説明

医用画像診断システム

【課題】複数の超音波画像診断装置間におけるユーザ情報を簡単かつ効率よく移動(転送)することができる医用画像診断システムを提供する。
【解決手段】超音波画像診断装置の少なくとも操作手順をガイドするワークフローデータを含むユーザにより登録されたユーザ情報を記録した記録手段をそれぞれ有する複数の超音波画像診断装置1A〜1Nと、これら超音波画像診断装置と通信可能に構成され、所要の超音波画像診断装置の記録手段に記録されたユーザ情報を他の超音波画像診断装置の記録手段に通信により転送させるユーザ情報転送手段を有する操作デバイス3と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数台の超音波画像診断装置とこれらを遠隔操作する操作デバイス等を具備した医用画像診断システムに係り、特に、所要の超音波画像診断装置に内蔵されているワークフローデータを含むユーザ情報を他の超音波画像診断装置に転送可能に構成された操作デバイス等を具備した医用画像診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の超音波画像診断装置では、被検体組織の動きを映像化する組織ドプラ法(TDI)や、被検体組織を立体的に表示する3D法等種々の検査方法が提案されている。
【0003】
しかし、これら検査方法の実行には非常に多くのスイッチ操作(キーボード、タッチパネル、トラックボール、マウス等)が必要となっている。医師や技師等の操作者(ユーザ)は、上述した検査方法や臨床アプリケーション、及びそれらの計測機能を駆使して診断を行う。したがって、医師や技師等のユーザは、上述した個々の検査方法等についての超音波診断装置の操作方法を修得する必要がある。
【0004】
このために、超音波診断装置の操作方法は、複雑化・多様化しており、実際に操作する場合には非常に高度な技術と経験が必要である。このために、操作技術や経験のバラツキも多くなり、検査結果の信頼性を低下させる虞がある。
【0005】
また、超音波診断装置の普及により、ビギナー技師も増加する傾向である。このために、速やかに操作方法を修得でき、簡単に操作できる超音波画像診断装置が要望されている。
【0006】
そこで、最近では、超音波画像診断装置の操作方法をガイドするワークフローシステムを具備した超音波画像診断装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
また、超音波画像診断装置をユーザの手元で遠隔操作する操作デバイスを具備した超音波画像診断装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0008】
そして、上記ワークフローシステムは、医師や検査技師等のユーザによりそれぞれ実行される実行手順が異なり、それぞれのユーザの手技や手法に合せるためにカスタマイズされたワークフローデータにより実行できるように構成されている。このために、検査効率が良好で検査の欠落も防止することができる。
【0009】
また、ユーザは各人独自のカスタマイズされたワークフローを使用することに並行して超音波画像診断装置の操作パネルのキー配置や操作パネル位置、高さ、モニタ輝度、画質条件、ボディマークの設定、各種計測方法の設定等やそれらの初期設定値等のユーザ登録データ(検査者登録データ)をカスタマイズして使用している。
【0010】
これらユーザ登録データもワークフローと同様にユーザ情報であり、ユーザ(検査者)がスクリーン(診断)した患者(被検体)の診断データと共に安全に管理する必要がある。
【特許文献1】特開2001−137237号公報
【特許文献2】特開2003−153903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の超音波画像診断装置では、そのワークフローデータ等のユーザ情報を超音波画像診断装置毎にカスタマイズしているので、これら超音波画像診断装置を複数具備している病院等の使用現場において、ユーザがワークフローデータ等のユーザ情報を独自にカスタマイズし、いつも使用している超音波画像診断装置が何らかの要因により使用できない場合は、他のユーザによりカスタマイズされた超音波画像診断装置を使用しなければならないので、検査業務のスループットが低下するという課題がある。
【0012】
また、この場合は、超音波画像診断装置からカスタマイズされたワークフローデータ等のユーザ情報をMOやCD等のリムーバブルメディアに一旦移動させ、さらに、このリムーバブルメディアから、これから使用しようとする超音波画像診断装置へ再移動させる方法もあるが、効率が非常に悪いという課題がある。
【0013】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、複数の超音波画像診断装置間におけるユーザ情報を簡単かつ効率よく移動(転送)することができる医用画像診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、超音波画像診断装置の少なくとも操作手順をガイドするワークフローデータを含むユーザにより登録されたユーザ情報を記録した記録手段およびこのユーザ情報を実行する実行手段をそれぞれ有する複数の超音波画像診断装置と、これら超音波画像診断装置と通信可能に構成され、前記所要の超音波画像診断装置の記録手段に記録された前記ユーザ情報を他の超音波画像診断装置の前記記録手段に通信により転送させるユーザ情報転送手段と、を具備していることを特徴とする医用画像診断システムである。
【0015】
なお、本請求項1以下において、ユーザ情報とは、ワークフロープロトコル(ワークフローデータ)・患者(被検体)のスクリーニングデータ(診断結果)の他に、超音波画像診断装置のパネルのキー配置やパネル位置・高さ・モニタ輝度・画質条件・ボディマークの設定・各種計測方法の設定や、それらの初期設定、ユーザや被検体個人に関する個人情報等を含む。
【0016】
請求項2に係る発明は、前記ユーザ情報転送手段は、前記所要の超音波画像診断装置のユーザ情報を、複数の超音波画像診断装置同士をデータ通信可能に接続したネットワークを介して他の超音波画像診断装置の記録手段に転送させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断システムである。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記ユーザ情報転送手段は、前記ユーザ情報を記録するメモリと、ユーザ情報の転送元の超音波画像診断装置からユーザ情報をダウンロードして前記メモリに記録させるダウンロード機能と、このメモリに記録されたユーザ情報を転送先の超音波画像診断装置の記録手段にアップロードするアップロード機能と、を具備していることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断システムである。
【0018】
請求項4に係る発明は、手段は、そのユーザが超音波画像診断装置のユーザ情報へのアクセスが許可された本人であるか否かを認証し、本人であることを認証されたときに、前記ユーザ情報へのアクセスを許可し、本人認証されなかったときに、前記ユーザ情報へのアクセスを制限する個人認証機能、を具備していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の医用画像診断システムである。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記ユーザ情報転送手段と前記超音波画像診断装置は、常時通信可能の通信手段をそれぞれ有し、これら両通信手段が通信可能領域内にあり、かつ前記認証機能により本人認証されたときに、前記超音波画像診断装置を自動的に起動させる起動機能、をそれぞれ具備していることを特徴とする請求項4記載の医用画像診断システムである。
【0020】
請求項6に係る発明は、前記超音波画像診断装置は、前記ユーザ情報転送手段によるユーザ情報の移動状況を表示部に表示させる移動状況表示機能、を具備していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の医用画像診断システムである。
【0021】
請求項7に係る発明は、前記ユーザ情報転送手段と前記超音波画像診断装置は、常時通信可能の通信手段をそれぞれ有し、これら両通信手段が通信可能領域内にあり、かつ前記認証機能により本人認証されたときに、前記超音波画像診断装置の記録手段に前記ユーザ情報のログインを許可するログイン許可機能、を具備していることを特徴とする請求項5記載の医用画像診断システムである。
【0022】
請求項8に係る発明は、前記ユーザ情報転送手段は、前記超音波画像診断装置を遠隔操作する操作デバイスに配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医用画像診断システムである。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記ユーザ情報転送手段は、前記超音波画像診断装置に配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医用画像診断システムである。
【0024】
請求項10に係る発明は、前記操作デバイスは、前記超音波画像診断装置に代えて前記ユーザ情報を記録する記録手段と、この記録手段に記録されている前記ユーザ情報を前記ユーザ情報転送手段に代えて前記超音波画像診断装置の記録手段へ転送させる第2のユーザ情報転送手段と、を具備していることを特徴とする請求項8記載の医用画像診断システムである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係る発明によれば、複数の超音波画像診断装置間におけるユーザ情報の転送(移動)を簡単かつ効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、複数の添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0027】
図1は本発明の第1の実施形態に係る医用画像診断システムSの全体構成を示す模式図、図2はこの医用画像診断システムSを構成する超音波画像診断装置1と操作デバイス3の各機能をそれぞれ示す機能ブロック図である。
【0028】
図1に示すように医用画像診断システムSは、ワークフローシステム(「Protocol Assitant System:PAS」とも呼ばれるが、以下、本実施形態の説明では便宜上、「WFS」と略称する)を、ユーザ情報の一種としてそれぞれ搭載している複数の超音波画像診断装置1A,1B,1C,…,1Nと、これら超音波画像診断装置1A〜1Nを遠隔操作する遠隔操作手段およびこれら超音波画像診断装置1A〜1Nの後述する記録手段に記録されているワークフローデータを含むユーザ情報をLAN4を介して移動させる情報転送(移動)手段を有する少なくとも1台の操作デバイス3と、を具備している。
【0029】
図2に示すように各超音波画像診断装置1A〜1Nは、そのハードウェア構成として、図2に示すように、装置本体11、この装置本体11に接続される超音波プローブ12、操作パネル13、及びモニタ14を備えている。操作パネル13には、スイッチ、ボタン、キーボード、トラックボール、マウス等の入力デバイスが装備される。
【0030】
超音波プローブ12は、被検体との間で照射・反射される超音波信号の送受波を行なうデバイス(探触子)であり、電気/機械可逆的変換素子としての圧電セラミック等の圧電素子で形成される。このプローブ12は、その一例として、アレイ状に配列される複数の圧電素子を先端部に装備したフェーズドアレイタイプのもので構成される。これにより、このプローブ12は、装置本体11の送受信回路16から与えられるパルス駆動電圧を超音波パルス信号に変換して図示しない被検体(患者)のスキャン領域内の所望方向に送信する一方で、被検体から反射してきた超音波エコー信号を受信し、これに対応する電圧のエコー信号に変換する。
【0031】
装置本体11は、超音波診断装置1全体の制御中枢を担うシステムコントローラ15のほか、このシステムコントローラ15による制御の元で動作する各ユニット、すなわち送受信回路16、Bモード処理部17a、CFM(カラー・フロー・マッピング)モード処理部17b、及び画像処理回路18を備える。また、この装置本体11には、操作デバイス3との間で通信可能な通信インタフェース(USB、IEEE1394等の所定通信規格)19及び無線用インタフェース(赤外線通信(IrDA)、電波(ブルートゥース、IEEE802.11等の所定無線通信規格)等)20が搭載される。無線用インタフェース20には、赤外線通信窓や無線アンテナ等のアンテナ部20aが接続される。
【0032】
送受信回路16は、システムコントローラ15からの制御信号により送信チャンネル毎に所定の送信遅延時間が付与されたタイミングで超音波プローブ12の各圧電素子に駆動信号を送り、これにより超音波プローブ12の各圧電素子から被検体内に向けて超音波信号を送波させる。その一方で、この送受信回路16は、超音波信号の送波に応じて被検体内の音響インピーダンスの異なる境界で反射され、組織内の散乱体によって散乱された成分等を含む超音波エコー信号を、超音波プローブ12の各圧電素子を介してそれに対応する電圧量のエコー信号として受信し、そのエコー信号に受信遅延・加算処理を施し、その処理が施された受信信号を次段のBモード処理部17a及びCFMモード処理部17bにそれぞれ出力する。
【0033】
Bモード処理部17aは、送受信受信回路16からの受信信号に包絡線検波を行い、これで検波された信号を被検体内の組織の形態情報を担うものとして、画像処理回路18に出力する。また、CFMモード処理部17bは、送受信回路16より受信した電気信号から速度情報を周波数解析し、その解析結果を被検体内の血流又は組織の移動速度情報を担う信号として、画像処理回路18に出力する。
【0034】
画像処理回路18は、Bモード処理部17a及びCFMモード処理部17bからの信号を受信し、システムコントローラ15の制御によりBモード像及びCFM像に関する各種の画像を構成して重ね合せたり或は並べたり、これらの画像に基づいて各種の定量解析や計測を行い、その結果を示す情報を画像上に付加したりする画像処理を行い、その画像信号をTV用のスキャン信号に変換してモニタ13に出力する。これにより、図1に示すように、モニタ14上に超音波画像(Bモード像及びCFM像に関する各種の画像や、その計測、解析結果に関する情報等を含む)IMが表示される。
【0035】
また、この画像処理回路18は、本発明の表示画像生成手段としての機能を有し、WFS2動作時やその移動(転送)時には、システムコントローラ15の制御により操作パネル13のほか、操作デバイス3により指示される指令に応じてWFS2用やその転送用のメニュー、アイコン、文字列等の各種の画像信号をTV用のスキャン信号に変換してモニタ14に出力する。これにより、図2に示すように、モニタ14上に超音波画像IMに加え、WFS2用の表示画面として、例えば後述のアイコン又は文字列の像を含むWFSメニュー画面M1が適宜位置に表示される。このWFSメニュー画面は、システムコントローラ15によるWFS2のプログラム実行により、モニタ14上に表示されるものである。また、画像処理回路18はWFS2や診断済みの検査データ等のユーザ登録情報(ユーザ情報)を複数の超音波画像診断装置1A〜1N間で移動(転送)させる際に、その転送元や転送先等をモニタ14上に表示させる機能も有する。
【0036】
システムコントローラ15は、本発明の制御手段としての機能を有し、その一例として、図示しない内部バスに接続されたCPU(プロセッサ)、メモリ(RAM/ROM)、ハードディスク装置、リムーバブルメディア(CD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、メモリカード等)の駆動装置、及びその他の周辺装置を有するコンピュータとしての機能を有し、検査時に予めプログラムされた手順に従って超音波診断装置1全体の動作を制御する。この制御動作は、操作パネル13上のほか、操作デバイス3からの指令により、診断、検査、表示等の各モードや送受信条件等に基づいて行われる。
【0037】
WFS2は、システムコントローラ15の動作により実行されるソフトウェアで構成され、例えば特開2001−137237号公報で開示されているワークフローシステムが適用される。このシステム(WFS)2は、装置本体11の動作で実施される複数の実施項目(以下、「アクティビティー」ともいう)の実行順序を予め定めた作業手順(以下、「ワークフロープロトコル」ともいう)のデータ(以下、「ワークフローデータ」ともいう)に基づいて複数のアクティビティーに対応した小プログラム(以下、「アクティビティープログラム」ともいう)を順次読み出し実行することにより、装置本体11の動作を切り換えると共に、操作デバイス3による操作に応じてアクティビティーの実行順序を変更可能に構成されている。
【0038】
このWFS2は、そのソフトウェアモジュール構成の一例として、図1に示すように、ワークフローデータを格納するワークフローデータ格納部21と、アクティビティープログラムを格納するアクティビティープログラム格納部22と、ワークフローデータ格納部21のワークフローデータを元にそのワークフローの各段階のアクティビティー毎にこれに対応するアクティビティープログラムをアクティビティープログラム格納部22から読み出して実行するワークフローエンジン部23とを含む。
【0039】
操作デバイス3は、装置本体11との間で通信によるリモート(遠隔)操作が可能に構成され、ワイヤード(有線)、ワイヤレス(無線)のいずれの通信形態でも良い。いずれでも、デバイス収納スペースや通信の仕組みが必要となるが、本例では、ワイヤード及びワイヤレスの両方が適用される。
【0040】
なお、ワイヤードでは、コードの床への接触を避けるためのコード吊り用アームや、コードリール機能等のコード収容機能が必要となる。これに対し、ワイヤレスでは、1)操作デバイス3を持って移動する際、周辺の機器あるいは点滴支持台などにかからない、2)患者にワイヤーが接触しないので患者に不快感を与えない、3)コードがないために床へのコード接触等もなく衛生面で好ましい等、ワイヤードに比べると移動や操作性の面で優位である。
【0041】
この操作デバイス3は、装置本体11から離れた被検体のベッドサイド等の位置で操作者がその手元に携帯して操作可能な適宜な大きさ及び形状のものであれば、例えば小型で手で握ることが容易にできるハンディタイプ(手のひらサイズ)や、検査室のベッドサイドに置けるような平置きのコンソールタイプ(例えば、A4版大きさ以下のサイズ)、据え置きタイプ等、いずれのタイプでも適用可能で、医師や技師等ユーザの好みにより選択される。また、装置本体11に対し着脱可能に構成されるものでもよい。
【0042】
図2に示す例として、この操作デバイス3は、そのデバイス本体31内にバッテリー等の電源ユニット31a、この電源ユニット31aからの給電で動作する各ユニット、すなわち制御中枢を担うCPU等のホストコントローラ32、このホストコントローラ32に接続される各種コントローラ及びインタフェース、すなわち各種スイッチコントローラ33、マイクロフォン用コントローラ34、スピーカ用コントローラ35、振動機構用コントローラ(モータ等の駆動回路)36、表示用コントローラ37、無線用通信インタフェース(赤外線通信(IrDA)、電波(ブルートゥース、IEEE802.11等の所定無線通信規格)等)38、及び通信インタフェース(USB、IEEE1394等の所定通信規格)39、ユーザ情報転送プログラムを内蔵した転送用メモリ40とを内蔵する。
【0043】
なお、ユーザ情報とは、ワークフロープロトコル(ワークフローデータ)・患者(被検体)のスクリーニングデータ(診断結果)の他に、超音波画像診断装置1A〜1Nのパネルのキー配置やパネル位置・高さ・モニタ輝度・画質条件・ボディマークの設定・各種計測方法の設定や、それらの初期設定、ユーザや被検体個人に関する個人情報等を含み、超音波画像診断装置1A〜1Nの医師等のユーザにより、記録手段であるワークフローデータ格納部21に記録(保存)された情報である。
【0044】
また、ユーザ情報転送プログラムは所要の超音波画像診断装置1A〜1Nのワークフローデータ格納部21にそれぞれ保存されている上記ユーザ情報を、他の超音波画像診断装置1A〜1Nのワークフローデータ格納部21に転送させるプログラムである。すなわち、このユーザ情報転送プログラムはホストコントローラ32により実行されることにより、上記ユーザ情報の所要の情報を選択的に転送させ、この転送に必要な表示を所要のステップ毎に超音波画像診断装置1A〜1Nのモニタ14に適宜表示させる制御指令(コマンド)信号を、無線用通信インタフェース38を介して超音波画像診断装置1A〜1Nの各アンテナ部20aに無線送信させるプログラムである。
【0045】
さらに、ユーザ情報転送プログラムは本人認証プログラムを具備しており、ユーザ情報を転送させる前に、この本人認証プログラムを起動させて、この操作デバイス3の操作者(ユーザ)が、この操作デバイス3を使用してユーザ情報にアクセスし、転送し得る資格を有する本人であるか否かを認証させるようになっている。
【0046】
また、この操作デバイス3には、ホストコントローラ32に各種コントローラ33〜37及びインタフェース38を介して接続される、割り付け変更が可能な複数のスイッチSW1、SW2、…、SWn、医師の所見等の音声入力用のマイクロフォン41、音声出力用のスピーカ42、バイブレータ等の振動機構43、各種インジケータ(LED)や液晶ディスプレイ等の表示部44、及び赤外線通信窓又は無線アンテナ等のアンテナ部45が搭載される。
【0047】
ホストコントローラ32は、例えばCPUを搭載したマウスコントローラ等のIC(集積回路)ユニットで構成されるが、その他のコントローラ33〜37及びインタフェース38、39の少なくとも一部と共に一体のICユニットとして構築されるものでもよい。
【0048】
このホストコントローラ32は、操作者の操作に応じて無線用通信インタフェース38又は通信インタフェース39を介して装置本体11に対し予め設定された各種スイッチコマンド等の制御指令(コマンド)S1を送ると共に、装置本体11のシステムコントローラ15から、その無線用通信インタフェース20又は通信インタフェース19を介して後述するアラーム等の各種の制御指令(コマンド)S2を受け、これらコマンド送受信により超音波診断装置11の動作を制御する。
【0049】
操作デバイス3の複数のスイッチSW1〜SWnには、プッシュ式や回転式(ロータリーエンコーダー等)等のいずれのタイプのスイッチ類でも適用可能である。例えば、これらのスイッチ類は、オプティカルデセンサの機構を有するもので構成されるが、この場合には凹凸(溝)や駆動部を無くして手入れが容易になる等のクリーニング性を向上させたり、或は凹凸がない点を活かして汚れ防止用カバーを被せて使用する等の効果が得られる。
【0050】
上記の各スイッチSW1〜SWnには、その一例として、WFS2の操作に必要な移動ボタン、実行ボタン、切換ボタン等の各種のスイッチ類やユーザ情報転送選択スイッチが設けられる。
【0051】
これら各スイッチSW1〜SWnは、例えばWFSメニューM1(又はM2)が超音波像IMと共にモニタ14上に表示され、WFS2が動作している場合、次のような機能を実行する。
【0052】
すなわち、スイッチSW1は、その制御指令(スイッチコマンド)S1を元に、アイコンタイプのWFSメニュー画面が表示されている場合は、いずれかのアクティビティーをアイコンで決定し、文字列タイプのWFSメニュー画面が表示されている場合は、いずれかのアクティビティーを文字列A2で決定し、これにより、WFS2側でそれぞれに対応するアクティビティープログラムを呼び出して実行させたり、その他メニューを決定したりする。
【0053】
SW2はユーザ情報転送選択スイッチであり、例えばプッシュ式の実行ボタンにより構成されている。このSW2がオン操作されると、そのオン操作がホストコントローラ32により読み込まれ、かつメモリ40からユーザ情報転送プログラムが読み込まれ、そのプログラム中の本人認証プログラムがまず起動され、実行される。次に、ホストコントローラ32は本人が認証されてからユーザ情報転送プログラム本体を起動させ、ユーザ情報転送制御指令(コマンド)信号を無線用通信機45から転送先の超音波画像診断装置1A〜1Nへ送信するようになっている。
【0054】
スイッチSW3は、その制御指令(スイッチコマンド)S1を元に、例えば文字列タイプのWFSメニュー画面がモニタ14上に表示されている場合、これとは別に、強制終了や別シナリオ呼び出し等の自由度の高いポップアップメニュー画面を適宜位置に起動させて表示したりする(この例では説明していないが、ポップアップメニューはWFS2非動作時にも起動させてもよい)。
【0055】
図1で示すように操作デバイス3は、携帯可能のデバイス本体31の平坦上面上に、上記SW1〜SW4を配設し、デバイス本体31の側面にSW5,SW6を設けている。
【0056】
スイッチSW1は、WFS動作時にアクティビティー等の項目を決定するプッシュ式の実行ボタン、アクティビティー等の項目を選択する上下左右移動用の方向キー、カーソル移動等の2次元的な位置指定が可能な方向キー(トラックボール機能)、その他ロータリーエンコーダーの機構を利用するゲインコントロール用のスイッチから構成される。
【0057】
SW2はプッシュ式の実行ボタンであり、ユーザ登録情報転送選択スイッチである。スイッチSW3は、ポップアップメニュー起動用の実行ボタンである。
【0058】
さらに、デバイス正面中央の右側のスイッチSW4は、WFS動作時及び通常検査時に関係なく、表示画面を停止(フリーズ)させるフリーズ用のプッシュ式実行ボタンである。
【0059】
また、スイッチSW5は、前述した例では特に設定されていないもので、印刷(プリントアウト)用のプッシュ式実行ボタンで構成される。さらに、スイッチSW6は、超音波スキャンで得られる超音波像の視野深度を調整可能なロータリー式のボタンで構成される。
【0060】
そして、操作デバイス3は、WFS2では操作者毎にWFSシナリオが異なることがあるため、操作者本人の認識機能として、音声認識、指紋認識、網膜認識等の少なくともいずれかの機能を備えている。この本人認証機能により最初の時点で医師または技師等のユーザを知ることにより、自分で管理しているフォルダ内のWFSシナリオを容易に呼び起こすことが可能となる。また、操作デバイス3に機器IDを指定する機能を付けることも望ましい。複数台の操作デバイスを同時に使用する場合に干渉が生じないためである。
【0061】
なお、通常検査用のスイッチ(キー)や前記スイッチの意味付けは、例えば使用者が超音波診断装置1で頻繁に利用するキーを自由に割り当てることが可能となっている(カスタムボタンとして機能可能)。
【0062】
その他、各スイッチSW1〜SWnには、例えばマイクロフォン41専用の記録指示用スイッチ等も含まれる。
【0063】
上記の各スイッチSW1〜SWnが操作されると、各種スイッチコントローラ33及びホストコントローラ32の制御の元で、その操作されたスイッチSW1〜SWnに割り当てられた移動ボタン、実行ボタン、切替ボタン等に種別に応じたスイッチコマンド(任意のコマンドが規定可能)の制御指令S1が無線通信用インタフェース38又は通信インタフェース39経由で操作デバイス3側から装置本体11側に送られる。
【0064】
その結果、装置本体11側では、システムコントローラ15により、操作デバイス3側からの制御指令S1に応じて、WFS2の動作の変更やWFS2の転送が可能となっている。
【0065】
例えば、システムコントローラ15は、WFS2を実行中に移動ボタンの操作による制御指令S1を受けたときにモニタ14上のアクティビティーのアイコン又は文字列の像が選択したり、実行ボタンの操作による制御指令S1を受けたときに移動ボタンの操作で選択されたアクティビティーに対しそのアクティビティープログラムを読み出し実行したりする。
【0066】
これと同時に、画像処理部18では、移動ボタンの操作で選択されたアクティビティーのアイコンまたは文字列の像の表示状態をモニタ14上で視覚的に把握できるように色を変えたり、点滅したりする等の変更を行う。
【0067】
マイクロフォン41は、少なくとも医師の所見等を含む音声信号を記録可能に入力するものである。マイクロフォン41から入力される音声は、操作デバイス3上に上述した専用の録音用スイッチが付随して設けられている場合、この録音用スイッチを押している間は録音中となり、このとき、その録音中である旨を把握できるように表示部44(LED等)上でイルミネーションとして点灯させる。また、録音中止はその録音用スイッチを離すことで実行され、録音が実行されていない場合は消灯する。
【0068】
また、マイクロフォン41から入力される音声信号は、音声データとして、あるいは図示しない既知の音声認識・文字変換機能により音声認識後に文字変換された文字データとして、レポートのデータに自動的に記録される。
【0069】
さらに、マイクロフォン41から入力される音声信号は、音声認識により超音波診断装置11の動作を制御するコマンドとして利用することも可能である。例えば、WFS2では、その実行時にモニタ14上のWFSメニューからアクティビティーのアイコンや文字列の像等を選択するだけで検査進行が自動的に行われるために、WFSメニューを進行させる際の「次、ネクスト(Next)」、逆に選択する際の「戻れ、バック(Back)」、決定を促す「OK」等の比較的少数かつ単純なコマンドを使ってその動作を制御できるため、音声認識率の問題も殆どクリアされ、信頼性の高い制御が可能である。
【0070】
スピーカ42は、例えば装置本体11側のアラーム機能と連動して、その装置本体11側からの制御指令S2に応じて、例えば患者の心電状態に異常があるとき等のアラームが必要な際にはその旨を音声で知らせたり、造影エコー検査のモード切り替え時にはその旨を音声で知らせたりすることが可能となっている。
【0071】
振動機構43は、上記のスピーカ42と同様に例えば装置本体11側のアラーム機能と連動して、その装置本体11側からの制御指令S2を受けて、例えば患者の心電状態に異常があるとき等のアラームが必要な際や、造影エコー検査のモード切り替え時にその旨を操作デバイス3の操作者に知らせるために振動可能となっている。
【0072】
上記のスピーカ42による音や振動機能43による振動により、操作デバイス3を通して操作者である医師または技師にアラームが伝わるが、この際のアラーム機能は、検査計画に基づき医師または技師が別の検査アクションを起こしたいとき、例えば、時間を管理しながら別モードの検査を実施したいと考えるとき、あるいはスループットを考慮し、ある規定の時間が経過したときに時間を知りたいとき、あるいは患者のバイタリティに心電異常等の異常があったときに特に有用である。
【0073】
例えば、造影エコー検査では、各時相(例えば腹部の場合、動脈相、動脈・門脈相、パフュージョン相など、造影剤注入後の時間によって、それぞれに類する呼称がある)での時間管理が必要であり、通常はモニタ14の画面上に表示されたタイマーを参考にするが、スキャン断面を維持するあるいは画面に集中しているため、時間を管理しながら検査を実行することが困難であることが多い。そのため、サイトによっては時間を管理するために人員をあらかじめ確保することもある。
【0074】
これに対し、操作デバイス3により、例えばタイマー機能と連動させ、造影剤注入後、必要な経過時間ごとにアラーム音、あるいは音声ガイド、あるいは振動でタイマー情報を伝えることにより、前述した時間管理を行う人員を減らすことが可能となる。また、音声ガイダンスを用いてWFS2の進行状況を伝えることで、よりスムーズなWFS2の進行が実現される。また、注意情報を連絡してもよい。このときの音声ガイダンスの例としては、1)進行内容例:「造影剤を注入します」、「モードを変化します」、2)時間管理例:「(造影剤注入後)30秒」、「(造影剤注入後)4分30秒」、3)注意事項例:「MOがセットされていません」等が例示される。
【0075】
そして、図2に示すように操作デバイス3はユーザ情報転送プログラムを保存した転送用メモリ40を具備している。このユーザ情報転送プログラムと、このユーザ情報プログラムを実行するホストコントローラ32とによりユーザ情報転送手段に構成されている。すなわち、ホストコントローラ32は、ユーザ情報転送モード選択スイッチSW2がオン操作された状態を検出したときに、ユーザ情報転送プログラムを転送用メモリ40から読み込んで起動させ、転送元の各超音波画像診断装置1A〜1Nに搭載されている所要のWFS2のワークフローデータ等のユーザ登録情報を、転送先の他の超音波画像診断装置1A〜1Nのワークフローデータ格納部21に転送し移植させるための制御指令(コマンド)を無線用通信インタフェース38とアンテナ部45を介して装置本体11のアンテナ部20aへ送信するようになっている。
【0076】
図3はこのユーザ情報転送プログラムの中の本人認証プログラムを示すフローチャートであり、図4はその本人認証プログラムの実行による本人認証後に、所要のユーザ登録情報をLAN4を介して所要の転送元から所要の転送先に転送するプログラムを示すフローチャートである。これらフローチャート中、Sに数字を付した符号S1〜S7はフローチャートの各ステップを示す。
【0077】
すなわち、図3に示すように、まずS1でホストコントローラ32は、操作デバイス3の図示しない電源スイッチがオン操作されているか否かを読み込み、オン操作されている状態を読み込んだときは、次のS2で、ユーザIDを入力し、または操作デバイス3の音声認識や指紋認識等のユーザ認識機能によりユーザを認識させる。例えばユーザが自己の音声をマイクロフォン41に入力し、または図示しない指紋押捺センサプレート上に自己の指紋を押圧してユーザを認識させる。
【0078】
すると、次のS3で、このユーザ認識機能により認識されたユーザのIDや音声、指紋等がユーザ登録情報へのアクセスが許可されているユーザ本人のIDや音声、指紋として予め登録されているものと一致するか否かを判断する。このS3で、Noの場合、つまり、ユーザとして予め登録されていない場合は、S4でアクセス不許可の図示しない例えばLEDランプ等を点灯させて、この認証プログラムを終了させ、ユーザ情報転送プログラムへ移行させない。
【0079】
一方、S3でユーザが予め登録されている場合には、Yesとして、次のS5へ進み、ここで、操作デバイス3のユーザ情報転送選択スイッチSW2がオン操作されているか否か繰り返し検出し、このユーザ情報転送選択スイッチSW2がオン操作されていることを検出したとき、すなわち、Yesのときは、次のS6へ進む。このS6では、ユーザ情報の転送元である所要の超音波画像診断装置、例えば1Aに、そのユーザIDを無線用通信インタフェース38を介して送信する。なお、ユーザがアクセス許可されていないユーザ情報についてはグレーダウン表示され、操作デバイス3の操作が禁止される。
【0080】
このユーザIDを受信した転送元の超音波画像診断装置1Aのシステムコントローラ15は、この受信したIDがユーザ情報へのアクセスを許可されたユーザのIDとしてワークフローデータ格納部21に登録されているか否かを検出し、登録されていることを検出したときは、アクセス許可信号を無線用通信インタフェース20とアンテナ部20aを介して操作デバイス3へ返信する。操作デバイス3のホストコントローラ32は、S7で、このアクセス許可信号をアンテナ部45と無線用通信インタフェース38を介して受信し、ユーザがユーザ情報へのアクセスが許可されていることを確認する。これにより、ホストコントローラ32は、個人認証プログラムを終了(エンド)させる一方、図4で示すユーザ情報転送プログラムに移行する。
【0081】
すなわち、図4で示すように、S11で、操作デバイス3のホストコントローラ32はユーザの本人認証を確認し、転送元の超音波画像診断装置1Aのユーザ情報へのアクセス許可があることを確認すると、次のS12で、転送すべきユーザ情報の中で今回転送する転送データを選択する。
【0082】
すなわち、ユーザ情報としては、ユーザが個別に設定したワークフローデータ、超音波画像診断装置1A〜1Nのパネルのキー配置や高さ、モニタ輝度、モニタ画質条件、ボディマークの設定、各種計測方法の設定、その初期設定、検査者登録データ等の項目があるが、これらのどの項目を転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nへ転送するか選択する。
【0083】
図5は、例えばCategory1〜3に配分されたユーザ情報の項目のうち、転送すべき項目を選択させる際に、転送元の超音波画像診断装置1Aへのモニタ14に表示される表示画面の一例を示している。この図5中、「informationA〜E」は例えば検査者登録データ、「ProtocolA〜F」はワークフロープロトコル、「PresetA〜E」は設定値等を示す。また、「Send」は転送すべき項目の選択するための表示ボタンであり、「cancel」はその選択を取り消すための表示ボタンである。
【0084】
次のS13では、この選択した項目の転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nをユーザに選択させる。
【0085】
図6はこの転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nを選択する際に、転送元の超音波画像診断装置1Aのモニタ14に表示される表示画面の一例を示している。
【0086】
図6中、<From>SystemAは転送元の超音波画像診断装置1Aを示し、<To>SystemB,C,…,Nは転送先の超音波画像診断装置1B,1C,…,1Nを示しており、チェックボックス内にチェックを入れることにより、転送先を選択することができる。このチェックは操作デバイス3の図示しないカーソル移動手段と決定ボタン等の実行手段とにより行なわれる。
【0087】
次にS14で、操作デバイス3のホストコントローラ32は、選択された転送先の超音波画像診断装置1B〜1NにユーザIDを送信し、これら転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nまたは少なくともいずれかからアクセス許可を得る。
【0088】
この後、S15で、ホストコントローラ32は、転送元の超音波画像診断装置、例えば1Aから、選択されたユーザ情報を転送先の超音波画像診断装置、例えば1B,1C,…,1N、または少なくともいずれかへLAN4を介して送信させる。
【0089】
図7はこのユーザ情報転送時の超音波画像診断装置1A〜1Nの各モニタ14の表示例をそれぞれ示す。その転送状況は、例えばプログレスバーや文字(「Finish(転送完了)」、「Now Receiving(受信中)」)等により表示される。これにより、操作デバイス3を操作するユーザに対してアクセス許可された特定のユーザ情報のみが許可された転送先の超音波画像診断装置、例えば1B〜1N、またはそのいずれかへ転送される。
【0090】
このために、ユーザが何らかの事情により、使い慣れた特定の超音波画像診断装置1Aが使用できない場合にも、事前に、この超音波画像診断装置1Aに搭載されたWFS2のワークフローデータや検査者データ、設定値等、当該ユーザが超音波画像診断装置1Aに登録したユーザ情報を、転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかにおいても使用できるので、これら転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかをあたかも使い慣れた超音波画像診断装置1Aの如く操作できる。このために、超音波画像診断装置1B〜1N、またはそのいずれかによる操作効率と操作精度を向上させることができる。これにより、これら超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかを使用して行なうルーチン検査のスループットを向上させることができる。
【0091】
また、他の超音波画像診断装置1A〜1Nまたはその少なくともいずれかへの転送が可能なユーザ情報へのアクセスは、予めアクセス許可が登録されているユーザ本人と、当該ユーザ情報に限定されているので、ユーザ情報のセキュリティを向上させることができる。
【0092】
さらに、ユーザ情報の転送ないし移植に操作デバイス3とLAN4を使用するので、リムーバブルメディアを使用してユーザ情報を転送する場合よりも簡単迅速にかつ効率的にユーザ情報を転送することができる。
【0093】
図8は本発明の第2の実施形態に係る医用画像診断システムSAの全体構成を示す模式図、図9は同ユーザ情報転送プログラムのフローチャートである。この医用画像診断システムSAは、所要の超音波画像診断装置、例えば1Aに搭載のFWS2や検査者登録データ等のユーザ情報を図1で示すLAN4を使用せずに、操作デバイス3Aに設けたユーザ情報転送用メモリを介して他の超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかへ転送する点に特徴があり、これ以外の構成は上記第1の実施形態と同様である。
【0094】
すなわち、この医用画像診断システムSAは、操作デバイス3に、ユーザ情報を一時保存するユーザ情報転送用メモリを設け、上記ユーザ情報転送プログラムを第2のユーザ情報転送プログラムに置換している。この第2のユーザ情報転送プログラムは上記ユーザ情報転送プログラムと同様に、ユーザがアクセス許可者本人として登録されているか否かを認証する本人認証プログラムを具備しているが、転送元の超音波画像診断装置、例えば1Aに搭載されているFWS2や検査者登録データ、操作パネルの諸設定値等のユーザ情報を、LAN4を介さずに、無線を介して操作デバイス3のユーザ情報転メモリに一旦ダウンロードした後、再び、転送先の超音波画像診断装置、例えば1B〜1Nまたはその少なくともいずれかにアップロードすることにより転送するように構成されている。
【0095】
つまり、操作デバイス3の電源オンスイッチがオン操作され、かつユーザ情報転送モード選択スイッチS2がオン操作されたときに、これらオン操作をホストコントローラ32により検出すると、このホストコントローラ32は、まずユーザ情報転送プログラムをユーザ情報転送用メモリから読み出し、図9で示すように、まずS21で、図3で示す本人認証プログラムと同様の本人認証プログラムを起動する。そこで、ユーザがIDを入力し、または操作デバイス3のマイクロフォン41に所要の音声を入力し、あるいは指紋センサプレートに指紋を押圧する等、本人認証に必要なデータを入力する。すると、操作デバイス3のホストコントローラ32は転送先の超音波画像診断装置、例えば1Aの転送すべきユーザ情報について、アクセスが許可されているユーザ本人か否かを判断する。この本人認証で否定されたときは、操作デバイス3の図示しない転送禁止ランプ(LED)等を点灯させて、本人認証プログラムとユーザ情報転送プログラムを終了させる。
【0096】
一方、S21で、ユーザがアクセス許可者であるとして本人認証されたときは、次のS22で、転送元の超音波画像診断装置、例えば1Aと、操作デバイス3のユーザ情報転送用メモリへ転送しようとするユーザ情報の項目を、操作デバイス3のユーザ情報選択手段により選択する。これら転送しようとするユーザ情報の項目は上記第1実施形態と同様に図6で示すように転送元の超音波画像診断装置1Aのモニタ14に表示される画面をユーザが見ながら操作デバイス3の選択手段を操作することにより実行される。
【0097】
図10はこの転送元の超音波画像診断装置1Aのモニタ14に表示される画面の一例であり、図中、<From>「SystemA」は転送元の超音波画像診断装置1Aを示し、<To>「Device Controller」はユーザ情報の経由先である操作デバイス3のホストコントローラ32を示している。
【0098】
この後、S23では操作デバイス3のユーザ情報転送ボタンS2のオン操作により、転送元の超音波画像診断装置1Aに搭載され、かつ選択されたユーザ情報がこの超音波画像診断装置1Aから操作デバイス3に無線でダウンロードされ、ユーザ情報転送用メモリに一時格納され、保存される。
【0099】
次のS23では、操作デバイス3から、さらに転送する転送先の超音波画像診断装置、例えば1B〜1Nまたはその少なくともいずれかがユーザにより選択される。この転送先の選択は上記第1実施形態と同様に図6で示す転送元の超音波画像診断装置1Aのモニタ14に標表示される転送先選択画面のチェックボックスにチェックを挿入する方法等により選択される。
【0100】
次のS25では、こうして選択された転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかに対して、操作デバイス3のホストコントローラ32からアクセス許可を要求する要求信号が無線で送信され、これら転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかからアクセス許可信号をホストコントローラ32が受信する。
【0101】
次のS26で、ホストコントローラ32はユーザ情報転送メモリから、転送許可を得ているユーザ情報を読み出し、アクセス許可を得ている超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかにアップロードする。
【0102】
このために、超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかのシステムコントローラ15はこの転送されたユーザ情報をワークフローデータ格納部21に格納し保存する。
【0103】
この後S27で、このシステムコントローラ15はユーザ情報転送完了フラグを操作デバイス3に無線送信し、ユーザ情報の転送を完了し、ユーザ情報転送プログラムを終了(エンド)させる。
【0104】
したがって、この医用画像診断システムSAによれば、LAN4を使用せずに、転送元の超音波画像診断装置、例えば1Aのユーザ情報を、転送先の超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかに簡単迅速に転送することができる。
【0105】
このために、使い慣れた転送元の超音波画像診断装置1Aとほぼ同様に、他の超音波画像診断装置1B〜1Nまたはその少なくともいずれかを使いこなすことができる。その結果、超音波画像診断装置1A〜1Nまたはその少なくともいずれかを使用したルーチン検査のスループットを向上させることができる。
【0106】
なお、上記各実施形態ではユーザ情報転送手段を操作デバイス3に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばこのユーザ情報転送手段を超音波画像診断装置1A〜1N側に設けてもよい。
【0107】
すなわち、超音波画像診断装置1A〜1Nに、ユーザ情報転送プログラムを記録するメモリを設け、このユーザ情報転送プログラムをCPUとして実行する機能をシステムコントローラ15に設け、このユーザ情報転送プログラムを起動ないし停止等制御するためのコマンド信号を操作デバイス3から無線で超音波画像診断装置1A〜1Nに送信し、ユーザ情報の転送を遠隔制御するように構成してもよい。
【0108】
また、操作デバイス3のホストコントローラ32は、上述したように本人認証機能を有しているので、この操作デバイス3と超音波画像診断装置1A〜1Nの装置本体11,11,11,…間の常駐通信機能により、ユーザがその操作デバイス3を携帯した状態で装置本体11,11,11,…に接近して、操作デバイス3が装置本体11,11,11,…と通信可能な領域範囲内に入ったときに、そのユーザと装置本体11,11,11,…との間の信頼関係により予めアクセス許可された個人であると判断された場合には、装置本体11,11,11,…へのログインを自動的に起動させるようにしてもよい。また、たとえアクセス許可された個人であったとしても、その装置本体11,11,11,…がアクセス許可された他の(別の)個人が先にログインしているような場合であれば、アクセス許可された個人がその操作デバイス3と共に装置本体11,11,11,…に近づいて、操作デバイス3が装置本体11,11,11,…と通信可能な領域範囲内に入った場合でもログインさせず、先に使用していた個人が装置本体11,11,11,…を全てコントロールするように構成してもよい。これらは、装置本体11,11,11,…のメイン電源スイッチがオンに操作されており、スタンバイ状態になっている場合が該当する。しかし、装置本体11,11,11,…のメイン電源がオンでなくても、同様に予めアクセス許可された個人が装置本体11,11,11,…に接近して、操作デバイス3が装置本体11,11,11,…と通信可能な領域範囲内にある場合に、自動的に装置本体11,11,11,…のメイン電源がスイッチをオン状態となり、次に装置へのログインを自動的に促すようにしてもよい。
【0109】
さらに、上記各実施形態では、ワークフローシステム(WFS2)等のユーザ登録情報を超音波画像診断装置1A〜1Nの装置本体11,11,11,…のメモリに登録しているが、このユーザ登録情報を操作デバイス3内のメモリに記憶させてもよい。その場合は、ユーザ登録情報を超音波画像診断装置1A〜1N間で転送(移動)する必要はなく、操作デバイス3さえあれば、装置本体11,11,11,…がどのような状態であってもユーザ独自のアクティビティプログラムの実行が可能となるので、ユーザ独自の手技・手法にあった超音波画像診断装置1A〜1Nの操作方法を確実に実行していくことにより効率良く検査を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1実施形態に係る医用画像診断システムの全体構成を示す模式図。
【図2】図1で示す超音波画像診断装置と操作デバイスの構成を示す機能ブロック図。
【図3】図1で示す実施形態に係るユーザ登録情報転送プログラム中の本人認証プログラムのフローチャート。
【図4】図1で示す実施形態に係るユーザ登録情報転送プログラム本体のフローチャート。
【図5】図1で示す転送元超音波画像診断装置のモニタに表示される、転送しようとするユーザ登録情報中の項目を選択させるために表示される画面の一例を示す図。
【図6】図1で示す転送元超音波画像診断装置のモニタに表示される、転送先を選択させるための表示画面の一例を示す図。
【図7】図1で示す複数の超音波画像診断装置間でユーザと登録情報が転送される際に、その転送の進捗度等が各超音波画像診断装置のモニタに表示されるときの一例をそれぞれ示す図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る医用画像診断システムの全体構成を示す模式図。
【図9】図8で示す医用画像診断システムのユーザ情報転送プログラムのフローチャート。
【図10】図8で示す実施形態に係る転送先の超音波画像診断装置からユーザ登録情報が操作デバイスに転送される状態が、転送先のセンターサーバのモニタに表示される際の一例を示す図。
【符号の説明】
【0111】
S,SA 医用画像診断システム
1A〜1N 超音波画像診断装置
2 WFS(ワークフローシステム)
3 操作デバイス
4 LAN
11 超音波画像診断装置の装置本体
12 超音波プローブ
15 システムコントローラ
21 ワークフローデータ格納部
32 ホストコントローラ
40 転送用メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像診断装置の少なくとも操作手順をガイドするワークフローデータを含むユーザにより登録されたユーザ情報を記録した記録手段およびこのユーザ情報を実行する実行手段をそれぞれ有する複数の超音波画像診断装置と、
これら超音波画像診断装置と通信可能に構成され、前記所要の超音波画像診断装置の記録手段に記録された前記ユーザ情報を他の超音波画像診断装置の前記記録手段に通信により転送させるユーザ情報転送手段と、
を具備していることを特徴とする医用画像診断システム。
【請求項2】
前記ユーザ情報転送手段は、前記所要の超音波画像診断装置のユーザ情報を、複数の超音波画像診断装置同士をデータ通信可能に接続したネットワークを介して他の超音波画像診断装置の記録手段に転送させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項3】
前記ユーザ情報転送手段は、前記ユーザ情報を記録するメモリと、
ユーザ情報の転送元の超音波画像診断装置からユーザ情報をダウンロードして前記メモリに記録させるダウンロード機能と、
このメモリに記録されたユーザ情報を転送先の超音波画像診断装置の記録手段にアップロードするアップロード機能と、を具備していることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断システム。
【請求項4】
前記ユーザ情報転送手段は、そのユーザが超音波画像診断装置のユーザ情報へのアクセスが許可された本人であるか否かを認証し、本人であることを認証されたときに、前記ユーザ情報へのアクセスを許可し、本人認証されなかったときに、前記ユーザ情報へのアクセスを制限する個人認証機能、を具備していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の医用画像診断システム。
【請求項5】
前記ユーザ情報転送手段と前記超音波画像診断装置は、常時通信可能の通信手段をそれぞれ有し、これら両通信手段が通信可能領域内にあり、かつ前記認証機能により本人認証されたときに、前記超音波画像診断装置を自動的に起動させる起動機能、をそれぞれ具備していることを特徴とする請求項4記載の医用画像診断システム。
【請求項6】
前記超音波画像診断装置は、前記ユーザ情報転送手段によるユーザ情報の移動状況を表示部に表示させる移動状況表示機能、を具備していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の医用画像診断システム。
【請求項7】
前記ユーザ情報転送手段と前記超音波画像診断装置は、常時通信可能の通信手段をそれぞれ有し、これら両通信手段が通信可能領域内にあり、かつ前記認証機能により本人認証されたときに、前記超音波画像診断装置の記録手段およびこのユーザ情報を実行する実行手段に前記ユーザ情報のログインを許可するログイン許可機能、を具備していることを特徴とする請求項5記載の医用画像診断システム。
【請求項8】
前記ユーザ情報転送手段は、前記超音波画像診断装置を遠隔操作する操作デバイスに配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医用画像診断システム。
【請求項9】
前記ユーザ情報転送手段は、前記超音波画像診断装置に配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医用画像診断システム。
【請求項10】
前記操作デバイスは、前記超音波画像診断装置に代えて前記ユーザ情報を記録する記録手段と、
この記録手段に記録されている前記ユーザ情報を前記ユーザ情報転送手段に代えて前記超音波画像診断装置の記録手段へ転送させる第2のユーザ情報転送手段と、
を具備していることを特徴とする請求項8記載の医用画像診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−104595(P2008−104595A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289143(P2006−289143)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】