮上を抑制するための凹部が設けられていることを特徴とする包装食品。
【請求項2】
前記蓋の凹部の周壁は、前記蓋の外周縁部より下向きに傾斜した傾斜面となっており、前記蓋の凹部の当接面より高い位置において前記傾斜面と前記本体容器の側壁部との間に消泡のための隙間が確保されていることを特徴とする請求項1に記載の包装食品。
【請求項3】
前記蓋の外周縁部は、前記本体容器の上端縁より外側に張り出すと共に、下向きに湾曲または屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載の包装食品。
【請求項4】
前記本体容器の下部の内面側に突起が内向きに突設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の包装食品。
【請求項5】
前記蓋に蒸気抜きが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の包装食品。
【請求項6】
前記固形食品は、麺を乾燥してなる即席麺であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の包装食品。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の包装食品の調理方法であって、
固形食品が収納された本体容器に液体を注ぎ、前記蓋を前記本体容器に支持させ、前記蓋の凹部の当接面を前記固形食品の上面に当接させて前記固形食品を液体からの浮上を抑制した状態で、マイクロ波によって加熱調理することを特徴とする包装食品の調理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−42(P2007−42A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181714(P2005−181714)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】