説明

化粧料組成物

【課題】 使用時の泡立ち、剤型の粘性などを改善することで良好な使用感が得られると共に、損傷毛髪でのすべり性などのコンディショニング効果を改善し、かつ繰り返し使用時にごわつき感などが見られない化粧料組成物を提供する。
【解決手段】 カチオン電荷量と分子量を特定の範囲に限定したカチオン変性グルコマンナン、カチオン電荷量を限定したカチオン性ポリマー、洗浄性界面活性剤及びシリコーン誘導体からなり、更に界面活性剤及びシリコーン誘導体との配合比を限定する化粧料組成物が上記欠点を改善することを見出し、本発明を完成するに至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄性界面活性剤、特定のカチオン変性グルコマンナン、特定のカチオン性ポリマー及びシリコーン誘導体を含む化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪洗浄料組成物においては、洗浄性を与えるためにアニオン性界面活性剤が汎用されるが、洗浄の際、毛髪の油脂成分を必要以上に除去してしまい、その結果裂毛や枝毛が生じやすくなる。さらに、洗髪、すすぎ時の毛髪の絡まり合いによってもこれらは助長される。このため毛髪洗浄料組成物にはコンディショニング効果を与える目的でカチオン性ポリマーやジメチルポリシロキサン等のシリコーン誘導体が配合されている。カチオン性ポリマーは水により希釈された際にアニオン界面活性と水不溶性の複合体を形成することにより、毛髪表面に残留しやすくなりコンディショニング効果を付与すると考えられている。しかしながら、ヘアカラー、パーマ剤などの化学的処理により損傷を受けた毛髪に対しては十分とは言えず、毛髪洗浄料組成物をすすぐ際に、毛髪が絡む、きしむといった現象が残っていた。これらを解決するためにシリコーン分散液を配合することが提案されているが、安定性、残留性など課題が残っていた。
【0003】
特許文献1には、カチオン変性グアーガムと平均粒径が2μm未満のジメチルポリシロキサンを併用した方法が提案されているが、ジメチルポリシロキサンの平均粒径が2μmと小さく、水中で比較的安定に分散するため、毛髪への残留性が十分に得られず、その効果は満足のするものではなかった。
【0004】
特許文献2には、界面活性剤、電荷密度0.001以下のカチオン変性グアーガム及び平均粒子径2μm以上のシリコーン分散液を用いた毛髪洗浄剤が提案されているが、カチオン変性グアーガムの電荷密度が低いためすすぎ時に滑らかさに乏しく、毛髪が絡むといった課題が残っていた。またシリコーンの平均粒径が大きく、水中での安定性に課題が残っていた。
【0005】
特許文献3には、洗浄性界面活性剤、分子量1万〜1000万、電荷密度1.4meq/g〜7.0meq/gのカチオン性グアーガム誘導体などの高電荷密度カチオン性ポリマー、1μm未満の粒子径を有するシリコーン分散液からなるシャンプー組成物が、毛髪表面にシリコーンを効率的に付着させることでシャンプーの機能が改善することを提案しているが、粒子径が1μm未満と小さく、水中で比較的安定に分散するため、毛髪への残留性が十分でなく、また水中に安定的に分散するシリコーンにより十分な泡立ちが得られないなど満足するものではなかった。
【0006】
特許文献4には、毛髪処理用組成物に配合した時のすすぎ時のコンディショニング効果の弱さを改善すると共に、乾燥後の優れたセット性を有する良好な仕上げ感をもたらす目的でグルコマンナンのカチオン変性物が提案されているが、乾燥後の感触は依然十分に満足できるものではなかった。また乾燥後の優れたセット性は得られるものの、毛髪への残留性が高く、繰り返し使用することにより、ごわつき感など好ましくない感触で出てくるなど問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平6−69943号公報
【特許文献2】特公平7−17491号公報
【特許文献3】特表2005−530821号公報
【特許文献4】特開2006−152280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、使用時の泡立ち、剤型の粘性などを改善することで良好な使用感が得られると共に、損傷毛髪でのすべり性などのコンディショニング効果を改善し、かつ繰り返し使用時にごわつき感などが見られない化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のカチオン変性グルコマンナン、特定のカチオン性ポリマー、洗浄性界面活性剤、シリコーン誘導体からなる化粧料組成物が上記欠点を改善することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、成分(A)と(B)の質量の総和が成分(C)の質量に対して1〜10質量%であり、かつ、成分(A)と成分(B)の質量比が1対10〜10対1であって、成分(C)の含有量が5〜20質量%、成分(D)の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする化粧料組成物に関する。。
(A)カチオン電荷量が0.5〜2.0meq/gで、分子量が10万〜1000万のカチオン変性グルコマンナン
(B)カチオン電荷量が0.5〜1.6meq/gのカチオン性ポリマー。
(C)洗浄性界面活性剤
(D)シリコーン誘導体
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
成分(A)のカチオン変性グルコマンナンとしては、植物分類上サトイモ科に属するコンニャク属の植物の球茎中に含まれるグルコマンナンを精製・分離・粉砕して得られるD−グルコースとD−マンノースを主要構成単位に有する複合多糖で、D−グルコースとD−マンノースがほぼ1:1.6の割合でβ―1,4結合した天然水溶性多糖類をグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を反応させることによって製造することができる。この場合、反応は適当な溶媒、好適には含水アルコール中において、アルカリの存在下で実施される。このような第4級窒素含有基の導入は、従来公知の方法に従って行うことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明では、第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.5〜2.0meq/gとなる様に、反応させるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩の使用量を調節する。第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量は0.5〜2.0meq/gであるが、より好ましくは0.7〜1.5meq/gである。カチオン電荷量が0.5meq/g未満では毛髪や皮膚に対する吸着量が不十分となり、実際シャンプー、リンス、ボディ用洗浄剤等の毛髪処理組成物や皮膚化粧料組成物に配合しても効果は認められない。また、電荷量が2.0meq/gを越えると、そのようなカチオン変性グルコマンナンを配合した毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物を使用しても、使用時に泡立ちの悪化及び、べたつき感、ぬるつき感が生じ使用感を悪化させ、使用後の仕上がり感も、ごわつき感、べたつき感を生じるなど好ましくない。本明細書で使用する「カチオン電荷量」とは、カチオン変性グルコマンナン1g当たりに含まれる第4級窒素含有基の当量数である。通常は第4級窒素含有基由来の窒素分をケルダール法(医薬部外品原料規格2006、一般試験方法、窒素定量法、第2法)により求め、測定値から算出できる。
【0013】
本発明の化粧料組成物に使用するためのカチオン変性グルコマンナンは、約10万〜1000万の分子量を有すが、好ましくは100万〜600万である。分子量が10万未満ではアニオン界面活性剤との複合塩の形成性に支障をきたし十分なコンディショニング効果が得られず、また1000万を超えると毛髪への残留性が高く、繰り返し使用することにより、ごわつき感など好ましくない感触で出てくる。本明細書で使用する「分子量」とは重量平均分子量を意味し、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されてもよい。
【0014】
本発明の化粧料組成物では、成分(B)としてカチオン電荷量が0.5〜1.6meq/gのカチオン性ポリマーを必須成分としている。これは、すすぎ時のコンディショニング効果を得るため成分(A)のカチオン変性グルコマンナンのカチオン電荷量を上げた場合、すすぎ時のンディショニング効果は得られるものの、残留性が高くなり、乾燥後の感触、繰り返し使用時の感触が悪化する。一方、乾燥後並び繰り返し使用時の感触を改善する為にカチオン電荷量を下げた場合、すすぎ時のコンディショニング効果が悪化する。そこで本発明の化粧料組成物ではコンディョニング効果と残留性の問題を解決するため特定のカチオン性ポリマーを配合する。具体的には、第4級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン、カチオン変性タラガム、カチオン変性タマリンドガム等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)等が挙げられるが、好ましくはカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン、カチオン変性タラガム、カチオン変性フェヌグリークガム等の第4級窒素変性ポリサッカライド、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体であり、より好ましくはカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガムのカチオン電荷量が0.7〜1.4meq/gのカチオン性ポリマーである。「カチオン電荷量」については、成分(A)のカチオン変性グルコマンナンと同様に、カチオン性ポリマー中の第4級窒素含有基由来の窒素分をケルダール法により求め算出する方法と、ポリビニル硫酸カリウム水溶液を用いたコロイド滴定法による方法があり、どちらの方法によっても求めることができる。
【0015】
成分(A)と(B)の質量の総和は、後述の成分(C)の質量に対して1〜10質量%であり、好ましくは3〜8質量%である。また、成分(A)と成分(B)の質量比は1対10〜10対1であり、好ましくは2対8〜8対2である。
【0016】
成分(C)の洗浄性界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられるが、本発明ではこれら洗浄性界面活性剤を単独で配合しても良いが、好ましくは2種類以上を用いることである。成分(C)の全組成物中の含有量は5〜20質量%であり、好ましくは7〜15質量%である。
【0017】
上記成分(C)のアニオン界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)リン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルリン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルスルホコハク酸塩、アシル(炭素数8〜24)化アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化N−メチル−β−アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化グルタミン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化イセチオン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化サルコシン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化タウリン塩、アシル(炭素数8〜24)化メチルタウリン塩、α―スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、脂肪酸石鹸等が挙げられ、両性界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルベタイン、アルキル(炭素数8〜24)カルボキシベタイン、アルキル(炭素数8〜24)スルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシホスホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミノカルボン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)アンホNa、アルキル(炭素数8〜24)アミンオキシド、3級窒素及び4級窒素を含むアルキル(炭素数8〜24)リン酸エステル等が挙げられる。この中で好ましくはアルキル(炭素数8〜24)硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩、脂肪酸石鹸、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルベタインであり、より好ましくは、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩中のポリオキシアルキレン基が、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基から選ばれる少なくとも1種類以上であるポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩であり、より更に好ましくは、ポリオキシアルキレン基がプロピレンオキシ基及び/又はブチレンオキシ基を平均付加で1〜2モル付加した後、エチレンオキシ基を平均付加で0.5〜5モル付加することで得られるポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩である。
【0018】
成分(D)のシリコーン誘導体としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、環状ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられ、洗髪時及びすすぎ時の滑らかさ、乾燥後のベタつき感を解消する点から、25℃での動粘度が、10〜20,000,000mm/sであることが好ましい。特に、10,000〜10,000,000mm/sのジメチルポリシロキサンが好ましい。成分(D)の全組成物中の含有量は0.1〜5質量%であり、好ましくは0.5〜1.5質量%である。
【0019】
シリコーン誘導体のエマルションを調整する方法としては、シリコーン誘導体及び乳化剤を混合した後、攪拌しながら水をゆっくり添加し、W/OエマルションからO/Wエマルションに転相する際に高速回転させたミキサーによる高せん断力を用い混合し、その後に残りの水を添加し再度ミキサーにて混合する方法が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0020】
ここで用いられる乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン界面活性剤、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリムなどのアニオン界面活性剤などが挙げられる。
【0021】
シリコーン誘導体エマルションの平均粒径は10μm以下が、好ましくは4μm以下、より好ましくは2μm以下である。毛髪残留性の観点からは10μmを超える粒径が望ましいが、系の安定性に劣る。本発明では、残留性は劣るが安定性に優れる10μm以下のシリコーン誘導体エマルションを使用し、特定範囲のカチオン電荷量と分子量を有するカチオン変性グルコマンナンと、特定範囲のカチオン電荷量を有するカチオン性ポリマーを用いることでシリコーン誘導体の残留性を改善し、従来の毛髪洗浄料組成物より優れたコンディショニング効果を有するものである。
【0022】
成分(E)の高級脂肪酸アルカノールアミドとしては、高級脂肪酸モノエタノールアミド、高級脂肪酸ジエタノールアミド、高級脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミドが挙げられる。高級脂肪酸アルカノールアミドは増泡効果や増粘効果を期待して配合されるが、4%を超えて配合した場合、すすぎ時の感触や乾いた後の感触が悪化する。
【0023】
本発明の化粧料組成物にはその効果を損なわない範囲で化粧料に一般に用いられる成分を任意成分として配合することが可能である。配合可能な他の成分を下記に例示する。
【0024】
ノニオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0025】
カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0026】
アニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩等)、クロトン酸誘導体(酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0027】
両性水溶性高分子としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)等が挙げられる。
【0028】
ノニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライド及びその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。
【0029】
油分としては、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル、スクワラン、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸-2-ヘキシルデシル、トリミリスチン酸グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-ヘプチルウンデシル、パルミチン酸-2-ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、セトステアリルアルコール、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、オレイン酸デシル、オレイン酸オイル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸エチル、酢酸ブチル酢酸アミル、酢酸ラノリン、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキシルパルミテート、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、セチル-2-エチルヘキサノエート、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸-2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、アセトグリセライド、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸-2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルラウレート、ミンク油脂肪酸エチル等が挙げられる。
【0030】
パール化剤としては脂肪酸エチレングリコール等が、懸濁剤としてはポリスチレン乳化物等が挙げられる。
【0031】
その他配合成分としては、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ワックス類(カルナバロウ、キャンデリラロウ等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na等)、)、酸化防止剤(トコフェロール、BHT等)、、高級アルコール、高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等)、アミノ酸類(アルギニン、グルタミン酸等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、紫外線散乱剤(酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機化合物)、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、育毛剤、ビタミン類、抗炎症剤、色素、顔料(二酸化チタン等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、酸化鉄処理雲母チタン、カーボンブラック処理雲母チタン等)、無機酸塩、有機酸塩、香料、起泡増進剤等が挙げられる。
【0032】
上述の本発明にかかる化粧料組成物の剤型は限定されず任意の剤型を取ることができ、さらに上記(必須)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、その剤型によって通常当該化粧料組成物に配合される各種成分を加え常法により製造することができるが、中でも毛髪処理用組成物として好ましく使用できる。剤型としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアワックス、ヘアローション、ヘアミスト等が挙げられ、いずれも本発明の化粧料組成物のすべり性等のコンディショニング効果の改善と、使用後の仕上がり感の向上、泡立ち、泡質の改善等の効果を利用したものである。また、使用感触向上効果から、ボディ用洗浄剤、洗顔料、クレンジング剤、ローションへの利用も可能であり、酸性染毛料、酸化染毛料、パーマ剤等へ配合することも可能である。また、使用部位や使用場面に合わせて、固体、粉体、液体、ジェル、クリーム、エアゾール、フォームなど様々な態様をとることが可能である。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に指定のない限り、配合量は質量%で示す。
【0034】
a)皮膜形成性
カチオン電荷量及び分子量の異なるグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを用いてカチオン変性したグルコマンナンの0.5%水溶液を調製し、この水溶液をテフロン(登録商標)製のバットに流し込み減圧乾燥により均一の膜を調製した。得られた膜を湿度50%、温度25℃調製した室内に放置し1時間後と24時間後の状態を観察した。その結果を表1に示した。また、減圧乾燥で得られた膜0.5gを40℃、100mlのイオン交換水に投入し、完全に溶解するまでの時間を測定した。その結果を表1中に示した。
【0035】
【表1】

皮膜の状態
○:良好な皮膜
×:吸湿によりべとつきあり
溶解時間
○:1分以内に溶解
×:溶解に1分以上
【0036】
表1の結果から、カチオン電荷量が2.0meq/gを超えると良好な皮膜が得られなくことから、泡立ち、コンディショニング効果が悪化するものと考えられる。また、分子量10万未満でも同様に悪化するもと考えられる。更に、分子量1000万を超えると溶解性が悪化することから、毛髪への残留性が高くなり、繰り返し使用することにより、ごわつき感など好ましくない感触で出てくるものと考えられる。
【0037】
b)洗い流し製品におけるコンディショニング効果(すべり性)
本発明の化粧料組成物の損傷した毛髪に対するコンディショニング効果(すべり性)を洗い流し製品で確認するため、表3〜7に記載の配合組成よりなる洗い流し製品を常法により調製した。評価に使用する損傷毛髪は以下の手順により作成した。毛髪ストランド((株)ビューラックス社製、根元揃え人毛、長さ60mm、幅40mm)を、6%Hと3%アンモニア水の2:1混合液(w/w)のブリーチ剤に、浴比1:100(毛髪ストランド:溶液重量)、40℃の条件下で60分間浸漬し、温水で洗浄後、ドライヤー乾燥し、このブリーチ処理により得られた損傷の著しい毛髪ストランドとした。作成した毛髪ストランドを先に調製した各洗い流し製品の5%水溶液にそれぞれ浸漬し、この濡れたままの毛髪ストランドの動摩擦係数を摩擦感テスター(カトーテック(株)社製、KES−SE)により測定し、すべり性の評価とした。この評価結果を表3〜7中に示した。評価判定は、動摩擦係数が小さいほどすべり性が良いと判断する。
【0038】
c)泡立ち(起泡力)
表3〜7に記載の配合組成よりなる洗い流し製品の1.5%水溶液を調製し、調製したそれぞれの水溶液145mLを市販のジューサーミキサーに入れ30秒間撹拌し泡立て、この時の泡の量を測定した。この結果を表3〜7中に示した。
【0039】
d)使用感、仕上がり感(官能評価)
表3〜7に記載の配合組成よりなる洗い流し製品について、10名のテスターにより剤型の粘性、洗髪時の泡立ち、使用時のすべり性(指通り)、使用後(乾いた髪)感触について性能評価を実施し、下記表2に示す方法にて数値化し、それぞれの項目について10名のテスターの評価値を合計した。この評価結果を表3〜7中に示した。更に各洗い流し製品での洗髪を1日1回、10日間連続使用してもらい、10日目での使用後(乾いた髪)の感触を評価した。評価は表2に示す方法にて数値化し、それぞれの項目について10名のテスターの評価値を合計した。この評価結果を表3〜7中に示した。なお、表中の記号Eは、カチオン電荷量、単位meq/g、Mwは重量平均分子量を示す。
【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

高重合ジメチルポリシロキサン乳化物(動粘度:1,000,000mm/s、エマルション平均粒径2μm)
【0042】
【表4】

高重合ジメチルポリシロキサン乳化物(動粘度:1,000,000mm/s、エマルション平均粒径2μm)
高重合ジメチルポリシロキサン乳化物(動粘度:100,000mm/s、エマルション平均粒径10μm)
【0043】
【表5】

高重合ジメチルポリシロキサン乳化物(動粘度:1,000,000mm/s、エマルション平均粒径2μm)
高重合ジメチルポリシロキサン乳化物(動粘度:100,000mm/s、エマルション平均粒径10μm)
カチナールHC−100(東邦化学工業社製、カチオン電荷量1.3meq/g、重量平均分子量350,000を有するカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース)
Polymer JR−30(ダウ・ケミカル社製、カチオン電荷量1.3meq/g、重量平均分子量1,800,000を有するカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース)
Jaguar C−13S(ローディア社製、カチオン電荷量0.5meq/g、重量平均分子量2,200,000を有するカチオン変性グアーガム)
Merquat550(オンデオナルコジャパン社製、カチオン電荷量1.3meq/g、重量平均分子量3,000,000を有する塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、9%水溶液のため表5に示されている数値は、有効分換算での配合量)
カチナールCG−100S(東邦化学工業社製、カチオン電荷量0.7meq/g、重量平均分子量600,000を有するカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース)
コロハヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(カチオン電荷量0.8meq/g、重量平均分子量800,000を有するカチオン変性フェヌグリークガム)
カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(カチオン電荷量0.8meq/g、重量平均分子量1,200,000を有するカチオン変性タラガム)
10ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(カチオン電荷量1.1meq/g、重量平均分子量1,000,000を有するカチオン変性ローカストビーンガム)
【0044】
【表6】

高重合ジメチルポリシロキサン乳化物(動粘度:1,000,000mm/s、エマルション平均粒径2μm)
【0045】
【表7】

高重合ジメチルポリシロキサン乳化物(動粘度:1,000,000mm/s、エマルション平均粒径2μm)
【0046】
表3〜7の結果から、本発明品の各実施例の洗い流し製品は、比較例に比べて濡れた髪での動摩擦係数を低下させることが確認された。このことは、官能評価においても現れ、洗髪後の指通りも比較例のシャンプーに比べ優れていることが確認された。また乾いた髪の感触にも優れ、連続使用した際もこわつき等感触の悪化は見られなっかた。更に、剤型の粘性に優れ、使用の泡立ちも良好であることが確認された。また、毛髪に対するすべり性の向上及び泡立ちの改善が認められることから、ボディ用洗浄剤、洗顔料等の皮膚化粧料に対する感触改善も期待できる。
【0047】
(配合例1〜2)
以下に、シャンプーへの本発明の好適な配合例を示す。
【表8】

精製水を70℃に加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0048】
【表9】

精製水を70℃に加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0049】
(配合例3)
以下に、本発明の感触改善を利用した、皮膚化粧料組成物の配合例を示す。
【表10】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0050】
カチオン電荷量と分子量を特定の範囲に限定したカチオン変性グルコマンナン、カチオン電荷量を限定したカチオン性ポリマー、洗浄性界面活性剤及びシリコーン誘導体からなり、更にその配合比を限定する本発明の化粧料組成物は、剤型の良好な粘性と使用時の良好な泡立ちによって、より良い使い心地を与えると共に、損傷毛髪でのすべり性などコンディショニング効果を改善しかつ、繰り返し使用時のごわつき感など感触を改善することで良好な仕上がり感を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、成分(A)と(B)の質量の総和が成分(C)の質量に対して1〜10質量%であり、かつ、成分(A)と成分(B)の質量比が1対10〜10対1であって、成分(C)の含有量が5〜20質量%、成分(D)の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする化粧料組成物。
(A)カチオン電荷量が0.5〜2.0meq/gで、分子量が10万〜1000万のカチオン変性グルコマンナン
(B)カチオン電荷量が0.5〜1.6meq/gのカチオン性ポリマー
(C)洗浄性界面活性剤
(D)シリコーン誘導体
【請求項2】
更に、成分(E)として、高級脂肪酸アルカノールアミドを0.1〜4質量%含有する請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
成分(B)のカチオン性ポリマーがカチオン変性ガラクトマンナン多糖、カチオン変性セルロースより選ばれる少なくとも1種であって、分子量が500万以下である請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
成分(C)の洗浄性界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料組成物が毛髪処理用組成物である組成物。

【公開番号】特開2011−37771(P2011−37771A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186892(P2009−186892)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】