説明

区画空間の設備制御システム

【課題】 大会議室などを可動間仕切り家具で複数の区画に分割して使用する際に、それぞれの区画空間において、独立して照明や空調設備を操作できるようにする。
【解決手段】 間仕切り壁13の設置状態を検知し、区画空間Aの分割情報を検出する間仕切り位置検出センサsと、間仕切り壁13による区画により構成される最小区画空間ごとに設置された設備・機器を操作可能な操作盤と、間仕切り位置検出センサsから送出された検出信号をもとに区画分割パターンを認識し、区画分割パターンで区画された各区画空間に設けられた設備・機器の操作盤がその区画空間のみで操作可能となるように規制可能な操作制御ユニット16と、操作制御ユニット10からの問い合わせに対して区画分割パターンに対応した設備・機器を抽出し、設備・機器に対応した制御規制情報を記憶した記憶部18とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は区画空間の設備制御システムに係り、仕切り壁であらかじめ固定的に区画された大会議室や大宴会場などを、パーティション等の可動間仕切り家具により、複数の区画に分割して使用する際に、それぞれの区画空間において、独立して照明や空調設備を操作できるようにした区画空間の設備制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事業所ビルの会議室フロアやホテル等の宴会場フロアでは、あらかじめ仕切り壁で固定的に区画された大会議室や大宴会場を設計しておき、それらをパーティション等の可動間仕切り家具によって、さらに小会議室、中会議室、小宴会場、中宴会場のように、収容人数等に応じて区画して使用することが多い。また、一般家庭においても、ワンルームタイプの広い居室をパーティション等で仕切って利用することもある。このような目的に応じて適宜区画された空間(以下、本明細書ではこの可動間仕切り家具等で仕切られたスペースを区画空間と呼ぶ。)が設定されるフロアの照明設備や空調設備に関しては、それぞれ設定された区画空間において、独立して照明や空調設備を操作できるように、当初の設備制御システムを設計しておくことが必要である。
【0003】
この種の設備制御システムの一例として、照明制御システムが開示されている(特許文献1中の先行技術参照)。このシステムでは、従来、制御端末器、照明装置、操作端末器を備え、各区画された範囲での制御の割り付け関係を、中央制御装置の記憶手段の設定内容記憶部にあらかじめ設定しておき、各区画空間における照明制御を行うようになっている。このシステムでは、各区画空間に設備された照明の点灯、消灯を行う各スイッチの割り付けを操作端末器でアドレス付けし、それぞれの区画に対応したスイッチの割り付けアドレスを前記記憶手段の設定内容記憶部から呼び出し、区画に応じたスイッチの動作を実現していた。
【0004】
その際の問題点として、すべての区画予定の空間にスイッチや操作コントローラを設置する必要がある。また、想定しているスイッチ類は後操作優先機能としているため、使用している空間以外の照明を消灯または点灯操作してしまうおそれがある。さらに制御装置の記憶手段にシーケンス制御回路を用いると、区画の想定を確定しないと回路設計が進められないという問題もあった。そこで、特許文献1の発明では、従来の操作端末器に対して照明用途選択手段を設け、この照明用途選択手段に複数の照明用途をあらかじめ設定しておき、操作端末器と制御端末器とにアドレスを付与する構成として、問題点の解決を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−339971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の照明制御システムは、大会議場や、大宴会場などの当初の広い空間を、利用者が可動間仕切り家具を移動させて所望のレイアウトの区画空間に仕切る。その後(レイアウト変更後)に、照明、操作スイッチ等を制御する制御システムにアクセスして変更、設定を独立して行うようになっている。したがって、実際にレイアウト変更された区画空間と、利用者あるいは設備管理者が行う、区画空間の制御端末器(スイッチ、コントローラ類)の整合設定と食い違うおそれがある。そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、可動間仕切りで仕切られた区画空間を自動的に認識してその区画空間内に配備された照明や、各種設備の操作設定を確実に行えるようにした区画空間の設備制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は間仕切り壁の設置状態を検知し、区画空間の分割情報を検出する間仕切り位置検出手段と、前記間仕切り壁による区画により構成される最小区画空間ごとに設置された設備・機器を操作可能な操作手段と、前記間仕切り位置検出手段から送出された検出信号をもとに区画分割パターンを認識し、該区画分割パターンで区画された各区画空間に設けられた前記設備・機器の操作手段が当該区画空間のみで操作可能となるように規制可能な操作制御ユニットと、該操作制御ユニットからの問い合わせに対して前記区画分割パターンに対応した設備・機器を抽出し、該設備・機器に対応した制御規制情報を記憶した記憶部とを有する設備制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このとき、前記設備・機器は、少なくとも照明設備、空調設備、音響設備のいずれかを含むようにすることが好ましい。
【0009】
また、前記間仕切り位置検出手段は、前記間仕切り壁の上端と天井面との間、または下端と床面との間の所定位置に、一対をなすように配設された位置検出手段とすることが好ましい。
【0010】
さらに、前記間仕切り位置検出手段は、区画に用いられるすべての間仕切り壁で区画が完了した検出信号が確認された後に、区画分割パターンが認識されるようにすることが好ましい。
【0011】
前記操作手段に代えて、前記区画空間内で得られたセンサ入力情報が用いられ、前記区画分割パターンに対応した当該区画空間内の設備・機器が、前記センサ入力情報をパラメータとした所定関数に基づいて運転されるようにすることが好ましい。
【0012】
前記センサ入力情報に加え、前記区画空間に固有の固定情報が用いられ、前記区画分割パターンに対応した当該区画空間内の設備・機器が、前記センサ入力情報と前記固定情報とをパラメータとした所定関数に基づいて運転されるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べたように、本発明によれば、可動間仕切り壁等により区画された各区画空間において、その区画空間に合わせて、その区画空間内にあるスイッチ、リモコン等の操作機器のみにより、照明設備、各種機器を独立して操作することができる。このため、他の区画空間の照明を消灯したりという誤操作を防止できるとともに、各設備、機器の操作を容易にすることができる。また、使用している区画空間以外の設備・機器に対して、分割区分に従って小さい空間単位で運転開始、停止を行えるため、省エネルギー効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の区画空間の設備制御システムの一実施例の概略構成図。
【図2】図1に示した区画空間の照明、設備・機器配置を模式的に示した設備配置図。
【図3】区画空間の分割パターン例を示した模式図。
【図4】可動間仕切り壁に設けられた位置検出センサの動作例を示した説明図。
【図5】図4に示した位置検出センサの構成、動作例を示した拡大説明図。
【図6】本発明の区画空間の設備制御システムの動作フローの一実施例を示した動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の区画空間の設備制御システムの実施するための形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の区画空間の設備制御システムの一実施例の概略構成図である。図2は、区画空間内の各設備・機器に識別のための符号を記した設備配置図である。図1、図2に示したように、各図には一実施例として大会議室1に対して長手方向の固定間仕切り壁11,12の間に可動間仕切り壁13を3カ所に設置可能な構成からなり、各可動間仕切り壁13によって区画された空間での照明操作、各種設備の操作の設定が可能となる。図1では、区画符号として、可動間仕切り壁13で区画空間A1〜A4の最小区画単位に仕切られる位置に符号P1〜P4を付し、両側固定間仕切り壁11,12の位置に符号P0,P4を付している。また、可動間仕切り壁13で仕切られる最小区画A1〜A4ごとに配置された設備・機器の操作スイッチswi(i=1〜4)が各区画空間内の壁面にリモートコントロール可能な操作パネルとして設置されている。この操作パネルには各機器に対応したON/OFF、連続可変調整機能可能な操作スイッチ等がアドレス付けして配列されている。
【0017】
なお、図1では可動間仕切り壁のうち、区画位置P1のみが解放され、図2ではすべての可動間仕切り壁13が解放された状態が示されている。各可動間仕切り壁13は、間仕切りに使用されないときは区画空間外に設けられた収納スペース内に収納され、区画空間全範囲が十分に利用できるようになっている。
【0018】
以下、各区画空間A1〜A4内に設けられた各設備について説明する。各区画空間内に符号L1〜L4で示したブロックは、区画空間内に設置された各種の照明設備一式を示している。これら照明設備としては、たとえば天井面に配列された複数個の蛍光灯、LED照明、または所定数のダウンライト等、その目的に応じた各種の照明器具が相当する。上記操作スイッチsw1〜sw4では、蛍光灯のON/OFF、ダウンライトのON/OFFが可能となっているが、オプション操作として操作パネル上から蛍光灯の半数点灯、間引き点灯、ダウンライトの調光などの設定も行うことができる。各蛍光灯の点灯、消灯は操作スイッチsw1〜sw4に付された蛍光灯のアドレスに対応したスイッチ操作で行う。ダウンライトの調光は段階あるいは連続可変可能な可変スイッチ(図示せず)の操作により行われる。各操作スイッチの操作情報信号は双方向通信可能な多重伝送2線により、設備制御装置(後述する。)の操作制御ユニット(CPU)に伝えられる。なお、操作情報信号の送受信には、無線LAN等の屋内無線通信を利用することもできる。
【0019】
その他の設備・機器としては、各区画空間A1〜A4に設置された空調吹出口(AC1〜AC4)、その他図示しない、各所のスピーカー装置、吊り下げ式映写スクリーン、プロジェクター等の映像機器からなるAVシステムの他、窓際のカーテン、ブラインド等の昇降(開閉)を電動にした設備が設置可能であり、それぞれの運転操作は操作パネルにより可能になっている。
【0020】
さらに図1に示したように、上述した照明設備の他、各種設備の運転制御信号線は設備管理装置10に接続され、この設備制御装置10において、各設備・機器の運転制御が図られている。この設備制御装置10は、各区画空間から導出された多数の制御信号線の入出力端子盤15と、この入出力端子盤15からの入力信号の情報を処理し、所定の出力信号を送出する操作制御ユニット16(CPU)と、この操作制御ユニット16の入出力インターフェース17と、データサーバ18とから構成されている。入出力インターフェース17には、キーボード等の操作盤、操作状況を表示するモニター、またタッチパネル機能を備えたモニター等の入出力装置がある。データサーバ18は、記憶部として機能し、構築されたデータベース情報と各種付帯情報を記憶するハードウエアである。
【0021】
操作制御ユニット16は、設備制御装置10の演算部として機能し、あらかじめプログラミングされた演算アルゴリズムに基づき、搭載プロセッサ(CPU)により、外部制御信号の入力に対して付属するデータサーバ18内のデータベース情報に基づき各種処理を実行し、所定の制御出力信号を送出することができる。
【0022】
入出力インターフェース17は、利用者が各区画空間A1〜A4を利用する際の、操作制御ユニット16の初期設定、中途での設定変更、メンテナンス設定を設備・機器管理者が行うことを主目的としているが、利用者自身もアクセスが許可された項目、範囲内で対応設備・機器の設定操作が可能である。
【0023】
データサーバ18内には構築されたデータベースとして、操作制御ユニット16の演算プロセスで参照する、各種のデータ対応表と、区画空間の分割パターン条件に対応した各種対応表データが記憶されている。各対応表データは、対応表間のデータフィールドを参照するキーとしての、区画空間を示すAi(i=1〜4),区画分割パターン(0〜7),操作リモートコントローラ(以下、操作リモコンと略記する。また、本明細書中、操作スイッチと記されているものも、操作リモコンと同等の機能を果たす。)swi(i=1〜4)に対応する各設備の存在データ一覧から構成されている。それぞれ対応する間仕切り位置におけるフラッグ一覧を以下の表1〜表3に示す。
【0024】

【0025】
ここで、区画空間の分割パターンについて、図3と表3とを参照して説明する。たとえば初期値として、区画されていない大会議場等を想定した場合、間仕切りがない場合(パターン0)が最大限の収容空間であり、その収容空間を可動間仕切り位置P1〜P3で仕切ることにより、パターン1〜パターン7までの区画空間に分割できる。表3は、各間仕切り位置で仕切られた状態をフラッグ1,0で識別して示した区画分割パターンの判定表である。この間仕切り位置の判定に際しては、後述するように、可動間仕切り壁13に組み込まれたセンサsij(本実施例では、i=1〜3,j=1〜3)が間仕切り時の所定位置にあることを検知する。たとえば、間仕切り位置P1において、P1のフラッグが1となるのは、3個の位置センサ(s11,s12,s13、その構成については後述する。)がすべて間仕切り位置に位置することを検知した状態、すなわち(s11:ON*s12:ON*s13:ON)を検知したときである。このときP2,P3位置においては、各位置センサは間仕切り壁13の存在を検知しないため、フラッグは0のままである。
【0026】
これら区画空間の分割パターンは、図3からわかるように、分割パターン0の間仕切りされていない1〜4室の室数からなる区画空間に分類されている。このときこの区画分割パターンに応じて、設備制御装置10によって、各区画空間ごとに操作スイッチの制御可否の設定がなされる。
【0027】
以下の表4は各区画分割パターンのうち1〜4区画の区画空間数において、一種類ずつのパターン(1区画(分割パターン0),2区画(分割パターン1),3区画(分割パターン5),4区画(分割パターン7)における,操作リモコン(制御入力部)と設備・機器(制御出力部)との間の制御可否についての関連付け対応表である。同表では、対応する各区画内での制御は、太枠内で区切られた単位ごとに制御されるように設定されている。この太枠内の区画空間内では、対応する操作リモコンは後操作優先に設定され、この区画空間内であれば、いずれの操作リモコンによっても、区画空間内の照明、設備・機器の制御を行える。
【0028】

【0029】
なお、操作リモコンは、区画空間内に操作パネルとして配備され、利用者が手動操作することを前提としているが、各種検出センサの信号による設定インターフェースとして利用することもできる。すなわち、操作リモコンに代えて、制御入力情報を各種センサとし、そのセンサによる検出信号に応じた所定の出力状態を定義することができる。たとえば設備・機器の動作に関しての制御パラメータをあらかじめ定義することも可能である(表5参照)。具体的には、設定インターフェースとして人感センサ、照度センサを利用することで、照明設備に、利用者入室時点灯、退出後所定時間経過後の消灯、外部光との関係による調光機能を付与することができる。
【0030】

【0031】
また、センサによる入力情報は可変情報として検出することが可能であるが、上述した区画空間の分割パターンによって異なる各区画空間の固有情報(床面積、窓の数、日照条件、形状など)を固定のパラメータ情報cとして定義することで、表6に示したような対応表を適用することもできる。この対応表では、空調設備など区画空間の容積などに依存する制御内容をあらかじめ反映させておくことができるので、区画された空間内での効率的な運転制御が可能となる。
【0032】

【0033】
ここで、上述した可動間仕切り壁13に組み込まれる位置センサの動作状態および位置検出センサの構成例について、図4,図5を参照して説明する。図4は、公知の可動間仕切り壁13の一例を示した説明図である。同図に示した可動間仕切り壁13は、天井面14の間仕切りライン(図示せず)上に敷設された吊りレールに、移動ローラ部が係止して間仕切り壁13が天井面に吊持され、吊りレールに沿って間仕切りライン上を移動できる構成からなる。図示した状態では、間仕切り位置にすでに2枚の間仕切り壁13,13がセットされている。この状態で、各間仕切り壁13の上端と、各間仕切り壁13に対応した天井側14のレールの所定位置には、それぞれ一対となる位置検出センサ20が配備されている。これらの位置検出センサ20は間仕切り位置で、すべての可動間仕切り壁13が間仕切りライン上に設置されて、すべての位置検出センサ20がONとなった段階で、所定間仕切り位置Piが区画されたとして、区画空間分割データが定義される。なお、図4は間仕切り壁13の上端と天井面との間に検出部分を設けた例を示したが、間仕切り壁13の下端と床面との間に検出部分を設けることができることはいうまでもない。
【0034】
図5各図は、位置検出センサ20の実施例を示した部分拡大図である。図5(a−1)は間仕切り壁13の移動中、(a−2)は間仕切り壁13が所定位置に設置された状態を示している。図5(a−1)に示したように、天井側14のレール面には球面状の浅い凹所21が形成されている。この凹所21には検出接点22が設けられている。一方、間仕切り壁13の上端面には筒状の収容部24内に圧縮バネ25で突出方向に付勢された凸状係止片26が取り付けられている。この係止片26は天井側14の球面状の浅い凹所21の形状に相対する球面凸状をなし、間仕切り壁13の移動時は天井面14に沿って押圧されて収容部24内に位置するが、図5(a−2)に示したように、間仕切り壁13が据え付け位置に来ると、天井側の凹所21に凸状係止片26がバネ付勢により突出する。そのとき天井側14の凹所21内の検出接点22が間仕切り位置にあることをON検出する。上述したように、対象となる間仕切り位置で、所定枚数の間仕切り壁13が設置位置まで移動し、すべての検出接点22がONとなった条件で、操作制御ユニット16への信号送出により、操作制御ユニット16が間仕切り位置を認識できる。なお、この実施例では、検出接点を独立して設けているが、通常、この種の間仕切り壁13では、間仕切り壁13を所定位置にセットするために、吊持したレールに間仕切り壁13を位置保持させるためのアンカー部材(図示せず)が設けられている。このアンカーを構成する部材の一部に検出接点を組み込むことも可能である。
【0035】
図5(b−1),(b−2)は非接触タイプの位置検出センサを示している。位置検出動作は、図5(a−1)と同様であるが、本実施例では無線ICタグ27を間仕切り壁13側の上端位置に埋め込みあるいは貼付しておき、設置時の天井側14の対応位置にICタグリーダ28を配置している。これにより、リーダ28側で受信する電波あるいは電磁波により非接触状態でICタグ27が取り付けられた間仕切り壁13の位置検出を行うことができる。
【0036】
次に、本実施例の設備制御システムの利用における概略機能フローについて、図6を参照して説明する。まず、施設管理者あるいは利用者が、あらかじめ登録された利用スケジュール(時間帯、区画)に基づいて可動間仕切り壁13の移動を行い、所定の区画空間の確保を行う。この作業状況は上述のように、可動間仕切り壁13の移動が完了したことを間仕切り壁13の位置検出センサ20が自動検知し、操作制御ユニット16に信号が送出される。間仕切り壁13で区画されることで複数の区画空間が形成されるが、利用対象空間以外の区画空間の設備・機器の操作は利用不可との設定をすることで設備の無断使用が避けられる。利用不可解除は区画空間内の操作リモコンを通じて入出力インターフェースに許可を受ければよい。
【0037】
間仕切り完了が確認されたら、操作制御ユニット16は、データサーバ18内で構築されたデータベースの表3の対応表から区画分割パターンを認識する。そして、その区画分割パターンに応じた表4の操作リモコン設置設備・機器対応表に基づき、各区画空間内で使われる操作リモコンによる制御可能な設備・機器の対応付けを行う。それ以外の区画空間に対しては操作リモコンは制御不可状態となっている。以後、その区画空間を利用する利用者は、操作リモコンとそれに付帯する設備・機器に固有のリモコンとにより、各種設備・機器の操作が可能となる。また、操作リモコンは、対応する設備・機器ごとに用意されてもよいが、7〜11インチ程度の液晶表示の薄型モバイルタイプとして、画面切換により区画空間内の各種装置・機器をモデル表示して、それぞれの設備、機器に対応した操作タッチパネル画面を用意し、1台の操作リモコンで各種操作を行うこともできる。
【0038】
以後、区画分割された空間での設定が維持されて利用者の使用が継続される。その後、間仕切りの変更が確認されたら、その変更後の区画分割パターンを認識し、同様の操作リモコンの再設定がなされる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10 設備制御装置
13 可動間仕切り壁
16 操作制御ユニット
17 入出力インターフェース
18 データサーバ
20 位置検出センサ
Pi 間仕切り位置
Ai 区画空間
Li 照明設備
swi 操作スイッチ(操作パネル)
sii 位置センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間仕切り壁の設置状態を検知し、区画空間の分割情報を検出する間仕切り位置検出手段と、
前記間仕切り壁による区画により構成される最小区画空間ごとに設置された設備・機器を操作可能な操作手段と、
前記間仕切り位置検出手段から送出された検出信号をもとに区画分割パターンを認識し、該区画分割パターンで区画された各区画空間に設けられた前記設備・機器の操作手段が当該区画空間のみで操作可能となるように規制可能な操作制御ユニットと、該操作制御ユニットからの問い合わせに対して前記区画分割パターンに対応した設備・機器を抽出し、該設備・機器に対応した制御規制情報を記憶した記憶部とを有する設備制御手段とを
備えたことを特徴とする区画空間の設備制御システム。
【請求項2】
前記設備・機器は、少なくとも照明設備、空調設備、音響設備、映像設備のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の区画空間の設備制御システム。
【請求項3】
前記間仕切り位置検出手段は、前記間仕切り壁の上端と天井面との間、または下端と床面との間の所定位置に、一対をなすように配設された位置検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の区画空間の設備制御システム。
【請求項4】
前記間仕切り位置検出手段は、区画に用いられるすべての間仕切り壁で区画が完了した検出信号が確認された後に、区画分割パターンが認識されるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の区画空間の設備制御システム。
【請求項5】
前記操作手段に代えて、前記区画空間内で得られたセンサ入力情報が用いられ、前記区画分割パターンに対応した当該区画空間内の設備・機器が、前記センサ入力情報をパラメータとした所定関数に基づいて運転されることを特徴とする請求項1に記載の区画空間の設備制御システム。
【請求項6】
前記センサ入力情報に加え、前記区画空間に固有の固定情報が用いられ、前記区画分割パターンに対応した当該区画空間内の設備・機器が、前記センサ入力情報と前記固定情報とをパラメータとした所定関数に基づいて運転されることを特徴とする請求項5に記載の区画空間の設備制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−251983(P2010−251983A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98261(P2009−98261)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】