説明

医用撮像のための方法及び装置

造影剤注入前及び造影剤注入後に収集されたデータを解析することによる、1つの部位または複数の部位の、解剖学的、形態的または構造的な特徴の検出、位置決定及び定量化のための方法。誘導カテーテル(402),造影剤送出システム(406)及び誘導ワイア(408)に沿って進み、遠端にプローブ(412)を有する、マイクロカテーテル(410)を備える、方法とともに使用するためのカテーテルも開示される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2004年1月16日に出願された、米国仮特許出願第60/536807号への暫定優先権を主張する。この出願の明細書の全内容は本明細書に参照として含まれる。
【0002】
−米国政府の権利に関する声明−
本発明の一部は米国科学財団と結ばれた協同契約の下で米国政府の支援によりなされ、米国政府は本明細書に開示される主題において一定の権利を有し得る。
【技術分野】
【0003】
本発明は、ヒトを含む動物の動脈、静脈、組織、器官及びガンに付随する、脈管の脈管またはその他の微小血管の検出及び位置決定のための方法及び装置に関する。
【0004】
さらに詳しくは、本発明はコントラスト強調データを収集する工程及び収集データの範囲内の動脈、静脈、組織、器官及び/またはガンの領域の解剖学的構造及び/または形態の画像を作成するために収集データを解析する工程を含む、方法及び装置に関する。さらに、本発明は灌流される脈管の脈管、その他の微小血管またはその他の構造の、時間の経過にしたがう収集データから得られる視覚化を強化するための数学的方法に関する。さらに、本発明は収集データの範囲内の動脈、静脈、組織、器官及び/またはガンの領域の血管内部の解剖学的及び/または形態的な態様を収集時間の関数として数値的に定量化するための数学的方法に関する。さらに、本発明は、マイクロバブル超音波造影剤のような造影剤を用いて冠状動脈またはその他の動脈における動脈閉塞の大きさを判定するため、造影剤流入前、流入中及び流入後の動脈の画像シーケンスを収集するため及び動脈閉塞の大きさを判定するために画像を解析するための方法に関する。
【背景技術】
【0005】
脆弱プラークは、急性冠状動脈症、突然の心臓死及び/または心臓発作を生じさせる、血管破裂及び血餅形成をおこさせ得るアテローム性動脈硬化症の一種である。プラーク炎症は将来の合併症(例えば、破裂、糜爛、出血、遠位塞栓及び急速進行)に対するプラーク脆弱性において中心的役割を演じる。プラークの解剖学的構造及び/または形態並びに活動(炎症)のいずれをも撮像できる技術を見いだすことが心臓学界における現在の主要課題である。
【0006】
サーモグラフィ、光コヒーレント断層撮影法、近赤外線スペクトロスコピー、及び磁気共鳴撮像法のような血管内撮像法の開発における大きな進歩にもかかわらず、血管内超音波(IVUS)法は介入心臓病専門医に広く利用される最も有用な技術であり続けている。IVUSはプラークの複数の属性に関する情報を他のどの技術よりも多く提供できる。しかし、IVUS撮像法の主要な欠点の1つは、プラーク炎症に関する情報を提供できる能力が欠けていることである。
【0007】
脈管の脈管は血管壁に養分を与える微小血管である。アテローム性プラーク、腫瘍新血管形成及び糖尿病網膜症のような多量の新血管形成がある状態において、ほとんどは脆弱であり、漏血または破裂をおこし易い。新血管形成は外傷に対する病態生理学的反応であることを示す証拠が豊富にある。いかなる組織における新血管形成の度合いも、その組織の細胞の密度及び増殖だけでなく代謝活性にも密接に関係することが長い間知られている。
【0008】
アテローム性動脈硬化症の分野では、脈管の脈管の増殖がプラーク炎症及び不安定性に関連付けられる先行または付随要素であることを最近の証拠が示唆している。新しい概念はプラーク不安定性における脈管の脈管の漏血及び脈管の脈管を媒介するプラーク内出血の重要性を強調している。この仮説によれば、プラーク内部の脂質コアは脈管の脈管から漏血した赤血球の富コレステロール細胞膜の蓄積によって生じる。したがって、脂肪の蓄積は(管腔からの拡散による)内部に起因する代りに脈管の脈管を介する管壁外部に起因するようである。
【0009】
この現象は悪循環に陥り、プラーク合併症、例えば、破裂、糜爛、出血及び狭窄をおこさせることが多い。アテローム性プラーク形成における赤血球(RBC)コレステロールの役割は数十年前に初めて認知されたが、新しい研究はプラークの炎症及び不安定性における脈管の脈管の重要性を強調している。
【0010】
内層及び間層の先のプラーク炎症を研究するために別の新しい概念も導入された。これらの研究は、以前は認識されていなかった、特に脈管の脈管の周りの、外膜周囲脂肪領域における炎症を示す。これらの経過を撮像するためにCT及びMRI法が用いられてきたが、これまでのところ真に成功したものはない。
【0011】
マイクロバブル
最近、ガン(腫瘍灌流)及び心臓血管(心筋灌流)の分野においてマイクロバブルコントラスト強調超音波を用いて微小毛細血管が撮像された。超音波造影剤の臨床適用には膨大な量の研究がなされた。いくつかの形態のガス充填マイクロバブルが開発された。微小毛細血管における血液灌流撮像のためのマイクロバブルの無標的使用に加えて、様々な組織における疾患のマーカーに対する特定の配位子をもつ標的付マイクロバブルの使用により、疾患の分子及び細胞の超音波撮像が可能になる。これらのマイクロバブル法には非侵襲性及び侵襲性のマイクロバブル標的型超音波撮像の両者において用途がある。
【0012】
従来の血管内超音波(IVUS)収集システムでは、ヒトを含む動物の体内の注目する血管の内部断面のビデオ録画からなる脈管の脈管の画像は、一般に15〜30フレーム/秒のレートでとられる。従来のデジタル化法は、医学工業標準デジタル画像化及び通信(DICOM)ファイルフォーマットを利用して、得られたIVUSビデオを8ビット(255グレイレベル)のシーケンスに変換していた。用いられた超音波造影剤は、オクタフルオロプロパンガスが充填された微小アルブミン球からなる造影剤、Optison(登録商標)であった。心運動の補償は従来のIVUS研究に用いられた手法を用いて行われた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
すなわち、データコントラスト強調事象がおこる前及び後のいずれにおいてもデータが収集される検出システムを用いて、脆弱なアテローム性プラークを有する冠状動脈の解剖学的、形態的及び/または機能的な特徴のような、組織部位の解剖学的、形態的及び/または機能的な特徴を判定するための技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は医用撮像のための方法を提供し、本方法はコントラスト強調データを収集する工程及び解析される体部分の解剖学的構造及び/または形態の画像を抽出するために収集したデータを処理する工程を含み、本方法は本方法の検出範囲内において構造に関する解剖学的及び/または形態的なデータだけでなくプラークの成長及び/または炎症の度合い並びに血管に付随する脈管の脈管を含む血管に関する解剖学及び/または形態的なデータの生成に対しても十分に適し、体はヒトを含む動物とすることができる。
【0015】
本発明はヒトを含む動物の体内で血液を供給する脈管の脈管及び/または血管及び/または組織におけるプラークの成長及び/または炎症の度合いを検出するための方法を提供し、本方法はコントラスト強調データの収集工程及びデータから微小血管、血管、組織及び/または器官の微小形態的、微小解剖学的及び機能的な属性を抽出するための処理工程を含む。
【0016】
本発明は人体を含む動物体の構成要素に付随する脈管の脈管またはその他の微小血管の検出及び位置決定のための方法を提供し、本方法は構成要素内またはそれに隣接してセンサを配置する工程及び構成要素に関係付けられるデータの第1のシーケンスを収集する工程を含む。第1のデータシーケンスの収集後、構成要素に血液を供給しながらまたは構成要素から血液を運び出しながら、所望の量の造影剤を血管に導入し、第2のデータシーケンスを収集する。造影剤が血管内に導入されてしまうと、第3のデータシーケンスを収集する。第1,第2及び第3のデータシーケンスは次いで構成要素の特性を決定するために解析される。本用途に用いるに適するセンサには、超音波センサ、磁気センサ、フォトニックセンサまたは、造影剤が構成要素に送り込まれると造影剤がセンサ応答を強めることができるその他のセンサがある。本発明の方法によって解析することができる構成要素には、血管、脈管の脈管、造影剤が導入される血管の検出可能な近傍にある組織及び/または器官の領域、造影剤が導入される血管によって血液が供給される組織及び/または器官の領域、または造影剤が導入される血管によって血液が供給される、ガン、腫瘍、嚢胞、あるいは炎症の部位がある。
【0017】
本発明はヒトの血管(静脈または動脈)に付随する脈管の脈管またはその他の微小血管の検出及び位置決定のための方法を提供し、本方法は注目する血管内にセンサを配置する工程及び血管に関係付けられる第1のデータシーケンスを収集する工程を含む。第1のデータシーケンスの収集後、所望の量の造影剤を血管内に導入し、第2のデータシーケンスを収集する。造影剤が血管内に導入されてしまうと、第3のデータシーケンスを収集する。第1,第2及び第3のデータシーケンスは次いで、血管内のプラーク形成及び/または血管の炎症の程度のような、脈管の脈管及び/または血管の特性を決定するために解析される。収集したデータが周囲構造の情報を含んでいれば、周囲構造の特性も決定することができる。
【0018】
本発明はヒトの血管における脈管の脈管または微小血管の検出及び位置決定のための方法を提供し、本方法は注目する血管内に超音波センサを配置する工程及び血管の一領域の第1の超音波画像シーケンスを収集する工程を含む。第1の画像シーケンスの収集後、所望の量のマイクロバブル超音波造影剤を血管に導入し、同じ領域の第2の超音波画像シーケンスを収集する。マイクロバブルが血管内に導入されてしまうと、血管の同じ領域の第3の超音波画像シーケンスを収集する。第1,第2及び第3の画像シーケンスは次いで、プラーク形成及び/または炎症の程度のような、血管の前記領域の特性を決定するために解析される。収集した画像が周囲構造の情報を含んでいれば、周囲構造の特性も決定することができる。
【0019】
本発明は、強調された超音波応答のような強調された一時的応答を有する位置を抽出するために超音波画像のようなデータのシーケンスを解析する工程を含む、灌流される脈管の脈管及び/またはプラークの位置及びコントラスト強調領域の検出及び可視化を行うための数学的方法を提供する。
【0020】
本発明は、血管のような身体部位の超音波画像のシーケンスにおいて強調領域を識別する工程及び超音波画像のシーケンスにおいて強調の度合いを定量化する工程を含む、撮像される身体部位の強調領域を数値的に定量化するための数学的方法も提供する。
【0021】
本発明は誘導カテーテル及び、造影剤送出サブシステム及び造影剤送出サブシステムのための電源を有する、マイクロカテーテルを備える医用撮像のためのシステムを提供する。誘導カテーテル及びマイクロカテーテルは、解析される身体構造に血液を供給するかまたはそこから血液を運び出す血管に挿入されるように構成される。造影剤送出サブシステムは、解析される身体構造に造影剤が流れ込むように、血管に造影剤を導入または注入するように適合される。次いで身体構造に隣接してプローブが配置され、解析される身体構造の第1のデータシーケンスが収集されて格納される。第1のデータシーケンスの収集後、造影剤送出サブシステムが起動され、所望の量の造影剤が血管に導入される。必要に応じて、また好ましくは、第2のデータシーケンスが造影剤送出中に収集される。造影剤送出後、第3のデータシーケンスが収集される。次いでこれらの3つのデータシーケンスが、解析される身体構造の、形態的、解剖学的及び機能的な特性を決定するために解析される。本システムは様々な構成で用いることができる。好ましい構成の1つにおいて、プローブはマイクロカテーテルに付帯し、収集されるデータは、動脈及びその周囲の組織または静脈及びその周囲の組織である、プローブを囲む構造に関係付けられる。すなわち、全システムはカテーテル装置に付帯する。別の好ましい構成において、プローブは造影剤を注入するために用いられるカテーテル装置に付帯せず、造影剤が導入される血管によって血液が供給される身体構造内にまたはそれに隣接して配置される。この後者の構成は2つの態様で実施することができる。第1の構成では、プローブは造影剤注入部位の近傍の身体構造内にあることができる。第2の構成では、プローブは造影剤注入部位の近傍の身体構造の外部にあることができる。例えば、カテーテル集成体を冠状静脈洞のような静脈に挿入することができ、一方、プローブはその静脈によって血液が供給される脈管の脈管を有する動脈内に配置される−内部配置。外部配置の例では、注目する組織部位に血液を供給する動脈に造影剤カテーテル集成体が挿入され、プローブは、間隙内層、口腔内部の部位または食道上の部位、尿路の部位、生殖路の部位、皮膚部位またはその他の外部器官部位あるいはガン、腫瘍または嚢胞の部位のような組織部位の外部表面に配置される。
【0022】
本発明は、誘導カテーテル、遠端またはその近傍に超音波プローブを有するマイクロカテーテル、マイクロバブル送出ユニット、超音波プローブのための電源及び超音波プローブを用いてとられた超音波画像のシーケンスから血管の形態的、解剖学的及び機能的なデータを抽出するためのアナライザを備え、マイクロバブル送出ユニットが近端及び遠端を有するコンジットを有し、近端が制御可能なポンプを有するマイクロバブル供給源に接続され、遠端が誘導カテーテルプローブの遠端あるいはマイクロカテーテルの遠端またはその近傍で終端する、血管の超音波撮像のためのシステムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は以下の詳細な説明を、同様の要素には同じ参照数字が付されている、添付説明図面とともに参照することによってさらによく理解することができる。
【0024】
発明者等は、データ画像が造影剤の生体内投与によって一時的に強調される、
血管内超音波(IVUS)撮像法、血管内磁気撮像法、血管内フォトニック撮像法またはその他の同様な血管内撮像法のような、すなわち、目標を撮像するために配置された超音波プローブ、磁気プローブ、テラヘルツプローブ、マイクロ波プローブ及び/またはフォトニックプローブを含むことができる、データ収集法により造影剤導入前及び造影剤導入後に収集されたデータを解析することによって、血管及び/または、脈管の脈管またはその他の微小血管によって血液が供給される、組織の解剖学的構造または形態を撮像するための改善された方法及び装置を開発できることを見いだした。画像データは、マイクロカテーテルが入れられている血管への、造影剤の注入前及び注入後、または造影剤の注入前、注入中及び注入後後に収集される。好ましい実施形態の1つにおいて、マイクロカテーテルは撮像される血管に静止保持される適切なプローブを有し、方法は、制御された条件下で血管内でプローブを移動させる工程及び、血管の一部に沿ってデータを収集できるように、様々な間隔及び様々な量で造影剤を注入する工程も含むことができる。発明者等は、注入後の画像または画像フレームからのデータが、時間の経過にしたがって解析されると、脈管の脈管及びプラークにおいて高められたエコー源性を示し、あるIVUSフレーム内にコントラスト強調領域が得られることも見いだした。時間が進むにつれて、コントラスト強調領域は薄れていく。一般に、全データ収集時間(造影剤注入前、注入中及び注入後)は約30秒と約30分の間である。好ましい全データ収集時間の1つは約1分から約20分の範囲にある。別の好ましい全データ収集時間は約1分から約15分の範囲にある。別の好ましい全データ収集時間は約1分から約10分の範囲にある。別の好ましい全データ収集時間は約1分から約5分の範囲にある。
【0025】
本発明は、概括的には、ヒトを含む動物の血管内に誘導カテーテルを配置する工程を含む、血管及び/または組織及び/または脈管の脈管のデータを収集及び解析するための方法に関する。誘導カテーテルの配置が終わると、誘導カテーテル内に収められている誘導ワイアが血管内で所望の距離まで伸ばされる。一実施形態において、データ収集プローブは、血管内の解析される部位近くに着くまで、誘導ワイアに沿って進められる。別の実施形態において、プローブは、血管によって血液が供給される、解析される部位の近くにおかれ、造影剤送出システムが、血管内の所望の位置に着くまで、誘導ワイアに沿って進められる。プローブ及び/または造影剤送出システムの配置後、その部位の注入前データシーケンスが、断続ベース、周期ベースまたは連続ベースで収集される。次いである量の適切な造影剤が、第1の実施形態では血管内のプローブの位置の下流、実質的にプローブの位置及び/またはプローブの上流で、第2の実施形態ではマイクロカテーテルの位置で、血管に導入または注入される。造影剤が血管に注入されている間に、その部位の注入中データシーケンスが、断続ベース、周期ベースまたは連続ベースで収集される。造影剤注入後、注入後データシーケンスが、断続ベース、周期ベースまたは連続ベースで収集される。データシーケンスは連続ベースで収集されることが好ましい。特に、単一データシーケンスが収集され、次いで注入前データシーケンス、注入中データシーケンス及び注入後データシーケンスに分割される。しかし、3つのシーケンスの間の時間連続性は必須ではない。一般に、本方法は血管への造影剤注入コンジットからいかなる残留造影剤も流し出すための食塩水注入工程も含む。収集後、データは、脈管の脈管、プラーク及び/または血管の特性を決定するために、数学的に解析され、比較され、差分がとられる。一般に、全画像収集時間は約1.5分と約15分の間であり、それぞれのシーケンスは約0.5分と約5分の間、好ましくは約1分と約3分の間の時間に相当する。血管に関するデータを得るだけでなく、本方法では、微小血管によって血液が供給される、所望の組織、ガンまたは器官部位に関する情報を得ることもできる。
【0026】
本発明は、概括的に、血管内データの収集及び解析のためのシステムにも関し、本システムはヒトを含む動物の血管内に配置されるように適合された誘導カテーテルを備える。誘導カテーテルは、1本ないしそれより多くの誘導ワイア及び1つまたはそれより多くのプローブ、造影剤送出システム、誘導カテーテル内に収められるかまたは誘導カテーテルを通して送ることができるバルーンまたはその他のデバイスを有し、プローブ、造影剤送出システム、バルーンまたはその他のデバイスは誘導ワイアに沿って進むように構成され、様々な構成のマイクロカテーテル構成を形成する。一実施形態において、誘導ワイアは誘導カテーテルの遠端から血管に所望の距離まで延び込むように構成され、マイクロカテーテルのコンポーネントは、解析される血管の領域、部分または区画の近くに配置されるまで、誘導ワイアに沿って進むように構成される。別の実施形態において、プローブは造影剤送出カテーテルから独立し、第2のカテーテルに付帯するプローブであるか、皮膚部位、腸管部位、口腔部位、尿路部位、生殖路部位、いずれか所望の目標の外部または内部の部位であるが、造影剤が注入される血管によって直接または間接に血液が供給される部位のような、器官または組織部位の外部の部位上に配置されるプローブとすることができる。誘導カテーテル及び/またはマイクロカテーテルはコンジットに付帯する流出口を有し、コンジットは流出口からポンプを有する造影剤送出集成体まで延び、造影剤送出集成体は所望の量の造影剤を格納容器からコンジットを通して流出口から外に出して血管に注入するように適合される。プローブは、断続ベース、周期ベースまたは連続ベースで領域、部分または部位に関するデータを収集するように適合される。収集されたデータは、プローブから延びるデータ収集コンジットを通じてヒトを含む動物の体の外側におかれたデータ収集及びデータ解析器ユニットに送られ、格納される。システムは、(1)注入前データシーケンスを生成するための造影剤注入前の数分間に収集されるデータシーケンス、(2)管腔が造影剤で飽和していると管腔の超音波不透過性により造影剤の注入がいかなる信号も一時的に消し去り得るから、一般に残留造影剤を流し出すために標準食塩水がコンジットに注入された後のほぼ1分間に収集される、注入中データシーケンスを生成するための造影剤注入中に収集されるデータシーケンス、及び(3)注入後データシーケンスを生成するための食塩水注入後数分間に収集されるデータシーケンスの、3つのデータシーケンスを収集するように適合されることが好ましい。次いで、これらの3つのデータシーケンスが解析され、血管及び/または脈管の脈管及び/またはプラーク及び/または組織の特性が決定及び/または定量化される。
【0027】
本発明の一態様は、マイクロバブル超音波造影剤の注入前及び注入後、好ましくはそのような造影剤の注入前、注入中及び注入後の超音波信号、画像またはフレームを比較することによる、マクロファージ密度の代用としてはたらく脈管の脈管の密度を定量化するため、プラーク密度を定量化するため及び/またはプラーク炎症を定量化するための、マイクロバブルベースの血管及び脈管の脈管の撮像法である。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。さらに、検出様式の組合せも同様に用いることができる。すなわち、超音波造影剤及び磁性造影剤を含む混合造影剤とともに超音波プローブ及び磁気プローブを同時に用いることができる。
【0028】
本発明の別の態様は、縁端検出の改善及び、血液と管腔の間、また動脈、特に冠状動脈の相異なる層の間の界面及び血管または微小血管の間の界面の明瞭化によって行われるコントラスト強調ルミノロジー法である。
【0029】
本発明の別の態様は、現行の仮想組織学視覚化を強化するために、信号強度、空間ドメイン及び周波数ドメインの解析を用いる、マイクロバブルコントラスト強調プラーク検出及び特徴決定である。また、プラーク内出血及びプラークキャップ内の断裂の存在または漏血性新血管形成も、プラーク内のマイクロバブルを撮像することによって識別できる。脈管の脈管内を循環するマイクロバブルとは異なり、これらのマイクロバブルはプラーク内に累積される。断裂したプラークの場合、プラーク内部でおこっている血流及び擾乱を撮像することができる。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0030】
本発明の別の態様はマイクロバブル希釈フローメトリー法である。この手法はIVUSカテーテル近傍の血液の信号強度の一時的変化を生じさせるためにマイクロバブルを注入する工程及び血流を測定するために信号強度を時間に対してプロットする工程を含む。この血流はカテーテルの存在によって影響を受けるが、適切な較正、計算及びシミュレーションにより、カテーテル位置における実血流を、カテーテルが存在しないかのように、決定することができる。同様に、血流の変化を測定することができる。このデータは分数血流余量または生理学的特性に関係するその他の血流を測定するために用いることができる。信号が測定されるサンプリング点は、色分けすることができる、その領域の断面血流マップを作成するために拡張することができる。そのようなマイクロバブルベース血流測定及び撮像法は冠状動脈におけるずれ応力及び血流パターンを示すこともできる。そのようなパターンは自然ではなく、カテーテルによって乱されているが、そのようなデータはある情況では、例えばステントの配置後には、有用なことがあり、ステントの血液との相互作用を決定するために画像を収集することができる。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0031】
本発明の別の態様は、ステントの不完全な配置を低減または防止するためのステント配置及び展開方法のマイクロバブル強調視覚化である。本マイクロバブルベースIVUS撮像法は、特に複雑な症例におけるステントの配置またはステントの適切な展開の検査において介入心臓病専門医を補助するために用いることができる。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0032】
本発明の別の態様はマイクロバブル強調冠状動脈歪み及びずれ応力撮像法である。マイクロバブルを用いる本IVUS撮像法は応力/歪み撮像においてクリティカルである縁端検出の補助に用いることができる。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0033】
本発明の別の態様はマイクロバブルの制御された放出のためのマイクロバブル計量分配カテーテルであり、カテーテルのマイクロバブル計量分配部は、マイクロバブルの制御された放出を実現できるように、マイクロカテーテルまたは誘導カテーテルに、あるいはこれらのいずれにも付帯する。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0034】
本発明の別の態様は内皮依存及び無依存の冠状動脈血管反応性ソフトウエア法である。本発明のマイクロバブルベース血流測定及び強化ルミノロジーにより、内皮依存及び無依存の血管反応性をIVUSカテーテルで測定することができる。IVUSベース手法はすでに他者によって開示されているが、2本のカテーテルではなく、ただ1本の、ドップラーまたは熱希釈血流カテーテルだけを用いる、本発明によって達成される強化は新規である。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0035】
本発明の別の態様は心外膜の冠状動脈レベル及び微小血管レベルの両者における内皮機能の撮像である。現在、内皮機能の測定を可能にするであろうソフトウエアまたは臨床で利用できるツールはない。本発明はカテーテルラボで血管反応性スクリーニングを実施するための使いやすいソフトウエアツールを含む。そのようなソフトウエアは、IVUSスクリーニング手順を強化するための包括的診断パッケージをつくるためにIVUS画像及びマイクロバブル強調画像に内皮機能測定値を重畳するであろう。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0036】
本発明の別の態様は、内皮機能障害が動脈壁の高透過性に関係付けられる、プラークに保持されたマイクロバブルを測定するための高周波数で実時間の低メカニカルインデックス画像の使用である。
【0037】
冠状動脈血管反応性及び心外膜内皮機能に対する薬理学的刺激の使用に加えて、正常な冠状動脈には血管拡張をおこさせるが心臓血管危険因子をもつ患者の動脈は収縮させる、単純な冷圧試験を用いることができる。これは患者の手を冷水に浸すことで行われ、最終IVUSスクリーニングの複雑性を低め、再現性を高める。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0038】
本発明の別の態様は、脆弱プラークの検出のためのマイクロバブル撮像法の特異性を強めるための、血栓またはその他の標的に対する定標的マイクロバブルの送出及び撮像である。本発明の別の態様は、プラーク断裂の予測に有用であり得る、アポトーシス画像を提供するためのアネキシンVに対する定標的マイクロバブルの送出及び撮像である。
【0039】
本発明の別の態様は造影剤送出及び薬物送出の両者のための心膜内マイクロバブル注入である。心膜内液は管腔内よりかなり長いプラーク接触時間を有し、したがって動脈アクセスを介するかまたは動脈付属体を介するマイクロバブルの心膜内送出をそのようなプラークにアクセスするために用いることができる。
【0040】
本発明の別の態様はカテーテルラボにおいて脆弱な患者のスクリーニングのための先進IVUSベースプロトコルをつくることである。IVUS法の使用は現在介入処置の10%未満である。本発明のIVUSプロトコルは累積リスク目録作成のために関連IVUS技術の様々な特徴を利用する。本プロトコルは冠状動血管系の総合脆弱性を評価及び/または予測するために用いることができる。本プロトコルにおいては、薬理学的介入に基づく内皮機能及び血管反応性が主要な要素である。本プロトコルは、本発明のIVUS撮像法を用いる、右冠状動脈、左冠状動脈及び回旋冠状動脈の3つの冠状動脈の全ての撮像を含む。内皮機能は内皮機能の障害がある領域及びない領域のいずれにおいても測定される。超音波が好ましい検出様式であるが、磁気様式及びフォトニック様式も、磁気様式の場合には磁性造影剤であり、フォトニック様式の場合にはフォトニック造影剤である、造影剤とともに用いることができる。
【0041】
本発明のIVUSプロトコルは他のリスク評価プロトコルを補助することができる。基本的に、患者は初めに、フレーミンガムスコア(Framingham Score)、CRP、非侵襲性内皮機能測定、非侵襲性冠状動脈CT撮像またはその他の非侵襲性プロトコルのような、様々な非侵襲性リスク評価プロトコル及び血清マーカーリスク評価プロトコルによってスクリーニングされる。十分な理由があれば、患者は次いで本発明のIVUSプロトコルを用いてスクリーニングされる。したがって、本発明のプロトコルは全ての脆弱な患者、非侵襲性リスク要因が内皮機能不全、初期アテローム性動脈硬化、中期アテローム性動脈硬化または進行段階アテローム性動脈硬化を示す患者のための先進スクリーニング法である。本発明のIVUSプロトコルは将来の心臓発作のリスクがある被検者のスクリーニングに用いることもできる。
【0042】
本発明のIVUSプロトコルを用いれば、特にある程度の線維形成またはカルシウム沈着を有する領域において注入前画像と注入後画像の数学的な減算すなわち差分の生成によって線維性キャップ厚を測定するために管腔内のマイクロバブルを用いることができる。脈管の脈管は通常繊維性キャップに達することはなく、したがって、注入前画像と注入後画像の減算によって線維性キャップの厚さの決定が可能になるであろう。
【0043】
本発明のIVUSソフトウエア及びIVUSプロトコルを用いれば、ただ1つの動脈に付随するただ1つのプラークの代わりに、全冠状動脈、動血管系または動脈に対する総合リスクまたは脆弱性指数を決定することができる。非侵襲性手順から得られるデータ並びに本発明のIVUSから得られる血管及び脈管の脈管のデータ及び心臓血流データの組合せを用いれば、心臓病患者のより有効な総合リスク評価尺度を構成することができる。この新しいリスク評価尺度は冠状動脈の領域におけるカルシウム沈着に関するデータを含み、近位のカルシウム沈着は遠位のカルシウム沈着より高い総合リスク値を生じさせる。さらに、プラークまたはカルシウム沈着が冠状動脈分枝の異なる領域にあれば異なる総合リスク値が生じるであろう。例えば、左冠状動脈幹が短い患者はより高い総合リスクで評価されるであろう。総合リスク尺度は非侵襲性処置及び侵襲性処置からのデータ値に加重することによってつくられる。より多くのデータが収集され、より多くの結果が集積されるにつれて、加重値をより正確な値に調節して、より正確なリスク評価モデルをつくることができる。すなわち、本発明のモデルは、リスクをもつ患者の改善されたリスク評価値を構成するための、非侵襲性データ及び本発明のIVUS法で得られるデータの組合せを含む。
【0044】
本発明は、上述した手法のいずれか1つによるが、造影剤を振動させるか、解析される領域をマイクロバブルの場合にはマイクロバブルを振動及び/または破裂させるようにつくられたエネルギーにさらすという特徴を付加する、組織部位の撮像にも関する。この特徴は、造影剤を既知の周波数で周期的に動かすようにあるいは造影剤を消失させるように考えられた周波数で動作する音波プローブとすることができる。マイクロバブルについては、マイクロバブルを振動させるには十分であるがマイクロバブルを破裂させるには十分ではない強度の、一般に約0.5MHzから約10MHzの低MHz帯の、低周波音波に部位をさらすことによって振動を誘起することができる。他方で、マイクロバブルを破裂させるためには、一般に音波強度だけが変えられなければならない−強度が高くなれば破裂が生じる。あるいはマイクロバブルが破裂するであろう周波数まで周波数を高めることができる。組織部位に関するより多くの情報を確定できるように、信号強度を高め、時間の経過にともなう信号変化を強めるために、振動及び/または造影剤破壊装置の使用が考えられる。
【0045】
本発明の方法は、好ましくは本来体内にはない造影剤を用いるが、造影剤として体内キャリアを用いるように適合させることができる。好ましい方法の1つでは赤血球が造影剤として用いられる。この方法は解析される組織部位にプローブを配置することによってはたらく。バルーンを装備したカテーテルがその部位に付随する血管内に配置される。第1のデータシーケンスが収集される。次いでその部位への血流を変えるためにバルーンが膨らまされる。血流変化中に第2のデータシーケンスを収集することができる。次いで血流が再び変えられて元に戻され、第3のデータシーケンスが収集される。次いで、本明細書に述べられるように、データシーケンスが解析される。この方法を実施するための好ましいシーケンスの1つは、バルーンが膨らまされて血流を完全に停止させる前の時点から、血流停止期間を経て、バルーンがしぼんだ後の時点まで、連続的にデータを収集することである。あるいは、血流を停止させ、血流停止期間中に第1のデータシーケンスを収集することによって、この方法を実施することができる。次いでバルーンがしぼまされ、第2のデータシーケンスが収集される。この場合も、次いで本明細書に述べられるように強調についてデータシーケンスが解析される。
【0046】
造影剤として細胞を用いる本発明の方法の別の実施形態は、細胞によって吸収されるかまたは取り込まれることが知られているナノ粒子で細胞を処理し、解析される組織部位に血液を供給している血管に改変された細胞を注入することである。すなわち、磁性造影剤、近赤外線造影剤、テラヘルツ造影剤、マイクロ波造影剤またはその他の造影剤あるいはこれらの混合物で赤血球を処理し、組織部位に血液を供給するかまたは組織部位から血液を運び出す、血管に注入することができる。
【0047】
解剖学的、形態的及び/または機能的な特徴についての組織の解析に加えて、本発明は組織または細胞の移植を含む治療の監視に用いることもできる。例えば、損傷した器官または組織のある新しい処置は幹細胞の使用を含む。残念ながら、そのような処置は移植部位内の幹細胞の移入の効率がかなり低いために効果が顕著ではない。本方法は幹細胞移入の程度の確認及び/または移植後のモニタに用いることができる。すなわち、解析される移植部位に隣接してプローブを配置することができ、幹細胞移入の度合いを決定することができる。心臓幹細胞移植の場合、幹細胞が移植された心臓組織の血管新生の量を確認するために本発明の方法を用いることができる。さらに、検出度を高めるために、ナノ粒子造影剤で幹細胞を処理することができる。動物の体への新しい器官または組織の適合の度合いを検定するため及び拒絶反応の度合いを確認するために、この同じ方法を組織または器官の移植に用いることができる。
【0048】
事象の全シーケンスにわたり連続ベースでデータが収集されるこれらの方法の全てにおいて、データが後に方法の各工程が実施される時間に基づいて造影剤の注入前、注入中及び注入後のシーケンスに分割されることは当然である。
【0049】
新しいカテーテル構造
本発明のIVUS法は現行のカテーテルで実施することができるが、本発明のIVUS法は、血管、脈管の脈管、プラーク及び/またはその他の組織のような構造の造影剤で強化された特徴決定を改善するように調整された新しいカテーテル構造によってさらに効率的に実施することができる。改善されたカテーテル構造の一部類は、改善されたマイクロバブルまたはその他の造影剤の制御された送出のシステムを有する。これらの送出システムは造影剤の制御された導入を行うために用いることができるだけでなく、送出システムは制御された量の治療薬を送出するために用いることもできる。
【0050】
本発明のカテーテル集成体の好ましい実施形態の1つは、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められたマイクロカテーテルを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及びマイクロバブル出口を有する送出システムを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブを有し、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0051】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態は、誘導カテーテル、マイクロカテーテル及びマイクロカテーテル内に収められたマイクロバブルコンジットを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及びマイクロバブル送出システムを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブ及びマイクロバブル出口を有し、マイクロバブルコンジットがマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムをマイクロバブル出口に連結する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0052】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められたマイクロカテーテルを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及びマイクロバブル出口を有する送出システム及び、誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置され、血管内への血流を変えるように構成された膨張可能なバルーンを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブを有する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0053】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル、マイクロカテーテル及びマイクロカテーテル内に収められたマイクロバブルコンジットを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及び送出システム及び、誘導カテーテルの遠端にまたはその近傍に配置され、血管内への血流を変えるように構成された膨張可能なバルーンを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブ及びマイクロバブル出口を有し、マイクロバブルコンジットがマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムをマイクロバブル出口に連結する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0054】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められたマイクロカテーテルを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及びマイクロバブル出口を有する送出システムを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブ及びドップラープローブを有する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0055】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル、マイクロカテーテル及びマイクロカテーテル内に収められたマイクロバブルコンジットを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブ、ドップラープローブ及びマイクロバブル出口を有し、マイクロバブルコンジットがマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムをマイクロバブル出口に連結する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0056】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められたマイクロカテーテルを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及びマイクロバブル出口を有する送出システム及び、誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置され、血管内の血流を変えるように構成された膨張可能なバルーンを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブ及びドップラープローブを有する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0057】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル、マイクロカテーテル及びマイクロカテーテル内に収められたマイクロバブルコンジットを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及び送出システム及び、誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置され、血管内の血流を変えるように構成された膨張可能なバルーンを有する。マイクロカテーテルは超音波プローブ、ドップラープローブ及びマイクロバブル出口を有し、マイクロバブルコンジットがマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムをマイクロバブル出口に連結する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、マイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0058】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態は、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められた第1のマイクロカテーテル及び第2のマイクロカテーテルも有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムを有する。第1のマイクロカテーテルは超音波プローブを有する。第2のマイクロカテーテルは膨張可能なバルーンを有する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、プローブマイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置され、バルーンマイクロカテーテルが血管を通る血流を変えるためにプローブマイクロカテーテルの上流、プローブマイクロプローブの位置またはプローブマイクロプローブの下流に配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0059】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められた第1のマイクロカテーテル及び第2のマイクロカテーテル及びマイクロバブルコンジットを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムを有する。第1のマイクロカテーテルは超音波プローブ及びマイクロバブル出口を有し、マイクロバブルコンジットがマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムをマイクロバブル出口に連結する。第2のマイクロカテーテルは膨張可能なバルーンを有する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、プローブマイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置され、バルーンマイクロカテーテルが血管を通る血流を変えるためにプローブマイクロカテーテルの上流、プローブマイクロプローブの位置またはプローブマイクロプローブの下流に配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0060】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められた第1のマイクロカテーテル及び第2のマイクロカテーテルを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムを有する。第1のマイクロカテーテルは超音波プローブ及びドップラープローブを有する。第2のマイクロカテーテルは第2のマイクロカテーテルの遠にまたはその近傍に膨張可能なバルーンを有する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、プローブマイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置され、バルーンマイクロカテーテルが血管を通る血流を変えるためにプローブマイクロカテーテルの上流、プローブマイクロプローブの位置またはプローブマイクロプローブの下流に配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0061】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められた第1のマイクロカテーテル及び第2のマイクロカテーテル及びマイクロバブルコンジットを有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端またはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及び送出システムを有する。第1のマイクロカテーテルは超音波プローブ、ドップラープローブ及びマイクロバブル出口を有する。第2のマイクロカテーテルは膨張可能なバルーンを有する。この場合も、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを貫通する開口を有し、誘導ワイアに嵌合するように構成され、プローブマイクロカテーテルが血管の目標部位に隣接して配置され、バルーンマイクロカテーテルが血管を通る血流を変えるためにプローブマイクロカテーテルの上流、プローブマイクロプローブの位置またはプローブマイクロプローブの下流に配置されるまで、誘導ワイアに沿って進む。
【0062】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態は、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められた第1のマイクロカテーテル及び第2のマイクロカテーテル及び第3のマイクロプローブも有する。誘導カテーテルは誘導カテーテルの遠端にまたはその近傍に配置されたマイクロバブル貯蔵容器及びマイクロバブル出口を有する送出システムを有する。第1のマイクロカテーテルは第1のマイクロカテーテルの遠端またはその近傍に配置された超音波プローブを有する。第2のマイクロカテーテルも第2のマイクロカテーテルの遠端またはその近傍に配置されたドップラープローブを有する。第3のマイクロカテーテルは第3のマイクロカテーテルの遠端またはその近傍に膨張可能なバルーンを有する。他の実施形態におけるように、本カテーテル集成体もマイクロバブルコンジットを有することができ、マイクロバブル出口を第1及び/または第2のマイクロカテーテルの遠端またはその近傍に配置することができる。
【0063】
本発明のカテーテル集成体の別の好ましい実施形態も、誘導カテーテル及び誘導カテーテル内に収められたマイクロカテーテルを有する。マイクロカテーテルは、超音波プローブ、マイクロバブル貯蔵容器及びマイクロバブル出口を有する送出システム、及びマイクロカテーテルの遠端またはその近傍に配置された膨張可能なバルーンを有する。マイクロカテーテルはドップラープローブのような二次プローブを有することもできる。
【0064】
ドップラープローブは別のプローブで置き換えることができ、あるいはその他のプローブを上述した構成のいずれにも含め得ることも当然である。
【0065】
これらの構成のいくつかにおいて、誘導カテーテルはマイクロカテーテルのプローブからある距離に、マイクロバブルのオンデマンド送出を可能にする、マイクロバブルを送出するための管腔を別に有する。そのようなカテーテルは本発明の撮像ソフトウエアとともに、冠状動脈内血流を測定するためにマイクロバブル希釈フローメトリー法を利用することができる。さらに重要なことに、これらのカテーテルは、脈管の脈管がマイクロバブルで満たされる速度を改善するかまたは変えるために冠状動脈内部のマイクロバブル流入に対する時間及び圧力を大きくするために低圧で膨らませることができる、遠端に内蔵されたバルーンまたは双バルーンを有することができる。脈管の脈管は容易に押し縮められ、高められた管腔内圧力は脈管の脈管内へのマイクロバブルの不完全または不十分な送出を生じさせるから、マイクロバブルの送出の制御及び脈管の脈管内への流入速度の制御が可能なカテーテルは特に有利であり、技術の進歩であろう。
【0066】
本発明のカテーテルの構成は、単カテーテルにおける、診断データの収集、治療薬投与及び治療薬効果の解析も可能にする。例えば、本カテーテルは注目する領域へのマイクロバブルベース薬物の送出を起発することができる。本発明のカテーテルは、ドップラー、高調波、FLUSHパルス、高強度超音波等を含む、様々な超音波送出プロトコル及び撮像プロトコルを使用することができる。超音波プローブ及びこれらの二次プローブの内のいずれかを有するカテーテルは、コントラスト強調撮像法の提供だけでなく、マイクロバブルの制御された破壊及びいかなるマイクロバブルベース薬物の放出の提供にも役立つことができる。薬物溶出ステントとは異なり、本発明のカテーテルは、マイクロバブルベースの、抗炎症薬、抗新血管形成薬及び/または抗アテローム性動脈硬化症薬を冠状動脈の多数のプラーク及び/または部位に送出することができる。
【0067】
本発明は、様々な大きさ、超音波反射及び/吸収特性、及び半減期をもつマイクロバブルを含むいかなるタイプのマイクロバブルも用いることができる。脈管の脈管及びプラークへのマイクロバブルの流入は冠状動脈への流入及び冠状動脈の流過に比較して緩慢であるから、発明者等は、脈管の脈管及びプラークの視覚化を最善にするためには、より長い撮像時間フレームを可能にする特性をもつマイクロバブルが望ましいであろうと考えている。
【0068】
(冠状動脈に適用する場合)マイクロバブル送出出口に近接して超音波プローブ(スキャナ)を配置することにより、脈管の脈管及びプラークの新規な高調波及びドップラーシフト撮像法を開発するための機会が得られる。さらに、プラーク特性決定に対するマイクロバブルの使用により、データ収集及びデータ解析を改善するための高解像度/高周波数超音波の使用に対する新しい機会を得ることができる。
【0069】
カテーテルとともに使用するための、あるいは解析される部位の外部に配置される、本発明のプローブは、同じ構造内にまたは別の構造内に入れることができる、可変周波数送信器及び検出器素子を有することもできる。すなわち、プローブは第1の周波数ドメイン内で系を撮像すると同時に、第2のまたは複数の周波数ドメインに部位をあてることができる。造影剤の位置の周期振動を誘起するため、造影剤を破裂または分散させるためまたは造影剤を振動させかつ分解させるために、別の周波数ドメインを用いることができる。
【0070】
超音波解析については、解像度が単一のマイクロバブルレベルではなく、マイクロバブルレベルの集積によることも当然である。すなわち、マイクロバブルあるいはその他のいずれかのμmまたはnmサイズの造影剤が注入されたときに、技術上よく知られているように用いられるそれぞれの造影剤及び用いられるそれぞれのプローブに対して異なる、検出閾値より下に造影剤の濃度が下がるまで、解析される組織部位への造影剤の灌流すなわち流入をプローブが検出する。
【0071】
本発明のプローブは高調波データを周波数及び強度データとともに収集できる能力をもたせて構成することができる。
【0072】
本発明の方法に用いるための好ましい造影剤送出システムの1つはカテーテルに付帯し、貯蔵ユニット及びポンプユニットを備えるが、送出システムはポンプまたはマイクロポンプ集成体に連結された針とすることもでき、針は解析される部位に付随する動脈または静脈に差し込まれるか、あるいは集成体が解析される部位に付随する動脈または静脈に挿入される。針またはマイクロポンプの使用は解析される部位に血液を供給するかまたはそこから血液を運び出す血管の外部に配置されるプローブとともに使用するに特に適する。すなわち、プローブが結腸内の部位に、すなわち結腸の内層の部位に接して、配置されれば、注入前データシーケンス及び注入後データシーケンスを収集することができるように、その部位に血液を供給する動脈またはその部位から血液を運び出す静脈にマイクロバブルを注入するために針が用いられる。
【0073】
別の好ましい造影剤送出様式は、動脈内または静脈内投与によって循環系全体に造影剤をいきわたらせることである。この様式においては、解析される部位に造影剤が入り、そこから出る間に、プローブが造影剤を検出する。
【0074】
造影剤
マイクロバブルが現在好ましい超音波造影剤であるが、血管に導入することができ、超音波応答を強めるか増補することができるいかなる造影剤も本発明とともに使用するに適する。好ましいマイクロバブルはμmまたはnmスケールの直径を有する。別のタイプの造影剤が用いられる場合、そのような造影剤もμmまたはサブμm範囲の粒径を有するべきである。一般に、造影剤の大きさは赤血球の直径以下であるべきである。好ましい範囲は、約3μm〜約0.01μmまたは約10nm〜約3000nm,10nm〜約2000nm,10nm〜約1000nm,及び10nm〜約500nmである。もちろん、さらに大きいかさらに小さい寸法も用いることができ、寸法が小さいほど、脈管の脈管、プラークまたは小流量特性をもつその他の部位のような部位に多くを容易に流入させることができるから、寸法が小さいほど好ましい。
【0075】
その他の造影剤には、磁気プローブとともに用いるための磁気反応性マイクロバブル、近赤外線プローブとともに用いるための近赤外線反応性マイクロバブル、テラヘルツプローブとともに用いるためのテラヘルツ反応性マイクロバブル、マイクロ波プローブとともに用いるためのマイクロ波反応性マイクロバブル、フォトニックプローブで見ることができるマイクロバブル、または1つまたはそれより多くのプローブタイプで見ることができる成分を有するマイクロバブルがある。
【0076】
また別の造影剤には、磁気プローブとともに用いるための磁気反応性ナノ粒子、近赤外線プローブとともに用いるための近赤外線反応性ナノ粒子、テラヘルツプローブとともに用いるためのテラヘルツ反応性ナノ粒子、マイクロ波プローブとともに用いるためのマイクロ波反応性ナノ粒子、フォトニックプローブで見ることができるナノ粒子、または1つまたはそれより多くのプローブタイプで見ることができる成分を有するナノ粒子がある。
【0077】
また別の造影剤には、幹細胞、赤血球または白血球、移植細胞またはその他のタイプの細胞のような細胞に吸収されるように構成されたナノ粒子があり、ナノ粒子には、磁気プローブとともに用いるための磁気反応性ナノ粒子、近赤外線プローブとともに用いるための近赤外線反応性ナノ粒子、テラヘルツプローブとともに用いるためのテラヘルツ反応性ナノ粒子、マイクロ波プローブとともに用いるためのマイクロ波反応性ナノ粒子、フォトニックプローブで見ることができるナノ粒子、または1つまたはそれより多くのプローブタイプで見ることができる成分を有するナノ粒子がある。
【0078】
ヒトを含む動物の組織部位に血液を供給する脈管の脈管またはその他のいずれかの血管新生において、血管は毛管の太さまで細くなるさらに微細な血管網を形成することも当然である。そのような毛細血管をおそらく通過することができない造影剤もある。本発明は、先に論じたように造影剤が最終的に分解するであろうか、あるいは造影剤を分解させ得るとすれば、造影剤の大きさを変えることによって、血管網のマップの作成に用いることができる。すなわち、部位に付随する毛細血管の寸法及び毛細血管の密度を決定することができる。この手法は理想的には血管新生または幹細胞移植血管新生の密度及び特性の決定に適し得る。
【0079】
方法の効用
本発明の方法は血管及び血管に付随する脈管の脈管の少なくとも以下の属性、(1)脈管の脈管の存在または密度、(2)脈管の脈管の血行、(3)脈管の脈管の漏血及び(4)プラークの存在及び密度、を測定するために用いることができる。さらに、本発明の方法は、様々な刺激への脈管の脈管及び血管の反応をモニタするため及び様々な処置プロトコルへの脈管の脈管及びプラークの反応をモニタするために、血管への、特に血管に付随する脈管の脈管への血流特性を測定するために用いることができる。
【0080】
本発明の方法は、マイクロバブルの注入前及び注入後、あるいはマイクロバブルの注入前、注入中及び注入後のIVUS画像の強度及び/または周波数の差を比較することによって、脈管の脈管の存在及び/または密度を測定するために用いることができる。
【0081】
本発明の方法は、ドップラーIVUSを用いて、あるいは時間の経過にともなうIVUS画像の強度の変化を測定することによって、脈管の脈管の血行を測定するために用いることができる。測定値は脈管の脈管内の血流またはプラークへの灌流の指標である。さらに、データはプラークの剛性、すなわち、それぞれの心周期中のプラークの圧縮等のような要因による時間の関数としてのプラーク内のマイクロバブルの動きの、間接的尺度を与えることができる。
【0082】
本発明の方法は、注入前及び注入の長時間後のIVUS画像の強度を比較することによって脈管の脈管の漏血を測定するために用いることができ、注入後の時間は、脈管の脈管をまだ流過しているマイクロバブルが最少であるかまたは全くないように、十分長くするべきである。脈管の脈管への流入には一般に平均して冠状動脈への流入の約10〜30倍かかる。したがって、冠状動脈内の正常な流量が100〜120ml/秒であるとすれば、冠状動脈内に注入された5ccのマイクロバブルは約2〜3分を過ぎて残っていることはないと考えられよう。この時間は動脈内の位置によって変わり得るが、全体としてマイクロバブルがまだ安定である(半減期内にある)安全時間後に、画像をベースラインと比較して、強度の差をプラークに流入したかまたは詰まった血管または脈管の脈管に捕らえられたマイクロバブルによるとすることができる。
【0083】
本発明の方法及びカテーテルはステントの配置及び展開において、とくに1つまたはそれより多くの支持体を定めるステントにおいて、誤ったステント配置及びステント展開の低減または排除に役立てるために用いることができる。
【0084】
ドップラープローブまたはその他の超音波ベース動き感知プローブを備えるカテーテルを用いることにより、冠状動脈腔及びそれに続くアテローム性プラークにある脈管の脈管及び心膜領域も撮像することができる。好ましくは、そのような用途に用いられるマイクロバブルは、管腔内灌流撮像法にほとんどの場合用いられている普通のマイクロバブルより長い半減期を有するべきである。
【0085】
正常な動脈の脈管の脈管と炎症があるかまたは傷ついた動脈、例えばアテローム性プラークを有する動脈の脈管の脈管は、相異なる役割及び重要性を有するはずであり、そのような相違は本発明の方法によって確認及び定量化することができる。
【0086】
マイクロバブルしか有していないかまたは血液しか有していない滑らかな境界層の問題は、血流の脈動性、曲がりくねった解剖学的構造及びそれぞれの心周期中の、特に動脈の約半分を占めるカテーテルが動脈内に存在する場合の、動脈に入る血流の高速で螺旋状の運動により、大きな問題になるとは考えられない。しかし、流体力学的観点から、そのような血流はマイクロバブル注入後にかなりのブラックアウト時間を生じさせることができ、マイクロバブルのより均一な注入を保証するであろうマイクロバブル注入法により、いかなる境界層効果も低減または排除されるようである。ほとんどの冠状動脈の脈管の脈管は近位の分枝点から発し、外膜に入るから、好ましいマイクロバブル送出システムは特定の脈管の脈管に血液を供給するそれぞれの分枝への等量のマイクロバブルの送出が可能であるべきである。すなわち、誘導カテーテルとは独立にマイクロバブルを送出できる制御されたマイクロバブル送出システムを有する本発明のカテーテルは、プラークの近位区画に正確な量のマイクロバブルを送出することができる。あるいは、内部対照(管腔内のマイクロバブルの通過により誘起される総密度または音波散乱)を検出及び解析することができる。そのようなデータは血液とマイクロバブルの正確な混合比の代理尺度として用いることができ、本発明の画像解析及びプラーク灌流計算に係数または因子として入れることができる。すなわち、20%マイクロバブル+80%血液混合物は80%マイクロバブル+20%血液混合物とは異なるコントラスト強調を与えるであろう。異なる血液対マイクロバブル混合比でIVUS画像を測定することにより、脈管の脈管及びプラークへの血流プロファイルに関してより多くの情報を得ることができる。
【0087】
食塩水コントラスト強調効果
標準食塩水の高速注入により、IVUS撮像法に、特に管腔境界のような境界の検出に用いることができる、かなりの黒化コントラスト効果を生じさせることができる。すなわち、食塩水の大きなボーラス(例えば10cc)を高速で注入することによって、かなりのコントラスト強調効果を測定することができる。
【0088】
冠状動脈の脈管の脈管の撮像は、近赤外線造影剤をともなう近赤外線(NIR)分光法カテーテルのような、別の非超音波型の造影剤及びプローブによって達成することができる。また血管内磁気センサを磁性造影剤とともに用いることもできる。NIRベースの手法の簡単な例はOCT及びNIR分光法カテーテルである。造影剤は強いNIRサインを有する染料とすることができる。脂肪親和性造影剤が好ましい。
【0089】
慢性高脂血症はアテローム性動脈硬化症がなくとも内皮機能不全にともなうことが知られている。異常内皮の静電荷の変化がアルブミン被覆マイクロバブルの粘着をおこさせ得ることも示されている。内皮機能不全はマイクロバブルの多大な停滞に関係付けられる。これは脆弱なプラークのマイクロバブル超音波撮像に余分な値を与え得る。マイクロバブルはプラークの表面上または脈管の脈管の内側の内皮細胞に付着する傾向を有するように思われる。
【0090】
本発明の脈管の脈管の撮像法は、データ収集及び画像完全性をさらに強化するために、冠状動脈内磁気センサ及び冠状動脈造影視覚化システムと組み合せることができる。そのような組合せシステムにより、心臓病専門医がX線可視マーカーをもつX線不透明カテーテルを使用することが可能になり、制御された引戻し及び画像融合ソフトウエアの使用により磁気コントラスト強調領域を識別することが可能になる。また、時間の経過にともなう磁気信号の変化に基づいてプラークの灌流速度を測定することもできる。
【0091】
本発明の撮像法は、ガン成長において細胞が他の造影剤流入に比してマイクロバブルに感じやすい、ガン治療のようなある種の治療をモニタするために用いることもできる。すなわち、本発明の撮像法は、食道、前立腺、膀胱、胃、大腸及び小腸、口腔、膣、頸、ファローピウス管、卵巣、子宮、またはプローブを器官の外部に配置することができる器官のガンの処置に向けられる、化学療法、放射線療法またはその他の療法をモニタするために用いることができる。
【0092】
本発明のソフトウエアを用いれば、ガン治療、特に抗新血管形成治療への腫瘍反応をモニタすることができる。もちろん、これは、高調波撮像法を用いることもできる、低周波数による腫瘍の非侵襲モニタリングに用いることができる。
【0093】
本発明は超音波その他のコントラストを強調できる手法を用いる炎症の撮像に用いることができ、造影剤は血管を介して炎症のある部位に送られ、その部位に隣接して配置されたプローブが、造影剤の注入前及び注入後に、あるいは造影剤の注入前、注入中及び注入後に、データをとる。次いで、コントラスト強調領域を決定し、コントラスト強調領域を炎症過程の病理学と相関させるために、収集されたデータが解析される。
【0094】
発明の好ましい方法の詳細な説明
ここで図1A〜Fを参照すれば、全体として参照数字100で示されるカテーテル集成体は、誘導カテーテル102及び、遠端108に磁気プローブ106を有する、マイクロカテーテル104を有する。次に図Bを見ると、誘導カテーテル102が大腿動脈のような末梢動脈に導入され、大動脈110に入って曲がりくねりながら進み、冠状動脈112に入る。誘導カテーテル102が適切に配置されると、誘導ワイア114が延ばされて動脈112に入り、動脈112内に所望の距離だけ進められる。プローブ106を有するマイクロカテーテル104は誘導ワイアに沿って所望の場所、一般にはプラーク116を有する場所まで進められる。プローブ106が適切に配置されると、一連の画像がとられ、次いである量の造影剤が動脈112に注入される。次いで一連の画像がとられる。食塩水洗いが用いられる場合は、供給システム内のいかなる残留マイクロバブル造影剤も洗い流すために与えられた量の食塩水が注入される。最後に、マイクロバブル注入及び(行われれば)食塩水の注入の後に一連の写真が撮られる。1つの場所が解析された後、マイクロカテーテルの位置を変えることができ、動脈112内の第2の場所を解析することができる。図中のプロットはデータが動脈内でとられた場所及び正常な動脈と疾患のある動脈の間の差を示す。
【0095】
次に図2A〜Cを参照すれば、3つのタイプの脈管の脈管が示される。図2Aを見ると、動脈管腔の動脈壁に付随する内性脈管の脈管(VVI)が示されている。図2Bを見ると、外性脈管の脈管(VVE)が示されている。図2Cを見ると、近辺にある静脈から来る静脈性脈管の脈管(VVV)が示されている。
【0096】
次に図3A〜Iを参照すれば、長さに沿う断面図及び、様々なタイプの脆弱プラークを示す、疾患のある動脈の8つの断面図が示されている。図3Aを見ると、正常区画302,前破裂期プラーク区画304,破裂プラーク区画306,前糜爛期プラーク区画308,糜爛プラーク区画310,プラーク内出血区画312,石灰性小結節区画314及び慢性狭窄プラーク区画316を有する、冠状動脈300が示されている。図3Bを見ると、正常区画302には、管腔318,内膜320,間膜322及び外膜324があることが断面で示されている。図3Cを見ると、前破裂期プラーク区画304には、大脂質核326,マクロファージ330で浸潤された薄い線維キャップ328及びコラーゲン332があることが断面で示されている。図3Dを見ると、破裂プラーク区画306には、非閉塞性凝塊または亜閉塞性血栓334及び破裂キャップ336を有する初期器質化があることが断面で示されている。図3Eを見ると、前糜爛期プラーク区画308には、小板344を有する機能不全内皮342を明示する平滑筋細胞に富むプラーク340内のプロテオグリカン基質338があることが断面で示されている。図3Fを見ると、糜爛プラーク区画310には、亜閉塞性血栓または非閉塞性心壁血栓/フィブリン346があることが断面で示されている。図3Gを見ると、プラーク内出血区画312には、無傷のキャップ348及び漏血している脈管の脈管350があることが断面で示されている。図3Hを見ると、石灰性小結節区画314には、血管腔318に突き出ている石灰性小結節352があることが断面で示されている。図3Iを見ると、慢性狭窄プラーク区画316には、重いカルシウム沈着354及び古い血栓356及び離心性管腔358があることが断面で示されている。
【0097】
次に図4A〜Kを参照すれば、全体として参照数字400で示される、本発明のカテーテル装置のいくつかの好ましい実施形態の断面図が示されている。それぞれの装置400は、少なくとも、誘導カテーテル402及び、誘導カテーテル402の遠端404またはその近傍で誘導カテーテル402に収められた、造影剤送出システム406,誘導ワイア408及び第1のプローブ412を有するマイクロカテーテル410を有し、プローブ412はその中心416にあるオリフィス414を通る誘導ワイア408上に滑動可能なように取り付けられている。もちろん、誘導カテーテル402の遠端404またはその近傍に配置されるコンポーネントは誘導カテーテル配備後に誘導カテーテル402に挿入できることは当然である。図4Aを見ると、造影剤送出システム406は、造影剤貯蔵素子418,ポンプ素子420及びオリフィス422を有する。図4Bを見ると、図4Aの装置400が誘導カテーテル402の外表面上に配置されたバルーン424をさらに有している。図4Cを見ると、装置400は第2のプローブ428をさらに有しており、プローブ428はその中心432にあるオリフィス430を通る誘導ワイア408上に滑動可能なように取り付けられ、第2のプローブ428は装置400によって収集されるデータのタイプ及び内容を増やすように構成される。図4Dを見ると、図4Cの装置400が誘導カテーテル402の外表面426上に配置されたバルーン424をさらに有している。図4Eを見ると、造影剤送出システム406は、造影剤貯蔵素子418,ポンプ素子420,コンジット434及びプローブオリフィス436を有している。図4Fを見ると、図4Eの装置400が誘導カテーテル402の外表面426上に配置されたバルーン424をさらに有している。図4Gを見ると、図4Cの装置400の造影剤送出システム406が、造影剤貯蔵素子418,ポンプ素子420,コンジット434及びプローブオリフィス436を有している。図4Hを見ると、図4Gの装置400が誘導カテーテル402の外表面426上に配置されたバルーン424をさらに有している。図4Iを見ると、図4Cの装置400がオリフィス438を通る誘導ワイア408上に滑動可能なように取り付けられたバルーン424をさらに有している。図4Jを見ると、図4Iの装置400の造影剤送出システム406が、造影剤貯蔵素子418,ポンプ素子420,コンジット434及びプローブオリフィス436を有している。
【0098】
次に図5A〜Dを参照すれば、全体として参照数字500で示される、カテーテル装置の別のいくつかの好ましい実施形態の断面図が示されている。それぞれの装置500は、少なくとも、誘導カテーテル502,誘導カテーテル502の遠端504またはその近傍で誘導カテーテル502に収められた、造影剤送出システム506,第1の誘導ワイア508,第2の誘導ワイア510,第1のプローブ514を有する第1のマイクロカテーテル512及びバルーン522を有する第2のマイクロカテーテル520を有し、第1のプローブ514はその中心518にあるオリフィス516を通る第1の誘導ワイア508上に滑動可能なように取り付けられ、バルーン522はその中心526にあるオリフィス524を通る第2の誘導ワイア510上に滑動可能なように取り付けられている。もちろん、誘導カテーテル502の遠端504またはその近傍に配置されるコンポーネントは誘導カテーテル配備後に誘導カテーテル502に挿入できることは当然である。図5Aを見ると、造影剤送出システム506は、造影剤貯蔵素子528,ポンプ素子530及びオリフィス532を有する。図5Bを見ると、装置500は第2のプローブ534をさらに有し、第2のプローブ534もその中心538にあるオリフィス536を通る第1の誘導ワイア508上に滑動可能なように取り付けられ、第2のプローブ534は装置500によって収集されるデータのタイプ及び内容を増やすように構成される。図5Cを見ると、造影剤送出システム506は、造影剤貯蔵素子528,ポンプ素子530,コンジット540及びプローブオリフィス542を有している。図5Dを見ると、図5Cの装置500が第2のプローブ534をさらに有しており、第2のプローブ534もその中心538にあるオリフィス536を通る第1の誘導ワイア508上に滑動可能なように取り付けられ、第2のプローブ534は装置500によって収集されるデータのタイプ及び内容を増やすように構成される。
【0099】
次に図6を見ると、全体として参照数字600で示される、カテーテル装置の別の好ましい実施形態には、誘導カテーテル602及び誘導カテーテル602の遠端604またはその近傍で誘導カテーテル602に収められた3本の誘導ワイア606,608及び610があることが断面で示されている。装置600はオリフィス616を有する造影剤送出システム614を有する第1のマイクロカテーテル612も有し、第1のマイクロカテーテル612はシステム614の中心620にあるオリフィス618を通る第1の誘導ワイア606上に滑動可能なように取り付けられている。装置600はバルーン624を有する第2のマイクロカテーテル622も有し、バルーン624はその中心628にあるオリフィス626を通る第2の誘導ワイア608上に滑動可能なように取り付けられている。装置600はプローブ632を有する第3のマイクロカテーテル630も有し、プローブ632はその中心636にあるオリフィス634を通る第3の誘導ワイア610上に滑動可能なように取り付けられている。もちろん、もちろん、誘導カテーテル602の遠端604またはその近傍に配置されるコンポーネントは誘導カテーテル配備後に誘導カテーテル602に挿入できることは当然である。
【0100】
次に図7A〜Cを参照すれば、全体として参照数字700で示される、カテーテル装置の別のいくつかの好ましい実施形態の断面図が示されている。それぞれの装置700は、少なくとも、誘導カテーテル702及び誘導カテーテル702の遠端704またはその近傍で誘導カテーテル702に収められた誘導ワイア706を有する。図7Aを見ると、装置700は第1のプローブ710を有するマイクロカテーテル708も有し、第1のプローブ710はその中心714にあるオリフィス712を通る誘導ワイア706上に滑動可能なように取り付けられている。マイクロカテーテル708はオリフィス718を有する造影剤送出システム716も有し、造影剤送出システム716はその中心722にあるオリフィス720を通る誘導ワイア706上に滑動可能なように取り付けられている。もちろん、誘導カテーテル702の遠端704またはその近傍に配置されるコンポーネントは誘導カテーテル配備後に誘導カテーテル702に挿入できることは当然である。図7Bを見ると、図7Aの装置700がバルーン724をさらに有しており、バルーン724はその中心728にあるオリフィス726を通る誘導ワイア706上に滑動可能なように取り付けられている。図7Cを見ると、図7Bの装置700が第2のプローブ730をさらに有しており、第2のプローブ730はその中心734にあるオリフィス732を通る誘導ワイア706上に滑動可能なように取り付けられ、第2のプローブ730は装置700によって収集されるデータのタイプ及び内容を増やすように構成される。図7A〜Cのカテーテル装置において、マイクロカテーテルコンポーネントの順序が構成選択の問題であり、所望の結果を得るために所望のいかなる順序でもコンポーネントを配置できることは当然である。
【0101】
上述したカテーテル実施形態の全てにおいて、造影剤送出システムは、信号強調が一時的態様でおこる−時間の経過とともにピークに達し、薄れて行く−領域の決定及び定量化を行うために、注入前及び注入後に、または注入前、注入中及び注入後に収集されるデータを比較できるように、人体を含む動物の血管に造影剤を注入するように構成される。造影剤送出システムは全て、それを通して造影剤が血管に導入される、1つまたはそれより多くのオリフィスを有する。これらの実施形態は全てオンボード造影剤送出システムを示すが、送出システムが誘導カテーテルまたはマイクロカテーテルの外部にあって、誘導カテーテルの全長、あるいはオリフィスの位置に依存して誘導カテーテル及びマイクロカテーテルの全長を走るコンジットによってオリフィスに連結され得ることは当然である。さらに、本発明のカテーテルは、造影剤を2つの異なる場所に連続的にまたは同時に導入できるように、誘導カテーテルの遠端及びマイクロカテーテルに付随する位置のいずれにもオリフィスを有することができる。
【0102】
バルーンを有する上述したカテーテル実施形態において、バルーン及びバルーン配置は、造影剤の注入後の血管内の血流を変えて、脈管の脈管、プラークまたはその他の血管構造のような血管構造内への造影剤拡散に対するタイムフレームを変えることが目的とされる。血管内血流の変化は、完全な血流遮断から、その中にカテーテル装置が配備される血管で達成できる最大流量を表すであろう無配備状態を含むいずれかの中間値までとすることができる。造影剤の注入前、注入中及び注入後で血流を変えることにより、収集されるデータは、検査される血管及びその直近環境の様々な解剖学的特性、形態的特性及び/または病理学的特性を際立たせるために用いられるし、用いられ得る。ここで、直近環境という術語は得られたデータまたはデータ画像に見ることができる、カテーテルのプローブを囲む全ての構造を意味する。
【0103】
材料及び方法
IVUSシステム
発明者等は、(Volcano Therapeutics Inc.から入手できる)ソリッドステートフェーズドアレイ20MHzIVUSスキャナ(Invision(商標))を2つの事例に対して用い、(Boston Scientific Inc.から入手できる)回転単結晶40MHzIVUSスキャナ(Galaxy(商標))を別の事例に対して用いた。
【0104】
マイクロバブル
発明者等は、オクタフルオロプロパンガスで満たされたアルブミン微小球からなる新しい超音波造影剤である、Optisonを用いた。本明細書に報告される研究にはOptisonマイクロバブルを用いたが、他のいずれの超音波マイクロバブルも同様に用いることができる。
【0105】
IVUS撮像法の基礎
IVUS撮像法は年々成熟してきた。かなり多くの研究が、特に管腔及び間膜−外膜界面について、IVUS画像の分画問題に傾注されてきた。次に図8A及びBを参照すれば、代表的な血管内超音波画像及び対応する血管形態が示されている。IVUS画像は以下の構造、カルシウムを含むカルシウム沈着領域(図8Bの'カルシウム')、音波影領域(図8Bの'音波影')、プラーク領域(図8Bの'プラーク')、間膜領域(図8Bの'間膜')、外膜または周囲組織領域(図8Bの'外膜/周囲組織')、管腔領域(図8Bの'管腔')及びカテーテル(図8Bの'カテーテル')を示す。
【0106】
(例えば心拍サイクルまたは呼吸サイクルによる)周期運動によって収集が影響される撮像様式に対しては、動き補償のための2つの一般的方法、画像レジストレーション及び信号ゲーティングがある。画像レジストレーションは、2つのフレームの間の相対運動を明示的に補償するために2つのフレームの間で特徴を一致させようとする。詳しくは、特徴一致がなされた後、一方の画像が他方の画像に概ね対応するようにワーピングされる。一方の画像が他方の画像と1つまたはそれより多くのアフィン変換で異なっているだけであれば厳密レジストレーションを実行できるが、IVUSで撮像される構造が弾性をもつため、これは正しくない仮定である。近年、IVUS画像の弾性レジストレーションのための方法が開発された。動き補償の第2の方法、信号ゲーティングは、特定の心位相または呼吸位相に対応しないフレームを無視することによって、十分に相関があるフレームのフレームシーケンスからの抽出を可能にする。この手法の利点は、実時間で稼動することができ、レジストレーションとは異なり、得られたフレームセットにおける画像のデジタルワーピングまたは再サンプリングを必要としないことである。IVUS撮像法においては、位相相関フレームだけを集めるために、ECGゲーティングされたデータを用いてプルバック研究が行われてきた。ECGゲーティングが収集ハードウエアの一部として利用できない場合に対して、発明者等は時間の経過にともなう強度特徴を解析することによってIVUSフレームシーケンスから心位相を導くための手法を開発した。
【0107】
撮像プロトコル
脈管の脈管の撮像及び検出のための本発明の方法は、コントラスト強調前及びコントラスト強調後のIVUS画像解析、あるいはコントラスト強調前、コントラスト強調中及びコントラスト強調後のIVUS画像解析を利用する。IVUS信号は、固定された位置に保持されたカテーテルにより、マイクロバブル注入前のある時間にわたって連続的に収集され、必要に応じてマイクロバブル注入中のある時間にわたって、またマイクロバブル注入後のある時間にわたって連続的に収集される。発明者等はマイクロバブル注入後にエコー源性が高められた画像内に特殊な領域を見いだした。これらの領域は強調領域と称される。時間が進むにつれて強調領域は薄れてゆく。詳しくは、IVUS信号は、固定された位置に保持されたカテーテルにより、マイクロバブル造影剤注入前の20秒間及びマイクロバブル造影剤注入後2分までの間、連続的に収集された。注入後フレームからの信号の研究において、発明者等は脈管の脈管における高められたエコー源性またはIVUSシーケンスの特定の領域における強調を見いだせると考えていた。次に図9A〜Cを参照すれば、注入前、注入中及び注入後に収集されたIVUSフレームから選ばれたフレームが示されている。間膜−外膜界面に注目すれば、注入後のフレームの10時から12時の位置のあたりが最大である、明白な変化がおこっていることに気づくことができ、上述したように、時間が進むにつれて強調領域は薄れてゆく。
【0108】
発明者等は代表的な静止カテーテルIVUS構成においてデータを収集するために以下の方法を用いた。この方法は、(1)無強調データまたは注入前画像シーケンスを得るために、IVUSカテーテルが固定保持されている血管の数分間のIVUSフレームを収集する工程、(2)管腔がマイクロバブルで飽和していると管腔は超音波不透過性であるからマイクロバブルを一時的に洗い流す工程を含む、造影剤を注入する工程及び注入中データまたは注入中画像シーケンスを収集する工程、及び(3)おそらくは強調領域を有する注入後データまたは注入後画像シーケンスを得るためにマイクロバブル注入後の数分間IVUSフレームを収集する工程を含む。一般に、本方法はコンジット内のいかなるマイクロバブルも流し出すためのマイクロバブル注入後の食塩水注入も含む。しかし、マイクロバブル送出システムがマイクロカテーテルオンボードであれば、流し出しは必要ではない。例えば、プラーク指数を知りたい冠状動脈内の部位のベースラインIVUS画像シーケンス収集後、心エコー検査法による非侵襲性心筋層灌流撮像のために用いられる臨床的に利用可能なIVUS造影剤であるOptisonを5cc、ガイドカテーテルを通して注入し、注入前の10秒間及び注入後の1分間、IVUSシーケンスを定常的に記録した。1分後、5ccの標準食塩水を誘導カテーテルに通して注入して残留マイクロバブルを流し出した。食塩水洗浄前の10秒間及び洗浄開始後の20秒間、IVUSシーケンスを記録した。次いで、食塩水洗浄終了後の数分までの間、洗浄後IVUSシーケンスを収集した。
【0109】
脈管の脈管の密度の撮像及びプラーク灌流解析
本発明の方法は、脈管の脈管の検出、プラークの検出及び周囲組織の検出のような血管の微小形態の、2つの主工程を含む撮像アルゴリズムを用いる、撮像に関する。第1に、注入前期間、注入中期間及び注入後期間を包含するIVUSフレームのセットFが形成される。次いで、このセットが相対カテーテル/血管運動を補償するために心運動を取り除くために処理される。これはフレームシーケンスのサブセットF'⊂Fを解析することによって達成される。ここでF'のそれぞれのフレームは心位相におけるほぼ同じ点に関係付けられる。第2に、本明細書でさらに詳細に説明される差分画像化及び統計手法を用いて、これらの位相相関フレームについて強調領域検出が行われる。
【0110】
動き補償
静止カテーテルIVUSデータ収集においては、データ収集中の周期的な心運動及び呼吸運動がそれぞれの心サイクル及び/または呼吸サイクルの間相対位置を変えるため、一定の相対カテーテル/血管位置は実際上達成できない。すなわち、データ収集中、このカテーテルと血管の間の相対運動は、それぞれのフレームが、血管内の若干異なる解剖学的場所からのデータを示す、それぞれに先立つフレームからの偏差を有する画像シーケンスを生じさせる。これらの偏差は、収集されるフレームのシーケンスにおける特定のフレーム領域にともなうデータが診断される血管の同じ身体領域に対応できないから、特定の解剖学的構造の、注目する領域(ROI)の解析を困難にする。数学的な観点からは、この周期運動はいくつかの自由度、(a)カテーテル/血管回転−カテーテルの血管壁に向かう運動及び血管壁から離れる運動(X-Y方向並進運動)及び(b)血管長に沿うカテーテルの不時の運動(Z方向並進運動)をもたらす。Z方向並進運動は収集されるフレームのIVUSシーケンスの個々のフレームの外観に急激な変化を生じさせ得ることに注意すべきである。特に、検査下の血管のいくつかの特徴が、IVUSデータ収集に付随する平面の内外に移動するにつれて、断続的にしか見えないことがあり得る。IVUSシーケンス収集は関連するECGデータなしに行われた。したがって、本発明の方法はIVUSシーケンス自体からの心位相情報の導出を可能にする。詳しくは、IVUSシーケンスにおける強度変化がIVUSフレームの特定の固定ROIに関して追跡される。この強度変化は、雑音をフィルタリングすれば、心サイクルにおける(任意ではあるが)特定の点にともなう山及び谷を示す、1D(一次元)信号を与える。心位相抽出について実施される工程は、ROI選択、強度信号生成、フィルタリング及び信号復元を含む。
【0111】
ROI選択
注目する領域(ROI)を選択する工程は、与えられたフレームまたは画像の特定の領域を識別する工程及び識別された領域を、IVUSフレームシーケンスを解析するための固定ROIとする工程を含む。時間が経過するにつれてこのROIにおこる強度の変化が測定される。2つの理由のため、全フレームからのデータが全体として解析されるわけではない。第1に、管腔/カテーテル領域はほとんど有用ではない信号を生じ、外膜領域からの信号は非常に低い信号対雑音比(SNR)を有する。第2に、本発明の方法はいくつかの特徴が心運動によってROIを周期的に出入りする場合に一層有効であり、これは全フレームが用いられた場合にはおこり得ない。したがって、本発明での使用に好ましいROIは、動脈の管腔境界と外膜(プラーク+間膜)の間の領域である。この領域には、コヒーレント信号の多くがある。しかし、ROIがこの領域の完全な分画である必要はない。実際上、特定の時間範囲(例えば一または二心周期)にわたる画像データから平均IVUSフレームを構成することができる。すなわち、平均IVUSフレームは図10に示されるように全ROIを、平均して、含むマスクを表す。
【0112】
強度信号生成
強度信号を生成するためには、2つの手法、平均強度法及びフレーム間差分法が用いられる。選択されたROIにわたるフレームIにおける平均強度gは、
【数1】

【0113】
で与えられる。ここでFは与えられたIVUSフレームである。現在のフレームIとその前のフレームi−1の間の差分dは、
【数2】

【0114】
で与えられる。いずれの場合にも、nはフレームのROIに対応する画素の数である。本発明の方法において、これらの手法は互換で用いられ、これらの2つの強度信号生成法の間の唯一の明白な違いは得られるグラフの間の位相シフトである。また、多くの場合に、同じ相対カテーテル/血管位置がそれぞれの心周期の間に2回得られることから、それぞれの心周期にともなう2つの山または谷があり得る。したがって、「位相相関」フレームも共通のカテーテル/血管配位によって相関されるフレームを含む。
【0115】
フィルタリング及び信号復元
これらの方法によってつくられた信号g及びdには図11Aに示されるように多くのスプリアスによる山及び谷があるから、簡単にこれらの点を見いだして極大及び極小の位置を決定するためにはフィルタを適用する必要がある。本発明の方法での使用に好ましいフィルタは下式:
【数3】

【0116】
で与えられるバターワース帯域通過フィルタである、ここでΔω=0.6(ω),n=4であって、ωは支配的な心周波数における中心周波数である。Δω及びnはそれぞれフィルタの帯域幅及び次数である。静止カテーテルIVUS検査において、本方法は自動心位相抽出に関して頑強であり、本方法を用いて生成された信号は図11Bに示されるように周波数ドメインにおいて明白なピークをつくる。これにより、支配的周波数の自動位置決定が可能になる。この場合、他の低周波数ピークは無視される。詳しくは、平均強度またはフレーム間差分による顕著なDC成分に加えて、別の関連低周波成数分もあるであろう。これらの別の低周波数成分は、時間の経過とともに変化する平均グレイレベルをROIに生じさせる、収集中の造影剤注入(すなわち、注入中の洗い流し及び注入後の強調効果)によるものである。図11Cに示されるように周波数ドメイン信号がフィルタリングされると、周波数ドメイン信号は図11Dに示されるように逆高速フーリエ変換を用いて変換されて時間ドメイン信号に戻される。例えば、グラフのピークに関連付けられたフレームのセットは本方法の目的のために相関されていると見なされるかまたは定義される。付随利点として、このデータはシーケンス診断中の平均心拍数毎分の決定に用いることもできる。例えば、図11Dに示される信号は10レーム/秒でサンプリングしたシーケンスにおいて10.6フレームの平均波長を有し、〜64拍動/分の心拍数を与える。
【0117】
強調領域検出
強調領域検出の最終目標は、IVUSカテーテルの視野内に存在する、脈管の脈管の領域によるIVUS画像シーケンスにおける微妙な強度変化の位置決定及び定量化を行うことである。これらの位置決定された強度変化はマイクロバブル注入工程中の脈管の脈管へのマイクロバブル造影剤の灌流によるものである。
【0118】
心サイクル中に収集されたシーケンスの隣り合うフレーム間に一致点があればこれらのフレームは「位相相関フレーム」または単に「相関フレーム」と称される。これらの相関フレームは、好ましい動き補償法である、先に論じた動き補償法を用いてIVUSフレームシーケンスから抽出される。同じ作業を達成するために他の方法、例えばECGゲーティングを用いることもできる。
【0119】
信頼できる強調領域検出のため、強調領域検出はIVUS画像におけるスペックル雑音の存在に対して不変でなければならない。すなわち、本発明の強調領域検出は2つの工程、(a)スペックル雑音を減衰させるための雑音抑制及び(b)強調領域自体を検出するための差分画像化を含む。強調の定量化のため、差分画像から計算された統計が用いられる。
【0120】
雑音抑制
超音波撮像法を含むコヒーレント撮像法の固有の特徴はスペックル雑音の存在である。スペックルは、媒質のコヒーレント励起によって形成される信号におけるランダムで決定論的な干渉パターンであり、解像度以下の散乱源の存在により生じる。スペックルパターンの局所強度は、潜在的な散乱源の局所エコー源性を反映し、散乱源の密度及びコヒーレンスに依存する。すなわち、スペックルは無線周波数(RF)信号の振幅に増殖性の効果を有し、この効果はRF信号自体のいかなる付加的測定誤差よりもかなり顕著である。
【0121】
本発明の方法において、雑音抑制はフレームを時間的に平均することによって達成される。時間平均は、微妙なコヒーレント事象からのスペックル雑音の分離は本質的に困難であること及びほとんどの超音波様式においては個々のフレームの品質が劣っていることにより、超音波撮像法で普通に用いられている。実際の強調効果自体は脈管の脈管のスケールが小さいことによる一般的なスペックル雑音パターンと見かけはほとんど異ならないことから、超音波撮像法のために開発された様々な空間フィルタリング法ではまさに探し求めている特徴が除去されてしまうことがあり得る。
【0122】
差分画像化
差分画像化は時間的変化を検出するための方法としてリモートセンシング及び天文学の分野で広範囲に用いられている手法である。本発明においては検出のために求められる強調効果の位置が決定され、コヒーレントグレイスケール強度がある量のマイクロバブル超音波造影剤の注入後のIVUSシーケンスにおいて明らかに高くなる。強調は、先に論じたように、脈管の脈管内へのマイクロバブル造影剤の灌流による。見かけでは、ほとんどの場合、強調効果はスペックル雑音の強調とほとんど変わらない。強調とスペックル雑音の間に見える主要な差は、強調は時間的に一層コヒーレントであるが、注入後IVUSフレームシーケンスの永続的特徴では決してなく、いくつかの領域では強調がマイクロバブルの通過後数秒で消失し得る。
【0123】
差分画像化は一般に、「前」画像及び「後」画像を含む。強調検出のため、発明者等の前画像Iは、先に論じたような、雑音抑制のための時間平均化による位相相関注入前フレームのセットから得られるフレームである。すなわち、n枚の位相相関注入前フレームのセットF≡{F,・・・,F}があれば、平均Fは
【数4】

【0124】
で定義される。ここで、この画像(すなわち時間ウインドウ)を生成するために平均されるフレームの数nは、このベースライン画像に対してIVUSシーケンスの時間的コヒーレンスが高い特徴しか注目されていないから、利用できる量のデータに依存してかなり大きくすることができる。後画像Iは、(1)1枚の注入後フレームまたは(2)相関注入後フレームの平均である。(本明細書で論じられる)動画シーケンスを生成する場合には1枚の画像が有用であるが、Iを生成するための注入後画像のセットの時間平均はスペックル雑音を時間的にコヒーレントではない強調領域とともに抑制するであろう。時間平均化する期間が長いほど、抑制される雑音が多くなり、時間的コヒーレンスが高い強調領域だけが得られるであろう。
【0125】
画像及びI画像が利用できる状態になると、画素毎差分I(x,y)=I(x,y)−I(x,y)を用いてグレイレベル差分画像がつくられ、負値はゼロ閾値に設定される。この差分画像はいくつかの真の強調領域に加えて、(先に行われた雑音抑制の強さに依存して)スペックル雑音による、値の小さい偽の強調領域を示すであろう。得られる差分画像に見られる多くの雑音を抑制するため閾化を適用することができるが、これは、肝要な強調領域データの抑制は回避すると同時に低レベルスペックル雑音の効果は減衰させるように慎重に行われなければならない。この情況において、本方法はリモートセンシング変化検出用途のために以前から利用されている自動閾化法を用いる。グレイレベル閾値は、
【数5】

【0126】
で与えられる、確率のベイズ混合であるという仮定の下に差分画像に対して決定される。ここで、p(X)は差分画像の総確率密度関数、p(X/ν)及びp(X/ν)はそれぞれ、無強調(n)画素及び強調(c)画素の分布の確率密度であり、p(ν)及びp(ν)はこれらの部類の画素の先験的確率である。この総体的閾化に続いて、空間的関係を考慮に入れるため、すなわちスポット雑音を抑制し、同時に強調領域の縁端を精細化するために、マルコフモデル化法が適用される。確率及び強調レベルの測定の目的のため、ROI内の画素だけが考慮され、一般には内膜−間膜領域が好ましいROIであって、肝要な脈管の脈管のデータが見いだされると期待されるROIであることに注意されたい。しかし、このROIは内膜−間膜領域の完全な分画である必要はなく、そのようなROIは同時に心サイクル決定のために用いることができる。
【0127】
差分画像シーケンスは時間の経過にともなう脈管の脈管内のマイクバブル灌流の変化を示すために生成することができる。この場合、「前」画像Iは一定の注入前平均に保たれ、「後」画像Iは個々の位相相関注入後フレームまたは位相相関注入後フレームの動時間平均のシーケンスである。一般に、n枚の相関注入後フレームC≡{C,・・・,C}のシーケンスが利用可能であり、m-フレーム動平均(ここでmは奇数)が用いられれば、k-フレーム動画をつくることができ、ここでk=n−m+1であり、フレームF(i∈[1,k])に対する差分画像は、
【数6】

【0128】
と定義され、ここで操作は画素毎ベースで行われる。
【0129】
結果
データ
初期実験後、発明者等は冠状動脈に疾患がある7人の患者にマイクロバブルコントラスト強調IVUS撮像を実施した。紙面が限られているため、3つの事例から収集されたデータだけを提示する。
【0130】
3つの事例について、384×384,480×480及び578×578画素のそれぞれの解像度でIVUS画像を収集した。ペンティアム(登録商標)IVベースの2GHzPC上で解析を行った。造影剤注入前に概して30秒から3分かけてIVUSベースライン画像を記録し、その後造影剤を注入して、同様の時間をかけて強調コントラストシーケンスを記録した。
【0131】
事例1
上述したカテーテルを事例1の患者に挿入し、冠状動脈の撮像位置にプローブを配置して、10フレーム/秒でサンプリングした1073枚のフレームを含む1.8分シーケンスを収集した。このシーケンスは注入前、注入中及び注入後のフレームを含む。マイクロバブル造影剤注入後、マイクロバブルは初めにフレーム404で管腔に現れ、管腔超音波不透過性による洗い流しの完了はフレーム452〜459の間でおこり、フレーム530あたりで管腔領域内のマイクロバブルは最少に達した。フレーム1044でカテーテルを抜去し始めた。この調査研究において、発明者等はほぼ400枚の注入前フレーム及びほぼ500枚の注入後フレームを得た。このフレームセットからの代表的なフレームを図12A〜Cに示す。このフレームセットから手作業で1枚のフレームを選別して、上述の図8A及びBに説明した静止画像を得た。
【0132】
事例2
上述したカテーテルを事例2の患者に挿入し、冠状動脈の撮像位置にプローブを配置して、10フレーム/秒でサンプリングした9000枚のフレームを含む15分シーケンスを収集した。このシーケンスは注入前、注入中及び注入後のフレームを含む。マイクロバブル造影剤注入後、マイクロバブルは初めにフレーム1797で管腔に現れ、洗い流しの完了はフレーム2609でおこった。この調査研究については、発明者等はほぼ1700枚の注入前フレーム及びほぼ6000枚の注入後フレームを収集した。このフレームセットからの代表的なフレームを図12D〜Fに示す。
【0133】
事例3
上述したカテーテルを事例3の患者に挿入し、冠状動脈の撮像位置にプローブを配置して、2つの別々のシーケンスを含む1.05分シーケンスを収集した。第1のシーケンスは792枚の注入前フレームを含み、第2のシーケンスは1096枚の注入後シーケンスを含む。それぞれの部分シーケンスのフレームは30フレーム/秒で収集した。このシーケンスは注入前、注入中及び注入後のフレームを含む。マイクロバブル造影剤注入後、マイクロバブルは初めに注入後フレームセットのフレーム82で管腔に現れた。別に注記しない限り、この事例に関するフレーム番号は注入後部分シーケンスのフレームを表す。このフレームセットからの代表的なフレームを図12G〜Iに示す。
【0134】
結果の視覚化及び定量化
閾化差分画像は、自動的に閾化されているが、閾値より上の全ての値に対するそれぞれの元のグレイレベルは保持している、差分画像を称する。2値閾化差分画像は、同様に閾化されているが、それぞれの元のグレイレベルはもはやもたない画像を称し、理想的には、真の強調を示す点だけを示す。強調統計は選択されたROIだけにわたって計算されるから、ここで示される強調効果はIVUS画像の内膜−間膜領域、すなわち図15で明るく示されているような領域だけでしか有効ではない。完全のために図には外膜領域を含めてはいるが、外膜領域は、その例が図8Aに示されるように、特に音波影効果による、スプリアス応答を有することが多い。
【0135】
本方法は造影剤注入によって成し遂げられる強調の大きさを以下のようにして定量化する。例えば図16A及びBに示されるような、時間の経過にともなうROIの強調ピクセルあたりの平均強調(AEPEP)の尺度である強調グラフがつくられる。平均は以下のようにして決定される。P≡{P,・・・,P}を差分画像のROIにおける強調画素の強度のセットとすれば(ここで、Tが強調閾値であれば、∀p∈pi,P>T)、フレームIについてのAEPEP値εは、
【数7】

【0136】
で与えられる。
【0137】
AEPEP法の有用な特徴は、灌流による時間的変化にもかかわらずAEPEP値がかなり一定のままであることである。すなわち、平均値は強調領域の面積の見かけの変化に対して頑強である。この特性は注入前シーケンスとの比較のための総合強調の安定な指標を与える。(画素単位の)総強調面積または強調領域の強度の総和のようなその他の基準も有用な測定基準である。全ROIにわたる平均強度または総和強度を利用する測定基準は、AEPEP法に比較して、また図11Aに示されるように、雑音が多すぎ、強調の尺度としては信頼性が低いことがわかった。全ROIにわたる平均強度または総計強度を利用する測定基準は、主として、強調効果の面積がROIの全面積に比較して極めて小さいことから、信頼性が低い。強調の長時間効果を超音波雑音から分離するため、得られたグラフに一般に平滑化が施される。
【0138】
結果がパーセント(%)で報告されている場合、パーセントは最大グレイレベル差(255)でAEPEP値を割った値を表す。この尺度は図 に示されるような生差分画像に対して有用である。
【0139】
解析
事例1
図13はプラーク領域、特にほぼ10時及び12時の方向で明白な大きな2つのカルシウム沈着の間のほぼ中間でほぼ6時の方向の領域に、顕著な強調を示す生差分画像を示す。灌流及び減衰による時間の経過にともなう強調の変化を示す、注入中及び注入後の代表的な閾化差分画像が図14A及びBに示され、注入中及び注入後の代表的な2値閾化差分画像が図15A及びBに示される。データセットの長さにかけて強調領域に面積及び強度の減少が見られるが、残りの領域はコヒーレントである。図16A及びBに示され、図17A及びBに注釈されているように、この事例については時間の経過にともない、内膜−間膜/プラーク領域及び外膜領域の両者について個別に、強調が定量化された。
【0140】
事例2
灌流及び減衰による時間の経過にともなう強調の変化を示す、注入中及び注入後の代表的な閾化差分画像が図18A及びBに示され、封入中及び注入後の代表的な2値閾化差分画像が図19A及びBに示される。この事例について収集されたデータの品質は、特に超音波雑音及び自動化心位相検出法を用いる画像特徴の位置合せに関して、3つの事例の内で最も劣っていることがわかった。ほぼ2時の方向とほぼ4時の方向の間の弧に沿って見える低レベルの強調は主として、前画像セットと後画像セットの間の明るいカルシウム沈着プラークのわずかな位置合せずれによるものである。高レベルコヒーレント強調のほとんどはほぼ3時の方向に見ることができる。図20A及びBに示され、図21A及びBに注釈されているように、この事例については時間の経過にともない、内膜−間膜/プラーク領域及び外膜領域の両者について個別に、強調が定量化された。
【0141】
事例3
灌流及び減衰による時間の経過にともなう強調の変化を示す、注入中及び注入後の代表的な閾化差分画像が図22A及びBに示され、注入中及び注入後の代表的な2値閾化差分画像が図23A及びBに示される。このデータセットに見られるほとんどのコヒーレント強調領域は図22Bのほぼ9時の方向とほぼ10時の方向の間にあった。これらのコヒーレント強調は、(主に管腔内の残余造影剤及び外膜における造影効果を際立たせる)注入中フレームに見ることができ、造影剤が脈管の脈管内に灌流するには若干の時間がかかったことを示す。図24に示され、図25A及びBに注釈されているように、この事例については時間の経過にともない、内膜−間膜/プラーク領域及び外膜領域の両者について個別に、強調が定量化された。
【0142】
管腔内強調及び管腔内の血流
IVUSカテーテルと管腔の間の環状領域におけるマイクロバブルの動きは、生成される信号に重大な効果を有する。この点に関する2つの重要な要因は、壁近傍の境界層及び、注入された液体と血液の混合を強める、血流の不安定な脈動性である。IVUS撮像センサを過ぎる主バブル雲の通過により、信号のブラックアウトが生じる。その後の撮像のために脈管の脈管内に灌流されるマイクロバブルについては、マイクロバブルが注入液体の速度が非常に遅くなる内皮壁境界層を通過しなければならない。すなわち、境界層は、注入マイクロバブル雲の塊が下流に流されていった後も長く残留マイクロバブルを保持できる。さらに、白血球及び内皮炎症領域への選択的付着の証拠がある。後者の2つの効果の結果、以降のIVUS画像において内皮表面が強調されることになり得る。超音波プローブまたはその他のプローブを過ぎるマイクロバブルに対して送出オリフィスを移動させることにより、ブラックアウト期間を短縮するかまたはなくすことさえできる。すなわち、造影剤の注入点を変えることにより、洗い流し時間を変えることも、ROIが冠状動脈、末梢動脈、悪性疾患、または微小血管によって血液が供給されるその他の組織部位のいずれかにともなえば、ROIへのマイクロバブルの灌流速度も、変えることができる。
【0143】
考察
発明者等は、コントラスト強調血管内超音波撮像法を用いるアテローム性プラークをもつ脈管の脈管の密度及び灌流の撮像のための方法を提示した。発明者等の結果は、冠状動脈壁におけるマイクロバブル誘起超音波信号強調領域を高周波数IVUSカテーテルによって撮像できることを初めて示す。ここで高周波数は約20MHzと約40MHzの間の周波数を意味する。
【0144】
発明者等は、冠状動脈自体における相対コントラスト強調(すなわち、時間−強度曲線の下の面積)が注入された造影剤の量に比例し、希釈にため注入部位における血流量とは希釈のために逆の関係にあることを、イヌでの以前の研究で見いだした。したがって、組織における強調は、注入量及び注入部位における希釈の関数であるだけでなく、血液/組織量の関数でもある。心筋層灌流の評価においては、正常に灌流される領域が普通、注入量及び速度の可変性並びに血液による希釈を補償するために、疑わしい領域と比較される。すなわち、組織の領域間の相対コントラスト強調は、造影剤が血管空間に残り、トラップされることにはならないと仮定すれば、相対血管容積または血管壁の脈管の脈管の密度の尺度である。いくつかの高血管分布領域及びおそらくは高灌流領域に見られる広範囲の強調は、周囲組織への漏血または毛細血管レベルでのマイクロバブルのトラッピングを示唆する。
【0145】
発明者等は管壁におけるマイクロバブルの散乱及び点集中分布を見いだした。発明者等の注入後画像に見られる(拡散し、広範囲に広がる、背景強調に対する)点集中強調は、IVUSの限られた空間解像度により、1つのマイクロバブルではなくマイクロバブル雲を撮像しているらしいことを示唆する。そのような雲は脈管の脈管の大きなほうの分枝で撮像されるようである。発明者等の画像と文献に報告されている脈管の脈管のマイクロCT画像及び病理学的画像の間の比較は概念上の一致を示した。発明者等は、時間の経過にともなうIVUS信号強度の変化をプラーク灌流の尺度として測定することもできた。プラーク内部の灌流は微小毛細血管を介するから、マイクロバブルの灌流及び排出の速度は管腔内(冠状動脈内)マイクロバブルの排出の速度より遅い。このため、脈管の脈管の灌流を長時間測定することが可能になる。おそらくは広い範囲にわたる炎症がある、ある種のプラークにおいては、ほとんどの脈管の脈管が脆弱であり、漏血している。そのような脈管の脈管はマイクロバブルの漏出を示し、先に示唆されているように「刷毛目」と称される画像トレースを生じさせることができる。発明者等の調査研究において、発明者等は1つの事例でIVUS刷毛目の徴候を見いだした(図16A及びBの最後のフレームに示されるようなコントラスト強調における後遺上昇を見よ)。
【0146】
自動化心位相決定を用いる本明細書に提示される結果は以前に得られていた結果より優れており、本発明の方法の優位性を実証する。これは、発明者等の静止カテーテル研究において、画像特徴のコヒーレント変化が、心運動とカテーテルが引き戻されるときの血管特徴の変化の組合せによるのではなく、ほとんど完全に心運動によるという事実によるものである。静止カテーテル配置が好ましいが、与えられた動脈区画に沿うそれぞれの部位において注入前画像及び注入後画像を得ることが可能となるような態様でカテーテルの移動が制御されるならば、その動脈区画に沿う撮像が可能になるように制御された速度でカテーテルを移動させることもできる。この後者の方法は、洗い流し期間が生じないようにプローブの上流でマイクロバブル注入が行われることを保証することによって最善に実施することができる。一般に、上記区画に沿うそれぞれの部位において十分な画像を収集できるように、カテーテルの移動は移動及び保持がセットになっている。
【0147】
他では脈管の脈管の超音波撮像に対して血管内分子標的化手法が用いられていたが、マイクロバブルは約1μmと約3μmの間の十分小さい直径を有し、脈管の脈管内に容易に入ってプラークの全毛細血管網にわたって循環できるから、本発明ではそのような通常ではない手段に訴えることなく十分な結果が得られる。
【0148】
発明者等の脆弱プラークのIVUS検出法のSNRは、観察されたアルブミンマイクロバブルの活性化白血球への付着傾向を利用して改善することができ、その使用が最近報告された、炎症をおこしている内皮細胞によって放出される分子に結合して付着する、体内に自然に存在する白血球物質(Sialyl Lewis X)を含むマイクロバブルのような特別に構成されたマイクロバブルを用いて高めることができる。脈管の脈管の新血管生成との内皮表面マイクロバブル付着の組合せは脆弱プラークに対するさらに強力なマーカーとなるであろう。さらに、炎症をおこしている内皮細胞へのマイクロバブルの付着傾向は脈管の脈管に入る血流を減少させ、本発明のIVUSによる脆弱プラークの撮像をさらに強化する。脈管の脈管内へのマイクロバブル灌流の速度は低下するであろうが、脈管の脈管内のマイクロバブル滞留時間は長くなるであろう。上述したように、注目する領域へのマイクロバブル流入を増強するためにバルーンを用いることもできる。バルーンは目標部位の所望の部位への拡散を強制するために様々な場所に配置することができる。生RF信号の高速収集により、本方法によるプラーク及び外膜内部の後方散乱超音波信号の強度のより微妙な変化の検出及び定量化が可能になることも当然である。
【0149】
本明細書に引用された参考文献は全て本明細書に含まれる。十分かつ完全に本発明を説明したが、添付される特許請求の範囲内で、詳しく説明した態様とは別の態様で本発明が実施され得ることは当然である。本発明をその好ましい実施形態を参照して開示したが、本説明を読むことで、当業者であれば、上で説明され、特許請求の範囲に述べられるような、本発明の範囲及び精神を逸脱することのない変更及び改変がなされ得ることを認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1A】誘導カテーテル及び磁気撮像プローブを有するマイクロカテーテルが冠状動脈に配置され、造影剤注入の前及び後に画像がとられる、本発明の冠状動脈撮像のための好ましい方法を図示する
【図1B】誘導カテーテル及び磁気撮像プローブを有するマイクロカテーテルが冠状動脈に配置され、造影剤注入の前及び後に画像がとられる、本発明の冠状動脈撮像のための好ましい方法を図示する
【図1C】誘導カテーテル及び磁気撮像プローブを有するマイクロカテーテルが冠状動脈に配置され、造影剤注入の前及び後に画像がとられる、本発明の冠状動脈撮像のための好ましい方法を図示する
【図1D】誘導カテーテル及び磁気撮像プローブを有するマイクロカテーテルが冠状動脈に配置され、造影剤の注入前後に画像がとられる、本発明の冠状動脈撮像のための好ましい方法を画像で示す
【図1E】誘導カテーテル及び磁気撮像プローブを有するマイクロカテーテルが冠状動脈に配置され、造影剤注入の前及び後に画像がとられる、本発明の冠状動脈撮像のための好ましい方法を図示する
【図1F】誘導カテーテル及び磁気撮像プローブを有するマイクロカテーテルが冠状動脈に配置され、造影剤注入の前及び後に画像がとられる、本発明の冠状動脈撮像のための好ましい方法を図示する
【図2】脈管の脈管のいつかのタイプを示す
【図3】プラークのいくつかのタイプを示す疾患のある冠状動脈の解剖学的構造または形態を図示する
【図4】造影剤送出システム及びプローブがカテーテルベースである構成で使用される本発明のカテーテル装置のいくつかの好ましい実施形態を示す
【図5】造影剤送出システム及びプローブがカテーテルベースである構成で使用される本発明のカテーテル装置のいくつかの好ましい実施形態を示す
【図6】造影剤送出システム及びプローブがカテーテルベースである構成で使用される本発明のカテーテル装置の好ましい実施形態の1つを示す
【図7】造影剤送出システム及びプローブがカテーテルベースである構成で使用される本発明のカテーテル装置のいくつかの好ましい実施形態を示す
【図8】図8Aは冠状動脈の一部の典型的なIVUS画像を示し、図8Bは冠状動脈の一部の図8Aに対応する構造を示す
【図9】図9Aはマイクロバブル注入前にとられたIVUSフレームを示し、図9Bはマイクロバブルの注入または洗い流し中にとられたIVUSフレームを示し、図9Cはマイクロバブル注入後にとられたIVUSフレームを示す
【図10】図10Aは一組のフレーム画像の平均を示し、図10Bは図10Aを用いて生成されたROIマスクを示し、マスクは白色の画素で示され、灰色領域の輪郭は照合のためだけ含められている
【図11】図11Aは事例1の初めの201フレームに対するgのグラフを示し、図11Bは図11Aに対する(DC成分が除去された)周波数スペクトルを示し、図11Cは図11Bからフィルタリングされた周波数スペクトルを示し、図11Dは図11Cから得られた時間ドメイン信号を示す
【図12】図12Aは事例1のマイクロバルブ注入前のIVUSフレーム0を示し、図12Bは事例1のマイクロバルブ注入中のIVUSフレーム444を示し、図12Cは事例1のマイクロバルブ注入後のIVUSフレーム972を示し、図12Dは事例2のマイクロバルブ注入前のIVUSフレーム67を示し、図12Eは事例2のマイクロバルブ注入中のIVUSフレーム2713を示し、図12Fは事例2のマイクロバルブ注入後のIVUSフレーム6283を示し、図12Gは事例3のマイクロバルブ注入前のIVUSフレーム16を示し、図12Hは事例3のマイクロバルブ注入中のIVUSフレーム445を示し、図12Iは事例3のマイクロバルブ注入後のIVUSフレーム1010を示す
【図13】事例1についての別の生画像を示し、データは負値を0%で閾化した最大強調(255)のパーセントとして報告されている
【図14】図14Aは事例1のフレーム600における閾化注入中画像を示し、図14Bは事例1のフレーム800における閾化注入後画像を示す
【図15】図15Aは事例1のフレーム600における2値閾化注入中画像を示し、明青色はプラーク領域を強調しており、図15Bは事例1のフレーム800における2値閾化注入後画像を示し、明青色はプラーク領域を強調している
【図16】図16Aは事例1の内膜−間膜/プラーク域についての強調を示し、グラフは注入前平均が0%になるように変換されており、図16Bは事例1の外膜領域についての強調を示し、グラフは注入前平均が0%になるように変換されている
【図17】図17Aは事例1の内膜−間膜/プラーク領域についての注釈付き強調を示し、グラフは注入前平均が0%になるように変換されており、図17Bは例1の外膜領域についての注釈付き強調を示し、グラフは注入前平均が0%になるように変換されている
【図18】図18Aはレーム2837における閾化注入中画像を示し、図18Bは例2のフレーム5308における閾化注入後画像を示す
【図19】図19Aはレーム2837における2値閾化注入中画像を示し、明青色はプラーク領域を強調しており、図19Bは事例2のフレーム5308における2値閾化注入後画像を示し、明青色はプラーク領域を強調している
【図20】図20A事例2の内膜−間膜/プラーク領域についての強調を示し、図20Bは事例2の外膜領域についての強調を示す
【図21】図21Aは事例2の内膜−間膜/プラーク領域についての注釈付き強調を示し、図21Bは事例2の外膜領域についての注釈付き強調を示す
【図22】図22Aは事例3のフレーム445における閾化注入中画像を示し、図22Bは事例3のフレーム815における閾化注入後画像を示す
【図23】図23Aは事例3のフレーム445における2値閾化注入中画像を示し、明青色はプラーク領域を強調しており、図23Bは事例3のフレーム815における2値閾化注入後画像を示し、明青色はプラーク領域を強調している
【図24】事例3の内膜−間膜領域についての強調を示す
【図25】図25Aは事例3の内膜−間膜/プラーク領域についての注釈付き強調を示し、図25Bは事例3の外膜領域についての注釈付き強調を示す
【符号の説明】
【0151】
400 カテーテル装置
402 誘導カテーテル
406 造影剤送出システム
408 誘導ワイア
410 マイクロカテーテル
412 プローブ
414,422 オリフィス
418 造影剤貯蔵素子
420 ポンプ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトを含む動物の組織部位に隣接してプローブを配置する工程、
注入部位において前記動物に造影剤を注入する工程、
注入前及び注入後にデータを収集する工程、及び
前記組織部位の解剖学的特徴、形態的特徴及び/または機能的特徴を検出、位置決定及び定量化するために、注入前データと注入後データの間で差分解析を行う工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ヒトを含む動物の組織部位に隣接してプローブを配置する工程、
前記組織部位の注入前データを収集する工程、
注入部位において前記動物に造影剤を注入する工程、
前記組織部位の注入後データを収集する工程、及び
総データ収集時間にわたり、前記組織部位の解剖学的特徴、形態的特徴及び/または機能的特徴を検出、位置決定及び定量化するために前記注入前データと前記注入後データの間で差分解析を行う工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
ヒトを含む動物の組織部位に隣接してプローブを配置する工程、
注入前時間にわたり前記組織部位の注入前データシーケンスを収集する工程、
前記組織部位に血液を供給する動脈内または前記組織部位から血液を運び出す静脈内に、造影剤送出システムを配置する工程、
前記動脈または前記静脈に造影剤を注入する工程、
注入後時間にわたり前記組織部位の注入後データシーケンスを収集する工程、及び
総データ収集時間にわたり、前記組織部位の解剖学的特徴、形態的特徴及び/または機能的特徴を検出、位置決定及び定量化するために前記注入前データと前記注入後データの間で差分解析を行う工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
血管内に誘導カテーテルを配置する工程、
撮像される部位において前記血管内にプローブを有するマイクロカテーテルを配置する工程、
注入前時間にわたり前記組織部位の注入前データシーケンスを収集する工程、
注入時間にわたり造影剤送出システムから前記血管に造影剤を注入する工程、
注入中時間にわたり注入中IVUS画像シーケンスを形成するためにIVUS画像を収集し続ける工程、
前記送出システムから造影剤を流し出すために規定食塩水を注入する工程、
注入後時間にわたり注入後IVUS画像シーケンスを形成するためにIVUS画像を収集し続ける工程、及び
総データ収集時間にわたり、前記部位の構造的特徴を検出、位置決定及び定量化するために前記注入前画像シーケンスと前記注入後画像シーケンスの間で自動化差分解析を行う工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記注入前データから注入前位相相関データを形成し、前記注入後データから注入後位相相関データを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記注入前位相相関データ及び前記注入後位相相関データ内の注目する領域を選択する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記注入前位相相関データ及び前記注入後位相相関データにおける前記注目する領域の相対動きを補償する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記相対動きが補償された注入前位相相関データ及び注入後位相相関データをフィルタリングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フィルタリングされた、動き補償された注入前位相相関データ及び注入後位相相関データを復元する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記注目する領域の強調をデータ収集時間の関数として識別する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記データ収集時間が約0.5分から約30分であることを特徴とする請求項2,3または4に記載の方法。
【請求項12】
前記組織部位の注入中データシーケンスを収集する工程をさらに含むことを特徴とする請求項2,3または4に記載の方法。
【請求項13】
前記注入前データが約1秒から約10分の範囲の注入前時間にわたり収集されることを特徴とする請求項2,3または4に記載の方法。
【請求項14】
前記注入後データが約1秒から約20分の範囲の注入後時間にわたり収集されることを特徴とする請求項2,3または4に記載の方法。
【請求項15】
前記注入中データが前記造影剤注入の持続時間を含む注入中時間にわたり収集されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記データまたはデータシーケンスがデジタル化され、自動的に格納され、前記総収集時間にわたる心位相シーケンスのそれぞれにおける前記データの時間的位置にしたがって分類集計されることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記注入前データ及び前記注入後データまたは前記注入前データシーケンス及び前記注入後データシーケンスにおいてデータ間またはフレーム間の差分データシーケンスまたは差分画像シーケンスを生成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
差分解析に先立ち、時間相関データまたは時間相関フレームの数学的平均化によって前記データまたはIVUSフレームに雑音抑制を行う工程をさらに含み、ここで時間相関データまたは時間相関画像は心周期の同じ点において分類集計されたデータまたは画像であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
食塩水グレイレベル強調領域を分離するために前記差分データまたは差分画像を自動的に閾化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前期強調の位置及び強度を示すために前記閾化差分データまたは画像を色分けする工程をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記差分データまたは差分画像、前記閾化データまたは閾化画像及び/または前記色分けされたデータまたは画像の総収集時間にわたる強調の変化の動画を生成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
本方法により得られる前記動画が、原データと処理されたデータの間の直接目視比較を可能にするために、最初に収集されたIVUSシーケンスとのフレーム対フレーム対応を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
時間の経過にともなう強調の存在及び量を数値的に定量化するために前記総収集時間にわたって生成された前記差分データまたは差分画像のそれぞれについて強調画素毎の平均強調の統計的尺度を計算する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記強調が前記部位にともなう脈管の脈管またはその他の構造の証拠であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記その他の構造が、プラーク、カルシウム沈着プラーク、悪性構造、または悪性血管新生を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プローブが、超音波プローブ、可変周波数超音波プローブ、磁気プローブ、フォトニックプローブ、近赤外線プローブ、テラヘルツプローブ、マイクロ波プローブ及びこれらの組合せからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記造影剤が、マイクロバブル、磁気反応性マイクロバブル、磁気反応性ナノ粒子、近赤外線可視マイクロバブル、近赤外線可視ナノ粒子、光可視マイクロバブル、光可視ナノ粒子、テラヘルツ可視マイクロバブル、テラヘルツ可視ナノ粒子、マイクロ波可視マイクロバブル、マイクロ波可視ナノ粒子、及び、磁気反応性ナノ粒子、近赤外線可視ナノ粒子、光可視ナノ粒子、テラヘルツ可視ナノ粒子、マイクロ波可視ナノ粒子及びこれらの混合物を含む赤血球または幹細胞、並びにこれらの混合物または組合せからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記部位に血液を供給する動脈内または前記部位から血液を運び出す静脈内にバルーンを配置する工程、
データ収集中に前記部位に入る血液流量を変えるために前記バルーンを膨らませるかまたはある程度膨らませる工程、及び
データ収集中に前記バルーンをしぼませる工程、
をさらに含むことを特徴とする請求項1から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記膨らませる工程及びしぼませる工程が与えられた周期で周期的に実施されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
造影剤注入後、前記造影剤のそれぞれの位置を周期的に変化させるのに十分な周波数の音波エネルギーに前記部位をさらす工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
造影剤注入後、前記造影剤を破壊するのに十分な周波数の音波エネルギーに前記部位をさらす工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
カテーテル装置において、
末梢血管に挿入され、次いで目標の血管内に配置されるように適合された誘導カテーテル、及び
前記血管にある量の造影剤を注入するように構成された造影剤送出システム、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項33】
前記誘導カテーテルの遠端から前記血管内に延びるように適合された少なくとも1本の誘導ワイア、及び
中心オリフィスを有し、前記誘導ワイアに沿って前記血管内の所望の位置まで滑進するように適合された少なくとも1本のマイクロカテーテル、
をさらに備えることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記血管内の血流を増強するように適合されたバルーンをさらに備えることを特徴とする請求項32または33に記載の装置。
【請求項35】
前記マイクロカテーテルがプローブを有することを特徴とする請求項32または33に記載の装置。
【請求項36】
前記マイクロカテーテルが複数のプローブを有することを特徴とする請求項32または33に記載の装置。
【請求項37】
前記造影剤送出システムが前記マイクロカテーテルの一部をなすことを特徴とする請求項32,33,34,35または36に記載の装置。
【請求項38】
前記造影剤送出システムが前記プローブまたは前記複数のプローブの上流にあることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記バルーンが前記プローブまたは前記複数のプローブの上流にあることを特徴とする請求項34,35,36,37または38に記載の装置。
【請求項40】
前記プローブが、超音波プローブ、可変周波数超音波プローブ、磁気プローブ、フォトニックプローブ、近赤外線プローブ、テラヘルツプローブ、マイクロ波プローブ及びこれらの組合せからなる群から選ばれることを特徴とする請求項28,29,30,31,32または33に記載の装置。
【請求項41】
前記造影剤が、マイクロバブル、磁気反応性マイクロプローブ、磁気反応性ナノ粒子、近赤外線可視マイクロバブル、近赤外線可視ナノ粒子、光可視マイクロバブル、光可視ナノ粒子、テラヘルツ可視マイクロバブル、テラヘルツ可視ナノ粒子、マイクロ波可視マイクロバブル、マイクロ波可視ナノ粒子、及び、磁気反応性ナノ粒子、近赤外線可視ナノ粒子、光可視ナノ粒子、テラヘルツ可視ナノ粒子、マイクロ波可視ナノ粒子及びこれらの混合物を含む赤血球または幹細胞、並びにこれらの混合物または組合せからなる群から選ばれることを特徴とする請求項28,29,30,31,32または33に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図3】
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【図3A−I】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図12I】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図1F】
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【図2】
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【図8】
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【図11】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2007−517637(P2007−517637A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549672(P2006−549672)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/001436
【国際公開番号】WO2005/070299
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506245305)ザ ユニヴァーシティー オブ ヒューストン システム (1)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF HOUSTON SYSTEM
【Fターム(参考)】