医用画像処理装置
【課題】3次元データを2次元の投影画像に変換する際に、プラーク位置の判別を容易にして、投影方向のプラーク量やプラーク性状の判別も容易にすること。
【解決手段】医用画像処理装置は、被検体に関する3次元CTデータからCT値範囲に基づいて造影血流領域とプラーク領域を抽出する抽出部と、造影血流領域とプラーク領域を対象として血管/プラーク投影画像を発生する血管/プラーク投影画像発生部と、血管/プラーク投影画像上でプラーク領域に対応する範囲内の画素各々にはカラー値が割り当てられ、造影血流領域に対応する範囲内の画素各々には濃淡値が割り当てられる、造影血流領域に対するプラーク領域の位置を投影方向に関して手前側/奥側で判定する判定部と、血流/プラーク投影画像を投影画像に重ねて表示する表示部とを具備する。
【解決手段】医用画像処理装置は、被検体に関する3次元CTデータからCT値範囲に基づいて造影血流領域とプラーク領域を抽出する抽出部と、造影血流領域とプラーク領域を対象として血管/プラーク投影画像を発生する血管/プラーク投影画像発生部と、血管/プラーク投影画像上でプラーク領域に対応する範囲内の画素各々にはカラー値が割り当てられ、造影血流領域に対応する範囲内の画素各々には濃淡値が割り当てられる、造影血流領域に対するプラーク領域の位置を投影方向に関して手前側/奥側で判定する判定部と、血流/プラーク投影画像を投影画像に重ねて表示する表示部とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置に関し、より詳細には、インターベンショナルラジオロジシミュレータの情報を利用したX線診断治療装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の周囲360度に渡るX線投影画像を収集し、これを再構成演算を行うことで、2次元の断層画像に再構成するCT(Computed Tomography)装置がある。最近では、マルチスライスCT及びヘリカルCTの技術によって、連続的な断層画像を短時間で収集できるようになり、X線の3次元データの動画像が得られるまでになっている。
【0003】
また、CT画像はCT値と称される、X線減弱係数の値を水が0、骨が1000、空気が−1000となるように標準化された値にて表示され、このCT値を用いて各組織を識別することが可能である。
【0004】
臨床現場では、心筋梗塞や脳梗塞等の循環器系の検査にCTを導入しようという動きが増えている。その理由としては、従来の循環器装置を用いたカテーテル検査に比べて侵襲性が低いことに加えて、上記CT値を用いてプラーク性状等の血管そのものの状態を判別することが可能であることがある。
【0005】
一方で、検査によって狭窄や危険なプラークが見つかった場合は、X線循環器装置による透視下でのバルーニングやステンティングといったカテーテル治療(インターベンション)が一般的となる。
【0006】
X線循環器装置は、一般的に、カテーテル挿入過程や造影剤の流れが分かりやすいように、一方向の投影画像をリアルタイムに被爆量を抑えながら表示することを特徴としており、表示される画像は、CT装置による3次元(3D)画像ではなく、2次元(2D)の投影画像となる(例えば、下記特許文献1参照)。したがって、インターベンション中に参照する画像としては、3D画像よりも2Dの投影画像の方が比較しやすいので、CTで得られた3D画像を2Dに変換して表示することが重要となる。
【0007】
ところで、前述した従来技術では、CTで得られた3Dデータを2Dの投影画像に変換する際に、単純に投影画像に変換して表示するだけでは、プラーク位置の判別が容易ではない。
【0008】
また、投影方向のプラーク量やプラーク性状といった情報も失われてしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−320722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、3次元データを2次元の投影画像に変換する際に、プラーク位置の判別を容易にして、投影方向のプラーク量やプラーク性状の判別も容易になる医用画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、被検体に関する3次元CTデータからCT値範囲に基づいて造影血流領域とプラーク領域を抽出する抽出部と、前記造影血流領域と前記プラーク領域を対象として血管/プラーク投影画像を発生する血管/プラーク投影画像発生部と、前記血管/プラーク投影画像上で前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々にはカラー値が割り当てられ、前記造影血流領域に対応する範囲内の画素各々には濃淡値が割り当てられる、前記造影血流領域に対する前記プラーク領域の位置を投影方向に関して手前側/奥側で判定する判定部と、前記血流/プラーク投影画像を前記投影画像に重ねて表示する表示部とを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
【図2】第1の実施形態に於けるプラークの表示方法について説明するための図である。
【図3】第1の実施形態の医用画像処理装置10の動作について説明するためのフローチャートである。
【図4】X線管の焦点、X線検出器、天板の位置について説明するための図である。
【図5】第1の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図6】第1の実施形態の医用画像処理装置10による動作を説明するための図である。
【図7】第1の実施形態の医用画像処理装置10による動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図10】(a)は狭窄率画像の例を示した図、(b)は血管中心線を色表示した画像の例を示した図である。
【図11】本発明の第3の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図13】狭窄率画像の例を示した図である。
【図14】ボクセル130内の造影された血管(造影血管)131及びそのプラーク132の例を表した図である。
【図15】図14の造影された血管131の断面図である。
【図16】ボクセル130に対する投影方向の例を示した図である。
【図17】プラーク132が造影された血管の手前に位置する例を表した図である。
【図18】プラーク141が造影された血管の向こう側に位置する例を表した図である。
【図19】プラーク132及び141が造影された血管の手前と向こう側の両方に位置する例を表した図である。
【図20】プラーク132が造影された血管の手前に位置する他の例を表した図である。
【図21】影方向に沿ってカラー画像が生成される例について説明するための図である。
【図22】血管に対する投影方向と投影画像の関係の一例を示した図である。
【図23】血管に対する投影方向と投影画像の関係の他の例を示した図である。
【図24】本発明の第5の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示した図である。
【図25】図24に示される医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【図26】第5の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図27】(a)はX線循環器装置の画像の例を示した図、(b)は第5の実施形態による医用画像処理装置の画像の例を示した図である。
【図28】第5の実施形態の第1の変形例であって、位置合わせ部18に於いて、心臓領域等の対象血管位置が移動する場合のソフトプラーク画像の重ね合わせについて説明するための図である。
【図29】第5の実施形態の第2の変形例であって、位置合わせについて説明するための図である。
【図30】第5の実施形態の第2の変形例であって、画像重ね合わせについて説明するための図である。
【図31】第5の実施形態の第2の変形例に係る医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【図32】第5の実施形態の第3の変形例に係る医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
【0015】
本実施形態の医用画像処理装置10は、循環器装置の位置入力部11と、CT画像入力部13と、画像抽出部14と、投影像作成部15、画像重ね合わせ部16と、モニタ17と、システムコントローラ18とから構成される。
【0016】
前記位置入力部11は、図示されないが、循環器装置のX線管から照射されるX線の焦点や、検出器、天板位置等を操作して、その位置情報を入力するためのものである。また、CT画像入力部13は、予め検査時に収集されたCT画像から3次元(3D)データを入力する。画像抽出部14は、このCT画像入力部13より入力されたCT画像から、3次元位置と各位置でのCT値の情報が取得され、このCT値に基づいて所望の画像(プラーク領域の画像)を抽出するものである。
【0017】
投影像作成部15は、CT画像入力部13より得られた画像と、画像抽出部14で抽出された画像と、位置入力部11により入力された情報に基づいて、当該プラークの投影画像を作成するものである。このプラークの投影画像の作成方法については、後述する。
【0018】
そして、画像重ね合わせ部16は、上記投影像作成部で作成されたプラークの投影画像を、通常のCT画像に重ね合わせて、モニタ17に表示させるためのものである。また、システムコントローラ19は、この医用画像処理装置10全体の制御動作を司るものである。
【0019】
図2は、本実施形態に於けるプラークの表示方法について説明するための図である。
【0020】
血管100の管壁に、複数のプラーク1021 、1022 、1023 が形成されている。この血管100内にカテーテル101を挿入して治療するわけであるが、従来の方法では投影画像に変換する際に、投影方向のプラーク量やプラーク症状といった情報が失われていた。そのため、本発明では、プラークの量や症状(例えば、硬軟)に応じて表示色により識別できるようにしている。
【0021】
次に、図3のフローチャートを参照して、本医用画像処理装置10の動作について説明する。
【0022】
図3(a)は通常のX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャート、図3(b)は本実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【0023】
先ず、図3(a)のフローチャートを参照して、通常のX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明する。
【0024】
ステップS1にて、CT画像入力部13より、予め検査時に収集されたCT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。この情報とは、例えば、X座標、Y座標、Z座標、及びCT値の4つの情報である。次いで、ステップS2にて、位置入力部11より、X線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力される。すると、ステップS3にて、図4(a)に示されるように、X線管(図示せず)の焦点21、検出面23、被写体(3Dデータ)22の3次元的位置が、システムコントローラ19で算出される。
【0025】
すると、続くステップS4に於いて、投影像作成部15にて上記ステップS3で算出された値が画像化される。そして、ステップS5にて、インターベンション参照画像として、モニタ17に表示される。
【0026】
次に、図3(b)のフローチャートを参照して、本実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明する。
【0027】
ステップS11では、前述した図3(a)のフローチャートに於けるステップS1と同様に、CT画像入力部13より、予め検査時に収集されたCT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。例えば、図5(a)に示されるように、血管100及び該血管100の管壁に形成されたプラーク102a、102b、或いは102cの情報が取得される。
【0028】
次いで、ステップS12では、CT値を判断基準として、図5(b)に示されるように、血管100の管壁からプラーク102a、102b、或いは102cの領域のみが抽出される。例えば、CT値が0〜50であればソフトプラーク、400以上であれば石灰化プラーク、その間の50〜400であれば通常のプラークであるとして抽出される。勿論、更に細かくCT値を設定しプラークの種類を分けるようにしても良い。
【0029】
そして、ステップS13では、上記CT値に基づいてプラークの領域が分類され、モニタ17に表される際の、当該プラークの性状を表す表示色が決定される。例えば、RGBの割合を表すと、図5(c)に示されるように、前述したソフトプラーク(CT値;0〜50)が赤色、石灰化プラーク(CT値;400以上)が青色、その間のプラーク緑色、等である。勿論、更に細かくCT値を設定してプラークの表示色を割り当てるようにしても良い。また、表示色でなくとも、階調の割合等で表すようにしても良い。
【0030】
続くステップS14では、前述した図3(a)のフローチャートに於けるステップS2と同様に、位置入力部11より、X線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力される。そして、図4(b)に示されるように、X線管(図示せず)の焦点21、検出面23、被写体(プラーク領域)24の3次元的位置が算出される。
【0031】
図6は、実際のX線診断の様子を示した図である。
【0032】
患者25が天板(載置台)26上に載置されており、該患者25を中心に対向配置されたX線管27及びX線検出器28が、Cアーム29によって支持されている。そして、X線管27の焦点21をX座標、Y座標、Z座標の原点として、患者25の血管内のプラーク102a、102bの位置が検出されるようになっている。
【0033】
ステップS15では、図7(a)に示されるように、前記焦点21から検出面23までのX線経路上に存在するプラーク領域102cが、プラーク領域の表示色毎に積算された積算値に応じた表示濃度が決定される。例えば、一旦、各画素に於ける積算値が求められ、検出面23内の最大積算値に対する割合として濃度が%として決定される。
【0034】
そして、ステップS16では、図7(b)に示されるように、前記ステップS13で割り当てられたプラーク領域102a、102b、102cの表示色毎に、前記ステップS15で得られた投影方向の積算値を濃度として反映させた投影像が作成される。
【0035】
次いで、ステップS17にて、このとき、背景は前述した図3(a)のフローチャートに於けるステップS4にて作成された投影画像とされ、濃度は背景に対するオーバーレイ表示の透過率として表示される。つまり、濃度が30%であるとすれば、背景が70%、プラーク領域の画像が30%といった割合で表示されることになる。
【0036】
その後、ステップS18にて、インターベンション参照画像として、図7(c)に示されるように、モニタ17に表示される。
【0037】
尚、オーバーレイされる画像は各段階毎に任意に切り替えるようにしても良く、或いは全てを合わせて表示するようにしても良い。また、近傍のものをまとめて、より粗い段階として表示するようにしてもよい。
【0038】
このように、第1の実施形態によれば、2次元投影像上でプラークの位置、量、性状を的確に識別することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0040】
尚、以下に述べる実施形態に於いて、医用画像処理装置の基本的な構成については、前述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0041】
この第2の実施形態では、前述した第1の実施形態に順じて、狭窄が起きている場所を2次元画像上で容易に判別できるように表示するようにしている。
【0042】
図8は、本発明の第2の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
ステップS21にて、CT画像入力部13より、図9(a)に示されるように、CT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。次いで、ステップS22にて、CT値を基に、図9(b)に示されるように、血管内腔110及びプラーク領域102a、102bが別々に抽出される。
【0044】
そして、ステップS23にてX線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力される。続いて、ステップS24にて、図9(c)に示されるように、検出面での血管内腔の投影画像111が作成される。尚、血管内腔110は、造影剤のCT値から選別することができる。
【0045】
更に、ステップS25では、血管走行方向を識別するために、図9(d)に示されるように、血管内腔110の画像の中心線113が画像処理にて抽出される。この抽出には、画像処理ソフト等で一般的な線中心の抽出手法を用いても良い。次いで、ステップS26にて、前記ステップS25で求められた中心線に対する垂線が断面線114として定義される。この断面線114は、血管内腔+プラークの幅とする。
【0046】
そして、ステップS27では、投影面上の断面線とX線焦点を含む平面が定義される。ここでは、図9(e)に示されるようにして、設定平面に於けるプラーク領域面積と血管内腔面積が各CT値より抽出され、下記のようにして各面積比から狭窄率が算出される。
狭窄率=プラーク面積/(プラーク面積+血管内腔面積)
ステップS28では、前記ステップS27で算出された狭窄率に基づいて、断面線114の色が決定される。続いて、ステップS29では、図9(f)に示されるように、前記中心線113に対して任意間隔で設定された断面線114が、前述した狭窄率に基づいた表示色にて表示される。これにより、図10(a)に示されるように、狭窄率画像118が作成される。このとき、断面線の間隔を非常に細かく設定して、連続的な狭窄画像を作成してもよいし、粗く設定した断面線間を補間によって狭窄率や色を決めても良い。
【0047】
その後、ステップS30にて、作成された狭窄画像が、前述した図3(a)のフローチャートで作成される投影画像にオーバーレイ表示される。
【0048】
尚、図8のフローチャートと同様な表示方法として、図10(b)に示されるように、血管中心線そのものを色表示しても良い。
【0049】
この第2の実施形態によれば、狭窄を容易に2次元画像上で判別することができる効果がある。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0051】
この第3の実施形態では、前述した第2の実施形態に順じるために、プラーク性状と狭窄率を容易に2次元画像上で判別できる表示方法をとっている。
【0052】
図11は、本発明の第3の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
ステップS41にて、CT画像入力部13より、図12(a)に示されるように、CT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。次いで、ステップS42にて、CT値を基に、図12(b)に示されるように、血管内腔110及びプラーク領域102a、102bが別々に抽出される。
【0054】
そして、ステップS43では、図12(c)に示されるように、前記ステップS42にて抽出されたプラーク領域102a、102bに対して、CT値に基づく表示色が決定される。次いで、ステップS44にてX線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力され、続くステップS45にて、図12(d)に示されるように、検出面での血管内腔の投影画像111が作成される。
【0055】
更に、ステップS46にて、血管走行方向を識別するために、図12(e)に示されるように、血管内腔110の画像の中心線113が画像処理にて抽出される。この抽出には、画像処理ソフト等で一般的な線中心の抽出手法を用いても良い。次いで、ステップS47にて、前記ステップS46で求められた中心線に対する垂線が断面線114として定義される。この断面線114は、血管内腔+プラークの幅とする。
【0056】
そして、ステップS48にて、投影面上の断面線とX線焦点を含む平面が定義される。ここでは、図12(f)に示されるようにして、設定平面に於けるプラーク領域面積と血管内腔面積が各CT値より抽出され、前述した式より、各面積比から狭窄率が算出される。次いで、ステップS49にて、前記ステップS48にて算出された狭窄率が断面線の表示形状(長さ)が決定される。この形状としては、プラーク領域+血管内腔領域を最大の線幅として、図13(a)に示されるように、狭窄率の割合に応じて両端から表示する線の長さが決定される。更に、表示色は前記ステップS43で決定された色が用いられる(図13(b)参照)。逆に、中心から血管120の両端に向けて線を延ばしても良い(図13(c)参照)。
【0057】
ステップS50では、図12(g)に示されるように、前記中心線113に対して任意間隔で設定された断面線114が、前述した狭窄率に基づいた表示色にて表示される。これにより、狭窄率画像が作成される。また、断面線の間隔を非常に細かく設定して、連続的な狭窄画像を作成しても良い。更には、比較的粗く設定した断面線間を補間によって狭窄率を決定し、狭窄画像を作成しても良い。
【0058】
その後、ステップS51にて、作成された狭窄画像が、前述した図3(a)のフローチャートで作成される投影画像にオーバーレイ表示される。このとき、前記ステップS43で段階的に分類した表示色毎に狭窄画像を作成し、図13(d)に示されるように、投影画像に対してオーバーレイ表示するプラーク性状を選択できるようにしても良い。
【0059】
この第3の実施形態によれば、狭窄と性状を容易に2次元画像上で判別することができる効果がある。
【0060】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0061】
一般に、CT装置で収集されたボクセルデータからX線透視画像のような画像(擬似透視画像)を作成することができる。また、閾値処理等により、ボクセルデータからプラークを抽出することもできる。しかしながら、擬似透視画像上にプラークの分布情報等を表示しようとすると、深さ方向の情報が欠落してしまうものであった。また、ボリュームレンダリング画像等でも、深さ方向の情報を表現するには限界があるものであった。
【0062】
そのため、本第4の実施形態では、擬似透視画像にカラー画像を重畳してプラークの深さ方向の分布情報を表現しようとしたものである。
【0063】
造影された血管は周囲に比べ非常に大きなCT値を有しているため、閾値処理等により、ボクセルデータから容易に抽出することができる。また、プラークは血管内に付着するため、前述した造影血管の近傍に限定して閾値処理等を行うことにより、プラークを抽出することもできる。
【0064】
図14は、あるボクセル130内の造影された血管(造影血管)131及びそのプラーク132の例を表した図である。図15は、図14の造影された血管131の断面図である。造影された血管131の断面内の重心135から所定の半径内を、プラーク探索の範囲136としている。尚、134は血管の内壁である。
【0065】
そして、図16に示されるように、ボクセル130に対して図示矢印方向を投影方向として指定することにより、造影血管131の(擬似)透視画像(白黒画像)を、投影面138上に投影された血管像139として生成することができる。こうした投影の際、造影された血管131とプラーク132の位置関係は、図17乃至図20に示されるように分類することができる。
【0066】
すなわち、図17は、プラーク132が造影された血管の手前に位置する例を表している。また、図18は、プラーク141が造影された血管の向こう側に位置する例を表している。更に、図19は、プラーク132及び141が造影された血管の手前と向こう側の両方に位置する例を表している。尚、図20に示される例のような場合は、図17と同様に、プラーク142は造影された血管の手前に位置するものと分類される。
【0067】
このようなプラークに対して、図21に示されるように、前記投影方向に沿ってカラー画像が生成され、前述した白黒画像に重畳されて表示される。この際、造影された血管の手前に位置するプラーク132を例えば赤色(R)に、造影された血管の向こう側に位置するプラーク141を例えば青色(B)に割り当てて画像化する。また、投影方向に沿ったプラークの厚みあるいはボクセル値の積分値は、各色成分の輝度に対応させるようにする。
【0068】
例えば、図22(a)に示されるように、造影された血管145に対して図示矢印方向を投影方向とする。そして、図22(b)に示されるように、血管の手前に位置するプラーク132は、図22(e)に示されるような投影画像として、赤色に表示される。また、図22(c)に示されるように、血管の向こう側に位置するプラーク141は、図22(f)に示されるような投影画像として、青色に表示される。更に、図22(d)に示されるように、血管の手前に位置するプラーク132と向こう側に位置するプラーク141の両方が存在する場合は、図22(g)に示されるように投影画像として、紫色に表示される。
【0069】
尚、図19のように、造影された血管の両側にプラーク132、141が位置する場合は、紫色で画像化されるようにする。
【0070】
更に、前述したカラー重畳画像は、その投影方向を変えることにより、図23に示されるように変化する。
【0071】
例えば、図23(a)に示される造影された血管145に対して、図23(b)に示されるような位置にプラーク142、143が存在する場合、投影方向1であればその投影画像は、図23(d)に示されるように、それぞれのプラーク142、143の位置に対応した色(赤、青)で表される。一方、投影方向2であれば、その投影画像は、図23(c)に示されるように、紫色で表される。
【0072】
このようにして、プラークと造影血管の3次元的位置関係を容易に描写することができる。
【0073】
尚、図21に示されるような、プラークとカラー画像の成分の対応は、全てのプラークの厚み、X線減衰率積分値、或いは最大値を緑色(G)成分の輝度に対応させるようにしても良い。
【0074】
次に、第4の実施形態の変形例について説明する。
【0075】
前述した第4の実施形態では、造影された血管に対するプラークの位置関係を色によって表示していたが、変形例1として、前述した位置関係を無視して、プラークの厚みの総和、或いはボクセル値の積分値の総和に輝度を対応させて、単色カラー画像を生成するようにしても良い。
【0076】
また、変形例2として、造影された血管に対するプラークの位置関係を無視して、プラークの厚みの総和、或いはボクセル値の積分値の総和を求め、その総和値をカラーのグラデーションに対応させてカラー画像を生成するようにしても良い。
【0077】
変形例3としては、前記投影方向をX線撮影装置の、X線管→検出器、の方向に一致させ、前述したカラー重畳画像を表示するようにしても良い。
【0078】
更に、変形例4として、前記投影方向をX線撮影装置の、X線管→検出器、の方向と直交するように設定し、前述したカラー重畳画像を表示するようにしても良い。
【0079】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0080】
前述したように、臨床現場では、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系の検査にCTを導入しようという動きが増えている。特に、急性心筋梗塞や脳梗塞の原因と考えられるソフトプラークは、循環器画像で判別可能な狭窄率がそれほど高くない場所にある場合も多く、検査としてのCTの有効性が高まっている。
【0081】
そして、X線循環器装置では、石灰化プラークによる高狭窄率の部位は判別可能であるが、高狭窄を伴わないソフトプラークの位置特定は難しい。そのため、ソフトプラークに対する薬剤ステントのステンティングといった治療を実施する際には、CT画像によるソフトプラーク部位を確認した上で、循環器装置を用いて該当部位にステント留置を行うようにしている。
【0082】
ところが、従来は、循環器画像上でプラーク位置・性状等を知ることができず、特に、急性の脳梗塞や心筋梗塞の原因と考えられているソフトプラークは、必ずしも狭窄率の大きい場所にあるわけではないため、循環器装置では識別することができない。したがって、インターベンションを実施する際にCT画像と見比べながらプラーク位置・性状を確認して手技を進めざるをえず、治療時間の増大を招き効率が悪いものとなっていた。
【0083】
そこで、この第5の実施形態では、事前に収集したCT画像よりプラーク画像等、インターベンションに有用な情報を抽出し、更に循環器装置の情報に基づいて表示することで、循環器装置のような画像として確認することができる医用画像処理装置を提供するようにしている。
【0084】
図24は、本発明の第5の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示した図である。
【0085】
図24に於いて、この医用画像処理装置は、X線循環器装置30と、前述した医用画像処理装置10とを有して構成される。
【0086】
前記X線循環器装置30は、天板26と、X線発生部27と、X線検出部28と、これらX線発生部27及びX線検出部28を対向関係に配置したC字形状のCアーム29と、複数の画像モニタ17aとから構成される。
【0087】
図25は、図24に示される医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【0088】
前記天板26は患者25を載置するためのもので、この天板26を挟んでCアーム29の両端部に対向関係で前記X線発生部27とX線検出部28が搭載されている。前記Cアーム29は、操作部45が操作されるとシステム制御部40及びCアーム・天板機構制御部42により駆動されて回転する。このとき、X線発生部27とX線検出器28とが、同一の回転軸の軸周りを回転する。
【0089】
X線発生部27は、X線管33及びX線絞り器34を有している。X線管33は、高電圧発生器37から電力供給を受けて、X線検出部28内の平面検出器(図示せず)に向けてX線を放射する。高電圧発生器37は、X線制御部36と共に電圧制御部35を構成しているもので、X線制御部36を介してシステム制御部40によって、管電圧及びフィラメント電流が任意に調整されるようになっている。尚、システム制御部40は、このX線循環器装置30全体の制御動作を司るものである。このシステム制御部40は、また、X線管33によるX線の発生の制御と同期して、X線検出部28内の平面検出器38、及び画像処理回路41の制御も併せて行う。
【0090】
一方、X線検出部28は、平面検出器38と、図示されないデータ変換部を有して構成される。前記平面検出器38は、前述したX線管33より被検体25を介して入射するX線を検出して、その強度に応じた電気信号をデータ変換部に出力する。このデータ変換部で変換された画像データは、画像処理回路41を介して、画像データ記憶回路43に供給される。また、画像処理回路41には、画像表示回路44を介して複数のモニタ17aが接続されている。
【0091】
画像処理回路41では、平面検出器38で得られた画像データをモニタ17aに表示するべく画像処理が行われる。術者は、このモニタ17aに表示された画像等を確認しながら操作部45を操作することにより、X線診断治療を行うことができる。
【0092】
一方、医用画像処理装置10aは、前述したCT画像入力部13、画像抽出部14、投影像作成部15、画像重ね合わせ部16、モニタ17bの他、X線循環器装置30からの画像を入力する循環器画像入力部12と、この循環器画像入力部12で入力された循環器画像と投影像作成部15で作成された画像との位置合わせを行うための位置合わせ部18とを有して構成される。
【0093】
このような構成に医療医用画像処理装置に於いて、先ず、図26(a)に示されるように、同一患者の、例えば数日前のCT検査による3Dデータ(3次元の位置情報と各位置でのCT値によるボクセルデータ)が、CT画像入力部13から入力される。次いで、図26(b)に示されるように、前記3DデータからCT値を基にして、ソフトプラークを含むボクセルデータのみが画像抽出部14により抽出される。ここで、例えばCT値が0〜50のものがソフトプラークとして抽出される。
【0094】
そして、図26(c)に示されるように、位置入力部11から現在のX線管及び検出器位置が取得され、天板の位置からおおよその患者位置が検出されて、投影像作成部15にてソフトプラーク画像の投影画像が作成される。ここでは、投影中心をX線焦点、投影面を検出面とした、一般的な透視投影法が用いられて抽出されたソフトプラークの投影画像が作成される。
【0095】
次に、位置合わせ部18に於いて画像の詳細な位置合わせを行うために、インターベンション中のX線循環器装置30にて血管造影画像が収集される。(i)造影剤部分はX線吸収量が大きいことと対象血管に連続性があることを利用して、対象血管画像が抽出される。(ii)また、一方でCTからの3Dデータから、CT値を基に血管画像のみが抽出され、前述したソフトプラークの投影画像と同様に検出面への投影画像が作成される。血管画像を鮮明に抽出するために、CT画像収集時に造影剤を使用しているとして、CT値はこの造影剤のX線吸収率に依存する。
【0096】
前記(i)と(ii)の画像は、心臓等の動きのある部分を除けば、概ね一致するはずであるため、並行移動しながら画像マッチング量が検出されていくことで最もマッチングが取れた位置での(ii)画像の平行移動量から位置合わせ量が算出される。尚、画像マッチングには、相関関数を利用しても良い。
【0097】
そして、図26(d)に示されるように、前記投影像作成部15で得られたソフトプラークの投影画像155が、前記位置合わせ部18で得られた移動量に基づく平行移動処理が行われた画像156と、重ね合わせられた画像157が得られる。この際、ソフトプラークが識別しやすいように、X線画像とは異なる色にて表示しても良い。このようにして、合成された画像157がモニタ17bに表示される。
【0098】
例えば、X線循環器装置30のモニタ17aに、図27(a)に示されるように表示されていた画像は、医用画像処理装置10aで重ね合わされることによって、図27(b)に示されるような画像としてモニタ17bに表示される。
【0099】
尚、一旦平行移動量が算出されることにより、3Dデータ上での正確なX線管、検出器、患者位置情報を持つことができる。
【0100】
位置合わせ後は、この正確なX線管、検出器、患者位置情報によるソフトプラーク投影像を都度再計算することで、検出器や天板位置の移動、拡大率の変動した場合でも正確なソフトプラークの重ね合わせを実行することができる。
【0101】
このように、第5の実施形態によれば、循環器画像で収集した循環器画像上で、プラーク位置、量等を確認しながら、カテーテル等の操作を実施することができる。
【0102】
次に、第5の実施形態の変形例について説明する。
【0103】
第5の実施形態の第1の変形例では、前述した位置合わせ部18に於いて、心臓領域等の対象血管位置が移動する場合のソフトプラーク画像の重ね合わせについて述べている。
【0104】
先ず、CT画像入力部13で、図28(a)に示されるように、入力されるCT画像に於いて心電波形1拍分の動画像が入力される。次いで、画像抽出部14に於いて、図28(b)に示されるように、心電波形が幾つかのフェーズに分解され、各フェーズによるソフトプラーク画像が抽出される。
【0105】
そして、投影像作成部15にて、図28(c)に示されるように、各フェーズ毎に現在のX線循環器装置30の位置に応じた投影画像が作成される。次いで、位置合わせ部18に於いて、図29に示されるように、最も安定的なフェーズ(収縮後若しくは拡大後)に於ける血管造影画像による投影像161と、X線循環器装置30に於ける血管造影画像162の位置合わせが行われ、前述した第5の実施形態と同様な方法で、より精度の良い位置合わせが実施される。
【0106】
更に、画像重ね合わせ部16に於いて、図30に示されるように、X線循環器装置30にてX線画像と共に心電波形が収集され、前記画像抽出部14で得られた各フェーズのソフトプラーク画像の中から、その時の心電波形のフェーズに応じたソフトプラーク画像が重ね合わせられる。
【0107】
尚、検出器、天板の移動に伴う移動や拡大率の変更は、前述した第5の実施形態と同様に行われる。
【0108】
次に、第5の実施形態の第2の変形例について説明する。
【0109】
前述した第5の実施形態及び第5の実施形態の第1の変形例では、X線循環器装置30からの画像に対して詳細な位置合わせが行われていたが、本第5の実施形態の第2の変形例ではこの位置合わせを必要としていない例について述べる。
【0110】
図31は、第5の実施形態の第2の変形例に係る医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【0111】
同図に於いて、医用画像処理装置10bは、位置入力部11と、CT画像入力部13と、画像抽出部14と、投影像作成部15と、画像重ね合わせ部16と、モニタ17bと、を有して構成される。
【0112】
このような構成に於いて、X線循環器装置30の画像に重ね合わせる必要がない場合は、画像抽出部14にてCT値に基づく画像抽出が実施された画像の投影像と、位置入力部11から入力されるCT画像そのものの投影画像が、投影像作成部15及び画像重ね合わせ部16にて重ね合わせられるようにする。
【0113】
CT値に基づいて抽出された画像は、カラー表示する等、目立たせて表示することができる。
【0114】
次に、第5の実施形態の第3の変形例について説明する。
【0115】
前述した第5の実施形態に於いて、位置合わせにそれほど精度を必要としない場合は、図32に示される医用画像処理装置10cのように、図25の医用画像処理装置10aから位置合わせ部18を除いた構成としても良い。
【0116】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0117】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0118】
10、10a、10b、10c…X線診断治療装置、11…位置入力部、12…循環器画像入力部、13…CT画像入力部、14…画像抽出部、15…投影像作成部、16…画像重ね合わせ部、17、17a、17b…モニタ、18…位置合わせ部、19…システムコントローラ、25…患者、26…天板、27…X線発生部、28…X線検出部、29…Cアーム、30X線循環器装置、33…X線管、34…X線絞り器、35…部位制御部、36…X線制御部、37…高電圧発生器、38…平面検出器、40…システム制御部、41…画像処理回路、43…画像データ記憶回路、44…画像表示回路、45…操作部、100…血管、101…カテーテル、102、1021 、1022 、1023 …プラーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置に関し、より詳細には、インターベンショナルラジオロジシミュレータの情報を利用したX線診断治療装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の周囲360度に渡るX線投影画像を収集し、これを再構成演算を行うことで、2次元の断層画像に再構成するCT(Computed Tomography)装置がある。最近では、マルチスライスCT及びヘリカルCTの技術によって、連続的な断層画像を短時間で収集できるようになり、X線の3次元データの動画像が得られるまでになっている。
【0003】
また、CT画像はCT値と称される、X線減弱係数の値を水が0、骨が1000、空気が−1000となるように標準化された値にて表示され、このCT値を用いて各組織を識別することが可能である。
【0004】
臨床現場では、心筋梗塞や脳梗塞等の循環器系の検査にCTを導入しようという動きが増えている。その理由としては、従来の循環器装置を用いたカテーテル検査に比べて侵襲性が低いことに加えて、上記CT値を用いてプラーク性状等の血管そのものの状態を判別することが可能であることがある。
【0005】
一方で、検査によって狭窄や危険なプラークが見つかった場合は、X線循環器装置による透視下でのバルーニングやステンティングといったカテーテル治療(インターベンション)が一般的となる。
【0006】
X線循環器装置は、一般的に、カテーテル挿入過程や造影剤の流れが分かりやすいように、一方向の投影画像をリアルタイムに被爆量を抑えながら表示することを特徴としており、表示される画像は、CT装置による3次元(3D)画像ではなく、2次元(2D)の投影画像となる(例えば、下記特許文献1参照)。したがって、インターベンション中に参照する画像としては、3D画像よりも2Dの投影画像の方が比較しやすいので、CTで得られた3D画像を2Dに変換して表示することが重要となる。
【0007】
ところで、前述した従来技術では、CTで得られた3Dデータを2Dの投影画像に変換する際に、単純に投影画像に変換して表示するだけでは、プラーク位置の判別が容易ではない。
【0008】
また、投影方向のプラーク量やプラーク性状といった情報も失われてしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−320722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、3次元データを2次元の投影画像に変換する際に、プラーク位置の判別を容易にして、投影方向のプラーク量やプラーク性状の判別も容易になる医用画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、被検体に関する3次元CTデータからCT値範囲に基づいて造影血流領域とプラーク領域を抽出する抽出部と、前記造影血流領域と前記プラーク領域を対象として血管/プラーク投影画像を発生する血管/プラーク投影画像発生部と、前記血管/プラーク投影画像上で前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々にはカラー値が割り当てられ、前記造影血流領域に対応する範囲内の画素各々には濃淡値が割り当てられる、前記造影血流領域に対する前記プラーク領域の位置を投影方向に関して手前側/奥側で判定する判定部と、前記血流/プラーク投影画像を前記投影画像に重ねて表示する表示部とを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
【図2】第1の実施形態に於けるプラークの表示方法について説明するための図である。
【図3】第1の実施形態の医用画像処理装置10の動作について説明するためのフローチャートである。
【図4】X線管の焦点、X線検出器、天板の位置について説明するための図である。
【図5】第1の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図6】第1の実施形態の医用画像処理装置10による動作を説明するための図である。
【図7】第1の実施形態の医用画像処理装置10による動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図10】(a)は狭窄率画像の例を示した図、(b)は血管中心線を色表示した画像の例を示した図である。
【図11】本発明の第3の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図13】狭窄率画像の例を示した図である。
【図14】ボクセル130内の造影された血管(造影血管)131及びそのプラーク132の例を表した図である。
【図15】図14の造影された血管131の断面図である。
【図16】ボクセル130に対する投影方向の例を示した図である。
【図17】プラーク132が造影された血管の手前に位置する例を表した図である。
【図18】プラーク141が造影された血管の向こう側に位置する例を表した図である。
【図19】プラーク132及び141が造影された血管の手前と向こう側の両方に位置する例を表した図である。
【図20】プラーク132が造影された血管の手前に位置する他の例を表した図である。
【図21】影方向に沿ってカラー画像が生成される例について説明するための図である。
【図22】血管に対する投影方向と投影画像の関係の一例を示した図である。
【図23】血管に対する投影方向と投影画像の関係の他の例を示した図である。
【図24】本発明の第5の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示した図である。
【図25】図24に示される医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【図26】第5の実施形態に於けるプラークの抽出の例について示した図である。
【図27】(a)はX線循環器装置の画像の例を示した図、(b)は第5の実施形態による医用画像処理装置の画像の例を示した図である。
【図28】第5の実施形態の第1の変形例であって、位置合わせ部18に於いて、心臓領域等の対象血管位置が移動する場合のソフトプラーク画像の重ね合わせについて説明するための図である。
【図29】第5の実施形態の第2の変形例であって、位置合わせについて説明するための図である。
【図30】第5の実施形態の第2の変形例であって、画像重ね合わせについて説明するための図である。
【図31】第5の実施形態の第2の変形例に係る医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【図32】第5の実施形態の第3の変形例に係る医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
【0015】
本実施形態の医用画像処理装置10は、循環器装置の位置入力部11と、CT画像入力部13と、画像抽出部14と、投影像作成部15、画像重ね合わせ部16と、モニタ17と、システムコントローラ18とから構成される。
【0016】
前記位置入力部11は、図示されないが、循環器装置のX線管から照射されるX線の焦点や、検出器、天板位置等を操作して、その位置情報を入力するためのものである。また、CT画像入力部13は、予め検査時に収集されたCT画像から3次元(3D)データを入力する。画像抽出部14は、このCT画像入力部13より入力されたCT画像から、3次元位置と各位置でのCT値の情報が取得され、このCT値に基づいて所望の画像(プラーク領域の画像)を抽出するものである。
【0017】
投影像作成部15は、CT画像入力部13より得られた画像と、画像抽出部14で抽出された画像と、位置入力部11により入力された情報に基づいて、当該プラークの投影画像を作成するものである。このプラークの投影画像の作成方法については、後述する。
【0018】
そして、画像重ね合わせ部16は、上記投影像作成部で作成されたプラークの投影画像を、通常のCT画像に重ね合わせて、モニタ17に表示させるためのものである。また、システムコントローラ19は、この医用画像処理装置10全体の制御動作を司るものである。
【0019】
図2は、本実施形態に於けるプラークの表示方法について説明するための図である。
【0020】
血管100の管壁に、複数のプラーク1021 、1022 、1023 が形成されている。この血管100内にカテーテル101を挿入して治療するわけであるが、従来の方法では投影画像に変換する際に、投影方向のプラーク量やプラーク症状といった情報が失われていた。そのため、本発明では、プラークの量や症状(例えば、硬軟)に応じて表示色により識別できるようにしている。
【0021】
次に、図3のフローチャートを参照して、本医用画像処理装置10の動作について説明する。
【0022】
図3(a)は通常のX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャート、図3(b)は本実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【0023】
先ず、図3(a)のフローチャートを参照して、通常のX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明する。
【0024】
ステップS1にて、CT画像入力部13より、予め検査時に収集されたCT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。この情報とは、例えば、X座標、Y座標、Z座標、及びCT値の4つの情報である。次いで、ステップS2にて、位置入力部11より、X線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力される。すると、ステップS3にて、図4(a)に示されるように、X線管(図示せず)の焦点21、検出面23、被写体(3Dデータ)22の3次元的位置が、システムコントローラ19で算出される。
【0025】
すると、続くステップS4に於いて、投影像作成部15にて上記ステップS3で算出された値が画像化される。そして、ステップS5にて、インターベンション参照画像として、モニタ17に表示される。
【0026】
次に、図3(b)のフローチャートを参照して、本実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明する。
【0027】
ステップS11では、前述した図3(a)のフローチャートに於けるステップS1と同様に、CT画像入力部13より、予め検査時に収集されたCT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。例えば、図5(a)に示されるように、血管100及び該血管100の管壁に形成されたプラーク102a、102b、或いは102cの情報が取得される。
【0028】
次いで、ステップS12では、CT値を判断基準として、図5(b)に示されるように、血管100の管壁からプラーク102a、102b、或いは102cの領域のみが抽出される。例えば、CT値が0〜50であればソフトプラーク、400以上であれば石灰化プラーク、その間の50〜400であれば通常のプラークであるとして抽出される。勿論、更に細かくCT値を設定しプラークの種類を分けるようにしても良い。
【0029】
そして、ステップS13では、上記CT値に基づいてプラークの領域が分類され、モニタ17に表される際の、当該プラークの性状を表す表示色が決定される。例えば、RGBの割合を表すと、図5(c)に示されるように、前述したソフトプラーク(CT値;0〜50)が赤色、石灰化プラーク(CT値;400以上)が青色、その間のプラーク緑色、等である。勿論、更に細かくCT値を設定してプラークの表示色を割り当てるようにしても良い。また、表示色でなくとも、階調の割合等で表すようにしても良い。
【0030】
続くステップS14では、前述した図3(a)のフローチャートに於けるステップS2と同様に、位置入力部11より、X線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力される。そして、図4(b)に示されるように、X線管(図示せず)の焦点21、検出面23、被写体(プラーク領域)24の3次元的位置が算出される。
【0031】
図6は、実際のX線診断の様子を示した図である。
【0032】
患者25が天板(載置台)26上に載置されており、該患者25を中心に対向配置されたX線管27及びX線検出器28が、Cアーム29によって支持されている。そして、X線管27の焦点21をX座標、Y座標、Z座標の原点として、患者25の血管内のプラーク102a、102bの位置が検出されるようになっている。
【0033】
ステップS15では、図7(a)に示されるように、前記焦点21から検出面23までのX線経路上に存在するプラーク領域102cが、プラーク領域の表示色毎に積算された積算値に応じた表示濃度が決定される。例えば、一旦、各画素に於ける積算値が求められ、検出面23内の最大積算値に対する割合として濃度が%として決定される。
【0034】
そして、ステップS16では、図7(b)に示されるように、前記ステップS13で割り当てられたプラーク領域102a、102b、102cの表示色毎に、前記ステップS15で得られた投影方向の積算値を濃度として反映させた投影像が作成される。
【0035】
次いで、ステップS17にて、このとき、背景は前述した図3(a)のフローチャートに於けるステップS4にて作成された投影画像とされ、濃度は背景に対するオーバーレイ表示の透過率として表示される。つまり、濃度が30%であるとすれば、背景が70%、プラーク領域の画像が30%といった割合で表示されることになる。
【0036】
その後、ステップS18にて、インターベンション参照画像として、図7(c)に示されるように、モニタ17に表示される。
【0037】
尚、オーバーレイされる画像は各段階毎に任意に切り替えるようにしても良く、或いは全てを合わせて表示するようにしても良い。また、近傍のものをまとめて、より粗い段階として表示するようにしてもよい。
【0038】
このように、第1の実施形態によれば、2次元投影像上でプラークの位置、量、性状を的確に識別することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0040】
尚、以下に述べる実施形態に於いて、医用画像処理装置の基本的な構成については、前述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0041】
この第2の実施形態では、前述した第1の実施形態に順じて、狭窄が起きている場所を2次元画像上で容易に判別できるように表示するようにしている。
【0042】
図8は、本発明の第2の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
ステップS21にて、CT画像入力部13より、図9(a)に示されるように、CT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。次いで、ステップS22にて、CT値を基に、図9(b)に示されるように、血管内腔110及びプラーク領域102a、102bが別々に抽出される。
【0044】
そして、ステップS23にてX線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力される。続いて、ステップS24にて、図9(c)に示されるように、検出面での血管内腔の投影画像111が作成される。尚、血管内腔110は、造影剤のCT値から選別することができる。
【0045】
更に、ステップS25では、血管走行方向を識別するために、図9(d)に示されるように、血管内腔110の画像の中心線113が画像処理にて抽出される。この抽出には、画像処理ソフト等で一般的な線中心の抽出手法を用いても良い。次いで、ステップS26にて、前記ステップS25で求められた中心線に対する垂線が断面線114として定義される。この断面線114は、血管内腔+プラークの幅とする。
【0046】
そして、ステップS27では、投影面上の断面線とX線焦点を含む平面が定義される。ここでは、図9(e)に示されるようにして、設定平面に於けるプラーク領域面積と血管内腔面積が各CT値より抽出され、下記のようにして各面積比から狭窄率が算出される。
狭窄率=プラーク面積/(プラーク面積+血管内腔面積)
ステップS28では、前記ステップS27で算出された狭窄率に基づいて、断面線114の色が決定される。続いて、ステップS29では、図9(f)に示されるように、前記中心線113に対して任意間隔で設定された断面線114が、前述した狭窄率に基づいた表示色にて表示される。これにより、図10(a)に示されるように、狭窄率画像118が作成される。このとき、断面線の間隔を非常に細かく設定して、連続的な狭窄画像を作成してもよいし、粗く設定した断面線間を補間によって狭窄率や色を決めても良い。
【0047】
その後、ステップS30にて、作成された狭窄画像が、前述した図3(a)のフローチャートで作成される投影画像にオーバーレイ表示される。
【0048】
尚、図8のフローチャートと同様な表示方法として、図10(b)に示されるように、血管中心線そのものを色表示しても良い。
【0049】
この第2の実施形態によれば、狭窄を容易に2次元画像上で判別することができる効果がある。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0051】
この第3の実施形態では、前述した第2の実施形態に順じるために、プラーク性状と狭窄率を容易に2次元画像上で判別できる表示方法をとっている。
【0052】
図11は、本発明の第3の実施形態によるX線投影画像からインターベンション参照画像を得るための動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
ステップS41にて、CT画像入力部13より、図12(a)に示されるように、CT画像から3次元位置と各位置でのCT値(固有値)の情報が取得される。次いで、ステップS42にて、CT値を基に、図12(b)に示されるように、血管内腔110及びプラーク領域102a、102bが別々に抽出される。
【0054】
そして、ステップS43では、図12(c)に示されるように、前記ステップS42にて抽出されたプラーク領域102a、102bに対して、CT値に基づく表示色が決定される。次いで、ステップS44にてX線管の焦点、X線検出器や患者を載置する天板の位置情報が入力され、続くステップS45にて、図12(d)に示されるように、検出面での血管内腔の投影画像111が作成される。
【0055】
更に、ステップS46にて、血管走行方向を識別するために、図12(e)に示されるように、血管内腔110の画像の中心線113が画像処理にて抽出される。この抽出には、画像処理ソフト等で一般的な線中心の抽出手法を用いても良い。次いで、ステップS47にて、前記ステップS46で求められた中心線に対する垂線が断面線114として定義される。この断面線114は、血管内腔+プラークの幅とする。
【0056】
そして、ステップS48にて、投影面上の断面線とX線焦点を含む平面が定義される。ここでは、図12(f)に示されるようにして、設定平面に於けるプラーク領域面積と血管内腔面積が各CT値より抽出され、前述した式より、各面積比から狭窄率が算出される。次いで、ステップS49にて、前記ステップS48にて算出された狭窄率が断面線の表示形状(長さ)が決定される。この形状としては、プラーク領域+血管内腔領域を最大の線幅として、図13(a)に示されるように、狭窄率の割合に応じて両端から表示する線の長さが決定される。更に、表示色は前記ステップS43で決定された色が用いられる(図13(b)参照)。逆に、中心から血管120の両端に向けて線を延ばしても良い(図13(c)参照)。
【0057】
ステップS50では、図12(g)に示されるように、前記中心線113に対して任意間隔で設定された断面線114が、前述した狭窄率に基づいた表示色にて表示される。これにより、狭窄率画像が作成される。また、断面線の間隔を非常に細かく設定して、連続的な狭窄画像を作成しても良い。更には、比較的粗く設定した断面線間を補間によって狭窄率を決定し、狭窄画像を作成しても良い。
【0058】
その後、ステップS51にて、作成された狭窄画像が、前述した図3(a)のフローチャートで作成される投影画像にオーバーレイ表示される。このとき、前記ステップS43で段階的に分類した表示色毎に狭窄画像を作成し、図13(d)に示されるように、投影画像に対してオーバーレイ表示するプラーク性状を選択できるようにしても良い。
【0059】
この第3の実施形態によれば、狭窄と性状を容易に2次元画像上で判別することができる効果がある。
【0060】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0061】
一般に、CT装置で収集されたボクセルデータからX線透視画像のような画像(擬似透視画像)を作成することができる。また、閾値処理等により、ボクセルデータからプラークを抽出することもできる。しかしながら、擬似透視画像上にプラークの分布情報等を表示しようとすると、深さ方向の情報が欠落してしまうものであった。また、ボリュームレンダリング画像等でも、深さ方向の情報を表現するには限界があるものであった。
【0062】
そのため、本第4の実施形態では、擬似透視画像にカラー画像を重畳してプラークの深さ方向の分布情報を表現しようとしたものである。
【0063】
造影された血管は周囲に比べ非常に大きなCT値を有しているため、閾値処理等により、ボクセルデータから容易に抽出することができる。また、プラークは血管内に付着するため、前述した造影血管の近傍に限定して閾値処理等を行うことにより、プラークを抽出することもできる。
【0064】
図14は、あるボクセル130内の造影された血管(造影血管)131及びそのプラーク132の例を表した図である。図15は、図14の造影された血管131の断面図である。造影された血管131の断面内の重心135から所定の半径内を、プラーク探索の範囲136としている。尚、134は血管の内壁である。
【0065】
そして、図16に示されるように、ボクセル130に対して図示矢印方向を投影方向として指定することにより、造影血管131の(擬似)透視画像(白黒画像)を、投影面138上に投影された血管像139として生成することができる。こうした投影の際、造影された血管131とプラーク132の位置関係は、図17乃至図20に示されるように分類することができる。
【0066】
すなわち、図17は、プラーク132が造影された血管の手前に位置する例を表している。また、図18は、プラーク141が造影された血管の向こう側に位置する例を表している。更に、図19は、プラーク132及び141が造影された血管の手前と向こう側の両方に位置する例を表している。尚、図20に示される例のような場合は、図17と同様に、プラーク142は造影された血管の手前に位置するものと分類される。
【0067】
このようなプラークに対して、図21に示されるように、前記投影方向に沿ってカラー画像が生成され、前述した白黒画像に重畳されて表示される。この際、造影された血管の手前に位置するプラーク132を例えば赤色(R)に、造影された血管の向こう側に位置するプラーク141を例えば青色(B)に割り当てて画像化する。また、投影方向に沿ったプラークの厚みあるいはボクセル値の積分値は、各色成分の輝度に対応させるようにする。
【0068】
例えば、図22(a)に示されるように、造影された血管145に対して図示矢印方向を投影方向とする。そして、図22(b)に示されるように、血管の手前に位置するプラーク132は、図22(e)に示されるような投影画像として、赤色に表示される。また、図22(c)に示されるように、血管の向こう側に位置するプラーク141は、図22(f)に示されるような投影画像として、青色に表示される。更に、図22(d)に示されるように、血管の手前に位置するプラーク132と向こう側に位置するプラーク141の両方が存在する場合は、図22(g)に示されるように投影画像として、紫色に表示される。
【0069】
尚、図19のように、造影された血管の両側にプラーク132、141が位置する場合は、紫色で画像化されるようにする。
【0070】
更に、前述したカラー重畳画像は、その投影方向を変えることにより、図23に示されるように変化する。
【0071】
例えば、図23(a)に示される造影された血管145に対して、図23(b)に示されるような位置にプラーク142、143が存在する場合、投影方向1であればその投影画像は、図23(d)に示されるように、それぞれのプラーク142、143の位置に対応した色(赤、青)で表される。一方、投影方向2であれば、その投影画像は、図23(c)に示されるように、紫色で表される。
【0072】
このようにして、プラークと造影血管の3次元的位置関係を容易に描写することができる。
【0073】
尚、図21に示されるような、プラークとカラー画像の成分の対応は、全てのプラークの厚み、X線減衰率積分値、或いは最大値を緑色(G)成分の輝度に対応させるようにしても良い。
【0074】
次に、第4の実施形態の変形例について説明する。
【0075】
前述した第4の実施形態では、造影された血管に対するプラークの位置関係を色によって表示していたが、変形例1として、前述した位置関係を無視して、プラークの厚みの総和、或いはボクセル値の積分値の総和に輝度を対応させて、単色カラー画像を生成するようにしても良い。
【0076】
また、変形例2として、造影された血管に対するプラークの位置関係を無視して、プラークの厚みの総和、或いはボクセル値の積分値の総和を求め、その総和値をカラーのグラデーションに対応させてカラー画像を生成するようにしても良い。
【0077】
変形例3としては、前記投影方向をX線撮影装置の、X線管→検出器、の方向に一致させ、前述したカラー重畳画像を表示するようにしても良い。
【0078】
更に、変形例4として、前記投影方向をX線撮影装置の、X線管→検出器、の方向と直交するように設定し、前述したカラー重畳画像を表示するようにしても良い。
【0079】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0080】
前述したように、臨床現場では、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系の検査にCTを導入しようという動きが増えている。特に、急性心筋梗塞や脳梗塞の原因と考えられるソフトプラークは、循環器画像で判別可能な狭窄率がそれほど高くない場所にある場合も多く、検査としてのCTの有効性が高まっている。
【0081】
そして、X線循環器装置では、石灰化プラークによる高狭窄率の部位は判別可能であるが、高狭窄を伴わないソフトプラークの位置特定は難しい。そのため、ソフトプラークに対する薬剤ステントのステンティングといった治療を実施する際には、CT画像によるソフトプラーク部位を確認した上で、循環器装置を用いて該当部位にステント留置を行うようにしている。
【0082】
ところが、従来は、循環器画像上でプラーク位置・性状等を知ることができず、特に、急性の脳梗塞や心筋梗塞の原因と考えられているソフトプラークは、必ずしも狭窄率の大きい場所にあるわけではないため、循環器装置では識別することができない。したがって、インターベンションを実施する際にCT画像と見比べながらプラーク位置・性状を確認して手技を進めざるをえず、治療時間の増大を招き効率が悪いものとなっていた。
【0083】
そこで、この第5の実施形態では、事前に収集したCT画像よりプラーク画像等、インターベンションに有用な情報を抽出し、更に循環器装置の情報に基づいて表示することで、循環器装置のような画像として確認することができる医用画像処理装置を提供するようにしている。
【0084】
図24は、本発明の第5の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示した図である。
【0085】
図24に於いて、この医用画像処理装置は、X線循環器装置30と、前述した医用画像処理装置10とを有して構成される。
【0086】
前記X線循環器装置30は、天板26と、X線発生部27と、X線検出部28と、これらX線発生部27及びX線検出部28を対向関係に配置したC字形状のCアーム29と、複数の画像モニタ17aとから構成される。
【0087】
図25は、図24に示される医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【0088】
前記天板26は患者25を載置するためのもので、この天板26を挟んでCアーム29の両端部に対向関係で前記X線発生部27とX線検出部28が搭載されている。前記Cアーム29は、操作部45が操作されるとシステム制御部40及びCアーム・天板機構制御部42により駆動されて回転する。このとき、X線発生部27とX線検出器28とが、同一の回転軸の軸周りを回転する。
【0089】
X線発生部27は、X線管33及びX線絞り器34を有している。X線管33は、高電圧発生器37から電力供給を受けて、X線検出部28内の平面検出器(図示せず)に向けてX線を放射する。高電圧発生器37は、X線制御部36と共に電圧制御部35を構成しているもので、X線制御部36を介してシステム制御部40によって、管電圧及びフィラメント電流が任意に調整されるようになっている。尚、システム制御部40は、このX線循環器装置30全体の制御動作を司るものである。このシステム制御部40は、また、X線管33によるX線の発生の制御と同期して、X線検出部28内の平面検出器38、及び画像処理回路41の制御も併せて行う。
【0090】
一方、X線検出部28は、平面検出器38と、図示されないデータ変換部を有して構成される。前記平面検出器38は、前述したX線管33より被検体25を介して入射するX線を検出して、その強度に応じた電気信号をデータ変換部に出力する。このデータ変換部で変換された画像データは、画像処理回路41を介して、画像データ記憶回路43に供給される。また、画像処理回路41には、画像表示回路44を介して複数のモニタ17aが接続されている。
【0091】
画像処理回路41では、平面検出器38で得られた画像データをモニタ17aに表示するべく画像処理が行われる。術者は、このモニタ17aに表示された画像等を確認しながら操作部45を操作することにより、X線診断治療を行うことができる。
【0092】
一方、医用画像処理装置10aは、前述したCT画像入力部13、画像抽出部14、投影像作成部15、画像重ね合わせ部16、モニタ17bの他、X線循環器装置30からの画像を入力する循環器画像入力部12と、この循環器画像入力部12で入力された循環器画像と投影像作成部15で作成された画像との位置合わせを行うための位置合わせ部18とを有して構成される。
【0093】
このような構成に医療医用画像処理装置に於いて、先ず、図26(a)に示されるように、同一患者の、例えば数日前のCT検査による3Dデータ(3次元の位置情報と各位置でのCT値によるボクセルデータ)が、CT画像入力部13から入力される。次いで、図26(b)に示されるように、前記3DデータからCT値を基にして、ソフトプラークを含むボクセルデータのみが画像抽出部14により抽出される。ここで、例えばCT値が0〜50のものがソフトプラークとして抽出される。
【0094】
そして、図26(c)に示されるように、位置入力部11から現在のX線管及び検出器位置が取得され、天板の位置からおおよその患者位置が検出されて、投影像作成部15にてソフトプラーク画像の投影画像が作成される。ここでは、投影中心をX線焦点、投影面を検出面とした、一般的な透視投影法が用いられて抽出されたソフトプラークの投影画像が作成される。
【0095】
次に、位置合わせ部18に於いて画像の詳細な位置合わせを行うために、インターベンション中のX線循環器装置30にて血管造影画像が収集される。(i)造影剤部分はX線吸収量が大きいことと対象血管に連続性があることを利用して、対象血管画像が抽出される。(ii)また、一方でCTからの3Dデータから、CT値を基に血管画像のみが抽出され、前述したソフトプラークの投影画像と同様に検出面への投影画像が作成される。血管画像を鮮明に抽出するために、CT画像収集時に造影剤を使用しているとして、CT値はこの造影剤のX線吸収率に依存する。
【0096】
前記(i)と(ii)の画像は、心臓等の動きのある部分を除けば、概ね一致するはずであるため、並行移動しながら画像マッチング量が検出されていくことで最もマッチングが取れた位置での(ii)画像の平行移動量から位置合わせ量が算出される。尚、画像マッチングには、相関関数を利用しても良い。
【0097】
そして、図26(d)に示されるように、前記投影像作成部15で得られたソフトプラークの投影画像155が、前記位置合わせ部18で得られた移動量に基づく平行移動処理が行われた画像156と、重ね合わせられた画像157が得られる。この際、ソフトプラークが識別しやすいように、X線画像とは異なる色にて表示しても良い。このようにして、合成された画像157がモニタ17bに表示される。
【0098】
例えば、X線循環器装置30のモニタ17aに、図27(a)に示されるように表示されていた画像は、医用画像処理装置10aで重ね合わされることによって、図27(b)に示されるような画像としてモニタ17bに表示される。
【0099】
尚、一旦平行移動量が算出されることにより、3Dデータ上での正確なX線管、検出器、患者位置情報を持つことができる。
【0100】
位置合わせ後は、この正確なX線管、検出器、患者位置情報によるソフトプラーク投影像を都度再計算することで、検出器や天板位置の移動、拡大率の変動した場合でも正確なソフトプラークの重ね合わせを実行することができる。
【0101】
このように、第5の実施形態によれば、循環器画像で収集した循環器画像上で、プラーク位置、量等を確認しながら、カテーテル等の操作を実施することができる。
【0102】
次に、第5の実施形態の変形例について説明する。
【0103】
第5の実施形態の第1の変形例では、前述した位置合わせ部18に於いて、心臓領域等の対象血管位置が移動する場合のソフトプラーク画像の重ね合わせについて述べている。
【0104】
先ず、CT画像入力部13で、図28(a)に示されるように、入力されるCT画像に於いて心電波形1拍分の動画像が入力される。次いで、画像抽出部14に於いて、図28(b)に示されるように、心電波形が幾つかのフェーズに分解され、各フェーズによるソフトプラーク画像が抽出される。
【0105】
そして、投影像作成部15にて、図28(c)に示されるように、各フェーズ毎に現在のX線循環器装置30の位置に応じた投影画像が作成される。次いで、位置合わせ部18に於いて、図29に示されるように、最も安定的なフェーズ(収縮後若しくは拡大後)に於ける血管造影画像による投影像161と、X線循環器装置30に於ける血管造影画像162の位置合わせが行われ、前述した第5の実施形態と同様な方法で、より精度の良い位置合わせが実施される。
【0106】
更に、画像重ね合わせ部16に於いて、図30に示されるように、X線循環器装置30にてX線画像と共に心電波形が収集され、前記画像抽出部14で得られた各フェーズのソフトプラーク画像の中から、その時の心電波形のフェーズに応じたソフトプラーク画像が重ね合わせられる。
【0107】
尚、検出器、天板の移動に伴う移動や拡大率の変更は、前述した第5の実施形態と同様に行われる。
【0108】
次に、第5の実施形態の第2の変形例について説明する。
【0109】
前述した第5の実施形態及び第5の実施形態の第1の変形例では、X線循環器装置30からの画像に対して詳細な位置合わせが行われていたが、本第5の実施形態の第2の変形例ではこの位置合わせを必要としていない例について述べる。
【0110】
図31は、第5の実施形態の第2の変形例に係る医用画像処理装置の詳細の一例を示すブロック構成図である。
【0111】
同図に於いて、医用画像処理装置10bは、位置入力部11と、CT画像入力部13と、画像抽出部14と、投影像作成部15と、画像重ね合わせ部16と、モニタ17bと、を有して構成される。
【0112】
このような構成に於いて、X線循環器装置30の画像に重ね合わせる必要がない場合は、画像抽出部14にてCT値に基づく画像抽出が実施された画像の投影像と、位置入力部11から入力されるCT画像そのものの投影画像が、投影像作成部15及び画像重ね合わせ部16にて重ね合わせられるようにする。
【0113】
CT値に基づいて抽出された画像は、カラー表示する等、目立たせて表示することができる。
【0114】
次に、第5の実施形態の第3の変形例について説明する。
【0115】
前述した第5の実施形態に於いて、位置合わせにそれほど精度を必要としない場合は、図32に示される医用画像処理装置10cのように、図25の医用画像処理装置10aから位置合わせ部18を除いた構成としても良い。
【0116】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0117】
更に、前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0118】
10、10a、10b、10c…X線診断治療装置、11…位置入力部、12…循環器画像入力部、13…CT画像入力部、14…画像抽出部、15…投影像作成部、16…画像重ね合わせ部、17、17a、17b…モニタ、18…位置合わせ部、19…システムコントローラ、25…患者、26…天板、27…X線発生部、28…X線検出部、29…Cアーム、30X線循環器装置、33…X線管、34…X線絞り器、35…部位制御部、36…X線制御部、37…高電圧発生器、38…平面検出器、40…システム制御部、41…画像処理回路、43…画像データ記憶回路、44…画像表示回路、45…操作部、100…血管、101…カテーテル、102、1021 、1022 、1023 …プラーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に関する3次元CTデータからCT値範囲に基づいて造影血流領域とプラーク領域を抽出する抽出部と、
前記造影血流領域と前記プラーク領域を対象として血管/プラーク投影画像を発生する血管/プラーク投影画像発生部と、前記血管/プラーク投影画像上で前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々にはカラー値が割り当てられ、前記造影血流領域に対応する範囲内の画素各々には濃淡値が割り当てられる、
前記造影血流領域に対する前記プラーク領域の位置を投影方向に関して手前側/奥側で判定する判定部と、
前記血流/プラーク投影画像を前記投影画像に重ねて表示する表示部とを具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記造影血流領域に対して手前側に位置すると判定された前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には3原色中の特定色のカラー値が割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記造影血流領域に対して奥側に位置すると判定された前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には3原色中の他の色のカラー値が割り当てられることを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記血管/プラーク投影画像上での前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には前記プラーク領域の厚み又はボクセル積分値に対応する輝度が割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記血管/プラーク投影画像上での前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には前記プラーク領域の厚み又はボクセル積分値に対応するカラーグラデーションが割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記血管/プラーク投影画像発生部は、前記被検体のX線画像を撮影するために、X線を発生するX線管と前記X線を検出するX線検出器とを有する外部のX線循環器装置から受信した前記X線管及び前記X線検出器の位置に応じた投影方向に従って前記投影画像及び前記プラーク投影画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記3次元データから、CT値に基づく選択領域を抽出する抽出手段を更に具備し、
前記血管/プラーク投影画像発生部は、前記X線循環器装置による前記天板、前記X線管、前記X線検出器の位置情報に基づく投影画像上に前記選択領域を重ねることを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記3次元データから、CT値に基づく選択領域を抽出する抽出手段を更に具備し、
前記血管/プラーク投影画像発生部は、前記X線循環器装置による前記天板、前記X線管、前記X線検出器の位置情報に基づく投影画像に変換して、更に前記X線循環器装置によるX線画像上に重ね合わせることを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記X線循環器装置にて収集された血流造影画像とCT装置からの血流の投影画像との位置合わせを行うことを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記血管/プラーク投影画像には、心電波形の位相毎にCT値に基づく選択領域と循環器装置によるX線画像が重ね合わせることを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記抽出部は、CT値に基づいてプラーク情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項1】
被検体に関する3次元CTデータからCT値範囲に基づいて造影血流領域とプラーク領域を抽出する抽出部と、
前記造影血流領域と前記プラーク領域を対象として血管/プラーク投影画像を発生する血管/プラーク投影画像発生部と、前記血管/プラーク投影画像上で前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々にはカラー値が割り当てられ、前記造影血流領域に対応する範囲内の画素各々には濃淡値が割り当てられる、
前記造影血流領域に対する前記プラーク領域の位置を投影方向に関して手前側/奥側で判定する判定部と、
前記血流/プラーク投影画像を前記投影画像に重ねて表示する表示部とを具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記造影血流領域に対して手前側に位置すると判定された前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には3原色中の特定色のカラー値が割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記造影血流領域に対して奥側に位置すると判定された前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には3原色中の他の色のカラー値が割り当てられることを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記血管/プラーク投影画像上での前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には前記プラーク領域の厚み又はボクセル積分値に対応する輝度が割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記血管/プラーク投影画像上での前記プラーク領域に対応する範囲内の画素各々には前記プラーク領域の厚み又はボクセル積分値に対応するカラーグラデーションが割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記血管/プラーク投影画像発生部は、前記被検体のX線画像を撮影するために、X線を発生するX線管と前記X線を検出するX線検出器とを有する外部のX線循環器装置から受信した前記X線管及び前記X線検出器の位置に応じた投影方向に従って前記投影画像及び前記プラーク投影画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記3次元データから、CT値に基づく選択領域を抽出する抽出手段を更に具備し、
前記血管/プラーク投影画像発生部は、前記X線循環器装置による前記天板、前記X線管、前記X線検出器の位置情報に基づく投影画像上に前記選択領域を重ねることを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記3次元データから、CT値に基づく選択領域を抽出する抽出手段を更に具備し、
前記血管/プラーク投影画像発生部は、前記X線循環器装置による前記天板、前記X線管、前記X線検出器の位置情報に基づく投影画像に変換して、更に前記X線循環器装置によるX線画像上に重ね合わせることを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記X線循環器装置にて収集された血流造影画像とCT装置からの血流の投影画像との位置合わせを行うことを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記血管/プラーク投影画像には、心電波形の位相毎にCT値に基づく選択領域と循環器装置によるX線画像が重ね合わせることを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記抽出部は、CT値に基づいてプラーク情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図30】
【図31】
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【公開番号】特開2012−176283(P2012−176283A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127051(P2012−127051)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【分割の表示】特願2007−255703(P2007−255703)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【分割の表示】特願2007−255703(P2007−255703)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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