説明

化粧品又は皮膚科学的光線遮蔽用組成物中への、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンを可溶化するためのオクトクリレンの使用法

【課題】2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンと所定量のオクトクリレンを含んでなる化粧品又は皮膚科学的組成物を提供する。
【解決手段】2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンと本化合物を可溶化するのに十分な量のオクトクリレンを含んでなる化粧品又は皮膚科学的組成物を作製する。この組成物は向上したサンスクリーン効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線遮蔽用調製物、なかでも化粧品及び皮膚科学的光線遮蔽用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に対する太陽光線の紫外線部分の有害な作用は一般的に知られている。290nm未満(UV−C域)の波長をもつ光線は地球の大気中のオゾン層により吸収されるが、290nmと320nmの間の領域、UV−B域の光線は紅斑、軽度の日焼け又は、重症もしくは軽症の熱傷ですら引き起こす。
【0003】
日光の最大紅斑活性は308nmの周辺の、より狭い領域として与えられる。
【0004】
UV−B光線を遮蔽するための数々の化合物が知られており、これらは3−ベンジリデンカンファー、4−アミノ安息香酸、ケイ皮酸、サリチル酸、ベンゾフェノン及び更に2−フェニルベンズイミダゾールの誘導体である。
【0005】
約320nmと約400nmの間の領域の光線もまた、障害を引き起こす可能性があるので、このUV−A域に対する有用なフィルター物質を含むこともまた重要である。長年、320nmと400nmの間の波長をもつ、波長の長いUV−A光線は無視できるほどの小さい生物学的活性をもつのみであり、従ってUV−B光線がヒトの皮膚への大部分の光線誘発障害の原因であると、誤って推定されてきた。しかし、次第に、数々の研究により、UV−A光線は、皮膚における光線力学的、特に光線毒性の反応及び慢性の変化の引金に関してUV−B光線よりずっと有害であることが示された。UV−B光線の有害な作用はまたUV−A光線により増強され得る。
【0006】
このように、なかでも、極めて通常の日常の条件下におけるUV−A光線ですら、皮膚の構造及び剛性に本質的に重要な、コラーゲン及びエラスチン繊維を短期間に損傷するのに十分であることが発見された。これが皮膚の慢性の光線誘発の変性をもたらし−皮膚を早期に「老化させる」。光線により老化された皮膚の臨床的症状は例えば、皺及びすじ、並びに更に不規則な深いしわの浮き出しを含む。更に、光線誘発の皮膚の老化に侵された領域は不整な着色を有する可能性がある。褐色斑の形成、角化症及び更に癌又は悪性メラノーマですらもまた可能である。日常のUVストレスの結果として早期老化した皮膚は更に、ランゲルハンス細胞の低い活性及び僅かな慢性の炎症を特徴としてもつ。
【0007】
地球に到達する紫外線の約90%がUV−A光線からなる。UV−B光線は数々の因子(例えば1年及び1日の間の時期及び緯度)により広範に変動するが、UV−A光線は1年及び1日の時間又は地理学的因子に無関係に、日々、比較的一定である。更に、大部分のUV−A光線は生存表皮を透過するが、UV−B光線の約70%は角質層により遮蔽される。
【0008】
従って、例えば、皮膚に、化粧品又は皮膚科学的調製物の形態の光線遮蔽フィルター物質を適用することによる、UV−A光線に対する予防的遮蔽が根本的に重要である。
【0009】
概括的に言えば、光線遮蔽フィルター物質の光線の吸収動態は、特に、大部分の工業国がその文献記載に対して非常に厳格な標準を課しているこのような物質の使用法に対する
肯定的なリストを有するために、非常によく知られており、文献に記載されている。完成調製物中の物質の濃度については、皮膚の内部の物質との、又は皮膚自体の表面との相互作用が計り知れないものをもたらす可能性があるので、吸収値はたかだか指針である可能性がある。更に、通常、フィルター物質がいかに均一にそして厚く、皮膚の角質層中及びその上に分配されるかを前以て予測することは困難である。
【0010】
UV−A遮蔽能を試験するためには、通常、IPD法(IPD≡immediate pigment darkening(瞬間顔料暗色化))が使用される。光線遮蔽因子の測定と同様に、この方法は、色素沈着(pigmentation)が、遮蔽されない皮膚のそれと同様になるまでに光線遮蔽組成物で遮蔽された皮膚がどの位長くUV−A光線を浴びることができるかを示す値を与える。
【0011】
もう1種の、欧州中で確立されてきた試験法は、オーストラリア標準AS/NZS 2604:1997である。ここでは、UV−A域内の調製物の吸収を測定する。標準を満たすためには、その調製物は320〜360nm域のUV−A光線を少なくとも90%吸収しなければならない。
【0012】
なかでも、これもUV−A域で高いフィルター活性を示す既知の光線遮蔽フィルター物質の使用濃度はしばしば、それらが固体の形態のその他の物質と組み合わされているその事実により制約される。従って、比較的高い光線遮蔽因子又はUV−A遮蔽能を達成するためにはある種の調製の問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
光線遮蔽フィルター物質は通常高価であり、幾つかの高価な遮蔽フィルター物質は更に、化粧品又は皮膚科学的調製物中に比較的高い濃度で取り込むことが困難であるので、本発明の目的は、異常に低い濃度の、通常のUV−A光線遮蔽フィルター物質を含有するにもかかわらず、許容できる又は高度ですらあるUV−A遮蔽能を達成する調製物を、容易な、安価な方法で得ることであった。
【0014】
しかし、UV光線はまた、その場合、光化学反応生成物が皮膚代謝に介入する光化学反応を誘導する可能性がある。このような光化学反応生成物は主としてフリーラジカルの化合物、例えばヒドロキシルフリーラジカルである。皮膚自体の中で形成する未確定のフリーラジカル光反応生成物もまた、それらの高い反応性のために制御されない二次的反応を示す可能性がある。しかし、非フリーラジカルの励起状態の酸素分子である、一重項酸素もまた、寿命の短いエポキシド及びその他多数がそうであるように、UV被曝中に形成され得る。一重項酸素は例えば、その増加した反応性のために通常の三重項酸素(フリーラジカルの基底状態)と異なる。しかし、励起した、反応性の(フリーラジカルの)三重項状態の酸素分子もまた存在する。
【0015】
これらの反応を防止するためには、化粧品又は皮膚科学的調製物中に抗酸化剤及び/又はフリーラジカルスカベンジャーを更に取り入れることが可能である。
【0016】
既知の、好都合な光線遮蔽フィルター物質は、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば5−イソプロピルジベンゾイルメタン(CAS No.63250−25−9)、及びまた4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(CAS No.70356−09−1)である。しかし、それらはまさに、固体の形態のその他の物質と組み合わされているために、それらの使用濃度は制限される。従って、比較的高い光線遮蔽因子を達成するためにはある種の調製の問題が存在する。
【0017】
もう1種類の好都合な光線遮蔽フィルター物質は4−メチルベンジリデンカンファーである。これは、通常の条件下で固体であり、それ自体良好なUVフィルター特性が著しい、極めて好都合な光線遮蔽フィルター物質である。しかし、まさに固体の形態のその他の物質とのその組み合わせのために、その使用濃度もまた制限される。従って、ここでもまた、比較的高い光線遮蔽因子を達成するためにはある種の調製の問題が存在する。
【0018】
もう1種類の好都合なUVフィルターは2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンであり、それは次の構造
【0019】
【化1】

【0020】
を特徴としてもつ。
【0021】
このUVフィルター物質は商品名Tinosorb(登録商標)SとしてCiba Specialty Chemicals Holding Inc.により市販されており、良好なUV吸収性を特徴としてもつ。
【0022】
2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンの主要な欠点は、脂質中へのその弱い溶解度である。このUVフィルターのための既知の溶媒は、光線遮蔽調製物中の、溶解され、従って活性なUVフィルター物質の約1重量%に相当する、このフィルター最大約10重量%を溶解することができる。
【0023】
従って、ここでもまた、比較的高い光線遮蔽因子を達成するためにはある種の調製の問題が存在する。
【0024】
光線遮蔽因子(LPF、しばしば日光遮蔽因子に対するSPFとしても知られている)は、発生する紅斑反応が、非遮蔽皮膚のものと同様になるまでに、光線遮蔽組成物で遮蔽された皮膚がどのくらい長く被曝されることができるかを表す(すなわち、LPF=10に対しては、非遮蔽皮膚に比較して10倍長い)。
【0025】
とにかく、一方で、消費者が−特に、大衆の興味の主題になってきた「オゾン層の穴」についての討論のために−光線遮蔽因子に関する業者からの信頼性のある情報を期待しており、他方では、比較的ますます高い光線遮蔽因子の方向への消費者による傾向が存在す
る。
【0026】
光線遮蔽フィルター物質は通常高価であり、そして幾つかの光線遮蔽フィルター物質はまた、比較的高濃度での化粧品又は皮膚科学的調製物中への取り込みが困難であるために、本発明の更なる目的は、異常に低い濃度の通常の光線遮蔽フィルター物質を含有するにも拘らず、許容できるか又は高くすらあるLPF値を達成する調製物を、容易で経済的に有効な方法で得ることであった。
【0027】
本発明に拘り好都合に更に使用することができるもう1種類の光線遮蔽フィルター物質は、UVINUL(登録商標)N539の商品名でBASF社から販売されており、次の構造、
【0028】
【化2】

【0029】
を特徴としてもつ、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシル(オクトクリレン)である。
【課題を解決するための手段】
【0030】
従って、化粧品又は皮膚科学的光線遮蔽組成物中への、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンを可溶化させるための2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシルの使用法が従来の当該技術分野の欠点を克服することは驚くべきことで、当業者が予知することが出来なかった。
【0031】
更に、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンは低い溶解度をもつのみならずまた、その溶液から再結晶化し易いので、オクトクリレンの添加が、前記の物質の溶液の安定化をもたらすことは驚くべきことであった。
【0032】
従って、本発明はまた、有効含量のオクトクリレンがそれらの溶液に添加されることを特徴とする、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン溶液を安定化させる方法に関する。
【0033】
2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンを含んでなる化粧品又は皮膚科学的調製物の光線遮蔽因子及び/又はUV−A遮蔽能を増加するためのオクトクリレンの使用法並びに、オクトクリレンを含んでなる化粧品又は皮膚科学的調製物の光線遮蔽因
子及び/又はUV−A遮蔽能を増加させるための2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンの使用法が、従来の当該技術分野の欠点を克服することは更に驚くべきことであった。
【0034】
完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンの総量は好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0035】
完成化粧品又は皮膚科学的調製物中のオクトクリレンの総量は好都合には、調製物の総重量の0.1〜25.0重量%、好ましくは0.5〜15.0重量%の範囲から選択される。
【0036】
2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンとオクトクリレンの重量比を1:10ないし10:1、好ましくは1:4ないし4:1の範囲から選択することが好都合である。
【0037】
本発明に拘る化粧品及び皮膚科学的調製物は更に、好都合には、水に実質的に不溶性か又は全く不溶性の金属酸化物及び/又はその他の金属化合物、なかでもチタンの酸化物(TiO)、亜鉛の酸化物(ZnO)、鉄の酸化物(例えばFe)、ジルコニウムの酸化物(ZrO)、ケイ素の酸化物(SiO)、マンガンの酸化物(例えばMnO)、アルミニウムの酸化物(Al)、セリウムの酸化物(例えばCe)、対応する金属の混合酸化物及びこれらの酸化物の混合物、を基礎にした無機顔料を含んでなる。その顔料は特に好ましくはTiOを基にしたものである。
【0038】
本発明の目的のためには、無機顔料は疎水性の形態で存在する、すなわち、水をはじくように表面処理されていることが、必須ではないが特に好都合である。この表面処理はそれ自体既知の方法により顔料に薄い疎水性層を提供することを伴う可能性がある。
【0039】
このような方法は、例えば、
nTiO + m(RO)Si−R’ → nTiO(表面)
に従う反応により、疎水性の表面層を生成することを伴う。ここで、n及びmは所望のように使用することができる化学量論的パラメーターであり、R及びR’は所望の有機基である。例えば、ドイツ特許出願公開(DE−A)第33 14 742号明細書と同様に調製された疎水化顔料が好都合である。
【0040】
好都合なTiO顔料は、例えば、TAYCA社からの商品名MT100T、Kemira社からのM160及びDegussa社からのT850として入手できる。
【0041】
本発明に拘る化粧品及び/又は皮膚科学的光線遮蔽調製物は通常の組成をもつことができ、化粧品及び/又は皮膚科学的光線遮蔽のためならびに更に、皮膚及び/又は毛髪の処置、手入れ及び洗浄のために、そして装飾化粧品におけるメークアップ製品として使用することができる。
【0042】
使用のためには、本発明に拘る化粧品及び皮膚科学的調製物は化粧品として通常の方法で、適量を皮膚及び/又は毛髪に適用される。
【0043】
日焼け止め剤の形態の化粧品及び皮膚科学的調製物が特に好ましい。これらは好都合に
は更に、少なくとも1種類の更なるUV−Aフィルター及び/又は少なくとも1種類の更なるUV−Bフィルター及び/又は少なくとも1種類の無機顔料、好ましくは無機の微細顔料を含んでなる。
【0044】
本発明に拘る化粧品及び皮膚科学的調製物はこのような調製物中に通常使用されているような化粧品補助剤、例えば、保存剤、殺バクテリア剤、香料、気泡抑制剤、染料、着色作用を有する顔料、増粘剤(thickener)、湿潤剤及び/又は保湿剤(humectants)、脂肪、油、ワックスあるいは、例えばアルコール、ポリオール、ポリマー、気泡安定剤、電解質、有機溶媒又はシリコーン誘導体のような、化粧品又は皮膚科学的調製物のその他の通常の成分を含んでなることができる。
【0045】
抗酸化剤を更に含有することは一般的に好ましい。本発明に拘る、使用することができる好ましい抗酸化剤は、化粧品としての及び/又は皮膚科学的使用に適宜な又は通常使用されるすべての抗酸化剤である。
【0046】
抗酸化剤は好都合には、非常に少量の許容投与量(例えばpmolないしμmol/kg)における、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)及びそれらの誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシン及びそれらの誘導体(例えばアンセリン)のようなペプチド、カロテノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコペン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及びその他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン並びに、それらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)及びそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)及びスルホキシイミン化合物(例えばブチオニン−スルホキシイミン、ホモシステイン−スルホキシイミン、ブチオニン−スルホン、ペンタ−、ヘキサ−及びヘプタ−チオニン−スルホキシイミン)、並びに更に、(金属)キレート化剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体(例えばγ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、フルフリリデンソルビトール及びその誘導体、ユビキノン及びユビキノール及びそれらの誘導体、ビタミンC及び誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及び誘導体(例えば酢酸ビタミンE)、ビタミンA及び誘導体(パルミチン酸ビタミンA)及びベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(例えばZnO、ZnSO)、セレン及びその誘導体(例えばセレン・メチオニン)、スチルベン及びそれらの誘導体(例えば酸化スチルベン、酸化トランス−スチルベン)並びに、本発明に拘る適宜な前記の活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド及び脂質)からなる群から選択される。
【0047】
調製物中の前記の抗酸化剤(1種類以上の化合物)の量は好ましくは、調製物の総重量の0.001ないし30重量%、特に好ましくは0.05〜20重量%、特には1〜10重量%である。
【0048】
ビタミンE及び/又はその誘導体が抗酸化剤もしくは抗酸化剤類である場合には、調製物の総重量の0.001〜10重量%の範囲からそれぞれの濃度を選ぶことが好都合である。
【0049】
ビタミンAもしくはビタミンA誘導体、又はカロテンもしくはそれらの誘導体が抗酸化剤もしくは抗酸化剤類である場合には、調製物の総重量の0.001〜10重量%の範囲からそれらのそれぞれの濃度を選ぶことが好都合である。
【0050】
脂質相は好都合には、下記の群の物質
− 鉱油、鉱物ワックス、
− カプリン酸又はカプリル酸のトリグリセリド類のような油、
− 脂肪、ワックス及びその他の天然及び合成の脂肪物質、好ましくは低C数のアルコー
ル、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール又はグリセロール、と脂肪酸の
エステル、あるいは低C数のアルカン酸、又は脂肪酸と、脂肪アルコールとのエステ
ル、
− 安息香酸アルキル、
− ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン及び
それらの混合形態のようなシリコーン油、
から選択することができる。
【0051】
本発明の目的のためには、エマルション、オレオゲル又はヒドロ分散物又は脂質分散物の油相は好都合には、3ないし30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝及び/又は非分枝アルカンカルボン酸と、3から30個の炭素原子の鎖長を有する、飽和及び/又は不飽和の分枝及び/又は非分枝アルコールとのエステルからなる群から、あるいは芳香族カルボン酸と、3から30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝及び/又は非分枝アルコールとのエステルの群から選択される。この場合、このようなエステルの油は好都合には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル並びに更にこのようなエステルの合成、半合成及び天然の混合物、例えばホホバ油、からなる群から選ぶことができる。
【0052】
更に油相は好都合には、分枝及び非分枝の炭化水素及び炭化水素ワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルの群、飽和もしくは不飽和の分枝もしくは非分枝アルコール、及び更に脂肪酸トリグリセリド、特に8ないし24個の、なかでも12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝及び/又は非分枝アルカンカルボン酸のトリグリセリルエステルの群から選択することができる。脂肪酸トリグリセリドは好都合には、例えば合成、半合成及び天然の油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナツ油、ナタネ油、アーモンド油、ヤシ油、ココナツ油、ヤシの芯油及びその他の同類の油の群から選択することができる。
【0053】
このような油及びワックス成分のあらゆる所望の混合物もまた、本発明の目的のために好都合に使用することができる。幾つかの場合には、油相の唯一の脂質成分として、ワックス、例えばパルミチン酸セチルを使用することも好都合であるかも知れない。
【0054】
油相は好都合には、イソステアリン酸2−エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イ
ソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、ココア酸2−エチルヘキシル、安息香酸C12−15−アルキル、カプリル酸−カプリン酸トリグリセリド及びジカプリリルエーテルからなる群から選択される。
【0055】
特に好都合な混合物は、安息香酸C12−15−アルキル及びイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、安息香酸C12−15−アルキル及びイソノナン酸イソトリデシルの混合物、並びに更に、安息香酸C12−15−アルキル、イソステアリン酸2−エチルヘキシル及びイソノナン酸イソトリデシルの混合物である。
【0056】
炭化水素のうちでは、パラフィン油、スクアラン及びスクアレンが本発明の目的のために好都合である。
【0057】
油相はまた好都合には、環状又は線状シリコーン油を含有するかあるいは独占的にこのような油からなることができるが、シリコーン油もしくはシリコーン油類のみならず、更なるその他の油成分を付加的に使用することが好ましい。
【0058】
シクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)は好都合には、本発明に拘って使用することができるシリコーン油として使用される。しかし、その他のシリコーン油、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)もまた、本発明の目的のために好都合である。
【0059】
その他の特に好都合な混合物は、シクロメチコンとイソノナン酸イソトリデシルの混合物並びにシクロメチコンとイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物を含んでなる。
【0060】
適当な場合には、本発明に拘る調製物の水相は、好都合には、
− それぞれ個別に又は組み合わせた、低C数のアルコール、ジオール又はポリオール、
及びそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリ
コール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしく
はモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノ
ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル及び
類似の製品、更に低C数のアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,
2−プロパンジオール及びグリセロール、並びになかでも、好都合には、二酸化ケイ
素、ケイ酸アルミニウム、多糖類及びそれらの誘導体、例えばヒアルロン酸、キサン
タンゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から、特に好都合にはポ
リアクリラート、好ましくは、カーボポール群、例えば等級980、981、138
2、2984及び5984のカーボポールからのポリアクリラートからなる群から選
ぶことができる、1種類以上の増粘剤、
を含んでなる。
【0061】
化粧品又は皮膚科学的光線遮蔽調製物は好都合には、例えば、調製物の総重量の0.1重量%ないし30重量%、好ましくは0.5重量%ないし10重量%、しかし特には1重量%ないし6重量%の量の無機顔料、なかでも微細顔料を含んでなる。
【0062】
本発明の目的のためには、化粧品及び皮膚科学的調製物は好都合には、脂質相及び/又は水相中に個別の物質として又は相互のあらゆる混合物として、1種類以上の通常のUV−Aフィルターを含んでなる。
【0063】
完成化粧品又は皮膚科学的調製物中のUV−Aフィルター物質の総量は好都合には、調製物の総重量の0.1ないし30重量%、好ましくは0.1ないし10.0重量%、特には0.5ないし5.0重量%の範囲から選択される。
【0064】
本発明に拘る化粧品及び皮膚科学的調製物は好都合には、必須ではないが、X線非晶質又は非X線非晶質のどちらでもよい更なる無機顔料を含んでなる。
【0065】
X線非晶質の酸化物顔料はX線回折実験において全く又は認識可能な結晶構造を示さない金属酸化物又は半金属酸化物である。このような顔料はしばしば、炎焼反応により、例えば金属又は半金属のハロゲン化物を水素及び空気(又は純粋な酸素)と炎中で反応させることにより得ることができる。
【0066】
本発明に拘る化粧品、皮膚科学的調製物又は製薬学的調製物においては、X線非晶質の酸化物顔料は好都合には、増粘剤及びチキソトロープ(thixotropic)剤、流動補助剤として、エマルション及び分散物の安定化のために、そして担体物質として(例えば微粉砕粉末の容量を増加させるための)使用されるが、それらは又、光線遮蔽能を増加させるために使用することもできる。
【0067】
本発明に拘る調製物中に好都合に使用することができる既知のX線非晶質の酸化物顔料は、Aerosil(登録商標)タイプ(CAS−No.7631−86−9)の酸化ケイ素である。DEGUSSA社から得られるAerosils(登録商標)は小さい粒径(例えば5と40nmとの間)を特徴としてもち、その粒子は非常に均一なディメンションを有する球状の粒子であるとみなされている。顕微鏡によると、Aerosils(登録商標)は緩い白色粉末であることが認められる。本発明の目的のためには、X線非晶質の二酸化ケイ素顔料は特に好都合で、それらのうちで、好ましいものはまさに、Aerosil(登録商標)タイプのものである。
【0068】
好都合なAerosil(登録商標)タイプは例えば、Aerosil(登録商標)OX50、Aerosil(登録商標)130、Aerosil(登録商標)150、Aerosil(登録商標)200、Aerosil(登録商標)300、Aerosil(登録商標)380、Aerosil(登録商標)MOX80、Aerosil(登録商標)MOX170、Aerosil(登録商標)COK84、Aerosil(登録商標)R202、Aerosil(登録商標)R805、Aerosil(登録商標)R812、Aerosil(登録商標)R972、Aerosil(登録商標)R974、Aerosil(登録商標)R976である。
【0069】
本発明に拘る化粧品又は皮膚科学的光線遮蔽調製物は、必須ではないが、X線非晶質の酸化物顔料を0.1ないし20重量%、好ましくは0.5ないし10重量%、非常に特に好ましくは、1ないし5重量%含んでなることが好都合である。
【0070】
調製物が、水に実質的に不溶性か又は全く不溶性の金属酸化物及び/又はその他の金属化合物、なかでもチタンの酸化物(TiO)、亜鉛の酸化物(ZnO)、鉄の酸化物(例えばFe)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、ケイ素酸化物(SiO)、マンガン酸化物(例えばMnO)、アルミニウム酸化物(Al)、セリウム酸化物(例えばCe)、対応する金属の混合酸化物、及びこのような酸化物の混合物を基礎にした、非X線非晶質の無機顔料、なかでも微細顔料を含んでなることも本発明に対して更に好都合である。TiOを基礎にした顔料が特に好ましい。
【0071】
このタイプの顔料はUV−A光線を含むUV光線を遮蔽し、本発明の目的のためのUVフィルター物質と見なすことができる。
【0072】
本発明に拘る非X線非晶質の無機顔料は好都合には疎水性の形態にある、すなわち、水をはじくように表面処理されている。この表面処理はそれ自体既知の方法により薄い疎水
性の層を顔料に提供することを伴う可能性がある。
【0073】
このような方法は、例えば、
nTiO + m(RO)Si−R’ → nTiO(表面)
に従う反応により、疎水性の表面層を生成することを伴う。ここで、n及びmは所望のように使用される化学量論的パラメーターであり、R及びR’は所望の有機基である。例えば、ドイツ特許出願公開(DE−A)第33 14 742号明細書と同様に調製された疎水化顔料が好都合である。
【0074】
好都合なTiO顔料は、例えばDegussa社からの商品名T850として入手できる。
【0075】
完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の無機顔料、なかでも疎水性無機微細顔料の総量は好都合には、調製物の総重量の0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜10.0重量%、なかでも0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0076】
本発明に拘る化粧品及び/又は皮膚科学的光線遮蔽調製物は通常の組成をもつことができ、化粧品及び/又は皮膚科学的光線遮蔽のため、そしてまた皮膚及び/又は毛髪の処置、手入れ及び洗浄のためにそして装飾化粧品におけるメークアップ製品として使用することができる。
【0077】
使用のためには、本発明に拘る化粧品及び皮膚科学的調製物は化粧品として通常の方法で適量を皮膚及び/又は毛髪に適用される。
【0078】
日焼け止め剤の形態にある化粧品又は皮膚科学的調製物が特に好ましい。これらは好都合には、更に、少なくとも1種類の更なるUV−Aフィルター及び/又は少なくとも1種類の更なるUV−Bフィルター及び/又は少なくとも1種類の無機顔料、好ましくは無機微細顔料を含んでなる可能性がある。
【0079】
このようなUV−Bフィルターは油溶性でも水溶性でもよい。好都合な油溶性UV−Bフィルター物質は、例えば、
− 3−ベンジリデンカンファー誘導体、好ましくは
3−(4−メチルベンジリデン)カンファー及び
3−ベンジリデンカンファー、
− 4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは
4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル及び
4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミル、
− 2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−
1,3,5−トリアジン、
− ジオクチルブタミドトリアゾン、
− ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは
4−メトキシベンザルマロン酸ジ(2−エチルヘキシル)、
− ケイ皮酸のエステル、好ましくは
4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル及び
4−メトキシケイ皮酸イソペンチル、
− ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン及び
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
である。
【0080】
好都合な水溶性のUV−Bフィルター物質は、例えば:
− 2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸の塩、例えばそのナトリウム、カ
リウム又はそのトリエタノールアンモニウム塩、及び
スルホン酸自体;
− 3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、
4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、
2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸及びそれらの

である。
【0081】
本発明の目的のために更に使用することができる前記のUV−Bフィルターのリストはもちろん制限する意図はない。
【0082】
本発明に拘る好都合な調製物は、化粧品又は皮膚科学的光線遮蔽調製物が、UV−Aフィルター物質として1種類以上の水溶性UV−Aフィルター物質、特に、フェニレン−1,4−ビス−(2−ベンズイミダジル)−3,3’,5,5’−テトラスルホン酸及び/又は1,4−ジ(2−オキソ−10−スルホ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼン及び/又はそれらの塩、特に対応するナトリウム、カリウム又はトリエタノールアンモニウム塩及び/又は対応する10−スルファト化合物、からなる群から選択される水溶性のUV−Aフィルター物質、なかでもフェニレン−1,4−ビス−(2−ベンズイミダジル)−3、3’,5,5’−テトラスルホン酸のビスナトリウム塩を含んでなることを特徴としている。
【0083】
本発明に拘る更に好都合な調製物は、化粧品又は皮膚科学的光線遮蔽調製物が、UV−Aフィルター物質として、なかでも、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば5−イソプロピルジベンゾイルメタン及び4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンの群から選択される1種類以上の油溶性UV−Aフィルター物質を含んでなることを特徴としている。
【0084】
本発明に拘る調製物中にポリマー結合の又はポリマー性のUVフィルター物質、なかでも国際公開(WO−A)第92/20690号パンフレットに開示されたものを使用することもまた著しく好都合の可能性がある。
【0085】
従って、本発明に拘る好都合な調製物はまた、ポリマーに結合した、又はポリマー性のUVフィルター物質を含んでなるものであり、このようなフィルター物質の総量は例えば、調製物の総重量の0.1重量%ないし30重量%、好ましくは0.5ないし20重量%、特には3ないし15重量%である。
【0086】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の水溶性のUVフィルター物質の総量は好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0087】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の油溶性UVフィルター物質の総量は好都合には、調製物の総重量の0.1〜30.0重量%、好ましくは0.5〜15.0重量%の範囲から選択される。
【0088】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸又はその塩の総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選
択される。
【0089】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸又はその塩の総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0090】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸又はその塩の総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0091】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸又はその塩の総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0092】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中のベンゼン−1,4−ジ(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)−10−スルホン酸又はその塩の総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0093】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の4,4’,4”−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリス安息香酸トリス(2−エチルヘキシル)の総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0094】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンの総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0095】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の4−メチルベンジリデンカンファーの総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜10.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲から選択される。
【0096】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中のp−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルの総量は、本物質の存在が所望される場合は、好都合には、調製物の総重量の0.1〜15.0重量%、好ましくは0.5〜7.5重量%の範囲から選択される。
【0097】
本発明に拘る幾つかの場合には、化粧品又は皮膚科学的調製物中に、その他のUV−A及び/又はUV−Bフィルター、例えば、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸2−エチルヘキシル(=サリチル酸オクチル)及びサリチル酸ホモメンチルのようなある種のサリチル酸誘導体を取り入れることもまた好都合であるかも知れない。
【0098】
本発明に拘る完成化粧品又は皮膚科学的調製物中の1種類以上のサリチル酸誘導体の総量は好都合には、調製物の総重量の0.1〜15.0重量%、好ましくは0.5〜8.0重量%の範囲から選択される。サリチル酸エチルヘキシルが選択される場合は、その総量を0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜2.5重量%の範囲から選択することが好都合である。サリチル酸ホモメンチルが選択される場合は、その総量を0.1〜10.0
重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲から選択することが好都合である。
【0099】
本発明はまた、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンが、オクトクリレン又はオクトクリレンを含む油相中に、均一に撹拌しながらそして場合によっては加熱しながら、それ自体既知の方法で懸濁され、そして所望の場合には均質化され、場合によっては更なる脂質成分及び場合によっては1種類以上の乳化剤と組み合わされ、その後に、油相を、その中に場合によっては増粘剤が取り込まれ、そして好ましくは油相と同一温度をもつ水相と混合し、所望の場合は、均質化され、室温に放置冷却されることを特徴とする、本発明に拘る化粧品及び/又は皮膚科学的光線遮蔽調製物の製造方法に関する。室温に冷却後、特にまだ揮発性の成分が取り込まれる予定の場合には、均質化を繰り返すことができる。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は本発明を制限することなしに、具体的に示すことを意図している。特記されない限り、すべての量、割合及び百分率は調製物の重量及び総量、又は総重量に基づいている。
【0101】
(実施例1)
O/Wエマルション
重量%
ステアリン酸 1.50
モノステアリン酸グリセロール 3.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 10.00
ジカプリリルエーテル 5.00
ジメチコン 2.00
水素化ポリイソブテン 2.00
酢酸ビタミンE 0.50
オクトクリレン 10.00
Tinosorb(登録商標)S 4.00
メチルベンジリデンカンファー 4.00
二酸化チタン 1.00
保存剤 適量
グリセロール 3.00
キサンタンゴム 0.30
水酸化ナトリウム溶液、45% 0.50
水 全100.00
【0102】
(実施例2)
O/Wエマルション
重量%
ステアリン酸ソルビタン 3.00
ジステアリン酸ポリグリセリル−3メチルグルコース 1.50
オクチルドデカノール 10.00
ジカプリリルエーテル 5.00
鉱油 5.00
ヒマシ油 2.00
ジカプリル酸/カプリン酸ブチレングリコール 5.00
酢酸ビタミンE 0.50
オクトクリレン 8.00
Tinosorb(登録商標)S 1.50
オクチルトリアゾン 4.00
メチルベンジリデンカンファー 4.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 3.00
保存剤 適量
グリセロール 10.00
キサンタンゴム 0.20
Pemulen(登録商標)TR1 0.10
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 2.00
水酸化ナトリウム溶液、45% 1.20
水 全100.00
【0103】
(実施例3)
W/Oエマルション
重量%
ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル−2 5.00
ジメチコン 2.00
鉱油 5.00
イソヘキサデカン 5.00
ジカプリル酸/カプリン酸ブチレングリコール 5.00
ジオクチルブタミドトリアゾン 3.00
オクトクリレン 12.00
Tinosorb(登録商標)S 3.00
メチルベンジリデンカンファー 2.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 2.00
二酸化チタン 4.00
保存剤 適量
グリセロール 5.00
MgSO 1.00
水 全100.00
【0104】
(実施例4)
W/Oエマルション
重量%
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30 4.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 5.00
オクチルドデカノール 5.00
ジカプリリルエーテル 5.00
鉱油 5.00
水素化ポリイソブテン 5.00
酢酸ビタミンE 0.50
ジオクチルブタミドトリアゾン 1.00
オクトクリレン 6.00
Tinosorb(登録商標)S 2.00
Aerosil(登録商標)R972 0.50
保存剤 0.50
グリセロール 10.00
MgSO 1.00
水 全100.00
【0105】
(実施例5)
W/Oエマルション
重量%
セチルジメチコンコポリオール 5.00
ジメチコン 5.00
鉱油 2.00
イソヘキサデカン 2.00
安息香酸C12〜15−アルキル 5.00
オクトクリレン 15.00
Tinosorb(登録商標)S 6.00
メチルベンジリデンカンファー 4.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 2.00
二酸化チタン 2.00
保存剤 適量
グリセロール 5.00
NaCl 1.00
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 4.00
水酸化ナトリウム溶液、45% 1.30
水 全100.00
【0106】
(実施例6)
ヒドロ分散物
重量%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 10.00
オクチルドデカノール 5.00
ジカプリリルエーテル 2.00
ジメチコン 1.00
酢酸ビタミンE 0.50
オクチルトリアゾン 2.00
メチルベンジリデンカンファー 4.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 2.00
二酸化チタン 1.00
保存剤 適量
グリセロール 3.00
キサンタンゴム 0.40
Pemulen(登録商標)TR1 0.40
水酸化ナトリウム溶液、45% 0.40
水 全100.00
【0107】
(実施例7)
W/Oピッケリングエマルション
重量%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 15.00
水素化ポリイソブテン 5.00
安息香酸C12〜15−アルキル 5.00
オクトクリレン 10.00
Tinosorb(登録商標)S 4.00
二酸化チタン 4.00
Aerosil(登録商標)R972 2.00
保存剤 0.50
グリセロール 5.00
NaCl 1.00
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 1.00
水酸化ナトリウム溶液、45% 0.40
水 全100.00
【0108】
(実施例8)
スプレー
重量%
モノステアリン酸グリセロール 4.00
セテアレス−12 1.50
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 2.00
鉱油 5.00
オクトクリレン 6.00
Tinosorb(登録商標)S 3.00
オクチルトリアゾン 1.00
保存剤 適量
グリセロール 10.00
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 1.00
水酸化ナトリウム溶液、45% 0.40
水 全100.00
【0109】
(実施例9)
スプレー
重量%
モノステアリン酸グリセロールSE 4.50
セテアレス−20 1.00
ジカプリリルエーテル 5.00
イソノナン酸セテアリル 5.00
ジメチコン 2.00
オクトクリレン 8.00
Tinosorb(登録商標)S 4.00
保存剤 適量
グリセロール 5.00
水 全100.00

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、
a)2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、および
b)a)の2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンを可溶化するのに十分な量の2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルヘキシル(オクトクリレン)を含んでなる化粧品又は皮膚科学的組成物。
【請求項2】
化粧品又は皮膚科学的組成物中の2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンが、該組成物の総重量基準で0.1〜10.0重量%であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
化粧品又は皮膚科学的組成物中の2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンが、該組成物の総重量基準で0.5〜6.0重量%であることを特徴とする、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
化粧品又は皮膚科学的組成物中のオクトクリレンが、該組成物の総重量基準で0.1〜25.0重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
化粧品又は皮膚科学的組成物中のオクトクリレンが、該組成物の総重量基準で0.5〜15.0重量%であることを特徴とする、請求項4記載の組成物。

【公開番号】特開2009−173666(P2009−173666A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67707(P2009−67707)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【分割の表示】特願2000−53321(P2000−53321)の分割
【原出願日】平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願人】(591010376)バイヤースドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト (20)
【氏名又は名称原語表記】BEIERSDORF AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】