説明

化学的方法

ヘック反応を介した、式Iの化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の形成についての方法が記載されている。本方法において有用な中間体及び前記中間体を製造するための方法も記載されている。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は新規な化学的方法に関し、さらに詳細にはロスバスタチン及びその薬学的に許容できる塩、特にロスバスタチンカルシウムの製造のための新規な化学的方法、ならびに前記方法で使用される新規中間体及び新規中間体の製造のための方法に関する。
【0002】
ロスバスタチン及びその薬学的に許容できる塩はHMG CoA還元酵素阻害剤であり、中でも高コレステロール血症及び混合性異常脂質血症の治療に使用される。ロスバスタチンカルシウムはCRESTOR(商標)の商標名で販売されている。欧州特許出願公開番号(EPA)0521471は(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル](3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸(ロスバスタチン)及びそのナトリウム塩及びカルシウム塩(ロスバスタチンカルシウム、下に図示されている)、及びそれらの製造のための方法を開示している。
【0003】
【化1】

【0004】
そこでは、ロスバスタチン及びその薬学的に許容できる塩を、メチル(3R)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−5−オキソ−6−トリフェニルホスホラニリデンヘキサノエートと4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ)−5−ピリミジンカルボキサルデヒドの縮合、続いての3−ヒドロキシ基の脱保護、5−オキソ基の不斉還元及び加水分解により得ている。
【0005】
ロスバスタチン及びその薬学的に許容できる塩の製造についての他の方法がWO00/49014及びWO04/52867に記載されている。WO00/49104において該化合物及びその薬学的に許容できる塩は、塩基の存在下、ジフェニル[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イルメチル]ホスフィンオキシドとtert−ブチル 2−[(4R,6S)−6−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]アセテートとの反応、続いての保護基の除去により得られている。WO04/52867は、1−シアノ−(2S)−2−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ−4−オキソ−5−トリフェニルホスホラニリデンペンタンと4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ)−5−ピリミジンカルボキサルデヒドの縮合、引き続いての脱保護、4−オキソ基の不斉還元及び加水分解を開示している。
【0006】
しかしながら、ロスバスタチン及びその薬学的に許容できる塩の製造についての代替方法を明らかにする引き続いた要求がある。こうした方法は、例えば、既知の方法と比較した場合、使用するのがより便利であり、大規模製造により適しており、より良い収率で生成物を与え、含まれる工程数が減少しており、より容易に単離される中間体を使用し、複雑な精製技術をより必要とせず、より安価な試薬を使用し、及び/又はより環境的に優しくあることができる。
【0007】
WO03/004450(Ciba Specialty Chemicals)は、ヘプタン酸誘導体の製造についての方法、及びスタチン誘導体の合成における中間体としてのそれらの使用を開示している。WO03/018555(Ciba Specialty Chemicals)は、フルバスタチンのようなインドール誘導体の製造のための方法を開示している。EP252476(Warner Lambert)は、HMG CoA還元酵素阻害剤である化合物及びそれらの合成についての方法を開示している。
【0008】
我々は、ここでロスバスタチン及びその薬学的に許容できる塩を製造するために特に有用な方法を発見した。
【0009】
本発明の第一の側面に従うと、式I
【0010】
【化2】

【0011】
の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の製造のための方法が提供され、
その方法は、式II
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、Lは脱離基であり、XはN−(メチル)メチルスルホニルアミノ(CHSON(CH)−)である基Zであるか、又はXは基Zへ変換が可能な基である基Yである)
の化合物と式III
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、
Aは下記の基(i)〜(vii)
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、P及びPは水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し;
は水素又はヒドロキシ保護基であり;
及びPは水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びP及びPは独立してヒドロキシ保護基であり;又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びPは水素又はヒドロキシ保護基であり、及びPはヒドロキシ保護基であり;
は水素又はヒドロキシ保護基であり;
は水素又はヒドロキシ保護基であり;
10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって又はP11はRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し;
及び特に記載しない限り、R、R、R及びRは独立してカルボキシ保護基である)
から選択される]
の化合物との、触媒有効量のパラジウム触媒の存在下及び塩基の存在下での反応;
続いて
(a)Xが基Yである場合、基Yを基Zへ変換すること;
続いて
(b)Aが基(i)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(2)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;及び(3)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(c)Aが基(ii)である場合、(1)炭素−炭素二重結合に隣接するカルボニル基の不斉還元;(2)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;及び(3)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(d)Aが基(iii)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(2)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(3)保護基Pの除去;及び(4)保護基Pの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(e)Aが基(iv)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(2)エステル基COORに隣接する炭素−炭素二重結合の不斉水素化;及び(3)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(f)Aが基(v)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;及び(2)塩基性条件下での加水分解;の工程を任意の順序で実施すること;
(g)Aが基(vi)である場合、(1)環炭素−炭素二重結合の不斉水素化;及び(2)塩基性条件下での加水分解;の工程を任意の順序で実施すること;及び
(h)Aが基(vii)である場合、(1)基COORに隣接する炭素−炭素二重結合の不斉還元;(2)P10がヒドロキシ保護基ある場合、保護基P10の除去;(3)P11がヒドロキシ保護基である場合、保護基P11の除去;及び(4)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
その後、生成物が遊離酸形態で得られた場合、場合により、式Iの化合物の薬学的に許容できる塩を形成することができること、又は、生成物が塩として得られた場合、場合により、生成物を異なった薬学的に許容できる塩に変換することができること;
を含んでなる。
【0018】
誤解を避けるため、基A(i)中の、基OPを有する炭素原子は式IIIの炭素−炭素二重結合に直接結合しており、基A(ii)〜A(vii)も同様の様式で結合されている。
【0019】
基Aの互変異性型が本発明の範囲内に含まれていることも理解されるであろう。例えば、Aが基(vii)である場合(式中、P11は水素である)、これは以下に示したケト型で存在することもできる。
【0020】
【化6】

【0021】
適したパラジウム触媒は、例えば、J. Am. Chem. Soc, 2001, 123, 6989-7000(この参照文献、及びより詳細にはそれに記載されているパラジウム触媒は、本明細書において援用される)に記載されているもの、及びいわゆるヘック(Heck)反応を実施するための類似のパラジウム触媒である。ヘック反応は、ある種のアリール及びヘテロアリールハライド(又はトリフレート又は酸クロリド)とアルケンをカップリングさせるため、当該技術分野では周知であるが、式IIの全置換の立体的に障害のある6員ピリミジンでヘック反応を実施することができることを、驚くことに、発見した。
【0022】
特に適したパラジウム触媒には、例えば、トリアルキルフォスフィンリガンド(Pd/P(アルキル))を有するもの、特にビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)が含まれる。Pd/P(アルキル)触媒(式中、アルキル基がtert−ブチルである)、例えばPd(dba)及びP(t−Bu)の混合物、を使用することもできる。
【0023】
用語「触媒的有効量」とは、式IIの化合物の量に基づいて1モル%〜30モル%、特に2モル%〜20モル%、及びより特別には5モル%〜10モル%の量を意味する。
【0024】
式II及びIIIの化合物は一般に、約1対1の比でいっしょに反応させる。
【0025】
一般には、反応はトルエン、ジフェニルエーテル及びポリ(エチレングリコール)、特にN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシド、及びより特別には水、及び水とN,N−ジメチルホルムアミド及び水とN,N−ジメチルアセトアミドの2成分混合物、のような適した溶媒中で実施される。
【0026】
一般には、反応は30〜110℃、特に40〜80℃、及びより特別には50〜60℃の範囲の温度で実施する。
【0027】
本発明の方法における使用に適した塩基には、例えば、アンモニアのようなアミン塩基、及び特に、化学量論的に、又は炭酸セシウムのような化学量論量の無機塩基を伴って触媒的に、使用されるN−メチルジシクロヘキシルアミンのようなかさ高い第三アミンが含まれる。
【0028】
反応は、場合により、塩化テトラブチルアンモニウム又はテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムのようなテトラブチルアンモニウム塩の存在下で実施することもできる。
【0029】
本発明の方法を実施するために適しているパラジウム触媒、溶媒及び塩基(場合によりテトラブチルアンモニウム塩の存在下)の特別の組み合わせには以下のものが含まれる:
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、水、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン;
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、水、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、塩化テトラブチルアンモニウム;
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、水、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム;
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、トルエン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、塩化テトラブチルアンモニウム;
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、塩化テトラブチルアンモニウム;
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、水/DMF(1:1)、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、水/DMF(1:1)、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、塩化テトラブチルアンモニウム;及び
ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、水/DMF(1:1)、アンモニア。
【0030】
本明細書の前の部分で又は以下に脱離基Lと称されるものには、例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、−OSOCF、−COCl、−SOCl及び−C(O)O−SO[式中、Rはアリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)]、が含まれ、特にクロロ、ブロモ、ヨード、−OSOCFであり、及びより特別にはブロモである。
【0031】
用語「基Zへ変換が可能な基」とは、一つ又はそれより多くの合成化学工程を実施することにより変換可能であって基Zを形成する、いずれかの官能基から基Yが選択されることを意味する。こうした変換が可能である適した基Y、及びYからZへの変換を実施するために使用することが可能である合成化学工程は、例えば、John Wiley & Sons, Inc.から出版された、George R. Newkome and William W. Paudler によるContemporary Heterocyclic Chemistry及びJ. MarchによるAdvanced Organic Chemistry、第4版及び第5版、のような標準的な著作物に記載されているように、当該技術分野では周知である。こうした変換に適した典型的基Y及び合成化学工程は、例えば、スキーム1〜5のいずれかに又は以下の実施例に例示されており、又はそれらから類推される。
【0032】
本明細書の前の部分で又は以下に基Yと称されるものには、例えば、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、メチルアミノ、ベンジルアミノ、メタンスルホニルアミノ、N−ベンジルメタンスルホニルアミノ、RSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]、RC(O)O−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]が含まれる。特に適した基Yには、例えば、ヒドロキシ、クロロ、トシロキシ、アミノ、メチルアミノ及びメチルスルホニルアミノが含まれる。
【0033】
本明細書において用語「アリール」には、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル及びインダニル、特にフェニルのような6〜12個の原子を含有する単環式又は二環式芳香族炭化水素基が含まれる。用語「置換アリール」とは、一つ又はそれより多くの置換基、例えば1〜3個の置換基、より特別には1〜2個の置換基を有するアリール基を意味する。適した置換基には、例えば、(1〜4C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、(1〜4C)アルコキシ(メトキシ又はエトキシのような)及びハロゲノ(クロロ、ブロモ又はヨードのような)が含まれる。
【0034】
用語「ヒドロキシ保護基」及び「カルボキシ保護基」とは、本明細書の前の部分で及び以下において、(1〜4C)アルキルエステル基のような適した誘導体を形成することにより、反応からヒドロキシ又はカルボキシ基が保護されていることを意味する。ヒドロキシ保護基には、例えば、テトラヒドロピラニル、tert−ブチル、メトキシメチル又はシリル基[例えば、式SiRのシリル基、式中、R基は同じでも異なっていてもよく、(1〜6C)アルキル、フェニル及びフェニル(1〜4C)アルキルから選択され、ここで後者二つのフェニル基は置換されていないか又はハロゲノ、(1〜4C)アルコキシ又は(1〜4C)アルキル置換基を有している]も含まれる。例えば、基SiRはトリメチルシリル及びtert−ブチルジメチルシリルを含む。ヒドロキシ及びカルボキシ基保護の適した手段の例(ならびに形成及び最終的脱保護)は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, 「Protective Groups in Organic Synthesis」, 第3版, John Wiley & Sons, New York, 1999 、に見ることができる。本明細書の前の部分で又は以下に、1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する、Pと一緒になったP、又はPと一緒になったP、又はPと一緒になったP、についての具体的な保護基には、本明細書において援用されるEPA0319845及びGB2244705に記載されているものが含まれる。特に適した1,3−ジヒドロキシ保護基には、例えば、以下に図示した(a)、(b)、(c)及び(d)が含まれ:
【0035】
【化7】

【0036】
式中、Rw及びRxは独立して(1〜4C)アルキルであり、及びRy及びRzは独立して(1〜4C)アルキルであり、又はRy及びRzの一つは(1〜4C)アルキルであってそして他方は水素であり、又はRy及びRzはそれらが結合されている炭素原子と一緒になってシクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル環を形成し、より特別にはRy及びRzが両方ともメチルである(即ち、アセトニド保護基)基(a)である。P11がRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する場合も、類似の保護基を使用することができる。
【0037】
、R、R及びRについての特に適した意義には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びtert−ブチル、特に後者、のような(1〜4C)アルキルが含まれる。
【0038】
式IIの化合物と式IIIの化合物を反応させた後に一つより多くの保護基を除去する場合、式Iの化合物が得られることを可能にする任意の順序で保護基を除去できることが認識されるであろう。一つより多くの保護基の同時除去を可能にする、保護基及びそれらの除去の条件を選ぶことができることも認識されるであろう。しかしながら、式Iの化合物のラクトン化を避けるため、最終工程を非酸性条件下で実施することが好ましい。
【0039】
適した薬学的に許容できる塩には、例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩、アンモニウム塩、又は生理学的に許容できるカチオンを与える有機塩基、例えばメチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モルホリン、ジエタノールアミン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン及びトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンとの塩が含まれる。
【0040】
Aが基(ii)である場合、炭素−炭素二重結合に隣接するカルボニル基の不斉還元は、例えばジエチルメトキシボラン及び水素化ホウ素ナトリウムを使用して実施することができる。反応は、例えば、アルコール−有機溶媒混合物中で実施することができる。アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールから選択することができる。非アルコール性有機溶媒は、例えば、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドから選択することができる。特に適した溶媒の組み合わせは、例えば、メタノール及びテトラヒドロフランである。反応は一般に、−100℃〜20℃、例えば、−85℃〜−70℃の温度で冷却下、10分〜20時間、例えば、30分〜10時間で実施される。
【0041】
Aが基(iv)である場合、炭素−炭素二重結合の不斉水素化は、例えば、本明細書において援用される、J. Org. Chem.、1993、58、2446-2453に記載されている方法からの類推により、約0℃のような−20℃〜+10℃の範囲の温度で、テトラヒドロフランのような適した溶媒中、カリウムtert−ブトキシド又はヘキサメチルカリウムジシラジドのような塩基の存在下、ベンジルアルデヒドを使用して実施することができる。
【0042】
Aが基(vi)である場合、炭素−炭素二重結合の不斉水素化は、例えば、本明細書において援用されるWO02/05519に記載されている方法からの類推により、LiOHのような塩基の存在下でのアリルアルコール又はNaOHのような塩基の存在下でのベンジルアルコールのような適したアルコールを使用し、続いて、酸性条件下、パラジウム/炭素又は水酸化パラジウム/炭素を使用した還元によって実施することができる。
【0043】
Aが基(vii)である場合、基COORに隣接する炭素−炭素二重結合の不斉水素化は、例えば、A(ii)のカルボニル基の不斉還元について上に記載したものと同様の条件を使用して実施することができる。
【0044】
可変の基(radical)又は基(group)の具体的な意義は以下のようである。こうした意義は本明細書の前の部分で又は以下に定義したいずれか他の意義、定義、請求項又は態様について適切な場合は使用することができる。
(1)式III中、Aは基(i)であり、P及びPは一緒になってアセトニド保護基を形成する;
(2)式III中、Aは基(i)であり、P及びPは両方とも水素である;
(3)式III中、Aは基(ii)であり、Pはヒドロキシ保護基である;
(4)式III中、Aは基(ii)であり、Pは水素である;
(5)式III中、Aは基(iii)であり、P〜Pは総てヒドロキシ保護基である;
(6)式III中、Aは基(iii)であり、P及びPは両方とも水素であり、及びP及びPは同一の又は異なったヒドロキシ保護基である(例えば、メチル又はエチルのような(1〜4C)アルキル基);
(7)式III中、Aは基(iv)であり、Pはヒドロキシ保護基である(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)又はtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS));
(8)式III中、Aは基(iv)であり、Pは水素である;
(9)式III中、Aは基(v)であり、Pはヒドロキシ保護基である;
(10)式III中、Aは基(v)であり、Pは水素である;
(11)式III中、Aは基(vi)である;
(12)式III中、Aは基(vii)であり、P10は水素であり、及びP11はRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基である(例えば、P11はRと一緒になってアセトニド保護基である)。
【0045】
例えば、実施例に例示したように、又は下記スキーム1〜5に示したように、又はそれらから類推することによって、式IIの出発物質は得ることができ、そして基Zへの基Yの変換は実施することができる。式IIの化合物(式中、Xは基Yである)を式IIIの化合物と反応させた場合、得られる中間体は基Lを有する(しかし、基−Lは−CH=CH−Aにより置き換えられている)スキーム1〜5に示した化合物を含むことが認識されるであろう。基Yは次に、スキーム1〜5に示した一つ又はそれより多くの合成化学工程を使用して基CHSON(CH)−へ変換することができる。スキーム1〜5及び本明細書の他の部分において、以下の略語が使用される:
EtOH=エタノール;NBS=N−ブロモスクシンイミド;DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;TEA=トリエチルアミン;MeCN=アセトニトリル;MsCl=塩化メシル;TsCl=塩化トシル;OTs=トシロキシ;THF=テトラヒドロフラン;IPA=イソプロパノール;DCM=ジクロロメタン。
【0046】
【化8】

【0047】
【化9】

【0048】
【化10】

【0049】
【化11】

【0050】
【化12】

【0051】
式IIIの出発物質は、既知であるか、又は、例えば、既知の化合物又は構造的に類似した化合物を得るために使用された方法と類似の方法を使用して、又は以下の実施例に例示したように、又はそれらから類推することによって得ることができる。
【0052】
Aが基(i)である式IIIの化合物は、例えば、Org. Lett. 2003, Vol.5, No.23, 4385-4388又はSynLett, 2003, page 215-218又はTetrahedron Letters, 2002、43(10)、1851-1854に記載されているように、又はそれらから類推して得ることができる。
【0053】
Aが基(ii)である式IIIの化合物は、例えば、WO03/04450に開示されているように、又はそれからの類推により、又は以下のようなJACS, 2000,page 8837に記載されている方法からの類推により:
【0054】
【化13】

【0055】
又は、以下のようなJ.Org.Chem. 1991, p.5752; Eur.J.Org.Chem. 1999, p.3421 及びPCT国際出願2001004336の開示から類推される対応するトリカルボニル化合物の還元により得ることができる。
【0056】
【化14】

【0057】
Aが基(iii)である式IIIの化合物は、例えば、以下のように得ることができる。
【0058】
【化15】

【0059】
Aが基(iv)である式IIIの化合物は、例えば、Org. Lett.2004、Vol.6、No.20、3465-3467に記載されているように、又は以下のように得ることができる。
【0060】
【化16】

【0061】
Aが基(v)である式IIIの化合物は、例えば、SynLett, 2003, page 215-218に記載されているように得ることができる。
【0062】
Aが基(vi)である式IIIの化合物は、Tetrahedron Lett., 2003, page 8081に記載されている方法から類推することにより得ることができる。
【0063】
Aが基(vii)である式IIIの化合物は、例えば、Synlett 1999, No.9、1435〜1437に記載されているように、又はそれから類推することにより得ることができる。
【0064】
本発明のさらなる側面は、式Iの化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の製造を含んでなり、前記製造は、式IIの化合物[式中、XはN−(メチル)メチルスルホニルアミノであり、及びLは脱離基である]と式IIIの化合物[式中、Aは本明細書で前に示した基(i)であり、P及びPは独立して水素又はヒドロキシ保護基から選択され、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し(特に式中、P及びPは一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及び特にP及びPは、Ry及びRzが両方ともメチルであり(即ち、アセトニド保護基)、本明細書で定義した基(a)を完成させる)、及びRはカルボキシ保護基((1〜4C)アルキルのような、及び特にはtert−ブチル)である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び上記の塩基の存在下での反応を含んでなり;その後、保護基P、P及びRを任意の順序で除去し;その後生成物が遊離酸で得られた場合、場合により式Iの化合物の薬学的に許容できる塩を形成させ、又は生成物が薬学的に許容できる塩として得られた場合、場合により生成物を異なった薬学的に許容できる塩に変換する。この方法のさらなる態様は、XがN−(メチル)メチルスルホニルアミノであり、及びLがブロモである式IIの化合物が使用されることを含んでなる。さらなる態様は、後者の化合物を5−ブロモ−2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンから、例えば、トシル化(塩化トシルとの反応によるような)又は塩素化(オキシ塩化リンとの反応によるような)、続いての、塩基性条件下(例えば、水素化ナトリウムの存在下で)でのN−メチルメタンスルホンアミドとの反応により得ることを含んでなる。さらなる態様は、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンを2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンから得ることを含んでなる(例えば、DMF中、N−ブロモスクシンイミドでのブロム化により)。さらなる態様は、2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンを1−(4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタン−1,3−ジオンから得ることを含んでなる(例えば、酸性条件下での尿素との反応により)。さらなる態様は、後者の化合物を(1〜4C)アルキル4−フルオロベンゾエートから得ることを含んでなる(例えば、カリウムtert−ブトキシドのような塩基の存在下、3−メチル2−ブタノンとの反応により)。さらなる態様は、Rの除去に先だって保護基P及びPが除去されることを含んでなる。
【0065】
遊離酸形態で得られた式Iの化合物の薬学的に許容できる塩の形態への変換は、カルボン酸からの塩の形成について当該技術分野で周知のいずれかの方法を使用して実施することができる。塩形態で得られた式Iの化合物の異なった薬学的に許容できる塩へ変換は、塩の相互変換について当該技術分野で周知のいずれかの方法を使用して、例えば、水性条件下、水溶性カルシウム塩(塩化カルシウム又は酢酸カルシウムのような)での処理による、ナトリウム塩のカルシウム塩への変換を使用して、変換することができる(例えば、EP521471、WO00/49014、WO04/52867及びWO04/108691に開示されているように)。遊離酸から塩への、又は塩から別の塩への変換は、系中(in situ)で、即ち、遊離酸又は最初の塩形態を前もって単離することなく実施することができ、そして例えば、実施例又は上記参照文献に例示されているように、一つ又はそれより多くの慣用的工程を含んでいてもよいことが認識されるであろう。
【0066】
本発明のさらなる側面は、式IV
【0067】
【化17】

【0068】
(式中、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、Xは前に定義した基Zであり、及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造のための方法を含んでなり、その方法は、式IIの化合物(式中、Xは前に定義した基Zであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物[式中、Aは本明細書で前に示した基(i)であり、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し(特に式中、P及びPは一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及び特にP及びPはRy及びRzが両方ともメチルであり(即ち、アセトニド保護基)、本明細書で定義した基(a)を完成させる)、及びRはカルボキシ保護基((1〜4C)アルキルのような、及び特にはtert−ブチル)である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び上記の塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる態様は、式IIの出発物質は上記のように得られることである。
【0069】
本発明のさらなる側面は、式IVの化合物(式中、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、Xは前に定義した基Yであり、及びRはカルボキシ保護基である)の化合物の製造のための方法を含んでなり、前記方法は、式IIの化合物(式中、Xは前に定義した基Yであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物[式中、Aは本明細書で前に示した基(i)であり、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し(特に式中、P及びPは一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及び特にP及びPは、Ry及びRzが両方ともメチルであり(即ち、アセトニド保護基)、本明細書で定義した基(a)を完成させる)、及びRはカルボキシ保護基((1〜4C)アルキルのような、及び特にはtert−ブチル)である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び上記の塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる別の独立した態様は、式II、式中:
(i)Xはヒドロキシであり;
(ii)Xはクロロであり;
(iii)Xはアミノであり;
(iv)Xはメチルアミノであり;
(v)メタンスルホニルアミノ;及び
(vi)XはRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]である;
の化合物を使用する式IVの化合物の製造を含んでなる。式IVの化合物は、本明細書に記載したように、保護基P、P及びRの除去により式Iの化合物へ変換することができる。特別の態様において、Rの前にP及びPが除去される。
【0070】
本発明のさらなる側面は、式IVの新規化合物を含んでなり、式中、Xは前に定義した基Yであり、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びRはカルボキシ保護基である。式IVの特別の化合物において、Xは、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、メチルアミノ、ベンジルアミノ、N−ベンジルメタンスルホニルアミノ、RSOO−(式中、Rは(1〜6C)アルキル、アリール又は置換アリールである)、又はRC(O)O−(式中、Rは(1〜6C)アルキル、アリール又は置換アリールである)であり、及びP及びPは水素又はヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びRは(1〜4C)アルキルである。この化合物の群のうち、さらに具体的な独立した群は、(i)Xがヒドロキシであるもの;(ii)Xがクロロであるもの;(iii)Xがアミノであるもの;(iv)Xがメチルアミノであるもの;(v)XがRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)であるもの]、である。式IVの特別な化合物には、例えば、以下のものが含まれる:
(1)Xがヒドロキシであり、P及びPが一緒になってアセトニド(−C(CH−)保護基を形成し、及びRが(1〜4C)アルキル、特にtert−ブチルであるもの;
(2)Xがクロロであり、P及びPが一緒になってアセトニド(−C(CH−)保護基を形成し、及びRが(1〜4C)アルキル、特にtert−ブチルであるもの;
(3)Xがアミノであり、P及びPが一緒になってアセトニド(−C(CH−)保護基を形成し、及びRが(1〜4C)アルキル、特にtert−ブチルであるもの;
(4)Xがメチルアミノであり、P及びPが一緒になってアセトニド(−C(CH−)保護基を形成し、及びRが(1〜4C)アルキル、特にtert−ブチルであるもの;及び
(5)Xはトシロキシであり、P及びPが一緒になってアセトニド(−C(CH−)保護基を形成し、及びRが(1〜4C)アルキル、特にtert−ブチルであるもの。
【0071】
本発明のさらなる側面は、式V
【0072】
【化18】

【0073】
(式中、Pは水素又はヒドロキシ保護基であり、Xは前に定義した基Zであり、及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは基Zであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(ii)であり、Pは水素又はヒドロキシ保護基であり、及びRはカルボキシ保護基である)の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び上記の塩基の存在下での反応を含んでなる。
【0074】
本発明のさらなる側面は、式V(式中、Pはヒドロキシ保護基であり、Xは前に定義した基Yであり、及びRはカルボキシ保護基である)の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは前に定義した基Yであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(ii)であり、Pはヒドロキシ保護基であり、及びRはカルボキシ保護基である)の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる別の独立した態様は、式II、式中:
(i)Xはヒドロキシであり;
(ii)Xはクロロであり;
(iii)Xはアミノであり;
(iv)Xはメチルアミノであり;
(v)メタンスルホニルアミノ;及び
(vi)XはRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]である;
の化合物を使用する式Vの化合物の製造を含んでなる。式Vの化合物は、前に記載したように、基Yを基Zに変換し、続いて(1)炭素−炭素二重結合に隣接するカルボニル基の不斉還元;(2)Pの除去;及びカルボキシ保護基Rの除去の工程を任意の順序で実施することにより式Iの化合物に変換することができる。特別の態様において、保護基の除去の前に不斉還元が実施される。
【0075】
本発明のさらなる側面は、式Vの新規化合物を含んでなる。
【0076】
本発明のさらなる側面は、式VI
【0077】
【化19】

【0078】
(式中、P、P、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びXは前に定義した基Zである)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、前に定義した式IIの化合物(式中、Xは前に定義した基Zであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(iii)であり、P、P、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する)の、上記の触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。
【0079】
本発明のさらなる側面は、式VI(式中、P、P、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びXは前に定義した基Yである)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは前に定義した基Yであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(iii)であり、P、P、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する)の、上記の触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる別の独立した態様は、式II、式中:
(i)Xはヒドロキシであり;
(ii)Xはクロロであり;
(iii)Xはアミノであり;
(iv)Xはメチルアミノであり;
(v)メタンスルホニルアミノ;及び
(vi)XはRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]である;
の化合物を使用する式VIの化合物の製造を含んでなる。式VIの化合物は、本明細書で記載したように、基Yを基Zに変換し、続いてP、P、P及びPの除去を任意の順序で実施することにより式Iの化合物に変換することができる。
【0080】
本発明のさらなる側面は、式VIの新規化合物を含んでなる。
【0081】
本発明のさらなる側面は、式VII
【0082】
【化20】

【0083】
(式中、Pはヒドロキシ保護基であり、Xは前に記載した基Zであり、及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは基Zであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(iv)であり、Pはヒドロキシ保護基であり、及びRはカルボキシ保護基である)の、上記の触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。
【0084】
本発明のさらなる側面は、式VII(式中、Pはヒドロキシ保護基であり、Xは前に記載した基Yであり、及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは前に定義した基Yであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(iv)であり、Pはヒドロキシ保護基であり、及びRはカルボキシ保護基である)の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる別の独立した態様は、式II、式中:
(i)Xはヒドロキシであり;
(ii)Xはクロロであり;
(iii)Xはアミノであり;
(iv)Xはメチルアミノであり;
(v)メタンスルホニルアミノ;及び
(vi)XはRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]である;
の化合物を使用する式VIIの化合物の製造を含んでなる。式VIIの化合物は、本明細書で記載したように、基Yを基Zに変換し、続いて(1)Pの除去;(2)エステル基COORに隣接する炭素−炭素二重結合の不斉水素化;及び(3)Rの除去の工程を任意の順序で実施することにより式Iの化合物に変換することができる。特別の態様において、P及びRが除去される前に不斉水素化が実施される。
【0085】
本発明のさらなる側面は、式VIIの新規化合物を含んでなる。
【0086】
本発明のさらなる側面は、式VIII
【0087】
【化21】

【0088】
(式中、Pは水素又はヒドロキシ保護基であり、及びXは前に定義した基Zである)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは基Zであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(v)であり、Pはヒドロキシ保護基である)の、上記の触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。
【0089】
本発明のさらなる側面は、式VIII(式中、Pは水素又はヒドロキシ保護基であり、及びXは前に定義した基Yである)の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは基Yであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(v)であり、Pはヒドロキシ保護基である)の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる別の独立した態様は、式II、式中:
(i)Xはヒドロキシであり;
(ii)Xはクロロであり;
(iii)Xはアミノであり;
(iv)Xはメチルアミノであり;
(v)メタンスルホニルアミノ;及び
(vi)XはRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]である;
の化合物を使用する式VIIIの化合物の製造を含んでなる。式VIIIの化合物は、本明細書で記載したように、基Yの基Zへの変換、続いて(1)もし存在するならば保護基Pの除去、及び(2)塩基性条件下での加水分解による環の開環、の工程を任意の順序で実施することにより、式Iの化合物に変換することができる。特別の態様において、Pはヒドロキシ保護基である。
【0090】
本発明のさらなる側面は、式VIIIの新規化合物を含んでなる。
【0091】
本発明のさらなる側面は、式IX
【0092】
【化22】

【0093】
(式中、Xは前に定義した基Zである)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは基Zであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(vi)である)の、上記の触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。
【0094】
本発明のさらなる側面は、式VIX(式中、Xは前に定義した基Yである)の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは基Yであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(vi)である)の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる別の独立した態様は、式II、式中:
(i)Xはヒドロキシであり;
(ii)Xはクロロであり;
(iii)Xはアミノであり;
(iv)Xはメチルアミノであり;
(v)メタンスルホニルアミノ;及び
(vi)XはRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]である;
の化合物を使用する式IXの化合物の製造を含んでなる。式IXの化合物は、本明細書で記載したように、基Yの基Zへの変換、続いて(1)環炭素−炭素二重結合の不斉水素化、及び(2)塩基性条件下での加水分解の工程を任意の順序で実施することにより式Iの化合物に変換することができる。特別の態様において、不斉水素化を加水分解に先立って実施する。
【0095】
本発明のさらなる側面は、式IXの新規化合物を含んでなる。
【0096】
本発明のさらなる側面は、式X
【0097】
【化23】

【0098】
(式中、P10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって、又はP11はRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し;Xは本明細書で前に定義した基Zであり;及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造を含んでなり、その製造は、前に定義した式IIの化合物(式中、Xは本明細書で前に定義した基Zであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(vii)であり、P10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する)の、上記の触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。
【0099】
本発明のさらなる側面は、式X(式中、P10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって、又はP11はRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し;Xは本明細書で前に定義した基Yであり;及びRはカルボキシ保護基である)の化合物の製造を含んでなり、その製造は、式IIの化合物(式中、Xは前に定義した基Yであり、及びLは脱離基である)と式IIIの化合物(式中、Aは本明細書で前に示した基(vii)であり、P10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって、又はP11はRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する)の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる。この方法のさらなる別の独立した態様は、式II、式中:
(i)Xはヒドロキシであり;
(ii)Xはクロロであり;
(iii)Xはアミノであり;
(iv)Xはメチルアミノであり;
(v)メタンスルホニルアミノ;及び
(vi)XはRSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル(メチル、エチル又はプロピルのような)、アリール(フェニルのような)又は置換アリール(トリルのような)である]である;
の化合物を使用する式Xの化合物の製造を含んでなる。式Xの化合物は、本明細書で記載したように、基Yの基Zへの変換、続いて(1)基COORに隣接する炭素−炭素の不斉還元;(2)保護基の除去、の工程を任意の順序で実施することにより式Iの化合物に変換することができる。特別の態様において、P11は水素である。
【0100】
本発明のさらなる側面は、式Xの新規化合物を含んでなる。
【0101】
本発明の独立したさらなる側面は、例えば、スキーム1〜5のいずれかに示した、又は以下の実施例に例示した、一つまたはそれより多くの化学反応を実施することにより、式IIの出発物質が式XI
【0102】
【化24】

【0103】
の化合物から得られる、前に記載したいずれかの方法を含んでなる。特に、式IIの化合物が5−ブロモ−2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンである場合、例えば、DMF中のN−ブロモスクシンイミドでのブロム化により、2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン(式XI)から得る。
【0104】
本発明のさらなる側面は、式IIの新規化合物を含んでなる。式IIの具体的な新規化合物には、例えば、以下のものが含まれる:
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;及び
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;及びそれらの塩。
【0105】
本発明のさらなる側面は、例えば、2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン(式XI)を含む、式IIの化合物を得ることのための新規出発物質を含んでなる。
【0106】
本発明のさらなる側面は、2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンの製造のための方法を含んでなり、前記方法は:
a)トルエン中のエチル−4−フルオロベンゾエートと3−メチル2−ブタノンの反応で1−(4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタン−1,3−ジオンをトルエン溶液として得ること;及び
b)前記トルエン溶液と、尿素及び塩化水素のイソプロパノール中の反応;
を含んでなる。
【0107】
都合よくは、単純な出発物質から出発する上記方法は、トルエンが両方の工程で溶媒として存在するので、中間体1−(4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタン−1,3−ジオンを単離する必要性を効率よく避けている。第二の工程は一般に、高温、例えば、約80℃で実施する。この方法を実施するために適した条件は、付随する実施例に例示されている通りである。
【0108】
本発明はさらに以下の実施例で例示されるが、それにより制限されるものではない。
実施例1
N−(5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(1.00g、2.50mmol)、ビス−トリ−tert−ブチルホスフィンパラジウム(0)(131mg、0.250mmol)、tert−ブチル 2−((4R,6S)−2,2−ジメチル6−ビニル−1,3−ジオキサン−4−イル)アセテート(640mg、2.50mmol)、水(5mL)、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン(0.530mL、2.50mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物を加熱し、窒素下、50℃で4日間撹拌した。次に混合物を酢酸エチル(11mL)、水(10mL)及び酢酸(0.2mL)で希釈した。有機相を分離し、水相を酢酸エチル(5mL)で抽出した。合わせた有機相を水(10mL)、次に食塩水(10mL)で洗浄し、真空下で濃縮すると、いくらかの固形物を含有する黄色油状物を得た。この物質を酢酸エチルへの溶解を介してシリカゲル上に吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(5%酢酸エチル含有イソヘキサンから20%酢酸エチル含有ヘキサンへ徐々に増加させた、シリカカラム直径25mm及び高さ250mm)により精製すると、式
【0109】
【化25】

【0110】
のtert−ブチル 2−((4R,6S)−6−((E)−2−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメタンスルホンアミド)ピリミジン−5−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)アセテート(以後BEMと称する)を白色固形物として得た(204mg)。単離した生成物は、国際特許出願公開番号WO00/49014に記載されている化合物BEMと分光学的に同一であった。
【0111】
化合物BEMは次に、国際特許出願公開番号WO00/49014(全体が本明細書において援用される)に記載されているごとく、以下のようにロスバスタチンカルシウムへ変換することが可能である。
【0112】
BEM(5.0g)及びアセトニトリル(35ml)の混合物を不活性雰囲気下、40℃で撹拌した。生じた溶液に、35℃〜42℃に温度を維持しながら、30分以上かけて0.02M塩酸(9.5ml)を加えた。混合物を40℃で3時間撹拌し、次に25℃に冷却した。1.0M水酸化ナトリウム溶液(9.5ml)を25℃で撹拌しながら加え、混合物をさらに25℃で1時間撹拌した。塩化ナトリウム(4.7g)を加え、混合物を1時間以上かけて−5℃に冷却した。3.4〜4.0のpHを達成するために十分な1M塩酸(9.5ml)溶液及び塩化ナトリウム(2.4g)を−5℃で加え、混合物をこの温度で5分撹拌した。混合物を−5℃で10分放置すると2層となった。下層を分離し、廃棄した。残った溶液にアセトニトリル(65ml)を−5℃で加え、混合物はフィルター剤を通して濾過した。40%メチルアミンの水溶液(1.1ml)を−5℃で加え、混合物を40分以上かけて30℃まで温め、この温度で90分維持した。混合物を次に40分以上かけて0℃まで冷却し、この温度で90分維持した。生じた固形物を濾過して集め、アセトニトリルで洗浄した(2x12ml)。式IV(R=MeNH)の化合物のメチルアミン塩である固形物を真空下、35℃で乾燥した(3.87g)。8%w/w水酸化ナトリウム水溶液(5.44ml)をメチルアミン塩(6.0g)の脱ガス水(30ml)の撹拌混合物に20℃で加え、混合物を1時間撹拌した。混合物を濾過し、24mlの蒸留物が得られるまで減圧下、40℃で濃縮した。水(24ml)を加え、再び24mlの蒸留物が得られるまで減圧下、40℃で濃縮した。水(30ml)を加え、塩化カルシウム二水和物(1.03g)の水(6ml)溶液を20℃で滴下した。混合物を45分撹拌し、生じた固形物を濾過した。固形物を水(36ml)で洗浄し、真空下、40℃で乾燥すると(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル](3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸のカルシウム塩を得た。
【0113】
あるいは、化合物BEMは国際特許出願WO04/108691(全体が本明細書において援用される)に記載されているごとく、ロスバスタチンカルシウムに、以下のように変換することができる。
【0114】
BEM(20.0g)を40℃でアセトニトリル(140ml)に溶解し、次に35℃に冷却した後、35℃で塩酸(0.02M、35ml)を徐々に添加した。生じた溶液を反応が完了するまで35℃で撹拌し、次に25℃に冷却した。水酸化ナトリウム(1.0M、38ml)を25℃で加え、生じた混合物を反応が完了するまでこの温度で撹拌した。塩酸水溶液(1M)を加えて、溶液のpHをpH9に調整した。およそ100mlのアセトニトリル/水が除去されるまで溶液を減圧下(52mBar、≦40℃)で蒸留した。水(100ml)を加え、さらに100mlのアセトニトリル/水が除去されるまで蒸留を続けた。生じた混合物はフィルターパッドを通し、フィルターを水(30ml)で洗浄し、濾液を40℃に加熱した後、反応混合物を38〜41℃に維持しながら、20分以上かけて塩化カルシウム二水和物(3.07g)の水(29.5ml)溶液を加えた。
【0115】
反応混合物を40℃でさらに15分撹拌し、次に20℃に冷却してこの温度でさらに15分撹拌した。生じた懸濁液を濾過し、水で洗浄し(3x50ml)、乾燥させると、(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル](3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸カルシウム塩を得た(15.8g、収率84%)。
【0116】
及び以下のように変換することができる。
【0117】
BEM(20.0g)をアセトニトリル(140ml)に40℃で溶解し、次に35℃に冷却した後、35℃で塩酸(0.02M、35ml)を徐々に添加した。生じた溶液を反応が完了するまで35℃で撹拌し、次に25℃に冷却した。さらにアセトニトリル(8ml)を加えた後、25℃で水酸化ナトリウム(1.0M、38ml)を加え、生じた混合物は反応が完了するまでこの温度で撹拌した。塩酸水溶液(0.1M)を加え、およそpH10.5に溶液のpHを調整した。水及び塩酸(0.1M)(前のpH調整工程から)を合わせた容量が100mlになるように水を加えた。次にトルエン(125ml)を加え混合物を40℃で30分撹拌した後、40℃で1時間放置した。次に水性相を40℃にて有機相から分離した。水性相を、容量が135mlに減少するまで減圧下(53mBar、≦40℃)で蒸留した。生じた水性溶液はフィルターパッドを通して濾過し、フィルターを水で洗浄し、生じた水性溶液の総容量が170mlとなるように水性反応溶液と混合した。この溶液を40℃に加熱した後、反応混合物を38〜41℃に維持しながら20分以上かけて、塩化カルシウム二水和物(3.05g)の水溶液(29.5ml)を添加した。
【0118】
反応混合物をさらに40℃で15分撹拌し、次に20℃に冷却し、この温度でさらに15分撹拌した。生じた懸濁液を濾過し、水で洗浄し(3x53ml)、乾燥すると(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル](3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸カルシウム塩を得た(14.7g@100%ストレングス、収率85%)。
1H NMR δ: 1.21 (d+d, 6H) 1.32 (dt, 1H) 1.51 (dt, 1H) 2.00 (dd, 1H) 2.14 (dd, 1H) 3.42 (spt, 1H) 3.45 (s, 3H) 3.54 (s, 3H) 3.77 (m, 1H) 4.21 (q, 1H) 5.53 (dd, 1H) 6.51 (dd, 1H) 7.27 (t, 2H) 7.71 (dd, 2H) [1H NMRは、d6 DMSO中、3% w/v 溶液として実施した (ここで d5 DMSO=2.51δ)]。部分的に不明瞭。
【0119】
出発物質N−(5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミドを以下のようにして得た。
【0120】
(i)塩化水素の5M〜6Mイソプロパノール溶液(38mL、194ミリモル)を、尿素(7.78g、129.6ミリモル)及び1−(4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタン−1,3−ジオン(8.43g、32.4ミリモル)のエタノール(49mL)撹拌混合物に加えた。反応混合物を40時間還流し、−6℃に冷却した。生じた沈澱を濾過により集め、ジエチルエーテル(20mL)で洗浄した。固形物を水(60mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)に加えた。さらに固体炭酸水素ナトリウム(16.4g、195ミリモル)を少量ずつ加えた。混合物をアセトン(40mL)及び酢酸エチル(80mL)で希釈した。有機相を分離し、水相を2:1酢酸エチル/アセトンで抽出した(3x120mL)。有機相を合わせ、食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮すると、4.8gの4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(収率64%)を得た;1H NMR (400MHz) (CDCl3) δ TMS: 1.41 (6H, d, J=6.90Hz), 3.08 (1H, m), 6.69 (1H, s), 7.17 (2H, dd, J=8.60Hz, J=8.60Hz), 8.14 (2H, dd, J=6.65Hz, J=6.65Hz), 13.57 (1H, br. s) 。Mp: 215-217℃。HRMS:C13H13N2OFとした計算値:232.1012、実測値:232.0963;さらに精製することなく続いての反応で使用した。
【0121】
(ii)N−ブロモスクシンイミド(3.504g、19.69ミリモル)を、4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(4.573g、19.69ミリモル)のDMF(30mL)懸濁液に−8.5℃で加えた。混合物を10分撹拌し、反応混合物を外界温度まで温めた。混合物を4時間撹拌し、酢酸エチル(80mL)、トルエン(20mL)及び水(100mL)で希釈した。有機相を分離し、水相を4:1酢酸エチル/トルエン(2x100mL)で抽出した。有機粗を合わせ、アセトン(100mL)で希釈した。溶液を食塩水(75mL)、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40mL)で洗浄し、次に真空下で濃縮すると(3x40mLトルエン共沸で)、6.031gの5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(収率98%)を得た;1H NMR (400MHz) (CDCl3) δ TMS: 1.39 (6H, d, J=6.90 Hz), 3.57 (1H, m), 7.16 (2H, dd, J=8.60 Hz, J=8.60 Hz), 7.66 (2H, dd, J=8.70 Hz, J=5.40 Hz)。Mp:199℃で分解。HRMS:C13H12N2OFBrとした計算値:310.0117、実測値:310.0116;さらに精製することなく続いての反応で使用した。
【0122】
(iii)塩化ホスホリル(5.00mL、53.8ミリモル)を、5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(5.027g、15.28ミリモル)に加え、90℃の内部温度まで反応混合物を加熱した。混合物をこの温度で150分撹拌し、次に25℃まで冷却した。反応混合物を氷(60g)、水(40mL)及び炭酸水素ナトリウム(10g)の撹拌混合物中に滴下して(30mLのEtOAcで洗浄)クエンチした。滴下完了後、炭酸水素ナトリウム(13g)を加えて中性を確実にした。混合物を次に酢酸エチルで抽出した(4x70mL)。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶液を珪藻土のパッドを通して濾過し、真空下で濃縮すると、5−ブロモ−2−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンを得た(4.98g、収率99%);1H NMR (400MHz) (CDCl3) δ TMS: 1.34 (6H, d, J=6.70 Hz), 3.64 (1H, m), 7.17 (2H, dd, J=8.65 Hz, J=8.65 Hz), 7.73 (2H, dd, J=8.80 Hz, J=5.20 Hz) 。Mp: 99-101℃。HRMS:C13H11N2FClBrとした計算値:327.9778、実測値:327.9752;さらに精製することなく続いての反応で使用した。
【0123】
(iv)水素化ナトリウム(1.20g、30.0mmol、60%鉱油懸濁)をヘキサン(2x10mL)で洗浄し、DMF(50mL)を加え、続いて5−ブロモ−2−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン(4.944g、15.0ミリモル)を加えた。生じた懸濁液を−7℃に冷却し、N−メチルメタンスルホンアミド(2.585g、22.5ミリモル)を加え、DMF(10mL)で洗浄した。混合物を17.5時間撹拌し、次に酢酸エチル(80mL)、トルエン(100mL)及び水(120mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相を酢酸エチル(20mL)及びトルエン(30mL)の混合物で抽出した。有機相を合わせ、水(2x40mL)そして次に食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶液を真空下で濃縮すると(2回、20mLのヘキサンで共沸)、N−(5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミドを得た(5.50g、収率91%);1H NMR (400MHz) (CDCl3) δ TMS: 1.32 (6H, d, J=6.60 Hz), 3.49 (3H, s), 3.55 (3H, s), 3.63 (1H, m), 7.16 (2H, dd, J=8.65 Hz, J=8.65 Hz), 7.77 (2H, dd, J=8.70 Hz, J=5.30 Hz) 。Mp:122-125℃。HRMS:C13H17N3O2FSBrとした計算値:401.0209、実測値:401.0225;さらに精製することなく続いての反応で使用した。
【0124】
N−(5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミドへの別の経路は以下のようである。
【0125】
4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール
【0126】
【化26】

【0127】
この実験に使用した容器は、使用に先立ってトルエン蒸留を実施することにより十分に乾燥させた。新鮮なトルエン(100mL)及びカリウム tert−ブトキシド(7.50g、64.8mmol)を容器に入れ、撹拌してスラリーを形成させた。混合物を−9℃に冷却し、3−メチル−2−ブタノン(3.63g、41.7mmol)を加えた。混合物を−5℃に温め30分撹拌した。エチル−4−フルオロベンゾエート(6.25g、36.8mmol)をトルエン(4mL)に溶解し、シリンジを介して加え、続いて少量のトルエン(1ml)でラインを洗浄した。混合物を0℃で10分撹拌し、10℃に温め、そしてこの温度で一夜撹拌した。可動性スラリーを25℃に温め、酢酸(4.4mL)を加え、続いて水(37.5mL)を加えた。混合物を5分間十分に撹拌し、そして次に放置した。下層を排出し、廃棄した。5%炭酸水素ナトリウム溶液(16mL)を上層に加え、5分撹拌し、そして次に放置した。水性下層を排出し有機上層を水(5mL)で2回洗浄した。
【0128】
残ったトルエン溶液を共沸蒸留により乾燥し(配置されたディーン−スタークトラップで還流する)、そして溶液を60℃に冷却した。尿素(5.1g、84.9mmol)及びイソプロパノール(20mL)を加え、塩酸(5〜6Mイソプロパノール溶液、32.3mL、183mmol)の添加の間、激しく撹拌した。溶液を80℃に加熱し、48.5時間撹拌した後、さらに塩酸のイソプロパノール溶液(2mL、11mmol)を加えた。総計で80℃にて112時間後、混合物を60℃に冷却して水(50mL)を加えた。15分撹拌した後、混合物を放置し、水性下層を排出し保持した。水相を撹拌し、pH=7になるまで、炭酸水素ナトリウム(6.9g)を少量ずつ加えた。溶液から生成物が結晶化し、溶液を20℃に冷却した。固形物を濾過し、水(20mL)で2回洗浄し、そして真空乾燥オーブン中50℃で一夜乾燥した。4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(4.92g)が白色粉末として、総収率56%で単離された;1H NMR (400MHz; CDCl3) δ:1.41 (6H, d), 3.08 (1H, m), 6.69 (1H, s), 7.17 (2H, dd), 8.14 (2H, dd), 13.57 (1H, br. s) 。Mp: 215-217℃。HRMS:C13H13N2OFとした計算値:232.1012 、実測値:232.0963;さらに精製することなく続いての反応で使用した。
【0129】
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール
【0130】
【化27】

【0131】
4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(8.00g、34.1mmol)、続いてDMF(100mL)を反応器に加えた。懸濁液を撹拌し、−3℃に冷却してN−ブロモスクシンイミド(6.25g、34.8mmol)を加えた。反応混合物を20℃まで温め、一夜撹拌した。水(100mL)を反応混合物に加え、結晶性混合物を1時間撹拌した後濾過した。単離した固形物を水(25mL)で2回洗浄し、固形物を50℃の真空オーブンで乾燥した。5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(10.45g、収率97%)を白色固形物として得た;
1H NMR (400MHz; CDCl3) δ: 1.39 (6H, d), 3.57 (1H, m), 7.16 (2H, dd), 7.66 (2H, dd) 。Mp: 199℃で分解。HRMS:C13H12N2OFBrとした計算値:310.0117 、実測値:310.0116:さらに精製することなく続いての反応で使用した。
【0132】
N−(5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド
【0133】
【化28】

【0134】
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−オール(62.2g、199mmol)、炭酸カリウム(35.83g、259mmol)及び酢酸ブチル(435.4mL)を2Lの多口フラスコに加え、42℃で撹拌/加熱した。次に、塩化p−トルエンスルホニル(41.83g、219mmol)を、温度を≦45℃に維持しながら50分以上かけて少量ずつ加えた。反応物をこの温度で2.5時間撹拌すると、その時点でLCMSは所望の中間体(MH=467)のみが存在することを示した。次に炭酸カリウム(41.25g、299mmol)及び酢酸ブチル(186.6mL)を加え、反応液を120℃に加熱した。この温度でN−メチルメタンスルホンアミド(28.21g、259mmol)を30分以上かけて加えた。反応液をこの温度に18時間保ち、次に酢酸ブチル(330mL)及び水(412mL)を加え、反応温度を75℃まで下げた。この温度で20分撹拌を続け、反応混合物を分液ロートに移し、10分放置して分離させた。水性層を分離し、60℃で15分撹拌することにより酢酸ブチル(250mL)で再抽出した。有機層を合わせ、1M NaOH水溶液(330mL)を加えた。この混合物を60℃で20分撹拌し、次に水性下層を分離した。有機層をもとの容量の20%まで真空下で濃縮し、放置して冷却すると結晶化した。粗固形物を濾過して単離し(50.5g、わずかに湿っていた)、この物質をメタノール(500mL)から再結晶し、濾過し、一定重量になるまで50℃で乾燥させると、標題化合物を白色結晶性固形物として得た(30.54g、収率38%)。 1H NMR (400MHz; CDCl3) δ: 1.32 (6H, d), 3.49 (3H, s), 3.55 (3H, s), 3.63 (1H, m), 7.16 (2H, dd), 7.77 (2H, dd). Mp: 122-125℃。HRMS:C13H17N3O2FSBrとして計算値:401.0209 、実測値:401.0225。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の製造のための方法であって、
式II
【化2】

(式中、Lは脱離基であり、XはN−(メチル)メチルスルホニルアミノ(CHSON(CH)−)である基Zであるか、又はXは基Zへ変換が可能な基である基Yである)
の化合物と式III
【化3】

[式中、
Aは下記の基(i)〜(vii)
【化4】

(式中、P及びPは水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し;
は水素又はヒドロキシ保護基であり;
及びPは水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びP及びPは独立してヒドロキシ保護基であり;又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びPは水素又はヒドロキシ保護基であり、及びPはヒドロキシ保護基であり;
は水素又はヒドロキシ保護基であり;
は水素又はヒドロキシ保護基であり;
10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって又はP11はRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し;
及び特に記載しない限り、R、R、R及びRは独立してカルボキシ保護基である)
から選択される]
の化合物との、触媒有効量のパラジウム触媒の存在下及び塩基の存在下での反応;
続いて
(a)Xが基Yである場合、基Yを基Zへ変換すること;
続いて
(b)Aが基(i)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(2)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;及び(3)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(c)Aが基(ii)である場合、(1)炭素−炭素二重結合に隣接するカルボニル基の不斉還元;(2)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;及び(3)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(d)Aが基(iii)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(2)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(3)保護基Pの除去;及び(4)保護基Pの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(e)Aが基(iv)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;(2)エステル基COORに隣接する炭素−炭素二重結合の不斉水素化;及び(3)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
(f)Aが基(v)である場合、(1)Pがヒドロキシ保護基である場合、保護基Pの除去;及び(2)塩基性条件下での加水分解;の工程を任意の順序で実施すること;
(g)Aが基(vi)である場合、(1)環炭素−炭素二重結合の不斉水素化;及び(2)塩基性条件下での加水分解;の工程を任意の順序で実施すること;及び
(h)Aが基(vii)である場合、(1)基COORに隣接する炭素−炭素二重結合の不斉還元;(2)P10がヒドロキシ保護基ある場合、保護基P10の除去;(3)P11がヒドロキシ保護基である場合、保護基P11の除去;及び(4)保護基Rの除去;の工程を任意の順序で実施すること;
その後、生成物が遊離酸形態で得られた場合、場合により、式Iの化合物の薬学的に許容できる塩を形成することができること、又は、生成物が塩として得られた場合、場合により、その生成物を異なった薬学的に許容できる塩に変換することができること;
を含んでなる方法。
【請求項2】
Xが基Zである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、メチルアミノ、ベンジルアミノ、メタンスルホニルアミノ、N−ベンジルメタンスルホニルアミノ、RSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル、アリール又は置換アリールである]、及びRC(O)O−[式中、Rは(1〜6C)アルキル、アリール又は置換アリールである]から選択される基Yである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Aが請求項1で定義される基(i)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式IV
【化5】

(式中、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造のための方法であって、請求項1に定義した式IIの化合物(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びLは脱離基である)と請求項1に定義した式IIIの化合物[式中、Aは請求項1に定義した基(i)であり、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びRはカルボキシ保護基である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる、前記方法。
【請求項6】
式V
【化6】

(式中、Pは水素又はヒドロキシ保護基であり、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造のための方法であって、請求項1に定義した式IIの化合物(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びLは脱離基である)と請求項1に定義した式IIIの化合物[式中、Aは請求項1に定義した基(ii)であり、Pは水素又はヒドロキシ保護基であり、及びRはカルボキシ保護基である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる、前記方法。
【請求項7】
式VI
【化7】

(式中、P、P、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びXは請求項1又は3に定義した基Y又はZである)
の化合物の製造のための方法であって、請求項1に定義した式IIの化合物(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びLは脱離基である)と請求項1に定義した式IIIの化合物[式中、Aは請求項1に定義した基(iii)であり、P、P、P及びPは独立してヒドロキシ保護基であり、又はPはPと一緒になって、又はPはPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる、前記方法。
【請求項8】
式VII
【化8】

(式中、Pはヒドロキシ保護基であり、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造のための方法であって、請求項1に定義した式IIの化合物(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びLは脱離基である)と請求項1に定義した式IIIの化合物[式中、Aは請求項1に定義した基(iv)であり、Pはヒドロキシ保護基であり、及びRはカルボキシ保護基である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる、前記方法。
【請求項9】
式VIII
【化9】

(式中、Pは水素又はヒドロキシ保護基であり、及びXは請求項1又は3に定義した基Y又はZである)
の化合物の製造のための方法であって、請求項1に定義した式IIの化合物(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びLは脱離基である)と請求項1に定義した式IIIの化合物[式中、Aは請求項1に定義した基(v)であり、Pはヒドロキシ保護基である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる、前記方法。
【請求項10】
式IX
【化10】

(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZである)
の化合物の製造のための方法であって、請求項1に定義した式IIの化合物(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びLは脱離基である)と請求項1に定義した式IIIの化合物[式中、Aは請求項1に定義した基(vi)である]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる、前記方法。
【請求項11】
式X
【化11】

(式中、P10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって、又はP11はRと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し;Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり;及びRはカルボキシ保護基である)
の化合物の製造のための方法であって、請求項1に定義した式IIの化合物(式中、Xは請求項1又は3に定義した基Y又はZであり、及びLは脱離基である)と請求項1に定義した式IIIの化合物[式中、Aは請求項1に定義した基(vii)であり、P10及びP11は水素及びヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はP10はP11と一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成する]の、触媒的に有効量のパラジウム触媒の存在下、及び塩基の存在下での反応を含んでなる、前記方法。
【請求項12】
パラジウム触媒がビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
塩基がアンモニア又はかさ高い第三アミンである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
反応が、水、水及びN,N−ジメチルホルムアミド、及び、水及びN,N−ジメチルアセトアミド、から選択される溶媒中で実施される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式IVの化合物であって、Xが、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、メチルアミノ、ベンジルアミノ、N−ベンジルメタンスルホニルアミノ、RSOO−[式中、Rは(1〜6C)アルキル、アリール又は置換アリールである]、又はRC(O)O−[式中、Rは(1〜6C)アルキル、アリール又は置換アリールである]から選択される基Yであり、及びPがPとともに水素又はヒドロキシ保護基から独立して選択され、又はPがPと一緒になって1,3−ジヒドロキシ保護基を形成し、及びRが(1〜4C)アルキルである、前記化合物。
【請求項16】
式IIの化合物であって、
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−ヒドロキシピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−クロロピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−トシロキシピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メタンスルホニルアミノピリミジン;
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;
5−ヨード−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;
5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;及び
5−トリフルオロメチルスルホニルオキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−アミノピリミジン;から選択される化合物、
及びそれらの塩。
【請求項17】
5−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジンである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
化合物2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン。
【請求項19】
2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジンの製造のための方法であって、
a)トルエン中のエチル−4−フルオロベンゾエートと3−メチル2−ブタノンの反応で1−(4−フルオロフェニル)−4−メチルペンタン−1,3−ジオンをトルエン溶液として得ること;及び
b)前記トルエン溶液と、尿素及び塩化水素のイソプロパノール中の反応;
を含んでなる、前記方法。

【公表番号】特表2008−525407(P2008−525407A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547647(P2007−547647)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004999
【国際公開番号】WO2006/067456
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【住所又は居所原語表記】15 Stanhope Gate, London W1K 1LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】