説明

化石燃料燃焼方法及び化石燃料燃焼装置

【課題】 化石燃料を、より効率よく燃焼させる燃焼方法を提供する。
【解決手段】 化石燃料を燃焼させる燃焼方法において、化石燃料(A)に水(B)及び乳化剤(C)を添加して混合することによってエマルジョン燃料(D)を生成する工程と、当該エマルジョン燃料(D)と種火用化石燃料(E)とをボイラー内で噴射燃焼させる工程と、を備える。化石燃料と水と乳化剤を混合して生成したエマルジョン燃料を燃焼させるときに、化石燃料を種火として燃焼させることにより、化石燃料と水との混合比率を容積比で、略1:1にすることができる。容積比1:1、すなわち、化石燃料の混合量は略50%であるにも関わらず、化石燃料のみを燃焼させる場合よりも効率よく燃焼させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重油や廃油等の化石燃料を燃焼させる化石燃料燃焼方法及び化石燃料燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石燃料とは、動植物などの遺骸が地質時代を通じて体積物となり、地圧・地熱などにより変成してできた有機物のことをいう。石油がその代表例であり、石油を精製して得る灯油、軽油、重油などのほか、たとえば使用済み潤滑油のような廃油も、この化石燃料に該当する。この中でも、特に重油は、比較的安価なうえ、高カロリーであることから、ボイラー、船舶エンジン等の内燃機関、様々な焼却炉等の燃料として広く用いられている。廃油も、資源リサイクルの観点において貴重なエネルギー源である。一方、このような化石燃料は、その燃焼効率を高めるとともに、汚染物質の排出を抑え、さらに、使用量を減少させることによりコスト削減することを目的として、エマルジョン燃料を用いた燃焼方法及び燃焼装置(以下、「従来の方法等」という)が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。従来の方法等に用いられるエマルジョン燃料とは、重油等に水及び乳化剤を添加して混合することによって生成する燃料のことをいう。特許文献1が開示する乳化剤は、苛性ソーダと塩化カルシウムと水とを、その主成分としている。
【特許文献1】特許第3458262号公報(段落0008、0014、図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エマルジョン燃料は様々な種類の乳化剤(添加剤)を用いて生成可能ではあるが、そのようにして生成したエマルジョン燃料を、これに引火して燃焼させるという従来の燃焼方法等では、必ずしも効率よく燃焼させることができない。本発明が解決しようとする課題は、エマルジョン燃料を、より効率よく燃焼させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、エマルジョン燃料と乳化させていない化石燃料とを燃焼の際に併用することによって、同じエマルジョン燃料を単独燃焼させる場合に比べて燃焼効率を高められることを突き止めた。すなわち、燃焼のために用いる総化石燃料量は同じでも、その全部をエマルジョン燃料に用いるのと、一部をエマルジョン燃料に残りを種火に用いるのとでは、燃焼効率の観点で後者が勝っている。本発明は、この観点に基づいてなされたものである。本発明の具体的構成は、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明について説明するにあたり行う用語の定義等は、発明のカテゴリーを問わず発明の性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
【0005】
(請求項1に記載した発明の構成)
請求項1記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項1の燃焼方法」という)は、化石燃料(A)に水(B)及び乳化剤(C)を添加して混合することによってエマルジョン燃料(D)を生成する工程と、当該エマルジョン燃料(D)と種火用化石燃料(E)とをボイラー内で噴射又は噴霧して燃焼させる工程と、を備えている。種火用化石燃料の併用燃焼によって、エマルジョン燃料の単独燃焼に比べ燃焼効率をよくすることができる。燃焼効率がよくなれば、その分、熱効率が改善され、併せて汚染物質の燃焼が促進される。化石燃料には、前述したように、各種重油等のほか、廃油も含まれる。2種以上の化石燃料を混合して得た燃料も、化石燃料に含まれる。エマルジョン燃料を生成するための化石燃料と、種火用化石燃料とは、異なる種類のものであってもよい。エマルジョン燃料に用いる化石燃料を、たとえば、B重油と廃油との混合油により構成し、種火用化石燃料を、たとえば、A重油により構成する場合が、これに該当する。一方、エマルジョン燃料に用いた化石燃料(たとえば、A重油)と同じ化石燃料を種火用化石燃料に用いるようにすれば、用意する化石燃料が1種類ですむため燃料の貯蔵や管理が、複数種の場合に比べて楽である。
【0006】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項2の燃焼方法」という)では、請求項1の燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記化石燃料(A)と前記水(B)との混合割合(A:B)が、容積比略1:1に設定してある。すなわち、化石燃料を、たとえば、100リットルとするなら、水を100リットル混合するように、化石燃料にそれと同量の水を混合する。上記容積比に限定する趣旨ではないが、高効率燃焼を前提として同じ熱量を得るために用いる化石燃料の量は、少なければ少ないほうが好ましいことは言うまでもない。少なくとも上記容積比までは混合する化石燃料の量を削減(水の量を増加)することが可能である。
【0007】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項3の燃焼方法」という)では、請求項1または2の燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記エマルジョン燃料(D)を、必要に応じて燃焼前に30〜50℃に加熱する工程を備えさせてある。燃焼させようとするエマルジョン燃料は、特に、重油や廃油を用いてある場合に温度(燃料温度、外気温度)が低いと粘性が低下して燃焼効率が悪くなることが考えられる。同じ燃焼設備であっても夏季と冬季では外気温度が異なること、同じ季節であっても南の地域と北の地域では外気温度が異なる。このような季節的・地域的異なりを解消して、エマルジョン燃料の高い燃焼効率を維持するための加熱である。不要であれば加熱工程は省略可能である。なお、必要に応じ、種火用化石燃料を適宜な温度に併せて加熱することを妨げない。
【0008】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項4の燃焼方法」という)では、請求項1ないし3何れかの燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記乳化剤(C)が、ナフサを主成分とするものであり、水に対する混合割合(B:C)が、容積比1:0.01〜0.0001の範囲に設定してある。上記した乳化剤以外の乳化剤を使用することもできるが、ナフサ主成分の乳化剤を用いることにより高い燃焼効率を得ることができた。「ナフサ」とは、一般に原油を直接常圧蒸留して精製する際の20〜200℃の留分のことをいう。
【0009】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項5の燃焼方法」という)では、請求項1ないし4何れかの燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記エマルジョン燃料(D)と前記種火用化石燃料(E)との噴射量割合(D:E)が、単位時間当たり容積比1:0.125〜0.375の範囲に設定してある。すなわち、たとえば、エマルジョン燃料を8ガロン/分で噴射するときに種火用化石燃料(たとえば、A重油)を2ガロン/分で噴射する。上記容積比に限定する趣旨ではないが、高効率燃焼を前提として同じ熱量を得るために用いる種火用化石燃料の量は、少なければ少ないほうが好ましいことは言うまでもない。
【0010】
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項6の燃焼方法」という)では、請求項5の燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記ボイラーへの通風量が、前記化石燃料(A)のみを前記ボイラー内で噴射燃焼させる際に必要な通風量の20〜50%に設定してある。つまり、化石燃料を、たとえば、A重油とした場合に、あるボイラーにおいてA重油を燃焼させる際に必要な通風量を1としたときに、同じボイラーにおいてA重油を用いたエマルジョン燃料を燃焼させるときの通風量を0.2〜0.5の範囲に設定する。設定した通風量は必ずしも固定ではない。たとえば、燃焼目的や使用環境等の変化に合わせ、上記通風量を上記範囲内で適宜変更することも可能である。化石燃料のみの燃焼に必要な通風量に対し上記範囲内にある通風量をエマルジョン燃料に対して供給することによって、換言すれば、通風量を絞り込むことによって少なくともCO排出量を減らすことができ、これとは逆に熱効率を向上させることができる。これは、次の理由によるものと推測される。すなわち、エマルジョン燃料をボイラー内で燃焼させると、そこに含まれている水が水蒸気微爆発によって急膨張(一般に、水1ccが約3200ccに膨張)する。この水の急膨張は、含まれている化石燃料を微細化させ、さらに、水性ガス類似反応によりCO,CO,H等のガス燃料に変化させる。絞込みによって不足する空気(酸素)は、エマルジョン燃料に含まれる水が分解したときに出る酸素が補っていると考えられる。
【0011】
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項7の燃焼方法」という)では、請求項1ないし6何れかの燃焼方法を前提とした好ましい態様として、生成した前記エマルジョン燃料を、間歇(攪拌とその停止を繰り返す)または連続に攪拌する工程を併用する。要は、時々または連続してエマルジョン燃料を撹拌する。エマルジョン燃料が乳化剤の補助によって水と化石燃料とを混合させたものであることは前述のとおりであるが、たとえば、化石燃料や乳化剤の種類の違い、混合割合の違い、混合程度の違い、使用・保存環境の変化等の影響を受け、化石燃料と水とが分離してしまうこともあり得る。そこで、エマルジョン燃料の均一性を保ち燃焼に好ましい状態を形成するために、必要に応じてエマルジョン燃料の撹拌を行うことが有効である。撹拌には、エマルジョン燃料の粘性を求める状態に保つための効果も期待できる。
【0012】
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項8の燃焼方法」という)では、請求項1ないし7何れかの燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記エマルジョン燃料(D)を噴射するための燃料用ノズルと、前記種火用化石燃料(E)とを噴射するための種火用ノズルと、を、保温部材によって保温する手法を採用する。燃料用ノズルおよび種火用ノズルの双方が保温されることによって、エマルジョン燃料および種火用化石燃料の双方が、加温または少なくとも冷却されずに噴射される。したがって、噴射されるエマルジョン燃料および種火用化石燃料の粘性が低下しない。高い粘性が燃料の高燃焼効率を促進する。なお、保温部材には、たとえば、それ自身が発熱することにより保温可能(加温可能)な部材、それ自身は発熱しないがボイラー内の燃焼熱等を蓄熱し蓄熱した熱によって保温可能(加温可能)な部材、ボイラー火口周壁やノズル外壁に塗布して保温効果のある塗料、さらに、上記した部材等を適宜組み合わせたもの、がある。
【0013】
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項9の燃焼方法」という)では、請求項1ないし8何れかの燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記保温部材が、前記ボイラー火口に設けた中空円筒セラミック体によって構成してあり、前記燃料用ノズル及び前記種火用ノズルが、当該中空円筒セラミック体の中空部内に配してある。セラミックは、一般に蓄熱機能を有しているので、ボイラーの燃焼熱を蓄熱し蓄熱した熱によってノズルを保温することができる。
【0014】
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明にかかる化石燃料燃焼方法(以下、適宜「請求項10の燃焼方法」という)では、請求項1ないし9何れかの燃焼方法を前提とした好ましい態様として、前記化石燃料(A)が、灯油、軽油、A重油、B重油、C重油または廃油のうち何れか1種または2種以上を混合したもので構成することができる。上記した化石燃料は、いずれも入手が容易でありカロリーも高いので非常に使い勝手がよいからである。特に、重油および廃油は、灯油や経由に比べて価格も安い。
【0015】
(請求項11記載の発明の特徴)
請求項11記載の発明にかかる化石燃料燃焼装置(以下、適宜「請求項11の燃焼装置」という)では、化石燃料(A)に水(B)及び乳化剤(C)を添加して混合することによってエマルジョン燃料(D)を生成するための生成機構と、当該生成機構が生成したエマルジョン燃料(D)をボイラー内に噴射するための燃料用ノズルと、当該ボイラー内に種火用化石燃料を噴射するための種火用ノズルと、を含めて構成してある。化石燃料と水と乳化剤とは、三者同時の混合、何れか一者に他の二者を同時または何れか一方を先行混合することができる。効率がよいと思われる順番で適宜混合するとよい。生成機構は、たとえば、所定量のエマルジョン燃料を生成後運転を休止しその後生成が必要となったときに運転再開するように構成することもできるが、化石燃料と水の再分離を抑制するために使用中は常にエマルジョン燃料を撹拌するように構成することが好ましい。エマルジョン燃料を単独燃焼させる従来のボイラーは燃料用ノズルのみを備えているが、種火用化石燃料を併せ燃焼させる請求項11の燃焼装置は種火用ノズルを併せて備えている。ボイラー内の燃焼は、着火当初は種火用化石燃料のみとする(したがって、着火しやすい)ことが好ましい。種火用化石燃料の燃焼によってボイラー内の温度がある程度上昇してからエマルジョン燃料を噴射して燃焼に加わらせるようにすれば、効率よく燃焼させることできるからである。
【0016】
(請求項12記載の発明の特徴)
請求項12記載の発明にかかる化石燃料燃焼装置(以下、適宜「請求項12の燃焼装置」という)では、請求項11の燃焼装置の基本的構成を備えさせた上の好ましい態様として、前記燃料用ノズル及び前記種火用ノズルと、が、前記ボイラー火口に設けた中空円筒セラミック体の中空部内に配してある。セラミックは、一般に蓄熱機能を有しているので、ボイラーの燃焼熱を蓄熱し蓄熱した熱によってノズルを保温することができる。燃料用ノズルおよび種火用ノズルの双方が保温されることによって、エマルジョン燃料および種火用化石燃料の双方が、加温または少なくとも冷却されずに噴射される。したがって、噴射されるエマルジョン燃料および種火用化石燃料の粘性が低下しない。高い粘性が燃料の高燃焼効率を促進する。
【0017】
(請求項13記載の発明の特徴)
請求項13記載の発明にかかる化石燃料燃焼装置(以下、適宜「請求項13の燃焼装置」という)では、請求項12の燃焼装置の基本的構成を備えさせた上の好ましい態様として、前記中空円筒セラミック体の中空部内壁が、当該中空部内壁途中から前記ボイラー側に向って拡幅するテーパ−状に形成してある。つまり、中空円筒セラミック体の中空部の長さ方向縦断面が、エマルジョン燃料(種火用化石燃料)の噴射方向に広がる漏斗形状に形成してある。噴射されたエマルジョン燃料は、それに含まれる水や化石燃料が燃焼により急膨張しようとするが、中空部の噴射方向に向かった拡幅がその急膨張した水や化石燃料をボイラー内にメガホン類似の作用によって拡散させる。この拡散によってボイラー内広域に急膨張した水や化石燃料が行き渡り、その結果、ボイラー内において効率的な燃焼が実現するものと推測される。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる化石燃料燃焼方法及び化石燃料燃焼装置によれば、エマルジョン燃料を燃焼させるために種火用化石燃料を併せて燃焼させているので、エマルジョン燃料を、より効率よく燃焼させることができる。効率よく燃焼させられる分、同種同量の燃料を用いた場合に、より多くの熱量をとりだすことができる。換言すると、同じ熱量を取り出すための燃料を、より少なくすることができる。したがって、燃焼コストの削減を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
各図を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下、適宜「本実施形態」という)について説明する。図1は、エマルジョン燃料の燃焼方法を実施可能な燃料装置の概略図である。図2は、図1に示す燃焼装置が備えるバーナーの縦断面図である。
【0020】
(化石燃料の燃焼方法)
図1を参照しながら、化石燃料の燃焼方法の手順について説明する。本燃焼方法では、まず、エマルジョン燃料(D)の生成を行う。エマルジョン燃料の生成は、化石燃料(A)に水(B)及び乳化剤(C)を添加して混合することによって行う。好ましくは、水(B)に乳化剤(C)を混入して撹拌して乳化剤入りの水を生成し、その生成した水に化石燃料(A)を混合させる。化石燃料(A)は、これを乳化剤入りの水の中に徐々に注ぎながら撹拌するようにすれば、能率よく混合させることができる。化石燃料には、灯油、軽油、重油(A重油、B重油、C重油)のほか、種々の産業施設から排出される廃油を、さらに、これらのうち任意のものを混合したものを、用いることもできる。水は、水道水や井戸水が一般的であるが、燃焼の妨げにならない限りにおいて河川水等の使用を妨げるものではない。乳化剤(C)について特に制限はないが、本実施形態では、石油精製によって得ることのできるナフサを主成分とするものを使用した。このナフサのみでも乳化剤(C)を構成することができるが、ナフサを主成分とし他の成分を混入させることも可能である。化石燃料(A)と水(B)との容積比(A:B)は、略1:1、すなわち、両者は略同量となる。水(B)に対する乳化剤(C)の容積比(B:C)は、1:0.01〜0.0001の範囲に設定することができる。上記条件以外の条件、たとえば、混合する際の温度条件については、特に制限がない。
【0021】
生成したエマルジョン燃料(D)は、これを種火用化石燃料(E)とボイラー内で噴射燃焼させる。好ましくは、種火用化石燃料(E)を先行噴射させ、それに引火してボイラー内をある程度温めてからエマルジョン燃料(D)を噴射させるようにする。種火用化石燃料(E)が燃焼しているところへエマルジョン燃料(D)を噴射するようにすれば、ボイラー内の温度も高められていることとも相まってエマルジョン燃料(D)への着火が容易に行われるからである。種火用化石燃料(E)は、エマルジョン燃料(D)を生成するために用いた化石燃料と同じ種類の化石燃料を用いると便利である。使用燃料の種類を統一したほうが、複数種類の燃料を使用する場合に比べて、燃料の入手や貯蔵等をより簡単に行うことができるので手間が省けるからである。つまり、エマルジョン燃料(D)に混合する化石燃料をA重油とするなら、種火用化石燃料(E)も同じA重油とすれば、入手したA重油の一部をエマルジョン燃料(D)の生成用に、残りの一部を種火用化石燃料(E)として燃焼用に、それぞれ用いることができる。
【0022】
エマルジョン燃料(D)は、外気温等の影響を受けて粘性が低くなりそれが燃焼効率に悪影響を与えているとき、または、与えかねないときは、そのエマルジョン燃料(D)を、たとえば、30〜50℃の範囲まで加熱するとよい。求める粘性を確保するとともに、着火しやすい状態をつくるためである。エマルジョン燃料(D)と種火用化石燃料(E)との噴射量割合(D:E)が、単位時間当たり容積比1:0.125〜0.375の範囲に設定する。燃焼具合を見定めながら、上記範囲内において調整するとよい。ボイラーへの通風量も併せて調整することが好ましい。ボイラーへの通風量が、化石燃料(A)のみをボイラー内で噴射燃焼させる際に必要な通風量の20〜50%に設定する。つまり、種火用化石燃料(E)にA重油を用いた場合に、ボイラー内でA重油のみを燃焼させるときに必要な通風量を1としたときに、エマルジョン燃料(D)と種火用化石燃料(E)とを併せ燃焼させるときの通風量は、その0.125〜0.375の範囲に絞り込むとよい。通風量絞込みによって不足する空気(酸素)は、エマルジョン燃料に含まれる水が分解したときに出る酸素が補われ、したがって、酸素不足は生じない。
【0023】
なお、エマルジョン燃料(D)は燃料用ノズルから、種火用化石燃料(E)は種火用ノズルから、それぞれ噴射することになるが、これら燃料用ノズルと種火用ノズルは、ボイラーの火口に設けられている。ボイラーの火口に中空円筒セラミック体を設けて燃料ノズルと種火用ノズルの双方を被覆(取り囲む)するようにすることが望まれる。セラミックの蓄熱作用がボイラーから出た熱を蓄熱し、蓄えた熱が燃料用ノズルおよび種火用ノズルを保温ないし加温し、そこを通過するエマルジョン燃料(D)および種火用化石燃料(E)の粘性低下を有効に抑制するからである。粘性低下の抑制は、高効率燃焼に大きく貢献する。
【0024】
本燃焼方法によれば、エマルジョン燃料(D)をボイラー内で燃焼させると、そこに含まれている水が水蒸気微爆発によって急膨張(一般に、水1ccが約3200ccに膨張)する。この水の急膨張は、含まれている化石燃料を微細化させ、さらに、水性ガス類似反応によりCO,CO,H等のガス燃料に変化させる。種火用化石燃料(E)の燃焼がエマルジョン燃料(D)の燃焼を促進し、この促進作用によってエマルジョン燃料(D)の燃焼、ひいては化石燃料(A)の燃焼を効率的なものとする。化石燃料の効率的な燃焼は、硫黄酸化物、窒素酸化物、ダイオキシン等の汚染物質の発生の有効抑制を実現する。したがって、環境保全に対してきわめて好ましい燃焼方法といえる。さらに、化石燃料として、灯油や軽油のほか比較的安価な重油を、さらには、廃油を使用用可能であるから、燃焼コストを低く抑えることができる。処理が難しいといわれる廃油も使用可能であることは、環境を汚染させずに廃油処理を行うための一手段を提供することにもなる。
【0025】
(化石燃料の燃焼装置・概略構造)
図1を参照しながら、上記した本燃焼方法を実施可能な化石燃料の燃焼装置(以下、単に「燃焼装置」という)について説明する。燃焼装置1は、エマルジョン燃料(D)を生成するための生成機構3と、エマルジョン燃料(D)を種火用化石燃料(E)と併せ燃焼させるためのバーナー5と、燃焼室として機能するボイラー7と、により概ね構成してある。燃焼装置1は、たとえば、メロンやイチゴ等のハウス栽培のために用いるボイラーとして、船舶エンジン等の内燃機関として、廃油等を焼却処理するための焼却炉等として、使用可能である。燃焼装置1の大きさは、そのような使用目的や使用用途に合わせて設定することができる。
【0026】
(生成機構の構造)
図1を参照しながら、生成機構3の具体的構造について説明する。生成機構3は、前述したように、エマルジョン燃料(D)を生成するための機構であって、化石燃料タンク11、エマルジョン燃料タンク13、攪拌装置17及びヒーター19を、その主用部材として構成してある。化石燃料タンク11は、エマルジョン燃料(D)の基本材となる化石燃料を貯留するためのタンクである。化石燃料として使用可能なものとして、灯油、軽油、重油のほか廃油等を使用可能であることは前述したが、本実施形態ではA重油を、この化石燃料として使用した。化石燃料タンク11に貯留してあるA重油は、送油管12を介して送油可能に構成してあり、送油管12は、途中からタンク用分岐管12aとバーナー用分岐管12bとに分岐させてある。タンク用分岐管12aおよびバーナー用分岐管12bは、それぞれバルブ12vの開閉およびポンプ12pの稼動不稼動によって送油量を調整可能に構成してある。バーナー用分岐管12bには、種火用化石燃料(E)を圧送するためのポンプ12pを設けてある。なお、本実施形態ではエマルジョン燃料(D)を生成するための化石燃料(A)と種火用化石燃料(E)とを同じ化石燃料により構成したので両燃料は同一であるが、すなわち、タンク用分岐管12aを通過する化石燃料とバーナー用分岐管12bを通過する化石燃料は、同じ化石燃料タンク11に貯留されていたものであって異なるものではないが、両者を区別するために、タンク用分岐管12aを通過する化石燃料を化石燃料(A)と、バーナー用分岐管12bを通過する化石燃料を種火用化石燃料(E)と呼び区別してある。本実施形態における乳化剤(C)は、ナフサを主成分とするものを採用した。
【0027】
エマルジョン燃料タンク13は、主としてエマルジョン燃料(D)を貯留するためのタンクである。エマルジョン燃料タンク13が、エマルジョン燃料(D)以外のものを貯留する場合については、後述する。エマルジョン燃料タンク13には、井戸水(水道水等でもよい)を各々バルブを介して注入するための注水管15と、乳化剤(C)を注入するための注入管16と、前述したタンク用分岐管12aと、後述する導入管21と、が入力側の配管として設けてあり、排出管14および送出管23が出力側の配管として設けてある。エマルジョン燃料タンク13は、主としてエマルジョン燃料(D)を貯留するためのタンクである。この点は、前述した。エマルジョン燃料(D)の生成工程は、混合の順位を限定するものではないが本実施形態では、まず、水(B)と乳化剤(C)とを混合し、その後、化石燃料(A)を混合するように構成してある。乳化剤(C)を分散した水(B)の中に化石燃料(A)を混入するほうが、他の手順よりも混合しやすいからである。したがって、燃焼装置1(生成機構3)の運転当初は、化石燃料(A)が注入されていない状態、すなわち、水(B)と乳化剤(C)のみがエマルジョン燃料タンク13内に貯留されている状態が生まれることがある。この状態が、上述したエマルジョン燃料(D)以外のものをエマルジョン燃料タンク13が貯留する場合である。エマルジョン燃料タンク13内への水(B)の注入は注水管15により、同じく乳化剤(C)の注入は注入管16により行うことは前述したとおりであるが、図外のタンクにおいて予め水(B)と乳化剤(C)とを混合した後に、その混合したものをエマルジョン燃料タンク13に注入するように構成してもよい。注入管16を省略し、その代わりに容器(図示を省略)に貯留してある乳化剤(C)を、手作業によって水(B)の中に注入するようにしてもよい。水(B)と乳化剤(C)との混合、さらに、これら混合したものと化石燃料(A)の混合は、攪拌装置17の攪拌搬送機能を利用して行う。すなわち、エマルジョン燃料タンク13内に貯留してある水(B)と乳化剤(C)さらに化石燃料(A)は、攪拌装置17によって排出管14を介して抜き取り搬送され、攪拌された後、導入管21を介してエマルジョン燃料タンク13へ送りだし搬送されるように構成してある。つまり、エマルジョン燃料タンク13から攪拌装置17へ、攪拌装置17からエマルジョン燃料タンク13へ戻る循環機構が、水(B)と乳化剤(C)との混合、さらに、これらと化石燃料(A)の混合を実施可能に構成してある。
【0028】
攪拌装置17は、所望量のエマルジョン燃料(D)の生成を完了した時点で、次に所望するまでの間、停止させておくこともできるが、本実施形態では、エマルジョン燃料(D)の分離を生じさせない、また、生じたとしても燃焼に悪影響が出ない程度の分離しか生じさせないために、燃焼装置1の運転中は常時稼動させておくようにすることが好ましい。なお、ヒーター19は、時間的・環境的に必要な場合に導入管21を通過するエマルジョン燃料(D)を加温する役目を担っている。加温により、エマルジョン燃料(D)を燃焼にふさわしい温度(粘度)を保持するためである。燃料にふさわしい温度は、概ね30〜50℃である。室温の高低の影響もあるが、30℃を下回ると粘度低下により燃焼効率が悪くなる、50℃を上回るとエマルジョン燃料が分離する恐れがあるからである。外気温が低い時期や、寒冷地等において燃焼装置1を使用するときに、ヒーター19はたいへん便利である。不要であれば、ヒーター19は、その機能を停止させるか、そのものを省略してもよい。
【0029】
説明対象を、送出管23に移す。図2に示すように送出管23は、バーナー5へエマルジョン燃料(D)を送出するための配管であり、送出管23に設けたポンプ25が、その送出を行うようになっている。送出管23の末端には、ボイラー7内にその噴射先を臨ませた燃焼用ノズル31が設けてある。燃焼用ノズル31はポンプ25により送出管23内を圧送されたエマルジョン燃料(D)を噴射させるためのノズルである。本実施形態では、エマルジョン燃料(D)を毎分略8ガロン(約32リットル)噴射(噴霧)できるようにポンプ25および燃焼用ノズル31を構成してある。この混合比は一例であって、エマルジョン燃料(D)と種火用化石燃料(E)との容積比は、前者を1としたときに後者を0.125〜0.375となるように構成する。なお、バーナー5は、上述した燃焼用ノズル31と、後述する種火用ノズル33及び、保温部材として機能する中空円筒セラミック体41によって構成してある。
【0030】
一方、図2に示す符号33は、バーナー用分岐管12bの先端に取り付けた種火用ノズルを示している。種火用ノズル33は、上述した燃焼用ノズル31と併設してあり、その噴射先はボイラー7内に臨ませてある。ポンプ12pによってバーナー用分岐管12b内を圧送された種火用化石燃料(E)は、ボイラー7内に噴射(噴霧)される。本実施形態では、前述したようにエマルジョン燃料(D)が毎分略8ガロンであるのに対し、毎分略2ガロン(約8リットル)の種火用化石燃料(E)を噴射可能に構成してある。
【0031】
燃焼用ノズル31と種火用ノズル33とは、上述したように併設(並べて設置)してあり、かつ、両者は、図2に示すような中空円筒セラミック体41によって被覆してある。換言すると、燃焼用ノズル31および種火用ノズル33は、中空円筒セラミック体41の中空部45内に配してある。まず、中空円筒セラミック体41の構造を説明する。中空円筒セラミック体41は、セラミック製の円筒体であって、その長手方向に貫通する幅方向断面が略円形の中空部45を有している。中空部45は、中空円筒セラミック体41の内壁41aに囲まれた円筒状中空部45aと、円筒状中空部45aの噴射方向(図2の右側)に向って拡幅する拡幅中空部45bと、からなり、拡幅中空部45bはテーパ−状の内壁41bに囲まれている。すなわち、中空部45は、入口は円筒状でその途中から広がる漏斗状に形成してある。燃焼用ノズル31および種火用ノズル33を中空円筒セラミック体41により被覆したのは、中空円筒セラミック体41の蓄熱作用を利用してエマルジョン燃料(D)および種火用化石燃料(E)の温度低下をできるだけ防ぐためである。つまり、バーナー5(ボイラー7)における燃焼によって中空円筒セラミック体41に熱が蓄えられ、その熱が上記燃料の温度低下を防ぐのである。温度低下の防止は、効率のよい燃焼に貢献する。また、中空部45を漏斗状に形成したのは、中空部45を円筒状に形成(すなわち、拡幅中空部45bを形成しない)場合よりも燃焼効率を高められる、という経験則に基づいたからである。詳細な因果関係は現在解明中であるが、実験によれば、拡幅中空部45bを設けた場合は設けない場合に比べて?少なくとも20%の効率向上がみられた。なお、図1に示す符号27はボイラー7内に空気を送るための通気管を示している。通気管27には、通気量調整のためのバルブ29を設けてある。通気管27は、バルブ29の最大開放時に、ボイラー7内で化石燃料(A)のみを燃焼させるために充分な通気量を確保できるように、バルブ29は、最大開放時から閉鎖時まで連続的に通風量を調整できるように、それぞれ構成してある。
【実施例】
【0032】
燃焼装置1を用いて行った本発明に係る実施例を説明する。まず、空のエマルジョン燃料タンク13に約1000リットルの水(B)を注入し、併せてナフサを主成分とする乳化剤(C)を2リットル(水にする容積比略1:0.001)注入した。乳化剤(C)を注入しながら攪拌装置17を稼動させ水(B)と乳化剤(C)とを攪拌混合した。攪拌混合を開始して概ね3分間後に、攪拌混合を継続しながら化石燃料(A)、すなわち、A重油をエマルジョン燃料タンク13内に注入した。化石燃料(A)の注入量は、約1000リットル(水に対する容積比略1:1)であった。化石燃料(A)の注入完了後も攪拌混合を継続した。攪拌混合を略2時間継続したところで、エマルジョン燃料タンク13内に、略2000リットル強のエマルジョン燃料(D)を得た。エマルジョン燃料(D)を得た後も、分離抑制のために攪拌装置17は稼動させたままにしておいた。ヒーター19は、今回は不要と考え使用しなかった。
【0033】
一方、ボイラー7内では、種火用ノズル33から噴射した種火用化石燃料(E)に着火して燃焼させておき、ボイラー7内を温めておいた。エマルジョン燃料(D)に着火しやすくするためである。種火用化石燃料(E)の噴射量は、毎分2ガロンとした。ここで、既に燃焼しているボイラー7内にエマルジョン燃料(D)を、燃料用ノズル31からボイラー7内に噴射する。噴射量は、毎分8ガロンとした。噴射によってエマルジョン燃料(D)に着火して燃焼が行われる。通気管27を介してボイラー7内に送り込む通風量は、化石燃料(A)のみを燃焼させるときに必要な通風量の略3分の1(33%)程度に絞りこんだ。通風量の絞りこみはバルブ29を開閉することによって、排気の色がなるべく透明になるように調整した結果である。排気が黒ければ通風量が足らず、逆に、白ければ通風量が多すぎることになるので、これを目安としてバルブ29の開閉を行う。同じボイラー7を使用して化石燃料(A)、すなわち、A重油のみを燃焼させた場合と、A重油を含むエマルジョン燃料(D)を種火用化石燃料(E)とともに燃焼させた場合との結果は、表1に示すとおりである。なお、種火用化石燃料(E)を使用せずにエマルジョン燃料(D)のみを燃焼させようとしたが着火させることができなかった。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示すように、ボイラー7内の温度(燃焼温度)は、化石燃料(A)のみを燃焼(以下、「化石燃料燃焼」という)させた場合は580〜630℃であったのに対し、エマルジョン燃料(D)および種火用化石燃料(E)の併せ燃焼(以下、「エマルジョン燃料燃焼」という)させた場合は930℃前後であった。燃焼温度を300℃前後高められること、すなわち、燃料効率がよいことが分かった。一酸化炭素(CO)濃度を比較すると、化石燃料燃焼の場合に570ppmであったのに対し、エマルジョン燃料燃焼の場合は0ppmであり検知可能範囲以下であった。エマルジョン燃料燃焼によれば、一酸化炭素の発生を殆どなくせられることが分かった。二酸化炭素(CO)についても、化石燃料燃焼によれば5.5%であったのに対し、エマルジョン燃料燃焼によれば4.4%、すなわち、20%減の結果を得た。NOx濃度は、化石燃料燃焼の場合とエマルジョン燃料燃焼の場合との間に差はなく、いずれも50.2ppmであった。他方、酸素(O)濃度については、化石燃料燃焼の場合に10.8%であったが、エマルジョン燃料燃焼の場合は3.7%にまで、すなわち、約3分の1に減少した。ボイラー7に供給する通風量は化石燃料燃焼の場合の略3分の1にまで絞り込んだことは前述した。通風量を略3分の1にまで絞り込んだのに、排出する酸素濃度が3分の1になったことから、エマルジョン燃料の水分に含まれる酸素が燃焼のために使用されたことが分かる。ダイオキシンやすすもほとんど発生しなかった。これは、ボイラー7内の温度が、上述したように930℃前後にまで上るからである。すなわち、700℃以上であれば炭素が先に燃焼するので、2CO+O→2Oの反応が先行し、2HO+O→2HOが後になるからである。
【0036】
以上の比較結果から、エマルジョン燃料燃焼は、燃焼効率の点および汚染物質排出の点、で化石燃料燃焼よりも優れている、すなわち、充分に代替に耐え得ることが明らかになった。しかも、エマルジョン燃料(D)は、その略半分が水(B)であるから、含まれる化石燃料(A)の量も略半分であるから、エマルジョン燃料に含まれる化石燃料(A)と種火用化石燃料(E)との合計量と、化石燃料(A)のみを燃焼させるときの量とを比較すると、少なくとも30%前後の燃料節約が可能であることが分かった。エマルジョン燃料(D)に含まれる水(B)のコストは、化石燃料(A)のコストに比べれば無視できるものであるから、30%前後の燃料節約は、そのまま、燃焼コストの削減となる。したがって、エマルジョン燃料燃焼は、たとえば、メロンやイチゴ等のハウス栽培のボイラーに、これを適用すれば、栽培コストを約30%削減することが可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】エマルジョン燃料の燃焼方法を実施可能な燃料装置の概略図である。
【図2】図1に示す燃焼装置が備えるバーナーの縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 燃焼装置
3 生成機構
5 バーナー
7 ボイラー
11 化石燃料タンク
12 送油管
12a タンク用分岐管
12b バーナー用分岐管
12p ポンプ
13 エマルジョン燃料タンク
14 排出管
15 注水管
16 注入管
17 攪拌装置
19 ヒーター
21 導入管
23 送出管
25 ポンプ
27 通気管
29 バルブ
31 燃焼用ノズル
33 種火用ノズル
41 中空円筒セラミック体
41a,41b 内壁
45 中空部
45a 円筒状中空部
45b 拡幅中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化石燃料(A)に水(B)及び乳化剤(C)を添加して混合することによってエマルジョン燃料(D)を生成する工程と、
当該エマルジョン燃料(D)と種火用化石燃料(E)とをボイラー内で噴射燃焼させる工程と、を備える
ことを特徴とする化石燃料燃焼方法。
【請求項2】
前記化石燃料(A)と前記水(B)との混合割合(A:B)が、容積比略1:1に設定してある
ことを特徴とする請求項1記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項3】
前記エマルジョン燃料(D)を、必要に応じて燃焼前に30〜50℃に加熱する工程を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項4】
前記乳化剤(C)が、ナフサを主成分とするものであり、
水に対する混合割合(B:C)が、容積比1:0.01〜0.0001の範囲に設定してある
ことを特徴とする請求項1ないし3何れか記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項5】
前記エマルジョン燃料(D)と前記種火用化石燃料(E)との噴射量割合(D:E)が、単位時間当たり容積比1:0.125〜0.375の範囲に設定してある
ことを特徴とする請求項1ないし4何れか記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項6】
前記ボイラーへの通風量が、前記化石燃料(A)のみを前記ボイラー内で噴射燃焼させる際に必要な通風量の20〜50%に設定してある
ことを特徴とする請求項5記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項7】
生成した前記エマルジョン燃料を、間歇または連続に攪拌する
ことを特徴とする請求項1ないし6記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項8】
前記エマルジョン燃料(D)を噴射するための燃料用ノズルと、前記種火用化石燃料(E)とを噴射するための種火用ノズルと、が、保温部材によって保温してある
ことを特徴とする請求項1ないし7何れか記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項9】
前記保温部材が、前記ボイラー火口に設けた中空円筒セラミック体によって構成してあり、
前記燃料用ノズル及び前記種火用ノズルが、当該中空円筒セラミック体の中空部内に配してある
ことを特徴とする請求項1ないし8何れか記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項10】
前記化石燃料(A)が、灯油、軽油、A重油、B重油、C重油または廃油のうち何れか1種または2種以上を混合したものである
ことを特徴とする請求項1ないし9何れか記載の化石燃料燃焼方法。
【請求項11】
化石燃料(A)に水(B)及び乳化剤(C)を添加して混合することによってエマルジョン燃料(D)を生成するための生成機構と、
当該生成機構が生成したエマルジョン燃料(D)をボイラー内に噴射するための燃料用ノズルと、
当該ボイラー内に種火用化石燃料を噴射するための種火用ノズルと、を含めて構成してある
ことを特徴とする化石燃料燃焼装置。
【請求項12】
前記燃料用ノズル及び前記種火用ノズルと、が、前記ボイラー火口に設けた中空円筒セラミック体の中空部内に配してある
ことを特徴とする請求項11記載の化石燃料燃焼装置。
【請求項13】
前記中空円筒セラミック体の中空部内壁が、当該中空部内壁途中から前記ボイラー側に向って拡幅するテーパ−状に形成してある
ことを特徴とする請求項12記載の化石燃料燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−78301(P2007−78301A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269475(P2005−269475)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(505351991)アトム・サービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】