説明

化粧料組成物

【課題】軟化特性及び/又は保湿特性、並びに改善された安定性を有し、並びに、もし何らかのべたべたした及び/又はねばねばした特徴があるとしても少ししか有さない、エマルジョンを有する化粧料組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの水性相と少なくとも1つの脂肪相とを含むエマルジョンの形の化粧料組成物であって、該脂肪相は少なくとも1つの植物オイルを含み、且つ該組成物は、少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン及び/又はC9〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの1つの揮発性溶媒および少なくとも1つの炭酸カルシウムをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特には皮膚及び唇のメイクアップ及び/又はケアの為の化粧料組成物、特にはエマルジョンの形のそれらに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より特には少なくとも1つの植物オイルを含むエマルジョンに関する。
【0003】
化粧料組成物の配合において植物オイルを使用することは、昔から知られている。これらの油は、軟化特性及び保湿特性に恵まれており、皮膚に大きな柔軟性を与える。
【0004】
しかしながら、それらの高い極性のせいで、植物オイルはエマルジョンの安定性を減じうる。
【0005】
さらに、これらの油は、それらを含む組成物に、それらの施与の間及び後に、特には大量に存在するときに、過度のべたべたした特徴及びねばねばした特徴を与えうる。さらに、それらは、特には例えばファンデーションなどの、スキンケア又はスキンメイクアップに関して、所望の化粧用特性に対して有害であると分かりうる光沢効果を生じうる。
【0006】
前記の不利点は、化粧料組成物が、外側の脂肪相を含む場合、例えば油中水型(W/O)エマルジョンなどのときに、さらにより顕著でありうる。
【0007】
これらの不利点を克服する為に、それらのべたべたした特徴及びねばねばした特徴を減じる為に及び化粧料組成物の施与を促進する為に、これらの植物オイルを揮発性化合物、例えば環状シリコーン又はイソドデカンなど、と組み合わせることの提案がすでになされている。
【0008】
しかしながら、この解決策は、特に天然の未加工の材料又は天然由来のそれらが化粧料組成物を配合する為に用いられるときに、必ずしも満足できるものであるとは分からない。
【0009】
けれども、同時に、植物成分又は植物由来の成分により全部が又は部分的に形成された化粧用製品についての消費者による要求が増している。
【0010】
例えば、国際特許出願公開第2007/068371号パンフレットは、植物由来のアルカンを含む化粧料組成物を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、植物オイルを含み且つ、環状シリコーン若しくは石油化学誘導体、例えばイソドデカンなど、の減じられた量を含み又は欠いてさえいる、特にはエマルジョンの形の、化粧料組成物を配合することができることのニーズがある。
【0012】
植物オイルを含み且つ、化粧品学及び安定性の両方の立場から満足できる又は改善さえされた特性を有する、特にはエマルジョンの形の、化粧料組成物を提供することができることのニーズも存在する。
【0013】
施与すると快適であり及び特にはべたべたした及び/又はねばねばした特徴をほとんど又は全く有さない、特にはエマルジョンの形の、化粧料組成物を提供することのニーズも存在する。
【0014】
植物オイルを含み且つ光沢効果をほとんど又は全く有さない、特にはエマルジョンの形の、より特には皮膚のケア又はメイクアップの為の、化粧料組成物を有することのニーズも存在する。
【0015】
最後に、改善された化粧用特性を有し、特には軟化特性及び/又は保湿特性、並びに改善された安定性を有し、並びに、もし何らかのべたべたした及び/又はねばねばした特徴があるとしても少ししか有さない、外側の脂肪相を含む化粧料組成物、例えばW/Oエマルジョンを有することのニーズも存在する。
【0016】
本発明の目的はこれらのニーズを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、その第一の主題の一つにおいて、本発明は、少なくとも1つの水性相と少なくとも1つの脂肪相とを含むエマルジョンの形の化粧料組成物であって、該脂肪相は少なくとも1つの植物オイルを含み、且つ該組成物は、少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン及び/又はC〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの1つの揮発性溶媒および少なくとも1つの炭酸カルシウムをさらに含む。
【0018】
他の主題において、本発明は、少なくとも1つの水性相と少なくとも1つの脂肪相とを含むエマルジョンの形の化粧料組成物であって、該エマルジョンはW/Oエマルジョンであり、該脂肪相は少なくとも1つの植物オイルを含み、及び該組成物は少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン及び/又はC〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの1つの揮発性溶媒および少なくとも1つの炭酸カルシウムをさらに含む。
【発明の効果】
【0019】
予想外に、本発明者らは、少なくとも1つの特定の揮発性直鎖アルカン及び/又は1つのC〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒、例えばn−ウンデカン、n−トリデカン、又はそれらの混合物と、少なくとも1つのフィラー、例えば炭酸カルシウムなどとの組み合わせが、少なくとも1つの植物オイルを含み且つ化粧品学及び安定性の両方の立場から満足できる特性を有するエマルジョン、特にはW/Oエマルジョンが処方されることを許すことを観察した。
【0020】
少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン及び/又はC〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの1つの揮発性溶媒、又はそれらの混合物の1つと、少なくとも1つのフィラー、例えば炭酸カルシウム、との連携は、W/Oエマルジョンを安定化することを有利に可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一つの変形の実施態様において、該揮発性直鎖アルカン及び/又はC〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、植物由来のアルカン及び/又は溶媒である。
【0022】
本発明の目的の為に、語「直鎖アルカン」は、分枝状アルカンと対照的に、分枝していない直鎖のアルカンを意味すると理解される。
【0023】
本発明の目的の為に、植物由来の化合物は、植物から得られ且つ、例えば有機的合成反応による、1以上の化学的修飾に付された化合物である。
【0024】
本発明の目的の為に、植物化合物は、化学的修飾を受けていない、植物から直接に得られる化合物である。
【0025】
従って、実施例により説明されるように、本発明者らは、植物オイルとして、任意的に大豆油との混合物において、マカダミア油又はホホバ油を含むエマルジョン、特にはW/O型エマルジョンの安定性を増大することが、n−ウンデカン及びn−トリデカンの混合物と炭酸カルシウムとを該エマルジョンに導入することにより可能であることを観察した。
【0026】
さらに、本発明の組成物は有利に、施与後にべたべたした及び/又はねばねばした効果をほとんど又は全く有さない。
【0027】
最後に、本発明の組成物は、顕著に減少された光沢を示し、従って、ケア又はメイクアップ組成物の化粧的特性、特には審美的特性に不利に影響しない。本発明の化粧料組成物は特に光沢効果を示さない。
【0028】
その局面のもう1つにおいて、本発明は、少なくとも1つの植物オイルを含むエマルジョン中において炭酸カルシウムとの組み合わせにおいて、該エマルジョンに増大した安定性を与える為に、少なくとも1の揮発性直鎖アルカン及び/又はC〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの1つの揮発性溶媒を使用する方法を提供する。
【0029】
その局面のもう1つにおいて、本発明は、少なくとも1つの植物オイルを含むW/Oエマルジョン中において炭酸カルシウムとの組み合わせにおいて、少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン及び/又はC〜C15揮発性直鎖アルカンタイプの1つの揮発性溶媒を、該エマルジョンに増大した安定性を与える為に使用する方法を提供する。
【0030】
本発明は同様に、ケラチン物質のためのメイクアップ及び/又はケアの化粧用方法を提供し、該方法は本発明に従う組成物の少なくとも1つの層の該物質への施与を少なくとも含む。
【0031】
一つの変形の実施態様において、本発明の化粧的メイクアップ方法は、合成基体上でも実施されうる。
【0032】
本発明の組成物は、水性又は油性の連続的相を有するエマルジョンである。この種類の組成物は、例えば、逆(W/O)エマルジョン又は順(direct)(O/W)エマルジョン、あるいはマルチプルエマルジョン(W/O/W又はO/W/O)でありうる。
【0033】
1つの変形の実施態様において、本発明に従うエマルジョンは有利にはW/O型エマルジョンである。
【0034】
本発明は、ケラチン物質、特には皮膚又は唇のための皮膚科学的組成物又はケア組成物の形、あるいは日焼け止め組成物の形をとりうる化粧料組成物に関する。その場合、該組成物は、化粧用の又は皮膚科学的な活性物(actives)を任意的に含む、色付きでない組成物でありうる。すると、それはケラチン物質、特には皮膚又は唇のためのケアベース(care base)として用いられうる。
【0035】
本発明の組成物は、ケラチン物質のための、特には皮膚又は唇をメイクアップするための、色付きのメイクアップ製品、例えばファンデーション、ブラッシャー、フェースパウダー又はアイシャドー、皮膚を着色する製品、コンシーラー製品、リップスティック、リップバーム、あるいはまつ毛又はまゆ毛化粧品、例えばマスカラなど、の形もとりうる。
【0036】
本発明に従い、ケラチン物質は、体の皮膚及び粘膜、例えば顔又は唇、及び体毛及び頭髪、特にはまつ毛である。
【0037】
上記で述べられた化合物に加えて、本発明の配合物の一部を形成する追加の化合物又は添加物は、好ましくは天然のものであり又は天然由来のものである。
【0038】
天然化合物は、土壌若しくは地面から、又は植物若しくは動物から、適切な場合には、1以上の物理的プロセス、例えばグラインディング、精製、蒸留、純化又はろ過などにより、直接的に得られる化合物である。
【0039】
天然由来の化合物は、1以上の補助的な工業的又は化学的処理(この化合物の本質的性質に有害でない修飾を生成する)を受けた天然化合物、及び/又は上記で示されたような転化を受けた又は受けていない天然成分を主に含む化合物である。
【0040】
天然化合物の本質的性質に有害でない修飾を生じる補助的な工業的又は化学的処理の非限定的な例は、Ecocertなどの監視団体により認可されたそれら(Standard for biological and ecological cosmetic products, January 2003)又は当技術分野で知られているマニュアル中に定義されたそれら(例えばCosmetics and Toiletries Magazine, 2005, vol. 120, 9:10など)を包含する。
【0041】
本発明の目的の為に、合成の又は人工の化合物は、天然化合物又は天然由来の化合物の上記定義を満足しない化合物である。
【0042】
安定性
【0043】
本発明の組成物の安定性、特にはエマルジョンの安定性は、以下のプロトコルにより評価されうる。
【0044】
組成物が調製され、そして次に回転するオーブン、例えばVoetch VT4004オーブン中に置かれる。
【0045】
該組成物は、−20℃〜+20℃の連続的なサイクルの1セットに付される。少なくとも10サイクルの1セットが実施される。
【0046】
夫々のサイクルは24時間続き、以下の工程を含む:20℃での6時間、−20℃への温度低下の6時間、次に−20℃の温度での6時間、そして最後に20℃への温度上昇の6時間。
【0047】
夫々のサイクルの後に、該組成物の肉眼での外見(macroscopic appearance)及び顕微鏡的な外見が評価される。
【0048】
10サイクルの終わりで、該組成物は、その肉眼での外見の変化を示してはならない:それは、沈殿、相分離又は色の変化が無しで、滑らか且つ均質のままでなければならない。
【0049】
該組成物は、スライド及びスライドカバーの間で顕微鏡下で、×10の倍率で観察される。その顕微鏡的外見は、当初の外見と同様のままでなければならない。
【0050】
特に、エマルジョンの劣化(より粗いエマルジョン基剤、多数の大きな液滴の存在により示されるような合体、調製物端の変化(modification)、結晶の存在)が観察されてはならない。
【0051】
揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒
【0052】
本発明の組成物は、少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの1つの揮発性溶媒を含み、該揮発性直鎖アルカンは以下のとおりに定義される。
【0053】
本発明の目的の為に、表現「揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒」は、揮発性直鎖アルカンタイプの単一の化合物又は揮発性直鎖アルカンタイプの化合物の混合物を意味すると理解される。
【0054】
揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、以下のとおりに記載される揮発性直鎖アルカンから本質的に構成される。
【0055】
語「本質的に」は、揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒が、該溶媒中の炭化水素の合計重量に対して、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、及び少なくとも95重量%さえ又は98重量%さえの、揮発性直鎖アルカンを含むことを意味すると理解される。
【0056】
揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、本発明の液状脂肪相の組成物に属し、特には炭化水素油相、より特には炭化水素に基づく油の相に属する。
【0057】
一つの実施態様において、本発明にとって適当な揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、70〜120℃、より特には80〜100℃、特には約89℃の引火点を有しうる。
【0058】
本発明にとって適当な揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、環境温度(約25℃)で液状である。
【0059】
一つの実施態様において、本発明にとって適当な揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、9〜15の炭素原子、特には10〜15の炭素原子、より特には11〜13の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカンを少なくとも含みうる。
【0060】
本発明にとって適当な揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、有利には、植物由来のものでありうる。
【0061】
この種類のアルカンは、植物性の原料、例えば油、バター、ワックスなどから、直接的に又は2以上の工程において、得られうる。
【0062】
本発明にとって適当なアルカンの例は、Cognis国際特許出願公開第2007/068371号パンフレットに記載されたアルカンを包含する。
【0063】
これらのアルカンは脂肪アルコールから得られ、後者はコプラ油又はパーム油から得られる。
【0064】
本発明に適する揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒の例は、n−ノナン(C9)、n−デカン(C10)、n−ウンデカン(C11)、n−ドデカン(C12)、n−トリデカン(C13)、n−テトラデカン(C14)、n−ペンタデカン(C15)、及びそれらの混合物、より特には、CognisよりCetiol UTとして販売される、n−ウンデカン(C11)とn−トリデカン(C13)との混合物のうちから選ばれる少なくとも1つの揮発性直鎖アルカンを含む溶媒を包含する。
【0065】
一つの特別の実施態様において、本発明にとって適当な揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、n−ノナン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン及びそれらの混合物のうちから選ばれる少なくとも1つの揮発性直鎖アルカンを含む溶媒から選ばれうる。
【0066】
より特には、本発明にとって適当な揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、n−ウンデカン/n−トリデカン混合物の形で採用されうる。
【0067】
この種類の混合物において、n−ウンデカン:n−トリデカン重量比は、好ましくは50:50〜90:10、好ましくは60:40〜80:20、好ましくは65:35〜75:25でありうる。
【0068】
より特には、本発明に従う組成物は、70:30の重量比のn−ウンデカン:n−トリデカン混合物を含みうる。
【0069】
一つの特別の実施態様において、本発明にとって適当な揮発性炭化水素溶媒は、25℃で、0.13mg/cm/分以下の蒸発速度を有しうる。
【0070】
一つの実施態様において、本発明にとって適当な揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、25℃で、0.05〜0.13mg/cm/分、特には0.08〜0.12mg/cm/分、より特には0.1〜0.12mg/cm/分の蒸発速度を有しうる。
【0071】
本発明に従う揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒の揮発度は、特には国際公開第06/013413号パンフレットに記載されたプロトコルにより、より特には以下に記載されたプロトコルにより評価されうる。
【0072】
15gの揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒が、温度(25℃)及び湿度(相対湿度50%)において調節された約0.3mのチャンバー内に配置されたはかり上に置かれた結晶皿(直径:7cm)中に置かれる。
【0073】
該液体は、攪拌すること無く、該揮発性炭化水素溶媒を収容する該結晶皿上に垂直位置に置かれたファン(Papst−Motoren、article 8550 N、2700回転/分で回転する)により与えられる換気とともに、自由に蒸発することが許され、ファンの羽根は、該結晶化パンの底から20cmの距離で、該結晶化パンに向けられる。
【0074】
一定の時間間隔で、該結晶化パン中に残っている揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒の質量が測定される。
【0075】
蒸発速度は、単位時間(分)当たりの単位表面積(cm)当たりで蒸発した揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒のmgで表される。
【0076】
本発明に従う揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒は、0.13mg/cm/分以下の蒸発速度を有する。従って、これは、30分間で、3.9mg/cm以下の蒸発した溶媒の量に対応する。
【0077】
本発明の組成物は、該組成物の合計重量に対して、0.5重量%〜90重量%の揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含んでよく、特には、1重量%〜50重量%、より特には5重量%〜40重量%の揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含んでよい。
【0078】
炭酸カルシウム
【0079】
本発明の組成物は、少なくとも1つの炭酸カルシウムを含む。本発明にとって適当な炭酸カルシウムは、天然又は合成の由来のものでありうる。
【0080】
本発明の組成物において用いられるべき天然の炭酸カルシウムの源の例は、チョーク、ライムストーン、大理石及びそれらの混合物を包含する。
【0081】
例えば、Omyaにより商品名Omyapure 35 LM−OG下で販売される天然の炭酸カルシウムが言及されうる。
【0082】
合成の炭酸カルシウムは、沈殿プロセスにより得られうる。
【0083】
本発明にとって適当な合成の炭酸カルシウムの例は、例えばSolvayにより商品名Socal 90 A又はSocal 2P下で販売される炭酸カルシウムを包含する。
【0084】
本発明にとって適当な炭酸カルシウムは、0.1〜20μm、特には0.5〜10μm、より特には1〜5μmの平均サイズを有する粒子の形をとりうる。
【0085】
本発明の組成物は、該組成物の合計重量に対し、0.1重量%〜20重量%の炭酸カルシウム、特には0.5〜15重量%の炭酸カルシウム、より特には1重量%〜10重量%の炭酸カルシウムを含みうる。
【0086】
植物オイル
【0087】
本発明の組成物は、少なくとも1つの植物オイルを含む。
【0088】
植物オイルは、1回の低温圧搾により(バージンオイル)又は高温圧搾及び精製により(精製油)、植物産物から抽出されうる。
【0089】
本発明の植物オイルは、化学的修飾に付されること無く、植物から直接的に抽出されたオイルである。
【0090】
本発明にとって適当な植物オイルは、アロエ油、スイートアーモンド油、桃仁油、ピーナツ油、アルガン油、アボカド油、キャンドルナッツ油、バオバブ油、ルリヂサ油、ブロッコリー油、カレンジュラ油、カメリア油、ニンジン油、ベニバナ油、ヘンプ油、菜種油、綿実油、コプラ油、マローシード油、小麦胚油、ホホバ油、シア油、アルファルファ油、ユリ油、マカダミア油、コーン油、メドウフォーム油、セイヨウオトギリソウ油、キビ油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、ナッツ油、オリーブ油、マツヨイグサ油、オオムギ油、パーム油、トケイソウ油、ポピー油、クロフサスグリ種子油、キウイ種子油、ブドウ種子油、ピスタチオ油、冬カボチャ油、カボチャ油、キノア油、ジャコウバラ油、ゴマ油、ライムギ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油及びスイカ油、及びそれらの混合物を包含する。
【0091】
一つの実施態様において、本発明にとって適当な植物オイルはより特には、マカダミア油、ホホバ油及びそれらの混合物から選ばれうる。
【0092】
本発明に従う組成物は、該組成物の合計重量に対し0.5〜80重量%の植物オイル、特には、該組成物の合計重量に対し1〜50重量%の植物オイル、より特には2〜25重量%の植物オイルを含みうる。
【0093】
界面活性剤
【0094】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つの界面活性剤、特には、両性、陰イオン性、陽イオン性又は非イオン性の界面活性剤から選ばれる少なくとも1つの界面活性剤を含み、これは単独で又は混合物で用いられる。
【0095】
界面活性剤は一般には、該組成物中に、該組成物の合計重量に対し、例えば0.3〜20重量%、特には0.5〜15重量%、より特には1〜10重量%の割合で存在する。
【0096】
該界面活性剤は、該エマルジョン、より特には本発明により意図されるエマルジョン、すなわちO/W、W/O又はO/W/Oタイプ、特にはW/Oタイプのそれら、の有効な安定化を与える為に選ばれることが理解されるであろう。この選択は、当技術分野の当業者の知識の一部である。
【0097】
O/Wエマルジョンについて、例は非イオン性界面活性剤を包含し、特には、例えば8〜24の炭素原子、好ましくは12〜22の炭素原子を含む、飽和鎖又は不飽和鎖脂肪酸を有するポリオールのエステル、及びそれらのアルコキシル化誘導体、すなわちエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むそれら、例えばC〜C24脂肪酸のグリセリルエステル、及びそれらのアルコキシル化誘導体;C〜C24脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、及びそれらのアルコキシル化誘導体;C〜C24脂肪酸のソルビトールエステル、及びそれらのアルコキシル化誘導体;C〜C24脂肪酸の糖(スクロース、グルコース、アルキルグルコース)エステル、及びそれらのアルコキシル化誘導体;脂肪アルコールエーテル;及びC〜C24脂肪アルコールの糖エーテル、並びにそれらの混合物を包含する。
【0098】
脂肪酸のグリセリルエステルは特には、グリセリルステアレート(グリセリル モノ−、ジ−及び/又はトリ−ステアレート)(CTFA名:グリセリルステアレート)又はグリセリルリシノレエート、及びそれらの混合物を包含する。
【0099】
脂肪酸のポリエチレングリコールエステルは特には、ポリエチレングリコールステアレート(ポリエチレングリコール モノ−、ジ−及び/又はトリ−ステアレート)、より特には、ポリエチレングリコール50EOモノステアレート(CTFA名:PEG−50ステアレート)、ポリエチレングリコール100EOモノステアレート(CTFA名:PEG−100ステアレート)、及びそれらの混合物を包含する。
【0100】
これらの界面活性剤の混合物、例えば、Uniqemaにより名称Arlacel 165下で販売される、グリセリルステアレートとPEG−100ステアレートとを含む製品、及びGoldschmidtにより名称Tegin下で販売されるグリセリルステアレート(グリセリル モノ−ジステアレート)とカリウムステアレートとを含む製品(CTFA名:グリセリルステアレートSE)など、を用いることも可能である。
【0101】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエステルは、より特には、グルコースパルミテート、アルキルグルコースセスキステアレート、例えばメチルグルコースセスキステアレートなど、アルキルグルコースパルミテート、例えばメチルグルコースパルミテート又はエチルグルコースパルミテートなど、脂肪メチルグルコシドエステル及び、より特には、オレイン酸のメチルグルコシドジエステル(CTFA名:メチルグルコースジオレエート);メチルグルコシドとオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸混合物との混合エステル(CTFA名:メチルグルコースジオレエート/ヒドロキシステアレート);イソステアリン酸のメチルグルコシドエステル(CTFA名:メチルグルコースイソステアレート);ラウリン酸のメチルグルコシドエステル(CTFA名:メチルグルコースラウレート);イソステアリン酸のメチルグルコシドモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:メチルグルコースセスキ−イソステアレート);ステアリン酸のメチルグルコシドモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:メチルグルコースセスキステアレート)、より特には、Amercholにより名称Glucate SS下で販売される製品、並びにそれらの混合物を包含する。
【0102】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエトキシル化エーテルは例えば、脂肪酸とメチルグルコースとのエトキシル化エーテル、及びより特には、メチルグルコースとステアリン酸とのジエステルの約20モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG−20メチルグルコースジステアレート)、例えばAmercholにより名称Glucam E−20ジステアレート下で販売される製品など;ステアリン酸のメチルグルコースモノエステル及びジエステルの混合物の、約20モルのエチレンオキシドを含む、ポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG−20メチルグルコースセスキステアレート)、及びより特には、Amercholにより名称Glucamate SSE−20下で販売される製品、及びGoldschmidtにより名称Grillocose PSE−20下で販売される製品、並びにそれらの混合物を包含する。
【0103】
例えば、スクロースエステルは、スクロースパルミトステアレート、スクロースステアレート及びスクロースモノラウレートを包含する。
【0104】
脂肪アルコールエーテルは例えば、8〜30の炭素原子、特には10〜22の炭素原子を含む脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール及びセトステアリルアルコールとのポリエチレングリコールエーテル(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物)などを包含する。例えば、1〜200、好ましくは2〜200のエチレンオキシド基を含むエーテル、例えばCTFA名Ceteareth−20及びCeteareth−30を有するそれらなど、並びにそれらの混合物が言及されうる。
【0105】
糖エーテルは、特には、アルキルポリグルコシドを包含し、例えば、デシルグルコシド、例えば花王化学により名称Mydol 10下で販売される製品、Henkelにより名称Plantaren 2000下で販売される製品、及びSeppicにより名称Oramix NS 10下で販売される製品など;カプリリルグルコシド/カプリルグルコシド、例えばSeppicにより名称Oramix CG 110下で又はBASFにより名称Lutensol GD 70下で販売される製品など;ラウリルグルコシド、例えばHenkelにより名称Plantaren 1200N及びPlantacare 1200下で販売される製品など;ココグルコシド、例えばHenkelにより名称Plantacare 818/UP下で販売される製品など;任意的にセトステアリルアルコールとの混合物における、セトステアリルグルコシド、例えばSeppicにより名称Montanov 68下で、Goldschmidtにより名称Tego−Care CG90下で、及びHenkelにより名称Emulgade KE3302下で販売される;アラキジルグルコシド、例えば、アラキジックアルコール及びベヘニックアルコールの混合物の形にあるもの、及びSeppicにより名称Montanov 202下で販売されるアラキジルグルコシド;ココイルエチルグルコシド、例えばSeppicにより名称Montanov 82下で販売されるセチルアルコール及びステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形のもの、並びにそれらの混合物を包含する。
【0106】
W/Oエマルジョンについて、炭化水素又はシリコーン界面活性剤が用いられうる。
【0107】
一つの変形の実施態様において、炭化水素界面活性剤が好まれる。
【0108】
炭化水素界面活性剤の例は、ポリオールポリエステル、例えば、PEG−30ジポリヒドロキシステアレート(UniqemaによりArlacel P 135として販売される)、及びポリグリセリル−2ジポリヒドロキシステアレート(CognisによりDehymuls PGPHとして販売される)などを包含する。
【0109】
シリコーン界面活性剤の例は、アルキルジメチコンコポリオール、Laurylmethicone copolyol(例えばDow Corningにより名称Dow Corning 5200 Formulation Aid下で販売される)、及びGoldschmidtにより名称Abil EM 90下で販売されるCetyl dimethicone copolyol、又はGoldschmidtにより名称Abil WE 09下で販売されるポリグリセリル−4 イソステアレート/セチルジメチコンコポリオール/ヘキシルラウレート混合物などを包含する。
【0110】
この系に、1以上の共乳化剤(co-emulsifier)を添加することも同様に可能である。有利には、該共乳化剤は、ポリオールアルキルエステルを含む群から選ばれうる。ポリオールアルキルエステルは特には、グリセロール及び/又はソルビタンのエステルを包含し、例えば、Cognisにより名称Lameform TGI下で販売されるポリグリセリル−3 ジイソステアレート、ポリグリセリル−4 イソステアレート、例えばGoldschmidtにより名称Isolan GI 34下で販売される製品など、ソルビタンイソステアレート、例えばICIにより名称Arlacel 987下で販売される製品など、グリセロールソルビタンイソステアレート、例えばICIにより名称Arlacel 986下で販売される製品など、並びにそれらの混合物を包含する。
【0111】
W/Oエマルジョンの界面活性剤として、少なくとも1つのアルキレンオキシド基を含む、固体の架橋したエラストマーオルガノポリシロキサン、例えば米国特許第5,412,004号明細書の実施例3、4及び8及び米国特許第5,811,487号明細書の実施例、特には米国特許第5,412,004号明細書の実施例3(合成の実施例)の製品、及び信越化学工業株式会社によりKSG 21として販売されるものなど、を使用することも可能である。
【0112】
W/Oエマルジョンを得る為に適当な界面活性剤は、特には、エステル化したコハク酸末端基(succinic end group)を有するポリイソブチレン界面活性剤、例えば、Lubrizol及びChemronにより夫々名称Lubrizol 5603(商標)及びChemcinnate 2000(商標)下で販売されるそれらなど、を包含する。両親媒性ポリマータイプの界面活性剤も本発明にとって適当である。
【0113】
両親媒性ポリマーは、親水性部分及び疎水性部分の両方を含み且つ異なる極性の2つの液体を分離する膜を形成する特性を有し、それにより安定化されるべき順、逆又は多相のタイプの液−液分散を許す任意のポリマーである。これらのポリマーは、水溶性又は水分散性でありうる。
【0114】
より特には、アクリレート/C10−C30−アルキルアクリレートコポリマー、例えばGoodrichにより名称Pemulen TR1、Pemulen TR2及びCorbobol 1382下で販売される製品など、又はそれらの混合物、を使用することも可能である。National Starchにより名称Structure 2001及びStructure 3001下で販売されるアクリレート/ステアレス−20 イタコネートコポリマー及びアクリレート/セテス−20イタコネートコポリマーを使用することも可能である。用いられうるターポリマーは、名称Viscophobe DB 1000 NP3−NP4下でAmercholにより販売される、40EO単位によりエトキシル化された(すなわち40のエチレンオキシド基を含む)、メタクリル酸/メチルアクリレート/ベヘニルアルコールジメチル−m−イソプロペニルベンジルイソシアネートターポリマーを包含する。
【0115】
メタクリル酸と、エチルアクリレートと、ステアリルアルコールのポリエチレングリコール(10EO)エーテルとの架橋されたターポリマー(Steareth 10)、特には名称Salcare SC 80下でAllied Collidsにより販売されるそれらもまた言及されうる。
【0116】
陰イオン性ポリマー、例えばイソフタル酸又はスルホイソフタル酸のポリマー、より特には、Eastman Chemicalにより名称Eastman AQ polymer(AQ35S、AQ38S、AQ55S、AQ48 Ultra)下で販売されるフタレート/スルホイソフタレート/グリコール コポリマー(例えばジエチレングリコール/フタレート/イソフタレート/1,4−シクロヘキサンジメタノールコポリマー)なども言及されうる。
【0117】
1つの実施態様において、本発明の組成物は有利に、該組成物の合計重量に対して、5重量%未満、あるいは3重量%未満、あるいは2重量%未満のシリコーン界面活性剤を含みうるか、あるいはシリコーン界面活性剤を欠きうる。
【0118】
生理学的に許容できる媒体
【0119】
上記で示された化合物に加えて、本発明に従う組成物は生理学的に許容できる媒体を含む。
【0120】
生理学的に許容できる媒体は、ケラチン物質、特には皮膚及び唇への、本発明の組成物の施与にとって特に適する媒体である。
【0121】
該生理学的に許容できる媒体は一般に、該組成物が施与されなければならない基体の性質に適しており、そして、該組成物がパッケージされなければならない手段にも適している。
【0122】
水性相
【0123】
本発明の組成物は、該組成物の合計重量に対し、5〜80重量%、より特には20〜60重量%の量で水を含みうる。
【0124】
本発明にとって適当な水は例えば、天然わき水、例えばLa Roche−Posay水など、又はフラワーウォーター(flower water)でありうる。
【0125】
一つの実施態様において、本発明の組成物はさらに、少なくとも1つの水混和性有機溶媒を含みうる。
【0126】
本発明にとって適当な該水混和性有機溶媒又は溶媒群は、C1−8、特にはC1−5のモノアルコールから選ばれてよく、特にはエタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、n−ブタノール、ポリオール、C−Cグリコール、C−C多価アルコール、例えばグリセロールなど、及びそれらの混合物から選ばれてよい。
【0127】
本発明の組成物はさらに、少なくとも1つの塩、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムなど、を含みうる。
【0128】
本発明の組成物は、該組成物の合計重量に対し、0.1重量%〜1.5重量%、特には0.4重量%〜1.2重量%、より特には0.5重量%〜1重量%の塩を含みうる。
【0129】
液状脂肪相
【0130】
本発明に従う化粧料組成物は、上記に示されたとおりの少なくとも1つの植物オイルに加えて、少なくとも1つの液状及び/又は固体脂肪相、特には以下で言及されるような少なくとも1つのオイルを含みうる。
【0131】
オイルは、環境温度(20〜25℃)で且つ大気圧で液状の形にある任意の脂肪物質である。
【0132】
本発明の組成物は、該組成物の合計重量に対して、5重量%〜95重量%、特には10重量%〜80重量%、特には15重量%〜70重量%、より特には20重量%〜65重量%の量で液状脂肪相を含みうる。
【0133】
本発明に従う化粧料組成物の調製にとって適当な油性相は、炭化水素に基づくオイル、炭化水素オイル、シリコーン、フッ素油若しくは非フッ素油、又はそれらの混合物を含みうる。
【0134】
該オイルは、揮発性であってよく又は不揮発性であってよい。
【0135】
それらは、動物、植物、鉱物又は合成の由来のものでありうる。1つの変形の実施態様において、植物由来のオイルが好ましい。
【0136】
本発明の目的の為に、語「揮発性オイル」は、環境温度で且つ大気圧で、皮膚と接触すると、1時間未満のうちに蒸発することができるオイル(すなわち非水性媒体)を意味すると意図される。該揮発性オイルは、環境温度で液体である、揮発性化粧品用オイルであり、特には、環境温度で且つ大気圧で、ゼロでない蒸気圧を有する揮発性化粧品用油であり、特には0.13Pa〜40 000Pa(10−3〜300mmHg)、好ましくは1.3Pa〜13 000Pa(0.01〜100mmHg)、優先的には1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の蒸気圧を有する揮発性化粧品用オイルである。
【0137】
本発明の目的の為に、語「不揮発性オイル」は、0.13Paより小さい蒸気圧を有する油を意味すると意図される。
【0138】
本発明の目的の為に、語「シリコーンオイル」は、少なくとも1つのケイ素原子、特には少なくとも1つのSi−O基を含む、オイルを意味すると意図される。
【0139】
語「フッ素オイル」は、少なくとも1つのフッ素原子を含むオイルを意味すると意図される。
【0140】
語「炭化水素オイル」は、主として水素原子及び炭素原子、及びもし必要ならばアルコール、酸、エステル又はエーテルの官能性、を含むオイルを意味すると意図される。
【0141】
炭化水素に基づくオイルは、水素原子及び炭素原子から専ら構成される。
【0142】
該オイルは任意的に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル基又は酸基の形で、含みうる。
【0143】
オイルはポリマー状のオイル又は非ポリマー状のオイルでありうる。表現「ポリマー状のオイル」は、同一の又は異なる繰り返しモノマーから構成される少なくとも1つの分子を含むオイル又は、同一の又は異なる繰り返しモノマーから構成される分子から専ら構成されるオイルを意味すると理解される。ポリマー状のオイルとして、ポリイソブテンが言及されうる。
【0144】
揮発性オイル
【0145】
揮発性オイルは、8〜16の炭素原子を有する炭化水素オイルから、特にはC〜C16分枝アルカン(イソパラフィンとも呼ばれる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとも呼ばれる)、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えばISOPARS(商標)又はPERMETHYLS(商標)の商品名下で販売されるオイルなどから選ばれてよい。
【0146】
揮発性オイルとして、揮発性シリコーン、例えば揮発性の直鎖又は環状シリコーンオイルなど、特には8センチストークス(cSt)(8×10−6/s)以下の粘度を有し、特には2〜10のケイ素原子、特には2〜7のケイ素原子を有するそれらなどであり、これらのシリコーンは任意的に1〜10の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を含む。本発明において用いられうる揮発性シリコーンオイルは、特に、5〜6cStの粘度を有するジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物を包含する。
【0147】
揮発性フッ素オイル、例えばノナフルオロメトキシブタン又はパーフルオロメチルシクロペンタン、及びそれらの混合物などを使用することも可能である。
【0148】
不揮発性オイル
【0149】
不揮発性オイルは特には、不揮発性の炭化水素オイル、フッ化オイル及び/又はシリコーンオイルから選ばれうる。
【0150】
不揮発性炭化水素オイルとして、
動物由来の炭化水素オイル、
植物由来の炭化水素オイル、例えばフィトステアリルエステル、例えばフィトステアリルオレエート、フィトステアリルイソステアレート及びラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリルグルタメート(味の素株式会社、Eldew PS203)、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド(特には該脂肪酸がC〜C36、特にはC18〜C36の鎖長を有しうる、これらの油について直鎖又は分枝状、及び飽和又は不飽和であることも可能である);これらの油は特には、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、あるいはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、STEARINERIES DUBOISにより販売されるそれら又はDYNAMIT NOBELにより名称MIGLYOL810(商標)、812(商標)及び818(商標)下で販売されるそれらでありうる、
10〜40の炭素原子を含む合成エーテル、例えばジカプリルエーテルなど;
合成エステル、例えば式RCOORのオイル、ここでRは1〜40の炭素原子を含む直鎖又は分枝状脂肪酸残基を表し及び、Rは1〜40の炭素原子を含む炭化水素鎖、特には分枝鎖を表す、ただしR+Rが≧10であることを条件とする。該エステルは特には、アルコール脂肪酸のエステルから選ばれてよく、例えば:
・セトステアリルオクタノエート、イソプロピルアルコールのエステル、例えばイソプロピルミリステート又はイソプロピルパルミテート、エチルパルミテート、2−エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルステアレート、オクチルステアレート、ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、アルコール若しくはポリアルコールリシノールエート、ヘキシルラウレート、ネオペンタン酸エステル、例えばイソデシルネオペンタノエート及びイソトリデシルネオペンタノエート、及びイソノナン酸エステル、例えばイソノニルイソノナノエート及びイソトリデシルイソノナノエート、
ポリオールエステル及びペンタエリトリトールエステル、例えばジペンタエリトリトールテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレートなど、
12〜26の炭素原子を含む分枝状及び/又は不飽和の炭素鎖を有する、環境温度で液体である脂肪アルコール、例えば2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオレイルアルコールなど、
12〜C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸、及びそれらの混合物など、並びに
ジアルキルカーボネート、2つのアルキル鎖は同一であってよく又は異なってよい、例えばCOGNISにより名称CETIOL CC(商標)下で販売されるジカプリリルカーボネートなど、
−高いモル質量のオイル、特には約400〜約2000g/mol、特には650〜1600g/molのモル質量を有するオイル。本発明において用いられうる、高いモル質量のオイルとして、特には、
a)エステル、例えば:
・35〜70の合計炭素数を有する直鎖脂肪酸のエステル、例えばペンタエリトリチルテトラペラルゴネートなど、
・ヒドロキシル化エステル、例えばポリグリセリル−2 トリイソステアレートなど、
・芳香族エステル、例えばトリデシルトリメリテートなど、
・C24〜C28の分枝状脂肪酸又は脂肪アルコールのエステル、例えば米国特許第6,491,927号明細書に記載されたそれらなど、及びペンタエリトリトールエステル、及び特には、トリイソアラキジルシトレート、グリセリルトリイソステアレート、グリセリル 2−トリデシルテトラデカノエート、ポリグリセリル−2 テトライソステアレート又はペンタエリトリチル 2−テトラデシルテトラデカノエート、
b)シリコーンオイル、例えばフェニルシリコーン、例えばWacker社からのBelsil PDM 1000(MM=9000g/mol)など。本発明に従う組成物において用いられうる他の不揮発性シリコーンオイルは、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってよく、PDMSは、ペンダントであり及び/又はシリコーン鎖の末端にあるアルキル基又はアルコキシ基を含み、これらの基はそれぞれ2〜24の炭素原子を含む、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及び100cSt以下の粘度を有するジメチコン又はフェニルトリメチコン、並びにそれらの混合物など、
から選ばれるオイルが言及され、
並びに、これらのさまざまなオイルの混合物も言及されうる。
【0151】
一つの実施態様において、本発明の組成物は有利に、シリコーンオイル、より特には環状シリコーンオイル、及び/又は鉱油、及び/又は植物から直接に得られない又は植物由来でない分枝状揮発性アルカン、例えばイソドデカン又はイソパラフィンなど、を該組成物の合計重量に対し、10重量%未満、あるいは5重量%未満さえ、あるいは2重量%未満さえ含みうるか、あるいは欠きさえしうる。
【0152】
他の実施態様において、本発明の組成物は、該組成物の炭化水素オイルの合計重量に対し、少なくとも20重量%の揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含みうる。
【0153】
一つの実施態様において、本発明の組成物は、該組成物の炭化水素オイルの合計重量に対し、少なくとも30%、あるいは少なくとも40%、特には少なくとも50%、特には少なくとも60%、より特には少なくとも70%、より特には少なくとも80%、少なくとも90%又は100%の揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含みうる。
【0154】
炭化水素オイルの合計重量に対し100%の揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含む、本発明に従う組成物は、揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒から専らなる炭化水素オイルを含む。
【0155】
一つの変形の実施態様において、本発明に従う組成物は、該組成物の炭化水素に基づくオイルの合計重量に対して、特には飽和した炭化水素に基づくオイルの合計重量に対して、好ましくは非ポリマー状の飽和した炭化水素に基づくオイルの合計重量に対して、少なくとも20%の揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含みうる。
【0156】
一つの実施態様において、本発明の組成物は、該組成物の炭化水素に基づくオイルの合計重量に対して、特には飽和した炭化水素に基づくオイルの合計重量に対して、好ましくは非ポリマー状の飽和した炭化水素に基づくオイルの合計重量に対して、少なくとも30%あるいは少なくとも40%、特には少なくとも50%、特には少なくとも60%、より特には少なくとも70%、より特には少なくとも80%、少なくとも90%又は100%の、揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含みうる。
【0157】
一つの変形の実施態様において、前の実施態様において考慮された炭化水素に基づくオイルは、650g/molより小さい、特には400g/molより小さいモル質量を表しうる。
【0158】
炭化水素に基づくオイル、又は飽和した炭化水素に基づくオイル、又は非ポリマー状の飽和した炭化水素に基づくオイルの合計重量に対して100%の揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含む本発明の組成物は、揮発性直鎖アルカン及び/又は揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒から専ら構成される、炭化水素に基づくオイル、又は飽和した炭化水素に基づくオイル、又は非ポリマー状の飽和した炭化水素に基づくオイルの相を含む。
【0159】
親油性構造化剤(structuring agent)
【0160】
本発明に従う組成物は、ワックス及びペースト状化合物並びにそれらの混合物から選ばれる、液状脂肪相を構造化するための少なくとも1つの剤を含みうる。
【0161】
本発明に従う組成物は、該組成物の合計重量に対して、0.1重量%〜20重量%の量の液状脂肪相を構造化するための剤を含んでよく、特には、該組成物の合計重量に対して、0.3〜15重量%の液状脂肪相を構造化するための剤、より特には0.5〜10重量%の液状脂肪相を構築するための剤を含みうる。
【0162】
ワックス
【0163】
本発明の組成物は、少なくとも1つのワックスを含みうる。
【0164】
本発明にとって適当なワックスは、一般に、環境温度(25℃)で固体であり且つ、30℃以上、200℃まででありうる、特には120℃までの融点を有する親油性化合物である。
【0165】
ワックスを液体状態(融解している)にすると、それをオイルと混和性にすることができ、及び、肉眼的に均質な混合物を形成することが可能であるが、該混合物の温度を環境温度に戻すと、該混合物の該オイル中の該ワックスの再結晶化が得られる。
【0166】
本発明にとって適当なワックスは、45℃以上の融点を有し、特には55℃以上の融点を有しうる。
【0167】
本発明の目的の為に、融点は、ISO標準11357−3;1999に記載されたとおりの熱分析(DSC)により観察される最大の吸熱ピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社により名称「MDSC 2920」下で販売される熱量計など、を用いて測定されることができる。
【0168】
本発明の組成物において用いられうるワックスは、環境温度で固体であるワックスから選ばれうる。
【0169】
特には、本発明にとって適当なワックスは、動物由来、植物由来、鉱物由来又は合成由来のワックス、並びにそれらの混合物から選ばれうる。
【0170】
1つの変形の実施態様において、植物由来のワックスが好ましい。
【0171】
本発明にとって適当なワックスの説明のために、炭化水素ワックス、例えばビーズワックス、ラノリンワックス及びイボタワックス(Chinese insect wax);米ぬかワックス、カルナバワックス、カンデリラワックス、オウリキュリーワックス(ouricury wax)、エスパルトワックス、ベリーワックス、シェラックワックス、モクロウ(Japan wax)、及びハゼの木モクロウ(sumac wax);モンタンワックス、オレンジ及びレモンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン及びオゾケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ合成により得られるワックス、及びロウ状コポリマー(waxy copolymer)、並びにそれらのエステルが特に言及されうる。
【0172】
20〜C60マイクロクリスタリンワックス、例えばMicrowax HWなど、も言及されうる。
【0173】
Permalen 50−L polyethyleneとして販売されるMW 500 ポリエチレンワックスも言及されうる。
【0174】
直鎖又は分枝状C〜C32脂肪鎖を有する動物性オイル又は植物性オイルの接触水素化により得られるワックスも言及されうる。
【0175】
これらのうち、特には異性化ホホバ油、例えば商業上の参照番号Iso−Jojoba−50(商標)下でDesert Whale社により製造され又は販売されるtrans異性化部分水素化ホホバ油など、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化コプラ油、水素化ラノリン油及び、Heterene社により名称Hest 2T−4S(商標)下で販売されるジ(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラステアレートが言及されうる。
【0176】
シリコーンワックス(C30〜45アルキルジメチコン)及びフッ素化ワックスも言及されうる。
【0177】
セチルアルコールによりエステル化されたヒマシ油の水素化により得られたワックスも使用されてよく、これはSophim社により名称Phytowax ricin 16L64(商標)及び22L73(商標)下で販売される。そのようなワックスは、仏国特許出願公開第2792190号明細書に記載されている。
【0178】
ワックスとして、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基が20〜40の炭素原子を含む)が、単独で又は混合物として、用いられうる。
【0179】
そのようなワックスは特に、Koster Keunen社により名称Kester Wax K82P(商標)、Hydroxypolyester K82P(商標)及びKester Wax K80P(商標)下で販売される。
【0180】
一つの実施態様において、本発明の組成物は有利に、該組成物の合計重量に対して10重量%未満のシリコーンワックス及び/又はミネラルワックスを含んでよく、あるいは該組成物の合計重量に対して5重量%未満さえ、あるいは2重量%未満さえのシリコーンワックス及び/又はミネラルワックスを含んでよく、あるいはシリコーンワックス及び/又はミネラルワックスを欠きさえしてよい。
【0181】
ペースト状化合物
【0182】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのペースト状化合物を含みうる。
【0183】
ペースト状化合物の存在は、本発明の組成物がケラチン物質に施与されるとき、改善された快適さを与えることを有利に可能にしうる。
【0184】
そのような化合物は有利に、
−ラノリン及びそれらの誘導体、
−ポリマー状の又は非ポリマー状のシリコーン化合物、
−ポリマー状の又は非ポリマー状のフッ素化化合物、
−ビニルポリマー、特には:
・オレフィンホモポリマー、
・オレフィンコポリマー、
・水素化ジエンホモポリマー及びコポリマー、
・好ましくはC〜C30アルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレートの直鎖状又は分枝状の且つホモポリマー又はコポリマーのオリゴマー、
・C〜C30アルキル基を有するビニルエステルのホモポリマー及びコポリマーのオリゴマー、
・C〜C30アルキル基を有するビニルエーテルのホモポリマー及びコポリマーのオリゴマー、
−1以上のC〜C100、より特にはC〜C50のジオールの間でのポリエーテル化から得られる脂溶性ポリエーテル、
−脂肪酸又はアルコールエステル、
−並びにそれらの混合物、
から選ばれうる。
【0185】
該エステルのうち、
−オリゴマーのグリセロールのエステル、特にはジグリセロールのエステル、特にはアジピン酸の縮合物及びグリセロールの縮合物(該グリセロールのヒドロキシル基の一部は脂肪酸の混合物と反応した)、例えばステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸及び12−ヒドロキシステアリン酸、特にはSosal社によりSoftisan 649商標下で販売されるそれらなど、又はビスジグリセリルポリアシルアジペート−2など、
−AlzoによりWaxenol 801商標下で販売されるアラキジルプロピオネート、
−フィトステロールエステル、
−脂肪酸のトリグリセリド及びそれらの誘導体、例えば水素化ココグリセリドなど、
−直鎖又は分枝状C〜C50ジカルボン酸又はポリカルボン酸とC〜C50ジオール又はポリオールとの間の重縮合から得られる非架橋のポリエステル、
−脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルと脂肪族カルボン酸とのエステル化から得られるエステルの脂肪族エステル、
−並びにそれらの混合物、
が特に言及されうる。
【0186】
一つの実施態様において、本発明の組成物は有利に、該組成物の合計重量に対して、10重量%未満のペースト状シリコーン化合物及び/又はペースト状フッ素化合物を含んでよく、あるいは該組成物の合計重量に対し5重量%未満さえの、あるいは2重量%未満さえのペースト状シリコーン化合物及び/又はペースト状フッ素化合物を含んでよく、あるいはペースト状シリコーン化合物及び/又はペースト状フッ素化合物を欠きさえしてよい。
【0187】
ゲル化剤
【0188】
組成物の得ることが望まれる流動性に従い、本発明の組成物に、1以上のゲル化する剤又はゲル化剤、特には親水性、すなわち水に可溶性又は分散性であるゲル化剤、を組み込むことも可能である。
【0189】
親水性ゲル化剤はより特には、水溶性又は水分散性の濃化性ポリマー(thickening polymer)を含みうる。これらは特には以下から選ばれうる:修飾又は非修飾のカルボキシビニルポリマー、例えばGoodrichにより名称Carbopol(CTFA名:カルボマー)下で販売される製品など;ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えばGUARDIANにより名称Lubrajel及びNorgel下で又はHispano Chimicaにより名称Hispagel下で販売される製品など;ポリアクリルアミド;任意的に架橋され及び/又は中和された、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のポリマー及びコポリマー、例えばClariantにより名称Hostacerin AMPS下で販売されるポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウルアミド);アクリルアミド及びAMPSの架橋した陰イオン性コポリマー、W/Oエマルジョンの形をとる、例えば名称Sepigel305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13−14イソパラフィン/ラウレス−7)及び名称Simulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)下でSEPPICにより販売されるそれらなど:多糖類バイオポリマー、例えばキサンタンガム、グアーガム、キャロブガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチン誘導体及びキトサン誘導体、カラギーナン、ゲラン、アルギネート、セルロース、例えば微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなど;並びにそれらの混合物。
【0190】
親油性ゲル化剤は例えば、修飾されたクレー、例えば修飾されたマグネシウムシリケート(RheoxからのBentone Gel VS38)、Rheoxにより名称Bentone 38下で販売される、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドにより修飾されたヘクトライト(CTFA名:Disteardimonium hectorite)など、を含む。
【0191】
着色剤
【0192】
本発明に従う組成物はさらに、少なくとも1つの着色剤を含みうる。
【0193】
本発明に従う化粧料組成物は有利に、有機的又は無機的な着色剤、特には、特定の光学的効果を有する、脂溶性又は水溶性化粧料組成物又は材料中に慣用的に用いられる顔料タイプ又は真珠層(nacre)タイプのそれら、並びにそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの着色剤を組み込みうる。
【0194】
本発明に従う組成物は有利に、少なくとも1つの顔料をさらの含みうる。
【0195】
顔料により、水性溶液中で不溶性である、白の又は色のついた有機的又は無機的な粒子が意味され、及び、得られたフィルムを着色し及び/又は不透明にするために意図される。
【0196】
該顔料は、該化粧料組成物に合計重量に対し、0.01〜40重量%、特には0.1〜20重量%、特には1〜15重量%の割合で存在しうる。
【0197】
本発明において有用な無機顔料は、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、及び酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、フェリックブルー(ferric blue)、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー及び水酸化クロムを包含する。
【0198】
問題の顔料は、例えばセリサイト/ブラウンアイアンオキシド(brown iron oxide)/二酸化チタン/シリカタイプのものでありうる構造を有する顔料でもよい。この種の顔料は例えば、Chemicals and CatalystsによりCoverleaf NS又はJSとして販売され、そして、約30の隠ぺい率(contrast ratio)を有する。
【0199】
該着色剤は、例えば、酸化鉄を含むシリカミクロスフィアのタイプでありうる構造を有する顔料を含みうる。この構造を有する顔料の例は、Miyoshiにより、PC Ball PC−LL−100Pとして販売されるものであり、この顔料は黄酸化鉄を含むシリカミクロスフィアから構成される。
【0200】
本発明において用いられうる有機顔料は、カーボンブラック、D&C顔料、コチニールカーマインに基づくレーキ、バリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムに基づくレーキ、又は欧州特許出願公開第542669号明細書、欧州特許出願公開第787730号明細書、欧州特許出願公開第787731号明細書及び国際公開第96/08537号パンフレットに記載されたジケトピロロピロール(DPP)を包含する。
【0201】
「真珠層」又は「真珠光沢顔料」により、特には殻中の或る軟体動物により生産され、若しくは合成され、且つ光学的緩衝により色彩効果を示す、任意の形の、玉虫色の若しくは非玉虫色の、着色した粒子が意味される。
【0202】
該真珠層は、真珠光沢顔料、例えば酸化鉄により被覆された雲母チタン、ビスマスオキシクロリドにより被覆された雲母チタン、酸化クロムにより被覆された雲母チタン、有機染料により被覆された雲母チタンなど、並びに、ビスマスオキシクロリドに基づく真珠光沢顔料から選ばれうる。該真珠光沢顔料は、金属酸化物及び/又は有機着色剤の少なくとも2つの連続する層がある表面に重ねられている雲母粒子も含みうる。
【0203】
真珠層の例として、酸化チタンにより、酸化鉄により、天然顔料により又はビスマスオキシクロリドにより被覆された天然の雲母も言及されうる。
【0204】
市場で入手可能な真珠層のうち、(雲母に基づく)Timica、Flamenco及びDuochrome(これらはEngelhardにより販売される)が言及されてよく、、Merckにより販売されるTimiron真珠層が言及されてよく、Eckartにより販売される雲母に基づくPrestige真珠層が言及されてよく、及びSun Chemicalにより販売される合成の雲母に基づくSunshine真珠層が言及されてよい。
【0205】
該真珠層はより特には、黄、ピンク、赤、ブロンズ、オレンジ、ブラウン、ゴールド及び/又は銅の色又は輝きを有しうる。
【0206】
本発明の文脈において採用されうる真珠層の説明により、特にはEngelhardにより特には名称Brilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)下で販売される金色の真珠層;特にはMerckにより名称Bronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)下で並びにEngelhardにより名称Super bronze(Cloisonne)下で販売されるブロンズの真珠層;特にはEngelhardにより名称Orange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)下で並びにMerckにより名称Passion orange(Colorona)及びMatt orange(17449)(Microna)下で販売されるオレンジの真珠層;特にはEngelhardにより名称Nu−antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)下で販売される茶の色合いの真珠層;特にはEngelhardにより名称Copper 340A(Timica)下で販売される銅の輝きの真珠層;特にはMerckにより名称Sienne fine(17386)(Colorona)下で販売される赤の輝きの真珠層;特にはEngelhardにより名称Yellow(4502)(Chromalite)下で販売される黄の輝きの真珠層;Engelhardにより名称Sunstone G012(Gemtone)下で販売される金の輝きで赤の色合いの真珠層;特にはEngelhardにより名称Tan opal G005(Gemtone)下で販売されるピンクの真珠層;特にはEngelhardにより名称Nu antique bronze 240 AB(Timica)下で販売される金の輝きの黒い真珠層、特にはMerckにより名称Matt blue(17433)(Microna)下で販売される青の真珠層、特にはMerckにより名称Xirona Silver下で販売される銀の輝きの白い真珠層、並びに特にはMerckにより名称Indian summer(Xirona)下で販売される緑−金色のピンクがかったオレンジの真珠層、並びにそれらの混合物が言及されうる。
【0207】
本発明に従う化粧料組成物は、水溶性の又は脂溶性の染料も含みうる。該脂溶性染料は例えば、Sudan Red、DC Red 17、DC Green 6、β−カロテン、Sudan Brown、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC orange 5、及びキノリンイエローも含みうる。例えば、該水溶性染料はビートルートジュース及びカラメルでありうる。
【0208】
本発明に従う化粧料組成物は、特定の光学的効果を有する少なくとも1つの物質も含みうる。
【0209】
この効果は、単純で慣用の色合い効果−すなわち例えば単色顔料などの慣用の着色剤により生成される種類の統一され且つ固定化された効果と異なる。本発明の意味において、「固定化した」は、観察の角度による色の変動性又は温度変化に応答した色の変動性の効果の欠如を意味する。
【0210】
例えば、この物質は、金属的な輝きを有する粒子、ゴニオクロマチック(goniochromatic)着色剤、回折顔料、サーモクロミック剤、光学的光沢剤及び、特には干渉タイプの、繊維から選ばれうる。これらの種々の物質は、本発明に従う、2つの効果、又は新たな効果さえの同時の発現を得るように組み合わせられうる。
【0211】
本発明において用いられうる金属的な輝きの粒子は特には、
−少なくとも1つの金属の粒子及び/又は少なくとも1つの金属誘導体の粒子、
−少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの金属誘導体を含む少なくとも1つの金属的輝き層により少なくとも部分的に被覆された、単独の物質の又は複数の物質の、有機的又は無機的な基材を含む粒子;並びに
−該粒子の混合物、
から選ばれる。
【0212】
該粒子内に存在しうる金属のうち、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Se及びそれらの混合物又は合金が言及されうる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、Mo、Cr及びそれらの混合物又は合金(例えばブロンズ及び真ちゅう)が好ましい金属である。
【0213】
「金属の誘導体」により、金属に由来する化合物、特には酸化物、フッ化物、塩化物及び硫化物が意味される。
【0214】
これらの粒子の説明により、アルミニウム粒子、例えば、Silberlineにより名称Starbrite 1200 EAC(商標)下で、及びEckartによりMetalure(商標)下で販売されるそれらなど、が言及されうる。
【0215】
銅の金属粉又は合金混合物の金属粉も言及されてよく、例えばRadium Bronzeにより販売される参照番号2844など、金属顔料、例えばアルミニウム又はブロンズなど、例えばEckart社から名称Rotosafe 700下で販売されるそれら、Eckart社から名称Visionaire Bright Silver下で販売されるシリカにより覆われたアルミニウム粒子、及びEckart社から名称Visionaire Bright Natural Gold下で販売されるシリカにより覆われたブロンズ(銅及び亜鉛の合金)粉などの金属合金粒子、が言及されうる。
【0216】
問題の粒子は、ガラス基材を含む粒子であってよく、例えば日本板硝子株式会社により名称Microglass Metashine下で販売されるそれらなどである。
【0217】
該ゴニオクロマチック着色剤は例えば、多層干渉構造物及び液晶着色剤から選ばれうる。
【0218】
本発明に従い調製される組成物において用いられうる対称的な多層干渉構造物の例は、例えば以下の構造物である:Al/SiO/Al/SiO/Al、Dupont de Nemours社により販売されているこの構造を有する顔料;Cr/MgF/Al/MgF/Cr、Flex社により名称Chromaflair下で販売されているこの構造を有する顔料;MoS/SiO/Al/SiO/MoS;Fe/SiO/Al/SiO/Fe及びFe/SiO/Fe/SiO/Fe、BASF社により名称Sicopearl下で販売されているこれらの構造を有する顔料;MoS/SiO/酸化雲母/SiO/MoS;Fe/SiO/酸化雲母/SiO/Fe;TiO/SiO/TiO及びTiO/Al/TiO;SnO/TiO/SiO/TiO/SnO;Fe/SiO/Fe;SnO/雲母/TiO/SiO/TiO/雲母/SnO、Merck社(Darmstadt)により名称Xirona(商標)下で販売されているこれらの構造を有する顔料。例により、これらの顔料は、Merck社により名称Xirona Magic下で販売されるシリカ/酸化チタン/酸化スズ構造の顔料、Merck社により名称Xirona Indian Summer下で販売されるシリカ/ブラウンアイアンオキシド構造の顔料及びMerck社により名称Xirona Caribbean Blue下で販売されるシリカ/酸化チタン/マイカ/酸化スズ構造の顔料でありうる。株式会社資生堂からのInfinite Colors顔料も言及されうる。多様な層の粘度及び性質に依存して、種々の効果が得られる。すなわち、Fe/SiO/Al/SiO/Fe構造により、320〜350nmのSiO層についての緑−金から赤−グレーへ色が変化し;380〜400nmのSiO層についての赤から金へ色が変化し;410〜420nmのSiO層についての紫から緑へ色が変化し;430〜440nmのSiO層についての銅から赤へ色が変化する。
【0219】
言及されうるポリマー状の多層構造を有する顔料の例は、3M社により名称Color Glitter下で販売されるそれらを包含する。
【0220】
用いられうる液晶ゴニオクロマチック粒子の例は、Chenix社により販売されるそれら、及びWacker社により名称Helicone(商標)下で販売される製品も含む。
【0221】
フィラー
【0222】
本発明に従う組成物は、炭酸カルシウムに加えて、有機的又は無機的な性質の少なくとも1つのフィラーも含みうる。
【0223】
語「フィラー」は、色が無い又は白い、任意の形の固体の粒子を意味すると理解されるべきであり、これは該組成物の媒体に不溶性であり且つ分散した形にある。本来的に無機的又は有機的であることにより、それらは、メイクアップに対する柔軟性、マットさ及び均一性を該組成物に授けることを可能にする。
【0224】
本発明に従う組成物において用いられるフィラーは、層状、球状若しくは球の形、繊維の形、又はこれら示された形の間の中間の任意の他の形でありうる。
【0225】
本発明に従うフィラーは、表面が被覆されていてよく又は被覆されていなくてもよく、そして特にはそれらは、シリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体又は、本組成物中のフィラーの分散及び相溶性を増す任意の他の物質により表面処理されてよい。
【0226】
本発明の目的の為に、語「ミネラルフィラー」及び「無機的フィラー」は交換可能に用いられる。
【0227】
本発明に従う組成物中に用いられうる該ミネラルフィラーのうち、タルク、マイカ、シリカ、トリメチルシロキシシリケート、カオリン、ベントン、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、亜硝酸ホウ素、中空シリカミクロスフィア(MaprecosからのSilica Beads)、ガラス又はセラミックミクロカプセル、シリカに基づくフィラー、例えばAerosil 200、Aerosil 300;旭硝子株式会社により販売されるSunsphere H−33、Sunsphere H−51;Asahi Chemicalにより販売されるChemicelen;シリカの複合物及び二酸化チタンの複合物、例えば日本板硝子株式会社により販売されるTSGシリーズなど、並びにそれらの混合物が言及されうる。
【0228】
本発明に従う組成物において用いられうる有機的フィラーのうち、ポリアミド粉(AtochemからのNylon(商標) Orgasol)、ポリ−b−アラニン粉及びポリエチレン粉、ポリテトラフルオロエチレン粉(Teflon(商標))、ラウロイルリシン、デンプン、テトラフルオロエチレンポリマー粉、中空ポリマーミクロスフィア、例えばExpancel(Nobel Industrie)など、8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を含む有機カルボン酸に由来する金属せっけん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、Polypore(商標)L 200(Chemdal Corporation)、シリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば株式会社東芝からのTospearl(商標))、ポリウレタン粉、特にはコポリマーを含む架橋したポリウレタンの粉、該コポリマーはトリメチロールヘキシルラクトンを含む、が言及されうる。特に、それはヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンのポリマーでありうる。そのような粒子は特には、市販入手可能であり、例えばToshiki社からの名称Plastic Powder D−400(商標)又はPlastic Powder D−800(商標)下で市販入手可能であり、カルナウバミクロワックス、例えばMicro Powderにより名称MicroCare 350(商標)下で販売されるものなど、合成のワックス ミクロワックス、例えばMicro Powdersにより名称MicroEase 114S(商標)下で販売されるものなど、カルナウバサックス及びポリエチレンワックスの混合物から構成されるミクロワックス、例えばMicro Powdersにより名称Micro Care 300(商標)及び310(商標)下で販売されるものなど、カルナウバワックス及び合成のワックスの混合物から構成されるミクロワックス、例えばMicro Powdersにより名称Micro Care 325(商標)下で販売されるものなど、ポリエチレンミクロワックス、例えばMicro Powdersにより名称Micropoly 200(商標)、220(商標)、220L(商標)及び250S(商標)下で販売されるものなど、並びに、ポリテトラフルオロエチレンミクロワックス、例えばMicro Powdersにより名称Microslip 519(商標)及び519L(商標)下で販売されるものなど、並びにそれらの混合物でありうる。
【0229】
天然のミクロワックス又は天然由来のミクロワックスが好ましく、例えばカルナウバミクロワックスなどが好ましい。
【0230】
活性物
【0231】
本発明の組成物はさらに、少なくとも1つの化粧用活性物及び/又は1つの皮膚科学的活性物を含みうる。
【0232】
本発明にとって適当な化粧及び/又は皮膚科学的活性物の非限定的な例は、以下の剤から選ばれる活性物を包含する:
−湿潤剤、剥離剤(desquamant)、バリア機能増強剤、脱色素剤、抗酸化剤、皮膚脱収縮剤(dermodecontracting agent)、抗糖化剤、真皮の及び/若しくは表皮の巨大分子の合成を刺激し並びに/又はそれらの減成を防ぐ剤、線維芽細胞又はケラチノサイトの増殖及び/又はケラチノサイトの分化を刺激する剤、角質エンベロープの成熟を促進する剤、NO合成インヒビター、末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)アンタゴニスト、皮脂腺性の腺の活性を増す剤、細胞のエネルギー代謝を刺激する剤、テンショニング剤(tensioning agent)、脂肪再構築剤、痩身剤、皮膚の微小循環を促進する剤、沈静効果剤及び/又は抗刺激剤、皮脂調節剤又は抗脂漏剤、収れん剤、瘢痕形成治療剤、抗炎症剤、ツヤ消し剤、ソフトフォーカス効果フィラー、蛍光剤、皮膚の自然なピンクがかった色を促進する剤、研磨フィラー又は剥離フィラー、抗微生物剤、及び鎮静剤、抗NO剤、フリーラジカルスカベンジャー又は防汚剤、日焼け止め剤、ビタミン、例えばトコフェロールなど、並びにそれらの混合物。
【0233】
本発明にとって適当な化粧用及び/又は皮膚科学的活性物は特には、欧州特許出願公開第1 847 247号明細書において言及された剤から選ばれうる。
【0234】
一つの実施態様において、ケラチン物質、特には体の皮膚若しくは唇の日焼け防止の為に意図される本発明の組成物はより特には、日焼け止め剤として、例えば国際公開第93/04665号パンフレットに記載されたような、桂皮酸の誘導体、サリチル酸の誘導体、ショウノウ誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β−ジフェニルアクリレート誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、日焼け止めポリマー及び日焼け止めシリコーンを含みうる。
【0235】
さらに、本発明の組成物は、皮膚の為の日焼け剤及び/又は人工日焼け剤、例えばジヒドロキシアセトン(DHA)など、を含みうる。
【0236】
ケラチン物質に対する所望の効果に応じて該活性又は活性物及びそれらの量を選択すること、及び本発明の組成物の化粧特性に対する有害な効果を何ら引き起こさないようにすることは、当技術分野の当業者の能力の一部である。
【0237】
添加物
【0238】
本発明に従う化粧料組成物は、例えば、フィルム形成剤及び、必要に応じて、フィルム形成補助剤、粘性物質(gum)、半結晶性ポリマー、抗酸化剤、精油、保存料、香料、中和剤、防腐剤、抗UV保護剤、及びそれらの混合物から選ばれる、検討中の当技術分野で通常用いられる任意の添加物を含んでよい。
【0239】
当技術分野の当業者は、通常の操作により、本発明に従う組成物中に存在する添加物の性質及び量を調節することができ、その結果、これらの組成物にとって望ましい化粧用特性及び安定特性はそれによって影響されない。
【0240】
本発明に従う組成物は特には、皮膚又は唇のメイクアップ及び/又はケアの組成物の形、特にはリップスティック又はリップバームの形にありうる。
【0241】
一つの実施態様において、本発明の組成物は有利には、ファンデーションの形をとりうる。
【0242】
本発明の組成物は、当技術分野の当業者に既知の任意の調製方法により得られうる。
【0243】
本発明は、以下の実施例によって、より明白に理解されるであろう。
【0244】
該実施例は、本発明の説明のためだけに提示され、そして、それらの範囲を限定するとして解釈されるべきでない。
【0245】
実施例
【0246】
実施例1〜3
【0247】
以下の3つのファンデーションの例は、組成物の安定性に対する、本発明の揮発性直鎖アルカン(実施例2)の影響及び炭酸カルシウム(実施例3)の影響を示す。
【0248】

【0249】
手順
【0250】
フェーズA1の成分がメインビーカー中に量りとられ、次に、これが、攪拌(バーマグネット、250rpm)と加熱(90℃)を伴う、マグネチック攪拌プレート上に置かれる。
【0251】
フェーズA2及びA3が添加され、攪拌及び加熱が均一な混合物が得られるまで維持される。
【0252】
フェーズA4が、三本ロールミル(triple-roll mill)上で該混合物(顔料/ジカプリルエーテル)を挽くことにより別に調製され、次に該フェーズが、Mortiz(1500rpm)を用いた攪拌とともに、該メインビーカーに添加される。
【0253】
最後に、フェーズA5、A6及びA7が導入される。
【0254】
フェーズB(水性相)が、加熱された該水を95℃で該グリセロールに添加することにより調製される。該塩化ナトリウム及び該ソルビトールが組み込まれる。該ベンジルアルコールが次に、40℃より低い温度で導入される。
【0255】
乳化は環境温度で起こる:該水性相が、該脂肪相に注がれ、該攪拌速度は徐々に4500rpmに増加される。攪拌は10分間維持される。
【0256】
フェーズCが添加され、該フェーズの全てが組み込まれるまで攪拌が維持される。
【0257】
安定性測定
【0258】
該エマルジョンの安定性が、前に示されたとおり、回転するオーブンを用いて測定される。
【0259】
より特には、該ファンデーションが、不浸透性の30mlピルボックス(pill box)中に置かれ、これは次にVoetch VT4004である回転するオーブン中に置かれる。
【0260】
該オーブンは、−20℃〜+20℃の逐次のサイクルを実施する為にプログラムされる。1つのサイクルは24時間続き、以下のとおりに細分化される:20℃の温度での6時間、次に−20℃への温度低下の6時間、次に−20℃の温度での6時間、そして最後に+20℃への温度上昇の6時間。
【0261】
夫々のサイクルに続き、肉眼での及び顕微鏡的な産物の外見が評価される。
【0262】
結果
【0263】
例1、2及び3の配合物の夫々に対応する安定性結果が以下の表1に報告される:

【0264】
結果は、本発明に従うエマルジョンが、他のエマルジョンの安定性と比較して増大された安定性を有することを示す。
【0265】
実施例4
【0266】
以下のファンデーションの実施例は、組成物の安定性に対する、フィラーの性質の効果及び炭酸カルシウムの優越の効果(実施例1上記)を示す。
【0267】

【0268】

【0269】
手順
該組成物は上記に示されたとおりに調製される。
【0270】
安定性測定
エマルジョンの安定性は、上記に記載されたとおりに、回転するオーブンを用いて測定される。
【0271】
結果
例1及び4に夫々対応する安定性結果が、以下の表に報告される:

【0272】
結果は、本発明のエマルジョンが増大した安定性を有することを示す。
【0273】
例5:
【0274】
ファンデーション−W/Oエマルジョン

【0275】
手順
【0276】
フェーズA1の成分がメインビーカー中に量りとられ、これが次に、攪拌(バーマグネット、250rpm)と加熱(90℃)を伴う、マグネチック攪拌プレート上に置かれる。
【0277】
フェーズA2及びA3が添加され、攪拌及び加熱が均一な混合物が得られるまで維持される。
【0278】
フェーズA4が、三本ロールミル(triple-roll mill)上で該混合物(顔料/ジカプリルエーテル)を挽くことにより別に調製され、次に該フェーズが、Mortiz(1500rpm)を用いた攪拌とともに、メインビーカーに添加される。その後、フェーズA4、A5、A6及び、最後にA7が、該存在する成分に添加される。
【0279】
フェーズB(水性相)が、加熱された該水を95℃で該グリセロールに添加することにより調製され、そして、該塩化ナトリウム及び該ソルビトールが組み込まれる。該ベンジルアルコールが次に、40℃より低い温度で導入される。
【0280】
乳化は環境温度で起こる:該水性相が、該脂肪相に注がれ、該攪拌速度は徐々に4500rpmに増加される。
【0281】
攪拌は10分間維持される。
【0282】
次に、フェーズCが添加され、そして最後に、フェーズDが添加される;攪拌は、Dが完全に組み込まれるまで維持される。
【0283】
例6:
【0284】
ファンデーション−W/Oエマルジョン
【0285】

【0286】
手順
該組成物は例5に示されたとおりに調製される。
【0287】
例7:
【0288】
ファンデーション−W/Oエマルジョン
【0289】

【0290】
手順
該組成物は例5に示されたとおりに調製される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの水性相と少なくとも1つの脂肪相とを含むエマルジョンの形の化粧料組成物であって、該脂肪相が少なくとも1つの植物オイルを含み、且つ該組成物がC〜C15の揮発性直鎖アルカンタイプの少なくとも1つの揮発性溶媒および少なくとも1つの炭酸カルシウムを含む上記化粧料組成物。
【請求項2】
該揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒が10〜15の炭素原子を含む少なくとも1つの揮発性直鎖アルカンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒が、n−ノナン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの揮発性直鎖アルカンを含む、請求項1又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
該組成物の合計重量に対し、0.5〜90重量%の揮発性直鎖アルカンタイプの揮発性溶媒を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
該炭酸カルシウムが、0.1〜20μmの平均サイズを有する粒子の形にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
該組成物の合計重量に対し、0.1〜20重量%の炭酸カルシウムを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
該植物オイルが、アロエ油、スイートアーモンド油、桃仁油、ピーナツ油、アルガン油、アボカド油、キャンドルナッツ油、バオバブ油、ルリヂサ油、ブロッコリー油、カレンジュラ油、カメリア油、ニンジン油、ベニバナ油、ヘンプ油、菜種油、綿実油、コプラ油、マローシード油、小麦胚油、ホホバ油、シア油、アルファルファ油、ユリ油、マカダミア油、コーン油、メドウフォーム油、セイヨウオトギリソウ油、キビ油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、ナッツ油、オリーブ油、マツヨイグサ油、オオムギ油、パーム油、トケイソウ油、ポピー油、クロフサスグリ種子油、キウイ種子油、ブドウ種子油、ピスタチオ油、冬カボチャ油、カボチャ油、キノア油、ジャコウバラ油、ゴマ油、ライムギ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、及びスイカ油、及びそれらの混合物から選ばれるものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
該組成物の合計重量に対し、0.5〜80重量%の植物オイルを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
さらに少なくとも1つの着色剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
該組成物がファンデーションである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
〜C15の揮発性直鎖アルカンタイプの少なくとも1つの揮発性溶媒と少なくとも1つの炭酸カルシウムとを、少なくとも1つの植物オイルを含むエマルジョン中で一緒にする、増大した安定性をエマルジョンに与える方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に定義された組成物の少なくとも1つの層をケラチン物質に施与することを少なくとも含む、ケラチン物質のメイクアップ及び/又はケアの化粧方法。

【公開番号】特開2010−31008(P2010−31008A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−170170(P2009−170170)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】