説明

医用画像表示装置とその方法及びプログラム

【課題】 読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示装置を提供する。
【解決手段】 表示部6が医用画像を表示し、マウス8又はキーボード9が表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力し、CPU2が前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成し、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して表示部6に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置によって撮像された被検体の医用画像を医師が読影し、該医用画像の読影結果を読影レポートに簡易入力する機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置は、X線CT装置、MRI装置、超音波装置を含む被検体の医用画像を撮像するものである。医師は表示装置に表示された医用画像について病変などの異常箇所の存在を確認し、異常箇所の有無、異常箇所の状態について読影レポートを作成する。
【0003】
読影レポートの作成方法は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、医用画像データの前記読影レポート内へのリンク付け操作に応じて、リンク付けする医用画像データを束画像データ内で特定する画像特定情報を含むリンクデータを生成し、生成された前記リンクデータを前記読影レポートに埋め込み、リンク付けされた医用画像の要求操作に応じて、前記束画像データ内の前記画像特定情報で特定される医用画像データを、前記束画像データから抜き出し、抜き出された医用画像データを表示させることによって、リンクに基づく画像データ内の医用画像データを抽出する技術を提供できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-257544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、医用画像表示装置を具備する医用画像診断装置とレポート作成端末が別個に用意され、それぞれがネットワーク接続されており、医用画像表示装置自身には読影レポートを入力する機能がない。
【0006】
近年、恰もパーソナルコンピュータのようにインターネットに高速接続可能な高機能携帯電話や電子書籍を読むための携帯端末が販売されており、医師が携帯端末で医用画像の表示の機能をさせたいというニーズがあり、その機能の開発が始まっている。
【0007】
携帯端末はその電波の受信可能な地域であれば医師がどこに居ても読影が可能であるが、携帯端末を用いて読影した結果を診断レポートとして記録するための有用なユーザインターフェース技術が確立されていないのが現状である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示装置を提供することにある。
【0009】
また、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示方法を提供することにある。
【0010】
さらにまた、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、医用画像を表示し、表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力し、前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成し、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して表示させる。
【0012】
具体的な構成は、次の各項に示す。
【0013】
(1)本発明の医用画像表示装置は、医用画像を表示する画像表示部と、表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力する入力部と、前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成する生成部と、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して前記画像表示部に表示させる表示制御部と、を有する。
【0014】
(2)本発明の医用画像表示方法は、医用画像を表示するステップと、表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力するステップと、前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成するステップと、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して前記画像表示部に表示させるステップと、を含む。
【0015】
(3)本発明の医用画像プログラムは、医用画像を表示するステップと、表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力するステップと、前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成するステップと、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して前記画像表示部に表示させるステップと、を医用画像装置に実行させる。
【0016】
上記構成によれば、医用画像表示装置だけであっても医用画像に重畳して診断レポート情報を入力、表示することが可能となり、診断レポート情報が半透明表示されることにより医用画像の本来の情報も損なわれないから、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示装置とその方法及びプログラムを提供することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示装置を提供することができる。
【0018】
また、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示方法を提供することができる。
【0019】
さらにまた、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の医用画像表示装置のハードウェア構成を示す図
【図2】本発明の実施例1のフローチャート。
【図3A】図2のステップ201の表示例を示す図。
【図3B】図2のステップ202の表示例を示す図。
【図3C】図2のステップ203の表示例を示す図。
【図3D】図2のステップ204の表示例を示す図。
【図3E】図2のステップ205の表示例を示す図。
【図3F】図2のステップ206の表示例を示す図。
【図3G】図2のステップ207の表示例を示す図。
【図3H】図2のステップ208の表示例を示す図。
【図3I】図2のステップ209の表示例を示す図。
【図4】本発明の実施例2のフローチャート。
【図5A】図4のステップ40Aの表示例を示す図。
【図5B】図4のステップ40Bの表示例を示す図。
【図5C】図4のステップ40Cの表示例を示す図。
【図6】本発明の実施例2のフローチャート。
【図7A】図6のステップ60Aの表示例を示す図。
【図7B】図6のステップ60Bの表示例を示す図。
【図7C】図6のステップ60Cの表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明に係る医用画像表示装置の好ましい実施形態について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0022】
図1は医用画像表示装置1のハードウェア構成を示す図である。
【0023】
医用画像表示装置1は、CPU(Central Processing Unit)2、主メモリ3、記憶装置4、表示メモリ5、表示部6、マウス8に接続されたコントローラ7、キーボード9、ネットワークアダプタ10が、システムバス11によって信号送受可能に接続されて構成される。医用画像表示装置1は、ローカルエリアネットワーク(LAN)12を介して医用画像撮影装置13や医用画像データベース14と信号送受可能に接続される。ここで、「信号送受可能に」とは、電気的、光学的に有線、無線を問わずに、相互にあるいは一方から他方へ信号送受可能な状態を示す。
【0024】
CPU2は、医用画像表示装置1の各構成要素の動作を制御する装置である。CPU2は、記憶装置4に格納されるプログラムやプログラム実行に必要なデータを主メモリ3にロードして実行する。
【0025】
主メモリ3は、CPU2が実行するプログラムや演算処理の途中経過を記憶するものである。
【0026】
記憶装置4は、医用画像撮影装置13により撮影された医用画像データを格納する装置であり、具体的にはハードディスク等である。記憶装置4は、フレシキブルディスク、光(磁気)ディスク、ZIPメモリ、USBメモリ等の可搬性記録媒体とデータの受け渡しをする装置であっても良い。
【0027】
医用画像データは、LAN12を介して医用画像撮影装置13や医用画像データベース14から取得される。また、記憶装置4には、CPU2が実行するプログラムやプログラム実行に必要なデータが格納される。
【0028】
表示メモリ5は、表示部6に医用画像データや後で説明する注釈情報などを表示するための表示データを一時格納するものである。
【0029】
表示部6は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)などのデバイスで構成され、医用画像データを表示するものである。
【0030】
コントローラ7は、マウス8のロータリエンコーダを検出して、表示部6上のマウス8のカーソルの位置をCPU2に出力するものである。
【0031】
マウス8やキーボード9は、操作者が医用画像表示装置1に対して操作指示を行う操作デバイスである。マウス8はトラックパッドやトラックボールなどの他のポインティングデバイスであっても良い。また、操作者が画面を指で直接触れて操作するタッチパネルであっても良い。
【0032】
ネットワークアダプタ10は、医用画像表示装置1をLAN、電話回線、インターネット等のネットワーク12に接続するためのデバイスで、具体的にはルータやハブである。
【0033】
医用画像撮影装置13は、例えば、MRI装置やX線CT装置、超音波診断装置、シンチレーションカメラ装置、PET装置、SPECT装置など、被検体の断層画像等の医用画像情報を取得する装置である。
【0034】
医用画像データベース14は、医用画像撮影装置13によって撮影された医用画像情報を、記憶するデータベースシステムである。
【実施例1】
【0035】
次に、医用画像診断装置の画像表示から作成された簡易レポートの表示までの工程の一例を実施例1で説明する。
【0036】
図2は本発明の実施例1の処理を示すフローチャート、図3A〜図3Iは図2の各工程での表示例を示す図である。以下、図2の各ステップについて説明する。
【0037】
(ステップS201)
CPU2は、図3Aに示すように、医用画像撮影装置13よりLAN12を介して得られた医用画像を表示部6に表示する。ここで、医用画像は、被検体の肺を含むX線CT画像20を例に説明する。
【0038】
(ステップS202)
医師などの操作者は、図3Bに示すように、マウス8又はキーボード9に「読影レポート入力」の動作モードを入力する。動作モードは「読影レポート入力」、「etc」などがプルダウンメニューで表示可能となっていて、動作モードはマウス8からの入力により選択できるようになっている。プルダウンメニューとは、操作画面で、メニューから項目を選択する方式の一つで、メニューのタイトル部分にマウスカーソルをあわせてボタンをクリックすると、そこから選択項目の一覧が引き出されたように垂れ下がってくる表示方法である。
【0039】
CPU2はマウス8からの入力、またはキーボード9からの入力を受け、「読影レポート入力」の動作モードに移行する。
【0040】
(ステップS203)
CPU2は、図3Cに示すように、表示部6に「読影レポート入力」の動作モードに移行した旨を表示する。具体的には、「読影レポート入力モード作動中」というメッセージを表示部6に表示する。
【0041】
(ステップS204)
操作者は、図3Dに示すように、表示部6の表示画面上に表示されているX線CT画像20のうちの病変部など異常のある部分か、診断を要する部分を関心領域21としてマウス8又はキーボード9を用いて入力する。
【0042】
CPU2はマウス8からの入力、またはキーボード9からの入力を受け、関心領域21を表示画面に対応するX線CT画像20が記憶された表示メモリ5に関心領域21のアドレスを設定する。また、CPU2は、関心領域21のアドレスに対して読影レポートの入力領域となるように、半透明な領域を設定する。
【0043】
(ステップS205)
CPU2は、図3Eに示すように、表示部6にX線CT画像20に重畳して半透明の関心領域21を表示する。
【0044】
(ステップS206)
操作者は、図3Fに示すように、表示された関心領域21に読影レポートの簡易項目をマウス8又はキーボード9を用いて入力する。CPU2は、図示されるように、関心領域21の大きさが読影レポートの簡易項目の入力に適さないほど小さい場合は、吹き出し部22を設けて入力してもよい。
【0045】
読影レポートの簡易項目は異常所見の有無、異常の状態を含む医用画像の注釈情報である。注釈情報は異常所見の有無、異常の状態の他、既往症や治療履歴など医用画像について多岐の診断情報を意味するが、ここでの注釈情報は「異常所見の有無」、「異常の状態」を代表例として説明する。異常所見の有無は、関心領域が設定された読影の対象領域に病変部のような異常な箇所が有るか無いかを示すものである。異常の状態は、異常所見の有無で異常があった場合、具体的にどのような異常があったかを示すものである。異常所見の有無は「有」又は「無」のラジオボタンのチェックマークにて表される。異常の状態は「擦ガラス陰影」、などがプルダウンメニューで表示可能となっている。異常の状態はマウス8からの入力、またはキーボード9の入力により選択できるようになっている。ラジオボタンとは、GUIウィジェットの一種で、事前定義された選択肢のうち1つを選択する場合に使うもので、1つのボタンを押すと、他の押されていたボタンが押されていない状態に戻るため、常に1つのボタンだけが押された状態になるものである。
【0046】
CPU2はマウス8からの入力、またはキーボード9からの入力を受け、異常所見の有無、異常の状態を関心領域に相当する表示メモリ5に記憶する。ここでは、具体的に「有」、「擦ガラス陰影」がそれぞれ選択されている。
【0047】
「擦ガラス陰影」とは、肺がんの初期の淡い陰影を示し、この画像診断は肺がんの早期発見に利用される。
【0048】
(ステップS207)
CPU2は、図3Gに示すように、表示部6に異常所見「有」、「擦ガラス陰影」が書かれた関心領域21の吹き出し部22を半透明状態にしてX線CT画像20に重畳表示し、記憶装置4にX線CT画像20と共に異常所見「有」、「擦ガラス陰影」を記憶する。
【0049】
(ステップS208)
操作者は、図3Hに示すように、表示部6に表示された医用画像の他の箇所に異常所見有の関心領域が存在するか否かを確認し、異常所見有の関心領域の有無をキーボード9を用いて入力する。具体的には、図示されているように、表示画面上の領域23に「次の関心領域はありますか?(Y/N)」を表示し、キーボード9の「Y」又は「N」のキーの何れかを入力する。
【0050】
CPU2はキーボード9からの入力を受け、「Y」の入力によって「次の異常所見有の関心領域有」を、「N」の入力によって「次の異常所見有の関心領域無」のいずれかを判定する。
【0051】
判定の結果、異常所見有の関心領域が有る場合はステップS204に移行し、異常所見有の関心領域が無い場合は「読影レポート入力」の動作モードの終了の確認メッセージを生成する。
【0052】
(ステップS209)
CPU2は、図3Iに示すように、「読影レポート入力」の動作モードの終了の確認メッセージを表示部6に表示する。具体的には、表示画面上の領域24に「読影レポート入力を終了しますか?(Y/N)を表示する。
【0053】
操作者は、「読影レポート入力」の終了の確認メッセージに対し、「読影レポート入力」を終了するのであれば「Y」を、終了を中止するのであれば「N」をキーボード9を用いて入力する。
【0054】
CPU2はキーボード9からの入力を受け、「読影レポート入力」の終了の可否を判定する。
【0055】
キーボード9からの入力が「Y」である場合は、「読影レポート入力」を終了し、キーボード9からの入力が「N」である場合は、「読影レポート入力」を終了せず、ステップS203に移行し、「読影レポート入力」の動作モードを継続することになる。
【0056】
以上説明した実施例1によれば、表示部6が医用画像を表示し、マウス8又はキーボード9が表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力し、CPU2が前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成し、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して表示部6に表示させるから、医用画像表示装置だけであっても医用画像に重畳して診断レポート情報を入力、表示することが可能となり、診断レポート情報が半透明表示されることにより医用画像の本来の情報も損なわれないから、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示装置とその方法及びプログラムを提供することができる。
【0057】
また、実施例1の特有の効果は、関心領域により医用画像の読影対象部分が明確になるため、読影対象部分が医用画像のどの部分のレポートであるかが容易に理解できる。
【実施例2】
【0058】
次に、実施例2では、実施例1で説明した簡易レポートの表示工程後のレポート出力までの工程の一例を説明する。
【0059】
図4は本発明の実施例2の処理を示すフローチャート、図5A〜図5Cは図4の各工程での表示例を示す図である。以下、図4の各ステップについて説明する。
【0060】
(ステップS401〜S409)
ステップS401〜S409は、実施例1のステップS201〜S209と同じであるため、説明を省略する。
【0061】
(ステップS40A)
操作者は、図5Aに示すように、マウス8又はキーボード9を用い「レポート出力フォーマット」を入力する。レポート出力フォーマットは、1つの医用画像に複数の診断項目が有るとき、診断項目の文字情報と医用画像との表示領域を任意に設定できるようになっている。ここでは、被検体の右肺が異常所見有で、左肺の対称位置が異常所見無という複数の診断項目がある場合を例示している。また、診断項目の文字情報は診断レポートとする場合には最初に見たい情報であり表示領域25と設定する。また、医用画像はどの位置に異常所見があるかを参照するものであり表示領域26と設定する。
【0062】
(ステップS40B)
CPU2は、図5Bに示すように、マウス8からの入力、またはキーボード9からの入力を受け、「レポート出力フォーマット」が表示メモリ5に設定する。この場合の「レポート出力フォーマット」は、診断項目の表示領域25を画面上方に、医用画像の表示領域26を画面下方に配置することとする。また、CPU2は、診断項目に重篤度情報を付け、例えば、初期の肺癌が疑われる擦りガラス陰影など迅速に良性・悪性を組織検査するなど、複数ある診断情報のリスト中の最上位に表示するように、前記重篤度情報により複数ある診断情報のリストをソートしてもよい。
【0063】
(ステップS40C)
CPU2は、図5Cに示すように、表示メモリ5に記憶されている診断項目の表示領域25と医用画像の表示領域26に従って診断項目と医用画像(X線CT画像20)を表示部6に表示する。
【0064】
また、比較読影などの医用画像の表示順位を優先したいときは、複数の比較対象となる医用画像の表示順位を上位(例えば画面の上方の領域)に表示してもよい。
【0065】
以上説明した実施例2によれば、表示部6が医用画像を表示し、マウス8又はキーボード9が表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力し、CPU2が前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成し、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して表示部6に表示させるから、医用画像表示装置だけであっても医用画像に重畳して診断レポート情報を入力、表示することが可能となり、診断レポート情報が半透明表示されることにより医用画像の本来の情報も損なわれないから、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示装置とその方法及びプログラムを提供することができる。
【0066】
また、実施例2の特有の効果は、診断項目を医用画像より画面上の上位に表示し、特に重篤度で複数の診断項目がソートされた場合には、その被検体の検査の簡易的なワークフローとすることができる。
【実施例3】
【0067】
次に、実施例3では、実施例1で説明した簡易レポートの表示工程後の他の読影医の読影結果表示までの工程の一例を説明する。
【0068】
図6は本発明の実施例3の処理を示すフローチャート、図7A〜図7Cは図4の各工程での表示例を示す図である。以下、図6の各ステップについて説明する。
【0069】
(ステップS601〜S609)
ステップS601〜S609は、実施例1のステップS201〜S209と同じであるため、説明を省略する。
【0070】
(ステップS60A)
操作者は、図7Aに示すように、マウス8又はキーボード9を用い「医師名」を入力する。医師名はキーボード9を用いて領域27に入力してもよいし、実施例1で説明したプルダウンメニューで医師名をマウス8で選択できるようにしてもよい。ここでは、前者のキーボード9を用いた方式を例示し、医師名はA医師と入力している。
【0071】
(ステップS60B)
CPU2は、図7Bに示すように、キーボード9からの入力を受け、入力した医師名のA医師が所有する携帯端末に医用画像と診断結果をデータ送信する。また、CPU2は、データ送信中に表示部6の右下の領域に「A医師にデータ転送中」を表示する。
【0072】
(ステップS60C)
A医師は、自身が所有する携帯端末を用い、例えば実施例1のS201〜S209の手順で読影し、その読影結果を携帯端末から医用画像表示装置へ返信する。
【0073】
CPU2は、図7Cに示すように、A医師からの返信結果を表示部6に表示する。ここでは、A医師に読影を依頼した医師とA医師の見解が擦ガラス陰影では一致したものの、A医師の診断は「間質性肺炎」と一致しなかった例を表示している。また、CPU2は、データ送信中に表示部6の右下の領域に「医師の診断結果」を表示する。
【0074】
以上説明した実施例3によれば、表示部6が医用画像を表示し、マウス8又はキーボード9が表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力し、CPU2が前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成し、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して表示部6に表示させるから、医用画像表示装置だけであっても医用画像に重畳して診断レポート情報を入力、表示することが可能となり、診断レポート情報が半透明表示されることにより医用画像の本来の情報も損なわれないから、読影レポートの簡易入力機能を搭載した医用画像表示装置とその方法及びプログラムを提供することができる。
【0075】
また、実施例3の特有の効果は、複数の医師の読影結果を簡単な操作で照会することができる。
【0076】
以上、本発明について種々の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、様々な変形例を適用することが可能である。例えば、医用画像表示装置は携帯端末であってもよく、その場合はLANでなくインターネット回線を使用するためSSL(Secure Socket Layer)等のセキュリティ対策を行っておくことが望ましい。
【符号の説明】
【0077】
2 CPU、6 表示部、8 マウス、9 キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を表示する画像表示部と、表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力する入力部と、前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成する生成部と、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して前記画像表示部に表示させる表示制御部と、を有することを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記診断レポート情報の入力領域の大きさに基づいて吹き出し部を生成する請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記診断レポート情報と前記医用画像との表示順位に沿った表示フォーマットを生成する請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記生成部は、別の医師が読影した結果を前記診断レポート情報の表示フォーマットで生成する請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
医用画像を表示するステップと、表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力するステップと、前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成するステップと、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して前記画像表示部に表示させるステップと、を含むことを特徴とする医用画像表示方法。
【請求項6】
医用画像を表示するステップと、表示された医用画像に少なくとも1つの関心領域と、前記関心領域について異常所見の有無、異常の状態を入力するステップと、前記入力された異常所見の有無、異常の状態の診断レポート情報を生成するステップと、前記診断レポート情報を前記関心領域上に半透明に前記医用画像と重畳して前記画像表示部に表示させるステップと、を医用画像装置に実行させる医用画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2012−95890(P2012−95890A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247217(P2010−247217)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】