説明

医用画像検索装置及び医用画像保管検索システム

【課題】撮影された医用画像に関する医用画像情報を医療機関外の医用画像検索装置に保管させ、医用画像を期間を分けて医療機関内外の複数の医用画像保管装置に保管することで医用画像の撮影から参照までの時間を短縮するとともに、ネットワークへの負荷を低減することのできる医用画像検索装置及び医用画像保管検索システムを提供する。
【解決手段】医用画像撮影装置Tが撮影した医用画像を識別する医用画像情報及び、医用画像が保管されている医用画像保管装置12に関する保管場所情報を記憶する記憶部32と、医用画像の保管期間を計測する計時部33と、医用画像参照装置4からの参照要求に基づいて、記憶部32に記憶されている医用画像情報から医用画像参照要求の対象とされている医用画像がいずれの医用画像保管装置12に保管されているかを確認し、医用画像情報及び保管場所情報を医用画像参照装置4へと送信する判断部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像を取得後迅速に参照できるとともに、参照に当たってネットワークへの負荷を軽減することのできる医用画像検索装置及び医用画像保管検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体内部の情報を収集し、この収集された情報に基づいて被検体内部を画像化して医用画像を生成する医用画像撮影装置が用いられるようになっている。この医用画像撮影装置としては、例えば、X線CT装置(computed tomography:コンピュータ断層撮影装置)や、磁気共鳴診断装置(MRI:magnetic resonance imaging)等が該当する。撮影された医用画像は例えば、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された管理システムを用いて管理される(以下の特許文献1参照)。
【0003】
さらには、医用画像を医療機関外のネットワークに接続される医用画像保管装置に保管し、複数の医療機関において取得された医用画像を一元的に管理するシステムも構築されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−260301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、医用画像撮影装置の技術的進展に伴い、一回の撮影につき生成される医用画像の枚数は膨大な数に上ることがあり、上記特許文献1において開示されている発明においても、その対応が困難になる場合がある。
【0006】
一方、医用画像保管装置を医療機関外に置くことで、医療機関内に構築される医用画像管理システムにおいて管理する医用画像の枚数は減らすことが可能である。
【0007】
但し、医用画像保管装置を医療機関外に置いたとしても、複数の医療機関からの医用画像を受け入れることとすれば、医用画像の参照要求がこれまで以上に膨大な数となることも予想され、結局、医用画像保管装置、或いは、この医用画像保管装置が接続されているネットワークへの負荷は大きなものとなる。そのため、保管されている医用画像を参照するまでに時間が掛かることになり、医療機関内に医用画像保管装置が設置されて構築される医用画像管理システムと同様の課題が生ずる可能性が出てくる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、撮影された医用画像に関する医用画像情報を医療機関外の医用画像検索装置に保管させ、併せて、医用画像を期間を分けて医療機関内外の複数の医用画像保管装置に保管することによって、医用画像の撮影から参照までの時間を短縮するとともに、ネットワークへの負荷を低減することのできる医用画像検索装置及び医用画像保管検索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明の特徴は、医用画像検索装置において、医用画像撮影装置が撮影した被検体の内部情報である医用画像を識別する医用画像情報及び、医用画像が保管されている医用画像保管装置に関する保管場所情報を記憶する記憶部と、医用画像の保管期間を計測する計時部と、医用画像参照装置からの参照要求に基づいて、記憶部に記憶されている医用画像情報から医用画像参照要求の対象とされている医用画像がいずれの医用画像保管装置に保管されているかを確認し、医用画像情報及び保管場所情報を医用画像参照装置へと送信する判断部とを備える。
【0010】
請求項4に記載の発明の特徴は、医用画像保管検索システムにおいて、医用画像撮影装置が撮影した被検体の内部情報を医用画像として一時的に保管する医用画像一時保管装置と、医用画像を恒久的に保管する医用画像恒久保管装置と、医用画像撮影装置が撮影した被検体の内部情報である医用画像を識別する医用画像情報及び、医用画像が保管されている医用画像保管装置に関する保管場所情報を記憶する記憶部と、医用画像の保管期間を計測する計時部と、医用画像参照装置からの医用画像参照要求に基づいて、記憶部に記憶されている医用画像情報から医用画像参照要求の対象とされている医用画像がいずれの医用画像保管装置に保管されているかを確認し、医用画像情報及び保管場所情報を医用画像参照装置へと送信する判断部とを備える医用画像検索装置と、医用画像検索装置から提供される医用画像に関する医用画像情報及び、医用画像の保管場所情報に基づいて医用画像一時保管装置、或いは、医用画像恒久保管装置に保管される医用画像を参照する医用画像参照装置とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態における医用画像保管検索システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】実施の形態における医用画像保管装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態における医用画像検索装置の内部構成を示すブロック図。
【図4】実施の形態における医用画像検索装置の記憶部に記憶される情報テーブルの一例。
【図5】実施の形態における医用画像検索装置の記憶部に記憶される情報テーブルの一例。
【図6】実施の形態における医用画像撮影装置における医用画像の撮影から医用画像一時保管装置への医用画像の保管及び医用画像検索装置への医用画像情報の保管までの流れをシーケンス図。
【図7】実施の形態における医用画像一時保管装置内に保管されている医用画像を参照する際の流れを示すシーケンス図。
【図8】実施の形態における医用画像の保管先を医用画像一時保管装置から医用画像恒久保管装置へと移す際の流れを示すシーケンス図。
【図9】実施の形態における医用画像一時保管装置内及び医用画像恒久保管装置内に保管されている医用画像を参照する際の流れを示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態における医用画像保管検索システムSの全体構成を示すブロック図である。医用画像保管検索システムSは、医用画像撮影装置Tと、撮影された医用画像を一時的に保管する医用画像一時保管装置1と、撮影された医用画像を恒久的に保管する医用画像恒久保管装置2と、いずれの医用画像保管装置に医用画像が保管されているかを検索する医用画像検索装置3と、保管されている医用画像を参照する際に使用される医用画像参照装置4とがネットワークNに接続されることによって形成されている。
【0014】
医用画像撮影装置Tは、被検体を撮影することによりその内部情報を取得(撮影)する装置であり、上述したX線CT装置やMRI等が該当する。
【0015】
医用画像一時保管装置1は、医用画像撮影装置にて撮影された医用画像を一定の期間保管する装置である。この「一定期間」とは、医療機関の運用によって決定することが可能な期間である。例えば、医用画像の対象である被検体(患者)の症例や入院患者、外来患者の別等、様々な要素を勘案して決定することができる。医用画像一時保管装置1は、医療機関内に設置されており、例えば、PACSを構成している。
【0016】
一方、医用画像恒久保管装置2は、やはり医用画像撮影装置にて撮影された医用画像を保管する装置である。但し、医用画像一時保管装置1とは異なり、医用画像を一時的に保管するのではなく、医用画像一時保管装置1で保管された医用画像を引き取って、一定期間と言わず、恒久的に保管するものである。なお、この医用画像恒久保管装置2としては、例えば、PACSとは別に院外に設けられるネットワークに接続されるクラウドサーバ(Cloud Server)を利用することができる。また、以下、適宜医用画像一時保管装置1と医用画像恒久保管装置2との両者を含む概念として「医用画像保管装置12」を使用する。
【0017】
医用画像検索装置3は、医用画像保管装置12内に保管される医用画像の情報(以下、「医用画像情報」と表わす)と参照要求が出されている医用画像(以下、このような医用画像を適宜「参照要求画像」と表わす)がどの医用画像保管装置12に保管されているかの情報(以下、「保管場所情報」と表わす)を記憶する。そして、医用画像参照装置4からの参照要求に基づいて該当する参照要求画像に関する医用画像情報及び保管場所情報を医用画像参照装置4へ送信する。
【0018】
医用画像参照装置4は、例えば、読影医や技師等、医用画像撮影装置Tにて撮影された医用画像を見る際に利用される装置である。従って、最低限医用画像を見ることができる能力があれば足り、例えば、一般的なパソコン(パーソナルコンピュータ)等であっても問題はない。もちろん、医用画像を見るだけではなく電子カルテ等とのシステムと連携させることができるようにされていても、或いは、PACSを構成する装置であっても良い。また、ネットワークNに接続できる機能を備えているのであれば、医用画像参照装置4が使用される環境は医療機関の内外を問わない。
【0019】
なお、図1においては、3台の医用画像参照装置4がネットワークNに接続されているが(医用画像参照装置4Aないし4C)、以下、これらを適宜まとめて「医用画像参照装置4」と表わす。
【0020】
ネットワークNには医用画像保管検索システムSを構成する上述した各装置がそれぞれ接続されている。そのため、医療機関内、或いは医療機関外の区別をすることなく一体としてネットワークNと表わしている。ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、このネットワークNで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態における医用画像保管装置12の内部構成を示すブロック図である。医用画像一時保管装置1と医用画像恒久保管装置2とは、医用画像を一時的に保管するか、或いは、恒久的に保管するか、を主な相違点とすることから、本発明の実施の形態においては、その構成は基本的に同一であることを前提とする。
【0022】
医用画像保管装置12は、受信部21と、画像保管部22と、処理部23と、送信部24とから構成される。画像保管部22は、医用画像撮影装置Tにおいて撮影された医用画像を保管する。但し、医用画像一時保管装置1と医用画像恒久保管装置2との役割の違いに基づいて、両者でこの画像保管部22の記憶容量に違いを持たせることは可能である。処理部23は、医用画像撮影装置Tから送信された医用画像のタグ情報を処理し、医用画像情報として医用画像検索装置3へ送信したり、或いは、医用画像撮影装置Tから送信された医用画像を画像保管部22に保管する処理を行ったりする。なお、処理部23の具体的な働きについては、後述する。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態における医用画像検索装置3の内部構成を示すブロック図である。医用画像検索装置3は、受信部31と、記憶部32と、計時部33と、判断部34と、送信部35とから構成される。医用画像検索装置3は、上述したように、医用画像参照装置4からの参照要求を受け付け、医用画像参照装置4に対して参照要求画像に関する医用画像情報及び、保管場所情報を返却する役割を担っている。従って、医用画像参照装置4が実際に医用画像の参照を行う際には、該当する医用画像を保管している医用画像保管装置12に直接アクセスして該当する医用画像の参照を行う。
【0024】
記憶部32は、医用画像情報及び保管場所情報を記憶する。また、計時部33は、時間を計測する。計時部33において計測された時間は、医用画像一時保管装置1が医用画像を保管する期間を算出する際等に利用される。判断部34は、医用画像参照装置4から参照要求の出された医用画像の医用画像情報及び保管場所情報を記憶部32から取得して医用画像参照装置4へと送信する。また、医用画像の保管場所が医用画像一時保管装置1から医用画像恒久保管装置2へ変更になった場合、医用画像恒久保管装置2からの変更情報を受信して記憶部32内の情報テーブルを変更する。
【0025】
図4は、医用画像検索装置3の記憶部32に記憶される情報テーブルの一例である。図4に示す情報テーブルには、主に医用画像一時保管装置1の識別番号と当該医用画像一時保管装置1内に医用画像を保管しておく期間とが規定されている。
【0026】
「医用画像一時保管装置の識別番号」は、医療機関に設置されている医用画像一時保管装置1を一意的に特定することができる番号である。従って、図4に示す情報テーブルに一文字で表わされている「A」、「B」と表わされている識別番号は、実際には複数の文字列で示される。なお、ここでは「番号」としているが、数字のみならず数字及び欧文字を含む記号であっても良い。
【0027】
「画像保管部内への(医用画像の)保管期間」は、医用画像一時保管装置1内の画像保管部22内に医用画像を保管する期間を表わすものである。この「保管期間」は上述したように、医療機関ごと、或いは、該当する医用画像の性質に合わせて決定されるが、医用画像一時保管装置1へ保管する期間はあくまでも「一時」であり、保管対象となる医用画像はすぐに医用画像恒久保管装置2へと送信される。なお、後述するように、同一の医用画像を医用画像一時保管装置1と医用画像恒久保管装置2とで並行して保管する期間があるが、医用画像一時保管装置1において定められる保管期間が経過すると医用画像一時保管装置1からは該当する医用画像が削除される。図4に示す情報テーブルでは、例えば、医用画像一時保管装置1として表わされている「A」は、その画像保管部22内に医用画像を「30日」間保管する。
【0028】
図5は、医用画像検索装置3の記憶部32に記憶される情報テーブルの一例である。図5に示す情報テーブルには、「医用画像の識別番号」、「画像を保管した日時」、「医用画像保管装置」、「保管フラグ」といった項目が主に挙げられている。
【0029】
「医用画像の識別番号」は、保管される医用画像を一意的に特定する番号であり、例えば、DICOMにおける「UID」が該当する。「画像を保管した日時」は、医用画像を医用画像一時保管装置1、或いは、医用画像恒久保管装置2に保管した日時を示している。「医用画像一時保管装置」は、この医用画像を保管する、或いは、保管していた医用画像一時保管装置がいずれの医用画像一時保管装置であるかを示すものである。
【0030】
「保管フラグ」は、医用画像が保管されている最新の医用画像保管装置12を示すフラグである。従って、医用画像が医用画像一時保管装置1から医用画像恒久保管装置2へと送信されてその保管先が変更された場合には、「保管フラグ」が「医用画像一時保管装置」から「医用画像恒久保管装置」へと変更される。
【0031】
但し、医用画像一時保管装置1と医用画像恒久保管装置2とが同一の医用画像を保管している期間があり、この点については後述するが、その場合の「保管フラグ」は、「医用画像恒久保管装置」となる。
【0032】
なお、「保管フラグ」の変更は、医用画像一時保管装置1から医用画像を受領した「医用画像恒久保管装置2」からの保管通知に基づいて、医用画像検索装置3の判断部34が行う(後述)。
【0033】
次に、医用画像撮影装置Tにおいて医用画像が撮影されてから医用画像参照装置4において必要な医用画像が参照されるまで、或いは、医用画像の保管先の変更の流れについて、図6ないし図9に示すシーケンス図を使用しつつ、以下説明する。
【0034】
図6は、医用画像撮影装置Tにおける医用画像の撮影から医用画像一時保管装置1への医用画像の保管及び医用画像検索装置3への医用画像情報等の保管までの流れを示すシーケンス図である。まず、医用画像撮影装置Tにおいて被検体の医用画像が撮影される(ST1)。その後、医用画像撮影装置Tによって撮影された医用画像が医用画像一時保管装置1へと送信される(ST2)。
【0035】
医用画像一時保管装置1においては、送信された医用画像を受信部21において受信するとともに、処理部23を介して画像保管部22へと保管する(ST3)。医用画像一時保管装置1においては、併せて処理部23が画像保管部22に保管した医用画像に関するタグ情報を取得したことを確認する(ST4)。
【0036】
ここで、タグ情報とは、例えば、DICOMにおけるヘッダーが該当する。このタグ情報には、規格によるが、例えば、患者氏名、患者ID等の患者情報や撮影指示情報、或いは、医用画像撮影装置Tに関する情報といった各種情報が含まれる。このタグ情報と医用画像とは1対1に対応しており、タグ情報を把握することで該当する医用画像をも把握することが可能である。
【0037】
処理部23は、取得したタグ情報に修正が必要か否か確認する(ST5)。タグ情報の内容は上述した通りであるが、何らかの理由によりタグ情報が医用画像を特定する上で適切ではない状態があり得る。そこで、処理部23がタグ情報と該当する医用画像とを比較確認して、必要であればタグ情報を修正する(ST6)。
【0038】
このように必要に応じて修正が加えられたタグ情報は、「医用画像情報」として画像保管部22に改めて該当する医用画像と保管される。また、修正が不要なタグ情報も医用画像情報として画像保管部22に保管される。その上で医用画像一時保管装置1は、医用画像情報のみを医用画像検索装置3に送信する(ST7)。
【0039】
医用画像検索装置3では、医用画像一時保管装置1から送信された医用画像情報を受信し、記憶部32へ保管する(ST8)。具体的には、例えば、図5の情報テーブルに示されるように、医用画像情報の内容に基づいて「医用画像の識別番号」や「画像を保管した日時」等の項目が充足される。
【0040】
以上の流れによって、医用画像撮影装置Tによって撮影された医用画像が医用画像一時保管装置1及び、医用画像情報のみ医用画像検索装置3へとそれぞれ保管される。従って、医用画像検索装置3は、医用画像情報によって、自身が保管する医用画像情報を備える医用画像がいずれの医用画像一時保管装置1に保管されているか、把握することが可能である。
【0041】
図7は、医用画像一時保管装置1内に保管されている医用画像を医用画像参照装置4にて参照する際の流れを示すシーケンス図である。医師は、読影を行ってのレポート作成や診察を行うために、ネットワークNに接続されている医用画像参照装置4を利用して医用画像を参照する。そのためには、医用画像一時保管装置1内に保管されている医用画像を医用画像参照装置4に呼び出すことが必要となるが、直接医用画像一時保管装置1にアクセスして医用画像を取得すると時間が掛かるおそれがある。特に医用画像一時保管装置1が複数ネットワークNに接続されている場合、いずれの医用画像一時保管装置1内に所望の医用画像が保管されているか、探すのは困難である。
【0042】
そこで、本実施の形態においては、まず医用画像参照装置4を用いて医用画像を参照する場合、医用画像検索装置3に対して所望の医用画像に関する参照要求を送信する(ST10)。医用画像参照装置4における参照要求の生成については、ここでは特に触れないが、医用画像を参照するためのアプリケーションを起動し、そのアプリケーションに従って必要とする医用画像についての各種項目、条件等を入力し、参照要求を生成する。
【0043】
医用画像検索装置3は、医用画像参照装置4からの参照要求を受信すると(ST11)、参照要求に含まれる各種項目、条件等に従って記憶部32から合致する医用画像に関する情報を検索する(ST12)。ここで検索される情報は、参照対象となる医用画像がいずれの医用画像一時保管装置1内に保管されているか、当該医用画像の保管場所を示す保管場所情報である。具体的には、記憶部32内には、上述したように図5で示すような情報テーブルが格納されており、この情報テーブルの「保管フラグ」を参照する。
【0044】
検索された保管場所情報は、参照要求を送信した医用画像参照装置4に対して送信される(ST13)。
【0045】
医用画像参照装置4は、参照要求に対して医用画像検索装置3から戻ってきた医用画像の保管場所情報に基づいて、参照の対象とする医用画像(参照要求画像)を保管している医用画像一時保管装置1に対して改めて参照要求を送信する(ST14)。
【0046】
保管場所情報に基づいて出された参照要求を受信した医用画像一時保管装置1は(ST15)、該当する医用画像を画像保管部22内から取得し、医用画像参照装置4に対して送信する(ST16)。医用画像参照装置4は、医用画像一時保管装置1からの所望の医用画像を受信し(ST17)、その表示部に表示させることで読影、或いは診察に役立てられる。
【0047】
すなわち、所望の医用画像を参照したい場合に、当該医用画像が保管されているであろう医用画像一時保管装置1に対して闇雲に参照要求を送信しても検索に時間が掛かるばかりである。また、複数の医用画像参照装置4が参照要求を送信すると、ネットワークNへの負荷も増大させることになる。従って、医用画像参照装置4は、予め医用画像検索装置3に参照要求を出し、医用画像検索装置3から所望の医用画像がいずれの医用画像一時保管装置1内に保管されているかを示す保管場所情報を取得することで、所望の医用画像を保管する医用画像一時保管装置1に直接参照要求を出すことができる。これによって、参照までの時間を短縮することができるとともに、ネットワークNへの負荷も軽減することができる。
【0048】
図8は、医用画像の保管先を医用画像一時保管装置1から医用画像恒久保管装置2へと変更する際の流れを示すシーケンス図である。医用画像が医用画像一時保管装置1内に保管される期間は上述したように予め定められている。従って、医用画像検索装置3内の計時部33が時間を計測し、判断部34が医用画像の保管が開始された日時に関する情報に基づいて、当該医用画像の保管期間の経過を判断する。判断部34は、医用画像一時保管装置1内に保管される医用画像が保管期間の満了が近づいているか否かを判断し、当該医用画像の保管期間経過が近づいている場合には、当該医用画像を保管する医用画像一時保管装置1に対して保管期間の経過が近づいている旨を通知する(保管期間経過予定通知を送信する)(ST21)。
【0049】
なお、判断部34が医用画像一時保管装置1へ保管期間経過予定通知を送信するタイミングについては、任意に設定できるが、例えば、医用画像一時保管装置1へ医用画像が保管されてからすぐに、例えば、1日で医用画像一時保管装置1へ保管期間経過予定通知を通知する。このようなタイミングで医用画像一時保管装置1へ保管期間経過予定通知が通知される場合は、特に、医用画像一時保管装置1のみに医用画像が保管されている期間は短くなる。
【0050】
また、医用画像検索装置3から医用画像一時保管装置1へ保管期間の経過予定が通知される場合には、医用画像検索装置3が保管している当該医用画像に関する医用画像情報も併せて送信される。
【0051】
保管期間経過予定通知及び、この保管期間の経過の対象となる医用画像の医用画像情報を受信した医用画像一時保管装置1は(ST22)、処理部23が画像保管部22から医用画像情報に基づいて該当する医用画像を取得し、送信部24を介して医用画像恒久保管装置2へと送信する(ST23)。
【0052】
医用画像一時保管装置1から送信された医用画像を受信した医用画像恒久保管装置2は、医用画像を受領するとともに画像保管部22に保管する(ST24)。また、処理部23は、保管した医用画像に関する医用画像情報を医用画像検索装置3へと送信する。この医用画像検索装置3に送信された医用画像情報が、医用画像恒久保管装置2からの保管通知となる。
【0053】
医用画像情報を受信した医用画像検索装置3は、この医用画像情報に基づいて記憶部32に記憶されている医用画像のうち、該当する医用画像の保管場所を示す「保管フラグ」を医用画像一時保管装置から医用画像恒久保管装置へと変更する(ST26)。
【0054】
このように医用画像の保管先が医用画像一時保管装置1から医用画像恒久保管装置2へと変更された場合に、すぐに医用画像検索装置3にその変更が反映されることになり、医用画像参照装置4からの参照要求に対しても適切に応答することができる。
【0055】
なお、医用画像恒久保管装置2へと送信された医用画像一時保管装置1において保管期間経過予定通知の対象となった医用画像について、同一の医用画像を複数の医用画像保管装置12において保管しておく必要はないとして、保管期間経過後医用画像一時保管装置1はその保管を止め、削除することも可能である。一方で、設定により医用画像恒久保管装置2に保管される医用画像のバックアップとして継続して保管しておくことも可能である。
【0056】
このように、そもそも短い保管期間のみ医用画像を保管する医用画像一時保管装置1ではあるが、保管期間の経過が予定される医用画像が、医用画像一時保管装置1から医用画像恒久保管装置2に送信された後、当該医用画像が医用画像一時保管装置1において削除されるまでの間、当該医用画像は、医用画像一時保管装置1及び医用画像恒久保管装置2の両者に保管される場合が生じうる。このような時に、医用画像参照装置4から参照要求が医用画像検索装置3に対して送信された場合は、以下の通り取り扱われる。
【0057】
図9は、医用画像一時保管装置1内及び医用画像恒久保管装置2内に保管されている医用画像を参照する際の流れを示すシーケンス図である。医師等が医用画像を参照する場合に、医用画像参照装置4から所望の医用画像に関する参照要求を医用画像検索装置3に対して出す。この参照要求に基づいて医用画像検索装置3は、参照要求画像がいずれの医用画像保管装置12に保管されているか、検索を行う。ここまでは、上述した通りである(ST10ないしST12)。
【0058】
ここで参照要求画像は、既に医用画像一時保管装置1から医用画像恒久保管装置2へと送信され医用画像恒久保管装置2の画像保管部22内に保管されている。さらに、医用画像恒久保管装置2からの保管通知をもって医用画像検索装置3の記憶部32における「保管フラグ」は、「医用画像一時保管装置」から「医用画像恒久保管装置」へと変更されている。但し、上述したように参照要求がなされた医用画像は医用画像一時保管装置1内にも残っている。
【0059】
そこで、医用画像検索装置3の判断部34は、参照要求の日時と、参照要求がなされた医用画像の保管開始日時とを比較する。比較の結果、参照要求の日時が参照要求がなされた医用画像の保管期間内である場合には、もともと当該医用画像が保管されていた医用画像一時保管装置1に関する情報を保管場所情報として医用画像参照装置4へと送信する。一方、比較の結果、参照要求の日時が参照要求がなされた医用画像の保管期間外である場合には、新たな保管場所となるが医用画像恒久保管装置2に関する情報を保管場所情報として医用画像参照装置4へと送信する(ST31)。
【0060】
医用画像参照装置4は、医用画像検索装置3から送信された保管場所情報を受信して、その保管場所情報が医用画像一時保管装置1を示しているか否か、を確認した後、医用画像一時保管装置1、或いは、医用画像恒久保管装置2へ参照要求を送信する(ST14、ST32)。
【0061】
保管場所情報によれば、参照要求の対象となる医用画像が医用画像一時保管装置1内に保管されている場合には、該当する医用画像一時保管装置1に対して参照要求を送信する(ST32のYES)。医用画像一時保管装置1では、参照要求を受信し(ST15)、該当する医用画像を画像保管部22内から取得し、医用画像参照装置4に送信する(ST16)。医用画像参照装置4では、当該医用画像を受信する(ST17)。
【0062】
一方、保管場所情報によれば、参照要求の対象となる医用画像が医用画像恒久保管装置2内に保管されている場合には、医用画像恒久保管装置2に対して参照要求を送信する(ST32のNO)。医用画像恒久保管装置2では、参照要求を受信し(ST33)、該当する医用画像を画像保管部22内から取得し、医用画像参照装置4に送信する(ST34)。医用画像参照装置4では、当該医用画像を受信する(ST17)。
【0063】
以上説明した通り、撮影された医用画像に関する医用画像情報を医療機関外の医用画像検索装置に保管させ、併せて、医用画像を期間を分けて医療機関内外の複数の医用画像保管装置に保管することによって、医用画像の撮影から参照までの時間を短縮するとともに、ネットワークへの負荷を低減することのできる医用画像検索装置及び医用画像保管検索システムを提供することができる。
【0064】
特に、医用画像恒久保管装置を医療機関外のネットワーク上に設置することによって、医療機関内におけるネットワークへの負荷を軽減することができる。併せて、医用画像撮影装置によって撮影された医用画像をまずは医療機関内に構築される医用画像一時保管装置内に保管し、所定の保管期間が経過した後、医用画像恒久保管装置へその保管場所を移動させることによって、医用画像恒久保管装置への医用画像参照装置からのアクセスの集中を避けることができる。
【0065】
また、医用画像保管装置に保管される医用画像に関する医用画像情報を医療機関外のネットワーク上に設置される医用画像検索装置に保管させる。この医用画像情報の容量は、医用画像そのものの容量よりも小さい。従って、予め医用画像参照装置が医用画像検索装置に保管されている医用画像情報を取得し、この医用画像情報に基づいて医用画像保管装置から所望の医用画像を取得することとして、医用画像参照装置から医用画像保管装置に直接アクセスすることによる弊害(処理速度やネットワーク速度の低下)が発生することを防止している。
【0066】
さらには、医用画像が医用画像一時保管装置及び医用画像恒久保管装置の両者に保管されている場合の当該医用画像に対する参照要求に対しては、まずは医用画像一時保管装置へのアクセスを促すことによって、医用画像恒久保管装置へのアクセス集中を防ぐとともに、処理速度の向上やネットワーク速度の維持を図ることが可能となる。
【0067】
そして以上説明した効果は、結果的に医用画像を参照する場合のストレスを減らし、参照作業の高効率化を図ることが可能となることにつながる。
【0068】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、医用画像撮影装置、医用画像一時保管装置、医用画像恒久保管装置、医用画像検索装置は、それぞれ独立した装置としてその役割を説明したが、医用画像撮影装置と医用画像一時保管装置とを一つの装置として、或いは、医用画像恒久保管装置と医用画像検索装置とを一つの装置として構成することは可能である。
【0069】
また、医用画像一時保管装置に保管されている医用画像を医用画像恒久保管装置へ移す手続について、上述した説明では医用画像検索装置から医用画像一時保管装置に保管期間経過予定通知が送信されることをトリガーとして開始されることとしている。但し、医用画像一時保管装置に計時部が設けられることによって、医用画像一時保管装置に保管される医用画像の保管期間を確認し、所定の保管期間経過後に医用画像恒久保管装置へ医用画像を送信することによって、医用画像検索装置からの上記通知を介さずとも医用画像の保管先を変更することが可能となる。
【0070】
また、これまでは医用画像検索装置が医用画像の保管、移動等についてイニシアチブを取る形で説明を行ってきたが、例えば、医用画像検索装置は検索機能に特化し、医用画像の保管、移動等については、医用画像保管装置において行われるように設定されていても良い。この場合、医用画像検索装置には、どの医用画像がいずれの医用画像保管装置に保管されているかの医用画像情報及び保管場所情報が当該医用画像を保管する医用画像保管装置から通知される。
【0071】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 医用画像一時保管装置
2 医用画像恒久保管装置
3 医用画像検索装置
4 医用画像参照装置
12 医用画像保管装置
N ネットワーク
S 医用画像保管検索システム
T 医用画像撮影装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像撮影装置が撮影した被検体の内部情報である医用画像を識別する医用画像情報及び、前記医用画像が保管されている医用画像保管装置に関する保管場所情報を記憶する記憶部と、
前記医用画像の保管期間を計測する計時部と、
医用画像参照装置からの参照要求に基づいて、前記記憶部に記憶されている医用画像情報から前記医用画像参照要求の対象とされている医用画像がいずれの前記医用画像保管装置に保管されているかを確認し、前記医用画像情報及び前記保管場所情報を前記医用画像参照装置へと送信する判断部と、
を備えることを特徴とする医用画像検索装置。
【請求項2】
前記記憶部は、医用画像ごとに前記医用画像保管装置に保管される期間を記憶するテーブルを備えるとともに、前記医用画像の保管場所を示す前記保管場所情報を記憶するテーブルを備えることを特徴とする請求項1に記載の医用画像検索装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記記憶部に記憶されている医用画像の保管期間が経過する予定である場合、保管期間経過予定通知を前記保管期間が経過する予定の前記医用画像を保管している医用画像一時保管装置へ送信するとともに、前記保管期間経過予定通知を受信した前記医用画像一時保管装置から送信された前記医用画像を保管した医用画像恒久保管装置からの保管通知を受信したことをもって、前記記憶部の前記医用画像の前記保管場所情報を新たな保管場所を示す情報へと変更することを特徴とする請求項2に記載の医用画像検索装置。
【請求項4】
医用画像撮影装置が撮影した被検体の内部情報を医用画像として一時的に保管する医用画像一時保管装置と、
前記医用画像を恒久的に保管する医用画像恒久保管装置と、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の医用画像検索装置と、
前記医用画像検索装置から提供される前記医用画像に関する医用画像情報及び、前記医用画像の保管場所情報に基づいて前記医用画像一時保管装置、或いは、前記医用画像恒久保管装置に保管される前記医用画像を参照する医用画像参照装置と、
を備えることを特徴とする医用画像保管検索システム。
【請求項5】
前記医用画像一時保管装置は、前記医用画像検索装置からの前記医用画像の保管期間予定経過通知を受信した場合、該当する前記医用画像を前記医用画像恒久保管装置に送信することを特徴とする請求項4に記載の医用画像保管検索システム。
【請求項6】
前記医用画像一時保管装置は、保管していた医用画像を前記医用画像恒久保管装置へ送信した後、前記保管していた医用画像を削除することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の医用画像保管検索システム。
【請求項7】
前記医用画像恒久保管装置は、前記医用画像一時保管装置が保管していた前記医用画像を受信し、保管した場合、保管通知を前記医用画像検索装置へ送信することを特徴とする請求項4に記載の医用画像保管検索システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−141838(P2012−141838A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105(P2011−105)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】