説明

医用画像管理システム

【課題】画像ファイル及びヘッダファイルを含む医用画像情報のバックアップ処理時間を短縮するとともに、バックアップ処理中のハングアップを回避し信頼性を向上させる。
【解決手段】医用画像管理装置によれば、制御部は、バックアップ処理の実行により、画像DBに記憶されているヘッダファイル全体を一又は数ファイルに圧縮し、当該圧縮後のヘッダファイルを通信部によりNASに送信して保存させ、画像DBに記憶されている画像ファイルのうち前回のバックアップ処理から追加又は更新された画像ファイルを通信部によりNASに送信して保存させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像を保存、管理するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、医用画像を保管するための複数のストレージ装置を備え、ストレージ装置に保管されている医用画像を通信ネットワークを介してバックアップ装置にバックアップするシステムが記載されている。
【特許文献1】特開2008−71039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、医用画像には、その医用画像を縮小したサムネイル画像、その医用画像に対する処理パラメータ等、関連する様々な情報が存在する。即ち、医用画像一枚につき、医用画像の実データが記録された画像ファイル、この医用画像に対する処理パラメータ等の関連情報を記録するヘッダファイル、この医用画像の縮小画像の画像データが記録されたサムネイル画像ファイル等、複数種類のファイルが存在する。
【0004】
そのため、保管する医用画像の数が増加すると、バックアップすべきファイル数が飛躍的に増加することとなる。その結果、バックアップ処理に係る処理時間が増大し、場合によってはバックアップ処理がハングアップして中断されてしまうという問題があった。
【0005】
この問題の一因として、バックアップ装置側のCPUの処理性能限界又はリソース不足が考えられる。よって、バックアップ装置のスペックを向上させることで、問題を解決することも考えられる。
【0006】
しかしながら、バックアップ装置のスペック向上には多大な投資が必要となる。開業医やクリニック等の小規模な医療施設においては、そのような高性能なバックアップ装置を設置できない場合もある。
【0007】
本発明の課題は、画像ファイル及びヘッダファイルを含む医用画像情報のバックアップ処理時間を短縮するとともに、バックアップ処理中のハングアップを回避し信頼性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
医用画像情報を蓄積記憶する医用画像管理装置と、前記医用画像管理装置に記憶された医用画像情報のバックアップを保存するバックアップ装置と、が通信ネットワークを介して接続された医用画像管理システムであって、
前記医用画像情報は、画像ファイル及び前記画像ファイルに関連する複数のヘッダファイルを含む複数種類のファイルにより構成され、
前記医用画像管理装置は、
前記医用画像情報の画像ファイル及びヘッダファイルを記憶する記憶部と、
前記バックアップ装置とデータ通信を行うための通信部と、
前記記憶部に記憶されているヘッダファイルを一又は数ファイルに圧縮し、当該圧縮後のヘッダファイルを前記通信部により前記バックアップ装置に送信して前記バックアップ装置に保存させ、前記記憶部に記憶されている画像ファイルを前記通信部により前記バックアップ装置に送信して前記バックアップ装置に保存させる制御部と、
を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、前記ヘッダファイルについては、前記記憶部に記憶されている全てを一又は数ファイルに圧縮して前記バックアップ装置に送信し、前記画像ファイルについては、前記記憶部に記憶されている画像ファイルのうち前記バックアップ装置に前回送信した後に追加又は更新された画像ファイルを前記バックアップ装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像ファイル及びヘッダファイルを含む医用画像情報のバックアップ処理時間を短縮するとともに、バックアップ処理中のハングアップを回避し信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0012】
〔医用画像管理システム1の構成〕
図1は、本実施の形態における医用画像管理システム1のシステム構成を示すブロック図である。
医用画像管理システム1は、開業医やクリニック等の比較的小規模の医療施設に適用されるシステムであり、図1に示すように、モダリティ2と、医用画像管理装置3と、NAS(Network Attached Storage)4と、を備えて構成されている。医用画像管理システム1を構成する各装置は、例えば図示しないスイッチングハブ等を介してLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク(以下単に「ネットワーク」という)5に接続されている。医用画像管理装置3は、医師の常駐場所である診察室に設けられたWS(ワークステーション)であることが好ましい。なお、この医用画像管理装置3として作動するWSが各モダリティ2の起動や処理条件等を制御する構成としてもよい。医用画像管理装置3及びNAS4の台数は、特に限定されない。
【0013】
病院内の通信方式としては、一般的に、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格が用いられており、LAN接続された各装置間の通信では、DICOM MWM(Modality Worklist Management)やDICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)が用いられる。なお、本実施の形態に適用可能な通信方式はこれに限定されない。
【0014】
〔医用画像管理システム1の各装置の装置構成〕
以下、医用画像管理システム1を構成する各装置について説明する。
【0015】
モダリティ2は、患者の診断対象部位を被写体として撮影を行い、撮影した画像をデジタル変換して医用画像を生成する。モダリティ2は、撮影対象である患者を特定する患者情報(患者ID、患者氏名、性別等)を入力するための文字入力キー、数字入力キー等を備えており、生成された医用画像にUID(UniqueID)、検査情報(検査ID、検査部位、撮影日付等)、入力された患者情報を付与してDICOM規格に則ったDICOMファイル形式で医用画像管理装置3に送信する。
【0016】
モダリティ2としては、CR(Computed Radiography)装置、超音波診断装置(US)、FPD(Flat Panel Detector)、内視鏡、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等が適用可能である。
【0017】
医用画像管理装置3は、モダリティ2により生成された医用画像を画像DB(Data Base)331に保存したり、医師が患者の医用画像を表示させて読影診断を行ったりするための装置であり、一般的なPC(Personal Computer)に用いられるモニタ(表示部)よりも高精細のモニタを備えるものであってもよい。
【0018】
医用画像管理装置3は、図2に示すように、制御部31、RAM32、記憶部33、操作部34、表示部35、通信部36、計時部37等を備えて構成されており、各部はバス38により接続されている。
【0019】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、記憶部33に
記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAM32に展開し、展開されたプログラムに従って後述するバックアップ処理(図3参照)をはじめとする各種処理を実行する。
【0020】
RAM32は、制御部31により実行制御される各種処理において、記憶部33から読み出された制御部31で実行可能な各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメータ等の一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0021】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリ等により構成さ
れる。記憶部33には、前述のように各種プログラムが記憶されているほか、医用画像を診断に適した画質に調整するための画像処理パラメータ(階調処理に用いる階調曲線を定義したルックアップテーブル、周波数処理の強調度等)等が記憶されている。
また、記憶部33は、モダリティ2から送信された医用画像に基づき作成された医用画像情報を格納する画像DB(Data Base)331を有している。
【0022】
ここで、医用画像管理装置3においては、モダリティ2から送信された医用画像が通信部36により受信されると、制御部31とプログラムとの協働により、受信された医用画像を元に、ヘッダファイル、サムネイル画像ファイル、画像ファイルからなる医用画像情報が作成される。
ヘッダファイルは、医用画像に対する処理パラメータ等を記録するためのファイルである。例えば、濃度コントラスト、アノテーション、計測結果、拡大率等の情報が記録される。ヘッダファイルは、テキストデータからなり、ファイルサイズが2〜60KBと小さい。ヘッダファイルは、1枚の医用画像につき3〜4ファイル作成される。
サムネイル画像ファイルは、受信された医用画像の縮小画像データが記録されたファイルであり、ファイルサイズは約10KBと小さい。サムネイル画像ファイルは、1枚の医用画像につき1ファイル作成される。
画像ファイルは、医用画像の実データが記録されたファイルであり、ファイルサイズは5MB〜10MB(モダリティ2がCR装置の場合)と大きい。画像ファイルは、受信された医用画像のオリジナルの画像ファイルのほかに、表示部35への表示時に使用される表示用画像の画像ファイルが作成される。
【0023】
即ち、画像DB331には、モダリティ2から受信された一枚の医用画像毎に、3〜4のヘッダファイル、1のサムネイル画像ファイル、2の画像ファイルからなる医用画像情報が蓄積記憶されている。
【0024】
画像DB331は、画像DB331に記憶されている医用画像情報に関する管理情報を格納する画像管理テーブルを有している。画像管理テーブルには、例えば、各医用画像情報についての管理情報が1レコードとして格納される。管理情報には、UID(受信した医用画像に付与されているUID)、患者情報、検査情報、ファイル情報(医用画像情報を構成する各ヘッダファイル、サムネイル画像ファイル、各画像ファイルのファイル名、ファイル格納場所、更新日付、ファイルサイズ等)が含まれる。
【0025】
操作部34は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部31に出力する。
【0026】
表示部35は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。例えば、表示部35は、制御部31からの指示に従って、医用画像を表示する。
【0027】
通信部36は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワーク5に接続されたモダリティ2やNAS4との間でデータの送受信を行う。
【0028】
計時部37は、RTC(Real Time Clock)等により構成され、現在時刻及び現在日付を計時して制御部31に出力する。
【0029】
図1に戻り、NAS4は、医用画像情報のバックアップを保存するバックアップ装置である。NAS4は、CPU等により構成される制御部、RAM、記憶部、HDD、通信部等(図示せず)を備えて構成されている。NAS4は、医用画像管理装置3から医用画像情報(ヘッダファイル、サムネイル画像ファイル、画像ファイル)が送信され保存が指示されると、制御部と記憶部に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、送信されたファイルをHDDに書込み、保存する。また、医用画像管理装置3からの画像取得要求に応じてファイルを読み出して医用画像管理装置3に送信する。なお、本実施の形態においては、NAS4において医用画像情報のバックアップを保存するための記憶媒体としてHDDを適用することとしたが、他の記憶媒体、例えば、DVDライブラリのようなメディア等を用いてもよい。
【0030】
〔医用画像管理装置3の動作〕
次に、医用画像管理装置3の動作について詳細に説明する。
図3に、制御部31により実行されるバックアップ処理のフローチャートを示す。バックアップ処理は、予め定められた時刻が到来した際又は操作部34からバックアップの指示が入力された際に、制御部31と記憶部33に記憶されたプログラムとの協働により実行される。
【0031】
まず、ヘッダファイルのバックアップ処理が実行される(ステップS1)。
図4に、ステップS1において実行されるヘッダファイルのバックアップ処理のフローチャートを示す。ヘッダファイルのバックアップ処理は、制御部31と記憶部33に記憶されたプログラムとの協働により実行される。
【0032】
ヘッダファイルのバックアップ処理では、まず、画像DB331に記憶されている全てのヘッダファイルがRAM32に読み出される(ステップS101)。
【0033】
次いで、読み出されたヘッダファイルが1又は数ファイルに圧縮される(ステップ102)。例えば、画像DB331に2万のヘッダファイルが記憶されている場合、Zip圧縮、又はlzh圧縮等のファイル圧縮技術により、2万のヘッダファイルが1又は数ファイル(2〜10程度)にまとめられる。この圧縮により、NAS4に送信し、NAS4で書込み、保存するヘッダファイル数を激減させることができる。
【0034】
次いで、圧縮後のヘッダファイルが通信部36によりNAS4に送信されるとともに、このヘッダファイルの保存がNAS4に指示される(ステップS103)。そして、処理は図3のステップS2に移行する。
NAS4においては、医用画像管理装置3からヘッダファイル及び保存指示が受信されると、受信されたヘッダファイルがHDDに書込まれ、保存される。
【0035】
図3のステップS2においては、サムネイル画像ファイルのバックアップ処理が実行される(ステップS2)。
図5に、ステップS2において実行されるサムネイル画像ファイルのバックアップ処理のフローチャートを示す。サムネイル画像ファイルのバックアップ処理は、制御部31と記憶部33に記憶されたプログラムとの協働により実行される。
【0036】
サムネイル画像ファイルのバックアップ処理では、まず、画像DB331に記憶されている全てのサムネイル画像ファイルがRAM32に読み出される(ステップS201)。
【0037】
次いで、読み出されたサムネイル画像ファイルが1又は数ファイルに圧縮される(ステップ202)。例えば、画像DB331に2万のサムネイル画像ファイルが記憶されている場合、Zip圧縮、又はlzh圧縮等のファイル圧縮技術を用いて、2万のサムネイル画像ファイルが1又は数ファイル(2〜10程度)にまとめられる。この圧縮により、NAS4に送信し、NAS4で書込み処理するサムネイル画像ファイル数を激減させることができる。
【0038】
次いで、圧縮後のサムネイル画像ファイルが通信部36によりNAS4に送信されるとともに、このサムネイル画像ファイルの保存がNAS4に指示される(ステップS203)。そして、処理は図3のステップS3に移行する。
NAS4においては、医用画像管理装置3からサムネイル画像ファイル及び保存指示が受信されると、受信されたサムネイル画像ファイルがHDDに書込まれ、保存される。
【0039】
図3のステップS3においては、画像ファイルのバックアップ処理が実行される(ステップS3)。
図6に、ステップS3において実行される画像ファイルのバックアップ処理のフローチャートを示す。画像ファイルのバックアップ処理は、制御部31と記憶部33に記憶されたプログラムとの協働により実行される。
【0040】
画像ファイルのバックアップ処理では、まず、カウンタ変数nに1が格納され(ステップS301)、画像DB331の画像管理テーブルからn番目のレコードがRAM32に読み出される(ステップS302)。
【0041】
次いで、カウンタ変数mに1が格納され(ステップS303)、読み出されたレコードに含まれるm番目の画像ファイル名と同名の画像ファイルがNAS4に存在するか否かが判断される(ステップS304)。具体的には、読み出されたレコードに含まれるm番目の画像ファイル名と同名の画像ファイルが存在するか否かの問い合わせが通信部36を介してNAS4に送信される。NAS4からは、問い合わせの画像ファイルが存在するか否かの情報及び存在する場合はその画像ファイルの更新日付、ファイルサイズの情報が応答される。NAS4からの応答が受信されると、この応答に基づいて、m番目の画像ファイル名と同名の画像ファイルがNAS4に存在するか否かが判断される。
【0042】
読み出されたレコードに含まれるm番目の画像ファイル名と同名の画像ファイルがNAS4に存在すると判断されると(ステップS304;YES)、画像DB331に記憶されている、m番目の画像ファイル名に対応する画像ファイルの更新日付とNAS4に存在する同名の画像ファイルの更新日付とが一致するか否かが判断される。両者の更新日付が一致すると判断されると(ステップS305;YES)、m番目の画像ファイル名に対応する画像ファイルのファイルサイズがNAS4に存在する同名の画像ファイルのファイルサイズと一致するか否かが判断される。両者のファイルサイズが一致すると判断されると(ステップS306;YES)、処理はステップS308に移行する。
【0043】
一方、読み出されたレコードに含まれるm番目の画像ファイル名と同名の画像ファイルがNAS4に存在しない場合(ステップS304;NO)、読み出されたレコードに含まれるm番目の画像ファイル名に対応する画像ファイルの更新日付と、NAS4に存在する同名の画像ファイルの更新日付とが一致しないと判断された場合(ステップS305;NO)、又は、読み出されたレコードに含まれるm番目の画像ファイル名に対応する画像ファイルのファイルサイズと、NAS4に存在する同名の画像ファイルのファイルサイズとが一致しないと判断された場合(ステップS306;NO)、処理はステップS307に移行する。
【0044】
ステップS307においては、ステップS302で読み出されたレコードに含まれるm番目の画像ファイル名に対応する画像ファイルのコピーが作成され、作成されたコピーが通信部36によりNAS4に送信される。また、画像ファイルのコピーの保存がNAS4に指示される(ステップS307)。そして、処理はステップS308に移行する。
NAS4においては、医用画像管理装置3からサムネイル画像ファイル及び保存指示が受信されると、受信されたサムネイル画像ファイルがHDDに書込まれ、保存される。
【0045】
ステップS304〜S307の処理によって、画像DB331に記憶されている画像ファイルのうち、NAS4に同名の画像ファイルが存在しない画像ファイル、即ち、前回のバックアップ処理以降に追加された画像ファイルがNAS4にバックアップされる。また、NAS4に存在する同名の画像ファイルと更新日付が異なるファイル、更新日付が同じであるがファイルサイズが異なるファイル、即ち、前回のバックアップ処理以降に更新された画像ファイルがNAS4にバックアップされる。
【0046】
ステップS308においては、カウンタ変数m≧2であるか否かが判断される。ここで、「2」は、1つの医用画像情報に含まれる画像ファイル数である。カウンタ変数m≧2ではないと判断されると(ステップS308;NO)、カウンタ変数mの値が1インクリメントされ(ステップS309)、処理はステップS304に戻る。カウンタ変数≧2であると判断されると(ステップS308;YES)、処理はステップS310に移行する。
【0047】
ステップS310においては、カウンタ変数nと画像管理テーブルのレコード数が比較され、カウンタ変数n≧レコード数ではないと判断されると(ステップS310;NO)、カウンタ変数nの値が1インクリメントされ(ステップS311)、処理はステップS302に戻る。カウンタ変数≧レコード数であると判断されると(ステップS310;YES)、バックアップ処理は終了する。
【0048】
なお、画像ファイルを圧縮しないのは、(1)画像ファイルはモダリティ2において既に圧縮されているため、圧縮してもファイルサイズが小さくならず、かつ圧縮処理が遅いため、追加又は更新された画像ファイルのそれぞれをNAS4にコピーする場合に比べて優位性がない、(2)医用画像管理装置3のオペレーティングシステムで扱える1ファイル当たりのファイルサイズに制限があるため、画像DB331に記憶されている画像ファイルをまとめて1又は数ファイルとすることができない、の2点の理由による。
【0049】
上述のバックアップ処理では、ヘッダファイル及びサムネイル画像ファイルの圧縮により、医用画像管理装置3からNAS4に送信し、NAS4で書込むヘッダファイル数、サムネイル画像数を大幅に低減することができる。特に、1つの医用画像情報には3〜4のヘッダファイルが存在するため、画像DB331に記憶されているヘッダファイル数は膨大であり、ヘッダファイルのファイル数を1又は数ファイルに低減することの意義は大きい。NAS4へのファイル送信は1ファイル毎であるので、ファイル数が低減すれば、その分ファイルの送信回数を減らすことができ、医用画像管理装置3からNAS4へのファイル送受信に係る処理時間の短縮化が図れる。
【0050】
NAS4においては、受信するファイル数の低減により、その分ファイルのHDDへの書込み処理の回数を低減することができ、処理時間を短縮することができるとともに、処理負荷も大幅に低減される。その結果、NAS4のシステムがハングアップすることを回避でき、バックアップ処理の信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、ヘッダファイルのファイルサイズは上述のように2〜60KBと小さいため、従来のように1ファイルずつNAS4に送信する方法では、Gigabit Ethernet(登録商標)のように通信速度の速い通信回線でファイル送信を行ってもその性能を効率的に使用することができなかった。本発明では、全ヘッダファイルがまとめて1つ又は数個のファイルに圧縮されるため、1ファイル当たりのファイルサイズは大きくなり、通信回線を効率的に使用することが可能となる。
【0052】
ここで、従来のバックアップ処理の処理時間と、図3〜図6を用いて説明した本発明に係るバックアップ処理の処理時間の相違について計測結果をもとに説明する。従来のバックアップ処理とは、ヘッダファイル、サムネイル画像ファイル、画像ファイルの全ての種類のファイルに対して、図6の画像ファイルのバックアップ処理と同様の処理を行うものである。即ち、医用画像管理装置3において、前回のバックアップ処理から追加又は更新されたファイルをチェックして、該当するファイルをNAS4に送信し、NAS4に保存させる処理である。
【0053】
バックアップ処理の処理時間の計測にあたり、医用画像管理装置3としては、IBM製IntelliStation M Pro(型番2990)を使用した。この装置のスペックは以下のとおりである。
CPU:2.13GHz
メモリ(RAM):2GB
HDD(記憶部)容量: 250GB RAID1(画像保存容量は157GB)
LAN:Gigabit Ethernet対応
【0054】
また、NAS4としては、プリンストン製PNS40TSを使用した。この装置のスペックは以下のとおりである。
CPU:800MHZ
メモリ(RAM):256MB
HDD(記憶部)容量 1TB RAID5+(画像保存容量は500GB)
LAN:Gigabit Ethernet対応
なお、計測は、Gigabit Ethernet環境で行ったものである。
【0055】
従来のバックアップ処理で約43300の医用画像情報(ヘッダファイル(約13万ファイル)、サムネイル画像ファイル、画像ファイルを含む。総ファイルサイズ150GB)を医用画像管理装置3からNAS4にバックアップしたときの処理時間を計測した結果、処理時間は1440分であった。一方、本発明に係るバックアップ処理で同じ医用画像情報(総ファイルサイズ150GB)をNAS4にバックアップしたときの処理時間は900分であった。従来に比べ、本発明に係るバックアップ処理を適用した場合、従来に比べ約540分の処理時間が短縮された。
【0056】
また、従来のバックアップ処理でヘッダファイル10万ファイル(総ファイルサイズ600MB)をNAS4にバックアップしたときの処理時間を計測した結果、処理時間は600分であった。一方、本発明に係るヘッダファイルのバックアップ処理で同じ10万ファイルをZip圧縮後NAS4にバックアップしたときの処理時間は40分であった。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態における医用画像管理装置3によれば、制御部31は、バックアップ処理の実行により、画像DB331に記憶されているヘッダファイルを一又は数ファイルに圧縮し、当該圧縮後のヘッダファイルを通信部36によりNAS4に送信して保存させ、画像DB331に記憶されているサムネイル画像ファイルを一又は数ファイルに圧縮し、当該圧縮後のサムネイル画像ファイルを通信部36によりNAS4に送信して保存させ、画像DB331に記憶されている画像ファイルを通信部36によりNAS4に送信して保存させる。
【0058】
従って、バックアップ処理対象のファイル数を大幅に低減することができるので、バックアップ処理の処理時間を大幅に短縮することができる。また、処理負荷を低減させることができるので、バックアップ処理中のハングアップを防止し、バックアップ処理の信頼性を向上させることができる。
【0059】
また、制御部31は、ヘッダファイル及びサムネイル画像ファイルについては画像DB331に記憶されている全てを一又は数ファイルに圧縮してNAS4に送信し、画像ファイルについては、画像DB331に記憶されている画像ファイルのうちNAS4に前回送信した後に追加又は更新された画像ファイルをNAS4に送信する。
従って、ファイル数の多いヘッダファイルについては一つ一つのファイルについてNAS4に前回送信した後に追加又は更新されたファイルであるか否かを事前チェックする必要がないので、処理負荷の低減及びバックアップ処理時間の短縮を図ることができる。ファイルサイズの大きい画像ファイルについては必要のない送信を抑えることができるので、処理負荷の低減及びバックアップ処理時間の短縮を図ることができる。
【0060】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0061】
その他、医用画像管理システム1を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態における医用画像管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1の医用画像管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の制御部により実行されるバックアップ処理を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS1において実行されるヘッダファイルのバックアップ処理を示すフローチャートである。
【図5】図3のステップS2において実行されるサムネイル画像ファイルのバックアップ処理を示すフローチャートである。
【図6】図3のステップS3において実行される画像ファイルのバックアップ処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 医用画像管理システム
2 モダリティ
3 医用画像管理装置
31 制御部
32 RAM
33 記憶部
331 画像DB
34 操作部
35 表示部
36 通信部
37 計時部
38 バス
4 NAS
5 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像情報を蓄積記憶する医用画像管理装置と、前記医用画像管理装置に記憶された医用画像情報のバックアップを保存するバックアップ装置と、が通信ネットワークを介して接続された医用画像管理システムであって、
前記医用画像情報は、画像ファイル及び前記画像ファイルに関連する複数のヘッダファイルを含む複数種類のファイルにより構成され、
前記医用画像管理装置は、
前記医用画像情報の画像ファイル及びヘッダファイルを記憶する記憶部と、
前記バックアップ装置とデータ通信を行うための通信部と、
前記記憶部に記憶されているヘッダファイルを一又は数ファイルに圧縮し、当該圧縮後のヘッダファイルを前記通信部により前記バックアップ装置に送信して前記バックアップ装置に保存させ、前記記憶部に記憶されている画像ファイルを前記通信部により前記バックアップ装置に送信して前記バックアップ装置に保存させる制御部と、
を備える医用画像管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ヘッダファイルについては、前記記憶部に記憶されている全てを一又は数ファイルに圧縮して前記バックアップ装置に送信し、前記画像ファイルについては、前記記憶部に記憶されている画像ファイルのうち前記バックアップ装置に前回送信した後に追加又は更新された画像ファイルを前記バックアップ装置に送信する請求項1に記載の医用画像管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−128659(P2010−128659A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300842(P2008−300842)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】