説明

医用情報表示装置およびその動作方法、並びに医用情報表示プログラム

【課題】所定の診療期間内に患者が受診した検査情報を簡単に表示する。
【解決手段】被検者の体の外観を表す外観画像と、前記体の内側に存在する解剖学的な構造物を模式的に表した画像を段階的に拡大した複数の解剖画像とで構成される階層画像のうちの1つの画像を表示装置に表示する。表示装置に表示されている画像L3上の所望の位置を指示に応じて、指示された位置に存在する構造物と診察部位が一致する場合は、検査情報に切り替えて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフィカルユーザインターフェースを用いて、ユーザが所望する医療情報を表示させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、カルテ等の文字情報をはじめ、CT、MRI、US、PET等のモダリティで取得された画像、心電図や脳波等の波形の情報、各種検査報告等の多種多様な医療情報が電子データとして蓄積されている。
【0003】
また、近年、各医療機関の専用サーバに格納された医療情報を、サービスセンターを経由して各々の医療機関が閲覧できる仕組みが提供されている。例えば、サービスセンターに、どの医療機関のサーバに患者の情報が格納されているかといった医療情報の所在管理、医療機関ごとの患者番号(患者ID)のリンクや医療情報のアクセス権管理などをサービスセンターで行い、連携している中核病院等の情報公開する施設と、診療所などの情報を閲覧する施設とが、セキュリティが担保されたVPNやSSLなどのネットワークを介して結ばれている。
【0004】
各医療機関は、情報共有する患者のIDを入力すると、地域の医療機関に分散した患者の医療情報が一覧表示した画面で共有でき、処方や検査データの閲覧に加え、医用画像もDICOM Viewerで閲覧できようにしている。さらに、文書ファイルなども共有して、診療所などの情報閲覧施設からも利用可能にしたものがある。
【0005】
このような膨大な医療情報の選択や確認を容易にする手法として、様々なユーザインターフェースが提案されている。例えば、表示画面に表示された人型内の部位や、体の一部を示すイメージ内の部位をポインティングデバイスで指定することにより、指定された部分およびその周辺における疾患部位に関する医用画像が医用情報データベースから抽出され、抽出された医用画像の一覧画面が表示されるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−260030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたユーザインターフェースは、人体の部位を人体の外観図上で指示して、指示された部位に関する医療情報の取得を行っているが、指示された部分に臓器が重なって存在している場合には、意図した臓器以外の臓器に関する医療情報を取得するかもしれない。また、慢性疾患の場合、繰り返し検査を受けるため部位の指定だけをおこなった場合には、多数の検査結果が取得されることになる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、所定の時期に患者が受診した疾患の検査結果を容易に確認することが可能な医療情報表示装置および方法、並びにプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の医用情報表示装置は、時間軸を表すタイムラインを表示装置に表示するタイムライン表示手段と、
前記タイムライン上で所定の期間を指定する指定入力を受け付けるタイムライン指定入力受付手段と、
前記指定された期間内に所定の被検者が診察を受けた電子カルテ情報を、多数の電子カルテ情報を記憶した電子カルテ記憶手段より検索する電子カルテ検索手段と、
前記検索された電子カルテ情報に記録されている診察部位を抽出する診察対象部位抽出手段と、
前記診察部位に関連する検査情報を、多数の検査情報を記憶する検査情報記憶手段から検索する検査情報検索手段と、
体の外観を表す外観画像と、前記体の内側に存在する解剖学的な構造物を模式的に段階的に拡大して表した複数の解剖画像とで構成される階層画像であって、前記外観画像を最上位の階層とし、前記複数の解剖画像のうち拡大率が高いほど下位の階層に位置づけられる階層画像を記憶した階層画像記憶手段と、
前記階層画像のうちの1つの画像を前記表示装置に表示する階層画像表示手段と、
前記表示装置に表示されている画像上の所望の位置を指示する指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
該指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記階層画像表示手段により表示されている画像を該画像の下位の階層の解剖画像に切り替えて表示するとともに、該切り替えた解剖画像のうち前記指示された位置に存在する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示する階層画像切替表示制御手段と、
前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記指示された位置に存在する前記構造物と前記診察部位が一致する場合は、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示する検査情報切替表示制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の上記の医用情報表示装置の動作方法は、前記タイムライン表示手段より、時間軸を表すタイムラインを表示装置に表示するタイムライン表示ステップと、
前記タイムライン指定入力受付手段により、前記タイムライン上で所定の期間を指定する指定入力を受け付けるタイムライン指定入力受付ステップと、
前記電子カルテ検索手段により、前記指定された期間内に所定の被検者が診察を受けた電子カルテ情報を、多数の電子カルテ情報を記憶した電子カルテ記憶手段より検索する電子カルテ検索ステップと、
前記診察対象部位抽出手段により、前記検索された電子カルテ情報に記録されている診察部位を抽出する診察対象部位抽出ステップと、
前記検査情報検索手段により、前記診察部位に関連する検査情報を、多数の検査情報を記憶する検査情報記憶手段から検索する検査情報検索ステップと、
前記階層画像表示手段により、前記階層画像のうちの1つの画像を前記表示装置に表示する階層画像表示ステップと、
前記指示入力受付手段により、前記表示装置に表示されている画像上の所望の位置を指示する指示入力を受け付ける指示入力受付ステップと、
前記階層画像切替表示制御手段により、前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記階層画像表示手段により表示されている画像を該画像の下位の階層の解剖画像に切り替えて表示するとともに、該切り替えた解剖画像のうち前記指示された位置に存在する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示する階層画像切替表示制御ステップと、
前記検査情報切替表示制御手段により、前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記指示された位置に存在する前記構造物と前記診察部位が一致する場合は、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示する検査情報切替表示制御ステップとを実行することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の医用情報表示プログラムは、コンピュータを、
時間軸を表すタイムラインを表示装置に表示するタイムライン表示手段と、
前記タイムライン上で所定の期間を指定する指定入力を受け付けるタイムライン指定入力受付手段と、
前記指定された期間内に所定の被検者が診察を受けた電子カルテ情報を、多数の電子カルテ情報を記憶した電子カルテ記憶手段より検索する電子カルテ検索手段と、
前記検索された電子カルテ情報に記録されている診察部位を抽出する診察対象部位抽出手段と、
前記診察部位に関連する検査情報を、多数の検査情報を記憶する検査情報記憶手段から検索する検査情報検索手段と、
被検者の体の外観を表す外観画像と、前記体の内側に存在する解剖学的な構造物を模式的に表した画像を段階的に拡大した複数の解剖画像とで構成される階層画像であって、前記外観画像を最上位の階層とし、前記解剖画像のうち拡大率が高い解剖画像ほど下位の階層に位置づけられる階層画像を記憶した階層画像記憶手段と、
前記階層画像のうちの1つの画像を前記表示装置に表示する階層画像表示手段と、
前記表示装置に表示されている画像上の所望の位置を指示する指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
該指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記階層画像表示手段により表示されている画像を該画像の下位の階層の解剖画像に切り替えて表示するとともに、該切り替えた解剖画像のうち前記指示された位置に存在する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示する階層画像切替表示制御手段と、
前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記指示された位置に存在する前記構造物と前記診察部位が一致する場合は、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示する検査情報切替表示制御手段として機能させることを特徴とするものである。
【0012】
「外観画像」とは、人体の外観の模式図であって、頭部、胸部、腹部、腕、足等の標準的な形をあらわしたものをいう。
【0013】
また、前記外観画像上の前記抽出された診察部位に対応する位置に該診察部位を示すマークを重ねて表示する診察部位マーク表示手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0014】
また、前記検査情報切替表示制御手段は、前記階層画像表示手段により表示されている画像が所定の拡大率以上の解剖画像であるときにのみ、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示するものが望ましい
【0015】
また、前記階層画像切替表示制御手段は、前記診察部位に該当する構造物が前記指示入力受付手段で指示された位置の近傍に存在する場合には、前記診察部位に該当する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示するものが望ましい。
【0016】
また、前記タイムライン指定入力受付手段が、マウス、キーボード、および、前記表示装置に設けられたタッチパネルのいずれかからの入力を受け付けるものであってもよい。
【0017】
また、前記指示入力受付手段が、マウス、キーボード、および、前記表示装置に設けられたタッチパネルのいずれかからの入力を受け付けるものであってもよい。
【0018】
さらに、前記検査情報が、医用画像であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
診療期間を指定するとともに、検査情報を確認したい診察部位を外観画像から解剖画像に切り替えて、解剖画像上で診察部位を指示すると、患者が診療期間内に受診した診察部位に対応する検査情報を自動で検索して表示することにより、検査結果を確認したい診察部位の臓器を解剖画像上で直接指示することができ、確認が必要な診察部位の検査情報を確実に特定して表示することが可能になる。また、解剖画像を拡大表示することで、他の臓器に隠れているような診察部位や、小さい診察部位も確実に指示することが可能になる。
【0020】
外観画像上の該診察部位を示すマークを重ねて表示することにより、診療期間中に診察を受けた部位を即座に確認することが可能になる。
【0021】
所定の拡大率以上の解剖画像上で診察部位を指示された場合にのみ、つまり画面上に診察部位が大きく表示されて、その表示された診察部位を選択したときにのみ検査情報に切り替えて表示することにより、検査情報を確認した診察部位を操作者が確実に指示した場合だけ検査情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態となる医療情報表示装置を含む医療情報統合システムとその周辺システムの構成を表した図
【図2】本発明の実施形態となる医療情報表示装置の外観の一例を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態となる医療情報表示装置と医療情報管理サーバの主要構成要素を表したブロック図
【図4】階層画像の一例を示す図
【図5A】本発明の第1の実施形態となる医療情報統合システムで行われる医療情報の表示処理の流れを示したフローチャート(その1)
【図5B】本発明の第1の実施形態となる医療情報統合システムで行われる医療情報の表示処理の流れを示したフローチャート
【図6】本発明の第1の実施形態とな(その2)る医療情報表示装置1の表示装置の表示画面の一例を示す図
【図7】医療情報表示装置1の表示装置の表示画面に検査情報を表示した時の一例を示す図
【図8】本発明の第2の実施形態となる医療情報表示装置と医療情報管理サーバの主要構成要素を表したブロック図
【図9A】本発明の第2の実施形態となる医療情報統合システムで行われる医療情報の表示処理の流れを示したフローチャート(その1)
【図9B】本発明の第2の実施形態となる医療情報統合システムで行われる医療情報の表示処理の流れを示したフローチャート(その2)
【図10】本発明の第2の実施形態となる医療情報表示装置1の表示装置の表示画面の一例を示す図
【図11】本発明の医療情報管理システムにおいて他の医療機関に分散した患者の医療情報を統合管理する場合の構成を表した図
【図12】本発明の医療情報管理システムに患者の自宅から接続する場合の構成を表した図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施形態となる医療情報表示装置1を含む医療情報統合システム3とその周辺のシステムの構成を表したものである。図に示したように、医療情報統合システム3は、電子カルテシステム4、画像診断システム5、内視鏡検査システム6、病理検査システム7、各診療科システム8とネットワーク9を介して通信可能に接続されて構成されている。また、医療情報統合システム3は、本発明の実施形態となる医療情報表示装置1と医療情報管理サーバ2とからなる。
【0024】
本実施形態では、電子カルテシステム4、画像診断システム5、内視鏡検査システム6、病理検査システム7、各診療科システム8で発生した医療情報は、医療情報管理サーバ2によって統合的に管理されている。また、医療情報表示装置1は、医療情報管理サーバ2に対して医療情報を要求し、医療情報管理サーバ2から提供された要求に合致する医療情報を表示する。
【0025】
医療情報表示装置1は、ワークステーション等のコンピュータであり、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、入出力インターフェース、通信インターフェース、入力装置(マウス、キーボード等)、表示装置(ディスプレイモニタ、液晶ディスプレイ等)、データバス等の周知のハードウェア構成を備え、周知のオペレーティングシステム等がインストールされたものである。また、表示装置には、GUIと組み合わせて指の操作による入力が行えるように、タッチパネルを設けたものが好ましい。
【0026】
タッチパネルとしては、抵抗膜、静電容量、電磁誘導、表面弾性波(超音波)、赤外線等の公知の方式のものを用いることができるが、多様な指の操作を区別することができるように、投影型の静電容量方式等の、マルチタッチ(複数の位置でのタッチ)が検出可能なものを用いるのが好ましい。
【0027】
また、医療情報表示装置1は、図2に示すようなタッチパネル23と一体的に形成された液晶ディスプレイ24を正面に有したタブレット型端末であってもよい。タブレット型端末は持ち運びが可能なコンピュータであり、医療情報表示装置1と医療情報管理サーバ2との通信は、公知の移動体通信網や無線LAN等を介して行われる。
【0028】
一方、医療情報管理サーバ2は、医療情報データベースを備えたコンピュータであり、周知のオペレーティングシステムやデータベース管理用ソフトウェアの他、医療情報データベースへの医療情報の登録やこのデータベースからの医療情報の抽出を行うためのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。
【0029】
また、電子カルテシステム4は公知のコンピュータシステムであり、例えば、各診療科等の端末と、電子カルテ情報が格納された電子カルテデータベースを備えた電子カルテ管理サーバ41とがネットワーク9を介して通信可能に接続された構成となっており、各診療科等の端末で入力された電子カルテ情報が電子カルテデータベースを用いて管理される。
【0030】
電子カルテ情報には、例えば、患者の氏名、生年月日、性別等を含む患者情報、診察部位情報、各種検査の日付、検査の指示内容等を含む検査オーダ情報、受診した日付、主訴、確定診断名等を含む診断情報、手術、処置、投薬等の治療が行われた日付、治療内容等を含む治療情報等で構成される。電子カルテデータベースは、各患者を識別する患者IDが上記電子カルテ情報と関連づけられたデータベース構造となっている。
【0031】
各種検査には、各診療科からの発行された検査オーダ情報に基づいて各診療科と離れた検査室で行われる内視鏡検査・病理検査・画像診断、心電図などの各診療科で行われる検査等がある。検査オーダ情報には、検査種別や検査の詳細な指示が記録され、検査オーダ情報に従って撮影された医用画像や検査オーダ情報に従って行なわれた検査の結果等の検査情報は、画像診断システム5、内視鏡検査システム6、病理検査システム7等で管理される。また、各診療科で行なわれた検査結果等の検査情報は各診療科システム8で管理される。
【0032】
画像診断システム5も公知のコンピュータシステムであり、例えば、画像診断医用ワークステーションと、CT、MRI等のモダリティでの撮影によって得られた画像が格納された画像データベースを備えた画像管理サーバ51と、撮影で得られた画像の読影結果を含む読影レポートが格納された読影レポートデータベースを備えた読影レポートサーバ52とがネットワーク9を介して通信可能に接続された構成となっている。ここで、画像診断医用ワークステーションは、診断目的・対象に応じて、MIP、MPR、CPR、ボリュームレンダリング(VR)等の公知の画像処理や、骨抽出・除去、血管抽出、臓器抽出、異常陰影検出等の公知の画像解析処理を組み合わせて実行することが可能であり、これらの処理・解析済みの画像も、画像データベースに格納される。また、画像には、2次元画像(ピクセルデータ)と3次元画像(ボクセルデータ)の両方、および、静止画と動画の両方が含まれ得る。さらに、画像データベースでは、患者IDの他、個別の画像を識別する画像ID、その画像が得られたモダリティの情報、その画像に表されている被検体の部位の情報等の付帯情報が画像に関連づけられて格納されている。モダリティの情報は、モダリティ側で画像生成時に付与される。一方、被検体の部位の情報は、検査オーダ等に基づいてモダリティ側で画像生成時に付与してもよいし、CT等の断層画像の場合であれば、公知の部位認識処理(例えば特開2008−259682号公報等参照)を用いて、画像診断医用ワークステーション側でスライス毎に付与してもよい。また、読影レポートデータベースは、読影レポートと患者IDと読影対象の画像の画像IDとが関連づけられたデータベース構造となっている。画像や読影レポートは、個々の検査(撮影)を識別する検査オーダ情報を介して間接的に患者IDと関連づけられていてもよい。
【0033】
内視鏡検査システム6も公知のシステムであり、各種内視鏡での撮影によって得られた実内視鏡画像や内視鏡検査の結果がまとめられた内視鏡検査レポート等が検査オーダ情報や患者IDと関連づけられた内視鏡検査データベースを備えた内視鏡検査管理サーバ61が、内視鏡検査データベースへのアクセスの制御を行っている。
【0034】
病理検査システム7も公知のシステムであり、病理検査で得られた顕微鏡画像や病理検査の結果がまとめられた病理検査レポート等が検査オーダ情報や患者IDと関連づけられた病理検査データベースを備えた病理検査管理サーバ71が、病理検査データベースへのアクセスの制御を行っている。
【0035】
各診療科システム8には、その診療科の検査データや検査レポート等が検査オーダ情報や患者IDと関連づけられた各診療科のデータベースを備えた診療科検査管理サーバ81が、各診療科のデータベースへのアクセスの制御を行っている。ここで、各診療科の検査データとは、例えば、循環器科であれば心電図データ等(波形、数値等)、耳鼻咽喉科であれば聴覚検査データ等(波形、数値等)、眼科であれば視力検査や眼底検査データ等(数値等)である。
【0036】
第1の実施形態では、医療情報表示装置1からの要求に応じて、その要求に応じた医療情報を医療情報管理サーバ2から取得し、医療情報表示装置1の表示装置上に表示する場合について説明する。また、検査情報には、モダリティでの撮影によって得られた画像、画像処理後の画像、実内視鏡画像、顕微鏡画像、読影レポート、内視鏡検査レポート、病理検査レポート、心電図データ(波形、数値等)、聴覚検査データ(波形、数値等)、視力検査や眼底検査データ等が含まれるものとする。さらに、画像管理サーバ51、内視鏡検査管理サーバ61、病理検査管理サーバ71、内視鏡検査管理サーバ61、読影レポートサーバ52、病理検査管理サーバ71および各診療科のデータベース81が本発明の検査情報記憶手段を構成するものとして以下説明する。
【0037】
図3は、第1の実施形態の医療情報表示装置1と医療情報管理サーバ2に実装される機能を模式的に表したブロック図である。図に示したように、本発明の医療情報表示装置1は、タイムライン表示手段11、タイムライン指定入力受付手段12、電子カルテ検索手段13、診察対象部位抽出手段14、検査情報検索手段15、階層画像記憶手段16、階層画像表示手段17、指示入力受付手段18、階層画像切替表示制御手段19、検査情報切替表示制御手段20とから構成される。
【0038】
医療情報管理サーバ2の医療情報管理部25では、他システム(電子カルテシステム4、画像診断システム5、内視鏡検査システム6、病理検査システム7、各診療科システム8を意味する)で発生した医療情報の所在の管理が患者IDに基づいて行われ、他システムの各サーバに対する医療情報の要求および取得が行われる。
【0039】
第1の実施形態では、外観画像と解剖画像とで構成される階層画像を用意して、まず、人体の外観画像を表示しておき、外観画像上で検査した診察部位を指示するとその診察部位の解剖画像に切り替えて表示し、さらに解剖画像上で検査した診察部位を指示すると、指示された臓器や組織を検査して得られた検査結果等の検査情報に切り替えて表示する手法について説明する。
【0040】
図4に、階層画像の構成の一例を表す。階層画像Hは、人体の外観を表す外観画像BDと、人体の内部の解剖学的な構造物を模式的にあらわした複数の解剖画像L1、L2、L3とで構成される。階層画像L1、L2、L3は、様々な拡大率で段階的に拡大されたものが用意され、外観画像BDを最上位層とし、解剖画像のうち拡大率が小さいものが上位の階層に位置づけられ、拡大率が大きくなるに従って下位の階層に位置づけられる。
【0041】
また、階層画像Hを構成する解剖画像L1、L2、L3は、単に拡大率を変えた画像だけではなく、人体の表面に近い部分の解剖画像から、人体を解剖して特定の臓器や組織に到達するまでにあらわれる臓器や組織を模式的に表した解剖画像が段階的に複数用意される。これらの解剖画像L1、L2、L3のうち、人体の表面に近い解剖画像は上位の階層に位置づけられ、解剖していくと到達する特定の臓器や組織の解剖画像は下位に位置づけられる。例えば、人体の皮膚のすぐ下にある筋肉をあらわした解剖画像、筋肉の下にある肋骨があらわれた状態の解剖画像、肋骨の下にある肺や心臓などの臓器があらわれた状態の解剖画像、さらに、心臓のような1つの臓器を詳細な部分まであらわした解剖画像が段階的に用意される。各段階の解剖画像は各臓器や組織が十分に確認できるように適切な拡大率で徐々に拡大される。図4では、便宜上3つの解剖画像L1、L2、L3のみ示すが拡大率の異なる解剖画像を多数用意するのが好ましい。
【0042】
さらに、各階層の解剖画像の臓器や組織は、同じ臓器や組織同士でリンクされている。また、上の階層の解剖画像には臓器nは臓器mに隠れていて解剖画像上にあらわれていなくとも、その下の階層の解剖画像には臓器nがあらわれている場合には、上の階層の解剖画像の臓器nを隠している臓器mと、臓器nがあらわれている1つ下の階層の解剖画像の臓器nとがリンクされているので、上の階層の解剖画像上で臓器nが存在する位置を指示すると、下の階層の解剖画像の臓器nが表示されるように構成される。外観画像BDの場合は、外観画像BDの下にある臓器の体表面から見た位置と、外観画像BDの1つ下の階層の解剖画像の臓器とがリンクされる。
後述の階層画像切替表示制御手段19では、階層画像Hのリンクに基づいて切り替え表示の制御を行う。
【0043】
図5は、医療情報統合システム3で行われる処理の流れを示したフローチャートである。図6に医療情報表示装置1の表示装置の表示画面の一例を示す。図7に、医療情報表示装置1の表示装置の表示画面に検査情報を表示した時の一例を示す。
【0044】
図3〜7を用いて、医療情報表示処理の全体の流れとともに、医療情報表示装置1の各処理と医療情報管理サーバ2の医療情報管理部25で行われる個々の処理の内容について説明する。
【0045】
まず、図6に示すように、医療情報表示装置1では表示装置の表示画面に患者IDの入力部INを表示する。また、タイムライン表示手段11で、時間軸をあらわすタイムラインTを表示装置の画面の上部に表示する。一方、階層画像表示手段17は、タイムラインTの下に階層画像記憶手段16に記憶されている階層画像のうちの人体の外観画像BDを表示する(#1)。
【0046】
まず、医師は、キーボードを使って患者IDを入力部INに入力する(#2)。続いて、医師は、マウスを使って表示画面上のタイムラインT上で最近患者が診療を受けた開始日にマークSをおき、最終診療日にマークEをおいて診療期間として確定する操作を行なう。
【0047】
タイムライン指定入力受付手段12は、例えば、開始時期のマークSが2010年5月18日におかれ、終了時期のマークEが2010年6月18日におかれた場合は、2010年5月18日〜2010年6月18日を診療期間として受け付ける(#3)。あるいは、デフォルトの診療期間を1ヶ月と決めておき、最近受診した日付を入れると、マークがおかれた日付より前1ヶ月間を診療期間として受け付けるようにしてもよい。タイムライン指定入力受付手段12は、マウスに限らず、表示装置に設けられたタッチパネル、キーボードを用いた操作で診療期間の入力を受け付けることも可能である。
【0048】
次に、電子カルテ検索手段13は、医療情報管理サーバ2に診療期間と患者IDを送信して、指定された診療期間内に患者IDで特定される患者が受信した電子カルテ情報の要求を行なう(#4)。この要求に応じて、医療情報管理サーバ2から電子カルテシステム4の電子カルテ管理サーバ41に患者IDと指定された診療期間が転送され、電子カルテ管理サーバ41で患者IDが一致しかつ受診した日付が診療期間内である電子カルテ情報が全て検索される(#5)。検索された電子カルテ情報は、電子カルテ管理サーバ41から医療情報管理サーバ2を経由して医療情報表示装置1に送信され(#6)、医療情報表示装置1は受信した電子カルテ情報を一旦補助記憶装置に記憶する(#7)。
【0049】
診察対象部位抽出手段14は、医療情報表示装置1の補助記憶装置に記憶されている電子カルテ情報に記録されている診察部位情報から診察部位の抽出を行なう(#8)。抽出された診察部位情報が「心臓」である場合には心臓を診察部位とする。以下、診察部位が心臓であった場合を例に説明する。
【0050】
検査情報検索手段15は、補助記憶装置に記憶されている電子カルテ情報に関連する検査情報を検索する。電子カルテ情報から、患者IDと検査オーダ情報を抽出し、患者IDと検査オーダ情報を医療情報管理サーバ2に送信して検査情報を要求する(#9)。医療情報管理サーバ2は、検査オーダ情報がCTによる撮影を示している場合には、画像管理サーバ51に患者IDと検査オーダ情報を転送して心臓が撮影されたCT画像を取得する(#10)。さらに、画像管理サーバ51では、CT画像だけではなく、画像診断医用ワークステーションで、CT画像に画像処理が施された心臓の周囲に存在する冠状動脈のストレッチCPR画像や、MPR画像等も一緒に取得される。取得したCT画像とストレッチCPR画像、MPR画像等が医療情報管理サーバ2を経由して医療情報表示装置1に送信され(#11)、医療情報表示装置1で受信した画像は一旦補助記憶装置に記憶される(#12)。
【0051】
次に、医師は、患者の心臓の画像診断の結果を見るために、表示装置に表示されている外観画像BD上で心臓付近をマウスでクリックする。指示入力受付手段18は、医師が指示した外観画像BD上の位置の入力を受け付ける(#13)。指示入力受付手段18は、マウスに限らず、表示装置に設けられたタッチパネル、キーボードを用いた操作を受け付けることも可能である。
【0052】
階層画像切替表示制御手段19は、指示入力受付手段18で位置を受け付けると、階層画像表示手段17により表示されている外観画像BDを1つ下の階層の解剖画像L1に切り替える。切り替える表示する際、指示された心臓付近の画像が表示画面の略中心になるように解剖画像L1を表示する(#14)。診察対象部位抽出手段14により抽出された診察部位は心臓であるので、指示入力受付手段18で受け付けた位置が心臓より少しずれた位置であっても、解剖画像L1の心臓の画像が表示画面の中心に来るように表示するのが好ましい。指示入力受付手段18で受け付けた位置が心臓から離れた位置である場合には、指示された位置に存在する臓器を拡大した解剖画像に切り替えられる。
【0053】
さらに、医師が表示されている解剖画像L1上で心臓付近の画像をマウスでクリックすると、指示入力受付手段18は指示した位置を受け付ける(#15)。表示されている解剖画像が所定の拡大率に到達していない場合は(#16)、階層画像切替表示制御手段19で、階層画像表示手段17により表示されている解剖画像L1を、さらに1つ下の階層の解剖画像L2に切り替えて、解剖画像L2の心臓の画像を表示画面の略中心に表示する(#17)。
【0054】
表示装置に表示されている解剖画像上に、診察部位である臓器が他の臓器の陰になって一部しかあらわれていなかったり、診察部位である臓器が他の臓器の下に隠れていたりする場合には、必ずしも診察部位である臓器を指示することができるとは限らない。
【0055】
そこで、例えば、指示入力受付手段18で受け付けた位置が肺を指している場合であっても、指示された位置の肺の下に診察部位である心臓が存在する場合には、階層画像切替表示制御手段19は、患者の診察部位である心臓の検査情報を取得するための指示であると判定して、解剖画像L2の心臓の画像の部分が表示画面の略中心になるように表示する。
【0056】
現在表示されている解剖画像上には診察部位の臓器があらわれていなくとも、表示されている解剖画像上の臓器の下に診察部位の臓器が隠れている場合がある。例えば、解剖画像L1の肺が表示画面の中心に表示され、診察部位である心臓が表示されていない場合は、指示入力受付手段18で受け付けた位置が肺であっても、指示された位置の肺の下に診察部位である心臓が存在する場合には、階層画像切替表示制御手段19は、患者の診察部位である心臓の検査情報を取得するための指示であると判定して、現在表示されている解剖画像L1を、解剖画像L2の心臓が画面の中心にくるように切り替えて表示する。
【0057】
以上の操作を繰り返して、目的の診察部位を徐々に拡大表示する(#15〜#17)。
【0058】
表示されている解剖画像が所定の拡大率に到達し(#16)、指示入力受付手段18で受け付けた位置に存在する臓器が診察部位の心臓と一致する場合には(#18)、検査情報切替表示制御手段20は、階層画像表示手段17により表示されている解剖画像を補助記憶装置に記憶されているCT画像、ストレッチCPR画像、MPR画像等の検査情報に切り替えて表示する(#19)。拡大率が小さい解剖画像では、診察部位の画像を正確に指示することは難しいため、所定の拡大率以上の解剖画像が表示されているときに診察部位が指示されていると検査情報への切り替え表示を行なう。検査情報へ切り替えて表示を行う場合、現在表示されている解剖画像を検査情報の表示に置き換えてもよいが、解剖画像の上に別のウィンドウを開いて検査情報を表示してもよい。図7に、階層画像Hの中の解剖画像L3の心臓をクリックした時に、別ウィンドウに検査情報のCT画像を表示したときの一例を示す。
【0059】
補助記憶装置に検査情報が複数記憶されている場合には、複数のウィンドウを重ねて表示して、ウィンドウのそれぞれに別の検査情報を表示する。例えば、1枚目のウィンドウにストレッチCPR画像を表示し、2枚目のウィンドウにMIP画像を表示し、3枚目のウィンドウにCT画像の代表画像を表示する。ウィンドウを重ねる順番は、診察部位や疾患に応じて診断に有効な画像が最初に表示されるように決めておく。あるいは、1つのウィンドウに順番に検査情報を切り替え表示するなど、周知の様々な表示手法を用いることができる。
【0060】
一方、表示されている解剖画像は所定の拡大率に到達しているが、指示入力受付手段18で受け付けた位置に存在する臓器が診察部位と一致しない場合には、医師は、さらに下位の階層の画像にあらわれる臓器の検査情報を取得することを意図していると考えられるので、階層画像切替表示制御手段19で、階層画像表示手段17により表示されている解剖画像をさらに下の階層の画像に切り替えて表示する(#17)。
【0061】
#15〜#17の操作を繰り返して、診察部位の臓器があらわれた解剖画像を表示し、表示された解剖画像上で診察部位の臓器を指示することにより、検査情報切替表示制御手段20で検査情報を表示する。
【0062】
上述のように、検査オーダ情報がモダリティによる撮影を示している場合には、画像管理サーバ51に患者IDと検査オーダ情報を転送して該当する医用画像と、画像処理が施された各種の画像を取得する。さらに、必要に応じて、読影レポートサーバ52にも患者IDと検査オーダ情報を転送して、画像管理サーバ51で取得した医用画像に関連した読影レポートも読影レポートサーバ52から取得するようにしてもよい。
【0063】
また、検査オーダ情報が、内視鏡検査で得られた実内視鏡画像および内視鏡検査レポート、病理検査でえられた顕微鏡画像および病理検査レポート、各診療科で行なわれた心電図等の検査データ等を取得する場合には、検査オーダ情報の検査種別に応じて、医療情報管理サーバ2から内視鏡検査管理サーバ61、病理検査管理サーバ71、診療科検査管理サーバ81のうち該当するサーバに患者IDと検査オーダ情報を転送して、各サーバ61、71、81で要求に応じた検査情報を取得して、各サーバ61、71、81から医療情報管理サーバ2を経由して医療情報表示装置1に送信する。
【0064】
以上詳細に説明したように、医師が検査結果を確認したい部位を外観画像上から選択し、さらに、解剖画像を段階的に拡大しながら表示して、診察部位の臓器を指示すれば、患者IDと診療期間に基づいて医療システム内で分散されている検査情報を自動で検索して表示することができるので、従来のように患者のIDを用いて電子カルテ情報を検索し、電子カルテ情報に記録されている診察部位を確認し、さらに、電子カルテ情報の検査IDから検査情報を検索するような煩雑な操作を行なうこと必要がない。また、検査結果を確認したい診察部位の臓器を解剖画像上で直接指示するので、診察部位や検査IDなどを指定する必要がないため操作ミスが少なく確認が必要な診察部位の検査情報を確実に表示することが可能になる。また、解剖画像を拡大表示することで、他の臓器に隠れているような診察部位や、小さい診察部位も確実に指示することが可能になる。
【0065】
次に、第2の実施形態では、外観画像上に診療期間内に診察を行なった診察部位のマークを表示する場合について説明する。第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して、詳細な説明を省略し主に相違する部分について説明する。
【0066】
図8は、第2の実施形態の医療情報表示装置1と医療情報管理サーバ2に実装される機能を模式的に表したブロック図である。図に示したように、第2の実施形態の医療情報表示装置1は、タイムライン表示手段11、タイムライン指定入力受付手段12、電子カルテ検索手段13、診察対象部位抽出手段14、検査情報検索手段15、階層画像記憶手段16、階層画像表示手段17、指示入力受付手段18、階層画像切替表示制御手段19、検査情報切替表示制御手段20に加えて、診察部位マーク表示手段21を備える。また、医療情報管理サーバ2は、医療情報管理部25を備える。
【0067】
図9は、第2の実施形態の医療情報統合システム3で行われる処理の流れを示したフローチャートである。図10に第2の実施形態の医療情報表示装置1の表示装置の表示画面の一例を示す。
【0068】
前述の第1の実施形態と同様に表示装置の表示画面に患者IDの入力部INを表示する。また、タイムライン表示手段11で、時間軸をあらわすタイムラインTを表示装置の画面の上部に表示する。また、階層画像表示手段17は、タイムラインTの下に階層画像のうちの人体の外観画像BDを表示する(#1)。
【0069】
図10に示すように、第1の実施形態と同様に、患者IDを入力し、タイムライン上で診察期間を入力して、患者IDと診療期間が一致する電子カルテ情報を検索し、検索された電子カルテ情報から診療期間内に診察を受けた診察部位を抽出する。また、電子カルテ情報に対応する検査情報を検索して補助記憶装置に記憶する(#2〜#12)。
【0070】
診療期間中に患者は心臓と肝臓というように複数の臓器について診察を受ける場合があるため、電子カルテ情報群から診察部位が1以上抽出される場合も存在する。そこで、本実施形態では、外観画像BD上に診察部位のマークを表示することにより診療期間内に診察を受けた部位を視覚的に認識できるようにする。
【0071】
診察部位マーク表示手段21は、表示装置上に表示されている外観画像BD上に、診察対象部位抽出手段14で抽出された診察部位を表したマークM1、M2、M3を重ねて表示する(#20)。図10に示すように、各診察部位のマークM1、M2、M3は、どの臓器であるかを即座に認識することができるように各臓器を模式図であらわした臓器アイコンが好ましい。また、診療期間中に診療は受けたが検査情報が存在しない臓器については、臓器アイコンの診察部位のマークの色を薄く表示し、検査情報が存在する臓器については、臓器アイコンの診察部位のマークの色を濃く表示して、検査情報がある診療部位と検査情報がない診療部位を区別することができるように表示してもよい。あるいは、検査情報があるかないかに応じて、診察部位のマークの色を変えて表示してもよい。
【0072】
医師が患者の検査情報を確認したいときは、表示装置に表示されている外観画像BD上のマークのうち確認したい診察部位のマーク、例えば心臓のマークをマウスでクリックする。指示入力受付手段18は、心臓が指示されたことを受け付ける(#21)。階層画像切替表示制御手段19は、指示入力受付手段18で心臓が指示されたことを受け付けると、階層画像表示手段17により表示されている外観画像BDを1つ下の階層の解剖画像L1に切り替える(#22)。また、解剖画像L1の心臓の画像を表示画面の略中心に表示する。以下、前述の第1の実施形態と同様に階層画像切替表示制御手段19で階層画像表示手段17により表示されている解剖画像を拡大率の高い解剖画像に切り替えていく(#15〜#17)。
【0073】
さらに、表示されている解剖画像が所定の拡大率に到達し(#16)、指示入力受付手段18で受け付けた位置に存在する臓器が診察部位の心臓と一致する場合には(#18)、階層画像表示手段17により表示されている解剖画像を補助記憶装置に記憶されている検査情報に切り替えて表示する(#19)。
【0074】
上述のように、外観画像BD上に診察部位のマークM1、M2、M3を表示することにより、診療期間中に診察を受けた部位を即座に確認することが可能になる。また、タイムライン上で診察期間を変更すると、外観画像BD上に診察部位のマークが変更された診療期間中に受診した診察部位のマークに随時変わるので、患者の過去の疾患部位を確認することができるとともに、診察部位のマークを選択すれば、その時期に受けた検査情報を煩雑な操作を行なうことなく即座に確認することができる。
【0075】
また、上記実施形態の医療情報管理サーバ2は、医療情報の実データは電子カルテシステム4、画像診断システム5、内視鏡検査システム6、病理検査システム7、各診療科システム8等の他システムに置かれ、医療情報管理サーバ2を経由して、他システムのデータベースを用いる場合について説明したが、医療情報管理サーバ2で実データを集中管理するようにしてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態では、1つの医療機関内に置かれた電子カルテシステム4、画像診断システム5、内視鏡検査システム6、病理検査システム7、各診療科システム8などの複数のシステムを統合管理する場合について説明したが、さらに、図11に示すように、1つの医療機関(病院A)の他に地域の医療機関(病院B、病院C、病院D)に分散した患者の医療情報を医療情報管理サーバ2で統合管理することができるように、医療機関ごとの患者番号(患者ID)を対応付けるリンク情報や、各医療機関で管理する医療情報のアクセス権の管理を行うようにすれば、複数の医療機関で受診した患者の医療情報を纏めてみることが可能になり、他の医療機関に委託して検査情報も即座に確認することができる。
【0077】
さらに、図12に示すように、医療機関のみならず各患者の自宅a、bに置かれるゲーム機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等の通信機能を備えたコンピュータを医療情報表示装置1と機能させるようにして、自宅のコンピュータから医療情報管理サーバ2に接続することができる構成にしてもよい。このような構成にすることで、自宅からも医療機関で診察を受けた時の検査情報を確認することが可能になる。
【符号の説明】
【0078】
1 医療情報表示装置
2 医療情報管理サーバ
3 医療情報統合システム
4 電子カルテシステム
5 画像診断システム
6 内視鏡検査システム
7 病理検査システム
8 各診療科システム
9 ネットワーク
11 タイムライン表示手段
12 タイムライン指定入力受付手段
13 電子カルテ検索手段
14 診察対象部位抽出手段
15 検査情報検索手段
16 階層画像記憶手段
17 階層画像表示手段
18 指示入力受付手段
19 階層画像切替表示制御手段
20 検査情報切替表示制御手段
21 診察部位マーク表示手段
23 タッチパネル
24 液晶ディスプレイ
25 医療情報管理部
41 電子カルテ管理サーバ
51 画像管理サーバ
52 読影レポートサーバ
61 内視鏡検査管理サーバ
71 病理検査管理サーバ
81 診療科検査管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間軸を表すタイムラインを表示装置に表示するタイムライン表示手段と、
前記タイムライン上で所定の期間を指定する指定入力を受け付けるタイムライン指定入力受付手段と、
前記指定された期間内に所定の被検者が診察を受けた電子カルテ情報を、多数の電子カルテ情報を記憶した電子カルテ記憶手段より検索する電子カルテ検索手段と、
前記検索された電子カルテ情報に記録されている診察部位を抽出する診察対象部位抽出手段と、
前記診察部位に関連する検査情報を、多数の検査情報を記憶する検査情報記憶手段から検索する検査情報検索手段と、
体の外観を表す外観画像と、前記体の内側に存在する解剖学的な構造物を模式的に段階的に拡大して表した複数の解剖画像とで構成される階層画像であって、前記外観画像を最上位の階層とし、前記複数の解剖画像のうち拡大率が高いほど下位の階層に位置づけられる階層画像を記憶した階層画像記憶手段と、
前記階層画像のうちの1つの画像を前記表示装置に表示する階層画像表示手段と、
前記表示装置に表示されている画像上の所望の位置を指示する指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
該指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記階層画像表示手段により表示されている画像を該画像の下位の階層の解剖画像に切り替えて表示するとともに、該切り替えた解剖画像のうち前記指示された位置に存在する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示する階層画像切替表示制御手段と、
前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記指示された位置に存在する前記構造物と前記診察部位が一致する場合は、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示する検査情報切替表示制御手段とを備えたことを特徴とする医用情報表示装置。
【請求項2】
前記外観画像上の前記抽出された診察部位に対応する位置に該診察部位を示すマークを重ねて表示する診察部位マーク表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項3】
前記検査情報切替表示制御手段が、前記階層画像表示手段により表示されている画像が所定の拡大率以上の解剖画像であるときにのみ、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示するものであることを特徴とする請求項1または2記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
前記階層画像切替表示制御手段が、前記診察部位に該当する構造物が前記指示入力受付手段で指示された位置の近傍に存在する場合には、前記診察部位に該当する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示するものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
前記タイムライン指定入力受付手段が、マウス、キーボード、および、前記表示装置に設けられたタッチパネルのいずれかからの入力を受け付けるものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の医用情報表示装置。
【請求項6】
前記指示入力受付手段が、マウス、キーボード、および、前記表示装置に設けられたタッチパネルのいずれかからの入力を受け付けるものであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
前記検査情報が、医用画像であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の医用情報表示装置。
【請求項8】
タイムラインを表示するタイムライン表示手段と、
所定の期間の指定入力を受け付けるタイムライン指定入力受付手段と、
電子カルテ情報を検索する電子カルテ検索手段と、
診察部位を抽出する診察対象部位抽出手段と、
検査情報を検索する検査情報検索手段と、
体の外観を表す外観画像と、前記体の内側に存在する解剖学的な構造物を模式的に段階的に拡大して表した複数の解剖画像とで構成される階層画像であって、前記外観画像を最上位の階層とし、前記複数の解剖画像のうち拡大率が高いほど下位の階層に位置づけられる階層画像を記憶した階層画像記憶手段と、
前記階層画像のうちの1つの画像を表示する階層画像表示手段と、
画像上の所望の位置の指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
前記表示されている画像を解剖画像に切り替えて表示する階層画像切替表示制御手段と、
前記表示されている画像を検査情報に切り替えて表示する検査情報切替表示制御手段とを備えた医用情報表示装置の動作方法であって、
前記タイムライン表示手段より、時間軸を表すタイムラインを表示装置に表示するタイムライン表示ステップと、
前記タイムライン指定入力受付手段により、前記タイムライン上で所定の期間を指定する指定入力を受け付けるタイムライン指定入力受付ステップと、
前記電子カルテ検索手段により、前記指定された期間内に所定の被検者が診察を受けた電子カルテ情報を、多数の電子カルテ情報を記憶した電子カルテ記憶手段より検索する電子カルテ検索ステップと、
前記診察対象部位抽出手段により、前記検索された電子カルテ情報に記録されている診察部位を抽出する診察対象部位抽出ステップと、
前記検査情報検索手段により、前記診察部位に関連する検査情報を、多数の検査情報を記憶する検査情報記憶手段から検索する検査情報検索ステップと、
前記階層画像表示手段により、前記階層画像のうちの1つの画像を前記表示装置に表示する階層画像表示ステップと、
前記指示入力受付手段により、前記表示装置に表示されている画像上の所望の位置を指示する指示入力を受け付ける指示入力受付ステップと、
前記階層画像切替表示制御手段により、前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記階層画像表示手段により表示されている画像を該画像の下位の階層の解剖画像に切り替えて表示するとともに、該切り替えた解剖画像のうち前記指示された位置に存在する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示する階層画像切替表示制御ステップと、
前記検査情報切替表示制御手段により、前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記指示された位置に存在する前記構造物と前記診察部位が一致する場合は、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示する検査情報切替表示制御ステップとを実行する医用情報表示装置の動作方法。
【請求項9】
コンピュータを、
時間軸を表すタイムラインを表示装置に表示するタイムライン表示手段と、
前記タイムライン上で所定の期間を指定する指定入力を受け付けるタイムライン指定入力受付手段と、
前記指定された期間内に所定の被検者が診察を受けた電子カルテ情報を、多数の電子カルテ情報を記憶した電子カルテ記憶手段より検索する電子カルテ検索手段と、
前記検索された電子カルテ情報に記録されている診察部位を抽出する診察対象部位抽出手段と、
前記診察部位に関連する検査情報を、多数の検査情報を記憶する検査情報記憶手段から検索する検査情報検索手段と、
被検者の体の外観を表す外観画像と、前記体の内側に存在する解剖学的な構造物を模式的に表した画像を段階的に拡大した複数の解剖画像とで構成される階層画像であって、前記外観画像を最上位の階層とし、前記解剖画像のうち拡大率が高い解剖画像ほど下位の階層に位置づけられる階層画像を記憶した階層画像記憶手段と、
前記階層画像のうちの1つの画像を前記表示装置に表示する階層画像表示手段と、
前記表示装置に表示されている画像上の所望の位置を指示する指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
該指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記階層画像表示手段により表示されている画像を該画像の下位の階層の解剖画像に切り替えて表示するとともに、該切り替えた解剖画像のうち前記指示された位置に存在する構造物を含む画像を前記表示装置上に表示する階層画像切替表示制御手段と、
前記指示入力受付手段の受け付けに応じて、前記指示された位置に存在する前記構造物と前記診察部位が一致する場合は、前記階層画像表示手段により表示されている画像を前記検索された検査情報に切り替えて表示する検査情報切替表示制御手段として機能させる医用情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図11】
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【図12】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−247880(P2012−247880A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117543(P2011−117543)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】