説明

医療機器システム

【課題】信号伝送に特徴を有する医療機器システムを提供する。
【解決手段】観察部位を撮像する撮像素子を有する医療機器システムは、前記撮像素子によって生成された映像信号を所定のビット数ごとに交流化する第1の交流化手段と、前記第1の交流化手段とは異なるビット数ごとに同期信号を交流化する第2の交流化手段と、前記第1の交流化手段によって交流化された映像信号と、前記第2の交流化手段によって交流化された同期信号とを重畳された信号とする重畳手段と、前記重畳された信号を伝送する伝送手段と、前記伝送手段によって伝送された前記重畳された信号から前記同期信号を検出する同期信号検出手段とからなる映像信号伝送手段を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器システムおよび電子内視鏡装置、更に詳しくは患者回路と二次回路との信号伝送に特徴を有する医療機器システムおよび電子内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子内視鏡装置は、体腔内に挿入する細長の挿入部を有し、体腔内の観察部位の撮像信号を生成するイメージセンサーである撮像素子(例えばCCD等の個体撮像素子)を先端部に設けたスコープと、このスコープの駆動制御のための同期信号および撮像素子によって撮影された撮像信号から所望の映像信号を生成する内視鏡制御装置とを具備する医療機器システムである。ここでスコープの細長の挿入部は観察のため患者体腔内に挿入される部分であり、電気回路の一部であるイメージセンサーやケーブルも患者体腔内に挿入されるので、患者を安全に処置するために患者回路と呼ばれる患者に触れる可能性がある電気回路は、内視鏡制御装置側の商用電源側回路や映像信号処理回路等(二次回路)との間で信号の伝送をする場合は、電気的な絶縁を設ける必要がある。
【0003】
患者回路と二次回路との絶縁構成は、映像信号処理回路前段にイメージセンサーからの映像信号を絶縁伝送する絶縁回路を構成して、患者回路と二次回路との絶縁構成を保っている。しかし映像信号処理回路の電源回路がスイッチング電源だったり、電子内視鏡装置と電気メスとが組み合わされて使用される場合では、スイッチング電源が発生する放射ノイズや伝導ノイズ、または、電気メスの出力時の放射ノイズが外来ノイズとして映像信号に影響を与えてしまう。
【0004】
すなわち外来ノイズの影響を受けると患者回路にはコモンモードノイズが発生し、二次回路のグランド(接地電位)から見ると患者回路のグランドは電位が変動している状態となり、そのような状態で患者回路のアナログ映像信号を二次回路へ絶縁伝送すると、コモンモードノイズが含まれたアナログ映像信号となる。
【0005】
一般的に、アナログ映像信号は、ノイズの重畳に弱くアナログ映像信号にノイズが重畳した場合、外部機器へ出力された画像は著しくノイズに埋もれた画像となってしまう。そこでイメージセンサーからの出力信号を処理し、A/D変換した後に患者回路から二次回路へ絶縁伝送する方法が用いられている。
【0006】
従来の絶縁回路の第一例を図5を用いて説明する。図5には、スコープ110、ビデオプロセッサ120、および外部機器130を具備している電子内視鏡装置100をに示す。スコープ110は、その挿入部111の先端にイメージセンサー112を具備している。このイメージセンサー112の映像信号は、AFE(アナログフロントエンド)121を介しA/D回路122によりA/D変換(アナログデジタル変換)される。A/D変換された映像信号は、患者回路から二次回路へ絶縁回路123によって絶縁伝送される。二次回路において絶縁伝送後の映像信号の処理のために、映像信号処理回路124が必要となる。さらに、患者回路と二次回路との同期をとる必要があるために、同期回路であるタイミングジェネレータ(TG)125によって同期信号を生成する。タイミングジェネレータ125によって生成された同期信号は、絶縁回路123内の同期信号絶縁伝送手段に伝送される。タイミングジェネレータ125は、さらに同期信号に応じた駆動信号をイメージセンサー駆動回路126に伝送し、イメージセンサー112を駆動する。
【0007】
従来の絶縁回路の第一例を図6に示す。図6の絶縁回路1は、映像信号をA/D変換による交流化手段によりデジタル化され、映像信号の絶縁伝送手段へ送られる。同様に、同期信号は、同期信号の絶縁伝送手段に送られる。
【0008】
特許文献1には、A/D変換されたR(赤),G(緑),B(青)等の画像信号をパラレル/シリアル変換器によって1ビットのシリアル信号に変換され、その後、光通信モジュールにより光信号に変換され電磁波ノイズを抑えながら絶縁伝送される方式が記載されている。
【0009】
また従来の絶縁回路の第二例を図7に示す。これは、映像信号と同期信号とを同ビット数にて重畳し、絶縁伝送手段を一系統とすることを目的にするものである。具体的には、映像信号の所定の範囲(例えば“&h00〜&hFF”であれば“&hF0〜&hFF”)を同期信号として定め、その信号を映像データに重畳することで伝送ラインの削減を行う(例えば特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2006−51162
【特許文献2】特開2005−66129
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の絶縁回路の第一例(図6)の絶縁回路1では、映像信号伝送ライン(上段)と、同期信号伝送ライン(下段)との2系統の伝送ラインを必要とする。さらに、映像信号および同期信号は、それぞれの絶縁伝送手段によって電気的に絶縁伝送される必要がある。映像信号例えばR,G,B画像信号を絶縁伝送する場合、R,G,B画像信号それぞれに対応する絶縁伝送手段としてフォトカプラやパルストランスを必要とする。従ってビデオプロセッサ120内にそれぞれの絶縁伝送手段を配設することは、かなりの設置領域を必要とし、装置の大型化および複雑化を招くこととなる。
【0011】
さらに特許文献1に記載の電子内視鏡では、パラレル/シリアル変換器によって1ビットのシリアル信号に変換されることによって、画像信号絶縁伝送のために必要とされるフォトカプラは一系統で足り、簡素な構成によって絶縁伝送手段を設けることができる。しかしながら、やはり同期信号伝送ラインは必要であり、画像信号絶縁伝送と同期信号伝送ラインとの2系統の伝送ラインを必要とする。
【0012】
次に、従来の絶縁回路の第二例(図7)の絶縁回路2では、映像信号に同期信号を重畳することにより、絶縁伝送手段は一系統で済むが、映像信号に同期信号を同ビットにて重畳するため、その同期信号を重畳させる分だけ映像信号のダイナミックレンジを減少させる必要が生じ、それによって映像信号の再現性が悪くなる。
【0013】
(発明の目的)
本発明は、同じビットで変換した映像信号および同期信号を重畳して伝送すると、映像信号のダイナミックレンジが減少してしまうという課題を解決することを目的とする。すなわち、絶縁伝送時には信号が交流化により冗長化されることに着目して、映像信号と同期信号とを異なるビット数ごとに変換して重畳することで映像信号のダイナミックレンジを維持しつつ、かつ変換なしに重畳された信号から同期信号を検出することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(手段)
本発明に係る医療機器システムは、観察部位を撮像する撮像素子を有する医療機器システムであって、前記撮像素子によって生成された映像信号を所定のビット数ごとに交流化する第1の交流化手段と、前記第1の交流化手段とは異なるビット数ごとに同期信号を交流化する第2の交流化手段と、前記第1の交流化手段によって交流化された映像信号と、前記第2の交流化手段によって交流化された同期信号とを重畳された信号とする重畳手段と、前記重畳された信号を伝送する伝送手段と、前記伝送手段によって伝送された前記重畳された信号から前記同期信号を検出する同期信号検出手段とからなる映像信号伝送手段を具備することを特徴とする。
【0015】
さらに前記伝送手段は、好ましくは無線、光伝送、静電誘導および電磁誘導のいずれかにより、前記重畳された信号を絶縁して伝送する絶縁伝送手段である。
【0016】
また、さらに前記同期信号検出手段は、好ましくは前記第2の交流手段により前記映像信号とは異なるビット数で変換された信号を検出することにより、前記重畳信号を変換せずに前記同期信号を検出する。
【0017】
また、さらに前記第1の交流手段によるビット毎に交流化するビット数は、好ましくは前記第2の交流手段によるビット数ごとに交流化するビット数よりも少ない。
【0018】
(作用)
映像信号と同期信号とを異なるビット間隔で交流化することにより、映像信号と同期信号とを重畳した場合にもそれぞれ重複しない信号パターンを得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、映像信号のダイナミックレンジを減少させることなく、同期信号を重畳させることができ、伝送用の絶縁伝送ライン数を減少させることができる。さらに同期検出信号回路もデータの変換なしに同期信号検出が可能となるため、大規模で複雑な回路を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、まず本発明に係る医療機器システムの映像信号伝送手段10の映像信号の伝達部分について示したものである。図1に示すように映像信号例えば5ビット(図面上“5/”と記載、以下同じ)のデータ“11111”は、このまま絶縁伝送手段例えばトランス21にて伝送された場合、“11111”等の直流成分が減衰カットされてしまう。すなわち絶縁伝送手段は、時間軸に対して一定の連続した信号(直流成分)が減衰を受けカットされてしまうため、一定の交流成分しか伝送できない。そのためデータは、交流化手段11により交流化(冗長化)が行われ、例えば5ビットデータ“11111”の各ビットデータ間に所定のビットデータ例えば“0”を挿入し10ビット(図面上“10/”と記載、以下同じ)データ“1010101010”に変換される。これにより映像信号は、交流化され、トランス21を介して絶縁伝送されることができる。上記の交流化は、各ビットデータ間に所定のビットエータを挿入するものであり1ビット数ごとに交流化されるものを示した。しかし必ずしも1ビット数ごとに交流化を要するものではなく、2ビット数、3ビット数等ごとに所定のビットデータを挿入して交流化を行ってもよい。
【0021】
また、上記の映像信号の交流化(冗長化)手段は、マンチェスター化手段を採用してもよい。マンチェスター化とは、“1”のデータを“01”に、“0”のデータを“10”とパターン化することである。周波数帯域は2倍必要であるが、“0”や“1”が続いても必ず1ビットごとにデータが変化してデータの区切り時間が伝送される。
【0022】
映像信号は、例えばR,G,Bの3系統の信号であり、各信号について絶縁伝送するためには絶縁伝送手段例えばトランス21が3基必要となる。これは装置の大型化および複雑化を招くこととなる。そのため、それぞれの信号は、パラレルシリアル変換手段14によってシリアライズ(シリアル化)され1系統となる。シリアライズされた映像信号は、増幅器20,22を使用して絶縁伝送手段例えばトランス21によって絶縁伝送される。
【0023】
絶縁伝送手段により伝送された映像信号は、シリアルパラレル変換手段30によってシリアライズ信号(シリアル化された信号)を再度パラレル信号例えばR,G,Bの映像信号にデシリアライズされる。すなわちデシリアライズとは、パラレル信号からシリアル化されたシリアライズ信号をそれぞれ元のパラレル信号に再変換する処理をいう。
【0024】
デシリアライズ信号(すなわちそれぞれのパラレル信号)は、先に交流化された状態のビット数を有している。例えば5ビットデータ“11111”は、交流化手段によって各ビットデータ間に所定のビットデータ例えば“0”を挿入され10ビットデータ“1010101010”とされている。この交流化(冗長化)された信号では、データ量が増加したままであるため、挿入された所定のビットデータを削除する処理を必要とする。この処理を簡素化(コアリング)と称し、簡素化手段32によってなされる。簡素化処理とは、具体的には5ビットデータ“11111”の各ビットデータ間に所定のビットデータ例えば“0”を挿入された10ビットデータ“1010101010”を、再度5ビットデータ“11111”に変換することである。
【0025】
図2は、本発明に係る医療機器システムの映像信号伝送手段において、同期信号重畳手段を含む映像信号伝送手段10について示したものである。図1で説明した映像信号部分については、図1と同一部分は、同一部号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
映像信号は、図1で示した交流化手段11(第1の交流化手段11という)にて交流化される。同期信号は、別の交流化手段である第2の交流化手段13にて交流化される。同期信号が例えば5ビットデータ“11111”の場合、上位空間に例えば“00000”のデータを挿入し10ビットデータ“0000011111”と変換される。すなわち同期信号は、5ビット数ごとに交流化される。映像信号の第1の交流化手段11は、例えば1ビット数ごとに交流化がなされるのに対して、同期信号の第2の交流化手段は、その第1の交流化手段11よりも高い5ビット数ごとに交流化されることにより、その信号の識別および重畳は容易になされる。すなわち、例えば1ビット数ごとの第1の交流化手段によって交流化された映像信号は、1ビット数ごとに所定の“0”信号が挿入されるためその交流化された映像信号には“11111”等の連続した信号は現れることができない。これに対し、例えば5ビット数ごとの第2の交流化手段によって交流化された同期信号は、連続した信号である“0000011111”等となり、1ビット数ごとの第1の交流化手段によって交流化された映像信号である例えば“1010101010”信号は現れることがない。このようにビット数が異なる信号は、第1の交流化手段によって交流化された映像信号の中に第2の交流化手段によって交流化された同期信号が重畳されても容易に識別することができる。
【0027】
好ましくは、第1の交流化手段によるビット数ごとに交流化するビット数は、第2の交流化手段によるビット数ごとに交流化するビット数よりも少ない。これは第1の交流化手段によって交流化される映像信号のデータ量は、第2の交流化手段によって交流化される同期信号のデータ量に較べて多量のデータ配列パターンを有することによる対応である。これにより映像信号のダイナミックレンジを減少させることなく、同期信号を重畳させることができる。
【0028】
交流化された同期信号は、同期信号重畳手段12によって交流化された映像信号に重畳される。重畳された信号は、パラレルシリアル変換手段14によってシリアライズされ1系統となる。シリアライズされた映像信号は、トランス21によって絶縁伝送されたのち、シリアルパラレル変換手段30によって、シリアライズされた信号を再度パラレル信号の映像信号にデシリアライズされる。
【0029】
デシリアライズされた信号は、同期信号検出手段31によって同期信号が識別され分離される。この際、上で記載したように第1の交流化手段によって交流化された映像信号の中に第2の交流化手段によって交流化された同期信号が重畳されていても、第1の交流化手段によって交流化された映像信号のビット数と第2の交流化手段によって交流化された同期信号のビット数とが異なるので容易に重畳された同期信号を検出し分離することができる。すなわち重畳された信号を変換することなく同期信号を検出することができるのである。検出し分離された同期信号および映像信号は、映像信号処理回路124(図示せず)に入力され、外部機器130(図示せず)例えばモニタまたはディスプレイにて表示される。
【0030】
(作用)
観察部位を撮像する撮像素子を有する医療機器システムは、映像信号伝送手段を具備する。映像信号伝送手段は、まず撮像素子によって生成された映像信号を第1の交流化手段によってビット数例えば1ビットごとに交流化する。また、この第1の交流化手段とは異なる第2の交流化手段によって同期信号を異なるビット数例えば5ビットごとに交流化する。次に前記第1の交流化手段によって交流化された映像信号と前記第2の交流化手段によって交流化された同期信号とを重畳手段によって重畳する。そして前記重畳された信号を伝送した後、同期信号検出手段によって前記重畳された信号から前記同期信号を検出する。
【0031】
(効果)
本実施の形態を取ることにより、映像信号と同期信号とを伝送する場合、両方の信号をビット数がそれぞれ異なる交流化手段を用いて交流化することにより、両方の信号は、容易に重畳化されることができる。重畳化された信号は、シリアライズされ複数の系統を一系統とされることができる。これにより回路の大型化および複雑化を防ぐことができる。シリアライズされた信号は、絶縁伝送手段によって患者回路から二次回路に伝送されることができる。伝送されたシリアライズ信号は、映像化されるためにデシリアライズされ複数の系統に分離されることができる。デシリアライズされた信号の中から同期信号を容易に識別し、分離することができる。これはビット数がそれぞれ異なる交流化手段で映像信号と同期信号とが重畳されているためである。
【0032】
(第2の実施の形態)
患者を安全に処置するための患者回路と二次回路との絶縁構成は、映像信号処理回路124の前段にイメージセンサーからの映像信号を絶縁伝送する絶縁回路を構成して、患者回路と二次回路との絶縁構成を保っている。第1の実施の形態では、絶縁伝送手段は、トランス21のような電磁誘導の手段を採用している。しかし絶縁伝送手段は、トランス21のような電磁誘導の手段に限られず、無線、光伝送、および静電誘導のいずれかの手段であってもよい。絶縁伝送手段を無線とした場合の例を図3に示す。図3は、カプセル内視鏡筐体50に映像信号送信機21aを組み込み、患者から離隔して設置された外部の二次回路60に映像信号受信機21bを設けた例を示す。カプセル内視鏡とは、観察部位を撮像する撮像素子を有する医療機器システムの一種であって、生体内の観察部位を撮像・検査等するカプセル状に形成された小型の内視鏡である。カプセル内視鏡は、回路基板等を水密に内蔵する筐体50を有し、その筐体50は、撮像素子であるイメージセンサー前面に対物レンズを有し、この対物レンズ前方を覆う略半球状の透明カバー(図示せず)と、後方を覆い後端部が半球状を成す筒状カバーとからなり、透明カバーと筒状カバーとを水密に接着して構成されたものである。
【0033】
カプセル内視鏡筐体50内において、その先端部にはイメージセンサー制御部53を配し、このイメージセンサー制御部53の前面に対物レンズを有するイメージセンサー112と、光源52とを配設している。イメージセンサー制御部53内には、図示しないがAFE121、A/D回路122、TG125,イメージセンサー駆動回路126,光源制御部、および電池部等を具備している。A/D回路から伝送された映像信号は、第1の交流化手段11によって交流化される。同期信号および駆動信号は、TG125によって生成される。生成された同期信号は、第2の交流化手段13によって交流化される。生成された駆動信号は、イメージセンサー駆動回路126に伝送される。
【0034】
それぞれ交流化された映像信号および同期信号は、同期信号重畳手段12によって重畳されパラレルシリアル変換手段14を介しシリアライズされる。シリアライズされた信号は増幅器20によって増幅され映像信号送信機21aによって外部に無線送信される。
【0035】
無線送信された信号は、患者から離隔されて設置された外部二次回路60の映像信号受信機21bにて受信される。この無線の送受信は、絶縁伝送を実現することができる。
【0036】
受信された信号は、外部二次回路60の増幅器22で増幅された後、シリアルパラレル変換手段30を介してデシリアライズされる。デシリアライズされた信号は、同期信号検出手段31によって同期信号が識別され分離される。この際、上で記載したように第1の交流化手段によって交流化された映像信号の中に第2の交流化手段によって交流化された同期信号が重畳されていても、第1の交流化手段によって交流化された映像信号のビット数と第2の交流化手段によって交流化された同期信号のビット数とが異なるので、容易に重畳された同期信号を検出し分離することができる。分離された同期信号、および映像信号は、映像信号処理回路124(図示せず)に入力され、外部機器130(図示せず)例えばモニタまたはディスプレイにて表示される。
【0037】
(作用)
患者回路は、カプセル内視鏡筐体50内に配設される。カプセル内視鏡のイメージセンサー112で撮像された観察部位の映像は、映像信号として所定のビット数ごとに交流化され、同時にTGによって生成された同期信号も異なるビット数ごとに交流化される。それぞれ交流化された映像信号と同期信号とは、重畳手段によって重畳される。そして前記重畳された信号は、無線送信され、患者から離隔して設置された外部二次回路60の映像信号受信機21bにて受信される。この無線の送受信によって、絶縁伝送が実現される。
【0038】
(効果)
患者回路と二次回路との間の信号の伝送を無線による送受信によって行うことにより、完全に絶縁伝送を実現できる。これにより患者を安全に処置することができる。
【0039】
(第3の実施の形態)
図4は、絶縁伝送手段を光伝送例えばフォトカプラ21’とした例を示す。光伝送手段としてのフォトカプラ21’は、電気信号/光信号変換器(Electric Optic Converter、以下単にE/O変換器と称する)および光信号/電気信号変換器(Optic Electric Converter、以下単にO/E変換器と称する)をモジュール内に組み込まれて使用される。
【0040】
映像信号および同期信号は、それぞれ第1の交流化手段および第2の交流化手段によって異なるビット数ごとに交流化される。それぞれ交流化された映像信号および同期信号は、同期信号重畳手段12によって重畳されパラレルシリアル変換手段14を介しシリアライズされる。シリアライズされた電気信号は、増幅器20によって増幅され、E/O変換器によって光信号に変換され送信される。このE/O変換器に隣接して配置されたO/E変換器によってこの送信された光信号が電気信号に再度変換される。
【0041】
電気信号に変換された信号は、シリアルパラレル変換手段30によって、シリアライズされた信号を再度パラレル信号の映像信号にデシリアライズされる。
【0042】
デシリアライズされた信号は、同期信号検出手段31によって同期信号が識別され分離される。この際、上で記載したように第1の交流化手段によって交流化された映像信号の中に第2の交流化手段によって交流化された同期信号が重畳されていても、第1の交流化手段によって交流化された映像信号のビット数と第2の交流化手段によって交流化された同期信号のビット数とが異なるので容易に重畳された同期信号を検出し分離することができる。分離された同期信号および映像信号は、映像信号処理回路124(図示せず)に入力され、外部機器130(図示せず)例えばモニタまたはディスプレイにて表示される。
【0043】
また絶縁伝送手段を静電誘電した例として、静電誘導型素子を使用することもできる。
【0044】
(効果)
患者回路と二次回路との間の信号の伝送を光伝送によって行うことにより、完全に絶縁伝送を実現できる。これにより患者を安全に処置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る医療機器システムの映像信号伝送手段の映像信号部分を示す図である。
【図2】本発明に係る医療機器システムの映像信号伝送手段を示す図である。
【図3】本発明に係る医療機器システムの無線伝送を使用した映像信号伝送手段を示す図である。
【図4】本発明に係る医療機器システムの光伝送を使用した映像信号伝送手段を示す図である。
【図5】電子内視鏡の概要を示す図である。
【図6】従来の映像信号絶縁伝送回路の第一例を示す図である。
【図7】従来の映像信号絶縁伝送回路の第2例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10…映像信号伝送手段、11…第1の交流化手段、12…同期信号重畳手段、13…第2の交流化手段、14…パラレルシリアル変換手段、20…増幅器、21…トランス、21’…フォトカプラ、21a…映像信号送信機、21b…映像信号受信機、22…増幅器、30…シリアルパラレル変換手段、31…同期信号検出手段、32…簡素化手段、50…カプセル内視鏡筐体、52…光源、53…イメージセンサー制御部、60…外部二次回路、100…電子内視鏡装置、110…スコープ、111…挿入部、112…イメージセンサー、120…ビデオプロセッサ、121…AFE(アナログフロントエンド)、122…A/D回路、123…絶縁回路、124…映像信号処理回路、125…タイミングジェネレータ、126…イメージセンサー駆動回路、130…外部機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察部位を撮像する撮像素子を有する医療機器システムであって、
前記撮像素子によって生成された映像信号を所定のビット数ごとに交流化する第1の交流化手段と、
前記第1の交流化手段とは異なるビット数ごとに同期信号を交流化する第2の交流化手段と、
前記第1の交流化手段によって交流化された映像信号と、前記第2の交流化手段によって交流化された同期信号とを重畳された信号とする重畳手段と、
前記重畳された信号を伝送する伝送手段と、
前記伝送手段によって伝送された前記重畳された信号から前記同期信号を検出する同期信号検出手段と、
からなる映像信号伝送手段を具備する医療機器システム。
【請求項2】
前記伝送手段は、無線、光伝送、静電誘導および電磁誘導のいずれかにより、前記重畳された信号を絶縁して伝送する絶縁伝送手段である請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項3】
前記同期信号検出手段は、前記第2の交流手段により前記映像信号とは異なるビット数ごとに変換された信号を検出することにより、前記重畳信号を変換せずに前記同期信号を検出する請求項1または2に記載の医療機器システム。
【請求項4】
前記第1の交流手段によるビット数ごとに交流化するビット数は、前記第2の交流手段によるビット数ごとに交流化するビット数よりも少ない請求項1乃至3のいずれかに記載の医療機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−119461(P2010−119461A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293741(P2008−293741)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】