説明

医用画像処理装置及び医用画像処理方法

【課題】複雑な形状を持ち、濃度値に変化がある領域を関心領域とする場合においても、複雑な操作なしに高精度に効率良く領域を抽出することが可能な医用画像処理装置等を提供する。
【解決手段】CPU2は、処理対象の医用画像データを読み込み(ステップS101)、抽出開始領域を設定し(ステップS102)、抽出条件を設定し(ステップS103)、抽出開始領域から抽出条件に従って、領域拡張法を用いて領域抽出を行う(ステップS104)。ステップS109では、CPU2は、複数世代の抽出結果に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定する。抽出溢れが発生していると決定した場合には(ステップS109のYES)、抽出条件を変更すると決定するとともに、一部の世代の抽出結果を破棄すると決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置、MRI装置、超音波装置等の医用画像撮像装置から得られる医用画像を用いる医用画像処理装置等に関し、特に、画像データから特定の領域を高精度に効率よく抽出するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医用画像データを用いて、個別臓器や病巣など(以下、「関心領域」と称する。)を抽出する領域抽出手法が知られている。特に、関心領域を抽出するためのパラメータを自動的に検出する手法としては、特許文献1に開示されている手法がある。
特許文献1では、関心領域の内部の点から領域拡張を行う手法(以下、「領域拡張法」と称する。)を用いている。領域拡張法は、操作者等が設定する初期領域から出発し、初期領域に連結している点を隣接画素の中から探索し、連結点を取り込んで領域を拡大することにより関心領域を抽出するものである。
【0003】
特許文献1では、操作者が設定する開始点から予め設定される初期領域内の画素の濃度値に関する特徴量を検出し、検出される特徴量を用いて領域拡張を行い、拡張される領域内の画素の濃度値について、再び、特徴量を検出し、新たに検出される特徴量に従って領域の拡張を行う処理を繰り返し、収束条件を満たすときの特徴量によって拡張条件を決定している。
特許文献1の手法によって決定される拡張条件を用いる抽出処理は、均一な濃度値を持つ領域を対象とする場合において有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−172829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法によって決定される拡張条件は、領域拡張の過程において一定である。一定の拡張条件を用いる領域拡張処理では、例えば、造影された冠動脈領域等、複雑な構造を持ち、濃度値にばらつきを持つ領域については、精度良く領域を抽出することができない。このような領域を精度良く抽出するためには、領域拡張の過程において、抽出溢れや抽出洩れなどの状態を確認し、適切な拡張条件に変更する処理を繰り返す必要がある。ここで、「抽出溢れ」とは、関心領域の外の画素まで抽出されてしまう状態である。また、「抽出洩れ」とは、関心領域よりも狭い領域しか抽出されていない状態である。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、複雑な形状を持ち、濃度値に変化がある領域を関心領域とする場合においても、複雑な操作なしに高精度に効率良く領域を抽出することが可能な医用画像処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために第1の発明は、医用画像データから関心領域を抽出する医用画像処理装置であって、処理対象の医用画像データを入力する画像入力部と、前記医用画像データの抽出開始領域を設定する抽出開始領域設定部と、前記医用画像データから関心領域を抽出するための抽出条件を設定する抽出条件設定部と、前記抽出開始領域を最初の世代とし、前記抽出条件に基づいて領域抽出処理を繰り返し実行し、1回の前記領域抽出処理によって抽出される画素の集合を1世代分として複数世代の抽出結果を記憶する領域抽出処理部と、前記抽出結果に基づいて前記領域抽出処理を継続するか否かを決定する決定部と、前記抽出結果に基づいて前記関心領域が識別可能な画像を表示する表示部と、を備え、前記抽出条件設定部は、前記複数世代の抽出結果に基づいて、前記抽出条件を更新することを特徴とする医用画像処理装置である。
【0008】
第2の発明は、医用画像データから関心領域を抽出する医用画像処理方法であって、処理対象の医用画像データを入力する画像入力ステップと、前記医用画像データの抽出開始領域を設定する抽出開始領域設定ステップと、前記医用画像データから関心領域を抽出するための抽出条件を設定する抽出条件設定ステップと、前記抽出開始領域を最初の世代とし、前記抽出条件に基づいて領域抽出処理を繰り返し実行し、1回の前記領域抽出処理によって抽出される画素の集合を1世代分として複数世代の抽出結果を記憶する領域抽出処理ステップと、前記抽出結果に基づいて前記領域抽出処理を継続するか否かを決定する決定ステップと、前記抽出結果に基づいて前記関心領域が識別可能な画像を表示する表示ステップと、を備え、前記決定ステップが、前記領域抽出処理を継続すると決定した場合には、前記抽出条件設定ステップから処理を繰り返し、前記複数世代の抽出結果に基づいて、前記抽出条件を更新することを特徴とする医用画像処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、複雑な形状を持ち、濃度値に変化がある領域を関心領域とする場合においても、複雑な操作なしに高精度に効率良く領域を抽出することが可能な医用画像処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】医用画像処理装置1のハードウエア構成図
【図2】第1の実施の形態における領域抽出処理の流れを示すフローチャート
【図3】領域抽出処理における世代を説明する為の図
【図4】任意の断面における領域拡張を示す図
【図5】抽出溢れの判定条件を説明する為の図
【図6】第2の実施の形態における領域抽出処理の流れを示すフローチャート
【図7】抽出溢れ発生時の画面表示例
【図8】抽出領域破棄時の画面表示例
【図9】抽出条件変更・抽出再開時の画面表示例
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
最初に、図1を参照しながら、全ての実施形態に共通する医用画像処理装置1の構成を説明する。
【0012】
図1に示すように、医用画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)2、主メモリ3、記憶装置4、表示メモリ5、表示装置6、マウス8が接続されるコントローラ7、キーボード9、ネットワークアダプタ10が、システムバス11によって信号送受可能に接続されて構成される。医用画像処理装置1は、ネットワーク12を介して医用画像撮像装置13や医用画像データベース14と信号送受可能に接続される。ここで、「信号送受可能に」とは、電気的、光学的に有線、無線を問わずに、相互にあるいは一方から他方へ信号送受可能な状態を意味する。
【0013】
CPU2は、各構成要素の動作を制御する装置である。CPU2は、記憶装置4に格納されるプログラムやプログラム実行に必要なデータを主メモリ3にロードして実行する。記憶装置4は、医用画像撮像装置13により撮影された医用画像データを格納する装置であり、具体的にはハードディスク等である。また、記憶装置4は、フレシキブルディスク、光(磁気)ディスク、ZIPメモリ、USBメモリ等の可搬性記録媒体とデータの受け渡しをする装置であっても良い。医用画像データは、LAN(Local
Area Network)等のネットワーク12を介して医用画像撮像装置13や医用画像データベース14から取得される。また、記憶装置4には、CPU2が実行するプログラムやプログラム実行に必要なデータが格納される。主メモリ3は、CPU2が実行するプログラムや演算処理の途中経過を記憶するものである。
【0014】
表示メモリ5は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置6に表示するための表示データを一時格納するものである。マウス8やキーボード9は、操作者が医用画像処理装置1に対して操作指示を行う操作デバイスである。マウス8はトラックパッドやトラックボールなどの他のポインティングデバイスであっても良い。コントローラ7は、マウス8の状態を検出して、表示装置6上のマウスポインタの位置を取得し、取得した位置情報等をCPU2へ出力するものである。ネットワークアダプタ10は、医用画像処理装置1をLAN、電話回線、インターネット等のネットワーク12に接続するためのものである。
尚、表示装置6、コントローラ7、マウス8及びキーボード9は、表示装置と入力装置(マウス8やキーボード9等)の両方の機能を備えるタッチパネルディスプレイとしても良い。
【0015】
医用画像撮像装置13は、被検体の断層画像等の医用画像データを撮影する装置である。医用画像撮像装置13は、例えば、MRI装置、X線CT装置、超音波診断装置、シンチレーションカメラ装置、PET装置、SPECT装置等である。医用画像データベース14は、医用画像撮像装置13によって撮影される医用画像データを記憶するデータベースシステムである。
CPU2が後述する処理を実行することにより、観察対象となる関心領域が抽出され、関心領域が識別可能な画像が作成され、作成される画像が表示装置6に表示される。
【0016】
医用画像処理装置1は、各種のハードウエアと記憶装置4に格納されるプログラムが協働することにより、医用画像データから関心領域を抽出し、ユーザに提示するための各種の機能を備える。
具体的には、医用画像処理装置1は、処理対象の医用画像データを入力する画像入力部、医用画像データの抽出開始領域を設定する抽出開始領域設定部、医用画像データから関心領域を抽出するための抽出条件を設定する抽出条件設定部、抽出条件に基づいて領域抽出処理を実行し、抽出結果を記憶する領域抽出処理部、抽出結果に基づいて領域抽出処理を継続するか否かを決定する決定部、抽出結果に基づいて関心領域が識別可能な画像を表示する表示部を備える。
【0017】
<第1の実施の形態>
図2〜図5、図7〜図9を参照しながら、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、医用画像処理装置1のCPU2(決定部)は、領域抽出処理を継続するか否か、抽出条件を変更するか否か、及び、一部の抽出結果を破棄するか否かについて、自動的に決定する。以下では、これらを自動的に決定するモードを、「自動決定モード」と称する。
【0018】
図2に示すように、医用画像処理装置1のCPU2(画像入力部)は、医用画像撮像装置13又は医用画像データベース14から取得される処理対象の医用画像データを読み込む(ステップS101)。
【0019】
次に、CPU2(抽出開始領域設定部)は、処理対象の医用画像データの濃度値の分布や形状を解析し、抽出開始領域を設定する(ステップS102)。例えば、関心領域が冠動脈の場合、CPU2は、スライス内の一定の濃度値を持つ連続領域を抽出して、連続領域の円形度と位置情報から上行大動脈の一部を検出して、抽出開始領域を設定する。また、CPU2は、ユーザが入力装置(マウス8やキーボード9等)を介して指定する領域を抽出開始領域として設定しても良い。
【0020】
次に、CPU2(抽出条件設定部)は、ステップS102において設定される抽出開始領域を基に抽出条件を算出する(ステップS103)。本発明の実施の形態では、抽出条件の算出処理は、特に限定しない。例えば、「特開2000−172829号公報」(特許文献1)に記載の手法によって定義しても良いし、その他の公知の手法によって定義しても良い。
【0021】
次に、CPU2(領域抽出処理部)は、ステップS102において設定される抽出開始領域からステップS103において算出される抽出条件に従って、領域拡張法を用いて1世代分の領域抽出を行う(ステップS104)。
CPU2は、抽出開始領域を最初の世代とし、抽出条件に基づいて領域抽出処理を繰り返し実行し、1回の領域抽出処理によって抽出される画素の集合を1世代分として複数世代の抽出結果を記憶装置4に記憶する。
【0022】
図3には、血管を関心領域とした場合の各世代の抽出結果を模式的に示している。例えば、20が抽出開始領域(第0世代)、21が第1世代、22が第2世代、23が第3世代、24が第4世代である。
図3のグラフは、横軸を世代、縦軸を各世代の画素数(増分のみの画素数)とし、正常な血管の傾向を示している。図3に示すように、正常な血管であれば、分岐部を無視すると、世代が進むごとに画素数が単調減少する。本発明の実施の形態では、このような知見を生かし、後述するように領域拡張法における抽出溢れや抽出洩れの検出を行う。
【0023】
図4は、任意の断面における領域拡張を示している。ステップS104では、CPU2は、1つ前の世代の領域に対する隣接画素の中から、抽出条件を満たす画素を探索し、新たな世代の領域として抽出していく。
図4では、N(Nは正の整数)を注目している世代とすると、25が第(N−2)世代、26が第(N−1)世代、27が第N世代である。第(N−2)世代は、4個の画素を含んでいる。第(N−1)世代は、第(N−2)世代に対する全ての隣接画素を含み、8個の画素を含んでいる。第N世代は、第(N−1)に対する一部の隣接画素を含み、9個の画素を含んでいる。
【0024】
尚、前述の説明では、ステップS104において、CPU2は、1世代分の領域抽出を行うとしたが、複数世代分の領域抽出を纏めて行っても良い。すなわち、CPU2は、ステップS104において、複数世代分(例えば、3世代分)の領域抽出を行った後、ステップS105に進むようにしても良い。これによって、後述するステップS105〜ステップS107、ステップS109〜ステップS112が実行される回数を減らすことができ、全体の処理を高速化することができる。
【0025】
図2の説明に戻る。
次に、CPU2(決定部)は、ステップS104における抽出結果に基づいて、抽出停止の判定を行うかどうか決定する(ステップS105)。具体的には、CPU2は、ステップS104における抽出結果(注目している世代の抽出結果)の抽出画素数と閾値を比較し、閾値以下の場合には(ステップS105のYES)、ステップS106に進む。また、CPU2は、閾値より多い場合には(ステップS105のNO)、領域抽出処理を継続すると決定し、ステップS109に進む。
ここで、閾値は、例えば「0」である。この場合、CPU2は、注目している世代の抽出結果が0の場合にはステップS106に進み、0でない場合にはステップS109に進む。
【0026】
尚、ステップS104において、CPU2が、複数世代分の領域抽出を纏めて行った場合、ステップS105では、CPU2は、記憶装置10が記憶している最後の世代の抽出結果の抽出画素数と閾値を比較する。
【0027】
ステップS106では、CPU2(決定部)は、抽出洩れが発生しているか否かを決定する。具体的には、CPU2は、予め設定される終了条件を満たしているか否かを決定する。
CPU2(決定部)は、終了条件を満たしていると決定した場合には(ステップS106のNO)、領域抽出処理を終了すると決定する。そして、CPU2(表示部)は、抽出結果に基づいて関心領域が識別可能な画像データを表示メモリ5に設定し、表示装置6に表示する(ステップS108)。
また、CPU2(決定部)は、終了条件を満たしていないと決定した場合には(ステップS106のYES)、抽出洩れが発生していると決定する。そして、CPU2(抽出条件設定部)は、抽出条件を緩める(変更する)(ステップS107)。抽出条件を緩める度合は、予め抽出条件のパラメータの刻み幅を設定しておけば良い。ここでは、CPU2は、処理を簡単にするため(高速化するため)に、設定された刻み幅を用いて抽出条件を緩めているが、抽出洩れが発生していると決定される前の数世代の平均濃度値を解析して抽出条件を設定しても良いし、抽出洩れが発生する直前に抽出された画素の周辺の画素を解析して抽出条件を決定しても良い。
【0028】
ここで、予め設定される終了条件について説明する。
第1の終了条件は、例えば、図7〜図9の38(38a〜38c)に図示されている抽出条件の大局パラメータが、予め設定されている上限値又は下限値に到達することである。ここで、大局パラメータとは、抽出領域内の濃度値の最大値及び最小値である。従って、第1の終了条件は、抽出条件の大局パラメータとして、抽出領域内の濃度値の最大値が予め設定されている上限値に到達しているか、又は、最小値が予め設定されている下限値に到達しているか、のいずれかである。尚、図7〜図9の説明は後述する。
第2の終了条件は、ステップS105において、所定回数連続して、注目している世代の抽出結果の抽出画素数が閾値以下と判定されることである。
第3の終了条件は、予め設定されている特定の画素が抽出されることである。特定の画素は、ユーザが、入力装置等を介して指定しても良いし、CPU2が自動的に設定しても良い。この場合、特定の画素は、関心領域と抽出禁止領域の境界の役割を果たすことになる。
本発明の実施の形態では、第1の終了条件から第3の終了条件のいずれを用いても良いし、複数の条件を組み合わせて用いても良いし、その他の終了条件を用いても良い。
【0029】
図2の説明に戻る。
ステップS109に進む場合、CPU2は、領域抽出処理を継続すると決定済である。ステップS109では、CPU2(決定部)は、抽出結果の抽出画素数の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定する。
【0030】
ここで、図5を参照しながら、抽出溢れが発生しているか否かの決定処理に係る判定条件(抽出溢れの判定条件)について説明する。
図5(a)では、横軸を抽出過程(世代)、縦軸を画素数とし、画素数の変化を示している。図5(a)に示すように、抽出過程において世代毎に抽出画素数の推移を観察し、それまでの推移と異なる急激な変化等があれば、抽出溢れが発生したものとみなすことができる。
急激な変化を見つける為に、CPU2は、例えば、複数世代(例えば、3世代)の抽出結果の抽出画素数の移動平均を算出し、直近の移動平均値と、直近よりも前の移動平均値との差が閾値以上の場合には、抽出溢れが発生していると決定する。1世代の抽出結果に基づいて抽出溢れが発生しているか否かを決定する手法と比較すると、本発明の実施の形態による手法では、抽出溢れの判定精度が格段に向上する。
そして、適切なタイミングにおいて抽出条件の更新を実行することができ、ひいては、複雑な形状を持ち、濃度値に変化がある領域を関心領域とする場合においても、高精度に効率良く領域を抽出することができる。
【0031】
また、図5(b)では、横軸を抽出過程(世代)、縦軸を平均濃度値とし、世代ごとの平均濃度値の変化を示している。図5(b)に示すように、抽出過程において世代毎に平均濃度値の推移を観察し、それまでの推移と異なる急激な変化等があれば、抽出溢れが発生したものとみなすことができる。ここで、抽出溢れの発生の判定条件は、平均濃度値の「急激な」変化でなくても良い。例えば、CPU2は、予め設定された濃度値を下回ったり、上回ったりした場合に、抽出溢れが発生していると判定しても良い。
そこで、CPU2は、抽出結果の抽出画素数の変化に加えて、抽出結果の平均濃度値の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定するようにしても良い。
CPU2は、例えば、複数世代(例えば、3世代)の抽出結果の平均濃度値の移動平均を算出し、直近の移動平均値と、直近よりも前の移動平均値との差が閾値以上の場合には、抽出溢れが発生していると決定しても良い。
また、CPU2は、例えば、移動平均に代えて、抽出結果の平均濃度値の微分値を算出し、微分値の絶対値が閾値以上の場合には、抽出溢れが発生していると決定しても良い。
【0032】
例えば、冠動脈領域の抽出において、分岐部や瘤が存在する箇所では、画素数の推移がそれまでと異なる変化をする場合がある。この場合、分岐部や瘤も冠動脈領域として抽出したいが、CPU2が画素数の変化だけに基づいて抽出溢れが発生しているか否かを決定すると、分岐部や瘤を抽出溢れとみなしてしまい、分岐部や瘤が関心領域として抽出されなくなってしまう。このように、画素数の変化だけでは意図しない領域への抽出溢れなのか、又は関心領域を正しく抽出しているのかという区別ができない場合がある。
このような場合であっても、抽出溢れの判定条件として、抽出結果の平均濃度値の変化を加えることによって、抽出溢れの判定精度が向上する。
【0033】
例えば、冠動脈領域の抽出において、心筋の画素へ溢れが広がってしまった場合、平均濃度値がより低い値を示すことが考えられるので、抽出溢れの判定条件に抽出結果の平均濃度値の変化を加えることによって、冠動脈領域(分岐部や瘤が存在する箇所を含む。)と、心筋との区別が可能になる。
また、例えば、冠動脈領域の抽出において、冠動脈領域と骨領域が接しており、骨領域の画素へ溢れが広がってしまった場合、平均濃度値がより高い値を示すことが考えられるので、抽出溢れの判定条件に抽出結果の平均濃度値の変化を加えることによって、冠動脈領域と、骨領域との区別が可能になる。
【0034】
前述した抽出溢れの判定条件の他に、抽出過程における抽出領域の形状を解析することによって、抽出溢れが発生しているか否かを決定しても良い。
例えば、CPU2は、血管の抽出において、血管の断面の円形度の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定しても良い。この場合、CPU2は、血管の断面の円形度が急激に変化した場合には、抽出溢れが発生していると決定する。
また、例えば、CPU2は、血管の抽出において、世代ごとに重心座標を算出し、世代数が連続する世代同士(例えば、第0世代と第1世代、第1世代と第2世代、第2世代と第3世代、・・・)の重心座標によって定義されるベクトルを算出し、ベクトルの方向の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定しても良い。この場合、CPU2は、ベクトルの方向が急激に変化した場合には、抽出溢れが発生していると決定する。
これらは、下肢血管等、直線的かつ変化の少ない構造を持つ領域の抽出において有用と考えられる。
【0035】
図2の説明に戻る。
CPU2(決定部)は、抽出溢れが発生していると決定した場合には(ステップS109のYES)、ステップS110に進み、抽出溢れが発生していないと決定した場合には(ステップS109のNO)、ステップS104から処理を繰り返す。
【0036】
ステップS110に進む場合、抽出溢れが発生していると決定済である。ステップS110では、CPU2(決定部)は、抽出条件を変更すると決定するとともに、一部の世代(抽出溢れが発生している世代)の抽出結果を破棄すると決定する。
そして、CPU2(抽出条件設定部)は、抽出条件を厳しくし(変更し)(ステップS110)、CPU2(抽出開始領域設定部)は、抽出溢れが発生している世代の抽出結果を破棄し(ステップS111)、破棄されていない世代までの抽出結果を抽出開始領域として再設定し(ステップS112)、ステップS104から処理を繰り返す。抽出条件を厳しくする度合は、予め抽出条件のパラメータの刻み幅を設定しておけば良い。ここでは、CPU2は、処理を簡単にするため(高速化するため)に、設定された刻み幅を用いて抽出条件を厳しくしているが、抽出溢れが発生していると決定される前の数世代の平均濃度値を解析して抽出条件を設定しても良いし、抽出溢れが発生する直前に抽出された画素の周辺の画素を解析して抽出条件を決定しても良い。
【0037】
尚、図2では、説明を分かり易くする為に、ステップS111とステップS112は、2つのステップに分けて図示しているが、CPU2が実際に行う内部処理としては、両者を分けて考える必要はない。すなわち、CPU2が、抽出溢れが発生している世代の抽出結果のメモリ領域を解放する(抽出溢れが発生している世代の抽出結果を破棄する)ことによって、結果として、破棄されていない世代の中で最新の世代の抽出結果が抽出開始領域として再設定される。例えば、CPU2が、最後に抽出された世代であるNの抽出結果を破棄すると、1つ前の世代であるN−1の抽出結果が抽出開始領域として新たに設定される。
【0038】
尚、ステップS104において、CPU2が、複数世代分の領域抽出を纏めて行った場合、ステップS111では、CPU2は、複数回の領域抽出処理に基づく複数世代の抽出結果の中から、抽出開始領域の再設定の基準となる世代の抽出結果を特定する。
例えば、3世代分(N−2、N−1、N)の領域抽出を纏めて行った場合において、抽出溢れが発生している世代が、N−1及びNであった場合、CPU2は、N−1及びNの世代の抽出結果を破棄し、N−2の世代の抽出結果を抽出開始領域として再設定する。
【0039】
以上、第1の実施の形態に係る医用画像処理装置1は、複雑な形状を持ち、濃度値に変化がある領域を関心領域とする場合においても、複雑な操作なしに高精度に効率良く領域を抽出することが可能となる。
【0040】
<第2の実施の形態>
次に、図6〜図9を参照しながら、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、医用画像処理装置1のCPU2(決定部)は、ユーザによって入力装置等を介して入力される指示データに基づいて、領域抽出処理を継続するか否か、抽出条件を変更するか否か、及び、一部の抽出結果を破棄するか否かについて、手動的に決定する。以下では、これらを手動的に決定するモードを、「手動決定モード」と称する。
【0041】
図6に示すように、医用画像処理装置1のCPU2(画像入力部)は、医用画像撮像装置13又は医用画像データベース14から取得される処理対象の医用画像データを読み込む(ステップS201)。
【0042】
次に、CPU2(表示部)は、抽出領域が重畳されていない画像データ、すなわち、ステップS201において読み込まれる処理対象の医用画像データを表示メモリ5に設定し、表示装置6に表示する(ステップS202)。
例えば、CPU2は、図7〜図9に図示される31(31a〜31c)、32(32a〜32c)、33(33a〜33c)として、処理対象の医用画像データを表示する。また、CPU2は、図7〜図9に図示される34(34a〜34c)として、処理対象(抽出領域が反映される前)の3次元画像データを表示しても良い。尚、図7〜図9の説明は後述する。
【0043】
次に、CPU2(抽出開始領域設定部)は、医用画像撮像装置13又は医用画像データベース14から取得される抽出開始領域データを読み込む(ステップS203)。また、CPU2は、ユーザが入力装置(マウス8やキーボード9等)を介して指定する領域を抽出開始領域データとして読み込んでも良い。
【0044】
次に、CPU2(抽出条件設定部)は、ステップS203において読み込まれる抽出開始領域データを基に抽出条件を設定する(ステップS204)。また、CPU2は、ユーザが入力装置(マウス8やキーボード9等)を介して指定するパラメータの値を抽出条件として設定しても良い。
【0045】
次に、CPU2(領域抽出処理部)は、ステップS202において読み込まれる抽出開始領域データからステップS204において設定される抽出条件に従って、領域拡張法を用いて1世代分の領域抽出を行う(ステップS205)。
CPU2は、抽出開始領域を最初の世代とし、抽出条件に基づいて領域抽出処理を繰り返し実行し、1回の領域抽出処理によって抽出される画素の集合を1世代分として複数世代の抽出結果を記憶装置4に記憶する。
尚、CPU2は、1世代分の領域抽出を行うとしたが、第1の実施の形態と同様、複数世代分の領域抽出を纏めて行っても良い。
【0046】
次に、CPU2(表示部)は、ステップS205の領域抽出処理による抽出結果を表示装置6に表示する(ステップS206)。
そして、CPU2(決定部)は、ユーザによって入力装置等を介して入力される指示データに基づいて、抽出停止の判定を行うかどうか決定する(ステップS207)。また、ステップS207では、CPU2は、第1の実施の形態と同様、自動的に抽出停止の判定を行うかどうか決定しても良い。
CPU2(決定部)が、抽出停止の判定を行うと決定した場合(ステップS207のYES)、ステップS208に進み、抽出停止の判定を行わないと決定した場合(ステップS207のNO)、ステップS205から処理を繰り返す。
【0047】
ステップS208では、CPU2(決定部)は、ユーザによって入力装置等を介して入力される指示データに基づいて、抽出条件の変更を行うかどうか決定する(ステップS207)。
CPU2(決定部)が、抽出条件の変更を行うと決定した場合(ステップS208のYES)、CPU2(抽出条件設定部)は、ユーザによって入力装置等を介して入力される指示データに基づいて、抽出条件の変更を行い(ステップS209)、ステップS210に進む。
CPU2(決定部)が、抽出条件の変更を行わないと決定した場合(ステップS208のNO)、ステップS210に進む。
【0048】
図7は、関心領域を冠動脈として領域抽出処理を行い、抽出溢れが発生した場合の画面表示例である。
31a〜33aは、処理対象の断面画像(斜線部は抽出領域)を示している。31a〜33aは、例えば、アキシャル、コロナル、サジタルの直交3断面の画像である。また、31a〜33aは、任意の断面のMPR画像としても良い。
34aは、処理対象の3次元画像(斜線部は抽出領域)を示している。
【0049】
35aは、抽出結果の世代ごとの画素数の変化を表すグラフである。
36aは、抽出結果の世代ごとの平均濃度値の変化を表すグラフである。36aにおける左右方向に伸びる2本の点線は、抽出条件の大局パラメータ、すなわち、濃度値の最大値及び最小値を示している。
【0050】
37aは、抽出結果を世代ごとに破棄するためのスクロールバーである。36aにおける上下方向に伸びる1本の点線は、37aのスクロールバーに連動して移動する。ユーザは、破棄させたい世代が、この点線よりも右側に位置するように、37aのスクロールバーを摺動させる。そして、CPU2は、ユーザによる指示に基づいて、抽出結果を破棄する世代を決定する。
すなわち、CPU2は、画素数や平均濃度値の変化を表すグラフに重ねて、世代の位置を示すオブジェクトを表示し、オブジェクトの位置に基づいて、抽出結果を破棄する世代を決定する。
【0051】
38aは、抽出条件の大局パラメータ及び局所パラメータを設定する操作パネルである。前述の通り、抽出条件の大局パラメータは、抽出領域内の濃度値の最大値及び最小値である。大局パラメータは、抽出領域の大局的変化を判定するための基準値となる。また、抽出条件の局所パラメータは、抽出領域内の隣接画素間の誤差の平均値(平均誤差)に重みをかけた値である。局所パラメータは、抽出領域の局所的変化を判定するための基準値となる。
【0052】
38aの操作パネルでは、数値入力ボックス(「Upper」、「Lower」、「+」、「−」)において値を直接指定することができる。また、38aの操作パネルでは、「厳しくする」ボタン及び「緩める」ボタンを選択することによって、第1の実施の形態と同様、CPU2に対して自動的に値を算出させることもできる。
【0053】
例えば、ユーザが、入力装置によって「厳しくする」ボタンを選択すると、CPU2は、予め設定されているパラメータの刻み幅α(α>0)に基づいて、大局パラメータを「Upper−α」、「Lower+α」に設定する。
また、例えば、ユーザが、入力装置によって「緩める」ボタンを選択すると、CPU2は、予め設定されているパラメータの刻み幅β(β>0)に基づいて、大局パラメータを「Upper+β」、「Lower−β」に設定する。また、CPU2は、前述の通り、抽出洩れや抽出溢れが発生していると決定される前の数世代の平均濃度値を解析して抽出条件を設定しても良いし、抽出洩れや抽出溢れが発生する直前に抽出された画素の周辺の画素を解析して抽出条件を決定しても良い。
【0054】
また、ユーザが、入力装置によって「厳しくする」ボタン又は「緩める」ボタンを選択した場合、CPU2は、「Upper」又は「Lower」のいずれか一方のみの値を変更するようにしても良い。
また、ユーザが、入力装置によって「厳しくする」ボタンを選択した場合、CPU2は、局所パラメータの「+」と「−」の値を小さくするようにしても良い。また、ユーザが、入力装置によって「緩める」ボタンを選択した場合、CPU2は、局所パラメータの「+」と「−」の値を大きくするようにしても良い。
【0055】
39は、抽出処理の停止、再開を指示する為のボタンである。40は、抽出を終了するためのボタンである。
【0056】
図7に示すように、CPU2は、ステップS205における領域抽出処理を終えると、抽出結果の抽出画素数の変化や平均濃度値の変化をグラフ表示する。これによって、ユーザは、第1の実施の形態における自動決定モードと同様、1世代の抽出結果だけを参照して抽出溢れなどが発生しているか否かを判断する場合と比較すると、判断精度が格段に向上する。
そして、適切なタイミングにおいて抽出条件の更新を実行することができ、ひいては、複雑な形状を持ち、濃度値に変化がある領域を関心領域とする場合においても、高精度に効率良く領域を抽出することができる。
【0057】
図7の34aを見れば分かるように、冠動脈領域から、心筋の画素へ抽出溢れが広がってしまっている。このことは、35aにおいて、画素数が急激に増えていることや、36aにおいて、平均濃度値が急激に小さくなった後、小さい値のまま変化していないことから、定量的に明確に把握することができる。
そこで、ユーザは、入力装置を介して、大局パラメータや局所パラメータの値を直接変更する、又は「厳しくする」ボタンを選択することによって、抽出条件の変更を指示する。
【0058】
図6の説明に戻る。
ステップS210では、CPU2(決定部)は、ユーザによって入力装置等を介して入力される指示データに基づいて、抽出領域の破棄を行うかどうか決定する。
CPU2(決定部)が、抽出領域の破棄を行うと決定した場合(ステップS210のYES)、CPU2(抽出領域設定部)は、ユーザによって入力装置等を介して入力される指示データに基づいて、抽出領域の破棄を行い(ステップS211)、破棄されていない世代までの抽出結果を抽出開始領域として再設定し(ステップS212)、ステップS213に進む。
CPU2(決定部)が、抽出領域の破棄を行わないと決定した場合(ステップS210のNO)、ステップS213に進む。
【0059】
ステップS213では、CPU2(決定部)は、ユーザによって入力装置等を介して入力される指示データに基づいて、すなわち、抽出条件の変更や抽出領域の破棄が指示されたか否かに基づいて、抽出処理を終了するかどうか決定する。
CPU2(決定部)が、抽出処理を終了すると決定した場合(ステップS213のYES)、処理を終了する。
CPU2(決定部)が、抽出処理を終了しないと決定した場合(ステップS213のNO)、ステップS205から処理を繰り返す。
【0060】
図8は、抽出領域の破棄を行った場合の画面表示例である。
ユーザは、図7に示す37aのスクロールバーを、図8に示す37bのスクロールバーの位置になるまで左側に摺動させて、抽出領域の破棄を指示している。
図8に示す例では、ユーザは、35bにおいて画素数が急激に増えている世代や、36bにおいて平均濃度値が急激に小さくなった世代までの抽出領域の破棄を指示している。
31b〜34bは、それぞれ、破棄された世代の抽出領域が表示されていない。これによって、ユーザは、抽出領域の破棄結果をリアルタイムに確認することができる。
35b、36bは、世代の位置を示すオブジェクト(上下方向に伸びる1本の点線)の位置が変化している。
38bは、大局パラメータ及び局所パラメータともに変更されていない。
【0061】
図9は、抽出条件の変更を行い、抽出処理を再開して新たな抽出結果が反映された場合の画面表示例である。
ユーザは、操作パネルにおける大局パラメータの「Lower」の値を、図8に示す38bの「130」から、図9に示す38cの「200」に厳しくしている(変更している)。
そして、CPU2が、変更された抽出条件に基づいて領域出処理を行い、抽出結果を、31c〜36cに表示している。
【0062】
図9の34cを見れば分かるように、冠動脈領域から、心筋の画素へ抽出溢れがなくなり、冠動脈領域の最端部まで正確に抽出されている。
このことは、35cにおいて、画素数が急激に増えている箇所がないことや、36cにおいて、平均濃度値が急激に小さくなっている箇所がないことから、定量的に明確に把握することができる。
このように、画素数や平均濃度値の変化のグラフを表示装置6に表示することは、抽出された関心領域(この場合には冠動脈領域)が正確に抽出されているかどうかを判断するための定量的な判断材料を提示することにもなる。
【0063】
以上、第2の実施の形態に係る医用画像処理装置1は、複雑な形状を持ち、濃度値に変化がある領域を関心領域とする場合においても、複雑な操作なしに高精度に効率良く領域を抽出することが可能となる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る医用画像処理装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0065】
1………医用画像処理装置
2………CPU
3………主メモリ
4………記憶装置
5………表示メモリ
6………表示装置
7………コントローラ
8………マウス
9………キーボード
10………ネットワークアダプタ
11………システムバス
12………ネットワーク
13………医用画像撮像装置
14………医用画像データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データから関心領域を抽出する医用画像処理装置であって、
処理対象の医用画像データを入力する画像入力部と、
前記医用画像データの抽出開始領域を設定する抽出開始領域設定部と、
前記医用画像データから関心領域を抽出するための抽出条件を設定する抽出条件設定部と、
前記抽出開始領域を最初の世代とし、前記抽出条件に基づいて領域抽出処理を繰り返し実行し、1回の前記領域抽出処理によって抽出される画素の集合を1世代分として複数世代の抽出結果を記憶する領域抽出処理部と、
前記抽出結果に基づいて前記領域抽出処理を継続するか否かを決定する決定部と、
前記抽出結果に基づいて前記関心領域が識別可能な画像を表示する表示部と、
を備え、
前記抽出条件設定部は、前記複数世代の抽出結果に基づいて、前記抽出条件を更新することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記領域抽出処理を継続すると決定した場合には、前記抽出条件を変更するか否かを決定し、一部の世代の抽出結果を破棄するか否かを決定し、
更に、前記決定部が、一部の世代の抽出結果を破棄すると決定した場合には、前記抽出開始領域設定部は、破棄される世代の一つ前の世代の抽出結果を前記抽出開始領域として再設定することを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記決定部が自動決定モードの場合、
前記決定部は、注目している世代の抽出結果の抽出画素数が閾値より多い場合には、前記領域抽出処理を継続すると決定し、前記抽出結果の抽出画素数の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定し、
更に、前記決定部は、抽出溢れが発生していると決定した場合には、前記抽出条件を変更すると決定するとともに、一部の世代の抽出結果を破棄すると決定し、前記抽出条件設定部は、前記抽出条件を変更し、前記抽出開始領域設定部は、抽出溢れが発生している世代の抽出結果を破棄することを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記決定部が手動決定モードの場合、
前記表示部は、前記領域抽出処理部が前記領域抽出処理を終えると、前記抽出結果の抽出画素数の変化をグラフ表示し、
前記決定部は、入力される指示データに基づいて、前記領域抽出処理の継続、前記抽出条件の変更、及び、前記抽出結果の破棄を決定することを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記領域抽出処理部が複数回の前記領域抽出処理を終えると、前記領域抽出処理の継続、前記抽出条件の変更、及び、前記抽出結果の破棄を決定することを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記領域抽出処理部が記憶している最後の世代の抽出結果の抽出画素数が閾値以下の場合には、予め設定される終了条件を満たしているか否かを決定し、
更に、前記決定部は、前記終了条件を満たしていると決定した場合には、前記領域抽出処理を終了すると決定し、
また、更に、前記決定部は、前記終了条件を満たしていないと決定した場合には、抽出洩れが発生していると決定し、前記抽出条件設定部は、前記抽出条件を変更することを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、複数世代の抽出結果の抽出画素数の移動平均を算出し、直近の移動平均値と、直近よりも前の移動平均値との差が閾値以上の場合には、抽出溢れが発生していると決定することを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、更に、前記抽出結果の平均濃度値の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定することを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記決定部は、更に、前記抽出結果の断面の円形度の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定することを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記決定部は、更に、世代ごとに重心座標を算出し、世代数が連続する世代同士の前記重心座標によって定義されるベクトルを算出し、前記ベクトルの方向の変化に基づいて、抽出溢れが発生しているか否かを決定することを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記領域抽出処理部が前記領域抽出処理を終えると、更に、前記抽出結果の平均濃度値の変化をグラフ表示することを特徴とする請求項4に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記グラフ表示に重ねて、世代の位置を示すオブジェクトを表示し、
前記決定部は、前記オブジェクトの位置に基づいて、抽出結果を破棄する世代を決定することを特徴とする請求項4に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記決定部が、一部の世代の抽出結果を破棄すると決定した場合には、前記抽出開始領域設定部は、複数回の前記領域抽出処理に基づく複数世代の抽出結果の中から、前記抽出開始領域に再設定される世代の抽出結果を特定することを特徴とする請求項5に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
医用画像データから関心領域を抽出する医用画像処理方法であって、
処理対象の医用画像データを入力する画像入力ステップと、
前記医用画像データの抽出開始領域を設定する抽出開始領域設定ステップと、
前記医用画像データから関心領域を抽出するための抽出条件を設定する抽出条件設定ステップと、
前記抽出開始領域を最初の世代とし、前記抽出条件に基づいて領域抽出処理を繰り返し実行し、1回の前記領域抽出処理によって抽出される画素の集合を1世代分として複数世代の抽出結果を記憶する領域抽出処理ステップと、
前記抽出結果に基づいて前記領域抽出処理を継続するか否かを決定する決定ステップと、
前記抽出結果に基づいて前記関心領域が識別可能な画像を表示する表示ステップと、
を備え、
前記決定ステップが、前記領域抽出処理を継続すると決定した場合には、前記抽出条件設定ステップから処理を繰り返し、前記複数世代の抽出結果に基づいて、前記抽出条件を更新することを特徴とする医用画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−90747(P2012−90747A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240354(P2010−240354)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】