説明

化合物、組成物および方法

KSPの活性をモジュレーションすることにより細胞増殖性疾患および障害を治療するのに有用である1,2,4-トリアゾール-5-オンを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2002年10月11日付け出願の米国仮特許出願第60/417,889号(これを、あらゆる目的で、参照により本明細書に組み入れることとする)の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、有糸分裂性キネシンKSPのインヒビターであり細胞増殖性疾患、例えば癌、過形成、再発狭窄症、心肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症の治療に有用である化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
癌の治療に使用される治療剤としては、微小管に作用するタキサンおよびビンカアルカロイドが挙げられる。微小管は紡錘体の主要構造要素である。紡錘体は、細胞分裂により生じる2つの娘細胞のそれぞれへのゲノムの複製コピーの分配をもたらす。これらの薬物による紡錘体の破壊は癌細胞分裂の抑制および癌細胞死の誘導をもたらすと考えられる。しかし、微小管は、神経突起における細胞内輸送のための通路を含む他のタイプの細胞構造体を形成する。これらの治療剤は紡錘体を特異的には標的化しないため、それらは、それらの有用性を限定する副作用を有する。
【0004】
これらの物質の投与に伴う副作用が軽減されれば実現される治療利益のため、癌の治療に使用される物質の特異性の改善には多大な関心が持たれている。伝統的には、癌の治療における劇的な改善は、新規メカニズムによって作用する治療剤の同定に伴ったものである。この具体例には、タキサンだけでなく、カンプトテシンのクラスのトポイソメラーゼIインヒビターも含まれる。これらの観点の両方から、有糸分裂性キネシンは新規抗癌剤の魅力的な標的である。
【0005】
有糸分裂性キネシンは、紡錘体の構築および機能に必須の酵素であるが、一般には、神経突起におけるような他の微小管構造体の一部ではない。有糸分裂性キネシンは、有糸分裂の全段階において必須の役割を担う。これらの酵素は、ATPの加水分解により放出されたエネルギーを、微小管に沿った細胞運搬物の定方向運動を駆動する機械的力に変換する「分子モーター」である。この働きに十分な触媒ドメインは約340アミノ酸の小さな構造体である。有糸分裂中に、キネシンは微小管を、紡錘体である双極性構造体に組織化する。キネシンは紡錘体微小管に沿った染色体の運動を、および有糸分裂の特異的段階に関連した紡錘体における構造変化を媒介する。有糸分裂性キネシン機能の実験的阻害は紡錘体の形成不良または機能不全を引き起こして、しばしば、細胞周期停止および細胞死を招く。
【0006】
同定されている有糸分裂性キネシンとしては、KSPが挙げられる。KSPは、逆平行ホモ二量体よりなる双極性ホモ四量体に集合するプラス端指向性微小管モーターの進化的に保存されたキネシンサブファミリーに属する。有糸分裂中、KSPは紡錘体の微小管と会合する。ヒト細胞内へのKSPに対する抗体のマイクロインジェクションは前中期中の紡錘体極分離を妨げて単極性紡錘体を与え、有糸分裂停止およびプログラム細胞死の誘導をもたらす。他の非ヒト生物におけるKSPおよび関連キネシンは逆平行微小管を束ね、それらをお互いに対して滑らせて、それらの紡錘体極を引き離す。KSPは後期Bにおける紡錘体伸長および紡錘体極における微小管の集中を媒介しうる。
【0007】
ヒトKSP(HsEg5とも称される)は既に記載されており(Blangyら, Cell, 83:1159-69 (1995); Whiteheadら, Arthritis Rheum., 39:1635-42 (1996); Galgioら, J. Cell Biol., 135:339-414 (1996); Blangyら, J Biol. Chem., 272:19418-24 (1997); Blangyら, Cell Motil Cytoskeleton, 40:174-82 (1998); WhiteheadおよびRattner, J. Cell Sci., 111:2551-61 (1998); Kaiserら, JBC 274:18925-31 (1999); GenBankアクセッション番号X85137、NM004523およびU37426)、KSP遺伝子の断片(TRIP5)が既に記載されている(Leeら, Mol Endocrinol., 9:243-54 (1995); GenBankアクセッション番号L40372)。ツメガエル(Xenopus)KSPホモログ(Eg5)およびショウジョウバエ(Drosophila)KLP61 F/KRP1 30が報告されている。
【0008】
KSPを含む有糸分裂性キネシンは新規抗有糸分裂化学療法剤の発見および開発のための魅力的な標的である。したがって、本発明の目的は、KSPの抑制に有用な化合物、組成物および方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
前記の目的に従い、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するために使用しうる化合物を提供する。該化合物はKSPインヒビター、特にヒトKSPインヒビターである。本発明はまた、細胞増殖性疾患を治療するために使用しうる、そのような化合物を含む組成物およびそのような化合物または組成物を使用する方法を提供する。
【0010】
1つの態様において、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するための、およびKSPの活性を抑制することにより障害を治療するための方法に関する。該方法は、式I:
【化1】

【0011】
[式中、
TおよびT'は、独立して、共有結合または所望により置換されていてもよい低級アルキレンである;
R1は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
R2およびR2'は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;あるいはR2およびR2'は一緒になって、所望により置換されていてもよい3〜7員環を形成している;
R3は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、-C(O)-R6および-S(O)2-R6aから選ばれる;
R4は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロシクリルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールから選ばれる;
R5は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロシクリルから選ばれる;
あるいはR5は、R3およびそれらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員窒素含有複素環を形成しており、これは、所望により、N、OおよびSから選ばれる1個または2個の追加的なヘテロ原子を該複素環内に含みうる;
あるいはR5はR2と一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員窒素含有複素環を形成しており、これは、所望により、N、OおよびSから選ばれる1個または2個の追加的なヘテロ原子を該複素環内に含みうる;
R6は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR11-NH-から選ばれる;
R6aは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルおよびR11-NH-から選ばれる;
R7は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
R11は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる。](式Iは、単一の立体異性体、および立体異性体の混合物を含む)
で表される1以上の化合物、式Iの化合物の医薬上許容される塩、式Iの化合物の医薬上許容される溶媒和物、または式Iの化合物の医薬上許容される塩の医薬上許容される溶媒和物を使用する。特定の実施形態においては、R4が、所望により置換されていてもよいフェニルである場合には、R1は、所望により置換されていてもよいフェニル以外である。
【0012】
1つの態様においては、本発明は、式Iの化合物、式Iの化合物の医薬上許容される塩、式Iの化合物の医薬上許容される溶媒和物、または式Iの化合物の医薬上許容される塩の医薬上許容される溶媒和物の治療的有効量を投与することによりKSPを抑制することにより治療されうる細胞増殖性疾患および他の障害の治療方法に関する。そのような疾患および障害には、癌、過形成、再発狭窄症、心肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症が含まれる。
【0013】
もう1つの態様においては、本発明は、KSPキネシンの抑制に有用な化合物に関する。該化合物は、前記式Iに示す構造、式Iの化合物の医薬上許容される塩、式Iの化合物の医薬上許容される溶媒和物、または式Iの化合物の医薬上許容される塩の医薬上許容される溶媒和物の構造を有する。本発明はまた、式Iの化合物、式Iの化合物の医薬上許容される塩、式Iの化合物の医薬上許容される溶媒和物、または式Iの化合物の医薬上許容される塩の医薬上許容される溶媒和物の治療的有効量と、1以上の医薬賦形剤とを含む医薬組成物に関する。もう1つの態様においては、該組成物は更に、本発明の化合物以外の化学療法剤を含む。
【0014】
もう1つの態様においては、本発明は、KSPキネシンに結合する化合物、例えば、本発明の化合物と置換する又は本発明の化合物の結合と競合する化合物に関するスクリーニング方法を提供する。該方法は、本発明の標識化合物、KSPキネシン、および少なくとも1つの候補物質を一緒にし、KSPキネシンへの該候補物質の結合を測定することを含む。
【0015】
もう1つの態様においては、本発明は、KSPキネシン活性のモジュレーターに関するスクリーニング方法を提供する。該方法は、本発明の化合物、KSPキネシン、および少なくとも1つの候補物質を一緒にし、KSPキネシン活性に対する該候補物質の効果を測定することを含む。
【0016】
発明の詳細な説明
定義
本明細書中で用いる以下の用語および表現は、一般には、それらが用いられている文脈から例外であることが示される場合を除き、以下に記載する意義を有すると意図される。以下の略語および用語は、本明細書の全体を通して、示されている意義を有する:
Ac = アセチル、
Boc = t-ブチルオキシカルボニル、
Bu = ブチル、
c- = シクロ、
CBZまたはZ = カルボベンゾキシ = ベンジルオキシカルボニル、
DCM = ジクロロメタン = 塩化メチレン= CH2Cl2
DIEA = N,N-ジイソプロピルエチルアミン、
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド、
DMSO = ジメチルスルホキシド、
Et = エチル、
Fmoc = 9-フルオレニルメトキシカルボニル、
GC =ガスクロマトグラフィー、
HMDS = ヘキサメチルジシラザン、
HOAc = 酢酸、
HOBt = ヒドロキシベンゾトリアゾール、
Me = メチル、
メシル = メタンスルホニル、
Ph = フェニル、
PhOH = フェノール、
Py = ピリジン、
rt = 室温、
sat’d = 飽和、
s- =第二級、
t- = 第三級、
TES = トリエチルシリル、
TFA = トリフルオロ酢酸、
THF = テトラヒドロフラン、
TMS = トリメチルシリル、
トシル = p-トルエンスルホニル、
Tf = トリフラート。
【0017】
アルキルは、直鎖状、分枝状もしくは環状の脂肪族炭化水素構造またはそれらの組合せを含むと意図され、それらの構造は飽和または不飽和でありうる。低級アルキルは、1〜5個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原原子のアルキル基を意味する。低級アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-およびt-ブチルなどが含まれる。好ましいアルキル基としては、C20以下のものが挙げられる。より好ましいアルキル基としては、C13以下のものが挙げられる。シクロアルキルはアルキルの下位概念であり、3〜13個の炭素原子の環状脂肪族炭化水素基を含む。シクロアルキル基の具体例には、c-プロピル、c-ブチル、c-ペンチル、ノルボルニル、アダマンチルなどが含まれる。シクロアルキル-アルキルはアルキルのもう1つの下位概念であり、非環状アルキルを介して親構造に結合したシクロアルキルを意味する。シクロアルキル-アルキルの具体例には、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルプロピルなどが含まれる。本出願においては、アルキルは、アルカニル、アルケニルおよびアルキニル残基を含み、ビニル、アリル、イソプレニルなどを含むと意図される。特定の数の炭素を有するアルキル残基が挙げられている場合には、すべての幾何異性体が含まれると意図され、したがって、例えば、「ブチル」はn-ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびt-ブチルを含むと意図され、「プロピル」はn-プロピル、イソプロピルおよびc-プロピルを含む。
【0018】
アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンはアルキルの他の下位概念であり、アルキルと同じ残基を含むが、化学構造内に2つの結合点を有する。アルキレンの具体例には、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、ジメチルプロピレン(-CH2C(CH3) 2CH2-)およびシクロヘキシルプロピレン(-CH2CH2CH(C6H13)-)が含まれる。同様に、アルケニレンの具体例には、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン(-CH=CH-CH2-)およびシクロヘキシルプロペニレン(-CH=CHCH(C6H13)-)が含まれる。アルキニレンの具体例には、エチニレン(-C=C-)およびプロピニレン(-CH=CH-CH2-)が含まれる。
【0019】
シクロアルケニルはアルキルの下位概念であり、3〜13個の炭素原子の不飽和環状炭化水素基を含む。シクロアルケニル基の具体例には、c-ヘキセニル、c-ペンテニルなどが含まれる。
【0020】
アルコキシまたはアルコキシルは、酸素を介して親構造に結合した直鎖状、分枝状もしくは環状配置またはそれらの組合せの、好ましくは1〜8個の炭素原子を含むアルキル基(すなわち、基アルキル-O-)を意味する。具体例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれる。低級アルコキシは、1〜4個の炭素を含有するアルコキシ基を意味する。
【0021】
アシルは、カルボニル官能基を介して親構造に結合した直鎖状、分枝状もしくは環状配置またはそれらの組合せの、1〜8個の炭素原子の基を意味する。そのような基は飽和または不飽和であることが可能であり、脂肪族または芳香族でありうる。親構造の結合点がカルボニルに位置したままである限り、アシル残基内の1以上の炭素は、酸素、窒素(例えば、カルボキサミドの場合)または硫黄により置換されうる。具体例には、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、オキサリル、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、モルホリニルカルボニルなどが含まれる。低級アシルは、1〜4個の炭素を含有するアシル基を意味する。
【0022】
アミノは基-NH2を意味する。「置換アミノ」なる語は、基-NHRまたは-NRRを意味し、ここで、各Rは、独立して、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアルコキシ、所望により置換されていてもよいアミノカルボニル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロシクリル、アシル、アルコキシカルボニル、スルファニル、スルフィニルおよびスルホニル、例えばジエチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、フラニル-オキシ-スルホンアミノの群から選ばれる。置換(された)アミノには、基-NRcCORb、-NRcCO2Ra および-NRcCONRbRcが含まれ、ここで、
Raは、所望により置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキルまたはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり、
Rbは、Hまたは所望により置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキルもしくはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり、
Rcは、水素またはC1-C4アルキルであり、ここで、
それぞれの所望により置換されていてもよいRb基は、独立して、置換されていないか、または独立して、C1-C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、ヘテロアリール-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、-OC1-C4アルキル、-OC1-C4アルキルフェニル、-C1-C4アルキル-OH、-OC1-C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1-C4アルキル-NH2、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキルフェニル)、-NH(C1-C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CON(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-CONH(C1-C4アルキル)、-CONH2、NHC(O)(C1-C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1-C4アルキル、-C(O)C1-C4フェニル、-C(O)C1-C4ハロアルキル、-OC(O)C1-C4アルキル、-SO2(C1-C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1-C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1-C4ハロアルキル)から選ばれる1以上の置換基により置換されている。
【0023】
抗有糸分裂剤は、例えば中期での停止を引き起こすことにより有糸分裂を抑制し又は妨げる薬物を意味する。いくつかの抗腫瘍薬は増殖を阻止し、抗有糸分裂剤とみなされる。
【0024】
アリールおよびヘテロアリールは、O、NまたはSから選ばれるそれぞれ0個または1〜4個のヘテロ原子を含有する5または6員芳香族または複素環式芳香族環、O、NまたはSから選ばれるそれぞれ0個または1〜4個(またはそれ以上)のヘテロ原子を含有する二環式9または10員芳香族または複素環式芳香族環系、あるいはO、NまたはSから選ばれるそれぞれ0個または1〜4個(またはそれ以上)のヘテロ原子を含有する三環式12〜14員芳香族または複素環式芳香族環系を意味する。該芳香族6〜14員炭素環には、例えばフェニル、ナフチル、インダニル、テトラリニルおよびフルオレニルが含まれ、5〜10員芳香族複素環には、例えばイミダゾリル、ピリジニル、インドリル、チエニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリルおよびピラゾリルが含まれる。
【0025】
アラルキルは、アリール部分がアルキル残基を介して親構造に結合した残基を意味する。具体例には、ベンジル、フェネチル、フェニルビニル、フェニルアリルなどが含まれる。ヘテロアラルキルは、ヘテロアリール部分がアルキル残基を介して親構造に結合した残基を意味する。具体例には、フラニルメチル、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが含まれる。
【0026】
アラルコキシ(aralkoxy)は基-O-アラルキルを意味する。同様に、ヘテロアラルコキシは基-O-ヘテロアラルキルを意味し、アリールオキシは基-O-アリールを意味し、アシルオキシは基-O-アシルを意味し、ヘテロアリールオキシは基-O-ヘテロアリールを意味し、ヘテロシクリルオキシは基-O-ヘテロシクリルを意味する(すなわち、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、アシル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールが酸素を介して親構造に結合している)。
カルボキシアルキルは基-アルキル-COOHを意味する。
【0027】
アミノカルボニルは、基-CONRbRcを意味し、ここで、
Rbは、Hまたは所望により置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキルもしくはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり、
Rcは、水素またはC1-C4アルキルであり、ここで、
それぞれの所望により置換されていてもよいRb基は、独立して、置換されていないか、または独立して、C1-C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、ヘテロアリール-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、-OC1-C4アルキル、-OC1-C4アルキルフェニル、-C1-C4アルキル-OH、-OC1-C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1-C4アルキル-NH2、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキルフェニル)、-NH(C1-C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CON(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-CONH(C1-C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1-C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1-C4アルキル、-C(O)C1-C4フェニル、-C(O)C1-C4ハロアルキル、-OC(O)C1-C4アルキル、-SO2(C1-C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1-C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1-C4ハロアルキル)から選ばれる1以上の置換基により置換されている。アミノカルボニルは、カルバモイル、低級アルキルカルバモイル、ベンジルカルバモイル、フェニルカルバモイル、メトキシメチルカルバモイルなどを含むと意図される。
【0028】
ハロゲンまたはハロはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素および臭素が好ましい。ジハロアリール、ジハロアルキル、トリハロアリールなどは、示されている複数(この場合は、それぞれ2個、2個および3個)のハロゲンにより置換されたアリールおよびアルキルを意味するが、複数の同一ハロゲンにより置換されている必要はなく、例えば4-クロロ-3-フルオロフェニルはジハロアリールの範囲内である。
【0029】
ヘテロシクリルは、1〜4個の炭素がヘテロ原子(例えば、酸素、窒素または硫黄)により置換されたシクロアルキルまたはアリール残基を意味する。本発明の範囲内に含まれるヘテロシクリルの具体例には、アゼチジニル、イミダゾリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキシル(置換基として存在する場合には、一般には、メチレンジオキシフェニルと称される)、テトラゾリル、モルホリニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピペリジニル、ピリミジニル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソオキサゾリル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニルなどが含まれる。「N-ヘテロシクリル」は窒素含有複素環を意味する。ヘテロシクリルなる語は、ヘテロシクリルの下位概念であるヘテロアリールを含む。N-ヘテロシクリル残基の具体例には、アゼチジニル、4-モルホリニル、4-チオモルホリニル、1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、3-チアゾリジニル、ピペラジニルおよび4-(3,4-ジヒドロベンゾオキサジニル)が含まれる。置換ヘテロシクリルの具体例には、4-メチル-1-ピペラジニルおよび4-ベンジル-1-ピペリジニルが含まれる。
【0030】
脱離基または原子は、反応条件下で出発物質から切断されて特定部位での反応を促進する任意の基または原子である。特に示さない限り、そのような基の適当な具体例としては、ハロゲン原子、メシルオキシ、p-ニトロベンゼンスルホニルオキシおよびトシルオキシ基が挙げられる。
【0031】
「所望により」または「場合によっては」は、その後に記載されている事象または状況が生じても生じなくてもよいこと、ならびに該記載が、該事象または状況が生じる場合およびそれが生じない場合を含むことを意味する。例えば、「所望により置換されていてもよいアルキル」は、本明細書に定義されているとおりの「アルキル」および「置換アルキル」を含む。1以上の置換基を含有する任意の基に関して、そのような基に、立体的に実現不可能および/または合成上実施不可能および/または元々不安定ないずれの置換基または置換パターンも導入されることは意図されない、と当業者に理解される。
【0032】
置換アルコキシは、アルキル部分が置換されているアルコキシ(すなわち、-O-(置換アルキル))を意味する。1つの適当な置換されたアルコキシ基は「ポリアルコキシ」または-O-(所望により置換されていてもよいアルキレン)-(所望により置換されていてもよいアルコキシ)であり、-OCH2CH2OCH3のような基、およびグリコールエーテルの基、例えばポリエチレングリコール、および-O(CH2CH2O)xCH3(ここで、xは約2〜20、好ましくは約2〜10、より好ましくは約2〜5の整数)を含む。もう1つの適当な置換されたアルコキシ基はヒドロキシアルコキシまたは-OCH2(CH2)yOH(ここで、yは約1〜10、好ましくは約1〜4の整数である)である。
【0033】
置換されたアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、1以上(約5個まで、好ましくは約3個まで)の水素原子が、独立して、-Ra、-ORb、-O-(C1-C2アルキル)O-(例えば、エチレンジオキシまたはメチレンジオキシ)、-SRb、グアニジン、グアニジン水素の1以上が低級アルキル基により置換されたグアニジン、-NRbRc、ハロゲン、シアノ、ニトロ、-CORb、-CO2Rb、-CONRbRc、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-CO2Rb、-CONRbRc、-NRcCORb、-SORa、-SO2Ra、-SO2NRbRcおよび-NRcSO2Raよりなる群から選ばれる置換基により置換されたそれぞれアルキル、アリールおよびヘテロアリールを意味し、ここで、
Raは、所望により置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキルまたはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり、
Rbは、Hまたは所望により置換されていてもよいC1-C6アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキルもしくはヘテロアリール-C1-C4アルキル基であり、
Rcは、水素またはC1-C4アルキルであり、ここで、
それぞれの所望により置換されていてもよいRa基およびRb基は、独立して、置換されていないか、または独立して、C1-C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-C4アルキル、ヘテロアリール-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、-OC1-C4アルキル、-OC1-C4アルキルフェニル、-C1-C4アルキル-OH、-OC1-C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1-C4アルキル-NH2、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキルフェニル)、-NH(C1-C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1-C4アルキル、-CON(C1-C4アルキル)(C1-C4アルキル)、-CONH(C1-C4アルキル)、-CONH2、NHC(O)(C1-C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1-C4アルキル、-C(O)C1-C4フェニル、-C(O)C1-C4ハロアルキル、-OC(O)C1-C4アルキル、-SO2(C1-C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1-C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1-C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1-C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1-C4ハロアルキル)から選ばれる1以上の置換基により置換されている。Tおよび/またはT'が、置換されたアルキレンである式Iの化合物においては、「置換された」なる語は、1以上(約3個まで、特に1個)の炭素原子が、独立して、O、NまたはSから選ばれるヘテロ原子により置換されたアルキレン基(例えば、-CH2-S-CH2-)をも意味する。
【0034】
スルファニルは、基-S-(所望により置換されていてもよいアルキル)、-S-(所望により置換されていてもよいアリール)、-S-(所望により置換されていてもよいヘテロアリール)および-S-(所望により置換されていてもよいヘテロシクリル)を意味する。
【0035】
スルフィニルは、基-S(O)-H、-S(O)-(所望により置換されていてもよいアルキル)、-S(O)-(所望により置換されていてもよいアリール)、-S(O)-(所望により置換されていてもよいヘテロアリール)、-S(O)-(所望により置換されていてもよいヘテロシクリル)および-S(O)-(所望により置換されていてもよいアミノ)を意味する。
【0036】
スルホニルは、基-S(O2)-H、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいアルキル)、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいアリール)、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいヘテロアリール)、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいヘテロシクリル)、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいアルコキシ)、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいアリールオキシ)、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいヘテロアリールオキシ)、-S(O2)-(所望により置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ)および-S(O2)-(所望により置換されていてもよいアミノ)を意味する。
【0037】
医薬上許容される塩は、適当な酸または塩基と共に形成される、生物学的有効性を保有し医薬用途に生物学的に不十分または不適当ではない、該遊離化合物の塩を意味し、医薬上許容される酸付加塩および塩基付加塩を含む。医薬上許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸から誘導されるもの、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などのような有機酸から誘導されるものが含まれる。
【0038】
医薬上許容される塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などのような無機塩基から誘導されるものが含まれる。特定の実施形態としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。塩基付加塩には、第一級、第二級および第三級アミン、置換アミン、例えば天然に存在する置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンの塩を含む、医薬上許容される無毒性有機塩基から誘導されるものが含まれる。
【0039】
保護基は、有機合成においてそれに通常関連した意義を有する。すなわち、それは、多官能性化合物中の1以上の反応部位を選択的に保護して、別の未保護反応部位上で選択的に化学反応が生じることを可能にし、該選択的反応が完了した後に容易に除去されうる基を意味する。種々の保護基が、例えば、T.H. GreeneおよびP. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, John Wiley & Sons, New York (1999)(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に開示されている。例えば、ヒドロキシ保護形態においては、化合物中に存在するヒドロキシ基の少なくとも1つがヒドロキシ保護基で保護される。同様に、アミンおよび他の反応性基も同様に保護されうる。
【0040】
溶媒和物は、溶媒と式Iの化合物またはその塩との相互作用により形成される化合物を意味する。式Iの化合物またはその塩の適当な溶媒和物は、水和物を含む医薬上許容される溶媒和物である。
【0041】
本明細書に記載の化合物の多くは、1以上の不斉中心(例えば、R2がR2’と異なる場合に、R2とR2’とが結合している炭素)を含有し、したがって、絶対立体化学において(R)-または(S)-として定められうるエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体を与えうる。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間混合物を含むすべてのそのような可能な異性体を含むと意図される。光学的に活性な(R)-および(S)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して製造することが可能であり、あるいは通常の技術を用いて分割することが可能である。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何不斉中心を含有する場合には、特に示さない限り、該化合物はEおよびZ幾何異性体を含むと意図される。同様に、すべての互変異性体および回転異性体も含まれると意図される。
【0042】
所望により、R-およびS-異性体を、当業者に公知の方法、例えば、例えば結晶化により分離されうるジアステレオ異性体塩または錯体の形成により;例えば結晶化、気-液または液体クロマトグラフィーにより分離されうるジアステレオ異性誘導体の形成により;エナンチオマー特異的試薬と1つのエナンチオマーとの選択的反応、例えば酵素的酸化または還元およびそれに続く修飾および未修飾エナンチオマーの分離により;キラル環境中、例えばキラル担体(例えば、結合キラルリガンドを伴うシリカ)上またはキラル溶媒の存在下での気-液または液体クロマトグラフィーにより分割することが可能である。所望のエナンチオマーが前記の分離方法の1つにより別の化学的実体に変換される場合には、所望のエナンチオマー形態を遊離させるために更なる工程が要求されうると理解される。あるいは、光学活性試薬、基質、触媒もしくは溶媒を使用する不斉合成により又は一方のエナンチオマーを不斉変換によりもう一方のエナンチオマーに変換することにより、特定のエナンチオマーを合成することが可能である。
【0043】
本発明の化合物
本発明は、1以上の有糸分裂性キネシンのインヒビターである1,2,4-トリアゾール-5-オン誘導体として記載されうる新規化合物のクラスに関する。有糸分裂性キネシン以外のキネシン(例えば、輸送キネシン)を抑制しないで有糸分裂性キネシンを抑制することにより、細胞増殖の特異的抑制が達成される。いずれの理論にも束縛されるものではないが、本発明は、有糸分裂性キネシン機能の阻害(perturbation)が紡錘体の形成不良または機能不全を引き起こして、しばしば、細胞周期停止および細胞死を招くという知見を利用するものである。本発明の1つの実施形態においては、本明細書に記載の化合物は有糸分裂性キネシンKSP、特にヒトKSPを抑制する。もう1つの実施形態においては、該化合物は有糸分裂性キネシンKSPを抑制して、HSET(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,361,993号を参照されたい);MCAK(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,331,424号を参照されたい);CENP-E(参照により本明細書に組み入れるPCT公開番号WO 99/13061を参照されたい);Kif4(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,440,684号を参照されたい);MKLP1(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,448,025号を参照されたい);Kif15(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,355,466号を参照されたい);Kid(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,387,644号を参照されたい);Mpp1、CMKrp、KinI-3(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,461,855号を参照されたい);Kip3a(参照により本明細書に組み入れるPCT公開番号WO 01/96593を参照されたい);Kip3d(参照により本明細書に組み入れる米国特許第6,492,151号を参照されたい);およびRabK6よりなる群から選ばれるヒト有糸分裂性キネシンの1以上をモジュレーションする。
【0044】
有糸分裂性キネシンの抑制方法は、本発明のインヒビターをキネシン、特にヒトキネシン、より詳しくはヒトKSPまたはそれらの断片および変異体と接触させることを含む。該抑制はKSPキネシンのATP加水分解活性の抑制および/または紡錘体を破壊する、紡錘体形成活性の抑制でありうる。
【0045】
本発明は、細胞増殖に関連した障害の治療のための、有糸分裂性キネシン、特にKSP、より詳しくはヒトKSPのインヒビターを提供する。本明細書に記載の化合物、組成物および方法は、それらの選択性において異なることが可能であり、癌、過形成、再発狭窄症、心肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症を含む(これらに限定されるものではない)細胞増殖の疾患を治療するために使用される。
【0046】
したがって、本発明は、式I:
【化2】

【0047】
[式中、
TおよびT'は、独立して、共有結合または所望により置換されていてもよい低級アルキレンである;
R1は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
R2およびR2は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;あるいはR2とR2とは一緒になって、所望により置換されていてもよい3〜7員環を形成している;
R3は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、-C(O)-R6および-S(O)2-R6aから選ばれる;
R4は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロシクリルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールから選ばれる;
R5は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロシクリルから選ばれる;
あるいはR5は、R3およびそれらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員窒素含有複素環を形成しており、これは、所望により、N、OおよびSから選ばれる1個または2個の追加的なヘテロ原子を該複素環内に含みうる;
あるいはR5はR2と一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員窒素含有複素環を形成しており、これは、所望により、N、OおよびSから選ばれる1個または2個の追加的なヘテロ原子を該複素環内に含みうる;
R6は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR11-NH-から選ばれる;
R6aは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルおよびR11-NH-から選ばれる;
R7は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
R11は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる。](単一の立体異性体、および立体異性体の混合物を含む)
で表される化合物、式Iの化合物の医薬上許容される塩、式Iの化合物の医薬上許容される溶媒和物、または式Iの化合物の医薬上許容される塩の医薬上許容される溶媒和物を使用する方法に関する。特定の実施形態においては、R2およびR2’が結合している立体中心(stereogenic center)はR配置のものである。
【0048】
命名法
式Iの化合物は、後記の方法(例えば、ChemDrawまたはISIS-DRAWにおけるAutoNom version 2.1を使用する)で命名され番号づけされうる。例えば、化合物:
【化3】

【0049】
すなわち、TおよびT'が存在せず、R1がベンジルであり、R2がプロピル(特にi-プロピル)であり、R2'が水素であり、R3がR5と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニルであり、R4がメチルである式Iの化合物は、4-ベンジル-2-メチル-5-[2-メチル-1-(2-p-トリル-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-イル)-プロピル]-2,4-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾール-3-オンと命名されうる。
【0050】
同様に、化合物:
【化4】

【0051】
すなわち、TおよびT'が存在せず、R1がベンジルであり、R2がプロピル(特にi-プロピル)であり、R2'が水素であり、R3が-COR6であり、R4がフェニルであり、R6がp-トリルであり、R5が3-アミノプロピルである式Iの化合物は、N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミドと命名されうる。
【0052】
合成反応パラメーター
式Iの化合物は、後記の反応スキームを参照して説明されている方法に従い製造することができる。
【0053】
特に示さない限り、「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」なる語は、それに関して記載されている反応の条件下で不活性な溶媒[例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジメチルエーテル、メタノール、ピリジンなどを含む]を意味する。特に示さない限り、本発明の反応において使用する溶媒は不活性有機溶媒である。
【0054】
「q.s.」なる語は、示されている機能を達成するのに(例えば、溶液を所望の容量(すなわち100%)にするのに)十分な量を加えることを意味する。
【0055】
一般に、カルボン酸のエステルは、通常のエステル化法により製造することができる。例えば、アルキルエステルは、一般には酸性条件下、必要なカルボン酸を適当なアルカノールで処理することにより製造することができる。同様に、アミドは、通常のアミド化法を用いて製造することができる。例えば、アミドは、活性化カルボン酸を適当なアミンで処理することにより製造することができる。あるいは、Tetrahedron Lett. 48, 4171-4173 (1977)に記載の方法に従い、場合によってはトリメチルアルミニウムの存在下、該酸の低級アルキルエステル、例えばメチルエステルをアミンで処理して、必要なアミドを得ることができる。カルボキシル基はアルキルエステル、例えばメチルエステルとして保護されることが可能であり、このエステルは、通常の方法を用いて生成され除去されうる。カルボメトキシをカルボキシルに変換するための1つの簡便な方法は、水性水酸化リチウムを使用することである。
【0056】
本明細書に記載の化合物の塩および溶媒和物は、必要に応じて、当技術分野における通常の方法により製造することが可能である。例えば、本発明化合物が酸である場合には、無機または有機塩基、例えばアミン(第一級、第二級または第三級)、水酸化アルカリ金属またはアルカリ土類金属などで該遊離酸を処理することにより、所望の塩基付加塩を製造することが可能である。適当な塩の例示的な具体例には、アミノ酸、例えばグリシンおよびアルギニン;アンモニア;第一級、第二級および第三級アミン、例えばエチレンジアミンおよび環状アミン、例えばシクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンから誘導される有機塩;ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩が含まれる。
【0057】
化合物が塩基である場合には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など又は有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸またはガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸または酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸またはケイ皮酸、スルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などでの該遊離塩基の処理を含む、当技術分野において公知の任意の適当な方法により、所望の酸付加塩を製造することが可能である。
【0058】
本明細書に記載の化合物および中間体の単離および精製は、必要に応じて、任意の適当な分離または精製方法、例えば濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィーまたはこれらの方法の組合せにより行うことが可能である。適当な分離および単離方法の具体的な例示に関しては、後記の実施例が参照されうる。しかし、他の同等の分離または単離方法も勿論用いられうる。
【0059】
式Iの化合物の合成
式Iの化合物は、後記の反応スキームを参照して説明されている方法に従い製造されうる。
【0060】
反応スキームの簡潔な説明
反応スキーム1Aおよび1Bは、R3が-C(O)R6である式Iの化合物の合成を例示する。反応スキーム1Aにおいては、R4置換基の導入の前にR1置換基を付加するが、反応スキーム1Bは反対の合成順序を例示する。
反応スキーム2は、R3が-SO2R6aである式Iの化合物の合成を例示する。
【0061】
反応スキーム3は式Iの化合物の合成を例示する。
反応スキーム4は、R3がR5と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリルを形成している式Iの化合物の合成を例示する。
反応スキーム5は、R3がR5と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリルを形成している式Iの化合物のもう1つの合成を例示する。
反応スキーム6は、R3がR5と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニルを形成している式Iの化合物の合成を例示する。
反応スキーム7は、R3がR5と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニルを形成している式Iの化合物のもう1つの合成を例示する。
反応スキーム8は、R3が-C(O)R6であり、R6が-OR7である式Iの化合物の合成を例示する。
反応スキーム9は、R3が-C(O)R6であり、R6が-NHR11である式Iの化合物の合成を例示する。
反応スキーム10は、R3が、R5およびそれらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されていてもよいジアゼピノンを形成している式Iの化合物の合成を例示する。
反応スキーム11は、R3が、R5およびそれらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されていてもよいジアゼピノンを形成している式Iの化合物の合成を例示する。
反応スキーム12は、R3が、R5およびそれらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されていてもよいピペラジン環を形成している式Iの化合物の合成を例示する。
【0062】
出発物質
式101の所望により置換されていてもよい化合物および他の反応物はAldrich Chemical Company, Milwaukee, WIから商業的に入手可能であり、一般的に用いられる合成法を用いて当業者により容易に製造されうる。
【化5】

【0063】

【0064】
式103の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程1においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)中の式101の化合物(好ましくは、アミン保護PGがCBZであるもの)の溶液に過剰(好ましくは、約1.2当量)のエチルクロロホルマートおよび過剰(好ましくは、約1.2当量)の第三級アミン塩基(例えば、トリエチルアミンまたはDIEA)を約0℃で加える。該反応混合物を窒素のような不活性雰囲気下で攪拌する。約1時間後、式R1NH2(式中、R1は前記と同意義を有する)の第一級アミンの過剰量(好ましくは、約1.2当量)を約5分間にわたり加える。添加が完了したら、該反応溶液を室温に加温する。生成物である式103の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0065】
式105の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程2においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式103の化合物の懸濁液に過剰(好ましくは、約1.7当量)のメーヤワイン塩(例えば、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート)を加える。得られた混合物を約14時間攪拌する。生成物である式105の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0066】
式107の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程3においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)中の式105の化合物の溶液に過剰(好ましくは、約1.85当量)のヒドラジン(好ましくは、THF中のヒドラジンの1.0M溶液として)を加える。得られた混合物を約4時間攪拌する。生成物である式107の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0067】
式109の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程4においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)中の式107の化合物の溶液に約0.9当量の1,1-カルボニルジイミダゾールを加える。得られた溶液を約14時間攪拌する。生成物である式109の化合物を単離し、好ましくは、酢酸エチルとヘキサンとの混合物を溶離液として使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。
【0068】
式111の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程5においては、極性非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中の式109の化合物の溶液に過剰(好ましくは、約1.8当量)の式R4-X(式中、R4は前記と同意義を有し、Xはヨードまたはブロモである)の化合物および過剰(好ましくは、約1.6当量)の塩基(例えば、炭酸カリウム)を加える。得られた混合物を約18時間攪拌する。生成物である式111の化合物を単離し、好ましくは、アセトニトリルとH2Oとの混合物を使用するRP-HPLC上で精製する。
【0069】
式113の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程6においては、極性プロトン性溶媒(例えば、メタノール)中の式111の化合物の溶液をH2(好ましくは、約30psi)の気流下、10% Pd/Cの存在下で約1時間攪拌する。該触媒をPTFE(0.45 m)フィルターでの濾過により除去する。生成物である式113の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0070】
式115の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程7においては、約0℃の無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式113の化合物の溶液に、R5を含むアルデヒド(すなわち、式R5’CHOを有する化合物。ここで、R5’CH2-はR5と等価であり、R5は前記と同意義を有するか、またはそのような置換基、例えば(3-オキソ-プロピル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステルの保護前駆体)の過剰量(好ましくは、約1.2当量)および還元剤、例えばナトリウム トリアセトキシボロヒドリドの過剰量(好ましくは、約1.2当量)を順次加える。得られた混合物を不活性雰囲気下で約3時間攪拌する。さらに、好ましくは約0.5当量の式114のアルデヒドおよび約0.4当量のナトリウム トリアセトキシボロヒドリドを加える。攪拌を約2時間継続する。生成物である式115の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0071】
式117の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程8においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式115の化合物およびN,N-ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の溶液に過剰(好ましくは、約1.2当量)の式R6COCl(式中、R6は前記と同意義を有する)の酸クロリドを加える。生成物である式117の化合物を単離し、好ましくは、アセトニトリルとH2Oとの混合物を使用するRP-HPLC上で精製する。
【0072】
所望により、ついで式117の化合物上の任意の保護基を除去する。例えば、Boc基で保護されたアミンをR5が含む場合には、反応をほぼ室温に維持しながら、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、トリフルオロ酢酸のような酸で式117の化合物を処理することにより、Boc基を除去することが可能である。該反応は、例えばTLCによりモニターする。完了したら、生成物を単離し精製する。
【0073】
本発明の或る化合物においては、R2置換基に関しては、得られうる(R)異性体のような特定の立体配置が好ましいかもしれない。遊離アミンを不活性有機溶媒(例えば、IPA)に溶解し、60℃に加温する。別の容器で、分割剤(例えば、ジベンゾイル-D-酒石酸)を、好ましくは同じ加温溶媒に溶解し、ついで(攪拌しながら)素早く該加温アミン溶液に加える。該反応混合物を、連続的に攪拌しながら16時間かけて室温に冷却することにより結晶化させる。所望の異性体、例えば(R)異性体を常法により単離し精製する。
【0074】
式Iの化合物の合成の残りの説明を簡潔にするために、単一の異性体または異性体混合物のいずれかを使用して対応生成物を得ることが可能であると理解されるべきである。
【化6】

【0075】
式102の化合物の製造
反応スキーム1Bの工程1においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)中の式101の化合物(好ましくは、アミン保護基PGがCBZであるもの)の溶液に過剰(好ましくは、約1.1当量)のエチルクロロホルマートおよび過剰(好ましくは、約1.2当量)の第三級アミン塩基(例えば、トリエチルアミンまたはDIEA)を約0℃で加える。該反応混合物を窒素のような不活性雰囲気下で攪拌する。約1時間後、アンモニアの過剰量(好ましくは、約1.2当量)を約5分間にわたり加える。添加が完了したら、該反応溶液を室温に加温する。生成物である式102の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0076】
式104の化合物の製造
反応スキーム1Bの工程2においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式102の化合物の懸濁液に過剰(好ましくは、約1.7当量)のメーヤワイン塩(例えば、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート)を加える。得られた混合物を約14時間攪拌する。生成物である式104の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0077】
式106の化合物の製造
反応スキーム1Bの工程3においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)中の式104の化合物の溶液に式R4NHNH2のヒドラジンの過剰量を加える。得られた混合物を約14時間攪拌する。生成物である式106の化合物を単離し、更なる精製を行わずに使用する。
【0078】
式108の化合物の製造
反応スキーム1Aの工程4においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)中の式106の化合物の溶液に過剰(好ましくは、約2当量)の1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)を加える。得られた溶液を約14〜48時間攪拌する。生成物である式108の化合物を単離し、好ましくは、酢酸エチルとヘキサンとの混合物を溶離液として使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。
【0079】
式111の化合物の製造
反応スキーム1Bの工程5においては、極性非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中の式108の化合物の溶液に過剰(好ましくは、約1.8当量)の式R1-X(式中、R1は前記と同意義を有し、Xは脱離基、例えばクロロ、トシラート、トリフラート、メシラート、ヨードまたはブロモである)の化合物および過剰(好ましくは、約2当量)の塩基(例えば、炭酸カリウム)を加える。得られた混合物を約14〜18時間攪拌する。生成物である式111の化合物を単離し、好ましくは、アセトニトリルとH2Oとの混合物を使用するRP-HPLC上で精製する。
【化7】

【0080】
反応スキーム2においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式115の化合物およびアミン塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の溶液に、式Cl-S(O)2-R6aまたはO-(S(O)2-R6a)2(式中、R6aは前記と同意義を有する)を有する化合物を加える。得られた溶液を窒素下、室温で数時間攪拌する。生成物である式203の化合物を単離し、精製する。
【化8】

【0081】
反応スキーム3においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式115の化合物およびアミン塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の溶液に、式X-R3(式中、Xは脱離基、例えばトシラート、メシラート、BrまたはClである)化合物を加える。得られた溶液を窒素下、室温で又は加熱しながら、数時間攪拌する。生成物である式303の化合物を単離し、精製する。
【化9】

【0082】
式403の製造
反応スキーム4、工程1においては、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で極性非プロトン性溶媒(例えば、DMF)に溶解された所望により置換されていてもよい式113の化合物に、所望により置換されていてもよく、適当に保護されており、さらには脱離基(好ましくは、ハロゲン)を含むアルデヒドの1当量を加える。該溶液を還流温度で加熱し、(例えば、TLCにより)反応の完了をモニターする。該反応混合物を冷却し、対応する所望により置換されていてもよい式403の化合物を単離し、精製する。
【0083】
式405の製造
反応スキーム4、工程2においては、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、約1.5モル当量のアミン塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下の所望により置換されていてもよい式403の化合物に、約1.5モル当量のR9酸クロリド、例えばCl-C(O)-R9(式中、R9は前記と同意義を有する)を加える。該反応を、攪拌しながら、室温で4〜24時間行う。完了を、例えばTLCによりモニターする。式405の対応化合物を単離し、精製する。
【0084】
式407の製造
反応スキーム4、工程3においては、酢酸中の式405の化合物および過剰の酢酸アンモニウムの溶液を還流温度で1〜4時間加熱する。完了を、例えばTLCによりモニターする。式407の対応化合物を単離し、精製する。
【化10】

【0085】
式503の製造
反応スキーム5、工程1においては、極性非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中の式113の化合物、式R13’(CO)CH2X(式中、Xはハロゲンであり、R13’は前記と同意義を有する)のαハロケトン試薬およびほぼ当量の塩基(例えば、炭酸カリウム)の懸濁液を室温で攪拌する。該反応を水で希釈し、得られた固体(式503の化合物)を、さらに精製することなく後続の工程で使用する。
【0086】
式505の製造
反応スキーム5、工程2においては、有機溶媒(例えば、塩化メチレン)中の式503の化合物、ほぼ当量のアミン塩基(例えば、トリエチルアミン)およびほぼ当量の酸クロリド(例えば、式R9-COClの化合物)の溶液を室温で数時間攪拌する。完了を、例えばTLCによりモニターする。式505の対応化合物を単離し、精製する。
【0087】
式507の製造
反応スキーム5、工程3においては、酢酸中の式505の化合物および過剰の酢酸アンモニウムの溶液を、ディーン・シュターク(Dean-Stark)トラップおよび冷却器を使用して還流温度で加熱する。完了を、例えばTLCによりモニターする。式507の対応化合物を単離し、精製する。
【0088】
R13’がフタルイミド保護基を含む場合には、該保護基を以下のとおりに除去する。極性プロトンン性溶媒(例えば、エタノール)中の式507の化合物および過剰の無水ヒドラジンの溶液を還流温度で加熱する。該反応を約5℃に冷却し、沈殿物を濾去する。濾液を真空中で濃縮し精製して脱保護アミンを得る。当業者は、他の保護基を除去するためには他の条件を用いうると認識するであろう。
【化11】

【0089】
式603の製造
反応スキーム6、工程1においては、所望により置換されていてもよいアルデヒド含有カルバミン酸エステルでの式113のアミンの還元的アミノ化はウレタン中間体を与える。Boc保護基の除去は式605のアミンを与える。
【0090】
より詳しくは、ジクロロメタン中の式113の化合物および当量の適当に保護されたアルデヒド(Sekiら, Chem. Pharm. Bull. 1996, 44, 2061)の溶液に、少し過剰の還元剤(例えば、ナトリウム トリアセトキシボロヒドリド)を加える。得られた濁った混合物を室温で維持する。完了を、例えばTLCによりモニターする。式603の対応化合物を単離し、精製を行うことなく後続工程において使用する。
【0091】
式605の製造
反応スキーム6、工程2においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式603の化合物の溶液に強酸(例えば、トリフルオロ酢酸)を加える。得られた溶液を室温で一晩維持し、減圧下で濃縮する。残渣を単離して式605の化合物を得、これを、精製することなく後続工程において使用した。
【0092】
式607の製造
反応スキーム6、工程3においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式605の化合物の溶液に、過剰(好ましくは、約2当量)のアミン塩基(例えば、トリエチルアミン)を加え、ついでほぼ当量または少し過剰の式R9COClの酸クロリドを加える。得られた溶液を室温で約3時間攪拌する。完了を、例えばTLCによりモニターする。式607の対応化合物を単離し、精製する。
【0093】
式609の製造
反応スキーム6、工程4においては、過剰のオキシ塩化リン中の式607の化合物の溶液を還流温度で加熱する。8時間後、該反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。式609の対応化合物を単離し、精製する。
【化12】

【0094】
式609の製造
反応スキーム6の工程3および4の代わりに、式605の第一級アミンのアシル化およびそれに続く酢酸媒介環化を、中間体アミンを単離することなく行って、式609の標的化合物を得ることが可能である。この経路を反応スキーム7に示す。
【0095】
より詳しくは、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の式605の化合物の溶液に、過剰(好ましくは、約2当量)のアミン塩基(例えば、トリエチルアミン)を加え、ついでほぼ当量の式R9COClの酸クロリドを加える。得られた溶液を室温で2時間攪拌し、ついで減圧下で蒸発させる。得られた固体を氷酢酸で処理し、ついで、得られた懸濁液を還流温度で約48時間加熱する。該反応を室温に冷却し、ついで減圧下で蒸発させる。式609の対応化合物を単離し、精製する。
【化13】

【0096】
反応スキーム8においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、式115の化合物を少し過剰の式R7O(CO)Clの化合物と反応させる。生成物である式803の化合物を単離し、精製する。
【化14】

【0097】
反応スキーム9においては、無極性非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、式115の化合物を少し過剰のイソシアナートR11-N=C=Oで処理する。生成物である式903の化合物を単離し、精製する。
【化15】

【0098】
反応スキーム10においては、(2-オキソ-エチル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステルでの式113の化合物中の第一級アミノ基の還元的アミノ化は対応第二級アミンを与えた。アクリロイルクロリドでのアシル化ならびにそれに続く該第三級アミドの脱保護および塩基媒介環化は所望のジアゼパノンを与えた。所望により、当業者に良く知られた条件下、該塩基性アミンの更なる官能基化を達成することが可能であった。
【化16】

【0099】
反応スキーム11においては、(2-オキソ-エチル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステルでの式113の化合物中の第一級アミノ基の還元的アミノ化は対応第二級アミンを与えた。クロロピバロイルクロリドでのアシル化ならびにそれに続く該第三級アミドの脱保護および塩基媒介環化は所望のジアゼパノンを与えた。所望により、当業者に良く知られた条件下、該塩基性アミンの更なる官能基化を達成することが可能であった。
【化17】

【0100】
反応スキーム12においては、式1201の化合物、1.5モル当量の所望により置換されていてもよいピペラジンまたはジアゼパム(前記のものであり、R32は本明細書中に記載のとおりである)および過剰の炭酸カリウムを有機溶媒(例えば、アセトニトリル)中で一緒にする。窒素雰囲気下、高温(例えば、100℃)で8時間、ついでそれよりやや低い温度(例えば、60℃)で5日間にわたって反応を行う。生成物である式1203の化合物を単離し、精製する。
【0101】
所望により、R32がBocのようなアミン保護基である場合には、それを例えばTFA/水の95/5 混合物での処理およびそれに続く室温で1時間の攪拌により除去することが可能である。生成物である、R32が水素である式1203の化合物を単離し、精製することが可能である。所望により、当業者に良く知られた条件下、該塩基性アミンの更なる官能基化を達成することが可能であろう。
【0102】
特定の方法および最終工程
所望により、式Iの化合物を、医薬上許容される塩または塩基と接触させて、対応する酸または塩基付加塩を形成させることが可能である。
【0103】
所望により、式Iの化合物の医薬上許容される酸付加塩を塩基と接触させて、対応する式Iの遊離塩基を形成させることが可能である。
【0104】
所望により、式Iの化合物の医薬上許容される塩基付加塩を酸と接触させて、対応する式Iの遊離酸を形成させることが可能である。
【0105】
本発明の化合物の特定の実施形態
TおよびT'
式Iの化合物に注目すると、Tは、所望により置換されていてもよいアルキレンであるか又は存在せず、T'は、所望により置換されていてもよいアルキレンであるか又は存在しない。1つの実施形態においては、TおよびT'の一方は存在せず、もう一方は、所望により置換されていてもよいアルキレン(特に、所望により置換されていてもよいメチレン)である。もう1つの実施形態においては、両方が存在しない。
【0106】
R1
式Iの化合物に注目すると、特定の実施形態においては、R1は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアラルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる。特定の実施形態においは、R4が、所望により置換されていてもよいフェニルである場合には、R1は、所望により置換されていてもよいフェニルではない。
【0107】
より特定の実施形態においては、R1は、水素、所望により置換されていてもよい低級アルキル、所望により置換されていてもよいベンジル、所望により置換されていてもよいナフチルメチルおよび所望により置換されていてもよいフェニルから選ばれる。
【0108】
より特定の実施形態においては、R1は、水素、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、テトラヒドロフラニルメチル、ジクロロベンジル、フラニルメチル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチルおよび(エトキシカルボニル)エチルから選ばれる。より特定の実施形態においては、R1は、水素、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、テトラヒドロフラニルメチル、ジクロロベンジル、フラニルメチル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチルおよび(エトキシカルボニル)エチルから選ばれる。
【0109】
より具体的には、R1は、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルである。最も具体的には、R1はベンジルである。
【0110】
R2
式Iの化合物に注目すると、当業者に理解されるとおり、本明細書に記載の化合物は、R2とR2'とが結合している炭素において潜在的キラル中心を有する。R2基とR2'基とは同一であっても異なっていてもよく、異なる場合には、該化合物はキラルである(すなわち、立体中心)。R2とR2'とが異なる場合には、特定の実施形態においては、R2は水素であり、R2'は水素以外である。実質的に光学的に純粋なエナンチオマーが一般には好ましいが、本発明は、純粋なエナンチオマー、およびエナンチオマー混合物、例えばラセミ混合物の使用を含む。「実質的に光学的に純粋」または「エナンチオ的に純粋」なる語は、約1%を超える単一の不純物を伴わずに少なくとも約95%の記載化合物を有すること、特に、少なくとも約97.5%のエナンチオマー過剰率を有することを意味する。特定の実施形態においては、R2とR2'とが結合している立体中心はR配置を有する。
【0111】
1つの実施形態においては、R2は、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルであり、R2’は水素または所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである。より具体的には、R2’は水素であり、R2は、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである。より具体的な実施形態においては、R2は、メチル、エチル、プロピル(特に、c-プロピルまたはi-プロピル)、ブチル(特に、t-ブチル)、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチルおよびヒドロキシメチルから選ばれ、R2’は水素である。特に好ましくは、R2’は水素であり、R2はエチルまたはプロピル(特に、c-プロピルまたはi-プロピル)である。より具体的には、R2はi-プロピルである。R2とR2'とが結合している立体中心がR配置を有する実施形態が、より好ましい。
【0112】
もう1つの実施形態においては、R2およびR2’の両方が水素である。
【0113】
R2とR5とが一緒になっている場合
もう1つの実施形態においては、R2とR5とが一緒になって5〜12員環を形成しており、該環は、所望により、N、OおよびSから選ばれる1〜2個の追加的なヘテロ原子を複素環内に含有し、所望により以下の基の1以上により置換されていてもよい:ヒドロキシル、ハロゲン(特に、クロロおよびフルオロ)、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキル、(特に、メチル)、C1-C4アルコキシ(メトキシ)、シアノ、アミノ、置換されたアミノ、オキソまたはカルバミル。
【0114】
特定の実施形態においては、R2とR5とは一緒になって、式:
【化18】

【0115】
の、所望により置換されていてもよい環を形成しており、ここで、R41およびR41’は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換されたアルキル、置換されたアリール、置換されたアラルキルおよび置換されたヘテロアリールから選ばれ、mは0、1、2または3であり、T、T’、R4およびR2’は前記と同意義を有する。より特定の実施形態においては、R41は水素である。もう1つの特定の実施形態においては、R41およびR41’の両方が水素である。もう1つの実施形態においては、R4は、所望により置換されていてもよいアラルキル(特に、ベンジル)または所望により置換されていてもよいアシル(特に、p-メチル-ベンゾイル)である。例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れる米国特許出願第USSN 60/414,756号を参照されたい。
【0116】
もう1つの実施形態においては、R2とR5とは一緒になって、式:
【化19】

【0117】
の、所望により置換されていてもよい環を形成しており、ここで、R3、R2’、TおよびT’は前記と同意義であり、R51およびR51’は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換されたアルキル、置換されたアリール、置換されたアラルキルおよび置換されたヘテロアリールから選ばれ、Uは共有結合、CR’R”またはNR’”であり、R’およびR”は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアルキルアミノ、所望により置換されていてもよいアルキルおよび所望により置換されていてもよいアルコキシから選ばれ、R’”は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれ、ただし、UおよびT’の両方が共有結合であることはない。
【0118】
特定の実施形態においては、R51は水素または所望により置換されていてもよい低級アルキルであり、より具体的には、R51は水素である。もう1つの実施形態においては、R51’は水素または所望により置換されていてもよい低級アルキルであり、より具体的には、R51’は水素である。
【0119】
1つの実施形態においては、R3は、所望により置換されていてもよいアリールまたは所望により置換されていてもよいアラルキルであり、より具体的には、R3は、所望により置換されていてもよいフェニル、ベンジルまたはメチル-ベンジル(特に、ベンジルまたはメチル-ベンジル)である。
【0120】
1つの実施形態においては、UはCR’R”であり、ここで、R’および/またはR”は水素である。もう1つの実施形態においては、UはNR’”であり、ここで、R’”は水素または所望により置換されていてもよいアルキルである。より具体的には、R’”は水素または所望により置換されていてもよいアミノ-低級アルキルである。例えば、あらゆる目的で参照により本明細書に組み入れるUSSN 60/398,224を参照されたい。
【0121】
R4
式Iの化合物に注目すると、特定の実施形態においては、R4は水素、所望により置換されていてもよいアルキル(特に、メチル、エチルまたはプロピル)、所望により置換されていてもよいアラルキル(特に、ベンジル)、所望により置換されていてもよいアリール(特に、フェニル、所望により置換されていてもよいフェニル)、カルバミル、ヘテロアリール(特に、ピリジニル)または所望により置換されていてもよいヘテロシクリル(特に、モルホリニルまたはピペラジニル)である。
【0122】
より具体的には、R4はメチル、エチル、プロピル、フェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ジハロフェニル、ピリジニルまたはベンジルである。最も具体的な実施形態においては、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルである。
【0123】
R3が-C(O)R6である場合のR6
R3が-C(O)R6である式Iの化合物に注目すると、特定の実施形態においては、R6は、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアリール、R7O-およびR11-NH-から選ばれ、R7は、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれ、R11は、水素、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる。
【0124】
特定のR6は、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる。最も具体的な実施形態においては、R6は、
フェニル;
以下の置換基の1以上により置換されたフェニル:ハロ;C1-C4アルキル;ヒドロキシにより置換されたCl-C4アルキル(例えば、ヒドロキシヒドロキシメチル);C1-C4アルコキシ;Cl-C4アルコキシ、ハロ、ニトロ、ホルミル、カルボキシ、シアノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アシル(例えば、アセチル)、-N-アシル(例えば、N-アセチル)またはトリフルオロメチルにより置換されたC1-C4アルキル;
ベンジル;
フェノキシメチル;
ハロフェノキシメチル;
フェニルビニル;
ヘテロアリール;
C1-C4アルキル、またはハロにより置換されたCl-C4アルキル(例えば、CF3)により置換されたヘテロアリール;
C1-C4アルコキシにより置換されたCl-C4アルキル:および
ベンジルオキシメチル
から選ばれる。
【0125】
R6がR11NH-またはR7O-ではない最も具体的な実施形態においては、R6は、フェニル、ハロフェニル、ジハロフェニル、シアノフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、ヒドロキシメチルフェニル、メトキシメチルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、カルボキシフェニル、ホルミルフェニル、エチルフェニル、トリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、メトキシクロロフェニル、ジヒドロ-ベンゾジオキシニル、メチルハロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、フラニル、C1-C4アルキル置換フラニル、トリフルオロメチルフラニル、C1-C4アルキル置換トリフルオロメチルフラニル、ベンゾフラニル、チオフェニル、C1-C4アルキル置換チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジニル、インドリル、メチルピリジニル、トリフルオロメチルピリジニル、ピロリル、キノリル、ピコリニル、ピラゾリル、C1-C4アルキル置換ピラゾリル、N-メチルピラゾリル、C1-C4アルキル置換N-メチルピラゾリル、C1-C4アルキル置換ピラジニル、C1-C4アルキル置換イソオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、モルホリノメチル、メチルチオメチル、メトキシメチル、N-メチルイミダゾリルおよびイミダゾリルから選ばれる。より具体的には、R6は、所望により置換されていてもよいフェニル(特に、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチルフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニル)である。
【0126】
R6がR11NH-である、より具体的な実施形態においては、R11は、水素、C1-C4アルキル;シクロヘキシル;フェニル;およびハロ、トリフルオロメチル、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4アルキルチオにより置換されたフェニルから選ばれる。
【0127】
R6がR11NH-である最も具体的な実施形態においては、R11は、水素、イソプロピル、ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ブロモフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、エチルフェニル、トリル、トリフルオロメチルフェニルまたはメチルチオフェニルである。
【0128】
R6がR7O-である1つの実施形態においては、R7は、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる。
【0129】
R3が-SO2R6aであるR6a
R3が-SO2R6aである1つの実施形態においては、R6aは、C1-C13アルキル;フェニル;ナフチル;ハロ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルにより置換されたフェニル;ビフェニリルおよびヘテロアリールから選ばれる。より具体的には、R6aは、ハロ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルにより置換されたフェニル、およびナフチルから選ばれる。
【0130】
R3とR5とが一緒になっている場合
式Iの化合物に注目すると、1つの実施形態においては、R3、R5およびそれらが結合している窒素が一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員窒素含有複素環を形成しており、該環は、所望により、N、OおよびSから選ばれる1〜2個の追加的なヘテロ原子を複素環内に含有する。
【0131】
特定の実施形態においては、R3、R5およびそれらが結合している窒素が一緒になって、式:
【化20】

【0132】
の、所望により置換されていてもよいイミダゾリル環を形成しており、ここで、R9は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいアラルコキシ、所望により置換されていてもよいヘテロアラルコキシおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールから選ばれ、R13およびR13’は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリールまたは所望により置換されていてもよいアラルキルである。
【0133】
より具体的には、R3、R5およびそれらが結合している窒素が一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成している場合、R9は、アリール(特に、フェニル)、置換されたアリール(特に、低級アルキル、低級アルコキシおよび/またはハロ置換フェニル)、アラルキル(特に、ベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルコキシ(特に、フェノキシ低級アルキル)、ヘテロアラルコキシ、置換アラルキル(特に、置換されたベンジルおよび置換されたスチレニル)、置換されたヘテロアラルキル、置換されたアラルコキシ(特に、置換されたフェノキシ低級アルキル)または置換されたヘテロアラルコキシである。例えば、参照により本明細書に組み入れるPCT/US03/14787を参照されたい。
【0134】
もう1つの特定の実施形態においては、R3とR5とが一緒になって、式:
【化21】

【0135】
の、所望により置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成しており、ここで、R9は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいアラルコキシまたは所望により置換されていてもよいヘテロアラルコキシから選ばれ、R10、R10’、R14およびR14’は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリールおよび所望により置換されていてもよいアラルキルから選ばれる。
【0136】
R3とR5とが一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成している場合、特定の実施形態においては、R9は、アリール(特に、フェニル)、置換されたアリール(特に、置換された低級アルキル、低級アルコキシおよび/またはハロ置換フェニル)、アラルキル(特に、ベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルコキシ(特に、フェノキシ低級アルキル)、ヘテロアラルコキシ、置換されたアラルキル(特に、置換されたベンジルおよび置換されたスチレニル)、置換されたヘテロアラルキル、置換されたアラルコキシ(特に、置換されたフェノキシ低級アルキル)または置換されたヘテロアラルコキシである。
【0137】
R3とR5とが一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成している場合、より具体的には、R10は水素または所望により置換されていてもよい低級アルキル、R10’は水素または所望により置換されていてもよい低級アルキルである。
【0138】
もう1つの実施形態においては、R3とR5とが一緒になって、式:
【化22】

【0139】
の、所望により置換されていてもよいジアゼピノン環を形成しており、ここで、AおよびBは、それぞれ独立して、C(R20)(R21)、N(R22)、OまたはSから選ばれ、ここで、R20およびR21は、それぞれ独立して、H、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールから選ばれ、R22はH、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいアルキルカルボニル、所望により置換されていてもよいアリールカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、所望により置換されていてもよいアラルキルカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルカルボニル、所望により置換されていてもよいアルコキシカルボニル、所望により置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、所望により置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルオキシカルボニルである。より特定の実施形態においては、該ジアゼピノン環は更に、以下の基の1以上により置換されている:所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル。
【0140】
式Iの化合物の更にもう1つの実施形態においては、AまたはBのうちの一方はC(R20)(R21)であり、ここで、R20およびR21は、それぞれ独立して、HまたはC1-C4アルキルから選ばれ、AまたはBのうちのもう一方はN(R22)であり、ここで、R22はH、C1-C4アルキル、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、C1-C6アルキルカルボニル、所望により置換されていてもよいアリールカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、所望により置換されていてもよいアラルキルカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルカルボニル、C1-C6アルコキシカルボニル、所望により置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、所望により置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルオキシカルボニルであり、ここで、所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基部分は、置換されていないか、またはC1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、 C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、アミノ、C1-C4アルキルアミノ、ジ-C1-C4アルキルアミノ、カルボキシ、C1-C4アルキルカルボニルオキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、カルボキサミド、C1-C4アルキルカルボキサミド、アミノカルボニル、C1-C4アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C4アルキルアミノカルボニル、シアノ、C1-C4アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプトおよびニトロから選ばれる1以上の置換基により置換されている。もう1つの実施形態においては、AはC(R20)(R21)であり、ここで、R20およびR21は、それぞれ独立して、HまたはC1-C4アルキルであり、BはN(R22)であり、ここで、R22はH、C1-C4アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、C1-C6アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニルである。式Iの化合物の具体的な実施形態においては、AはCH2であり、BはN(R22)であり、ここで、R22はH、メチル、ベンジルまたはアセチル(-C(O)メチル)である。例えば、
あらゆる目的で参照により本明細書に組み入れる米国特許出願第60/435,001号を参照されたい。
【0141】
もう1つの実施形態においては、R3とR5とが一緒になって、式:
【化23】

【0142】
の、所望により置換されていてもよいピペラジンまたはジアゼパムを形成しており、ここで、R31およびR32は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアラルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれ、nは1または2である。より具体的には、R31はアリール(特に、フェニル)、置換されたアリール(特に、低級アルキル、低級アルコキシおよび/またはハロ置換フェニル)、アラルキル(特に、ベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアラルキル、置換されたアラルキル(特に、置換されたベンジルおよび置換されたフェニルビニル)または置換されたヘテロアラルキルであり、R32は水素であり、nは1である。例えば、参照により本明細書に組み入れる米国特許出願第60/404,864号を参照されたい。
【0143】
R3
もう1つの実施形態においては、R3は、所望により置換されていてもよいC1-C13アルキル(特に、置換されたCl-C4アルキル)、所望により置換されていてもよいアラルキル(特に、所望により置換されていてもよいベンジルまたはナフチルメチル)および所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる。より具体的には、R3はベンジルであるか、または以下の基の1以上により置換されたベンジルである:カルボキシ、アルコキシカルボニル、シアノ、ハロ、C1-C4アルキル、Cl-C4アルコキシ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチル。
【0144】
R5
1つの実施形態においては、R5は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる。
【0145】
より特定の実施形態においては、R5は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいシクロヘキシル;ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルにより置換されたフェニル;ベンジル;ヘテロアリールメチル;ヘテロアリールエチル;およびヘテロアリールプロピルから選ばれる。
【0146】
最も特定の実施形態においては、R5は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、カルボキシエチル、カルボキシメチル、メトキシエチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、アミノプロピル、メチルアミノプロピル、2,2-ジメチル-3-(ジメチルアミノ)プロピル、1-シクロヘキシル-4-(ジエチルアミノ)ブチル、アミノエチル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、アミノエトキシエチル、イソプロピルアミノプロピル、ジイソプロピルアミノエチル、1-メチル-4-(ジエチルアミノ)ブチル、(t-Boc)アミノプロピル、ヒドロキシフェニル、ベンジル、メトキシフェニル、メチルメトキシフェニル、ジメチルフェニル、トリル、エチルフェニル、(オキソピロリジニル)プロピル、(メトキシカルボニル)エチル、ピリジニルエチル、ピリジニルメチル、モルホリニルエチル モルホリニルプロピル、アゼチジニルメチル、アゼチジニルエチル、アゼチジニルプロピル ピロリジニルエチル、ピロリジニルプロピル、ピペリジニルメチル、ピペリジニルエチル、イミダゾリルプロピル、イミダゾリルエチル、(エチルピロリジニル)メチル、(メチルピロリジニル)エチル、(メチルピペリジニル)プロピル、(メチルピペラジニル)プロピル、フラニルメチルおよびインドリルエチルから選ばれる。
【0147】
より具体的には、R5はアミノプロピル、ピロリジニルメチルまたはピペリジニルメチルである。
【0148】
塩形態
本発明の化合物は、一般には、酸付加塩を形成しうるであろう(すなわち、医薬上許容される酸と反応して酸付加塩を形成する部位を含むであろう)。本発明は、式Iの化合物の医薬上許容される酸付加塩を含む。本化合物の酸付加塩は、親化合物および過剰の酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスロホン酸から、適当な溶媒中、標準的な方法で製造される。
【0149】
医薬上許容されない、式Iの化合物の塩および/または溶媒和物は、式Iの化合物の医薬上許容される塩および/または溶媒和物の製造、あるいは式Iの化合物自体の製造における中間体として有用であることがあり、そのようなものとして、本発明のもう1つの態様を構成する。
【0150】
式Iの化合物の特定の下位概念
式Iの化合物の特定の下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R3は水素であり、R5は水素である。
【0151】
式Iの化合物のもう1つの下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R3は-C(O)R6であり、R5は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいシクロヘキシル;ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルにより置換されたフェニル;ベンジル;ヘテロアリールメチル;ヘテロアリールエチル;およびヘテロアリールプロピルから選ばれ、R6はトリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチルフェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニルまたはシアノフェニルである。
【0152】
式Iの化合物のもう1つの下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R3は-C(O)R6aであり、R5は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいシクロヘキシル;ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルにより置換されたフェニル;ベンジル;ヘテロアリールメチル;ヘテロアリールエチル;およびヘテロアリールプロピルから選ばれ、R6aは、ハロ、Cl-C4アルキル、Cl-C4アルコキシ、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルフェニル、およびナフチルから選ばれる。
【0153】
式Iの化合物のもう1つの下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R3は、所望により置換されていてもよいCl-C13アルキル、所望により置換されていてもよいアラルキルまたは所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルであり、R5は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいシクロヘキシル;ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルにより置換されたフェニル;ベンジル;ヘテロアリールメチル;ヘテロアリールエチル;およびヘテロアリールプロピルから選ばれる。
【0154】
式Iの化合物の特定の下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R5はR3と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニルである。
【0155】
式Iの化合物の特定の下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R5はR3と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリルである。
【0156】
式Iの化合物の特定の下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R5はR3と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリジニル環である。
【0157】
式Iの化合物の特定の下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R5はR3と一緒になって、所望により置換されていてもよいピペラジニル環である。
【0158】
式Iの化合物の特定の下位概念においては、TおよびT’は存在せず、R1はベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、R2は、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、R2’は水素であり、R4はフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、R5はR3と一緒になって、所望により置換されていてもよいジアゼピノイル環である。
【0159】
本発明の特定の化合物には以下のものが含まれる:
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-1-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(1,4-ジベンジル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-ピリジン-2-イル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-1-エチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-クロロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-5-オキソ-1-(2-オキソ-プロピル)-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-1-イソプロピル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(2-クロロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-クロロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-プロピル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-m-トリル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-m-トリル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-シアノ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-5-オキソ-1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メトキシ-ベンズアミド;
・ ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-カルボン酸(3-アミノ-プロピル)-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-アミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-p-トリル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-p-トリル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-シアノ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-2-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-トリフルオロメチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(2-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-2-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-3-フルオロ-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-ヒドロキシメチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-(3-シアノ-ベンジル)-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-2-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-(3-シアノ-ベンジル)-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-(3-シアノ-ベンジル)-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-フルオロ-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-(3-シアノ-ベンジル)-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-トリフルオロメチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-(3-シアノ-ベンジル)-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-ヒドロキシメチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-4-フルオロ-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-3-フルオロ-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-トリフルオロメチル-ベンズアミド;
・ N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-2-メチル-N-ピロリジン-2-イルメチル-ベンズアミド;
・ N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-N-ピロリジン-2-イルメチル-ベンズアミド;
・ N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-2-メチル-N-ピペリジン-4-イルメチル-ベンズアミド;
・ N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-N-ピペリジン-4-イルメチル-ベンズアミド;
・ 5-(1-アミノ-2-メチル-プロピル)-4-ベンジル-2-(2-クロロ-フェニル)-2,4-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾール-3-オン;
・ 5-(1-アミノ-2-メチル-プロピル)-4-ベンジル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾール-3-オン;
・ N-(2-アミノエチル)-N-{1-[1-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-オキソ-4-(フェニルメチル)-4,5-ジヒドロ-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]-2-メチルプロピル}-2-メチルベンズアミド;
・ N-(3-アミノプロピル)-N-{1-[1-(3,5-ジフルオロフェニル)-5-オキソ-4-(フェニルメチル)-4,5-ジヒドロ-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]-2メチルプロピル}-4-(ヒドロキシメチル) ベンズアミド; および
・ 5-メチル-イソオキサゾール-3-カルボン酸 (3-アミノ-プロピル)-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-アミド。
【0160】
より特定すると、本発明は以下の化合物を提供する:
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-クロロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-クロロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-m-トリル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-m-トリル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-シアノ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-5-オキソ-1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-カルボン酸 (3-アミノ-プロピル)-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-アミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-メトキシ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(4-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-p-トリル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3-シアノ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-トリフルオロメチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-ベンジル-1-(2-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-2-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-ヒドロキシメチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-(3-シアノ-ベンジル)-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-N-{1-[4-(3-シアノ-ベンジル)-1-(3-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-ヒドロキシメチル-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-4-フルオロ-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-ベンズアミド;
・ N-(3-アミノ-プロピル)-3-フルオロ-N-{1-[1-(3-フルオロ-フェニル)-4-(3-メトキシ-ベンジル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-4-トリフルオロメチル-ベンズアミド;
・ N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-2-メチル-N-ピロリジン-2-イルメチル-ベンズアミド;
・ N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-N-ピロリジン-2-イルメチル-ベンズアミド;
・ N-{1-[4-ベンジル-1-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-2-メチル-プロピル}-3-フルオロ-4-メチル-N-ピペリジン-4-イルメチル-ベンズアミド; および
・ 5-(1-アミノ-2-メチル-プロピル)-4-ベンジル-2-(2-クロロ-フェニル)-2,4-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾール-3-オン。
【0161】
有用性、試験および投与
一般的有用性
本発明の化合物は、製造されると、有糸分裂の改変を含む種々の用途に有用である。当業者に理解されるとおり、有糸分裂は種々の方法で改変されうる。すなわち、有糸分裂経路における成分の活性を増加または減少させることにより、有糸分裂に影響を及ぼすことが可能である。言い換えれば、ある成分を抑制または活性化することにより平衡を妨げることにより、有糸分裂に影響を及ぼす(例えば、破壊する)ことが可能である。有糸分裂を改変するために、同様のアプローチを用いることが可能である。
【0162】
特定の実施形態においては、本発明の化合物は、紡錘体形成を抑制して有糸分裂における細胞周期停止の延長をもたらすために使用する。この場合の「抑制」は、紡錘体形成の軽減もしくは妨害または紡錘体の機能不全を引き起こすことを意味する。本明細書における「紡錘体形成」は、有糸分裂性キネシンによる双極性構造への微小管の組織化を意味する。本明細書における「紡錘体の機能不全」は、有糸分裂の停止および単極性紡錘体形成を意味する。
【0163】
本発明の化合物は、有糸分裂性キネシンKSPに結合させるのに、および/またはKSPの活性を抑制するのに有用である。1つの実施形態においては、KSPはヒトKSPであるが、他の生物からのKSPキネシンに結合させるために又はその活性を抑制するために該化合物を使用することが可能である。この場合、「抑制」は、紡錘体極の分離を増強または減弱して、紡錘体極の形成不良、すなわち、スプレーイング(splaying)を引き起こすこと、あるいは紡錘体の形態学的変化を引き起こすことを意味する。また、この目的において、KSPの変異体および/または断片もKSPの定義に含まれる。米国特許第6,437,115号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。本発明の化合物はKSPに対する特異性を有することが示されている。しかし、本発明は、他の有糸分裂性キネシンに結合する又はそれをモジュレーションする化合物の使用を含む。
【0164】
本発明の化合物は、細胞増殖疾患を治療するために使用される。本発明において提供される化合物、組成物および方法により治療されうるそのような病態には、癌(後記で更に詳しく説明する)、自己免疫疾患、真菌性障害、関節炎、移植片拒絶、炎症性腸疾患、医学的処置(手術、血管形成術などを含むが、これらに限定されるものではない)の後で誘発される細胞増殖が含まれるが、これらに限定されるものではない。治療は細胞増殖の抑制を含む。場合によっては、細胞が異常状態でなくても治療を要することがあると理解される。1つの実施形態においては、本発明は、これらの障害または状態のいずれか1つによる切迫した異常に侵された又はさらされた細胞または個体への適用を含む。
【0165】
本発明において提供される化合物、医薬製剤および方法は、固形腫瘍、例えば皮膚癌、乳癌、脳腫瘍、子宮頚癌、精巣癌などを含む癌の治療に特に有用であると考えられる。より詳しくは、治療されうる癌には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:
心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;
:気管支癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(肺胞細胞)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;
胃腸:食道(小細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管性腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、類癌腫、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);
尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(小細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);
肝臓:ヘパトーマ(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;
:骨原性肉腫(骨肉種)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍軟骨腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫瘍;
神経系:頭蓋(骨腫瘍、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、腫瘍前頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘素性嚢胞腺癌、分類不能癌]、顆粒卵胞膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ぶどう状肉腫(胎児性横紋筋肉腫))、卵管(癌腫);
血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄形成異常症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];
皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑奇胎(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;および
副腎:神経芽細胞腫。
【0166】
本明細書中で用いる「癌の治療」は、前記状態のいずれか1つに侵された細胞を含む癌性細胞の治療を含む。したがって、本明細書に記載の「癌性細胞」なる語は、前記状態のいずれか1つに侵された細胞を含む。
【0167】
本発明のもう1つの有用な態様は、式Iの化合物、塩または溶媒和物と、該化合物、塩または溶媒和物の有効量を投与することにより細胞増殖性疾患を治療するための説明を含む添付文書または他の表示とを含有するキットである。本発明のキット中の化合物、塩または溶媒和物は、特に、細胞増殖性疾患の治療経過にわたる1以上の用量として提供され、各用量は、医薬賦形剤と式Iの化合物、塩または溶媒和とを含む医薬製剤である。
【0168】
試験
KSPモジュレーション活性のアッセイには、一般には、KSPまたは本発明化合物を、分離されたサンプル収容領域(例えば、マイクロタイタープレート、アレイなど)を有する不溶性支持体に非拡散的に結合させる。該不溶性支持体は、サンプルが結合しうる任意の組成物から構成されうるものであり、可溶性物質から容易に分離され、その他の点で、スクリーニング方法の全体に適合しうるものである。そのような支持体の表面は連続的または多孔性であることが可能であり、任意の簡便な形状を有しうる。適当な不溶性支持体の具体例には、マイクロタイタープレート、アレイ、メンブランおよびビーズが含まれる。これらは、典型的には、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、Teflon(商標)などから構成される。マイクロタイタープレートおよびアレイが特に簡便である。なぜなら、少量の試薬およびサンプルを使用して、多数のアッセイを同時に行いうるからである。サンプルの個々の結合方法は、それが本発明の試薬および全体的方法に適合し、サンプルの活性を維持し、非拡散性である限り、決定的には重要でない。個々の結合方法には、抗体(これは、該タンパク質が支持体に結合する際に、リガンド結合部位または活性化配列を立体的に遮断しない)の使用、「粘着性」またはイオン性支持体への直接的結合、化学的架橋、該表面上での該タンパク質または物質の合成などが含まれる。該サンプルの結合の後、過剰の未結合物質を洗浄により除去する。ついで、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは他の無害なタンパク質もしくは他の部分とのインキュベーションにより、サンプル収容領域をブロッキングすることが可能である。
【0169】
本発明の化合物自体を、有糸分裂性キネシン、特にKSPの活性を抑制するために使用することが可能である。1つの実施形態においては、本発明の化合物をKSPと一緒にし、KSPの活性をアッセイする。キネシン(KSPを含む)活性は当技術分野で公知であり、1以上のキネシン活性を含む。キネシン活性は、ATP加水分解に影響を及ぼす能力、微小管結合、滑り(gliding)および重合/脱重合(微小管の動力学に影響を及ぼす)、紡錘体の他のタンパク質への結合、細胞周期制御に関与するタンパク質への結合、キナーゼまたはプロテアーゼのような他の酵素の基質としての機能、ならびに特異的キネシン細胞活性、例えば紡錘体極分離を含む。
【0170】
運動性アッセイを行うための方法は当業者に良く知られている(例えば、Hallら, (1996), Biophys. J., 71: 3467-3476, Turnerら, 1996, AnaL Biochem. 242 (1):20-5; Gittesら, 1996, Biophys. J. 70(l): 418-29; Shirakawaら, 1995, J. Exp. BioL 198: 1809-15; Winkelmannら, 1995, Biophys. J. 68: 2444-53; Winkelmannら, 1995, Biophys. J. 68: 72Sを参照されたい)。
【0171】
また、ATPアーゼ加水分解活性を測定するための当技術分野で公知の方法を用いることも可能である。適切には、溶液に基づくアッセイを用いる。米国特許第6,410,254号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)はそのようなアッセイを記載している。あるいは、通常の方法を用いる。例えば、キネシンからのPiの遊離を定量することが可能である。1つの実施形態においては、ATPアーゼ加水分解活性のアッセイは0.3M PCA(過塩素酸)およびマラカイトグリーン試薬(8.27mM モリブデン酸(II)ナトリウム、0.33mM マラカイトグリーンオキサラートおよび0.8mM Triton X-100)を使用する。該アッセイを行うためには、10μLの該反応混合物を90μLの冷0.3M PCA中でクエンチする。データがmMの遊離無機リン酸塩に変換されうるよう、リン酸標準体を使用する。すべての反応および標準体がPCA中でクエンチされたら、100μLのマラカイトグリーン試薬を例えばマイクロタイタープレート中の関連ウェルに加える。該混合物を10〜15分間現像し、該プレートを650nmの吸光度で読み取る。リン酸標準体を使用した場合には、吸光度測定値をmM Piに変換し、時間の経過と共にプロットすることが可能である。また、当技術分野において公知のATPアーゼアッセイはルシフェラーゼアッセイを含む。
【0172】
また、キネシンモータードメインのATPアーゼ活性も、物質の効果をモニターするために利用可能であり、当業者に良く知られている。1つの実施形態においては、微小管の非存在下でキネシンのATPアーゼアッセイを行う。もう1つの実施形態においては、微小管の存在下でATPアーゼアッセイを行う。前記アッセイにおいては、種々のタイプの物質を検出することが可能である。1つの実施形態においては、物質の効果は微小管およびATPの濃度に無関係である。もう1つの実施形態においては、ATP、微小管または両方の濃度を増加させることにより、キネシンATPアーゼに対する物質の効果を減少させることが可能である。さらにもう1つの実施形態においては、ATP、微小管または両方の濃度を増加させることにより、物質の効果を増加させる。
【0173】
ついで、in vitroでKSPの生化学的活性を抑制する化合物をin vivoでスクリーニングすることが可能である。in vivoスクリーニング法は、細胞周期分布、細胞生存性または紡錘体の存在、形態学、活性、分布または数のアッセイを含む。例えばフローサイトメトリーにより細胞集団の細胞周期分布をモニターするための方法が、細胞生存性を測定するための方法と同様に、当業者に良く知られている。例えば、米国特許第6,437,115号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。紡錘体形成および形成不良をモニターするための顕微鏡的方法が当業者に良く知られている。例えば、WhiteheadおよびRattner (1998), J. Cell Sci. 111:2551-61; Galgioら, (1996) J. Cell Biol., 135:399-414(それらのそれぞれの全体を参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。
【0174】
本発明の化合物はKSPキネシンを抑制する。抑制の尺度の1つはIC50であり、これは、対照と比較してKSPの活性を50%減少させる該化合物の濃度として定義される。好ましい化合物は約1mM未満のIC50を有し、好ましい実施形態は約100μM未満のIC50を有し、より好ましい実施形態は約10μM未満のIC50を有し、とりわけ好ましい実施形態は約1μM未満のIC50を有し、特に好ましい実施形態は約100nM未満のIC50を有し、最も好ましい実施形態は約10nM未満のIC50を有する。IC50の測定は、本明細書に記載されているようなATPアーゼアッセイを用いて行う。
【0175】
抑制のもう1つの尺度はKiである。1μM未満のIC50を有する化合物については、KiまたはKdは、本明細書に記載の化合物の、KSPとの相互作用に関する解離速度定数として定義される。好ましい化合物は約100μM未満のKiを有し、好ましい実施形態は約10μM未満のKiを有し、とりわけ好ましい実施形態は約1μM未満のKiを有し、特に好ましい実施形態は約100nM未満のKiを有し、最も好ましい実施形態は約10nM未満のKiを有する。
【0176】
化合物のKiは、以下の3つの前提およびミカエリス・メンテンの式に基づいてIC50から求められる。第1に、ただ1つの化合物分子が酵素に結合し、協同作用が存在しない。第2に、活性酵素および被検化合物の濃度が既知である(すなわち、調製物中に、有意な量の不純物も不活性形態も存在しない)。第3に、酵素-インヒビター複合体の酵素速度がゼロである。速度(すなわち、化合物濃度)データを以下の式に当てはめる:
【数1】

【0177】
ここで、Vは実測速度であり、Vmaxは遊離酵素の速度であり、I0はインヒビター濃度であり、E0は酵素濃度であり、Kdは酵素-インヒビター複合体の解離定数である。
【0178】
抑制のもう1つの尺度はGI50であり、これは、細胞増殖の速度における50%の減少を引き起こす該化合物の濃度として定義される。好ましい化合物は約1mM未満のGI50を有し、約20μM未満のGI50を有する化合物がより好ましく、約10μM未満のGI50を有する化合物がより好ましく、約1μM未満のGI50を有する化合物がより好ましく、約100nM未満のGI50を有する化合物がより好ましく、約10nM未満のGI50を有する化合物がより好ましい。GI50の測定は、本明細書に記載されているような細胞増殖アッセイを用いて行う。このクラスの化合物は細胞増殖を抑制することが判明した。
【0179】
小分子インヒビターのin vitro効力は、例えば、9点希釈系列の化合物への72時間の曝露の後、生存性に関してヒト卵巣癌細胞(SKOV3)をアッセイすることにより測定する。商業的に入手可能なMTS/PMSの生物還元により形成される産物であるホルマゾンの吸光度を測定することにより、細胞生存性を測定する。用量-反応曲線上の各点を、バックグラウンド吸収(完全な殺細胞)を差し引いた72時間の時点での未処理対照細胞に対する割合(%)として算出する。
【0180】
臨床において癌の治療に成功裏に適用されている抗増殖性化合物(癌化学療法剤)は、非常に様々なGI50を有する。例えば、A549細胞において、GI50は、パクリタクセルでは4nMであり、ドキソルビシンでは63nMであり、5-フルオロウラシルでは1μMであり、ヒドロキシ尿素では500μMである(National Cancer Institute, Developmental Therapeutic Programにより提供されたデータ;http://dtp.nci.nih.gov/)。したがって、抑制を示す濃度とは無関係に細胞増殖を抑制する化合物は、潜在的な臨床的有用性を有する。
【0181】
KSPキネシンに結合する化合物に関するスクリーニング方法において本発明の化合物を使用するためには、KSPを支持体に結合させ、本発明の化合物を該アッセイに加える。あるいは、本発明の化合物を支持体に結合させ、KSPを加える。新規結合物質が探索されうる化合物のクラスには、特異的抗体、化学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定される非天然結合物質、ペプチド類似体などが含まれる。特に関心が持たれるのは、ヒト細胞に対して低い毒性を有する候補物質に関するスクリーニングアッセイである。この目的には、標識in vitroタンパク質-タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、タンパク質結合に関するイムノアッセイ、機能アッセイ(リン酸化アッセイなど)などを含む多種多様なアッセイを用いることが可能である。
【0182】
KSPに対する本発明の化合物の結合の測定は、多数の方法により行うことが可能である。1つの実施形態においては、該化合物を例えば蛍光または放射性部分で標識し、結合を直接的に測定する。例えば、これは、KSPの全部または一部を固体支持体に結合させ、標識試験化合物(例えば、少なくとも1つの原子が、検出可能な同位体により置換された本発明の化合物)を加え、過剰な試薬を洗い落とし、該標識の量が、該固体支持体上に存在するものであるかどうかを判定することにより行うことが可能である。
【0183】
本明細書における「標識」は、該化合物が、検出可能なシグナルを与える標識(例えば、放射性同位体、蛍光性タグ、酵素、抗体、粒子、例えば磁性粒子、化学発光性タグまたは特異的結合分子など)で直接的または間接的に標識されていることを意味する。特異的結合分子には、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンと抗ジゴキシンなどのようなペアが含まれる。特異的結合メンバーの場合には、通常、前記で概説したとおり公知方法に従い、相補的メンバーを、検出をもたらす分子で標識することになろう。該標識は、検出可能なシグナルを直接的または間接的に与えうる。
【0184】
いくつかの実施形態においては、それらの成分の1つだけを標識する。例えば、125Iを使用して又は発蛍光団で、キネシンタンパク質をチロシンの位置において標識することが可能である。あるいは、異なる標識で2以上の成分を標識する(例えば、該タンパク質には125Iを、該抗有糸分裂物質には発蛍光団を使用する)ことが可能である。
【0185】
また、本発明の化合物は、追加的な薬物候補に関してスクリーニングするための競合体として使用することも可能である。本明細書中で用いる「候補物質」または「薬物候補」または文法上同等の用語は、生物活性に関して試験される任意の分子、例えばタンパク質、オリゴペプチド、小有機分子、多糖、ポリヌクレオチドなどを意味する。それらは、細胞増殖表現型を又は細胞増殖配列(核酸配列およびタンパク質配列の両方を含む)の発現を直接的または間接的に改変する能力を有しうる。他の場合には、細胞増殖性タンパク質の結合および/または活性の改変をスクリーニングする。このタイプのスクリーニングは、微小管の存在下または非存在下で行うことが可能である。タンパク質の結合または活性をスクリーニングする場合には、特定の実施形態は、その特定のタンパク質に結合することが既知の分子(例えば、微小管のような重合構造体およびATPのようなエネルギー源)を含まない。この場合のアッセイの特定の実施形態は、内因性天然状態では細胞増殖性タンパク質に結合しない候補物質(本明細書中では「外因性」物質と称される)を含む。もう1つの実施形態においては、外因性物質は更に、KSPに対する抗体を含まない。
【0186】
候補物質は多数の化学クラスを含みうるが、典型的には、それらは、分子量100以上で約2,5000ダルトン未満を有する小有機化合物である。候補物質は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合および親油性結合に必要な官能基を含み、典型的には、少なくとも1つのアミン、カルボニル、ヒドロキシル、エーテルまたはカルボキシル基、一般には、該官能化学基の少なくとも2つを含む。該候補物質は、しばしば、前記官能基の1以上により置換された環状炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくはポリ芳香族構造を含む。候補物質は、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体またはそれらの組合せを含む生体分子のなかにも見出される。
【0187】
候補物質は、合成または天然化合物のライブラリーを含む多種多様な起源から得られる。例えば、多種多様な有機化合物および生体分子のランダム合成および特異的合成のための多数の手段(ランダムオリゴヌクレオチドの発現を含む)が利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが入手可能であるか又は容易に製造される。あるいは、天然の又は合成的に製造されたライブラリーおよび化合物は、通常の化学的、物理的および生化学的手段により容易に修飾される。構造類似体を得るために、公知の薬理学的物質を特異的またはランダムな化学的修飾、例えばアシル化、アルキル化、エステル化および/またはアミド化に付すことが可能である。
【0188】
競合的スクリーニングアッセイは、第1サンプル中でKSPと薬物候補とを一緒にすることにより行うことが可能である。第2サンプルは、本発明の化合物、KSPおよび薬物候補を含む。これは、微小管の存在下または非存在下で行うことが可能である。両方のサンプルについて、薬物候補の結合を測定する。それらの2つのサンプル間の、結合における変化または相違は、KSPに結合しその活性を潜在的に抑制しうる薬物候補の存在を示す。すなわち、第2サンプルにおける薬物候補の結合が第1サンプルの場合と異なる場合には、該薬物候補はKSPに結合しうる。
【0189】
特定の実施形態においては、KSPへの候補物質の結合を、競合結合アッセイを用いて測定する。この実施形態においては、該競合体は、KSPに結合することが既知の結合部分(例えば、抗体、ペプチド、結合相手、リガンドなど)である。ある条件下、候補物質と該結合部分との間の競合的結合が生じて、該結合部分が該薬物候補に取って代わりうる。
【0190】
1つの実施形態においては、候補物質を標識する。まず、候補物質または競合体または両方を、生じうる結合を可能にするのに十分な時間にわたりKSPに加える。最適な活性を促進する任意の温度(典型的には4〜40℃)でインキュベーションを行うことが可能である。
【0191】
インキュベーション時間は、最適な活性が得られるよう選択されるが、迅速なハイスループットスクリーニングが促進されるよう最適化されうる。典型的には0.1〜1時間で十分であろう。一般には、過剰な試薬を除去し又は洗い落とす。ついで第2の成分を加え、該標識成分の存在または非存在を追跡して、結合の指標とする。
【0192】
もう1つの実施形態においては、まず、競合体を加え、ついで候補物質を加える。競合体の置換は、候補物質がKSPに結合しており従ってKSPへの結合能を有しKSPの活性を潜在的に抑制しうることを示す。この実施形態においては、いずれかの化合物が標識されうる。したがって、例えば、競合体を標識した場合には、洗浄溶液中の標識の存在は該物質による置換を示す。あるいは、候補物質を標識した場合には、支持体上の標識の存在が置換を示す。
【0193】
もう1つの実施形態においては、まず、インキュベーションおよび洗浄を行いながら候補物質を加え、ついで競合体を加える。競合体による結合の非存在は、候補物質が、より高いアフィニティーでKSPに結合することを示しうる。したがって、候補物質を標識した場合には、支持体上の標識の存在および競合体の結合の非存在は、候補物質がKSPに結合しうることを示しうる。
【0194】
前記のとおり候補物質をKSPと一緒にし、KSPの生物活性の変化を測定する工程を含む、KSPの活性を抑制しうる候補物質に関するスクリーニングにより、抑制を試験する。したがって、この実施形態においては、候補物質はKSPに結合し(ただし、これは必ずしも必要でないかもしれない)、その生物学的または生化学的活性を変化させるはずである。該方法は、前記において全般的に概説した、細胞周期分布、細胞生存性の変化に関する又は紡錘体の存在、形態学、活性、分布または量に関する細胞のin vitroスクリーニング法およびin vivoスクリーニングの両方を含む。
【0195】
あるいは、天然KSPには結合するが修飾KSPには結合し得ない薬物候補を同定するために、示差的(differential)スクリーニングを用いることが可能である。
【0196】
該アッセイにおいては、陽性対照および陰性対照を用いることが可能である。適切には、統計的に有意な結果を得るために、すべての対照および試験サンプルを少なくとも三重に試験する。すべてのサンプルのインキュベーションは、該タンパク質への該物質の結合に十分な時間にわたって行う。インキュベーション後、すべてのサンプルを洗浄して非特異的結合物質を除去し、結合しており一般的には標識された物質の量を測定する。例えば、放射能標識を使用した場合には、結合化合物の量を測定するために、シンチレーションカウンターでサンプルを計数することが可能である。
【0197】
該スクリーニングアッセイには、種々の他の試薬が含まれうる。これらには、塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤などのような試薬が含まれ、これらを用いて、最適なタンパク質-タンパク質結合を促進し、および/または非特異的もしくはバックグラウンド相互作用を減少させることが可能である。また、その他の点で該アッセイの効率を改善する試薬、例えばプロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗微生物剤などを使用することも可能である。成分の混合物は、必要な結合をもたらす任意の順序で加えることが可能である。
【0198】
投与
したがって、本発明の化合物は細胞に投与される。本明細書における「投与」は、細胞培養内の細胞または患者における細胞への本発明の化合物の治療的有効量の投与を意味する。本明細書における「治療的有効量」は、その投与の目的である効果をもたらす用量を意味する。厳密な用量は治療の目的に左右され、公知の技術を用いて当業者により確認されうる。当技術分野で公知のとおり、全身対局所運搬、年齢、体重、全身的健康状態、性別、食事、投与時間、薬物相互作用および状態の重症度に関する調節が必要かもしれないが、通常の実験で当業者により確認されうる。本明細書における「細胞」は、有糸分裂または減数分裂が改変されうる任意の細胞を意味する。
【0199】
本発明の目的における「患者」は、ヒトならびに他の動物、特に哺乳動物および他の生物の両方を含む。したがって、該方法はヒトに対する治療および獣医学的用途の両方に適用されうる。特定の実施形態においては、患者は哺乳動物であり、より詳しくは、患者はヒトである。
【0200】
所望の薬理学的活性を有する本発明の化合物を、本明細書に記載のとおりに、特に、医薬賦形剤を含む医薬上許容される組成物として患者に投与することが可能である。投与方法に応じて、該化合物は、後記の種々の方法で製剤化することが可能である。該製剤中の治療的に活性な化合物の濃度は約0.1〜100重量%の様々な値をとりうる。
【0201】
該物質は、単独で又は他の治療(すなわち、放射線または他の化学療法剤、例えば、微小管形成に対して作用するらしいタキサンのクラスの物質、もしくはカンプトテシンのクラスのトポイソメラーゼIインンヒビター)と組合せて投与することが可能である。他の化学療法剤を使用する場合には、それを本発明の化合物の投与の前、同時または後に投与することが可能である。本発明の1つの態様においては、本発明の化合物を1以上の他の化学療法剤と共投与する。「共投与」は、本化合物および共投与化合物が患者の血流中に同時に見出されうるよう、本化合物を患者に投与することを意味し、それらの化合物が実際に投与された時点(同時を含む)には無関係である。
【0202】
本発明の化合物および組成物の投与は、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内または眼内を含む(これらに限定されるものではない)種々の方法で行うことが可能である。いくつかの場合には、例えば、創傷および炎症の治療においては、該化合物または組成物を溶液または噴霧剤として直接的に適用することが可能である。
【0203】
医薬剤形は、式Iの化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはその塩の溶媒和物と、1以上の医薬賦形剤とを含む。当技術分野において公知のとおり、医薬賦形剤は、種々の剤形(例えば、錠剤、カプセル剤および液剤のような経口形態;皮膚用製剤、軟膏剤および耳用形態のような局所形態;坐剤;注射剤;呼吸用形態など)中の薬物または医薬の運搬を可能にする又は促進するように機能する副次的成分である。医薬賦形剤は、不活性成分、相乗剤または化合物(有効成分の医学的効果に実質的に寄与するもの)を含む。例えば、医薬賦形剤は、流動特性、製品均一性、安定性、風味もしくは外観を改善するよう、または用量の取扱い及び投与を容易にするよう、または使用を簡便にするよう、またはバイオアベイラビリティを制御するよう機能しうる。医薬賦形剤は一般には不活性であると記載されているが、医薬賦形剤とそれを含有する剤形との間には何らかの関係があると当技術分野においては理解されている。
【0204】
担体または希釈剤としての使用に適した医薬賦形剤は当技術分野において良く知られており、種々の製剤において使用されうる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro編, Mack Publishing Company (1990); Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, A. R. Gennaro編, Lippincott Williams & Wilkins (2000); Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Edition, A. H. Kibbe編, American Pharmaceutical Association, and Pharmaceutical Press (2000); およびHandbook of Pharmaceutical Additives, MichaelおよびIrene Ash,Gower編 (1995)(それらのそれぞれを、あらゆる目的で参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。
【0205】
錠剤のような経口固形剤形は、典型的には、1以上の医薬賦形剤を含み、これは、例えば、満足しうる加工および圧縮特性が得られるのを補助したり、追加的な望ましい物理的特性を錠剤に付与しうる。そのような医薬賦形剤は、希釈剤、結合剤、グライダント(glidant)、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、重合体、ろう又は他の溶解遅延物質から選ばれうる。
【0206】
静脈内投与用組成物は、一般には、静脈内用流体、すなわち、循環系により容易に運搬され同化されうる、糖、アミノ酸または電解質のような単純な化合物の無菌溶液を含む。そのような流体は注射用水USPで調製される。
【0207】
非経口投与用の剤形は、一般には、流体、特に静脈内流体、すなわち、循環系により容易に運搬され同化されうる、糖、アミノ酸または電解質のような単純な化合物の無菌溶液を含む。そのような流体は、典型的には、注射用水USPで調製される。静脈内(IV)での使用に一般に使用される流体はRemington, The Science and Practice of Pharmacy(完全な引用は既に示されている)に開示されており、以下のものが含まれる:
・アルコール、例えば5% アルコール(例えば、デキストロースおよび水(「D/W」)中のもの又は正常食塩水(「NSS」)中のD/W中のもの、例えば、5% デキストロースおよび水(「D5/W」)中のもの又はNSS中のD5/W中のもの);
・合成アミノ酸、例えばアミノシン(Aminosyn)、フレアミン(FreAmine)、トラバソール(Travasol)、例えばそれぞれ3.5または7;8.5;3.5、5.5または8.5%;
・塩化アンモニウム、例えば2.14%;
・NSS(例えば、10%)中またはD5/W(例えば、10%)中のデキストラン40;
・NSS(例えば、6%)中またはD5/W(例えば、6%)中のデキストラン70;
・デキストロース(グルコース、D5/W)、例えば2.5〜50%;
・デキストロースおよび塩化ナトリウム、例えば5〜20% デキストロースおよび0.22〜0.9% NaCl;
・乳酸化(lactated)リンゲル液(Hartmann's)、例えばNaCl 0.6%、KCl 0.03%、CaCl2 0.02%;
・ラクタート0.3%;
・マンニトール、例えば5%;これは所望により、デキストロース(例えば、10%)またはNaCl(例えば、15または20%)と組合されうる;
・種々の組合せの電解質、デキストロース、フルクトース、転化糖リンゲル液(例えば、NaCl 0.86%、KCl 0.03%、CaCl2 0.033%)を含有する多電解質溶液;
・炭酸水素ナトリウム、例えば5%;
・塩化ナトリウム、例えば0.45、0.9、3または5%;
・乳酸ナトリウム、例えば1/6M;および
・注射用の無菌水。
【0208】
当技術分野において公知のとおり、そのようなIV流体のpHは様々な値をとることが可能であり、典型的には3.5〜8である。
【0209】
本発明の化合物、医薬上許容される塩および溶媒和物は、単独で又は他の治療(すなわち、放射線または他の化学療法剤、例えば、微小管形成に対して作用するらしいタキサンのクラスの物質、もしくはカンプトテシンのクラスのトポイソメラーゼIインンヒビター)組合せて投与することが可能である。他の化学療法剤は、そのように使用される場合には、本発明の活性物質の投与の前、同時(別々の剤形によるか、一緒になった剤形によるかには無関係である)または後に投与することが可能である。
【0210】
以下の実施例は、前記の発明を使用する様態をより完全に説明するためのものであり、また、本発明の種々の態様を実施するための意図される最良の形態を説明するためのものである。これらの実施例は本発明の真の範囲を何ら限定するものではなく、単に例示の目的で記載されているに過ぎないと理解される。本明細書中に引用されている特許および特許出願を含む(これらに限定されるものではない)すべての刊行物を、完全に記載されているものとして、各個の刊行物が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されているのと同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。
【実施例】
【0211】
実施例1:
化合物1A, N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-1-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミドの合成
【化24】

【0212】
THF (700 mL)中のCbz-D-バリン (2; 50 g, 200 mmol)の溶液に、エチルクロロホルマート(23 mL, 240 mmol)およびトリエチルアミン(33.5 mL, 240 mmol)を0℃で加えた。該反応混合物を窒素下で攪拌した。1時間後、ベンジルアミン(26.2 mL, 240 mmol)を5分間にわたって加えた。添加が完了したら、該反応溶液を室温に加温した。1時間後、該反応混合物を濾過した。沈殿物を水およびTHFで洗浄し、真空中で乾燥させて3 (60 g, 88%)を白色固体として得た。LRMS (M+H+) m/z 341.1。
【0213】
ジクロロメタン (500 mL)中の3 (20 g, 59 mmol)の懸濁液に、トリエチルオキソニウム ヘキサフルオロホスファート (25 g, 100 mmol)を加えた。得られた混合物を14時間攪拌した。該反応混合物を飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して4 (19 g)を得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 369.1。
【0214】
THF (30 mL)中の前記粗製体4 (4 g, 〜10.85 mmol)の溶液に、ヒドラジン (THF中、1.0 M、20 mL)を加えた。得られた混合物を4時間攪拌した。該溶液を濃縮し、真空中で乾燥させて5 (3.8 g)を淡黄色固体として得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 355.1。
【0215】
THF (200 mL)中の前記粗製体5 (6 g, 〜16.9 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール (2.5 g, 15.4 mmol)を加えた。得られた溶液を14時間攪拌した。該反応混合物を濃縮した。得られた残渣を、酢酸エチルとヘキサンとの混合物を溶離液として使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して6 (1.1 g, 3から17%)を得た。LRMS (M+H+) m/z 388.1。
【0216】
DMF (5 mL)中の6 (400 mg, 1.05 mmol)の溶液に、ヨードメタン(120 μL, 1.89 mmol)およびK2CO3 (332 mg, 1.68 mmol)を加えた。得られた混合物を18時間攪拌した。該混合物を濾過し、濾液を、アセトニトリルとH2Oとの混合物を使用するRP-HPLC上で精製して7 (110 mg, 27%)を得た。LRMS (M+H+) m/z 395.2。
【0217】
MeOH (25 mL)中の7 (110 mg, 0.28 mmol)の溶液を、10% Pd/C (15 mg)の存在下、H2 (30 psi)の気流下で1時間攪拌した。該触媒をPTFE (0.45 μm)フィルターでの濾過により除去し、該溶媒を蒸発させて8 (65 mg)を得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 261.1。
【0218】
ジクロロメタン (10 mL)中の前記粗製体8 (65 mg, 〜0.25 mmol)の0℃の溶液に、アルデヒド9 (52 mg, 0.3 mmol)およびナトリウム トリアセトキシボロヒドリド (63 mg, 0.3 mmol)を順次加えた。得られた混合物を窒素下で3時間攪拌した。さらに、アルデヒド9 (20 mg, 0.12 mmol)およびナトリウム トリアセトキシボロヒドリド (20 mg, 0.094 mmol)を加えた。攪拌を更に2時間継続した。該混合物をジクロロメタン (50 mL)で希釈し、飽和NaHCO3 (20 mL)で洗浄した。有機層を分離し、水相をジクロロメタン (2×50 mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して10 (110 mg)を得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 418.2。
【0219】
ジクロロメタン (10 mL)中の10 (110 mg, 〜0.26 mmol)およびN, N-ジイソプロピルエチルアミン (55 μL, 0.32 mmol)の溶液に、p-トルオイルクロリド (42 μL, 0.32 mmol)を加えた。得られた溶液を濃縮した。得られた残渣を、アセトニトリルとH2Oとの混合物を使用するRP-HPLC上で精製して11 (60 mg, 7から41%)を得た。LRMS (M+H) m/z 536.2。
【0220】
ジクロロメタン (6 mL)中の11 (60 mg, 0.11 mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸 (1.5 mL)を加えた。得られた溶液を室温で1時間攪拌し、ついで減圧下で濃縮した。残渣を高真空下で乾燥させ、ジクロロメタン (25 mL)に溶解した。それを飽和NaHCO3 (25 mL)で洗浄し、水相をジクロロメタン (2×25 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して1を白色固体 (42 mg, 87%)として得た。これは1H-NMRおよびLC/MS分析で完全に特徴づけられた(LRMS (M+H) m/z 436.4)。
【0221】
実施例2:
化合物1B, N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミドの合成
【化25】

【0222】
三つ口500mL丸底フラスコにCBZ-D-バリン (2; 50 g, 200 mmol)、THF (700 mL)、エチルクロロホルマート (21 mL, 220 mmol)およびトリエチルアミン (33.5 mL, 240 mmol)を0℃で加えた。該反応混合物を窒素下で攪拌した。1時間後、該フラスコにドライアイス還流冷却器を取り付け、該フラスコをアンモニアガスで連続的に30分間にわたりパージした。該反応混合物を更に1時間攪拌した。該反応混合物を濾過した。沈殿物を水およびTHFで洗浄し、真空中で乾燥させて12 (38 g, 76%)を白色固体として得た。LRMS (M+H+) m/z 251.2。
【0223】
ジクロロメタン (500 mL)中の12 (20 g, 59 mmol)の懸濁液に、トリエチルオキソニウム ヘキサフルオロホスファート (25 g, 100 mmol)を加えた。得られた混合物を3日間攪拌した。該反応混合物を飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して13 (20 g)を得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 279.1。
【0224】
THF (100 mL)中の前記粗製体13 (5.7 g, 〜20.5 mmol)の溶液に、フェニルヒドラジン (2.4 mL, 24.6 mmol)を加えた。得られた混合物を14時間攪拌した。該溶液を濃縮し、真空中で乾燥させて14 (3.8 g)を得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 341.1。
【0225】
THF (200 mL)中の前記粗製体14 (6.9 g, 〜20.5 mmol)の溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール (6.6 g, 41 mmol)を加えた。得られた溶液を2日間攪拌した。該反応混合物を濃縮した。得られた残渣をEtOAc (500 mL)に溶解し、飽和NaHCO3 (200 mL)およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた残渣を、酢酸エチルとヘキサンとの混合物を溶離液として使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して15 (1.1 g, 3から15%)を得た。LRMS (M+H+) m/z 367.1。
【0226】
DMF (3 mL)中の15 (400 mg, 1.09 mmol)の溶液に、ベンジルブロミド (195 □l, 1.64 mmol)およびK2CO3 (380 mg, 2.74 mmol)を加えた。得られた混合物を14時間攪拌した。該混合物を濾過し、濾液を、酢酸エチルとヘキサンとの混合物を溶離液として使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して16 (230 mg, 46%)を得た。LRMS (M+H+) m/z 457.1。
【0227】
MeOH (8 mL)中の16 (200 mg, 0.43 mmol)の溶液を、10% Pd/C (20 mg)の存在下、H2 (30 psi)の気流下で1時間攪拌した。該触媒をPTFE (0.45 □m)フィルターでの濾過により除去し、該溶媒を蒸発させて17 (120 mg)を得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 323.1。
【0228】
ジクロロメタン (5 mL)中の前記粗製体17 (120 mg, 〜0.37 mmol)の0℃の溶液に、アルデヒド18 (35 mg, 0.2 mmol)およびナトリウム トリアセトキシボロヒドリド (42 mg, 0.2 mmol)を順次加えた。得られた混合物を窒素下で3時間攪拌した。さらに、アルデヒド18 (104 mg, 0.6 mmol)およびナトリウム トリアセトキシボロヒドリド (85 mg, 0.4 mmol)を加えた。攪拌を更に2時間継続した。該混合物をジクロロメタン (25 mL)で希釈し、飽和NaHCO3 (20 mL)で洗浄した。有機層を分離し、水相をジクロロメタン (2×25 mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して19 (300 mg)を得、これを、更に精製することなく次工程で使用した。LRMS (M+H+) m/z 480.2。
【0229】
ジクロロメタン (5 mL)中の19 (300 mg, 〜0.63 mmol)およびN, N-ジイソプロピルエチルアミン (145 □L, 0.83 mmol)の溶液に、p-トルオイルクロリド (111 □L, 0.83 mmol)を加えた。得られた溶液を2日間攪拌した。該溶液を濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン (25 mL)に溶解した。それを飽和NaHCO3 (20 mL)で洗浄し、水相をジクロロメタン (2×20 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた残渣を、酢酸エチルとヘキサンとの混合物を溶離液として使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して20 (150 mg, 7から58%)を得た。LRMS (M+H) m/z 598.2。
【0230】
ジクロロメタン (1.6 mL)中の20 (150 mg, 0.25 mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸 (0.4 mL)を加えた。得られた溶液を室温で1時間攪拌し、ついで減圧下で濃縮した。残渣を高真空下で乾燥させ、ジクロロメタン (25 mL)に溶解した。それを飽和NaHCO3 (20 mL)で洗浄し、水相をジクロロメタン (2×25 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して1Bを白色固体 (88 mg, 70%)として得た。これは1H-NMRおよびLC/MS分析で完全に特徴づけられた(LRMS (M+H) m/z 498.2)。
【0231】
実施例3:
KSPインヒビターで処理された腫瘍細胞系における細胞生存性の抑制
材料および溶液:
・細胞:SKOV 3、卵巣癌(ヒト)。
【0232】
・培地:フェノールレッド非含有RPMI + 5% ウシ胎児血清 + 2mM L-グルタミン。
【0233】
・細胞生存性を測定するための比色試薬:プロメガ(Promega)MTSテトラゾリウム化合物。
【0234】
・最大殺細胞に関する対照化合物:トポテカン(Topotecan)1μM。
【0235】
操作手順:第1日-細胞プレーティング:
付着性SKOV3細胞を10mlのPBSで洗浄し、2mLの0.25% トリプシンを加え、37℃で5分間インキュベートする。該細胞を、8mLの培地(フェノールレッド非含有RPMI + 5% FBS)を使用してフラスコからゆすぎ、新鮮なフラスコに移す。コールター(Coulter)カウンターを使用して細胞濃度を測定し、1000細胞/100μLを得るのための適当な細胞容量を算出する。100μLの培地細胞懸濁液(1000細胞/100μLに調節)を96ウェルプレートの全ウェルに加え、ついで37℃、湿度100%および5% CO2で18〜24時間インキュベートして、該細胞を該プレートに付着させる。
【0236】
操作手順:第2日-化合物の添加:
高圧滅菌されたアッセイブロックのウェルの縦列の1つに、最初の2.5μlの試験化合物を400×最高所望濃度で加える。1.25μLの400×(400μM)のトポテカン(Topotecan)を他のウェルに加える(これらのウェルからのODを、死細胞およびビヒクルのバックグラウンド吸光度として差し引くために使用する)。DMSOを含有しない500μLの培地を、試験化合物を含有するウェルに加え、250μLをトポテカン(Topotecan)ウェルに加える。試験化合物が系列希釈されている残りのすべてのウェルに250μLの培地 + 0.5% DMSOを加える。横列ごとに、化合物を含有する培地を、該アッセイブロックから対応細胞プレートへ、レプリカプレーティング(二重に行う)する。該細胞プレートを37℃、湿度100%および5% CO2で72時間インキュベートする。
【0237】
操作手順:第4日:MTSの添加およびODの測定:
該プレートをインキュベーターから取り出し、40μlのMTS/PMSを各ウェルに加える。ついでプレートを37℃、湿度100%および5% CO2で120分間インキュベートし、ついで96ウェル分光光度計中で5秒間の振とうサイクルの後に490nmのODを測定する。
【0238】
データ解析
対照(吸光度 - バックグラウンド)の正規化比率(%)を計算し、Xlfitを使用して用量-反応曲線を作成し、それより、生存度を50%抑制するのに要した化合物の濃度を求める。本発明の化合物は、この方法により試験された場合に活性を示す。
【0239】
実施例4:
KSPインヒビターの適用後の単極性紡錘体形成
ヒト腫瘍細胞Skov-3(卵巣)を96ウェルプレート内で4,000細胞/ウェルの密度でプレーティングし、24時間付着させ、種々の濃度の試験化合物で24時間処理した。細胞を4% ホルムアルデヒド中で固定し、抗チューブリン抗体(後に蛍光標識二次抗体を使用して認識される)およびヘキスト(Hoechst)染料(これはDNAを染色する)で染色した。
【0240】
目視検査は、該化合物が有糸分裂の前中期において細胞周期停止を引き起こすことを示した。DNAは凝縮しており、紡錘体形成が開始していたが、停止細胞は一様に単極性紡錘体を示した。このことは、紡錘極体の分離の抑制が生じたことを示している。また、抗KSP抗体のマイクロインジェクションは有糸分裂の停止を引き起こし、停止細胞は単極性紡錘体を示す。
【0241】
実施例5:
KSPインヒビターで処理された腫瘍細胞系における細胞増殖の抑制
細胞を96ウェルプレートの1ウェル当たり1000〜2500細胞の密度で96ウェルプレート内でプレーティングし、24時間付着/成長させた。ついでそれを種々の濃度の薬物で48時間処理した。化合物を加えた時点をToとした。試薬3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム (MTS)を使用する、テトラゾリウムに基づくアッセイ(I.S> Patent No. 5,185,450)(Promega製品カタログ#G3580, CeIlTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay)を用いて、Toにおける生細胞の数および48時間の化合物の曝露の後に残存する細胞の数を測定した。48時間後に残存する細胞の数を薬物添加時の生細胞の数と比較して、成長抑制を評価した。
【0242】
ビヒクル(0.25% DMSO)のみで処理された対照ウェルにおける細胞の48時間にわたる成長を成長率100%とし、化合物を含有するウェルにおける細胞の成長をこれと比較する。KSPインヒビターはヒト卵巣腫瘍細胞系(SKOV-3)における細胞増殖を抑制した。
【0243】
処理ウェルにおける細胞成長の細胞成長率(%)に対してμM単位の化合物濃度をプロットすることにより、Gi50を求めた。該化合物に関して求めるGi50は、対照と比較して成長が50%抑制される推定濃度、すなわち、
100×[(処理48 - T0) / (対照48 - T0)] = 50
となる濃度である。
【0244】
化合物の全濃度を二重に試験し、対照を12ウェルにわたり平均する。非常に類似した96ウェルプレートのレイアウトおよびGi50計算スキームがNational Cancer Instituteにより用いられている(Monksら, J. NatI. Cancer Inst. 83:757-766 (1991)を参照されたい)。しかし、National Cancer Instituteが細胞数を定量するために用いている方法はMTSを使用せずに別の方法を用いるものである。
【0245】
実施例6:
IC50の計算:
KSP活性に関する組成物のIC50の測定においてはATPアーゼアッセイを用いる。以下の溶液を使用する。溶液1は3 mM ホスホエノールピルビン酸カリウム塩(Sigma P-7127)、2 mM ATP(Sigma A-3377)、1 mM IDTT(Sigma D-9779)、5μM パクリタクセル(Sigma T-7402)、10 ppm 消泡剤289(Sigma A-8436)、25 mM Pipes/KOH pH 6.8(Sigma P6757)、2 mM MgC12(VWR JT400301)および1 mM EGTA(Sigma E3889)よりなる。溶液2は1 mM NADH(Sigma N8129)、0.2 mg/ml BSA(Sigma A7906)、ピルビン酸キナーゼ 7U/ml、L-乳酸デヒドロゲナーゼ 10 U/ml(Sigma P0294)、100 nM KSPモータードメイン、50μg/ml 微小管、1 mM DTT(Sigma D9779)、5μM パクリタクセル(Sigma T-7402)、10 ppm 消泡剤289(Sigma A-8436)、25 mM Pipes/KOH pH 6.8(Sigma P6757)、2 mM MgC12(VWR JT4003-01)および1 mM EGTA(Sigma E3889)よりなる。溶液1を使用して該組成物の系列希釈(8〜12回の2倍希釈)を96ウェルマイクロタイタープレート(Corning Costar 3695)内で行う。系列希釈後、各ウェルは50μlの溶液1を含有する。50μlの溶液2を各ウェルに加えることにより、該反応を開始させる。これは、手動によりマルチチャンネルピペッターで又は自動液体取扱い装置で行うことが可能である。ついで該マイクロタイタープレートをマイクロプレート吸光度測定器に移し、340nmでの複数の吸光度測定を各ウェルについて動的(kinetic)モードで行う。ついで実測変化率(これはATPアーゼ率に比例する)を該化合物濃度の関数としてプロットする。標準IC50の測定のために、非線形フィッティングプログラム(例えば、Grafit 4)を使用して、得られたデータを以下の4パラメーター式にフィットさせる:
【数2】

【0246】
(式中、yは実測率であり、xは化合物濃度である)。
【0247】
すべての無水溶媒は、SureSeal(登録商標)容器入りのものをAldrich Chemical Companyから購入した。ほとんどの試薬はAldrich Chemical Companyから購入した。シングルまたはマルチチャンネルピペッターを使用して、試薬を加え、水性抽出を行った。濾過は、Whatman/Polyfiltronics 24ウェル、10 mLの濾過ブロックを使用して行った。該アレイからの揮発性物質の蒸発は、Labconco Vortex-Evaporatorを使用して又は4×6窒素マニホルドで掃引(sweep)することにより行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
TおよびT'は、独立して、共有結合または所望により置換されていてもよい低級アルキレンである;
R1は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
R2およびR2'は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;あるいはR2とR2'とは一緒になって、所望により置換されていてもよい3〜7員環を形成している;
R3は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、-C(O)-R6および-S(O)2-R6aから選ばれる;
R4は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロシクリルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールから選ばれる;
R5は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロシクリルから選ばれる;
あるいはR5は、R3およびそれらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員窒素含有複素環を形成しており、これは、所望により、N、OおよびSから選ばれる1個または2個の追加的なヘテロ原子を該複素環内に含みうる;
あるいはR5はR2と一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員窒素含有複素環を形成しており、これは、所望により、N、OおよびSから選ばれる1個または2個の追加的なヘテロ原子を該複素環内に含みうる;
R6は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR11-NH-から選ばれる;
R6aは、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルおよびR11-NH-から選ばれる;
R7は、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
R11は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
ただし、R4が、所望により置換されていてもよいフェニルである場合には、R1は、所望により置換されていてもよいフェニル以外である。]
で表される群から選ばれる化合物、式Iの化合物の医薬上許容される塩、式Iの化合物の医薬上許容される溶媒和物、または式Iの化合物の医薬上許容される塩の医薬上許容される溶媒和物。
【請求項2】
TおよびT'が存在しない;
R1が、水素、所望により置換されていてもよい低級アルキル、所望により置換されていてもよいベンジル、所望により置換されていてもよいナフチルメチルおよび所望により置換されていてもよいフェニルから選ばれる;
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R2’が水素または所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R4が水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいアリール、カルバミル、ヘテロアリールまたは所望により置換されていてもよいヘテロシクリルである;
R3が-C(O)R6または-SO2R6aである;
R6が、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアリール、R7O-およびR11-NH-から選ばれる;
R6aが、ハロ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルにより置換されたフェニルおよびナフチルから選ばれる;
R7が、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる;
R11が、水素、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる;ならびに
R5が、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアラルキルから選ばれる;
のうちの1以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が、水素、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、テトラヒドロフラニルメチル、ジクロロベンジル、フラニルメチル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチルおよび(エトキシカルボニル)エチルから選ばれる;
R2'が水素である;
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R4が、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ジハロフェニル、ピリジニルまたはベンジルである;
R3が-C(O)R6である;
R6がC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいアリールである;ならびに
R5が、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいシクロヘキシル;ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルにより置換されたフェニル;ベンジル;ヘテロアリールメチル;ヘテロアリールエチル;およびヘテロアリールプロピルから選ばれる;
のうちの1以上を含む、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1がベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルである;
R2が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチルおよびヒドロキシメチルから選ばれる;
R2'が水素である;
R4がフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルである;
R6がトリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチルフェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニルまたはシアノフェニルである;ならびに
R5がアミノプロピル、ピロリジニルメチルまたはピペリジニルメチルである;
のうちの1以上を含む、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R1がベンジルである;
R2'が水素である;および
R2がエチルまたはプロピルである;
のうちの1以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R2がi-プロピルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
TおよびT'が存在しない;
R1が、水素、所望により置換されていてもよい低級アルキル、所望により置換されていてもよいベンジル、所望により置換されていてもよいナフチルメチルおよび所望により置換されていてもよいフェニルから選ばれる;
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R2'が水素または所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R4が水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいアリール、カルバミル、ヘテロアリールまたは所望により置換されていてもよいヘテロシクリルである;
R6が、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアリール、R7O-およびR11-NH-から選ばれる;
R7が、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる;
R11が、水素、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる;ならびに
R3が、R5およびそれらが結合している窒素と一緒になって、式:
【化2】

の、所望により置換されていてもよいイミダゾリル環を形成しており、ここで、
R9は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいアラルコキシ(aralkoxy)、所望により置換されていてもよいヘテロアラルコキシおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールから選ばれ、
R13およびR13'は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリールまたは所望により置換されていてもよいアラルキルである;
のうちの1以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R1が、水素、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、テトラヒドロフラニルメチル、ジクロロベンジル、フラニルメチル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチルおよび(エトキシカルボニル)エチルから選ばれる;
R2'が水素である;
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R4がメチル、エチル、プロピル、フェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ジハロフェニル、ピリジニルまたはベンジルである;
R6がC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいアリールである;ならびに
R9がアリール、置換されたアリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルコキシ(aralkoxy)、ヘテロアラルコキシ、置換されたアラルキル、置換されたヘテロアラルキル、置換されたアラルコキシまたは置換されたヘテロアラルコキシである;
のうちの1以上を含む、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
TおよびT'が存在しない;
R1が、水素、所望により置換されていてもよい低級アルキル、所望により置換されていてもよいベンジル、所望により置換されていてもよいナフチルメチルおよび所望により置換されていてもよいフェニルから選ばれる;
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R2'が水素または所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R4が水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいアリール、カルバミル、ヘテロアリールまたは所望により置換されていてもよいヘテロシクリルである;
R6が、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいアリール、R7O-およびR11-NH-から選ばれる;
R7が、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる;
R11が、水素、所望により置換されていてもよいC1-C8アルキルおよび所望により置換されていてもよいアリールから選ばれる;ならびに
R3が、R5およびそれらが結合している窒素と一緒になって、式:
【化3】

の、所望により置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成しており、ここで、
R9は、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいアラルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアラルキル、所望により置換されていてもよいアラルコキシ(aralkoxy)または所望により置換されていてもよいヘテロアラルコキシから選ばれ、
R10、R10'、R14およびR14'は、独立して、水素、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいアリールおよび所望により置換されていてもよいアラルキルから選ばれる;
のうちの1以上を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R1が、水素、エチル、プロピル、メトキシエチル、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、テトラヒドロフラニルメチル、ジクロロベンジル、フラニルメチル、ジメトキシベンジル、ナフチルメチルおよび(エトキシカルボニル)エチルから選ばれる;
R2'が水素である;
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルである;
R4がメチル、エチル、プロピル、フェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ジハロフェニル、ピリジニルまたはベンジルである;
R6がC1-C8アルキル、所望により置換されていてもよいアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリール-C1-C4-アルキル、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよび所望により置換されていてもよいアリールである;
R9がアリール、置換されたアリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルコキシ(aralkoxy)、ヘテロアラルコキシ、置換されたアラルキル、置換されたヘテロアラルキル、置換されたアラルコキシまたは置換されたヘテロアラルコキシである;
R10が水素または所望により置換されていてもよい低級アルキルである;ならびに
R10'が水素または所望により置換されていてもよい低級アルキルである;
のうちの1以上を含む、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R2とR2'とが結合している立体中心(stereogenic center)がR配置のものである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
TおよびT'が存在せず、
R1がベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルであり、
R2'が水素であり、
R4がフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、
R3が水素であり、
R5が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
TおよびT'が存在せず、
R1がベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルであり、
R2'が水素であり、
R4がフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、
R3が-C(O)R6であり、
R5が、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいシクロヘキシル;ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルで置換されたフェニル;ベンジル;ヘテロアリールメチル;ヘテロアリールエチル;およびヘテロアリールプロピルから選ばれ、
R6がトリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチルフェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニルまたはシアノフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
TおよびT'が存在せず、
R1がベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルであり、
R2'が水素であり、
R4がフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、
R3が-C(O)R6aであり、
R5が、所望により置換されていてもよいアルキル、所望により置換されていてもよいシクロヘキシル;ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルコキシまたは低級アルキルで置換されたフェニル;ベンジル;ヘテロアリールメチル;ヘテロアリールエチル;およびヘテロアリールプロピルから選ばれ、
R6aが、ハロ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルで置換されたフェニルおよびナフチルから選ばる、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
TおよびT'が存在せず、
R1がベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、
R2が、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキルであり、
R2'が水素であり、
R4がフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、
R5がR3と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
TおよびT'が存在せず、
Rlがベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジルまたはヒドロキシベンジルであり、
R2が、所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルであり、
R2'が水素であり、
R4がフェニル、ハロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、トリフルオロメチルフェニルまたはジハロフェニルであり、
R5がR3と一緒になって、所望により置換されていてもよいイミダゾリニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物の治療的有効量と医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物の有効量を、細胞増殖性疾患に罹患した患者に投与することを含んでなる治療方法。
【請求項19】
細胞増殖性疾患が癌、過形成、再発狭窄症、心肥大、免疫障害または炎症である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
細胞増殖性疾患に侵された細胞におけるKSPキネシン活性をモジュレーションするのに十分な量の請求項1記載の化合物を、該疾患に罹患した患者に投与することを含んでなる、細胞増殖性疾患の治療方法。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物と、該化合物の有効量を投与することにより細胞増殖性疾患を治療するための説明を含む添付文書または他の表示とを含んでなるキット。

【公表番号】特表2006−502219(P2006−502219A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543136(P2004−543136)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/031413
【国際公開番号】WO2004/032840
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(501327514)サイトキネティクス・インコーポレーテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】Cytokinetics Incorporated
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】