説明

化工でんぷんの天然相当物

本発明は、水結合能8〜25 (w/w) を有するかんきつ類繊維ならびにコーンスターチ、米粉、モロコシでんぷん、タピオカでんぷんおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる天然でんぷんを含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化工でんぷん用食用代替物に関する。本発明は、更に、かんきつ類繊維および天然でんぷんを含む、該代替物を製造する方法に関する。最後に、本発明は、かんきつ類繊維および天然でんぷんの、化工でんぷんへの天然代替物としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
食品製造業者は、原料費最小限に抑えて、食欲をそそりそして信頼できる食べ物を提起する方策を見つけるように継続的に挑戦している。特別な努力 の一領域は、全体に天然成分を含む組成物を製造することの目標であった。特に、消費者は、化工されておらず、化工でんぷんと同じ機能特性を有するでんぷんを含有する食品を要求する。
【0003】
実際に、でんぷんは、種々の試薬によって化工されて例えば、熱、剪断作用、pH 極値、および貯蔵安定度のような作業変数への優れた許容度を有するでんぷんを生成することがしばしばある。 そのような化工でんぷんは、とりわけ、加工作業および通常の保存期間を通して、食品の望ましい細かいきれ(smooth texture)および加工粘度安定性を備える。それにひきかえ、未化工でんぷんは、食品加工する間に遭遇する応力作用の結果として、粘度が崩壊し、増粘能力およびテクスチャー品質を緩め、そして貯蔵する間に予測できない程に挙動する。熱、剪断作用、および/または極端なpH、特に酸性pHは、でんぷん粒を完全に分裂させそしてでんぷんポリマーを食品中に分散させる傾向がある。それ故に、未化工でんぷんは、また天然でんぷんとも呼ばれ、加工食品において使用するためには適さないのが普通である。
【0004】
この問題に取り組むための種々の解決策がすでに当分野で提案されており、例えば、EP 721 471およびEP 1 038 882には、化工された(すなわち、架橋された)でんぷんと機能的に同等のでんぷんおよび粉末が開示されている。
【0005】
EP 830 379および1 159 880は、化学的に架橋しているアルファー化非粒状でんぷんのテクスチャー特性を有するために抑制されたアルファー化非粒状でんぷんに関する。これらの文献において、“物理的に”加工されたでんぷんとは、化学修飾を含有せず、加工する間にそれらの構造が修飾されることと記載される。
【0006】
別の解決策当分野で提案されている別の解決策は、化工でんぷんを低脂肪エマルジョン中のかんきつ類繊維と完全に取り替えることである。この解決策は、かんきつ類繊維が高機能テクスチャライジング材であるので、仮に多少のつぶつぶ感(grittiness)が現れるとしても、満足できるように思われるが、かんきつ類繊維は、割高であることが悩みである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故に、化工でんぷんと同じ機能性を示す低価格の天然成分を有するための要救が依然ある。本発明は、かんきつ類繊維および天然でんぷんを含む組成物、化工でんぷん用食用代替物としてのそれの使用、およびそれを製造する方法を提供することによって、この要救を満足させる。実際に、本発明者等は、驚いたことに、かんきつ類繊維を天然でんぷんと混合すると、食品産業において求められる、耐剪断性のような加工許容度、ならびに改良されたテクスチャー、および凍結融解安定性を有する生成物を生じることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、水結合能7〜25 (w/w) を有するかんきつ類繊維ならびにコーンスターチ、米粉、モロコシ(sorghum) でんぷん, タピオカでんぷん、ワキシー小麦粉、アミラーゼ活性の無いジャガイモでんぷんおよびこれらの混合物からなる群より選ぶ天然でんぷんを含む化工でんぷんを代用するのに適した組成物に関する。好適な実施態様では、使用するでんぷんは、モチ性でんぷんである。
【0009】
また、本発明の一部は、かんきつ類の果実繊維対天然でんぷんの比が約1:10〜約2:1である組成物である。
【0010】
本発明において、かんきつ類繊維は、総食物繊維含有率60〜85重量% (乾燥重量) および水結合能7〜25 (w/w) を有している。かんきつ類繊維は、タンパク質を12% (w/w) まで含むことができる。その上に、かんきつ類繊維は、オレンジ、タンジェリン、ライム、レモンおよびグレープフルーツからなる群より選ぶかんきつ類の果実より得られる。好適な実施態様では、使用するかんきつ類繊維は、オレンジパルプ繊維である。
【0011】
本発明に従う組成物は、食用添加物および例えば、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、繊維、大豆タンパクおよびこれらの混合物を更に含んでよい。
【0012】
本発明は、また、本発明の組成物を製造する方法にも関する。かんきつ類繊維と天然でんぷんとのブレンドを調製しそして次いで、ブレンドを均質化して混合物を形成するために、機械的に処理し; その後に、混合物を撹拌しながらでんぷんの糊化温度にまで煮る(cooked)、本発明の組成物を製造する方法にも関する。
【0013】
現在開示している本発明は、食品用途、飼料用途、医薬品または化粧品において使用するのに適している。本発明の組成物を含有するソースおよびスープは、好適な実施態様である。最終生成物中の本発明に従う組成物の量は、約2〜約6重量パーセントであるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】化工でんぷん(C*Tex 06209)、でんぷん(Novation 2300) および本発明に従う組成物(かんきつ類繊維および天然でんぷん) の、回転モードで測定した時の挙動の比較例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、水結合能7〜25 (w/w) を有するかんきつ類繊維ならびにコーンスターチ、もち米粉、モロコシ(sorghum) でんぷん、タピオカでんぷん、ワキシー小麦粉、アミラーゼ活性の無いジャガイモでんぷんおよびこれらの混合物からなる群より選ぶ天然でんぷんを含む化工でんぷんを代用するのに適した組成物に関する。好適な実施態様では、天然でんぷんは、モチ性でんぷんおよび特にもち米粉である。
【0016】
本発明において使用するかんきつ類繊維は、相対的に高い総食物繊維含有率および可溶性食物繊維対不溶性食物繊維のバランスのとれた比を有する有用な成分である。例えば、総食物繊維は、可溶性食物繊維約45-50%および不溶性食物繊維50-55%で構成されるのが好ましい。バランスのとれた食物繊維範囲の不溶性(構造用)および可溶性(主としてペクチン) 繊維は、穀物ベースの繊維と比べて、生理的機能性が有利である。かんきつ類繊維、特にオレンジ繊維、一層特にドライかんきつ類繊維は;極めて高い水結合能を有し、Vitacel(登録商標)オレンジ繊維(Rettenmaierから入手できる)のような他のかんきつ類繊維に比べて高い粘度を生じる。 好適な実施態様の一つでは、ドライかんきつ類繊維は、総食物含有率約60〜約85重量% (乾燥物質に基づいて) および水結合能7〜約25(w/w) を有する。 好ましくは、総食物繊維含有率は、少なくとも約70重量%でありおよび水結合能は、少なくとも約8(w/w) であり、一層好ましくは少なくとも約 12であり、最も好ましくは19〜25である。ドライかんきつ類繊維のタンパク質含有率は、12重量%まで、好ましくは8〜12重量%である。
【0017】
かんきつ類繊維は、幅広い種類のかんきつ類の果実からのかんきつ類小胞から抽出し、かんきつ類の例は、オレンジ、タンジェリン、ライム、レモン、およびグレープフルーツを含み、これらに限定しない。
【0018】
かんきつ類小胞とは、かんきつ類の果実の内部の、果汁含有部分に含有されるセルロース系材料を言う。かんきつ類小胞は、時にはまた、粗製パルプ、浮遊物(floaters)、かんきつ類細胞、浮動パルプ、またはパルプとも呼ばれる。それにひきかえ、かんきつ類の皮から得られるかんきつ類粉は、オレンジ皮味およびにおい、ならびに暗いオレンジ色を特徴とし、このことは、生成物の使用をひどく制限している。かんきつ類粉と比べたかんきつ類繊維の更なる利点は、総食物繊維含有率が一層高く(例えば、58重量%に対して約72重量%); 炭水化物含有率が一層低く(例えば、15重量%に対して約5重量%); そして水結合が一層大きい(例えば、水5.5 g/繊維gに対して約 8.5 g/繊維gより大きい)。
【0019】
可溶性食物繊維対不溶性食物繊維の比は、かんきつ類繊維の機能性における重要な因子である。他の重要な考慮すべき事項は、製粉度(粒度分布)および乾燥条件(乾燥のプロセス) を含む。製粉度が高くなる程(すなわち、繊維粒度分布が繊細になる程) 、粗製繊維に比べて、溶液中の繊維の滑らかさが増し, ならびに水吸収能が低下しおよび油結合能が低下することになるのが普通である。好ましくは、ドライかんきつ類の果実繊維は、係属中の特許出願WO 2006/033697に開示されているプロセスに従って得られる。好適な実施態様では、かんきつ類繊維は、水結合能12〜25を有し、19〜25を有するのが好ましいオレンジ繊維である。該オレンジ繊維は、好ましくは油結合能2〜10を有するのが好ましく、好ましくは4〜10を有するのが好ましく、5〜9を有するするのが一層好ましく。
【0020】
理論によって何ら束縛されずに、本発明に従えば、かんきつ類繊維は、本発明の組合せに含まれそして次いで、更に加工される場合に、でんぷん用保護剤として作用しているものと考えられる。実際に、該でんぷんの抵抗は、特に剪断力によって処理する場合に、増大される。この一層高い抵抗は、でんぷん顆粒膨潤抑制がかんきつ類繊維によって可能にされることによるものと考えられる。本発明に従えば、繊維が結合する水および油が多くなる程、でんぷんは、該繊維によって一層保護されることになる。
【0021】
本発明の好適な変形は、水結合能19〜25、油結合能5〜9を有するオレンジ繊維を、もち米粉と組み合わせて含む。
【0022】
また、本発明の一部は、かんきつ類の果実繊維対天然でんぷんの重量比が約1:10〜約2:1であり、1:7〜1:1であるのが好ましく、1.5〜1:3.6であるのが一層好ましく、および1:5〜1:2であるのが最も好ましい組成物である。
【0023】
該組成物は、食用添加物を更に含むことができる。これらの食用添加物は、炭水化物、ゴム、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ペクチン、酸化防止剤、微量元素、電解質、高甘味度甘味料、食用酸、フレーバー、オオムギベータグルカン、着色剤、保存料、およびこれらの混合物からなる群より選ぶ。
【0024】
炭水化物は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、デキストリン、繊維、でんぷん加水分解物、ポリオールおよびこれらの混合物からなる群より選ぶ。単糖類は、テトロース、ペントース、ヘキソースおよびケトヘキソースを含む。
【0025】
代表的な二糖類は、スクロース、マルトース、トレハルロース、メリビオース、コージビオース、ソホロース、ラミナリビオース、イソマルトース、ゲンチオビオース、セロビオース、マンノビオース、ラクトース、ロイクロース、マルツロース、ツラノース等を含む。
【0026】
でんぷん加水分解物は、でんぷんを制御された酸または酵素加水分解することによって産出されそして2つの特定の種類、すなわちマルトデキストリンシロップおよびグルコースシロップに細分されることができそしてDE価 (デキストロース当量) によって特性表示される。事実、DE価は、シロップ中に存在する還元糖のパーセンテージの測定値でありかつ乾燥重量を基準にしたデキストロースとして算出される。マルトデキストリン価は、DE (デキストロース当量)価20までを有するのに対して、グルコースシロップは、20より大きいDE価を有する。
【0027】
デキストリンは、デキストリン化法に従って調製する。デキストリン化は、乾燥でんぷん酸の存在下でまたは非存在下で熱処理することである。
【0028】
低カロリー繊維は、ポリデキストロース、アラビノガラクタン、キトサン、キチン、キサンタン、ペクチン、セルロース誘導体、こんにゃく、アラビアゴム、ダイズ繊維、イヌリン、加水分解グアー、グアーガム、ベータグルカン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸塩、ポリグリコールアルギナートにすることができる。
【0029】
主な生理学的電解質の中に、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、およびマグネシウムがある。更に、クロム、銅、セレン、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛およびこれらの混合物のような微量元素を入れることができる。
【0030】
食用酸は、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸およびこれらの混合物から選ぶことができる。
【0031】
非栄養甘味料として使用することができる高甘味度甘味料は、アセサルフェーム-K、サッカリン (例えば、ナトリウム、およびカルシウム塩)、チクロ (例えば、ナトリウム、およびカルシウム塩)、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビオシド、グリチルリデン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、モナチン、モネリン、ソウマチン、ブラゼインのようなアスパルテーム、アセサルフェーム塩およびこれらの混合物からなる群より選ぶことができる。
【0032】
フレーバーは、果実フレーバー、植物フレーバーおよびこれらの混合物から選ぶ。好適なフレーバーは、コーラフレーバー、ブドウフレーバー、チェリーフレーバー、リンゴフレーバーならびにオレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、フルーツポンチおよびこれらの混合物のようなかんきつ類フレーバーである。フレーバーの量は、選ぶフレーバー、所望のフレーバーの感じおよび使用するフレーバーの形に依存する。
【0033】
所望の場合には、着色剤もまた加えることができる。食品使用用に認可された任意の着色剤を本発明について利用することができる。
【0034】
所望の場合には、ソルビン酸カリウムおよび安息香酸ナトリウムのような保存料を加えることができる。
【0035】
好適な実施態様では、加える食用添加物は、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、繊維、大豆タンパクおよびこれらの混合物からなる群より選ぶ。別の実施態様では、好適な食用添加物はキサンタンガムである。
【0036】
本発明は、また、水結合能7〜25 (w/w) を有するかんきつ類繊維ならびにコーンスターチ、米粉、モロコシでんぷん、タピオカでんぷんおよびこれらの混合物からなる群より選ぶ天然でんぷんを含む組成物を製造する方法も包含する。
【0037】
該方法は、下記の工程を含む:
a) かんきつ類の果実繊維と天然でんぷんとをブレンドし、
b) 工程a)のブレンドを機械的に処理して均質な混合物を得、
c) 混合物を緩やかに撹拌しながらでんぷんの糊化温度まで煮る。
【0038】
工程a)のブレンドを形成するのに、かんきつ類の果実繊維の水和度が高度に臨界的ではないので、任意の均質化法を使用することができる。
【0039】
工程 b)についての適した機械的処理は、高剪断ミキサー、高圧弁均質化、微流動化処理、強力超音波等による処理である。例えば高圧弁ホモジナイザーのような強い剪断力を適用することによって、一層密度が低い繊維粒子および増大された増粘を得ることができる。
【0040】
次いで、工程b)の混合物を煮てでんぷん粒を膨潤させる。これは、中位の粘性にさせることになり;混合物を均質化するために緩やかな撹拌を使用し、でんぷん粒を崩壊させないために、強い機械的処理は避けるべきである。
【0041】
糊化温度は、使用するでんぷんのタイプに依存し; これは、当業者が決めるべきであるが;あるタイプの天然でんぷんについての糊化は、文献および例えばDavid J. Thomas and Williams A. Atwell著の本、Starch, Eagan Press Handbook Series, American Association of Cereal Chemists, St. Paul, Minnesota (1999)、25-30頁に見出すことができる。
【0042】
引用される温度は、下記の通りである:
【0043】
【表1】

糊化温度は、媒体の水分含有量および塩含有量に依存するので、範囲で挙げる。
【0044】
本発明は、現在開示する組成物の、食品用途、飼料用途、医薬品または化粧品における使用に関する。食品用途は、飲料、乳製品、アイスクリーム、シャーベットおよび、デザートを含み得る。該飲料は、濃縮物、ゲル、栄養飲料、および炭酸飲料、非炭酸飲料、シロップを含む。飲料は、任意の医療用シロップまたはアイスティー、および果汁、野菜ベースのジュース、レモネード、コーディアル、ナッツベースの飲料、ココアベースの飲料、ミルク、ホエー、ヨーグルト、バターミルクのような乳製品ならびにそれらに基づく飲料を含む、任意の飲用に適する溶液にすることができる。飲料濃縮物とは、液状の濃縮物を言う。液状の濃縮物は、相対的に濃厚な、シロップ状の液体の形態にすることができる。好適な用途は、スープ、ドレッシング、ベーカリー製品、低脂肪スプレッドおよびソースである。一層好適な用途は、ベシャメルソースおよびトマトソースである。
【0045】
本発明の組合せは、また、スープのような熱いインスタント製品に入れるのにも適している; この場合は、当業者ならば、他の種類のでんぷんを想定しなければならない。実際に、混合物を煮た後にインスタント製品に入れるのでないならば、消費者は、砂質のようなテクスチャ問題に直面しなければならないであろう。それ故に、これを克服するのに、アルファー化でんぷん、例えばスプレー調理されたでんぷんを使用しなければならない。
【0046】
別の可能性は、極端な条件 (例えば、pHおよそ3.5や95°Cを超える温度) にさらす用途用または極めて高い粘度を必要とする用途用にかんきつ類繊維とでんぷんとを組み合わせることである。
【0047】
好適な実施態様では、本発明に従う組合せは、最終の生成物中に組成物の約1.5〜約7重量%の量で存在し、2〜6 重量%の量で存在するのが好ましく、および3〜5重量%の量で存在するのが一層好ましい。
【0048】
本発明は、下記の利点を有する:
・ かんきつ類の果実繊維および天然でんぷんを含む組成物は、高い栄養価を有し、加工する間安定しておりそして、ポジティブな食品表示を可能にする。
【0049】
・ 非常に安価な成分である天然でんぷんを使用することは、低価格の、極めて効率的な、および天然のテクスチャライジング剤を製造することが可能となる。
【0050】
・ かんきつ類繊維の保護作用が低温においてさえでんぷんの安定化を助けるので、この組成物は、また、低温貯蔵を要求する生成物についても有用である。
【0051】
本発明は、本発明の組成物の調製を詳細に説明する下記の例を参照することにより更に明確にする。本明細書中に記載しおよび特許請求の範囲に記載する本発明は、本明細書中に開示する特定の実施態様によって範囲を限定すべきでない、と言うのは、これらの実施態様は、本発明いくつかの態様を例示するものとして意図しているからである。いずれの同等の実施態様は、本発明の範囲内に入ることを意図する。実際に、本明細書中に示しおよび記載するものに加えて本発明の種々の変形態様は、上記の記載から当業者に明らかになるものと思う。そのような変形態様は、また、添付の特許請求の範囲の記載の範囲内に入ることをも意図する。
【実施例】
【0052】
例 1: 水および油結合能分析:
WO2006/033697に開示されているプロセスによって得られたオレンジパルプ繊維 (OPF) の水結合 (プロトコル Iに従って測定した) および油結合能 (プロトコル IIに従って測定した)を測定した。結果は下記の通りであった:
【0053】
【表2】

明らかなように、粒度分布は、生成物の水結合能および油結合能の両方に影響を与える。この実験は、当業者が、達成するつもりの結果に応じて、でんぷんに多かれ少なかれ保護作用をもたらすために、粒度分布をモニターしなければならなくなり得ることを示す。
【0054】
例 2:プロセスパラメータ (剪断処理)に対する本発明の抵抗:
一方の側のオレンジパルプ繊維およびワキシーコーンスターチならびに他方の側のオレンジパルプ繊維(OPF)およびコーンスターチの組成物を形成しそして該組成物は剪断処理を受けた。適用した剪断処理は、Silversonミキサーを用いて1.5 分間13500 rpmであった。
【0055】
粘度測定はすべて、円筒軸 (62) を有するBrookfieldを10 rpmで20 秒間使用して行った。
【0056】
結果は、下記の表に明らかである:
【0057】
【表3】

明らかなように、本発明の組合せは、処理する前の耐剪断性の値と処理した後の耐剪断性の値とがほとんど同じであるので、耐剪断性である。
【0058】
例 3: ソースの調製:
下記のレシピを用いて3つのソースを調製した:
【0059】
【表4】

*試験した増粘剤は下記であった:
・本発明に従う組成物: もち米粉およびオレンジパルプ繊維 (比 3:1)
・熱抑制されたでんぷん: NOVATION 2300
・化工でんぷん: C*Tex 06209
種々のソースのレオロジーを60°Cで測定した (回転 = 図1)。
【0060】
図1から明らかなように、本発明に従う組合せは、化工でんぷんと取り替えるために使用する熱抑制されたでんぷんと同じように良好である。
【0061】
天然でんぷんを3%およびオレンジパルプ繊維を1 %用いて、別の試みを行った。 この場合は、天然代替物は、化工でんぷんそれ自体に匹敵さえすることができる。
例 4: 低温貯蔵 (5°C)した後のソースの記述的なテクスチャおよび官能分析:
低温貯蔵 (5°C)した後のソースの記述的なテクスチャおよび官能分析。
C*Tex 06209, Novation 2300、およびもち米粉/オレンジパルプ繊維についての離水(syneresis)を測定することは可能でなかった、と言うのは、すべてが検出限界より低かったからである。
【0062】
それ故に、 目視観測を用いた、結果は、下記の表に見出すことができる:
【0063】
【表5】

ソースを製造する場合に、目標の内の一つは、短い、クリーム状の口当たり(mouthfeel)であり、ならびに外観および保存期間安定性についてシネレシスを受けない生成物を得ることである。
【0064】
上記の表から明らかなように、比較例における必要とされる特徴を有する生成物だけが、本発明の組合せを含有するソースであった。
【0065】
プロトコル I
水結合能
3つの試料を種々の粒度分布 (40 μm、75μm、および、250μm)で粉砕しそして次いで、精密天秤 Sartorius CP 3245を用いて秤量した。各々の試料を二重に調製しそして平均値を計算して最終の結果をもたらした。
【0066】
手順は下記の通りであった:
- 繊維 (乾燥粉末) 0.5 gを秤量し (W1)て50ml 遠心分離管に入れ、
- ミリ-Q 水を40 g加えた。水の重量を書き留めた(W2)、
- 管を閉じそして手動で1分間撹拌し、
- 次いで、遠心分離機 Labofuge 400 Heraeusを用いて管に2000 rpmの遠心分離を5分間受けさせ、
- 上澄みをデカントしそして秤量した (W3)。
【0067】
水結合能 (WBC) は、水g /試料gとして表される:
WBC = (W2 - W3) / W1
プロトコル II
油結合能
生成物の油結合(OLB) は、5% 粉末分散液を遠心分離しそして沈殿を秤量することによって求めた。
【0068】
300mlビーカー内の大豆油 (標準品質) 50g (W2)に粉末2.5g (W1) を分散させることによって、2つの(独立した)生成物分散液を調製した。
【0069】
生成物を完全に分散させるまで、試料を約 500 rpmで10 分間撹拌した。
【0070】
次いで、試料を疎水性に適応させるまで、試料を30 分間放置した。
【0071】
分散液を撹拌しそして各々の試料について、油中生成物分散液およそ45gを遠心分離管に充填した。管の重量をW3として書き留めそして遠心分離管に分散液を充填した後の総重量はW4であった。
【0072】
Sorvall Automatic 遠心分離機 SS-3を用いて、管を3800 rpmで5分間遠心分離した。次いで、上澄みをデカントしそして沈殿を収容する遠心分離機された管を再び秤量した(W5)。
【0073】
The 油結合能は、油g /試料gとして表される:
OLB = Wco / Wcp
出発油混合物中の生成物% Wp = W1 x 100 / (W1 + W2)
出発油混合物中の油% Wo = W2 x 100 / (W1 + W2)
生成物重量 Wcp = (Wp/100) x (W4 - W3)
油結合 Wco = W5 - W3 - Wcp

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水結合能7〜25 (w/w) を有するかんきつ類繊維ならびにコーンスターチ、米粉、モロコシでんぷん、タピオカでんぷん、ワキシー小麦粉、アミラーゼ活性の無いジャガイモでんぷんおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる天然でんぷんを含む化工でんぷんを代用するのに適した組成物。
【請求項2】
かんきつ類の果実繊維対天然でんぷんの比が1:5〜1:1であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
かんきつ類の果実繊維が、オレンジ、タンジェリン、ライム、レモン、およびグレープフルーツからなる群より選ばれるかんきつ類の果実から得られることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
かんきつ類の果実繊維が、総食物繊維含有率60〜85重量%を有することを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
かんきつ類の果実繊維が、タンパク質を8〜12% (w/w) 含むことを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
天然でんぷんがワキシーでんぷんであることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
天然でんぷんがもち米粉であることを特徴とする、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
食用添加物を更に含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の組成物。
【請求項9】
更なる食用添加物が、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、繊維、大豆タンパクおよびこれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
更なる食用添加物がキサンタンガムであることを特徴とする、請求項8または9記載の組成物。
【請求項11】
下記の工程:
a) かんきつ類の果実繊維と天然でんぷんとをブレンドし、
b) 工程a)のブレンドを機械的に処理して均質な混合物を得、
c) 混合物を緩やかに撹拌しながらでんぷんの糊化温度まで煮る
を含む、請求項1〜10のいずれか一に記載の組成物を製造する方法
【請求項12】
剪断処理のようなプロセス条件への天然でんぷんの抵抗を増大させるためのかんきつ類繊維の使用。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一に記載の組成物の、食品用途、飼料用途、医薬品または化粧品における使用。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一に記載の組成物を含む飲料。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一に記載の組成物を含むソース。

【図1】
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【公表番号】特表2010−509930(P2010−509930A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537648(P2009−537648)
【出願日】平成19年11月23日(2007.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062739
【国際公開番号】WO2008/062057
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】