説明

医療用インプラント

本発明は、開口部(8)を有する中空体(2)備えているインプラント(1)であって、中空体(2)は内面(3)及び外面(4)を有しており、中空体(2)の内面(3)が骨成長を可能とする表面構造(9)を有しているインプラント(1)を提供する。本発明は、切除された骨を骨管内の任意の空洞に提供するステップと、インプラント(1)を提供するステップと、インプラントを移植するステップとを備えている移植方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント、より具体的には大腿骨インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
大腿骨インプラントは、一般に、大腿骨インプラントのステムと大腿骨の髄腔内に形成された空洞とが摩擦係合することによって切開された大腿骨に取り付けられている。髄管は、一般に適切な摩擦係合を実現するためにインプラントのステムの大きさよりも小さな空洞を形成するようにリーマ加工される。しかしながら、摩擦係合だけでは確実な安定性を得ることはできず、大腿骨が損傷し、外科的な再検査が必要となるような利用をする際には、ステム自体が緩む。
【0003】
インプラントの安定性を高めるために、セメントを利用することによって、髄管内に形成された空洞内部にステムを固定する場合がある。しかしながら、セメントの利用は、欠点が明らかにされており、外科医にとって望ましい方法ではない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0013863号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2139097号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、摩擦係合やセメント単独によって空洞内に固定されたステムに依存せず、従来のインプラントよりも安定性が高められたインプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の実施例では、開口部と内面と外面とを有している中空体を備えているインプラントであって、中空体の内面が、骨成長(bone in-growth)を可能とする表面構造を有しているインプラントが提供される。
【0007】
本発明の利点は、中空体の内面が、骨成長のための表面を備えており、セメントを利用することによって中空体を骨に固定する必要なく、従来のインプラントと同様の安定をもたらすことである。
【0008】
本発明の実施例では、中空体の内面は骨成長を可能とする形状とされる。このことは、内面が骨成長を可能とする表面構造(テクスチャ)を有していることを意味する。表面構造は、骨成長を促進させるように構成されている場合がある。好ましくは、表面構造は少なくとも部分的に多孔性を有している。
【0009】
表面構造は材料でコーティングされている。この材料は骨成長を活性化させることができる。例えば、表面構造はヒドロキシアパタイト(HA)又はこれに類するものによってコーティングされている。
【0010】
内面には突起が設けられている場合がある。内面は、突起で少なくとも部分的に覆われている。
【0011】
突起は材料でコーティングされている場合がある。この材料は骨成長を活性化させることができる。例えば、突起はヒドロキシアパタイト(HA)又はこれに類するものによってコーティングされている。
【0012】
内面の大部分には突起が設けられていない場合がある。
【0013】
内面は、凹所で少なくとも部分的に覆われている場合がある。内面には、凹所及び突起の組み合わせが設けられている場合がある。
【0014】
内面の大部分は突起で覆われている。内面の略全体が突起で覆われている場合がある。
【0015】
互いに直近に隣接配置された突起は互いに完全に分離している。
【0016】
互いに直近に隣接配置された突起は、骨成長を可能とする突起同士が少なくとも部分的に離隔している場合であっても、互いに接触する場合がある。
【0017】
互いに直近に隣接配置された突起は、少なくとも1つの隣接する突起と接触し、少なくとも1つの隣接した突起から分離している場合がある。
【0018】
中空体の内面に形成された突起は、骨成長を可能とするに適合した形状とされる。突起は、n面ブロックのような正規の幾何学的形状(特に正方形から成るブロック、例えば長方形から成るブロック、五角形から成るブロック、六角形から成るブロック、四面体やこれらに類するもの)を有している場合がある。ここで、nは3以上である。
【0019】
突起は不定形状である場合がある。
【0020】
好ましくは、中空体の内面に形成された突起は少なくとも部分的にビードの形態をしている。ビードの直径は0.05mm〜2.0mmの範囲である場合がある。ビードの直径は0.1mm〜1.5mmの範囲である場合がある。ビードの直径は0.1mm〜1.0mmの範囲である場合がある。好ましくは、平均的なビードの直径は約0.25mm〜0.5mmである。
【0021】
ビードが中空体の内面から突出する高さは、0.05mm〜2.0mmの範囲である場合がある。ビードが中空体の内面から突出する高さは、0.1mm〜1.5mmの範囲である場合がある。ビードが中空体の内面から突出する高さは、0.1mm〜1.0mmの範囲である場合がある。好ましくは、ビードが中空体の内面から突出する平均的な高さは、約0.25mm〜0.5mmである。
【0022】
互いに直近に隣接配置されたビードは完全に互いに分離している場合がある。
【0023】
互いに直近に隣接配置されたビードは、骨成長を実現するために突起同士が少なくとも部分的に分離している場合であっても、互いに接触している場合がある。
【0024】
互いに直近に隣接配置されたビードは、少なくとも1つの隣接するビードと接触しており、少なくとも隣接するビードから分離している場合がある。
【0025】
直近に隣接配置されたビード間の間隔は0.05mm〜2.0mmの範囲である場合がある。当該ビードの間隔は0.1mm〜1.5mmの範囲である場合がある。当該ビードの間隔は0.1mm〜1.0mmの範囲である場合がある。好ましくは、平均的なビードの間隔は0.15mm〜0.45mmである。
【0026】
ビードは単一の層を形成している場合がある。ビードは複数の層を形成している場合がある。例えば、2層、3層、4層、5層、又は6層以上のビードが設けられている場合がある。
【0027】
ビードは中空体と一体的に成形される場合がある。任意の従来の成形技術、例えば真空成形や大気中成形(air casting)が利用可能である。好ましくは、Porocast(登録商標)プロセスが、ビードが中空体と一体とされる打ち込み多孔性表面(cast-in porous surface)を形成するために利用される。
【0028】
代替的には、ビードは中空体を成形した後に内面に形成される。ビードは、プラズマ溶射、接着結合溶射(adhesive bonded spray)、低温焼結や高温焼結によって事後成形される場合がある。
【0029】
中空体の内面は、骨梁を模造した表面構造を有している場合がある。例えば、内面は柱状の金属とされる場合がある。柱状の金属は、骨成長を可能とし且つ相互接続する孔を備えている。
【0030】
インプラント本体は少なくとも部分的に湾曲している場合がある。中空体の外面は少なくとも部分的に凸状とされる場合がある。中空体の内面は少なくとも部分的に凹状とされる場合がある。内面には、1つ以上の平坦部分又は略平坦部分が形成されている場合がある。
【0031】
中空体は部分的に球状とされる場合がある。中空体は少なくとも部分的に半球状とされる場合がある。中空体は半球よりも大きい場合がある。中空体は球の50%〜75%の大きさとされる場合がある。
【0032】
インプラント本体が部分的に球状とされる実施例では、中空体の直径は20mm〜75mmの範囲である場合がある。中空体の直径は25mm〜70mmの範囲である場合がある。中空体の直径は25mm〜65mmの範囲である場合がある。好ましくは、中空体の直径は35mm〜65mmの範囲である場合がある。
【0033】
インプラント本体の深さは15mm〜70mmの範囲である場合がある。当該深さは20mm〜60mmの範囲である場合がある。好ましくは、当該深さは20mm〜50mmの範囲である。
【0034】
内面と外面との間における中空体の厚さは、0,75mm〜20mmの範囲である。
【0035】
中空体の開口部は円状又は略円状である場合がある。円状の開口部の直径は15mm〜70mmの範囲である。
【0036】
インプラント本体は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラント本体は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。当該合金はコバルト−クロム合金である場合がある。金属、金属合金、又はセラミックはコーティングされているか、又は表面改質されている。表面改質としては、セラミックに金属、オキシニウム(oxinium(登録商標))、窒化ニオブ、又は窒化チタンを結合させたものが挙げられる。
【0037】
本発明の好ましい実施例では、インプラントは、中空体の内面に取り付けられたステムをさらに備えている場合がある。
【0038】
ステムは、中空体の開口部を貫通して延在している場合がある。
【0039】
ステムは、中空体に固定状態で取り付けられている場合がある。ステムは、中空体と共に一体に成形されている場合がある。
【0040】
ステムは、中空体に取り外し可能に取り付けられている場合がある。中空体及びステムは、対応するネジ部を有している場合がある。
【0041】
ステムの主軸は、中空体に形成された開口部の中心軸線と同一直線状に配置されている場合がある。
【0042】
ステムの長さは10mm〜200mmの範囲である。
【0043】
ステムは円筒状である場合がある。ステムの直径は3mm〜15mmの範囲である。
【0044】
ステムはテーパ状とされる場合がある。ステムの近位側の直径は、3mm〜40mmの範囲である。ステムの遠位側の直径は、2mm〜35mmの範囲である。
【0045】
インプラントのステムは、プラスチック、金属、セラミック、又は吸収性材料から作られている。好ましくは、インプラントのステムは金属から作られている。金属はステンレス鋼である場合がある。金属はチタンである場合がある。金属は合金である場合がある。
【0046】
利用時には、インプラントのステムは、ステムが骨空洞に圧入されることによって骨に取り付けられる場合がある。
【0047】
利用時には、セメントは、インプラントのステムを骨に取り付けるために利用される場合がある。
【0048】
インプラントは大腿骨インプラントである場合がある。
【0049】
本発明の第2の実施例では、骨管内に任意の空洞を有する切開された骨を準備するステップと、第1の実施例におけるインプラントを提供するステップと、インプラントを移植するステップとを備えている移植方法が提供される。
【0050】
骨は大腿骨である場合がある。
【0051】
例示として、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例におけるインプラントの斜視図である。
【図2】本発明の他の実施例におけるインプラントの斜視図である。
【図3】本発明の他の実施例におけるインプラントの斜視図である。
【図4】図1のインプラントの断面図である。
【図5】図2のインプラントの断面図である。
【図6】図3のインプラントの断面図である。
【図7】本発明の他の実施例におけるインプラントの断面図である。
【図8】本発明の他の実施例におけるインプラントの断面図である。
【図9】本発明の他の実施例におけるインプラントの断面図である。
【図10】本発明の他の実施例におけるインプラントの断面図である。
【図11a】本発明の他の実施例における突起の断面図である。
【図11b】本発明の他の実施例における突起の断面図である。
【図11c】本発明の他の実施例における突起の断面図である。
【図11d】本発明の他の実施例における突起の断面図である。
【図11e】本発明の他の実施例における突起の断面図である。
【図11f】本発明の他の実施例における突起の断面図である。
【図11g】本発明の他の実施例における突起の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1に表わすように、インプラント本体2は、球体を基本形態としており、インプラント本体2の外面4は半球よりも大きな形状を形成している。インプラント1は、第1の端部6及び第2の端部7を有しているステム5を備えている。ステム5の第1の端部6は、インプラント本体2の柱状体の内面に固定されているので、ステム5の主軸は、インプラント本体2に形成された開口部8と同軸に配置されている。ステム5の第2の端部7は、インプラント本体2に形成された開口部8を貫通して延在している。インプラント本体2の内面3は、インプラント本体2の内面3を部分的に同心状に覆っている複数のビード9を備えている。ビード9は、ステム5の第1の端部6の近傍には設けられていない。さらに、ビード9は、インプラント本体2の開口部8に向かっても設けられていない。帯状のビード9は、インプラント本体2の内面3の約25%〜35%を覆っている。
【0054】
インプラント本体2の直径は20mm〜75mmの範囲である場合がある。インプラント本体2の直径は25mm〜70mmの範囲である場合がある。好ましくは、インプラント本体2の直径は35mm〜65mmの範囲である。
【0055】
インプラント本体2の深さは15mm〜70mmの範囲である場合がある。当該深さは20mm〜60mmの範囲である場合がある。好ましくは、当該深さは20mm〜50mmの範囲である。
【0056】
内面3と外面4との間におけるインプラント本体2の厚さは0.75mm〜20mmの範囲である。
【0057】
インプラント本体2の開口部8は円状又は略円状である。円状の開口部8の直径は15mm〜70mmの範囲である。
【0058】
インプラント本体2は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている場合がある。好ましくは、インプラント本体2は金属から作られている。この金属はステンレス鋼である場合がある。この金属はチタンである場合がある。この金属は合金である場合がある。合金は、コバルト−クロム合金である場合がある。金属、金属合金、又はセラミックはコーティング又は表面改質されている。表面改質としては、セラミックに金属、オキシニウム、窒化ニオブ、又は窒化チタンを結合させたものが挙げられる。
【0059】
インプラントのステム5の長さは100mm〜200mmの範囲である。ステム5の直径は3mm〜15mmの範囲である。
【0060】
インプラントのステム5は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラントのステム5は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。ステム5は、インプラント本体2と一体に成形されている場合がある。
【0061】
ビード9の直径は0.05mm〜2.0mmの範囲である場合がある。ビード9の直径は0.1mm〜1.5mmの範囲である場合がある。ビード9の直径は0.1mm〜1.0mmの範囲である場合がある。好ましくは、このビードの平均直径は約0.25mm〜0.5mmである。
【0062】
ビード9がインプラント本体2の内面3から突出している高さは0.05mm〜2.0mmの範囲である場合がある。ビード9がインプラント本体2の内面3から突出している高さは0.1mm〜1.5mmの範囲である場合がある。ビード9がインプラント本体2の内面3から突出している高さは0.1mm〜1.0mmの範囲である場合がある。好ましくは、ビード9がインプラント本体2の内面3から突出している平均高さは、約0.25mm〜約0.5mmである。
【0063】
互いに直近に隣接配置されたビード9は、互いに完全に離隔している場合がある。
【0064】
互いに直近に隣接配置されたビード9は、ビード同士が骨成長を可能とするように少なくとも部分的に離隔している場合であっても互いに接触している場合がある。
【0065】
互いに直近に隣接配置されたビード9は、少なくとも1つの隣接するビード9と接触し、少なくとも1つの隣接するビード9から離隔されている場合がある。
【0066】
直近に隣接配置されたビード9間の離隔距離は0.05mm〜2.0mmの範囲である場合がある。このビード間の離隔距離は0.1mm〜1.5mmの範囲である場合がある。このビード間の離隔距離は、0.1mm〜1.0mmの範囲である場合がある。好ましくは、ビード間の平均的な離隔距離は0.15mm〜0.45mmである。
【0067】
ビード9は、インプラント本体2と一体に成形されている場合がある。任意の従来からの成形技術、例えば真空成形や大気中成形を利用することもできる。好ましくは、Porocast(登録商標)成形が、ビードが中空体と一体とされる打ち込み多孔性表面(cast-in porous surface)を形成するために利用される。
【0068】
代替的には、ビード9は、インプラント本体2を成形した後に内面3に成形される。ビード9は、プラズマ溶射、接着結合溶射、低温焼結や高温焼結によって事後成形される場合がある。
【0069】
図2は、本発明の他の実施例におけるインプラント10を表わす。インプラント本体2、インプラントのステム5、及びビード9の構造及び形状は、図1に表わすものと同一である。しかしながら、複数のビード9が、図1の実施例のビードよりも広い範囲に亘ってインプラント本体2の内面3を部分的に覆うように内面3に形成されている。図示の如く、ビード9は、ステム5の第1の端部6の近傍からインプラント本体2の中間点の周りまで延在している。帯状のビード9は、内面3の約40%〜60%を覆っている。
【0070】
図3は、本発明の他の実施例におけるインプラント100を表わす。インプラント本体2、インプラントのステム5、及びビード9の構成及び形状は、図1に表わすものと同一である。しかしながら、複数のビード9が、インプラント本体2の内面3の略全体を覆うように内面3に形成されている。
【0071】
図4〜図6は、図1〜図3に表わすインプラント1,10,100それぞれの断面図である。ビード9によって実現された多孔性を有する表面構造が図示されている。内面3には、3つの略平坦部分11a,11b,11cが形成されている。外面4は湾曲している。図4では、内面3の平坦部分11bはビード9を備えた平坦構造である。図5では、内面3の平坦部分11b及び平坦部分11cはビード9を備えた平坦構造である。図6では、内面3の平坦部分11a,11b,11cはビード9を備えた表面構造である。
【0072】
図7は、本発明の他の実施例におけるインプラント20の断面図である。インプラント本体22は、球状を基本形態とし、半球よりも大きな形状とされるインプラント本体22の内面23及び外面24を有している。インプラント20は、第1の端部26及び第2の端部27を有するステム25を備えている。ステム25の第1の端部26はインプラント本体22のポールの内面23に固定されているので、ステム25の主軸はインプラント本体22の開口部28と同軸に配置されている。ステム25の第2の端部27は、インプラント本体22の開口部28を貫通して延在している。
【0073】
インプラント本体22の内面23は、骨成長を可能とする表面構造29を有している。表面構造29は、説明を簡略化するために包括的な特徴として図示されている。表面構造29は、内面23の略全体を覆っているように図示されている。しかしながら、図1、図2、図4、及び図5に関する上述の説明の如く、表面構造29は内面23を部分的に覆っている場合がある。本明細書で説明するように(例えば図11a〜図11gを参照)、表面構造29には突起が形成されている場合がある。本明細書で説明するように(例えば図1〜図6を参照)、表面構造29にはビードが形成されている。表面構造29は、骨梁を模造している場合がある。例えば、表面構造29は柱状の金属である場合がある。
【0074】
インプラント本体22の直径は20mm〜75mmの範囲である場合がある。インプラント本体22の直径は25mm〜70mmの範囲である場合がある。インプラント本体22の直径は25mm〜65mmの範囲である場合がある。好ましくは、インプラント本体22の直径は35mm〜65mmの範囲である。
【0075】
インプラント本体22の深さは15mm〜70mmの範囲である場合がある。当該深さが20mm〜60mmの範囲である場合がある。好ましくは、当該深さが20mm〜50mmの範囲である。
【0076】
内面23と外面24との間におけるインプラント本体22の厚さは、0.75mm〜20mmの範囲である場合がある。
【0077】
インプラント本体22の開口部28は円状又は略円状とされる場合がある。円状の開口部28の直径は15mm〜70mmの範囲である。
【0078】
インプラント本体22は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラント本体22は金属から作られている。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。当該合金はコバルト−クロム合金である場合がある。金属、金属合金、又はセラミックはコーティング又は表面改質されている場合がある。表面改質としては、セラミックに金属、オキシニウム、窒化ニオブ、又は窒化チタンを結合させたものが挙げられる。
【0079】
インプラントのステム25の長さは100mm〜200mmの範囲である。ステム25の直径は3mm〜15mmである。
【0080】
インプラントのステム25は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている場合がある。好ましくは、インプラントのステム25は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。ステム25は、インプラント本体22と一体に成形されている場合がある。
【0081】
図8は、本発明の他の実施例におけるインプラント30の断面図である。インプラント本体32は球体を基本形態とし、インプラント本体32の外面34が半球よりも大きな形状をしている。内面33は、2つの略平坦部分31a,31bを備えている。インプラント30は、第1の端部36及び第2の端部37を有するステム35を備えている。ステム35の第1の端部36はインプラント本体32のポールの内面33に固定されているので、ステム35の主軸はインプラント本体32の開口部38と同軸に配置されている。ステム35の第2の端部37は、インプラント本体32内で開口部38を貫通して延在している。
【0082】
インプラント本体32の内面33は、骨成長を可能とする表面構造39を備えている。表面構造39は、説明を簡略化するために包括的な特徴として図示されている。図面では、表面構造39は内面33の略全体を覆っている。しかしながら、図1、図2、図4、及び図5に関する上記説明のように、表面構造39は内面33を部分的に覆っているにすぎない場合もある。本明細書で説明するように(例えば図11a〜図11gを参照)、表面構造39は突出部を備えている場合がある。本明細書で説明するように(例えば図1〜図6を参照)、表面構造39はビードを備えている場合がある。表面構造39は、骨梁を模造した表面構造を有している場合がある。例えば、内面は柱状の金属とされる場合がある。
【0083】
インプラント本体32の直径は20mm〜75mmの範囲である。インプラント本体32の直径は25mm〜70mmの範囲である場合がある。インプラント本体32の直径は25mm〜65mmの範囲である場合がある。好ましくは、インプラント本体32の直径は35mm〜65mmの範囲である。
【0084】
インプラント本体32の深さは15mm〜70mmの範囲である。当該深さは20mm〜60mmの範囲である。好ましくは、当該深さは20mm〜50mmの範囲である。
【0085】
内面33と外面34との間におけるインプラント本体32の厚さは、0.75mm〜20mmの範囲である。
【0086】
インプラント本体32の開口部38は、円状又は略円状とされる。円状の開口部38の直径は、15mm〜70mmの範囲である。
【0087】
インプラント本体32は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラント本体32は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。当該合金はコバルト−クロム合金である場合がある。金属、金属合金、又はセラミックはコーティングされているか、又は表面改質されている。表面改質としては、金属、オキシニウム、窒化ニオブ、若しくは窒化チタンをセラミックに結合させたもの、又は浸炭が挙げられる。
【0088】
インプラントのステム35の長さは10mm〜100mmの範囲である。ステム35の直径は3mm〜15mmの範囲である。
【0089】
インプラントのステム35は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラントのステム35は金属から作られている。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。ステム35は、インプラント本体32と一体に成形されている場合がある。
【0090】
図9は、本発明の他の実施例におけるインプラント40の断面図である。インプラント本体42は球体を基本形態とし、インプラント本体42の外面44が半球よりも大きな形状に形成されている。内面43には、3つの略平坦な区間41a,41b,41cが形成されている。インプラント40には、第1の端部46及び第2の端部47を有するステム45が設けられている。ステム45の第1の端部46はインプラント本体42の柱状体の内面43に固定されているので、ステム45の主軸はインプラント本体42の開口部48と同軸に配置されている。ステム45の第2の端部47は、インプラント本体42の開口部48を貫通して延在している。
【0091】
インプラント本体42の内面43には、骨成長を可能とする表面構造49が形成されている。表面構造49は、説明を簡略化するために包括的な特徴として図示されている。図面では、表面構造49は内面43の略全体を覆っている。しかしながら、図1、図2、図4、及び図5に関する上記説明のように、表面構造49が内面43を部分的に覆っているにすぎない場合がある。以下に説明するように(例えば図11a〜図11gを参照)、表面構造49には突起が形成されている場合がある。本明細書で説明するように(例えば図1〜図6を参照)、表面構造49にはビードが形成されている場合がある。表面構造49は、骨梁を模造している場合がある。表面構造49は、例えば柱状の金属とされる場合がある。
【0092】
インプラント本体42の直径は20mm〜75mmの範囲である。インプラント本体42の直径は25mm〜70mmの範囲である場合がある。好ましくは、インプラント本体の直径は35mm〜65mmの範囲である。
【0093】
インプラント本体42の深さは15mm〜70mmの範囲である。当該深さは20mm〜60mmの範囲である場合がある。好ましくは、当該深さは20mm〜50mmの範囲である。
【0094】
内面43と外面44との間におけるインプラント本体42の厚さは、0.75mm〜20mmの範囲である。
【0095】
インプラント本体42の開口部48は、円状又は略円状とされる。円状の開口部48の直径は15mm〜70mmの範囲である。
【0096】
インプラント本体42は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラント本体42は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。当該合金はコバルト−クロム合金である場合がある。金属、金属合金、又はセラミックはコーティングされているか、又は表面改質されている。表面改質としては、金属、オキシニウム、窒化ニオブ、若しくは窒化チタンをセラミックに結合させたもの、又は浸炭が挙げられる。
【0097】
インプラントのステム45の長さは10mm〜200mmの範囲である。ステム45の直径は3mm〜15mmの範囲である。
【0098】
インプラントのステム45は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラントのステム45は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。ステム45は、インプラント本体42と一体に成形されている場合がある。
【0099】
図10は、本発明の他の実施例におけるインプラント50の断面図である。インプラント本体52は球体を基本形態とし、インプラント本体52の外面54が半球よりも大きな形状とされる。内面53には、4つの略平坦部分51a,51b,51c,51dが形成されている。インプラント50には、第1の端部56及び第2の端部57を有するステム55が設けられている。ステム55の第1の端部56はインプラント本体52の柱状体の内面53に固定されているので、ステム55の主軸はインプラント本体52の開口部58と同軸に配置されている。ステム55の第2の端部57は、インプラント本体52の開口部58を貫通して延在している。
【0100】
インプラント本体52の内面53には、骨成長を可能とする表面構造59が形成されている。表面構造59は、説明を簡略化するために包括的な特徴として図示されている。図面では、表面構造59は内面53の略全体を覆っている。しかしながら、表面構造59は、図1、図2、図4、及び図5に関する上記説明のように、内面53を部分的に覆っているにすぎない場合もある。本明細書で説明するように(例えば図11a〜図11gを参照)、表面構造59には突出部が形成されている場合がある。本明細書で説明するように(例えば図1〜図6を参照)、表面構造59にはビードが形成されている場合がある。表面構造59は、骨梁を模造した表面構造を有している場合がある。例えば、表面構造59は柱状の金属とされる場合がある。
【0101】
インプラント本体52の直径は20mm〜75mmの範囲である場合がある。インプラント本体52の直径は25mm〜70mmの範囲である場合がある。インプラント本体52の直径は25mm〜65mmの範囲である場合がある。好ましくは、インプラント本体52の直径は35mm〜65mmの範囲である。
【0102】
インプラント本体52の深さは15mm〜70mmの範囲である。当該深さは20mm〜60mmの範囲である。好ましくは、当該深さは20mm〜50mmの範囲である。
【0103】
内面53と外面54との間におけるインプラント本体52の厚さは、0.75mm〜20mmの範囲である。
【0104】
インプラント本体52の開口部58は円状又は略円状とされる。円状の開口部58の直径は15mm〜70mmの範囲である。
【0105】
インプラント本体52は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている。好ましくは、インプラント本体52は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。当該合金はコバルト−クロム合金である場合がある。金属、金属合金、又はセラミックはコーティングされているか、又は表面改質されている。表面改質としては、金属、オキシニウム、窒化ニオブ、若しくは窒化チタンをセラミックに結合させたもの、又は浸炭が挙げられる。
【0106】
インプラントのステム55の長さは10mm〜200mmの範囲である。ステム55の直径は3mm〜15mmの範囲である。
【0107】
インプラントのステム55は、プラスチック、金属、又はセラミックから作られている場合がある。好ましくは、インプラントのステム55は金属から作られている。当該金属はステンレス鋼である場合がある。当該金属はチタンである場合がある。当該金属は合金である場合がある。ステム55はインプラント本体52と一体に成形されている場合がある。
【0108】
図11a〜図11gは、本発明の実施例における突起の断面図である。突起は、突起同士の間、下方、及び周囲で骨を成長させることができるので、骨を効果的に成長させ、インプラントを安定させることができる。このような骨成長を可能とする突起の任意の形状又は形態は本発明に基づくものである。
【符号の説明】
【0109】
1 インプラント
2 インプラント本体
3 内面
4 外面
5 ステム
6 第1の端部
7 第2の端部
8 開口部
9 ビード
10 インプラント
11a 平坦部分
11b 平坦部分
11c 平坦部分
20 インプラント
22 インプラント本体
23 内面
24 外面
25 ステム
26 第1の端部
27 第2の端部
28 開口部
29 表面構造
30 インプラント
31a 平坦部分
32b 平坦部分
32 インプラント本体
33 内面
34 外面
35 ステム
36 第1の端部
37 第2の端部
38 開口部
39 表面構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する中空体を備えたインプラントであって、
前記中空体は、内面及び外面を有しており、
前記中空体の前記内面が、骨成長を可能とする表面構造を有していることを特徴とするインプラント。
【請求項2】
前記内面が、少なくとも部分的に突起で覆われている求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記内面の大部分には、突起が設けられていないことを特徴とする請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記内面の大部分が、突起で覆われていることを特徴とする請求項2に記載のインプラント。
【請求項5】
前記内面の略全体が、突起で覆われていることを特徴とする請求項2に記載のインプラント。
【請求項6】
前記内面が、少なくとも部分的に凹所で覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記突起は、少なくとも部分的にビードの形態をしていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
前記中空体は、少なくとも部分的に湾曲していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項9】
前記内面は、少なくとも部分的に凹状に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記外面は、少なくとも部分的に凹状に形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のインプラント。
【請求項11】
前記中空体は、球体の一部であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項12】
前記中空体は、半球体の少なくとも一部分とされることを特徴とする請求項11に記載のインプラント。
【請求項13】
前記中空体は、半球よりも大きいことを特徴とする請求項11又は12に記載のインプラント。
【請求項14】
前記中空体は、球の50%〜75%であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項15】
前記中空体の前記内面に取り付けられたステムを備えていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項16】
前記ステムは、前記中空体の前記開口部を貫通して延在していることを特徴とする請求項15に記載のインプラント。
【請求項17】
前記ステムは、前記中空体に固定状態で取り付けられていることを特徴とする請求項15又は16に記載のインプラント。
【請求項18】
前記ステムは、前記中空体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項15又は16に記載のインプラント。
【請求項19】
前記中空体及び前記ステムには、対応するネジ部が形成されていることを特徴とする請求項18に記載のインプラント。
【請求項20】
前記ステムの主軸は、前記中空体の前記開口部の中心軸線と同軸に配置されていることを特徴とする請求項15〜19のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項21】
前記インプラントは大腿骨用インプラントであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項22】
前記表面構造はコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項23】
前記突起はコーティングされていることを特徴とする請求項2〜21のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項24】
前記コーティングによって骨成長が促進されることを特徴とする請求項22又は23に記載のインプラント。
【請求項25】
前記コーティングには、ヒドロキシアパタイトが含まれていることを特徴とする請求項22〜24のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項26】
前記ステムは、プラスチック、金属、セラミック、及び吸収性材料のうちいずれか1つの材料から作られていることを特徴とする請求項15〜25のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項27】
図面を参照して本明細書で説明されているインプラント。
【請求項28】
切除された骨を骨管の任意の空洞に提供するステップと、
請求項1〜27のいずれか一項に記載のインプラントを提供するステップと、
前記インプラントを移植するステップと、
を備えていることを特徴とする移植方法。
【請求項29】
前記骨が大腿骨であることを特徴とする請求項28に記載の移植方法。
【請求項30】
図面を参照して本明細書で説明されている移植方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図11e】
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【図11f】
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【図11g】
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【公表番号】特表2010−504785(P2010−504785A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529755(P2009−529755)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003641
【国際公開番号】WO2008/037978
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】