説明

化粧品用着色ナノ粒子及びその製造方法

【課題】化粧品用着色ナノ粒子、その製造方法及び用途を提供する。
【解決手段】プラズモン共鳴特性が生じる貴金属ナノ粒子の粒子径及び形状の形態特性に基づいて、吸収スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子、上記化粧品着色用ナノ粒子を製造する方法及び当該ナノ粒子を含有する化粧品。
【効果】吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子を作製し、提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品用着色貴金属ナノ粒子、その製造方法及び当該着色貴金属ナノ粒子含有化粧品に関するものであり、更に詳しくは、プラズモン共鳴特性が生じる貴金属ナノ粒子の粒子径及び形状の形態特性に基づいて、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品用着色ナノ粒子、その製造方法及び用途を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
金及び銀ナノ粒子は、微細な領域中で電子と光が共鳴して,これまでの常識を覆すような非常に高い光出力をもたらすプラズモン吸収が生じる。この貴金属コロイドによる発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性等に優れている。このような貴金属コロイドによる発色は、粒径が数nm〜数百nm程度の、いわゆるナノ粒子において見られるものであり、この特性は、粒子のサイズや集合状態等により変化する(非特許文献1)。
【0003】
これまでに、金属ナノ粒子を合成する種々の技術が報告されている。先行技術では、例えば、液相で、ポリオール法(非特許文献2)、電気化学法(非特許文献3)、界面活性剤を利用する方法(非特許文献4)、レーザーを用いる方法(非特許文献5)等を利用して、金属ナノ粒子を合成する方法が提案されている。
【0004】
また、先行技術として、例えば、簡便な手法で、Agナノ粒子を合成すること(特許文献1)、貴金属化合物と界面活性剤とから貴金属コロイド粒子を製造すること(特許文献2)、アスペクト比の再現性の良い金ナノロッドを作製すること(特許文献3)、マイクロ流路を用いて、粒度分布がシャープで、結晶性の高い高結晶性ナノ銀粒子スラリーを作製すること(特許文献4)、界面活性剤を含む溶液中で電気化学的反応によってロッド状の金属ナノロッドを作製すること(特許文献5)、超音波撹拌により有機無機ハイブリッドナノ複合材を作製すること(特許文献6)、等が提案されている。
【0005】
また、従来から、貴金属粒子を化粧品に用いたものが知られている。紫色の化粧料として、金ナノ粒子を基材に付着させて利用する方法(特許文献7)、金塩水溶液を還元剤で還元した後に、非イオン性界面活性剤を添加して安定な金コロイド溶液を製造する方法(特許文献8)、等が知られている。肌等への付着性がよく、化学的に安定で、かつ色彩が均一で、高い光輝感を呈する化粧料を安価に提供するため、金属で被覆された薄片状ガラスを含有する化粧料(特許文献9)、構造色を発色する球状ナノ微粒子のコロイド微結晶を利用した光学発色体を利用したもの(特許文献10)、等が知られている。
【0006】
また、例えば、貴金属を利用した抗菌化粧品として、アシル化アミノ酸によって均一に抗菌性粉体を被覆処理したもの(特許文献11)、金コロイドを添加する方法(特許文献12)、顔料及び抗菌化合物を含む懸濁液を撹拌することによって得られる抗菌顔料(特許文献6)、金属コーティングを有する剥脱ナノ粒子を含む複合材の形成法(特許文献13)、等が知られている。
【0007】
化粧品用着色材として、選択的な吸収機能を有する光吸収材とその形成用組成物を提供するために金属ナノロッドを利用する方法が知られている(特許文献14)。しかし、従来の上記化粧品用着色材として用いられている貴金属微粒子は球状であるため、化粧品の色彩が限られていた。
【0008】
例えば、球状金コロイドの場合には、得られるプラズモン発色は、青、青紫、赤紫等であり、また、球状銀コロイドの場合には、黄色であり、使用可能な色は限られていた。また、金属的な輝きは、色調には影響を与えず、抗菌性は、人体への安全を考えたものであり、色調や彩度等の制御を目的としたものではない。
【0009】
更に、金属ナノロッドを利用する方法が提案されているが、金属ナノロッドを利用する場合には、金属ナノロッドの長軸方向の長さにより吸収スペクトルは制御できるが、短軸方向の表面プラズモン振動に由来する吸収が、銀の場合には400nm、金の場合には520nm付近に必然的に生じてしまうという問題があった。
【0010】
金及び銀ナノ粒子は、プラズモン共鳴の特性を生かして、光学材料、バイオセンサー等に利用することが考えられている。この光学特性のうち、広い波長範囲での吸収スペクトルを活用することにより、分子のラベリング等に有効であると考えられる。そのためには、希望の吸収スペクトルを有する粒子の合成プロセスが必要であり、このプロセスには、界面活性剤を利用する方法や、種粒子を利用した成長粒子を作製する方法等の適用が種々試みられている。しかし、これまで、金又は銀ナノ粒子の形態特性に基づいて、特定波長の吸収スペクトルを有する金又は銀ナノ粒子を高精度で合成すること、それにより広い波長範囲で吸収スペクトルを有する色調及び彩度等が高選択的に制御された多様な当該ナノ粒子を合成すること、更に、当該ナノ粒子を化粧品用着色ナノ粒子及び着色剤の用途に用いること、については報告例がない。
【0011】
【特許文献1】特開2006−37145号公報
【特許文献2】特開2003−159525号公報
【特許文献3】特開2005−68448号公報
【特許文献4】特開2006−124787号公報
【特許文献5】特開2005−68447号公報
【特許文献6】特表2005−512809号公報
【特許文献7】特開平1−215865号公報
【特許文献8】特開平08−089788号公報
【特許文献9】特開2002−138010号公報
【特許文献10】特開2007−18239号公報
【特許文献11】特開平9−208401号公報
【特許文献12】特開2001−89314号公報
【特許文献13】特表2007−519615号公報
【特許文献14】特開2005−68019号公報
【非特許文献1】J.J.Mock,M.Barbic,D.R.Smith,D.A.Schultz,and S.Schultz,J.Chem.Phys.,116(2002)6755
【非特許文献2】Y.Sun,B.Gates and B.Mayers,Nano Lett.,2(2002)165
【非特許文献3】M.T.Reetz and W.Helbig,J.Am.Chem.,116(1994)7401
【非特許文献4】M.Maillard,S.Giorgio and M.P.Pileni,J.Phys.Chem.B,107(2003)2466
【非特許文献5】R.Jin,Y.Cao,C.A.Mirkin,K.L.Kelly G.C.Schatzt and J.G.Zheng,Science,294(2001)1901
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、貴金属微粉末を含有する従来の化粧品における上記問題を解決することを可能とする新しい化粧品用着色ナノ粒子を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、プラズモン共鳴特性が生じる貴金属ナノ粒子の粒子径及び形状の形態特性に基づいて、吸収スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を組み合わせることにより、色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品用着色ナノ粒子を調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲で選択的に取ることができる貴金属ナノ粒子からなる化粧品着色用ナノ粒子及びその製造法を提供すること、また、少量で彩度が高い色相を有し、化粧用基材とのなじみが良い化粧品用着色材を、金属粒子の粒径や形状及び連結等の形体特性を精密に制御することにより、それらの形体特性に基づいて粒子の吸光スペクトルを制御することにより製造する方法を提供すること、また、化粧品用の着色材料としての使用が可能な貴金属ナノ粒子を製造できる新しい貴金属ナノ粒子の製造方法、その貴金属ナノ粒子及び当該貴金属ナノ粒子を含有する化粧品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)プラズモン共鳴特性が生じる貴金属ナノ粒子の粒子径及び形状の形態特性に基づいて、吸収スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成したことを特徴とする化粧品着色用ナノ粒子。
(2)吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに任意に制御して色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子であって、1)粒子の粒径が5〜300nmであり、2)平板状の粒子を含有する、請求項1に記載の化粧品着色用ナノ粒子。
(3)前記(1)又は(2)に記載の化粧品着色用ナノ粒子を、基材と複合化したこと又は基材上に析出させたことを特徴とする化粧品用複合体。
(4)上記化粧品着色用ナノ粒子を、無機白色顔料、無機有色顔料、無機黒色顔料、効果顔料、発光顔料、炭酸マグネシウム、雲母、シリカ、チタニア、アルミナ、ガラス、雲母状酸化鉄、又は酸化黒鉛の基材と複合化した又は当該基材上に析出させた、前記(3)に記載の化粧品用複合体。
(5)前記(1)又は(2)に記載の化粧品着色用ナノ粒子を製造する方法であって、1)還元水溶液中に金又は銀の貴金属塩を溶解した反応液を作製し、当該反応液に、酸又は塩基を添加又は無添加でナノ粒子を生成させる、2)それにより、粒子の粒径が5〜300nmであり、平板状の粒子を含有する、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を合成する、3)当該ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子を作製する、ことを特徴とする化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
(6)貴金属塩として、塩化金酸又は硝酸銀を用いる、前記(5)に記載の化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
(7)還元水溶液が、還元剤として、過酸化水素、テトラヒドロほう酸ナトリウム、蟻酸、又はアスコルビン酸を含む、前記(5)に記載の化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
(8)反応液が、分散剤として、コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ドデシル硫酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、前記(5)に記載の化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
(9)前記(1)又は(2)に記載の化粧品着色用ナノ粒子が着色剤として配合されていることを特徴とする着色用貴金属ナノ粒子含有化粧品。
(10)前記(3)又は(4)に記載の化粧品用複合体が配合されていることを特徴とする着色用貴金属ナノ粒子含有化粧品。
【0015】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、化粧品着色用ナノ粒子であって、プラズモン共鳴特性が生じる貴金属ナノ粒子の粒子径及び形状の形態特性に基づいて、吸収スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明では、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに任意に制御して色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子であって、1)粒子の粒径が5〜300nmであり、2)平板状の粒子を含有すること、を好ましい実施の態様としている。
【0017】
また、本発明は、化粧品用複合体であって、上記化粧品着色用ナノ粒子を基材と複合化したこと又は基材上に析出させたことを特徴とするものであり、本発明では、上記化粧品着色用ナノ粒子を、無機白色顔料、無機有色顔料、無機黒色顔料、効果顔料、発光顔料、炭酸マグネシウム、雲母、シリカ、チタニア、アルミナ、ガラス、雲母状酸化鉄、又は酸化黒鉛の基材と複合化した又は当該基材上に析出させたこと、を好ましい実施の態様としている。
【0018】
また、本発明は、上記化粧品着色用ナノ粒子を製造する方法であって、1)還元水溶液中に金又は銀の貴金属塩を溶解した反応液を作製し、当該反応液に、酸又は塩基を添加又は無添加でナノ粒子を生成させる、2)それにより、粒子の粒径が5〜300nmであり、平板状の粒子を含有する、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を合成する、3)当該ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子を作製する、ことを特徴とするものである。
【0019】
更に、本発明は、着色用貴金属ナノ粒子含有化粧品であって、上記の化粧品着色用ナノ粒子が着色剤として配合されている点、上記の化粧品用複合体が配合されている点、に特徴を有するものである。
【0020】
本発明は、プラズモン共鳴特性が生じる貴金属ナノ粒子の粒子径及び形状を変化させることにより、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲で選択的に制御した特定の色調及び彩度を有する化粧品着色用ナノ粒子であって、粒子の粒径が5〜300nmであり、厚さが略15nm程度の平板状の粒子を含有すること、を特徴とするものである。
【0021】
また、本発明は、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲で選択的に制御した特定の色調及び彩度を有する化粧品着色用ナノ粒子を製造する方法であって、還元水溶液中に金属塩を溶解した反応液を作製した後、当該反応液に、塩酸等の酸又は塩基を添加又は無添加でナノ粒子を生成させ、それにより、粒子の粒径が5〜300nmであり、厚さが略15nm程度の平板状の粒子を含む化粧品着色用ナノ粒子を作製し、当該ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子を作製すること、を特徴とするものである。
【0022】
本発明は、貴金属ナノ粒子の合成過程において、粒子の溶解、析出反応を制御することにより、平板状の粒子を合成するものであり、その粒子が、金又は銀を含むナノ粒子であり、可視光域において任意の光吸収波長を取る化粧品着色用ナノ粒子の製造方法及びそのナノ粒子を提供するものである。
【0023】
本発明について、具体例に則して詳細に説明すると、本発明の金又は銀を含むナノ粒子の合成方法では、例えば、0.05から5mmol/lの濃度範囲のナノ粒子の原料となる金属塩と、ナノ粒子の保護剤となる、例えば、0.05から5%の濃度範囲のトリブロックコポリマー P85(BASF製)を蒸留水に加え、1時間撹拌することにより溶解させる。更に、これに、例えば、1.2μmol/lの塩酸と0.02から2wt%濃度範囲の過酸化水素を加えて、30分撹拌する。これらの合成過程において、上記合成条件は、例示的に示したものであり、これらの合成条件は、必要に応じて、適宜変更することができる。
【0024】
次に、この溶液を、10から60℃に設定した水槽内にある反応容器に添加し、還元剤である0.02から2wt%濃度範囲の過酸化水素、0.1から5mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを添加し、金属ナノ粒子を生成させる。本発明では、窒素ガスやアルゴンガス、更に、水素ガスを反応容器中に流すことにより還元が促進される。
【0025】
本発明で用いられる金属ナノ粒子の金属としては、可視光領域で局在プラズモン共鳴を起こす金属であり、具体的には、金、銀等の貴金属が挙げられる。金粒子の場合には、520nm以上で使用することが必要とされることと、520nmに金の平板特有の吸収が見られる。銀の場合には、銀の平板特有の吸収は340nmに吸収が見られるが、これは、可視光の範囲外である。その金及び銀の化合物としては、金の場合には、塩化金酸、銀の場合には、硝酸銀を用いることが望ましい。生成される金属微粒子の粒径は、5〜100nmが好ましい。
【0026】
本発明の製造方法では、還元水溶液中に金又は銀の貴金属塩を溶解した反応液を作製し、当該反応液に、酸又は塩基を添加又は無添加でナノ粒子を生成させ、それにより、粒子の粒径が5〜300nmであり、平板状の粒子を含有する、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を合成し、当該ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子を作製する。
【0027】
この場合、貴金属塩として、塩化金酸又は硝酸銀が用いられる。また、還元水溶液の還元剤として、過酸化水素、テトラヒドロほう酸ナトリウム、蟻酸、又はアスコルビン酸が用いられる。また、上記反応液は、分散剤として、コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ドデシル硫酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
【0028】
分散剤としては、エチレン−プロピレンブロック共重合体からなるブロックコポリマー、更には共役ジエンモノマーを1種以上含む共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ドデシル硫酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0029】
形状制御剤として、過酸化水素、還元剤としては、テトラヒドロほう酸ナトリウム、蟻酸、アスコルビン酸を用いることが望ましい。また、金属イオンの錯化剤を用いても良く、好適には、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウムカリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、二糖、三糖、多糖類等を用いることができる。
【0030】
作製した銀ナノ粒子の溶液を石英板上に塗布し、乾燥させた試料のX線回析から、ピークは小さいが、38度に銀の立方晶系を示す(111)面のピークが見られる。また、紫外可視分光スペクトルでは、例えば、524から575nm付近に頂点があり、333から336nm付近に粒子が平板状である特徴のピークが見られる。また、透過電子顕微鏡写真による観察では、一辺が略40nm程度の三角形の粒子で平板の側面を持つ粒子が見られる。
【0031】
化粧品は、それを構成する組成として、種々の機能を有する粉体を混合して使用される。例えば、通常、粉体化粧料に使用される粉体類、着色剤、油剤、保湿剤、界面活性剤、紫外線防御剤、人間の皮脂成分のうち、肌に悪影響を及ぼす皮脂老廃物である遊離脂肪酸の吸着剤、香料、溶剤、塩類、粘剤、高分子物質等を同時に配合することができる。
【0032】
特に、粉体類については、従来公知の無機粉体、有機粉体、色素、及びこれらの複合粉体、及びシリコーン処理、フッ素化合物処理、金属石鹸処理、油剤処理等の表面処理を施した粉体類が挙げられる。また、その形状も球状だけでなく、板状や棒状及び光学的、徐放作用等が期待される中空状、チューブ状等が挙げられる。本発明では、これら化粧品を構成する粉体と複合化することも可能である。
【0033】
通常、銀ナノ粒子は、粒子間の接触により吸収スペクトルのシフトが生じるため(X.Hu,.W.Cheng,T.Wang,E.Wang and S.Dong,Nanotechnology,16(2005)2164)、分散剤の添加により単分散化して発色させることが行われている。また、化粧品の作製において、多くの粉体が含まれており、これらの粉体上にあらかじめ銀ナノ粒子を析出させておけば、銀ナノ粒子の接触も少なく、効率的に配置でき、分散剤の低減にもつながる。また、着色の面からも色むらがなくなる。
【0034】
本発明の貴金属ナノ粒子を含む化粧料の例としては、パウダーファンデーション、白粉、フェースパウダー、アイシャドウ、プレストパウダー、チークカラー、リクイドファンデーション、油性ファンデーション、クリーム、ローション、マニキュア、口紅等、化粧品一般が挙げられる。
【0035】
通常、粉体化粧料中に配合される粉体として、例えば、酸化チタン、酸化セリウム、窒化ホウ素等の白色顔料、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、酸化アルミニウムコバルト、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン等の体質顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー等の高分子物質、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素等の1種、又は2種以上をあわせて使用することも可能である。
【0036】
油性基剤としては、ワックス、半固体ワックス、オイルが用いられる。これらのうち、ワックスとしては、固体パラフィン、低分子ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン等の炭化水素が挙げられる。また、半固体ワックスとしては、ラノリンやワセリン等が挙げられる。また、オイルとしては、スクワラン、ポリイソブテン等の炭化水素、ひまし油、オリーブ油、トリイソステアリン酸グリセリル等の油脂、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸トリデシル等のエステル油、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン等が挙げられる。
【0037】
本発明により、粒径が30から50nmの明るいコントラストの三角形、円盤状の粒子、及び暗いコントラストの長方形(平板状)の粒子を合成することができる。また、ナノ粒子生成反応の温度を、例えば、25〜50℃の範囲で変化させることにより、480〜800nmの吸収スペクトルを有するナノ粒子を合成することができ、温度を高くすることで、粒成長により大きい粒子を形成することができる。
【0038】
また、本発明では、反応系に酸又は塩基を添加又は無添加とすることにより、例えば、吸収スペクトルのピークが400〜1100nmで、粒径が10nm〜1μmのナノ粒子を合成することができる。また、本発明では、反応系にコポリマーを加えることにより、粒径を変化させ、吸収スペクトルのピークを制御したナノ粒子を合成することができる。本発明では、これらの手法を組み合わせて、可視光領域において、粒径及び吸収スペクトルを所定の範囲に制御した特定の色調及び彩度を有するナノ粒子を任意に組み合わせることで色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子を作製し、提供することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する化粧品着色用ナノ粒子を製造し、提供することができる。
(2)本発明のナノ粒子を用いることにより、化粧構成粉体との複合化が図られた着色複合体を提供することができる。
(3)本発明のナノ粒子を用いることにより、添加量が少量でも、着色力が強く、高い彩度の化粧品を提供することが可能となる。
(4)上記化粧品着色用ナノ粒子が着色剤として配合された着色貴金属ナノ粒子含有化粧品を提供することができる。
(5)上記着色複合体が配合された着色貴金属ナノ粒子含有化粧品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
0.3mmol/lの硝酸銀、0.1mmol/lのポリビニルピロリドンK90(東京化成工業株式会社製)、30wt%の0.12ml過酸化水素を50mlの蒸留水に加え、1時間撹拌することにより、これらを溶解させた。この溶液に、100mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを0.4ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0042】
このときの透過電子顕微鏡写真を図1に示す。粒径が30から50nmの明るいコントラストの三角形、円盤状の粒子の他に、暗いコントラストの長方形の粒子が見られる。これは、平板状の粒子を横から見たために暗く見えると考えられる。そのため、平板状の粒子であると断定される。
【実施例2】
【0043】
0.2mmol/lの硝酸銀、0.1%のコポリマーP85(BASF製)、30wt%の0.12ml過酸化水素を、50mlの蒸留水に加え、1時間撹拌することにより、これらを溶解させた。この溶液に、100mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを0.4ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。このとき、種々の温度で反応を行った。
【0044】
温度を変化させた場合の吸収スペクトルを図2に示す。図中、試料1は25℃、試料2は31℃、試料3は40℃、試料4は50℃で反応を行ったものである。最高温度が25℃の場合には、スペクトルのピークが波長800nmの吸収スペクトルとなり、31℃では620nmがピークとなり、40℃では480nmであった。
【0045】
更に、温度を上げて、50℃では580nmとなった。透過電子顕微鏡の観察結果を図3に示す。25℃の場合には、粒径20から100nmの平板粒子が存在した。更に、31℃では、30から70nmの平板粒子が見られ、40℃では10から40nmの細かい粒子が見られた。50℃では30から70nmの平板粒子が見られた。
【0046】
温度が低いほど大きな平板になった理由は、核の生成量と粒子の成長速度が、温度により異なるためであると考えられる。核の生成量は、40℃まで温度が高くなるにつれて多くなり、それ以降はあまり変わらないと考えられる。温度に対する粒子の成長速度変化は、温度により増加すると考えられる。そのため、25℃から40℃までは、核生成による影響に支配され、多くの粒子で銀イオンの供給が進行し、結果として粒子の成長が分散されて、粒子が小さくなったと考えられる。
【0047】
しかし、それ以降では、最も温度への核生成の影響が大きくなるために、最も粒子が小さくなり、更に、温度を高くすると、粒成長による影響に支配されて粒子が大きくなったと考えられる。試料4の380から780nmまでの範囲における5nm間隔の分光反射率から、色表示X、Y、Zを計算し、マンセル系HVCを算出した。その値は、HV/C=6.7PB 4.9/11.2となり、高い彩度であった。
【実施例3】
【0048】
0.2mmol/lの硝酸銀、0.1%のコポリマーP(BASF製)、85、30wt%の0.24ml過酸化水素を50mlの蒸留水に加え、塩酸又は水酸化カリウムを更に加えて、28℃で1時間撹拌することにより、これらを溶解させた。この溶液に、100mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを0.4ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0049】
図4に、作製した粒子の吸収スペクトルを示す。図中、試料5は水酸化カリウムを16μmol/l添加したもの、試料6は水酸化カリウムを8μmol/l添加したもの、試料7は何も添加しないもの、試料8は塩酸を1.2μmol/l添加したもの、試料9は塩酸を2.4μmol/l添加したものである。
【0050】
まず、何も添加しない試料7は、スペクトルのピークが波長900nmにある。また、平板粒子の特徴である350nmのピークが見られる。試料6は510nm、試料5は400nmのピークが見られた。また、試料8はピークが1100nmとなった。試料9はピークが測定範囲では見られず、吸収の絶対値が小さくなった。
【0051】
図5に、光子相関法によって測定したサンプルの粒度分布を示す。試料5は一つの分布であり、そのピークは粒径200nmであった。試料6は二つの分布からなり、一つは5nm、もう一つは40nmをピークとする分布からなっていた。試料7は一つの分布のピークが10nm、もう一つの分布のピークが70nmであった。試料8では18nmと90nmをピークとする分布となった。これらの粒度分布は、単一の粒子と凝集体の可能性があるため、透過電子顕微鏡観察により実際の粒子を確認した。
【0052】
透過電子顕微鏡写真を図6に示す。試料5の場合には、図6(a)から、実際の粒子は10から30nmの大きさを持つ粒子であることが分かった。これらの粒子が強く凝集しているため、粒度分布では、ピークが200nmを示していたと考えられる。試料6の場合には、(b)より20から50nmの扁平な粒子が見られる。試料7は(c)より50から150nm、試料8は(d)より100から300nm、更に、試料9は(e)より1μmまで粒子が成長していることが分かった。
【実施例4】
【0053】
0.2mmol/lの硝酸銀、種々の量のコポリマー(BASF製)、P85、30wt%の0.12mlの過酸化水素を50mlの蒸留水に加え、1時間撹拌することにより、これらを溶解させた。この溶液に100mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを0.4ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0054】
得られた試料の吸収スペクトルの結果を図7に示す。図中、試料10は0.1%のP85を添加した場合、試料11は0.5%のP85を添加した場合、試料12は0.8%のP85を添加した場合、試料13は1.0%のP85を添加した場合、試料14は1.6%のP85を添加した場合である。試料10の場合には、スペクトルのピークは600nmにあり、添加量を更に多くした試料11、試料12では、620nm、760nmとなった。これより多く入れた試料13では、400nmとなった。
【0055】
この試料13の透過電子顕微鏡写真を図8に示す。粒子は、粒径50から150nmの粒子であり、平板の形状をしていた。濃度0.8%のときに粒径は最大となり、1.6%まで多くした場合には、10から30nmの丸い粒子となった。これは、P85を多く入れた場合には、すべての結晶面に吸着してしまい、粒成長を抑制してしまうからではないかと考えられる。
【0056】
過酸化水素の酸化作用によって、金属粒子が溶解する。このとき、溶解するものの多くがtwinned seedであり、残っている粒子は、single crystallineであるため(文献:B.Wiley,Y.Sun,J.Chen,H.Cang,Z.Y.Li,X.Li and Y.Xia,MRS Bull.,30(2005)356)、この粒子が持っている面にコポリマーが吸着して平面に成長していくと考えられる。このとき、溶液の状態により溶解析出が起こり、核の生成と粒成長が競い合い、休止の大きさと形状が決まると考えられる。
【実施例5】
【0057】
1.6mmol/lの硝酸銀、0.01gのガラクトース、コロイダルシリカPS−M(日産化学製)0.01g、アミノプロピルトリエトキシシラン50μlを50mlの蒸留水に加え、1時間撹拌した。この溶液に、200mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを1.6ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0058】
この試料の透過電子顕微鏡写真を図9に示す。シリカ粒子は、粒径30nmの粒子であり、銀粒子は、数nmで、シリカ粒子上に析出していることが確認できる。
【実施例6】
【0059】
ヘキサメチレンテトラミン0.073gと0.1gのアルミナTMDA(大明化学製)を、20mlの蒸留水に加え、25℃で12時間撹拌した後、蒸留水で洗浄し、乾燥した。この処理したアルミナ0.005gと1.6mmol/lの硝酸銀、0.01gのガラクトース、アミノプロピルトリエトキシシラン50μlを49mlの蒸留水に加え、1時間撹拌した。この溶液に、200mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを1.6ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0060】
この試料の透過電子顕微鏡写真を図10に示す。アルミナ粒子は、粒径0.2μmの粒子であり、銀粒子は、20nmでアルミナ粒子上に析出していることが確認できる。
【実施例7】
【0061】
0.1mmol/lの硝酸銀、0.1mmol/lのポリビニルピロリドンK90(東京化成工業株式会社製)、30mmol/lのクエン酸ナトリウム、30wt%の0.12ml過酸化水素を50mlの蒸留水に加え、1時間撹拌することにより、これらを溶解させた。また、この溶液に、100mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを0.4ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0062】
次に、硝酸カルシウム四水和物50mmolを水110mlに溶解し、その後、エタノール90gを加えた。一方、リン酸水素アンモニウム33mmolを水280ml、エタノール260g溶液に溶解した。これらの溶液と銀コロイド溶液を恒温槽内温度25℃にセットした反応容器内で、ホーン型のホモジナイザーにより超音波を照射しながら混合して、青色の銀複合ハイドロキシアパタイト粒子を得た。
【0063】
この試料の透過電子顕微鏡写真を図11に示す。銀粒子は、粒径20から50nmの平板状の粒子であり、ハイドロキシアパタイト層が銀粒子の周りに数nmの厚さで被覆していることが確認できる。
【実施例8】
【0064】
高純度化学製のルチル型チタニア1g、10mol/lの水酸化ナトリウムを15mlの蒸留水溶液に加えて、30分撹拌した。これを圧力容器に入れ、140℃で12時間加熱して、チタニアナノチューブを生成した。これを0.1Nの塩酸と蒸留水とエタノールで洗浄して乾燥させた。0.15gのジシアノジアミドと0.1gのチタニアナノチューブを20mlの蒸留水に加え、25℃で12時間撹拌した後、洗浄して、乾燥した。
【0065】
この処理したチタニアナノチューブ0.005gと、0.2mmol/lの硝酸銀、クエン酸ナトリウム0.45gを50mlの蒸留水に加え、1時間撹拌した。この溶液に、200mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを0.4ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0066】
この試料の透過電子顕微鏡写真を図12に示す。チタニアナノチューブ直径10nm、厚さ3nmで長さが数μmであり、銀粒子は、5nm前後でチタニアナノチューブ上に析出していることが確認できる。
【実施例9】
【0067】
0.2mmol/lの硝酸銀、0.2%のコポリマーP85(BASF製)、コロイダルシリカPS−M(日産化学製)を、0.1g、30wt%の0.12ml過酸化水素を50mlの蒸留水に加え、1時間撹拌した。この溶液に、100mmol/lのテトラヒドロほう酸ナトリウムを0.4ml添加し、銀ナノ粒子を生成させた。
【0068】
図13に、作製した粒子の吸収スペクトルを示す。スペクトルのピークは1000nmにあり、青色を呈していた。
【0069】
この試料の透過電子顕微鏡写真を図14に示す。チタニアナノチューブ直径10nm、厚さ3nmで長さが数μmであり、銀粒子は5nm前後でチタニアナノチューブ上に析出していることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上詳述したように、本発明は、化粧品用着色ナノ粒子及びその製造方法に係るものであり、本発明により、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子からなる化粧品着色用ナノ粒子及びその製造方法を提供することができる。本発明により、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する化粧品着色用ナノ粒子を製造し、提供することができる。また、本発明のナノ粒子を用いることにより、貴金属ナノ粒子の潜在的な高い彩度とともに、可視広域での余分な吸収が少なく、化粧品組成の粉体に均一に混合することができ、ばらつき感のない着色貴金属ナノ粒子含有化粧品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1で作製した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。
【図2】実施例2で作製した銀ナノ粒子のコロイド溶液の紫外可視分光スペクトルを示す。
【図3】実施例2で作製した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。(a)は試料1、(b)は試料2、(c)は試料3、(d)は試料4の場合を示す。
【図4】実施例3で作製した銀ナノ粒子のコロイド溶液の紫外可視分光スペクトルを示す。
【図5】実施例3で作製した銀ナノ粒子の粒度分布を示す。
【図6】実施例3で作製した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。(a)は試料5、(b)は試料6、(c)は試料7、(d)は試料8、(e)は試料9の場合を示す。
【図7】実施例4で作製した銀ナノ粒子のコロイド溶液の紫外可視分光スペクトルを示す。
【図8】実施例4で作製した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。
【図9】実施例5で作製したシリカと銀のナノ複合粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。
【図10】実施例6で作製したアルミナと銀のナノ複合粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。
【図11】実施例7で作製した銀とハイドロキシアパタイトのナノ複合体の透過電子顕微鏡写真を示す。
【図12】実施例8で作製したチタニアナノチューブと銀のナノ複合体の透過電子顕微鏡写真を示す。
【図13】実施例9で作製した銀ナノ粒子のコロイド溶液の紫外可視分光スペクトルを示す。
【図14】実施例9で作製した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズモン共鳴特性が生じる貴金属ナノ粒子の粒子径及び形状の形態特性に基づいて、吸収スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成したことを特徴とする化粧品着色用ナノ粒子。
【請求項2】
吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに任意に制御して色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子であって、1)粒子の粒径が5〜300nmであり、2)平板状の粒子を含有する、請求項1に記載の化粧品着色用ナノ粒子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化粧品着色用ナノ粒子を、基材と複合化したこと又は基材上に析出させたことを特徴とする化粧品用複合体。
【請求項4】
上記化粧品着色用ナノ粒子を、無機白色顔料、無機有色顔料、無機黒色顔料、効果顔料、発光顔料、炭酸マグネシウム、雲母、シリカ、チタニア、アルミナ、ガラス、雲母状酸化鉄、又は酸化黒鉛の基材と複合化した又は当該基材上に析出させた、請求項3に記載の化粧品用複合体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の化粧品着色用ナノ粒子を製造する方法であって、1)還元水溶液中に金又は銀の貴金属塩を溶解した反応液を作製し、当該反応液に、酸又は塩基を添加又は無添加でナノ粒子を生成させる、2)それにより、粒子の粒径が5〜300nmであり、平板状の粒子を含有する、吸光スペクトルを波長390nmから1100nmまでの範囲の所定の吸収スペクトルに制御した特定の色調及び彩度を有する貴金属ナノ粒子を合成する、3)当該ナノ粒子を任意に組み合わせて色調及び彩度を選択可能に組み合わせて構成した化粧品着色用ナノ粒子を作製する、ことを特徴とする化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
貴金属塩として、塩化金酸又は硝酸銀を用いる、請求項5に記載の化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
還元水溶液が、還元剤として、過酸化水素、テトラヒドロほう酸ナトリウム、蟻酸、又はアスコルビン酸を含む、請求項5に記載の化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
反応液が、分散剤として、コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ドデシル硫酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載の化粧品着色用ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の化粧品着色用ナノ粒子が着色剤として配合されていることを特徴とする着色用貴金属ナノ粒子含有化粧品。
【請求項10】
請求項3又は4に記載の化粧品用複合体が配合されていることを特徴とする着色用貴金属ナノ粒子含有化粧品。

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図13】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−221140(P2009−221140A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66859(P2008−66859)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年2月17日 化学工学会発行の「第73年会(2008)化学工学会 研究発表講演要旨集」に発表
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】