説明

医材収納管理装置

【課題】医療材料の出し入れが容易かつ的確に行え而も収納状況の把握が自動で的確になされる医材収納管理装置を実現する。
【解決手段】医療材料を並べて収納する棚70について収納箇所を仕切部材75で区分し、棚上の各区分域に医材検出部材73と取出案内部材72を配設する。また、仕切部材75を棚70の凹み71から抜き取り可能にし、仕切部材75の挿着有無状態を制御装置30に設定入力すれば医材検出部材73や取出案内部材72に関する処理が一区分のものとして纏められるようにする。これにより、大小種々のサイズの医療材料を収納して自動管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療材料を並べて収納するとともに収納状態の管理も行う医材収納管理装置に関し、詳しくは、各収納箇所における医療材料の有無を自動管理するとともに取出案内も行う医材収納管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンプル入り注射薬などの薬品類を一動作で手中にでき而も列びを乱さずに薬品類を戻せて更に収納状況の把握も的確な薬品収納装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。この薬品収納装置は、薬品類を整列収納する多数のカセットと、これらのカセットを並べて保持する支持手段とを具えたものであり、各カセットには、薬品類の抜き取りに加えて押し込みも可能な出入口が形成されるとともに、その出入口に向けて収納薬品類を付勢する付勢手段が付設されており、支持手段には、出入口を露出させた状態でカセットを多段または多列に保持する棚部に加えて、各カセットにおける薬品類の収納数を求める計数手段が設けられている。また、この薬品収納装置には、リアルタイム出力にて的確な薬品管理を行うために、カセットに対する薬品類の出し入れに応じて薬品類の管理用データを出力するプリンタや,記憶媒体,通信装置などの出力手段と、その出力データに基づいて集計処理や,監視処理,確認処理,在庫管理処理などを行う情報処理手段も、設けられている。
【0003】
このような薬品収納装置が開発・提供される以前、手術室等の医療現場では、手術等の処置に先だち注射薬等の薬品をセットして即ち適宜区分しつつ並べて準備しておくことで、処置を行い易いようにしているが、処置中に薬品が不足するといけないので、薬品を余分に準備しておいて、処置が終わってから、余った薬品を薬局等に返却するとともに、処置中に使用した薬品を数えていた。その作業は、主に看護師などの医療補助者・直接医療従事者が担当しており、バケツ等の廃棄用容器の中を漁るようにして行われていた。そして、多くの場合、それら薬品の使用数量等を薬品管理用の帳票に記入したり薬品の在庫管理用コンピュータシステムに入力するのも彼らの職務であった。そのため、緊張を要する手術等の医療行為に現場で従事した者が、その直接的行為の終了後も異質の管理業務を担い続けなければならないので、なかなか緊張から解放されず、そのような者にとって、肉体的にも精神的にも負担が重かった。また、注射薬のアンプル等が割れていたり注射器等が混じり込んでいると、作業が一層困難で辛いものとなっていた。
【0004】
これに対し、上述の薬品収納装置が実用に供されたことにより、そのような直接医療従事者の作業負担が軽減されたことに加え、次のような利点も得られている。
すなわち、公平・公正な情報管理・情報システムが可能となる。再現性が容易に確保できる。コンピュータ管理にて、人手・手間が省かれるとともに、管理の質が向上して、信頼性が高まる。使用量の集計にて適正在庫の確保が可能となり、不良在庫が削減され、病院経営に貢献する。装置内の空間における配置レイアウトの自由度が高いので、取り扱い易く、作業効率が良くなる。管理データの入力・集計が自動化できるので、入力ミスが削減され、運用人件費も削減される。医療現場には好適な人手での作業態様に適合したシンプルな構成なので、保守コストが少なくて済むうえ、使い方を理解しやすくて、深いシステム知識や理解も高い習熟も不要で、誤操作が少ない。
【0005】
また、取出アクションで薬品セット等の実施があったとされ、戻しアクションがあった場合は薬品セット等の実施が取り消されて未実施にされるが、その際、取出作業ばかりか返納作業までもデータ入力が不要であり、入力ミス・人的ミスがない。取出・戻し・検品・補充の総ての作業が迅速に行える。取り出した順序や取り出した薬品類の組み合わせをリアルタイムで確認することができるので、医療事故防止や,ミス防止,リスク管理,いわゆるヒヤリハット対策にも寄与する。薬品類を各カセットに区分けして収納しているので、補充時に補充品を検品したり、返納時には戻し材を検品する際、チェック・確認が容易に行える。タイムラグのないリアルタイムで集計がなされるので、薬品セット等の作業における一連の動きをデータ入力なしで確認することができる。薬品の有効期限のチェックや、患者の薬歴リストの作成なども、自動で行うことができる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−198194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような優れた薬品収納装置が普及するに連れ、薬剤以外の医療材料についても、同様な利点を持つ装置で的確な収納および管理を行うことに、期待が生じた。そして、医療材料の出し入れが容易かつ的確に行え而も収納状況の把握が自動で的確になされる医材収納管理装置の提供が要望されるようになってきた。
しかしながら、医療材料には消耗品材料や滅菌材料などが含まれ、薬剤や,医療器具,機材を除いても未だ多種多様なものが含まれているため、カセットに整列収納しておく手法は踏襲しづらい。
【0008】
具体例を挙げると、医療材料には、カテーテルや,チューブ,骨欠損補填プレート,人工関節,ペースメーカなど、高価なものが多く含まれており、それらの形状は、箱入りや,袋詰め,単品状態,キット包装など、さまざまである。また、医療材料の場合、使用量も多様であり、同一材料の多数使用から多品種少量の使用まで多岐に及ぶ。さらに、運用取扱場所も、クリーン度クラス1000以上の手術室や,中央処置室,緊急処置室,それほどでもない病棟など、さまざまである。また、医療材料は衛生的で安全なものであることが求められ、特に滅菌材料には手術室前室などで洗浄が行われるが、滅菌の方式にもEOガス滅菌/紫外線照射滅菌/煮沸滅菌/蒸気滅菌など種々のものが挙げられる。しかも、いずれの滅菌方式にも滅菌効果に有効期限があるうえ、その期間が異なる。
【0009】
そこで、このような多種多様な医療材料については、カセットに納めなくても容易に出し入れできるように並べて収納するとともに、そのような収納状態であっても自動管理のため医療材料毎に収納の有無を検出すること及び的確な出し入れのため取出対象の医療材料の収納場所を適切に案内することができるよう、収納した医療材料の並びが崩れて乱雑になるのを防止する策を講じることが重要な課題となる。そして、その防止策を具現するに際し、医療材料の特質を考慮して、装置構造の簡素化を図るとともに、簡素な装置であっても成る可く広範な医療材料を収納しうるように工夫を凝らすことが、技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の医材収納管理装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、多数の医療材料を各々取出可能に仕切って乗せ置くために仕切部材挿着用凹みが列なって形成されている棚と、前記凹みに対し抜取り可能に挿着される仕切部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設され各々が該当箇所における医療材料の載置有無を検出する医材検出部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設された視認用の取出案内部材と、前記医材検出部材での検出に基づいて医療材料収納状態の管理処理を行うとともに取出指示の入力に応じて前記取出案内部材の何れかを作動させる制御装置とを備えた医材収納管理装置であって、前記制御装置が、前記凹みへの前記仕切部材の挿着有無状態を設定入力可能なものであり且つその設定に基づき前記凹みのうち前記仕切部材の抜き取られている凹みの両側に位置しているとされる前記医材検出部材および前記取出案内部材を一区分のものとして纏めて処理するようになっていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の医材収納管理装置は(解決手段2)、多数の医療材料を各々取出可能に仕切って乗せ置くために仕切部材挿着用凹みが列なって形成されている棚と、前記凹みに対し抜取り可能に挿着される仕切部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設され各々が該当箇所における医療材料の載置有無を検出する医材検出部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設された視認用の取出案内部材と、前記医材検出部材での検出に基づいて医療材料収納状態の管理処理を行うとともに取出指示の入力に応じて前記取出案内部材の何れかを作動させる制御装置とを備えた医材収納管理装置であって、前記凹みへの前記仕切部材の挿着有無を検出する仕切検出部材が設けられ、前記制御装置が、前記仕切検出部材での検出に基づき前記凹みのうち前記仕切部材の抜き取られている凹みの両側に位置しているとされる前記医材検出部材および前記取出案内部材を一区分のものとして纏めて処理するようになっていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の医材収納管理装置は(解決手段3)、上記解決手段1,2の医材収納管理装置であって、前記制御装置が、前記医材検出部材のうち一区分のものとして纏めて処理する対象となっているものについて、検出結果の不一致状態が継続しているとき、警報を発するようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明の医材収納管理装置にあっては(解決手段1)、医療材料が棚の上に並べて収納されるが、その収納箇所が仕切部材にて区分けされているので、医療材料をカセットに納めなくても出し入れ容易に整列収納することができ、収納した医療材料の並びが崩れて乱雑になるのを防止することもできる。
また、棚上の各区分域に医材検出部材と取出案内部材が配設されているので、医療材料毎に収納の有無を検出して自動管理することや、取出対象の医療材料の収納場所を適切に案内することができる。
さらに、仕切部材が棚から抜き取り可能であり、その挿着部位が凹みに形成されているので、仕切部材を抜き取ったところには大きな医療材料を載せ置くことができる。
【0014】
しかも、そのようなところに関しては、仕切部材の挿着有無状態を制御装置に設定入力しておくことで、医材検出部材や取出案内部材に関する制御装置の処理が一区分のものとして纏められるので、一個の大きな医療材料のところに複数の医材検出部材や取出案内部材が存在していても取扱や管理に迷いや不都合は無い。
これにより、棚を仕切って医療材料を並べるという簡素な装置であっても、仕切部材の着脱とその情報の設定入力とで簡便に、大小種々のサイズの医療材料を収納して自動管理することができる。
したがって、この発明によれば、医療材料の出し入れが容易かつ的確に行え而も収納状況の把握が自動で的確になされる医材収納管理装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明の医材収納管理装置にあっては(解決手段2)、仕切部材の挿着有無が自動検出されて制御内容に反映されるようにもしたことにより、利便性が更に高まる。
したがって、この発明によれば、医療材料の出し入れが容易かつ的確に行え而も収納状況の把握ばかりか仕切状態の把握までも自動で的確になされる医材収納管理装置を提供することができる。
【0016】
さらに、本発明の医材収納管理装置にあっては(解決手段3)、一区分に複数の医材検出部材が対応することになったところに関しては検出結果の冗長度を利用して誤り状態が検知されるようにもしたことにより、ハードウェアのコストアップを避けつつ、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
このような本発明の医材収納管理装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜4により説明する。
図1〜5に示した実施例1は、上述した解決手段1,3(出願当初の請求項1,3)を具現化したものであり、図6に示した実施例2は、上述した解決手段2(出願当初の請求項2)を具現化したものであり、図7(a)〜(c)に示した実施例3や、図8〜図9に示した実施例4は、変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,ドライバ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0018】
本発明の医材収納管理装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、医材収納管理装置の機械的構造を示し、(a)が扉を閉めたところの正面図、(b)が扉を開けたところの正面図、(c)が棚と仕切部材との展開斜視図、(d)が仕切部材を装着した棚の外観斜視図である。また、図2は、制御装置の概要構造を示し、(a)が制御装置と取出案内部材等との接続関係を示す概要ブロック図、(b)が制御装置の機能ブロック図である。さらに、図3は、制御装置のデータ構造を示し、(a)が医材情報テーブル、(b)が医材有無データ、(c)が仕切有無データに関する。
【0019】
この医材収納管理装置20は(図1(a),(b)参照)、大部分が収納部で一部が電装部21になっている筐体22を具えており、その電装部21には制御装置30や図示しない電源ユニット等が格納され、筐体22の収納部の前面には把手23付きの扉24が開閉可能に装着されている。扉24は、シャッター等でも良く、省いても良い。その扉24を開けた収納部の内部には、棚70が設置されている。棚70は、一段でも良いが大抵は多段になっている。その棚位置も適宜ピッチで選択可能になっていて良い。棚70は、上面の平らな横長の板状体からなり、その上面には、多数の医療材料を各々取出可能に仕切って乗せ置くために、長手方向に(図では左右に)一定ピッチ又は不定ピッチで列なる状態で、薄板状の仕切部材75が装着されるようになっている。
【0020】
棚70の上面には(図1(c),(d)参照)、その長手方向に(図では左右に)一定ピッチ又は不定ピッチで二列になって仕切部材挿着用凹み71が形成されており、各仕切部材75の下端部には二本ずつ挿抜部76が突設されている。この例では、挿抜部76が細い丸棒で、凹み71が貫通孔であり、挿抜部76を凹み71に差し込むことで、仕切部材75が棚70の凹み71に対し抜取り可能に挿着されるようになっている。また、扉24を開けると視認可能になる棚70の前面には取出案内部材72が装備されるとともに、医療材料10を載せる棚70の上面には医材検出部材73が装備されるが、取出案内部材72も医材検出部材73も凹み71の列なり方向すなわち棚70の長手方向について凹み71と交互になる配置状態で棚70に列設されている。
【0021】
医材検出部材73は、それぞれ、仕切部材75で区分けされた該当箇所における医療材料10の載置有無を検出するために、医療材料10の底面に感応する例えばメカニカルスイッチや,反射型のフォトセンサ,容量センサ等からなり、医療材料10の有無に対応してオンオフ変化する二値信号を出力するようになっている。
取出案内部材72には、取出対象の医療材料10の載置箇所を視覚に訴えて案内するために、点灯/消灯の可能な例えば豆電球や発光ダイオード等が採用されている。
【0022】
制御装置30は(図2(a)参照)、パーソナルコンピュータやシーケンサ等のプログラマブルなコントローラからなり、取出案内部材72と医材検出部材73とに対し例えば棚部コントローラ31を介してLAN(Local Area Network)接続され或いは図示は割愛したが直接スター接続されていて、医材検出部材73の検出結果を取り込むとともに、取出案内部材72の点灯/消灯を制御しうるようになっている。
制御装置30には(図2(b)参照)、画面表示用のディスプレイ32と、打鍵入力用のキーボード33と、画面上で指示等を入力するためのマウス34と、識別情報読取用のバーコードリーダ35と、印刷出力用のプリンタ36と、処方オーダーエントリシステム等との通信を担うLAN37(Local Area Network)へのインターフェイスと、二次記憶装置としてのハードディスク38が、装備されている。
【0023】
この制御装置30には、医材検出部材73での検出に基づいて医療材料収納状態の管理処理を行うとともに取出指示の入力に応じて取出案内部材72の何れかを作動させるためのプログラムとして、取出案内ルーチン41と医材検出ルーチン42と医材情報設定ルーチン43と仕切状態手動設定ルーチン44とがインストールされている。また、ハードディスク38には、医材有無データ46と医材情報テーブル47と仕切有無データ48とログデータ49とが、個別ファイルに分かれて或いは適宜なデータベースに統合されて、記憶保持されている。この例では(図3参照)、各データ46,47,48がテーブル形式で確保されており、何れも、棚70が五段であり且つ各棚70における最大区分数すなわち仕切部材75,取出案内部材72,及び医材検出部材73の個数の最大値が“21”であることに対応して、5行21列のマトリクス状テーブルとなっている。
【0024】
医材情報テーブル47の各項目には(図3(a)参照)、該当箇所に収納されている又は収納してよい医療材料10の識別用コードとその画面表示用名称とが格納され、医材有無データ46には(図3(b)参照)、該当箇所に医療材料10が収納されていることを示す“1”か或いは医療材料10の無いことを示す“0”が書き込まれ、仕切有無データ48には(図3(c)参照)、該当箇所に仕切部材75が挿着されていることを示す“1”か或いは該当箇所から仕切部材75が抜き取られていることを示す“0”が書き込まれようになっている。医材情報テーブル47は、装置設置後の初稼働までに少なくとも一回は設定しておく必要があるため装置立上時に初期設定され、設定更新は稼働停止時に行われることが多い。仕切有無データ48も、初稼働前に仕切部材75挿着状態を反映するよう初期設定され、仕切部材75の着脱が行われたときにも更新のため設定入力が行われる。医材有無データ46は、初稼働前の初期化で全クリアーされ、その後は医療材料10の出し入れの度に更新されるものである。
【0025】
医材情報設定ルーチン43は、キーボード33やマウス34の操作に応じて起動され、上位コンピュータに存在している薬品マスターファイルからLAN37を介して一括ダウンロードが可能な環境でそれが指示されたときには一括ダウンロードを行う他、ディスプレイ32の画面表示で確認しながらマウス34で項目選択を行ったりキーボード33でデータ入力を行ったりして、医材情報テーブル47に医療材料10のコード及び名称を設定しうるようになっている。
仕切状態手動設定ルーチン44は、やはりキーボード33やマウス34の操作に応じて起動され、ディスプレイ32の画面表示で確認しながらマウス34やキーボード33で項目選択および値反転を行ったりして、仕切有無データ48に対し棚70の凹み71への仕切部材75の挿着有無状態を設定入力しうるようになっている。
【0026】
医材検出ルーチン42は、タイマー等で定期的に自動起動され、あるいは何れかの医材検出部材73の検出信号の変化で掛かる割込などで不定期に自動起動され、医材検出部材73での検出に基づいて医療材料10収納状態の管理処理を行うようになっている。具体的には、起動される度に、総ての又は変化した医材検出部材73の検出結果を取り込むとともに、そのオンオフ状態に対応させて“1”か“0”を医材有無データ46に書き込むようになっている。さらに、医材検出部材73の検出結果がオンオフ変化して医療材料10の収納または取出が検知されたときには、その情報を、タイムスタンプ付きでログデータ49に追加書込し、医材情報テーブル47における該当項目の名称とともにプリンタ36で印刷し、LAN37経由で上位の医事管理コンピュータ等に報告するようになっている。
【0027】
取出案内ルーチン41は、取出指示の入力に応じて取出案内部材72の何れかを作動させるために、バーコードリーダ35の読取にて或いはキーボード33やマウス34の操作にて医療材料10のコードや処方箋番号が入力されたときに起動され、その読取や操作で取出対象に指定された医療材料10の収納箇所を医材情報テーブル47の検索にて求め、対応箇所の医材検出部材73を点灯させるようになっている。なお、点灯させた医材検出部材73の消灯は、該当箇所の医療材料10の取出検知時に医材検出ルーチン42が行うようになっている。
【0028】
さらに、取出案内ルーチン41及び医材検出ルーチン42は、仕切部材75の挿着有無状態の設定に基づき凹み71のうち仕切部材75の抜き取られている凹み71の両側に位置しているとされる医材検出部材73および取出案内部材72を一区分のものとして纏めて処理するとともに、医材検出部材73のうち一区分のものとして纏めて処理する対象となっているものについて検出結果の不一致状態が所定時間以上継続しているときには警報を発するようにもなっている。
【0029】
具体的には、取出案内ルーチン41は、医材検出部材73を点灯させる際、その収納箇所の左右に位置する仕切部材75の挿着有無を医材有無データ46を参照してチェックし、左右いずれかでも値が“0”で仕切部材75が抜き取られている場合には、該当する隣の取出案内部材72も一緒に点灯させるようになっている。これに対応して、医材検出ルーチン42は、取出案内部材72の消灯時に医材有無データ46で同様のチェックを行って一区分のものを纏めて消灯させるようになっている。
【0030】
また、医材検出ルーチン42は、医療材料10の収納または取出が検知されて医材有無データ46の値を変更する際にも、医材有無データ46を参照して同様のチェックを行い、隣のものも含めて一区分のものとして処理すべきときには、一区分内の医材検出部材73の値が一致するか否か確認し、総て一致すれば正常終了するが、不一致であれば監視を続行する。そして、医療材料10の出し入れに要する最大時間を超えて監視し続けても、一区分内の医材検出部材73の値が一致しないときには、ディスプレイ32の画面表示や図示しないブザー音にてアラームを出すようになっている。
【0031】
さらに、仕切状態手動設定ルーチン44も、それらのルーチン41,42が仕切部材75の抜き取られているところを一区分のものとして纏めて処理するのを補助するために、仕切部材75の抜取り状態を仕切有無データ48に設定するとき、医材情報テーブル47において対応する項目について、即ち仕切部材75の抜き取られている凹み71の両側に位置しているとされる収納箇所に対応している項目について、項目値(すなわちコード及び名称)を同じに揃え、仕切部材75の挿着状態を仕切有無データ48に設定するときには、それらの項目値を元に戻すようになっている。
【0032】
その他、制御装置30は、所定の作業が行われる度に、作業者に作業者識別情報の入力を求めて作業者識別情報を得、あるいは作業に先立って作業者が作業者識別情報を入力すればそれを得て、この作業者識別情報と共に、そのときに自動検出等にて収集した関連情報を、タイムスタンプ付きでログデータ49に蓄積すると共にLAN37経由で出力するようになっている。この処理は、取出案内ルーチン41で行われる他、仕切状態手動設定ルーチン44等でも行われる。
【0033】
この実施例1の医材収納管理装置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図4は、医材収納管理装置の動作説明図であり、(a)が空の状態、(b)が小さい医療材料を収納した状態である。図5も、医材収納管理装置の動作説明図であり、(a)が空のときに棚から仕切部材を一つ抜き取った状態、(b)が中位のサイズの医療材料を収納した状態、(c)が仕切部材を二つ抜き取ったところに大きな医療材料を収納した状態、(d)が医材検出部材の検出結果に不一致の生じている状態である。
【0034】
医材収納管理装置20の本稼働に先立ち、筐体22の収納部に所望段数の棚70をセットし、それぞれの棚70について適宜の凹み71に仕切部材75を挿着する。それから、キーボード33やマウス34等の操作にて制御装置30の医材情報設定ルーチン43を起動して、医材情報テーブル47の各項目に、医療材料10の識別用コードとその画面表示用名称とを設定する。また、キーボード33やマウス34等の操作にて制御装置30の仕切状態手動設定ルーチン44を起動して、仕切有無データ48の各項目に、棚70の凹み71への仕切部材75の挿着有無状態を設定する。医材有無データ46とログデータ49は図示しない適宜な初期化ルーチンでクリアしておく。
【0035】
これで稼働準備が調うので、医材収納管理装置20の稼働状態を具体例で説明する。凹み71総てに仕切部材75が挿着されているとき(図4(a),(b)参照)、凹み71のうち一つから仕切部材75が抜き取られているとき(図5(a),(b)参照)、凹み71のうち連なる二つから仕切部材75が抜き取られているとき(図5(c),(d)参照)、それぞれについて、収納作業(補充または戻し)及びそれに伴うデータ更新等の動作と、取出作業およびそれに伴うデータ更新等の動作とを説明する。
【0036】
先ず、凹み71総てに仕切部材75が挿着されている状態で(図4(a),(b)参照)医療材料10が未だ収納されていないとき(図4(a)の最上段部分を参照)、医材情報テーブル47における各項目には個々の値が設定されたままであり(図4(a)の上から二段目部分のA〜E参照、A〜Eはそれぞれ異なるコード及び名称を表す)、医材有無データ46の各項目値は総て医療材料無しの値“0”になり(図4(a)の上から三段目部分を参照)、仕切有無データ48の各項目値は総て仕切部材有りの値“1”になる(図4(a)の上から四段目部分を参照)。
【0037】
この状態で医療材料10を棚70上に収納すると(図4(b)の最上段部分を参照)、医材情報テーブル47と仕切有無データ48は変わらないが(図4(b)の上から二段目,四段目部分を参照)、医材有無データ46のうち該当する項目の値が医材検出ルーチン42によって医療材料有りの値“1”に変更される(図4(b)の上から三段目部分を参照)。また、医材検出ルーチン42によって、その医療材料10のコードや名称(図の例では“C”)が医材情報テーブル47から求められ、更に作業者識別情報の入力が求められ、これらの情報がログデータ49に追加書込されプリンタ36で印刷されLAN37経由で上位の医事管理コンピュータ等に報告される。
【0038】
そうして収納された医療材料10を医材収納管理装置20から取り出すときは、バーコードリーダ35等の操作にて、コード“C”を含んだ取出指示と作業者識別情報を制御装置30に入力する。そうすると、制御装置30の取出案内ルーチン41によって、医材情報テーブル47の検索が行われ更に医材有無データ46の該当項目がチェックされ、この場合は値が“1”で医療材料有りと判明するので、該当箇所の取出案内部材72が点灯させられる(図4(b)最下段を参照)。それを見て作業者は誤ることなく目的の医療材料10を取り出すことができる。
【0039】
そして、その医療材料10が取り出されると、医材検出ルーチン42によって、医材有無データ46のうち該当する項目の値が医療材料無しの値“0”に変更されるとともに、その旨の情報に取出案内ルーチン41からのコードや名称(図の例では“C”)及び作業者識別情報を加えた情報がログデータ49に追加書込されプリンタ36で印刷されLAN37経由で上位の医事管理コンピュータ等に報告される。さらに該当箇所の取出案内部材72が消灯させられると収納前の状態に戻る(図4(a)を参照)。
【0040】
次に、凹み71のうち一つから仕切部材75を抜き取ったときには(図5(a),(b)参照)、そこに医療材料10を収納する前に(図5(a)の最上段部分を参照)、キーボード33やマウス34の操作にて仕切状態手動設定ルーチン44を起動して、設定更新の指示を入力して仕切有無データ48における該当項目の値を仕切部材無しの値“0”にする(図5(a)の上から四段目部分を参照)。そうすると、仕切状態手動設定ルーチン44によって自動で、医材情報テーブル47の更新も行われ、仕切部材75の抜き取られている凹み71の両側に位置しているとされる収納箇所に対応している項目について、項目値が同じに揃えられる(図5(a)の上から二段目部分の“BB”を参照)。医材有無データ46の各項目は総て“0”である(図5(a)の上から三段目部分を参照)。
【0041】
この状態で仕切部材75の抜き取られている棚上の部位に横幅2倍の医療材料10を収納すると(図5(b)の最上段部分を参照)、医材情報テーブル47と仕切有無データ48は変わらないが(図5(b)の上から二段目,四段目部分を参照)、医材有無データ46のうち該当する二項目の値が医材検出ルーチン42によって医療材料有りの値“1”に変更される(図5(b)の上から三段目部分を参照)。また、医材検出ルーチン42によって、その医療材料10のコードや名称(図の例では“B”)が医材情報テーブル47から求められ、更に作業者識別情報の入力が求められ、これらの情報がログデータ49に追加書込されプリンタ36で印刷されLAN37経由で上位の医事管理コンピュータ等に報告される。
【0042】
そうして収納された医療材料10を医材収納管理装置20から取り出すときは、バーコードリーダ35等の操作にて、コード“B”を含んだ取出指示と作業者識別情報を制御装置30に入力する。そうすると、制御装置30の取出案内ルーチン41によって、医材情報テーブル47の検索が行われて連続する二項目が選出され(図5(b)の上から二段目における“BB”部分を参照)、更に医材有無データ46の該当二項目がチェックされ、この場合は二項目とも値が“1”で医療材料有りで一致していることが判明するので、該当箇所で隣り合っている取出案内部材72が二つ一緒に点灯させられる(図5(b)最下段を参照)。それを見て作業者は迷うことなく目的の医療材料10を取り出すことができる。
【0043】
そして、その幅広の医療材料10が取り出されると、医材検出ルーチン42によって、医材有無データ46のうち該当する二項目の値が医療材料無しの値“0”に変更されるとともに、その旨の情報に取出案内ルーチン41からのコードや名称(図の例では“B”)及び作業者識別情報を加えた情報がログデータ49に追加書込されプリンタ36で印刷されLAN37経由で上位の医事管理コンピュータ等に報告される。さらに該当箇所の取出案内部材72が纏めて消灯させられると収納前の状態に戻る(図5(a)を参照)。
【0044】
さらに、凹み71のうち連なる二つから仕切部材75が抜き取られているときには(図5(c)参照)、上述の説明から容易に推察されるので、繰り返しとなる詳細な説明は割愛するが、横幅3倍の医療材料10が収納可能である(図5(c)の最上段部分を参照)。この場合、仕切状態手動設定ルーチン44を起動して仕切有無データ48における該当二項目の値を仕切部材無しの値“0”にすると(図5(c)の上から四段目部分を参照)、医材情報テーブル47における該当三項目の値が同じに揃えられる(図5(c)の上から二段目の“BBB”部分を参照)。
【0045】
そして、そこに横幅3倍の医療材料10を収納すると(図5(c)の最上段部分を参照)、医材有無データ46のうち該当する三項目が何れも値“1”に変更され(図5(c)の上から三段目部分を参照)、ログデータ49への追加書込等も行われる。
また、コード“B”を含んだ取出指示等を制御装置30に入力すると、医材情報テーブル47の該当三項目が選出され(図5(c)の上から二段目における“BBB”部分を参照)、更に医材有無データ46の該当三項目がチェックされ、この場合は三項目とも値が“1”で一致しているので、該当箇所で隣り合っている取出案内部材72が三つ纏めて点灯させられる(図5(c)最下段を参照)。そのため、この場合も、作業者は迷うことなく目的の医療材料10を取り出すことができる。
【0046】
一方、横幅3倍の収納箇所にそれより小さな例えば横幅2倍の医療材料10を収納すると(図5(d)参照)、医材有無データ46の該当三項目のうち二項目は値“1”に変わるが一項目は値“0”のままである(図5(d)の上から三段目部分を参照)。そうすると、一区分のものとして処理すべき三項目について、医材検出ルーチン42による医材有無データ46と仕切有無データ48との突き合わせ結果が、不一致になる。そして、その不一致状態が医療材料10の出し入れに要する最大時間を超えて継続すると、医材検出ルーチン42によってアラームが発せられる。
【0047】
また、その横幅2倍の医療材料10を取出すときにも取出案内ルーチン41によって該当箇所の取出案内部材72が三つ纏めて点灯させられ(図5(d)最下段を参照)、収納箇所の幅より医療材料10が異様に小さいことが一目瞭然となるため、不適切な医療材料10を収納していたことが判明するので、誤収納・誤使用を防止することができる。
なお、医材検出部材73が故障した場合、適切な医療材料10を収納しても、同様の不一致が継続発現して、同じアラームが発せられるが、この場合は医療材料10の横幅が取出案内部材72の点灯範囲より広いので装置異常が判明する。
【実施例2】
【0048】
本発明の医材収納管理装置の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図6は、医材収納管理装置20の構造を示し、(a)が棚70と仕切部材75との展開斜視図、(b)が制御装置30の機能ブロック図である。
この医材収納管理装置20が上述した実施例1のものと相違するのは、仕切検出部材74が追加された点と、仕切状態手動設定ルーチン44が仕切状態自動設定ルーチン45になった点である。
【0049】
仕切検出部材74は(図6(a)参照)、例えばメカニカルスイッチや,反射型のフォトセンサ,容量センサ等からなり、棚70上面の凹み71に挿着された仕切部材75の下端面に感応するよう上向きで棚70の上面に埋設され、棚70における仕切部材75挿着部位それぞれに配置されている。この例では、それぞれ、該当箇所における仕切部材75の挿着有無を検出するために、前後で対になっている凹み71の中間に設けられ、仕切部材75の有無に対応してオンオフ変化する二値信号を出力するようになっている。
【0050】
仕切状態自動設定ルーチン45は(図6(b)参照)、タイマー等で定期的に自動起動され、あるいは何れかの仕切検出部材74の検出信号の変化で掛かる割込などで不定期に自動起動され、仕切検出部材74での検出に基づいて仕切有無データ48を更新するようになっている。具体的には、起動される度に、総ての又は変化した仕切検出部材74の検出結果を取り込むとともに、そのオンオフ状態に対応させて“1”か“0”を仕切有無データ48に書き込むようになっている。他の機能たとえば医材情報テーブル47の自動更新などは上述した仕切状態手動設定ルーチン44と同じである。これにより、制御装置30は、凹み71のうち仕切部材75の抜き取られている凹み71の両側に位置しているとされる医材検出部材73および取出案内部材72を一区分のものとして纏めて処理するのを、仕切検出部材74での検出に基づいて行うものとなる。
【0051】
この場合、棚70の凹み71から仕切部材75を抜き取ったときや、棚70の凹み71に仕切部材75を挿着したとき、そのことを手動で設定入力しなくても、そのことが仕切検出部材74にて検出され、仕切状態自動設定ルーチン45によって仕切有無データ48に自動設定される。そのため、設定入力作業の忘れ等に起因する仕切部材75挿着状態と仕切有無データ48との不整合は発生しない。
その以外の使用態様や動作は上述した実施例1と同様である。
【実施例3】
【0052】
図7(a)に斜視図を示した仕切部材75および棚70が上述した実施例1,2のものと相違するのは、仕切部材75が板材でなく丸棒を曲げて作られている点と、凹み71が貫通せず有底孔になっている点である。仕切検出部材74は、発光器74aと対向して凹み71を挟むところに埋設されていて、発光器74aから発した光が仕切部材75端部の挿抜部76にて遮られて受光できないか遮られずに受光できるかで、仕切部材75の挿着有無を検出するようになっている。
【0053】
図7(b)に斜視図を示した仕切部材75および棚70が上述した実施例1,2のものと相違するのは、仕切部材75の縦断面形状が逆T字状になっている点と、凹み71が溝になっている点である。この場合、仕切部材75下端部の挿抜部76を凹み71に滑り込ませると、仕切部材75が凹み71に挿着される。
【0054】
図7(c)に斜視図を示した仕切部材75および棚70が上述した実施例1,2のものと相違するのは、仕切部材75が板材でなく丸棒を曲げて作られている点と、凹み71が棚70の上面でなく前面と背面とに切欠および穿孔で形成されている点である。この場合、仕切部材75両端部の挿抜部76を広げてから凹み71に差し込むと、仕切部材75が凹み71に挿着されるとともに弾撥力で固定されて安定する。
【実施例4】
【0055】
本発明の医材収納管理装置の実施例4について、図面を引用して説明する。図8は、医材補充状況を示し、(a)〜(c)いずれも画面表示例である。また、図9は、医材補充状況の続きを示し、(a)が仕切部材を装着した棚の斜視図、(b)が医療材料から識別情報を読み取っているところの斜視図、(c)が医療材料を収納した棚の斜視図である。
【0056】
この医材収納管理装置が上述のものと相違するのは、取出時だけでなく補充時にも案内表示を行うようになった点と、ディスプレイ32とキーボード33とマウス34がタッチパネル39になった点である。
この場合、通常動作時には(図8(a)参照)、医材収納管理装置から取り出された医療材料10の情報がリアルタイムで時系列に並べてタッチパネル39に表示される。その画面表示項目のうち任意の項目39aを指でダイレクトに選択すると確認のための詳細表示が行われる他、特定の選択操作に応じて補充時の案内表示も行われる。
【0057】
すなわち、通常動作時に画面表示の補充ボタン39bを指で選択すると(図8(a)参照)、タッチパネル39の表示が補充モード選択画面に切り替わる(図8(b)参照)。この画面では、補充者情報を入力すると、既登録のボタン39cと新規登録のボタンが選択でき、新規登録を選択すると、各収納箇所(アドレス)に収納して良い医療材料10の識別用コード(No.)や画面表示用名称(医材名称)を登録することができる。このような登録が済んでいると、既登録のボタン39cの選択が有効になるので、補充時の案内表示を望んでいるときはその選択操作を行う。
【0058】
すると、タッチパネル39の表示が既登録一覧モード画面に切り替わるので(図8(c)参照)、更に空き表示になっているのを確認してから、必要であればスクロールボタン39fを操作して画面送り等を行って、その画面表示項目のうち該当する医療材料の項目39dを指でダイレクトに選択する。
その医療材料(例えばケース入りチューブ)の収納可能位置として登録されている位置の空き数39eが例えば3ヶ所(3本)になっていると、この例では取出案内部材72が補充先案内部材も兼ねているため、空いている3ヶ所の案内部材72が何れも点灯する(図9(a)参照)。
【0059】
さらに、収納しようとしている医療材料10に付いているバーコード(識別情報)をバーコードリーダ35で読みとる作業も行って(図9(b)参照)、突き合わせチェックしたうえで、医療材料10を棚70上の案内部材点灯位置の何れかに収納する。そうすると、案内部材が総て消灯するとともに(図9(c)参照)、誰が何を何処に補充したか等のログデータもタイムスタンプと共に記録される。
【0060】
こうして、補充についても、案内表示および作業記録が適切に行われる。なお、この例では、チェック重視の観点から、既登録一覧モード画面での医療材料項目39dの選択作業と、バーコードリーダ35での医療材料10の識別情報の読取作業とを、両方とも行うようにしたが、両作業の何れか一方を行えば医療材料10が特定できるので、何れか一方の作業が行えるようになっていれば足りる。また、両作業を行えるようにするにしても、両作業を必要とはせずに、何れかを任意に行えば直ちに補充先案内表示が行われるようにしても良い。
【0061】
[その他]
医療材料10は、包装や結束されていても良く、ケースや容器に入れられていても良いが、本発明の医材収納管理装置20への収納に好適なものは、CDケース状の容器や角箱などに入れられていて保管時に個々で自立している比較的安定な形状ものであり、そのような医療材料の具体例としては、注射輸液用のチューブセットや、小形短尺のカテーテル類、そのセット物などが挙げられる。
また、上記実施例では、制御装置30が電装部21に格納されていたが、制御装置30は筐体22の外に置かれていても良い。制御装置30の入出力手段は、上述したディスプレイ32やキーボード33等に限られず、タッチパネルや携帯情報端末などでも良い。
【0062】
さらに、上記実施例では医材検出ルーチン42が医材検出部材73のオン/オフに医療材料10の収納/取出を一対一で対応付けるようになっていたが、取り出した医療材料10を使用せずに戻したことも自動管理するように拡張するのも容易であり、例えば、短時間に取出と収納とが行われた場合や、制御装置30に動作モードを幾つか導入してその一つの取出限定モード時に収納が行われた場合などに、補充ではなく戻しがあったと判定して、ログデータ49やその他の出力データに戻しの情報を付加すると良い。データの蓄積や出力に止まらず、有効期限の管理や、在庫管理、薬歴リスト作成、さらには検品まで行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1について、医材収納管理装置の機械的構造を示し、(a)が扉を閉めたところの正面図、(b)が扉を開けたところの正面図、(c)が棚と仕切部材との展開斜視図、(d)が仕切部材を装着した棚の外観斜視図である。
【図2】制御装置の概要構造を示し、(a)が制御装置と取出案内部材等との接続関係を示す概要ブロック図、(b)が制御装置の機能ブロック図である。
【図3】制御装置のデータ構造を示し、(a)が医材情報テーブル、(b)が医材有無データ、(c)が仕切有無データに関する。
【図4】医材収納管理装置の動作説明図であり、(a)が空の状態、(b)が小さい医療材料を収納した状態である。
【図5】医材収納管理装置の動作説明図であり、(a)が空のときに棚から仕切部材を一つ抜き取った状態、(b)が中位のサイズの医療材料を収納した状態、(c)が仕切部材を二つ抜き取ったところに大きな医療材料を収納した状態、(d)が医材検出部材の検出結果に不一致の生じている状態である。
【図6】本発明の実施例2について、医材収納管理装置の構造を示し、(a)が棚と仕切部材との展開斜視図、(b)が制御装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施例3について、三種類の変形構造を示し、(a)〜(c)いずれも仕切部材および棚の斜視図である。
【図8】本発明の実施例4について、医材補充状況を示し、(a)〜(c)いずれも画面表示例である。
【図9】医材補充状況の続きを示し、(a)が仕切部材を装着した棚の斜視図、(b)が医療材料から識別情報を読み取っているところの斜視図、(c)が医療材料を収納した棚の斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
10…医療材料、
20…医材収納管理装置、
21…電装部、22…筐体、23…把手、24…扉、
30…制御装置、
31…棚部コントローラ、32…ディスプレイ、33…キーボード、
34…マウス、35…バーコードリーダ、36…プリンタ、
37…LAN(Local Area Network)、38…ハードディスク、
41…取出案内ルーチン、42…医材検出ルーチン、
43…医材情報設定ルーチン、44…仕切状態手動設定ルーチン、
45…仕切状態自動設定ルーチン、46…医材有無データ、
47…医材情報テーブル、48…仕切有無データ、49…ログデータ、
70…棚、
71…凹み(仕切部材挿着用)、72…取出案内部材、
73…医材検出部材、74…仕切検出部材、74a…発光器、
75…仕切部材、76…挿抜部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の医療材料を各々取出可能に仕切って乗せ置くために仕切部材挿着用凹みが列なって形成されている棚と、前記凹みに対し抜取り可能に挿着される仕切部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設され各々が該当箇所における医療材料の載置有無を検出する医材検出部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設された視認用の取出案内部材と、前記医材検出部材での検出に基づいて医療材料収納状態の管理処理を行うとともに取出指示の入力に応じて前記取出案内部材の何れかを作動させる制御装置とを備えた医材収納管理装置であって、前記制御装置が、前記凹みへの前記仕切部材の挿着有無状態を設定入力可能なものであり且つその設定に基づき前記凹みのうち前記仕切部材の抜き取られている凹みの両側に位置しているとされる前記医材検出部材および前記取出案内部材を一区分のものとして纏めて処理するようになっていることを特徴とする医材収納管理装置。
【請求項2】
多数の医療材料を各々取出可能に仕切って乗せ置くために仕切部材挿着用凹みが列なって形成されている棚と、前記凹みに対し抜取り可能に挿着される仕切部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設され各々が該当箇所における医療材料の載置有無を検出する医材検出部材と、前記凹みの列なり方向について前記凹みと交互になる配置状態で前記棚に列設された視認用の取出案内部材と、前記医材検出部材での検出に基づいて医療材料収納状態の管理処理を行うとともに取出指示の入力に応じて前記取出案内部材の何れかを作動させる制御装置とを備えた医材収納管理装置であって、前記凹みへの前記仕切部材の挿着有無を検出する仕切検出部材が設けられ、前記制御装置が、前記仕切検出部材での検出に基づき前記凹みのうち前記仕切部材の抜き取られている凹みの両側に位置しているとされる前記医材検出部材および前記取出案内部材を一区分のものとして纏めて処理するようになっていることを特徴とする医材収納管理装置。
【請求項3】
前記制御装置が、前記医材検出部材のうち一区分のものとして纏めて処理する対象となっているものについて、検出結果の不一致状態が継続しているとき、警報を発するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された医材収納管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−68358(P2006−68358A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256901(P2004−256901)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】