説明

化粧材

【課題】抗菌性に優れた化粧材を提供する。
【解決手段】木質系材料及び熱可塑性樹脂を含有する基材上に、化粧シートを貼着してなる化粧材であって、
前記基材が、更に、銀系抗菌剤を含有する化粧材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
床材、壁材等の建築材料として化粧材が用いられる。
【0003】
近年、化粧材には、微生物や細菌の発生・成育・増殖を防止すること、すなわち、抗菌性が求められている。特に、抗菌性を有する化粧材は、食品工場、病院等の高い衛生レベルが要求される施設でのニーズが高い。
【0004】
化粧材は、一般的には、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等の木質基材と化粧シートから構成される。
【0005】
また、特許文献1及び2には、木質系充填剤及び熱可塑性樹脂を含有する発泡成形体上に、化粧シートを積層してなる化粧材が開示されている。
【0006】
特許文献1及び2の化粧材は、熱安定性等の所望の性能を発揮するために、前記発泡成形体が熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤等を更に含有している。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2の化粧材を含め、従来の化粧材は、十分な抗菌性を有しない。
【特許文献1】特開2002−120347
【特許文献2】特開2004−306405
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、抗菌性に優れた化粧材を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、化粧シートを貼着する基材として特定の基材を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記の化粧材に係る。
1. 木質系材料及び熱可塑性樹脂を含有する基材上に、化粧シートを貼着してなる化粧材であって、
前記基材が、更に、銀系抗菌剤を含有する化粧材。
2. 前記基材中における銀系抗菌剤の含有量が、0.01重量%以上である項1に記載の化粧材。
3. 前記基材が、更に、難燃剤、寸法安定剤、防蟻剤及び調湿剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する項1又は2に記載の化粧材。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧材は、基材に銀系抗菌剤を配合することにより、優れた抗菌効果を発揮する。特に、前記基材は優れた抗菌性を有する。そのため、本発明の化粧材は、施工の際、基材の一部が露出する場合であっても、優れた抗菌効果を発揮できる。露出する部分としては、例えば、本発明の化粧材を床材として用いる場合、床材の実の勘合部分、溝切削部分等が挙げられる。本発明の化粧材は、住宅等の一般の建築物の建築材料として使用できることはもちろん、食品工場、病院等の高い衛生レベルが要求される施設の建築材料としても好適に使用できる。
【0012】
また、前記基材に、難燃剤、寸法安定剤、防蟻剤及び調湿剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を配合することにより、難燃性、寸法安定性等の所望の性能を有する化粧材を得ることができる。
【0013】
本発明の化粧材は、例えば、床用化粧材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の化粧材は、木質系材料及び熱可塑性樹脂を含有する基材上に、化粧シートを貼着してなる化粧材であって、前記基材が、更に、銀系抗菌剤を含有する。
【0015】
基材
前記基材は、発泡体であってもよい。前記基材が発泡体である場合、揮発成分を含む接着剤を用いて該基材に化粧シートを接着させる場合であっても、該基材と該化粧シートとを強固に接着させることができる。また、断熱性及び緩衝性に優れ、且つ、天然の木材に近い触感を有する化粧材を得ることができる。
【0016】
前記基材の厚みは、0.5〜15mm程度であればよい。前記基材が発泡体である場合も、厚みはかかる範囲内であればよい。
【0017】
(木質系材料)
前記木質系材料としては、例えば、木粉、木片、木質繊維等のような木質材料粉粒体が好ましい。これらは1種又は2種以上で用いる。すなわち、本発明では、木質材料粉粒体及び熱可塑性樹脂を含む混合物を成形することにより得られる基材を好適に用いることができる。
【0018】
前記木質系材料の平均粒径は、1〜200μm程度であればよい。
【0019】
前記基材中における前記木質系材料の含有量は、特に限定されず、5〜80重量%程度であればよい。
【0020】
(熱可塑性樹脂)
前記熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アクリル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。この中でも特に、ポリオレフィンが好ましい。
【0021】
前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、これらの酸変性物、これらのアイオノマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いる。
【0022】
前記基材中における前記熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されず、20〜90重量%程度であればよい。
【0023】
(銀系抗菌剤)
前記基材は、更に、銀系抗菌剤を含有する。銀系抗菌剤を含有することにより、前記基材に抗菌性を付与し、優れた抗菌効果を発揮する化粧材を得ることができる。
【0024】
銀系抗菌剤としては、例えば、担体上に銀イオンを担持してなる粒子を好適に用いることができる。
前記担体としては、例えば、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル等の無機系吸着剤、ゼオライト、水酸化アパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイト等の無機イオン交換体等の無機化合物が挙げられる。これらの無機化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの無機化合物の中でも、銀イオンを強固に担持できる点で、無機イオン交換体が好ましく、ゼオライト、水酸化アパタイト及びリン酸ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機イオン交換体がより好ましく、リン酸ジルコニウムが最も好ましい。
【0025】
銀イオンの担持量は、担体100重量部に対し、通常0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部である。銀イオンの担持量が、担体100重量部に対し、通常0.1〜30重量部である場合、本発明の化粧材は、十分な抗菌効果を発揮することができる。
【0026】
前記抗菌剤は、担体上に、銀イオン以外のイオンを担持していてもよい。銀イオン以外のイオンとしては、例えば銅イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
前記抗菌剤の好ましい態様としては、例えば、リン酸ジルコニウムの三次元ネットワーク構造内に銀イオンを担持したものが挙げられる。前記態様の抗菌剤は、銀成分(銀イオン)が欠落しにくい等の点で有利である。
【0027】
前記抗菌剤粒子の形状としては、例えば、球状、楕円状、多面体状、鱗片状等が挙げられる。この中でも特に、球状が好ましい。前記粒子が球状である場合、その平均粒径は、0.1〜20.0μmが好ましく、0.3〜5.0μmがより好ましい。平均粒径が0.1〜20.0μmの場合、本発明の化粧材は、十分な抗菌効果を発揮することができる。
【0028】
前記抗菌剤の調製方法としては、特に限定されず、公知の担持方法により、前記銀イオンを前記無機化合物に担持すればよい。公知の担持方法としては、例えば、物理吸着又は化学吸着により前記銀イオンを前記無機化合物に担持させる方法、イオン交換反応により前記銀イオンを前記無機化合物に担持させる方法、結合剤により前記銀イオンを前記無機化合物に担持させる方法、銀化合物を前記無機化合物に打ち込むことにより担持させる方法、蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成法により前記無機化合物の表面に前記銀化合物の薄層を形成させることにより担持させる方法等が挙げられる。
また、前記抗菌剤としては、例えば「ノバロンAG−300」(東亜合成化学製、銀イオン担持リン酸ジルコニウム)、「抗菌セラミックス」(新東Vセラミックス社製、銀イオン担持アパタイト)、「ゼオミックAJ−10D」(シナネンニューセラミック製、銀イオン担持ゼオライト)等の市販品を利用することもできる。
【0029】
前記基材中における前記抗菌剤の含有量は、特に限定されないが、0.01重量%以上であることが好ましく、0.5〜3.5重量%であることがより好ましい。
【0030】
前記基材は、更に、難燃剤、寸法安定剤、防蟻剤及び調湿剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0031】
(難燃剤)
前記基材に、難燃剤を配合することにより、本発明の化粧材の難燃性を向上させることができる。
【0032】
難燃剤としては、水酸化マグネシウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸化マグネシウムがより好ましい。その他、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤等を用いることもできる。
【0033】
前記基材中における前記難燃剤の含有量は、特に限定されず、使用する難燃剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。特に、難燃剤として、水酸化マグネシウムを含有する場合の含有量は、0.1〜40重量%が好ましい。
【0034】
(寸法安定剤)
前記基材に、寸法安定剤を配合することにより、基材中の熱可塑性樹脂の線膨張を好適に抑制しつつ、基材の硬度を向上させることができる。
【0035】
寸法安定剤としては、例えばシリカ、イルメナイト、カオリン、ベントナイト、パーライト、シラスバルーン、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0036】
前記基材中における前記寸法安定剤の含有量は、5〜80重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。
【0037】
(防蟻剤)
前記基材に、防蟻剤を配合することにより、本発明の化粧材に防蟻性能を付与することができる。
【0038】
前記防蟻剤としては、例えば、コレマナイト(ホウ酸カルシウム)、ハウライト、インデライト等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用する。
【0039】
前記基材中における前記防蟻剤の含有量は、5〜40重量%が好ましい。
【0040】
(調湿剤)
前記基材に、調湿剤を配合することにより、本発明の化粧材に優れた耐湿性を付与することができる。
【0041】
前記調湿剤としては、例えば、トバモライト、活性炭等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用する。
【0042】
前記基材中における前記調湿剤の含有量は、5〜40重量%が好ましい。
【0043】
(その他)
前記基材には、必要に応じて公知の添加剤を更に配合してもよい。公知の添加剤としては、例えば熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤(顔料、染料等)、充填剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、ブロッキング防止剤光散乱剤、艶調整剤等が挙げられる。
【0044】
熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系等、酸中和剤としてはステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定剤としてはヒンダードアミン系等、充填剤としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、タルク、マイカ、珪酸マグネシウム、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、カーボンブラック、金属粉等、滑剤としては炭化水素系滑剤、脂肪酸、高級アルコール系、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、エステル系、フッ素系等、造核剤としてはカルボン酸金属塩系、ソルビトール系、リン酸エステル金属塩系等、顔料としては縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
【0045】
また、前記熱可塑性樹脂の溶融張力を上昇させるためのフッ素系添加剤を配合してもよい。
【0046】
これら添加剤は、1種単独又は2種以上で使用することができる。
【0047】
基材の製造方法
前記基材の製造方法としては、特に限定されず従来の方法に従えばよい。例えば前記木質系材料、前記熱可塑性樹脂、前記抗菌剤、前記難燃剤等の混合物を混練し、混練物をペレット状にした後、かかるペレットを所望の形状に成形することにより製造できる。
【0048】
前記木質系材料等を混練する方法としては、例えばハンドミキサー等の公知の装置を用いて混練する方法が挙げられる。混練物をペレット状にするには、ペレタイザー等の公知の装置を用いればよい。また、2軸押し出し混練機を用いて前記混練及びペレット化を同時に行ってもよい。
【0049】
前記ペレットの粒径は、1〜5mm程度であればよい。
【0050】
成形するのに先だって、前記ペレットを発泡させてもよい。得られた発泡物を成形することにより、前記基材を発泡体として得ることができる。前記ペレットを発泡させる方法としては、公知の方法を適宜採用できる。例えば炭酸水素ナトリウム等の発泡剤を用いて所定の温度で発泡させる方法、ブタンガス等の炭化水素ガスによる物理発泡法等が挙げられる。
【0051】
成形方法としては、公知の成形方法を適宜採用できる。公知の成形方法としては、例えば、圧縮成形法、押出成形法、異形押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法等が挙げられる。成形圧力等の成形条件は、特に限定されず、前記発泡体の発泡倍率等に応じて適宜設定すればよい。
【0052】
化粧材
本発明の化粧材は、前記基材に、化粧シートを貼着してなるものである。
【0053】
化粧シートとしては、例えば、樹脂シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層及び透明性表面保護層を順に形成してなる化粧シートが挙げられる。
【0054】
以下、かかる化粧シートを代表例として、本発明の化粧シートについて具体的に説明する。
【0055】
(樹脂シート)
樹脂シートとしては、ポリオレフィン系樹脂からなるシート(フィルム)を用いることが好ましい。
【0056】
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、特にポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。
【0057】
樹脂シートは、前記ポリオレフィン系樹脂を、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりシート状(フィルム状)に成形することにより作製できる。
【0058】
樹脂シートには、必要に応じて、無機充填剤等の公知の添加剤を含有させてもよい。
【0059】
樹脂シートの厚みは特に限定されず、製品特性に応じて設定できるが、通常40〜150μm、好ましくは50〜100μm程度である。
【0060】
樹脂シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、樹脂シート表面の表面張力が30dyne以上、好ましくは40dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
【0061】
樹脂シート裏面(前記基材貼着面)には、前記基材の接着を容易とするための裏面プライマー層を設けてもよい。また、樹脂シートの上面(前記基材貼着面とは逆面)には、絵柄模様層の形成を容易とするための印刷用プライマー層を設けてもよい。
【0062】
前記裏面プライマー層及び印刷用プライマー層は、公知のプライマー剤を樹脂シートの片面又は両面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、樹脂成分を溶剤に分散させたものを用いることができる。樹脂成分としては、例えば、アクリル−ウレタン系樹脂、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)等が挙げられる。
【0063】
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
前記裏面プライマー層及び印刷用プライマー層の乾燥後の厚みは特に限定されないが、それぞれ通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
【0064】
(絵柄模様層)
樹脂シートの上(前記基材貼着面とは逆面、以下各層において同じ側を指す)には、絵柄模様層が形成されている。
【0065】
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
【0066】
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着剤樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
【0067】
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等をさらに配合してもよい。
【0068】
結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0069】
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用する。
【0070】
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
【0071】
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
【0072】
(着色隠蔽層)
樹脂シートと絵柄模様層との間には、必要に応じて、さらに着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、化粧シートのおもて面から被着材の地色を隠蔽したい場合に設けられる。前記樹脂シートが透明性である場合は勿論、前記樹脂シートが隠蔽着色されている場合でも、隠蔽性を安定化するために形成してもよい。
【0073】
着色隠蔽層を形成するインクとしては、絵柄模様層を形成するインクであって隠蔽着色が可能なものが使用できる。
【0074】
着色隠蔽層の形成方法は、樹脂シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
【0075】
着色隠蔽層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は0.2〜10μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜5μm程度である。
【0076】
(透明性接着剤層)
絵柄模様層の上には、透明性接着剤層が形成されている。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。この接着剤層は、絵柄模様層と透明性樹脂層とを接着するために形成されている。
【0077】
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤を使用できる。
【0078】
化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
【0079】
接着剤層は、例えば、接着剤を絵柄模様層の上に塗工後、乾燥・硬化させることにより形成できる。乾燥温度・乾燥時間等の条件は特に限定されず、接着剤の種類に応じて適宜設定すればよい。接着剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
【0080】
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度である。
【0081】
(透明性樹脂層)
透明性接着剤層の上には、透明性樹脂層が形成されている。透明性樹脂層は、透明性である限り、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
【0082】
透明性樹脂層に含まれる樹脂成分は限定的ではないが、熱可塑性樹脂であれば好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。 透明性樹脂層には、必要に応じて、無機充填剤等の添加剤を含有させることができる。
【0083】
透明性樹脂層は、例えば、樹脂を、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により形成する。また既成のフィルムを用いてもよい。
【0084】
透明性樹脂層の厚みは通常20〜300μm程度とすればよい。
【0085】
(透明性表面保護層)
透明性樹脂層の上には、透明性表面保護層が形成されている。
【0086】
透明性表面保護層を形成する樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂が、高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
【0087】
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等の珪素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0088】
電離放射線としては、電子線が望ましい。
【0089】
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
【0090】
透明性表面保護層を形成する方法としては、例えば、前記樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布した後、乾燥させる方法が挙げられる。
【0091】
透明性表面保護層の厚みは、特に限定されないが、1〜15μm程度が好ましい。
【0092】
前記化粧シートの厚みは、特に限定されないが、100〜200μm程度が好ましい。
【0093】
前記基材上に、前記化粧シートを貼着する方法としては、例えば、前記基材に接着剤を塗工し、その塗工面側に前記化粧シートを載せて、化粧層側からロールで圧力をかけることにより、両者をラミネートする方法が好ましい。前記接着剤としては、例えば、ウレタン変性エチレン・酢酸ビニル系エマルション接着剤等の公知の接着剤を使用できる。
【0094】
本発明の化粧材は、建築物の床用、壁用等として、又は家具用として有用である。特に、本発明の化粧材は、床用化粧材として好適に使用できる。
【0095】
本発明の化粧材を床用に使用する場合、前記化粧材には、必要に応じて、テノーナーを用いて四辺の実加工、V字形状の条溝付与等を施してもよい。さらに、塗料を塗布後、ワイピング処理を施してもよい。前記塗料としては、特に限定されないが、水系の2液硬化型ウレタン系着色塗料が好ましい。
【実施例】
【0096】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0097】
実施例1
(基材の作製)
化粧材の基材を形成するために、下記の成分を含む組成物を用意した。
(1)木質系材料:
平均粒径100μmの木粉 8重量%、
(2)熱可塑性樹脂:
ポリプロピレン(製品名「F132」(株)プライムポリマー製) 40重量%、
(3)銀系抗菌剤:
銀イオン担持リン酸ジルコニウム(製品名「ノバロンAG−300」、リン酸ジルコニウム100重量部に対し銀イオンを2.5重量部担持) 2重量%、
(4)難燃剤:
水酸化マグネシウム(製品名「キスマ5」協和化学工業(株)製) 30重量%、
(5)寸法安定剤:
タルク(製品名「SW」日本タルク(株)製) 20重量%、
前記組成物を2軸押し出し混練機によって混練し、ペレットを作製した。次いで、前記ペレットをブタンガスを用いた物理発泡法によって発泡させた後、得られた発泡体を圧縮成形法により成形した。
【0098】
以上の方法により、化粧材の基材(厚み:6mm)を作製した。
【0099】
(化粧シートの作製)
図1に示す構成の化粧シートを以下の方法により作製した。
【0100】
60μm厚の着色ポリオレフィンフィルムからなる樹脂シート1の上に、アクリル−ウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加してなる樹脂)をメチルエチルケトン及び酢酸ブチルの混合溶剤に溶かした溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/m2となるように塗工して印刷用プライマー層(図示せず)を形成した。
【0101】
印刷用プライマー層(図示せず)の上に、アクリル−ウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加してなる樹脂)溶液を印刷インキとしたグラビア印刷法により、4μmの木目絵柄模様層2を形成した。
【0102】
基材シート1の絵柄模様層2と反対側の面にウレタン−セルロース系樹脂の溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/m2となるように塗工して裏面プライマー層(図示せず)を形成した。
【0103】
なお、前記ウレタン−セルロース系樹脂の溶液は、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトン混合溶剤中に、ウレタン及び硝化綿を添加し、さらに、ヘキサメチレンジイソシアネートをウレタン及び硝化綿の混合物100重量部に対して5重量部添加することにより調製した。
【0104】
絵柄模様層2の上に、熱硬化性ウレタン樹脂系接着剤を固形分量が8g/m2となるように塗工し、さらにポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み8μmの透明性接着剤層3及び厚み80μmの透明性樹脂層4を形成した。
【0105】
透明性樹脂層4の上に、ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法により固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成した。その後、酸素濃度200ppmの環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて15μm厚の電子線硬化型樹脂層(透明性表面保護層5)を形成した。
【0106】
以上の方法により、厚み160μmの化粧シートを作製した。
【0107】
(化粧材の作製)
前記化粧シートの裏面プライマー層(図示せず)に前記基材を貼着して化粧材を作製した。貼着にはウレタン変性エチレン・酢酸ビニル系エマルション接着剤(9g/尺wet)を利用した。
【0108】
以上の方法により化粧材を作製した。
【0109】
比較例1
銀系抗菌剤を用いない以外は実施例1と同様の方法により基材を作製し、作製した基材を用いて実施例1と同様の方法により化粧材を作製した。
【0110】
試験例1(抗菌性)
実施例1及び比較例1にて作製した化粧材を95℃の熱水で30分間処理した後、黄色ブドウ球菌の菌液を1ml滴下し、37℃で24時間培養した。その後、減菌済みのリン酸緩衝液を用いて菌を洗い出した。この洗い出した緩衝液中の生菌数を、菌数測定用培地を用いてJIS Z 2801に規定する混釈平板法にて測定した。
【0111】
また、黄色ブドウ球菌の菌液の代わりに、大腸菌の菌液を用いて上記と同様の測定を行った。
【0112】
結果を表1に示す。
【0113】
【表1】

【0114】
表1から明らかなように、実施例1の化粧材は、比較例1の化粧材に比べ、抗菌性に優れることがわかる。すなわち、基材に銀系抗菌剤を含有させることにより、化粧材が優れた抗菌性を発揮できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、実施例1及び比較例1で作製した化粧シートの概念図(断面図)である。
【符号の説明】
【0116】
1・・・樹脂シート
2・・・絵柄模様層
3・・・透明性接着剤層
4・・・透明性樹脂層
5・・・透明性表面保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系材料及び熱可塑性樹脂を含有する基材上に、化粧シートを貼着してなる化粧材であって、
前記基材が、更に、銀系抗菌剤を含有する化粧材。
【請求項2】
前記基材中における銀系抗菌剤の含有量が、0.01重量%以上である請求項1に記載の化粧材。
【請求項3】
前記基材が、更に、難燃剤、寸法安定剤、防蟻剤及び調湿剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の化粧材。

【図1】
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【公開番号】特開2008−238726(P2008−238726A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85232(P2007−85232)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】