説明

化粧料組成物

【課題】マルトオリゴ糖と、難水溶性の有効成分とを併用でき、該マルトオリゴ糖を析出させることなく安定に保存可能であり、抑痒効果や、男性型脱毛症及びストレス性脱毛症に優れた育毛効果を有する化粧料組成物の提供。
【解決手段】(A)有効成分と、(B)マルトオリゴ糖と、(C)一定の平均付加モル数のPOEを有するアルキルエーテル、並びに、一定の平均付加モル数のPOE及びPOPを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかと、(D)二塩基酸ジエステルと、一定の含有量の(E)エタノールとを少なくとも含有する化粧料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制汗剤、スキンローション、育毛剤、育毛ローション、育毛ジェル、育毛トニック、育毛スプレー、育毛トニックスプレーなどに好適に利用できる化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サブスタンスPは、哺乳動物の生体中に存在する11アミノ酸からなる神経ペプチドである。このサブスタンスPは、ストレスにより誘導され、喘息、痛み、咳、欝症状、偏頭痛、運動障害、嘔吐、不安などの多様な病態に関与していることが知られている。また、ヘアサイクルを休止期に誘導し、毛生長を抑制する作用(非特許文献1参照)、その局在や機能から、痒み、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬又は蕁麻疹などの皮膚疾患への関与も報告されている。
そして、生体内でサブスタンスPと高い親和性を示す受容体(receptor)としてNK1受容体(neurokinin 1 receptor)が同定されており、サブスタンスPは、NK1受容体と相互作用して細胞内シグナル伝達を引き起こす作動剤(アゴニスト:agonist)として作用していることが知られている(非特許文献2参照)。
【0003】
これに対して、マルトオリゴ糖は、サブスタンスPとNK1受容体との結合を拮抗、若しくは遮断しうる拮抗剤(アンタゴニスト:antagonist)として作用することが知られている(特許文献1〜2参照)。即ち、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬又は蕁麻疹、喘息、痒み、痛みなどの症状を改善若しくは予防することが可能である。
更に、マルトオリゴ糖と、男性型脱毛症に対応した育毛有効成分とを同時に製剤化できれば、ストレス性及び男性型脱毛症の両方の症例を改善若しくは予防することが可能となる。
したがって、マルトオリゴ糖は、育毛剤組成物や皮膚化粧料組成物に有効である。
【0004】
皮膚化粧料の有効成分としては、レチノール、β−グリチルレチン酸、酢酸トコフェロール、コエンザイムQ10、αリポ酸などが知られているが、これらは油溶性であることから高濃度のエタノール製剤である必要がある。男性型育毛剤の有効成分もまた油溶性であり、高濃度エタノール製剤であることが多い。
しかし、敏感肌等の症状を持つ消費者がアルコール製剤を使用した場合、アルコールの刺激によりかゆみを伴うことがあり、有用な皮膚化粧料の使用を中止せざるを得ない場合がある。
【0005】
そこで、NK1受容体拮抗剤であるマルトオリゴ糖を高エタノール化粧料(ローション、制汗剤等)に配合することができれば、アルコールなどの刺激による痒みが抑えられた皮膚化粧料組成物や、ストレス性の男性型脱毛症両方の症例に効果のある育毛剤組成物を提供することが可能となる。
【0006】
しかし、マルトオリゴ糖は、水溶性の物質であり水系媒体で安定な物質であるため、前記難水溶性の多く有効成分が含まれるエタノール製剤に可溶化することは非常に困難であった(特許文献2〜3参照)。
【0007】
したがって、マルトオリゴ糖と、難水溶性の有効成分とを併用でき、該マルトオリゴ糖を析出させることなく安定に保存可能であり、抑痒効果や、男性型脱毛症及びストレス性脱毛症に優れた育毛効果を有する化粧料組成物の提供が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開2008/047709号明細書
【特許文献2】特開2009−167134号公報
【特許文献3】特開2009−249338号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Eva M.J. Peters, et al., Am J Pathol, 2007, 171(6), 1872−1886
【非特許文献2】高柳一成、「細胞膜の受容体 基礎知識から最新の情報まで」、南山堂、1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、マルトオリゴ糖と、難水溶性の有効成分とを併用でき、該マルトオリゴ糖を析出させることなく安定に保存可能であり、抑痒効果や、男性型脱毛症及びストレス性脱毛症に優れた育毛効果を有する化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、特定のポリオキシエチレンを有するアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかと、二塩基酸ジエステルとを含有させることにより、50質量%以上のエタノール製剤には著しく溶解性が悪かったマルトオリゴ糖を、50質量%〜90質量%のエタノール製剤系に可溶化することができ、油溶性の育毛有効成分との併用が可能であること、更に、特定のポリオキシエチレンを有するアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかと、二塩基酸ジエステルを一定の質量比で混合することにより、更に安定性が高く、優れた育毛効果や抑痒効果を有することを知見し、本発明の完成に至った。
【0012】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)育毛有効成分と、(B)マルトオリゴ糖と、(C)ポリオキシエチレンを有するアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかと、(D)二塩基酸ジエステルと、(E)エタノールとを少なくとも含有し、前記(C)成分におけるポリオキシエチレンを有するアルキルエーテルのエチレンオキサイドの平均付加モル数が4〜15であり、前記(C)成分におけるポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルのエチレンオキサイドの平均付加モル数が4〜15であり、かつプロピレンオキサイドの平均付加モル数が2〜6であり、前記(E)成分の含有量が50質量%〜90質量%であることを特徴とする化粧料組成物である。
<2> (A)有効成分が、6−ベンジルアミノプリン、β−グリチルレチン酸、ミノキシジル、アデノシン、ペンタデカン酸モノグリセリド、レチノール、酢酸トコフェロール、コエンザイムQ10、及びαリポ酸から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の化粧料組成物である。
<3> (D)二塩基酸ジエステルが、セバシン酸ジブチルオクチル、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、及びアジピン酸ジイソプロピルから選択される少なくとも1種である前記<1>から<2>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<4> (B)マルトオリゴ糖が2糖〜9糖のオリゴ糖である前記<1>から<3>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<5> (B)マルトオリゴ糖の含有量が0.01質量%〜10質量%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<6> (C)ポリオキシエチレンを有するアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかの含有量が0.05質量%〜10質量%である前記<1>から<5>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<7> (D)二塩基酸ジエステルが、セバシン酸ジブチルオクチル、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、及びアジピン酸ジイソプロピルの少なくともいずれかである前記<1>から<6>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<8> (D)二塩基酸ジエステルの含有量が0.01質量%〜5質量%である前記<1>から<7>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<9> (C)ポリオキシエチレンを有するアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかの含有量と、(D)二塩基酸ジエステルの含有量との質量比が、(C)/(D)=1〜50である前記<1>から<8>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<10> (A)成分が、6−ベンジルアミノプリン、β−グリチルレチン酸、ミノキシジル、アデノシン、及びペンタデカン酸モノグリセリドから選択される少なくとも1種であり、育毛剤組成物として用いられる前記<1>から<9>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
<11> 男性型脱毛症及びストレス性脱毛症の少なくともいずれかに用いられる前記<10>に記載の化粧料組成物である。
<12> (A)成分が、レチノール、酢酸トコフェロール、コエンザイムQ10、及びαリポ酸から選択される少なくとも1種であり、皮膚化粧料組成物として用いられる前記<1>から<9>のいずれかに記載の化粧料組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、マルトオリゴ糖と、難水溶性の有効成分とを併用でき、該マルトオリゴ糖を析出させることなく安定に保存可能であり、抑痒効果や、男性型脱毛症及びストレス性脱毛症に優れた育毛効果を有する化粧料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(化粧料組成物)
本発明の化粧料組成物は、(A)有効成分と、(B)マルトオリゴ糖と、(C)ポリオキシエチレン(以下、「POE」と称することがある。)を有するアルキルエーテル、並びに、POE及びポリオキシプロピレン(以下、「POP」と称することがある。)を有するアルキルエーテルの少なくともいずれかと、(D)二塩基酸ジエステルと、(E)エタノールとを少なくとも含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0015】
<(A)成分>
前記(A)成分としては、水に難溶でエタノールに可溶な有効成分であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚や頭皮に対して有用な作用を持つ物質が好ましく、6−ベンジルアミノプリン、β−グリチルレチン酸、ミノキシジル、アデノシン、ペンタデカン酸モノグリセリド、レチノール、コエンザイムQ10(CoQ10)、酢酸トコフェロール、αリポ酸などがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、育毛剤組成物の有効成分としては、男性ホルモンによる毛生長抑制を改善する薬剤が好ましく、6−ベンジルアミノプリン、β−グリチルレチン酸、ミノキシジル、アデノシン、及びペンタデカン酸モノグリセリドの少なくともいずれかであることがより好ましく、6−ベンジルアミノプリン、及びペンタデカン酸モノグリセリドの少なくともいずれかが、安定性や育毛効果が高い点で特に好ましい。
また、皮膚化粧料組成物の有効成分としては、レチノール、コエンザイムQ10、酢酸トコフェロール、αリポ酸などが好ましい。
【0016】
前記(A)成分の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記市販品の具体例としては、6−ベンジルアミノプリン(三省製薬株式会社製)、β−グリチルレチン酸(丸善製薬株式会社製)、ミノキシジル(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)、アデノシン(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)、ペンタデカン酸モノグリセリド(ライオンケミカル株式会社製)、レチノール(BASFジャパン)、酢酸トコフェロール(DSM ニュートリションジャパン株式会社)、CoQ10(協和発酵バイオ株式会社製)、αリポ酸(オリザ油化株式会社製)などが挙げられる。
【0017】
前記化粧料組成物における前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜2.5質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、0.01質量%未満であると、前記(A)成分による所望の効果、(例えば、育毛効果や抗酸化効果)が得られないことがあり、5質量%を超えると、安定性が悪くなり、前記(A)成分の析出により前記(A)成分の効果が得られないことがある。
【0018】
<(B)成分>
前記(B)成分であるマルトオリゴ糖は、NK1受容体拮抗作用を有し、ストレスによって誘導されるサブスタンスPに起因する脱毛や痒みを抑制する作用を有する化合物である。また、前記(B)成分は、食品にも使用可能な安全性の高い化合物である点で好ましい。
【0019】
前記(B)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マルトース(2糖)、マルトトリオース(3糖)、マルトテトラオース(4糖)、マルトペンタオース(5糖)、マルトヘキサオース(6糖)、マルトヘプタオース(7糖)、マルトオクタオース(8糖)、マルトノナオース(9糖)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(B)成分は、2糖〜9糖のオリゴ糖が好ましく、3糖〜6糖がより好ましく、4糖〜5糖が特に好ましい。
【0020】
前記(B)成分を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、澱粉に酵素を作用させて得る方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
【0021】
前記化粧料組成物における前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、用法、剤型、使用対象者の年齢や性別その他の条件、症状の程度などに応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が、0.01質量%未満であると、十分な育毛効果や抑痒効果が得られないことがあり、10質量%を超えると、安定性が悪くなり、前記(B)成分の析出により十分な育毛効果や抑痒効果が得られないことがある。
【0022】
<(C)成分>
前記(C)成分であるPOEを有するアルキルエーテル、並びに、POE及びPOPを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかは、前記(B)成分の安定化の目的で配合される。
【0023】
−POEを有するアルキルエーテル−
前記POEを有するアルキルエーテルのエチレンオキサイド(以下、「EO」と称することがある。)の平均付加モル数としては、4〜15であるが、安定性の点から、6〜12が好ましい。
前記POEを有するアルキルエーテルにおけるアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜24の直鎖又は分岐鎖が好ましい。
【0024】
前記POEを有するアルキルエーテルの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記市販品の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウレス−4(EO:4)、商品名:NIKKOL BL−4.2)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウレス−9(EO:9)、商品名:NIKKOL BL−9EX)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス−6(EO:6)、商品名:NIKKOL BC−5.5)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス−7(EO:7)、商品名:NIKKOL BC−7)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス−10(EO:10)、商品名:NIKKOL BC−10)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(オレス−7(EO:7)、商品名:NIKKOL BO−7V)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(オレス−10(EO:10)、商品名:NIKKOL BO−10V)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(べへネス−10(EO:10)、商品名:NIKKOL BB−10)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス−15(EO:15)、商品名:NIKKOL BC−15)(全て、日光ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
−POE及びPOPを有するアルキルエーテル−
前記POE及びPOPを有するアルキルエーテルとは、炭素鎖長4〜24、より好ましくは10〜24の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコールに酸化エチレンと、酸化プロピレンとを付加重合したブロック型のノニオン性活性剤である。
前記POE及びPOPを有するアルキルエーテルは、EO平均付加モル数が4〜15であり、かつプロピレンオキサイド(以下、「PO」と称することがある。)平均付加モル数が2〜6であるが、安定性の点から、EO平均付加モル数は、6〜12が好ましく、またPO付加モル数は、2〜6が好ましい。
【0026】
前記(C)成分を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記市販品の具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル(PPG−2−デセス−7(EO:7、PO:2)、商品名:EMALEX DAPE−0207)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル(PPG−2−デセス−10(EO:10、PO:2)、商品名:EMALEX DAPE−0210)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル(PPG−2−デセス−12(EO:12、PO:2)、商品名:EMALEX DAPE−0212)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル(PPG−5ラウレス−6(EO:6、PO:5)、商品名:ノニオンA−10R)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(PPG−4セテス−10(EO:10、PO:4)、商品名:NIKKOL PBC−33)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)、商品名:NIKKOL PEN−4612)(全て、日光ケミカルズ株式会社製)。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記化粧料組成物における前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が、0.05質量%未満又は10質量%を超えると、安定性が悪くなり、前記(B)成分の析出により十分な育毛効果や抑痒効果が得られないことがある。
【0028】
<(D)成分>
前記(D)成分である二塩基酸ジエステルは、前記(B)成分の安定化の目的で配合される。
前記(D)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、セバシン酸ジブチルオクチル、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、及びアジピン酸ジイソプロピルの少なくともいずれかが好ましい。
【0029】
前記(D)成分の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記市販品の具体例としては、セバシン酸ジブチルオクチル(商品名:DS−1220、日光ケミカルズ株式会社)、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル(商品名:CORAPAN TQ、日光ケミカルズ株式会社)、セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP)、セバシン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DIS)、アジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID)などが挙げられる。
これらの中でも、前記(D)成分は、二塩基酸と、2−アルキル−アルカノールとからなるジエステルである、セバシン酸ジブチルオクチル、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシルが、安定性が高い点で特に好ましい。
【0030】
前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。前記(D)成分の含有量が、0.01質量%未満又は5質量%を超えると、安定性が悪くなり、前記(B)成分の析出により十分な育毛効果や抑痒効果が得られないことがある。
【0031】
<(E)成分>
前記(E)成分であるエタノールは、前記(A)成分を溶解する目的で配合される。
前記化粧料組成物における前記(E)成分の含有量は、50質量%〜90質量%が好ましい。前記(E)成分の含有量が、50質量%未満であると、前記(A)成分が析出し、十分な育毛効果や抑痒効果が得られないことがあり、90質量%を超えると、前記(B)成分が析出し、十分な育毛効果や抑痒効果が得られないことがある。
【0032】
<(C)/(D)(質量比)>
前記(C)成分の含有量と、(D)成分の含有量との質量比((C)/(D))としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜50が好ましく、2〜20がより好ましい。前記質量比が前記好ましい範囲以外であると、安定性が悪くなり、前記(B)成分の析出により十分な育毛効果や抑痒効果が得られないことがある。
【0033】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で、必要応じて適宜選択することができ、例えば、水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水、海洋深層水等)、多価アルコール、前記(C)成分を除くノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のその他の界面活性剤、セルロース類、植物油、前記(D)成分を除くエステル油、角質溶解剤、高分子樹脂、色剤、香料、紫外線吸収剤、前記(A)成分を除くビタミン類、血管拡張剤、細胞賦活剤、アミノ酸類、抗炎症剤、皮膚機能亢進剤等の薬効成分などが挙げられる。
【0034】
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、1,3−プチレングリコール、プロビレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0035】
前記セルロース類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。
【0036】
前記(C)成分を除くノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノ又はイソステアレート、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノミリスチン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン等)などが挙げられる。
【0037】
前記(D)成分を除くエステル油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリ−2エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン酸等の多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0038】
前記植物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユーカリ油、サフラワー油、月見草油、ホホバ油、不飽和脂肪酸アルキルエステル(オレイン酸エチル、リノール酸イソプロピル等)、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピルなどが挙げられる。
【0039】
前記角質溶解剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サリチル酸、レゾルシンなどが挙げられる。
【0040】
前記高分子樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、両性ポリマー、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマーなどが挙げられる。
【0041】
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシケイ皮酸オクチル(ネオヘリオパンAV)、オキシベンゾン、ウロカニン酸などが挙げられる。
【0042】
<混合又は併用>
前記化粧料組成物は、1種単独で使用してもよいし、他の成分を有効成分とする化粧料組成物と併せて使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする化粧料組成物中に配合された状態で使用されてもよい。
【0043】
<剤型>
前記化粧料組成物の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶液、乳液、ローション、ジェル、外用剤、エアゾール剤などが挙げられる。
前記化粧料組成物がエアゾール剤である場合、前記成分以外に、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ブタン、プロパン、イソブタン、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の可燃性ガス;窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等の圧縮ガスなどを含有することができる。
【0044】
<製造方法>
前記化粧料組成物の製造方法としては、特に制限はなく、剤型などに応じて、常法の中から適宜選択することができる。
【0045】
<使用>
前記化粧料組成物の使用方法、使用量、使用回数としては、特に制限はなく、剤型、前記(A)成分の種類、使用対象者の年齢、性別その他の条件、症状の程度などに応じて適宜選択することができる。
また、前記化粧料組成物の使用対象となる動物種としては、ヒトに好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、例えば、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリ等の動物種であってもよい。
【0046】
<用途>
前記化粧料組成物は、マルトオリゴ糖と、難水溶性の有効成分とを併用でき、該マルトオリゴ糖を析出させることなく安定に保存可能であり、抑痒効果や、男性型脱毛症及びストレス性脱毛症に優れた育毛効果を有するため、制汗剤、スキンローション、育毛剤、育毛ローション、育毛ジェル、育毛トニック、育毛スプレー、育毛トニックスプレー等の皮膚化粧料組成物や育毛剤組成物などに好適に利用可能である。
【実施例】
【0047】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「%」は、特に明記のない限り「質量%」を表し、各成分量は、全て純分換算した値を表す。
【0048】
(実施例1〜44、比較例1〜13)
表1〜8に示す組成に従い、各育毛剤組成物を常法により調製した。調製した実施例1〜44及び比較例1〜13の育毛剤組成物について、下記に示す方法で、安定性、並びに、男性型脱毛症モデル系及びストレス性脱毛症モデル系による育毛効果の評価を行った。
【0049】
<安定性の評価>
実施例1〜44及び比較例1〜13の各育毛剤組成物を配合直後、50mLの透明バイヤル瓶に約40mL充填し、−10℃にて10日間保存後、目視による安定性を下記の判定基準により評価した。
−判定基準−
◎:外観が透明である。
○:外観がわずかに濁っているが、沈殿物は認められない。
△:外観が濁っていて、小さな沈殿物が認められる。
×:外観が濁り、沈殿物が多く存在する。
【0050】
<育毛効果>
<<男性型脱毛症モデル系>>
毛周期の休止期にあるC3Hマウス(オス、7週齢、日本エスエルシー株式会社、n=8)を用い、小川らの方法(フレグランスジャーナル, 1989, Vol.17, No.5, P.20−29参照)に準拠して試験を行った。即ち、マウスの背部体毛を電気バリカン及び電気シェーバーにて背部全体を除毛した(0日目)。翌日より実施例1〜44及び比較例1〜13の育毛剤組成物を1日1回100μLずつ週5回、16日間、それぞれ塗布した。飼育は、specific pathogen free(SPF)環境下で行なった。
各マウスについて、除毛後16日目の除毛面積に対する毛再生面積の割合を下記式より求め、下記判定基準に基づき、「著効」、「有効」、「無効」を判断し、下記評価基準にて評価を行った。結果を表1〜8に示す。
毛再生面積の割合(%)=(0日目の除毛面積−除毛後16日目の除毛面積)/0日目の除毛面積×100
【0051】
−判定基準−
著効:毛再生面積の割合が70%超
有効:毛再生面積の割合が50%以上70%以下
無効:毛再生面積の割合が50%未満
−評価基準−
◎:著効例が6匹以上、かつ、無効例がない。
○:著効例が2匹以上5匹未満、かつ、無効例がない。
△:著効例が1匹以上5匹未満、かつ、無効例がある。
×:著効例がない。
【0052】
<<ストレス性脱毛症モデル系>>
毛周期の休止期にあるC57BL/6マウス(オス、7週齢、日本エスエルシー株式会社、n=8)を用い、Eva Milena J. Petersらの方法(American Journal of Pathology, 2004, Vol.165, No.1, July, P.259−271参照)に準拠して試験を行った。即ち、マウスの背部体毛を電気バリカン及び電気シェーバーにて背部全体を除毛した(0日目)。翌日より実施例1〜44及び比較例1〜13の育毛剤組成物を1日1回100μLずつ週5回、16日間それぞれ塗布した。飼育期間中、飼育室内にネズミ駆除用の超音波発生装置(ペスコントロン;レンテック・インターナショナル・インク社製)を設置し、1分間間隔で16日間超音波を発生させ、マウスにストレスを与えた。飼育は、SPF環境下で行なった。
各マウスについて除毛後16日目の除毛面積に対する毛再生面積の割合を前記男性型脱毛症モデル系の試験と同様の方法で算出し、前記男性型脱毛症モデル系の試験と同様の方法で評価を行った。結果を表1〜8に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

【0061】
比較例1〜13の結果より、(C)成分と(D)成分とが併用されない場合(比較例3、9)、(C)成分が本発明の範囲である平均EO付加モル数4〜15を満たさない場合(比較例4〜5)、または、平均EO付加モル数4〜15かつ平均PO付加モル数2〜6を満たさない場合(比較例6〜8)、及び(D)成分が本発明以外の二塩基酸ジエステルあるいは他の脂肪酸エステル((D’)成分)の場合(比較例10、11)は、低温での安定性が悪く、(B)成分の沈殿が認められ、透明な液外観を得ることができず、(A)成分及び(B)成分が沈殿することにより十分な育毛効果を得ることができないことがわかった。
【0062】
一方、実施例1〜44では、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分を全て本発明の範囲で含有することにより、良好な安定性及び育毛効果を得ることができることがわかった。
なお、各成分は、下記範囲内で配合されることにより、安定性に優れ透明な液外観が得られるとともに、良好な育毛効果が得られることがわかった。
(A)成分は、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜2.5質量%がより好ましかった。
(B)成分は、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましかった。
(C)成分は、0.05質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましかった。
(D)成分は、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましかった。
更に、(C)成分の含有量と、(D)成分の含有量との質量比は、(C)/(D)=1〜50が好ましく、2〜20がより好ましかった。
(E)成分は、50質量%〜90質量%が好ましかった。
【0063】
優れた育毛効果を示す育毛剤組成物を実際の製品に適用した具体的な実施例を以下に示す。なお、下記実施例45〜55の育毛剤組成物は、それぞれの組成に従って各剤型の常法に準じて調製した。また、下記実施例45〜55について、前記実施例1〜44と同様の評価を行った結果も合わせて以下に示す。
【0064】
(実施例45:育毛剤)
−組成−
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.5%
プロピレングリコール 3.0%
ショ糖ミリスチン酸エステル 0.5%
コハク酸 0.3%
L−メントール 0.3%
香料 0.05%
メチルパラベン 0.1%
エタノール((E)成分) 70.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=4(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0065】
(実施例46:育毛剤)
−組成−
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
ペンタデカン酸モノグリセリド((A)成分) 2.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.5%
プロピレングリコール 3.0%
ショ糖ミリスチン酸エステル 0.5%
コハク酸 0.3%
L−メントール 0.3%
香料 0.05%
エタノール((E)成分) 70.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=4(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0066】
(実施例47:育毛ローション)
−組成−
ペンタデカン酸モノグリセリド((A)成分) 2.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.5%
プロピレングリコール 3.0%
ニコチン酸アミド 0.1%
L−メントール 0.5%
香料 0.5%
エタノール((E)成分) 85.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=4(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0067】
(実施例48:育毛ジェル)
−組成−
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
β−グリチルレチン酸((A)成分) 0.05%
マルトテトラオース((B)成分) 3.0%
ラウレス−9(EO:9)((C)成分) 2.0%
ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル((D)成分) 1.0%
プロピレングリコール 3.0%
L−メントール 0.5%
アミノ変性シリコーン(2) 2.0%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.5%
モノイソステアリン酸テトラグリセリル 5.0%
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット 0.5%
ジヒドロキシベンゾフェノン 0.1%
ヒドロキシエチルセルロース 0.5%
無水ピロリン酸ナトリウム 0.2%
香料 0.5%
エタノール((E)成分) 70.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=2(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0068】
(実施例49:育毛トニック)
−組成−
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−4セテス−10(EO:10 PO:4)((C)成分) 2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.2%
プロピレングリコール 3.0%
ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル 2.0%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20EO) 2.0%
POP(70)グリセリルエーテル 5.0%
ミリスチン酸イソプロピル 3.0%
L−メントール 0.2%
クエン酸 0.1%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01%
香料 0.05%
エタノール((E)成分) 80.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=10(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0069】
(実施例50:育毛トニック)
−組成−
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
マルトペンタオース((B)成分) 1.0%
PPG−4セテス−10(EO:10 PO:4)((C)成分) 2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.2%
プロピレングリコール 3.0%
ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル 2.0%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20EO) 2.0%
POP(70)グリセリルエーテル 5.0%
ミリスチン酸イソプロピル 3.0%
L−メントール 0.2%
香料 0.05%
エタノール((E)成分) 80.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=10(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0070】
(実施例51:育毛トニック)
−組成−
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−4セテス−10(EO:10 PO:4)((C)成分) 2.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.2%
プロピレングリコール 3.0%
ピロクトンオラミン 0.1%
POP(70)グリセリルエーテル 5.0%
ミリスチン酸イソプロピル 3.0%
L−メントール 0.2%
クエン酸 0.1%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01%
香料 0.05%
エタノール((E)成分) 80.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=20(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0071】
(実施例52:育毛トニック)
−組成−
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−2セデス−10(EO:10 PO:2)((C)成分) 2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.2%
ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル((D)成分) 0.2%
プロピレングリコール 3.0%
ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル 2.0%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20EO) 2.0%
POP(70)グリセリルエーテル 5.0%
ミリスチン酸イソプロピル 3.0%
L−メントール 0.2%
クエン酸 0.1%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01%
香料 0.05%
エタノール((E)成分) 80.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=5(質量比)
安定性:○
育毛効果 男性型脱毛:○
ストレス性脱毛:○
【0072】
(実施例53:育毛スプレー)
−組成−
[原液]
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
オレス−7(EO:7)((C)成分) 3.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.2%
プロピレングリコール 3.0%
ピログルタミン酸イソステアリン酸POE(40)硬化ヒマシ油 1.5%
POP(24)グリセリルエーテル 12.0%
オレイン酸エチル 0.1%
クエン酸 0.3%
ショ糖ラウリン酸エステル 0.5%
香料 0.1%
L−メントール 0.1%
エタノール((E)成分) 60.0%
精製水 残部
合計 100.0%
[育毛スプレー]
上記原液 80.0%
LPG 20.0%
合計 100.0%
(C)/(D)=15(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0073】
(実施例54:育毛トニックスプレー)
[原液]
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
5.0%
ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル((D)成分) 0.3%
プロピレングリコール 3.0%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1%
POP(67)グリセリルエーテル 20.0%
ポリエチレングリコール300 0.5%
ピログルタミン酸オレイン酸グリセリル 1.5%
L−メントール 0.5%
フマル酸 0.05%
香料 0.01%
エタノール((E)成分) 60.0%
精製水 残部
合計 100.0%
[育毛スプレー]
上記原液 84.5%
DME 15.0%
窒素 0.5%
合計 100.0%
(C)/(D)=16.7(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0074】
(実施例55:育毛トニックスプレー)
[原液]
6−ベンジルアミノプリン((A)成分) 0.5%
ミノキシジル((A)成分) 1.0%
マルトテトラオース((B)成分) 2.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.5%
プロピレングリコール 3.0%
ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル 1.0%
POP(70)グリセリルエーテル 17.0%
L−メントール 0.2%
クエン酸 0.05%
エタノール((E)成分) 60.0%
精製水 残部
合計 100.0%
[育毛スプレー]
上記原液 84.5%
LPG 15.0%
窒素 0.5%
合計 100.0%
(C)/(D)=4(質量比)
安定性:◎
育毛効果 男性型脱毛:◎
ストレス性脱毛:◎
【0075】
(実施例56〜72、比較例14〜17)
表9〜12に示す組成に従い、各化粧料組成物を常法により調製した。調製した実施例56〜72及び比較例14〜17の化粧料組成物について、下記に示す方法で、安定性、並びに、敏感肌モデル系による抑痒効果の評価を行なった。
【0076】
<安定性の評価>
実施例56〜72及び比較例14〜17の各化粧料組成物を配合直後、50mLの透明バイヤル瓶に約40mL充填し、−10℃にて10日間保存後、目視による安定性を下記の判定基準により評価した。
−判定基準−
◎:外観が透明である。
○:外観がわずかに濁っているが、沈殿物は認められない。
△:外観が濁っていて、小さな沈殿物が認められる。
×:外観が濁り、沈殿物が多く存在する。
【0077】
<抑痒効果>
<<敏感肌モデル系>>
ヘアレスマウスとしてHOS:HR−1(メス、4週齢、日本エスエルシー株式会社、n=10)を用い、特殊餌HR−AD(日本農産工業株式会社製)を自由摂取により与え、敏感肌を誘導した。
【0078】
−マグネット挿入による前処理−
前記敏感肌誘導マウスの飼育を開始してから1週間後、ソムノペンチルで麻酔したマウスの後肢を手術用ハサミで2mm程度小切開し、前記切開部に皮下に微小磁石チップ(長さ2mm×直径1mm、株式会社ニューロサイエンス製)を埋め込み、傷口をアロンαで接合した。その後、更に8週間、前記同様の条件で飼育した。
【0079】
−掻破回数の測定−
前記敏感肌誘導マウス(13週齢)の顔、わき腹、及び背部に、実施例56〜72及び比較例14〜17の各化粧料組成物を、それぞれ絵筆を用いて70μL塗布した。基剤としては、10質量% N−メチル−2−ピロリドンを含む70体積%エタノールを用いた。塗布後、一旦マウスを飼育用のケージに戻し、2時間馴化した後、飼育ケージから測定用のアクリル製の筒に1匹ずつ配し、掻破回数自動測定装置(Micro Act、株式会社ニューロサイエンス製)に設置した。掻破回数の測定は、無人環境下にて行い、解析はMicro Act Analysis ver1.06(株式会社ニューロサイエンス製)により行った。掻破回数は、掻破開始から後肢を下ろすまでの連続した掻き動作(bout)を1回(=1bout)として、1時間にカウントされた後肢による掻き動作の回数を記録した。
また、前記各化粧料組成物に代えて、前記基材のみを塗布した群を対照群とし、前記同様の方法で掻破回数の測定を行なった。
測定結果から、掻破回数の減少率を下記式より求め、下記評価基準に基づき抑痒効果について評価した。結果を表9〜12に示す。
掻破回数の減少率(%)=(A−B)/B×100
前記式において「A」は、基材のみを塗布した対照群の掻破回数を示し、「B」は、各洗浄剤組成物を塗布した敏感肌誘導マウスの掻破回数を示す。
【0080】
−評価基準−
5点:減少率が、60%以上
4点:減少率が、50%以上60%未満
3点:減少率が、40%以上50%未満
2点:減少率が、30%以上40%未満
1点:減少率が、10%以上30%未満
0点:減少率が、10%未満
上記評価基準において、3点以上を有効とした。
【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
【表11】

【0084】
【表12】

【0085】
比較例14〜17の結果より、(C)成分と(D)成分とが併用されない場合(比較例14、15)、低温での安定性が悪く、(B)成分の沈殿が認められ、透明な液外観を得ることができず、(B)成分が沈殿することにより、十分な抑痒効果を得ることができないことがわかった。また、(E)成分が配合されない場合(比較例17)は、(A)成分を安定に配合することができなく、液外観が悪くなった。(B)成分が配合されない場合は、抑痒効果が得られなかった。
【0086】
一方、実施例56〜72では、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分を全て本発明の範囲で含有することにより、良好な安定性及び抑痒効果を得ることができることがわかった。
なお、各成分は、下記範囲内で配合されることにより、安定性に優れ透明な液外観が得られるとともに、良好な抑痒効果が得られることがわかった。
(A)成分は、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜2.5質量%がより好ましかった。
(B)成分は、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましかった。
(C)成分は、0.05質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましかった。
(D)成分は、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましかった。
更に、(C)成分の含有量と、(D)成分の含有量との質量比は、(C)/(D)=1〜50が好ましく、2〜20がより好ましかった。
(E)成分は、50質量%〜90質量%が好ましかった。
【0087】
本発明の皮化粧料組成物を実際の製品に適用した具体的な実施例を以下に示す。なお、実施例73〜75の皮膚化粧料組成物は、それぞれの組成に従って各剤型の常法に準じて調製をした。また、下記実施例73〜75について、前記実施例56〜72と同様の評価を行った結果も合わせて以下に示す。
【0088】
(実施例73:制汗剤ロールオンタイプ)
−組成−
酢酸トコフェロール((A)成分) 0.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.5%
プロピレングリコール 3.0%
アルミニウムクロロハイドレート水溶液 10.0%
塩化ベンザルコニウム(10%) 0.5%
香料 0.3%
エタノール((E)成分) 70.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=4(質量比)
安定性:◎
抑痒効果:4点
【0089】
(実施例74:スキンローション)
−組成−
レチノール((A)成分) 0.5%
α−リポ酸((A)成分) 0.01%
ペンタデカン酸モノグリセリド 2.5%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
2.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.5%
プロピレングリコール 3.0%
乳酸オクチルドデシル 0.5%
ポリエチレングリコール300 1.0%
L−メントール 0.1%
香料 0.05%
エタノール((E)成分) 70.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=4(質量比)
安定性:◎
抑痒効果:4点
【0090】
(実施例75:スキンローション)
CoQ10((A)成分) 0.3%
マルトテトラオース((B)成分) 1.0%
PPG−6デシルテトラデセス−12(EO:12、PO:6)((C)成分)
4.0%
セバシン酸ジブチルオクチル((D)成分) 0.5%
プロピレングリコール 3.0%
ニコチン酸アミド 0.1%
L−メントール 0.5%
香料 0.5%
エタノール((E)成分) 70.0%
精製水 残部
合計 100.0%
(C)/(D)=8(質量比)
安定性:◎
抑痒効果:4点
【0091】
実施例1〜75及び比較例1〜17に使用した原料は、下記表13に示すとおりである。
【0092】
【表13】

【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の化粧料組成物は、マルトオリゴ糖と、難水溶性の有効成分とを併用でき、該マルトオリゴ糖を析出させることなく安定に保存可能であり、抑痒効果や、男性型脱毛症及びストレス性脱毛症に優れた育毛効果を有するため、制汗剤、スキンローション、育毛剤、育毛ローション、育毛ジェル、育毛トニック、育毛スプレー、育毛トニックスプレー等の皮膚化粧料組成物や育毛剤組成物に好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有効成分と、(B)マルトオリゴ糖と、(C)ポリオキシエチレンを有するアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかと、(D)二塩基酸ジエステルと、(E)エタノールとを少なくとも含有し、
前記(C)成分におけるポリオキシエチレンを有するアルキルエーテルのエチレンオキサイドの平均付加モル数が4〜15であり、前記(C)成分におけるポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルのエチレンオキサイドの平均付加モル数が4〜15であり、かつプロピレンオキサイドの平均付加モル数が2〜6であり、
前記(E)成分の含有量が50質量%〜90質量%
であることを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
(A)有効成分が、6−ベンジルアミノプリン、β−グリチルレチン酸、ミノキシジル、アデノシン、ペンタデカン酸モノグリセリド、レチノール、酢酸トコフェロール、コエンザイムQ10、及びαリポ酸から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
(D)二塩基酸ジエステルが、セバシン酸ジブチルオクチル、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、及びアジピン酸ジイソプロピルから選択される少なくとも1種である請求項1から2のいずれかに記載の化粧料組成物。
【請求項4】
(C)ポリオキシエチレンを有するアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンを有するアルキルエーテルの少なくともいずれかの含有量と、(D)二塩基酸ジエステルの含有量との質量比が、
(C)/(D)=1〜50
である請求項1から3のいずれかに記載の化粧料組成物。
【請求項5】
(A)成分が、6−ベンジルアミノプリン、β−グリチルレチン酸、ミノキシジル、アデノシン、及びペンタデカン酸モノグリセリドから選択される少なくとも1種であり、育毛剤組成物として用いられる請求項1から4のいずれかに記載の化粧料組成物。
【請求項6】
(A)成分が、レチノール、酢酸トコフェロール、コエンザイムQ10、及びαリポ酸から選択される少なくとも1種であり、皮膚化粧料組成物として用いられる請求項1から4のいずれかに記載の化粧料組成物。

【公開番号】特開2011−153122(P2011−153122A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158171(P2010−158171)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】