説明

化粧料

【課題】竹の粉末はその抗菌性に注目した開発が主に行われており、竹の粉末そのものの顔料としての特性に注目した検討は実施されてこなかった。また、従来、化粧料の隠蔽力を出すための素材は酸化チタンが主に用いられてきており、弱いながらも植物の微粉末で隠蔽力が得られるものは知られていなかった。
【解決手段】竹の微粉砕粉末、特に平均一次粒子径が1〜15μmの範囲にある竹の微粉砕粉末を配合することで、適度な隠蔽力とツヤに優れた化粧料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹の微粉砕粉末を配合した化粧料に関する。
さらに詳しくは、竹の微粉砕粉末を配合することで、適度な隠蔽力を有し、かつツヤに優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明の技術的背景について説明する。竹粉末は、特許文献1、2に示すように、竹の持つ防臭・防菌能力に着目して、生理用ナプキンや紙おむつに配合されたり、外用脱臭除菌剤に配合されたりしている。また、特許文献3に示すように、竹を炭化させた竹炭を配合した整髪料や、特許文献4に示すように、竹の抽出物を配合した皮膚化粧料も知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−293136号公報
【特許文献2】特開平5−306232号公報
【特許文献3】特開2003−313114号公報
【特許文献4】特開平9−315930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
竹の粉末は、その抗菌性に注目した開発が主に行われており、竹の粉末そのものの顔料としての特性に注目した検討は実施されてこなかった。また、従来、化粧料の隠蔽力を出すための素材は酸化チタンが主に用いられてきており、弱いながらも植物の微粉末で隠蔽力が得られるものは知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明人は鋭意検討した結果、竹の微粉末を配合することで、適度な隠蔽力とツヤに優れた化粧料が得られることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明は、竹の微粉砕粉末を配合した化粧料にある。
【0007】
第2の本発明は、竹の微粉砕粉末が、竹の表皮から得られたものであることを特徴とする上記の化粧料にある。
【0008】
第3の本発明は、竹の微粉砕粉末の平均一次粒子径が1〜15μmの範囲にあることを特徴とする上記の化粧料にある。
【発明の効果】
【0009】
以上説明するように、本発明は、竹の微粉砕粉末を配合することで、適度な隠蔽力を有し、かつツヤに優れた化粧料が得られることは明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料では、竹の微粉砕粉末を配合する。本発明で用いる竹とは、イネ科タケ亜目に属する植物を指し、例えばモウソウチク、マダケ、ハチク、ホテイチク、キッコウチク、ホウライチク、ナリヒラダケ、チシマザサ、トウチク、シホウチク、カンチク、ヤダケ、メダケなどが挙げられる。竹は、幹を粉砕しても、表皮を分離後粉砕しても構わないが、表皮を用いることが好ましい。また、竹は事前に乾燥されているものを用いても構わない。本発明の化粧料で言う微粉砕粉末とは、平均一次粒子径で1〜20μm、より好ましくは1〜15μmの範囲に入るように、竹を粉砕して得られるものが挙げられる。平均一次粒子径の測定及び形状観察は電子顕微鏡観察や、粒度分布計を用いて検討することが好ましい。平均一次粒子径が1μm未満ではツヤが出にくい問題があり、また、20μmを超えると皮膚への付着性が悪化する問題がある。また、本発明の化粧料では、竹は機械的に粉砕されたものを用いることが好ましい。爆砕法は化粧料への火薬由来成分の混入の恐れがあるため好ましくない。
【0011】
本発明の化粧料で用いる竹の微粉砕粉末は、別途乾燥処理や洗浄、滅菌処理、脱臭処理、漂白処理が行われていても構わない。
【0012】
本発明の化粧料では、こうして得られた竹の微粉砕粉末を、化粧料の質量に対して0.1〜99.9質量%の範囲で配合することが可能である。また、隠蔽力やツヤなどの光学機能を期待する場合は、竹の微粉砕粉末を化粧料の質量に対して1.0〜99.9質量%の範囲で配合することが好ましい。
【0013】
本発明の化粧料では、上記竹の微粉砕粉末以外の成分として、通常化粧料で使用される各種の素材、例えば顔料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、油剤、界面活性剤、フッ素化合物、樹脂、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の成分を使用することができる。
【0014】
本発明の化粧料としては、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、マスカラ、頬紅、白粉、ネイルカラー、コンシーラーなどのメイクアップ化粧料以外にも、クリーム、乳液、クレンジング料、サンスクリーン剤、パックなどの基礎化粧料、染毛料、コンディショナーなどの頭髪化粧料、ボディソープ、ボディパウダーなどの全身化粧料においても有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
〔実施例1〜3、比較例1〕
表2に示す処方と製造方法により、ファンデーションを得た。尚、配合比率の単位は質量%である。竹の微粉砕粉末としては、マダケの表皮の粉砕物を用いた。この竹の微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例を図1に示す。また、竹の微粉砕粉末の粒子径を表1に示す。尚、平均一次粒子径(累積50%粒子径)は、日機装社製マイクロトラックMT3300EXII型を用い、イソプロピルアルコールを用いて動的光散乱法にて測定した。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
製造方法
粉体成分をミキサーを用いて良く混合した。ここに、均一に溶解、混合した油性成分を加え、良く撹拌混合した。ついで、金型を用いて金皿に打型して製品(ファンデーション)を得た。
【0020】
〔実施例4〜6、比較例2〜3〕
表3に示す処方と製造方法により、W/O型リクイドファンデーションを得た。尚、竹の微粉砕粉末としては、モウソウチクの表皮を粉砕したもの(平均一次粒子径9.1μm)を使用した。尚、表3における配合比率の単位は質量%である。
【0021】
【表3】

【0022】
製造方法
油相を70℃に加熱し、均一に混合した後、良く混合しておいた粉体成分を加え、攪拌する。次いで、70℃に加熱し、均一に混合した水相を加え、攪拌した後、室温まで冷却し、容器に充填して製品を得た。
【0023】
〔実施例7〜9、比較例4〕
表4に示す処方と製造方法により、ほほ紅を得た。尚、竹の微粉砕粉末としては、実施例1で用いたものをそのまま用いた。また、表4における配合比率の単位は質量%である。
【0024】
【表4】

【0025】
製造方法
粉体成分をミキサーを用いて良く混合した。ここに油性成分を加え、良く撹拌混合した。ついで、容器に充填して製品を得た。
【0026】
実施例及び比較例の評価
パネラー10名を用い、アンケート形式にて、実施例及び比較例の評価を実施した。アンケートは各評価項目に対して、一番優れた評価を5点、一番悪い評価を1点として、パネラー全員の平均点を以て評価結果とした。従って、点数が高い方がその評価項目に対して評価が高かったことを示す。評価結果を表5に示す。
【0027】
【表5】

【0028】
表5の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて、各評価項目において優れた性能を示していることが判る。表5の結果から、竹の微粉砕粉末は適度な隠蔽力があり、ツヤに優れていることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 竹の微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹の微粉砕粉末を配合した化粧料。
【請求項2】
竹の微粉砕粉末が、竹の表皮から得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
竹の微粉砕粉末の平均一次粒子径が1〜15μmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−57658(P2011−57658A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230976(P2009−230976)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(500034941)株式会社コスメテクノ (16)
【Fターム(参考)】