説明

医用画像表示装置及びこれを用いた投影像作成方法

【課題】 投影領域と投影中心を簡便に設定可能な医用画像表示装置及びこれを用いた投影像生成方法を提供する。
【解決手段】 被検体の3次元ボリュームデータを取得する取得手段と、前記3次元ボリュームデータに対し第1の方向から投影して第1の投影像を生成する第1投影像生成手段と、前記第1の投影像上に、前記3次元ボリュームデータに対し第2の投影像を生成する際の第2の方向を指標として入力する入力手段と、前記指標に基づいて前記第2の投影像を生成する第2投影像生成手段と、前記第1の投影像と第2の投影像を表示する表示手段を備えた医用画像表示装置において、前記指標は、前記3次元ボリュームデータ内での位置情報を含み、前記第2の投影像は、前記位置情報を投影中心として生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、MRI装置、X線CT装置等の医用画像診断装置で撮影した3次元ボリュームデータを表示する医用画像表示装置及びこれを用いた投影像作成方法に係り、特に、該3次元ボリュームデータの投影像を好適に作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置、X線CT装置等の医用画像診断装置では、被検体の断層像を撮影することができる。更に、複数の断層像をスライス面に垂直な方向に積み重ねることにより3次元ボリュームデータを得ることが可能である。このような3次元ボリュームデータは、通常投影像に変換されてから画面に表示される。
【0003】
3次元ボリュームデータを投影する手法として、一般的に光線軌跡法がよく知られている。この方法では、3次元ボリュームデータと2次元平面(投影面)を3次元空間に並べて配置し、2次元平面から3次元画像データに向かって仮想的な光線を投射し、光線上にある3次元ボリュームデータ中から所定の値の画素を用いて、2次元平面上の対応する画素の値とする。その際、光線上の画素のうち最大輝度値を選択して投影する手法が最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)、最小輝度値を選択して投影する手法が最小値投影法であり、描出しようとする組織に応じて適宜選択される。また3次元ボリュームデータの各画素に不透明度を与え、通過する光の量に基いて投影像を構成するボリュームレンダリング法などの手法もある。
【0004】
ここで、投影像を生成する場合に、3次元ボリュームデータの全てを投影しようとすると、脂肪領域等の必要の無い領域まで含んで投影されてしまい、特に、医療画像であれば、診断しにくい投影像となるか、又は、誤診を招く危険性がある。そこで、必要な領域のみを投影対象とするために、投影対象領域を制限して所望の領域のみ選択して(クリッピングという。)、その制限された領域(クリッピング領域)に対して投影処理を行って投影像を得ることが行われている(例えば、特許文献1のステップ705)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−340939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、より具体的に特許文献1では、クリッピング領域の範囲をAX(アクシャル)、COR(コロナル)、SAG(サジタル)画像上にROIで指定して、更にクリッピング領域内の投影の方向をアイコンで示された方向ベクトル(特許文献1の図3の301a〜301c)で指定していた。この場合、該指定した方向の画像を投影像として特許文献1の図4の画面右下の領域に表示する際に、読影者が観察の対象とする領域(例えば目等)が必ずしも画面右下の領域の中央に表示されず見にくいという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、投影領域と投影中心を簡便に設定可能な医用画像表示装置及びこれを用いた投影像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、3次元ボリュームデータに対し第1の方向から投影して第1の投影像を生成する第1投影像生成手段と、前記第1の投影像上に、前記3次元ボリュームデータに対し第2の投影像を生成する際の第2の方向を指標として入力する入力手段と、前記指標に基づいて前記第2の投影像を生成する第2投影像生成手段と、前記第1の投影像と第2の投影像を表示する表示手段を備えた医用画像表示装置において、前記指標は、前記3次元ボリュームデータ内での位置情報を含み、前記第2投影像生成手段は、前記第2の投影像を、前記位置情報を投影中心として生成することを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0009】
また、前記表示手段は、前記投影中心となる位置が、画面上で前記第2の投影像が表示される領域の中央になるようにして、前記第2の投影像を表示することを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0010】
また、前記表示手段は、矢印で前記指標を表示することを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0011】
また、前記指標は前記第2の投影像を生成する領域情報を含むことを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0012】
また、前記表示手段は、矢印の長さで前記領域情報の奥行きを表示することを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0013】
また、前記表示手段は、ROIで前記領域情報の奥行きと幅を表示することを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0014】
また、前記入力手段は、画面上で矢印を移動させることにより、前記投影中心を移動させることを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0015】
また、前記表示手段は、前記第1の投影像の画面上のROI内で矢印を移動させることにより、前記第2の投影像の前記第2の投影像の画面上での位置を移動させることを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0016】
また、前記第1の投影像は、前記被検体の任意の方向に投影された少なくとも1枚の投影像であることを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0017】
また、前記第1の投影像は、前記被検体の直交する3方向について投影された3枚の投影像であることを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【0018】
また、3次元ボリュームデータに対し第1の方向から投影して第1の投影像を生成する工程と、前記第1の投影像上に、前記3次元ボリュームデータに対し第2の投影像を生成する際の第2の方向を指標として入力する工程と、前記指標に基づいて前記第2の投影像を生成する工程と、前記第1の投影像と第2の投影像を表示する工程とを備えた投影像作成方法において、 前記指標は、前記3次元ボリュームデータ内での位置情報を含み、前記第2の投影像は、前記位置情報を投影中心として生成されることを特徴とする投影像作成方法が提供される。
【0019】
また、前記表示する工程は、前記投影中心となる位置が、画面上で前記第2の投影像が表示される領域の中央になるようにして、前記第2の投影像を表示することを特徴とする投影像作成方法が提供される。
【0020】
また、前記表示する工程は、矢印で前記指標を表示することを特徴とする投影像作成方法が提供される。
【0021】
また、前記指標は前記第2の投影像を生成する領域情報を含むことを特徴とする投影像作成方法が提供される。
【0022】
また、前記表示する工程は、矢印の長さで前記領域情報の奥行きを表示することを特徴とする投影像作成方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、投影領域と投影中心を簡便に設定可能な医用画像表示装置及びこれを用いた投影像生成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る医用画像表示装置の一例の全体構成を示す図
【図2】画像表示装置の制御系に関わる構成の一実施形態を示す図
【図3】3次元ボリュームデータの投影像を生成する際の、投影方向と投影像の表示例を示す図
【図4】本発明の実施例1の投影像生成方法の処理フローを示すフローチャート
【図5】本発明の実施例1において3次元ボリュームデータの投影像を生成する際の、投影方向と投影中心と投影像の表示例を示す図
【図6】直交3方向の投影像上に表示されたベクトルと実際の投影方向である3次元のベクトルの関係を示す図
【図7】本発明の実施例2の投影像生成方法の処理フローを示すフローチャート
【図8】本発明の実施例2において3次元ボリュームデータの投影像を生成する際の、投影方向と投影範囲と投影像の表示例を示す図
【図9】本発明の3次元ボリュームデータの投影像を生成する際の、投影範囲の表示例を示す図
【図10】AX方向投影像のみを第1の投影像(左側)とする例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る医用画像表示装置及びこれを用いた投影像生成方法の実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る医用画像表示装置の一例の全体構成を示す図であり、この医用画像表示装置(以下、単に画像表示装置ともいう)100は、MRI装置、X線CT装置などの撮像装置200から送られる画像データを入力し、画像処理し、後述するディスプレイ104へ画像として表示させるとともに、操作者への操作手段を提供するためのGUIを後述するディスプレイ104へ表示させる制御系である画像処理部(CPU)101と、画像やその他のデータを一時的に記憶するメモリ102と、撮像装置200から送られる画像や画像処理部101で作成された投影像、GUIのためのテンプレート等の画像を保存する磁気ディスク等の記憶装置103と、GUI及び画像を表示するディスプレイ104と、ディスプレイに表示されたGUIの操作を行うポインティングデバイス等の入力装置105とを備えている。
【0026】
本実施例においては、撮像装置200としてMRI装置の場合を説明する。ただし、MRI装置に限定されず、X線CT装置や、陽電子撮像装置(PET)等の他の医用画像診断装置にも本発明は適用できる。図示しないが、一般的な構成として垂直方向或いは水平方向に均一な磁場を発生する静磁場磁石と、静磁場に対しX、Y及びZの3軸方向に傾斜磁場を付与する3組の傾斜磁場発生コイルと、被検体に高周波磁場を照射するRF照射コイルと、被検体から発生するNMR信号を検出するRF受信コイルと、NMR信号を信号処理する信号処理系と、傾斜磁場発生コイルおよびRF照射コイルの動作を所定の撮像シーケンスに従い制御するシーケンサと、信号処理系及びシーケンサに指令を送りその動作を制御するとともに撮像に必要な種々の計算を行う制御系とを備えている。画像表示装置100は、撮像装置(MRI装置)200と一体の画像診断装置の一部であってもよいし、撮像装置200とケーブル或いは無線で接続された独立の表示装置であってもよい。画像診断装置の一部である場合には、上記画像処理部101は画像診断装置が備える制御系(装置の制御や各種演算を行う部分)をその機能として備えても良い。
【0027】
図2は、上述した画像表示装置の制御系に関わる構成の一実施形態を示す図である。本実施形態において、制御系は、ディスプレイ104への表示の諧調、縮尺、色等を制御する表示制御部111、操作者の操作に必要なGUIをディスプレイ104へ表示するとともに、GUI上の操作を介して操作者の指令を受付けるGUI部112、画像データに投影処理、合成処理等の画像処理を施すとともに、GUI部112を介して入力される指令を受け取り、画像データの座標変換等の計算を行う演算部113、およびこれら各部の動作を総括的に制御する主制御部110を有している。
【0028】
画像表示装置がMRI装置の一部である場合には、さらに制御系は、所定の撮像シーケンスに従いMRI装置200のRF送信系、傾斜磁場発生系などを制御する撮像制御部等を備えている。
【実施例1】
【0029】
次に、以上のような構成の画像表示装置100及びこれを用いた投影像生成方法の実施例1
【0030】
を図3及び図4のフローチャート、図5、図6を用いて説明する。図3は、ディスプレイ104上の画像表示領域を4つの領域に分割して、3次元ボリュームデータを直交3軸方向(AX(アキシャル)方向、COR(コロナル)方向、及びSAG(サジタル)方向)からそれぞれ投影して得られた3つの2次元画像を3つの分割領域にそれぞれ表示し、残る1領域に、3次元ボリュームデータに対して所望の投影方向からの投影の処理を行った結果の画像を表示する例を示している。
【0031】
これらの投影処理は、CPU101が磁気ディスク103に記録された所定のプログラムを実行することによって行われる。その際、CPU101は、磁気ディスク103からメモリ102に被検体の3次元ボリュームデータを取得する取得手段により得られた3次元ボリュームデータを読み出し、そのデータに対して所定のプログラムに従って投影処理等を行い、その結果をディスプレイ104に表示する。
【0032】
より具体的に図3(a)は、互いに直交する3つの投影方向である、AX方向、COR方向、及びSAG方向のそれぞれ及び、これら3つの方向とは同じか異なる所望の投影方向を示している。この所望の投影方向は、後述するように操作者によって設定される。
【0033】
図3(b)は、4分割された領域のうちの左下部にAX方向投影像を、左上部にCOR方向投影像を、右上部にSAG方向投影像を表示し、右下部に所望の投影方向(より具体的には、方向がCOR方向と同じで、投影中心が被検体の左目となる位置からの方向)の投影像を表示している例を示している。
【0034】
本実施例は、前記右下部に表示される所望の投影方向からの投影像の方向の指定を、直交3方向投影像上にそれぞれベクトルで表示し、それぞれのベクトルの方向を入力装置105を介して指定し、それらの3つのベクトルの合成ベクトルを所望の投影方向とすることによって、行なうことができる。そして、このような操作によって指定された方向に投影して得られた画像が右下部に表示される。この際に該右下部の表示更新は、直交3方向投影像上のベクトルが変更される度に行われるようにしても良く、投影方向が最終的に確定した後にその方向に投影して得られた投影像を表示するようにしてもよい。
【0035】
次に本発明の実施例1に係わる投影像生成方法の手順を図4のフローチャートを用い説明する。以下、このフローチャートをステップ毎に説明する。ただし、このフローチャートで示された処理フローは、図1におけるCPU101が、図1における磁気ディスク103に保存されているプログラムを読み出して起動することによって実行される。
【0036】
(ステップ401)
ステップ401では、ユーザによる入力の指令に基づいてCPU101が磁気ディスク103に予め格納されている被検体の3次元ボリュームデータを取得する取得手段により得られた3次元ボリュームデータを読み込む。あるいは磁気ディスク103に記憶されているデータが複数のスライス画像の場合には、予め格納されている複数のスライス画像データをメモリ102上に読み込んで、3次元ボリュームデータを構築する。
【0037】
(ステップ402)
ステップ402では、ユーザによる入力の指令に基づいてCPU101は基準方向における投影像を前記3次元ボリュームデータに対して第1の方向から第1の投影像を生成する第1投影像生成手段を用いて投影して作成してUIに表示する。より具体的には、図5に示すように、直交3方向(AX方向, COR方向, 及びSAG方向)を基準方向として、それらの方向毎に3次元ボリュームデータの投影像を生成して表示する。各基準方向投影像は、図5に示すように、ディスプレイ104上の4分割された表示領域における各分割領域(より具体的にはAX方向投影像を左下、COR方向投影像を左上、SAG方向投影像を右上)にそれぞれに表示される。
【0038】
(ステップ403)
ステップ403では、ユーザが右下の分割領域に表示する投影像のための所望とする投影の方向を前記第1の投影像上に、前記3次元ボリュームデータに対し第2の投影像を生成する際の第2の方向を指標として入力する入力手段により設定する。より具体的には直交3方向における投影像上に、所望の方向の投影像を生成するための、方向(指標の1つ)を、ベクトル(矢印)を入力することにより設定する。例えば、図5に示すように、直交3方向の投影像上に表示されたベクトル501の角度をそれぞれ入力装置105を介して入力変更することにより、所望の投影方向を設定する。そして、CPU101は、3つのベクトルを合成した方向を分割領域の右下に表示すべき投影像の投影方向として所望の第4の画像を、前記指標に基づいて前記第2の投影像を生成する第2投影像生成手段により生成する。また、ディスプレイ104は前記第1の投影像と前記第2の投影像を表示する表示手段により、第1の投影像である直交3方向の投影像と第2の投影像である所望の投影方向からの投影像を表示する。
【0039】
(ステップ404)
ステップ404では、ユーザが所望とする投影中心を設定する。投影中心とは、クリッピングにより被検体の一部領域を投影する際の中心となる座標のことである。例えば、図5に示すように、基準方向の投影像上に表示されたベクトル501をそれぞれ入力装置105を介して移動することにより、所望投影中心502を設定する。具体的にCPU101は、3つのベクトルの中心の座標(×で示されたもの)所望の投影中心とする。すなわち、前記指標は、前記3次元ボリュームデータ内での位置情報を含み、前記第2の投影像は、前記位置情報を投影中心として生成される。
【0040】
(ステップ405)
ステップ405では、CPU101は、ステップ403とステップ404で入力した所望の投影方向と投影中心で3次元ボリュームデータを投影して投影像を生成する。生成した投影像は、例えば図5に示すように、ディスプレイ104上の4分割領域の右下の残りの1領域に表示され、ベクトルの中心で示された被検体上での位置が、該残りの1領域における中央となっている。すなわち、前記表示手段は、前記投影中心となる位置が、画面上で前記第2の投影像が表示される領域の中央になるようにして、前記第2の投影像が表示されている。
【0041】
直交3方向の投影像上に表示されたベクトルと実際の投影方向である3次元のベクトルの関係を図6(a)及び図6(b)を用いて説明する。ただし、図6(a)は図5におけるベクトルの配置例、図6(b)は図6(a)と異なるベクトルの配置例である。図6(a)及び図6(b)によれば、直交3方向の投影像上に表示されたベクトル601は、実際の投影方向を示す3次元のベクトル602を直交3方向の投影像上で表したものとなっている。ユーザが直交3方向の投影像上に表示されたベクトル601を操作することで、実際の投影方向を示す3次元のベクトル602が連動し、投影方向が決定できる。
【0042】
ただし、本実施例では、図5では3次元空間でのベクトルを、投影像上で矢印あるいは点で表示したが、点で示されたものは、ベクトルの方向が投影像の何れか一つと鉛直な場合を示している。ただし、簡略化のため、点を表示しなくても良い。また、ステップ403とステップ404の順番はどちらでもよい。
【0043】
上記実施例によれば、右下部に所望の方向で投影された投影像を生成して表示するために該投影の方向が入力される際に、その投影中心をも入力可能としたので、該所望の方向の投影像を表示する際、所望の位置を真ん中にして表示することができ、操作者の読影の対象とする場所を好適に観察することができる。すなわち、上記実施例によれば、前記入力手段は、画面上で矢印を移動させることにより、前記投影中心を移動させるようになっている。ただし、矢印で示されたものは、長さを持たず、投影中心を示すものとして点だけで示しても良いことは言うまでもない。
【実施例2】
【0044】
次に、図1及び図2に示された構成を持つ画像表示装置100が可能とする画像表示装置及びこれを用いた投影像生成方法の実施例2を図7のフローチャート及び図8を用いて説明する。ただし、本実施例は、前記指標は前記第2の投影像を生成する領域情報(以下、投影範囲という。)をも含むことを特徴とする実施例である。
【0045】
以下、図7のフローチャートをステップ毎に説明する。
【0046】
ステップ701〜ステップ703は、ステップ401〜403と同じであるため説明は省略する。
【0047】
(ステップ704)
ステップ704で、ユーザが所望とする投影範囲を設定する。投影範囲とは、クリッピングにより被検体の一部の領域を投影する際に投影する空間的領域のことである。例えば、図8に示すように、基準方向の投影像上に表示されたベクトル801の長さあるいは投影範囲を表すROI802の縦横の長さを入力装置105を介して変更することにより、所望投影範囲802を設定する。CPU101は、3つの基準方向の投影像上に表示されたベクトル801の方向あるいは長さあるいはROI802の縦と横で決定される領域を所望投影範囲とする。すなわち、前記表示手段は、矢印の長さで前記領域情報の奥行きを表示している。あるいは、前記表示手段は、ROIで前記領域情報の奥行きと幅を表示している。
【0048】
(ステップ705)
ステップ705で、システムがステップ703及び704で入力した所望の投影方向と投影範囲で3次元画像データを投影して投影像を生成する。生成した投影像は、例えば図8に示すように、ディスプレイ104上の4分割領域の右下の残りの1領域に表示する。
【0049】
本実施例では、図8では3次元空間でのベクトルを、投影像上で矢印あるいは点で表示したが、点で示されたものは、ベクトルの方向が直交3方向の投影像の何れか一つと鉛直な場合を示している。ただし、簡略化のため、点を表示しなくても良い。また、ステップ703とステップ704の順番はどちらでもよい。
【0050】
上記実施例によれば、右下部に所望の方向で投影された投影像を生成して表示するために該投影の方向が入力される際に、その投影範囲(投影像を生成する領域情報)をも入力可能としたので、該所望の方向の投影像を表示する際、該範囲を真ん中にして表示することができ、操作者の読影の対象とする場所を好適に観察することができる。また、前記表示手段は、画面上のROI内で矢印を移動させることにより、前記第2の投影像の前記画面上での位置を移動させるようになっていても良い。
【実施例3】
【0051】
次に、図1及び図2に示された構成を持つ画像表示装置100が可能とする画像表示装置及びこれを用いた投影像生成方法の実施例3を図9を用いて説明する。
【0052】
本実施例が、実施例2と異なるのは、ステップ704で、基準方向の投影像上に投影範囲を表示する際の方法についてである。より具体的には、例えば投影範囲の表示例として、図9(a)に示すように3次元的なボリュームを持つ投影範囲の奥行きを投影像上での厚さを濃淡で表現して表示する。例えば、COR方向投影像上に表示されるベクトル901の長さが投影領域902を指定し、AX方向投影像上には投影領域903のように投影範囲の厚さを濃淡で表現される。また、図9(b)に示すように投影範囲を奥側の線と手前側の線まで含めて4本のAX方向投影像上での縦方向の線で表現する。
【0053】
本実施例によれば、実施例2と比して投影範囲の奥行きを把握しやすくなる利点がある
本発明は、要旨を逸脱しない範囲で種々に変更可能である。例えば、実施例1と2では基準となる第1の投影像が直交3方向(AX方向,COR方向,及びSAG方向)で3画像あったが、任意の1方向の少なくとも1画像(1枚の投影像)でも良いことは言うまでもない。図10は、その1つの例であり、AX方向投影像のみを第1の投影像(左側)とする例を示している。ただし、図10の右側は、第2の投影像を示している。
【符号の説明】
【0054】
501 ベクトル、502 投影中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元ボリュームデータに対し第1の方向から投影して第1の投影像を生成する第1投影像生成手段と、前記第1の投影像上に、前記3次元ボリュームデータに対し第2の投影像を生成する際の第2の方向を指標として入力する入力手段と、前記指標に基づいて前記第2の投影像を生成する第2投影像生成手段と、前記第1の投影像と第2の投影像を表示する表示手段を備えた医用画像表示装置において、
前記指標は、前記3次元ボリュームデータ内での位置情報を含み、前記第2投影像生成手段は、前記第2の投影像を、前記位置情報を投影中心として生成することを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記投影中心となる位置が、画面上で前記第2の投影像が表示される領域の中央になるようにして、前記第2の投影像を表示することを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、矢印で前記指標を表示することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記指標は前記第2の投影像を生成する領域情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、矢印の長さで前記領域情報の奥行きを表示することを特徴とする請求項4に記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、ROIで前記領域情報の奥行きと幅を表示することを特徴とする請求項4に記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記入力手段は、画面上で矢印を移動させることにより、前記投影中心を移動させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記第1の投影像の画面上のROI内で矢印を移動させることにより、前記第2の投影像の前記第2の投影像の画面上での位置を移動させることを特徴とする請求項6に記載の医用画像表示装置。
【請求項9】
前記第1の投影像は、前記被検体の任意の方向に投影された少なくとも1枚の投影像であることを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項10】
前記第1の投影像は、前記被検体の直交する3方向について投影された3枚の投影像であることを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項11】
3次元ボリュームデータに対し第1の方向から投影して第1の投影像を生成する工程と、
前記第1の投影像上に、前記3次元ボリュームデータに対し第2の投影像を生成する際の第2の方向を指標として入力する工程と、
前記指標に基づいて前記第2の投影像を生成する工程と、
前記第1の投影像と第2の投影像を表示する工程とを備えた投影像作成方法において、
前記指標は、前記3次元ボリュームデータ内での位置情報を含み、前記第2の投影像は、前記位置情報を投影中心として生成されることを特徴とする投影像作成方法。
【請求項12】
前記表示する工程は、前記投影中心となる位置が、画面上で前記第2の投影像が表示される領域の中央になるようにして、前記第2の投影像を表示することを特徴とする請求項11に記載の投影像作成方法。
【請求項13】
前記表示する工程は、矢印で前記指標を表示することを特徴とする請求項11または12のいずれかに記載の投影像作成方法。
【請求項14】
前記指標は前記第2の投影像を生成する領域情報を含むことを特徴とする請求項13に記載の投影像作成方法。
【請求項15】
前記表示する工程は、矢印の長さで前記領域情報の奥行きを表示することを特徴とする請求項14に記載の投影像作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−75728(P2012−75728A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224468(P2010−224468)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】