説明

化粧料

【課題】隠蔽力に優れ、酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があり、また、ストロボ照射による写真撮影においても白浮きが少ない化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の化粧料は、酸化チタン粒子を含有してなり、前記酸化チタンは、互いに略等間隔で放射状に伸びた6つの突起部を有するとともに、前記複数の突起部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈し、前記突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品などに用いられる化粧料に関し、中でもファンデーションなどのメイクアップに関する化粧料に関するものであり、さらに詳しくは、プレストパウダーファンデーション、リキッドファンデーションなどに好適であり、特徴的な一次粒子形状の酸化チタンを顔料として用いることで肌色の色調トラブルの隠蔽効果と自然な外観を両立させた化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料には、皮膚や唇の地色を隠したり、シミやしわを隠すなどの化粧効果を高めることが求められる。隠蔽性を高める粉体としては、例えば、酸化チタンや酸化鉄などが広く使用されている。酸化チタンは、ルチル型(正方晶高温型)、アナターゼ型(正方晶低温型)、ブルッカイト型(斜方晶)という3種類の結晶状態が存在することが知られている。
【0003】
ルチル型は、高温安定相であるので、その粒子は一般的に大きく、化粧品として利用した場合透明感が得られないことが問題であった。また、400nm付近の光を吸収することからその色調はやや青みがかっており、化粧品としては好ましいものではなかった。
一方、アナターゼ型は、準安定相であるので、大きな粒子が得られない。また、一次粒子が分子間力によって凝集したり、焼成工程の熱によって融着した凝集体が原料とされるので、ファンデーションなどのメイクアップ化粧料を調製する際、その凝集体を解砕するための分散工程が必要であった。
【0004】
従来のファンデーションには、隠蔽力の高い顔料として酸化チタンが用いられているが、酸化チタンの色調は青みを帯びており、赤みがかった人間の皮膚色との違いが明確であった。また、酸化チタンは隠蔽力が高い反面、自然な肌の透明感が損なわれてしまい、その白さだけが浮き立ってしまうという問題があった。また、暗視野での写真撮影などにおいてストロボ撮影した場合、化粧した顔面が不自然に白く写り、化粧した部分だけがいわゆる「白浮き」するという不具合があった。
【0005】
また、従来、顔料酸化チタンの製造法としては、塩素法や硫酸法が用いられているが、これらの方法によって得られる酸化チタンは、含水酸化チタンを回転焼成炉などの焼成装置により焼成する際に一次粒子が融着して、二次凝集体となっていた。この二次凝集体を化粧料の顔料としてそのまま使用すると、隠蔽力が高いため白浮きの不具合が生じたり、化粧料中における均一性が悪いため塗り斑が生じるなどの問題があった。そのため、酸化チタンを化粧料として調製する場合、二次凝集体を解砕し、分散する工程に時間がかかるなどの製造技術的な問題があった。
近年、本発明者等は、特殊な形状の酸化チタン(以下、「星型酸化チタン」と称する。)が隠蔽性の顔料として有効であることを見出した(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−076798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この星型酸化チタンは、以下のような形状および結晶状態の酸化チタン粒子である。
この酸化チタン粒子の形状は、放射状に伸びた複数の突起部を有するとともに、この突起部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈している。また、複数の突起部は、6つの突起部からなり、これら6つの突起部は互いに略等間隔で放射状に伸びている。
さらに、この酸化チタン粒子の結晶状態は、複数の突起部がそれぞれアナターゼ相の単結晶であって、全体として双晶を呈している。
【0007】
この星型酸化チタン粒子が隠蔽性の顔料として有効である理由は、結晶相がアナターゼ型を有すること、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が100nm〜1000nmであること、および、酸化チタン本来の性質に起因して、優れた隠蔽性を呈することなどからである。さらに、この星型酸化チタン粒子は、その星形の形状により可視光散乱性に優れている。
したがって、本発明者等は、このような星型酸化チタン粒子を化粧料に含有させることによって、白色性および反射性に優れた顔料として使用出来ることが分かっていた。しかしながら、星型酸化チタン粒子の化粧料としての効果、星型酸化チタン粒子を化粧料とした場合の外観(印象)、および、その他の実効性にどのような価値をもたらすのかについては不明であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、隠蔽力に優れ、酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があり、また、ストロボ照射による写真撮影においても白浮きが少ない化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、全体として星形を呈し、その平均一次粒子径を0.1μm以上かつ1.0μm以下の星型酸化チタン粒子を用いて化粧料とすることにより、隠蔽力に優れ、酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があり、また、ストロボ照射による写真撮影においても白浮きが少ない化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の化粧料は、酸化チタン粒子を含有してなる化粧料であって、前記酸化チタンは、互いに略等間隔で放射状に伸びた6つの突起部を有するとともに、前記複数の突起部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈し、前記突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下であることを特徴とする。
【0011】
前記複数の突起部はそれぞれアナターゼ相の単結晶からなり、前記酸化チタン粒子は全体として双晶を呈していることが好ましい。
前記酸化チタン粒子は、前記突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下である粒子を60質量部以上含有することが好ましい。
【0012】
前記酸化チタン粒子が独立粒子として分散してなることが好ましい。
前記酸化チタン粒子の含有率が2質量部以上かつ25質量部以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化粧料によれば、酸化チタン粒子を含有してなる化粧料であって、前記酸化チタンは、互いに略等間隔で放射状に伸びた6つの突起部を有するとともに、前記複数の突起部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈し、前記突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下であるので、均一で塗りむらが少なく、隠蔽力に優れ、酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があり、また、ストロボ照射による写真撮影においても白浮きが少ない
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の化粧料の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
本発明の化粧料は、酸化チタン粒子を隠蔽力発現のための顔料成分として含有してなる化粧料であって、前記酸化チタンは、互いに略等間隔で放射状に伸びた6つの突起部を有するとともに、前記複数の突起部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈し、前記突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下のものである。
【0016】
メイクアップ化粧料には、皮膚や唇の地色を隠したり、シミやしわを隠すなどの化粧効果を高めることが求められる。
一般に、酸化チタン粒子などの白色粉体を有効成分として含有させることにより、化粧料の可視光領域での隠蔽性を高くすることが出来、ひいては前述の化粧効果を高めることが出来る。酸化チタン粒子の粒径は、可視光(波長380〜700nm)および近赤外(700〜1100nm)の約半分程度が好適とされる。これは、Mieの光散乱理論で説明されるように、波長の約半分の粒径は、散乱能が強いからである。したがって、可視光および近赤外領域の光を単分散状態の酸化チタン粒子で散乱させるためには、酸化チタン粒子の平均一次粒径は、150nmから600nm程度が必要である。
【0017】
酸化チタンは、ブルッカイト相、アナターゼ相およびルチル相などの結晶相を有するが、アナターゼ相は準安定相であるので、ある程度の大きさの酸化チタン粒子を形成するために加熱処理を施すと、アナターゼ相は安定相であるルチル相に転移してしまう。この結果、酸化チタン粒子の形状とは無関係に、平均一次粒子径が100nm以上の酸化チタン粒子を得ようとすると、酸化チタン粒子はルチル相を含むことになる。したがって、ルチル相からなる酸化チタンを化粧品として利用した場合、透明感が得られないことが問題であった。また、400nm付近の光を吸収することから、その色目はやや青みがかったものであり、化粧品としては好ましくない。一方、アナターゼ相は準安定相であるゆえに、大きな粒子を得られにくいといった性質を有している。
【0018】
また、白色度を上げるために、粒径200nm前後の粒子が用いる試みがなされているが、この場合には前記粒径の前記粒子の使用量を増大させる必要があり、その結果、このような酸化チタンを含む化粧料のざらつき感などが強調されるという問題があった。
【0019】
本発明の化粧料では、隠蔽力を高めるための粉体として、星形形状を有する「星型酸化チタン」が用いられる。本発明の化粧料における「星型酸化チタン粒子」とは、互いに略等間隔で放射状に伸びた6つの突起部を有するとともに、複数の突起部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈し、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下の酸化チタン粒子である。また、星型酸化チタン粒子は、複数の突起部がそれぞれアナターゼ相の単結晶からなり、全体として双晶を呈している。
【0020】
また、酸化チタン粒子の形状に関して検討したところ、星型酸化チタン粒子は、光学散乱シミュレーションによると、球状や立方体状の酸化チタン粒子に比べ周辺部への均一散乱性に優れることが分かった。さらに、星型酸化チタン粒子は、透過散乱の波長依存性を測定すると、従来使用されてきた化粧品用の顔料酸化チタン粒子と比べて、透過率の波長依存性が少ないことが分かった。これにより、星型酸化チタン粒子は、光の均一散乱性に優れ、かつ、透過率の波長依存性が少ないことから、化粧品の顔料として使用した場合に、可視光の波長に関わらずソフトフォーカス効果(ぼかし効果)を発現する。
【0021】
本発明の化粧料における酸化チタン粒子は、その結晶相がアナターゼ相を有すること、平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下であること、および酸化チタン本来の性質に起因して、優れた隠蔽性を呈する。また、その星形形状に起因して優れた可視光散乱性を有する。したがって、本発明の化粧料は、隠蔽性および可視光散乱性に優れている。
また、酸化チタンは、紫外線の吸収に優れるという本来的な性質を有しているので、本発明の化粧料は、優れたUVカットの効果をも呈するようになる。
【0022】
また、本発明の化粧料における酸化チタン粒子は、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下である粒子を60質量部以上含有することが好ましく、このような粒子を80質量部以上含有することがより好ましい。
酸化チタン粒子は、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下である粒子を60質量部以上含有することが好ましい理由は、平均一次粒子径が0.2μm未満の粒子の含有率を減少させることにより、微粒子による光の散乱を防止し、青みがかった色を呈することをより効果的に防止できるからであり、一方、平均一次粒子径が0.6μmを超える粒子の含有率を減少させることにより、化粧料とした場合、むらのない均一な見え方を実現できるからである。
【0023】
酸化チタン粒子の粒径分布を、上記の範囲に限定する方法としては、種々の方法が用いられる。
また、酸化チタン粒子の合成条件によっても、その粒径分布を上記の範囲に限定することができる。
さらに、合成後の星型酸化チタン粒子含有スラリーを分級することによっても、酸化チタン粒子の粒径分布を上記の範囲に限定することができる。なお、分級の方法は特に限定されるものではなく、各種の分級方法が用いられる。分級方法としては、例えば、デカンテーション法によりスラリーに含まれる粗大粒子を自然沈降させて沈降物を回収する方法、遠心分離法によりスラリーに含まれる所定の粒径の粒子を回収する方法、マイクロポーラスフィルターにスラリーを透過させて微粒子を除去する方法、メンブレンフィルターなどのフィルターによりスラリーに含まれる粗大粒子を分離除去する方法などが挙げられる。
【0024】
また、本発明の化粧料における酸化チタン粒子は、独立粒子(一次粒子)として分散しており、焼結工程を経ない製造方法により製造されるので、熱による融着などの二次凝集がないから、上述のように二次凝集体を解砕する工程を経ることなく使用できる。これにより、化粧料の製造において、酸化チタン粒子をその他の化粧料原料に分散させる工程の時間を短縮することができる。さらに、同様の理由で、この酸化チタン粒子は、他の化粧料原料への均一混合性に優れているので、酸化チタン粒子の配合量を減少させても、これまでと同等の効果が得られる。
【0025】
また、酸化チタン粒子は、表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、撥水化表面処理、親水化表面処理などが挙げられる。
撥水化表面処理としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理などのオルガノシロキサン処理;ステアリン酸亜鉛処理などの金属石鹸処理;シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理などのシラン処理;有機チタネート処理、有機アルミネート処理、パーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩処理、パーフルオロポリエーテル処理などのフッ素化合物処理;N−ラウロイル−L−リジン処理などのアミノ酸処理;スクワラン処理などの油剤処理;アクリル酸アルキル処理などのアクリル処理、などが挙げられ、これらから選択される表面処理の1種または2種以上が用いられる。
また、親水化表面処理としては、例えば、寒天処理;デオキシリボ核酸処理;レシチン処理;ポリアクリル酸処理;酸化ケイ素処理;酸化アルミニウム処理;酸化ジルコニウム処理、水酸化ケイ素処理;水酸化アルミニウム処理;水酸化ジルコニウム処理、などが挙げられる。このうち、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムの酸化物や水酸化物による表面処理では、酸化チタン粒子表面の触媒活性低下や動摩擦係数の低下を図ることもできる。これらから選択される表面処理の1種または2種以上が用いられる。
また、これらの表面処理を行なうことにより、分散性を制御することができるが、さらに分散性を向上させるための高分散処理を行なうこともできる。
【0026】
本発明の化粧料における酸化チタン粒子の含有率は、2質量部以上かつ25質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上かつ20質量部以下である。
酸化チタン粒子の含有率が、2質量部以上かつ25質量部以下であることが好ましい理由は、酸化チタン粒子の含有率が2質量部未満では、光の均一散乱性に優れ、透過率の波長依存性が少ないという光学的な効果が十分に得られないからであり、一方、酸化チタン粒子の含有率が25質量部を超えると、色が白くなりすぎて不自然になるという問題がある。
【0027】
また、本発明の化粧料は、有効成分として、紫外線遮蔽剤を含有している。
地上に照射される太陽光の中には、中紫外線(280〜320nm:UV−B)と、近紫外線(325nm〜400nm:UV−A)とが含まれている。このうち中紫外線は皮膚の紅斑水疱などの炎症を引き起こし、一方、近紫外線はメラニン生成を促して皮膚の褐色化を生じさせることが知られている。
紫外線遮蔽剤は、このような紫外線による人体(皮膚)への悪影響を防止するために、化粧料に配合されている成分である。
【0028】
紫外線遮蔽剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系などの有機系の紫外線吸収剤と、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機系の紫外線散乱剤とが用いられる。
上記の無機系の紫外線散乱剤は、光の吸収端を近紫外領域に有し、屈折率が比較的高い(例えば、酸化チタンの屈折率は2.5)ため、近紫外光を散乱させ青みがかった色を呈するという問題がある。このような問題は、無機系の紫外線散乱剤粒子の平均粒子径を近紫外光の波長に比べて十分に小さくすることで防げるが、具体的には、無機系の紫外線散乱剤粒子の平均粒子径は0.1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以下である。
【0029】
また、上記の無機系の紫外線散乱剤粒子は、他の金属酸化物あるいは金属水酸化物により被覆(表面処理)されていることが好ましい。
この金属酸化物あるいは金属水酸化物としては、金属元素として、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)および錫(Sn)の群から選択される1種または2種以上を含む物質が挙げられる。
このような金属酸化物あるいは金属水酸化物のうち、ケイ素、ジルコニウムの酸化物あるいは水酸化物は、無機系の紫外線散乱剤の表面を被覆することにより、主にその表面の触媒活性を低下させて不活性化することができる。
一方、アルミニウム、ジルコニウム、錫の酸化物あるいは水酸化物は、無機系の紫外線散乱剤の表面を被覆することにより、その動摩擦係数を低下させることができる。すなわち、これは、アルミニウム、ジルコニウム、錫の酸化物あるいは水酸化物の動摩擦係数が小さいために得られる効果である。
【0030】
また、無機系の紫外線散乱剤粒子の表面処理には、上記のような金属酸化物あるいは金属水酸化物とともに、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、シリコーンレジン、シリコーンガム、アクリルシリコーンのなどのシリコーン系の表面処理剤(被覆剤)や、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテルなどのフッ素系の表面処理剤(被覆剤)、N -ラウロイル-L -リジン処理などのアミノ酸処理、スクワラン処理などの油剤処理、アクリル酸アルキル処理などのアクリル処理を併用することもできる。
【0031】
また、本発明の化粧料には、上記成分以外に化粧料用として一般的な着色顔料およびその他の粉体、保型成分、油性成分、保湿剤などを用いることができる。
着色顔料としては、例えば、赤色201号、赤色202号、赤色104号(1)アルミニウムレーキ、赤色218号、赤色223号、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色401号、青色1号アルミニウムレーキ、青色404号などの有機顔料;酸化亜鉛、シリカ、金、銀、紺青、群青などの無機顔料が挙げられる。
【0032】
その他の粉体としては、例えば、シリカ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルシルセスキオキサン、ウレタンパウダーなどの球状粉体;ラウロイルリジン、硫酸バリウム、窒化ホウ素などの板状粉体、などが挙げられる。
【0033】
保型成分としては、例えば、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、カルナウバロウ、キャンデリラワックス、水添ホホバ油などの固体脂;ショ糖脂肪酸エステルなどのゲル化剤、などが挙げられる。
【0034】
油性成分としては、例えば、イソステアリン酸プロピル、イソノナン酸イソトリデシルなどのモノエステル;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリルなどのジエステル;オクチルドデカノールなどの高級アルコール;重質流動イソパラフィン、イソパラフィン、イソステアリン酸コレステリル、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油フィトステリルなどのステロール誘導体;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油;パーフルオロポリエーテルなどのフッ素系油剤、などが挙げられる。
【0035】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール類;セラミド類;グリチルレチン酸ステアリル、などの成分が挙げられる。
【0036】
さらに、本発明の化粧料には、上記の成分以外に、一般的な化粧料に配合される成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、無機金属塩類、有機金属塩類、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、薬効成分、水、香料などが挙げられる。
【0037】
また、本発明の化粧料は、上記の各材料を用いて、粘度、濃度、色調などを調整し、常法に従って製造することができ、粉末固形型、高含油粉末固形型、油分散型、水分散型、油中水型乳化液、水中油型乳化液などの任意の形態(種類)とすることができる。
本発明の化粧料の種類としては、ファンデーション、ベースファンデーション、頬紅、白粉、プレストパウダー、チークカラー、口紅、アイライナー、アイシャドウ、ネイルカラー、サンスクリーン剤、軟膏、乳液、クリーム、エッセンス、パウダー、ローション、スプレー、紫外線防止剤などが挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
[プレストパウダーファンデーションの調製]
「実施例1」
表1に示す原料を用いて、化粧料としてプレストパウダーファンデーションを調製した。表1の数値は各成分の配合量(質量部)である。
この実施例1では、酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下の星型酸化チタン粒子を配合し、その配合量を11質量部とした。
まず、ヘンシェルミキサを用いて、表1に示す原料のうち粉体成分を混合した後、予備混合しておいた液体成分を加えて、さらに撹拌混合し、全ての原料を混合してなる混合物を調製した。なお、ヘンシェルミキサによる攪拌混合は、原料を加温しながら行い、その温度を75℃とした。
次いで、得られた混合物を室温まで冷却した後、プレス成形機により、この混合物をプレス成形し、プレストパウダーファンデーションを得た。
【0040】
「実施例2」
星型酸化チタン粒子(突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下のもの)の配合量を8質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0041】
「実施例3」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を2質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0042】
「実施例4」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を11質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0043】
「実施例5」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を25質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0044】
「実施例6」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を99質量部含むものを配合し、その配合量を11質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0045】
「比較例1」
酸化チタン粒子として、平均一次粒子径が0.15μm以上かつ0.3μm以下の粒子が凝集したルチル酸化チタン粒子を配合し、その配合量を11質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0046】
「比較例2」
酸化チタン粒子として、平均一次粒子径が0.15μm以上かつ0.3μm以下の粒子が凝集したルチル酸化チタン粒子を配合し、その配合量を8質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0047】
「比較例3」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を1質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0048】
「比較例4」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を30質量部とした以外は実施例1と同様にして、プレストパウダーファンデーションを調製した。
【0049】
【表1】

【0050】
[プレストパウダーファンデーションの評価]
実施例1〜6および比較例1〜4のプレストパウダーファンデーションを顔面に塗布して、30分経過後、プレストパウダーファンデーションの塗布状態を目視により観察するとともに、ストロボ照射による写真撮影を行った。
結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
表2の結果から、実施例1〜6のプレストパウダーファンデーションは、通常の酸化チタンを用いた比較例1、2のプレストパウダーファンデーションと比べて、酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があり、また、ストロボ照射による写真撮影においても、白浮きが少なかった。
また、比較例3のプレストパウダーファンデーションは、星型酸化チタンの配合量が少なすぎて、隠蔽力が不十分であった。
また、比較例4のプレストパウダーファンデーションは、肌へのなめらかさ、透明感および白浮きの点で実施例1〜6のプレストパウダーファンデーションよりも劣っていた。
【0053】
10名のモニターにより、実施例4のプレストパウダーファンデーションと、比較例1のプレストパウダーファンデーションの実用試験を行った。
モニターには、プレストパウダーファンデーションを顔面に塗布して、1時間経過後、プレストパウダーファンデーションについて、(1)のび、(2)肌へのなめらかさ、(3)肌への付着性、(4)隠蔽力(シミ、しわのぼかし効果)、(5)青白さ、(6)透明感の6項目について、「◎:大変良い」、「○:良い」、「△:やや悪い」、「×:悪い」の4段階で評価してもらった。各項目について、◎または○と評価した人数を表に記載した。
結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
表3の結果から、使用者自身でも、実施例4のプレストパウダーファンデーションは、微粒子酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があるという効果を感じ取れることが分かった。
【0056】
[リキッドファンデーションの調製]
「実施例10」
表4に示す原料を用いて、化粧料としてリキッドファンデーションを調製した。表4の数値は各成分の配合量(質量部)である。
この実施例10では、酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下の星型酸化チタン粒子を配合し、その配合量を12質量部とした。
まず、ヘンシェルミキサを用いて、表4に示す原料のうち粉体成分を混合した後、ヘンシェルミキサを90℃に加温しながら、予備混合しておいた液体成分を徐々に加えて、さらに撹拌混合し、乳化液を調製した。
次いで、得られた乳化液を室温まで冷却した後、この乳化液を容器に充填し、リキッドファンデーションを得た。
【0057】
「実施例11」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を2質量部とした以外は実施例10と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。
【0058】
「実施例12」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を12質量部とした以外は実施例10と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。
【0059】
「実施例13」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を25質量部とした以外は実施例10と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。
【0060】
「実施例14」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を99質量部含むものを配合し、その配合量を12質量部とした以外は実施例10と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。
【0061】
「比較例10」
酸化チタン粒子として、平均一次粒子径が0.15μm以上かつ0.3μm以下の粒子が凝集したルチル酸化チタン粒子を配合し、その配合量を12質量部とした以外は実施例10と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。
【0062】
「比較例11」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を1質量部とした以外は実施例1と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。
【0063】
「比較例12」
星型酸化チタン粒子として、突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下の粒子を60質量部含むものを配合し、その配合量を30質量部とした以外は実施例10と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。
【0064】
【表4】

【0065】
[作成リキッドファンデーションの評価]
実施例10〜14および比較例10〜12のリキッドファンデーションを顔面に塗布して、30分経過後、リキッドファンデーションの塗布状態を目視により観察するとともに、ストロボ照射による写真撮影を行った。
結果を表5に示す。
【0066】
【表5】

【0067】
表5の結果から、プレストパウダーファンデーションの結果と同様に、実施例10〜14のリキッドファンデーションは、通常の酸化チタンを用いた比較例10のプレストパウダーファンデーションと比べて、酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があり、また、ストロボ照射による写真撮影においても、白浮きが少なかった。
また、比較例11のリキッドファンデーションは、星型酸化チタンの配合量が少なすぎて、隠蔽力が不十分であった。
また、比較例12のリキッドファンデーションは、肌へのなめらかさ、透明感および白浮きの点で実施例10〜14のリキッドファンデーションよりも劣っていた。
【0068】
10名のモニターにより、実施例12のリキッドファンデーションと、比較例10のリキッドファンデーションの実用試験を行った。
モニターには、リキッドファンデーションを顔面に塗布して、1時間経過後、プレストパウダーファンデーションについて、(1)のび、(2)肌へのなめらかさ、(3)肌への付着性、(4)隠蔽力(シミ、しわのぼかし効果)、(5)青白さ、(6)透明感の6項目について、「◎:大変良い」、「○:良い」、「△:やや悪い」、「×:悪い」の4段階で評価してもらった。各項目について、◎または○と評価した人数を表に記載した。
結果を表6に示す。
【0069】
【表6】

【0070】
表6の結果から、プレストパウダーファンデーションの結果と同様に、使用者自身でも、実施例12のリキッドファンデーションは、微粒子酸化チタン特有の青白さがなく、透明感があるという効果を感じ取れることが分かった。また、実施例12のリキッドファンデーションは、ストロボ照射による写真撮影でも、通常の酸化チタンに比べて白浮きが少なかった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタン粒子を含有してなる化粧料であって、
前記酸化チタンは、互いに略等間隔で放射状に伸びた6つの突起部を有するとともに、前記複数の突起部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈し、前記突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.1μm以上かつ1.0μm以下であることを特徴とする化粧料。
【請求項2】
前記複数の突起部はそれぞれアナターゼ相の単結晶からなり、前記酸化チタン粒子は全体として双晶を呈していることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記酸化チタン粒子は、前記突起部の外周の寸法で表される平均一次粒子径が0.2μm以上かつ0.6μm以下である粒子を60質量部以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記酸化チタン粒子が独立粒子として分散してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記酸化チタン粒子の含有率が2質量部以上かつ25質量部以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化粧料。



【公開番号】特開2009−184972(P2009−184972A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26819(P2008−26819)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】