説明

化学増幅ポジ型レジスト材料、これを用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法

【課題】高感度、高解像度、長期間に渡る良好な保存安定性及びプロセス適応性を有する化学増幅ポジ型レジスト材料を提供する。
【解決手段】(A)式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000である高分子化合物、


(B)光酸発生剤、(C)塩基性化合物、(D)カルボン酸、(E)溶剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料であって、カルボン酸の酸解離定数(pKa)が2以下であり、且つ、カルボン酸の含有量が塩基性化合物の含有量を超えないことを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高感度で高解像性を有し、優れたメッキ耐性を示す化学増幅ポジ型レジスト材料、これを用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学増幅ポジ型レジスト材料の性能向上に関わる報告は数多く、例えば、高解像度化の手法として、高分子化合物の繰り返し単位と分子量に着目し、化学増幅ポジ型レジスト性能の向上を果たしているという報告(特許文献1:特開2003−131384号公報)がある。一方、添加剤により、高感度化及び高解像度化を提案している例として、塩基性化合物とカルボン酸の二成分を添加する手法(特許文献2:特開2000−66406号公報)等、各種手法が提案されている。
【0003】
しかしながら、前述の手法は、電解メッキプロセスで用いられる金属基板とレジストパターンとの密着性やメッキ耐性を考慮していないため、Ni−Fe合金、Ni、Fe、Co、Au、Cu、Ta、Ti、W等の金属基板とレジストパターンとの密着性が低く、電解メッキ時にレジストパターンとそれらの基板との間にメッキの浸み込みが発生するという難点を有していた。
【0004】
そのため、上記報告に基づいた化学増幅ポジ型レジスト材料を用いてメッキプロセスを行う場合、密着性を向上させるために他の先行技術を併用する必要がある。その結果、プロセスが煩雑になるだけでなく、プロセス起因による解像性の低下も生じてしまい、化学増幅ポジ型レジスト材料単独で得られる解像性を維持することが困難であった。これらのことから、高感度、高解像度と併せて高メッキ耐性を有するポジ型の化学増幅レジスト材料の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−131384号公報
【特許文献2】特開2000−66406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来の化学増幅ポジ型レジスト材料を上回る高感度、高解像度、優れた保存安定性及びプロセス適応性を有し、現像後に電解メッキ耐性を有する化学増幅ポジ型レジスト材料、これを用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)で示される高分子化合物、光酸発生剤、塩基性化合物、カルボン酸及び溶剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料、これを用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法が、基板上に電解メッキを施す上で有用であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記の化学増幅ポジ型レジスト材料、これを用いたレジストパターン形成方法及びメッキパターン形成方法を提供する。
請求項1:
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000である高分子化合物、
【化1】


(式中、R1、R3は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R2は水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜4の置換可アルキル基、炭素数1〜4の置換可アルコキシ基、ジトリフルオロメチルヒドロキシル基、又は−ORを表し、Rはヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、又はトリアルキルシリル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R7は炭素数4〜30のアルキル基を表す。また、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。また、p、r、sは0又は正数であり、qは正数である。p+q+r+s=1である。)
(B)光酸発生剤、
(C)塩基性化合物、
(D)カルボン酸、
(E)溶剤
を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料であって、カルボン酸の酸解離定数(pKa)が2以下であり、且つ、カルボン酸の含有量が塩基性化合物の含有量を超えないことを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項2:
(D)カルボン酸の添加量が、(C)塩基性化合物の添加量に対して、20〜90質量%であることを特徴とする請求項1記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項3:
式(1)において、0≦p/(p+q+r+s)≦0.8、0<q/(p+q+r+s)≦0.5、0≦r/(p+q+r+s)≦0.35、0≦s/(p+q+r+s)≦0.35であることを特徴とする請求項1又は2記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項4:
(i)請求項1乃至3のいずれか1項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布する工程、
(ii)加熱処理した後、フォトマスクを介して放射線もしくは電子線で露光する工程、
(iii)加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程
を含むレジストパターン形成方法。
請求項5:
基板の少なくとも表面が金属で形成され、該金属表面上に請求項4記載のレジストパターン形成方法によりレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない金属表面上にメッキを施すことを特徴とするメッキパターン形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料は、高感度、高解像度、長期間に渡る良好な保存安定性及びプロセス適応性を有するため、それを用いることにより、電解メッキ耐性を備えた良好なレジストパターン形状が得られる。そして、そのレジストパターンを用いて電解メッキを行うことで、良好なメッキパターン形状が得られる。従って、上記化学増幅ポジ型レジスト材料は、基板上に微細なメッキパターンを形成する工程、特に半導体製造に好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料は、高分子化合物、光酸発生剤、塩基性化合物、カルボン酸及び溶剤を含有して構成される。
<高分子化合物(ベース樹脂)>
上記化学増幅ポジ型レジスト材料における高分子化合物は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000という高分子化合物である。
【化2】

【0011】
式中、R1、R3は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R2は水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜4の置換可アルキル基、炭素数1〜4の置換可アルコキシ基、ジトリフルオロメチルヒドロキシル基、又は−ORを表し、Rはヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、又はトリアルキルシリル基を表す。なお、ヘテロ原子としては酸素原子等が挙げられる。R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R7は炭素数4〜30のアルキル基を表す。また、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。また、p、r、sは0又は正数であり、qは正数である。p+q+r+s=1である。
上記R1、R2、R3、R6としては、これらがハロゲン原子を示す場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0012】
上記R4において、直鎖状又は分岐状のアルキル基の場合、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、アルキル基、アルコキシ基の水素原子の1個又は2個以上がハロゲン原子等により置換されていてもよい。更に、−ORが酸不安定基の機能を示す場合、種々選定されるが、特に下記一般式(2)、(3)で示される基、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状又は環状の3級アルコキシ基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシロキシ基、炭素数4〜20のオキソアルコキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、又はトリアルキルシロキシ基であることが好ましい。
【化3】

【0013】
式中、R8、R9、R11、R12は各々独立して水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R10は炭素数1〜18の酸素原子を介在してもよい1価の炭化水素基である。更に、R8とR9、R8とR10、R9とR10は互いに結合して、これらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合は環の形成に関与するR8、R9、R10はそれぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R13は炭素数4〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。また、aは0又は1〜4の整数である。
【0014】
ここで、上記式(2)で示される酸不安定基として、例えば酸素原子を介在したメトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、n−プロポキシエトキシ基、iso−プロポキシエトキシ基、n−ブトキシエトキシ基、iso−ブトキシエトキシ基、tert−ブトキシエトキシ基、シクロヘキシロキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、1−メトキシ−1−メチル−エトキシ基、1−エトキシ−1−メチル−エトキシ基等が挙げられる。一方、上記式(3)で示される酸不安定基として、例えばtert−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ基、エチルシクロペンチルカルボニルオキシ基、エチルシクロヘキシルカルボニルオキシ基、メチルシクロペンチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。また、上記トリアルキルシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0015】
上記R7のアルキル基が3級アルキル基の場合、種々選定されるが、特に下記一般式(4)、(5)で示される基が特に好ましい。
【化4】


式中、R14は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ビニル基、アセチル基、フェニル基、ベンジル基、又はシアノ基であり、bは0〜3の整数である。
【化5】


式中、R15は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ビニル基、フェニル基、ベンジル基、又はシアノ基である。
【0016】
一般式(4)の環状アルキル基としては、5員環がより好ましい。具体例としては、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−イソプロピルシクロペンチル基、1−ビニルシクロペンチル基、1−アセチルシクロペンチル基、1−フェニルシクロペンチル基、1−シアノシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−イソプロピルシクロヘキシル基、1−ビニルシクロヘキシル基、1−アセチルシクロヘキシル基、1−フェニルシクロヘキシル基、1−シアノシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
一般式(5)の具体例としては、t−ブチル基、1−ビニルジメチル基、1−ベンジルジメチル基、1−フェニルジメチル基、1−シアノジメチル基等が挙げられる。
また、下記式(6−1)〜(6−4)で示される3級エステルとなるアルキル基もR7として好ましい。
【化6】


(上記式において、鎖線は結合手を示す。)
【0018】
更に、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料の特性を考慮すると、上記式(1)において、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。そして、p、r、sは0又は正数であり、qは正数である。なお、未露光部のアルカリ溶解速度と解像度の観点から、0≦p/(p+q+r+s)≦0.8であることが好ましく、特に0.3≦p/(p+q+r+s)≦0.8であることが好ましい。また、0≦r/(p+q+r+s)≦0.35、0≦s/(p+q+r+s)≦0.35であることが好ましい。そして、アルカリ溶解速度のコントラストと解像度の観点から、0<q/(p+q+r+s)≦0.5であることが好ましく、特に0<q/(p+q+r+s)≦0.3であることが好ましい。また、p、q、r、sはその値を上記範囲内で適宜選定することにより、パターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができる。なお、p+q+r+s=1である。
【0019】
上記高分子化合物の重量平均分子量は、レジストパターンの形成とその耐熱性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000である。
【0020】
更に、上記高分子化合物においては、上記式(1)の多成分共重合体の分子量分布が広い、つまりMw/Mnの値が大きい場合、低分子量や高分子量の高分子化合物が存在するために、露光後にレジストパターン上に異物が見られたり、レジストパターンの形状が悪化したりする場合がある。それ故、パターンルールが微細化するに従って、このような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0021】
また、上記高分子化合物について、更にフェノール性水酸基部分に対して、一般式(2)、一般式(3)で示される酸不安定基を導入することも可能である。例えば、高分子化合物のフェノール性水酸基を、ハロゲン化アルキルエーテル化合物を用いて、塩基の存在下、上記高分子化合物と反応させることにより、部分的にフェノール性水酸基がアルコキシアルキル基で保護された高分子化合物を得ることも可能である。
【0022】
<光酸発生剤>
本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0023】
スルホニウム塩としては、スルホニウムカチオンとスルホネートの塩が挙げられる。スルホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0024】
ヨードニウム塩としては、ヨードニウムカチオンとスルホネートの塩が挙げられる。ヨードニウムカチオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンが挙げられ、スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0025】
スルホニルジアゾメタンとしては、例えば、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert−ブチルカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン、2−ナフチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニル−2−ナフトイルジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert−ブトキシカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタンとスルホニルカルボニルジアゾメタンが挙げられる。
【0026】
N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、例えば、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸イミド等のイミド骨格と、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等の組み合わせの化合物が挙げられる。
【0027】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等が挙げられる。
【0028】
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ピロガロール、フロログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンのヒドロキシル基の全てを、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等で置換した化合物が挙げられる。
【0029】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートが挙げられ、スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられる。またベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0030】
スルホン型光酸発生剤の例としては、例えば、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等が挙げられる。
【0031】
グリオキシム誘導体型の光酸発生剤としては、例えば、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキシルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0032】
なお、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料に好ましく用いられる光酸発生剤は、スルホニウム塩、ビススルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミドである。
【0033】
また、上記化学増幅ポジ型レジスト材料に用いられる高分子化合物の酸不安定基の切れ易さ等により、発生する酸の最適なアニオンは異なるが、一般的には揮発性がないもの、極端に拡散性の高くないアニオンが選ばれる。この場合、好適なアニオンは、例えば、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンである。
【0034】
上記光酸発生剤の添加量としては、感度且つ解像度の観点から、化学増幅ポジ型レジスト材料中の上記高分子化合物(ベース樹脂)100質量部に対して1〜25質量部、好ましくは1〜15質量部である。上記光酸発生剤は単独で又は2種以上混合して用いることができる。更に、露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。なお、上記光酸発生剤の種類によっては、上記添加量の範囲においても、現像後のパターン形状が矩形とならず、順テーパー形状となる場合もあるが、次工程次第では、その形状は積極的に利用される形状でもあり、順テーパー形状自体が、否定される形状とは限らない。そのため、順テーパー形状を所望する場合は、他の性能に悪影響を及ぼさない範囲で、上記光酸発生剤の添加量範囲において上限近くの光酸発生剤を、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料に添加することによって、目的とする形状を得ることが可能となる。
【0035】
<塩基性化合物>
本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における塩基性化合物は、光酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適する。そして、上記塩基性化合物の添加により、レジスト層中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板や環境依存性を少なくし、露光条件の余裕度やレジストパターン形状等を向上することができる。
【0036】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0037】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0038】
また、混成アミン類としては、例えば、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0039】
更に、カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0040】
更に下記一般式(7)で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (7)
式(7)中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(8)〜(10)で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基(−O−)もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。ここでR300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシル基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシル基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【化7】

【0041】
上記一般式(7)で表される化合物は、具体的には下記に例示される。トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0042】
なお、本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その添加量は、高感度化の観点から、化学増幅ポジ型レジスト材料中の高分子化合物100質量部に対して0.01〜2質量部、特に0.01〜1質量部を混合したものが好適である。
【0043】
<カルボン酸>
本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料におけるカルボン酸は、高解像度の観点からpKaが2以下、好ましくは1.5以下を示すものである。上記カルボン酸は特に限定されないが、好ましくはジカルボン酸であり、例えば、シュウ酸及びマレイン酸等を挙げることができる。それ以外にも飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、オキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ケトカルボン酸、芳香族カルボン酸等の分子中の一部もしくは全ての水素原子を電子吸引性置換基に置換することにより得られるpKaが2以下のカルボン酸を用いることができる。具体例として、酢酸のニトロ置換物であるニトロ酢酸(pKa=1.7)を挙げることができる。なお、上記カルボン酸は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
上記カルボン酸の添加量は、化学増幅ポジ型レジスト材料中の高分子化合物100質量部に対して1質量部以下、特に0.001〜0.5質量部が好適である。カルボン酸の添加量が、高分子化合物100質量部に対して1質量部以下であれば、基板上での酸失活を抑制し、良好なレジストパターン形状を得られ、保存安定性向上及び基板に対する密着性向上の観点から好ましい。但し、カルボン酸の添加量は、高感度化及び高解像性、特にレジストパターンの形状の観点から、塩基性化合物の添加量を超えてはならず、塩基性化合物の添加量に対して好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜90質量%である。
【0045】
<溶剤>
本発明で用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料における溶剤として、例えば酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3−メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジアセトンアルコール、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、テトラメチレンスルホン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましいものは、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、乳酸アルキルエステルである。これらの溶剤は単独でも2種以上混合してもよい。好ましい混合溶剤の例はプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルの組み合わせである。なお、本発明におけるプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好適である。また、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートには1,2置換体と1,3置換体があり、且つ、置換位置の組み合わせによる3種の異性体があるが、単独あるいは混合物のいずれの場合でもよい。また、乳酸アルキルエステルのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好適である。
【0046】
溶剤として、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート又は乳酸アルキルエステルを単独で添加する際、適正な粘度が保たれるという塗布性の観点及びパーティクル又は異物が発生しないという溶解性の観点から、それぞれ全溶剤量に対して50質量%以上とすることが好ましい。また、溶剤として、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルの混合溶剤を用いる際、その合計量が全溶剤量に対して50質量%以上であることが好ましく、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60〜95質量%、乳酸アルキルエステルを5〜40質量%の割合とすることが特に好ましい。
【0047】
上記溶剤の添加量は、化学増幅ポジ型レジスト材料の高分子化合物100質量部に対して300〜2,000質量部、好ましくは400〜1,000質量部であるが、既存の成膜方法で成膜可能な上記高分子化合物の濃度であれば、これに限定されるものではない。
【0048】
<界面活性剤>
更に、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料には、塗布性を向上させるための界面活性剤を加えることができる。
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(旭硝子(株)製)、サーフィノールE1004(日信化学工業(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、特にFC430、サーフロンS−381、サーフィノールE1004、KH−20、KH−30、X−70−093が好適である。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
上記界面活性剤の添加量としては、化学増幅ポジ型レジスト材料の高分子化合物100質量部に対して2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
【0050】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法について説明する。本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料を種々の半導体製造に用いる場合には、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を用いることができる。具体的には、上記化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布し、加熱処理した後フォトマスクを介して放射線もしくは電子線で露光し、更に加熱処理した後現像液を用いて現像することにより、本発明のレジストパターンが形成される。
【0051】
上記基板として、Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG等の基板に加え、Au、Ti、W、Cu、Ni−Fe、Ta、Zn、Co、Pb等の金属基板又は有機反射防止膜等の基板が好適に用いられる。その上に、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の適当な塗布方法により、塗布膜厚が0.05〜3.0μm、特に好ましくは0.1〜1.0μmとなるように塗布する。その後、ホットプレート上で60〜150℃において1〜10分間、好ましくは80〜120℃において1〜5分間の加熱処理(プリベーク)を行う。次いで、紫外線、遠紫外線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線等から選ばれる放射線もしくは電子線、好ましくは300nm以下の露光波長、特に254〜193nmの遠紫外線又は157nmの真空紫外線を用い、所定のフォトマスクを通じて露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2が好ましい。更に、ホットプレート上で60〜150℃において1〜5分間、好ましくは80〜120℃において1〜3分間の加熱処理(PEB)を行う。次いで、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(Dip)法、パドル(Puddle)法、スプレー(Spray)法等の常法に従って現像することにより、基板上に目的とする微細なレジストパターンが形成される。なお、上記各工程について述べた範囲内の条件においてレジストパターンを形成する場合、高感度で高解像性であるレジストパターンを高スループットで形成することができる。
【0052】
<メッキパターン形成方法>
本発明のメッキパターン形成方法について説明する。具体的には、上記レジストパターン形成方法により形成されたレジストパターンをマスクとして、常法により電解メッキ法又は無電解メッキ法により導体パターンを被着形成し、その後、レジストパターンを除去するものである。この場合、基板としては、少なくとも表面が金属にて形成されているものを使用する。例えば、シリコン基板上にスパッタリング等の手段で銅等の皮膜を形成したものを使用することができる。なお、電解メッキ又は無電解メッキとしては、電解Cuメッキ、無電解Cuメッキ、電解Fe−Niメッキ、電解Auメッキ等が挙げられ、公知のメッキ浴、メッキ条件でメッキすることができる。なお、メッキ厚さはレジストパターン厚さの80〜100%にて形成されるのが一般的とされる。例えば、シード層が銅であり、その上に厚さ1μmのレジストパターンを形成した後、電解銅メッキにより厚さ0.8〜1μmの銅メッキパターンを形成する。ところで、半導体装置の製造の場合は、形成したレジストパターンをマスクとして、常法に従って半導体基材をエッチングした後、レジストパターンを除去するものである。
【実施例】
【0053】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0054】
[合成例]
2Lのフラスコにp−アセトキシスチレン71.5g、p−アミロキシスチレン22.4g、メタクリル酸1−エチルシクロペンチルエステル8.1g、溶媒としてトルエンを200g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。そして、室温まで昇温後、重合開始剤としてアゾビスイソブチルニトリル(AIBN)を3.9g加え、60℃まで昇温後、その温度を保ちながら15時間反応させた。上記反応溶液を質量比において1/2まで濃縮し、メタノール4.5L、水0.5Lの混合溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体89gを得た。この高分子化合物をメタノール0.27L、テトラヒドロフラン0.27Lに再度溶解し、トリエチルアミン77g、水14gを加え、脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。上記反応溶液を濃縮後、アセトン0.5Lに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、乾燥を行い、白色重合体55gを得た。
【0055】
なお、得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:アミロキシスチレン:メタクリル酸1−エチルシクロペンチルエステル=70.9:21.9:7.2
重量平均分子量(Mw)=17,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.70
これを高分子化合物(Poly−A)とする。
【0056】
[実施例、比較例]
上記高分子化合物(Poly−A)及び下記の各原料を用いて、表1,2に示す組成比の化学増幅ポジ型レジスト材料を調製した。
光酸発生剤A(PAG−A):10−カンファースルホン酸(4−ブトキシフェニル)ジ
フェニルスルホニウム
塩基性化合物A:トリス(2−メトキシエチル)アミン
塩基性化合物B:2−モルホリノエチルアセテート
カルボン酸A :2−ヒドロキシ安息香酸(pKa=3.0)
カルボン酸B :マレイン酸(pKa=1.9)
カルボン酸C :シュウ酸(pKa=1.2)
界面活性剤A :X−70−093
溶剤A :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤B :乳酸エチル
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
得られた上記化学増幅ポジ型レジスト材料を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過後、6インチシリコンウエハー上に約200nmのCuスパッタ層が形成された基板上にスピンコーティングし、110℃において90秒間ホットプレート上でプリベークを行い、1.0μmのレジスト層を得た。次いで、KrF露光装置NSR−S202A((株)ニコン製、NA=0.6)を用いて露光し、110℃において90秒間ホットプレート上でPEBを施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行い、ポジ型のレジストパターンを得た。その後、レジストパターン評価として、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてその断面形状を観察し、感度及び解像度の確認を行った。なお、感度については、0.20μmのラインとスペースの比が1:1で解像する露光量とし、この露光量で解像しているラインアンドスペースの最小線幅を、上記レジストパターンの解像度とした。
【0060】
次いで、メッキパターン評価として、ドライエッチング装置(日電アネルバ(株)製:DEM−451)を用い、100Wにて30秒間レジストパターン及び基板表面を酸素プラズマにてアッシングし、3質量%硫酸水に30秒間浸漬した。その後、Cuメッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(株)製:ミクロファブCu200)に浸漬し、25℃において5分間定電流を流してCuメッキを行い、厚さ0.8μmのCuを積層した。次に、電解メッキ後の基板表面を純水にて流水洗浄を行い、窒素ブローを行って基板表面を乾燥させた後、アセトンに1分間浸漬してレジストパターンの剥離を行った。そして、イソプロピルアルコールで洗浄し、窒素ブローを行って基板表面を乾燥させた後、光学顕微鏡及びSEMにてメッキパターンを観察し、その形状及び垂直性を判断した。
【0061】
更に、上記化学増幅ポジ型レジスト材料の保存安定性を確認するために、テフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、40℃において9ヶ月間恒温槽内で保存し、上記の各評価を再び行い、性能変化の有無を確認した。
表3にその結果を示す。
【0062】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000である高分子化合物、
【化1】


(式中、R1、R3は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R2は水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜4の置換可アルキル基、炭素数1〜4の置換可アルコキシ基、ジトリフルオロメチルヒドロキシル基、又は−ORを表し、Rはヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、又はトリアルキルシリル基を表す。R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は水素原子、メチル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、又はトリフルオロメチル基を表し、R7は炭素数4〜30のアルキル基を表す。また、nは0又は1〜4の正の整数であり、mは0又は1〜5の正の整数である。また、p、r、sは0又は正数であり、qは正数である。p+q+r+s=1である。)
(B)光酸発生剤、
(C)塩基性化合物、
(D)カルボン酸、
(E)溶剤
を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料であって、カルボン酸の酸解離定数(pKa)が2以下であり、且つ、カルボン酸の含有量が塩基性化合物の含有量を超えないことを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項2】
(D)カルボン酸の添加量が、(C)塩基性化合物の添加量に対して、20〜90質量%であることを特徴とする請求項1記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項3】
式(1)において、0≦p/(p+q+r+s)≦0.8、0<q/(p+q+r+s)≦0.5、0≦r/(p+q+r+s)≦0.35、0≦s/(p+q+r+s)≦0.35であることを特徴とする請求項1又は2記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項4】
(i)請求項1乃至3のいずれか1項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料を基板に塗布する工程、
(ii)加熱処理した後、フォトマスクを介して放射線もしくは電子線で露光する工程、
(iii)加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程
を含むレジストパターン形成方法。
【請求項5】
基板の少なくとも表面が金属で形成され、該金属表面上に請求項4記載のレジストパターン形成方法によりレジストパターンを形成した後、レジストパターンが形成されていない金属表面上にメッキを施すことを特徴とするメッキパターン形成方法。

【公開番号】特開2011−95662(P2011−95662A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252045(P2009−252045)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】