説明

化合物、組成物、および方法

KSPの活性を阻害することによって細胞増殖性疾患および障害を治療するために有用な化合物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2003年4月10日に出願された米国仮特許出願60/462,077に基づく利益を主張する。この出願をすべての目的のために参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、有糸分裂キネシンKSPの阻害剤であり、細胞増殖性疾患、たとえば、癌、過形成、再狭窄、心肥大、免疫障害、真菌障害および炎症の治療に有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
癌を治療するために用いられる治療薬の中に、微小管に作用するタキサンおよびビンカアルカロイドがある。微小管は有糸分裂紡錘体の一次構造要素である。有糸分裂紡錘体は、細胞分裂により生じる2つの娘細胞のそれぞれのゲノムの複製コピーの分布に関与している。これらの薬物による有糸分裂紡錘体の破壊が、癌細胞の分裂の阻害および癌細胞の死の誘導につながると推定されている。けれども、微小管は、他のタイプの細胞構造、たとえば、神経過程における細胞内輸送のためのトラックを形成する。これらの薬剤は有糸分裂紡錘体を特異的に標的にするわけではないので、これらは副作用を有し、その有用性が制限される。
【0004】
癌を治療するために用いられる薬剤の投与に伴う副作用を低減することができれば治療上有益なので、これらの薬剤の特異性の改良には高い関心が向けられている。伝統的に、癌の治療における劇的な改良は、新規のメカニズムにより作用する治療薬の同定に伴うものである。この例には、タキサンのみでなく、トポイソメラーゼI阻害剤のカンプトテシン類が含まれる。これらの両方の観点から、有糸分裂キネシンは新規の抗癌剤の興味ある標的である。
【0005】
有糸分裂キネシンは、有糸分裂紡錘体の集合および機能に必須の酵素であるが、神経過程のような他の微小管構造に一般的に関与してはいない。有糸分裂キネシンは有糸分裂のすべての相の間、必須の役割を果たす。これらの酵素は、ATPの加水分解により放出されるエネルギーを、細胞の運搬物を微小管に沿って一定方向に動かす機械的な力に変換する「分子モーター」である。この仕事に十分な触媒ドメインは、およそ340アミノ酸の小型の構造である。有糸分裂の間、キネシンは微小管を二極性の構造、すなわち、有糸分裂紡錘体に組織する。キネシンは染色体の紡錘体微小管に沿っての動き、ならびに有糸分裂の特定の相に関連する有糸分裂紡錘体における構造的変化を仲介する。有糸分裂キネシンの機能を実験的に混乱させると、有糸分裂紡錘体の形成異常または機能不全を起こし、しばしば細胞周期の停止および細胞の死につながる。
【0006】
同定された有糸分裂キネシンの1つがKSPである。KSPは、逆平行ホモ二量体からなる二極ホモ四量体に集合するプラス端指向性微小管モーターの進化的に保存されたキネシンサブファミリーに属する。有糸分裂の間、KSPは有糸分裂紡錘体の微小管と会合する。KSPに対する抗体をヒト細胞にマイクロインジェクションすると、前中期の間の紡錘体極分離が妨害され、単極紡錘体が形成されて、有糸分裂の停止およびプログラムされた細胞の死が誘導される。KSPおよび他の非ヒト生物における関連するキネシンは、逆平行微小管を束ね、これらを相互に対してスライドさせることにより、2つの紡錘体極を分離させる。KSPはまた、後期Bにおける紡錘体の延長を仲介し、微小管を紡錘体極に集中させる。
【0007】
ヒトKSP(HsEg5とも呼ばれる)については、すでに文献に記載されている(Blangyら、Cell, 83:1159-69 (1995); Whiteheadら、Arthritis Rheum., 39:1635-42 (1996); Galgioら、J. Cell Biol., 135:339-414 (1996); Blangyら、J. Biol. Chem., 272:19418-24 (1997); Blangyら、Cell Motil Cytoskeleton, 40:174-82 (1998); WhiteheadおよびRattner, J. Cell Sci., 111:2551-61 (1998); Kaiserら、JBC 274:18925-31 (1999); GenBank登録番号:X85137, NM004523およびU37426)。また、KSP遺伝子(TRIP5)の断片についても記載されている(Leeら、Mol Endocrinol., 9:243-54 (1995); GenBank登録番号:L40372)。アフリカツメガエルKSP同族体(Eg5)、およびショウジョウバエKLP61 F/KRP1 30についても報告されている。
【0008】
KSPを含む有糸分裂キネシンは、新規の抗有糸分裂化学療法薬の発見および開発にとって興味ある標的である。したがって、本発明の目的は、KSPの阻害に有用な化合物、組成物および方法を提供することである。
【発明の開示】
【0009】
上に述べた目的に従って、本発明は細胞増殖性疾患を治療するために使用することができる化合物を提供する。上記化合物は、KSP阻害剤、たとえば、ヒトKSP阻害剤である。本発明はまた、細胞増殖性疾患を治療するために用いることができる、上記化合物を含む組成物、および上記化合物または組成物を利用する方法を提供する。
【0010】
1つの態様において、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するための方法、およびKSPの活性を阻害することにより障害を治療するための方法に関する。該方法は、一般式I:
【化1】

【0011】
[式中、
TおよびT’は独立して共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R2およびR2’は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR2およびR2’は共同して置換されていてもよい3〜7員の環を形成し、該環はその環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく;
R3は、水素基、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、-C(O)-R6、および-S(O)2-R6aから選択され;
R4およびR4’は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成し;
R5は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、
またはR5はR3およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環はそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく、
またはR5はR2と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環はそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく;
R6は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR8-NH-から選択され;
R6aは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルヘテロアリール、およびR8-NH-から選択され;
R7は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;そして
R8は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択される]
(一般式Iは単一の立体異性体および立体異性体の混合物を含む)
で表される1つ以上の化合物;
一般式Iの化合物の製薬上許容される塩;
一般式Iの化合物の製薬上許容される溶媒和物;または
一般式Iの化合物の製薬上許容される塩の製薬上許容される溶媒和物
を使用する。
【0012】
1つの態様において、本発明は、治療上有効な量の一般式Iの化合物、一般式Iの化合物の製薬上許容される塩、一般式Iの化合物の製薬上許容される溶媒和物、または一般式Iの化合物の製薬上許容される塩の製薬上許容される溶媒和物を投与することにより、細胞増殖性疾患およびKSPの阻害により治療することができる他の障害を治療する方法に関する。このような疾患および障害には、癌、過形成、再狭窄、心肥大、免疫障害、真菌障害および炎症が含まれる。
【0013】
別の態様において、本発明は、KSPキネシンを阻害するために有用な化合物に関する。上記化合物は、上記一般式Iに示した構造、一般式Iの化合物の製薬上許容される塩、一般式Iの化合物の製薬上許容される溶媒和物、または一般式Iの化合物の製薬上許容される塩の製薬上許容される溶媒和物である。本発明はまた、治療上有効な量の一般式Iの化合物、一般式Iの化合物の製薬上許容される塩、一般式Iの化合物の製薬上許容される溶媒和物、または一般式Iの化合物の製薬上許容される塩の製薬上許容される溶媒和物を含み、少なくとも1つの医薬品添加物と混合された医薬組成物に関する。別の態様において、組成物はさらに本発明の化合物以外の化学療法剤を含む。
【0014】
別の態様において、本発明は、KSPキネシンに結合する化合物、たとえば、本発明の化合物の結合と置換または競合する化合物をスクリーニングする方法を提供する。上記方法は、標識された本発明の化合物、KSPキネシン、および少なくとも1つの候補の物質を混合し、候補の物質のKSPキネシンへの結合を測定することからなる。
【0015】
さらに別の態様において、本発明はKSPキネシン活性のモジュレーターをスクリーニングする方法を提供する。上記方法は、本発明の化合物、KSPキネシン、および少なくとも1つの候補の物質を混合して、KSPキネシン活性に対する候補の物質の効果を測定することからなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
定義
本明細書において、一般的に以下の用語および表現を、これらが文脈上別の意味で用いられた場合を除き、下記の意味を有するものとして用いる。
【0017】
以下の略語および用語は、示された意味を有する。
【表1】

【0018】
アルキルは、直鎖、分枝鎖、または環状脂肪族炭化水素構造およびそれらの組合せを含むものとし、これらの構造は飽和または不飽和であってよい。低級アルキルは1〜5炭素原子、好ましくは1〜4炭素原子のアルキル基を指す。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-およびt-ブチル等が含まれる。好ましいアルキル基はC20以下のものである。より好ましいアルキル基はC13以下のものである。シクロアルキルはアルキルの一部であり、3〜13炭素原子の環状脂肪族炭化水素基を含む。シクロアルキル基の例には、c-プロピル、c-ブチル、c-ペンチル、ノルボルニル、アダマンチル等が含まれる。シクロアルキルアルキルはアルキルの別の一部であり、環状でないアルキルを介して親構造に結合するシクロアルキルを指す。シクロアルキルアルキルの例には、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルプロピル等が含まれる。この適用において、アルキルはアルカニル、アルケニルおよびアルキニル残基を含む。すなわち、ビニル、アリル、イソプレニル等を含む。特定の数の炭素を含むアルキル残基に言及するときは、その数の炭素を含むすべての幾何異性体が包含されるものとする。従って、たとえば「ブチル」は、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびt-ブチルを含み、「プロピル」はn-プロピル、イソプロピルおよびc-プロピルを含むことを意味する。
【0019】
アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンはアルキルの別の一部であり、アルキルと同一の残基を含むが、化学構造内に2つの結合点を有する。アルキレンの例には、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、ジメチルプロピレン(-CH2C(CH3)2CH2-)およびシクロヘキシルプロピレン(-CH2CH2CH(C6H13)-)が含まれる。同様に、アルケニレンの例には、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン(-CH=CH-CH2-)、およびシクロヘキシルプロペニレン(-CH=CHCH(C6H13)-)が含まれる。アルキニレンの例には、エチニレン(-C≡C-)およびプロピニレン(-CH≡CH-CH2-)が含まれる。
【0020】
アルキリデンは、1〜12炭素原子を含む二価の基をいう。アルキリデン基の例としては、=CH3、=CHCH3、=C(CH3)2、=CH-(C6H5)(すなわち、ベンジリデン)、置換ベンジリデン等が挙げられる。
【0021】
シクロアルケニルは、アルキルの部分集合であり、1〜13炭素原子を含む不飽和環式炭化水素基を含む。シクロアルケニル基としては、c-ヘキセニル、c-ペンテニル等が含まれる。
【0022】
アルコキシまたはアルコキシルは、好ましくは1〜8炭素原子を含み、直鎖、分枝鎖または環状配置またはそれらの組合せを有する、酸素を介して親構造に結合するアルキル基(すなわち、アルキル-O-基)を指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が含まれる。低級アルコキシとは、1〜4炭素を含むアルコキシ基を指す。
【0023】
アシルは、1〜8炭素原子の直鎖、分枝鎖または環状配置またはそれらの組合せの、カルボニル官能基を介して親構造に結合する基を指す。上記の基は飽和または不飽和であってよく、脂肪族または芳香族であってよい。親構造への結合点がカルボニルである限り、アシル残基中の1つ以上の炭素が、酸素、窒素(たとえば、カルボキシアミド)または硫黄で置き換えられていてもよい。例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、オキサリル、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、モルホリニルカルボニル等が含まれる。低級アシルとは、1〜4の炭素を含むアシル基を指す。
【0024】
アミノは、-NH2基を指す。「置換アミノ」という用語は、-NHRまたは-NRR基(式中、それぞれのRは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、アシル、アルコキシカルボニル、スルファニル、スルフィニルおよびスルホニル基から独立して選択される)、たとえば、ジエチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、フラニルオキシスルホンアミノを指す。置換アミノとしては、-NRcCORb、-NRcCO2RaおよびNRcCONRbRcが挙げられ、
式中、
Raは、置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、またはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり;
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、またはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり;および
Rcは、水素またはC1-C4アルキルであり;そして、
それぞれの置換されていてもよいRb基は、独立して、置換されていないか、またはC1-C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、ヘテロアリール-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、-OC1-C4アルキル、-OC1-C4アルキルフェニル、-C1-C4アルキル-OH、-OC1-C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1-C4アルキル-NH2、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキルフェニル)、-NH(C1-C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CON(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-CONH(C1-C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1-C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1-C4アルキル、-C(O)C1-C4フェニル、-C(O)C1-C4ハロアルキル、-OC(O)C1-C4アルキル、-SO2(C1-C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1-C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)、および-NHSO2(C1-C4ハロアルキル)から独立して選択される1つ以上の置換基により置換される。
【0025】
抗有糸分裂薬とは、たとえば中期の停止を引き起こすことにより、有糸分裂を阻害または妨害する薬物を指す。いくつかの抗腫瘍薬は増殖を遮断し、抗有糸分裂薬であると考えられている。
【0026】
アリールおよびヘテロアリールは、それぞれO、NおよびSから選択される0または1〜4のヘテロ原子を含む5または6員芳香族環または芳香族ヘテロ環;それぞれO、NおよびSから選択される0または1〜4(またはそれ以上)のヘテロ原子を含む二環式の9または10員芳香族環または芳香族ヘテロ環系;または、それぞれO、NおよびSから選択される0または1〜4(またはそれ以上)のヘテロ原子を含む三環式の12〜14員芳香族環または芳香族ヘテロ環系を意味する。芳香族6〜14員炭素環には、たとえば、フェニル、ナフチル、インダニル、テトラリニルおよびフルオレニルが含まれ、5〜10員芳香族ヘテロ環には、たとえば、イミダゾリル、ピリジニル、インドリル、チエニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、フラニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリルおよびピラゾリルが含まれる。
【0027】
アラルキルは、アリール基がアルキル残基を介して親構造に結合する残基を指す。例としてはベンジル、フェネチル、フェニルビニル、フェニルアリル等が含まれる。ヘテロアラルキルはヘテロアリール基がアルキル残基を介して親構造に結合する残基を指す。例としては、フラニルメチル、ピリジニルメチル、ピリミジニルメチル等が含まれる。
【0028】
アルアルコキシは、-O-アラルキル基を指す。同様に、ヘテロアルアルコキシは、-O-ヘテロアラルキル基を指し、アリールオキシは、-O-アリール基を指し、アシルオキシは、-O-アシル基を指し、ヘテロアリールオキシは、-O-ヘテロアリール基を指し、ヘテロシクリルオキシは、-O-ヘテロシクリルを指す(すなわち、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、アシル、ヘテロ環またはヘテロアリールが、酸素を介して親構造に結合している)。
【0029】
カルボキシアルキルは、-アルキル-COOH基を指す。
【0030】
アミノカルボニルは、-CONRbRc基を指し、
式中、
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、またはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり;および
Rcは、水素またはC1-C4アルキルであり;そして、
それぞれの置換されていてもよいRb基は、独立して、置換されていないか、またはC1-C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、ヘテロアリール-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、-OC1-C4アルキル、-OC1-C4アルキルフェニル、-C1-C4アルキル-OH、-OC1-C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1-C4アルキル-NH2、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキルフェニル)、-NH(C1-C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CON(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-CONH(C1-C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1-C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1-C4アルキル、-C(O)C1-C4フェニル、-C(O)C1-C4ハロアルキル、-OC(O)C1-C4アルキル、-SO2(C1-C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1-C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)、および-NHSO2(C1-C4ハロアルキル)から独立して選択される1つ以上の置換基により置換される。アミノカルボニルには、カルバモイル、低級アルキルカルバモイル、ベンジルカルバモイル、フェニルカルバモイル、メトキシメチルカルバモイルなどが含まれる。
【0031】
ハロゲンまたはハロは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。フッ素、塩素および臭素が好ましい。ジハロアリール、ジハロアルキル、トリハロアリール等は、指定された数のハロゲン(ここでは、それぞれ2、2および3)により置換されたアリールおよびアルキルを指すが、複数の同じハロゲンである必要はない。したがって、4-クロロ-3-フルオロフェニルはジハロアリールの範囲に含まれる。
【0032】
ヘテロシクリルは、1〜4の炭素が酸素、窒素または硫黄のようなヘテロ原子により置き換えられているシクロアルキルまたはアリール残基を意味する。本発明の範囲に含まれるヘテロシクリルの例には、アゼチジニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキシル(置換基として存在する場合には、通常メチレンジオキシフェニルと呼ばれる)、テトラゾリル、モルホリニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピペリジニル、ピリミジニル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソキサゾリル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル等が含まれる。「N-ヘテロシクリル」は、窒素を含むヘテロシクリルを指す。ヘテロシクリルの用語は、ヘテロシクリルの一部であるヘテロアリールを含む。N-ヘテロ環残基の例には、アゼチジニル、4-モルホリニル、4-チオモルホリニル、1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、3-チアゾリジニル、ピペラジニルおよび4-(3,4-ジヒドロベンズオキサジニル)が含まれる。置換されたヘテロシクリルの例には、4-メチル-1-ピペラジニルおよび4-ベンジル-1-ピペリジニルが含まれる。
【0033】
脱離基または原子は、反応条件下で出発物質から開裂することにより特定の位置における反応を促進する基または原子である。このような基の好適な例は、他に特定しない限り、ハロゲン原子、メシルオキシ、p-ニトロベンゼンスルホニルオキシおよびトシルオキシ基である。
【0034】
「〜されていてもよい」とは、〜に記載された事柄または状態が起こっても起こらなくてもよいこと、およびその記載が上記の事柄または状態が起こった場合の例および起こらなかった場合の例を含むことを意味する。たとえば、「置換されていてもよいアルキル」は、本明細書に定義される「アルキル」および「置換されたアルキル」を含む。当業者は、1つ以上の置換基を有する基に関して、このような基が立体的に実現不可能および/または合成不可能および/または本質的に不安定である置換または置換のパターンを導入することを意図するものではないことを理解するであろう。
【0035】
置換アルコキシは、アルキル部分が置換されたアルコキシ(すなわち、-O-(置換アルキル))を指す。1つの好適な置換アルコキシ基は、「ポリアルコキシ」または-O-(置換されていてもよいアルケン)-(置換されていてもよいアルコキシ)であって、-OCH2CH2OCH3のような基、およびポリエチレングリコールのようなグリコールエステルの残基、および-O(CH2CH2O)xCH3(式中、xは約2〜20、好ましくは約2〜10、より好ましくは約2〜5の整数である)を含む。別の好適な置換アルコキシ基は、ヒドロキシアルコキシまたは-OCH2(CH2)yOH(式中、yは約1〜10、好ましくは約1〜4の整数である)である。
【0036】
置換されたアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、1つ以上(好ましくは、約5まで、より好ましくは約3まで)の水素原子が下記の群から独立して選択される置換基により置き換えられているアルキル、アリールおよびヘテロアリールを指す:すなわち、
-Ra、-ORb、-O(C1-C2アルキル)O-(たとえば、エチレンジオキシまたはメチレンジオキシ)、-SRb、グアニジン、1つ以上のグアニジン水素が低級アルキル基で置換されたグアニジン、-NRbRc、ハロゲン、シアノ、ニトロ、-CORb、-CO2Rb、-CONRbRc、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-CO2Rb、-CONRbRc、-NRcCORb、-SORa、-SO2Ra、-SO2NRbRc、および-NRcSO2Ra
式中、
Raは、置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、またはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり;
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、またはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり;
Rcは、水素またはC1-C4アルキルであり;また、
それぞれ置換されていてもよいRa基およびRb基は、独立して、置換されていないか、または、C1-C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、ヘテロアリール-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、-OC1-C4アルキル、-OC1-C4アルキルフェニル、-C1-C4アルキル-OH、-OC1-C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1-C4アルキル-NH2、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキルフェニル)、-NH(C1-C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、-CO2H、-C(O)C1-C4アルキル、-CON(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-CONH(C1-C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1-C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1-C4アルキル、-C(O)C1-C4フェニル、-C(O)C1-C4ハロアルキル、-OC(O)C1-C4アルキル、-SO2(C1-C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1-C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)、およびNHSO2(C1-C4ハロアルキル)から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されている。Tおよび/またはT'が置換低級アルキレンである式Iの化合物において、「置換」という用語は、1つ以上の(特に1つまたは2つ)の炭素原子がO、NまたはSから独立して選択されるヘテロ原子と置き代わったアルキレン基、たとえば-CH2-S-CH2-も包含する。
【0037】
スルファニルは、-S-(置換されていてもよいアルキル)、-S-(置換されていてもよいアリール)、-S-(置換されていてもよいヘテロアリール)、および-S-(置換されていてもよいヘテロ環)基を指す。
【0038】
スルフィニルは、-S(O)-H、-S(O)-(置換されていてもよいアルキル)、-S(O)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O)-(置換されていてもよいヘテロアリール)、-S(O)-(置換されていてもよいヘテロ環)、および-S(O)-(置換されていてもよいアミノ)基を指す。
【0039】
スルホニルは、-S(O2)-H、-S(O2)-(置換されていてもよいアルキル)、-S(O2)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロアリール)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロ環)、-S(O2)-(置換されていてもよいアルコキシ)、-S(O2)-(置換されていてもよいアリールオキシ)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロアリールオキシ)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ)、および-S(O2)-(置換されていてもよいアミノ)基を指す。
【0040】
製薬上許容される塩は、遊離の化合物の生物学的有効性を保持しており、生物学的に望ましくないものや医薬用途に不適切なものではなく、適切な酸または塩基と共に形成された塩を指し、製薬上許容される酸付加塩および塩基付加塩を含む。
【0041】
製薬上許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸に由来するもの、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等のような有機酸に由来するものが含まれる。
【0042】
製薬上許容される塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等のような無機塩基に由来するものが含まれる。特定の実施形態は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。塩基付加塩にはまた、第1、第2,および第3アミン、置換アミン、たとえば、天然に存在する置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂の塩を含む、製薬上許容される有機非毒性塩基、たとえば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンに由来するものが含まれる。
【0043】
保護基は、有機合成に関して一般的に用いられる意味で、多官能化合物における1つ以上の反応部位を選択的に遮断する基で、それにより化学反応が別の保護されていない反応部位で選択的に行われ、また上記基は選択的反応が終了した後に容易に除去することができるものである。さまざまな保護基が、たとえば、T.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts, 「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis)、第3版、John Wiley & Sons, New York (1999)に開示されている。この文献全体を参照により本明細書に組み入れる。たとえば、ヒドロキシ保護型は、化合物中に存在する少なくとも1つのヒドロキシ基がヒドロキシ保護基により保護されているものである。また、アミンおよび他の反応性基も同様に保護される。
【0044】
溶媒和物は、溶媒と一般式Iの化合物またはその塩の相互作用により形成される化合物を指す。一般式Iの化合物またはその塩の好ましい溶媒和物は、水和物のような製薬上許容される溶媒和物である。
【0045】
本明細書に記載される化合物の多くが1つ以上の不斉中心(たとえば、R2およびR2’が結合しており、R2がR2’と異なるような炭素)を有し、そのためエナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の用語で(R)-または(S)-として定義される他の立体異性体を与える。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形および中間の混合物を含む、上記の可能な異性体のすべてを含むことを意味する。光学活性な(R)-および(S)-異性体はキラルシントンまたはキラル試薬を用いて調製、または通常の技術を用いて分割することができる。本明細書に記載された化合物がオレフィンの二重結合または他の幾何非対称の中心を有する場合、他に特に記載されない限り、化合物はEおよびZ幾何異性体の両方を含むものとする。同様に、すべての互変異性体および回転異性体もまた含まれるものとする。
【0046】
必要ならば、R-およびS-異性体を当業者に公知の方法により分割してもよい。上記方法の例としては、たとえば結晶化により分離することができるジアステレオマー塩または複合体の形成;たとえば結晶化、ガス-液体もしくは液体クロマトグラフィーにより分離することができるジアステレオマー誘導体の形成;たとえば酵素的酸化または還元のようなエナンチオマー特異的試薬との一方のエナンチオマーの選択的反応の後、修飾されたおよび修飾されないエナンチオマーを分離すること;または、キラルな環境、たとえば、キラルリガンドが結合したシリカのようなキラル支持体上またはキラル溶媒の存在下におけるガス-液体または液体クロマトグラフィーが挙げられる。望まれるエナンチオマーを上記の分離方法の1つにより別の化学物質に変えた場合には、望まれるエナンチオマーの形を遊離させるための付加的なステップが必要となることは理解されるであろう。あるいは、光学活性な試薬、基質、触媒または溶媒を用いる不斉合成により、または不斉変換によって一方のエナンチオマーを他方のものに変換することにより特定のエナンチオマーを合成してもよい。
【0047】
本発明の化合物
本発明は、1つ以上の有糸分裂キネシンの阻害剤である新規の化合物のクラスに関する。理論に拘束されることを目的としないが、本発明は、有糸分裂キネシン機能の混乱が有糸分裂紡錘体の形成異常または機能不全を起こし、しばしば細胞周期の停止および細胞の死をもたらすという知見を利用している。本発明の一実施形態によれば、本明細書に記載される化合物は有糸分裂キネシン、KSP、特にヒトKSPを阻害する。別の実施形態によれば、上記化合物は有糸分裂キネシン、KSPを阻害すると同時に、HSET(米国特許第6,361,993号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);MCAK(米国特許第6,331,424号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);CENP-E(PCT公開番号WO 99/13061を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);Kif4(米国特許第6,440,684号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);MKLP1(米国特許第6,448,025号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);Kif15(米国特許第6,355,466号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);Kid(米国特許第6,387,644号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);Mppl、CMKrp、KinI-3(米国特許第6,461,855号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);Kip3a(PCT公開番号WO 01/96593を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);Kip3d(米国特許第6,492,151号を参照されたい。この文献を参照により本明細書に組み入れる);およびRabK6から選択される1つ以上のヒト有糸分裂キネシンをモジュレートする。
【0048】
有糸分裂キネシンを阻害する方法は、本発明の阻害剤をキネシン、特にヒトキネシン、より詳しくはヒトKSPまたはその断片および変異体と接触させることを含む。阻害は、有糸分裂紡錘体を崩壊させるような、KSPキネシンのATP加水分解活性に対するものおよび/または有糸分裂紡錘体形成活性に対するものであり得る。減数分裂紡錘体もまた崩壊する。
【0049】
本発明は、細胞増殖に伴う障害を治療するための、有糸分裂キネシン、特にKSP、とりわけヒトKSPの阻害剤を提供する。本明細書中に記載の化合物、組成物および方法は、その選択性が異なっている可能性があり、また癌、過形成、再狭窄、心肥大、免疫障害、真菌障害および炎症を含むがこれらに限定されない細胞増殖性疾患を治療するために使用される。
【0050】
従って、本発明は、一般式I:
【化2】

【0051】
[式中、
TおよびT’は独立して共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R2およびR2’は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR2およびR2’は共同して置換されていてもよい3〜7員の環を形成し、該環はその環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく;
R3は、水素基、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、-C(O)-R6、および-S(O)2-R6aから選択され;
R4およびR4’は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成し;
R5は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、
またはR5はR3およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環はそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく、
またはR5はR2と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環はそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく;
R6は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR8-NH-から選択され;
R6aは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルヘテロアリール、およびR8-NH-から選択され;
R7は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;そして
R8は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択される]
(一般式Iは単一の立体異性体および立体異性体の混合物を含む)
で表される化合物;
一般式Iの化合物の製薬上許容される塩;
一般式Iの化合物の製薬上許容される溶媒和物;または
一般式Iの化合物の製薬上許容される塩の製薬上許容される溶媒和物
を使用する方法に関する。
【0052】
特定の実施形態において、R2およびR2’が結合している立体中心はR-配置をとる。
【0053】
命名
一般式Iの化合物は(たとえば、AutoNomバージョン2.1またはISIS-DRAWを利用して)下記の通りに命名し、かつ番号付けすることができる。たとえば、化合物:
【化3】

【0054】
すなわち、R1がベンジルであり、R2がプロピル(またはi-プロピル)であり、R2’が水素であり;R3が-COR6であり;R6がp-トリルであり;R5が3-アミノプロピル-であり;そしてR4およびR4’が水素である一般式Iの化合物は、N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミドと命名することができる。
【0055】
同様に、化合物:
【化4】

【0056】
すなわち、R1がベンジルであり、R2がプロピル(またはi-プロピル)であり、R2’が水素であり;R3が-COR6であり;R6がp-トリルであり;R5が3-アミノプロピル-であり;そしてR4およびR4’がイソプロピリデン基を形成する一般式Iの化合物は、N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-6-イソプロピリデン-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミドと命名することができる。
【0057】
合成反応のパラメーター
式Iの化合物は、下記の反応スキームを参照しながら記載の手順に従って調製できる。
【0058】
他に特定しない限り、「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」の用語は、これと関連して記載される反応条件下で不活性な溶媒を意味し、たとえば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(“THF”)、ジメチルホルムアミド(“DMF”)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジン等を含む。別に特定しない限り、本発明の反応に用いられる溶媒は不活性有機溶媒である。
【0059】
一般的に、カルボン酸のエステルは、通常のエステル化方法により調製される。たとえば、アルキルエステルは、要求されるカルボン酸を、一般的に酸性条件下で適当なアルカノールにより処理することにより調製される。同様に、アミドは通常のアミド化方法を用いて調製される。たとえば、アミドは、活性化したカルボン酸を適切なアミンにより処理することによって調製される。あるいは、Tetrahedron Lett. 48, 4171-4173, (1977)に記載される方法に従って、酸のメチルエステルのような低級アルキルエステルを、必要に応じてトリメチルアルミニウムの存在下でアミンにより処理して要求されるアミドを得てもよい。カルボキシル基はアルキルエステル、たとえばメチルエステルとして保護してもよい。このエステルは、通常の方法を用いて調製および除去することができるが、カルボメトキシをカルボキシルに変換する1つの便利な方法は、水酸化リチウム水溶液を用いるものである。
【0060】
本明細書に記載される化合物の塩および溶媒和物は、必要に応じて当業者が通常行う方法により作られる。たとえば、本発明の化合物が酸である場合、アミン(第1,第2および第3)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等のような無機または有機塩基により遊離の酸を処理することにより所望の塩基付加塩が調製される。適当な塩の例には、グリシンおよびアルギニンのようなアミノ酸;アンモニア;第1、第2および第3アミン;エチレンジアミン、およびシクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリン、およびピペラジンのような環状アミンに由来する有機塩、ならびに、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウムに由来する無機塩が含まれる。
【0061】
化合物が塩基である場合、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸により、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸またはガラクツロン酸のようなピラノシジル酸、クエン酸または酒石酸のようなアルファヒドロキシ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸のようなアミノ酸、安息香酸またはケイ皮酸のような芳香族酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸のようなスルホン酸等のような有機酸により遊離の塩基を処理することを含む、当業者に公知の適当な方法により、所望の酸付加塩が調製される。
【0062】
本明細書に記載される化合物および中間物質の単離および精製は、必要ならば、たとえば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィー、またはこれらの方法の組合せのような適当な分離または精製法により行ってもよい。適当な分離および単離法の具体的な説明は下記の実施例に記載する。けれども、他の同等の分離または単離法ももちろん使用することができる。
【0063】
一般式Iの化合物の合成
下記の反応スキームを参照して記載する手順に従って、一般式Iの化合物を調製することができる。
【0064】
反応スキームの簡単な説明
反応スキーム1Aは、R3が-COR6である一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム1Bは、一般式107の化合物の代替合成について例示したものである。
反応スキーム2は、R3が-SO2R6aである一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム3は、一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム4は、R3がR5と共同して置換されていてもよいイミダゾリルを形成する一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム5は、R3がR5と共同して置換されていてもよいイミダゾリルを形成する一般式Iの化合物の別の合成について例示したものである。
反応スキーム6は、R3がR5と共同して置換されていてもよいイミダゾリニルを形成する一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム7は、R3がR5と共同して置換されていてもよいイミダゾリニルを形成する一般式Iの化合物の第2の合成について例示したものである。
反応スキーム8は、R3が-COR6であり、かつR6が-OR7である一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム9は、R3が-COR6であり、かつR6が-NHR8である一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム10は、R3がR5と共同して置換されていてもよいジアゼピノンを形成する一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム11は、R3がR5と共同して置換されていてもよいジアゼピノンを形成する一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
反応スキーム12は、R3がR5と共同して置換されていてもよいヘテロ環を形成する一般式Iの化合物の合成について例示したものである。
【0065】
出発物質
置換されていてもよい一般式101の化合物および他の反応物質は、たとえばAldrich Chemical Company, Milwaukee, WIから市販されているが、当業者であれば、通常使用される合成技術を用いて容易に調製することができる。
【0066】
反応スキーム1A
【化5】

【0067】

【0068】

【0069】
一般式103の化合物の調製
反応スキーム1Aのステップ1を参照して、一般式101(好ましくは、式中のアミノ保護基PGはCBZである)の化合物の、THFのような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、約0℃で、過剰な(好ましくは約1.2当量)のエチルクロロホルメート、およびトリエチルアミンのような塩基を加える。この反応混合物を窒素下で攪拌する。約1時間後、過剰な(好ましくは約1.2当量の)一般式R1NH2の化合物を、約5分間かけて加える。添加終了後、この反応溶液を室温に温める。約1時間後、一般式103の化合物である生成物を単離および精製する。
一般式105の化合物の調製
反応スキーム1Aのステップ2を参照して、一般式103の化合物の、CH2Cl2のような非極性、非プロトン性溶媒中の懸濁液に、過剰なヘキサフルオロリン酸トリエチルオキソニウムを加える。得られた混合物を約14時間攪拌する。一般式105の化合物である生成物を単離し、これをそれ以上精製を行わずに次のステップに使用する。
【0070】
一般式107の化合物の調製
反応スキーム1Aのステップ3を参照して、前記の一般式105の化合物の、エタノールのような極性、プロトン性溶媒中の溶液に、過剰な(好ましくは約1.2当量の)(アミノオキシ)酢酸ヘミ塩酸塩、およびDIEAのような塩基を加える。得られた混合物を約14時間攪拌する。この溶液を濃縮する。得られた残渣をトルエン中に溶解し、約10時間還流する。一般式107の化合物である生成物を単離および精製する。
一般式109の化合物の調製
その後、反応スキーム1Aのステップ4を参照して、アミノ保護基PGを除去する。PGがCBZである場合、30% HBr含有酢酸中の一般式107の化合物の溶液を処理することにより、該CBZを除去することができる。一般式109の化合物である生成物を単離し、これをそれ以上精製を行わずに次のステップに使用する。
一般式111の化合物の調製
反応スキーム1Aのステップ5を参照して、一般式109の化合物の、CH2Cl2のような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、約0℃で、過剰な(好ましくは約1.2当量の)R5’を含むアルデヒド(すなわち、一般式R5’CHOを有する化合物であり、ここでR5’CH2-はR5に相当し、かつR5は上記の通りであるかまたはかかる置換基が保護された前駆物質、たとえば、(3-オキソ-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルである)、およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を連続的に加える。この反応混合物を約2時間攪拌する。追加のアルデヒド(約0.6当量)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(約0.3当量)を加える。得られた混合物を窒素下で約2時間攪拌する。一般式111の化合物である生成物を単離し、これをそれ以上精製を行わずに次のステップに使用する。
一般式113の化合物の調製
反応スキーム1Aのステップ6を参照して、一般式111の化合物およびDIEAのような塩基の、CH2Cl2のような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、約0℃で、過剰な(好ましくは約2.7当量の)一般式R6-(CO)-Clの酸塩化物を加える。得られた溶液を窒素下、室温で約20時間攪拌する。一般式113の化合物である生成物を単離および精製する。
R5が保護されたアミンをさらに含む実施形態においては、その保護基を除去することができる。たとえば、該アミノ保護基がBocである場合、一般式115の化合物のCH2Cl2のような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液をトリフルオロ酢酸で処理することにより、該Bocを除去することができる。一般式Iの化合物である生成物を単離および精製する。
【0071】
光学活性化合物の調製
本発明のある種の化合物では、R2およびR2’が結合している立体中心、またはR4およびR4’が結合している立体中心において、特定の立体配置(たとえば、(R)異性体)が好ましい。光学活性化合物は、当分野で公知の方法により調製することができる。たとえば、一般式109のアミンを不活性有機溶媒(たとえば、IPA)中に溶解し、60℃に温める。別の容器において、分割剤(たとえば、ジベンゾイル-D-酒石酸)を、好ましくは前記と同一の温かい溶媒中に溶解し、次いでこれを前記の温かいアミン溶液に(攪拌しながら)素早く加える。この反応混合物を、攪拌を続けながら16時間かけて室温に冷却することにより結晶化させる。所望の異性体(たとえば、一般式109aとして例示される(R)異性体)を単離および精製する。
【0072】
一般式Iの化合物の合成に関する残りの説明を簡略化するために、単一異性体または異性体混合物を使用してその対応生成物を得る場合があることを理解されたい。
【0073】
反応スキーム1B
【化6】

【0074】

【0075】
一般式115の化合物の調製
反応スキーム1Bのステップ1を参照して、一般式105の化合物の溶液に、非プロトン性溶媒中のヒドロキシルアミンを加える。得られた溶液を窒素下、室温で(または必要に応じて加熱しながら)約20時間攪拌する。一般式115の化合物である生成物を単離および精製する。
【0076】
一般式117の化合物の調製
反応スキーム1Bのステップ2を参照して、一般式115の化合物およびDIEAのような塩基の、CH2Cl2のような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、過剰な一般式X-(CR4R4’)CO2R(Xは脱離基であり、Rは低級アルキル基である)のエステルを加える。得られた溶液を窒素下、室温で約20時間攪拌する。一般式117の化合物である生成物を単離および精製する。
一般式107の化合物の調製
反応スキーム1Bのステップ3を参照して、前記の一般式117の化合物の、トルエンのような非極性、プロトン性溶媒中の溶液を、約10時間還流する。一般式107の化合物である生成物を単離および精製する。
反応スキーム2
【化7】

【0077】
反応スキーム2を参照して、一般式111の化合物およびジイソプロピルエチルアミンのようなアミン塩基の、ジクロロメタンのような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、一般式Cl-S(O)2-R6aまたはO-(S(O)2-R6a)2(R6aは上記の通りである)を有する化合物を加える。得られた溶液を窒素下、室温で数時間攪拌する。一般式203の化合物である生成物を単離および精製する。
【0078】
反応スキーム3
【化8】

【0079】
反応スキーム3を参照して、一般式111の化合物およびジイソプロピルエチルアミンのようなアミン塩基の、ジクロロメタンのような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、一般式X-R3(R3は上記の通りであり、Xは脱離基である)を有する化合物を加える。得られた溶液を窒素下、室温で、または加熱しながら、数時間攪拌する。一般式303の化合物である生成物を単離および精製する。
反応スキーム4
【化9】

【0080】
一般式401の調製
反応スキーム4のステップ1を参照して、極性、非プロトン性溶媒(たとえば、DMF)中に溶解した置換されていてもよい一般式109の化合物に、塩基(たとえば、炭酸カリウム)の存在下で、1当量の置換されていてもよい適切に保護されたアルデヒドを加える。この際、該アルデヒドは脱離基、好ましくはハライド(たとえば、ブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール)をさらに含む。この溶液を、反応の終結を(たとえば、TLCにより)モニターしながら、加熱還流する。反応混合物を冷却し、対応する、置換されていてもよい一般式401の化合物を単離および精製する。
【0081】
一般式403の調製
反応スキーム4のステップ2を参照して、不活性溶媒(たとえば、ジクロロメタン)中の置換されていてもよい一般式401の化合物に、約1.5モル当量のアミン塩基(たとえば、トリエチルアミン)の存在下で、約1.5モル当量の、Cl-C(O)-R10のようなR10酸塩化物(R10は下記の通りである)を加える。室温で4〜24時間、攪拌しながら、反応を生じさせる。反応の終結を、たとえば、TLCによりモニターする。対応する一般式403の化合物を単離および精製する。
【0082】
一般式405の調製
反応スキーム4のステップ3を参照して、一般式403の化合物および過剰な酢酸アンモニウムの酢酸中の溶液を、1〜4時間加熱還流する。反応の終結を、たとえば、TLCによりモニターする。対応する一般式405の化合物を単離および精製する。
【0083】
反応スキーム5
【化10】

【0084】

【0085】
一般式503の調製
反応スキーム5のステップ1を参照して、一般式109の化合物、一般式R12’(CO)CH2X(Xは脱離基、より好ましくはハライドであり、R12’は本明細書中に記載した通りである)のα-ハロケトン試薬、および約1当量の炭酸カリウムのような塩基の、DMFのような極性、非プロトン性溶媒中の懸濁液を、室温で攪拌する。反応液を水で希釈し、その結果得られた固体である一般式503の化合物を、それ以上精製を行わずに次のステップに使用する。
【0086】
一般式505の調製
反応スキーム5のステップ2を参照して、一般式503の化合物、約1当量のトリエチルアミンのようなアミン塩基、および約1当量の酸塩化物(たとえば、一般式R10-COClの化合物)の、塩化メチレンのような有機溶媒中の溶液を、室温で数時間攪拌する。反応の終結を、たとえば、TLCによりモニターする。対応する一般式505の化合物を単離および精製する。
【0087】
一般式507の調製
反応スキーム5のステップ3を参照して、一般式505の化合物および過剰な酢酸アンモニウムの酢酸中の溶液を、Dean-Stark トラップおよび冷却器を用いて加熱還流する。反応の終結を、たとえば、TLCによりモニターする。対応する一般式507の化合物を単離および精製する。
【0088】
一実施形態において、R12’が保護されたアミノアルキル基を含む場合、このアミノ保護基を除去することができる。たとえば、該アミノ基が対応するイソインドール-1,3-ジオンとして保護されている場合、一般式507の化合物および過剰な無水ヒドラジンの、エタノールのような極性、プロトン性溶媒中の溶液を、加熱還流する。この反応液を約5℃に冷却し、沈殿物を濾過する。濾液を減圧濃縮し、精製して、対応する遊離アミンを得る。
【0089】
反応スキーム6
【化11】

【0090】

【0091】
一般式603の調製
反応スキーム6のステップ1を参照して、一般式109のアミンを置換されていてもよいアルデヒド含有カルバミン酸エステルで還元的にアミノ化して、ウレタン中間物質を得る。Boc保護基を除去すれば、一般式603のアミンが得られる。
【0092】
より具体的に言うと、一般式109の化合物および1当量の適切に保護されたアルデヒド(Sekiら、Chem. Pharm. Bull. 1996, 44, 2061)のジクロロメタン中の溶液に、少し過剰なトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を加える。得られた混濁混合物を周囲温度で維持する。反応の終結を、たとえば、TLCによりモニターする。対応する一般式603の化合物を単離し、精製を行わずに次のステップに使用する。
【0093】
一般式605の調製
反応スキーム6のステップ2を参照して、一般式603の化合物の、ジクロロメタンのような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、トリフルオロ酢酸のような強酸を加える。得られた溶液を周囲温度で一晩維持し、減圧下で濃縮する。残渣を単離することにより一般式605の化合物を得て、これを精製を行わずに次のステップに使用する。
【0094】
一般式607の調製
反応スキーム6のステップ3を参照して、一般式605の化合物の、ジクロロメタンのような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、過剰な、好ましくは約2当量のトリエチルアミンのようなアミン塩基、次いで約1当量または少し過剰な酸塩化物を加える。得られた溶液を周囲温度で約3時間攪拌する。反応の終結を、たとえば、TLCによりモニターする。対応する一般式607の化合物を単離および精製する。
【0095】
一般式609の調製
反応スキーム6のステップ4を参照して、一般式607の化合物の過剰なオキシ塩化リン中の溶液を加熱還流する。8時間後、この反応混合物を周囲温度に冷却し、減圧下で濃縮する。対応する一般式609の化合物を単離および精製する。
【0096】
反応スキーム7
【化12】

【0097】
一般式609の調製
反応スキーム6のステップ3および4の別法として、一般式605の第1アミンのアシル化とその後の酢酸仲介性の環化を、中間物質であるアミドを単離せずに行って、目的とする一般式609の化合物を得ることができる。この経路を反応スキーム7に示す。
【0098】
より具体的に言うと、一般式605の化合物の、ジクロロメタンのような非極性、非プロトン性溶媒中の溶液に、過剰な、好ましくは約2当量のトリエチルアミンのようなアミン塩基、次いで約1当量の酸塩化物を加える。得られた溶液を周囲温度で2時間攪拌した後、減圧下で蒸発させる。得られた固体を氷酢酸で処理した後、得られた懸濁液を約48時間加熱還流する。反応液を周囲温度に冷却した後、減圧下で蒸発させる。対応する一般式609の化合物を単離および精製する。
【0099】
反応スキーム8
【化13】

【0100】
反応スキーム8を参照して、一般式111の化合物を、ジクロロメタンのような非極性、非プロトン性溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、少し過剰な一般式R7O(CO)Clの化合物と反応させる。一般式803の化合物である生成物を単離および精製する。
【0101】
反応スキーム9
【化14】

【0102】
反応スキーム9を参照して、一般式111の化合物を、ジクロロメタンのような非極性、非プロトン性溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、少し過剰なイソシアネートR8-N=C=Oを用いて処理する。一般式903の化合物である生成物を単離および精製する。
【0103】
反応スキーム10
【化15】

【0104】
反応スキーム10を参照して、一般式109の化合物中の第1アミノ基を(2-オキソ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルで還元的にアミノ化して、対応する第2アミンを得る。塩化アクリロイルによるアシル化とその後の第3アミドの脱保護および塩基仲介性の環化により、所望のジアゼパノンを得る。必要に応じて、当業者に周知の条件下で、塩基性アミンのさらなる官能化を行うことができる。
【0105】
反応スキーム11
【化16】

【0106】
反応スキーム11を参照して、一般式109の化合物中の第1アミノ基を(2-オキソ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルで還元的にアミノ化して、対応する第2アミンを得る。塩化クロロピバロイルによるアシル化とその後の第3アミドの脱保護および塩基仲介性の環化により、所望のジアゼパノンを得る。必要に応じて、当業者に周知の条件下で、塩基性アミンのさらなる官能化を行うことができる。
【0107】
反応スキーム12
【化17】

【0108】
反応スキーム12を参照して、一般式1201の化合物、1/2モル当量の置換されていてもよいピペラジンまたはジアゼパム(上記の通りであり、式中のR32は本明細書中に記載した通りである)、および過剰な炭酸カリウムを、有機溶媒(たとえば、アセトニトリル)中で合わせる。窒素雰囲気下、高温(たとえば、100℃)で8時間、その後は幾らか低い温度(たとえば、60℃)で5日間、反応を生じさせる。一般式1203の化合物である生成物を単離および精製する。
【0109】
状況に応じて、R32がBocのようなアミン保護基である場合、これをたとえばTFA/水の95/5混合物で処理し、次いで室温で1時間攪拌することにより、除去することができる。一般式1203の化合物(式中のR32は水素である)である生成物を単離および精製することができる。必要に応じて、当業者に周知の条件下で、塩基性アミンのさらなる官能化を行うことができる。
【0110】
特定のプロセス
一般式Iの化合物を製薬上許容される酸または塩基と接触させることにより、対応する酸または塩基付加塩を形成してもよい。
【0111】
一般式Iの化合物の製薬上許容される酸付加塩を塩基と接触させることにより、対応する一般式Iの遊離塩基を形成してもよい。一般式Iの化合物の製薬上許容される塩基付加塩を酸と接触させることにより、対応する一般式Iの遊離酸を形成してもよい。
【0112】
一般式Iの化合物の異性体のラセミ混合物をクロマトグラフィーカラム上に載せ、(R)-および(S)-エナンチオマーに分離する。
【0113】
特定の化合物
TおよびT’
本発明の化合物について考慮する場合、Tは置換されていてもよい低級アルキレンであるかまたは共有結合であり;かつT’は置換されていてもよい低級アルキレンであるかまたは共有結合である。一実施形態においては、TおよびT’の一方は共有結合であり、かつ他方は置換されていてもよい低級アルキレン(特に、置換されていてもよいメチレン)である。別の実施形態においては、両方とも共有結合である。
【0114】
R1
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択される。より特定の実施形態において、R1は、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、および置換されていてもよいアラルキル(特に、置換されていてもよいアラルキル)から選択される。
【0115】
最も特定の実施形態において、R1は、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、および(エトキシカルボニル)エチルから選択される。より特定の実施形態において、R1は、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、および(エトキシカルボニル)エチルから選択される。
【0116】
最も特定的には、R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルである。最も特定的には、R1はベンジルである。
【0117】
R2
本発明の化合物について考慮する場合、当業者であれば理解されるように、本明細書中に記載の化合物は、R2およびR2’が結合している炭素にキラル中心を有する可能性がある。R2およびR2’基は同一であっても異なっていてもよく、異なる場合、その化合物はキラルである(すなわち、立体中心を有する)。R2およびR2’が異なる場合、特定の実施形態において、R2’は水素であり、R2は水素以外である。本発明は純粋なエナンチオマー、およびラセミ混合物を含むエナンチオマーの混合物の使用を意図しているが、一般的には、実質上光学的に純粋なエナンチオマーの使用が好ましい。「実質上光学的に純粋」または「鏡像異性的に純粋」という用語は、少なくとも約95%の記載されたエナンチオマーを有し、かつ単一の不純物を約1%よりも多く含まないことを意味し、特に少なくとも約97.5%鏡像異性的に過剰であることを意味する。特定の実施形態において、R2およびR2’が結合している立体中心はR配置をとる。
【0118】
一実施形態において、R2は置換されていてもよいC1-C4アルキルであり、R2’は水素または置換されていてもよいC1-C4アルキルである。より特定的には、R2’は水素であり、R2は置換されていてもよいC1-C4アルキルである。最も特定の実施形態において、R2はメチル、エチル、プロピル(特に、c-プロピルまたはi-プロピル)、ブチル(特に、t-ブチル)、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチル、およびヒドロキシメチルから選択され、R2’は水素である。特に好ましいのは、R2’が水素であり、R2がエチルまたはプロピル(特に、c-プロピルもしくはi-プロピル)である場合である。より特定的には、R2はi-プロピルである。より好ましいのは、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとる実施形態である。
【0119】
別の実施形態においては、R2およびR2’は両方水素である。
【0120】
R2はR5と共同する
別の実施形態において、R2およびR5は共同して5〜12員の環を形成し、該環はそのヘテロ環中にN、O、およびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく、また以下の基:ヒドロキシル、ハロゲン(特に、クロロおよびフルオロ)、置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、メチル)、C1-C4アルコキシ(特に、メトキシ)、シアノ、アミノ、置換アミノ、オキソ、またはカルバミルのうちの1つ以上で置換されていてもよい。
【0121】
特定の実施形態において、R2およびR5は共同して、置換されていてもよい一般式:
【化18】

【0122】
[式中、R41およびR41’は独立して水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、置換アラルキル、および置換ヘテロアリールから選択され;mは0、1、2、または3であり;そしてT、T’、R3、およびR2’は上記の通りである]
の環を形成する。より特定の実施形態において、R41は水素である。別の特定の実施形態においては、R41およびR41’は両方水素である。たとえば、2003年9月30日に出願されたPCT出願番号PCT/US03/30788を参照されたい(この出願を、すべて目的のために参照により本明細書に組み入れる)。
【0123】
別の実施形態において、R2およびR5は共同して、置換されていてもよい一般式:
【化19】

【0124】
[式中、R3、R2’、T、およびT’は上記の通りであり;R51およびR51’は独立して水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、置換アラルキルおよび置換ヘテロアリールから選択され;Uは共有結合、CR’R”またはNR’”であり;R’およびR”は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルアミノ、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアルコキシから選択され;そしてR’”は水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるが、UおよびT’は両方が共有結合であることはないものとする]
の環を形成する。
【0125】
特定の実施形態において、R51は、水素または置換されていてもよい低級アルキルであり;より特定的には、R51は水素である。別の実施形態において、R51’は、水素または置換されていてもよい低級アルキルであり;より特定的には、R51’は水素である。
【0126】
一実施形態において、Uは、R’および/またはR”が水素であるCR’R”である。別の実施形態において、Uは、R’”が水素または置換されていてもよいアルキルであるNR’”である。より特定的には、R’”は水素または置換されていてもよいアミノ-低級アルキルである。たとえば、USSN第10/626,012号およびPCT/US03/22319を参照されたい(これら各々を、すべての目的のために参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0127】
R3
本発明の化合物について考慮する場合、R3は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、-C(O)-R6、および-S(O)2-R6aから選択される。一実施形態において、R3は、置換されていてもよいC1-C13アルキル(特に、置換されていてもよいC1-C4アルキル);置換されていてもよいアラルキル(特に、置換されていてもよいベンジルまたはナフチルメチル);および置換されていてもよいヘテロアラルキルである。より特定的には、R3は、ベンジル、または以下の基:カルボキシ、アルコキシカルボニル シアノ、ハロ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、ニトロ、メチレンジオキシ、またはトリフルオロメチルのうちの1つ以上で置換されたベンジルである。別の実施形態においては、下記の通り、R3は-C(O)R6である。さらに別の実施形態においては、下記の通り、R3は-SO2R6aである。
【0128】
R4およびR4’
本発明の化合物について考慮する場合、一実施形態において、R4およびR4’は独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される。別の実施形態においては、R4およびR4’の少なくとも一方は水素である。さらに別の実施形態においては、R4およびR4’は両方水素である。
【0129】
別の実施形態において、R4およびR4’は、それらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する。より特定的には、R4およびR4’は、イソプロピリデン基またはエチリデン基を形成する。
【0130】
R3が-C(O)R6である場合のR6
R3が-C(O)R6である本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、R6は、置換されていてもよいC1-C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール、R11O-およびR12-NH-から選択され;R11は、置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;そしてR12は、水素、置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択される。
【0131】
特定のR6は、置換されていてもよいC1-C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいアリールから選択される。より特定の実施形態において、R6は、
フェニル;
以下の置換基:ハロ;C1-C4アルキル;ヒドロキシで置換されたC1-C4アルキル(たとえば、ヒドロキシメチル);C1-C4アルコキシ;C1-C4アルコキシ、ハロ、ニトロ、ホルミル、カルボキシ、 シアノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アシル(たとえば、アセチル)、-N-アシル(たとえば、N-アセチル)またはトリフルオロメチルで置換されたC1-C4アルキルのうちの1つ以上で置換されたフェニル;
ベンジル;
フェノキシメチル;
ハロフェノキシメチル;
フェニルビニル;
ヘテロアリール;
C1-C4アルキルまたはハロで置換されたC1-C4アルキル(たとえば、CF3)で置換されたヘテロアリール;
C1-C4アルコキシで置換されたC1-C4アルキル;および
ベンジルオキシメチル
から選択される。
【0132】
最も特定の実施形態において、R6は、フェニル、ハロフェニル、ジハロフェニル、シアノフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、ヒドロキシメチル-フェニル、メトキシメチルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、カルボキシフェニル、ホルミルフェニル、エチルフェニル、トリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、メトキシクロロフェニル、メチルハロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、フラニル、C1-C4アルキル置換フラニル、トリフルオロメチルフラニル、C1-C4アルキル置換トリフルオロメチルフラニル、ベンゾフラニル、チオフェニル、C1-C4アルキル置換チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジニル、インドリル、メチルピリジニル、トリフルオロメチルピリジニル、ピロリル、キノリニル、ピコリニル、ピラゾリル、C1-C4アルキル置換ピラゾリル、 N-メチルピラゾリル、C1-C4アルキル置換N-メチルピラゾリル、C1-C4アルキル置換ピラジニル、C1-C4アルキル置換イソキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、モルホリノメチル、メチルチオメチル、メトキシメチル、N-メチルイミダゾリル、およびイミダゾリルから選択される。さらにより特定的には、R6は、置換されていてもよいフェニル(特に、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチル-フェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニル)である。
【0133】
より特定の実施形態において、R6がR8NH-である場合、R8は、水素、C1-C4アルキル;シクロヘキシル;フェニル;およびハロ、トリフルオロメチル、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、またはC1-C4アルキルチオで置換されたフェニルから選択される。
【0134】
最も特定の実施形態において、R6がR8NH-である場合、R8は、水素、イソプロピル、ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ブロモフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、エチルフェニル、トリル、トリフルオロメチルフェニルまたはメチルチオ-フェニルである。
【0135】
R6がR7O-である実施形態において、R7は、置換されていてもよいC1-C8アルキルまたは置換されていてもよいアリールである。
【0136】
R3が-SO2R6aである場合のR6a
一実施形態において、R3が-SO2R6aである場合、R6aは、C1-C13アルキル;フェニル; ナフチル;ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシ、またはトリフルオロメチルで置換されたフェニル;ビフェニリルおよびヘテロアリールから選択される。より特定的には、R6aは、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシ、またはトリフルオロメチルで置換されたフェニル、およびナフチルから選択される。
【0137】
R3はR5と共同する
本発明の化合物について考慮する場合、一実施形態において、R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環には、N、O、およびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよい。
【0138】
特定の実施形態において、R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して、置換されていてもよい一般式:
【化20】

【0139】
[式中、
R10は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいアラルコキシ、置換されていてもよいヘテロアラルコキシ、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択され;そして
R12およびR12'は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいアラルキルである]
のイミダゾリル環を形成する。
【0140】
より特定的には、R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾリル環を形成する場合、R10は、アリール(特に、フェニル)、置換アリール(特に、低級アルキル、低級アルコキシ、および/もしくはハロ置換フェニル)、アラルキル(特に、ベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルコキシ(特に、フェノキシ低級アルキル)、ヘテロアラルコキシ、置換アラルキル(特に、置換ベンジルおよび置換スチレニル)、置換ヘテロアラルキル、置換アラルコキシ(特に、置換フェノキシ低級アルキル)、または置換ヘテロアラルコキシである。たとえば、USSN 第10/435,069号およびPCT/US03/14787を参照されたい(これら各々を、参照により本明細書中に組み入れる)。
【0141】
別の特定の実施形態において、R3はR5と共同して、置換されていてもよい一般式:
【化21】

【0142】
[式中、
R10は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいアラルコキシ、または置換されていてもよいヘテロアラルコキシから選択され;そして
R11、R11’、R9、およびR9’は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、および置換されていてもよいアラルキルから選択される]
のイミダゾリニル環を形成する。
【0143】
R3がR5と共同して置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成する場合、特定の実施形態において、R10は、アリール(特に、フェニル)、置換アリール(特に、低級アルキル、低級アルコキシ、および/もしくはハロ置換フェニル)、アラルキル(特に、ベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルコキシ(特に、フェノキシ低級アルキル)、ヘテロアラルコキシ、置換アラルキル(特に、置換ベンジルおよび置換スチレニル)、置換ヘテロアラルキル、置換アラルコキシ(特に、置換フェノキシ低級アルキル)、または置換ヘテロアラルコキシである。
【0144】
R3がR5と共同して置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成する場合、より特定的には、R9は水素または置換されていてもよい低級アルキルであり、R9’は水素または置換されていてもよい低級アルキルである。
【0145】
別の実施形態において、R3はR5と共同して、置換されていてもよい一般式:
【化22】

【0146】
[式中、AおよびBは各々独立してC(R20)(R21)、N(R22)、OおよびSから選択され、ここでR20およびR21は各々独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールから選択され;そしてR22は、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、置換されていてもよいアラルキルカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルカルボニル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルオキシカルボニルである]
のジアゼピノン環を形成する。より特定の実施形態において、該ジアゼピノン環は、以下の置換基:置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキル、のうちの1つ以上でさらに置換されている。
【0147】
一般式Iの化合物のさらに別の実施形態において、AまたはBの一方はC(R20)(R21)であって、ここでR20およびR21は各々独立してHまたはC1-C4アルキルから選択され、またAまたはBの他方はN(R22)であって、ここでR22はH、C1-C4アルキル、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、C1-C6アルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、置換されていてもよいアラルキルカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルカルボニル、C1-C6アルコキシカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルオキシカルボニルであり、ここで置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基または部分は、置換されていないか、またはC1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、アミノ、C1-C4アルキルアミノ、ジ-C1-C4アルキルアミノ、カルボキシ、C1-C4アルキルカルボニルオキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、カルボキサミド、C1-C4アルキルカルボキサミド、アミノカルボニル、C1-C4アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C4アルキルアミノカルボニル、シアノ、C1-C4アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプトおよびニトロから選択される1つ以上の置換基で置換されている。別の実施形態において、AはC(R20)(R21)であって、ここでR20およびR21は各々HまたはC1-C4アルキルであり、またBはN(R22)であって、ここでR22はH、C1-C4アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、C1-C6アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニルである。一般式Iの化合物の具体的な実施形態において、AはCH2であり、またBはN(R22)であって、ここでR22はH、メチル、ベンジルまたはアセチル(-C(O)メチル)である。たとえば、USSN第60/435,001号を参照されたい(この出願を、すべての目的のために参照により本明細書中に組み入れる)。
【0148】
別の実施形態において、R3はR5と共同して、置換されていてもよい一般式:
【化23】

【0149】
のピペラジンまたはジアゼパムを形成する。R31およびR32は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキル、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;そしてnは1または2である。より特定的には、R31は、アリール(特に、フェニル)、置換アリール(特に、低級アルキル、低級アルコキシ、および/もしくはハロ置換フェニル)、アラルキル(特に、ベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアラルキル、置換アラルキル(特に、置換ベンジルおよび置換フェニルビニル)、または置換ヘテロアラルキルであり;R32は水素であり;そしてnは1である。たとえば、USSN第10/644,244号およびPCT/US03/26093を参照されたい(これら各々を、参照により本明細書中に組み入れる)。
【0150】
R5
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、R5は、水素、置換されていてもよいC1-C13アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、および置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル(特に、水素または置換されていてもよいC1-C13 アルキル)から選択される。
【0151】
より特定的には、R5は、水素、C1-C4-アルキル;シクロヘキシル;ヒドロキシル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4アルキルで置換されたフェニル;ベンジル;およびR16-アルキレン-から選択され、ここでR16は、ヒドロキシル、カルボキシ、(C1-C4アルコキシ)カルボニル、ジ(C1-C4アルキル)アミノ、(C1-C4アルキル)アミノ、アミノ、(C1-C4アルコキシ)カルボニルアミノ、C1-C4アルコキシ、または置換されていてもよいN-ヘテロシクリル(特に、それぞれが置換されていてもよいアゼチジニル、モルホリニル、ピリジニル、インドリル、フラニル、ピロリジニル、ピペリジニルもしくはイミダゾリル)である。
【0152】
特定の実施形態において、R5は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、カルボキシエチル、カルボキシメチル、メトキシエチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、アミノプロピル、メチルアミノプロピル、2,2-ジメチル-3-(ジメチルアミノ)プロピル、アミノエチル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、イソプロピルアミノプロピル、ジイソプロピルアミノエチル、1-メチル-4-(ジエチルアミノ)ブチル、(t-Boc)アミノプロピル、ヒドロキシフェニル、ベンジル、メトキシフェニル、メチルメトキシフェニル、ジメチルフェニル、トリル、エチルフェニル、(オキソピロリジニル)プロピル、(メトキシカルボニル)エチル、ベンジルピペリジニル、ピリジニルエチル、ピリジニルメチル、モルホリニルエチル、モルホリニルプロピル、ピペリジニル、アゼチジニルメチル、アゼチジニルエチル、アゼチジニルプロピル、ピロリジニルエチル、ピロリジニルプロピル、ピペリジニルメチル、ピペリジニルエチル、イミダゾリルプロピル、イミダゾリルエチル、 (エチルピロリジニル)メチル、(メチルピロリジニル)エチル、(メチルピペリジニル)プロピル、(メチルピペラジニル)プロピル、フラニルメチルおよびインドリルエチルから選択される。
【0153】
別の実施形態において、R5はR16-アルキレン-であって、ここでR16は、アミノ、C1-C4アルキルアミノ、ジ(C1-C4アルキル)アミノ、C1-C4アルコキシ、ヒドロキシル、またはN-ヘテロシクリルである。特に、R16はアミノである。特定の実施形態において、R16-アルキレン-のアルキレン部分は、1〜6個の炭素原子を有する。
【0154】
より特定的には、R5は、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、メチルアミノペンチル、メチルアミノヘキシル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジメチルアミノペンチル、ジメチルアミノヘキシル、エチルアミノエチル、エチルアミノプロピル、エチルアミノブチル、エチルアミノペンチル、エチルアミノヘキシル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、ジエチルアミノブチル、ジエチルアミノペンチル、またはジエチルアミノヘキシルであり、最も特定的にはアミノプロピルである。
【0155】
塩形態
本発明は、一般式Iの化合物の製薬上許容される酸付加塩を含む。本発明の化合物の酸付加塩は、適当な溶媒中で、親化合物および過剰な酸(たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン)から標準的な方法で調製される。
【0156】
製薬上許容されない一般式Iの化合物の塩および/もしくは溶媒和物は、一般式Iの化合物の製薬上許容される塩および/もしくは溶媒和物、または一般式Iの化合物それ自体の調製における中間物質として有用となる可能性があるので、そういうものとして本発明の別の態様を成す。
【0157】
特定の亜属
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3は-C(O)R6であり;
R6は、置換されていてもよいフェニル(特に、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチル-フェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル-、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニル)であり;
R4およびR4’は独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択され;
R5はR16-アルキレン-であり;そして
R16は、アミノ、C1-C4アルキルアミノ-、ジ(C1-C4アルキル)アミノ-、C1-C4アルコキシ-、ヒドロキシル、またはN-ヘテロシクリルである。
【0158】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3は-C(O)R6であり;
R6は、置換されていてもよいフェニル(特に、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチル-フェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル-、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニル)であり;
R4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成し;
R5はR16-アルキレン-であり;そして
R16は、アミノ、C1-C4アルキルアミノ-、ジ(C1-C4アルキル)アミノ-、C1-C4アルコキシ-、ヒドロキシル、またはN-ヘテロシクリルである。
【0159】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し;そして
R4およびR4’は独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される。
【0160】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し;そして
R4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する。
【0161】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾール環を形成し;そして
R4およびR4’は独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される。
【0162】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾール環を形成し;そして
R4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する。
【0163】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾリン環を形成し;そして
R4およびR4’は独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される。
【0164】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾリン環を形成し;そして
R4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する。
【0165】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいジアゼピノン環を形成し;そして
R4およびR4’は独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される。
【0166】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいジアゼピノン環を形成し;そして
R4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する。
【0167】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいピペラジン環またはジアゼパム環を形成し;そして
R4およびR4’は独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される。
【0168】
本発明の化合物について考慮する場合、特定の実施形態において、
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジル(特に、ベンジル)であり;
R2’は水素であり;
R2は置換されていてもよいC1-C4アルキル(特に、R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとるC1-C4アルキル)であり;
R3はR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいピペラジン環またはジアゼパム環を形成し;そして
R4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する。
【0169】
特に好適な化合物は、
N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-6-イソプロピリデン-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;および
N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-6-エチリデン-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド
である。
有用性、試験および投与
一般的有用性
製造された後、本発明の化合物には、有糸分裂の改変に関するさまざまな適用の少なくとも1つへの使用法が見いだされる。当業者に理解されるように、有糸分裂はさまざまな方法で改変することができる。すなわち、有糸分裂経路における構成成分の活性を増加または減少させることにより、有糸分裂に影響を与えることができる。言い換えれば、有糸分裂は、ある構成成分を阻害するか活性化するかのいずれかにより平衡を妨害することにより、影響(たとえば、崩壊)され得る。同様のアプローチを、減数分裂を改変するために用いることができる。
【0170】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、有糸分裂紡錘体の形成を阻害するために用いられ、それにより、有糸分裂における延長された細胞周期の停止を引き起こす。ここで、「阻害」は、有糸分裂紡錘体の形成を減少または妨害すること、または有糸分裂紡錘体の機能不全を起こすことを意味する。本明細書において、「有糸分裂紡錘体の形成」とは、有糸分裂キネシンによる微小管の二極構造への組織化を意味する。本明細書において、「有糸分裂紡錘体の機能不全」とは、有糸分裂の停止および単極の紡錘体の形成を意味する。
【0171】
本発明の化合物は、有糸分裂キネシン、KSPに結合する、および/またはその活性を阻害するために有用である。本発明の化合物は他の生物のKSPキネシンに結合する、またはその活性を阻害するために用いることができるが、一実施形態において、KSPはヒトKSPである。ここで、「阻害する」とは、紡錘体極の形成異常、すなわち分離を起こす、あるいは、有糸分裂紡錘体の形態学的混乱を起こす、紡錘体極分離の増加または減少のいずれかを意味する。これらの目的のために、KSPの定義には、KSPの変異体および/または断片をも含む。たとえば、米国特許第6,437,115号を参照されたい。この文献を全体として参照により本明細書に組み入れる。本発明の化合物はKSPに特異性を有することが示されている。けれども、本発明は、上記化合物を他の有糸分裂キネシンに結合させる、またはそれらをモジュレートするために使用することを含む。
【0172】
本発明の化合物は、細胞増殖性疾患を治療するために使用される。本発明により提供される化合物、組成物および方法により治療することができる疾病の状態には、癌(下でさらに論じる)、自己免疫疾患、真菌障害、関節炎、移植片拒絶、炎症性腸疾患、医学的処置、たとえば、手術、血管形成等(これらに限定されない)の後に誘導される細胞増殖が含まれるが、これらに限定されない。治療には細胞増殖の阻害が含まれる。また、細胞は異常な状態ではないが、それでも治療を必要とすると判断される場合がある。したがって、一実施形態において、本発明は、これらの障害または状態の1つに冒されている、または冒される危険のある細胞または個体への適用を含む。
【0173】
本発明により提供される化合物、医薬組成物および方法は、特に、皮膚、乳、脳、頚癌、睾丸癌等のような固形腫瘍を含む癌の治療に有用であると考えられる。より詳細には、治療することができる癌には以下が含まれるが、これらに限定されない:
・心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;
・肺:気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(気管支)癌、気管支腺種、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;
・胃腸管:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド、ビポマ(vipoma))、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);
・尿生殖器官:腎臓(腺癌、ヴィルムス種(腎芽細胞腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、睾丸(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間隙細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);
・肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;
・骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、オステオクロンフローマ(osteochronfroma)(骨軟骨外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫瘍;
・神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経線維腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
・婦人科学:子宮(子宮内膜癌)、頸(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢包腺癌、ムチン性嚢包腺癌、非分類癌)、顆粒膜-包膜細胞腫、Sertoli-Leydig細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫))、ファローピウス管(癌);
・血液学:血液(骨髄性白血病(急性および慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発骨髄腫、脊髄形成異常症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);
・皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、色素性母斑形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;および
・副腎:神経芽腫。
【0174】
本明細書において、癌の治療には、上に記載した状態のいずれか1つに冒された細胞を含む癌細胞の治療が含まれる。従って、本明細書において「癌細胞」という用語は、上に記載した状態のいずれか1つに冒された細胞を含む。
【0175】
本発明の別の有用な実施態様は、式Iの化合物、塩または溶媒和物、およびパッケージインサートまたは該化合物、塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することにより細胞増殖性疾患を治療するための説明書を含むその他の表示を含むキットである。本発明のキット内の式Iの化合物、塩または溶媒和物は、細胞増殖性疾患を治療する過程のための1つ以上の用量として特に提供され、各用量は、医薬品添加物および式Iの化合物、塩または溶媒和物を含む医薬組成物である。
【0176】
試験
KSPをモジュレートする活性のアッセイのために、一般的に、KSPまたは本発明の化合物のいずれかを、分離されたサンプル受容領域を有する不溶性支持体(たとえば、マイクロタイタープレート、アレイ等)に拡散しないように結合する。不溶性支持体は、サンプルが結合することができる組成物で作られるが、可溶性の材料から容易に分離し、また、スクリーニング法全体に適合するものである。上記の支持体の表面は固体または多孔性であって、使用に便利な形状である。適当な不溶性支持体の例には、マイクロタイタープレート、アレイ、膜およびビーズが含まれる。これらは典型的にはガラス、プラスチック(たとえば、ポリスチレン)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、テフロン(登録商標)等で作られる。マイクロタイタープレートおよびアレイは、少量の試薬およびサンプルを用いて多くのアッセイを同時に行うことができるので、特に便利である。具体的なサンプルの結合方法は、それが本発明の試薬および全体の方法に適合し、サンプルの活性を維持し、拡散しないものである限り、いかなるものであってもよい。結合の特定の方法には、抗体の使用(タンパク質が支持体に結合した時に、リガンド結合部位または活性化配列のいずれをも立体的に遮断しないもの)、「粘着性」またはイオン性支持体への直接的結合、化学的架橋、表面上におけるタンパク質または試薬の合成等が含まれる。サンプルを結合した後、過剰な結合していない物質を洗浄により除去する。次に、サンプルが結合した領域を、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは他の無害なタンパク質または他の基と共にインキュベートすることにより遮断する。
【0177】
本発明の化合物は、単独で使用して有糸分裂キネシン、特にKSPの活性を阻害し得る。一実施形態において、本発明の化合物をKSPと混合し、KSPの活性をアッセイする。キネシン(KSPを含む)の活性は当業者に公知であり、1つ以上のキネシンの活性を含む。キネシンの活性には、ATPの加水分解に影響を与える能力;微小管の結合;滑走および重合/解重合(微小管動力学への効果);紡錘体の他のタンパク質への結合;細胞周期制御に関与するタンパク質への結合;キナーゼまたはプロテアーゼのような他の酵素の基質となること;および紡錘体極分離のような特異的なキネシンの細胞活性が含まれる。
【0178】
運動性アッセイを行う方法は当業者に周知である(たとえば、Hallら、(1996), Biophys. J., 71:3467-3476; Turnerら、1996, AnaL Biochem. 242(1):20-5; Gittesら、1996, Biophys. J. 70(1):418-29; Shirakawaら、1995, J. Exp. BioL 198: 1809-15; Winkelmannら、1995, Biophys. J. 68:2444-53; Winkelmannら、1995, Biophys. J. 68:72Sを参照されたい)。
【0179】
当分野で公知のATPアーゼ加水分解活性を測定する方法もまた用いることができる。好適には、溶液を基礎とするアッセイを利用する。米国特許第6,410,254号にこのようなアッセイが記載されており、この文献全体を参照により本明細書に組み入れる。あるいは、従来の方法が用いられる。たとえば、キネシンからのPi放出を定量することができる。一実施形態において、ATPアーゼ加水分解活性のアッセイは、0.3M PCA(過塩素酸)およびマラカイトグリーン試薬(8.27mM モリブデン酸(II)ナトリウム、0.33mM マラカイトグリーンシュウ酸塩および0.8mM Triton X-1 00)を利用する。アッセイを行うために、10μLの反応混合物を、90μLの冷0.3M PCA中で冷却する。リン酸標準液を用いて、データを放出された無機リン酸のmMに変換することができる。すべての反応液および標準液をPCA中に冷却し終わったら、100μLのマラカイトグリーン試薬を、たとえばマイクロタイタープレートの測定するウェルに加える。混合物を10〜15分間現像して、プレートの650nmの吸収を測定する。リン酸標準液を用いる場合には。吸収の値をmM Piに変換して時間に対してプロットすることができる。これに加えて、当業者に公知のATPアーゼアッセイにはルシフェラーゼアッセイが含まれる。
【0180】
また、キネシン運動ドメインのATPアーゼ活性を薬物の効果をモニターするために用いることができ、これは当業者に公知である。一実施形態において、キネシンのATPアーゼアッセイは微小管が存在しない状態で行われる。別の実施形態において、ATPアーゼアッセイは微小管の存在下で行われる。上記のアッセイでは、異なるタイプの薬物が検出される。一実施形態において、薬物の効果は微小管およびATPの濃度に依存しない。別の実施形態において、薬物のキネシンATPアーゼに対する効果は、ATP、微小管またはその両方の濃度が増加すると減少する。さらに別の実施形態において、薬物の効果は、ATP、微小管またはその両方の濃度が増加すると増加する。
【0181】
次に、in vitroでKSPの生化学的活性を阻害する化合物について、in vivoでスクリーニングを行う。in vivoスクリーニング法には、細胞周期の分布、細胞の生存度、または有糸分裂紡錘体の存在、形態学、活性、分布もしくは数のアッセイが含まれる。たとえば、フローサイトメトリーによる細胞集団の細胞周期分布をモニターする方法は、細胞の生存度を測定する方法と共に当業者に公知である。たとえば、米国特許第6,437,115号を参照されたい。この文献全体を参照により本明細書に組み入れる。紡錘体の形成および形成異常をモニターするための顕微鏡的方法は当業者に公知である(たとえば、WhiteheadおよびRattner (1998), J. Cell Sci. 111:2551-61; Galgioら、(1996) J. Cell Biol., 135:399-414を参照されたい。両方の文献を全体として参照により本明細書に組み入れる)。
【0182】
本発明の化合物はKSPキネシンを阻害する。阻害の1つの尺度はIC50であり、これは、KSPの活性が対照と比較して50%減少する化合物の濃度と定義される。好ましい化合物は約1mM未満のIC50を有し、好ましい実施形態においては約100μM未満のIC50を有し、より好ましい実施形態においては約10μM未満のIC50を有し、さらに好ましい実施形態においては約1μM未満のIC50を有し、特に好ましい実施形態においては約100nM未満のIC50を有し、最も好ましい実施形態においては約10nM未満のIC50を有する。IC50の測定は、本明細書に記載されるようなATPアーゼアッセイを用いて行われる。
【0183】
阻害の別の尺度はKiである。1μM未満のIC50を有する化合物について、KiまたはKdが、本明細書に記載される化合物とKSPの相互作用の解離速度定数として定義される。好ましい化合物は約100μM未満のKiを有し、好ましい実施形態においては約10μM未満のKiを有し、より好ましい実施形態においては約1μM未満のKiを有し、特に好ましい実施形態においては約100nM未満のKiを有し、最も好ましい実施形態においては約10nM未満のKiを有する。
【0184】
ある化合物のKiは3つの仮定およびミヒャエーリス-メンテン式に基づいてIC50から決定される。第1に、ただ1つの化合物分子が酵素に結合し、共動性は存在しない。第2に、活性な酵素および試験される化合物の濃度は知られている(すなわち、試料の中に有意な量の不純物または不活性型は存在しない)。第3に、酵素-阻害剤複合物の酵素速度はゼロである。速度(すなわち、化合物濃度)データを下記の式に当てはめる。
【数1】

【0185】
[式中、Vは観察された速度、Vmaxは遊離の酵素の速度、I0は阻害剤濃度、E0は酵素濃度、およびKdは酵素-阻害剤複合体の解離定数である]。
【0186】
阻害の別の尺度はGI50であって、これは、細胞増殖の速度を50%減少させる化合物の濃度と定義される。好ましい化合物は約1mM未満のGI50を有する。約20μM未満のGI50を有するものがより好ましく、約10μM未満のGI50を有するものがより好ましく、約1μM未満のGI50を有するものがより好ましく、約100nM未満のGI50を有するものがより好ましく、約10nM未満のGI50を有するものがさらに好ましい。GI50の測定は、本明細書に記載されるような細胞増殖アッセイを用いて行われる。このクラスの化合物は細胞増殖を阻害することが見いだされた。
【0187】
小分子阻害剤のin vitroの効力は、たとえばヒト卵巣癌細胞(SKOV3)を、化合物の9点連続希釈(9-point dilution series)に72時間曝した後の生存度についてアッセイすることにより決定される。細胞生存度は、市販されている試薬であるMTS/PMSの生物学的還元により形成される生成物であるホルマゾンの吸収を測定することにより決定する。用量反応曲線のそれぞれの点を、72時間後の処理されていない対照細胞からバックグラウンドの吸収(完全な細胞の死)を引いたもののパーセントとして計算する。
【0188】
癌治療の臨床に適用することに成功した抗増殖性化合物(癌化学療法剤)は、非常にさまざまなGI50を有する。たとえば、A549細胞において、パクリタキセルのGI50は4nM、ドキソルビシンは63nM、5-フルオロウラシルは1μM、ヒドロキシ尿素は500μMである(データは国立癌研究所(National Cancer Institute)、治療プログラム開発(Developmental Therapeutic Program)、http://dtp.nci.nih.gov/により提供された)。したがって、細胞増殖を阻害する化合物は、阻害を示す濃度に関わらず、潜在的な臨床上の有用性を有する。
【0189】
本発明の化合物をKSPキネシンに結合する化合物をスクリーニングする方法に使用するために、KSPを支持体に結合し、本発明の化合物をアッセイに加える。あるいは、本発明の化合物を支持体に結合し、KSPを加える。新規の結合物質が見つかる可能性のある化合物のクラスには、特異的抗体、化学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定される非天然結合物質、ペプチド類似物等が含まれる。特に興味深いのが、ヒト細胞への毒性の低い候補の物質のスクリーニングアッセイである。標識されたin vitroタンパク質-タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、タンパク質結合に対するイムノアッセイ、機能アッセイ(リン酸化アッセイ等)等を含む、さまざまなアッセイがこの目的のために用いられる。
【0190】
本発明の化合物のKSPに対する結合の測定は、多くの方法により行うことができる。一実施形態において、化合物を、たとえば蛍光または放射性基により標識し、結合を直接測定する。たとえば、これは、すべてのまたは一部のKSPを固体の支持体に結合させ、標識された試験化合物(たとえば、少なくとも1つの原子を検出可能な同位体に置き換えた本発明の化合物)を加え、過剰な試薬を洗い流し、固体の支持体上に存在する標識の量を測定することにより行われる。
【0191】
本明細書において、「標識された」とは、化合物が、検出可能なシグナルを提供する標識、たとえば、放射性同位元素、蛍光タグ、酵素、抗体、磁気粒子のような粒子、化学発光タグ、または特異的結合分子等により、直接的または間接的に標識されることを意味する。特異的結合分子には、ビオチンとストレプタビジン、ジゴキシンとアンチジゴキシン等のような対が含まれる。特異的結合のメンバーに対して、相補的なメンバーは、通常、検出を可能にする分子により、上に記載されたような公知の方法に従って標識される。標識は直接または間接的に検出可能なシグナルを提供する。
【0192】
ある実施形態において、複数の成分のうちの1つのみが標識される。たとえば、キネシンタンパク質を、125Iを用いて、または発蛍光団によりチロシン位置で標識する。あるいは、異なる標識により1つ以上の成分を標識してもよい。たとえば、タンパク質には125Iを、抗有糸分裂剤には発蛍光団を用いる。
【0193】
本発明の化合物はまた、別の薬物候補をスクリーニングするための競合剤として用いてもよい。本明細書において用いられる「候補の物質」または「薬物候補」または文法的に等しい用語は、生物活性を試験されるすべての分子、たとえば、タンパク質、オリゴペプチド、小さい有機分子、多糖、ポリヌクレオチド等を表わす。これらは細胞増殖の表現型、または核酸配列およびタンパク質配列の両方を含む細胞増殖配列の発現を、直接または間接的に改変することができる。別の場合には、細胞増殖タンパク質の結合および/または活性の改変をスクリーニングする。この種のスクリーニングは、微小管が存在する、または存在しない状態で実施される。タンパク質の結合または活性がスクリーニングされる場合、特定の実施形態において、既にその特定のタンパク質に結合することが知られている分子、たとえば、微小管のようなポリマー構造、およびATPのようなエネルギー源が除外される。本明細書のアッセイの特定の実施形態には、本明細書において「外因性」物質と呼ばれる、その内因性の天然の状態において細胞増殖タンパク質に結合しない候補の物質が含まれる。別の実施形態において、外因性物質からは、さらにKSPに対する抗体が除外される。
【0194】
候補の物質は、多くの化学的なクラスを包含するが、典型的には、100ダルトンより大きく約2,500ダルトンよりも小さい分子量を有する小さい有機化合物である。候補の物質はタンパク質との構造的な相互作用、特に水素結合および疎水性結合に必要な官能基を有し、典型的には少なくとも1つのアミン、カルボニル、ヒドロキシル、エーテルまたはカルボキシル基を含み、通常上記の官能基を少なくとも2つ含む。候補の物質はしばしば、上記の官能基の1つ以上により置換された環状炭素または複素環構造および/または芳香族または多環芳香族構造を有する。候補の物質はまた、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジンそれらの誘導体、構造的類似物または組合せを含む生体分子から見いだされる。
【0195】
候補の物質は、合成または天然化合物のライブラリーを含むさまざまな供給源から入手される。たとえば、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの発現を含む、さまざまな有機化合物および生体分子のランダムな、および管理された合成のために、多くの手段が利用できる。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形の天然化合物のライブラリーを利用できる、または容易に作ることができる。さらに、天然の、または合成により作られたライブラリーおよび化合物は、通常の化学、物理および生化学的手段により容易に修飾される。公知の薬理作用を有する物質に対して、構造的類似体を作るために、アシル化、アルキル化、エステル化、および/またはアミド化のような管理された、またはランダムな化学的修飾を行うことができる。
【0196】
第1のサンプルとしてKSPおよび薬物候補を混合することにより、競合的スクリーニングアッセイを行う。第2のサンプルは、本発明の化合物、KSPおよび薬物候補からなる。これは微小管を存在させて、または存在させずに実施する。両方のサンプルについて薬物候補の結合を測定し、2つのサンプルの間に結合の変化または差異があれば、KSPへの結合が可能で、その活性を阻害する可能性のある薬物候補が存在することを示している。すなわち、薬物候補の結合が、第1のサンプルと比較して第2のサンプルで異なっていれば、その薬物候補はKSPに結合することができる。
【0197】
特定の実施形態において、候補の物質のKSPへの結合は、競合的結合アッセイを用いて測定される。この実施形態において、競合物質は、抗体、ペプチド、結合相手、リガンド等のような、KSPに結合することが知られている結合基である。ある環境下で、候補の物質と結合基の間に競合的結合が存在し、結合基が候補の物質に置き換わる可能性がある。
【0198】
一実施形態において、候補の物質は標識される。候補の物質、または競合剤、またはその両方のいずれかをまずKSPに加えて、もし存在するなら結合するのに十分な時間をおく。最適な活性を促進するような温度で、典型的には4〜40℃の間でインキュベーションを行ってもよい。
【0199】
インキュベーション時間は最適な活性を得るように選択されるが、また、迅速で効率の高いスクリーニングを促進するように最適化される。典型的には0.1〜1時間の間で十分である。一般的に、過剰な試薬を除去または洗い流す。次に第2の成分を加え、次いで、結合を示すために標識された成分が存在するか否かを測定する。
【0200】
別の実施形態において、競合物質を先に加えて、次に候補の物質を加える。競合物質の置き換えは、候補の物質がKSPに結合すること、および、それによりKSPに結合可能であり、KSPの活性を阻害する可能性を有することを示す。この実施形態において、どちらの成分を標識してもよい。したがって、たとえば、競合物質を標識した場合には、洗浄溶液中の標識の存在が候補の物質による置き換えを示す。あるいは、候補の物質を標識した場合には、支持体上の標識の存在が置き換えを示す。
【0201】
別の実施形態において、候補の物質を先に加えて、インキュベーションおよび洗浄を行った後に、競合物質を加える。競合物質による結合が存在しない場合には、候補の物質が高い親和性でKSPに結合することを示している。したがって、候補の物質を標識した場合には、支持体上の標識の存在が、競合物質が結合しないことに対応し、候補の物質がKSPに結合できることを示す。
【0202】
阻害は、候補の物質を上記のようにKSPと混合し、KSPの生物学的活性の変化を測定するステップからなる、KSPの活性を阻害することができる候補の物質のスクリーニングにより試験される。そこで、この実施形態において、候補の物質は、KSPに結合すること(これは必要でないかもしれないが)、および、その本明細書に定義されるような生物学的または生化学的活性を改変することの両方をしなければならない。上記方法には、上で一般的に記載したような、in vitroスクリーニング法、および細胞周期の分布、細胞生存度の改変、または有糸分裂紡錘体の存在、形態学、活性、分布、もしくは量についての細胞のin vivoのスクリーニングの両方が含まれる。
【0203】
あるいは、天然のKSPに結合するが、修飾したKSPに結合できない薬物候補を同定するために、示差スクリーニング(differential screening)を用いてもよい。
【0204】
上記アッセイには正の対照および負の対照を用いる。好適には、すべての対照および試験サンプルについて、統計的に有意な結果を得るために少なくとも3回ずつアッセイを行う。すべてのサンプルのインキュベーションは、物質がタンパク質に結合するのに十分な時間をかけて行う。インキュベーションの後、すべてのサンプルを洗浄して非特異的に結合した物質を除去し、結合した、一般的には標識された物質の量を測定する。たとえば、放射性標識を用いた場合には、サンプルをシンチレーションカウンターでカウントして結合した化合物の量を測定する。
【0205】
スクリーニングアッセイには、さまざまな他の試薬を加えてもよい。これらには、塩、中性タンパク質、たとえば、アルブミン、界面活性剤等のような、最適なタンパク質-タンパク質結合を促進するため、および/または非特異的またはバックグラウンドの相互作用を減少させるために用いられる試薬が含まれる。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌剤等の、別の方法でアッセイの効率を改善する試薬を用いてもよい。成分の混合物は、必要な結合を与えるようないかなる順番で加えてもよい。
【0206】
投与
上記のように、本発明の化合物は細胞に投与される。本明細書において、「投与」とは、治療上有効な用量の本発明の化合物を、細胞培養または患者のいずれかの細胞に投与することを意味する。本明細書において、「治療上有効な用量」とは、それが投与された目的である効果を生じさせるような用量を意味する。正確な用量は治療の目的に依存し、当業者が公知の技術を用いて確定することができる。当業者に知られているように、全身送達か局所送達かの調整、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食餌、投与の時間、薬物相互作用、および症状の重篤度が必要であり、当業者により通常の実験により確定される。本明細書において、「細胞」とは、有糸分裂または減数分裂を改変することができるすべての細胞を意味する。
【0207】
本発明の目的のために、「患者」という用語は、ヒトおよび他の動物、特に哺乳類、および他の生物を含む。したがって、上記の方法は、ヒトの治療および獣医学的応用の両方に適用できる。好ましい実施形態において、患者は哺乳類であり、より詳しくは患者はヒトである。
【0208】
望まれる薬理活性を有する本発明の化合物を、本明細書に記載されるように、好ましくは医薬品添加物を含む製薬上許容される組成物として患者に投与する。導入の方法に応じて、組成物は下で論じるようなさまざまな方法で製剤される。製剤中の治療活性化合物の濃度は、約0.1〜100重量%の間で変化する。
【0209】
薬物は単独で、または他の治療、すなわち、放射線照射、または微小管形成に作用すると思われるタキサン類の薬物、またはトポイソメラーゼI阻害剤であるカンプトテシン類のような他の化学療法剤と併用して投与される。他の化学療法剤を使用する場合、これらは本発明の化合物の投与の前、同時、または後に投与される。発明の1つの態様において、本発明の化合物は、1つ以上の他の化学療法剤と共投与される。「共投与」とは、本発明の化合物および共投与される化合物が、これらの化合物が実際にいつ投与されたかにかかわらず、同時に患者の血流に見いだされるように、本発明の化合物を患者に投与することを意味し、同時に投与することを含む。
【0210】
本発明の化合物および組成物の投与は、経口、皮下、静脈内、鼻内、経皮、腹腔内、筋内、肺内、鞘内、直腸、眼内を含むが、これらに限定されないさまざまな方法により行うことができる。ある例において、たとえば、傷および炎症の治療において、上記化合物または組成物は溶液またはスプレーとして直接適用される。
【0211】
医薬剤形は、一般式Iの化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物または塩の溶媒和物、および1つ以上の医薬品添加物を含む。当業者に公知なように、医薬品添加物は、さまざまな剤形(たとえば、錠剤、カプセル、および液剤のような経口製剤、皮膚、眼科用、および耳用のような局所用製剤;坐剤;注射用;呼吸器用製剤等)において、薬物または医薬品の送達を可能にするまたは増大する機能を有する二次的な成分である。医薬品添加物には、活性成分の医学的効果に実質的に寄与する、不活性な、作用を示さない材料、相乗剤または化学物質が含まれる。たとえば、医薬品添加物は、流動特性、製品の均一性、安定性、味、または外観を改良する、薬物の取り扱いおよび投与を容易にして使用の便利さを増す、またはバイオアベイラビリティーを制御する機能を有する。医薬品添加物は通常不活性または作用を示さないと記載されるが、医薬品添加物の性質とそれを含む剤形の間には関係があると当業者に理解されている。
【0212】
担体および希釈剤として使用するのに適した医薬品添加物は当業者に公知であり、さまざまな製剤に用いられる。たとえば、「Remingtonの薬学」(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Company (1990);Remington:「薬学の科学および実践」(The Science and Practice of Pharmacy)、第20版、A.R.Gennaro編、Lippincott Williams & Wilkins (2000);「医薬品添加物ハンドブック」(Handbook of Pharmaceutical Excipients)、第3版、A.H.Kibbe編、American Pharmaceutical AssociationおよびPharmaceutical Press (2000);「医薬品添加物ハンドブック」(Handbook of Pharmaceutical Additives)、MichaelおよびIrene Ash編集、Gower (1995)を参照されたい。これらの文献をすべての目的のために参照により本明細書に組み入れる。
【0213】
錠剤のような経口用の固体の剤形は、典型的には、たとえば満足できる加工および圧縮特性を与える、または錠剤に付加的な望まれる物理的特性を与える、1つ以上の医薬品添加物を含む。上記の医薬品添加物は希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤、崩壊剤、色素、着香剤、甘味料、ポリマー、ワックスまたは他の溶解抑制物質から選択される。
【0214】
静脈内投与用の組成物は、一般的に静脈内用の液体、すなわち、循環系により容易に運ばれ、吸収されることができる、糖、アミノ酸または電解質のような単純な化学物質の無菌溶液を含む。このような液体は米国薬局方の注射用水を用いて調製される。
【0215】
非経口投与のための剤形は、一般的に液体、特に静脈内用の液体、すなわち、循環系により容易に運ばれ、吸収されることができる、糖、アミノ酸または電解質のような単純な化学物質の無菌溶液を含む。このような液体は米国薬局方の注射用水を用いて調製される。通常静脈内への使用のために用いられる液体は、Remington:「薬学の科学および実践」(The Science and Practice of Pharmacy)(上に引用)に開示されており、以下のものを含む。
【0216】
アルコール、たとえば5%アルコール(たとえば、デキストロースおよび水("D/W")、または正常な生理食塩水(“NSS”)中のD/W(5%デキストロースおよび水("D5/W")、またはNSS中のD5/Wを含む)中で);
アミノシン(Aminosyn)、フレアミン(FreAmine)、トラバソール(Travasol)のような合成アミノ酸、たとえば、それぞれ、3.5または7;8.5;3.5、5.5または8.5%;
塩化アンモニウム、たとえば、2.14%;
デキストラン40、NSS中、たとえば10%、またはD5/W中、たとえば10%;
デキストラン70、NSS中、たとえば6%、またはD5/W中、たとえば6%;
デキストロース(グルコース、D5/W)、たとえば2.5〜50%;
デキストロースおよび塩化ナトリウム、たとえば5〜20%デキストロースおよび0.22〜0.9% NaCl;
乳酸を加えたリンガー液(Hartmannの)、たとえば、NaCl 0.6%、KCl 0.03%、CaCl2 0.02%;
乳酸 0.3%;
マンニトール、たとえば5%、必要に応じてデキストロース、たとえば10%、またはNaCl、たとえば、15または20%と組み合わせて;
さまざまな組合せの電解質、デキストロース、フルクトース、転化糖リンガー液、たとえば、NaCl 0.86%、KCl 0.03%、CaCl2 0.033%を含む多電解質溶液;
炭酸水素ナトリウム、たとえば5%;
塩化ナトリウム、たとえば0.45、0.9、3または5%;
乳酸ナトリウム、たとえば1/6M;および
注射用無菌水
上記のIV液体のpHはさまざまであるが、典型的には、当分野で公知なように、3.5〜8である。
【0217】
本発明の化合物、製薬上許容される塩および溶媒和物は、単独でまたは他の治療手段(すなわち、放射線、またはその他の治療剤、たとえば、微小管形成に作用することがわかっているタキサンクラスの薬剤、またはトポイソメラーゼI阻害剤のカンプロテシンクラスの薬剤)と組み合わせて投与できる。そのように使用する場合、他の治療剤は本発明の活性薬剤の投与の前に、同時に(別個の剤形または組み合わせた剤形で)、または後に投与することができる。
【0218】
以下の実施例は、上記の発明を使用する方法をより完全に説明すると共に、本発明のさまざまな態様を実施する上で最も良いと考えられる方式を説明するためのものである。これらの実施例は、本発明の本来の範囲を限定するためではなく、説明の目的で提供されるものと理解される。本明細書において引用した、特許および特許出願を含むが、これらに限定されないすべての文献を、個々の文献について、本明細書に完全に記載されているように、参照により本明細書に組み入れると特定的におよび個別に指示されているのと同様に、参照により本明細書に組み入れる。
【実施例】
【0219】
全ての無水溶媒は、Aldrich Chemical CompanyからSureSeal(登録商標)容器に入った状態で購入した。試薬の添加および水分の採取は、シングルまたはマルチチャンネルピペッターを用いて行った。濾過は、Whatman/Polyfiltronics 24ウェル、10 mL濾過ブロックを使用して実施した。アレイからの揮発性物質の蒸発は、Labconco Vortex-Evaporatorを用いて、または4×6窒素マニフォールドを用いて掃射することにより、実施した。
(実施例1)
化合物の合成
【化24】

【0220】
CBZ-バリン(2、50 g、200 mmol)のTHF(700 mL)中の溶液に、0℃で、エチルクロロホルメート(23 mL、240 mmol)およびトリエチルアミン(33.5 mL、240 mmol)を加えた。この反応混合物を窒素下で攪拌した。1時間後、ベンジルアミン(26.2 mL、240 mmol)を5分間かけて加えた。添加終了後、この反応溶液を室温に温めた。1時間後、反応混合物を濾過した。沈殿物を水およびTHFで洗浄し、真空乾燥させることにより、3(60 g、88%)を白色固体として得た(LRMS (M+H+) m/z 341.1)。
【0221】
3(20 g、59 mmol)のCH2Cl2(500 mL)中の懸濁液に、ヘキサフルオロリン酸トリエチルオキソニウム(25 g、100 mmol)を加えた。得られた混合物を14時間攪拌した。この反応混合物を飽和NaHCO3および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてから濃縮することにより4 (19 g)を得て、これをそれ以上精製を行わずに次のステップに使用した(LRMS (M+H+) m/z 369.1)。
【0222】
前記の粗4(3g、約8.14 mmol)のEtOH(30 mL)中の溶液に、(アミノオキシ)酢酸(ヘミ塩酸塩、1.03 g、9.42 mmol)およびDIEA (850μL、4.88 mmol)を加えた。得られた混合物を14時間攪拌した。この溶液を濃縮した。得られた残渣をトルエン中に溶解し、10時間還流した。この反応混合物を濃縮した。得られた残渣をCH2Cl2中に溶解し、濾過した。濾液をH2O、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてから濃縮した。得られた残渣をアセトニトリルとH2Oの混合物を使用してRP-HPLC上で精製することにより、5(320 mg、3からの収率10%)を白色固体として得た(LRMS (M+H+) m/z 396.3)。
【0223】
5 (130 mg、0.33 mmol)の30% HBr (2.0 mL)含有HOAc中の溶液を、1時間攪拌した。この反応混合物を濃縮し、真空乾燥させることにより6 (約100 mg)を得て、これをそれ以上精製を行わずに次のステップに使用した(LRMS (M+H+) m/z 262.1)。
【0224】
前記の粗6 (55 mg、約0.21 mmol)のCH2Cl2 (35 mL)中の溶液に、0℃で、アルデヒド7 (45 mg、0.26 mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(31 mg、0.15 mmol)を連続的に加えた。この反応混合物を2時間攪拌した。追加のアルデヒド7(22 mg、0.13 mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(15 mg、0.07 mmol)を加えた。得られた混合物を窒素下で2時間攪拌し、次いで飽和NaHCO3(10 mL)を加えた。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×40 mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてから濃縮することにより8(100 mg)を得て、これをそれ以上精製を行わずに次のステップに使用した(LRMS (M+H+) m/z 419.2)。
【0225】
前記の粗8 (100 mg、約0.21 mmol)およびDIEA (100μL、0.57 mmol)のCH2Cl2 (5 mL)中の溶液に、0℃で、塩化p-トルオイル(76μL、0.57 mmol)を加えた。得られた溶液を、窒素下、室温で20時間攪拌した。該溶液を濃縮した。得られた残渣を、アセトニトリルとH2Oの混合物を使用してRP-HPLC上で精製することにより、9(60 mg、5からの収率62%)を得た(LRMS (M+H+) m/z 537.2)。
【0226】
9(60 mg、0.11 mmol)のCH2Cl2(8 mL)中の溶液に、トリフルオロ酢酸(2 mL)を加えた。得られた溶液を室温で1時間攪拌してから、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、アセトニトリルとH2Oの混合物を使用してRP-HPLC上で精製することにより1(20 mg、42%)を得て、1H-NMRおよびLC/MS分析を使用して十分にその特性を決定した(LRMS (M+H+) m/z 437.1)。
【0227】
(実施例2)
KSP阻害剤で処理された腫瘍細胞株における細胞生存の阻害
材料および溶液:
・細胞:SKOV3、卵巣癌(ヒト)
・培地:フェノールレッドを含まないRPMI+5%ウシ胎仔血清+2 mM L-グルタミン
・細胞生存を測定する比色分析試薬:Promega MTS テトラゾリウム化合物
・最大細胞殺の対照化合物:トポテカン、1μM
手順:第1日−細胞プレーティング:
粘着性のSKOV3細胞を10 ml PBSで洗浄した後、2 mlの0.25%トリプシンを添加して37℃にて5分間インキュベートする。細胞をフラスコから、8 mlの培地(フェノールレッドを含まないRPMI+5%FBS)を用いてすすぎ落とし、新しいフラスコに移す。細胞濃度をコールターカウンター(Coulter counter)によって測定し、1000細胞/100μlとするために適当な細胞の量を算出する。培地細胞懸濁液(1000細胞/100μl)100μlを96ウェルプレートの全ウェルに入れ、続いて18〜24時間37℃にて湿度100%、CO2 5%でインキュベートし、細胞をプレートに付着させる。
【0228】
手順:第2日−化合物の添加:
高圧滅菌済みアッセイブロックの縦1列のウェルに、求められる最高濃度の400倍のテスト化合物の最初の2.5μlを入れる。400倍濃度の(400μM)トポテカン1.25μlを他のウェルに入れる(これらのウェルから得られるODは死滅細胞および溶媒のバックグラウンド吸光度として差し引くために用いられる)。DMSOを含まない培地500μlを、テスト化合物を入れたウェルに添加し、250μlをトポテカンのウェルに加える。培地+0.5% DMSOを残るすべてのウェルに250μl添加し、その中にテスト化合物を段階希釈して入れる。横列ごとに化合物含有培地をアッセイブロックから対応する細胞プレートへ(2連で)レプリカプレーティングする。細胞プレートを37℃、湿度10%、CO2 5%にて72時間インキュベートする。
【0229】
手順:第4日−MTS添加およびOD読みとり:
プレートをインキュベーターから取り出し、40μl MTS/PMSを各ウェルに添加する。その後、プレートを37℃、湿度10%、CO2 5%にて120分間インキュベートし、続いて96ウェル分光光度計で5秒の振盪サイクル後に490 nmでODを読み取る。
【0230】
データ解析
対照(吸光度-バックグラウンド)に対して標準化された%を算出し、XLfitを用いて用量反応曲線を作成し、その曲線から、生存を50%まで阻害するために必要な化合物の濃度を決定する。本発明の化合物は上記の方法でテストした場合、活性を示す。
【0231】
(実施例3)
KSP阻害剤を加えた後の単極紡錘体形成
ヒト腫瘍細胞Skov-3(卵巣)を、ウェル当たり4.00細胞の密度で96ウェルプレートに蒔き、24時間付着させておいて、さらに24時間さまざまな濃度の試験化合物で処理した。細胞を4% ホルムアルデヒドで固定し、抗チューブリン抗体(蛍光標識された二次抗体によって後に認識される)およびHoechst色素(DNAを染色する)によって染色した。
【0232】
目視検査から、化合物は有糸分裂の前中期の段階で細胞周期の停止を引き起こすことが明らかになった。DNAは凝縮し、紡錘体形成はすでに始まったが、停止した細胞は一様に単極紡錘体を示し、これにより紡錘体極分離の阻害が見られることが示された。抗KSP抗体のマイクロインジェクションも有糸分裂の停止を引き起こし、停止細胞は単極紡錘体を示す。
【0233】
(実施例4)
KSP阻害剤で処理した腫瘍細胞株における細胞増殖の阻害
96ウェルプレートのウェル当たり1000-2500細胞の密度で細胞を96ウェルプレートに蒔き、24時間付着/増殖させた。その後、これをさまざまな濃度の薬物で48時間処理した。化合物を添加した時をT0と見なす。3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)試薬(I.S>特許第5,185,450号)(Promega 製品カタログ #G3580, CeIlTiter 96(商標) AQueous One Solution Cell Proliferation Assayを参照されたい)を用いた、テトラゾリウムに基づくアッセイを使用して、T0での生存細胞の数、および48時間化合物に接触させた後に生き残った細胞数を測定した。48時間後に生残する細胞数を薬物添加時の生存細胞数と比較して、増殖阻害を算出することができた。
【0234】
溶媒のみ(0.25% DMSO)で処理した対照ウェルの細胞の48時間の増殖を100%増殖とみなして、化合物を入れたウェルの細胞増殖をこれと比較する。KSP阻害剤は、ヒト卵巣腫瘍細胞株(SKOV-3)において、細胞増殖を阻害した。
【0235】
化合物の濃度をμMとして、処理ウェルの細胞増殖パーセンテージに対してプロットしてGI50を算出した。化合物に関して算出されたGI50は、対照と比較して50%まで増殖を阻害する推定濃度であり、すなわちその濃度では:
100 x [(Treated48 - T0) / (Control48 - T0)] = 50
となる。
【0236】
全濃度の化合物を2連でテストし、対照は12ウェルを平均する。非常によく似た96ウェルプレートレイアウトおよびGI50計算法が国立癌研究所によって使用されている(Monks, et al., J. NatI. Cancer Inst. 83:757-766 (1991)を参照されたい)。しかしながら、国立癌研究所が細胞数を計測する方法はMTSを使用せず、その代わりに別の方法を使用する。
【0237】
(実施例5)
IC50の計算:
組成物のKSP活性に対するIC50の測定は、ATPアーゼアッセイを使用する。次の溶液を使用する:溶液1は3 mM ホスホエノールピルビン酸カリウム塩(Sigma P-7127)、2 mM ATP (Sigma A-3377)、1 mM IDTT (Sigma D-9779)、5μM パクリタキセル(Sigma T-7402)、10 ppm 消泡剤289 (Sigma A-8436)、25 mM Pipes/KOH pH 6.8 (Sigma P6757)、2 mM MgC12 (VWR JT4003-01)、および1 mM EGTA (Sigma E3889)で構成される。溶液2は1 mM NADH (Sigma N8129)、0.2 mg/ml BSA (Sigma A7906)、ピルビン酸キナーゼ 7U/ml、L-乳酸デヒドロゲナーゼ 10 U/ml (Sigma P0294)、100 nM KSP モータードメイン、50 μg/ml 微小管、1 mM DTT (Sigma D9779)、5 μM パクリタキセル(Sigma T-7402)、10 ppm 消泡剤289 (Sigma A-8436)、25 mM Pipes/KOH pH 6.8 (Sigma P6757)、2 mM MgC12 (VWR JT4003-01)、および1 mM EGTA (Sigma E3889)からなる。溶液1を用いて組成物の段階希釈(8-12 二倍希釈)を96ウェルマイクロタイタープレート(Corning Costar 3695)に作製する。段階希釈した後に、各ウェルに溶液1が50μl入っている。各ウェルに溶液2を50μl添加して反応を開始する。これは、手動でマルチチャンネルピペッターを用いて行っても、自動液体処理装置を用いて行ってもよい。その後マイクロタイタープレートをマイクロプレート吸光度リーダーに移し、340 nmでの多数の吸光度の数値を、各ウェルについて速度の形式で記録する。観測された変化の速度はATPアーゼの速度に比例するが、これを化合物濃度の関数としてプロットする。取得されたデータは、非線形フィッティングプログラム(たとえばGrafit 4)を用いた下記の4パラメーターの等式により、標準的なIC50測定に適している:
【数2】

【0238】
ここでyは観測された速度であり、xは化合物濃度である。
【0239】
このクラスの他の化合物は、そのGI50値は異なるものの、細胞増殖を阻害することが見出された。テストした化合物のGI50値は、200 nMからテストした最高濃度を上回る濃度まで様々である。これは、KSP活性を生化学的に阻害した化合物の大部分は細胞増殖を阻害しなかったが、幾つかの化合物の場合、テストした最高濃度(一般的には、約20μM)で、細胞増殖が50%未満阻害されたことを意味する。化合物の多くは10μM未満のGI50値を有し、幾つかは1μM未満のGI50値を有する。癌治療の臨床に適用すること成功した抗増殖性化合物(癌化学療法剤)は、非常に様々なGI50値を有する。たとえば、A549細胞において、パクリタキセルのGI50は4 nM、ドキソルビシンは63 nM、5-フルオロウラシルは1μM、またヒドロキシ尿素は500μMである(データは、米国国立癌研究所、治療プログラム開発、http://dtp.nci.nih.gov/により提供されたものである)。従って、細胞増殖を阻害する化合物は、事実上全ての濃度で有用である可能性がある。しかし、好ましくは、化合物は1 mM未満のGI50値を有する。より好ましくは、化合物は20μM未満のGI50値を有する。さらにより好ましくは、化合物は10μM未満のGI50値を有する。GI50値のさらなる減少もまた望ましく、たとえば、1μM未満のGI50値を有する化合物が挙げられる。本発明の化合物の中には、200 nM未満〜10 nM未満のGI50値で細胞増殖を阻害するものがある。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
TおよびT’は独立して共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R2およびR2’は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR2およびR2’は共同して置換されていてもよい3〜7員の環を形成し、該環はその環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく;
R3は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、-C(O)-R6、および-S(O)2-R6aから選択され;
R4およびR4’は独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR4およびR4’はそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成し;
R5は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、
またはR5はR3およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該へテロ環はそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく、
またはR5はR2と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環はそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく;
R6は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR8-NH-から選択され;
R6aは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルヘテロアリール、およびR8-NH-から選択され;
R7は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;そして
R8は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択される]
で表される群から選択される化合物;
一般式Iの化合物の製薬上許容される塩;
一般式Iの化合物の製薬上許容される溶媒和物;または
一般式Iの化合物の製薬上許容される塩の製薬上許容される溶媒和物。
【請求項2】
以下:
TおよびT’の一方が共有結合であり、かつ他方が共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1が、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいアラルキルであり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R2’が、水素または置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3が-C(O)R6であり;
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択され;
R6が、置換されていてもよいC1-C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール、R7O-およびR8-NH-から選択され;
R7が、置換されていてもよいC1-C8アルキルまたは置換されていてもよいアリールであり;
R8が、水素、置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R5が、水素;C1-C4アルキル;シクロヘキシル;ヒドロキシル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4アルキルで置換されたフェニル;ベンジル;およびR16-アルキレン-から選択され;そして
R16が、ヒドロキシル、カルボキシ、(C1-C4-アルコキシ)カルボニル-、ジ(C1-C4アルキル)アミノ-、(C1-C4アルキル)アミノ-、アミノ、(C1-C4アルコキシ)カルボニルアミノ-、C1-C4アルコキシ-、または置換されていてもよいN-ヘテロシクリル-である、
のうちの1つ以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
以下:
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、または(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2’が水素であり;
R4およびR4’の少なくとも一方が水素であり;
R6が、置換されていてもよいC1-C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよいアリールであり;
R5がR16-アルキレン-であり;そして
R16が、アミノ、C1-C4アルキルアミノ-、ジ(C1-C4アルキル)アミノ-、C1-C4アルコキシ-、ヒドロキシル、またはN-ヘテロシクリルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
以下:
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、および(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチル、およびヒドロキシメチルから選択され;
R4およびR4’が水素であり;
R6が置換されていてもよいフェニルであり;そして
R16がアミノである、
のうちの1つ以上を含む、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
以下:
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2が、エチルまたはプロピルであり;
R6が、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチル-フェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル-、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニルであり;そして
R5が、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、メチルアミノペンチル、メチルアミノヘキシル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジメチルアミノペンチル、ジメチルアミノヘキシル、エチルアミノエチル、エチルアミノプロピル、エチルアミノブチル、エチルアミノペンチル、エチルアミノヘキシル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、ジエチルアミノブチル、ジエチルアミノペンチル、またはジエチルアミノヘキシルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
以下:
R1がベンジルであり;そして
R2がi-プロピルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
以下:
TおよびT’の一方が共有結合であり、かつ他方が共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1が、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいアラルキルであり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R2’が、水素または置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3が-C(O)R6であり;
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成し;そして
R6が、置換されていてもよいC1-C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール、R7O-およびR8-NH-から選択され;そして
R7が、置換されていてもよいC1-C8アルキルまたは置換されていてもよいアリールであり;
R8が、水素、置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択される、
のうちの1つ以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
以下:
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、または(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2’が水素であり;
R4およびR4’が、イソプロピリデン基またはエチリデン基を形成し;そして
R6が、置換されていてもよいC1-C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよいアリールである、
のうちの1つ以上を含む、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
以下:
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、および(エトキシカルボニル)エチルから選択され;
R2が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチル、およびヒドロキシメチルから選択され;そして
R6が置換されていてもよいフェニルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
以下:
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2が、エチルまたはプロピルであり;そして
R6が、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチル-フェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル-、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
以下:
R1がベンジルであり;そして
R2がi-プロピルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
以下:
TおよびT’の一方が共有結合であり、かつ他方が共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1が、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいアラルキルであり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R2’が、水素または置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該へテロ環がそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよく;そして
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される、
のうちの1つ以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
以下:
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、または(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2’が水素であり;
R4およびR4’の少なくとも一方が水素であり;そして
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾリル環を形成する、
のうちの1つ以上を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
以下:
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、または(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2’が水素であり;
R4およびR4’の少なくとも一方が水素であり;そして
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成する、
のうちの1つ以上を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
以下:
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、または(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2’が水素であり;
R4およびR4’の少なくとも一方が水素であり;そして
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいジアゼピノン環を形成する、
のうちの1つ以上を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項16】
以下:
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、または(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2’が水素であり;
R4およびR4’の少なくとも一方が水素であり;そして
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいピペラジン環またはジアゼパム環を形成する、
のうちの1つ以上を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項17】
以下:
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、および(エトキシカルボニル)エチルから選択され;
R2が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチル、およびヒドロキシメチルから選択され;そして
R4およびR4’が水素である、
のうちの1つ以上を含む、請求項12〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
以下:
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;そして
R2が、エチルまたはプロピルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
以下:
R1がベンジルであり;そして
R2がi-プロピルである、
のうちの1つ以上を含む、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
以下:
TおよびT’の一方が共有結合であり、かつ他方が共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1が、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいアラルキルであり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R2’が、水素または置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成し;そして
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し、該へテロ環がそのヘテロ環中にN、OおよびSから選択される1〜2個の追加のヘテロ原子を組み込んでいてもよい、
のうちの1つ以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
以下:
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチル、または(エトキシカルボニル)エチルであり;
R2’が水素であり;
R4およびR4’が、イソプロピリデン基またはエチリデン基を形成する、
のうちの1つ以上を含む、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3が-C(O)R6であり;
R6が置換されていてもよいフェニルであり;
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択され;
R5がR16-アルキレン-であり;そして
R16が、アミノ、C1-C4アルキルアミノ-、ジ(C1-C4アルキル)アミノ-、C1-C4アルコキシ-、ヒドロキシル、またはN-ヘテロシクリルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項23】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3が-C(O)R6であり;
R6が置換されていてもよいフェニルであり;
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成し;
R5がR16-アルキレン-であり;そして
R16が、アミノ、C1-C4アルキルアミノ-、ジ(C1-C4アルキル)アミノ-、C1-C4アルコキシ-、ヒドロキシル、またはN-ヘテロシクリルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項24】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し;そして
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項25】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよい5〜12員の窒素含有ヘテロ環を形成し;そして
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項26】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾール環を形成し;そして
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項27】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾール環を形成し;そして
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項28】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾリン環を形成し;そして
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項29】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいイミダゾリン環を形成し;そして
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項30】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいジアゼピノン環を形成し;そして
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項31】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいジアゼピノン環を形成し;そして
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項32】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいピペラジン環またはジアゼパム環を形成し;そして
R4およびR4’が独立して水素および置換されていてもよい低級アルキルから選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項33】
TおよびT’がそれぞれ共有結合であり;
R1が、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、またはヒドロキシベンジルであり;
R2’が水素であり;
R2が置換されていてもよいC1-C4アルキルであり;
R3がR5およびそれらが結合している窒素と共同して置換されていてもよいピペラジン環またはジアゼパム環を形成し;そして
R4およびR4’がそれらが結合している炭素と共同して置換されていてもよいアルキリデンを形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項34】
N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-6-イソプロピリデン-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;もしくは
N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-6-エチリデン-5-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-[1,2,4]オキサジアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド、
またはその製薬上許容される塩、その製薬上許容される溶媒和物、またはその製薬上許容される塩の製薬上許容される溶媒和物である請求項1記載の化合物。
【請求項35】
R2およびR2’が結合している立体中心がR配置をとる、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
製薬用の賦形剤と、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物、その塩または溶媒和物とを含む組成物。
【請求項37】
前記組成物が、一般式Iの化合物またはその製薬用の塩もしくは溶媒和物以外の化学療法剤をさらに含む、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
前記化学療法剤がタキサン、ビンカアルカロイド、またはトポイソメラーゼI阻害剤である、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
キネシンと、有効量の請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを接触させることを含む、KSPキネシン活性をモジュレートする方法。
【請求項40】
キネシンと、有効量の請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを接触させることを含む、KSPを阻害する方法。
【請求項41】
細胞増殖性疾患を治療するための方法であって、その必要のある患者に、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、前記方法。
【請求項42】
細胞増殖性疾患を治療するための方法であって、その必要のある患者に、請求項36〜38のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項43】
前記疾患が、癌、過形成、再狭窄、心肥大、免疫障害、および炎症から選択される、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
細胞増殖性疾患を治療するための薬物の製造における、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項45】
KSPキネシン活性に関連する障害を治療するための薬物を製造するための、請求項44記載の化合物の使用。



【公表番号】特表2006−523232(P2006−523232A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509333(P2006−509333)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/009274
【国際公開番号】WO2004/091547
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(501327514)サイトキネティクス・インコーポレーテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】Cytokinetics Incorporated
【Fターム(参考)】