説明

医用画像処理装置及び制御プログラム

【課題】欠損孔の治療に有効なナビゲーション画像データの生成及び表示。
【解決手段】医用画像処理装置100は、患者から予め収集されたボリュームデータに基づいて、心腔内に挿入されたカテーテル先端部に対する安全領域、心腔壁の欠損孔に対する前記カテーテル先端部の好適な挿入方向あるいは挿入タイミングの少なくとも何れかをナビゲーションデータとして生成するナビゲーションデータ生成部1と、前記カテーテル先端部が挿入された前記患者に対するX線撮影によって収集されるX線画像データに前記ナビゲーションデータを重畳してナビゲーション画像データを生成するナビゲーション画像データ生成部2と、前記ナビゲーション画像データを表示する表示部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、心臓に対するカテーテル治療等の支援を目的とした医用画像処理装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断は、近年のコンピュータ技術の発展に伴って実用化されたX線CT装置やMRI装置等によって急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。特に、X線CT装置やMRI装置では、生体情報の検出ユニットや演算処理ユニットの高速化及び高性能化により画像データのリアルタイム表示が可能となり、更に、3次元的な画像情報(ボリュームデータ)の収集やこのボリュームデータを用いた3次元画像データやMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データ等の生成/表示が容易となったため、例えば、心房中隔欠損等の疾患部に対しても治療方針の決定に有効な形態学的画像情報を提供することが可能となった。
【0003】
ところで、心房中隔や心室中隔の欠損孔に対するカテーテル治療の11つとして、閉鎖栓を欠損孔の適切な位置に留置する治療があり、このような治療に使用される治療用カテーテルの挿入及び閉鎖栓の留置は、カテーテルが挿入された心臓領域に対するX線撮影によって収集されるX線画像データの観察下にて行なわれる。
【0004】
しかしながら、上述のX線撮影によって得られる2次元のX線画像データでは、特に、奥行き方向におけるカテーテル先端部と欠損孔との位置関係を正確に把握することが困難なため、近年では、X線CT装置やMRI装置等の他の医用画像診断装置によって予め収集されたボリュームデータに基づく3次元画像データとリアルタイムで収集されるX線画像データとを並列表示あるいは合成表示させて観察することによりカテーテル治療に有効な医療情報を収集する方法が開発され、上述の3次元画像データとX線画像データとを合成する際の位置合わせを短時間で行なうことが可能なデータ処理方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−29641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
X線診断装置によりリアルタイムで収集されるX線画像データと予め収集されたボリュームデータに基づく3次元画像データとを並列表示あるいは合成表示する従来の方法は、静止している治療対象部位に対しては有効な手段となり得るが、例えば、心房中隔や心室中隔に存在する欠損孔のように大きな拍動性移動を有する治療対象部位に対しては必ずしも有効ではなく、特に、カテーテル先端部が心腔内壁に接触した場合には心内膜等に対して損傷を与え、更に、心房中隔や心室中隔を穿孔する危険性を有している。
【0007】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、患者の体内に挿入されたカテーテル等の血管内デバイス(以下では、これらを総称してカテーテルと呼ぶ。)による診断あるいは治療を安全かつ正確に実行させる精度の高いナビゲーション画像データの生成とその表示を可能とする医用画像処理装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本実施形態の医用画像処理装置は、患者から予め収集されたボリュームデータに基づいて、心腔内に挿入されたカテーテル先端部に対する安全領域、心腔壁の欠損孔に対する前記カテーテル先端部の好適な挿入方向あるいは挿入タイミングの少なくとも何れかをナビゲーションデータとして生成するナビゲーションデータ生成手段と、前記カテーテル先端部が挿入された前記患者に対するX線撮影によって収集されるX線画像データに前記ナビゲーションデータを重畳してナビゲーション画像データを生成するナビゲーション画像データ生成手段と、前記ナビゲーション画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態における医用画像処理装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態における心腔内壁の検出方法を説明するための図。
【図3】本実施形態の安全領域設定部による安全領域の設定方法を示す図。
【図4】本実施形態の安全挿入方向設定部によって設定される安全挿入方向を説明するための図。
【図5】本実施形態における安全挿入期間の設定方法を説明するための図。
【図6】本実施形態の医用画像処理装置が備える安全性判定部の具体的な構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態の挿入方向判定部による安全性の判定方法を説明するための図。
【図8】本実施形態のナビゲーションデータ生成部によって生成されるナビゲーションデータの具体例を示す図。
【図9】本実施形態におけるナビゲーション画像データの生成/表示手順を示すフローチャート。
【図10】本実施形態におけるナビゲーションデータの変形例を示す図。
【図11】本実施形態におけるナビゲーションデータの変形例を示す図。
【図12】本実施形態におけるナビゲーション画像データの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0011】
以下に述べる本実施形態の医用画像処理装置では、別途設置された医用画像診断装置によって予め収集された時系列的なボリュームデータと心房中隔欠損孔の治療を目的として右心房内にカテーテル先端部が挿入された心臓領域に対するX線撮影により略リアルタイムで収集されるX線画像データとに基づいて、カテーテル先端部に対する安全領域、安全挿入方向及び安全挿入期間を設定する。次いで、これらの設定情報と前記X線画像データに示されたカテーテル先端部の位置情報とに基づいて右心房内に挿入されているカテーテル先端部の安全性を判定し、この判定結果に基づいて生成したナビゲーションデータを前記X線画像データに重畳して表示部に表示する。
【0012】
尚、以下に述べる実施形態では、心房中隔欠損の治療を目的として右心房内に治療用のカテーテルを挿入する場合について述べるが、治療対象部位は心房中隔欠損に限定されるものではなく、例えば、心室中隔欠損等の他の疾患部であっても構わない。
【0013】
(装置の構成)
以下、本実施形態における医用画像処理装置の構成と機能につき図1乃至図8を用いて説明する。尚、図1は、医用画像処理装置の全体構成を示すブロック図であり、図6は、この医用画像処理装置が備える安全性判定部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す本実施形態の医用画像処理装置100は、別途設置されたX線CT装置やMRI装置等の医用画像診断装置から図示しないネットワークあるいは記憶媒体を介して供給される時系列的な複数心拍時相の3次元画像情報(以下では、ボリュームデータと呼ぶ。)に基づいてナビゲーションデータを生成するナビゲーションデータ生成部1と、得られたナビゲーションデータを別途設置されたX線診断装置から略リアルタイムで供給される当該患者のX線画像データに重畳してナビゲーション画像データを生成するナビゲーション画像データ生成部2と、ナビゲーション画像データを表示する表示部3と、患者情報や各種コマンド信号の入力等を行なう入力部4と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部5を備えている。
【0015】
次に、ナビゲーションデータ生成部1が有する各ユニットの構成と機能について説明する。このナビゲーションデータ生成部1は、上述の医用画像診断装置から供給されるボリュームデータを保存するボリュームデータ記憶部11と、カテーテル先端部が挿入される右心房の心腔内壁を上述のボリュームデータを用いて検出する心腔内壁検出部12と、各心拍時相における心腔内壁の検出結果に基づいてカテーテル先端部に対する安全領域を設定する安全領域設定部13と、前記心腔内壁の検出結果に基づいて当該患者の心房中隔に存在する欠損孔(心房中隔欠損)を検出する欠損孔検出部14と、検出された欠損孔の位置及び形状と後述の位置情報変換部19から供給されるカテーテル先端部の位置情報とに基づいてカテーテル先端部に対する安全挿入方向を設定する安全挿入方向設定部15と、各心拍時相における欠損孔の位置情報に基づいて前記欠損孔に対するカテーテル先端部の安全挿入期間を設定する安全挿入期間設定部16を備えている。
【0016】
更に、ナビゲーションデータ生成部1は、別途設置されたX線診断装置から供給される当該患者のX線画像データに示されているカテーテル先端部の位置情報(位置及び方向)を検出する先端部位置情報検出部17と、同一心拍時相において収集された上述のボリュームデータとX線画像データとの位置ズレを検出する位置ズレ検出部18と、位置ズレの検出結果に基づいてカテーテル先端部のX線画像データにおける位置情報をボリュームデータにおける位置情報へ変換する位置情報変換部19と、カテーテル先端部に対する上述の安全領域、安全挿入方向及び安全挿入期間とボリュームデータにおけるカテーテル先端部の位置情報とに基づいて心腔内に挿入されたカテーテル先端部に対する安全性を判定する安全性判定部20と、安全領域に基づいて安全領域ガイドを生成する安全領域ガイド生成部21と、安全挿入方向及び安全性判定結果に基づいて安全挿入ガイドを生成する安全挿入ガイド生成部22を備えている。
【0017】
ボリュームデータ記憶部11には、当該患者の心臓領域に対して医用画像診断装置が収集した時系列的なボリュームデータが前記患者の心拍時相を付帯情報として保存される。
【0018】
一方、心腔内壁検出部12は、ボリュームデータ記憶部11から心拍時相に沿って読み出したボリュームデータの各々における右心房の心腔内壁を検出する機能を有し、例えば、図示しない2値化処理部、拡大/縮小処理部及び減算処理部を有している。図2は、心腔内壁検出部12による心腔内壁の検出方法を模式的に示したものであり、この図2を参照しながら心腔内壁検出部12が行なう2値化処理及び拡大/縮小処理(図2(a))と減算処理(図2(b))について説明する。
【0019】
心腔内壁検出部12が備える上述の2値化処理部は、所定心拍時相におけるボリュームデータA1のボクセル値に対して所定の閾値を設定することにより3次元の2値化データA2を生成し、前記拡大/縮小処理部は、2値化データA2を異なる拡大率α1及びα2(α1>α2)で拡大/縮小処理して3次元の拡大2値化データA3及び縮小2値化データA4を生成する。次いで、前記減算処理部は、拡大2値化データA3と縮小2値化データA4との減算処理により心腔内壁を検出し、この検出結果に基づいて3次元の内壁輪郭データA5を生成する。
【0020】
尚、上述の内壁輪郭データA5は、拡大2値化データA3あるいは縮小2値化データA4と2値化データA2との減算処理によって生成してもよい。又、ボリュームデータに基づいた内壁輪郭データの生成は上述の方法に限定されるものではなく、例えば、2値化データA2に対して2次元的な微分処理を行なうことにより得ることが可能であり、又、ボリュームデータの心腔内に配置された基準点を起点とする複数の検索ベクトルを3次元の全角度方向へ発生させ、これらの検索ベクトルと所定の値より大きなボクセル値を有するボクセルとの交差位置に基づいて内壁輪郭データを生成してもよい。
【0021】
図1へ戻って、安全領域設定部13は、心腔内壁検出部12において得られた各心拍時相の内壁輪郭データに基づいてボリュームデータの右心房内に安全領域(即ち、カテーテル先端部が心臓の拍動に関係なく全ての心拍時相において心腔内壁に接触しない領域)を設定する。具体的には、心腔内壁検出部12から供給される、例えば、1心拍周期分の内壁輪郭データを重畳し、全ての心拍時相において常に心腔領域となる部分をカテーテル先端部に対する安全領域として設定する。
【0022】
図3は、安全領域の設定方法を示したものであり、図3(a)は、1心拍周期を構成する心拍時相t1乃至t7において心腔内壁検出部12が生成した右心房の内壁輪郭データR1乃至R7を示している。一方、図3(b)は、内壁輪郭データR1乃至R7で囲まれた共通領域あるいは内壁輪郭データR1乃至R7の中から抽出された右心房が最も収縮した心拍時相t4の内壁輪郭データR4に基づいて安全領域設定部13が設定した安全領域Roを示している。特に、図3のように心筋組織の収縮が心腔内の中心に向かって一様に行われる場合には、収縮期の内壁輪郭データによって囲まれた領域が安全領域として設定される。
【0023】
再び図1へ戻って、欠損孔検出部14は、他の患者や被検体から収集された欠損孔を有さない正常の内壁輪郭データ等に基づいて作成された心腔内壁モデルあるいはコンピュータ技術を用いて作成された心腔内壁モデルが心拍時相を付帯情報として予め保管されている図示しない内壁モデル記憶部を備えている。そして、心腔内壁検出部12から供給された当該患者の所定心拍時相における内壁輪郭データと内壁モデル記憶部から読み出した同一心拍時相における心腔内壁モデルとを比較することにより心腔内壁における欠損孔を心拍時相毎に検出する。
【0024】
一方、安全挿入方向設定部15は、欠損孔検出部14によって検出される欠損孔の位置及び形状と位置情報変換部19から供給されるカテーテル先端部の位置座標に基づき、欠損孔に対してカテーテル先端部を安全に挿入することが可能な挿入方向の範囲(安全挿入方向)を設定する。
【0025】
図4は、安全挿入方向設定部15によって3次元的に設定された安全挿入方向を示している。即ち、右心房(RA)の心腔内壁Caに示した領域Cxは、欠損孔検出部14が心腔内壁検出部12から供給された内壁輪郭データと自己の内壁モデル記憶部から読み出した心腔内壁モデルとの比較によって検出した欠損孔を示しており、基準点Poは、後述の位置情報変換部19によりX線画像データの座標系からボリュームデータの座標系へ座標変換されたカテーテル先端部を示している。この場合、安全挿入方向設定部15は、カテーテル先端部(基準点)Poと欠損孔Cxの端部とを繋ぐことにより斜線部で示すような安全挿入方向Qxを設定する。
【0026】
次に、図1に示した安全挿入期間設定部16は、当該患者の心拍周期において上述の欠損孔が長時間に渡って固定している心拍期間あるいはその移動範囲が極めて小さな心拍期間を安全挿入期間として設定する。図5は、安全挿入期間の設定方法を説明するための図であり、ここでは、説明を簡単にするために、欠損孔横断面の同一平面上における移動量に基づいて安全挿入期間を設定する場合について述べるが、実際には、欠損孔の3次元的な移動情報に基づいて安全挿入期間の設定が行なわれる。
【0027】
図5の縦軸は、心拍時相(時間)を示しており、横軸は、欠損孔の移動方向及び移動量を示している。安全挿入期間設定部16は、欠損孔検出部14から供給される、例えば、1心拍周期[τ0−τ3]における欠損孔の検出結果を受信し各心拍時相における欠損孔の移動量を検出する。次いで、検出された移動量が長時間に渡って所定の範囲内にある期間[τ1−τ2]を安全挿入期間として設定する。このような安全挿入期間の設定により、心筋組織と共に拍動性移動を行なう欠損孔に対してカテーテル先端部の挿入を行なう際、安全挿入期間として設定された期間[τ1−τ2]にて図4の斜線で示した安全挿入方向へカテーテル先端部を移動させることにより、欠損孔に対するカテーテル先端部の挿入を確実に行なうことができる。
【0028】
次に、図1に示した先端部位置情報検出部17は、別途設置されたX線診断装置を用い、右心房内にカテーテル先端部が挿入された当該患者の心臓領域に対するX線撮影によりリアルタイムかつ時系列的に収集される2次元のX線画像データと前記患者の心拍情報を受信する。次いで、得られたX線画像データの画素値に所定の閾値を設定することにより、右心房内に配置されたカテーテル先端部の位置情報(カテーテル先端部の位置及び方向)を心拍時相毎に検出する。
【0029】
一方、位置ズレ検出部18は、ボリュームデータ記憶部11から供給されるボリュームデータとX線診断装置から供給される上述のX線画像データとの位置ズレを検出する機能を有している。即ち、位置ズレ検出部18は、X線診断装置から略リアルタイムで供給される2次元のX線画像データを順次受信し、これらX線画像データの各々に付帯情報として付加されている心拍時相と同一の心拍時相にて収集されたボリュームデータをボリュームデータ記憶部11から読み出す。次いで、同一心拍時相において収集されたX線画像データとボリュームデータに基づいて画像データ間の位置ズレを検出する。
【0030】
具体的には、ボリュームデータあるいはこのボリュームデータをX線画像データの撮影方向と同一の方向へ投影することによって生成したMIP(Maximum Intensity Projection)画像データとX線画像データとの相互相関係数を算出することによってデータ間の位置、方向及び拡大率の差異を検出する。尚、ボリュームデータとX線画像データとを短時間で位置合わせする方法については特許文献1等に記載されているため、詳細な説明は省略する。
【0031】
位置情報変換部19は、先端部位置情報検出部17から供給されるカテーテル先端部の位置情報と位置ズレ検出部18から供給されるX線画像データとボリュームデータとの位置ズレ情報を受信し、この位置ズレ情報に基づいてX線画像データの座標系におけるカテーテル先端部の位置情報をボリュームデータの座標系に対応した位置情報へ変換する。
【0032】
次に、安全性判定部20は、安全領域設定部13において設定される安全領域、安全挿入方向設定部15において設定される安全挿入方向及び安全挿入期間設定部16において設定される安全挿入期間の情報に基づいてカテーテル先端部を欠損孔に向けて挿入する際の安全性を判定する機能を有し、図6に示すように、先端位置判定部201、挿入方向判定部202及び挿入時刻判定部203を備えている。
【0033】
先端位置判定部201は、位置情報変換部19から供給されたカテーテル先端部のボリュームデータにおける位置情報(位置)と安全領域設定部13から供給されたカテーテル先端部の右心房における安全領域の情報を受信し、カテーテル先端部が安全領域内に存在しているか否かにより右心房内に配置されたカテーテル先端部の位置に対する安全性を判定する。
【0034】
一方、挿入方向判定部202は、位置情報変換部19から供給されたカテーテル先端部のボリュームデータにおける位置情報(位置及び方向)と安全挿入方向設定部15から供給されたカテーテル先端部の欠損孔に対する安全挿入方向の情報を受信し、カテーテル先端部の挿入方向が安全挿入方向の範囲に含まれているか否かによりカテーテル先端部の挿入方向に対する安全性を判定する。
【0035】
図7は、挿入方向判定部202による安全性の判定方法を説明するための図であり、この図7には、カテーテル先端部Poと欠損孔Cxの中心とを結ぶ中心線Coと、カテーテル先端部Poと欠損孔Cxの端部を通り中心線Coに対して角度β1を有した線分L1と、中心線Coに対し角度β2を有したカテーテル先端部Poの方向を示す矢印L2が示されている。この場合、挿入方向判定部202は、中心線Coに対する線分L1の角度β1と矢印L2の角度β2とを比較し、β2<β1ならば、矢印L2で示されたカテーテル先端部Poの挿入方向は安全であると判定する。
【0036】
又、安全性判定部20の挿入時刻判定部203は、位置情報変換部19を介して供給されるX線画像データの心拍時相と安全挿入期間設定部16から供給されるカテーテル先端部の欠損孔に対する安全挿入期間の情報を受信し、カテーテル先端部の欠損孔に対する挿入時刻(即ち、カテーテル先端部の挿入時においてリアルタイム表示されるX線画像データの心拍時相)が安全挿入期間に含まれているか否かによりカテーテル先端部の挿入時刻(挿入タイミング)に対する安全性を判定する。
【0037】
次に、図1に示した安全領域ガイド生成部21は、位置情報変換部19から供給されるボリュームデータとX線画像データとの座標変換情報に基づき、安全領域設定部13において設定されたボリュームデータに対応する3次元の安全領域を座標変換してX線画像データに対応した2次元の安全領域ガイドを生成する。
【0038】
同様にして、安全挿入ガイド生成部22は、上述の座標変換情報に基づき、安全挿入方向設定部15において設定されたボリュームデータに対応する3次元の安全挿入方向を座標変換してX線画像データに対応した2次元の安全挿入方向データを生成する。次いで、この安全挿入方向データと、安全性判定部20から供給されたカテーテル先端部の位置、挿入方向及び挿入時刻に対する安全性の判定結果とに基づき、カテーテル先端部の挿入に好適な挿入方向及び挿入時刻(挿入タイミング)を示す安全挿入ガイドを生成する。
【0039】
上述の、ナビゲーションデータ生成部1において生成されるナビゲーションデータの具体例につき図8を用いて説明する。図8に示すナビゲーションデータは、X線画像データに対応したカテーテル先端部の安全領域を示す安全領域ガイドGRoと、X線画像データに対応したカテーテル先端部の安全挿入方向を示す安全挿入ガイドGQxを有し、更に、X線画像データに対応した内壁輪郭データGCa、カテーテル先端部を示す先端マーカGPo、欠損孔を示す欠損孔データGCx等が必要に応じて付加される。
【0040】
この場合、安全挿入ガイドGQxは、通常、カテーテル先端部Poの位置、挿入方向及び挿入時刻に対する安全性の全てが安全性判定部20において確認された場合に生成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、カテーテル先端部Poが安全領域の外部に配置されているような場合においても、安全挿入ガイドGQxの生成を行なってもよい。
【0041】
図1へ戻って、ナビゲーション画像データ生成部2は、X線診断装置から供給される所定心拍時相のX線画像データにナビゲーションデータ生成部1によって生成された同一心拍時相のナビゲーションデータを合成(重畳)することによりカテーテル治療に有効なナビゲーション画像データを生成する。
【0042】
次に、表示部3は、ナビゲーション画像データ生成部2において生成された時系列的なナビゲーション画像データを表示する機能を有し、例えば、図示しない表示データ生成部、変換処理部及びモニタを備えている。前記表示データ生成部は、ナビゲーション画像データ生成部2から供給されたナビゲーション画像データに対し患者情報や心拍時相等の付帯情報を付加して表示データを生成し、前記変換処理部は、前記表示データ生成部が生成した表示データに対しD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行なって前記モニタに表示する。
【0043】
一方、入力部4は、図示しないキーボード、スイッチ、選択ボタン、マウス等の各種入力デバイスや表示パネルを備え、患者情報の入力、心腔内壁の検出やカテーテル先端部の検出に必要な閾値の設定、ナビゲーションデータ生成条件の設定、各種指示信号の入力等を行なう。そして、この入力部4と上述の表示部3を組み合わせることによりインターラクティブなインターフェースが形成される。尚、ナビゲーションデータの生成条件として安全挿入ガイドの生成に必要な安全性判定結果等がある。
【0044】
システム制御部5は、図示しないCPUと記憶部を備え、前記記憶部には、入力部4において入力あるいは設定された各種情報が保存される。そして、前記CPUは、これらの情報に基づいて医用画像処理装置100の各ユニットを統括的に制御し、心房中隔の欠損孔に挿入されるカテーテル先端部の位置、挿入方向及び挿入時刻に対する安全性の判定と、この判定結果に基づいたナビゲーション画像データの生成及び表示を実行させる。
【0045】
(ナビゲーション画像データの生成/表示手順)
次に、本実施形態におけるナビゲーション画像データの生成/表示手順につき図9のフローチャートに沿って説明する。
【0046】
ナビゲーション画像データの生成に先立ち、別途設置された医用画像診断装置からネットワーク等を介して供給された時系列的なボリュームデータは、心拍時相を付帯情報として医用画像処理装置100が備えるナビゲーションデータ生成部1のボリュームデータ記憶部11に保存される(図9のステップS1)。次いで、入力部4において患者情報の入力、各種閾値の設定、ナビゲーションデータ生成条件の設定等が行われた後、ナビゲーション画像データの生成開始指示信号が入力される。このとき、上述の初期設定において入力あるいは設定された情報は、システム制御部5の記憶部に保存される。
【0047】
上述の指示信号を、システム制御部5を介して受信したナビゲーションデータ生成部1の心腔内壁検出部12は、ボリュームデータ記憶部11から心拍時相に沿って順次読み出したボリュームデータに対し2値化処理、拡大/縮小処理及び減算処理を行なって右心房の心腔内壁を検出し、その検出結果に基づいて3次元の内壁輪郭データを生成する(図9のステップS2)。次いで、安全領域設定部13は、心腔内壁検出部12において検出された、例えば、1心拍周期分の内壁輪郭データを重畳し、全ての心拍時相において心腔領域となる領域をカテーテル先端部に対する安全領域として設定する(図9のステップS3)。
【0048】
一方、欠損孔検出部14は、心腔内壁検出部12から供給された当該患者の所定心拍時相における内壁輪郭データと自己の内壁モデル記憶部から読み出した同一心拍時相の心腔内壁モデルとを比較することにより心腔内壁における欠損孔を心拍時相毎に検出し(図9のステップS4)、安全挿入期間設定部16は、当該患者の心拍周期において上述の欠損孔が長時間に渡り固定している心拍期間あるいはその移動範囲が極めて小さな心拍期間を安全挿入期間として設定する(図9のステップS5)。
【0049】
一方、先端部位置情報検出部17は、別途設置されたX線診断装置にて生成された当該患者の心臓領域における2次元のX線画像データと前記患者の心拍情報を略リアルタイムで受信する(図9のステップS6)。次いで、得られたX線画像データの画素値に所定の閾値を設定することにより、右心房内に配置されたカテーテル先端部の位置情報(位置及び方向)を検出する(図9のステップS7)。
【0050】
次に、位置ズレ検出部18は、X線診断装置から略リアルタイムで供給される最初の心拍時相における2次元のX線画像データを受信し、これらX線画像データに付帯情報として付加されている心拍時相と同一の心拍時相にて収集されたボリュームデータをボリュームデータ記憶部11から読み出す。そして、同一心拍時相において収集されたX線画像データとボリュームデータに対し所定のデータ処理を行なってデータ間の位置ズレを検出する(図9のステップS8)。
【0051】
X線画像データとボリュームデータとの位置ズレが検出されたならば、位置情報変換部19は、先端部位置情報検出部17から供給されたカテーテル先端部の位置情報と位置ズレ検出部18から供給されたデータ間の位置ズレ情報を受信し、この位置ズレ情報に基づいてX線画像データの座標系におけるカテーテル先端部の位置情報をボリュームデータの座標系に対応した位置情報へ変換する(図9のステップS9)。
【0052】
次に、安全挿入方向設定部15は、上述のステップS4において欠損孔検出部14が検出した欠損孔の位置及び大きさと位置情報変換部19において座標変換されたカテーテル先端部の位置情報に基づき、欠損孔に対してカテーテル先端部を安全に挿入することが可能な挿入方向の範囲(安全挿入方向)を設定する(図9のステップS10)。
【0053】
カテーテル先端部に対する安全領域、安全挿入期間及び安全挿入方向の設定が終了したならば、安全性判定部20の先端位置判定部201は、位置情報変換部19から供給されたカテーテル先端部のボリュームデータにおける位置情報(位置)と安全領域設定部13から供給されたカテーテル先端部の右心房における安全領域の情報とに基づいて右心房内に配置されたカテーテル先端部の位置に対する安全性を判定し、安全性判定部20の挿入方向判定部202は、位置情報変換部19から供給されたカテーテル先端部のボリュームデータにおける位置情報(位置及び方向)と安全挿入方向設定部15から供給されたカテーテル先端部の欠損孔に対する安全挿入方向の情報に基づいてカテーテル先端部の挿入方向に対する安全性を判定する。
【0054】
又、安全性判定部20の挿入時刻判定部203は、位置情報変換部19を介して供給されたX線画像データの心拍時相と安全挿入期間設定部16から供給されたカテーテル先端部の欠損孔に対する安全挿入期間の情報とに基づいてカテーテル先端部の挿入時刻(挿入タイミング)に対する安全性を判定する(図9のステップS11)。
【0055】
次に、安全領域ガイド生成部21は、位置情報変換部19から供給されたボリュームデータとX線画像データとの座標変換情報に基づき、安全領域設定部13において設定されたボリュームデータに対応する3次元の安全領域を座標変換してX線画像データに対応した2次元の安全領域ガイドを生成する。
【0056】
同様にして、安全挿入ガイド生成部22は、上述の座標変換情報に基づき、安全挿入方向設定部15において設定されたボリュームデータに対応する3次元の安全挿入方向を座標変換してX線画像データに対応した2次元の安全挿入方向データを生成する。次いで、この安全挿入方向データと、安全性判定部20から供給されたカテーテル先端部の位置、挿入方向及び挿入時刻に対する安全性の判定結果とに基づき、カテーテル先端部の挿入に好適な挿入方向及び挿入タイミングを示す安全挿入ガイドを生成する(図9のステップS12)。
【0057】
次いで、ナビゲーション画像データ生成部2は、X線診断装置から供給される所定心拍時相のX線画像データにナビゲーションデータ生成部1において生成された同一心拍時相のナビゲーションデータ(即ち、安全領域ガイド及び安全挿入ガイド)を重畳することによりカテーテル治療に有効なナビゲーション画像データを生成し、得られたナビゲーション画像データを表示部3のモニタに表示する(図9のステップS13)。
【0058】
次いで、X線診断装置から上述のX線画像データに後続して順次供給されるX線画像データに対しても上述のステップS6乃至ステップS13の手順を繰り返すことにより時系列的なナビゲーション画像データの生成と表示を行なう(図9のステップS6乃至ステップS13)。
【0059】
以上述べた本開示の実施形態によれば、右心房に挿入されたカテーテルによる心房中隔欠損孔の治療を安全かつ正確に実行させることが可能な精度の高いナビゲーション画像データを容易に得ることができる。
【0060】
特に、心腔内に挿入されたカテーテル先端部に対する安全領域をナビゲーション画像データにおいて示すことにより、拍動する心腔内壁とカテーテル先端部との衝突頻度を大幅に低減することができる。又、前記カテーテル先端部の心房中隔欠損孔に対する安全挿入方向及び安全挿入タイミングを示す安全挿入ガイドを前記ナビゲーション画像データにおいて示すことにより、欠損孔に対するカテーテル先端部の挿入を短時間かつ正確に行なうことができ、欠損孔近傍の心腔内壁に対する損傷や穿孔を防止することが可能となる。
【0061】
又、ナビゲーション画像データにおける安全挿入ガイドは、カテーテル先端部の位置、挿入方向及び挿入時刻に対する安全性の判定結果に基づいて示されるため、カテーテル先端部の挿入に必要は所定の安全性が確保された挿入タイミングを容易に把握することができる。
【0062】
更に、カテーテル先端部に対する安全挿入方向の設定は、X線画像データの座標系からボリュームデータの座標系へ変換された当該カテーテル先端部の位置情報に基づいて行なわれるため、精度の高い安全挿入方向の設定が可能となる。
【0063】
以上、本開示の実施形態について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態では、別途設置されたX線CT装置やMRI装置等の医用画像診断装置からネットワークあるいは記憶媒体を介して供給されたボリュームデータを用いて心房中隔の欠損孔に挿入されるカテーテル先端部の位置、挿入方向及び挿入時刻に対する安全性を判定する医用画像処理装置100について述べたが、上述のボリュームデータは、医用画像診断装置から直接供給されてもよく、又、医用画像診断装置は、X線診断装置あるいは医用画像診断装置の一部であっても構わない。
【0064】
又、上述の実施形態では、心房中隔欠損の治療を目的として右心房内に治療用のカテーテルを挿入する場合について述べたが、治療対象部位は心房中隔欠損に限定されるものではなく、例えば、心室中隔欠損等の他の病変部や疾患部であっても構わない。更に、欠損孔の治療を目的としたカテーテルについて述べたが他の治療あるいは診断を目的としたカテーテルであってもよい。
【0065】
更に、心腔内壁の検出は、ボリュームデータをデータ処理することによって自動的に行なう場合について述べたが、このボリュームデータをレンダリング処理して得られた3次元画像データあるいはMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データの観察下での入力部4の入力デバイスを用いたマニュアル設定によって行なってもよい。
【0066】
又、カテーテル先端部の位置情報は、X線画像データに対する2値化処理によって検出する場合について述べたが、カテーテル先端部等に設けられた位置情報検出器の出力信号に基づいて検出してもよい。
【0067】
一方、上述の実施形態におけるナビゲーションデータ生成部1は、カテーテル先端部の安全領域を示す安全領域ガイドとカテーテル先端部の安全挿入方向及び安全挿入時刻を示す安全挿入ガイドをナビゲーションデータとして生成する場合について述べたが、安全領域ガイドあるいは安全挿入ガイドの何れか一方を用いてナビゲーションデータを生成してもよい。
【0068】
又、上述の実施形態では、カテーテル先端部の挿入時刻が安全挿入期間に含まれない場合、ナビゲーションデータ生成部1は、安全挿入ガイドを生成しない場合について述べたが、安全挿入期間に含まれない場合においても安全挿入ガイドを生成し、この安全挿入ガイドの輝度あるいは色調を挿入時刻に対する安全性の判定結果に対応させて設定/更新してもよい。又、安全挿入ガイドの輝度あるいは色調を安全性判定結果に基づいて設定/更新する替わりに、例えば、図10に示すような安全挿入時刻報知部をナビゲーションデータの近傍に付加し、この安全挿入時刻報知部の輝度あるいは色調を安全性判定結果に基づいて設定/更新してもよい。
【0069】
更に、図11に示すように、カテーテル先端部の方向を示す方向ベクトルGAが付加された安全挿入ガイドGQxを生成し、この方向ベクトルGAの輝度あるいは色調を挿入時刻に対する安全性判定結果に基づいて設定/更新してもよい。
【0070】
又、上述の実施形態では、ナビゲーションデータ生成部1において生成された安全領域ガイド及び安全挿入ガイドを含むナビゲーションデータをX線画像データに重畳してナビゲーション画像データを生成する場合について述べたが、例えば、図12に示すように、カテーテル先端部の位置及び方向に対応した視点及び視線方向を上述のボリュームデータに設定し、前記視点及び前記視線方向に基づくボリュームデータのレンダリング処理により生成した仮想内視鏡画像データImを付加してナビゲーション画像データを生成してもよい。
【0071】
尚、本実施形態に係る医用画像処理装置100の一部は、例えば、コンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、システム制御部5等は、上述のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、システム制御部5は、上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…ナビゲーションデータ生成部
11…ボリュームデータ記憶部
12…心腔内壁検出部
13…安全領域設定部
14…欠損孔検出部
15…安全挿入方向設定部
16…安全挿入期間設定部
17…先端部位置情報検出部
18…位置ズレ検出部
19…位置情報変換部
20…安全性判定部
201…先端位置判定部
202…挿入方向判定部
203…挿入時刻判定部
21…安全領域ガイド生成部
22…安全挿入ガイド生成部
2…ナビゲーション画像データ生成部
3…表示部
4…入力部
5…システム制御部
100…医用画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から予め収集されたボリュームデータに基づいて、心腔内に挿入されたカテーテル先端部に対する安全領域、心腔壁の欠損孔に対する前記カテーテル先端部の好適な挿入方向あるいは挿入タイミングの少なくとも何れかをナビゲーションデータとして生成するナビゲーションデータ生成手段と、
前記カテーテル先端部が挿入された前記患者に対するX線撮影によって収集されるX線画像データに前記ナビゲーションデータを重畳してナビゲーション画像データを生成するナビゲーション画像データ生成手段と、
前記ナビゲーション画像データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記ナビゲーションデータ生成手段は、前記患者の心臓領域から時系列的に収集された複数心拍時相における前記ボリュームデータの各々に対して心腔内壁を検出する心腔内壁検出手段と、前記心腔内壁の検出結果に基づいて前記カテーテル先端部に対する安全領域を設定する安全領域設定手段を備え、前記ボリュームデータの座標系に対応した前記安全領域に基づいて前記X線画像データの座標系に対応した安全領域ガイドを生成することを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記ナビゲーションデータ生成手段は、前記患者の心臓領域から時系列的に収集された複数心拍時相における前記ボリュームデータに基づいて心腔内壁における欠損孔を検出する欠損孔検出手段と、前記複数心拍時相の各々において検出された前記欠損孔の位置情報に基づいて前記カテーテル先端部の前記欠損孔に対する安全挿入期間を設定する安全挿入期間設定手段と、前記欠損孔の位置情報と前記カテーテル先端部の位置情報とに基づいて前記カテーテル先端部の前記欠損孔に対する安全挿入方向を設定する安全挿入方向設定手段と、前記安全挿入方向及び前記安全挿入期間とに基づいて前記カテーテル先端部の前記欠損孔に対する挿入安全性を判定する安全性判定手段を備え、前記挿入安全性の判定結果に基づいて安全挿入ガイドを生成することを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記ナビゲーションデータ生成手段は、前記患者の心臓領域から時系列的に収集された複数心拍時相における前記ボリュームデータの各々に対して心腔内壁を検出する心腔内壁検出手段と、前記心腔内壁の検出結果に基づいて前記カテーテル先端部に対する安全領域を設定する安全領域設定手段を更に備えることを特徴とする請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記安全領域設定手段は、前記心腔内壁検出手段によって生成される前記複数心拍時相の内壁輪郭データに基づいて検出した共通の心腔領域を前記安全領域として設定することを特徴とする請求項2又は請求項4に記載した医用画像処理装置。
【請求項6】
前記欠損孔検出手段は、前記心腔内壁検出手段によって生成された前記内壁輪郭データと予め作成された正常心臓の内壁モデルとの比較によって前記欠損孔を検出することを特徴とする請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記安全挿入期間設定手段は、前記複数心拍時相の各々において検出された前記欠損孔の移動量が所定範囲内にある最も長い期間を前記安全挿入期間として設定することを特徴とする請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記X線画像データにおける前記カテーテル先端部を検出する先端部位置情報検出手段と、検出された前記カテーテル先端部の前記X線画像データの座標系における位置情報を前記ボリュームデータの座標系における位置情報へ変換する位置情報変換手段を備え、前記安全挿入方向設定手段は、前記ボリュームデータにおける前記カテーテル先端部の位置と前記欠損孔検出手段によって検出された欠損孔の位置及び形状とに基づき、欠損孔に対しカテーテル先端部を安全に挿入することが可能な挿入方向の範囲を前記安全挿入方向として設定することを特徴とする請求項8記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記X線画像データにおける前記カテーテル先端部を検出する先端部位置情報検出手段と、検出された前記カテーテル先端部の前記X線画像データの座標系における位置情報を前記ボリュームデータの座標系における位置情報へ変換する位置情報変換手段を備え、前記安全性判定手段は、前記安全領域、前記安全挿入方向あるいは前記安全挿入期間の少なくとも何れかと前記カテーテル先端部の前記ボリュームデータにおける位置情報とに基づいて前記カテーテル先端部の前記欠損孔に対する挿入安全性を判定することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載した医用画像処理装置。
【請求項10】
前記ボリュームデータと前記X線画像データとの位置ズレを検出する位置ズレ検出手段を備え、前記位置情報変換手段は、前記位置ズレの検出結果に基づき、前記カテーテル先端部の前記X線画像データにおける位置情報を前記ボリュームデータに対応した位置情報へ変換することを特徴とする請求項9記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記ナビゲーションデータ生成手段は、前記安全挿入方向に対応した安全挿入方向データにカテーテル先端部の挿入方向を示す方向ベクトルを重畳して前記安全挿入ガイドを生成することを特徴とする請求項3記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記ボリュームデータとこのボリュームデータに設定された前記カテーテル先端部の位置情報とに基づいて仮想内視鏡画像データを生成する仮想内視鏡画像データ生成手段を備え、前記ナビゲーション画像データ生成手段は、前記ナビゲーションデータが重畳されたX線画像データに前記仮想内視鏡画像データを付加して前記ナビゲーション画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
医用画像診断装置によって予め収集されたボリュームデータとX線診断装置によって収集されたX線画像データに基づいて欠損孔の治療に対するナビゲーション画像データを生成する医用画像処理装置に対し、
患者から収集された複数心拍時相の前記ボリュームデータに対して心腔内壁を検出する心腔内壁検出機能と、
前記心腔内壁の検出結果に基づいて心腔内に挿入されたカテーテル先端部に対する安全領域を設定する安全領域設定機能と、
前記安全領域を示す安全領域ガイドをナビゲーションデータとして生成するナビゲーションデータ生成機能と、
前記X線画像データに前記ナビゲーションデータを重畳してナビゲーション画像データを生成するナビゲーション画像データ生成機能と、
前記ナビゲーション画像データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項14】
医用画像診断装置によって予め収集されたボリュームデータとX線診断装置によって収集されたX線画像データに基づいて欠損孔の治療に対するナビゲーション画像データを生成する医用画像処理装置に対し、
患者から収集された複数心拍時相の前記ボリュームデータに基づいて心腔内壁における欠損孔を検出する欠損孔検出機能と、
前記複数心拍時相の各々において検出された前記欠損孔の位置情報に基づいて心腔内に挿入されたカテーテル先端部の前記欠損孔に対する安全挿入期間を設定する安全挿入期間設定機能と、
前記欠損孔の位置情報と前記カテーテル先端部の位置情報とに基づいて前記カテーテル先端部の前記欠損孔に対する安全挿入方向を設定する安全挿入方向設定機能と、
前記安全挿入方向と前記安全挿入期間とに基づいて前記カテーテル先端部の前記欠損孔に対する挿入安全性を判定する安全性判定機能と、
前記挿入安全性の判定結果に基づいて前記欠損孔に対する前記カテーテル先端部の好適な挿入方向及び挿入タイミングを示す安全挿入ガイドをナビゲーションデータとして生成するナビゲーションデータ生成機能と、
前記X線画像データに前記ナビゲーションデータを重畳してナビゲーション画像データを生成するナビゲーション画像データ生成機能と、
前記ナビゲーション画像データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−81202(P2012−81202A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231952(P2010−231952)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】